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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/84 20180101AFI20240711BHJP
   F24F 1/0035 20190101ALI20240711BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240711BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20240711BHJP
   F24F 110/22 20180101ALN20240711BHJP
【FI】
F24F11/84
F24F1/0035
F24F11/64
F24F110:12
F24F110:22
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019166350
(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公開番号】P2021042918
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】平井 浩介
(72)【発明者】
【氏名】永原 敬也
(72)【発明者】
【氏名】バンオオートアム,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スターン,デービッド
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-274425(JP,A)
【文献】特開2014-228224(JP,A)
【文献】特許第5741723(JP,B1)
【文献】特開2001-241799(JP,A)
【文献】特開2000-121131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0216982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 1/0035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1系統の冷媒回路を構成する熱源側ユニット(11)及び複数の利用側ユニット(12)を有する空気調和機(10)と、第1換気装置(30)及び第2換気装置(30)を含む換気装置(30)と、前記空気調和機(10)及び前記換気装置(30)を制御するコントローラ(29,36)とを備え、空調対象空間(Z)の冷房を行う空気調和システムであって、
前記空調対象空間は、第1空調対象空間(Z1)及び第2空調対象空間(Z2)を含み、
前記複数の利用側ユニット(12)が、少なくとも第1グループ(G1)に属し、前記第1空調対象空間(Z1)に設置される第1利用側ユニット(12A)と第2グループ(G2)に属し、前記第2空調対象空間(Z2)に設置される第2利用側ユニット(12B)とに分けられており、
前記第1換気装置(30)が、前記第1グループ(G1)に含まれ、前記第1空調対象空間(Z1)を換気し、
前記第2換気装置(30)が、前記第2グループ(G2)に含まれ、前記第2空調対象空間(Z2)を換気し、
前記第1利用側ユニット(12A)が熱交換器(26)を備え、
前記第2利用側ユニット(12A)が熱交換器(26)を備え、
前記第1グループ(G1)において、少なくとも1以上の、前記第1利用側ユニット(12A)の前記熱交換器(26)へ流れる冷媒の流量を調節する弁(25)が設けられ、
前記第2グループ(G2)において、少なくとも1以上の、前記第2利用側ユニット(12B)の前記熱交換器(26)へ流れる冷媒の流量を調節する弁(25)が設けられ、
前記第1グループ(G1)において、前記空調対象空間(Z)外の空気である外気についての外気条件が満たされ、前記第2グループ(G2)において前記外気についての外気条件が満たさないとき、前記コントローラ(29,36)が、前記第1グループ(G1)における前記弁(25)を閉鎖しかつ前記第1グループ(G1)の前記第1換気装置(30)により外気冷房を実行することで、前記第1空調対象空間(Z1)に前記外気を導入し、かつ、前記第2空調対象空間(Z2)については、前記空気調和機(10)による冷房運転が継続されるように、前記熱源側ユニット(11)は運転して、前記第2グループ(G2)の前記弁(25)の開度制御を維持
前記第2グループ(G2)において、前記外気についての前記外気条件を満たすとき、前記コントローラ(29,36)が、前記第2グループ(G2)における前記弁(25)を閉鎖しかつ前記第2グループ(G2)の前記第2換気装置(30)により外気冷房を実行することで、前記第2空調対象空間(Z2)に前記外気を導入し、
前記第1グループ(G1)についての前記外気条件は、前記第2グループ(G2)についての前記外気条件と異なる、
空気調和システム。
【請求項2】
前記外気の温度を検出する温度センサ(62)を備え、
前記外気条件は、前記温度センサ(62)により検出された前記外気の温度が、前記空調対象空間(Z)内の空気である内気の設定温度(Tim)よりも第1の所定値(α1)以上低いことであり、
前記第1グループ(G1)における内気の設定温度(Tim)が前記第2グループ(G2)における内気の設定温度(Tim)よりも高く、かつ、前記第1グループ(G1)について前記外気条件が満たされ、前記第2グループ(G2)について前記外気条件が満たされない場合、前記コントローラ(29,36)が、前記第1グループ(G1)における前記弁(25)を閉鎖しかつ前記第1換気装置(30)により外気冷房を実行し、前記第2グループ(G2)における前記弁(25)の開度制御を維持する、
請求項に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記外気の温度を検出する温度センサ(62)と、
前記外気の湿度を検出する湿度センサ(63)と、を備え、
前記外気条件は、前記温度センサ(62)及び前記湿度センサ(63)により検出された前記外気の温度及び湿度から求められる前記外気のエンタルピー(Xo)が、前記空調対象空間(Z)内の空気である内気の目標エンタルピー(Xim)よりも第2の所定値(α2)以上低いことである、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記外気の温度を検出する温度センサ(62)と、
前記第1グループ(G1)において前記外気の湿度を検出する湿度センサ(63)と、を備え、
前記第1グループ(G1)に対して適用される前記外気条件は、前記温度センサ(62)及び前記湿度センサ(63)により検出された前記外気の温度及び湿度から求められる前記外気のエンタルピー(Xo)が、前記空調対象空間(Z)内の空気である内気の目標エンタルピー(Xim)よりも第2の所定値(α2)以上低いことであり、
前記第2グループ(G2)において適用される前記外気条件は、前記温度センサ(62)により検出された前記外気の温度(To)が、内気の設定温度(Tim)よりも第1の所定値(α1)以上低いことである、
請求項に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記第1の所定値(α1)が、設定変更可能である、
請求項又はに記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記第2の所定値(α2)が、設定変更可能である、
請求項又はに記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記外気の温度を検出する温度センサ(62)を備え、
前記コントローラ(36)は、前記空気調和システム(S)が前記外気の湿度を検出する湿度センサ(63)を備えているか否かを判断し、
前記コントローラ(36)が前記湿度センサ(63)を備えていないという判断を行った場合、前記外気条件は、前記温度センサ(62)により検出された前記外気の温度が、前記空調対象空間(Z)内の空気である内気の設定温度よりも第1の所定値(α1)以上低いこととされ、
