(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】改善されたインダクタコイルを有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240711BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20240711BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/42
H05B6/36 C
H05B6/36 D
(21)【出願番号】P 2020564421
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2019062720
(87)【国際公開番号】W WO2019219867
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-01-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】タウリノ イレーヌ
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】村山 美保
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/041450(WO,A1)
【文献】特開2015-56224(JP,A)
【文献】特開2000-30850(JP,A)
【文献】特開平11-26148(JP,A)
【文献】特開2015-118256(JP,A)
【文献】国際公開第2018/033477(WO,A1)
【文献】特開2019-129820(JP,A)
【文献】特表2018-529322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F40/00
A24F42/00
A24F47/00
H05B 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(100)であって、
少なくとも一つのエアロゾル形成基体(22)を受容するためのチャンバー(111)を画定するハウジング(120)であって、前記チャンバーが、前記チャンバーの第一の端から前記チャンバーの第二の端に延びるその長軸方向軸に沿った長さを有する、ハウジング(120)と、
前記チャンバー(111)内に配置されたサセプタ(130)と、
前記ハウジング(120)内に提供され、前記チャンバー(111)の周りに配置され、かつ前記チャンバーの前記長さの少なくとも一部分に沿って延びるインダクタコイル(140)と、を備え、
前記インダクタコイル(140)が、前記チャンバーの前記第一の端の最も近くに配置された第一の部分(141)と、前記チャンバーの前記第二の端の最も近くに配置された第二の部分(142)と、前記第一の部分と前記第二の部分の間に配置された第三の部分(143)と、を備え
前記コイルの前記第三の部分における単位長さ当たりの巻数が、前記コイルの前記第一の部分および前記第二の部分のうちの一方または両方における単位長さ当たりの巻数よりも少なく、
前記インダクタコイル(140)の長軸方向軸に沿って測定した前記インダクタコイル(140)の前記第一の部分(141)の長さが、前記インダクタコイル(140)の前記長軸方向軸に沿って測定した前記インダクタコイル(140)の前記第二の部分(142)の長さと実質的に等しい、エアロゾル発生装置(100)。
【請求項2】
前記エアロゾル発生装置(100)が、前記インダクタコイル(140)に電気的に接続可能な電源(160)をさらに備え、前記電源(160)が、リチウム系の電池、ニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池である、請求項1に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項3】
前記リチウム系の電池が、リチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池である、請求項2に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項4】
前記サセプタ(130)が鉄製の素子である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項5】
前記サセプタ(130)が、ステンレス鋼素子またはアルミニウム素子である、請求項1~
3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項6】
前記サセプタ(130)が、前記チャンバー(111)の壁に固定されている第一の端と、前記チャンバー(111)の中に延びる第二の端とを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項7】
前記単位長さ当たりの巻数が、前記インダクタコイル(140)の前記第一の部分(141)内で実質的に一定のままである、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項8】
前記単位長さ当たりの巻数が、前記インダクタコイル(140)の前記第三の部分(143)内で実質的に一定のままであり、かつ前記単位長さ当たりの巻数が、前記インダクタコイル(140)の前記第一の部分および前記第二の部分(141、142)のうちの一方または両方内で実質的に一定のままであり、前記単位長さ当たりの巻数が、前記インダクタコイル(140)の前記第一の部分および前記第二の部分(141、142)のうちの一方または両方から前記インダクタコイル(140)の前記第三の部分(143)に一段階移行する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項9】
前記インダクタコイル(140)における前記単位長さ当たりの巻数が、前記コイルの前記第一の部分(141)から前記コイルの前記第三の部分(143)に徐々に減少し、かつ/または前記インダクタコイル(140)における前記単位長さ当たりの巻数が、前記コイルの前記第二の部分(142)から前記コイルの前記第三の部分(143)に徐々に減少する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項10】
前記コイルの前記第一の部分(141)における前記単位長さ当たりの巻数が、前記コイルの前記第二の部分(142)における前記単位長さ当たりの巻数と実質的に等しい、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項11】
