(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ヘアドライヤ
(51)【国際特許分類】
A45D 20/10 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
A45D20/10 103
A45D20/10 101
(21)【出願番号】P 2019137381
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-03-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(72)【発明者】
【氏名】下田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小柳 智裕
(72)【発明者】
【氏名】西川 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 大介
(72)【発明者】
【氏名】中村 凌
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】伊藤 秀行
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開平3-254708(JP,A)
【文献】実開昭62-184803(JP,U)
【文献】特開昭58-7207(JP,A)
【文献】特開昭64-46405(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0072169(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D19/00-20/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部内に設けられており、モータを有する送風部と、
前記送風部から少なくとも一つの吹き出し口にむかって設けられている送風経路と、
前記送風経路に配置されているヒータと、
前記モータの外周を少なくとも部分的に覆うように設けられている筒状部材と
を備え、
前記モータは、前記本体部の前後方向において前記ヒータの配置領域に少なくとも部分的に重なる位置に配置されており、
前記送風経路は、前記筒状部材の外周面側に位置しており、
前記ヒータは、その全領域が前記筒状部材の外周に沿うように配置されており、
前記筒状部材の内周面側の前記モータの周囲には、モータ冷却用の空間が設けられており、
前記筒状部材の周側面には、前記送風経路と前記モータ冷却用の空間とを連通する開口部が設けられている、
ヘアドライヤ。
【請求項2】
前記筒状部材は、第1の部材と第2の部材とを組み合わせて形成されており、
前記開口部は、前記第1の部材と前記第2の部材との接続部分に設けられている、
請求項1に記載のヘアドライヤ。
【請求項3】
前記開口部には、前記モータ冷却用の空間へ風を誘導する風向制御部が設けられている、請求項1または2に記載のヘアドライヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアドライヤの中には、吹き出す風にイオンを含ませるものがある。例えば、特許文献1には、風を生起する送風ファンと、当該送風ファンを回転駆動するモータと、生起された風を加熱するヒータユニットと、高電圧印加時にイオンを生成する放電手段とを備えるドライヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているヘアドライヤには、送風ファン1によって生起された風を加熱するヒータユニット20が設けられている。ヒータユニット20は、電気を熱に変えるヒータ線21と、このヒータ線21がスパイラル状に配設されたマイカ(雲母)からなるヒータ基枠22とからなる。そして、スパイラル状のヒータ線21の内部に形成される空間には、送風ファン1のモータ10の一部が配置されている。
【0005】
しかし、ヒータ線の近くにモータを配置すると、ヒータ線から発生する熱によってモータの温度が上昇する可能性がある。また、モータの温度上昇を抑えるために、ヒータ線からある程度距離を空けた状態でモータを配置すると、ヘアドライヤの寸法(特に、ファンから吹き出し口までの距離)が増大化する。
【0006】
そこで、本発明では、上記の点を鑑みてなされたヘアドライヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面にかかるヘアドライヤは、本体部と、前記本体部内に設けられており、モータを有する送風部と、前記送風部から少なくとも一つの吹き出し口にむかって設けられている送風経路と、前記送風経路に配置されているヒータとを備えている。前記モータは、前記本体部の前後方向において前記ヒータの配置領域に少なくとも部分的に重なる位置に配置されており、前記モータの周囲には、モータ冷却用の空間が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一局面によれば、ファンのモータの温度上昇を抑えつつ、製品の寸法の増大化を抑えることのできるヘアドライヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるヘアドライヤの外観構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すヘアドライヤの外観構成を示す正面図である。
【
図3】
図1に示すヘアドライヤの外観構成を示す側面図である。
【
図4】
図1に示すヘアドライヤの外観構成を示す背面図である。
【
図5】
図1に示すヘアドライヤの内部の部品を示す分解斜視図である。
【
図6】
図1に示すヘアドライヤの内部構成を示す斜視断面図である。
【
図7】
図1に示すヘアドライヤの内部構成を示す断面図である。
【
図8】
図1に示すヘアドライヤの内部構成を示す斜視断面図である。
【
図9】
図1に示すヘアドライヤの内部構成を示す斜視図である。
【
図10】
図1に示すヘアドライヤの内部構成を示す正面図である。
【
図11】
図1に示すヘアドライヤに備えられたヒータ支持部材を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示すヒータ支持部材を分解した状態で示す斜視図である。
