(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】電動遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/72 20060101AFI20240711BHJP
E06B 9/44 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
E06B9/72
E06B9/44
(21)【出願番号】P 2020108533
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2019228709
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】谷川 文彦
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0175838(US,A1)
【文献】特開平11-294047(JP,A)
【文献】特開2019-199728(JP,A)
【文献】特開2014-095188(JP,A)
【文献】特開2013-076277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動遮蔽装置であって、
遮蔽材を昇降させるための巻取パイプと、
前記巻取パイプを回転駆動するモーターと、
前記モーターの本体ハウジングの外周壁
及び先端側面上
のそれぞれにおける少なくとも一部に密着して設けられる部位を有し、軟質材料で単一部材又は分離可能とする複数部材として形成された
複数個のブラケットと、
前記巻取パイプ内に設けられ、前記
複数個のブラケットにより、前記モーターの本体ハウジングを直接的に接触することなく全体を囲うように固定して収容するモーターケースと、
を備えることを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項2】
電動遮蔽装置であって、
遮蔽材を昇降させるための巻取パイプと、
前記巻取パイプを回転駆動するモーターと、
前記モーターの本体ハウジングの外周壁上における少なくとも一部に密着して設けられる部位を有し、軟質材料で単一部材又は分離可能とする複数部材として形成された1つのブラケットと、
前記巻取パイプ内に設けられ、前記1つのブラケットにより、前記モーターの本体ハウジングを直接的に接触することなく全体を囲うように固定して収容するモーターケースと、
を備えることを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項3】
電動遮蔽装置であって、
遮蔽材を昇降させるための巻取パイプと、
前記巻取パイプを回転駆動するモーターと、
前記モーターの本体ハウジングの外周壁及び先端側面上における少なくとも一部に連なって密着して設けられる部位を有し、軟質材料で単一部材又は分離可能とする複数部材として形成された1つのブラケットと、
前記巻取パイプ内に設けられ、前記1つのブラケットにより、前記モーターの本体ハウジングを直接的に接触することなく全体を囲うように固定して収容するモーターケースと、
を備えることを特徴とする電動遮蔽装置。
【請求項4】
前記
1つのブラケットは、前記モーターの本体ハウジングの軸方向の全長の少なくとも半値以上を密着して包む筒状部を有することを特徴とする、請求項
2又は3に記載の電動遮蔽装置。
【請求項5】
前記巻取パイプは、前記遮蔽材としてのスクリーンを巻き取り、或いは巻き戻すように構成され、
前記
複数個のブラケットは、前記モーターの本体ハウジングの外周壁に密着して設けられ、前記モーターの本体ハウジングより大径の部位を持つ軟質材料で形成された少なくとも1個の第1のブラケット、及び前記モーターの本体ハウジングの先端側面上に密着して設けられ、前記モーターの本体ハウジングより大径の部位を持つ軟質材料で形成された第2のブラケットを有することを特徴とする、請求項
1に記載の電動遮蔽装置。
【請求項6】
前記第1のブラケットの一部に、前記モーターケースに対する相対回転を抑制するよう前記モーターケース内の一部に対して係合する第1の係止部が形成されていることを特徴とする、請求項
5に記載の電動遮蔽装置。
【請求項7】
前記第2のブラケットの一部に、前記モーターケースに対する相対回転を抑制するよう前記モーターケース内の一部に対して係合する第2の係止部が形成されていることを特徴とする、請求項5
又は6に記載の電動遮蔽装置。
【請求項8】
前記モーターケースの内周壁に、前記第1のブラケットの軸方向の軸ズレを抑制するよう係合する第3の係止部が形成されていることを特徴とする、請求項5から
7のいずれか一項に記載の電動遮蔽装置。
【請求項9】
前記第2のブラケットの軸方向の最大幅が、前記第1のブラケットの軸方向の最大幅より大きいものとなるように形成されていることを特徴とする、請求項5から
8のいずれか一項に記載の電動遮蔽装置。
【請求項10】
前記巻取パイプの内周面を押圧して前記モーターの出力軸の回転を前記巻取パイプに伝達するモーターアダプタを更に備え、前記モーターアダプタは、前記モーターの振動を絶縁する機能を有する軟質材料で形成されていることを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の電動遮蔽装置。
【請求項11】
前記モーターケースは、軸方向に前記モーターの出力軸を露出する軸孔と、前記モーターのハーネスを露出するハーネス孔とを有し、前記軸孔及び前記ハーネス孔を除き、前記モーターの本体ハウジングを密閉して収容するモーター収容部を有することを特徴とする、請求項1から
10のいずれか一項に記載の電動遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽材(生地やスダレ等)をスクリーン又はカーテン材として有する電動遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モーターの回転により巻取パイプを回転させ、巻取パイプにより直接、スクリーンの巻き取り、或いは巻き戻しを行って、スクリーンを昇降させる電動ロールスクリーンや、巻取パイプにより昇降コードの巻き取り、或いは巻き戻しを行って、カーテン材を昇降させる電動ローマンシェードが知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【0003】
このような従来の電動ロールスクリーン又は電動ローマンシェード等の電動遮蔽装置では、巻取パイプ内にモーターユニットが配設され、モーターユニット内のモーターは、外部又は巻取パイプを支持するフレーム内のコントローラーに接続される。そして、電動ロールスクリーン又は電動ローマンシェード等の電動遮蔽装置は、リモートコントローラ等の操作装置の操作によりコントローラーを介してモーターユニット内のモーターの駆動を制御可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】“デジタルカタログ一覧『ローマンシェード・カーテン』、「クレアス(CREAS) ローマンシェード 大型電動タイプ」、pp.79-84”、タチカワブラインド、[online]、[令和2年5月29日検索]、インターネット〈URL:https://www.blind.co.jp/products/pdfdata/15rm.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の電動ロールスクリーン又は電動ローマンシェード等の電動遮蔽装置では、巻取パイプ内にモーターユニットが配設されるが、モーターユニット内のモーターの回転により発生する直接音が大きい場合や、モーターの振動音がモーターを収容するモーターケースへ伝搬して発生する動作音が増大することがあり、より静音化する工夫が望まれる。