前記コイルの前記第三の部分(143)における前記単位長さ当たりの巻数が、前記コイルの前記第一の部分(141)および前記第二の部分(142)のうちの一方または両方における前記単位長さ当たりの巻数の少なくとも二分の一の数である、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項12】
前記コイルの前記第三の部分(143)における前記単位長さ当たりの巻数が、前記コイルの前記第一の部分(141)および前記第二の部分(142)のうちの一方または両方における前記単位長さ当たりの巻数の少なくとも四分の一の数である、請求項11に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項13】
前記サセプタ(130)が、化学的に不活性である外表面を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項14】
前記サセプタ(130)が細長い、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項15】
前記サセプタ(130)が、前記インダクタコイル(140)によって包囲されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項16】
前記サセプタ(130)が、前記インダクタコイル(140)と
前記長軸方向軸に沿って整列されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項17】
前記インダクタコイル(140)の磁気軸が、前記チャンバー(111)の前記長軸方向軸と実質的に平行である、請求項1~16のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項18】
前記インダクタコイル(140)が、前記第一の部分(141)、前記第二の部分(142)、および前記第三の部分(143)だけから成る、請求項1~
8及び10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項19】
前記エアロゾル発生装置が、電源(160)から前記インダクタコイル(140)への電力の供給を制御するように構成された制御回路(150)を備える、請求項1~18のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項20】
前記制御回路(150)がマイクロコントローラーを備える、請求項19に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項21】
前記インダクタコイル(140)の断面積が、前記コイルの前記第一の部分(141)内で実質的に一定のままである、請求項1~20のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(100)と、前記エアロゾル発生装置(100)の前記チャンバー(111)内に受容されるように構成されたエアロゾル発生物品(20)とを備え、前記エアロゾル発生物品(20)はエアロゾル形成基体(22)を備える、エアロゾル発生システム(10)。
【請求項23】
前記エアロゾル発生物品(20)が、中空の管状支持要素(24)、エアロゾル冷却要素(26)、およびフィルターセグメント(28)を備える、請求項22に記載のエアロゾル発生システム(10)。
【請求項24】
前記エアロゾル発生システム(10)が、約30mm~約150mmの全長を有する、請求項22又は23に記載のエアロゾル発生システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。特に、本発明は、サセプタを使用してエアロゾル発生物品を加熱するための誘導ヒーターを有するエアロゾル発生装置に関する。本発明はまた、エアロゾル発生装置で使用するエアロゾル発生物品またはカートリッジと組み合わせた、こうしたエアロゾル発生装置を含むエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこプラグなどのエアロゾル形成基体を加熱するために電気ヒーターを有するエアロゾル発生装置が使用される数多くの電気的に作動するエアロゾル発生システムが、当該技術分野において提唱されてきた。典型的に、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生装置のチャンバーまたは空洞の中に挿入されるエアロゾル発生物品の一部として提供されている。一部の周知のシステムにおいて、エアロゾルを形成することができる揮発性成分を放出する能力を有する温度にエアロゾル形成基体を加熱するために、加熱ブレードなどの抵抗発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に受容されている時に、エアロゾル形成基体の中に、またはその周りに挿入されている。他のエアロゾル発生システムにおいて、抵抗発熱体ではなく誘導ヒーターが使用されている。誘導ヒーターは典型的に、エアロゾル発生装置の一部を形成するインダクタと、エアロゾル形成基体と熱的に近接するように配設された導電性サセプタ素子とを備える。使用中に、インダクタは交番磁界を発生して、サセプタ素子に渦電流およびヒステリシス損失を発生し、サセプタ素子の加熱を生じさせ、これによってエアロゾル形成基体を加熱する。
【0003】
インダクタおよび伝導性サセプタ素子を有する一部の周知のシステムにおいて、サセプタ素子は典型的に、エアロゾル発生装置のチャンバー内に固定され、かつ空洞の中に受容されたエアロゾル発生物品の中に少なくとも部分的に延びるように構成されている。サセプタ素子は、インダクタコイルによって給電された時に、内部からエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱する。例えば、サセプタ素子は、エアロゾル発生物品がチャンバーの中に受容されている時に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を貫通するように配設されてもよい。
【0004】
インダクタおよび導電性サセプタ素子を有する一部の他の周知のシステムにおいて、インダクタを有するエアロゾル発生装置のチャンバー内に受容されているカートリッジの中にサセプタを含めることができる。カートリッジは、ニコチン供与源を包含する第一の区画と、酸供与源を包含する第二の区画とを包含する。ニコチン供与源および酸供与源は加熱され、かつ気相内で相互に反応して、ユーザーによって吸い込まれるエアロゾルを形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インダクタは典型的に、その長さに沿って延びる複数の巻き、すなわち巻線を有するインダクタコイルを形成するワイヤの形態で提供されている。しかしながら、こうした従来のコイルは、サセプタが誘導加熱されている時に、サセプタによって生成される温度全体にわたる正確な制御を常に可能にするとは限らない。特に、こうした従来のコイルを使用する時に、サセプタから均一な温度を得ることは困難である場合がある。
