(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】放電加工アセンブリ及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
B23H 1/00 20060101AFI20240711BHJP
B23H 7/12 20060101ALI20240711BHJP
B23H 7/28 20060101ALI20240711BHJP
B23H 7/30 20060101ALI20240711BHJP
G21C 21/00 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
B23H1/00 B
B23H7/12
B23H7/28
B23H7/30
G21C21/00 700
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019235957
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(74)【代理人】
【識別番号】100186831
【氏名又は名称】梅澤 崇
(72)【発明者】
【氏名】マツモト,ジャック,ティー
(72)【発明者】
【氏名】スムナー,マーク,ディー
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ,クリストファー、エム
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-163288(JP,A)
【文献】特開2002-066846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00
B23H 7/12
B23H 7/28
B23H 7/30
G21C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工される表面(1)の周りを固定するように構成されたマウント(120)と、
前記マウント(120)
に結合される電極(200)
であって、前記電極(200)は、回転して前記マウント(120)に対して垂直に移動するように構成され、前記電極(200)は、複数の電極本体(201)を含
む、
電極(200)と、
を備え、
前記電極本体(201)のそれぞれは、対応する電極本体(201)の内部で垂直軸
を中心として、前記マウント(120)に対して、かつ前記電極(200)に対して回転するように構成される、
電気的な放電加工のためのアセンブリ(100)。
【請求項2】
前記複数の電極本体(201)は、前記電極(200)の中心の垂直軸
を中心として全て回転するようにさらに構成される、請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記電極
本体(201)の各々は、遊星歯車(205)で固定され、前記電極(200)は、前記遊星歯車(205)と噛み合う太陽歯車(204)を含む、請求項2に記載のアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記複数の電極
本体(201)は、
各々の直径が約7.5インチの6つの円筒形電極
本体(201)を含む、請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項5】
さらに、前記電極を垂直に移動させるように構成された第1のステッピングモータ(170)と、
前記電極本体(201)を、対応する電極本体(160)の内部で垂直軸
を中心として回転させるように構成される第2のステッピングモータ(160)と、を備える請求項1に記載のアセンブリ(100)。
【請求項6】
電極(200)をマウント(120)で表面
(1)に
水中で固定することと、
前記電
極(200)内の複数の電極
本体(201)を、対応する電極
本体(201)の内部
で垂直軸を中心として、
前記複数の電極
本体(201)を介して
電流を放電させながら
前記電極(200)に対して各々回転させること
と、
前記複数の電極本体(201)を介して前記電流を放電しながら、前記電極(200)を前記マウント(120)に対して垂直に移動させることと、
を含む、表面(1)を放電加工する方法。
【請求項7】
さらに、
前記複数の電極
本体(201)を介して
前記電流を
放電しながら、
前記複数の電極
本体(201)を、
前記電極(200)に対して垂直な軸を中心に旋回させる
ことを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記電極本体(201)の各々は、遊星歯車(205)で固定され、前記電極(200)は、前記遊星歯車(205)と噛み合う太陽歯車(204)を含む、請求項
7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
放電加工アセンブリ及びその使用方法
【背景技術】
【0002】