【
図13】
図11に示すヒータ支持部材の断面構成を示す斜視断面図である。
【
図14】
図11に示すヒータ支持部材の断面構成を示す斜視断面図である。
【
図15】
図1に示すヘアドライヤにおけるモータ冷却用の空間への風の流入経路を示す図である。
【
図16】
図1に示すヘアドライヤにおけるヒータの配置領域とモータとの位置関係を説明するための模式図である。
【
図17】第2の実施形態にかかるヘアドライヤの内部構成を示す断面図である。
【
図18】第3の実施形態にかかるヘアドライヤの正面部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
<第1の実施形態>
本実施形態では、本発明の一例のヘアドライヤ10を例に挙げて説明する。
【0012】
(ヘアドライヤの全体構成)
先ず、本実施の形態にかかるヘアドライヤ10の全体構成について説明する。
図1は、ヘアドライヤ10の斜視図である。
【0013】
本明細書では、ヘアドライヤ10の各構成要素の形状および位置関係などを説明するにあたって、便宜上、ヘアドライヤ10を
図1などに示すようなX(X1-X2)方向(左右方向)、Y(Y1-Y2)方向(上下方向)、Z(Z1-Z2)方向(前後方向)という三方向の座標軸で規定する。
【0014】
図2には、ヘアドライヤ10を正面側(吹き出し口側、Z1側)から見たときの外観を示す。
図3には、ヘアドライヤ10を右側(X2側)から見たときの外観を示す。
図4には、ヘアドライヤ10を背面側(吸い込み口側、Z2側)から見たときの外観を示す。
【0015】
図1に示すように、ヘアドライヤ10は、主として、本体部11と、把持部20とで構成されている。本体部11は、内部に送風機構(送風部150など)および風の吹き出し経路(送風経路)を有しており、吸い込み口23から吸い込んだ空気を吹き出し口12(具体的には、12aおよび12b)から吹き出す。
【0016】
本体部11は、前後方向(Z1-Z2方向)に軸を有する略円柱形の外形形状を有している。本体部11のZ1側は、正面部11a(吹き出し口12aおよび12bの配置面)を構成している。正面部11aには、風の吹き出し口12が配置されている。風の吹き出し口12は、第1の吹き出し口12aと第2の吹き出し口12bという2つの吹き出し口で構成されている。本体部11内における各吹き出し口12aおよび12bの後方側(Z2側)には、送風経路および送風部150などが設けられている。各吹き出し口12aおよび12bの配置面である正面部11aは、風の吹き出し経路の下流端を構成している。
【0017】
本体部11のZ2側は、背面部11bを構成している。背面部11bには、空気の吸い込み口23が配置されている(
図4参照)。
【0018】
図2に示すように、各吹き出し口12aおよび12bは、本体部11の正面部11aの左右何れかの端部に配置されている。第1の吹き出し口12aは、正面部11aを正面から見て左側(X1側)の端部に沿って上下方向(Y方向)に形成されている。第2の吹き出し口12bは、正面部11aを正面から見て右側(X2側)の端部に沿って上下方向(Y方向)に形成されている。
【0019】
各吹き出し口12aおよび12bは、上下方向(Y方向)に細長い形状(縦長形状)の開口部を有している。より具体的には、第1の吹き出し口12aおよび第2の吹き出し口12bは、略円形状の正面部11aの外周の一部に沿って円弧状に形成されている。第1の吹き出し口12aの開口部と、第2の吹き出し口12bの開口部とは、中央部15を間に挟んで反対側の位置にそれぞれ配置されている。各吹き出し口12aおよび12bの開口部がこのような形状となっていることで、ヘアドライヤ10を用いて髪を乾燥させるときに、施術箇所の髪の伸長方向に沿った方向に各開口部の長手方向を合わせることができる。
【0020】
把持部20は、本体部11の下方に位置している。把持部20は、ヘアドライヤ10の使用時に使用者の持ち手となる部分である。
図3に示すように、ヘアドライヤ10を側面側(例えば、X2側)から見た状態で、把持部20は、本体部11の前後方向(Z方向)の略中央部から下方(Y2側)へ延びている。
【0021】
把持部20のZ1側は、正面部20aを構成している。把持部20の正面部20aには、操作部40が設けられている。ヘアドライヤ10の使用時に、使用者が操作部40(具体的には、電源スイッチ42)を操作することで、ヘアドライヤ10が動作を開始したり停止したりする。また、操作部40(具体的には、操作ボタン41)が操作されることで、吹き出し口12から吹き出す風の種類(温風/冷風)および風量などが調節される。また、操作部40(具体的には、操作ボタン41)が操作されることで、ヘアドライヤ10の運転モードが切り換えられる。
【0022】
把持部20の下方には、電源コード22が取り付けられている。なお、本発明の別の態様では、ヘアドライヤ10はコードレスタイプであってもよい。この場合には、例えば、本体部11または把持部20の内部に一次電池または二次電池が備えられている。
【0023】
(ヘアドライヤの外形形状について)
図3などに示すように、ヘアドライヤ10は、側面視において略T字状を有している。また、
図2に示すように、ヘアドライヤ10の正面側(Z1側)は、略円形状の正面部11aと、正面部11aよりも幅狭の略長方形状の正面部20aと、正面部11aから正面部20aへ向かって徐々に幅が狭くなる傾斜面20bとで構成される。
【0024】
図3に示すように、傾斜面20bが配置されている部分のヘアドライヤ10の側面は、湾曲形状16aとなっている。また、背面部11bが配置されている部分のヘアドライヤ10の側面は、湾曲形状16aと対称の湾曲形状16bとなっている。このような湾曲形状16aおよび16bによってくびれが形成されることで、ヘアドライヤ10を持ちやすい形状とすることができる。
【0025】
表示部30および操作部40は何れも、ヘアドライヤ10の正面側(Z1側)に配置されている。また、操作部40を構成する複数の操作ボタン41のうちの少なくとも一つは、傾斜面20bに配置されている。
【0026】
図2に示すように、略円形状の正面部11aは、Z1側から見たときに最も左側に位置する左側端部13aと、最も右側に位置する右側端部13bと、最も上方に位置する上端部14aと、最も下方に位置する下端部14bとを有している。
