(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ラビリンスシール及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
F16J 15/447 20060101AFI20240711BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20240711BHJP
F01D 5/20 20060101ALI20240711BHJP
F01D 11/08 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F16J15/447
F02C7/28 A
F02C7/28 B
F01D5/20
F01D11/08
(21)【出願番号】P 2020064024
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安東 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】下村 章一
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 直哉
(72)【発明者】
【氏名】牧野 真弥
(72)【発明者】
【氏名】山本 将大
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-221512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/00-11/24
F02C 1/00-9/58
F16J 15/34-15/38
F23R 3/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に間隔をおいて配置された複数のシールフィンを有する第1部材と、
前記第1部材に対向し、各シールフィンとの間に半径方向の隙間が形成された第2部材と、を備え、
前記第2部材は、各シールフィンをそれぞれ基準としたとき、当該シールフィンよりも下流側に位置する前記第2部材の部分が、軸方向視において当該シールフィンと重複しないように形成されており、
前記第2部材は、最も上流側のシールフィンよりも上流側に位置し、前記第1部材との間に半径方向の隙間が形成される入口壁を有して
おり、
前記入口壁の半径方向寸法は、前記入口壁よりも下流側で前記入口壁と隣接する領域における前記第1部材と前記第2部材との間の半径方向距離の3分の2以上である、ラビリンスシール。
【請求項2】
前記第1部材は、前記入口壁に対向する部分に入口面を有し、
前記入口面は、半径方向位置が一定となるように形成されている、請求項1に記載のラビリンスシール。
【請求項3】
前記入口壁と前記入口面との間の半径方向の隙間寸法は、前記各シールフィンと前記第2部材との間の半径方向の隙間寸法よりも大きい、請求項2に記載のラビリンスシール。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか一の項に記載のラビリンスシールを備えたガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラビリンスシール及びガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンなどの回転機械では、回転体と静止体の間を気体が通過して漏れ出さないように、回転体と静止体の間にラビリンスシールが設けられる場合がある。ラビリンスシールは、回転体と静止体の隙間にシールフィンなどの障害物を設けて気体の流れをせき止めることに加え、内部に気体の渦が発生する構造とするのが有効である。渦を発生させることで、気体が軸方向に一層流れにくくなり、気体の漏れ量を抑制することができる。
【0003】
下記の特許文献1に記載のラビリンスシールでは、第1部材(回転体又は静止体)に複数のシールフィンが設けられており、第1部材に対向する第2部材(回転体又は静止体)に小さな突起が複数設けられている。これらの突起は、軸方向において隣り合うシールフィンの間にそれぞれ配置されている。つまり、シールフィンと突起は互い違いに配置されている。ラビリンスシールをこのように構成することで、シールフィンをすり抜けた気体が突起に衝突して渦が発生し、漏れ量を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の第1部材に第2部材(一方が回転体で他方が静止体)を組付ける場合、例えば軸方向から第2部材を第1部材に挿入できれば、組付けを容易に行うことができる(特許文献1の
図4の場合)。ただし、軸方向から第2部材を第1部材に挿入できるようにするには、挿入時にシールフィンと突起が接触しないようにラビリンスシールを構成する必要がある。つまり、シールフィンの高さを低くするか、突起の高さを低くする必要がある。
【0006】
ところが、シールフィンの高さを低くすると気体がシールフィンをすり抜けて下流側に流れやすくなる一方、突起の高さを低くすると強い渦を発生させることができなくなる。つまり、どちらを選択しても問題は残る。このように、軸方向から回転体を静止体に挿入する組付けに対応可能なラビリンスシールでは、その形状が制限されてしまうため、気体の漏れ量を効果的に抑制することは容易ではなかった。
