(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ポリエステル樹脂成形体の製造方法、並びにマスターバッチおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 67/02 20060101AFI20240711BHJP
C08J 3/22 20060101ALI20240711BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C08L67/02
C08J3/22 CFD
C08L63/00 A
(21)【出願番号】P 2023131663
(22)【出願日】2023-08-10
【審査請求日】2023-12-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【氏名又は名称】秦 恵子
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 智哉
(72)【発明者】
【氏名】根来 宏明
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-045477(JP,A)
【文献】国際公開第2022/108854(WO,A1)
【文献】特開2006-124451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/02
C08J 3/22
C08L 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂(A)の鎖延長用のマスターバッチであって、
平均2個以上のエポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)中に、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)が
、樹脂(B)の流動開始温度以上、ポリエステル樹脂(C)の流動開始温度未満で混練することにより分散されて
なり、
前記マスターバッチの断面において、樹脂(B)が連続相を、ポリエステル樹脂(C)が分散相を形成してなり、前記マスターバッチの断面2mm×2mmの領域を光学顕微鏡で観察したときに、前記分散相の画像解析によるポリエステル樹脂(C)の平均粒径が10~1000μmである、鎖延長用のマスターバッチ。
【請求項2】
前記マスターバッチ100質量%中の樹脂(B)の含有率が40~95質量%である請求項1に記載の鎖延長用のマスターバッチ。
【請求項3】
ポリエステル樹脂(C)は、テレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体および/又はイソフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体に由来する構造単位を含み、多価アルコールに由来する構造単位100モル%に対して、炭素数2~4の直鎖グリコールおよび/又はそれら2分子の脱水縮合体に由来する構造単位を50モル%以上含む樹脂である請求項1記載の鎖延長用のマスターバッチ。
【請求項4】
樹脂(B)の配合前のエポキシ価が0.7~3.5mmol/gである請求項1記載の鎖延長用のマスターバッチ。
【請求項5】
樹脂(B)の重量平均分子量が5,000~200,000である請求項1記載の鎖延長用のマスターバッチ。
【請求項6】
ポリエステル樹脂(A)の鎖延長用のマスターバッチの製造方法であって、
平均2個以上のエポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)と、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)を、ポリエステル樹脂(C)の流動開始温度未満、樹脂(B)の流動開始温度以上で混合し、
粉砕されたポリエステル樹脂(C)を樹脂(B)中に分散せしめる
工程を有し、
前記マスターバッチの断面において、樹脂(B)が連続相を、ポリエステル樹脂(C)が分散相を形成してなり、前記マスターバッチの断面2mm×2mmの領域を光学顕微鏡で観察したときに、前記分散相の画像解析によるポリエステル樹脂(C)の平均粒径が10~1000μmである、鎖延長用のマスターバッチの製造方法。
【請求項7】
平均2個以上のエポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)中に、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)が分散するマスターバッチを得る工程と、
改質するためのポリエステル樹脂(A)に、少なくとも前記マスターバッチを添加して混合する混合工程と、
前記混合工程と同時、又は混合工程後に成形する成形工程とを含
み、
前記マスターバッチの断面において、樹脂(B)が連続相を、ポリエステル樹脂(C)が分散相を形成してなり、前記マスターバッチの断面2mm×2mmの領域を光学顕微鏡で観察したときに、前記分散相の画像解析によるポリエステル樹脂(C)の平均粒径が10~1000μmである、ポリエステル樹脂成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリエステル樹脂成形体の製造方法に関する。また、ポリエステル樹脂成形体の製造に使用するポリエステル樹脂用の鎖延長性を有するマスターバッチおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル樹脂は、耐熱性、強度などに優れるので、合成繊維、フィルム、ペットボトルをはじめ、機械部品、自動車部品、容器、電子材料など広範な分野で利用されている。市場では、再生ポリエステル樹脂を含め、より優れた物性のポリエステル樹脂が求められており、種々の提案がなされている。
一方で、プラスチックのゴミ問題対策が世界的に重要課題となっており、リサイクル技術の開発が求められている。リサイクル技術として、使用済みペットボトルを回収してフレーク状に砕き、これを原料にしてペットボトルから再生繊維などの別の製品にするカスケードリサイクルがある。また、使用済みペットボトルをケミカルリサイクルまたはメカニカルリサイクルにより原料をもどし、再度ペットボトル製品とする水平リサイクル(ボトルtoボトル)がある。
【0003】
ポリエステル樹脂は、リサイクルのための回収工程等の熱あるいは水分により分子量低下が生じる。これにより、再生ポリエステル樹脂は成形加工性が大幅に低下するため、再生ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)値の向上技術が必要となる。IV値を向上する方法として、改質対象のポリエステル樹脂に、カルボジイミド、エポキシ樹脂などの鎖延長剤を直接あるいはマスターバッチとして添加する方法が提案されている。
【0004】