【0027】
図1などに示すように、正面部11aは、湾曲した凹面形状になっている。さらに、この湾曲した凹面形状を有する正面部11aでは、左右方向(X方向)の端部(すなわち、左側端部13aおよび右側端部13b)の方が、上下方向(Y方向)の端部(すなわち、上端部14aおよび下端部14b)よりも、側面視および上面視(または下面視)において前方側(Z1側)に位置している。
【0028】
そして、表示部30は、正面部11aにおいて各吹き出し口12aおよび12bが設けられている左右方向(X方向)の端部13aおよび13bよりも凹んでいる中央部15の近傍に配置されている。また、表示部30は、正面部11aの上端部14aよりも前方側(Z1側)へ突出していない下端部14b側に配置されている。
【0029】
これにより、例えば
図1に示すように、斜め前方側からヘアドライヤ10の正面部11aを使用者が見たときに、表示部30の内容を確認することができる。
【0030】
また、
図2などに示すように、ヘアドライヤ10の正面部分は、主として、本体部11の正面部11a、および把持部20の正面部20aで構成されている。正面部11aと正面部20aとの間は、傾斜面20bとなっている。
【0031】
Z1側から見て正面部11aの左側には、正面部11aの外周に沿うようにして第1の吹き出し口12aが設けられている。また、Z1側から見て正面部11aの右側には、正面部11aの外周に沿うようにして第2の吹き出し口12bが設けられている。第1の吹き出し口12aは、左側端部13aを中心にして上下にそれぞれ延びている。第2の吹き出し口12bは、右側端部13bを中心にして上下にそれぞれ延びている。
【0032】
第1の吹き出し口12aと第2の吹き出し口12bとの間には、中央部15が設けられている。中央部15は、正面部11aの略中央部に位置している。中央部15は、略円形状を有している。凹面形状を有している正面部11aにおいて、中央部15が最も後方側(風の送出方向の上流側)に凹んでいる。本実施形態では、中央部15は、略平坦な形状となっている。
【0033】
中央部15の下方、および中央部15の外周部には、表示部30が設けられている。表示部30は、運転モードを表示する運転モード表示部31と、温度表示部32とを有している。このように、表示部30は、風の吹き出し経路の下流端側に位置している吹き出し口12よりも風の送出方向の上流側に凹んだ位置に配置されている。運転モード表示部31は、複数個のLEDランプ(31a~31d)で構成されている。
【0034】
正面部11aの下方に位置する傾斜面20bおよび把持部20の正面部20aには、操作部40が設けられている。操作部40は、複数の操作ボタン41と、電源スイッチ42とを有している。
【0035】
また、把持部20の正面部20aには、操作部40の下方に、さらなる表示部として風量表示部43が設けられている。
【0036】
(ヘアドライヤの内部の構成について)
続いて、ヘアドライヤ10の内部の構成について説明する。
図5には、ヘアドライヤ10の内部に設けられている各部品を分解した状態で示す。なお、
図5では、主として本体部11内に配置されている部品を図示しており、把持部20内の各部品およびヘアドライヤ10の正面側に配置されている各部品などの図示は適宜省略している。
【0037】
ヘアドライヤ10の外形は、主として、左側面部材2a、および右側面部材2bで形成されている。これらの部材で形成された筐体の内部に、風路形成部材3、ファン収容部材4、吸い込み口形成部材5、操作部形成部材140、送風部150、ヒータ支持部材(筒状部材)160、イオン発生器180などが備えられている。
【0038】
風路形成部材3は、送風部150の出口から吹き出し口12aおよび12bまでの送風経路を形成する。風路形成部材3は、略筒状の形状を有しており、その正面側は種々の形状の壁部130で部分的に塞がれている。壁部130には、吹き出し口12aおよび12bに対応する位置に開口部112が形成されている。風路形成部材3の正面側には、運転モード表示部31を構成するLEDランプが配置されたLED設置板35などが取り付けられる。
【0039】
ファン収容部材4は、本体部11内の背面側に配置されている。ファン収容部材4の内部には、送風部150の遠心ファン151が収容される。吸い込み口形成部材5は、ファン収容部材4の背面側に取り付けられる。吸い込み口形成部材5には、多数の孔が形成されており、これらの孔が吸い込み口23を構成する。操作部形成部材140は、操作部40を構成する各種操作ボタン41および電源スイッチ42などを搭載している。
【0040】
送風部150は、遠心ファン151、モータ153、およびモータ固定部品152などを有している。送風部150の詳細な構成については後述する。
【0041】
ヒータ支持部材(筒状部材)160は、略円筒形状を有している。本実施形態では、ヒータ支持部材(筒状部材)160は、主として、後方部材161と前方部材162とで形成されている。
図5では図示していないが、ヒータ支持部材160はヒータ191を支持している。ヒータ191は、ヒータ支持部材160の外周に沿うように配置されている(
図10など参照)。
【0042】
ヒータ支持部材160の外側面には、第1風路分割部171、複数の仕切り部材172、および複数の第2風路分割部173が取り付けられている。第1風路分割部171、仕切り部材172、および第2風路分割部173は、略板状の部材であって、ヒータ支持部材160の外側面に対して立設するように取り付けられている。主としてヒータ支持部材160の外側面と風路形成部材3の内周面とによって形成される空間に、送風部150から吹き出し口12aおよび12bまでの送風経路が形成される。
【0043】
また、ヒータ支持部材160の内側には、モータ153が配置されている。すなわち、ヒータ支持部材160は、モータ153の外周を少なくとも部分的に覆うように設けられている。ヒータ支持部材160には、複数個の開口部165が形成されている。また、ヒータ支持部材160の内周面とモータ153の外周面との間には、部分的に小さな空隙が形成されている。この空隙は、モータ冷却用の空間CMを形成する。
【0044】