前記コントローラ(36)が前記湿度センサ(63)を備えているという判断を行ったとき、前記外気条件は、前記温度センサ(62)及び前記湿度センサ(63)により検出された前記外気の温度及び湿度から求められる前記外気のエンタルピー(Xo)が、内気の目標エンタルピー(Xim)よりも第2の所定値(α2)以上低いこととされる、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項8】
前記換気装置(30)が、前記温度センサ(62)を備えている、
請求項2~6のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【請求項9】
外気冷房中に、前記空調対象空間(Z)内の空気である内気の温度(Ti)が内気の設定温度(Tim)よりも第3の所定値(α3)だけ低い温度を越える場合、又は外気温度(To)が内気の設定温度(Tim)よりも第4の所定値(α4)だけ低い温度を超える場合、前記コントローラ(29、36)が、閉じていた前記弁(25)を開き当該弁(25)の開度制御を行う、
請求項1~のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【請求項10】
前記第3の所定値(α3)又は前記第4の所定値(α4)が、設定変更可能である、
請求項に記載の空気調和システム。
【請求項11】
前記利用側ユニット(12)及び/又は前記換気装置(30)を遠隔で操作するリモートコントローラ(13)を備え、
前記利用側ユニット(12)及び前記換気装置(30)は、同一の前記リモートコントローラ(13)と通信可能に接続されたもの同士でグループ分けされている、
請求項1~1のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【請求項12】
前記利用側ユニット(12)及び前記換気装置(30)は、これらに付与された識別コードに基づいてグループ分けされている、
請求項1~1のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機及び換気装置を備えた空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の空気調和機(冷暖房装置)と、複数の換気装置と、これらを制御する中央制御装置と、を備えた空気調和システムが開示されている。空気調和機は、室外機と複数の室内機とを備えている。室内機及び換気装置は、複数の空間(部屋)に設置され、中央制御装置は、空間ごとに室内機と換気装置とを連動して運転させる。中央制御装置は、室外温度及び室内温度と、それぞれの設定温度と比較し、その結果に応じて室内機及び換気装置の送風の強弱の切換、又は、運転及び停止の切り替えを行う。例えば、中央制御装置は、夏季において室外温度が所定の設定温度よりも低い場合に、室内機による冷房運転を停止させて換気装置のみを運転し、外気を室内に取り入れて冷房する「外気冷房」を実行する。このような外気冷房は、空気調和機の運転を抑制するため、消費電力の低減に役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-308280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1系統の冷媒回路を構成する室外機及び複数の室内機を有する空気調和機と、複数の換気装置とを備えた空気調和システムにおいて、複数の室内機及び換気装置が複数のグループに分けて設置される場合、グループごとに冷房の設定温度が異なることがある。この場合、外気の温度が、一のグループの設定温度よりも低く、他のグループの設定温度よりも高いと、一のグループでは室内機を停止させて換気装置のみによる外気冷房が可能となるが、他のグループにおいては室内機による冷房運転を行う必要がある。
【0005】
ここで、一のグループにおいて外気冷房を行うために室内機による冷房運転を停止させるには、室外機の圧縮機を停止させることが考えられる。しかし、この場合、他のグループにおいて室内機による冷房運転が行えなくなるため、不快な温度になるおそれがある。
【0006】
本開示は、1系統の冷媒回路を構成する複数の室内機が複数のグループに分けられる場合に、一部のグループにおいて換気装置による外気冷房を可能にし、消費電力の低減を図ることができる空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示は、1系統の冷媒回路を構成する熱源側ユニット及び複数の利用側ユニットを有する空気調和機と、換気装置と、前記空気調和機及び前記換気装置を制御するコントローラとを備え、空調対象空間の冷房を行う空気調和システムであって、
前記複数の利用側ユニットが、少なくとも第1グループに属する第1利用側ユニットと第2グループに属する第2利用側ユニットとに分けられており、
前記換気装置が、前記第1グループに含まれ、
前記第1利用側ユニットが熱交換器を備え、
前記第1グループにおいて、少なくとも1以上の前記熱交換器へ流れる冷媒の流量を調節する弁が設けられ、
前記第1グループにおいて、前記空調対象空間外の空気である外気についての所定の外気条件が満たされたとき、前記コントローラが、前記第1グループにおける前記弁を閉鎖しかつ前記換気装置により外気冷房を実行する。
【0008】
上記構成によれば、第1グループにおいて所定の外気条件が満たされたとき、熱源側ユニットを停止させることなく第1グループの利用側ユニットを実質的に停止させた状態とし、換気装置により外気冷房を行うことができる。そのため、空気調和システム全体の冷媒循環量を少なくして圧縮機の負荷を抑え、消費電力を低減することができる。
【0009】
(2)好ましくは、前記第2利用側ユニットが熱交換器を備え、
前記第2グループにおいて、少なくとも1以上の前記熱交換器へ流れる冷媒の流量を調節する弁が設けられ、
前記第1グループにおいて前記外気条件が満たされたとき、前記コントローラが、前記第2グループにおける前記弁の開度制御を維持する。
このような構成によって、第1グループにおいて外気冷房を行っている間、第2グループにおいては利用側ユニットによる冷房を行い、快適な温度を維持することができる。
【0010】
(3)好ましくは、前記換気装置が、前記第2グループにも含まれており、
前記第2グループにおいて前記外気条件が満たされたとき、前記コントローラが、前記第2グループにおける前記弁を閉鎖しかつ前記換気装置により外気冷房を実行する。
このような構成によって、第2グループにおいても第1グループと同様に外気冷房を行うことができ、空気調和システム全体の冷媒循環量を少なくして圧縮機の負荷を抑制し、消費電力を低減することができる。
【0011】
(4)好ましくは、外気の温度を検出する温度センサを備え、
前記外気条件は、前記温度センサにより検出された外気の温度が、前記空調対象空間内の空気である内気の設定温度よりも第1の所定値以上低いことであり、
前記第1グループにおける内気の設定温度が前記第2グループにおける内気の設定温度よりも高く、かつ、前記第1グループについて前記外気条件が満たされ、前記第2グループについて前記外気条件が満たされない場合、前記コントローラが、前記第1グループにおける前記弁を閉鎖しかつ前記換気装置により外気冷房を実行し、前記第2グループにおける前記弁の開度制御を維持する。
【0012】
以上のような構成によって、第1グループの内気設定温度と第2グループの内気設定温度が互いに異なる場合に、各グループにおいてそれぞれ適切な冷房を行うことができる。
【0013】
(5)好ましくは、外気の温度を検出する温度センサと、
外気の湿度を検出する湿度センサと、を備え、
前記外気条件は、前記温度センサ及び前記湿度センサにより検出された外気の温度及び湿度から求められる外気のエンタルピーが、前記空調対象空間内の空気である内気の目標エンタルピーよりも第2の所定値以上低いことである。
このような構成によって、外気の温度だけでなく湿度をも考慮して外気冷房を行うことができる。
【0014】
(6)好ましくは、前記第1グループに対して適用される前記外気条件と、前記第2グループに対して適用される前記外気条件とが異なる。