【0007】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、モーターの回転に起因する動作音を抑制した電動遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1態様の電動遮蔽装置は、遮蔽材を昇降させるための巻取パイプと、前記巻取パイプを回転駆動するモーターと、前記モーターの本体ハウジングの外周壁及び先端側面上のそれぞれにおける少なくとも一部に密着して設けられる部位を有し、軟質材料で単一部材又は分離可能とする複数部材として形成された複数個のブラケットと、前記巻取パイプ内に設けられ、前記複数個のブラケットにより、前記モーターの本体ハウジングを直接的に接触することなく全体を囲うように固定して収容するモーターケースと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明による第2態様の電動遮蔽装置は、遮蔽材を昇降させるための巻取パイプと、前記巻取パイプを回転駆動するモーターと、前記モーターの本体ハウジングの外周壁上における少なくとも一部に密着して設けられる部位を有し、軟質材料で単一部材又は分離可能とする複数部材として形成された1つのブラケットと、前記巻取パイプ内に設けられ、前記1つのブラケットにより、前記モーターの本体ハウジングを直接的に接触することなく全体を囲うように固定して収容するモーターケースと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による第3態様の電動遮蔽装置は、遮蔽材を昇降させるための巻取パイプと、前記巻取パイプを回転駆動するモーターと、前記モーターの本体ハウジングの外周壁及び先端側面上における少なくとも一部に連なって密着して設けられる部位を有し、軟質材料で単一部材又は分離可能とする複数部材として形成された1つのブラケットと、前記巻取パイプ内に設けられ、前記1つのブラケットにより、前記モーターの本体ハウジングを直接的に接触することなく全体を囲うように固定して収容するモーターケースと、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による第2又は第3態様の電動遮蔽装置において、前記1つのブラケットは、前記モーターの本体ハウジングの軸方向の全長の少なくとも半値以上を密着して包む筒状部を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明による第1態様の電動遮蔽装置において、前記巻取パイプは、前記遮蔽材としてのスクリーンを巻き取り、或いは巻き戻すように構成され、前記複数個のブラケットは、前記モーターの本体ハウジングの外周壁に密着して設けられ、前記モーターの本体ハウジングより大径の部位を持つ軟質材料で形成された少なくとも1個の第1のブラケット、及び前記モーターの本体ハウジングの先端側面上に密着して設けられ、前記モーターの本体ハウジングより大径の部位を持つ軟質材料で形成された第2のブラケットを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明による第1態様の電動遮蔽装置において、前記第1のブラケットの一部に、前記モーターケースに対する相対回転を抑制するよう前記モーターケース内の一部に対して係合する第1の係止部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明による第1態様の電動遮蔽装置において、前記第2のブラケットの一部に、前記モーターケースに対する相対回転を抑制するよう前記モーターケース内の一部に対して係合する第2の係止部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による第1態様の電動遮蔽装置において、前記モーターケースの内周壁に、前記第1のブラケットの軸方向の軸ズレを抑制するよう係合する第3の係止部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明による第1態様の電動遮蔽装置において、前記第2のブラケットの軸方向の最大幅が、前記第1のブラケットの軸方向の最大幅より大きいものとなるように形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明による第1乃至第3態様の電動遮蔽装置において、前記巻取パイプの内周面を押圧して前記モーターの出力軸の回転を前記巻取パイプに伝達するモーターアダプタを更に備え、前記モーターアダプタは、前記モーターの振動を絶縁する機能を有する軟質材料で形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明による第1乃至第3態様の電動遮蔽装置において、前記モーターケースは、軸方向に前記モーターの出力軸を露出する軸孔と、前記モーターのハーネスを露出するハーネス孔とを有し、前記軸孔及び前記ハーネス孔を除き、前記モーターの本体ハウジングを密閉して収容するモーター収容部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電動遮蔽装置において、モーターの回転に起因する動作音を従来よりも抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。
【
図2】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける一実施例のモーターユニット周辺の概略構成を示す断面正面図である。
【
図3】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける一実施例のモーターユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける一実施例のモーターユニットにおける一実施例の第1及び第2のブラケット及びモーターアダプタの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける一実施例のモーターユニットの概略構成を部分的に示す断面正面図である。
【