イオン発生器180は、本体部11と把持部20との境界付近に配置されている。すなわち、イオン発生器180は、モータ153と操作部形成部材140との間に配置されている。イオン発生器180は、本体部181と、複数のイオン発生電極182とを有している。
【0045】
イオン発生器180は、正(+)イオン(例えば、H+(H2O)m(mは任意の自然数))および負(-)イオン(例えば、O2
-(H2O)n(nは任意の自然数))の少なくとも何れかを生成する。イオン発生器180が備えられていることで、吹き出し口12aおよび12bから吹き出す風にイオンを含有させることができる。
【0046】
本体部181は、直方体形状を有している。本体部181の内部には、イオン生成装置が備えられている。
【0047】
イオン発生電極182は、本体部181の上面の後方側において、上方に突出した針状の部材である。本実施形態では、2つのイオン発生電極182が備えられており、一方のイオン発生電極182からは正イオンが放出され、他方のイオン発生電極182からは負イオンが放出される。
【0048】
なお、イオン発生器は、本実施形態のように正イオンと負イオンの両方を発生させる構成であってもよいし、正イオンあるいは負イオンの何れか一方を発生させる構成であってもよい。
【0049】
電子部品192は、2つの第2風路分割部173によって仕切られた空間(第3の送風経路FC)の内部に配置されている。電子部品192には、ヒータ191やモータ153に電力を供給するトライアックが含まれる。また、電子部品192には、部品内で発生した熱を放出させるためのヒートシンクが設けられている。
【0050】
(送風部について)
続いて、送風部150のより具体的な構成について
図6から
図8などを参照しながら説明する。
図6から
図8では、ヘアドライヤ10の内部の構成を示す。
図6は、本体部11の上方部分をX-Z面で切断した状態での本体部11の内部を示す図である。
図7は、本体部11を、左右方向(X方向)の中央位置で縦方向(Y方向)に切断した状態での本体部11の内部構成を示す断面図である。
図6および
図7では、送風部150によって発生する風の流れを矢印で示している。
図6では、ヒータ191の図示は省略している。
図8は、
図7に示すヘアドライヤ10の斜視断面図である。
【0051】
上述したように、送風部150は、主として、遠心ファン151、モータ153、およびモータ固定部品152などで構成されている。
【0052】
遠心ファン151は、複数の動翼(回転羽根とも呼ばれる)151aを有している。遠心ファン151は、モータ153の回転軸153aに接続されており、モータ153に駆動されて回転する。動翼151aが回転することで、吸い込み口23から本体部11内に流入した空気は、回転軸153aの遠心方向に吐出される。これにより、
図7の矢印で示すような方向の風が生成される。遠心ファン151は、例えば、ターボファンである。
【0053】
モータ153は、遠心ファン151の前方側(Z1側)に配置されている。モータ153は、後方側(Z2側)へ突出する回転軸153aを有している。後方側へ突出した回転軸153aの端部は、遠心ファン151に接続されている。
【0054】
モータ153は、側面視で送風部150から吹き出し口12aおよび12bへとつながる送風経路(具体的には、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBなど)と少なくとも部分的に重複する位置に配置されている。すなわち、モータ153と送風経路(具体的には、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBなど)とは、側面視で少なくとも部分的に重複した状態で、前後方向(Z1-Z2)方向において並列に配置されている。
図7および
図8などに示すように、本実施形態にかかるヘアドライヤ10では、回転軸153aを除くモータ153の本体部分のZ方向の長さの1/2以上が、側面視で第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBと重複している。これにより、送風部150から吹き出し口12aおよび12bまでの送風経路の長さを確保しつつ、本体部11のZ方向の寸法を小さく(短く)することができる。
【0055】
モータ固定部品152は、遠心ファン151とモータ153との間に配置されている。モータ固定部品152は、複数の静翼(固定羽根とも呼ばれる)152aと、モータ収容部152bとを有している。モータ収容部152bには、モータ153の本体部分が嵌め込まれる。これにより、モータ153は、モータ収容部152bに固定される。
【0056】
静翼152aは、モータ収容部152bの外周に沿って複数個設けられている。各静翼152aは、互いに所定の間隔を有した状態で配置されている。これにより、遠心ファン151の回転によって生じた風は、各静翼152aの間を通過し、前方側の送風経路(具体的には、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBなど)へ流れる(
図6参照)。このように、モータ固定部品152には、送風経路とつながる通風路F2が設けられている。
【0057】
(送風経路の構成)
続いて、送風部150において発生した風の本体部11内における流通経路(送風経路)について説明する。本実施形態にかかるヘアドライヤ10では、送風部150において発生した風は、風路形成部材3およびヒータ支持部材160などで形成された空間を通過し、その大部分が第1の吹き出し口12aおよび第2の吹き出し口12bから吹き出される。すなわち、送風経路は、主として、風路形成部材3とヒータ支持部材160とで形成される。
【0058】
遠心ファン151の回転によって送風部150で発生した風は、
図7において矢印で示すように、遠心方向に吐出される。遠心ファン151の動翼151aが設けられている空間を風発生部F1と呼ぶ。風発生部F1で生成された風は、
図6において実線の矢印で示すように、遠心ファン151の前方側に設けられているモータ固定部品152の各静翼152aの間を通過し、その前方側の送風経路へと流れる。このように、モータ固定部品152の静翼152aが配置されている部分は、送風経路とつながる通風路F2となっている。通風路F2は、送風部150における風の出口ということもできる。
【0059】