このような構成によって、各グループの状態、例えば利用側ユニット及び換気装置の構成、部屋の利用頻度、人数、熱負荷等に応じて、適切に外気条件を設定することができる。
【0015】
(7)好ましくは、外気の温度を検出する温度センサと、
第1グループにおいて外気の湿度を検出する湿度センサと、を備え、
前記第1グループに対して適用される前記外気条件は、前記温度センサ及び前記湿度センサにより検出された外気の温度及び湿度から求められる外気のエンタルピーが、前記空調対象空間内の空気である内気の目標エンタルピーよりも第2の所定値以上低いことであり、
前記第2グループにおいて適用される前記外気条件は、前記温度センサにより検出された外気の温度が、内気の設定温度よりも第1の所定値以上低いことである。
このような構成によって、各グループにおける外気湿度センサの有無に応じて、適切な外気条件で外気冷房を行うことができる。
【0016】
(8)好ましくは、前記第1の所定値が、設定変更可能である。
このような構成によって、外気冷房を行うための条件を調整することができる。
【0017】
(9)好ましくは、前記第2の所定値が、設定変更可能である。
このような構成によって、外気冷房を行うための条件を調整することができる。
【0018】
(10)好ましくは、外気の温度を検出する温度センサを備え、
前記コントローラは、前記空気調和システムが外気の湿度を検出する湿度センサを備えているか否かを判断し、
前記コントローラが前記湿度センサを備えていないという判断を行った場合、前記外気条件は、前記温度センサにより検出された外気の温度が、前記空調対象空間内の空気である内気の設定温度よりも第1の所定値以上低いこととされ、
前記コントローラが前記湿度センサを備えているという判断を行ったとき、前記外気条件は、前記温度センサ及び前記湿度センサにより検出された外気の温度及び湿度から求められる外気のエンタルピーが、内気の目標エンタルピーよりも第2の所定値以上低いこととされる。
このような構成によって、外気湿度センサの有無に応じて、より適切な外気条件を設定することができる。
【0019】
(11)好ましくは、前記換気装置が、前記温度センサを備えている。
このような構成によって、例えば、熱源側ユニットに温度センサが設けられる場合に比べて、周囲の熱が温度センサに影響を及ぼすことが少なくなり、正確な外気の温度を検出することができる。
【0020】
(12)好ましくは、外気冷房中に、前記空調対象空間内の空気である内気の温度が内気の設定温度よりも第3の所定値だけ低い温度を越える場合、又は外気温度が内気の設定温度よりも第4の所定値だけ低い温度を超える場合、前記コントローラが、閉じていた前記弁を開き当該弁の開度制御を行う。
このような構成によって、外気冷房の継続が困難となってきたときに、外気冷房を停止し、利用側ユニットによる冷房を再開することができる。
【0021】
(13)好ましくは、前記第3の所定値又は前記第4の所定値が、設定変更可能である。
このような構成によって、外気冷房を停止するための条件を調整することができる。
【0022】
(14)好ましくは、前記利用側ユニット及び/又は前記換気装置を遠隔で操作するリモートコントローラを備え、
前記利用側ユニット及び前記換気装置は、同一の前記リモートコントローラと通信可能に接続されたもの同士でグループ分けされている。
【0023】
(15)好ましくは、前記利用側ユニット及び前記換気装置は、これらに付与された識別コードに基づいてグループ分けされている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の一実施形態に係る空気調和システムの構成説明図である。
図2】空気調和システムの空気調和機の冷媒配管系統を示す説明図である。
図3】換気装置の平面説明図である。
図4】(a)は、図3のA-A矢視における換気装置の説明図、(b)は、図3のB-B矢視における換気装置の説明図である。
図5】バイパス風路を使用しているときの換気装置の平面説明図である。
図6】外気冷房を開始するための第1の処理手順を示すフローチャートである。
図7】外気冷房を開始するための第2の処理手順を示すフローチャートである。
図8】外気冷房を停止するための第3の処理手順を示すフローチャートである。
図9】外気冷房を停止するための第4の処理手順を示すフローチャートである。
図10】本開示の他の実施形態に係る空気調和システムの構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の空気調和システムを詳細に説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
[空気調和システムの全体構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る空気調和システムの構成説明図である。
空気調和システムSは、空気調和機10と、換気装置30とを備えている。空気調和機10は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことで空調対象空間Zを冷暖房する。空気調和機10は、熱源側ユニット(室外機)11と利用側ユニット(室内機)12とを有し、1台の熱源側ユニット11に対して複数台の利用側ユニット12が接続されている。
【0027】
換気装置30は、空調対象空間Z外の空気を空調対象空間Z内に導入しつつ、空調対象空間Z内の空気を空調対象空間Z外に排出することによって換気を行う。なお、本明細書においては、空調対象空間Z外の空気を「外気」ともいい、空調対象空間Z内の空気を「内気」ともいう。
【0028】
本実施形態の空気調和システムSは、複数台の換気装置30を有している。
本実施形態の換気装置30は、空調対象空間Zに導入される外気と、空調対象空間Zから排出される内気との間で全熱交換(顕熱および潜熱の交換)を行う全熱交換タイプの換気装置である。ただし、全熱交換タイプの換気装置に限らず、他の形式の換気装置を採用してもよい。例えば、換気装置は、空気に含まれる水分を吸着する吸着剤が担持された熱交換器を用いて、空調対象空間Zの換気と同時に湿度を調整するデシカントタイプの換気装置(例えば、特開2009-109090号公報等参照)等、従来公知の換気装置を採用することができる。
【0029】
本実施形態の換気装置30は、内気よりも低温又は低エンタルピーの外気を空調対象空間Zに導入することによって冷房する「外気冷房」をも行う。
【0030】
複数の利用側ユニット12及び換気装置30は、空調対象空間Zである複数の空調ゾーンZ1,Z2にグループ分けされた状態で設置されている。空調ゾーンZ1、Z2とは、空気調和機10及び換気装置30により空調される一の領域ないしは空間をいう。例えば、空調ゾーンZ1,Z2は、壁や間仕切り等により空間的に仕切られた閉じられた空間(閉空間)である。ただし、空調ゾーンZ1,Z2は、このような閉空間に限定されるものではない。本実施形態の空気調和システムSが適用される空調ゾーンZ1,Z2は、事務所、ホテル、劇場、店舗等、冷房及び/又は暖房と換気とが行われる建物において適宜設定することができる。空気調和機10の熱源側ユニット11は、空調ゾーンZ1,Z2外に設置される。
【0031】
本実施形態では、2つの空調ゾーンZ1,Z2に、利用側ユニット12及び換気装置30が設置された例を説明する。ただし、空調ゾーンZ1,Z2は、3つ以上あってもよい。各空調ゾーンZ1,Z2には、少なくとも1台の利用側ユニット12と少なくとも1台の換気装置30が設置されている。本実施形態では、第1空調ゾーンZ1に2台の利用側ユニット12及び1台の換気装置30が設置されている。第2空調ゾーンZ2に1台の利用側ユニット12及び2台の換気装置30が設置されている。各空調ゾーンZ1,Z2における利用側ユニット12及び換気装置30の台数は、適宜変更することができる。本実施形態においては、第1空調ゾーンZ1に設置された利用側ユニット12を第1利用側ユニット12Aともいい、第2空調ゾーンZ2に設置された利用側ユニット12を第2利用側ユニット12Bともいう。
【0032】