特許文献1には、改質対象のポリエステル樹脂に、固相重合促進用のマスターバッチを添加してポリエステル樹脂成形体の製造方法が開示されている。このマスターバッチは、特定の構造単位を有するポリエステル樹脂(A)、およびリン系触媒、チタン系触媒およびアンチモン系触媒から選択される少なくとも1種を特定量含むエステル重縮合触媒(B)を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のようにマスターバッチ化することにより、改質対象とする再生ポリエステル樹脂への分配性を高めることができる。マスターバッチは、例えば鎖延長剤とポリエステル樹脂を溶融混練することにより製造するが、これらの成分が溶融混練中に空気中の水分と反応したり、成分同士が反応したりすることによってマスターバッチのIV向上機能が失活してしまう場合がある。この失活を低減させるには、流動開始温度が低いポリエステル樹脂を選定する方法が有効である。
【0007】
PETボトルは、リサイクルを繰り返し行うことが理想である。このため、改質対象樹脂と、マスターバッチに用いる鎖延長剤等を分散する分散樹脂を同一種類にすることが望ましい。例えば、ペットボトルのリサイクルには、マスターバッチの鎖延長剤等を分散する分散樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いることが望ましい。しかし、PET樹脂は流動開始温度が高いためマスターバッチの製造工程において溶融混練してマスターバッチを製造する際に、鎖延長性が失活しやすいという問題がある。このため、例えば、再生PET樹脂を改質するマスターバッチであっても、マスターバッチの樹脂としてPET樹脂ではなく、流動開始温度が比較的低い樹脂が選定されているのが実情である。
【0008】
なお、上記においてはPET樹脂をリサイクルする場合の課題について述べたが、物性を改善したいポリエステル樹脂全般に対しても同様の課題が生じ得る。
【0009】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、PET樹脂などの流動開始温度が高い樹脂をマスターバッチの成分として用いても失活を低減でき、成形加工性の優れるポリエステル樹脂成形体の製造方法、および前記製造方法に用いるポリエステル樹脂の鎖延長用のマスターバッチおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本開示の課題を解決し得ることを見出し、本開示を完成するに至った。
[1]: ポリエステル樹脂(A)の鎖延長用のマスターバッチであって、
エポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)中に、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)が分散されている鎖延長用のマスターバッチ。
[2]: 前記マスターバッチの断面において、樹脂(B)が連続相を、ポリエステル樹脂(C)が分散相を形成してなる[1]に記載の鎖延長用のマスターバッチ。
[3]: 前記マスターバッチの断面2mm×2mmの領域を光学顕微鏡で観察したときに、前記分散相の画像解析によるポリエステル樹脂(C)の平均粒径が10~1000μmである[2]に記載の鎖延長用のマスターバッチ。
[4]: 前記マスターバッチ100質量%中の樹脂(B)の含有率が40~95質量%である[1]~[3]のいずれかに記載の鎖延長用のマスターバッチ。
[5]: ポリエステル樹脂(C)は、テレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体および/又はイソフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体に由来する構造単位を含み、且つ多価アルコールに由来する構造単位100モル%に対して、炭素数2~4の直鎖グリコールおよび/又はそれら2分子の脱水縮合体に由来する構造単位を50モル%以上含む樹脂である[1]~[4]のいずれかに記載の鎖延長用のマスターバッチ
[6]: 樹脂(B)の配合前のエポキシ価が0.7~3.5mmol/gである[1]~[5]のいずれかの鎖延長用のマスターバッチ。
[7]: 樹脂(B)の重量平均分子量が5,000~200,000である[1]~[6]のいずれかに記載の鎖延長用のマスターバッチ。
[8]: ポリエステル樹脂(A)の鎖延長用のマスターバッチの製造方法であって、
エポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)と、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)を、ポリエステル樹脂(C)の流動開始温度未満、樹脂(B)の流動開始温度以上で混合し、
粉砕されたポリエステル樹脂(C)を樹脂(B)中に分散せしめる鎖延長用のマスターバッチの製造方法。
[9]: エポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)中に、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)が分散するマスターバッチを得る工程と、
改質するためのポリエステル樹脂(A)に、少なくとも前記マスターバッチを添加して混合する混合工程と、
前記混合工程と同時、又は混合工程後に成形する成形工程とを含むポリエステル樹脂成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、PET樹脂などの流動開始温度が高い樹脂をマスターバッチの成分として用いても失活を低減でき、成形加工性の優れるポリエステル樹脂成形体の製造方法、および前記製造方法に用いるポリエステル樹脂の鎖延長用のマスターバッチおよびその製造方法を提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1のマスターバッチの切断部断面図の光学顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示を適用した実施形態の一例について説明する。但し、本開示は、本実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本開示の範疇に属し得る。また、本明細書で特定する数値「A~B」は、数値Aと数値Aより大きい値および数値Bと数値Bより小さい値を満たす範囲をいう。なお、本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。また、本明細書におけるシートは、フィルム、板状と同義である。本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
【0014】
1.ポリエステル樹脂成形体
本実施形態に係るポリエステル樹脂成形体(以下、本成形体ともいう)は、改質対象のポリエステル樹脂(A)に、少なくとも後述する鎖延長用のマスターバッチ(以下、本マスターバッチともいう)を添加して溶融混練して成形したものである。主成分であるポリエステル樹脂(A)に、本マスターバッチを規定の倍率で混合して、ポリエステル樹脂(A)を鎖延長して改質する。なお、本成形体は、用途に応じて成形した任意の成形物であり、フィルム、シート、板状、網状体、ボトル等の容器、筒状体、フィラメントなどの糸状体、不織布、織布などの繊維が例示できる。成形体の表面は平滑であっても凹凸や複雑な形状を有していてもよい。
以下、各成分について詳述する。
【0015】
1-1.ポリエステル樹脂(A)