【0006】
従って、改善されたインダクタコイルを有するエアロゾル発生装置を提供することが望ましいことになり、これはこうした欠点を克服するために役立ちうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によると、少なくとも一つのサセプタおよび少なくとも一つのエアロゾル形成基体を受容するためのチャンバーを画定するハウジングであって、チャンバーが、チャンバーの第一の端からチャンバーの第二の端に延びるその長軸方向軸に沿った長さを有する、ハウジングと、ハウジング内に提供され、チャンバーの周りに配置され、かつチャンバーの長さの少なくとも一部分に沿って延びるインダクタコイルとを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。インダクタコイルは、チャンバーの第一の端の最も近くに配置された第一の部分と、チャンバーの第二の端の最も近くに配置された第二の部分と、第一の部分と第二の部分の間に配置された第三の部分とを備える。コイルの第三の部分における単位長さ当たりの巻数は、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方における単位長さ当たりの巻数よりも少ない。
【0008】
本発明の発明者らは、一定の巻き密度を有する従来のコイルがエアロゾル発生装置で使用される時に、コイルの第一の端部分および第二の端部分によってそれぞれ包囲された領域において生じる磁束密度と比較して、コイルの中央(第三の)部分によって包囲された領域において、より高い磁束密度があることを認識した。従って、コイルの中央部分によって包囲された領域は、サセプタが前記領域内に定置されている時に、コイルの第一の端部分および第二の端部分によってそれぞれ包囲された領域よりも大きい程度まで加熱される可能性がある。これは、装置のチャンバー内の不均一な温度プロファイルにつながる可能性があり、これは望ましくない場合がある。こうした不均一な温度プロファイルは、インダクタコイルがニコチン供与源および酸供与源を包含するカートリッジ内に位置するサセプタを加熱するために使用されている時に、特に望ましくない可能性がある。これは、こうした配設における温度勾配が不必要に、感覚媒体の異なる部分の凝縮および再蒸発を引き起こす可能性があるためであり、それ故にシステムの性能に悪影響を及ぼす可能性がある。その上、こうしたカートリッジは、特定の量のニコチンを特定の量の酸と混合するために、正確な較正を必要とする場合がある。不均一な温度勾配は、混合チャンバーに送達されるニコチンまたは酸の不正確な量につながる場合があり、それ故にシステムの性能に悪影響を与える場合がある。
【0009】
チャンバー内のサセプタからより均一な温度プロファイルを得るために、本発明の発明者らは、コイルの第三の部分における単位長さ当たりの巻数が、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方における単位長さ当たりの巻数よりも少ないように、インダクタコイルを有利に構成できることを認識した。これは有利なことに、チャンバー内に定置されたサセプタの一方または両方の端に存在する磁束密度の増加をもたらすことができる。特に、磁束密度がコイルによって包囲された領域の全長、特にサセプタによって占有されている、または占有されることになるチャンバー内の領域の全長に沿って、より均一に分布されるように、コイルを構成することができる。こうした配設で、前記領域内に定置されたサセプタの端を、サセプタの中央部分の温度と、より厳密に一致する温度に加熱することができる。
【0010】
本発明の発明者らはまた、コイルの第三の部分におけるコイルの断面積がコイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方におけるコイルの断面積よりも大きいように、インダクタコイルを構成することが、代替的でありながらも有利な解決策であることを認識した。この配設で、この領域における磁束密度がコイルの第一の部分および第二の部分によってそれぞれ包囲された領域において生じる磁束密度と、より厳密に一致しているように、コイルの第三の部分によって包囲された領域における磁束密度の低減をもたらすことができる。従って、これはより均一な温度をサセプタの長さに沿って生成するのに役立ちうる。
【0011】
従って、本発明の第二の態様によると、少なくとも一つのサセプタおよび少なくとも一つのエアロゾル形成基体を受容するためのチャンバーを画定するハウジングであって、チャンバーが、チャンバーの第一の端からチャンバーの第二の端に延びるその長軸方向軸に沿った長さを有する、ハウジングと、ハウジング内に提供され、チャンバーの周りに配置され、かつチャンバーの長さの少なくとも一部分に沿って延びるインダクタコイルとを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。インダクタコイルは、チャンバーの第一の端の最も近くに配置された第一の部分と、チャンバーの第二の端の最も近くに配置された第二の部分と、第一の部分と第二の部分の間に配置された第三の部分とを備える。コイルの第三の部分におけるコイルの断面積は、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方におけるコイルの断面積よりも大きい。
【0012】
コイルの断面積は、コイルの長軸方向軸と直角を成す平面において取られる。インダクタコイルの断面がコイルの第三のセクション中のコイルの長さに沿って変化する場合、第三の部分におけるコイルの断面積への上記の参照は、第三の部分におけるコイルの平均断面積に対して取られるべきである。相当する考慮が、コイルの第一の部分および第二の部分の各々について適用される。
【0013】
インダクタコイルは円形断面形状を有することが好ましい。インダクタコイルは、非円形断面形状を有してもよい。例えば、インダクタコイルは、楕円形、三角形、正方形、長方形、台形、菱形、ダイヤモンド形、凧形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、または任意の他の多角形の断面形状を有してもよい。インダクタコイルは、正多角形の断面形状を有してもよい。例えば、正三角形、正方形、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形、正九角形、または正十角形の断面形状である。
