(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 7/01 20060101AFI20240711BHJP
H01F 17/06 20060101ALI20240711BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H03H7/01 Z
H01F17/06 F
H01F17/06 A
H01F27/00 S
(21)【出願番号】P 2020106701
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【氏名又は名称】松本 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191673
【氏名又は名称】渡邉 久典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-023322(JP,U)
【文献】特開2002-299133(JP,A)
【文献】特開2012-089924(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088460(WO,A1)
【文献】特開昭61-206305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F17/00-21/12
H01F27/00-27/36
H03H1/00-7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に形成されたフィルタ回路とを備えたノイズフィルタであって、
前記フィルタ回路は、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタを含んでおり、
前記LCフィルタの夫々は、コアと、コイルと、キャパシタとを備えており、
前記LCフィルタの夫々において、前記コイルは、前記コアに巻回されており、前記キャパシタは、前記コイルの一端に接続されており、
前記コアは、所定方向に沿って並んでおり、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアにおける励磁方向は、互いに異なって
おり、
前記コアの夫々は、トロイダル形状を有している
ノイズフィルタ。
【請求項2】
請求項
1記載のノイズフィルタであって、
前記コアの夫々は、前記トロイダル形状の外周を前記基板に向けた姿勢を取っている
ノイズフィルタ。
【請求項3】
基板と、前記基板上に形成されたフィルタ回路とを備えたノイズフィルタであって、
前記フィルタ回路は、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタを含んでおり、
前記LCフィルタの夫々は、コアと、コイルと、キャパシタとを備えており、
前記LCフィルタの夫々において、前記コイルは、前記コアに巻回されており、前記キャパシタは、前記コイルの一端に接続されており、
前記コアは、所定方向に沿って並んでおり、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアにおける励磁方向は、互いに異なっており、
前記コイルの夫々は、巻回部と、第1端と、第2端とを有しており、
前記LCフィルタの夫々において、前記巻回部は、前記コアに巻回されており、前記第1端及び前記第2端の夫々は、前記巻回部から引き出されて前記基板に接続されており、
前記コイルは、順コイルと逆コイルとを含んでおり、
前記順コイルの前記巻回部と前記逆コイルの前記巻回部とは、前記所定方向において互いに隣り合っており、
前記順コイルの前記第1端と、前記順コイルの前記第2端と、前記逆コイルの前記第2端と、前記逆コイルの前記第1端とは、前記所定方向において、この順に並んでおり、
前記順コイルの前記第2端は、前記逆コイルの前記第1端に接続されている
ノイズフィルタ。
【請求項4】
基板と、前記基板上に形成されたフィルタ回路とを備えたノイズフィルタであって、
前記フィルタ回路は、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタを含んでおり、
前記LCフィルタの夫々は、コアと、コイルと、キャパシタとを備えており、
前記LCフィルタの夫々において、前記コイルは、前記コアに巻回されており、前記キャパシタは、前記コイルの一端に接続されており、
前記コアは、所定方向に沿って並んでおり、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアにおける励磁方向は、互いに異なっており、
前記コイルの夫々は、巻回部と、第1端と、第2端とを有しており、
前記LCフィルタの夫々において、前記巻回部は、前記コアに巻回されており、前記第1端及び前記第2端の夫々は、前記巻回部から引き出されて前記基板に接続されており、
前記コイルは、順コイルと逆コイルとを含んでおり、
前記逆コイルの前記巻回部と前記順コイルの前記巻回部とは、前記所定方向において互いに隣り合っており、
前記逆コイルの前記第2端と、前記逆コイルの前記第1端と、前記順コイルの前記第1端と、前記順コイルの前記第2端とは、前記所定方向において、この順に並んでおり、
前記逆コイルの前記第2端は、前記順コイルの前記第1端に接続されている
ノイズフィルタ。
【請求項5】
請求項1
から請求項4までのいずれかに記載のノイズフィルタであって、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアにおける前記励磁方向は、互いに逆向きである