図1は、放電加工(EDM)で使用可能な従来技術の回転電極10の斜視図である。典型的には、原子炉環境および他の工業環境では、水中または遠隔構造の穴を作ることなどによって材料を除去することが必要である。例えば、原子炉では、マンウェイカバーのような遠隔溶接部品がその溶接部の周りで損傷する可能性があり、交換用のカバーを、同じ水中に機械的にボルト留めする必要があり得る。この修理につき、交換用のカバーを収容するために、スポット面は、カバー内で、0.05インチの深さに放電機械加工され得る。EDMは、一般に、原子炉内構造物と干渉しない微細な削り屑を生成し、水中で実行することができるので、このようなプロセスで使用される。
【0003】
マンウェイカバーの交換または他の操作の間、そのような穴をEDMするために、従来技術の回転電極10を、より大きなスポット対向アセンブリで使用してもよい。
図1に示すように、回転電極10は、アセンブリ内のスピンドルまたは車軸(図示せず)などの中心軸の周りを回転することができる。いくつかの電極セグメント11 A、11 B、および11 Cは、それぞれ、リード12を介して電力供給され得る。リード12は、ブラシまたは他の非固定接続を介して、電源電極に接続され、セグメント11A、11B、および11Cに接続される。
【0004】
したがって、個々の電極13または放電面は、機械加工されるべき表面にわたって環状に駆動され、回転され得る。回転電極10は、個々の電極が回転し、機械的に表面を放電するので、所望のスポット、潜在的に水中で横方向に移動することができる。動作の様々な点において、関連技術の回転電極は、電極セグメント11A、11B、11C、等として置き換えることができ、材料を放電する潜在的に数時間にわたって、着用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な実施形態は、それ自体の軸上でサブ電極を回転させながら機械加工表面に固定可能なEDMアセンブリを含む。したがって、サブ電極を放電する際に、大きな電極面界面が発生し、より多くの材料が除去される。サブ電極はまた、放電中に共有軸の周りを回転することができ、EDM燃焼の材料除去および均一性をさらに増加させる。サブ電極に固定され、固定された太陽歯車と噛合する遊星歯車を用いて、相対運動を達成することができる。いくつかのサブ電極は、それぞれが回転する6つの円筒形サブ電極などの単一のアセンブリにおいて使用することができる。そしてサブ電極は、直径が数インチ等、相対的に大きくしてもよい。
【0006】
サブ電極はまた、マウント上のスピンドルから下方に移動し、機械加工されている表面内に数インチまで移動して、深い穴を形成することができる。例えば、これらの操作を、保守期間中に反応器内で行い、浸漬型反応器内の水中の置換マンウェイカバーのための穴を機械加工することができる。回転および垂直移動は、アセンブリ内の別個のモータによって独立して制御することができ、電力および制御は、水中接続を介して遠隔で提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】例示的な実施形態の放電加工アセンブリの図である
【
図4】例示的な実施形態の放電加工アセンブリおよび遊星電極の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的な実施形態は、添付の図面を詳細に説明することによってより明らかになり、同様の要素は、例示のみを目的として与えられ、したがって、それらが示す用語を限定するものではない。
【0009】
これは、特許文献であるため、一般的に、それを読むときに構築の広範な規則が適用されるべきである。本明細書に記載され示された全ては、以下に添付される特許請求の範囲に含まれる主題の一例である。本明細書で開示される任意の特定の構造的および機能的詳細は、単に例を作成および使用する方法を説明するためのものにすぎない。本明細書に具体的に開示されていないいくつかの異なる実施形態および方法は、請求項の範囲内に入り得る。したがって、特許請求の範囲は、多くの代替形態で実施され得、本明細書に記載の例のみに限定されると解釈されるべきではない。
【0010】
第1、第2、の序数は、様々な要素を説明するためであることが理解されるであろう。本明細書では、これらの要素は、これらの用語による任意の順序に限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。複数の第2のまたはより高い規則がある場合、単に、任意の差または他の関係なしに、多くの数の要素が存在するだけでなければならない。例えば、例示的な実施形態または方法の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。
【0011】
本明細書で使用されるように、「および/または」という用語は、単一の項目、項目のサブグループ、またはすべての項目のみが存在することが明確に示されない限り、関連するリストされた項目のうちの1つまたは複数のすべての組合せを含む。複数の(1つまたは複数の)任意の信号および/または(複数の)組合せにおける、上記の項目の同じグループに属する他のすべての要素の包含を示し、また、複数の他のすべての要素が含まれることを示す。
