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特許7519247情報処理方法、情報処理装置、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240711BHJP
【FI】
G16H10/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020156428
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022050056
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】517448489
【氏名又は名称】合同会社H.U.グループ中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聡史
(72)【発明者】
【氏名】有田 泰久
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-237800(JP,A)
【文献】特開2003-050862(JP,A)
【文献】特開2017-083948(JP,A)
【文献】特開2010-286881(JP,A)
【文献】特開2016-139310(JP,A)
【文献】特開2020-057035(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0197943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ
医療機関から検査機関への検査依頼の際に用いられる検査依頼コードと、該検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報とを取得し、
各検査の検査項目コードに関連付けて前記検査機関の検査項目情報を記憶してある記憶部を参照して、取得した検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報を、対応する検査項目コードに関連付けられた前記検査機関の検査項目情報と照合し、
照合結果に基づく情報を出力する
処理を実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記検査項目情報は、検査名称、基準値、及び単位を含む
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記コンピュータ
前記照合結果に基づき、前記医療機関と前記検査機関との間で一致しない検査名称、基準値、又は単位の情報を前記医療機関へ通知する
処理を実行する請求項1又は請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記コンピュータ
前記照合結果に基づき、前記検査機関では設定されているが、前記医療機関では設定されていない基準値の情報を前記医療機関へ通知する
処理を実行する請求項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記コンピュータ
前記医療機関の検査項目情報と前記検査機関の検査項目情報との類似度を計算することによって照合する
処理を実行する請求項1から請求項4の何れか1つに記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記コンピュータ
複数の医療機関から検査依頼コードと検査項目情報とを取得し、
取得した検査依頼コードに付随する検査項目情報に基づいて照合を行う
処理を実行する請求項1から請求項5の何れか1つに記載の情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータ
医療機関の検査依頼コードと、該検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報とを検査機関のサーバ装置へ送信し、
前記検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報と、前記検査機関における検査項目情報との間の照合結果を前記サーバ装置から受信し、
受信した照合結果を表示する
処理を実行する情報処理方法。
【請求項8】
前記コンピュータ
前記照合結果に基づいて前記サーバ装置により生成される前記医療機関の検査項目情報に対する修正案を、前記サーバ装置から受信し、
受信した修正案に対する承認を受付けた場合、前記修正案に基づき、前記医療機関の検査項目情報を修正する
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
医療機関から検査機関への検査依頼の際に用いられる検査依頼コードと、該検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報とを取得し、
各検査の検査項目コードに関連付けて前記検査機関の検査項目情報を記憶してある記憶部を参照して、取得した検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報を、対応する検査項目コードに関連付けられた前記検査機関の検査項目情報と照合し、
照合結果に基づく情報を出力する
処理を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項10】
医療機関から検査機関への検査依頼の際に用いられる検査依頼コードと、該検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報とを取得する取得部と、