通風路F2を通過した風は、風路形成部材3およびヒータ支持部材160などで形成された空間へと流入する。この空間は、ヒータ支持部材160の外側面に取り付けられた第1風路分割部171および2つの第2風路分割部173によって、主として3つの空間に分割されている。分割された各空間がそれぞれ送風経路となる。このようにして、本体部11内には、第1の送風経路FA、第2の送風経路FB、および第3の送風経路FCという3つの送風経路が形成される。
【0060】
図10には、本体部11の内部を正面側(Z1側)から見た図を示す。第1風路分割部171と一方の第2風路分割部173とによって区画された空間に、第1の送風経路FAが形成される。また、第1風路分割部171と他方の第2風路分割部173とによって区画された空間に、第2の送風経路FBが形成される。また、2つの第2風路分割部173によって区画された空間に第3の送風経路FCが形成される。
【0061】
図6に示すように、第1の送風経路FAは第1の吹き出し口12aとつながっている。送風部150の通風路F2を出た風の一部は、
図6において破線の矢印で示すように、第1の送風経路FAを通過し、第1の吹き出し口12aから吹き出される。
【0062】
また、
図6に示すように、第2の送風経路FBは第2の吹き出し口12bとつながっている。送風部150の通風路F2を出た風の一部は、
図6において一点鎖線の矢印で示すように、第2の送風経路FBを通過し、第2の吹き出し口12bから吹き出される。
【0063】
図6に示すように、第1風路分割部171の立設位置は、正面視で、モータ固定部品152に設けられた静翼152aの一つの前方側の端部と略重なっている。これにより、送風部150を出た風は、送風経路の最上流側で、第1の送風経路FA側へ流入する風と、第2の送風経路FB側へ流入する風に分かれる。すなわち、第1の吹き出し口12aおよび第2の吹き出し口12bから所定距離だけ離れた位置で、第1の吹き出し口12aへの送風経路(すなわち、第1の送風経路FA)と、第2の吹き出し口12bへの送風経路(すなわち、第2の送風経路FB)とが形成される。
【0064】
このように、ヘアドライヤ10では、送風部150における風の出口である通風路F2の前方側の端部(すなわち、送風経路における風の流れの最上流側)において、送風経路が2つ以上に分割されている。そして、分割された送風経路の一つ(例えば、第1の送風経路FA)が第1の吹き出し口12aへとつながり、分割された送風経路のもう一つ(例えば、第2の送風経路FB)が第2の吹き出し口12bへとつながっている。この構成によれば、本体部11の前後方向(Z方向)の寸法が増大すること(長さが長くなること)を抑えつつ、各吹き出し口へとつながる各送風経路の前後方向の長さを確保することができる。各吹き出し口へとつながる各送風経路の寸法(前後方向の長さ)を所定値以上確保することで、各吹き出し口から送出される風量の偏りを抑えることができる。
【0065】
なお、
図9などに示すように、第1風路分割部171の後方側端部と、静翼152aの前方側端部との間には、わずかな隙間Gが設けられていてもよい。
【0066】
また、
図9などに示すように、第2の送風経路FBの内部は、Z方向に延びる略板状の仕切り部材172によって複数に分割されている。同様に、第1の送風経路FAの内部も、Z方向に延びる略板状の仕切り部材172によって複数に分割されている。このように、各送風経路FAおよびFBの内部が、主たる風の流れの方向(すなわち、Z1方向)に沿って複数の空間に分割されていることで、送風部150からの風を吹き出し口12aおよび12bへ向かって整流することができる。
【0067】
第3の送風経路FCは、本体部11の下方側(すなわち、把持部20側)に位置している。送風部150の通風路F2を出た風の一部は、第3の送風経路FCにも流入する。第3の送風経路FCの前方側(Z1側)は、風路形成部材3の壁部130(
図5参照)などで塞がれている。すなわち、本体部11の正面部11a側からヘアドライヤ10を見たときに、第3の送風経路FCは、第1の吹き出し口12aおよび第2の吹き出し口12bと重ならないようになっている。
【0068】
図8に示すように、第3の送風経路FC内には、電子部品192が配置されている。電子部品192に含まれるヒータ制御部品(例えばトライアック)などは、ヒータ191の稼働時に発熱して温度が上昇する。このようなヒータ制御部品(例えばトライアック)などを含む電子部品192を第3の送風経路FC内に配置することで、電子部品192の周囲に送風部150からの風を送ることができる。これにより、電子部品192の放熱を促進させ、電子部品192の温度上昇を抑えることができる。
【0069】
また、送風部150から第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBへ流入した風の一部は、ヒータ支持部材160に形成された開口部165を通って、モータ153が配置されている空間CM内へ流入する。後述するように、モータ153は、開口部165から流入する風によって冷却される。
【0070】
(ヒータ周辺の構成)
続いて、送風経路に配置されているヒータ191の構成について、
図9および
図10を参照しながら説明する。
図9には、第2の送風経路FB内の構成を示す。
図9に示すヘアドライヤ10では、右側面部材2bおよび風路形成部材3を取り外した状態を示す。なお、第1の送風経路FAの内部は、第2の送風経路FBと左右対称な構成を有している。
図10には、本体部11内の各送風経路の構成を示す。
図10では、本体部11内の各送風経路を正面側から見た状態を示す。
【0071】
図9に示すように、ヒータ191は、コイル状の複数の電熱線で構成されている。ヒータ191を構成する各電熱線は、各仕切り部材172を貫通して、第2の送風経路FB内を横切るように配置されている。
図9には示されていないが、ヒータ191を構成する各電熱線は、第1風路分割部171を貫通し、第1の送風経路FA内を横切るように配置されている。
図10に示すように、ヒータ191は、ヒータ支持部材160の外周に沿って、一方の第2風路分割部173から他方の第2風路分割部173にまで延びている。
【0072】