【0012】
要素が「接続」されると言及されるとき、「結合された」 、「組合された」 、「付加された」、「固定された」、等であることが理解されるであろう。別の要素には、他の要素に直接接続されてもよいし、介在要素が存在してもよい。対照的に、要素が他の要素に「直接接続される」「直接結合された」と呼ばれる場合、別の要素には、介在する要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の語は、同様の形で解釈されるべきである(例えば、「間」対「直接間に」、「隣接する」対「直接隣接する」 等)。同様に、「通信可能に接続された」のような用語は、ワイヤレスに接続される中間デバイス、ネットワーク、等を含む、2つの電子デバイス間の情報交換およびルーティングのすべての変形を含む。
【0013】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、明示的に別段の指示がない限り、単数形および複数形の両方を含むことが意図される。「a」、「an」のような不定冠詞は、以前に導入された用語とそうでない場合の両方を導入または参照し、一方、「the」のような定冠詞は、同じ以前に導入された用語を指す。このように、「a」、「an」は、以前に導入された又は新規であると認められた項目を修正するものであり、一方で定冠詞は、過去に導入されたものとまさに同じ項目を修正するものである。「備える」 、「含む」という用語は、述べられた特徴、特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、それ自体は、1つまたは複数の他の特徴、特性、ステップ、動作、要素、成分および/またはその基の存在または追加を排除しないことが理解されよう。
【0014】
以下で説明する構造および動作は、図面に記載および/または記載された順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示される2つの動作および/または図は、関与する機能/動作に応じて、実際には同時に実行されてもよく、ときには逆の順序で実行されてもよい。同様に、以下で説明する例示的な方法内の個々の動作は、以下で説明する単一の動作とは別に、ループまたは他の一連の動作を提供するために、個々にまたは順次に実行され得る。以下で説明する特徴および機能を有する任意の実施形態または方法は、任意の実行可能な組合せで、例示的な実施形態の範囲内に入ると推定されるべきである。
【0015】
ここで使用される場合、「軸方向」及び「垂直方向」の方向は、原子炉の主軸に沿って向かうものと、同じ方向又は下方の方向であり、しばしば重力方向となる。「横方向」は「軸方向」に対して垂直であり、特定の軸方向の高さにおいて単一の平面内で配向された左右方向である。
発明者らは、電極の弾力性を大きく増加させる必要性を新たに認識し、重い放電加工(EDM)において必要とされ得る電極交換の数を減少させる必要性を新たに認識した。特に、停止期間中の商業的原子炉では、修理及び他の作業は、プラントを可能な限り早く運転状態に戻すために迅速に実行されなければならない。また、
図1に示すように、遠隔環境において大きく深い穴または切込みを生成する必要があるが、電極、特に単一の薄い環状電極上の摩耗をさらに増大させるにすぎない。以下に説明する例示的な実施形態は、本発明者によって発見されたこれらおよび他の問題に対する解決策を独自に可能にする。
【0016】
本発明は、EDM用の回転可能な電極、並びにそれを使用するためのアセンブリ及び方法である。本発明とは対照的に、以下で説明するいくつかの例示的な実施形態および例示的方法は、本発明と一緒におよび/またはそれに関連して使用され得る様々な異なる構成のほんの一部を例示する。
図2は、例示的な実施形態のEDMアセンブリ100の図である。
図2に示すアセンブリ100は、電極アセンブリ115が移動可能に入れ子にされ得るリニアマウント120を含む。リニアマウント120は、EDMの対象とする領域に固定可能な脚部を有するブリッジ状の形状を有することができ、電極アセンブリ115を移動させるための制御及び電力を有する頂部を有することができる。リニアマウント120は、その脚部または任意の他の接続点の1つまたは複数の側面上の、ホイストリング121によって位置決めされ得る。このようにして、例示的な実施形態EDMアセンブリは、修理を必要とする原子炉内に浸漬されたマンウェイカバーの上など、遠隔かつ均等な水中位置で位置決めされ、固定され得る。アンビリカルポート125は、遠隔オペレータからのデータ、電力、および/または制御を、アセンブリ100から/またはアセンブリ100に接続することができ、および/または任意の他の形態の通信および電力接続がアセンブリ100において使用され得る。
電極アセンブリ115は、例示的な実施形態の遊星電極200(