ノイズフィルタ。
【請求項6】
請求項1
から請求項5までのいずれかに記載のノイズフィルタであって、
前記コアは、互いに同じ形状を有しており、前記基板に対して互いに同じ姿勢を取るようにして、前記所定方向に沿って並んでいる
ノイズフィルタ。
【請求項7】
請求項1から請求項
6までのいずれかに記載のノイズフィルタであって、
前記フィルタ回路は、互いに直列に接続された3以上の前記LCフィルタを有しており、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアのいずれにおいても、前記励磁方向は、互いに異なっている
ノイズフィルタ。
【請求項8】
請求項
7記載のノイズフィルタであって、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアのいずれにおいても、前記励磁方向は、互いに逆向きである
ノイズフィルタ。
【請求項9】
請求項
7又は請求項
8記載のノイズフィルタであって、
前記コアの全ては、互いに同じ形状を有しており、前記基板に対して互いに同じ姿勢を取るようにして前記所定方向に沿って並んでいる
ノイズフィルタ。
【請求項10】
請求項1から請求項
9までのいずれかに記載のノイズフィルタであって、
前記ノイズフィルタは、2以上の前記フィルタ回路を備えており、
前記フィルタ回路は、前記所定方向と直交する横方向において互いに並んでいる
ノイズフィルタ。
【請求項11】
請求項
10記載のノイズフィルタであって、
前記横方向において互いに並んでいる2つの前記フィルタ回路において、前記フィルタ回路のうちの一方の前記コイルは、前記フィルタ回路のうちの他方の前記コイルと、前記横方向において夫々隣り合っており、
前記一方のコイルを備えた前記LCフィルタの夫々は、前記横方向において隣り合う前記他方のコイルを備えた前記LCフィルタと、1つの前記キャパシタを共有しており、
前記一方のコイルの夫々の前記一端に接続された前記1つのキャパシタは、前記横方向において隣り合う前記他方のコイルの前記一端に接続されている
ノイズフィルタ。
【請求項12】
請求項1から請求項
11までのいずれかに記載のノイズフィルタであって、
前記ノイズフィルタは、シールドケースを備えており、
前記フィルタ回路は、前記シールドケースの内部に収容されている
ノイズフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタを備えるノイズフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、このタイプのノイズフィルタが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されたノイズフィルタは、互いに直列に接続された3つのインダクタ対を備えている。インダクタ対の夫々は、互いに並行に接続された2つのインダクタ(コア及びコイル)からなり、キャパシタに接続されている。即ち、特許文献1のノイズフィルタは、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなノイズフィルタを構成すると、コアに生じた磁束がノイズフィルタの外部に漏れて、周辺の電子機器に影響を与えるおそれがある。一方、特許文献1においては、このような漏洩磁束が考慮されていない。
【0006】
そこで、本発明は、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタを備えるノイズフィルタであって、漏洩磁束を低減可能なノイズフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のノイズフィルタとして、
基板と、前記基板上に形成されたフィルタ回路とを備えたノイズフィルタであって、
前記フィルタ回路は、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタを含んでおり、
前記LCフィルタの夫々は、コアと、コイルと、キャパシタとを備えており、
前記LCフィルタの夫々において、前記コイルは、前記コアに巻回されており、前記キャパシタは、前記コイルの一端に接続されており、
前記コアは、所定方向に沿って並んでおり、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアにおける励磁方向は、互いに異なっている
ノイズフィルタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のノイズフィルタとして、第1のノイズフィルタであって、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアにおける前記励磁方向は、互いに逆向きである
ノイズフィルタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第3のノイズフィルタとして、第1又は第2のノイズフィルタであって、
前記コアは、互いに同じ形状を有しており、前記基板に対して互いに同じ姿勢を取るようにして、前記所定方向に沿って並んでいる
ノイズフィルタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第4のノイズフィルタとして、第1から第3までのいずれかのノイズフィルタであって、
前記コアの夫々は、トロイダル形状を有している
ノイズフィルタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第5のノイズフィルタとして、第4のノイズフィルタであって、