【0014】
インダクタコイルが円形断面形状を有する場合、コイルの第三の部分におけるコイルの直径は、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方におけるコイルの直径よりも大きい。
【0015】
インダクタコイルは、その長さに沿って延びる複数の巻きまたは巻線を有するワイヤから形成されてもよい。ワイヤは、正方形、長円形、または三角形などの任意の適切な断面形状を有してもよい。一部の実施形態において、ワイヤは円形断面を有する。他の実施形態において、ワイヤは平坦な断面形状を有してもよい。例えば、インダクタコイルは、長方形の断面形状を有するワイヤから形成されてもよく、またワイヤの断面の最大幅がインダクタコイルの磁気軸に対して平行に延びるように巻回されてもよい。こうした平坦なインダクタコイルは、インダクタの外径、従ってエアロゾル発生装置の外径を最小限にすることを可能にする場合がある。
【0016】
コイルの第三の部分における単位長さ当たりの巻数は、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方における単位長さ当たりの巻数よりも少なく、またコイルの第三の部分におけるコイルの断面積は、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方におけるコイルの断面積よりも大きいことが好ましい。
【0017】
第一の態様および第二の態様のうちの一方または両方の好ましい特徴は以下に記載されている。
【0018】
一部の好ましい実施形態において、単位長さ当たりの巻数は、コイルの第一の部分内で実質的に一定のままである。
【0019】
一部の好ましい実施形態において、インダクタコイルにおける単位長さ当たりの巻数は、コイルの第一の部分からコイルの第三の部分に徐々に減少する。これは、コイルの第一の部分によって包囲された領域において発生した磁界が、コイルの第三の部分によって包囲された領域において発生した磁界と、より厳密に一致していることを確実にするために役立つ場合がある。
【0020】
一部の好ましい実施形態において、単位長さ当たりの巻数は、コイルの第二の部分内で実質的に一定のままである。
【0021】
一部の好ましい実施形態において、インダクタコイルにおける単位長さ当たりの巻数は、コイルの第二の部分からコイルの第三の部分に徐々に減少する。これは、コイルの第二の部分によって包囲された領域において発生した磁界が、コイルの第三の部分によって包囲された領域において発生した磁界と、より厳密に一致していることを確実にするために役立つ場合がある。
【0022】
巻数の減少は直線的であってもよい。巻数の減少は非直線的であってもよい。例えば、巻数の減少は指数的であってもよい。
【0023】
一部の好ましい実施形態において、コイルの第一の部分における単位長さ当たりの巻数は、コイルの第二の部分における単位長さ当たりの巻数と実質的に等しい。これは有利なことに、コイルの第一の部分によって包囲された領域において発生した磁界が、コイルの第二の部分によって包囲された領域において発生した磁界と、より厳密に一致していることを確実にするために役立つ場合がある。
【0024】
コイルの第三の部分内で単位長さ当たりの巻数が実質的に一定のままであり、かつコイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方内で単位長さ当たりの巻数が実質的に一定のままである場合、単位長さ当たりの巻数は、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方からコイルの第三の部分に一段階移行してもよい。別の方法として、または追加的に、コイルは、コイルの第一の部分とコイルの第三の部分との間に配置された第四の部分を含んでもよい。単位長さ当たりの巻数は、コイルの第一の部分からコイルの第三の部分に、コイルの第四の部分を通して徐々に減少してもよい。
【0025】
さらに別の方法として、または追加的に、コイルは、コイルの第二の部分とコイルの第三の部分との間に配置された第五の部分を含んでもよい。単位長さ当たりの巻数は、コイルの第二の部分からコイルの第三の部分に、コイルの第五の部分を通して徐々に減少してもよい。
【0026】
コイルの長軸方向軸に沿って測定したコイルの第一の部分の長さは、コイルの長軸方向軸に沿って測定したコイルの第二の部分の長さと実質的に等しいことが好ましい。
【0027】
コイルの長軸方向軸に沿って測定したコイルの第一の部分の長さは、コイルの長軸方向軸に沿って測定したコイルの第三の部分の長さと実質的に等しいことが好ましい。
【0028】
コイルの長軸方向軸に沿って測定したコイルの第二の部分の長さは、コイルの長軸方向軸に沿って測定したコイルの第三の部分の長さと実質的に等しいことが好ましい。
【0029】
一部の好ましい実施形態において、コイルの第三の部分における単位長さ当たりの巻数は、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方における単位長さ当たりの巻数の少なくとも約二分の一の数であり、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方における単位長さ当たりの巻数の少なくとも約三分の一の数であることがより好ましく、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方における単位長さ当たりの巻数の少なくとも約四分の一の数であることがなおより好ましい。
【0030】
コイルの第一の部分における1ミリメートルの長さ当たりの巻数は、約1~約2であってもよく、約1~約1.5であることがより好ましい。コイルの第二の部分における単位ミリメートル当たりの巻数は、約1~約2であってもよく、約1~約1.5であることがより好ましい。コイルの第三の部分における1ミリメートルの長さ当たりの巻数は、約0.25~約0.5であってもよい。
【0031】
一部の好ましい実施形態において、コイルの断面積は、コイルの第一の部分内で実質的に一定のままである。
【0032】
一部の好ましい実施形態において、インダクタコイルの断面積は、コイルの第一の部分からコイルの第三の部分に徐々に増大する。これは、コイルの第一の部分によって包囲された領域において発生した磁界が、コイルの第三の部分によって包囲された領域において発生した磁界と、より厳密に一致していることを確実にするために役立つ場合がある。
【0033】
一部の好ましい実施形態において、コイルの断面積は、コイルの第二の部分内で実質的に一定のままである。