各検査の検査項目コードに関連付けて前記検査機関の検査項目情報を記憶してある記憶部を参照して、取得した検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報を、対応する検査項目コードに関連付けられた前記検査機関の検査項目情報と照合する照合部と、
照合結果に基づく情報を出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院をはじめとする医療施設と、臨床検査センタとの間では、検査依頼に基づく受発注取引が日常的に行われている。具体的には、病院側において、患者の診断に必要な検査の選択、検査依頼、及び検体採取を行い、臨床検査センタにおいて、検査依頼の受注、採取された検体の集荷とセンタへの輸送、受領した検体に基づく検査の実施、及び検査結果の報告を行う。
【0003】
従来では、検査依頼の受発注は、検査依頼書と呼ばれる専用の用紙を用いて行われ、検査結果の報告は、検査結果報告書と呼ばれる専用の用紙を用いて行われていた。また、近年では、電子通信技術の進展・普及により、この受発注取引はオンラインシステムを介して、依頼に関するトランザクションとデータ報告によって行われている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-21324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各病院の院内情報システムの普及、検査センタの電子管理システムの導入に伴い、両者は検査項目に関する情報を独自に管理するシステムや台帳を持っていることが多い。
【0006】
しかしながら、システム開発業者の違いや台帳の更新頻度の違いなど、種々の理由により、同じ項目の検査依頼であっても、病院と検査センタとが想定している測定対象項目の情報について、齟齬が発生する可能性がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、検査項目に関する情報について医療機関と検査機関との間で発生する齟齬を解消できる情報処理方法、情報処理装置、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
情報処理方法は、コンピュータを用いて、医療機関から検査機関への検査依頼の際に用いられる検査依頼コードと、該検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報とを取得し、各検査の検査項目コードに関連付けて前記検査機関の検査項目情報を記憶してある記憶部を参照して、取得した検査依頼コードに付随する前記医療機関の検査項目情報を、対応する検査項目コードに関連付けられた前記検査機関の検査項目情報と照合し、照合結果に基づく情報を出力する処理を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本願によれば、検査項目に関する情報について医療機関と検査機関との間で発生する齟齬を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る検査依頼システムの全体構成を説明する模式図である。
図2】サーバ装置の内部構成を説明するブロック図である。
図3】変換マスタの一例を示す概念図である。
図4】項目照合データベースの一例を示す概念図である。
図5】クライアント装置の内部構成を説明するブロック図である。
図6】院内マスタの一例を示す概念図である。
図7】検査依頼から検査結果報告までの手順の概要を説明するフローチャートである。
図8】基準値が設定されている場合の照合判定の例を説明する図である。
図9】基準値が設定されていない場合の照合判定の例を説明する図である。
図10】検査機関のサーバ装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
図11】実施の形態2に係るサーバ装置が備える照合結果データベース102Cの一例を示す概念図である。
図12】照合結果サマリーの一例を示す図である。
図13】修正情報の取込画面の一例を示す模式図である。
図14】実施の形態3に係るクライアント装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
図15】承認画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は本実施の形態に係る検査依頼システムの全体構成を説明する模式図である。検査依頼システムは、例えば、検査機関に設置されるサーバ装置100と、医療機関に設置されるクライアント装置200とを備える。サーバ装置100及びクライアント装置200は、インターネットなどの通信網Nを介して、互いに通信可能に接続される。図1では、簡略化のために、1つの医療機関に設置されたクライアント装置200をサーバ装置100に接続した構成を示しているが、複数の医療機関のクライアント装置をサーバ装置100に接続してもよい。
【0012】
医療機関において患者の診断等に検査の必要性が生じた場合、医療機関から検査機関に対して検査依頼を行う。この検査依頼は、検査内容を特定するための検査依頼コードを医療機関のクライアント装置200から検査機関のサーバ装置100へ送信することによって行われる。検査機関のサーバ装置100は、クライアント装置200から検査依頼コードを受信した場合、検査依頼コードに基づき検査内容を特定する。検査機関は、医療機関にて採取された検体を集荷し、サーバ装置100によって特定された検査依頼コードに基づく検査を実施する。検査結果が得られた場合、サーバ装置100からクライアント装置200に対して検査結果を通知する。
【0013】