図6】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける変形例のモーターユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンの一実施例のモーターユニットにおける変形例1のブラケット及びモーターアダプタの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図8】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける変形例1のブラケット及びモーターアダプタを有する一実施例のモーターユニットの概略構成を部分的に示す断面正面図である。
【
図9】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンの一実施例のモーターユニットにおける変形例2のブラケット及びモーターアダプタの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図10】本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける変形例2のブラケット及びモーターアダプタを有する一実施例のモーターユニットの概略構成を部分的に示す断面正面図である。
【
図11】(a)は従来技術に基づく比較例のモーターユニットの概略構成を示す斜視図であり、(b)は本発明に係るモーターユニットの概略構成を示す斜視図である。
【
図12】(a)は本発明による一実施形態の電動ローマンシェードの概略構成を示す正面図であり、(b)はその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンを説明する。尚、本願明細書中、
図1に示す電動ロールスクリーンの正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を電動ロールスクリーンの左側、及び、図示右方向をロールスクリーンの右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、
図1に示す電動ロールスクリーンの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0023】
〔電動ローススクリーン〕
(全体構成)
図1は、本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。
図1に示す電動ロールスクリーンは、取付面に固定される取付ブラケット1にフレーム2の両端部近傍が支持され、フレーム2の両端にサイドブラケット3a,3bが取着されている。
【0024】
サイドブラケット3a,3b間に巻取パイプ4が回転可能に支持され、その巻取パイプ4からスクリーン5が垂下され、スクリーン5の下端にウェイトバー6が取着されている。そして、巻取パイプ4が回転されると、スクリーン5が巻取パイプ4に巻き取られ、或いは巻き戻される。
【0025】
巻取パイプ4内の一端部にはスプリングモーター7が配設される。このスプリングモーター7は一端がサイドブラケット3aに対し回転不能に固定され、他端は巻取パイプ4に固定されている。そして、巻取パイプ4がスクリーン巻戻し方向に回転されるとスプリングモーター7が蓄勢され、巻取パイプ4でスクリーン5を巻き取る際にはスプリングモーター7の付勢力が補助力として作用する。
【0026】
巻取パイプ4内の他端側には巻取パイプ4を回転駆動するモーターユニット8が配設され、サイドブラケット3bには巻取パイプ4の回転量を検出するロータリーエンコーダ9が設けられる。そして、モーターユニット8及びロータリーエンコーダ9はケーブル10を介して、本例では外部のコントローラー(図示せず)に接続される。そして、本実施形態の電動ロールスクリーンは、リモートコントローラ等の操作装置の操作により当該コントローラーを介してモーターユニット8内のモーター17の駆動を制御可能となっている。
【0027】
サイドブラケット3a,3bの各内側面には、サイドケース15がネジで固定されている。尚、サイドブラケット3a,3bは、当該ネジのネジ頭を隠すようにそれぞれサイドカバーが取着される。そして、サイドケース15によってサイドキャップ16が回転可能に支持され、このサイドキャップ16が巻取パイプ4の各端部に相対回転不能に嵌合されている。従って、巻取パイプ4は、サイドブラケット3a,3bに対し回転可能に支持されている。
【0028】
モーターユニット8は、その詳細については後述するが、モーター17を収容するモーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)、モーター17の本体ハウジングと下側ケース11及び上側ケース12との直接的な接触を回避しながら下側ケース11及び上側ケース12に対しモーター17の本体ハウジングを相対回転不能に支持する第1のブラケット13及び第2のブラケット14、及び、当該モーターケースから露出するモーター17の出力軸17cに設けられ、巻取パイプ4の内周面を押圧してモーター17の出力軸17cの回転を巻取パイプ4に伝達するモーターアダプタ18を備える。
【0029】
尚、モーター17にはケーブル10に含まれる電源供給線を介して電源が供給される。
【0030】
このように構成された本実施形態の電動ロールスクリーンでは、リモートコントローラ等の操作装置の操作により当該コントローラーを介してモーターユニット8内のモーター17の駆動を制御することができ、当該コントローラーは、ロータリーエンコーダ9を監視しながら巻取パイプ4を回転させてスクリーン5を昇降させることができる。
【0031】
(モーターユニット)
図2は、本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける一実施例のモーターユニット8周辺の概略構成を示す断面正面図である。また、
図3は、一実施例のモーターユニット8の概略構成を示す分解斜視図であり、
図4は、一実施例のモーターユニット8における一実施例の第1及び第2のブラケット13,14及びモーターアダプタ18の概略構成を示す分解斜視図である。更に、
図5は、本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける一実施例のモーターユニット8の概略構成を部分的に示す断面正面図である。
【0032】
上述したように、モーターユニット8は、モーターケースを構成する下側ケース11及び上側ケース12と、第1のブラケット13と、第2のブラケット14と、モーターアダプタ18と、を備える。
【0033】
下側ケース11は、モーター17を収容するモーター収容部8aを構成する部位(
図2参照)については半筒状の外形(
図3参照)を有するが、そのモーター収容部8aを構成する部位の基端部側は円板状の側壁11cを経て延びる筒状体11jを有し、この筒状体11jがサイドブラケット3bの各内側面に対して相対回転不能に固定される。側壁11cには、モーター17のハーネスを挿通するのに十分な開口径を持つハーネス孔11dが設けられている。下側ケース11におけるモーター収容部8aを構成する部位の先端部側は半円板状の側壁11gが形成され、側壁11gの上縁部中央には、モーター17の出力軸17cを露出させるための丸凹部11bが形成されている。
【0034】