【0034】
一部の好ましい実施形態において、インダクタコイルの断面積は、コイルの第二の部分からコイルの第三の部分に徐々に増大する。これは、コイルの第二の部分によって包囲された領域において発生した磁界が、コイルの第三の部分によって包囲された領域において発生した磁界と、より厳密に一致していることを確実にするために役立つ場合がある。
【0035】
一部の好ましい実施形態において、コイルの第一の部分におけるインダクタコイルの断面積は、コイルの第二の部分におけるインダクタコイルの断面積に実質的に対応する。これは有利なことに、コイルの第一の部分によって包囲された領域において発生した磁界が、コイルの第二の部分によって包囲された領域において発生した磁界と、より厳密に一致していることを確実にするために役立つ場合がある。
【0036】
一部の好ましい実施形態において、コイルの第三の部分におけるコイルの断面積は、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方における断面積の少なくとも1.3倍であり、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方におけるコイルの断面積の少なくとも約1.5倍であることがより好ましい。
【0037】
一部の好ましい実施形態において、コイルの断面積は、コイルの第三の部分内で実質的に一定のままである。
【0038】
コイルの第三の部分内でコイルの断面積が実質的に一定のままであり、かつコイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方内でコイルの断面積が実質的に一定のままである場合、コイルの断面積は、コイルの第一の部分および第二の部分のうちの一方または両方からコイルの第三の部分に一段階移行してもよい。別の方法として、または追加的に、コイルは、コイルの第一の部分とコイルの第三の部分との間に配置された第四の部分を含んでもよい。コイルの断面積は、コイルの第一の部分の断面積からコイルの第三の部分の断面積にコイルの第四の部分を通して徐々に増大してもよい。
【0039】
さらに別の方法として、または追加的に、コイルは、コイルの第二の部分とコイルの第三の部分との間に配置された第五の部分を含んでもよい。コイルの断面積は、コイルの第二の部分の断面積からコイルの第三の部分の断面積にコイルの第五の部分を通して徐々に増大してもよい。
【0040】
一部の好ましい実施形態において、コイルの第一の部分は、コイルの第三の部分の一方の側にすぐ隣接して位置付けられていて、またコイルの第二の部分は、コイルの第三の部分のもう一方の側にすぐ隣接して位置付けられている。こうした実施形態において、コイルは第一、第二、および第三の部分だけから成ってもよい。
【0041】
エアロゾル発生装置は、インダクタコイルに電気的に接続可能な電源を備えてもよい。電源は、インダクタコイルに交流電流を提供するように構成されていることが好ましい。電源は、装置のハウジング内に配置されてもよい。電源はDC電源であってもよい。電源は電池であってもよい。電池は、リチウム系の電池、例えばリチウムコバルト電池、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池であってもよい。電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池であってもよい。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また数多くの充放電サイクルのために構成されてもよい。電源は、一回以上のユーザー体験のための十分なエネルギーの貯蔵を可能にする容量を有してもよく、例えば電源は従来の紙巻たばこ一本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約六分間、または六分間の倍数の期間の間、エアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または霧化組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0042】
エアロゾル発生装置は、電源からインダクタコイルへの電力の供給を制御するように構成された制御回路を備えてもよい。制御回路はマイクロコントローラーを備えてもよい。マイクロコントローラーはプログラム可能なマイクロコントローラーであることが好ましい。制御回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。制御回路はインダクタコイルへの電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、インダクタコイルに連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、毎回の吸煙ごとに)供給されてもよい。
【0043】
エアロゾル発生システムは、電力を制御回路に供給するように配設された第一の電源、および電力をインダクタコイルに供給するように構成された第二の電源を備えてもよい。
【0044】
一部の好ましい実施形態において、エアロゾル発生装置は、チャンバー内に配置されたサセプタを備える。サセプタは細長いことが好ましい。サセプタは、チャンバーの壁に固定されている第一の端と、チャンバーの中に延びる第二の端とを有することが好ましい。サセプタはチャンバー内で中央に位置していることが好ましい。サセプタはインダクタコイルによって包囲されていることが好ましい。サセプタはインダクタコイルと長軸方向に整列されていることが好ましい。サセプタの第二の端は、とがっていることが好ましい。
【0045】
好ましい実施形態において、インダクタコイルの磁気軸は、チャンバーの長軸方向軸と実質的に平行である。インダクタコイルの磁気軸は、コイルの長軸方向軸と同一であってもよい。これは、よりコンパクトな配設を容易にするために役立つ場合がある。サセプタの少なくとも一部分は、インダクタコイルの磁気軸と実質的に平行であることが好ましい。これは、インダクタコイルによるサセプタの均一な加熱をさらに容易にするために役立つ場合がある。特に好ましい実施形態において、サセプタは、インダクタコイルの磁気軸、およびチャンバーの長軸方向軸と実質的に平行である。
【0046】
本明細書で使用される「サセプタ」は、変化する磁界に供された時に加熱する要素(導電性要素など)を意味する。これはサセプタ素子に誘起された渦電流および/またはヒステリシス損失の結果である場合がある。
【0047】
サセプタ素子のための材料および幾何学的形状は、所望の電気抵抗および発熱を提供するように選ぶことができる。