各空調ゾーンZ1,Z2に設置された利用側ユニット12及び換気装置30は、1つのグループを形成する。言い換えると、同一のグループに属する利用側ユニット12及び換気装置30が、1つの空調ゾーンZ1,Z2に設置される。本実施形態では、第1空調ゾーンZ1に設置された第1利用側ユニット12A及び換気装置30のグループを第1グループG1ともいう。第2空調ゾーンZ2に設置された第2利用側ユニット12B及び換気装置30のグループを第2グループG2ともいう。
【0033】
グループG1,G2は、例えば、同一のリモートコントローラ13に通信可能に接続された利用側ユニット12及び換気装置30の集合とされる。あるいは、グループG1,G2は、集中コントローラ14によって設定された利用側ユニット12及び換気装置30の集合とされる。集中コントローラ14は、空気調和機10及び換気装置30に通信可能に接続されており、空気調和システムSを集中的に制御するものである。集中コントローラ14は、利用側ユニット12及び換気装置30のそれぞれに識別コードを設定し、各識別コードを各グループG1,G2に割り当てることでグループ分けを行うことができる。
【0034】
[空気調和機の具体的構成]
図2は、空気調和システムの空気調和機の冷媒配管系統を示す説明図である。
空気調和機10の熱源側ユニット11及び利用側ユニット12は、1系統の冷媒回路を構成する。熱源側ユニット11と利用側ユニット12とは、液冷媒連結管16及びガス冷媒連結管17により接続されている。利用側ユニット12は、各空調ゾーンZ1,Z2における床面、天井付近、又は天井裏等に設置することができる。
【0035】
(熱源側ユニット)
熱源側ユニット11は、圧縮機18、四路切換弁19、熱源側熱交換器20、熱源側膨張弁21、液側閉鎖弁22、及びガス側閉鎖弁23を備えている。
【0036】
圧縮機18は、モータ(図示せず)によって駆動される密閉式圧縮機であり、吸入流路18aからガス冷媒を吸入する。
【0037】
四路切換弁19は、冷媒の流れの方向を切り換えるための機構である。冷房運転時には、図2において実線で示されるように、四路切換弁19は、圧縮機18の吐出側の冷媒配管18bと熱源側熱交換器20の一端とを接続するとともに、圧縮機18の吸入側の吸入流路18aとガス側閉鎖弁23とを接続する。これにより、熱源側熱交換器20が、圧縮機18によって圧縮される冷媒の凝縮器として機能し、かつ、後述する利用側熱交換器26が、熱源側熱交換器20において凝縮した冷媒の蒸発器として機能する。
【0038】
暖房運転時には、図2において破線で示されるように、四路切換弁19は、圧縮機18の吐出側の冷媒配管18bとガス側閉鎖弁23とを接続するとともに、吸入流路18aと熱源側熱交換器20の一端とを接続する。これにより、利用側熱交換器26が、圧縮機18によって圧縮された冷媒の凝縮器として機能し、かつ、熱源側熱交換器20が、利用側熱交換器26において冷却された冷媒の蒸発器として機能する。
【0039】
熱源側ユニット11は、熱源側ファン24を備えている。熱源側ファン24は、熱源側ユニット11内に外気を取り入れ、この外気と熱源側熱交換器20を流れる冷媒との間で熱交換させる。
熱源側ユニット11は、圧縮機18、四路切換弁19、熱源側膨張弁21、及び熱源側ファン24の動作を制御する制御部15(図1参照)を備えている。制御部15は、CPU等の演算部、RAM,ROM等のメモリ、及び通信インタフェース等を有する。
【0040】
(利用側ユニット)
複数の利用側ユニット12は、それぞれ冷媒連絡管16、17を介して熱源側ユニット11に接続されている。各利用側ユニット12は、利用側膨張弁25、利用側熱交換器26、及び利用側ファン27を備えている。
【0041】
利用側膨張弁25は、電動弁により構成されている。利用側膨張弁25は、利用側熱交換器26を流れる冷媒の流量を調整する。利用側熱交換器26を流れる冷媒の流量を調整することによって利用側熱交換器26による空調能力を所望に調整することができる。利用側膨張弁25は、閉鎖することによって利用側熱交換器26への冷媒の流れを止めることもできる。
【0042】
利用側ファン27は、利用側ユニット12内に空調ゾーンZ1,Z2内の空気を吸入し、利用側熱交換器26を流れる冷媒との間で熱交換された空気を空調ゾーンZ1,Z2に供給する。これにより、利用側ユニット12は、空調ゾーンZ1,Z2の温度を所望の設定値に調整する。
【0043】
本実施形態における利用側ユニット12は、利用側熱交換器26及び冷媒配管等から漏洩した冷媒を検知する冷媒センサ28を備えている。冷媒センサ28は、漏洩冷媒を検知可能な箇所に設置される。例えば、冷媒センサ28は、冷媒配管同士の接合点、冷媒配管の90度以上の曲げ箇所、配管厚さが薄い箇所等、冷媒の漏洩が発生しやすい箇所の近傍に配置される。
【0044】
冷媒センサ28は、利用側ユニット12の内部以外、例えば内気温度や風量等を設定するための後述するリモートコントローラ13に搭載したり、また、空調ゾーンZ1,Z2の壁面等の適宜の箇所に配設したりすることができる。冷媒センサ28が漏洩した冷媒を検知すると、例えば利用側ユニット12の運転を停止させ、換気装置30を運転させることによって漏洩した冷媒を空調ゾーンZ1,Z2外へ排出することが行われる。
【0045】
利用側ユニット12は、図1に示すように、制御部29及びリモートコントローラ13を備えている。制御部29は、利用側膨張弁25及び利用側ファン27等の動作を制御する。制御部29は、冷媒センサ28からの検知信号を受信する。制御部29は、CPU等の演算部、RAM,ROM等のメモリ、及び通信インタフェース等を有する。利用側ユニット12の制御部29は、熱源側ユニット11の制御部15及び後述する換気装置30の制御部36に通信可能に接続されている。
【0046】
リモートコントローラ13は、運転開始/運転停止の操作や、空調ゾーンZ1,Z2内の温度、送風の強弱等の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ13は、CPU等の演算部、RAM,ROM等のメモリ、及び通信インタフェース等を有する。リモートコントローラ13は、利用側ユニット12の制御部29に有線又は無線で通信可能に接続されている。ユーザは、リモートコントローラ13を使用することによって、遠隔で空気調和機10を操作することができる。
【0047】
リモートコントローラ13のメモリには、ユーザにより設定された内気の設定温度(目標温度)が記憶されている。また、リモートコントローラ13のメモリには、内気の設定温度に対応付けられた状態で、内気の設定湿度(目標湿度)が予め記憶されている。内気の設定温度は、各空調ゾーンZ1,Z2のリモートコントローラ13によって個別に設定することができる。したがって、空調ゾーンZ1,Z2毎に内気の設定温度が異なることがある。
【0048】
なお、内気の設定温度や設定湿度は、利用側ユニット12の制御部29若しくは熱源側ユニット11の制御部15に設けられたメモリ、又は後述する換気装置30の制御部36に設けられたメモリに記憶されていてもよい。
【0049】
リモートコントローラ13は、換気装置30の制御部36にも通信可能に接続されている。リモートコントローラ13は、換気装置30の運転開始/運転停止の操作や、送風の強弱等の動作設定を行うことができる。
【0050】
[換気装置の具体的構成]
図3は、換気装置の平面説明図である。図4(a)は、図3のA-A矢視における換気装置の説明図である。図4(b)は、図3のB-B矢視における換気装置の説明図である。
換気装置30は、各空調ゾーンZ1,Z2(図1参照)内の換気を行う。換気装置30は、例えば、空調ゾーンZ1、Z2における天井裏に配設されている。換気装置30は、空気調和機10と連動して、あるいは、単独で換気運転を行う。換気装置30は、ダクト45a~45dを介して各空調ゾーンZ1,Z2内外の空間と接続されている。
【0051】