【0007】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、軸方向から回転体を静止体に挿入する組付けに対応可能であって、気体の漏れ量を効果的に抑制できるラビリンスシール及びガスタービンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るラビリンスシールは、軸方向に間隔をおいて配置された複数のシールフィンを有する第1部材と、前記第1部材に対向し、各シールフィンとの間に半径方向の隙間が形成された第2部材と、を備え、前記第2部材は、各シールフィンをそれぞれ基準としたとき、当該シールフィンの下流側に位置する前記第2部材の部分が、軸方向視において当該シールフィンと重複しないように形成されており、前記第2部材は、最も上流側のシールフィンよりも上流側に位置し、前記第1部材との間に半径方向の隙間が形成される入口壁を有している。
【0009】
この構成によれば、例えば、回転体に第1部材を設け、静止体に第2部材を設けた場合、組付け時において回転体を上流側に向かって静止体に挿入すれば、第1部材を構成する部分と第2部材を構成する部分が接触することはない。また、入口壁と第1部材との間の隙間を通過した気体は、最も上流側のシールフィンに衝突した後に当該シールフィンに沿って流れる。これにより、入口壁と最も上流側のシールフィンの間の空間に気体の大きな渦が発生し、軸方向への流れが抑制される。しかも、入口壁と第1部材との間の隙間を不要に大きくすることなく組み付けることができる。よって、上記のラビリンスシールは、軸方向から回転体を静止体に挿入する組付けに対応可能であって、気体の漏れ量を効果的に抑制することができる。
【0010】
また、本発明の一態様に係るガスタービンは、上記のラビリンスシールを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、軸方向から回転体を静止体に挿入する組付けに対応可能であって、気体の漏れ量を効果的に抑制できるラビリンスシール及びガスタービンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るラビリンスシールの断面図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態に係るラビリンスシールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について説明する。はじめに、第1実施形態に係るラビリンスシール100について説明する。
【0014】
図1は、第1実施形態に係るラビリンスシール100の断面図である。ラビリンスシール100は、ガスタービンなどの回転機械に設けられる。より具体的には、ラビリンスシール100は、ケーシングなどの静止体とシャフトなどの回転体との間に設けられる。したがって、ラビリンスシール100は環状に形成されている。
【0015】
図1の紙面左右方向がラビリンスシール100の軸方向であり、紙面上下方向がラビリンスシール100の半径方向である。また、紙面上方がラビリンスシール100の半径方向外方であり、紙面下方がラビリンスシール100の半径方向内方である。さらに、
図1において、紙面左側が高圧側であり、紙面右側が低圧側である。すなわち、気体は紙面左側から紙面右側に向かって流れようとし、紙面左側が気体の上流側となり、紙面右側が気体の下流側となる。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るラビリンスシール100は、第1部材10と、第2部材20と、を備えている。本実施形態では、第1部材10は回転体の外周部分に設けられており、第2部材20は静止体の内周部分に設けられている。以下、第1部材10及び第2部材20について順に説明する。
【0017】
<第1部材>
第1部材10は、前述のとおり回転体の外周部分に設けられており、円筒状の形状を有している。第1部材10は、入口面11と、傾斜面12と、出口面13と、複数のシールフィン14とを有している。
【0018】
入口面11は、第1部材10の最も上流側に位置する部分であって、最も上流側のシールフィン14よりもさらに上流側に位置している。本実施形態の入口面11は、軸方向に対して平行に延びている。つまり、入口面11は、軸方向において半径方向位置が一定となるように形成されている。
【0019】
傾斜面12は、入口面11よりも後流側で入口面11と隣接する部分である。本実施形態では、傾斜面12は下流側の部分が上流側の部分よりも半径方向外方側に位置するように傾斜している。なお、本実施形態の傾斜面12は断面視において一直線状に傾斜しているが、階段状に傾斜していてもよい。また、傾斜面12は断面視において曲線形状に形成されていてもよく、直線と曲線を組み合わせた形状に形成されていてもよい。
【0020】
出口面13は、傾斜面12よりも後流側で傾斜面12と隣接する部分である。出口面13は、第1部材10の最も後流側に位置しており、最も下流側のシールフィン14よりもさらに下流側に位置している。本実施形態の出口面13は、軸方向において半径方向位置が一定となるように形成されている。ただし、出口面13は、軸方向において半径方向位置が一定でなくてもよい。
【0021】
シールフィン14は、第1部材10から第2部材20に向かって延びる部分である。シールフィン14と第2部材20の間には半径方向の隙間が形成されている。各シールフィン14は、傾斜面12に設けられている。シールフィン14は半径方向に延びていてもよく、半径方向に対して傾斜する方向に延びていてもよい。各シールフィン14は、軸方向に間隔をおいて配置されている。本実施形態では、各シールフィン14は軸方向に等間隔に配置されている。