【0048】
サセプタ素子のための可能性がある材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウム、およびほとんどの任意の他の導電性元素が挙げられる。サセプタ素子は、鉄製の素子であってもよい。サセプタ素子は、フェライト素子であってもよい。サセプタ素子は、ステンレス鋼素子であってもよい。サセプタ素子は、フェライト系ステンレス鋼素子であってもよい。適切なサセプタ材料は、410、420、および430ステンレス鋼を含む。有利なことに、ニコチン供与源または酸供与源の担体材料と接触して、いずれかのチャンバー内にフェライト系ステンレス鋼を含むサセプタ素子を配設することは、サセプタ素子からシステムによって発生したエアロゾルの中へのサセプタ材料の移動をもたらさないことが見いだされた。
【0049】
サセプタ素子は化学的に不活性である外表面を備えてもよい。化学的に不活性とは、本明細書において、サセプタ素子によってその温度に加熱された時に、ニコチン供与源のニコチンおよび酸供与源の酸のうちの少なくとも一つに関して意味することが理解される。サセプタ素子は、ニコチン供与源のニコチンに対して化学的に不活性である外表面を備えてもよい。サセプタ素子は、酸供与源の酸に対して化学的に不活性である外表面を備えてもよい。
【0050】
サセプタ素子は化学的に不活性である導電性サセプタ材料を含んでもよい。言い換えれば、化学的に不活性である表面は、サセプタ材料自体の化学的に不活性な外表面であってもよい。
【0051】
化学的に不活性な外表面は、保護外部層であってもよい。導電性サセプタ材料が化学的に不活性でない実施形態において、サセプタ素子は、サセプタ素子を覆う、または囲む保護外層(例えば、保護セラミック層または保護ガラス層)を有してもよい。サセプタ素子は、サセプタ材料のコアの外側に形成された、ガラス、セラミック、または不活性金属によって形成された保護被覆を備えてもよい。有利なことに、サセプタ素子に、化学的に不活性な外表面を提供することは、サセプタ素子とニコチン供与源のニコチンおよび酸供与源の酸との間に望ましくない化学反応が生じることを抑止または防止する場合がある。保護外層または被覆材料は、サセプタ材料が加熱された時の高温度に耐えうる。
【0052】
サセプタ素子の材料は、そのキュリー温度を理由に選ばれてもよい。材料はそのキュリー温度を上回ると、もはや強磁性ではなくなり、そのためヒステリシス損失に起因する加熱はもはや生じない。サセプタ素子が単一の材料から作製されている場合、キュリー温度はサセプタ素子が有するべき最高温度に対応する場合がある(すなわち、キュリー温度はサセプタ素子が加熱されるべき最高温度と同一であるか、またはこの最高温度から約1~3%だけ逸脱した温度である)。これは急激な過熱の可能性を低減する。
【0053】
サセプタ素子が二つ以上の材料から作製されている場合、サセプタ素子の材料をさらなる態様に関して最適化することができる。例えば、サセプタ素子が加熱されるべき最高温度を上回るキュリー温度をサセプタ素子の第一の材料が有してもよいように、材料を選択することができる。その後、サセプタ素子のこの第一の材料は、例えば最大発熱に関して最適化されてもよく、一方でサセプタの効率的な加熱を提供するためにエアロゾル形成基体への最大熱伝達に関して最適化されてもよい。しかしながら、サセプタ素子はその後、サセプタが加熱されるべき最高温度に対応するキュリー温度を有する第二の材料を追加的に備えてもよく、またサセプタ素子がこのキュリー温度に達すると、サセプタ素子全体の磁性は変化する。この変化を検出し、かつマイクロコントローラーに通信することができ、次いで、温度が再びキュリー温度よりも低い温度まで冷めるまでAC電力の発生が中断され、冷めるとすぐにAC電力の発生を再開することができる。
【0054】
サセプタ素子の少なくとも一部分は流体透過性であってもよい。本明細書で使用される「流体透過性」素子は、液体または気体がこれを通して透過することを可能にする素子を意味する。サセプタ素子は、流体がサセプタ素子を通して浸透することを可能するために、サセプタ素子に形成された複数の開口を有してもよい。特に、サセプタ素子は、原料物質が、気相または気相と液相の両方で、サセプタ素子を通して浸透することを可能にする。
【0055】
エアロゾル発生装置の一部としてサセプタを提供する代わりに、またはそれに加えて、装置は、サセプタを包含するカートリッジなどの物品を受容するように構成されてもよい。従って、本発明の第三の態様によると、本発明の第一の態様または第二の態様によるエアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置のチャンバー内に受容されるように構成されたカートリッジであって、少なくとも一つのサセプタおよび少なくとも一つのエアロゾル形成基体を備えるカートリッジとが提供されている。
【0056】
一部の好ましい実施形態において、カートリッジは、ニコチン供与源を包含する第一の区画と、酸供与源を包含する第二の区画と、ニコチン供与源からのニコチンおよび酸供与源からの酸を気流と混合してエアロゾルを形成するための混合チャンバーとを備える。少なくとも一つのサセプタは、混合チャンバーを加熱するように構成されていることが好ましい。少なくとも一つのサセプタは、第一の区画と第二の区画を加熱するように構成されていることが好ましい。
【0057】
一部の好ましい実施形態において、カートリッジがチャンバー内に配置されている時に、少なくとも一つのサセプタはチャンバーの長軸方向軸に沿って延び、かつインダクタコイルの第一の部分によって包囲された第一の部分、インダクタコイルの第二の部分によって包囲された第二の部分、およびインダクタコイルの第三の部分によって包囲された第三の部分を備える。
【0058】
一部の好ましい実施形態において、カートリッジ内の各サセプタは、インダクタコイルの長さと実質的に等しい長さを有する。
【0059】
本発明に関連して本明細書で使用される「空気吸込み口」という用語は、空気が通ってカートリッジまたはエアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の中に引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0060】
本発明に関連して本明細書で使用される「空気出口」という用語は、空気が通ってカートリッジまたはエアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分から外に引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0061】