検査機関及び医療機関では、検査の基準値や単位などの検査項目に関する情報(以下、検査項目情報という)をそれぞれ独自に管理している。このため、医療機関と検査機関との間で検査結果の解釈に齟齬が生じる可能性がある。
【0014】
そこで、本実施の形態に係る検査依頼システムでは、検査依頼時に、医療機関で設定されている検査項目情報と、検査機関で設定されている検査項目情報とをサーバ装置100において照合し、基準値や単位に不一致があった場合、その旨をクライアント装置200に通知する。医療機関の担当者は、サーバ装置100から通知される照合結果に基づき、不一致とされた基準値や単位を適宜修正することができる。
【0015】
なお、図1は、検査機関と医療機関との間でサーバ/クライアントシステムを構築した例を示しているが、必ずしもサーバ/クライアントシステムを採用する必要はない。例えば、検査機関に設置された任意のコンピュータ(情報処理装置)を用いて、検査項目情報の照合処理を行い、医療機関に設置された任意のコンピュータ(情報処理装置)に照合結果を通知する構成としてもよい。また、医療機関にて独自のサーバ/クライアントシステムが構築されている場合、照合結果の通知先は、医療機関内のサーバ装置であってもよく、当該サーバ装置に接続されたクライアント装置であってもよい。
【0016】
以下、本実施の形態に係る検査依頼システムを構成するサーバ装置100及びクライアント装置200の構成について説明する。
【0017】
図2はサーバ装置100の内部構成を説明するブロック図である。サーバ装置100は、制御部101、記憶部102、通信部103、操作部104及び表示部105を備える。
【0018】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。制御部101が備えるCPUは、ROMや記憶部102に記憶されている各種コンピュータプログラムをRAM上に展開して実行することにより、装置全体を本願の情報処理装置として機能させる。なお、サーバ装置100は、情報処理装置の一実施形態に過ぎず、クライアント装置200と通信可能に接続された任意の情報処理装置であればよい。
【0019】
制御部101は、上記の構成に限定されるものではなく、複数のCPU、マルチコアCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、マイコン、揮発性又は不揮発性のメモリ等を備える任意の処理回路又は演算回路であってもよい。また、制御部101は、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ、日時情報を出力するクロック等の機能を備えていてもよい。
【0020】
記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いた記憶装置を備える。記憶部102には、制御部101によって実行される各種コンピュータプログラム、及びコンピュータプログラムの実行に必要なデータ等が記憶される。記憶部102に記憶されるコンピュータプログラムは、例えば、医療機関の検査項目情報と検査機関の検査項目情報とを照合し、照合結果に基づく情報を出力する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムを含む。
【0021】
記憶部102に記憶されるプログラムは、当該プログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体Mにより提供されてもよい。記録媒体Mは、例えば、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)などの可搬型メモリである。この場合、制御部101は、不図示の読取装置を用いて記録媒体Mからプログラムを読み取り、読み取ったプログラムを記憶部102にインストールすればよい。また、記憶部102に記憶されるプログラムは、通信部103を介した通信により提供されてもよい。この場合、制御部101は、通信部103を通じてプログラムを取得し、取得したプログラムを記憶部102にインストールすればよい。
【0022】
また、記憶部102は、医療機関の検査依頼コードと検査機関の検査項目コード及び検査名称との関係を規定する変換マスタ102A、並びに、検査項目コードに関連付けて、検査名称、基準値、及び単位の情報を記憶する項目照合データベース102Bを備える。
【0023】
図3は変換マスタ102Aの一例を示す概念図である。変換マスタ102Aは、医療機関における検査依頼コードと、検査機関における検査項目コードとの関係性を規定する。サーバ装置100の制御部101は、医療機関から検査依頼コードを受領した場合、変換マスタ102Aを参照することによって、医療機関の検査依頼コードを検査機関の検査項目コードに変換することができる。ここで、検査依頼コードは、医療機関から検査機関に依頼する検査を指定するためのコードであり、各医療機関によって独自に設定される。また、検査依頼コードには、検査項目情報が付随する。検査項目情報には、例えば、検査名称、検査の基準値、基準値の単位などの情報が含まれる。検査の基準値には、例えば男女別に設定される上限値及び下限値が用いられる。代替的に、基準値は、男女に関わらずに設定される上限値及び下限値であってもよく、単一の閾値であってもよい。
【0024】
図4は項目照合データベース102Bの一例を示す概念図である。項目照合データベース102Bは、検査機関の検査項目コードに関連付けて、検査項目情報を記憶する。検査項目情報には、例えば、検査名称、検査の基準値、基準値の単位などの情報が含まれる。ここで、検査項目コードは、検査機関内で検査を指定するためのコードである。検査の基準値には、前述と同様に、例えば男女別に設定される上限値及び下限値が用いられる。代替的に、基準値は、男女に関わらずに設定される上限値及び下限値であってもよく、単一の閾値であってもよい。また、項目照合データベース102Bには、同一の検査項目コードが付与された同一の検査に対し、基準値又は単位が異なる複数の検査項目情報が登録されてもよい。
