IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ギルドメイスター イタリアーナ ソシエタ ペル アチオニの特許一覧

<>
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図1
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図2
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図3
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図4
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図5
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図6
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図7
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図8
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図9
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図10
  • 特許-工作機械、特に旋盤 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】工作機械、特に旋盤
(51)【国際特許分類】
   B23B 3/16 20060101AFI20240711BHJP
   B23B 17/00 20060101ALI20240711BHJP
   B23B 21/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B23B3/16 Z
B23B17/00
B23B21/00 B
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019155695
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2020032528
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】18191544.8
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508122046
【氏名又は名称】ディー・エム・ジィ・モリ・ベルガモ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】DMG MORI BERGAMO S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ パッセリーニ
(72)【発明者】
【氏名】バルター ジナミ
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05078556(US,A)
【文献】特開平04-223831(JP,A)
【文献】特開2006-263861(JP,A)
【文献】特開平06-134601(JP,A)
【文献】特開平04-063648(JP,A)
【文献】特開平03-131441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 3/06、3/16
B23B 17/00
B23B 21/00
B23Q 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械、特に旋盤であって、
上方工具キャリヤ支持部(113)と、下方工具キャリヤ支持部(114)と、前記上方工具キャリヤ支持部と前記下方工具キャリヤ支持部との間に配置されたスピンドルキャリヤ部(112)と、を有する機械フレーム(110)と、
前記機械フレーム(110)の前記スピンドルキャリヤ部の上に、又はその高さに配置されたスピンドルキャリヤであって、ワークを受容するように構成されていると共に水平に配置されたスピンドル軸を有するメインスピンドル(121)を支持する、スピンドルキャリヤと、
1つ以上の工具キャリヤであって、各工具キャリヤは、前記機械フレーム(110)の前記上方工具キャリヤ支持部(113)又は前記下方工具キャリヤ支持部(114)のいずれかの上に配置された工具キャリヤアセンブリ(150)の上に支持されている、工具キャリヤと、を備え、
前記1つ以上の工具キャリヤを搭載可能な前記下方工具キャリヤ支持部(114)の下側面は、オーバーハングした傾斜を有するように配置されており、
前記1つ以上の工具キャリヤを搭載可能な前記上方工具キャリヤ支持部(113)の上側面は、水平面に対する前記水平面の上からの傾斜角が、前記水平面に対する前記水平面の下からの前記下方工具キャリヤ支持部(114)の前記下側面の傾斜角と実質的に等しい傾斜を有するように、配置されており、
前記工具キャリヤアセンブリ(150)は、前記上方工具キャリヤ支持部(113)及び前記下方工具キャリヤ支持部(114)上のガイド(113a;114a)上に取り付けられた第1のキャリヤ支持スライド(154)と、変更されたY軸に沿って移動され得るように前記第1のキャリヤ支持スライド(154)上に摺動可能に取り付けられた第2のキャリヤ支持スライド(151)と、を備え、前記変更されたY軸は、前記上方工具キャリヤ支持部(113)及び前記下方工具キャリヤ支持部(114)のそれぞれの傾斜と平行に延びることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記下方工具キャリヤ支持部(114)の前記下側面は、前記水平面に対して前記水平面の上から300~330度の範囲のオーバーハング傾斜角で、特に実質的に315度で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記上方工具キャリヤ支持部(113)の前記上側面は、前記水平面に対して前記水平面の上から30~60度の範囲の傾斜角で、特に実質的に45度で傾斜していることを特徴とする請求項に記載の工作機械。
【請求項4】
1つ以上の又は各々の工具キャリヤアセンブリ(150)が、前記工具キャリヤを前記メインスピンドル(121)の前記スピンドル軸に平行な方向に水平に移動させるためのZ軸移動方向と、前記工具キャリヤを前記メインスピンドル(121)の前記スピンドル軸に対して径方向に移動させるためのX軸移動方向と、前記工具キャリヤを前記メインスピンドル(121)の前記スピンドル軸に対して垂直な方向に且つ前記メインスピンドル(121)のX軸移動に対して垂直に、移動させるためのY軸移動方向と、のうちの少なくとも1つを含む1つ以上の直線方向にそれぞれの工具キャリヤを独立して移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
1つ以上の又は各々の工具キャリヤアセンブリ(150)が、前記メインスピンドルの前記スピンドル軸に対して垂直に延びる回転軸の周りに、特にB軸移動によって、それぞれの前記工具キャリヤを回転させるように構成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項6】