前記コアの夫々は、前記トロイダル形状の外周を前記基板に向けた姿勢を取っている
ノイズフィルタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第6のノイズフィルタとして、第1から第5までのいずれかのノイズフィルタであって、
前記コイルの夫々は、巻回部と、第1端と、第2端とを有しており、
前記LCフィルタの夫々において、前記巻回部は、前記コアに巻回されており、前記第1端及び前記第2端の夫々は、前記巻回部から引き出されて前記基板に接続されており、
前記コイルは、順コイルと逆コイルとを含んでおり、
前記順コイルの前記巻回部と前記逆コイルの前記巻回部とは、前記所定方向において互いに隣り合っており、
前記順コイルの前記第1端と、前記順コイルの前記第2端と、前記逆コイルの前記第2端と、前記逆コイルの前記第1端とは、前記所定方向において、この順に並んでおり、
前記順コイルの前記第2端は、前記逆コイルの前記第1端に接続されている
ノイズフィルタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第7のノイズフィルタとして、第1から第5までのいずれかのノイズフィルタであって、
前記コイルの夫々は、巻回部と、第1端と、第2端とを有しており、
前記LCフィルタの夫々において、前記巻回部は、前記コアに巻回されており、前記第1端及び前記第2端の夫々は、前記巻回部から引き出されて前記基板に接続されており、
前記コイルは、順コイルと逆コイルとを含んでおり、
前記逆コイルの前記巻回部と前記順コイルの前記巻回部とは、前記所定方向において互いに隣り合っており、
前記逆コイルの前記第2端と、前記逆コイルの前記第1端と、前記順コイルの前記第1端と、前記順コイルの前記第2端とは、前記所定方向において、この順に並んでおり、
前記逆コイルの前記第2端は、前記順コイルの前記第1端に接続されている
ノイズフィルタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第8のノイズフィルタとして、第1から第7までのいずれかのノイズフィルタであって、
前記フィルタ回路は、互いに直列に接続された3以上の前記LCフィルタを有しており、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアのいずれにおいても、前記励磁方向は、互いに異なっている
ノイズフィルタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第9のノイズフィルタとして、第8のノイズフィルタであって、
前記所定方向において互いに隣り合う2つの前記コアのいずれにおいても、前記励磁方向は、互いに逆向きである
ノイズフィルタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第10のノイズフィルタとして、第8又は第9のノイズフィルタであって、
前記コアの全ては、互いに同じ形状を有しており、前記基板に対して互いに同じ姿勢を取るようにして前記所定方向に沿って並んでいる
ノイズフィルタを提供する。
【0017】
また、本発明は、第11のノイズフィルタとして、第1から第10までのいずれかのノイズフィルタであって、
前記ノイズフィルタは、2以上の前記フィルタ回路を備えており、
前記フィルタ回路は、前記所定方向と直交する横方向において互いに並んでいる
ノイズフィルタを提供する。
【0018】
また、本発明は、第12のノイズフィルタとして、第11のノイズフィルタであって、
前記横方向において互いに並んでいる2つの前記フィルタ回路において、前記フィルタ回路のうちの一方の前記コイルは、前記フィルタ回路のうちの他方の前記コイルと、前記横方向において夫々隣り合っており、
前記一方のコイルを備えた前記LCフィルタの夫々は、前記横方向において隣り合う前記他方のコイルを備えた前記LCフィルタと、1つの前記キャパシタを共有しており、
前記一方のコイルの夫々の前記一端に接続された前記1つのキャパシタは、前記横方向において隣り合う前記他方のコイルの前記一端に接続されている
ノイズフィルタを提供する。
【0019】
また、本発明は、第13のノイズフィルタとして、第1から第12までのいずれかのノイズフィルタであって、
前記ノイズフィルタは、シールドケースを備えており、
前記フィルタ回路は、前記シールドケースの内部に収容されている
ノイズフィルタを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のノイズフィルタは、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタを備えている。本発明によれば、所定方向に沿って隣り合う2つのLCフィルタの2つのコアにおける励磁方向は、互いに異なっている。励磁方向が互いに異なっているため、2つのコアに生じた磁束は、互いに打ち消し合う。この結果、ノイズフィルタの外部への漏洩磁束を低減できる。即ち、本発明によれば、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタを備えるノイズフィルタであって、漏洩磁束を低減可能なノイズフィルタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態によるノイズフィルタを示す斜視図である。ノイズフィルタは、電源と負荷との間に接続されている。ノイズフィルタに対する電源、負荷及び電線の接続関係を破線で描画している。
【
図2】