【0025】
なお、本実施の形態では、変換マスタ102A及び項目照合データベース102Bをサーバ装置100の内部に設けた構成としたが、サーバ装置100の外部に設けてもよい。すなわち、変換マスタ102A及び項目照合データベース102Bは、通信等の手段を用いてサーバ装置100から参照可能であればよい。
【0026】
通信部103は、通信網Nを通じてクライアント装置200と通信を行うためのインタフェースを備える。通信部103は、クライアント装置200へ送信すべき情報が制御部101から入力された場合、入力された情報をクライアント装置200へ送信すると共に、通信網Nを通じて受信したクライアント装置200からの情報を制御部101へ出力する。
【0027】
操作部104は、キーボード、マウスなどの入力インタフェースを備えており、サーバ装置100の管理者等による操作を受付ける。表示部105は、液晶ディスプレイ装置などを備えており、管理者等に対して報知すべき情報を表示する。なお、本実施の形態では、サーバ装置100が操作部104及び表示部105を備える構成としたが、操作部104及び表示部105は必須ではなく、サーバ装置100の外部に接続されたコンピュータを通じて操作を受付け、通知すべき情報を外部のコンピュータへ出力する構成であってもよい。
【0028】
図5はクライアント装置200の内部構成を説明するブロック図である。クライアント装置200は、パーソナルコンピュータやタブレットなどの端末装置であり、制御部201、記憶部202、通信部203、操作部204及び表示部205を備える。
【0029】
制御部201は、CPU、ROM、RAMなどにより構成される。制御部201が備えるCPUは、ROM又は記憶部202に記憶されている各種コンピュータプログラムをRAM上に展開して実行することにより、装置全体の制御を実行する。
【0030】
制御部201は、上記の構成に限定されるものではなく、複数のCPU、マルチコアCPU、マイコン等を含む任意の処理回路又は演算回路であってもよい。また、制御部201は、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ、日時情報を出力するクロック等の機能を備えていてもよい。
【0031】
記憶部202は、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリにより構成されており、各種コンピュータプログラム及びデータを記憶する。記憶部202に記憶されるコンピュータプログラムは、サーバ装置100との間で情報を送受信するために用いられる汎用又は専用のアプリケーションを含む。汎用のアプリケーションプログラムの一例は、ウェブブラウザである。なお、ウェブブラウザを用いてサーバ装置100にアクセスする場合、ID及びパスワード等を用いたログイン認証を行うことが好ましく、ログイン認証に成功した場合にのみ、サーバ装置100とクライアント装置200との間の通信を許可すればよい。
【0032】
また、記憶部202は院内マスタ202Aを備える。図6は院内マスタ202Aの一例を示す概念図である。院内マスタ202Aは、院内コードに関連付けて検査項目情報を記憶する。ここで、院内コードは、医療機関において検査を指定するためのコードである。検査項目情報には、例えば、検査名称、検査の基準値、基準値の単位などの情報が含まれる。検査の基準値には、前述と同様に、例えば男女別に設定される上限値及び下限値が用いられる。代替的に、基準値は、男女に関わらずに設定される上限値及び下限値であってもよく、単一の閾値であってもよい。
【0033】
通信部203は、通信網Nを通じてサーバ装置100と通信を行うためのインタフェースを備える。通信部203は、サーバ装置100へ送信すべき情報が制御部201から入力された場合、入力された情報をサーバ装置100へ送信すると共に、通信網Nを通じて受信したサーバ装置100からの情報を制御部201へ出力する。
【0034】
操作部204は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力インタフェースを備えており、医療従事者などのユーザによる操作を受付ける。表示部205は、液晶ディスプレイ装置などを備えており、ユーザに対して報知すべき情報を表示する。なお、本実施の形態では、クライアント装置200が操作部204を備える構成としたが、クライアント装置200にキーボード、マウス等の入力インタフェースが接続される構成であってもよい。
【0035】
以下、検査依頼システムを用いて医療機関から検査機関へ検査依頼を行い、検査依頼を受領した検査機関にて検査を行い、医療機関に対して検査結果の報告を行うまでの手順の概要について説明する。
【0036】
図7は検査依頼から検査結果報告までの手順の概要を説明するフローチャートである。医療機関において、患者の診断に検査が必要となった場合、必要な検査を指定した検査依頼コードを検査機関へ送信する(ステップS101)。具体的には、クライアント装置200の制御部201は、操作部204を通じて、依頼する検査の指定を受付け、該当する検査の院内コード及び検査項目情報を院内マスタ202Aから読み出す。制御部201は、院内コードから検査依頼コードを生成し、生成した検査依頼コードを検査項目情報と共に通信部203よりサーバ装置100へ送信する。本実施の形態では、院内コードから検査依頼コードを生成する構成としたが、院内コード及び検査依頼コードは共通であってもよい。医療機関では、検査機関に対して検査依頼を行うと共に、検査に必要な検体を患者から採取する。採取した検体は検査機関へ送られる。