前記機械フレーム(110)の前記スピンドルキャリヤ部上に配置され、前記メインスピンドル(121)に面するカウンタースピンドル(141)を支持し、ワークを受容するように構成されたカウンタースピンドルキャリヤ(140)を更に含み、前記カウンタースピンドル(141)は、前記メインスピンドルの前記スピンドル軸と同軸に配置された水平に配置されたスピンドル軸を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項7】
前記メインスピンドルキャリヤ(120)及び/又は前記カウンタースピンドルキャリヤ(140)は、前記機械フレーム(110)の前記スピンドルキャリヤ部上に配置された水平ガイドに沿って、前記メインスピンドル及び前記カウンタースピンドルの前記スピンドル軸と平行な水平方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の工作機械。
【請求項8】
前記カウンタースピンドルキャリヤ(140)は、前記スピンドル軸に対して横方向又は垂直な前記カウンタースピンドル(141)の移動を駆動するために、前記カウンタースピンドル(141)を支持するスピンドルスライドを支持することを特徴とする請求項又はに記載の工作機械。
【請求項9】
前記機械フレーム(110)の前記スピンドルキャリヤ部上に配置され、特に、補助中空スピンドル(131)によってクランプされた前記ワークの機械加工を、前記クランプ状態の如何なる解放をも伴うことなく可能とするよう、特に、前記ワークが補助スピンドルキャリヤ(130)の両側で前記補助中空スピンドル(131)から外へ延びるよう、前記メインスピンドル(121)の前記スピンドル軸と同軸にワークを受容及び案内するように構成された前記補助中空スピンドル(131)を支持する前記補助スピンドルキャリヤ(130)を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項10】
前記補助スピンドルキャリヤ(130)は、前記機械フレーム(110)の前記スピンドルキャリヤ部上に配置された水平ガイドに沿って、前記メインスピンドル(121)の前記スピンドル軸と平行な水平方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の工作機械。
【請求項11】
前記補助スピンドルキャリヤ(130)は、前記メインスピンドルキャリヤ(120)と前記カウンタースピンドルキャリヤ(140)との間に配置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の工作機械。
【請求項12】
前記補助中空スピンドル(131)は、前記補助中空スピンドル(131)に受容された前記ワークをクランプするための電気的、油圧的及び/又は空気圧的に制御されるクランプユニットと、前記クランプユニットによってクランプされた前記ワークの回転運動を駆動するための駆動装置とを含むことを特徴とする請求項11のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項13】
前記駆動装置は、電気的又は電磁的な直接駆動機構を含むことを特徴とする請求項12に記載の工作機械。
【請求項14】
前記補助スピンドルキャリヤ(130)は、前記スピンドル軸に対して横方向又は垂直な前記補助中空スピンドル(131)の移動を駆動するために、前記補助中空スピンドル(131)を支持するスピンドルスライドを支持することを特徴とする請求項13のいずれか1項に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、工作機械、特に旋盤又はタレット旋盤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば旋盤又はタレット旋盤のような汎用型の工作機械は、典型的に、互いに向き合い、平行又は同軸のスピンドル軸を有する少なくとも2つの回転可能に取り付けられたワークスピンドルを備えることができる機械フレームを備え、ワークスピンドルは、工作機械上で機械加工されるワークを受容することができる。機械加工のための工具を提供するために、工具キャリヤが供給され、この工具キャリヤは、通常、可動の工具キャリヤスライド、特に複合スライド上で利用可能とされ、これらは、機械フレームに配置され、ワークスピンドルに対して1つ以上の直線軸によって移動され得る(一例として、例えばX、Y又はZ方向のような3つの方向に移動され得る)。この型のそのような工作機械は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3又は特許文献4から知られている。
【0003】
一般に、この型の工作機械は、可能であれば同時に使用できる可能な限り多数の工具と、コンパクト且つコスト効率が高い一方で堅固な工作機械の設計を伴うワークスピンドルに受容されたワークと工具との間の相対運動の制御に関する可能な限り高いレベルのフレキシビリティと、工作機械の作業者又はオペレータが可能な限り良好にアクセスすることができる機械加工領域とによって、ワークの効率的な機械加工を可能とするように提供されることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第2714307号明細書
【文献】欧州特許第2714308号明細書
【文献】欧州特許第2714309号明細書
【文献】欧州特許第2714310号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、可能であれば同時に使用できる可能な限り多数の工具と、コンパクト且つコスト効率が高い一方で堅固な工作機械の設計を伴うワークスピンドルに受容されたワークと工具との間の相対運動の制御に関する可能な限り高いレベルのフレキシビリティと、工作機械の作業者又はオペレータが可能な限り良好にアクセスすることができる機械加工領域とによって、ワークのより効率的な機械加工を可能とするよう、汎用型の工作機械を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的に鑑みて、本発明は、請求項1による工作機械、特に旋盤を提案する。従属請求項は、好ましい例示的な実施形態に関する。
【0007】
例示的な態様によれば、工作機械、特に旋盤は、上方工具キャリヤ支持部と、下方工具キャリヤ支持部と、上方工具キャリヤ支持部と下方工具キャリヤ支持部との間に配置されたスピンドルキャリヤ部と、を有する機械フレームと、機械フレームのスピンドルキャリヤ部の上に又はその高さに配置されたスピンドルキャリヤであって、ワークを受容するように構成されていると共に水平に配置されたスピンドル軸を有するメインスピンドルを支持するスピンドルキャリヤと、1つ以上の工具キャリヤであって、各工具キャリヤは、機械フレームの上方工具キャリヤ支持部又は下方工具キャリヤ支持部のいずれかに配置された工具キャリヤアセンブリ上に支持されている、工具キャリヤと、を備えることができる。
【0008】
工具キャリヤは異なるタイプの機械加工ヘッドを備えることができ、特に、(例えば、タレット、研削ホイール、歯車ホブデバイス等のような)異なるタイプの機械加工ヘッドは、それぞれ、各工具キャリヤに取り付けられ得る。上方工具キャリヤ支持部上に支持される1つ又は2つの工具キャリヤがあってもよく、及び/又は、下方工具キャリヤ支持部上に支持される1つ又は2つの工具キャリヤがあってもよい。