このように、ヒータ191は、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FB内に配置されている一方、第3の送風経路FC内には配置されていない。これにより、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBの内部を通過する風は、ヒータ191によって加熱され、吹き出し口12aおよび12bから温風を吹き出すことができる。
【0073】
一方、第3の送風経路FCは、ヒータ191によって直接的には加熱されない。したがって、ヒータ191をONしたときの第3の送風経路FC内の温度上昇を抑えることができる。上述したように、第3の送風経路FC内には、冷却対象部品である電子部品192が配置されている。温風吹き出し時においても、送風部150から第3の送風経路FC内に送られる風はヒータ191によって直接加熱されないため、第3の送風経路FC内に配置された電子部品192の温度上昇を抑えることができる。
【0074】
(ヒータ支持部材について)
続いて、ヒータ支持部材160の構成について、
図11から
図14を参照しながら説明する。
図11は、ヒータ支持部材160の外観を示す斜視図である。
図12は、ヒータ支持部材160の各構成部品を示す分解斜視図である。
図13および
図14には、ヒータ支持部材160の断面の構造を示す。
図13は、開口部165が形成されていない位置におけるヒータ支持部材160の断面構造を示す図であり、
図14は、開口部165が形成されている位置におけるヒータ支持部材160の断面構造を示す図である。
【0075】
ヒータ支持部材160は、後方部材(第1の部材)161、前方部材(第2の部材)162、第1風路分割部171、複数の仕切り部材172、および複数の第2風路分割部173などで形成されている。後方部材161および前方部材162は、略筒状の形状を有している。前方部材162の後端部を後方部材161の先端部に嵌合させて、ヒータ支持部材160の主たる外形が形成される。前方部材162と後方部材161とを組み合わせて形成される略筒状の部材の内部に、送風部150のモータ153が配置される(
図7など参照)。
【0076】
後方部材161の外周面には、第1風路分割部171、複数の仕切り部材172、および複数の第2風路分割部173を支持するための支持部163が複数個設けられている。また、前方部材162の外周面には、第1風路分割部171、複数の仕切り部材172、および複数の第2風路分割部173を支持するための支持部164が複数個設けられている。
図12に示すように、第1風路分割部171、複数の仕切り部材172、および複数の第2風路分割部173のそれぞれは、一組の支持部163および164に差し込まれることによって、後方部材161および前方部材162に支持されている。
【0077】
このようにして、
図11に示すように、筒状の後方部材161および前方部材162の外周面に、第1風路分割部171、複数の仕切り部材172、および複数の第2風路分割部173が放射状に取り付けられる。第1風路分割部171、複数の仕切り部材172、および複数の第2風路分割部173のそれぞれは、後方部材161および前方部材162の外側面に立設した状態で支持されている。
【0078】
なお、後方部材161の先端部には、複数の切り欠き165aが形成されている。後方部材161と前方部材162とを組み合わせることで、この切り欠き165aは、開口部165となる。ヒータ支持部材160の外周面に、このような開口部165が形成されていることで、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FB内を流れる風の一部を開口部165からモータ153が配置されている空間CM内へ導くことができる。この空間CMには、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBからの風が流入し、流入した風によって空間CM内のモータ153は冷却される。したがって、空間CMは、モータ冷却用流路ということもできる。このようにして、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FB内を流れる風の一部を利用して、モータ153を冷却することができる。
【0079】
また、前方部材162の後端部には、張り出し部166が形成されている。張り出し部166は、前方部材162の筒状部分よりも内周側に凹んだ状態で、後方側へ張り出している。
図13に示すように、後方部材161と前方部材162とが組み合わされた状態では、後方部材161の先端部の一部が、前方部材162の張り出し部166に重なっている。また、開口部165に対応する部分の張り出し部166は、
図14に示すように、開口部165を部分的に塞ぐような構成となっている。
【0080】
(モータ冷却用空間への風の流入経路について)
続いて、空間CMへの風の流入経路について、
図14および
図15などを参照しながら説明する。
図15には、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBから空間CMへの風の流入経路を破線の矢印で示す。
【0081】
上述したように、遠心ファン151の回転によって送風部150で発生した風は、風発生部F1および通風路F2を通過した後、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBなどに流入する。そして、各吹き出し口12aおよび12bから外へ吹き出される。
図15では、この風の経路を本体部11内の主たる風の経路として、実線の矢印で示す。
【0082】
第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBは、ヒータ支持部材160に形成されている開口部165を介してモータ153が配置されている空間CMと連通している。そのため、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FBに流入した風の一部は、開口部165から空間CMへ流入する。
図15では、この風の流れをモータ冷却用の風の流れとして、破線の矢印で示す。
【0083】