【0037】
検査機関のサーバ装置100は、医療機関のクライアント装置200から送信される検査依頼コードを通信部103にて受信する(ステップS102)。サーバ装置100の制御部101は、変換マスタ102Aを参照して、医療機関から受信した検査依頼コードを検査機関の検査項目コードに変換する(ステップS103)。制御部101は、検査項目コードを検索キーとして、項目照合データベース102Bを検索し、検査に必要な検査項目情報を読み出す(ステップS104)。制御部101は、項目照合データベース102Bから読み出した検査項目情報を表示部105に表示してもよく、検査担当者などに通知してもよい。
【0038】
検査担当者は、項目照合データベース102Bから検索された検査項目情報を参照して、医療機関から依頼された検査を実行する(ステップS105)。検査では、例えば、検体に含まれる測定対象物質の濃度や数が測定される。検査によって得られた測定値はサーバ装置100に入力される。サーバ装置100の制御部101は、入力された測定値を基準値と比較することによって測定値が正常であるか否かを判定する。制御部101は、検査結果として、検査によって得られた測定値と、基準値との比較によって得られた判定結果とを通信部103よりクライアント装置200へ送信する(ステップS106)。
【0039】
クライアント装置200は、サーバ装置100から送信される検査結果を、通信部203を通じて受信する(ステップS107)。クライアント装置200の制御部201は、受信した検査結果を表示部205に表示させる。このとき、制御部201は、院内マスタ202Aから読み出した検査項目情報を検査結果に含まれる測定値と共に表示部205に表示させてもよい。
【0040】
一般的に、医療機関や検査機関では、検査項目情報をそれぞれ独自に管理していることが多い。このため、システム開発業者が異なる場合、データの更新頻度が異なる場合などにおいて、同一の検査項目であっても、医療機関における検査項目情報と検査機関における検査項目情報との間には齟齬が生じている可能性がある。例えば、型とグループ、△13Cパーミルとパーミル、mm/hとmm/30min、細胞数と個、といったように、同じ検査結果を表しているのに表現が異なる単位が用いられている可能性がある。また、U/mLとIU/mL、S/COとC.O.I、倍とEIU、mlとdl、ngとμg、といったように、そもそも単位を取り違えている可能性もある。また、検査結果の基準値に関して言えば、単位の相違、更新漏れ、医療機関が独自に基準値を設定している場合、医療機関側又は検査機関側で基準値を設定していない場合などにおいて、医療機関と検査機関との間で基準値が一致していない可能性がある。
【0041】
このような課題に対し、本実施の形態では、医療機関と検査機関との間で検査項目情報を正しく一致させる仕組みを提供する。具体的には、上述したフローチャートのステップS102において、検査機関のサーバ装置100が医療機関のクライアント装置200から検査依頼コードを受信した際、検査依頼コードに付随する検査項目情報を項目照合データベース102Bに登録されている検査項目情報と照合し、照合結果に基づく情報を医療機関に提供する。医療機関は、検査機関から提供される照合結果を基に、院内マスタ202Aを更新することによって、両者の検査項目情報を正しく一致させることができる。
【0042】
図8は基準値が設定されている場合の照合判定の例を説明する図である。医療機関から検査機関へ送信する検査依頼コードには、医療機関において設定された検査項目情報が付随する。図8の例は、男女別に設定された基準値(上限値及び下限値)と、測定値に対する単位とが医療機関の検査項目情報に含まれていることを示している。医療機関の検査項目情報には、基準値及び単位だけでなく、検査名称等の情報が含まれていてもよい。
【0043】
医療機関からの検査依頼コードは、検査機関のサーバ装置100において変換マスタ102Aが参照されることにより、検査機関の検査項目コードに変換される。サーバ装置100の制御部101は、変換された検査項目コードを検索キーとして、項目照合データベース102Bを検索し、検査項目情報の絞り込みを行う。図8の例は、検査依頼コード(A0001)を変換して得られる検査項目コード(L0001)に基づき、検査項目情報を3つに絞り込んだ状態を示している。検査機関の検査項目情報は、例えば、検査名称、基準値、単位等の情報を含む。
【0044】
次いで、制御部101は、検査依頼コードに付随する検査項目情報を検索キーにして、絞り込んだ検査項目情報から、医療機関側と一致する単位を検索する。一致する単位が検索された場合、制御部101は、医療機関側の基準値のパターンを、検査機関側の基準値のパターンと照合する。ここで、基準値のパターンとは、男女別の上限値及び下限値、男女共通の上限値及び下限値、「以上」、「以下」、「超過」、「未満」等の用語の組み合わせを表す。パターンの照合には、例えばコサイン類似度が用いられる。制御部101は、医療機関側の検査項目情報、検査機関側の検査項目情報のそれぞれについて、男女別の上限値及び下限値、並びに「以上」、「以下」、「超過」、「未満」等の用語の出現回数を要素とするベクトルを生成し、生成したベクトルの内積をそれぞれのベクトルの大きさで除算した値を求めることにより、コサイン類似度を計算することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、パターンの類似度を表す指標としてコサイン類似度を用いる構成としたが、コサイン類似度に限らず、ユークリッド距離、マハラノビス距離など他の類似度を表す指標を用いてもよい。