図1のノイズフィルタを、シールドケースを外して示す斜視図である。インダクタのコイルは、各巻線を描画せず概略形状を描画している。インダクタのコアの輪郭を破線で描画している。ノイズフィルタに対する電源、負荷及び電線の接続関係を1点鎖線で描画している。
【
図3】
図2のノイズフィルタのフィルタ回路のうちの1つにおけるインダクタを示す斜視図である。
図2で描画したコイルの概略形状を破線で描画している。インダクタに対する基板の導電パターンの接続関係と、キャパシタの接続関係とを1点鎖線で描画している。
【
図4】
図2のノイズフィルタの基板を、ノイズフィルタの使用時に生じる磁束と共に示す平面図である。インダクタのコア及びキャパシタの輪郭を破線で描画している。基板に対する電源、負荷及び電線の接続関係を1点鎖線で描画している。
【
図6】
図5の回路図を、より詳細に示す回路図である。
【
図8】
図2のノイズフィルタの変形例を示す斜視図である。インダクタのコイルは、各巻線を描画せず概略形状を描画している。インダクタのコアの輪郭を破線で描画している。ノイズフィルタに対する電源、負荷及び電線の接続関係を1点鎖線で描画している。
【
図9】
図8のノイズフィルタのフィルタ回路のうちの1つにおけるインダクタを示す斜視図である。
図8で描画したコイルの概略形状を破線で描画している。インダクタに対する基板の導電パターンの接続関係を1点鎖線で描画している。
【
図10】
図9のノイズフィルタの基板を、ノイズフィルタの使用時に生じる磁束と共に示す平面図である。インダクタのコア及びキャパシタの輪郭を破線で描画している。基板に対する電源、負荷及び電線の接続関係を1点鎖線で描画している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、本発明の実施の形態によるノイズフィルタ10は、電線84,86に生じるノーマルモードノイズを除去するための装置である。本実施の形態の電線84,86は、電源80が生成した交流電流を負荷82に供給する電力線である。電線84,86の一部は、電源80とノイズフィルタ10とを互いに接続しており、電線84,86の他の一部は、ノイズフィルタ10と負荷82とを互いに接続している。電源80が生成した交流電流は、ノイズフィルタ10を経由して負荷82に供給され、負荷82に供給された交流電流は、ノイズフィルタ10を経由して電源80に戻る。
【0023】
本実施の形態のノイズフィルタ10は、比較的低周波数の電力電流に生じる比較的高周波数のノイズを除去するためのローパスフィルタである。また、本実施の形態のノイズフィルタ10は、単相の電力線に接続されている。但し、本発明は、これに限られず、様々なノイズフィルタに適用可能である。例えば、ノイズフィルタ10は、三相の電力線に接続されていてもよいし、直流の電力線に接続されていてもよい。
【0024】
図2を参照すると、本実施の形態のノイズフィルタ10は、基板70と、2つのフィルタ回路20とを備えている。本実施の形態の基板70は、プリント配線基板である。基板70には、導電体からなる様々な形状の導電パターン702が形成されている。フィルタ回路20の夫々は、基板70上に形成されており、基板70の導電パターン702と共にローパスフィルタとして機能する。
【0025】
図1及び
図2を参照すると、本実施の形態のノイズフィルタ10は、基板70及びフィルタ回路20に加えて、金属製のシールドケース72と、底部材74とを備えている。基板70は、底部材74に固定されており、上下方向(Z方向)において底部材74の上方(+Z側)に位置している。シールドケース72は、底部材74に上方から取り付けられており、フィルタ回路20及び基板70を殆ど完全に覆っている。
【0026】
本実施の形態のノイズフィルタ10は、上述の構造を有している。フィルタ回路20は、シールドケース72の内部に収容されており、これにより、シールドケース72は、フィルタ回路20の使用時に生じうる漏洩磁束をシールドしている。但し、ノイズフィルタ10が基板70と、基板70上に形成されたフィルタ回路20とを備えている限り、ノイズフィルタ10の構造は、特に限定されない。例えば、シールドケース72は、必要に応じて設ければよい。一方、ノイズフィルタ10は、上述の部材に加えて、更に別の部材を備えていてもよい。
【0027】
以下、本実施の形態の基板70について説明する。
【0028】
図4を参照すると、本実施の形態の基板70には、8つの導電パターン702が形成されている。8つの導電パターン702は、基板70の上面(+Z側の面)に形成されており、互いに離れている。8つの導電パターン702は、2つのパターンセット702Sに分かれている。パターンセット702Sの夫々は、4つの導電パターン702を含んでいる。パターンセット702Sの夫々における4つの導電パターン702は、Z方向と直交する前後方向(X方向)に沿って1列に並んでいる。2つのパターンセット702Sは、X方向及びZ方向の双方と直交する横方向(Y方向)に並んでおり、Y方向と直交する垂直面(XZ平面)について面対象な構造を有している。
【0029】
本実施の形態のパターンセット702Sの夫々には、フィルタ回路20の回路素子(後述)を導電パターン702に接続するための接続点(3つの第1接続点704、3つの第2接続点706及び3つの第3接続点708)が形成されている。パターンセット702Sの夫々における4つの導電パターン702を、所定方向(+X方向)に沿って第1から第4までの導電パターン702と規定すると、第1の導電パターン702には、1つの第1接続点704及び1つの第3接続点708が形成されており、第2の導電パターン702には、1つの第1接続点704、1つの第2接続点706及び1つの第3接続点708が形成されており、第3の導電パターン702には、1つの第1接続点704、1つの第2接続点706及び1つの第3接続点708が形成されており、第4の導電パターン702には、1つの第2接続点706が形成されている。