なお、開口部165には、その前方側(Z1側)に、内周側へ凹んだ張り出し部166が設けられている。このような張り出し部166が設けられていることで、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FB内を流れる風の一部が開口部165の内側(すなわち、空間CM内)へ誘導される。このように、張り出し部166は、空間CMへ風を誘導する風向制御部としての役割を果たす。空間CM内に風が流入することで、モータ153の周囲は冷却され、モータ153の温度上昇を抑えることができる。
【0084】
(ヒータ配置領域とモータとの位置関係について)
続いて、ヒータ191の配置領域とモータ153との位置関係について、
図16を参照しながら説明する。
【0085】
図16では、本体部11内に配置された各送風経路FA・FB・FC、および送風部150の各構成部材(すなわち、遠心ファン151、モータ153、およびモータ固定部品152)を模式的に示す。
図16では、イオン発生器180などの構成部材は適宜省略している。
【0086】
図16では、モータ153のZ方向の長さをL1とし、本体部11のZ方向におけるヒータ191の配置領域をAとする。
図16に示すように、本体部11のZ方向において、モータ153は、ヒータ191の配置領域Aに部分的に重なる位置に配置されている。例えば、ヘアドライヤ10では、モータ153の本体部分のZ方向の長さL1の1/2以上が、側面視でヒータ191の配置領域Aと重複している。また、より好ましくは、モータ153の本体部分のZ方向の長さL1の2/3以上が、側面視でヒータ191の配置領域Aと重複している。これにより、送風部150から吹き出し口12aおよび12bまでの送風経路の長さを確保しつつ、本体部11のZ方向の寸法(長さ)を小さくすることができる。
【0087】
なお、本実施形態にかかるヘアドライヤ10のように、モータ153を、ヒータ191の配置領域Aと少なくとも部分的に重なる位置に配置した場合であっても、モータ153の周囲には空間CMが形成されているため、モータ153の温度上昇が抑えられる。
【0088】
(第1の実施形態のまとめ)
本実施形態にかかるヘアドライヤ10は、本体部11と、本体部11の正面側(Z1側)に設けられている複数の吹き出し口12aおよび12bとを備えている。本体部11の内部には、送風部150、送風経路、イオン発生器180などが設けられている。送風経路は、送風部150に連通するように設けられている。これにより、送風部150において生成された風は、送風経路に流入する。イオン発生器180は、送風経路内を通過する風にイオンを含有させるために設けられている。
【0089】
本実施形態にかかるヘアドライヤ10では、送風経路は、送風部150の出口(すなわち、通風路F2の前方側の端部)において、第1の送風経路FA、第2の送風経路FB、および第3の送風経路FCという複数の送風経路に分割されている。複数の送風経路のうち、第1の送風経路FAは第1の吹き出し口12aへつながっている。また、第2の送風経路FBは第2の吹き出し口12bへつながっている。
【0090】
送風部150の出口から各吹き出し口12aおよび12bへと向かう送風経路が分割されていることで、本体部11の寸法が増大することを抑えつつ、各吹き出し口へとつながる各送風経路の前後方向の距離(長さ)を確保することができる。これにより、製品の大きさ(特に、ファンから吹き出し口までの距離)の増大化を抑えつつ、各吹き出し口から良好な風を吹き出すことのできるヘアドライヤ10が得られる。
【0091】
また、ヘアドライヤ10では、送風部150のモータ153が、本体部11のZ方向においてヒータ191の配置領域Aに少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。そして、モータ153の周囲には、モータ冷却用の空間CMが設けられている。
【0092】
モータ153を、ヒータ191の配置領域Aと少なくとも部分的に重なる位置に配置することで、本体部11の寸法(特に、Z方向の寸法)が増大化することを抑えることができる。さらに、モータ153の周囲に空間CMが形成されているため、モータ153がヒータ191の配置領域Aと重なるように配置されている構成であっても、モータ153の温度上昇を抑えることができる。
【0093】
以上のように、本実施形態にかかるヘアドライヤ10によれば、送風部150のモータ153の温度上昇を抑えつつ、製品の寸法の増大化を抑えることができる。
【0094】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、ヒータ支持部材160に、送風経路と空間CMとを連通する開口部165が形成されている構成を例に挙げて説明している。しかし、本発明の一実施態様にかかるヘアドライヤでは、ヒータ支持部材(筒状部材)に開口部は形成されていなくてもよい。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態とは、空間CMへの風の流入経路が異なる構成について説明する。
【0095】
図17には、第2の実施形態にかかるヘアドライヤ210の本体部11の内部構成を示す。ヘアドライヤ210は、ヒータ支持部材260を有している。上述したように、ヒータ支持部材260には、第1の実施形態で説明したような開口部165は形成されていない。これ以外の構成については、第1の実施形態とほぼ同様の構成を適用することができる。そのため、詳しい説明は省略する。
【0096】
第1の実施形態と同様に、ヒータ支持部材260の内側には、モータ153が配置されている。ヒータ支持部材260の内周面とモータ153の外周面との間には、部分的に小さな空隙が形成されており、この空隙が、モータ冷却用の空間CMを形成している。
【0097】
本実施形態にかかるヘアドライヤ210では、第1の実施形態とは異なる経路で空間CM内に風が流入する。
図17には、モータ冷却用の空間CMを通過する風の流れを矢印で示す。また、
図17では、吸い込み口23から送風経路を通過して吹き出し口12aまたは12bへと至る風の流れを、主たる風の流れとして、モータ冷却用の風を示す矢印とは異なる種類の矢印で図示している。この風は、本体部の隙間などから流れ込む風である。
【0098】
例えば、