【0046】
照合の結果、医療機関側の基準値のパターンと、検査機関側の基準値のパターンとの間の類似度が十分高い場合(設定された閾値より高い場合)と判断した場合、制御部101は、検査結果を医療機関へ報告する際、検査機関が使用する基準値を併せて報告する。
【0047】
一方、医療機関側の基準値のパターンと、検査機関側の基準値のパターンとの類似度が低い場合(設定された閾値より低い場合)と判断した場合、制御部101は、検査結果を医療機関へ報告する際、基準値の取り違えの可能性などを報告する。なお、類似度が低い場合、担当者による確認が行われてもよい。すなわち、担当者が医療機関側の基準値のパターンと、検査機関側の基準値のパターンとを目視により確認し、問題がなければ、サーバ装置100より検査結果を医療機関へ報告する際、検査機関が使用する基準値を併せて報告してもよい。
【0048】
図9は基準値が設定されていない場合の照合判定の例を説明する図である。図9は医療機関において基準値が設定されていないケースを示している。この場合、サーバ装置100の制御部101は、前述と同様に、検査項目コードから絞り込んだ検査項目情報から、医療機関側と一致する単位を検索する。一致する単位が検索された場合、制御部101は、検査結果を医療機関へ報告する際、検査機関が使用する基準値を併せて報告する。
【0049】
一方、一致する単位が検索されなかった場合、制御部101は、検査結果を医療機関へ報告する際、検査項目の取り違えや単位の取り違えの可能性などを報告する。なお、一致する単位が検索されなかった場合、担当者による確認が行われてもよい。担当者が医療機関の検査項目情報に含まれる単位と、検査機関の検査項目情報に含まれる単位とを目視により確認し、問題がなければ、サーバ装置100より検査結果を医療機関へ報告する際、検査機関が使用する基準値を併せて報告してもよい。
【0050】
以下、検査機関のサーバ装置100が実行する処理の手順について説明する。
図10は検査機関のサーバ装置100が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。検査機関のサーバ装置100は、医療機関のクライアント装置200から送信される検査依頼コードを通信部103を通じて受信する(ステップS121)。医療機関のクライアント装置200から送信される検査依頼コードには、医療機関において設定された検査項目情報が付随する。
【0051】
制御部101は、記憶部102内に備える変換マスタ102Aを参照し、通信部103を通じて受信した検査依頼コードを検査機関の検査項目コードに変換する(ステップS122)。次いで、制御部101は、変換した検査項目コードを検索キーとして項目照合データベース102Bを検索し、検査項目情報の絞り込みを行う(ステップS123)。
【0052】
制御部101は、検査依頼コードと共に医療機関から受信した検査項目情報に含まれる単位を検索キーとして、ステップS123で絞り込んだ検査項目情報から医療機関側と一致する単位を検索し(ステップS124)、一致する単位の有無を判断する(ステップS125)。
【0053】
制御部101は、一致する単位ありと判断した場合(S125:YES)、医療機関の検査項目情報に基準値が設定されているか否かを判断する(ステップS126)。制御部101は、医療機関の検査項目情報に基準値が設定されていると判断した場合(S126:YES)、医療機関の基準値のパターンをステップS123で絞り込んだ検査機関の検査項目情報に含まれる基準値のパターンと照合する(ステップS127)。具体的には、制御部101は、医療機関の基準値のパターンと、検査機関の基準値のパターンとの間のコサイン類似度を計算し、計算した類似度に基づき両者の照合を行えばよい。制御部101は、基準値パターンの照合に用いる類似度として、コサイン類似度に限らず、ユークリッド距離、マハラノビス距離など他の類似度を表す指標を用いてもよい。
【0054】
制御部101は、基準値のパターンの照合により、医療機関の基準値のパターンと、検査機関の基準値のパターンとが十分に類似しているか否かを判断する(ステップS128)。具体的には、制御部101は、照合の過程で計算した類似度が閾値以上である場合、両者が十分に類似していると判断する。閾値は予め設定されてもよく、担当者の手入力により与えられてもよい。
【0055】
医療機関の基準値のパターンと検査機関の基準値のパターンとの間の類似度が閾値以上であり、両者が十分に類似していると判断した場合(S128:YES)、制御部101は、検査結果が入力されたか否かを判断する(ステップS129)。検査結果が入力されていない場合(S129:NO)、制御部101は、検査結果が入力されるまで待機する。検査結果が入力された場合(S129:YES)、制御部101は、検査結果と共に、検査機関で使用する基準値及び単位の情報を医療機関に報告する(ステップS130)。このとき、制御部101は、上記の情報を通信部103より医療機関のクライアント装置200へ送信すればよい。
【0056】
医療機関の基準値のパターンと検査機関の基準値のパターンとの間の類似度が閾値未満であり、両者が類似していないと判断した場合(S128:NO)、制御部101は、検査結果が入力されたか否かを判断する(ステップS131)。検査結果が入力されていない場合(S131:NO)、制御部101は、検査結果が入力されるまで待機する。検査結果が入力された場合(S131:YES)、制御部101は、医療機関に対して、検査結果を報告すると共に、基準値の取り違え等の可能性がある旨を警告する(ステップS132)。このとき、制御部101は、上記の情報及び警告を通信部103より医療機関のクライアント装置200へ送信すればよい。なお、ステップS128で医療機関の基準値のパターンと検査機関の基準値のパターンとが類似していないと判断した場合、制御部101は、担当者に基準値を確認させ、問題がなければ、検査機関で使用する基準値及び単位の情報を検査結果と共にクライアント装置200へ送信し、問題があれば、基準値の取り違え等の可能性がある旨の警告を検査結果と共にクライアント装置200へ送信してもよい。