【0009】
1つ以上の工具キャリヤを搭載可能な下方工具キャリヤ支持部の下側面は、例示的にオーバーハングした傾斜を有するように配置されている。
【0010】
好ましくは、下方工具キャリヤ支持部の下側面は、300~330度(換言すれば-60~-30度)の範囲のオーバーハング傾斜角で、特に実質的に315度(換言すれば実質的に-45度)で傾斜している。
【0011】
好ましくは、1つ以上の工具キャリヤを搭載可能な上方工具キャリヤ支持部の上側面は、傾斜を有するように配置されている。
【0012】
好ましくは、上方工具キャリヤ支持部の上側面は、30~60度の範囲の傾斜角で、特に実質的に45度で傾斜している。
【0013】
好ましい例示的な実施形態では、1つ以上の工具キャリヤを搭載可能な上方工具キャリヤ支持部の上側面は、水平面の上からの水平面に対する傾斜角が、水平面の下からの水平面に対する下方工具キャリヤ支持部の下側面の傾斜と実質的に同じ傾斜角の傾斜を有するように配置されている。換言すれば、下方工具キャリヤ支持部の下側面の(負の)オーバーハング傾斜角の絶対値は、好ましくは、上方工具キャリヤ支持部の上側面の傾斜角と実質的に等しい。これによって、工作機械のフレームの完全な対称性を実現することができ、そのために、上方及び下方工具キャリヤ支持部上に配置された(タレット、研削ホイール、歯車ホブデバイスなどのような)上方及び下方機械加工ヘッドの両方から、等しい機械加工性能を達成することができるという利点が得られる。
【0014】
好ましくは、上方工具キャリヤ支持部の上側面の傾斜と、下方工具キャリヤ支持部の下側面のオーバーハング傾斜とは、互いに対して実質的に90度に配置され、好ましくは、上方工具キャリヤ支持部の上側面の傾斜角が実質的に45度であり、下方工具キャリヤ支持部の下側面の傾斜角が実質的に315度(又は換言すれば-45度)であるように配置される。
【0015】
好ましくは、1つ以上の又は各々の工具キャリヤアセンブリは、工具キャリヤをメインスピンドルのスピンドル軸に平行な方向に水平に移動させるためのZ軸移動方向と、工具キャリヤをメインスピンドルのスピンドル軸に対して横方向又は垂直に、特に好ましくは径方向に移動させるためのX軸移動方向と、工具キャリヤをX軸方向に対して垂直又は横方向に、メインスピンドルのスピンドル軸に対して横方向又は垂直な方向に移動させるためのY軸移動方向と、のうちの少なくとも1つを含む1つ以上の直線方向にそれぞれの工具キャリヤを独立して移動させるように構成されている。
【0016】
好ましくは、X軸移動方向又はY軸移動方向の方向は、メインスピンドルのスピンドル軸に対して垂直に且つ下方工具キャリヤ支持部の下側面の傾斜及び/又は上方工具キャリヤ支持部の上側面の傾斜に平行に配置されている。
【0017】
好ましくは、1つ以上の又は各々の工具キャリヤアセンブリは、メインスピンドルのスピンドル軸に対して垂直に延びる回転軸の周りに、特にB軸移動によって、それぞれの工具キャリヤを回転させるように構成されている。好ましくは、回転軸は、スピンドル軸に対して横方向又は垂直に配置されている。
【0018】
好ましくは、工作機械は、機械フレームのスピンドルキャリヤ部上に配置され、メインスピンドルに面するカウンタースピンドルを支持し、ワークを受容するように構成されたカウンタースピンドルキャリヤを更に含み、カウンタースピンドルは、メインスピンドルのスピンドル軸と同軸に配置された水平に配置されたスピンドル軸を有する。
【0019】
好ましくは、メインスピンドルキャリヤ及び/又はカウンタースピンドルキャリヤは、機械フレームのスピンドルキャリヤ部上に配置された水平ガイドに沿って、メインスピンドル及びカウンタースピンドルのスピンドル軸と平行な水平方向に移動するように構成されている。
【0020】
好ましくは、カウンタースピンドルキャリヤは、スピンドル軸に対して横方向又は垂直なカウンタースピンドルの移動を駆動するために、カウンタースピンドルを支持するスピンドルスライドを支持する。
【0021】
好ましくは、工作機械は、機械フレームのスピンドルキャリヤ部上に配置され、特に、補助中空スピンドルによってクランプされたワークの機械加工を、クランプ状態の如何なる解放をも伴うことなく可能とするよう、特に、ワークが補助スピンドルキャリヤの両側で補助中空スピンドルから外へ延びるよう、メインスピンドルのスピンドル軸と同軸にワークを受容及び案内するように構成された補助中空スピンドルを支持する補助スピンドルキャリヤを、更に含む。
【0022】
上記態様は、工作機械で使用するための独立した態様として提供され得ることに留意されたい。すなわち、工作機械での使用のための補助スピンドルアセンブリを独立して提案することができ、この補助スピンドルアセンブリは、工作機械の機械フレームのスピンドルキャリヤ部上に配置されるように構成された補助スピンドルキャリヤを含むことができ、補助スピンドルキャリヤは、特に、補助中空スピンドルによってクランプされたワークの機械加工を、クランプ状態の如何なる解放をも伴うことなく可能とするよう、特に、ワークが補助スピンドルキャリヤの両側で補助中空スピンドルから外へ延びるよう、メインスピンドルのスピンドル軸と同軸にワークを受容及び案内するように構成された補助中空スピンドルを支持する。そのような補助スピンドルは、受容されたワークの回転を駆動するために、例えばダイレクトドライブのようなスピンドルドライブを含んでもよい。例示的な態様によれば、工作機械、特に旋盤が提供されることができ、これは、機械フレーム、(メインスピンドル及び/又はカウンタースピンドルのような)1つ以上のスピンドル、及び、補助スピンドルアセンブリを備えることができ、補助スピンドルアセンブリは工作機械の機械フレームのスピンドルキャリヤ部上に配置された補助スピンドルキャリヤを含むことができ、補助スピンドルキャリヤは、特に、補助中空スピンドルによってクランプされたワークの機械加工を、クランプ状態の如何なる解放をも伴うことなく可能とするよう、特に、ワークが補助スピンドルキャリヤの両側で補助中空スピンドルから外へ延びるよう、メインスピンドルのスピンドル軸と同軸にワークを受容及び案内するように構成された補助中空スピンドルを支持する。
【0023】
好ましくは、補助スピンドルキャリヤは、機械フレームのスピンドルキャリヤ部上に配置された水平ガイドに沿って、メインスピンドルのスピンドル軸と平行な水平方向に移動するように構成されている。
【0024】
好ましくは、補助スピンドルキャリヤは、メインスピンドルキャリヤとカウンタースピンドルキャリヤとの間に配置されている。
【0025】
好ましくは、補助中空スピンドルは、補助中空スピンドルに受容されたワークをクランプするための電気的、油圧的及び/又は空気圧的に制御されるクランプユニットと、クランプユニットによってクランプされたワークの回転運動を駆動するための駆動装置とを含む。
【0026】
好ましくは、補助中空スピンドルは、1つ以上のクランプ状態でワークをクランプすることができ、また、ワークが中空スピンドル内で自由に摺動可能である解放状態に切り替わることができる。クランプ状態は、堅固なクランプ状態(ロック状態)、及び/又は、ワークが中空スピンドル内で案内されるが、依然としてスピンドル軸方向にスライドさせることができる、あまり締め付けられていないクランプ状態を含むことができる。
【0027】