図17に示すように、本体部11内には、送風部150側から吹き出し口12aおよび12bへ向けて流れる風の他に、下方の把持部20側から少量の風が流入する。この風が、本体部11の正面側(Z1側)から空間CM内へ流入し、後方(Z2側)へ向けて流れる。そして、空間CM内を流れる風は、ヒータ支持部材260の後端部と、モータ固定部品152との隙間から第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FB内へ流入する。
【0099】
また別の例では、本体部11の正面部材(例えば、本体部11の正面部11aを構成する部材、把持部20の正面部20aを構成する部材)と側面部材(左側面部材2aおよび右側面部材2b)との隙間から空間CM内へ少量の風が流れ込む。
【0100】
以上のように、本実施形態にかかるヘアドライヤ210においては、モータ153が配置されている空間CM内に風の流れが形成される。これにより、モータ153の温度上昇を抑えることができる。
【0101】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、複数の吹き出し口を有し、各吹き出し口に対応して送風経路が複数に分割されている構成を例に挙げて説明している。しかし、本発明の一実施態様にかかるヘアドライヤでは、吹き出し口は一つであってもよい。そこで、第3の実施形態では、一つの吹き出し口を有しているヘアドライヤ310を例に挙げて説明する。
【0102】
図18には、第3の実施形態にかかるヘアドライヤ310の正面部11aの構成を示す。本実施形態にかかるヘアドライヤ310は、一つの吹き出し口312を有している。吹き出し口312は、正面部11aの外周に沿って略環状(一部が欠けた環状)に形成されている。言い換えると、吹き出し口312は、第1の実施形態における2つの吹き出し口12aおよび12bが一つにつながった形状を有している。
【0103】
また、図示はしていないが、本実施形態にかかるヘアドライヤ310では、送風部150の出口から吹き出し口312へと至る送風経路は、分割されておらず、一つの送風経路で構成されている。すなわち、本実施形態にかかるヘアドライヤ310には、第1の実施形態で説明したような第1風路分割部171が設けられていない。なお、第1の実施形態と同様に、第3の送風経路FCは設けられていてもよい。
【0104】
正面部11aに設けられた表示部30(運転モード表示部31および温度表示部32)は、第1の実施形態と同様の構成を有している。
【0105】
また、第3の実施形態にかかるヘアドライヤ310では、第1の実施形態と同様に、送風部150のモータ153が、本体部11のZ方向においてヒータ191の配置領域Aに少なくとも部分的に重なる位置に配置されている。そして、モータ153の周囲には、モータ冷却用の空間CMが設けられている。
【0106】
モータ153を、ヒータ191の配置領域Aと少なくとも部分的に重なる位置に配置することで、本体部11の寸法(特に、Z方向の寸法)が増大化することを抑えることができる。さらに、モータ153の周囲に空間CMが形成されているため、モータ153がヒータ191の配置領域Aと重なるように配置されている構成であっても、モータ153の温度上昇を抑えることができる。
【0107】
上記以外の構成については、第1の実施形態とほぼ同様の構成を適用することができる。そのため、詳しい説明は省略する。
【0108】
(まとめ)
本発明の一局面は、ヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10)に関する。このヘアドライヤは、本体部(例えば、本体部11)と、前記本体部内に設けられており、モータ(例えば、モータ153)を有する送風部(例えば、送風部150)と、前記送風部から少なくとも一つの吹き出し口(例えば、第1の吹き出し口12aおよび第2の吹き出し口12b、あるいは、吹き出し口312)にむかって設けられている送風経路(例えば、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FB)と、前記送風経路に配置されているヒータ(例えば、ヒータ191)とを備えている。前記モータは、前記本体部の前後方向(例えば、Z方向)において前記ヒータの配置領域(例えば、ヒータの配置領域A)に少なくとも部分的に重なる位置に配置されており、前記モータの周囲には、モータ冷却用の空間(例えば、空間CM)が設けられている。
【0109】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10)において、前記モータ(例えば、モータ153)の外周を少なくとも部分的に覆うように設けられている筒状部材(例えば、ヒータ支持部材160)を有し、前記筒状部材には、前記送風経路(例えば、第1の送風経路FAおよび第2の送風経路FB)と前記モータ冷却用の空間(例えば、空間CM)とを連通する開口部(例えば、開口部165)が設けられていてもよい。
【0110】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10)において、前記筒状部材(例えば、ヒータ支持部材160)は、第1の部材(例えば、後方部材161)と第2の部材(例えば、前方部材162)とを組み合わせて形成されており、前記開口部(例えば、開口部165)は、前記第1の部材と前記第2の部材との接続部分に設けられていてもよい。
【0111】
上記の本発明の一局面にかかるヘアドライヤ(例えば、ヘアドライヤ10)において、前記開口部(例えば、開口部165)には、前記モータ冷却用の空間(例えば、空間CM)へ風を誘導する風向制御部(例えば、張り出し部166)が設けられていてもよい。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
10 :ヘアドライヤ
11 :本体部
12a :第1の吹き出し口
12b :第2の吹き出し口
20 :把持部
30 :表示部
40 :操作部
150 :送風部
151 :遠心ファン
153 :モータ
160 :ヒータ支持部材(筒状部材)
161 :後方部材(第1の部材)
162 :前方部材(第2の部材)
165 :開口部
166 :張り出し部(風向制御部)
171 :第1風路分割部
173 :第2風路分割部
180 :イオン発生器
CM :空間(モータ冷却用の空間)
F1 :風発生部
F2 :通風路
FA :第1の送風経路
FB :第2の送風経路
FC :第3の送風経路