【0057】
ステップS125で一致する単位がないと判断した場合(S125:NO)、制御部101は、検査結果が入力されたか否かを判断する(ステップS133)。検査結果が入力されていない場合(S133:NO)、制御部101は、検査結果が入力されるまで待機する。検査結果が入力された場合(S133:YES)、制御部101は、医療機関に対して、検査結果を報告すると共に、単位の取り違え等の可能性がある旨を警告する(ステップS134)。このとき、制御部101は、上記の情報及び警告を通信部103より医療機関のクライアント装置200へ送信すればよい。なお、ステップS125で一致する単位がないと判断した場合、制御部101は、担当者に単位を確認させ、問題がなければ、検査機関で使用する基準値及び単位の情報を検査結果と共にクライアント装置200へ送信し、問題があれば、単位に取り違え等の可能性がある旨の警告を検査結果と共にクライアント装置200へ送信してもよい。
【0058】
ステップS126で医療機関の検査項目情報に基準値が設定されていないと判断した場合(S126:NO)、制御部101は、処理をステップS129へ移行させ、検査結果の入力後に、検査結果並びに検査機関で使用する基準値及び単位の情報をクライアント装置200へ送信する(S130)。
【0059】
以上のように、実施の形態1では、医療機関から検査機関に検査を依頼する際、照合に必要な情報(医療機関側の検査項目情報)を送受信するので、検査機関において照合を実施できる。また、医療機関の基準値及び単位が検査機関の基準値及び単位に一致しない場合、警告を発することができ、必要に応じて基準値及び単位を修正させることにより、医療機関における基準値及び単位を検査機関の基準値及び単位に同期させることができる。
【0060】
なお、実施の形態1における照合判定では、単位の一致/不一致と、基準値のパターンの類似度とを判断する構成としたが、検査名称の一致/不一致(若しくは類似度)を併せて判断する構成としてもよい。
【0061】
また、本実施の形態では、医療機関毎の項目照合データベース102Bを参照して照合判定を行う構成としたが、複数の医療機関から検査名称、基準値、単位を収集したデータベースを作成し、作成したデータベースを参照して照合判定を行う構成としてもよい。
【0062】
(実施の形態2)
実施の形態1では、検査機関から医療機関に検査結果を報告する際に、照合結果を併せて報告する構成としたが、検査機関のサーバ装置100において照合結果を蓄積しておき、適宜のタイミングにて照合結果をまとめて報告する構成としてもよい。
実施の形態2では、検査機関から医療機関に照合結果をまとめて報告する構成について説明する。なお、検査システムの全体構成、サーバ装置100及びクライアント装置200の内部構成については、実施の形態1と同様であるから、その説明を省略することとする。
【0063】
図11は実施の形態2に係るサーバ装置100が備える照合結果データベース102Cの一例を示す概念図である。照合結果データベース102Cは、例えば、サーバ装置100の記憶部102に設けられる。サーバ装置100の制御部101は、検査項目情報の照合を行った場合、照合結果データベース102Cに照合結果を登録する。図11に示す照合結果データベース102Cでは、医療機関毎に、院内コード、要覧コード(検査項目コード)、院内名称、院内基準値、基幹基準値、照合結果、及びコメントを関連付けて記憶する。
【0064】
照合結果データベース102Cに登録される情報のうち、院内コード、院内名称、院内基準値は、それぞれ医療機関からの検査項目情報に含まれる検査依頼コード、検査名称、基準値に該当する。図11の例では、院内基準値として、男女別の下限値及び上限値を登録した状態を示しているが、男女共通の基準値が登録されてもよい。
【0065】
また、照合結果データベース102Cに登録される情報のうち、要覧コード、基幹基準値は、それぞれ検査機関の検査項目コード、基準値に該当する。図11の例では、検査機関側の基準値として、男女別又は男女共通の基準値の範囲を登録した状態を示している。照合結果はサーバ装置100による照合判定の結果を示し、コメントは照合結果に対する注釈などの情報を含む。照合結果データベース102Cには、検査機関の基準値と医療機関の基準値とが不一致となったケースのみが登録されてもよく、一致/不一致に関わらず登録されてもよい。また、検査機関では基準値が設定されているにも関わらず、医療機関では基準値が設定されていない場合、要確認との照合結果が照合結果データベース102Cに登録されてもよい。更に、検査項目及び単位について一致/不一致の照合結果が照合結果データベース102Cに登録されてもよい。
【0066】
サーバ装置100は、定期的なタイミングや外部から指示を受付けたタイミング等の適宜のタイミングにおいて、照合結果データベース102Cの登録情報を参照して、照合結果のサマリーを作成し、医療機関のクライアント装置200に通知してもよい。このような照合結果のサマリーは医療機関毎に作成されるとよい。
【0067】