図3)を含み、少なくとも垂直方向に、かつ垂直軸上で回転可能に、リニアマウント120に対して移動可能である。電極アセンブリ115は、1つまたは複数の電極ガード111内に、遊星電極200を収容することができる。電極ガード111は、デブリまたは異物が遊星電極200の側面または頂部と干渉するのを防止する。絶縁体110は、電極アセンブリ115の内部に配置されて、アセンブリ115と電極200との間の放電を防止することができる。あるいは、電極アセンブリ115は、電極200が電極ガード111によって大きく囲まれないように、遊星電極200のみを含むことができる。
【0017】
図3は、例示的な実施形態の分離した遊星電極200の図であり、ここで電極200は、上述した実施形態のEDMアセンブリ100において使用可能である。
図3に示すように、遊星電極200は、周回軌道上に配置された複数の電極体201を備えている。しかしながら、例示的な実施形態では、他の軌道及び電極形状が使用可能である。同様に、6つの円筒状電極体201を
図3に示すが、任意の数および形状の電極本体を使用することができる。電極本体201は、それらのそれぞれの中心を通る個々の垂直軸の周りを回転し、また、遊星電極200の中心を通る垂直軸の周りを回転する。これらの動作は、図中矢印で示されている。
電極本体201の軸回転及び回転運動の組み合わせにより、電極体表面の相対運動が増加し、より多くの電極表面がEDMで使用され、電極本体201上の材料除去及び摩耗低減を改善する。例えば、
図1の従来技術の回転電極10と比較して、同じスポット面領域内の例示的な実施形態の遊星電極200は、スポット面領域の2倍の表面積にわたって存在してもよい。一例として、電極本体はそれぞれ、約7~8インチの直径を有する円筒形であり得、グラファイト、銀タングステン、および/または任意の他の適切な材料から形成され得る。アセンブリ100及び電極200の残りは、原子炉環境に適合する材料で作製されてもよい。材料としては、高温材料及び放射線、例えばステンレス鋼及び鉄合金、アルミニウム合金、ジルコニウム合金、等に曝されたときにそれらの物理的特性を維持する材料を含む。
電極体201の軸回転及び回転運動は、太陽歯車204と噛み合う遊星歯車205に対して電極体201を固定することによって達成することができる。上部ガイド207及び下部ガイド206は、電極本体201を太陽歯車の周りの軌道に固定することができ、本体201が回転するとき、太陽歯車204と噛み合う遊星歯車205は、本体201を比例的に回転させる。さらに、上部ガイド207および/または遊星ギア205を介して、電力を提供することができ、回転および旋回しながら電極体201を帯電させる。当然ながら、他の機械的構成について、例示的な実施形態の電極200と共に使用可能であり、同じ回転及び/又は回転を達成する。
図4は、例示的な実施形態のEDMアセンブリ100の断面図であり、EDMされるべき表面1に取り付けられたときに、その中で可動である例示的な実施形態の遊星電極200を示す。
図4に示す中心スピンドル150は、例示的な実施形態の遊星電極200に接続して、電極200を回転させ、電極200を垂直方向に移動させる。例えば、スピンドル150は、リニアマウント120とのボール及びネジ接続を形成し、ステッパモータ160は、タイミングベルト161を介してスピンドル150を回転させて、ボール及びネジ接続によるスピンドル150及び電極200の垂直変位を引き起こすことができる。スピンドル150は、上部ガイド207または電極200の任意の他の構成要素を介して、電極200に接続することができる。トップガイド207は、太陽ギア204が回転しない間、別個のステッピングモータ170と共に回転されてもよく、電極本体201の回転運動及び回転運動を引き起こす。
【0018】
図示のように、リニアマウント120を静止したままで、電極200は、EDMの表面1に対して垂直に下方向にしても良い。EDMの垂直方向の深さは、除去するのに必要な材料の適用及び量に基づいて調整することができる。例えば、1.85インチの深いスポット面のような数インチの穴を、実施例のアセンブリ100における電極200と同様の垂直移動により、形成することができる。電極本体201にわたる界面面積の増大及びより大きな摩耗分布により、関連技術の電極よりも2. 3倍速いスポット面内の材料を除去し、摩耗に起因して電極の変化の数が減少する。この減少は、必要な変化の半分に至る可能性がある。電極の変化のためにより速いEDM処理及びより少ない停止時間とすることにより、例示的な実施形態EDMアセンブリ100を使用したいくつかのタスクを加速することが予想され、ダウンタイムを減少させ、動作をより速く再開することを可能にする。
【0019】
したがって、例示的な実施形態および方法が説明されるが、例示的な実施形態は、以下の特許請求の範囲内に依然として含まれながら、ルーチン実験を通じて変更および置換され得ることを、当業者は諒解されよう。例えば、図示されたものとは別の任意の数の電極およびサイズが、単に適切な寸法および位置決めを介して、例示的な実施形態EDMアセンブリにおいて使用され得る。そのような変形は、これらの特許請求の範囲から逸脱するものと見なされるべきではない。