【0030】
図2及び
図4を参照すると、本実施の形態の基板70は、上述の構造を有している。但し、基板70の構造は、本実施の形態に限定されず、フィルタ回路20の構造に応じて様々に変形可能である。
【0031】
図2を参照すると、本実施の形態の2つのフィルタ回路20は、基板70の2つのパターンセット702Sに夫々対応して設けられている。以下、2つのフィルタ回路20のうちの1つについて、対応するパターンセット702Sを含めて説明する。以下の説明は、フィルタ回路20の夫々について成立する。
【0032】
図2及び
図5を参照すると、本実施の形態のフィルタ回路20は、3つのLCフィルタ22を含んでいる。3つのLCフィルタ22は、互いに直列に接続されている。即ち、本実施の形態のフィルタ回路20は、3段のLCフィルタ22からなるローパスフィルタである。但し、本発明は、これに限られず、フィルタ回路20は、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタ22を含んでいればよい。
【0033】
図2を参照すると、LCフィルタ22の夫々は、コア30と、コイル40と、キャパシタ26とを備えている。即ち、本実施の形態のフィルタ回路20の回路素子は、3つのコア30、3つのコイル40、及び、3つのキャパシタ26である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、フィルタ回路20は、上述した回路素子に加えて、別の回路素子を更に備えていてもよい。
【0034】
図3を参照すると、LCフィルタ22の夫々において、コイル40は、コア30に巻回されており、これにより、インダクタ24が形成されている。即ち、LCフィルタ22の夫々は、コア30及びコイル40からなる1つのインダクタ24を備えている。
【0035】
図3を参照すると、本実施の形態のコア30の夫々は、軟磁性体からなり、トロイダル形状を有している。詳しくは、コア30の夫々は、所定平面(
図3においてYZ平面)において円環形状を有している。コア30の夫々には、所定平面においてコア30の中心に位置する中心孔32と、所定平面におけるコア30の外縁を規定する外周38とが形成されている。このようなトロイダル形状のコア30を使用することで、フィルタ回路20の使用時にインダクタ24に生じる磁束30FX(
図4参照)の漏洩を効果的に低減できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コア30の夫々は、C字形状を有していてもよいし、I形状を有していてもよい。
【0036】
図2及び
図3を参照すると、3つのLCフィルタ22のコア30は、所定方向に沿って並んでいる。本実施の形態の所定方向は、前後方向(X方向)に沿って前方(-X側)から後方(+X側)に向かって伸びる+X方向である。但し、本発明は、これに限られない。例えば、-X方向を所定方向として規定してもよい。
【0037】
本実施の形態のコア30は、+X方向(所定方向)に沿って一直線に並んでいる。換言すれば、Y方向及びZ方向の夫々における3つのコア30の位置は、互いに同じである。但し、本発明は、これに限られない。例えば、Y方向における3つのコア30の位置は、互いに異なっていてもよい。より具体的には、コア30は、所定方向に沿ってジグザグに並んでいてもよい。
【0038】
図3を参照すると、コイル40の夫々は、巻回部42と、2つの端子部44とを有している。巻回部42の夫々は、絶縁体によって被覆された被覆導線である。LCフィルタ22の夫々において、巻回部42は、コア30に巻回されている。本実施の形態の端子部44の夫々は、巻回部42を形成する被覆導線の両端部であり、巻回部42から下方(-Z方向)に引き出されている。即ち、本実施の形態のコイル40の夫々は、互いに一体に形成された巻回部42と2つの端子部44とを有している。但し、本発明は、これに限られない。例えば、端子部44の夫々は、巻回部42と別体に形成された後に溶接等によって巻回部42に接続されていてもよい。
【0039】
本実施の形態の巻回部42の夫々は、比較的太い丸線からなり、コア30に疎に巻回されている。また、巻回部42の夫々は、コア30の外周38を一周するように巻回されている。但し、本発明は、これに限られず、巻回部42の夫々は、コア30の形状及びインダクタ24として必要な特性に応じた巻回方法によって巻回されていればよい。例えば、巻回部42の夫々は、細線からなっていてもよく、コア30に密に巻回されていてもよい。
【0040】
コイル40の夫々は、第1端46と、第2端48とを有している。第1端46は、2つの端子部44のうちの一方の先端であり、第2端48は、2つの端子部44のうちの他方の先端である。「第1端46」及び「第2端48」の名称は、+X方向を所定方向と規定した上で、3つのコイル40の合計6つの先端の接続関係を説明するために付与した名称に過ぎない。以下の説明は、-X方向を所定方向と規定した上で、「第1端46」及び「第2端48」を「第2端48」及び「第1端46」に夫々変更し、且つ、「第1接続点704」及び「第2接続点706」を「第2接続点706」及び「第1接続点704」に夫々変更しても成立する。
【0041】