また、下側ケース11のモーター収容部8aを構成する部位における内壁には、第1のブラケット13に対してモーター17の軸方向へのズレを抑制し係止するための内周凸部11aが形成されており、この内周凸部11aと連なるように、第1のブラケット13の相対回転を抑制し係止するための平坦面を持つ係止部11jが前後の内壁及び内底部に形成されている。そして、下側ケース11は、上側ケース12が蓋着されることでモーター収容部8aを構成するようになっている。このため、下側ケース11の前後の縁部には、上側ケース12の前後の縁部上で左右方向のほぼ全長に亘って形成される凸条部12hと係合する段差部11hが形成されている。また、下側ケース11には、上側ケース12の4箇所に形成されるネジ孔12iと対応する位置に、取付ネジ21により上側ケース12を蓋着して固定するための係止孔11iが形成されている。
【0035】
上側ケース12は、モーター17を収容するモーター収容部8aを構成する部位として半筒状の外形(
図3参照)を有し、そのモーター収容部8aを構成する部位の基端部側は下側ケース11の側壁11cと隙間なく前後方向で当接する半円板状の側壁12cが形成され、側壁12cの下縁部中央には、モーター17のハーネスを導出するのに十分な径を持つ丸凹部12dが形成されている。また、上側ケース12におけるモーター収容部8aを構成する部位の先端部側は半円板状の側壁12gが形成され、側壁12gの下縁部中央には、モーター17の出力軸17cを露出させるための丸凹部12bが形成されている。
【0036】
また、上側ケース12のモーター収容部8aを構成する部位における内壁には、第1のブラケット13に対して軸方向(即ち、左右方向)へのズレを抑制し係止するための内周凸部12aが形成されており、この内周凸部12aと連なるように、第1のブラケット13の相対回転を抑制し係止するための平坦面を持つ係止部12jが前後の内壁及び内底部に形成されている。上側ケース12には、上述したように4箇所にネジ孔12iが形成され、上側ケース12のモーター収容部8aを構成する部位の先端部側のネジ孔12iを形成するための前後一対の柱部12eは、第2のブラケット14の相対回転を抑制し係止するためにも用いられる。また、前後一対の柱部12e間に直方体状の突起部12fが形成され、この突起部12fも第2のブラケット14の相対回転を抑制し係止するために用いられる。
【0037】
このように、下側ケース11及び上側ケース12は、互いに係合してモーター17、第1のブラケット13、及び第2のブラケット14を収容するモーター収容部8aを構成し、モーター収容部8aは、モーター17の出力軸17を露出する軸孔(丸凹部11b,12bで構成される。)と、モーター17のハーネスを露出するハーネス孔11dとを除き密閉される。
【0038】
ところで、本実施形態のモーター17の本体ハウジングは、モーター17の先端側(出力軸17側)における円筒状の外形を持つハウジング部位17aと、モーター17の基端側(ハーネス側)における四角筒状の外形を持つハウジング部位17bとが連なる段差を持つハウジング形状となっており、ハウジング部位17bは、その最大外径(
図5に示す“d2”)においても、ハウジング部位17aの最大外径(
図5に示す“d1”)より小径となっている。一方で、ハウジング部位17aの最大外径(
図5に示す“d1”)は、モーターケースの内径(
図5に示す“D”)より小さい。
【0039】
そこで、第1のブラケット13は、
図3及び
図4に示すように、本例では略四角環状の外形形状を有し、モーター17のハウジング部位17bの外周壁上に密着して装着される内壁部13aと、下側ケース11及び上側ケース12における内壁上に密着して装着される外壁部13b,13cを有している。外壁部13bは、当該略四角環状の外形形状の各四角角部に位置し、外壁部13cは、当該略四角環状の外形形状の前後・上下のそれぞれにしていている。そして、この外壁部13cが、
図2に示すように、上述した下側ケース11の係止部11j及び上側ケース12の係止部12jと当接し、相対回転を抑制されて係止されるようになっている。また、外壁部13bは、上述した下側ケース11の内周凸部11a及び上側ケース12の内周凸部12aと係止して、軸方向(即ち、左右方向)へのズレが抑制されるようになる。
【0040】
このように、第1のブラケット13は、モーター17のハウジング部位17bの外周壁上に密着して装着されるものとなっており、モーター17の本体ハウジング(ハウジング部位17a及びハウジング部位17b)の最大外径より大きい外径を持つ環状の軟質材料で形成されている。尚、第1のブラケット13の幅(
図5に示す“w1”)は、ハウジング部位17bの左右方向長さより小さいものとし、弾性変形でモーターケースの内周面を押圧するのに十分な幅を有するものであれば任意である。そして、第1のブラケット13は、モーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)に対し押圧して収容されるようになっており、モーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)に対して相対回転するのを抑制することができ、モーター17の出力軸17cの回転を安定化させることができる。また、第1のブラケット13は、下側ケース11の内周凸部11a及び上側ケース12の内周凸部12aによって係止されるので、第1のブラケット13及びモーター17の軸方向の軸ズレが抑制されるようになっている。本例では、第1のブラケット13を1つ設ける例としているが、複数設けてもよい。
【0041】
第2のブラケット14は、
図3乃至
図5に示すように、モーター17のハウジング部位17aの先端側の先端側面171上に密着して装着されるものとなっており、モーター17の本体ハウジング(ハウジング部位17a及びハウジング部位17b)の最大外径より大きい外径を持つ略円環状の軟質材料で形成されている。このため、第2のブラケット14は、モーター17の出力軸17cを露出するのに十分な開口径の開口部14cが形成され、更に、係止孔14dが本例では3箇所に形成されている。そして、
図3に示すように、各取付ネジ22が、各係止孔14dを経て、
図4に示すモーター17のハウジング部位17aの先端側面171上のそれぞれに対応して形成されるネジ孔172に螺入されて、第2のブラケット14がハウジング部位17aの先端側面171に密着して装着される。
【0042】
更に、第2のブラケット14には、モーターケース(上側ケース12)に対する相対回転を抑制する一対の第1突起部14aと第2突起部14bとが、モーター17の出力軸17cの軸方向に突出するように形成され、軸中心に対して対向配置されている。一対の第1突起部14aは、上述した上側ケース12における前後一対の柱部12eの間に係合して装着され、第2突起部14bについても、上述した下側ケース11における前後一対の柱部(図示していないが、上記の前後一対の柱部12eと同様の形状)の間に係合して装着される。これにより、第2のブラケット14を介してモーター17の本体ハウジングがモーターケース(上側ケース12)に対して相対回転するのを抑制することができ、モーター17の出力軸17cの回転を、より一層、安定化させることができる。加えて、一対の第1突起部14a間に、上述したモーターケース(上側ケース12)の突起部12fが密着して挟み込まれて、第2のブラケット14の相対回転を抑制し係止するようになっており、更に一層、安定化させることができる。尚、第2のブラケット14の幅(