【0022】
シールフィン14の先端は断面視において鋭角に形成されているが、シールフィン14の先端の形状はこれに限定されない。また、本実施形態の各シールフィン14は、互いに同じ形状で、かつ、同じ大きさに形成されている。ただし、シールフィン14の形状及び大きさは特に限定されない。さらに、本実施形態の第1部材10は4つのシールフィン14を有しているが、第1部材10が有するシールフィン14の数は特に限定されない。
【0023】
<第2部材>
第2部材20は、第1部材10と対向する部材である。第2部材20は、静止体の内周部分に設けられており、円筒状の形状を有している。第2部材20は、複数のステップ面21と、入口壁22と、を有している。
【0024】
ステップ面21は、前述したシールフィン14に対応して配置されている。そのため、各ステップ面21は、各シールフィン14に対向している。各ステップ面21は、シールフィン14との間に半径方向の隙間が形成されている。また、本実施形態の第2部材20は、シールフィン14と同じ数である4つのステップ面21を有している。ただし、第2部材20が有するステップ面21の数は特に限定されない。
【0025】
また、各ステップ面21は、軸方向に対して平行に延びている。つまり、各ステップ面21は、軸方向において半径方向位置が一定となるように形成されている。さらに、各ステップ面21は、配置されている位置が下流側であるほど半径方向外方側に位置している。したがって、複数のステップ面21全体としては、下流側に向かうにしたがって半径方向外方側に位置するように傾斜している。
【0026】
入口壁22は、最も上流側のステップ面21に設けられており、最も上流側のシールフィン14よりもさらに上流側に位置している。本実施形態では、入口壁22は第1部材10の入口面11に対向する位置に配置されている。また、入口壁22は、第1部材10(入口面11)との間に半径方向の隙間が形成されている。
【0027】
なお、前述のとおり、入口面11は軸方向において半径方向位置が一定である。そのため、第1部材10と第2部材20の軸方向における相対位置が多少ずれたとしても、入口壁22と入口面11との間の半径方向の隙間寸法は変動せずに一定のまま維持される。
【0028】
また、入口壁22と第1部材10(入口面11)との間の半径方向の隙間寸法は、シールフィン14と第2部材20(ステップ面21)との間の半径方向の隙間寸法よりも大きい。ただし、入口壁22の半径方向寸法は、入口壁22よりも下流側で入口壁22と隣接する領域における第1部材10(入口面11)と第2部材20(最も上流側のステップ面21)との間の半径方向距離の3分の2以上である。入口壁22をこのように構成するのは、後述する気体の流れに起因している。
【0029】
ここで、第1部材10と第2部材20の間を通過しようとする気体の流れについて説明する。まず、入口壁22と最も上流側のシールフィン14との間の空間30を「第1空間」と呼ぶとすると、第1空間30の気体の入口は、入口壁22と第1部材10の間の半径方向の隙間であり、第1空間30の半径方向内方側に位置している。一方、第1空間30の気体の出口は、最も上流側のシールフィン14と第2部材20の間の半径方向の隙間であり、第1空間30の半径方向外方側に位置している。
【0030】
このように、第1空間30における気体の入口と出口は第1空間30の中央を挟んで反対側に位置しており、出口は入口から最も遠くに位置している。そして、
図1に示すように、第1空間30の入口である入口壁22と第1部材10の間を通過した気体は軸方向に沿って流れた後、シールフィン14に衝突する。その後、気体はシールフィン14に沿って流れ、第1空間30内に大きな渦が発生する。この渦が気体の主流となって、第1空間30の出口を通過する気体の流れ(
図2の破線の矢印)を抑制することができる。
【0031】
気体の流れは以上のとおりであり、前述のように入口壁22の半径方向寸法は、入口面11と最も上流側のステップ面21との間の半径方向距離の3分の2以上である。このように構成することにより、入口壁22と第1部材10の間を通過する気体を軸方向に指向させ、ひいては第1空間30で渦を発生させることができる。
【0032】
また、入口壁22は、最も上流側のシールフィン14と軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。本実施形態では、入口壁22と最も上流側のシールフィン14との間の軸方向距離は、隣り合うシールフィン14の間の軸方向距離に等しい。このように構成することにより、後述するように入口壁22と最も上流側のシールフィン14との間に気体の渦を効率よく発生させることができる。ただし、入口壁22と最も上流側のシールフィン14との間の軸方向距離は、隣り合うシールフィン14の間の軸方向距離と異なっていてもよい。
【0033】
また、第2部材20は、各シールフィン14をそれぞれ基準としたとき、そのシールフィン14よりも下流側に位置する第2部材20の部分が、そのシールフィン14と軸方向視において重複しないように形成されている。例えば、最も上流側のシールフィン14を基準としたとき、最も上流側のシールフィン14よりも下流側に位置する第2部材20の部分は、最も上流側に位置するシールフィン14よりも半径方向外方側に位置している。そのため、軸方向視において、最も上流側のシールフィン14よりも下流側に位置する第2部材20の部分は、最も上流側のシールフィン14と重複しない。この点は、いずれのシールフィン14を基準としても同じである。