本実施の形態のLCフィルタ22の夫々において、第1端46及び第2端48の夫々は、巻回部42から引き出されて基板70に接続されている。詳しくは、フィルタ回路20における3つのコイル40の第1端46は、基板70のパターンセット702Sにおける3つの第1接続点704と夫々対応しており、フィルタ回路20の夫々における3つのコイル40の第2端48は、基板70のパターンセット702Sにおける3つの第2接続点706と夫々対応している。コイル40の夫々の第1端46は、対応する第1接続点704に接続されており、コイル40の夫々の第2端48は、対応する第2接続点706に接続されている。
【0042】
図4を参照すると、パターンセット702Sの4つの導電パターン702を、+X方向(所定方向)に沿って第1から第4までの導電パターン702と規定すると、第1接続点704を有する第1の導電パターン702及び第2接続点706を有する第4の導電パターン702の夫々は、水平面(XY平面)において矩形形状を有している。
【0043】
一方、第3の導電パターン702のY方向外側の部位(外側部)には、凹部703が形成されている。凹部703は、外側部のX方向における中間部に位置しており、Y方向内側に凹んでいる。第3の導電パターン702において、第2接続点706、凹部703及び第1接続点704は、所定方向に沿って、この順に並んでいる。第2の導電パターン702は、第2接続点706がX方向において第1の導電パターン702と第3の導電パターン702との間に位置し、且つ、第1接続点704が凹部703の内側に位置するように形成されている。
【0044】
本実施の形態のフィルタ回路20及びパターンセット702Sは、上述の構造を有している。この構造により、ノイズフィルタ10を使用する際、電流は、電源80から負荷82まで、第1接続点704及び第2接続点706を交互に通過して流れ、負荷82から電源80まで、第2接続点706及び第1接続点704を交互に通過して流れる。換言すれば、3つの第1接続点704及び3つの第2接続点706は、電流の流れに沿って交互に並んでいる。一方、3つの第1接続点704及び3つの第2接続点706は、+X方向(所定方向)に沿って交互に並んでいない。即ち、
図3を参照すると、3つのコイル40の第1端46及び第2端48は、電流の流れに沿って交互に並んでいる一方、所定方向に沿って交互に並んでいない。
【0045】
図3を
図6と併せて参照すると、LCフィルタ22の夫々において、キャパシタ26は、コイル40の一端に接続されている。本実施の形態のLCフィルタ22の夫々において、キャパシタ26は、基板70の第3接続点708に接続されており、これにより、基板70の導電パターン702及び第1接続点704を介して、コイル40の第1端46に接続されている。即ち、本実施の形態のキャパシタ26の夫々は、コイル40の一端に、他の導電部材を介して間接的に接続されている。但し、本発明は、これに限られない。例えば、キャパシタ26の夫々は、コイル40の一端に直接的に接続されていてもよい。
【0046】
図2を
図3と併せて参照すると、本実施の形態のキャパシタ26の夫々は、ノイズサプレッションキャパシタである。キャパシタ26の夫々は、パターンセット702Sを他のパターンセット702Sに接続しており、これにより、2つのパターンセット702Sの間に生じうるノイズを低減できる。但し、本発明におけるキャパシタ26のタイプは、本実施の形態に限定されない。
【0047】
図3を
図6と併せて参照すると、本実施の形態のキャパシタ26の夫々は、コイル40の第1端46及び第2端48のうち、電流の流れに沿って負荷82よりも電源80に近い方の端である第1端46に接続されている。但し、本発明は、これに限られず、キャパシタ26の接続位置は、必要に応じて変形可能である。
【0048】
上述したように、本実施の形態によれば、+X方向(所定方向)に沿った第1端46及び第2端48の並び順は、電流の流れに沿った第1端46及び第2端48の並び順と異なっている。以下、この並び順の相違について、詳しく説明する。
【0049】
図3及び
図6を参照すると、本実施の形態のフィルタ回路20の夫々において、3つのコイル40は、2つの順コイル40Nと、1つの逆コイル40Rとを含んでいる。順コイル40Nの巻回部42と逆コイル40Rの巻回部42とは、+X方向(所定方向)において互いに隣り合っている。
【0050】
上述した並び順の相違に起因して、逆コイル40Rの電流は、順コイル40Nの電流に対して逆向きに流れる。詳しくは、順コイル40Nの第1端46と第2端48との間を流れる電流の方向は、逆コイル40Rの第1端46と第2端48との間を流れる電流の方向と逆向きである。例えば、順コイル40Nの電流が全体として+X方向(所定方向)に沿って流れるとき、逆コイル40Rの電流は、全体として所定方向の反対方向(-X方向)に沿って流れる。本実施の形態によれば、逆コイル40Rの電流は、順コイル40Nの電流に対して完全に反対方向に流れる。但し、本発明は、これに限られず、逆コイル40Rの電流は、順コイル40Nの電流に対して異なった方向に流れればよい。例えば、逆コイル40Rの電流は、順コイル40Nの電流に対して略逆向きの方向に流れてもよいし、順コイル40Nの電流に対して略直交する方向に流れてもよい。
【0051】
図3を
図4と併せて参照すると、フィルタ回路20の使用時にコイル40の夫々に電流が流れると、コア30は、励磁される。より具体的には、インダクタ24の夫々に磁束30FXが生じる。また、上述したように、+X方向(所定方向)に沿って互いに隣り合う2つのLCフィルタ22において、電流の流れる方向は、互いに異なっている。この結果、所定方向において互いに隣り合う2つのLCフィルタ22の2つのコア30における励磁方向(即ち、磁束30FXの延びる方向)は、互いに異なっている。励磁方向が互いに異なっているため、2つのコア30に生じた磁束30FXに起因する漏洩磁束は、互いに打ち消し合う。この結果、ノイズフィルタ10の外部への漏洩磁束を低減できる。即ち、本実施の形態によれば、互いに直列に接続された2以上のLCフィルタ22を備えるノイズフィルタ10であって、漏洩磁束を低減可能なノイズフィルタ10を提供できる。