図5に示す“w2”,“w3”)は、弾性変形でモーターケースの内周面を押圧するのに十分な幅を有するものであれば任意である。尚、モーター17の出力軸17c側の振動をより抑制させたいため、第2のブラケット14の軸方向の最大幅(w3)は、第1のブラケット13の軸方向の最大幅(w1)より大きいものとなるように形成されていることが好適である。
【0043】
そして、第1のブラケット13及び第2のブラケット14が、それぞれモーター17の本体ハウジングに密着して装着された状態で、モーター17がモーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)に収容された状態では、モーター17の本体ハウジングと下側ケース11及び上側ケース12との直接的な接触が回避され、これによりモーター17の振動を絶縁する機能を有するようになる。このため、モーター17の振動音がモーターユニット8のモーターケースへ伝搬して発生する動作音を抑制することができる。
【0044】
更に、モーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)は、第1のブラケット13及び第2のブラケット14と密着してモーター17を収容するように構成されるモーター収容部8aは、モーター17の出力軸17を露出する軸孔(丸凹部11b,12bで構成される。)と、モーター17のハーネスを露出するハーネス孔11dとを除き密閉されるため、モーターユニット8内のモーター17の回転により発生する直接音を抑制することができる。
【0045】
モーターアダプタ18は、巻取パイプ4の内周面を押圧してモーター17の出力軸17cの回転を巻取パイプ4に伝達するように、モーター17の出力軸17cに装着されるものとなっており、軟質材料で形成されている。特に、モーターアダプタ18は、モーター17の出力軸17cと係合する係合孔18aと、巻取パイプ4の内周面を押圧するのに十分な外形を持つ一対の扇状部位18cとを有し、巻取パイプ4の内周面への押圧による組み付けを容易化するために一対の扇状部位18c間は凹部18dが形成されるものとなっている。ここで、モーターアダプタ18の最大外径(
図5に示す“P”)は、巻取パイプ4の内径より大きいものとし、弾性変形で巻取パイプ4の内周面を押圧して収容できるものとする。
【0046】
尚、モーターアダプタ18は、モーター17の出力軸17cと係合するのみではモーター17の出力軸17cの回転を十分に巻取パイプ4に伝達できないため、モーター17の出力軸17cとモーターアダプタ18とを連結固定する軸固定部材19が用いられる。本例の軸固定部材19は、硬質材料で形成されており、円板状の本体の中央にモーター17の出力軸17cと係合する係合孔19aと、径外方向に突出する本例では4つの突出片19bとを有する。そして、モーターアダプタ18には、
図4に示すように、軸固定部材19全体を係止して埋設する穿設溝18bが形成されている。従って、軸固定部材19を用いてモーターアダプタ18をモーター17の出力軸17cに取着することにより、モーター17の出力軸17cの回転は、十分に巻取パイプ4に伝達される。本例の軸固定部材19は、モーター17の出力軸17cに対し着脱可能な部材としているが、予め固定した部材としてもよい。また、突出片19bは、少なくとも1本以上あればよいが、本例のように、周方向に均等配置した複数本で構成することが望ましい。ただし、突出片19bは、軸方向に延びるように構成してもよいし、径外方向及び軸方向にそれぞれ突出する複数本の突出片としてもよく、モーターアダプタ18と係合し、モーター17の出力軸17cの回転を効果的にモーターアダプタ18に伝達する形状であれば任意である。
【0047】
このように、モーターアダプタ18自体も軟質材料で形成されているため、モーター17の振動を絶縁する機能を有するようになり、モーター17の振動音が巻取りパイプ4へ伝搬して発生する動作音を抑制することができる。
【0048】
従って、本実施形態の電動ロールスクリーンは、モーター17の本体ハウジングより大径の部位を持つ環状の軟質材料で形成された第1のブラケット13をモーター17の本体ハウジングの外周壁に少なくとも1個、密着して設け、更に、モーター17の本体ハウジングより大径の部位を持つ環状の軟質材料で形成された第2のブラケット14をモーター17の本体ハウジングの出力軸側の先端側面171上に密着して設け、モーター17の本体ハウジングがモーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)に対し直接的に接触することなく固定するようにした。これにより、従来よりも動作音を静音化させることができる。
【0049】
また、本実施形態の電動ロールスクリーンにおいて、モーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)は、軸方向にモーター17の出力軸17cを露出する軸孔(丸凹部11b,12bで構成される。)と、モーター17のハーネスを露出するハーネス孔11dとを有し、その軸孔及びハーネス孔11dを除き、モーター17の本体ハウジングを密閉して収容するのが好適である。これにより、より動作音を静音化させることができる。
【0050】
また、本実施形態の電動ロールスクリーンにおいて、モーター17の出力軸17cの回転を巻取パイプ4に伝達するモーターアダプタ18を軟質材料で形成し、モーター17の振動を絶縁する機能を有するようにした。これにより、更に動作音を静音化させることができる。
【0051】
また、本実施形態の電動ロールスクリーンにおいて、モーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)は、モーター17の本体ハウジングに装着した第1のブラケット13及び第2のブラケット14に対して密着して装着するようにした。これにより、モーター17の出力軸17cの回転を安定化させることができる。
【0052】
また、本実施形態の電動ロールスクリーンにおいて、第1のブラケット13の一部に、モーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)に対する相対回転を抑制するよう当該モーターケース内の一部(上側ケース12の係止部12j、並びに下側ケース11の係止部11j)に対して係合する第1の係止部(外壁部13c)を形成したものとした。これによっても、モーター17の出力軸17cの回転を安定化させることができる。
【0053】
また、本実施形態の電動ロールスクリーンにおいて、第2のブラケット14の一部に、モーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)に対する相対回転を抑制するよう当該モーターケース内の一部(上側ケース12の突起部12f及び柱部12e、並びに下側ケース11の柱部(図示していないが柱部12eと同様))に対して係合する第2の係止部(一対の第1突起部14a,第2突起部14b)を形成したものとした。これによっても、モーター17の出力軸17cの回転を安定化させることができる。