ポリエステル樹脂(A)は、本成形体の主成分となる樹脂であり、改質する樹脂である。ポリエステル樹脂(A)は一種単独でも二種以上を混合して用いてもよい。ポリエステル樹脂(A)は非晶性であっても結晶性であってもよい。また、ポリエステル樹脂(A)は直鎖状でも分岐状でもよい。本明細書において主成分とは、成形体の不揮発分100質量%中、80質量%以上の成分をいう。主成分は90質量%以上であることが好ましい。ポリエステル樹脂(A)は、典型的には、ジオールおよびジカルボン酸に由来するポリエステル樹脂、ジオールおよびヒドロキシカルボン酸に由来するポリエステル樹脂、ジオール、ジカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸に由来するポリエステル樹脂、あるいはこれらの混合物が例示できる。
【0016】
前記ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、芳香族ジオールが例示できる。
前記ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪酸ジカルボン酸;テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;或いは、これらのエステル形成性誘導体が例示できる。
前記ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトンが例示できる。
【0017】
ポリエステル樹脂(A)の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)が挙げられる。透明性に優れ、成形加工が容易なことからポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
【0018】
ポリエステル樹脂(A)はバージンポリエステル樹脂でも、リサイクルポリエステル樹脂でもよい。本マスターバッチを用いることによりポリエステル樹脂(A)を鎖伸長して高分子量化し、均質に溶融粘度を高めることができる。従って、特に、分子量が低下したリサイクルポリエステル樹脂に好適である。また、ポリエステル樹脂の種類を問わず、ニーズに応じたポリエステル樹脂の改質用途に好適である。より品質の高いポリエステル樹脂成形体を得る観点からは、ポリエステル樹脂(A)は直鎖状ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0019】
ポリエステル樹脂(A)の固有粘度(IV)は限定されないが、0.4dL/g以上であることが好ましく、0.5dl/g以上であることがより好ましい。好適な上限値は特にないが、溶融粘度を考慮した成形加工時の取り扱い性の観点からは1.5dl/g以下が好適である。なお、本明細書における固有粘度および溶融粘度は、後述する実施例により求められる値をいう。
【0020】
1-2.鎖延長用のマスターバッチ
本マスターバッチは、前述したように、ポリエステル樹脂(A)の鎖延長を促し、ポリエステル樹脂(A)を高分子量化する役割を担う鎖延長用のマスターバッチである。本マスターバッチは、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)(以下、ポリエステル樹脂(C)という)と、エポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)(以下、樹脂(B)ともいう)とを含有する。ここで「粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)」とは、微細な粉末に粉砕されたポリエステル樹脂である。本マスターバッチは、樹脂(B)中に、ポリエステル樹脂(C)が少なくとも分散されている。各成分は、それぞれ独立に1種単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0021】
なお、流動開始温度とは、フローテスターによる溶融粘度の評価において,9.8MPaの圧力下でポリエステル樹脂の溶融粘度が4800Pa・s以下になる最小温度をいい、後述する実施例の方法により求められる値をいう。また、本明細書におけるエポキシ価およびMw等は後述する実施例の方法により求められる値をいう。
【0022】
流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)と、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)とを組み合わせることにより、マスターバッチの製造時に、樹脂(B)の流動開始温度以上、ポリエステル樹脂(C)の流動開始温度未満での混練が可能となり、マスターバッチの段階での樹脂(B)のエポキシ基の失活を抑制しつつ、樹脂(B)とポリエステル樹脂(C)の均質分散性を高めることができる。樹脂(B)のエポキシ基と、マスターバッチ中のポリエステル樹脂(C)との反応を抑制できるので、改質対象であるポリエステル樹脂(A)との反応性を高めることができる。
【0023】
マスターバッチは、例えば、ペレット状、顆粒状とすることができる。固形状のマスターバッチの切断部断面において、樹脂(B)が連続相を、ポリエステル樹脂(C)が分散相を形成している態様が好ましい。換言すると、マスターバッチの断面において海島構造(樹脂(B)(海相)、ポリエステル樹脂(C)(島相))を形成している態様が好ましい。
【0024】
固形状のマスターバッチの切断部断面の2mm×2mmの領域を光学顕微鏡(倍率120倍)で観察したときに、ポリエステル樹脂(C)の分散相を画像解析して平均粒径を求めた。この粉砕されたポリエステル樹脂(C)の平均粒径が10~1000μmであるとマスターバッチの分配性、IV向上効果に優れる。より好ましくは20~500μmであり、更に好ましくは50~300μmである。
【0025】
本マスターバッチは、樹脂(B)およびポリエステル樹脂(C)以外の任意成分を含んでいてもよい。例えば、前記以外の樹脂、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤等が例示できる。
【0026】
1-2-1.樹脂(B)
樹脂(B)は、エポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂である。改質対象であるポリエステル樹脂(A)に、エポキシ基を有する樹脂(B)を有するマスターバッチを添加することにより、前記エポキシ基がポリエステル樹脂(A)のカルボキシ基および/又はヒドロキシ基と反応して鎖延長する。
【0027】
樹脂(B)のエポキシ基は平均2個以上であることが好ましい。2個以上とすることにより、改質対象であるポリエステル樹脂(A)の鎖延長を促し、溶融粘度を増加させ、成形加工性を高めることができる。IV値向上効果を高める観点からはエポキシ基は平均3個以上であることがより好ましく、平均4個以上であることが更に好ましい。エポキシ基が平均2個以上あることで、高分子量化を促進することができる。また、エポキシ基が平均4個以上あることで、ポリエステル樹脂(A)との反応点が増えるため、効果的に分子量低下を抑制できる。エポキシ基の上限値は、成形性を良好に保つ観点から平均50個であることが好ましい。
【0028】