好ましくは、駆動装置は、電気的又は電磁的な直接駆動機構を含む。他の例示的な実施形態では、駆動部が、例えば歯車機構を含む従来の駆動機構として実現されてもよい。
【0028】
好ましくは、いくつかの例示的な実施形態において、補助スピンドルキャリヤは、スピンドル軸に対して横方向又は垂直な補助中空スピンドルの移動を駆動するために、補助中空スピンドルを支持するスピンドルスライドを支持する。
【0029】
好ましくは、他の例示的な実施形態において、工作機械は、機械フレームの上方又は下方工具キャリヤ部上に配置され、特に、補助中空スピンドルによってクランプされた工作物の機械加工を、クランプ状態の如何なる解放をも伴うことなく可能とするよう、特に、ワークが補助スピンドルキャリヤの両側で補助中空スピンドルから外へ延びるよう、メインスピンドルのスピンドル軸と同軸にワークを受容及び案内するように構成された補助中空スピンドルを支持する補助スピンドルキャリヤを、更に含む。
【0030】
好ましくは、補助スピンドルキャリヤは、機械フレームの上方又は下方工具キャリヤ部上に配置された水平ガイドに沿って、メインスピンドルのスピンドル軸と平行な水平方向に移動するように構成されている。
【0031】
好ましくは、そのような例示的な実施形態でも、補助スピンドルキャリヤは、メインスピンドルキャリヤとカウンタースピンドルキャリヤとの間に配置されている。
【0032】
好ましくは、そのような例示的な実施形態においても、補助スピンドルキャリヤは、スピンドル軸に対して横方向又は垂直な補助中空スピンドルの移動を駆動するために、補助中空スピンドルを支持するスピンドルスライドを支持する。
【0033】
更なる例示的な実施形態では、工作機械は2つの補助中空スピンドル、例えば、メインスピンドルに対向して配置されたもの、及び、カウンタースピンドルに対向して配置されたものを含むことができ、好ましくは、両方の補助中空スピンドルは、メインスピンドルとカウンタースピンドルとの間に配置される。
【0034】
好ましくは、両方の補助中空スピンドルは、スピンドル軸の方向に水平に移動するように構成されており、2つの補助中空スピンドルは、それぞれ、1つの補助中空スピンドルの場合について上述したように配置することができる。
【0035】
具体的には、補助スピンドルキャリヤは、両方ともスピンドルキャリヤ部上に配置されてもよい。また、補助スピンドルキャリヤの各々は、スピンドルキャリヤ部、上方工具キャリヤ部及び/又は下方工具キャリヤ部に配置されてもよい。いくつかの例示的な態様において、一方の補助スピンドルキャリヤが上方の工具キャリヤ部上に配置され、他方の補助スピンドルキャリヤが下方の工具キャリヤ部上に配置されてもよい。更に、補助中空スピンドルの一方又は両方は、スピンドル軸に対して横方向又は垂直にも移動するように構成することができる。
【0036】
一般に、ワークは、バーローダー、バーフィーダー及び/又はハンドリングロボットのようなワーク搭載装置によって、工作機械に搭載することができることに留意されたい。機械加工されたワークは、取り卸し装置、例えばハンドリングロボットによって取り外すことができる。
【0037】
特定の例示的な態様が以上で記述されてきたが、そのような態様は広義の発明の理解を助けるものにすぎず、これを制限するものではなく、また、発明の実施形態は、以上の段落で示されたものに加えて様々な他の変更、組み合わせ、省略、改良及び置換が可能であるから、図示され記述された特定の構造及び配置に限定されないことが、理解されるべきである。当業者は、上述した態様の様々な適合、改良及び/又は組み合わせが構成され得ることを、正しく理解するであろう。したがって、さらなる態様が、ここに具体的に記載された以外に実施され得ることが、理解されるべきである。当業者は、この開示を考慮して、ここに記載された様々な態様が、本開示の他の態様を形成するために組み合わされ得ることをも、正しく理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の例示的な実施形態による工作機械の概略的な斜視図を例示的に示している。
図2図1の工作機械の機械フレームの概略的な斜視図を例示的に示している。
図3】ワークスピンドルが取り付けられた状態の、図2の機械フレームの概略的な斜視図を例示的に示している。
図4】例示的な実施形態による工具キャリヤアセンブリの概略的な斜視図を例示的に示している。
図5図1の工作機械の機械フレームを通る概略的な断面図を例示的に示している。
図6】本発明の別の例示的な実施形態による工作機械の概略的な斜視図を例示的に示している。
図7図6の工作機械の機械フレームの概略的な斜視図を例示的に示している。
図8図6の工作機械の機械フレームを通る概略的な断面図を例示的に示している。
図9】例示的な実施形態によるモジュール式工具キャリヤアセンブリシステムのモジュールの概略的な斜視図を例示的に示している。
図10】例示的な実施形態による補助中空スピンドルの概略的な断面図を例示的に示している。
図11】例示的な実施形態による補助中空スピンドルの断面図を例示的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下において、好ましい態様及び例示的な実施形態が、添付図面を参照してより詳細に説明される。異なる図面及び実施形態における同一又は類似の特徴は、類似の参照番号によって参照される。様々な好ましい態様及び好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明は、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0040】
図1は、本発明の例示的な実施形態による工作機械100の概略的な斜視図を例示的に示している。
【0041】
例示的にタレット旋盤として実現された工作機械100は、例示的に4つの工具キャリヤアセンブリ150を支持する機械フレーム110と、メインスピンドルキャリヤ120によって支持されたワーク担持メインスピンドル121と、カウンタースピンドルキャリヤ140によって支持されたワーク担持カウンタースピンドル141とを備える。
【0042】
図2は、図1の工作機械100の機械フレーム110の概略的な斜視図を例示的に示している。
【0043】
機械フレーム110は、例示的に2つの機械スタンド部111a及び111bの上に立っており、機械フレーム110のキャリヤ支持部は、例示的に機械スタンド部111a及び111bの間に形成されていると共に、これらによって保持されている。
【0044】
機械フレーム110は、例示的に上方支持部113及び下方支持部114を有し、これら両者は、例示的に2つの機械スタンド部111aと111bとの間で水平に延びている。機械フレーム110の前方支持部112は、上方支持部113と下方支持部114との間に形成されており、前方支持部112は2つの機械スタンド部111aと111bとの間で水平に延びている。
【0045】
機械フレーム110の前方支持部112は、例示的に鉛直に配置された前面を有する。機械フレーム110の上方支持部113の上側面は、傾斜面に、例示的に(例えば、機械フレーム110が機械スタンド部111a及び111bで立っている作業場の床に対して)実質的に45度の傾斜角で配置されている。機械フレーム110の下方支持部114の下側面は、オーバーハングした傾斜面に、(例えば、機械フレーム110が機械スタンド部111a及び111bで立っている作業場の床に対して)例示的に実質的に315度の傾斜角で、配置されている。
