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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】バイオマス燃焼設備
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
F23G5/50 Q
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020177950
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069028
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 滋敏
(72)【発明者】
【氏名】藤平 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】宍田 健一
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202012007390(DE,U1)
【文献】特開2019-178844(JP,A)
【文献】特開昭61-138528(JP,A)
【文献】特開2003-121354(JP,A)
【文献】特開2016-044829(JP,A)
【文献】特開2016-118346(JP,A)
【文献】特開平07-333113(JP,A)
【文献】実開平05-062828(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/00 - 7/14
F23B 40/02
G01N 21/00 - 21/61
G01N 22/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料搬送装置によって搬送されるバイオマス燃料を燃焼炉の燃焼室で燃焼するように構成されるバイオマス燃焼設備であって、
バイオマス燃料に電磁波を照射して当該バイオマス燃料の水分率を計測する非接触式水分計を備え
前記燃料搬送装置は、
バイオマス燃料を収容するケーシングと、
前記ケーシングに設けられた開口部に装着される電磁波透過部材と、
を備え、
前記電磁波透過部材を通して前記ケーシング内のバイオマス燃料に電磁波が照射されるように構成され、
前記電磁波透過部材における前記ケーシング内のバイオマス燃料に対向する側の表面に沿って圧縮空気を吹き出すエア吹出ノズル、又は前記表面に向けて圧縮空気を吹き出すエア吹出ノズルを備えて構成されるエア吹出装置を備えるバイオマス燃焼設備。
【請求項2】
前記電磁波透過部材は、撥水性を有する請求項1に記載のバイオマス燃焼設備。
【請求項3】
前記燃焼炉は、前記燃料搬送装置から搬送されるバイオマス燃料を前記燃焼室内へと投入する燃料投入機、前記燃焼室内でバイオマス燃料を送る火格子、前記燃焼室内への燃焼空気の供給量を調節する燃焼空気用ダンパ、及び前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調節する再循環排ガス用ダンパのうちの少なくとも一つを有し、
前記非接触式水分計によって計測される水分率に応じて、前記燃料搬送装置によるバイオマス燃料の搬送速度、前記燃料投入機によるバイオマス燃料の投入位置、前記火格子によるバイオマス燃料の送り速度、前記燃焼空気用ダンパによる燃焼空気の供給量、及び前記再循環排ガス用ダンパによる再循環排ガスの供給量のうちの少なくとも一つを調整する燃焼状態制御手段をさらに備える請求項1又は2に記載のバイオマス燃焼設備。
【請求項4】
前記非接触式水分計は、バイオマス燃料を透過した電磁波によってバイオマス燃料の水分率を計測する透過式の非接触式水分計である請求項1~3の何れか一項に記載のバイオマス燃焼設備。
【請求項5】
前記非接触式水分計は、バイオマス燃料を透過し、且つ反射した電磁波によってバイオマス燃料の水分率を計測する反射式の非接触式水分計である請求項1~3の何れか一項に記載のバイオマス燃焼設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料搬送装置によって搬送されるバイオマス燃料を燃焼炉の燃焼室で燃焼するバイオマス燃焼設備、及びバイオマス燃焼方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギー資源の一つとして、バイオマス燃料が注目されている。バイオマス燃料をバイオマス燃焼設備において発電用燃料として利用することにより、化石燃料を用いる場合よりも二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【0003】
バイオマス燃焼設備において、燃焼するバイオマス燃料の水分量が多い場合、燃焼が不安定になる。そこで、バイオマス燃料を乾燥室で乾燥し、乾燥したバイオマス燃料を、乾燥室と仕切壁を隔てて配設される燃焼室で燃焼するようにしたバイオマス焼却システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1に係るバイオマス焼却システムにおいては、乾燥室から外部に排出される乾燥排ガスの蒸気流量を計測し、この計測値に基づいて、乾燥室内のバイオマス燃料の水分量が、水分量の基準範囲の上限値よりも大きい値か上限値以下の値であるかを判定し、かかる判定結果に基づいて、バイオマス燃焼炉における乾燥室及び燃焼室の温度を調節するようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-187199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係るバイオマス焼却システムでは、バイオマス燃焼炉に供給された後のバイオマス燃料に対する乾燥室での乾燥の結果生じた乾燥排ガスの蒸気流量の計測値に基づいて、乾燥室及び燃焼室の温度調節が行われている。このため、乾燥室及び燃焼室の温度を、バイオマス燃焼炉に供給される前のバイオマス燃料の実際の水分量に見合った温度に正確に調節することができず、燃焼運転を安定化させることができない虞がある。また、特許文献1に係るバイオマス焼却システムで行われる温度調節では、後追い型の温度調節となり、バイオマス燃焼炉に供給されるバイオマス燃料の性状(水分率)が急に変動した場合に遅れることなく即座に温度調節量を変化させることができず、燃焼運転を安定化させることができない虞がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、燃焼炉で燃焼する前のバイオマス燃料の水分率を正確に計測することができ、これによって燃焼運転を安定化させることができるバイオマス燃焼設備、及びバイオマス燃焼方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係るバイオマス燃焼設備の特徴構成は、