樹脂(B)中のエポキシ基と、本マスターバッチの配合成分として用いられるポリエステル樹脂(C)およびポリエステル樹脂成形体の配合成分として用いられるポリエステル樹脂(A)のもつカルボキシ基および/又はヒドロキシ基とが反応してポリエステル樹脂が鎖伸長され、高分子量化する。
【0029】
樹脂(B)の配合前のエポキシ価は0.7~3.5mmol/gが好ましい。0.7mmol/g以上とすることで紡糸性が優れたものとなる。また、3.5mmol/g以下であることでフィルム平滑性が優れる。より好ましい範囲は0.8~3.4mmol/gであり、更に好ましい範囲は0.9~3.3mmol/gである。
【0030】
IV向上効果、成形性の観点から、樹脂(B)の配合前のエポキシ基数は1~50個が好ましい。
【0031】
樹脂(B)は、エポキシ基を有し、且つ流動開始温度が150℃以下であればよい。流動開始温度を150℃以下とすることにより、マスターバッチの段階でのポリエステル樹脂(C)と樹脂(B)の反応を抑制し、改質対象であるポリエステル樹脂(A)にマスターバッチを添加したときの鎖延長特性がより優れたものとなる。
【0032】
樹脂(B)の好適例として、アクリル系樹脂、(メタ)アクリレート系単量体とスチレン系単量体を含むモノマーの共重合体が例示できる。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、ランダム共重合体が好適である。具体例として、エポキシ基を有するアクリル酸エステル-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-グリシジルアクリレート系共重合体等が挙げられる。ポリエステル樹脂(A)との相溶性の観点からは、これらの中でもアクリル系樹脂、スチレン-グリシジルアクリレート系共重合体がより好ましい。各種モノマーは単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0033】
(メタ)アクリレート系単量体は、グリシジル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。これらのモノマーを含んでいればよく、炭素数が1~10のアルキル(メタ)アクリレート等、任意の単量体を用いることができる。好適な例としてメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレートが例示できる。これらの中でも特にメチル(メタ)アクリレートが好適である。グリシジル(メタ)アクリレートの単量体に由来する構成単位は、樹脂(B)100質量%中、3~40質量%含むことが好ましく5~35質量%含むことがより好ましく、10~30質量%含むことが更に好ましい。3~40質量%含むことにより、紡糸性およびフィルムの平滑性をより効果的に高めることができる。
【0034】
スチレン系単量体は、スチレンの他、炭素数が1~6のアルキル基、炭素数が1~6のアルコキシ基およびハロゲンからなる群より選ばれた1以上の基で置換されていてもよいスチレンが例示できる。例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレン等のスチレン誘導体が例示できる。
【0035】
スチレン-グリシジルアクリレート系共重合体の好適例として、スチレン/メチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン/ブチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン/ブタジエン/グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン/イソプレン/グリシジルメタクリレート共重合体が例示できる。
【0036】
スチレン-グリシジルアクリレート系共重合体の場合、スチレン系単量体に由来する構造単位は60~75質量%、アクリル系単量体に由来する構造単位が25~40質量%であり、エポキシ価が前記範囲にある樹脂(B)が好ましい。スチレン系単量体に由来する構造単位を前記範囲とすることにより、ポリエステル樹脂(C)との相溶性を高めることができる。また、アクリレート系単量体に由来する構造単位を前記範囲とすることにより、ポリエステル樹脂(C)の鎖延長反応をより適切に制御しやすくなる。アクリル系単量体中のグリシジル(メタ)アクリレートの含有率は前記エポキシ価を満たしていればよく特に限定されないが、アクリレート系単量体に由来する構造単位100質量%に対して、グリシジル(メタ)アクリレートは例えば1~100質量%用いられる。
【0037】
黄変をより効果的に防止する観点からは、樹脂(B)はカルボジイミド基を含まないことが好ましく、窒素原子を含まない樹脂であることが更に好ましい。
【0038】
樹脂(B)の流動開始温度の上限は140℃がより好ましく、130℃が更に好ましい。また、樹脂(B)の流動開始温度の下限は、マスターバッチの取り扱い性の観点から50℃が好ましく、55℃が更に好ましい。
【0039】
樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、本成形体の用途により適宜選定する。粉砕されたポリエステル樹脂(C)を速やかに分散させ、耐熱性を優れたものとする観点から樹脂(B)のMwは5,000~200,000が好ましく、5,500~180,000がより好ましく、6,000~150,000が更に好ましい。
【0040】
樹脂(B)のマスターバッチ(不揮発分)に対する含有率は、樹脂(B)中にポリエステル樹脂(C)が分散していればよく、目的とする成形体のニーズに応じて、また、改質対象のポリエステル樹脂(A)の特性により適宜調整できる。鎖延長性を優れたものとし、改質対象のポリエステル樹脂(A)への均質性を高めつつ、マスターバッチ生産時の加工性を優れたものとする観点からは、マスターバッチ(不揮発分)100質量%中の樹脂(B)の含有率は、40~95質量%が好適である。より好ましくは43~90質量%、更に好ましくは45~85質量%である。
【0041】
マスターバッチ製造時には、樹脂(B)にポリエステル樹脂(C)を均質的に混合するために、樹脂(B)の流動開始温度以上で混練する。流動開始温度が150℃以下である樹脂(B)を用いることにより、マスターバッチ製造時の混練温度を低く設定することができ、樹脂(B)のエポキシ基がマスターバッチ製造時にポリエステル樹脂(C)との反応による失活を大幅に低減できる。
【0042】
マスターバッチにおいて、樹脂(B)とポリエステル樹脂(C)を溶融混練する場合、これらの流動開始温度の差を、例えば150℃未満とするなどの制約があった。一方、本開示のマスターバッチによれば、樹脂(B)中の粉砕されたポリエステル樹脂(C)を分散させるので、マスターバッチの製造に際してポリエステル樹脂(C)の流動開始温度を考慮不要であるというメリットがある。このため、ポリエステル樹脂(C)の選択肢を格段に高めることができる。
【0043】
従来、ポリエステル樹脂製品は、単軸成形や二軸成形をはじめとする各種成形法により成形加工される。しかし、例えば、ポリエステル樹脂を二軸成形すると、せん断力によってポリエステル樹脂の加水分解が起こりやすい。鎖延長剤を加えたリサイクルポリエステル樹脂の成形加工においても、鎖延長反応と同時にせん断によるポリエステル樹脂の加水分解が起こり、成形加工できない、或いは成形加工できても品質の高いポリエステル樹脂成形体が得られないという課題がある。