【0046】
他の例示的な実施形態では、機械フレーム110の上方支持部113の上側面の傾斜角は、30~60度の範囲であってもよい。同様に、機械フレーム110の下方支持部114の下側面の傾斜角は、300~330度の範囲であってもよい。具体的には、上方支持部113と下方支持部114との間に形成される角度は、実質的に90度であることが好ましい。
【0047】
スピンドル間の機械加工領域において機械フレーム110の上側に工具キャリヤアセンブリ150を摺動可能に支持するために、機械フレーム110の上方支持部113は、水平に延びるガイド113aを有する。スピンドル間の機械加工領域において機械フレーム110の下側に工具キャリヤアセンブリ150を摺動可能に支持するために、機械フレーム110の下方支持部114は、水平に延びるガイド114aを有する。カウンタースピンドルキャリヤ140及び補助スピンドルキャリヤ130を摺動可能に支持するために、機械フレーム110の前側に向いた前方支持部112は、水平に延びるガイド112aを有する。
【0048】
図3は、ワークスピンドルが取り付けられた状態の、図2の機械フレーム100の概略的な斜視図を例示的に示している。
【0049】
機械フレーム110は、例示的に機械スタンド部111aの前面側の左前側、及び、例示的に前方支持部112の高さに、例示的に前方支持部112上のガイド112a上を水平に案内されるメインスピンドルキャリヤ120を担持している。メインスピンドルキャリヤ120は、ワーク担持メインスピンドル121を含んでおり、当該ワーク担持メインスピンドル121は、バーのような細長いワークを受容すると共に、そのスピンドル軸の周りで受容されたワークを回転させるように構成されている。例示的に、メインスピンドル121は、そのスピンドル軸が水平方向に延びるように配置されている。
【0050】
更に、例示的に、カウンタースピンドルキャリヤ140は、ガイド112a上で前方支持部112に摺動可能に取り付けられている。機械フレーム110は、ワーク担持カウンタースピンドル141を含むカウンタースピンドルキャリヤ140を担持しており、ワーク担持カウンタースピンドル141は、バーのような細長いワークを受容すると共に、そのスピンドル軸の周りで受容されたワークを回転させるように構成されている。例示的に、カウンタースピンドル141は、そのスピンドル軸が水平方向に延びるように配置されている。
【0051】
具体的には、カウンタースピンドル141は、例示的に、そのスピンドル軸がメインスピンドル121のスピンドル軸に対して同軸に配置され水平方向に延びる状態で、メインスピンドル121と対向して配置されている。したがって、カウンタースピンドル141は、例えばワークの後端を機械加工することを可能とするために、メインスピンドル121からワークを引き継ぐべく、メインスピンドル121に受容されたワークを受容するため、メインスピンドル121に向かって水平に移動され得る。
【0052】
更に、例示的に、任意の補助スピンドルキャリヤ130が、メインスピンドルキャリヤ120とカウンタースピンドルキャリヤ140との間で、前方支持部112に摺動可能に取り付けられており、例示的に前方支持部112のガイド112a上で、すなわち例示的にカウンタースピンドルキャリヤ140を支持する同じガイド112a上で、水平に案内される。
【0053】
機械フレーム110は、補助中空スピンドル131を含む(又は少なくとも支持する)任意の補助スピンドルキャリヤ130を担持しており、補助中空スピンドル131は、バーのような細長いワークを受容すると共に、その案内回転軸の周りにおける受容されたワークの回転を支持及び/又は案内するように構成されている。例示的に、補助中空スピンドル131は、その案内回転軸(補助スピンドル軸)が水平方向に延びるように配置されている。補助中空スピンドル131は、ワークをクランプ/保持しワークの回転を駆動するスピンドルとして作用することができ、また、メインスピンドル及びカウンタースピンドルの一方又は両方にクランプされたワークの回転を案内する回転ガイドブッシュとしても作用することができる。
【0054】
具体的には、任意の補助中空スピンドル131は、例示的に、ガイド112a上で、その案内回転軸がメインスピンドル121及びカウンタースピンドル141のスピンドル軸に対して同軸に配置され水平方向に延びる状態で、メインスピンドル121とカウンタースピンドル141との間に配置されている。
【0055】
したがって、補助中空スピンドル131は、例えば工具によって加えられる力に起因するワークの曲がりを防止すべく、メインスピンドル121に受容されたワークを受容し、それを案内及び/又は支持するために、あるいは、例えば工具によって加えられる力に起因するワークの曲がりを防止すべく、カウンタースピンドル141に受容されたワークを受容し、それを案内及び/又は支持するために、メインスピンドル121とカウンタースピンドル141との間の範囲内で水平に移動され得る。
【0056】
再び図1に戻ると、4つの工具キャリヤアセンブリ150が、スピンドル121と141との間の機械加工領域において、機械フレーム110の上方及び下方支持部上に配置されていることが例示的に示されている。具体的には、2つの工具キャリヤアセンブリ150が、例示的に、ガイド113a上で、機械フレーム110の上方支持部113上に摺動可能に配置されており、2つの工具キャリヤアセンブリ150が、例示的に、ガイド114a上で、機械フレーム110の下方支持部114上に摺動可能に配置されている。
【0057】
工具キャリヤアセンブリ150の数は変更可能であり、他の構成も提供され得ることに留意されたい。4つの工具キャリヤアセンブリ150(2つの上方アセンブリ及び2つの下方アセンブリ)を有する実施形態は、異なるワーク又は同じワークの異なる部位を同時に機械加工するための高い機械加工フレキシビリティを与え、また多くの工具タイプを提供する。
【0058】
しかしながら、4つ未満の工具キャリヤアセンブリ150、例えば、ただ1つの上方工具キャリヤアセンブリ、2つの上方工具キャリヤアセンブリ、ただ1つの下方工具キャリヤアセンブリ、2つの下方工具キャリヤアセンブリ、1つの上方工具キャリヤアセンブリ及び1つの下方工具キャリヤアセンブリ、1つの上方工具キャリヤアセンブリ及び2つの下方工具キャリヤアセンブリ、又は、2つの上方工具キャリヤアセンブリ及び1つの下方工具キャリヤアセンブリを設けることも可能である。例えば、工具キャリヤアセンブリは、機械加工プロセスの要求に従って、例えば、顧客の好み及び要求に基づいて、取り付けることができる。
【0059】
各工具キャリヤアセンブリ150は、上方及び下方支持部113又は114のそれぞれのガイド113a又は114aに沿って水平に移動可能であるように、摺動可能に取り付けられることができる。そのような移動方向は、典型的にはZ方向と呼ばれ、各工具キャリヤアセンブリ150は、それぞれの数値制御可能なZ軸を介して移動可能であってもよい。
【0060】
加えて、工具キャリヤアセンブリ150は、例示的に、スピンドル131又は141のいずれかに受容されたワークを機械加工するための1つ以上の工具を有する工具マウントを担持するように構成されており、更に例示的に、工具マウントを鉛直に移動させるような鉛直軸(すなわち、同軸に配置されたスピンドル軸の方向に対して垂直)を含む、2つの更なる直線軸を有するように構成されている。そのような鉛直移動方向は、典型的にはX方向と呼ばれ、各工具キャリヤアセンブリ150は、それぞれの数値制御可能なX軸を介して移動可能であってもよい。