換気装置30は、略直方体の箱形状を有するケーシング31を有する。ケーシング31内には、全熱交換器32と、排気ファン33と、給気ファン34と、開閉機構35と、制御部36とが収容されている。ケーシング31には、還気取入口41、排気吹出口42、外気取入口43、及び、給気吹出口44が設けられている。図3に示すように、外気取入口43と排気吹出口42とは、それぞれダクト45a,45bを介して外部空間に繋がっている。還気取入口41と給気吹出口44とは、ダクト45c,45dを介して空調ゾーンZ1,Z2内に繋がっている。
【0052】
還気取入口41は、空調ゾーンZ1,Z2内の空気(還気)RAをケーシング31内に取り入れるために用いられる。排気吹出口42は、ケーシング31内に取り入れられた還気RAを、排気EAとして空調ゾーンZ1,Z2外の空間(以下、「外部空間」ともいう)に排出するために用いられる。外気取入口43は、外部空間の空気(外気)OAをケーシング31内に取り入れるために用いられる。給気吹出口44は、ケーシング31内に取り入れられた外気OAを、給気SAとして空調ゾーンZ1,Z2内に供給するために用いられる。
【0053】
図3に示すように、ケーシング31の内部において、還気取入口41から取り入れられた還気RAは全熱交換器32を通過し、排気EAとして排気吹出口42から外部空間へ排気される。以下、この空気の流れを「第1の空気流F1」ともいう。
外気取入口43から取り入れられた外気OAは全熱交換器32を通過し、給気SAとして給気吹出口44から空調ゾーンZ1,Z2内へ供給される。以下、この空気の流れを「第2の空気流F2」ともいう。
【0054】
全熱交換器32は、第1の空気流F1と第2の空気流F2とがほぼ直交して通過するように構成された直交型の全熱交換器である。全熱交換器32は、第1の空気流F1と第2の空気流F2との間で顕熱及び潜熱の交換(全熱交換)を行う。
【0055】
図4に示すように、ケーシング31の内部は、全熱交換器32によって空調ゾーンZ1,Z2側と外部空間側との2つの領域に区画されている。ケーシング31内には、全熱交換器32よりも第1の空気流F1の上流側に上流側排気風路46aが形成され、全熱交換器32よりも第1の空気流F1の下流側に下流側排気風路46bが形成されている。上流側排気風路46aと下流側排気風路46bとによって、空調ゾーンZ1,Z2と外部空間とを全熱交換器32を経由して連通させる排気風路46が構成される。
【0056】
ケーシング31内には、全熱交換器32よりも第2の空気流F2の上流側に上流側給気風路47aが形成され、全熱交換器32よりも第2の空気流F2の下流側に下流側給気風路47bが形成されている。上流側給気風路47aと下流側給気風路47bとによって、空調ゾーンZ1,Z2と外部空間を、全熱交換器32を経由して連通させる給気風路47が構成されている。
【0057】
上流側排気風路46aと下流側給気風路47bとの間には、区画壁51が設けられている。下流側排気風路46bと上流側給気風路47aとの間には、区画壁52が設けられている。
【0058】
図3及び図4(a)に示すように、下流側排気風路46bにおいて、排気吹出口42の近傍には排気ファン33が配置されている。この排気ファン33が駆動されることによって第1の空気流F1が生成され、空調ゾーンZ1,Z2からの還気RAが排気風路46を通り排気EAとして外部空間に排出される。
【0059】
図3及び図4(b)に示すように、下流側給気風路47bにおいて、給気吹出口44の近傍には給気ファン34が配置されている。この給気ファン34が駆動されることによって第2の空気流F2が生成され、外部空間の外気OAが給気風路47を通り、給気SAとして空調ゾーンZ1,Z2に供給される。
【0060】
図3に示すように、本実施形態のケーシング31内には、バイパス風路49と開閉機構35とが設けられている。バイパス風路49は、還気取入口41と排気吹出口42との間に形成され、両者を連通している。バイパス風路49と、上流側排気風路46a及び全熱交換器32とは、隔壁54によって区画されている。バイパス風路49の下流側は、下流側排気風路46bと合流している。以上より、バイパス風路49は、空調ゾーンZ1,Z2と外部空間とを全熱交換器32を経由せずに連通している。
【0061】
開閉機構35は、排気風路46とバイパス風路49とを切り替えて開閉するダンパ(排気用開閉機構)56を有している。ダンパ56は、例えば、隔壁54に揺動自在に取り付けられている。排気用ダンパ56は、図3に示すように、排気風路46を開いて還気取入口41と連通させ、かつバイパス風路49を還気取入口41に対して閉じる第1態様と、図5に示すように、バイパス風路49を開いて還気取入口41と連通させ、かつ排気風路46を還気取入口41に対して閉じる第2態様とを切り替える。
【0062】
本実施形態の換気装置30は、通常の換気運転を行う場合には、ダンパ56を第1態様に切り替え、全熱交換器32において顕熱及び潜熱の交換を行いながら換気を行う。
また、本実施形態の換気装置30は、後述する「外気冷房」を行う場合には、ダンパ56を第2態様に切り換える。第2態様では、換気装置30は、外気取入口43からケーシング31内に取り入れられた外気OAを、全熱交換器32を通して給気吹出口44から給気SAとして室内に供給する。第2態様では、換気装置30は、還気取入口41からケーシング31に取り入れられた空調ゾーンZ1,Z2からの還気RAを、バイパス風路49を通して排気吹出口42から外部空間に排出する。したがって、外気取入口43から給気風路47を通る第2の空気流F2と、還気取入口41からバイパス風路49を通る空気流(第4の空気流)F4との間で全熱交換は行われず、外気をそのまま空調ゾーンZ1,Z2に導入し、空調ゾーンZ1,Z2内の冷房を行うことが可能となる。
【0063】
図3に示すように、換気装置30は、空調ゾーンZ1,Z2内の温度を検出する内気温度センサ61と、外部空間の温度を検出する外気温度センサ62と、外部空間の湿度を検出する外気湿度センサ63と、を備えている。内気温度センサ61は、還気取入口41又はダクト45cに取り付けられ、排気ファン33によってケーシング31内に取り入れられる空気の温度を検出する。
【0064】
外気温度センサ62及び外気湿度センサ63は、外気取入口43又はダクト45aに取り付けられ、給気ファン34によってケーシング31内に取り入れられる外気の温度及び湿度を検出する。
【0065】
換気装置30は、制御部36を有している。制御部36は、CPU等の演算部、RAM,ROM等のメモリ、及び通信インタフェース等を有する。制御部36は、換気装置30の排気ファン33、給気ファン34、開閉機構35等の動作を制御する。制御部36には、内気温度センサ61、外気温度センサ62、及び外気湿度センサ63の検出信号が入力される。制御部36は、各センサ61,62,63の検出信号に基づき、「外気冷房」を行うか否かの判断を行う。
【0066】
[外気冷房について]
「外気冷房」とは、空気調和機10による冷房(以下、「標準冷房」ともいう)を行うことなく、換気装置30により外気を空調ゾーンZ1,Z2に取り入れることによって行う冷房運転である。このような外気冷房を行うことによって、空気調和機10における冷媒循環量を少なくして圧縮機18の負担を抑え、消費電力を低減することができる。この外気冷房は、外気が所定の条件(以下、「外気条件」ともいう)を満たしたときに開始される。
【0067】
(外気冷房の開始処理)
換気装置30の制御部36は、次に説明する第1の処理手順又は第2の処理手順により外気冷房を開始するか否かを判断する。第1の処理手順又は第2の処理手順は、各空調ゾーンZ1,Z2に設置された換気装置30の制御部36がそれぞれ独立して実行する。空調ゾーンZ1,Z2に複数の換気装置30が設置されている場合、少なくとも一つの換気装置30の制御部36が第1の処理手順又は第2の処理手順を実行する。
【0068】
(第1の処理手順)
図6は、外気冷房を開始するための第1の処理手順を示すフローチャートである。第1の処理手順は、空調ゾーンZ1,Z2において空気調和機10により標準冷房が行われ、かつ換気装置30によって換気が行われている状態で実行される。
【0069】
ステップS1において、制御部36は、外気温度センサ62から外気温度を取得する。
ステップS2において、制御部36は、リモートコントローラ13のメモリに記憶されている内気の設定温度(目標温度)を取得する。
【0070】