【0044】
鎖延長剤とポリエステル樹脂を溶融混練したマスターバッチを得るためには、マスターバッチの鎖延長性の失活を防ぐために流動開始温度が高いポリエステル樹脂(C)の選定が困難であった。一方、本開示のマスターバッチによれば、粉砕されたポリエステル樹脂(C)を樹脂(B)中に分散させたマスターバッチを用いるので、マスターバッチの段階での樹脂(B)とポリエステル樹脂(C)の反応を抑制し、その結果、樹脂(B)の鎖延長性の失活を格段に防止できる。その結果、改質されるポリエステル樹脂(A)に適したポリエステル樹脂(C)を選定できる。例えば、流動開始温度が高いPET樹脂をポリエステル樹脂(C)として選定できるので、リサイクル回数が増えるにつれてPET樹脂の比率が低減してしまうという問題を改善できる。その結果、ペットボトルのリサイクル率を高められる。つまり、本開示のマスターバッチによれば、ポリエステル樹脂(A)と同一種類の樹脂を選定するなど、ポリエステル樹脂(C)の選択肢を格段に高めることができる。ポリエステル樹脂(A)と相溶性の高いポリエステル樹脂(C)を選定できるので、ポリエステル樹脂(A)の鎖延長を均質的に達成することが可能となる。更に、樹脂(B)を高濃度で配合できるので鎖延長性を高められるという利点を有する。これらの結果、単軸成形、二軸成形をはじめとする各種成形方法によらずに、黄変や白濁が抑制された、成形加工性に優れ、汎用加工法により優れた品質のポリエステル樹脂成形体が得られる。
【0045】
樹脂(B)の溶解度パラメータ(SP値)は9~11であることが好ましく、9.5~10.5であることが更に好ましい。SP値を9~11とすることによりポリエステル樹脂(C)との相溶性をより良化させることができる。なお、本開示のSP値は、後述する実施例に記載の方法により求めた値である。
【0046】
1-2-2.ポリエステル樹脂(C)
ポリエステル樹脂(C)は粉砕された粒子を用いる。マスターバッチにおいて、樹脂(B)中に粉砕されたポリエステル樹脂(C)が分散せしめられている。粉砕されたポリエステル樹脂(C)の粒子は、平均粒径は10~1000μmが好ましい。より好ましくは20~500μmであり、更に好ましくは30~300μmである。10~1000μmとすることにより、樹脂(B)との反応を抑制してゲル化するのを防止しつつ、マスターバッチ製造時の分散性(加工性)を高めることができる。
【0047】
ポリエステル樹脂(C)は、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂である。好適なポリエステル樹脂(C)として、飽和ジカルボン酸と飽和二価アルコールとからなる熱可塑性樹脂が使用できる。飽和ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン-1,4-又は2,6-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸類、ジフェノキシエタンジエタンジカルボン酸類等の芳香族ジカルボン酸類、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、デカン-1.10-ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等を使用できる。
【0048】
また、飽和二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール類、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、2,2-ビス(4’-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、その他の芳香族ジオール類等を使用することができる。
【0049】
多価アルコール100モル%中、炭素数2~4の直鎖グリコールおよび/又はそれら2分子の脱水縮合体に由来する構造単位を50モル%以上含み、且つ且つテレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体および/又はイソフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体に由来する構造単位を含む樹脂を用いることが好ましい。エチレングリコールを100モル%用いてもよい。エチレングリコールを50モル%以上用いることにより、改質対象であるポリエステル樹脂(A)と本マスターバッチを混合したときの相溶性を高め、フィルム表面の平滑性を高められる。
【0050】
好ましいポリエステル樹脂(C)は、PET、PET-G、I-PET、PBTおよびPCTが例示できる。
【0051】
ポリエステル樹脂(C)の流動開始温度の上限は特に限定されない。改質対象のポリエステル樹脂(A)とマスターバッチのポリエステル樹脂(C)の流動開始温度の差が±60℃の範囲であることが、耐熱性、マスターバッチの分配性の観点から好ましい。ポリエステル樹脂(C)のMwは、流動開始温度が前記範囲であればよく特に限定されない。
【0052】
本マスターバッチの不揮発分100質量%中のポリエステル樹脂(C)の含有率は、例えば、20~64.5質量%とすることができる。この範囲とすることにより、マスターバッチ生産時の加工性がより優れたものとなる。
【0053】
2.マスターバッチの製造方法
以下、本マスターバッチの製造方法の一例について説明するが、本マスターバッチの製造方法はこの方法に限定されるものではない。
【0054】
ポリエステル樹脂(C)を粉砕機において粉砕する。粉砕は、乾式粉砕、湿式粉砕等の公知の方法を利用できる。湿式粉砕としては、ビーズミル粉砕又はボールミル粉砕が例示できる。乾式粉砕としては、気流式粉砕、カッター式粉砕、又はそれらの組合せが例示できる。気流式粉砕としては、サイクロンミル等の気流粉砕機、ジェットミル等を用いた粉砕が挙げられる。サイクロンミルによる気流式粉砕は、回転翼の回転によって気流を発生させ、気流中に投入された樹脂を乾式で粉砕して微粒子を製造する。ジェットミルによる気流粉砕は、衝突板に対象物を衝突させて樹脂を乾式で粉砕して微粒子を製造する。カッター式粉砕としては、クラッシャーミル、ピンミル、カッターミル、ハンマーミル、軸流ミル等を用いた粉砕が挙げられる。3mm以上の粗大粒子および300nm以下の微細粒子は分級機等により分離して、粒度分布を調整することが好ましい。
【0055】
次いで、粉砕されたポリエステル樹脂(C)および樹脂(B)を量り取り、マスターバッチ製造装置に投入して、樹脂(B)中にポリエステル樹脂(C)を分散せしめる。マスターバッチ製造装置としては、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー・ルーダーが例示できる。
【0056】
混合工程は、均一な分散物が得られるように樹脂(B)の流動開始温度以上の温度で加熱する。温度は、例えば、樹脂(B)の流動開始温度に対し、+0~80℃の温度で混練する。加熱時間は例えば30秒~300秒である。圧力は例えば常圧とする。樹脂(B)の仕込み率は、ポリエステル樹脂(C)と樹脂(B)合計100質量%に対し、例えば40~95質量%混合させることができる。
【0057】