【0052】
図4を参照すると、本実施の形態によれば、+X方向(所定方向)において互いに隣り合う2つのコア30における励磁方向は、互いに逆向きである。詳しくは、2つのコア30を所定方向に沿ってみたとき、一方の励磁方向は、時計方向であり、他方の励磁方向は、反時計方向である。励磁方向を互いに逆向きにすることで、打ち消し合う漏洩磁束の量を大きくできる。即ち、ノイズフィルタ10(
図1参照)の外部への漏洩磁束を、より効果的に低減できる。但し、本発明は、これに限られず、所定方向において互いに隣り合う2つのコア30における励磁方向は、互いに異なっていればよい。一方、漏洩磁束をできるだけ効果的に低減するという観点から、本実施の形態が好ましい。
【0053】
図3を
図2と併せて参照すると、本実施の形態のコア30は、製造公差に起因する相違を除き、互いに同じトロイダル形状を有しており、基板70に対して互いに同じ姿勢を取るようにして、+X方向(所定方向)に沿って並んでいる。即ち、コア30は、実質的に互いに同じ形状を有しており、基板70に対して実質的に互いに同じ姿勢を取っている。
【0054】
詳しくは、本実施の形態のコア30の夫々は、トロイダル形状の外周38を基板70に向けた姿勢を取っている。特に、本実施の形態のコア30の夫々は、トロイダル形状の外周38のみを基板70に向けた直立姿勢を取っている。加えて、コア30の夫々の中心孔32は、所定方向に沿って延びている。この直立姿勢によれば、漏洩磁束を、より効果的に低減できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、コア30の夫々は、トロイダル形状の外周38を基板70に向けつつ、中心孔32を部分的に基板70に向けた傾斜姿勢を取っていてもよい。また、コア30は、互いに異なる形状を有していてもよいし、互いに異なる姿勢を取っていてもよい。
【0055】
図3を参照すると、本実施の形態のフィルタ回路20の夫々は、互いに直列に接続されたLCフィルタ22を3つのみ有している。但し、本発明は、これに限られない。フィルタ回路20は、互いに直列に接続された3以上のLCフィルタ22を有していてもよいし、互いに直列に接続されたLCフィルタ22を2つのみ有していてもよい。いずれの場合も、フィルタ回路20の夫々において、コイル40は、少なくとも1つの順コイル40Nと、少なくとも1つの逆コイル40Rとを含んでいる。
【0056】
互いに隣接する順コイル40Nの巻回部42と逆コイル40Rの巻回部42とは、+X方向(所定方向)において、この順に並んでいてもよい。この場合、順コイル40Nの第1端46と、順コイル40Nの第2端48と、逆コイル40Rの第2端48と、逆コイル40Rの第1端46とは、所定方向において、この順に並んでいる。加えて、順コイル40Nの第2端48は、逆コイル40Rの第1端46に接続されている。
【0057】
互いに隣接する逆コイル40Rの巻回部42と順コイル40Nの巻回部42とは、+X方向(所定方向)において、この順に並んでいてもよい。この場合、逆コイル40Rの第2端48と、逆コイル40Rの第1端46と、順コイル40Nの第1端46と、順コイル40Nの第2端48とは、所定方向において、この順に並んでいる。加えて、逆コイル40Rの第2端48は、順コイル40Nの第1端46に接続されている。
【0058】
フィルタ回路20が3以上のLCフィルタ22を有している場合、漏洩磁束をできるだけ効果的に低減するという観点から、+X方向(所定方向)において互いに隣り合う2つのコア30のいずれにおいても、励磁方向は、互いに異なっていることが好ましく、励磁方向は、互いに逆向きであることが更に好ましい。また、フィルタ回路20が3以上のLCフィルタ22を有している場合、コア30の全ては、製造公差に起因する相違を除き、互いに同じ形状を有しており、基板70(
図2参照)に対して互いに同じ姿勢を取るようにして所定方向に沿って並んでいることが更に好ましい。即ち、コア30の全ては、実質的に同じ形状を有しており、基板70に対して実質的に同じ姿勢を取るようにして所定方向に沿って並んでいることが好ましい。
【0059】
図3及び
図4を参照すると、本実施の形態によれば、インダクタ24に生じる磁束30FXの量が互いに異なっていても、漏洩磁束を低減できる。但し、漏洩磁束をできるだけ効果的に低減するという観点から、インダクタ24に生じる磁束30FXの量は、互いに同じであることが好ましい。
【0060】
図2を参照すると、本実施の形態のノイズフィルタ10は、フィルタ回路20を2つのみ備えている。フィルタ回路20の夫々は、以上に説明したように、漏洩磁束を低減するための構造を有している。2つのフィルタ回路20は、Y方向において互いに並んでおり、+X方向(所定方向)に沿って互いに並行に延びるように配置されている。詳しくは、2つのフィルタ回路20のうちの一方の3つのインダクタ24は、2つのフィルタ回路20のうちの他方の3つのインダクタ24とY方向において夫々並んでいる。また、2つのフィルタ回路20には、互いに逆向きの電流が流れる。例えば、2つのフィルタ回路20のうちの一方に電源80から負荷82に向かう電流が流れるとき、2つのフィルタ回路20のうちの他方には、負荷82から電源80に向かう電流が流れる。
【0061】