本発明に関連して本明細書で使用される「近位」「遠位」「上流」および「下流」という用語は、カートリッジおよびエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。
【0062】
本発明に関連して本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの近位端と反対側の遠位端との間の方向を記述するために使用され、また「横断方向」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を記述するために使用される。
【0063】
本発明に関連して本明細書で使用される「長さ」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの近位端と反対側の遠位端との間の長軸方向軸に平行である、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の最大長軸方向寸法を記述するために使用される。
【0064】
本発明に関連して本明細書で使用される「高さ」および「幅」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの長軸方向軸と直角を成す、カートリッジまたはエアロゾル発生システムもしくはエアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の最大横断寸法を記述するために使用される。カートリッジまたはエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の高さと幅が同一ではない場合、「幅」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの長軸方向軸に対して直角を成す二つの横断寸法のうちのより大きい方を指すために使用される。
【0065】
本発明に関連して本明細書で使用される「細長い」という用語は、その幅および高さより大きい長さを有する構成要素または構成要素の部分を記述するために使用される。
【0066】
本発明に関連して本明細書で使用される「ニコチン」という用語は、ニコチン、ニコチン塩基、またはニコチン塩を記述するために使用される。第一の担体材料がニコチン塩基またはニコチン塩で含浸されている実施形態において、本明細書に列挙したニコチンの量は、それぞれニコチン塩基の量またはイオン化されたニコチンの量である。
【0067】
本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にする任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。
【0068】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、システムの使用中に空気がシステムを通して引き出される方向に対して、ヒーター組立品、カートリッジ、またはエアロゾル発生システムの要素または要素の部分の相対位置を記述するために使用される。
【0069】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、ヒーター組立品、カートリッジ、またはエアロゾル発生システムの上流端と下流端の間の方向を記述するために使用され、「横断方向」という用語は、長軸方向と直交する方向を記述するために使用される。ヒーター組立品に関しては、「横断方向」という用語は、多孔性シート(複数可)の平面に平行な方向を指し、一方で「直交」という用語は、多孔性シート(複数可)の平面に直交する方向を指す。
【0070】
エアロゾル発生システムは、ユーザーがマウスピースを吸って口側端の開口を通してエアロゾルを引き出すことを可能にするように構成された手持ち式エアロゾル発生システムであってもよい。エアロゾル発生システムは従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを有してもよい。エアロゾル発生システムは約30mm~約150mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生システムは約5mm~約30mmの外径を有してもよい。
【0071】
本発明の一態様の特徴は、本発明のその他の態様にも適用されてもよい。
【0072】
ここで本発明の実施形態を、添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図であって、組み立てられていない状態のシステムを示す。
【
図2】
図2は、
図1のシステムの概略図であって、組み立てられた状態のシステムを示す。
【
図3】
図3は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システムの概略図であって、組み立てられていない状態のシステムを示す。
【
図4】
図4は、
図3のシステムの概略図であって、組み立てられた状態のシステムを示す。
【
図5】
図5は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生システム10の概略図であって、組み立てられていない状態のシステム10を示す。システムは、エアロゾル発生装置20と、エアロゾル発生物品100とを備える。エアロゾル発生物品20は四つの要素を備える。要素とは、エアロゾル発生基体22、中空の管状支持要素24、エアロゾル冷却要素26、およびフィルターセグメント28である。四つの要素は連続的に、かつ同軸の整列で配設されていて、かつ紙巻たばこ用紙(図示せず)によって組み立てられていて、ロッドを形成する。ロッドは、フィルターセグメント28によって画定された、ユーザーが使用中に自分の口の中に挿入する口側端と、エアロゾル発生基体22によって画定された、口側端に対してロッドの反対側の端に位置する遠位端とを有する。口側端と遠位端の間に位置する要素は、口側端の上流にあると説明することができ、または別の方法として遠位端8の下流にあると説明することができる。
【0075】
エアロゾル発生装置はハウジング120を備える。空洞110は、ハウジング120の一方の端にある開口から空洞の基部114に延びる。空洞は、エアロゾル発生物品20の少なくとも一部分を受容するためのチャンバー111を画定する。チャンバー111の第一の端はハウジング120の開口に位置し、かつチャンバー111の第二の端は空洞の基部114に位置する。空洞は、装置100のハウジング120の内表面112によって画定されている。
【0076】
空洞内にはサセプタ130がある。サセプタは空洞の基部114に固定されていて、かつ空洞の基部114から空洞110の開口に向かって延びる。空洞は、空洞110の基部114からハウジング120の開口に延びる長軸方向軸を有する。