押出機中の組成物の平均温度は例えば100~170℃、混錬時間を30秒~10分とする方法が例示できる。このときの温度は、樹脂(B)とポリエステル樹脂(C)との反応を抑制する観点から、ポリエステル樹脂(C)の流動開始温度未満であることが好ましい。
【0058】
混練後、例えば、ダイスなどのマスターバッチ製造装置から押出し、冷却後に切断してペレット化したマスターバッチが得られる。ペレット化する他、混合物を粉砕し粉状としてもよい。
【0059】
3.ポリエステル樹脂成形体の製造方法
【0060】
ポリエステル樹脂(A)に対する鎖延長用のマスターバッチの添加量は特に限定されず、用途に応じて適宜設計できる。ポリエステル樹脂(C)100質量部に対して、鎖延長用のマスターバッチを例えば、0.1~10質量部添加できる。
【0061】
ポリエステル樹脂(A)に対するマスターバッチの相溶性、分配性の観点から、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(C)の流動性開始温度が近いことが好ましい。具体的には、両者の流動開始温度差が70℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましい。また、相溶性の観点からは、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(C)の構造が類似していることが好ましい。具体的には、共通する単量体由来の構造が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。相溶性および分配性の観点、並びにリサイクルを繰り返し行う観点からは、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(C)が同一種の樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂(A)としてPET樹脂のリサイクルを行う場合、ポリエステル樹脂(C)としてPET樹脂を用いることが好ましい。
【0062】
ポリエステル樹脂(A)と鎖延長用のマスターバッチのみの混合物からポリエステル樹脂成形体を得ることができる。また、ポリエステル樹脂(A)と鎖延長用のマスターバッチに加えて任意の成分を添加した混合物からポリエステル樹脂成形体を得てもよい。任意の添加剤としては、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、ポリエステル樹脂(A)と本マスターバッチの成分以外の樹脂、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤、紫外線吸収剤、充填剤、滑剤、触媒等が例示できる。
ポリエステル樹脂成形体の製造方法は、改質するためのポリエステル樹脂(A)に、少なくともポリエステル樹脂の鎖延長用のマスターバッチを添加して混合する混合工程と、この混合工程と同時または混合工程後に成形する成形工程とを含む。混合工程は、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(C)のうちの流動開始温度が高い方の樹脂の流動開始温度よりも0~30℃高い温度でマスターバッチが均質になるように混合する。溶融する温度で均質に混合することにより、ポリエステル樹脂(A)と樹脂(B)、並びにポリエステル樹脂(A)と樹脂(B)の反応が促進され、溶融粘度が上昇する。また、樹脂(B)がポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(C)と反応して、溶融粘度が上昇する。その結果、改質対象のポリエステル樹脂(A)が高分子量化し、溶融混練物の溶融粘度が上昇する。
【0063】
マスターバッチを添加して混合した後のポリエステル樹脂(A)の溶融粘度の上昇度合いは、加工前のポリエステル樹脂(A)の溶融粘度に対して5~40%が好ましく、7~30%がより好ましく、10~25%が更に好ましい。溶融粘度の上昇率が上記範囲にあることで成形性に影響なくポリエステル樹脂(A)の物性を向上させることができる。なお、本明細書におけるポリエステル樹脂(A)の溶融粘度はJIS K7199に従い280℃でせん断速度1.2×103sec-1にて測定した際の値である。
【0064】
ポリエステル樹脂(A)に、少なくともポリエステル樹脂(A)の鎖延長用のマスターバッチを添加して混合し、成形する成形工程を含む。成形工程は、単軸や二軸押出成形、射出成形、ブロー成形等が挙げられる。成形方法はポリエステル樹脂(A)と本マスターバッチのペレットを製造し、ペレットから成形体を得てもよいし、ポリエステル樹脂(A)とマスターバッチの混合物から直接、成形体を製造してもよい。
【0065】
前記混練工程は、ポリエステル樹脂(A)の流動開始温度以上であって、且つ本マスターバッチの樹脂(B)のエポキシ基とポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(A)の反応を進行させて溶融粘度を増加させる温度で溶融混練する工程を含む。
【実施例】
【0066】
以下、実施例に基づき本開示を更に詳しく説明するが、本開示は実施例に限定されるものではない。特に断りがない限り、実施例中、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0067】
(A)測定方法
a-1.重量平均分子量(Mw)
Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリメタクリル酸メチルを標準物質に用いた換算分子量として求めた。GPCは以下の条件で測定した。
・標準物質:ポリメタクリル酸メチル
・装置:ウォーターズ社製 LCシステム
・カラム:昭和電工株式会社製 HFIP-806M×2本
・移動相:トリフルオロ酢酸ナトリウム10mmol/L ヘキサフルオロイソプロパノール溶液
・流速:1.0ml/min
・検出:示差屈折率計
・カラム温度:30℃
【0068】
a-2.樹脂(B)のエポキシ価(EV)の測定
JIS K 7236に準拠し、樹脂(B)1gを測定溶媒(メチルエチルケトン(MEK):酢酸:テトラエチルアンモニウムブロマイド=100:100:14)50gに30分間撹拌後、自動滴定装置(商品名GT-100、三菱化学社製)を使用し、0.1mol/L過塩素酸-酢酸溶液を加えることにより、樹脂(B)1gあたりのエポキシ価[mmol/g]を測定した。求めた結果を表1に示す。
【0069】
a-3.マスターバッチ中の樹脂(B)のエポキシ価(EV)の測定
JIS K 7236に準拠し、マスターバッチの不揮発分1gを測定溶媒(メチルエチルケトン(MEK):酢酸:テトラエチルアンモニウムブロマイド=100:100:14)50gに30分間撹拌後、自動滴定装置(商品名GT-100、三菱化学社製)を使用し、0.1mol/L過塩素酸-酢酸溶液を加えることによりマスターバッチの不揮発分1gあたりの樹脂(B)のエポキシ価[mmol/g]を測定した。求めた結果を表2に示す。
【0070】
a-4.流動開始温度の測定
フローテスターを用いて、9.8MPaの圧力下でダイ穴径φ1mm、ダイ長さ1mmのキャピラリを通した時に、ポリエステル樹脂(A)および樹脂(B)それぞれの溶融粘度が4800Pa・s以下になる最小温度を測定した。流動開始温度は島津製作所社製「CFT-EXシリーズ」等を用いて測定することができる。