次いで、ステップS3において、制御部36は、外気温度Toと内気の設定温度Timとが、次の式(1)の条件を満たすか否かを判断する。
To≦Tim-α1 … (1)
ただし、α1は、外気冷房を行うために必要な、外気温度Toと設定温度Timとの差分を定める定数である。α1は、空調ゾーンZ1,Z2の環境や換気装置30の設置状態等に応じて、リモートコントローラ13等を介してユーザが設定変更可能である。
【0071】
外気温度Toが内気の設定温度Timよりも所定値α1以上低い場合、空調ゾーンZ1,Z2に外気を取り入れることによって、内気の温度を低下させることが可能となる。そのため、制御部36は、式(1)の条件が満たされた場合、次のように外気冷房を開始する(ステップS4)。
【0072】
具体的に、制御部36は、外気冷房を開始する旨の「開始情報」をリモートコントローラ13に送信する。リモートコントローラ13は、開始情報に基づいて利用側ユニット12の制御部29に「標準冷房」の停止の指令を送信する。制御部29は、利用側膨張弁25を閉じることによって利用側熱交換器26への冷媒の供給を停止し、標準冷房を停止する。このとき、熱源側ユニット11における圧縮機18は運転を継続しているので、外気冷房が開始されない空調ゾーンにおいては、続けて標準冷房が行われる。
【0073】
さらに、換気装置30の制御部36は、図5に示すように、開閉機構35における排気用ダンパ56を制御し、還気取入口41からケーシング31に取り入れられた還気RAを、全熱交換器32を経由させずにバイパス風路49を通して排気吹出口42から外部空間に排出する。そして、外気取入口43からケーシング31内に取り入れられた外気OAは全熱交換器32を通り、給気吹出口44から給気SAとして室内に供給される。
【0074】
これにより、内気との間で全熱交換が行われることなく外気を空調ゾーンZ1,Z2に導入し、外気冷房を行うことができる。
【0075】
ステップS3において、式(1)の条件が満たされなかった場合、制御部36は、ステップS1に処理を戻し、ステップS1~S3の処理を繰り返し実行する。
【0076】
なお、式(1)において、仮に、To≦Timとなったときに外気冷房を開始したとすると、設定温度Timに対して外気温度Toがそれほど低くはないため、外気を導入しても空調ゾーンZ1,Z2内の温度を設定温度にまで低下させることができない可能性が高い。そのため、第1の処理手順においては、外気温度Toが内気設定温度Timよりも所定値α1だけ低い温度以下となった時点で外気冷房を開始することで、空調ゾーンZ1,Z2内の温度を設定温度にまで低下させることができる。
【0077】
(第2の処理手順)
図7は、外気冷房を開始するための第2の処理手順を示すフローチャートである。第2の処理手順は、空調ゾーンZ1,Z2において空気調和機10により標準冷房が行われ、かつ換気装置30によって換気が行われている状態で実行される。
ステップS11において、制御部36は、外気温度センサ62及び外気湿度センサ63によって検出された外気温度と外気湿度とを取得する。
【0078】
ステップS12において、制御部36は、リモートコントローラ13のメモリに記憶されている内気の設定温度と設定湿度とを取得する。
【0079】
次いで、ステップS13において、制御部36は、外気温度と外気湿度とから外気のエンタルピーXoを求め、内気設定温度と内気設定湿度とから内気の目標エンタルピーXimとを求める。
【0080】
ステップS14において、制御部36は、外気のエンタルピーXoと目標エンタルピーXimとが次の式(2)の条件を満たすか否かを判断する。
Xo≦Xim-α2 … (2)
ただし、α2は、外気冷房を行うために必要な、外気のエンタルピーXoと目標エンタルピーXimとの差分を定める定数である。α2は、空調ゾーンZ1,Z2の環境や換気装置30の設置状態等に応じてリモートコントローラ13等を介してユーザが設定変更可能である。
【0081】
外気のエンタルピーXoが、内気の目標エンタルピーXimよりも所定値α2以上低い場合、空調ゾーンZ1,Z2に外気を取り入れることによって、内気のエンタルピーを低下させ、内気の温度及び湿度を低下させることが可能となる。そのため、制御部36は、式(2)の条件が満たされた場合、ステップS15において、外気冷房を開始する。
【0082】
具体的に、制御部36は、外気冷房を開始する旨の「開始情報」をリモートコントローラ13に送信する。リモートコントローラ13は、開始情報に基づいて利用側ユニット12の制御部29に「標準冷房」の停止の指令を送信する。制御部29は、利用側膨張弁25を閉じることによって利用側熱交換器26への冷媒の供給を停止し、標準冷房を停止する。
【0083】
さらに、換気装置30の制御部36は、図5に示すように、開閉機構35における排気用ダンパ56を制御し、還気取入口41からケーシング31に取り入れられた還気RAを、全熱交換器32を経由せずにバイパス風路49を通して排気吹出口42から外部空間に排出する。そして、外気取入口43からケーシング31内に取り入れられた外気OAは全熱交換器32を通り、給気吹出口44から給気SAとして室内に供給される。
【0084】
これにより、内気との間で全熱交換が行われることなく外気を空調ゾーンZ1,Z2に導入し、外気冷房を行うことができる。
【0085】
ステップS14において、式(2)の条件が満たされなかった場合、制御部36は、ステップS11に処理を戻し、ステップS11~S14の処理を繰り返し実行する。
【0086】
なお、式(2)において、仮に、Xo≦Ximとなったときに外気冷房を開始したとすると、目標エンタルピーXimに対して外気エンタルピーXoがそれほど低くないので、外気を取り入れたとしても空調ゾーンZ1,Z2内の温度を設定値にまで低下させることができない可能性が高い。そのため、第2の処理手順においては、外気エンタルピーXoが内気の目標エンタルピーXimよりも所定値α2だけ低い値となった時点で外気冷房を開始することで、空調ゾーンZ1,Z2内の温度を設定温度にまで低下させることができる。
【0087】
(第1の処理手順及び第2の処理手順の選択方法)
前述した第1の処理手順を行うには、外気温度センサ62が必要である。これに対して第2の処理手順を行うには、外気温度センサ62と外気湿度センサ63とが必要である。そのため、換気装置30が外気温度センサ62と外気湿度センサ63との双方を備えている場合には、第1の処理手順と第2の処理手順とのいずれかを選択して採用することができる。換気装置30が外気温度センサ62を備えるが外気湿度センサ63を備えない場合は、第1の処理手順のみを採用することができる。
【0088】
本実施形態の換気装置30の制御部36は、換気装置30が外気湿度センサ63を備えているか否かを判断する機能を有している。そして、制御部36は、換気装置30が外気湿度センサ63を備えていると判断した場合は、上述した第1の処理手順及び第2の処理手順のうち、第2の処理手順を選択して実行する。第2の処理手順は、外気の温度だけでなく湿度をも考慮して外気冷房の開始を判断するので、より効果的な外気冷房を行うことができると考えられるからである。制御部36は、換気装置30が外気湿度センサ63を備えていないと判断した場合は、第1の処理手順を選択して実行する。
【0089】
(外気冷房の停止処理)
換気装置30によって外気冷房が行われているとき、換気装置30の制御部36は、所定の条件が満たされた場合に、外気冷房を停止する。
具体的に、換気装置30の制御部36は、次に説明する第3の処理手順又は第4の処理手順により外気冷房を停止するか否かを判断する。第3の処理手順又は第4の処理手順は、各空調ゾーンZ1,Z2に設置された換気装置30の制御部36がそれぞれ独立して実行する。空調ゾーンZ1,Z2に複数の換気装置30が設置されている場合、少なくとも一つの換気装置30の制御部36が第3の処理手順又は第4の処理手順を実行する。
【0090】
(第3の処理手順)
図8は、外気冷房を停止するための第3の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS21において、換気装置30の制御部36は、内気温度センサ61から空調ゾーンZ1,Z2の内気の温度Tiを取得する。