【0061】
別の第3の直線軸移動が、各工具キャリヤアセンブリ150に対して、工具マウントを第3の方向に移動させるような別の水平な又は傾斜した軸として設けられてもよく、この第3の方向は、例示的に、同軸に配置されたスピンドル軸の方向に対して垂直に配置され、水平に配向されているか、又は、水平面に対して傾斜している。いずれの場合も、そのような更なる直線軸移動方向は、好ましくは鉛直軸移動方向に対して垂直に又は横方向に配置される。水平に配置された又は傾斜した、そのような第3の移動方向は、典型的にはY方向と呼ばれ、各工具キャリヤアセンブリ150はそれぞれの数値制御可能なY軸を介して移動可能であってもよい。
【0062】
図4は、例示的な実施形態による工具キャリヤアセンブリ150の概略的な斜視図を例示的に示している。例示的に、工作機械100の機械フレーム110上に配置された1つ、2つ、3つ又は4つの工具キャリヤアセンブリ150は全て、同様に実現することができる。
【0063】
工具キャリヤアセンブリ150は、機械フレーム110の上方及び下方支持部113又は114のガイド113a又は114aに摺動可能に取り付けられるように構成されたキャリヤ支持スライド151を含む。したがって、ガイド113a上で上方支持部113の頂部に取り付けられた場合、キャリヤ支持スライド151は、スピンドル121及び141の水平且つ同軸に配置されたスピンドル軸と平行に、ガイド113a上でこれに沿って水平方向(Z軸)に、水平に移動されるように構成されている。これに対して、ガイド114aにおいてオーバーハングした下方支持部114に吊り下げられた状態で取り付けられた場合、キャリヤ支持スライド151は、スピンドル121及び141の水平且つ同軸に配置されたスピンドル軸と平行に、ガイド114aに沿って水平方向(Z軸)に、水平に移動されるように構成されている。
【0064】
工具キャリヤアセンブリ150のキャリヤ支持スライド151の、スピンドル121と141との間の工作機械100の機械加工領域に面する前側には、工具キャリヤ支持スライド152がキャリヤ支持スライド151に摺動可能に取り付けられている。工具キャリヤ支持スライド152は、キャリヤ支持スライド151の前面上で鉛直方向(X軸)に配置された鉛直ガイド上でこれに沿って鉛直に移動されるように構成されている。
【0065】
工具キャリヤアセンブリ150の工具キャリヤ支持スライド152の、スピンドル121と141との間の工作機械100の機械加工領域に面する前側には、例示的に工具キャリヤ支持スライド152の前側から工作機械100の機械加工領域へ鉛直に延びる、水平に配置された工具キャリヤクイル153(図1には示されていない)が例示的に設けられており、工具キャリヤは工具キャリヤクイル153の前側端部に取り付けられる。
【0066】
例示的な実施形態では、任意で、工具キャリヤクイル153が、Y方向(好ましくは、スピンドル121及び141のスピンドル軸の方向に対して垂直)において工作機械100の前方に向かって(Y軸)水平に制御可能に移動するよう、工具キャリヤ支持スライド152に取り付けられることができる。他の例示的な実施形態では、工具キャリヤクイル153が、Y方向(好ましくは、スピンドル121及び141のスピンドル軸の方向に対して垂直)において工作機械100の前方に向かって(Y軸)水平に移動可能であるように構成された要素を含むことができる。
【0067】
図1及び4に示されるような上記配置によって、工具キャリヤアセンブリ150は、工具キャリヤ、例えば、1つ以上の工具を保持する工具ホルダを担持するように構成されており、更に、例示的に鉛直に且つ水平に配置されたスピンドル軸の方向に対して垂直に延在するX方向、例示的に水平に且つ水平に配置されたスピンドル軸の方向に対して垂直に延在するY方向、及び、例示的に水平に且つ水平に配置されたスピンドル軸の方向と平行に延在するZ方向を含む、3つの独立した移動方向に工具キャリヤを制御可能に移動するように構成されている。したがって、工具キャリヤアセンブリ150は、例示的に、3つの独立した制御可能な直線軸、すなわち、X軸、Y軸及びZ軸を備えるように構成されている。
【0068】
更に、任意に、工具キャリヤクイル153は、工具キャリヤアセンブリ150に取り付けられた工具キャリヤの、工具キャリヤクイル153の水平に配置された長手方向軸の周りの、すなわちX方向に延びる回転軸の周りの回転運動を制御するように、回転駆動されるB軸を更に含むように構成されてもよい。
【0069】
図5は、図1の工作機械100の機械フレーム110を通る概略的な断面図を例示的に示している。工作機械100の機械フレーム110の断面形状は、例示的に、90度回転された等脚等角台形の形状を含む。他の実施形態では、形状は異なっていてもよく、回転角度は異なっていてもよい。
【0070】
図5は、機械フレーム110の前方支持部112が、例示的に鉛直に配置された前面を有することを示している。スピンドルキャリヤケース120は、前方支持部112の高さで、工作機械100の前側に取り付けられている。前方支持部112は、更に、水平に延びるガイド112aを支持し、このガイド上に、カウンタースピンドルキャリヤ140及び/又は補助スピンドルキャリヤ130が、摺動可能に取り付けられ得る(図5には示されていない)。
【0071】
上述したように、機械フレーム110の上方支持部113の上側面は、傾斜面に、例示的に(例えば、機械フレーム110が機械スタンド部111a及び111bで立っている作業場の床に対して)実質的に45度の傾斜角で配置されている。上述したように、他の例示的な実施形態では、機械フレーム110の上方支持部113の上側面の傾斜角は、30~60度の範囲であってもよい。
【0072】
スピンドル間の機械加工領域において、機械フレーム110の上側で、工具キャリヤアセンブリ150を摺動可能に支持するために、機械フレーム110の上方支持部113は、水平に延びるガイド113aを有し、このガイド上に、上方の工具キャリヤアセンブリ150が取り付けられている。上方の工具キャリヤアセンブリ150は、水平(Z軸)に、スピンドル軸の方向と平行に(すなわち、図5の描画平面に対して垂直に)移動されることができる。
【0073】
機械フレーム110の下方支持部114の下側面は、オーバーハングした傾斜面に、例示的に(例えば、機械フレーム110が機械スタンド部111a及び111bで立っている作業場の床に対して)実質的に315度の傾斜角で配置されている。同様に、機械フレーム110の下方支持部114の下側面の傾斜角は、300~330度の範囲であってもよい。具体的には、上方支持部113と下方支持部114との間に形成される角度が実質的に90度であると、好ましい。
【0074】
スピンドル間の機械加工領域において、機械フレーム110の下側で、工具キャリヤアセンブリ150を吊り下げられた状態で摺動可能に保持するために、機械フレーム110の下方支持部114は、水平に延びるガイド114aを有し、このガイド上に、下方の工具キャリヤアセンブリ150が吊り下げられた状態で取り付けられている。下方の工具キャリヤアセンブリ150は、水平(Z軸)に、スピンドル軸の方向と平行に(すなわち、図5の描画平面に対して垂直に)移動され得る。
【0075】