【0077】
ハウジングは、ハウジング120の外表面の開口によって形成されている少なくとも一つの装置空気吸込み口122を含む。少なくとも一つの装置気流チャネル123は、ハウジング120内で少なくとも一つの装置空気吸込み口122から空洞110の基部114に位置する少なくとも一つの装置空気出口124に延びる。
【0078】
インダクタコイル140は、ハウジング120内に提供されている。コイル140は、チャンバー111の周りに配置されていて、チャンバー111の長さの少なくとも一部分に沿って延びる。コイルは、チャンバー111の第一の端の最も近くに配置された第一の部分142と、チャンバー111の第二の端の最も近くに配置された第二の部分142と、コイル140の第一の部分と第二の部分の間に配置された第三の部分143とから成る。
【0079】
図1によって図示されている通り、コイルの第三の部分143における単位長さ当たりの巻数は、コイルの第一の部分141および第二の部分142の各々における単位長さ当たりの巻数よりも少ない。特に、インダクタコイル140における単位長さ当たりの巻数は、コイルの第一の部分141によって画定されたコイル140の第一の端から、コイルの第三の部分143によって画定されたコイル140の中央点に徐々に減少する。その上、インダクタコイル140における単位長さ当たりの巻数は、コイルの第二の部分142によって画定されたコイル140の第二の端から、コイルの第三の部分143によって画定されたコイル140の中央点に徐々に減少する。これも
図1に示す通り、コイルの第一の部分141における単位長さ当たりの巻数は、コイルの第二の部分142における単位長さ当たりの巻数と実質的に等しい。
【0080】
装置100はさらに、コイル140に連結された制御回路150を含む。制御回路140は、装置100内の電源160からインダクタコイル140に交流電流を提供するように構成されていて、これによって、使用時にインダクタコイル140は交番磁界を発生してサセプタ130を加熱する。
【0081】
図2は、組み立てられた状態の
図1のシステム10を示す。この状態において、物品20はハウジングにある開口を通して挿入されていて、これによって少なくともエアロゾル形成基体22はチャンバー111内に位置している。フィルターセグメント28は、ハウジング120の外側に配置されていて、これによってユーザーにとってアクセス可能である。サセプタ130は基体22を貫通していて、基体22によって包囲されている。従って、交流電流がインダクタコイル140に提供される時に、サセプタは誘導加熱され、基体22の加熱を引き起こす。次に、ユーザーは物品20の口側端を吸うことができ、空気が装置の空気吸込み口122を通って、その後加熱された基体22を通って装置の中に流れるようにすることができる。加熱された基体22によって放出されたエアロゾルは次に、物品20の口側端に向かって搬送されることができる。
【0082】
図3は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生システム310の概略図であって、組み立てられていない状態のシステム310を示す。システム310は、エアロゾル発生装置300と、エアロゾル発生装置300で使用するカートリッジ200とを備える。
【0083】
第二の実施形態の装置300は、第一の実施形態の装置100と類似していて、適用可能な場合に、同様のアイテムを示すために同様の参照符号が使用される。しかしながら、
図3の実施形態において、サセプタはもはや装置300の一部として提供されていない。その代わりに、サセプタ330はカートリッジ200の一部として提供されている。特に、カートリッジ200はハウジング220を備え、またサセプタはカートリッジハウジング220内に提供されている。ハウジング200は、その上流端にて複数の空気吸込み口222を形成する複数の開口と、その下流端にて別の開口223とを有し、それらの間に延びるカートリッジ気流経路を有する。
【0084】
カートリッジ200は、ニコチン供与源213を包含する第一の区画211、および酸供与源214を包含する第二の区画212を備え、その各々はそれぞれの空気吸込み口222の下流に位置する。混合チャンバー210も、第一の区画211および第二の区画212の下流に含まれている。
【0085】
図4に示す第二の実施形態の組み立てられた状態から最もよく理解される通り、カートリッジが装置300のチャンバー111の中に挿入されている時に、サセプタ330はインダクタコイル140によって包囲された領域内に位置する。特に、サセプタ330の中央部分は、インダクタコイル140の第三の部分143によって包囲された領域内に位置し、一方でサセプタの第一の端および第二の端は、インダクタコイル140の第一の部分141および第二の部分142によってそれぞれ包囲された領域内に位置する。
【0086】
使用時に、交流電流が電源160からコイル140に提供され、これによってインダクタコイル140は交番磁界を発生してサセプタ130を加熱する。加熱されたサセプタ130は、ベイパーをニコチン供与源213から放出させ、エアロゾルを酸供与源214から放出させる。ユーザーがカートリッジの口側端を吸うと、これらのエアロゾルは下流に、そして混合チャンバー210の中に引き出され、ここでエアロゾルらは混合され、かつ反応してニコチン含有エアロゾルを形成し、次いでニコチン含有エアロゾルは下流に進みユーザーに移動する。チャンバー内で混合するにつれて
【0087】
図5は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生装置500の概略図を示す。
図5の装置500は、第一の実施形態および第二の実施形態の装置100、300と類似していて、また適用可能な場合に、同様のアイテムを示すために同様の参照符号が使用される。しかしながら、
図5の実施形態において、インダクタコイル540はもはや異なる構成を有する。特に、コイル540はもはや、コイルの第三の部分543におけるコイルの断面積が、コイルの第一の部分541およびコイルの第二の部分542の各々におけるコイルの断面積よりも大きいように、構成されている。特に、コイルの断面積は、コイルの第一の部分541によって画定されたコイル540の第一の端から、コイルの第三の部分543によって画定されたコイル540の中央点に徐々に増大する。その上、コイル540の断面積は、コイルの第二の部分542によって画定されたコイル540の第二の端から、コイルの第三の部分543によって画定されたコイル540の中央点に徐々に増大する。これも
図5に示す通り、コイルの第一の部分541におけるコイルの断面積は、コイルの第二の部分542におけるコイルの断面積に実質的に対応する。