ステップS22において、制御部36は、リモートコントローラ13から内気の設定温度(目標温度)Timを取得する。
【0091】
ステップS23において、制御部36は、内気の温度Tiと内気の設定温度Timとが次の式(3)の条件を満たすか否かを判断する。
Ti>Tim-α3 … (3)
ただし、α3は、外気冷房を停止するのに必要な、内気温度Tiと内気設定温度Timとの差分を定める定数である。所定値α3は、空調ゾーンZ1,Z2の環境等に応じて、リモートコントローラ13を介してユーザが所望の値を設定することができる。
【0092】
内気温度Tiが、内気の設定温度Timより所定値α3だけ低い温度を超える場合、空調ゾーンZ1,Z2に外気を導入しても内気温度Tiの低下がほとんど見込めず、いずれは内気温度Tiが内気設定温度Timを越えてしまう可能性がある。そのため、制御部36は、式(3)の条件が満たされた場合、ステップS24において、外気冷房を停止する。
【0093】
具体的に、制御部36は、外気冷房を停止する旨の「停止情報」をリモートコントローラ13に送信する。リモートコントローラ13は、停止情報に基づいて利用側ユニット12の制御部29に「標準冷房」の開始の指令を送信する。制御部29は、利用側膨張弁25を開きかつ開度を調整することによって利用側熱交換器26へ冷媒の供給し、「標準冷房」を再開する。
【0094】
さらに、換気装置30の制御部36は、図3に示すように、開閉機構35における排気用ダンパ56を制御し、還気取入口41からケーシング31に取り入れられた還気RAを排気風路46に流す。還気RAは、全熱交換器32を通って排気吹出口42から排気EAとして外部空間に排出される。外気取入口43からケーシング31内に取り入れられた外気OAは、全熱交換器32を通って還気RAと全熱交換し、給気吹出口44から給気SAとして室内に供給される。
【0095】
これにより、外気と内気との間で全熱交換が行われた状態で空調ゾーンZ1,Z2が換気される。
【0096】
なお、式(3)において、仮に、Ti>Timとなったときに外気冷房を停止したとすると、空調ゾーンZ1,Z2内の温度が外気の取り込みによって上昇している可能性がある。そのため、本実施形態では、内気温度Tiが内気設定温度Timよりも所定値α3だけ低い温度を超えた時点で外気冷房を停止し、標準冷房を再開することで、空調ゾーンZ1,Z2内を快適な温度に維持することができる。
【0097】
(第4の処理手順)
図9は、外気冷房を停止するための第4の処理手順を示すフローチャートである。
ステップS31において、換気装置30の制御部36は、外気温度センサ62から外気温度Toを取得する。
ステップS32において、制御部36は、リモートコントローラ13から内気の設定温度(目標温度)Timを取得する。
【0098】
ステップS33において、制御部36は、外気温度Toと内気の設定温度Timとが次の式(4)の条件を満たすか否かを判断する。
To>Tim-α4 … (4)
ただし、α4は、外気冷房を停止するのに必要な、外気温度Toと内気設定温度Timとの差分を定める定数である。所定値α4は、空調ゾーンZ1,Z2の環境等に応じてリモートコントローラ13等を介してユーザが設定変更可能である。
【0099】
外気温度Toが内気の設定温度Timより所定値α4だけ低い温度を超える場合、空調ゾーンZ1,Z2に外気を導入しても内気温度Tiの低下が見込めず、いずれは内気温度Tiが内気設定温度Timを越えてしまう可能性がある。そのため、制御部36は、式(4)の条件が満たされた場合、ステップS34において、外気冷房を停止する。
【0100】
具体的に、制御部36は、外気冷房を停止する旨の「停止情報」をリモートコントローラ13に送信する。リモートコントローラ13は、停止情報に基づいて利用側ユニット12の制御部29に「標準冷房」の開始の指令を送信する。制御部29は、利用側膨張弁25を開きかつ開度を調整することによって利用側熱交換器26へ冷媒の供給し、標準冷房を再開する。
【0101】
さらに、換気装置30の制御部36は、図3に示すように、開閉機構35における排気用ダンパ56を制御し、バイパス風路49を閉じる。これにより、還気取入口41からケーシング31に取り入れられた還気RAは排気風路46を流れ、全熱交換器32を通って排気吹出口42から排気EAとして外部空間に排出される。外気取入口43からケーシング31内に取り入れられた外気OAは、全熱交換器32を通って還気RAと全熱交換し、給気吹出口44から給気SAとして室内に供給される。
【0102】
これにより、外気と内気との間で全熱交換が行われた状態で空調ゾーンZ1,Z2が換気される。
【0103】
なお、式(4)において、仮に、To>Timとなったときに外気冷房を停止したとすると、空調ゾーンZ1,Z2内の温度が外気の取り込みによって上昇している可能性がある。そのため、本実施形態では、外気温度Toが内気設定温度Timよりも所定値α4だけ低い温度を超えた時点で外気冷房を停止し、標準冷房を再開することで、空調ゾーンZ1,Z2内を快適な温度に維持することができる。
【0104】
第3の処理手順と第4の処理手順とは、いずれか一方のみを採用してもよいし、両方を採用し、一方の条件が満たされたときに外気冷房を停止するように構成してもよい。
【0105】
[他の実施形態]
図10は、本開示の他の実施形態に係る空気調和システムの構成説明図である。
図10に示す実施形態では、第1空調ゾーンZ1には、第1利用側ユニット12A及び換気装置30が設置されている。第2空調ゾーンZ2には、第2利用側ユニット12Bが設置されているが、換気装置30が設置されていない。
【0106】
したがって、第1空調ゾーンZ1においては、上記実施形態と同様に、所定の外気条件が満たされたときに外気冷房が行われるが、第2空調ゾーンZ2においては、外気冷房が行われずに標準冷房のみが行われる。第1空調ゾーンZ1において外気冷房を行い、利用側ユニット12による標準冷房が停止したとしても、熱源側ユニット11の圧縮機18は継続して運転しているので、第2空調ゾーンZ2における標準冷房は、何ら支障なく行うことができる。なお、第2空調ゾーンZ2では外気冷房が行われないので、利用側ユニット12には利用側膨張弁25が設けられていなくてもよい。
【0107】
本開示は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、外気温度を検出するための温度センサ62が換気装置30に設けられていたが、空気調和機10の熱源側ユニット11に設けられていてもよい。ただし、この場合、熱源側ユニット11の熱交換器20等の熱を温度センサが検出してしまう可能性があり、正確な外気温度を検出できない可能性があるので、換気装置30に設けることがより好ましい。
【0108】
上記実施形態では、換気装置30の制御部36が外気冷房の開始判断及び停止判断を行い、バイパス風路49の開閉や利用側膨張弁25の開閉指示等を行っていたが、これらの処理を他の制御部29,15が行ってもよい。言い換えると、外気冷房に関する各種の処理を行う制御部(コントローラ)は、空気調和システムSの構成要素のいずれかに備わっていればよい。
【0109】
各グループG1,G2において、利用側膨張弁25は、全ての利用側ユニット12に設けられていなくてもよく、少なくとも1つの利用側ユニット12に設けられていればよい。各グループG1,G2において、利用側膨張弁25に代えて又は加えて、利用側ユニット12の内部又は外部には、熱交換器26へ流れる冷媒の流量を調節する流量調節弁が設けられていてもよい。この場合、換気装置30によって外気冷房を行う際に、流量調節弁を閉じることによって空気調和機10による標準冷房を停止することができる。
【0110】
換気装置30のバイパス風路は、給気風路47をバイパスして外気取入口43と給気吹出口44との間を接続するものであってもよい。