図5に見られるように、機械フレーム110の下方支持部114の下側面が、下方の工具キャリヤアセンブリ150を吊り下げられた状態で支持及び保持するために、オーバーハングした傾斜面に配置されていることの利点は、機械加工中にワークから落下する切屑が、下方の工具キャリヤアセンブリ150の支持構造によって妨害されることなく落下し得るよう、下方の工具キャリヤアセンブリ150のスライド及び支持構造が、スピンドルの下方の機械加工領域内に延びないよう、オーバーハングした下方支持部114の下方に隠れることができることである。
【0076】
例示的に、図5では、上方の工具キャリヤアセンブリ150は工具タレット1を担持し、下方の工具キャリヤアセンブリ150は研削工具又はフライス工具のような工具を保持し駆動する機械加工ヘッド2を担持している。
【0077】
図6は、本発明の別の例示的な実施形態による工作機械200の概略的な斜視図を例示的に示している。図7は、図6の工作機械200の機械フレーム110の概略的な斜視図を例示的に示している。
【0078】
工作機械200は、上記の工作機械100と比較して、工具キャリヤアセンブリ150の異なる構成によって異なっている。説明は、上記の工作機械100と比較した場合の相違点に重点を置くが、説明されない態様は同様に実現される、又はされ得る。
【0079】
ここでも、機械フレーム110は、例示的に2つの機械スタンド部111a及び111bの上に立っており、機械フレーム110のキャリヤ支持部は、例示的に機械スタンド部111a及び111bの間に形成されていると共に、これらによって保持されている。機械フレーム110は、例示的に上方支持部113及び下方支持部114を有し、これら両者は、例示的に2つの機械スタンド部111aと111bとの間で水平に延びている。機械フレーム110の前方支持部112は、上方支持部113と下方支持部114との間に形成されており、前方支持部112は2つの機械スタンド部111aと111bとの間で水平に延びている。
【0080】
機械フレーム110の前方支持部112は、例示的に鉛直に配置された前面を有する。機械フレーム110の上方支持部113の上側面は、傾斜面に、例示的に(例えば、機械フレーム110が機械スタンド部111a及び111bで立っている作業場の床に対して)実質的に45度の傾斜角で配置されている。機械フレーム110の下方支持部114の下側面は、オーバーハングした傾斜面に、例示的に(例えば、機械フレーム110が機械スタンド部111a及び111bで立っている作業場の床に対して)実質的に315度の傾斜角で配置されている。
【0081】
スピンドル間の機械加工領域において、機械フレーム110の上側で、工具キャリヤアセンブリ150を摺動可能に支持するために、機械フレーム110の上方支持部113は、水平に延びるガイド113aを有する。スピンドル間の機械加工領域において、機械フレーム110の下側で、工具キャリヤアセンブリ150を摺動可能に支持するために、機械フレーム110の下方支持部114は、水平に延びるガイド114aを有する。カウンタースピンドルキャリヤ140及び補助スピンドルキャリヤ130を摺動可能に支持するために、機械フレーム110の前側に向いた前方支持部112は、水平に延びるガイド112aを有する。
【0082】
上記の図1の工作機械100とは異なり、工具キャリヤアセンブリ150は、上方又は下方支持部113及び114上のガイド113a又はガイド114a上を水平に摺動するように取り付けられた別のキャリヤ支持スライド154を更に備えている。他方、キャリヤ支持スライド151は、変更されたX軸として、スピンドル軸の方向に対して垂直な方向に、キャリヤ支持スライド154上のガイド上を移動可能であるように、キャリヤ支持スライド154上に摺動可能に取り付けられている。
【0083】
図8は、図6の工作機械200の機械フレーム110を通る概略的な断面図を例示的に示している。
【0084】
例示的に、変更されたY軸のために、工具キャリヤスライド152の前側に取り付けられた工具キャリヤクイル155は、付加的な直線運動を提供しない固定された構造である。更に、任意に、工具キャリヤクイル155は、図8において例示的に機械加工ヘッド2として具現される工具キャリヤの、機械加工領域に向かって水平に且つスピンドル軸の方向に対して垂直に延びる回転軸の周りの回転を駆動するために、B軸を含むことができる。
【0085】
図8は、キャリヤ支持スライド154上のキャリヤ支持スライド151の摺動可能な移動の変更されたY軸の方向が、例示的に上方及び下方支持部113及び114のそれぞれの傾斜と平行に延びることを例示的に示している。
【0086】
図9は、例示的な実施形態によるモジュール式工具キャリヤアセンブリシステムのモジュールの概略的な斜視図を例示的に示している。
【0087】
工具キャリヤアセンブリシステムは、キャリヤ支持スライド151と、キャリヤ支持スライド151の前側面に配置された鉛直に延びるガイド151bに摺動可能に取り付けられたガイドスライド152aによってキャリヤ支持スライド151の前側に取り付けられた工具キャリヤ支持スライド152と、を含むスライド複合モジュールを含む。キャリヤ支持スライド151の下側面は、上方又は下方支持部113及び114上のガイド113a又は114aに、あるいは、他方のキャリヤ支持スライド154上のガイド154a(図8参照)に、摺動可能に取り付けられるように構成され得るガイドスライド151aを有する。
【0088】
工具キャリヤ支持スライド152は、例示的に、固定クイル155又は任意のB軸クイル153のような工具キャリヤモジュールを取り付けることができる円筒形の貫通孔152bを有する。固定クイル155は、Y軸を提供するために、B軸及び/又は摺動可能な要素を更に含むように変更されることができる。異なるクイルモジュールによれば、工具キャリヤアセンブリに、固定クイル、付随するZ軸を備えるクイル、付随するB軸を備えるクイル、並びに、付随するB軸及び付随するZ軸を備えるクイル、を装備することが可能である。
【0089】
更に、工具キャリヤアセンブリシステムは、工具タレット1、フライス工具又は(図9に例示的に示されるような)研削工具GTのような工具を保持及び駆動するように適合された機械加工ヘッド2、歯車ホブ工具ユニット3、あるいは、固定振れ止め4又は成形工具などを装備することができるよう、異なる工具キャリヤモジュールを含む。
【0090】
図10は、例示的な実施形態による補助スピンドルキャリヤ130の概略的な断面図を例示的に示している。上述したように、そのような補助スピンドルキャリヤ130は任意に設けることができ、例えば、任意の補助スピンドルキャリヤ130は、メインスピンドルキャリヤ120とカウンタースピンドルキャリヤ140との間で、前方支持部112に摺動可能に取り付けられており、例示的に前方支持部112のガイド112a上で、すなわち例示的にカウンタースピンドルキャリヤ140を支持する同じガイド112a上で、水平に案内され得る。
【0091】
任意の補助スピンドルキャリヤ130は、補助中空スピンドル131を含み(又は少なくとも支持し)、当該補助中空スピンドル131は、バーのような細長いワークを受容すると共に、その案内回転軸の周りにおける受容されたワークの回転を支持及び/又は案内するように構成されている。任意の補助中空スピンドル131は、例示的に、ガイド112a上で、その案内回転軸がメインスピンドル121及びカウンタースピンドル141のスピンドル軸に対して同軸に配置され水平方向に延びる状態で、メインスピンドル121とカウンタースピンドル141との間に配置され得る。