【0054】
また、本実施形態の電動ロールスクリーンにおいて、モーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)の内周壁に、第1のブラケット13の軸方向の軸ズレを抑制するよう係合する第3の係止部(内周凸部11a,12a)を形成したものとした。これによっても、モーター17の出力軸17cの回転を安定化させることができる。
【0055】
(変形例)
図6は、本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける変形例のモーターユニット8の概略構成を示す分解斜視図である。尚、
図6において、上述した実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0056】
図6に示す変形例のモーターユニット8は、
図3に示すものと比較して、モーターアダプタ18と、軸固定部材19の構成が異なるのみであり、他の構成要素は同一であるから、ここでは、
図6に示す変形例のモーターアダプタ18と、軸固定部材19についてのみ説明する。
【0057】
図6に示す変形例のモーターアダプタ18は、巻取パイプ4の内周面を押圧してモーター17の出力軸17cの回転を巻取パイプ4に伝達するように、モーター17の出力軸17cに装着され、軟質材料で形成されている点で上述した実施形態と同様である。そして、モーターアダプタ18及び軸固定部材19は、
図3に示すものと同形状としている。ただし、本変形例では、軸固定部材19とモーター17との間にモーターアダプタ18が配置されるものとしている。そして、モーター17の出力軸17cにリング溝173を形成しておき、Eリング等の係止部材20を用いて、軸固定部材19全体をモーターアダプタ18の穿設溝18bに埋設した状態でリング溝173に固定するようになっている。このように、軸固定部材19とモーター17との間にモーターアダプタ18を配置して固定することにより、モーターアダプタ18が動作中に離脱するのを確実に防止できる。尚、モーター17の出力軸17cに対し、固定ネジ23を用いた軸固定部材19及びモーターアダプタ18の固定は、
図3に示す実施形態においても適用することができる。即ち、軸固定部材19及びモーターアダプタ18の位置関係に関わらず、モーターアダプタ18が動作中に離脱するのを確実に防止できる形態とすることができる。
【0058】
従って、本変形例においても、
図1乃至
図5に示した上述の実施形態における一実施例と同様の作用・効果を奏するものとなる。
【0059】
(変形例1のブラケット)
図7は、本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンの一実施例のモーターユニット8における変形例のブラケット(第1のブラケット13のみとする例)及びモーターアダプタ18の概略構成を示す分解斜視図である。また、
図8は、本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける変形例のブラケット(第1のブラケット13のみとする例)及びモーターアダプタ18を有する一実施例のモーターユニット8の概略構成を部分的に示す断面正面図である。尚、
図7及び
図8は、
図4及び
図5に示すものと同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
【0060】
まず、
図7及び
図8に示す変形例において、モーター17、モーターアダプタ18、及び軸固定部材19に関しては、
図4及び
図5に示すものと同様であるが、第2のブラケット14を用いずに、第1のブラケット13を軸方向に長尺化した筒状部13eを有するように形成している点で相違している。
【0061】
尚、
図7及び
図8に示す変形例においても、第1のブラケット13の一部(図示右端側)に、本例では略四角環状の外形形状を有し、モーター17のハウジング部位17bの外周壁上に密着して装着される内壁部13aと、下側ケース11及び上側ケース12における内壁上に密着して装着される外壁部13b,13cを有している。
【0062】
ここで、第1のブラケット13を軸方向に長尺化するにあたって、
図7及び
図8に示すように、第1のブラケット13の筒状部13eの内壁13fは、モーター17のハウジング部位17aの外周壁に密着して設けられる。また、第1のブラケット13の筒状部13eの外壁13gは、上側ケース12及び下側ケース11の内壁に密着して設けられる。この第1のブラケット13の筒状部13eの軸方向(長手方向)の長さ(最大幅)は、モーター17の本体ハウジングであるハウジング部位17a,17bの軸方向(長手方向)の全長の少なくとも半値以上とする。
【0063】
このように、第1のブラケット13に筒状部13eを設け、その筒状部13eの軸方向(長手方向)の長さをモーター17のハウジング部位17a,17bの軸方向(長手方向)の全長の少なくとも半値以上とすることで、より密閉度及び密着度が向上するため、
図4及び
図5に示す第2のブラケット14を用いずとも、静音性能が向上する。
【0064】
尚、
図7及び
図8に示す構成に対し、更に
図4及び
図5に示す第2のブラケット14を適用してもよい。
【0065】
(変形例2のブラケット)
図9は、本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンの一実施例のモーターユニット8における変形例2のブラケット(第2のブラケット14のみとする例)及びモーターアダプタ18の概略構成を示す分解斜視図である。また、
図10は、本発明による一実施形態の電動ロールスクリーンにおける変形例2のブラケット(第2のブラケット14のみとする例)及びモーターアダプタ18を有する一実施例のモーターユニット8の概略構成を部分的に示す断面正面図である。尚、
図9及び
図10は、
図4及び
図5に示すものと同様の構成要素には同一の参照番号を付している。
【0066】
まず、
図9及び
図10に示す変形例2において、モーター17、モーターアダプタ18、及び軸固定部材19に関しては、
図4及び
図5に示すものと同様であるが、第1のブラケット13を用いずに、第2のブラケット14を軸方向に長尺化した筒状部14eを有するように形成している点で相違している。
【0067】
尚、
図9及び
図10に示す変形例2においても、第2のブラケット14の一部に、モーターケース内の一部(
図3に示す上側ケース12の突起部12f及び柱部12e、並びに下側ケース11の柱部(図示していないが柱部12eと同様))に対する相対回転を抑制する第2の係止部(一対の第1突起部14a,第2突起部14b)を形成したものとし、モーター17の出力軸17cを露出するのに十分な開口径の開口部14cが形成されたものとしている。
【0068】
ここで、第2のブラケット14を軸方向に長尺化するにあたって、
図9及び
図10に示すように、第2のブラケット14の筒状部14eの内壁14fは、モーター17のハウジング部位17aの外周壁に密着して設けられる。また、第2のブラケット14の筒状部14eの外壁14gは、上側ケース12及び下側ケース11の内壁に密着して設けられる。この第2のブラケット14の筒状部14eの軸方向(長手方向)の長さ(最大幅)は、モーター17の本体ハウジングであるハウジング部位17a,17bの軸方向(長手方向)の全長の少なくとも半値以上とし、