【0111】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の空気調和システムSは、1系統の冷媒回路を構成する熱源側ユニット11及び複数の利用側ユニット12を有する空気調和機10と、換気装置30と、空気調和機10及び換気装置30を制御するコントローラ(制御部29,36)とを備え、空調対象空間Zの冷房を行う。複数の利用側ユニット12は、少なくとも第1グループG1に属する第1利用側ユニット12Aと第2グループG2に属する第2利用側ユニット12Bとに分けられ、換気装置30は、第1グループG1に含まれる。第1グループG1において、第1利用側ユニット12Aが熱交換器26を備え、第1グループG1において、少なくとも1以上の熱交換器26へ流れる冷媒の流量を調節する弁(利用側膨張弁25又は流量調節弁)を備える。第1グループG1において、空調対象空間Z外の空気である外気について所定の外気条件が満たされたとき、コントローラ29,36が、第1グループG1における弁25を閉鎖しかつ換気装置30により外気冷房を実行する。
【0112】
以上の空気調和システムSにおいては、第1グループG1について所定の外気条件が満たされたとき、熱源側ユニット11を停止させることなく第1グループG1の第1利用側ユニット12Aを実質的に停止させた状態とし、換気装置30により外気冷房を行うことができる。そのため、空気調和システムS全体の冷媒循環量を少なくして圧縮機18の負荷を抑え、消費電力を低減することができる。
【0113】
(2) 上述した実施形態では、第2利用側ユニット12Bが熱交換器を備え、第2グループG2において、少なくとも1以上の熱交換器26へ流れる冷媒の流量を調節する弁25が設けられる。第1グループG1において外気条件が満たされた場合、コントローラ29,36は、第2グループG2における弁25の開度制御を維持する。言い換えると、第2グループG2の第2利用側ユニット12Bは、標準冷房を維持する。したがって、第1グループG1において外気冷房を行っている間、第2グループG2においては標準冷房によって空調ゾーンZ2内を快適な温度に維持することができる。
【0114】
(3) 上述した実施形態では、換気装置30が、第2グループG2にも含まれている。第2グループG2において外気条件が満たされたとき、コントローラ29,36は、第2グループG2における利用側ユニット12の弁25を閉鎖しかつ換気装置30により外気冷房を実行する。したがって、第2グループG2においても第1グループG1と同様に外気冷房を行うことができ、空気調和システムS全体の冷媒循環量を少なくして圧縮機18の負荷を抑制し、消費電力を低減することができる。
【0115】
(4) 上述の実施形態で説明した第1の処理手順(図6参照)においては、外気条件が、外気温度センサ62により検出された外気の温度が内気の設定温度Timよりも第1の所定値α1以上低いこととされている(式(1)参照)。そのため、第1グループG1における内気の設定温度Timが第2グループG2における内気の設定温度Timよりも高く、かつ、第1グループG1について外気条件が満たされ、第2グループG2について外気条件が満たされない場合、コントローラ29,36は、第1グループG1における第1利用側ユニット12Aの弁25を閉鎖しかつ換気装置30により外気冷房を実行し、第2グループG2における弁25の開度制御を維持する。
【0116】
したがって、外気の温度Toに基づいて外気冷房が可能か否かを判断し、第1グループG1の内気設定温度Timと第2グループG2の内気設定温度Timが互いに異なる場合でも、各グループG1,G2において適切な冷房を行うことができる。
【0117】
(5) 上述した実施形態の空気調和システムSは、外気の温度を検出する温度センサ62と、外気の湿度を検出する湿度センサ63とを備えている。第2の処理手順(図7参照)では、外気条件が、外気温度センサ62及び外気湿度センサ63により検出された外気の温度及び湿度から求められる外気のエンタルピーXoが、空調対象空間Z内の空気である内気の目標エンタルピーXimよりも第2の所定値α2以上低いこととされている。そのため、外気の温度だけでなく湿度をも考慮して外気冷房を行うことができる。
【0118】
(6) 上述した実施形態において、第1グループG1に対して適用される外気条件と、第2グループG2に対して適用される外気条件とは、互いに異なっていてもよい。この場合、各グループG1,G2の状態(部屋の利用頻度、人数、室内の熱負荷等)に応じて、適切に外気条件を設定することができる。
【0119】
(7) 上述した実施形態では、空気調和システムSが、外気の温度を検出する外気温度センサ62と、第1グループG1において外気の湿度を検出する湿度センサ63と、を備える。この場合、第1グループG1に適用される外気条件は、外気温度センサ62及び外気湿度センサ63により検出された外気の温度及び湿度から求められる外気のエンタルピーXoが、空調対象空間Z内の空気である内気の目標エンタルピーXimよりも第2の所定値α2以上低いことである。これに対して、第2グループG2において適用される外気条件は、外気温度センサ62により検出された外気の温度Toが、内気の設定温度Timよりも第1の所定値α1以上低いことである。これにより、各グループG1,G2における外気湿度センサの有無に応じて、適切な外気条件で外気冷房を行うことができる。
【0120】
(8)上記実施形態において、第1の所定値α1及び第2の所定値α2は、設定変更可能である。そのため、外気冷房を行うための条件を調整することができる。
【0121】
(9)上述した実施形態では、空気調和システムSが、外気の温度を検出する外気温度センサ62を備え、コントローラ(制御部36)は、空気調和システムSが外気の湿度を検出する外気湿度センサ63を備えているか否かを判断し、コントローラ36が外気湿度センサ63を備えていないという判断を行った場合、外気条件は、第1の処理手順で説明したように、外気温度センサ62により検出された外気の温度が、空調対象空間Z内の空気である内気の設定温度Timよりも第1の所定値α1以上低いこととされ、コントローラ36が外気湿度センサ63を備えているという判断を行ったとき、外気条件は、第2の処理手順で説明したように、外気温度センサ62及び外気湿度センサ63により検出された外気の温度及び湿度から求められる外気のエンタルピーXoが、内気の目標エンタルピーXimよりも第2の所定値α2以上低いこととされる。そのため、外気湿度センサ63の有無に応じて、より適切な外気条件を設定することができる。
【0122】
(10)上述した実施形態では、換気装置30が外気温度センサ62を備えている。換気装置30の外気温度センサ62は、外部空間からダクトを介して取り込んだ外気の温度を検出するため、熱源側ユニット11のように内部の熱が外気温度に影響を及ぼすことがなく、正確な外気の温度を検出することができる。
【0123】
(11)上述した実施形態では、外気冷房中に、空調対象空間Z内の空気である内気の温度Tiが内気の設定温度Timよりも第3の所定値α3だけ低い温度を越える場合、又は外気温度Toが内気の設定温度Timよりも第4の所定値α4だけ低い温度を超える場合、コントローラ29,36が、閉じていた利用側膨張弁25を開き当該利用側膨張弁25の開度制御を行う。そのため、外気冷房の継続が困難となってきたときに、外気冷房を停止し、標準冷房を再開することができる。
【0124】
(12)第3の所定値α3又は第4の所定値α4は、設定変更可能である。そのため、外気冷房から標準冷房に移行するための条件を調整することができる。
【符号の説明】
【0125】
10 :空気調和機
11 :熱源側ユニット
12 :利用側ユニット
12A :第1利用側ユニット
12B :第2利用側ユニット
13 :リモートコントローラ
25 :利用側膨張弁
26 :利用側熱交換器
29 :制御部(コントローラ)
30 :換気装置
36 :制御部(コントローラ)
62 :外気温度センサ
63 :外気湿度センサ
G1 :第1グループ
G2 :第2グループ
Ti :内気温度
Tim :内気設定温度
To :外気温度
Xim :目標エンタルピー
Xo :外気エンタルピー
Z :空調対象空間
α1 :第1の所定値
α2 :第2の所定値
α3 :第3の所定値
α4 :第4の所定値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10