【0071】
a-5.固有粘度(IV)
溶媒にフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン=1/1、測定機に柴山科学器械製作所社製の自動粘度測定装置「SS-600-L2」を用いてJIS K7367-5に従い測定した。
【0072】
a-6.SP値
Fedorの方法により算出した。具体的には、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)の記載に準拠し、下記式(1)により算出した。
式(1):SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:それぞれの原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:それぞれの原子又は原子団のモル体積)
【0073】
a-7.ポリエステル樹脂(C)の平均粒径
ポリエステル樹脂(C)をプレパラートに乗せ、2mm×2mmの範囲を光学顕微鏡で観察し、当該範囲のポリエステル樹脂(C)の平均粒径を求めた。
【0074】
a-8.マスターバッチの切断部断面のポリエステル樹脂(C)の平均粒径
各マスターバッチの断面2mm×2mmの範囲を光学顕微鏡で観察し、当該範囲のポリエステル樹脂(C)の平均粒径を求めた。
【0075】
(B)原料等
実施例等に用いた原料を以下に示す。
b-1.ポリエステル樹脂(A)
改質対象のポリエステル樹脂(A)を表1に示す。
【0076】
【0077】
b-2.樹脂(B)
用いた樹脂(B)等の樹脂種、エポキシ価、1分子中のエポキシ基数、樹脂の単量体由来の構造単位の質量%、流動開始温度、SP値を表2に示す。表中のStはスチレン系単量体由来の構造単位を、Etはエチレン系単量体由来の構造単位を、MMAはメチルメタクリレート単量体由来の構造単位を、BMAはブチルメタクリレート由来の構造単位を、GMAはグリシジル(メタ)アクリレート系単量体由来の構造単位を示す。
【0078】
【0079】
<樹脂B―5:合成例3>
メチルエチルケトン44.9部を仕込み、窒素気流化で30分撹拌し、昇温した。別途、滴下ロートに、グリシジルメタクリレートを25部、芳香環含有単量体としてスチレンを70部、メチルメタクリレートを5部、チオール系連鎖移動剤としてチオグリコール酸2-エチルヘキシルを1.8部仕込み、滴下モノマー液とした。滴下モノマー液と2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)の10%メチルエチルケトン溶液18部を3時間かけて均一滴下し、還流下で重合反応を開始した。滴下終了後、還流を維持し5時間反応を継続した。その後、サンプリングを行い転化率が98%以上であることを確認し、冷却後、メチルエチルケトンで希釈し、不揮発分50%の樹脂溶液を製造した。
次に、1Lのビーカーにメタノール500部を仕込み、デイスパーを用いて1,000回転で撹拌したところに樹脂溶液を1時間かけて滴下した。その後直径150mmのブフナー漏斗で、定性濾紙(ADVANTEC社製、品名No.2)を用いて減圧吸引し、生成した白色沈殿物をろ過した。得られた白色沈殿物を真空乾燥機で50℃12時間乾燥し、樹脂B-5を製造した。
【0080】
<樹脂B―6:合成例4>
グリシジルメタクリレートを10部、芳香環含有単量体としてスチレンを85部、メチルメタクリレートを5部用いた以外は、合成例3と同様の製造方法により樹脂B-6を得た。
【0081】
<樹脂B―7:合成例5>
グリシジルメタクリレートを5部、芳香環含有単量体としてスチレンを90部、メチルメタクリレートを5部用いた以外は、合成例3と同様の製造方法により樹脂B-7を得た。
【0082】
<樹脂B―8:合成例6>
グリシジルメタクリレートを35部、芳香環含有単量体としてスチレンを60部、メチルメタクリレートを5部用いた以外は、合成例3と同様の製造方法により樹脂B-8を得た。
【0083】
<樹脂B―9:合成例7>
グリシジルメタクリレートを15部、芳香環含有単量体としてスチレンを80部、メチルメタクリレートを5部用いた以外は、合成例3と同様の製造方法により樹脂B-9を得た。
【0084】
<樹脂B―10:合成例8>
グリシジルメタクリレートを5部、スチレンを69部、ブチルメタクリレートを26部用いた以外は、合成例5と同様の方法により樹脂B-10を得た。
【0085】
b-2.ポリエステル樹脂(C)
用いたポリエステル樹脂(C)等の樹脂種、樹脂の単量体由来の構造単位の質量%、流動開始温度を示す。
【0086】
【0087】
<ポリエステル樹脂(C-6):合成例1>
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール51.8質量部、シクロヘキサンジメタノールグリコール12.1質量部、酢酸マグネシウム0.06質量部および三酸化アンチモン0.03質量部を、150℃、窒素雰囲気下で溶融した。その後、攪拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、その反応物に、リン酸0.019質量部とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.027質量部をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(PH5.0)を添加した。そして、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.54のポリエステル樹脂を得た。次いで、得られたポリエステル樹脂を160℃で5時間乾燥、結晶化させた。続いて、220℃、真空度0.3Torr、6時間の固相重合を行い、流動開始温度228℃のポリエステル樹脂(C-6)を得た。
【0088】
<ポリエステル樹脂(C’-8):合成例2>
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール55質量部、ネオペンチルグリコール16部、テトラブチルチタネート0.04部加え、170℃、窒素雰囲気化で溶融した。その後、270℃まで昇温後、系内をゆっくり減圧してゆき、60分かけて500Paとした。そしてさらに130Pa以下で55分間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(C’-8)を得た。ポリエステル樹脂(C’-8)の流動開始温度は140℃であった。
【0089】
(C)マスターバッチの製造
<実施例1:マスターバッチ1>
ポリエステル樹脂(C-1)を50部、樹脂(B-1)を50部量り取り、これを日本製鋼所社製の同方向回転2軸押出し機「TEX-54α3」(L/D=52.5、吐出量;350kg/hr、3ベント孔)に投入して130℃で混合した。そして、ベント孔から高真空下で吸引・脱気しながら押し出し、ペレタイザーでカットすることでマスターバッチ1を得た。
図1に、マスターバッチ1の切断部断面の光学顕微鏡写真を示す。同図に示すように、樹脂(B)(図中の(B))中に、粉砕されたポリエステル樹脂(C)(図中の(C))が分散されていることを確認した。
【0090】
<実施例2~39,比較例1から3(マスターバッチ2~42の製造)>