【0034】
本実施形態の第2部材20は、このように構成されているため、軸方向に静止体に回転体を挿入することで両者を組み付ける場合、ここでは第1部材10を上流側に向かって第2部材20に挿入する場合(
図1中の白抜き矢印参照)、第1部材10を構成する部分と第2部材20を構成する部分が接触することはない。したがって、本実施形態に係るラビリンスシール100は、軸方向から回転体を静止体に挿入する組付けに対応可能である。
【0035】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るラビリンスシール200について説明する。
図2は、第2実施形態に係るラビリンスシール200の断面図であり、第1実施形態の
図1に相当する。なお、
図2に示す構成要素のうち、
図1に示す構成要素と同じ又は対応するものには同じ符号を付し、既に説明した構成要素については説明を省略する。
【0036】
第1実施形態に係るラビリンスシール100は、第1部材10が回転体の外周部分に設けられ、第2部材20が静止体の内周部分に設けられていたのに対し、第2実施形態に係るラビリンスシール200は、第1部材10が静止体の内周部分に設けられており、第2部材20が回転体の外周部分に設けられている点で、両者は相違する。
【0037】
本実施形態に係るラビリンスシール200では、第1実施形態の場合とは異なり、傾斜面12は下流側の部分が上流側の部分よりも半径方向下方側に位置するように傾斜している。また、複数のステップ面21は、全体として下流側に向かうにしたがって半径方向外方側に位置するように傾斜している。
【0038】
ただし、本実施形態においても、第2部材20が有する入口壁22は、最も上流側のシールフィン14よりもさらに上流側に位置し、第1部材10との間に半径方向の隙間が形成されている。そのため、第1空間30内に大きな気体の渦が発生し、第1空間30から気体が流れ出るのを抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態においても、第2部材20は、各シールフィン14をそれぞれ基準としたとき、当該シールフィン14よりも下流側に位置する第2部材20の部分が、軸方向視において当該シールフィン14と重複しないように形成されている。そのため、軸方向に静止体に回転体を挿入することで両者を組み付ける場合、ここでは第2部材20を下流側に向かって第1部材10に挿入する場合(
図2中の白抜き矢印参照)、第1部材10を構成する部分と第2部材20を構成する部分が接触することはない。
【0040】
(作用効果)
以上、第1実施形態及び第2実施形態に係るラビリンスシールについて説明した。上記のとおり、実施形態に係るラビリンスシールは、軸方向に間隔をおいて配置された複数のシールフィンを有する第1部材と、前記第1部材に対向し、各シールフィンとの間に半径方向の隙間が形成された第2部材と、を備え、前記第2部材は、各シールフィンをそれぞれ基準としたとき、当該シールフィンよりも下流側に位置する前記第2部材の部分が、軸方向視において当該シールフィンと重複しないように形成されており、前記第2部材は、最も上流側のシールフィンよりも上流側に位置し、前記第1部材との間に半径方向の隙間が形成される入口壁を有している。
【0041】
この構成によれば、例えば、回転体に第1部材を設け、静止体に第2部材を設けた場合、組付け時において回転体を上流側に向かって静止体に挿入すれば、第1部材を構成する部分と第2部材を構成する部分が接触することはない。また、入口壁と第1部材との間の隙間を通過した気体は、最も上流側のシールフィンに衝突した後に当該シールフィンに沿って流れる。これにより、入口壁と最も上流側のシールフィンの間の空間に気体の大きな渦が発生し、軸方向への流れが抑制される。しかも、入口壁と第1部材との間の隙間も不要に大きくする必要もない。よって、実施形態に係るラビリンスシールは、軸方向から回転体を静止体に挿入する組付けに対応可能であって、気体の漏れ量を効果的に抑制することができる。
【0042】
また、実施形態に係るラビリンスシールでは、前記第1部材は、前記入口壁に対向する部分に入口面を有し、前記入口面は、半径方向位置が一定となるように形成されている。
【0043】
この構成によれば、第1部材と第2部材の軸方向における相対位置が多少ずれても、入口壁と入口面との間の半径方向の隙間寸法は変動せずに一定のまま維持することができる。
【0044】
また、実施形態に係るラビリンスシールでは、前記入口壁と前記入口面との間の半径方向の隙間寸法は、前記各シールフィンと前記第2部材との間の半径方向の隙間寸法よりも大きい。
【0045】
この構成によれば、運転時における入口壁及び入口面の摩耗が大幅に低減されるため、性能の低下を抑制することができる。
【0046】
また、実施形態に係るラビリンスシールでは、前記入口壁の半径方向寸法は、前記入口壁よりも下流側で前記入口壁と隣接する領域における前記第1部材と前記第2部材との間の半径方向距離の3分の2以上である。
【0047】
この構成によれば、入口壁と最も上流側のシールフィンとの間に気体の渦を効率よく発生させることができる。
【0048】
また、実施形態に係るガスタービンは、上述したラビリンスシールを備えている。
【符号の説明】
【0049】
10 第1部材
11 入口面
12 傾斜面
14 シールフィン
20 第2部材
21 ステップ面
22 入口壁
100、200 ラビリンスシール