【0092】
したがって、補助中空スピンドル131は、例えば工具によって加えられる力に起因するワークの曲がりを防止すべく、メインスピンドル121に受容されたワークを受容し、それを案内及び/又は支持するために、あるいは、例えば工具によって加えられる力に起因するワークの曲がりを防止すべく、カウンタースピンドル141に受容されたワークを受容し、それを案内及び/又は支持するために、メインスピンドル121とカウンタースピンドル141との間の範囲内で水平に移動され得る。
【0093】
補助中空スピンドル131は、例示的に、スピンドル及び補助中空スピンドル131の回転軸の周りのワークWの回転を案内するために、バーのようなワークWをクランプするための制御可能なガイドクランプユニット133、134を含む。ガイドクランプユニット133、134は、好ましくはガイドクランプユニット133、134を3つのクランプ状態の間で切り換えるために、電気的、油圧的及び/又は空気圧的制御によって制御され得る。
【0094】
1つのクランプ状態では、ワークWをクランプされていない状態(緩んだ状態)にするよう、ガイドクランプユニット133、134のスリーブが緩められることができる。別のクランプ状態では、ガイドクランプユニット133、134のスリーブは、第1の(より弱い)クランプ状態でワークWをクランプするように作動することができ、この状態において、ワークWは、ワークWとガイドクランプユニット133、134との間でトルクを伝達することはできないが、スピンドル軸と同軸にワークWを支持及び案内するよう、緩くクランプされ、このとき、スピンドル軸に平行な方向におけるワークWの移動は可能なままに維持される。別のクランプ状態では、ガイドクランプユニット133、134のスリーブは、第2の(より強い)クランプ状態でワークWをクランプするように作動することができ、この状態において、ワークWは、スピンドル軸と同軸にワークWを支持及び案内することに加えて、ワークWとガイドクランプユニット133、134との間でトルクを伝達することを可能とするよう、強くクランプされ、このとき、スピンドル軸に平行な方向におけるワークWの移動は、強いクランプ状態に起因して不可能である。
【0095】
後者の状態、すなわち、より強い第2のクランプ状態では、補助中空スピンドル131内に受容されたワークWは、ダイレクトドライブ132(例示的に、電気モータ又は電磁モータを含む)によって回転駆動されることができる。したがって、そのような状態では、補助中空スピンドル131は、貫通孔付加スピンドル(through-hole additional spindle)として使用されるように構成されており、それによって、完全な同軸配置を提供する1つのクランプ状態において、異なる工具キャリヤによって、両方のワーク端部W1及びW2を機械加工することが可能となる(例えば、図10参照)。他の例示的な実施形態では、駆動部が、例えば歯車機構を含む従来の駆動機構として実現されてもよい。
【0096】
図11は、例示的な実施形態による補助中空スピンドル131の断面図を例示的に示している。補助中空スピンドル131は、スリーブ133を含むガイドクランプユニットの周りに配置されたダイレクトドライブ132を含み、当該ダイレクトドライブ132は、第2のクランプ状態においてワークWをスピンドル軸と同軸に固定的にクランプするために、電気的に、油圧的に及び/又は空気圧的に制御されることができ、ワークWの両端は、補助中空スピンドル131から外へ延び、その両側の端部で同時に行われる機械加工作業のために露出される(図10も参照)。
【0097】
上記の例示的な実施形態に加えて、更なる例示的な実施形態が考えられる。
【0098】
例えば、他の例示的な実施形態では、工作機械は、機械フレームの上方又は下方工具キャリヤ部上に配置され、特に、補助中空スピンドルによってクランプされたワークの機械加工を、クランプ状態の如何なる解放をも伴うことなく可能とするよう、特に、ワークが補助スピンドルキャリヤの両側で補助中空スピンドルから外へ延びるよう、メインスピンドルのスピンドル軸と同軸にワークを受容及び案内するように構成された補助中空スピンドルを支持する補助スピンドルキャリヤを、更に含むことができる。
【0099】
例えば、補助スピンドルキャリヤは、機械フレームの上方又は下方工具キャリヤ部上に配置された水平ガイドに沿って、メインスピンドルのスピンドル軸と平行な水平方向に移動するように構成されることができる。
【0100】
そのような例示的な実施形態でも、補助スピンドルキャリヤは、メインスピンドルキャリヤとカウンタースピンドルキャリヤとの間に配置されることができる。
【0101】
そのような例示的な実施形態でも、補助スピンドルキャリヤは、スピンドル軸に対して横方向又は垂直な補助中空スピンドルの移動を駆動するために、補助中空スピンドルを支持するスピンドルスライドを支持することができる。
【0102】
更なる例示的な実施形態では、工作機械は2つの補助中空スピンドル、例えば、メインスピンドルに対向して配置されたもの、及び、カウンタースピンドルに対向して配置されたものを含むことができ、好ましくは、両方の補助中空スピンドルは、メインスピンドルとカウンタースピンドルとの間に配置される。
【0103】
例えば、両方の補助中空スピンドルは、スピンドル軸の方向に水平に移動するように構成されることができ、2つの補助中空スピンドルは、それぞれ、1つの補助中空スピンドルの場合について上述したように配置されてもよい。
【0104】
具体的には、補助スピンドルキャリヤは、両方ともスピンドルキャリヤ部上に配置されてもよい。また、補助スピンドルキャリヤの各々は、スピンドルキャリヤ部、上方工具キャリヤ部及び/又は下方工具キャリヤ部に配置されてもよい。いくつかの例示的な態様において、一方の補助スピンドルキャリヤが上方の工具キャリヤ部上に配置され、他方の補助スピンドルキャリヤが下方の工具キャリヤ部上に配置されてもよい。更に、補助中空スピンドルの一方又は両方は、スピンドル軸に対して横方向又は垂直にも移動するように構成されることができる。
【0105】
一般に、ワークは、バーローダー、バーフィーダー及び/又はハンドリングロボットのようなワーク搭載装置によって、工作機械に搭載することができることに留意されたい。機械加工されたワークは、取り卸し装置、例えばハンドリングロボットによって取り外すことができる。
【0106】
特定の例示的な態様が以上で記述されてきたが、そのような態様は広義の発明の理解を助けるものにすぎず、これを制限するものではなく、また、発明の実施形態は、以上の段落で示されたものに加えて様々な他の変更、組み合わせ、省略、改良及び置換が可能であるから、図示され記述された特定の構造及び配置に限定されないことが、理解されるべきである。当業者は、上述した態様の様々な適合、改良及び/又は組み合わせが構成され得ることを、正しく理解するであろう。したがって、さらなる態様が、ここに具体的に記載された以外に実施され得ることが、理解されるべきである。当業者は、この開示を考慮して、ここに記載された様々な態様が、本開示の他の態様を形成するために組み合わされ得ることをも、正しく理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11