表4,5に示す材料と配合量(質量部)、製造温度にそれぞれ変更した以外は、マスターバッチ1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ得た。各マスターバッチの原料の仕込み量、マスターバッチの混合温度、マスターバッチの加工性、マスターバッチ中の樹脂(B)の平均粒径、紡糸性の結果を表4、5に示す。
【0091】
【0092】
【0093】
(D)マスターバッチの評価
d-1.マスターバッチの加工性
各マスターバッチの加工性について以下の評価基準で評価した。
+++:1時間マスターバッチを連続生産したときにストランド切れが発生しない。
++:1時間マスターバッチを連続生産したときにストランド切れの発生が1回以上、5回以下。
+:1時間マスターバッチを連続生産したときにストランド切れの発生が5回越え、10回以下。
NG:上記評価のいずれにも該当しない。または、マスターバッチが生産できない。
【0094】
d-2.紡糸性(マスターバッチと希釈樹脂(ポリエステル樹脂(A))
マスターバッチを1部、再生ホモPET樹脂A-1を100部量り取り、Aikiリノテック社製の紡糸機を用いて、加工温度280℃で20m紡糸し、このときの糸切れの回数を評価した。評価基準は以下の通りとした。
++++:糸切れが1回も起きない。
+++:糸切れの回数が1~2回。
++:糸切れの回数が3~5回。
+:糸切れの回数が6~10回。
NG:糸切れの回数が11回以上。
【0095】
(E)ポリエステル樹脂成形体の製造
[参考例1]
日本プラコン社製のスクリュー径40mmの単軸押出機(ダルメージスクリュー)を用いて、100部のポリエステル樹脂A-1をスクリュー回転数90rpm、加工温度280℃、吐出20kg/hにて押出加工を行い、リサイクルポリエステル樹脂ペレットを作製した。
【0096】
[実施例101]
100部のポリエステル樹脂A-1と、1部のマスターバッチ(1)とをタンブリングしたものを日本プラコン社製のスクリュー径40mmの単軸押出機(ダルメージスクリュー)にてスクリュー回転数90rpm、加工温度280℃、吐出20kg/hにて押出加工を行い、リサイクルポリエステル樹脂ペレット101を得た。
【0097】
[実施例102~154、比較例101~104]
表6~8に示す材料と配合量(質量部)にそれぞれ変更した以外は、実施例101と同様の方法でリサイクルポリエステル樹脂ペレット等を得た。
【0098】
(F)ポリエステル樹脂成形体の評価
f-1.固有粘度(IV)評価
作製した各ポリエステル樹脂ペレットをフェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン=1/1溶液に溶解させ、柴山科学器械製作所社製の自動粘度測定装置「SS-600-L2」を用いてJIS K7367-5に従いポリエステル樹脂ペレットのIVを測定した。各実施例のIVをIVX、参考例1のIVをIV1とし、固有粘度の上昇分について以下の評価基準により評価を行った。
+++:(IVX/IV1)×100-100≧15
++:10≦(IVX/IV1)×100-100<15
+:5≦(IVX/IV1)×100-100<10
NG:(IVX/IV1)×100-100<5
【0099】
f-2.黄色度(YI値)
作製した各ポリエステル樹脂ペレットを、射出成形機(東芝機械社製、IS-100F型)を用いて280℃で射出成形を行い、縦30mm×横40mm×高さ3mmの直方体のテストピースを作製した。その後、クラボウ社製の画像分光測色機AUカラーCOLOR7xを用い、D-65(10)標準光源にてテストピースのL値(明度)、a値、b値を測定し、JIS K7373に従い、YI値を算出し、黄色度を測定した。黄変性は以下の基準で評価した。
+++:0≦YI<5
++:5≦YI<10
+: 10≦YI<20
NG:20≦YI
【0100】
f-3.白濁度
黄色度(YI値)を評価したテストピースのヘイズを、JIS K7136に従い、ヘイズガードプラス(ガードナー社製)を用いて測定し、以下の基準で白濁度を評価した。
+++:ヘイズ≦10%
++:10<ヘイズ≦15%
+: 15<ヘイズ≦20%
NG:ヘイズ>20%
【0101】
f-4.紡糸性
紡糸性を、Aikiリノテック社製の紡糸機を用いて、加工温度280℃で20m生産し、このときの糸切れの回数を評価した。評価基準は以下の通りとした。
++++:糸切れが1回も起きない。
+++:糸切れの回数が1~2回。
++:糸切れの回数が3~5回。
+:糸切れの回数が6~10回。
NG:糸切れの回数が11回以上。
【0102】
f-5.フィルム平滑性
マスターバッチをポリエステル樹脂(A)に添加して作製した膜厚100μmのフィルムの摩擦係数(μx)を測定した。マスターバッチを添加していないポリエステル樹脂(A)を用いて作製した膜厚100μmのフィルムの摩擦係数(μ1)とし、以下の基準で評価した。
+++:μx/μ1≧90
++:80≦μx/μ1<90
+:70≦μx/μ1<80
NG:μx/μ1<70
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
ポリエステル樹脂(C)の流動開始温度が160℃未満である比較例101では、IV値、黄変性、白濁度、および紡糸性で劣る結果が確認された。また、流動開始温度が160℃以上であってもポリエステル樹脂ではない場合、比較例102に示すように、黄変性、白濁度、紡糸性およびフィルム平滑性で劣る結果が確認された。樹脂(B)がエポキシ基を有しない比較例103は、黄変性で劣る結果が確認された。樹脂B-1を直接添加した比較例104では白濁度と紡糸性で劣る結果が確認された。
一方、ポリエステル樹脂(A)に、エポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)中に、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)が分散されている鎖延長用のマスターバッチを用いた、実施例101~154においては、IV値、黄変性、白濁度、紡糸性およびフィルム平滑性のいずれも優れることが確認された。
【0107】
[産業上の利用可能性]
本成形体の製造方法によれば、成形加工性に優れ、汎用加工法により高品質の成形体を提供できるので、例えば、使用済みPETボトルや繊維をはじめとする使用済、もしくは生産工程で生じたプラスチック製品の再利用用途に好適である。また、本成形体は品質に優れるので、高機能樹脂材料として繊維、フィルム、シート、発泡体、容器、電子材料、建材、自動車部品、各種工業部品・製品など多岐にわたる用途に好適に適用できる。
【要約】
【課題】PET樹脂などの流動開始温度が高い樹脂をマスターバッチの成分として用いても失活を低減でき、成形加工性の優れるポリエステル樹脂成形体の製造に用いるポリエステル樹脂の鎖延長用のマスターバッチを提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂(A)の鎖延長用のマスターバッチであって、エポキシ基を有し、流動開始温度が150℃以下の樹脂(B)中に、粉砕された、流動開始温度が160℃以上のポリエステル樹脂(C)が分散されている鎖延長用のマスターバッチにより解決する。
【選択図】
図1