図10に示す例では、モーター17のハウジング部位17aの先端側の先端側面171から、下側ケース11の係止部11j及び上側ケース12の係止部12jと当接する位置までの長さとしている。
【0069】
このように、第2のブラケット14に筒状部14eを設け、その筒状部14eの軸方向(長手方向)の長さをモーター17のハウジング部位17a,17bの軸方向(長手方向)の全長の少なくとも半値以上とすることで、より密閉度及び密着度が向上するため、
図4及び
図5に示す第1のブラケット13を用いずとも、静音性能が向上する。
【0070】
尚、
図9及び
図10に示す構成に対し、更に
図4及び
図5に示す第1のブラケット13を適用してもよく、より好適には、モーター17の本体ハウジング(ハウジング部位17a,17b)全体を囲うように収容するモーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)内の空間をより少なくするように、可能な限り幅広のものとする、即ち
図5に示すw1の長さを長くしたものとするのが好適である。
【0071】
(総括)
要するに、モーターユニット8の静音化にあたって、以下のように構成するのが有効である。
【0072】
第1に、モーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)は、モーター17の本体ハウジング(ハウジング部位17a,17b)全体を囲うように収容する。ここで、モーター17の本体ハウジングを軸方向に対し垂直な一方から覆うベースケース(本例ではモーター17の下方とした下側ケース11に相当するが、必ずしも下方でなくともよく、例えば前方でもよい。)と、軸方向に対し垂直な他方から覆うキャップケース(本例ではモーター17の上方とした上側ケース12に相当するが、必ずしも上方でなくともよく、例えば後方でもよい。)の2部材からなるものとすることで、静音化に加えて、組み立て性が向上する利点がある。
【0073】
より具体的に、
図11を参照して、従来技術に基づく比較例と対比して説明する。
図11(a)は従来技術に基づく比較例のモーターユニット8Pの概略構成を示す斜視図であり、
図11(b)は、
図2乃至
図10に例示する本発明に係るモーターユニット8の概略構成を示す斜視図である。
【0074】
図11(a)に示す従来技術に基づく比較例のモーターユニット8Pでは、上部が開口したベースケース(本例ではモーター17の下方とした下側ケース11P)にモーター17を載置するものであるため組み立て性は容易であるものの、モーター17の駆動音が下側ケース11Pの開口した上部から漏れて騒音となる。
【0075】
一方、
図11(b)に示す
図2乃至
図10に例示する本発明に係るモーターユニット8におけるモーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)は、モーター17の本体ハウジング(ハウジング部位17a,17b)全体を囲うように収容するので、仮に第1及び第2のブラケット13,14を設けない場合でも、モーター17の駆動音が外部に漏れるのを抑制し静音化に寄与するものとなる。そして、モーターケースを1本の筒状とするよりも、ベースケース(本例では下側ケース11)と、キャップケース(本例では上側ケース12)の2部材からなるものとすることで、静音化に加えて、組み立て性が向上する。
【0076】
このように、モーターケースは、軸方向に前記モーターの出力軸を露出する軸孔と、前記モーターのハーネスを露出するハーネス孔とを有し、前記軸孔及び前記ハーネス孔を除き、前記モーターの本体ハウジングを密閉して収容するモーター収容部を有するものとする。
【0077】
第2に、モーター17の本体ハウジングの外周壁又は先端側面上における少なくとも一部に密着して設けられる部位を有し、軟質材料で形成された少なくとも1個のブラケット(
図4に例示する第1及び第2のブラケット13,14、或いは
図7乃至
図10に例示する第1のブラケット13と第2のブラケット14のうち一方のみ)を構成し、モーターケース(本例では、下側ケース11及び上側ケース12)がモーター17の本体ハウジングを直接的に接触することなく固定して収容する構成とする。これにより、モーター17の振動がモーターケースに直接的に伝達されず、より一層、静音化するようになる。
【0078】
第3に、上述した
図2乃至
図10に例示した各種の係止部で、当該少なくとも1個のブラケット(
図4に例示する第1及び第2のブラケット13,14、或いは
図7乃至
図10に例示する第1のブラケット13と第2のブラケット14のうち一方のみ)をモーターケース内に安定保持させる。これにより、より一層、静音化するようになる。
【0079】
第4に、当該少なくとも1個のブラケットとして、モーター17の本体ハウジングの外周壁に設ける部位を有する第1のブラケット13のみとするときは、その第1のブラケット13に、モーター17のハウジング部位17a,17bの軸方向(長手方向)の全長の少なくとも半値以上を密着して包む筒状部13eを有するものとする。これにより、安定した静音化が実現される。
【0080】
或いは、当該少なくとも1個のブラケットとして、モーター17の本体ハウジングの先端側面上に密着して設ける部位を有する第2のブラケット14のみとするときは、その第2のブラケット14に、モーター17のハウジング部位17a,17bの軸方向(長手方向)の全長の少なくとも半値以上を密着して包む筒状部14eを有するものとする。これにより、安定した静音化が実現される。
【0081】
或いは、当該少なくとも1個のブラケットとして、モーター17の本体ハウジングの外周壁に密着して設けられ、モーター17の本体ハウジングより大径の部位を持つ軟質材料で形成された少なくとも1個の第1のブラケット13、及びモーター17の本体ハウジングの先端側面上に密着して設けられ、モーター17の本体ハウジングより大径の部位を持つ軟質材料で形成された第2のブラケット14を有するものとする。これにより、安定した静音化が実現される。ここで、第2のブラケット14の軸方向の最大幅(
図5に示すw3)が、第1のブラケット13の軸方向の最大幅(
図5に示すw1)より大きいものとするのが好適である。これにより、モーター17の出力軸17c側の振動を好適に抑制させることができる。
【0082】
第5に、巻取パイプ4の内周面を押圧してモーター17の出力軸の回転を巻取パイプ4に伝達するモーターアダプタ18を設ける。このモーターアダプタ18は、モーター17の振動を絶縁する機能を有する軟質材料で形成する。これにより、モーター17の出力軸17cの振動が巻取パイプ4に伝達するのを抑制することができ、より一層、静音化するようになる。
【0083】
ところで、上述の実施形態では、
図2乃至
図10に例示する本発明に係る一実施例及び変形例のモーターユニット8を電動ロールスクリーンに適用した例を説明したが、巻取パイプ内にモーターユニットが配設される電動遮蔽装置であれば、同様に本発明に係る一実施例及び変形例のモーターユニット8を適用することができる。