図4を参照すると、本実施の形態によれば、Y方向において並んでいる2つのコア30の励磁方向は、互いに異なっている。この構造により、2つのコア30に生じた磁束30FXに起因する漏洩磁束は、互いに打ち消し合い、これにより、漏洩磁束を低減できる。特に、本実施の形態によれば、Y方向において並んでいる2つのコア30の励磁方向は、互いに逆向きであり、これにより、漏洩磁束を、より効果的に低減できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、2つのフィルタ回路20は、互いに独立に動作するローパスフィルタであってもよい。この場合、2つのフィルタ回路20には、互いに同じ向きの電流が流れてもよい。
【0062】
また、
図7を参照すると、ノイズフィルタ10(
図6参照)は、図示したノイズフィルタ10Aのように変形してもよい。この変形例によるノイズフィルタ10Aは、フィルタ回路20を1つのみ備えている。
【0063】
図6を
図2と併せて参照すると、本実施の形態によれば、Y方向において互いに並んでいる2つのフィルタ回路20において、フィルタ回路20のうちの一方の3つのコイル40は、フィルタ回路20のうちの他方の3つのコイル40と、Y方向において夫々隣り合っている。一方のコイル40を備えたLCフィルタ22の夫々は、Y方向において隣り合う他方のコイル40を備えたLCフィルタ22と、1つのキャパシタ26を共有している。より具体的には、一方のコイル40の夫々の一端(第1端46)に接続された1つのキャパシタ26は、Y方向において隣り合う他方のコイル40の一端(第1端46)に接続されている。本実施の形態によれば、キャパシタ26の数を低減しつつ、漏洩磁束を低減できる。但し、本発明は、これに限られない。例えば、フィルタ回路20の夫々のキャパシタ26は、他のフィルタ回路20に接続されることなくグランドされていてもよい。
【0064】
図2を参照すると、ノイズフィルタ10は、2以上の(例えば、3つの)フィルタ回路20を備えていてもよい。この場合、2以上のフィルタ回路20は、本実施の形態と同様に、Y方向において互いに並んでいてもよい。
【0065】
本実施の形態は、既に説明した変形例に加えて、更に様々に変形可能である。
【0066】
図8を
図2と比較すると、変形例によるノイズフィルタ10Bは、フィルタ回路20と異なる2つのフィルタ回路20Bを備えていることを除き、ノイズフィルタ10と同じ構造を有している。フィルタ回路20Bの夫々は、LCフィルタ22と異なる3つのLCフィルタ22Bを備えている。3つのLCフィルタ22Bは、互いに直列に接続されている。LCフィルタ22Bの夫々は、インダクタ24と異なるインダクタ24Bを備えていることを除き、LCフィルタ22と同じ構造を有している。インダクタ24Bは、インダクタ24と同じコア30と、インダクタ24のコイル40と異なるコイル40Bとを備えている。
【0067】
より具体的には、
図9を
図3と比較すると、コイル40Bの巻回部42は、コイル40と同様にコア30に巻回されている。但し、
図9を
図8と併せて参照すると、インダクタ24Bのコア30の夫々は、トロイダル形状の中心孔32を基板70に向けた平置き姿勢を取っている。この結果、コイル40Bの端子部44は、巻回部42から、中心孔32が延びる方向と並行に引き出されている。
図8を
図2と比較すると、本変形例のように配置されたインダクタ24Bは、上述した実施の形態のように配置されたインダクタ24に比べて、より安定的に基板70に接続されている。即ち、本変形例のインダクタ24Bは、ノイズフィルタ10Bに衝撃が加えられた場合にも破損し難い。
【0068】
図10を参照すると、本変形例によるコア30の励磁方向は、Z方向に沿って見たとき、基板70と並行な時計回り方向及び反時計回り方向のいずれか一方である。また、+X方向(所定方向)において互いに隣り合う2つのコア30における励磁方向は、互いに異なっている。本変形例によれば、衝撃によるインダクタ24Bの破損を防止しつつ、前述した実施の形態と同様に漏洩磁束を低減できる。
【0069】
図4及び
図10を参照すると、パターンセット702Sの夫々における4つの導電パターン702は、+X方向(所定方向)に沿って第1から第4までの導電パターン702と規定できる。上述した実施の形態及び変形例によれば、第2及び第3の導電パターン702は、第3の導電パターン702の第2接続点706と第2の導電パターン702の第1接続点704とが所定方向に沿ってこの順に並ぶようにして、変形されている。
図3及び
図9を参照すると、この変形によって、逆コイル40Rを流れる電流の方向は、順コイル40Nを流れる電流の方向に対して逆方向になる。
【0070】
但し、本発明は、これに限られない。例えば、第2及び第3の導電パターン702を変形することなく、逆コイル40Rを流れる電流の方向を、順コイル40Nを流れる電流の方向に対して逆方向にしてもよい。より具体的には、逆コイル40Rにおいて、第2端48が第1端46の後方に位置するようにして、2つの端子部44をX方向において交差させてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10,10A,10B ノイズフィルタ
20,20B フィルタ回路
22,22B LCフィルタ
24,24B インダクタ
26 キャパシタ
30 コア
30FX 磁束
32 中心孔
38 外周
40,40B コイル
40N 順コイル
40R 逆コイル
42 巻回部
44 端子部
46 第1端
48 第2端
70 基板
702 導電パターン
702S パターンセット
703 凹部
704 第1接続点
706 第2接続点
708 第3接続点
72 シールドケース
74 底部材
80 電源
82 負荷
84,86 電線