図12は照合結果サマリーの一例を示す図である。図12の例では、検査項目情報の照合により、不一致又は要確認となった項目名、単位、基準値の数をサマリーとして示している。ここで、不一致は、検査機関の検査項目情報と、医療機関の検査項目情報との間で一致しなかったことを示し、要確認は、医療機関の検査項目情報に登録がなかったことを示している。図12に示すサマリーには、登録内容の確認を促すための文書が添付されている。
【0068】
以上のように、実施の形態2に係るサーバ装置100は、医療機関毎に照合結果を蓄積し、適宜のタイミングにてサマリーとして作成することができる。医療機関は、サーバ装置100にて作成されるサマリーを参照することにより、院内マスタ202Aの登録情報をまとめて修正することができる。
【0069】
(実施の形態3)
実施の形態3では、照合結果に基づき、院内マスタ202Aの修正案を医療機関の担当者に提示する構成について説明する。
なお、検査システムの全体構成、サーバ装置100及びクライアント装置200の内部構成については、実施の形態1と同様であるから、その説明を省略することとする。
【0070】
実施の形態3に係るクライアント装置200は、サーバ装置100から照合結果に基づく修正情報を取り込み、取り込んだ修正情報を反映させることによって、院内マスタ202Aを修正する。
【0071】
図13は修正情報の取込画面20の一例を示す模式図である。図13に示す取込画面20は、修正情報の表示欄21、インポートボタン22、エクスポートボタン23、適用ボタン24を備える。このような取込画面20は、クライアント装置200の操作部204にて所定の操作を受付けた場合、表示部205に表示されるように構成される。
【0072】
取込画面20においてインポートボタン22が押下操作された場合、クライアント装置200は、照合結果に基づく修正情報をサーバ装置100から取り込み、取込画面20の表示欄21に表示させる。図13に示す表示例では、院内コード、要覧コード、院内名称、院内基準値、院内基準値に対する修正案、基幹基準値、照合結果、及び照合結果に対するコメントが表示欄21に表示されている。このような修正情報は、上述したような照合結果データベース102Cを参照することによって生成される。
【0073】
表示欄21の左端にはレコード毎にチェックボックスが設けられている。適用ボタン24が押下操作された場合、クライアント装置200は、表示欄21に表示された修正情報のうち、チェックボックスがチェックされたレコードの修正案に基づいて、院内マスタ202Aを修正する。また、エクスポートボタン23が押下操作された場合、クライアント装置200は、表示欄21に表示された修正情報をCSV(Comma Separated Values)等のファイルに出力する。
【0074】
以下、実施の形態3に係るクライアント装置200の動作について説明する。
図14は実施の形態3に係るクライアント装置200が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。クライアント装置200の制御部201は、操作部204を通じて所定の操作を受付けた場合、修正情報の取込画面20を表示部205に表示させる(ステップS301)。
【0075】
取込画面20にてインポートボタン22が押下操作された場合、制御部201は、サーバ装置100にアクセスし、照合結果に基づく修正情報を取り込む(ステップS302)。このとき、サーバ装置100は、照合結果データベース102Cにアクセスし、修正案を含む修正情報を生成して、クライアント装置200へ送信すればよい。
【0076】
制御部201は、サーバ装置100から取り込んだ修正情報を取込画面20の表示欄21に表示させる(ステップS303)。次いで、制御部201は、修正を反映させるレコードの選択を受付け(ステップS304)、適用ボタン24が押下操作されたか否かを判断する(ステップS305)。適用ボタン24が押下操作されていない場合(S305:NO)、制御部201は、適用ボタン24が押下操作されるまで待機する。
【0077】
適用ボタン24が押下操作された場合(S305:YES)、制御部201は、医療機関の担当者に承認を求める承認画面30を表示させる(ステップS306)。図15は承認画面30の一例を示す模式図である。承認画面30には修正内容を表示する表示欄31、担当者の承認を受付ける承認ボタン32が配置される。制御部201は、承認画面30において承認ボタン32が押下操作された否かを判断することにより、医療機関の担当者が修正を承認したか否かを判断する(ステップS307)。修正が承認されていない場合(S307:NO)、制御部201は、担当者によって承認されるまで待機する。
【0078】
修正が承認された場合(S307:YES)、制御部201は、修正案に従って院内マスタ202Aを修正する(ステップS308)。具体的には、制御部201は、院内マスタ202Aに登録されている検査項目情報を、修正案で示されている検査項目情報に書き換える処理を行えばよい。
【0079】
以上のよう、実施の形態3では、修正を希望するレコードの選択、及び修正を反映させる操作ボタンの操作により、院内マスタ202Aが修正されるので、人手による修正が不要となり、修正ミスを軽減することができる。
【0080】
今回開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
100 サーバ装置
101 制御部
102 記憶部
102A 変換マスタ
102B 項目照合データベース
103 通信部
104 操作部
105 表示部
200 クライアント装置
201 制御部
202 記憶部
202A 院内マスタ
203 通信部
204 操作部
205 表示部
N 通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15