以下、
図12を参照し、代表例として、
図3に例示する本発明に係る一実施例のモーターユニット8を、電動ローマンシェードに適用した例を説明する。
【0084】
〔電動ローマンシェード〕
(全体構成)
図12(a)は本発明による一実施形態の電動ローマンシェードの概略構成を示す正面図であり、
図12(b)はその側面図である。尚、
図12は、
図1に示すものと同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0085】
図12に示す本実施形態の電動ローマンシェードは、遮蔽材であるカーテン材5Sを電動で昇降可能とするように構成され、フレーム2の前面に設けられる面ファスナー45にカーテン材5Sの上端が取着されてカーテン材5Sが吊下支持される。カーテン材5Sの背面の幅方向各所に、上下方向に配列するリング40が取着され、上下方向に配列するリング40にはそれぞれの昇降コード46が挿通されている。各昇降コード46の下端には本例ではフック式のコードキャッチ47が取着され、各コードキャッチ47は、錘部材であるウェイトバー6を包設して折り返されるカーテン材5Sの下端を掛装している。尚、カーテン材5Sの左右両端側の下端には、ガイド固定具49が床面又は壁面に固定されている。そして、カーテン材5Sの左右両端側でフレーム2に一端を取着して垂下する紐状のガイドコード48の各々が、カーテン材5Sの左右両端側で上下方向に配列するリング40に挿通された後、それぞれのガイド固定具49に取着されることで、カーテン材5Sの昇降が案内されるようになっている。
【0086】
図示する実施形態では、フレーム2の左右両端にそれぞれ設けられるサイドブラケット3a,3b間に、2本の巻取パイプ4が配設されている。そして、2本の巻取パイプ4間において、2本の巻取パイプ4の互いに向き合う各端部側はそれぞれ短尺な駆動軸42の角柱状両端部に相対回転不能に連結されている。駆動軸42の両端部は角柱状であるが、その左右方向中心部は丸柱状となっており、この駆動軸42の丸柱状中心部は環状の支持孔を持つ支持部材43に挿通され、その支持部材43は、フレーム2に固定支持される中間ブラケット44で支持されている。従って、2本の巻取パイプ4は、一体となって同期回転する。
【0087】
サイドブラケット3a,3bの各内側面には、サイドケース15が固定されている。そして、サイドケース15によってサイドキャップ16が回転可能に支持され、このサイドキャップ16が、一体となって同期回転する2本の巻取パイプ4における右側の巻取パイプ4の右端側と左側の巻取パイプ4の左端側に相対回転不能に嵌合されている。
【0088】
各巻取パイプ4の両端部にはコード巻取部41が形成されており、各コード巻取部41は、一体となって同期回転する各巻取パイプ4の回転により、それぞれの昇降コード46を巻き取り、或いは巻き戻すことができ、これによりカーテン材5Sをたくし上げて上昇させたり、或いは下降させたりすることができる。尚、図示する略逆T字状のサポート部材51は、その上端がフレーム2に固定されており、各サポート部材51に対応する位置の昇降コード46が各サポート部材51に形成される挿通孔に挿通されて、昇降コード46の垂下を安定化させるものとなっている。
【0089】
一体となって同期回転する2本の巻取パイプ4における右側の巻取パイプ4内には、この巻取パイプ4を回転駆動するモーターユニット8が配設され、サイドブラケット3bには巻取パイプ4の回転量を検出するロータリーエンコーダ9が設けられる。そして、モーターユニット8及びロータリーエンコーダ9はケーブル10を介して、本例では外部のコントローラー(図示せず)に接続される。そして、本実施形態の電動ロールスクリーンは、リモートコントローラ等の操作装置の操作により当該コントローラーを介してモーターユニット8内のモーター17の駆動を制御可能となっている。
【0090】
そして、
図12に示すモーターユニット8は、本例では
図3に示すものと同様に、モーター17を収容するモーターケース(下側ケース11及び上側ケース12)、モーター17の本体ハウジングと下側ケース11及び上側ケース12との直接的な接触を回避しながら下側ケース11及び上側ケース12に対しモーター17の本体ハウジングを相対回転不能に支持する第1のブラケット13及び第2のブラケット14、及び、当該モーターケースから露出するモーター17の出力軸17cに設けられ、巻取パイプ4の内周面を押圧してモーター17の出力軸17cの回転を当該巻取パイプ4に伝達するモーターアダプタ18を備える。
【0091】
従って、
図2乃至
図10に例示する本発明に係るモーターユニット8を、電動ローマンシェードに適用し、静音化を図ることができ、上述した電動ロールスクリーンと同様に、各実施例及び変形例の作用・効果を奏するものとすることができる。
【0092】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、モーター収容部8aを構成するモーターケースの内周壁に振動を熱変換する吸音部材を貼付してもよい。また、上述した実施形態のモーター17の本体ハウジングは、ハウジング部位17aとハウジング部位17bとで段差を持つハウジング形状を例に説明したが、段差の無いハウジング形状であってもよいし、より多数の段差を持つ場合でもよく、上述した実施形態の着想の下で同様に適用することができる。また、本発明に係る電動遮蔽装置は、前後に遮蔽材を持つダブルロールスクリーンやダブルローマンシェードとして構成してもよい。
【0093】
また、前述の実施形態の例では、概ねリング状とした単一部材の第1のブラケット13、及び概ねリング状とした単一部材の第2のブラケット14とする例を説明したが、これらの第1のブラケット13及び第2のブラケット14の各々は、例示したような概ねリング状とする形態に限らず、例えば半リング状としてもよい。更に、例えば半リング状とした部材を上半部と下半部とし結合して単一部材相当にするなど分離可能とする複数部材としてもよく、モーターユニット8として組み付けたときに、単一部材のように機能するものであってもよい。従って、本発明は、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、モーターの回転に起因する動作音を従来よりも抑制させることができるので、電動ロールスクリーンや電動ローマンシェード等の電動遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0095】
1 取付ブラケット
2 フレーム
3a,3b サイドブラケット
4 巻取パイプ
5 スクリーン(遮蔽材)
5S カーテン材(遮蔽材)
6 ウェイトバー
7 スプリングモーター
8 モーターユニット
9 ロータリーエンコーダ
10 ケーブル
11 下側ケース(モーターケースとして構成するベースケース)
12 上側ケース(モーターケースとして構成するキャップケース)
13 第1のブラケット
14 第2のブラケット
15 サイドケース
16 サイドキャップ
17 モーター
18 モーターアダプタ
19 軸固定部材
41 コード巻取部
46 昇降コード