燃料搬送装置によって搬送されるバイオマス燃料を燃焼炉の燃焼室で燃焼するように構成されるバイオマス燃焼設備であって、
バイオマス燃料に電磁波を照射して当該バイオマス燃料の水分率を計測する非接触式水分計を備えることにある。
【0009】
本構成のバイオマス燃焼設備によれば、燃料搬送装置によって搬送されるバイオマス燃料に電磁波が照射されて当該バイオマス燃料の水分率が非接触式水分計によって計測されるので、燃焼炉で燃焼する前のバイオマス燃料の水分率を正確に計測することができる。従って、非接触式水分計による水分率の計測値に基づいて、燃焼炉でのバイオマス燃料の燃焼を制御するようにすれば、燃焼運転を安定化させることが可能となる。
【0010】
本発明に係るバイオマス燃焼設備において、
前記燃料搬送装置は、
バイオマス燃料を収容するケーシングと、
前記ケーシングに設けられた開口部に装着される電磁波透過部材と、
を備え、
前記電磁波透過部材を通して前記ケーシング内のバイオマス燃料に電磁波が照射されるように構成されていることが好ましい。
【0011】
本構成のバイオマス燃焼設備によれば、搬送されるバイオマス燃料を収容するケーシングに開口部が設けられ、この開口部に装着される電磁波透過部材を通してケーシング内のバイオマス燃料に電磁波が照射されるように構成されている。このような構成により、バイオマス燃料の搬送中にそのバイオマス燃料から舞い上がった粉塵等が、非接触式水分計における電磁波の発信部及び受信部に付着するのを電磁波透過部材によって防ぐことができる。従って、電磁波の発信・受信不良を未然に防ぐことができ、正確な計測値を長期に亘って安定的に得ることができる。
【0012】
本発明に係るバイオマス燃焼設備において、
前記電磁波透過部材における前記ケーシング内のバイオマス燃料に対向する側の表面に結露が発生するのを防止する結露防止手段を備えることが好ましい。
【0013】
本構成のバイオマス燃焼設備によれば、電磁波透過部材におけるケーシング内のバイオマス燃料に対向する側の表面に結露が発生するのを結露防止手段によって防止することができるので、水滴の影響に起因する計測誤差が生じるのを未然に防ぐことができる。
【0014】
本発明に係るバイオマス燃焼設備において、
前記電磁波透過部材における前記ケーシング内のバイオマス燃料に対向する側の表面に付着した水滴を除去する水滴除去手段を備えることが好ましい。
【0015】
本構成のバイオマス燃焼設備によれば、電磁波透過部材におけるケーシング内のバイオマス燃料に対向する側の表面に、バイオマス燃料に含まれる水分に由来する水滴が付着したとしても、水滴付着防止手段によってその水滴を除去することができる。従って、水滴の影響に起因する計測誤差が生じるのを未然に防ぐことができる。
【0016】
本発明に係るバイオマス燃焼設備において、
前記電磁波透過部材は、撥水性を有することが好ましい。
【0017】
本構成のバイオマス燃焼設備によれば、電磁波透過部材は、撥水性を有する。これにより、電磁波透過部材におけるケーシング内のバイオマス燃料に対向する側の表面に結露が生じたとしても、水滴となって直ちに弾かれて、そのまま電磁波透過部材の表面に付着するのを抑制することができる。従って、水滴の影響に起因する計測誤差を抑制することができる。
【0018】
本発明に係るバイオマス燃焼設備において、
前記燃焼炉は、前記燃料搬送装置から搬送されるバイオマス燃料を前記燃焼室内へと投入する燃料投入機、前記燃焼室内でバイオマス燃料を送る火格子、前記燃焼室内への燃焼空気の供給量を調節する燃焼空気用ダンパ、及び前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調節する再循環排ガス用ダンパのうちの少なくとも一つを有し、
前記非接触式水分計によって計測される水分率に応じて、前記燃料搬送装置によるバイオマス燃料の搬送速度、前記燃料投入機によるバイオマス燃料の投入位置、前記火格子によるバイオマス燃料の送り速度、前記燃焼空気用ダンパによる燃焼空気の供給量、及び前記再循環排ガス用ダンパによる再循環排ガスの供給量のうちの少なくとも一つを調整する燃焼状態制御手段をさらに備えることが好ましい。
【0019】
本構成のバイオマス燃焼設備によれば、燃焼炉は、燃料搬送装置から搬送されるバイオマス燃料を燃焼室内へと投入する燃料投入機、燃焼室内でバイオマス燃料を送る火格子、燃焼室内への燃焼空気の供給量を調節する燃焼空気用ダンパ、及び燃焼室への再循環排ガスの供給量を調節する再循環排ガス用ダンパのうちの少なくとも一つを有している。燃料搬送装置から燃焼炉へと搬送されたバイオマス燃料は、燃料投入機によって燃焼室内へと投入され、燃焼室内において燃焼空気の供給を受けながら火格子により送られて燃焼し、必要に応じて再循環排ガスが燃焼室内へと供給される。そして、燃焼状態制御手段は、非接触式水分計によって計測される水分率に応じて、燃料搬送装置によるバイオマス燃料の搬送速度、燃料投入機によるバイオマス燃料の投入位置、火格子によるバイオマス燃料の送り速度、燃焼空気用ダンパによる燃焼空気の供給量、及び再循環排ガス用ダンパによる再循環排ガスの供給量のうちの少なくとも一つを調整する。これにより、燃焼運転を確実に安定化させることができる。
【0020】
本発明に係るバイオマス燃焼設備において、
前記非接触式水分計は、バイオマス燃料を透過した電磁波によってバイオマス燃料の水分率を計測する透過式の非接触式水分計であることが好ましい。
【0021】
本構成のバイオマス燃焼設備によれば、バイオマス燃料を透過した電磁波によってバイオマス燃料の水分率を計測する透過式の非接触式水分計を採用することにより、バイオマス燃料との間に空気層が存在したとしても、バイオマス燃料の水分率を正確に計測することができる。
【0022】
本発明に係るバイオマス燃焼設備において、
前記非接触式水分計は、バイオマス燃料を透過し、且つ反射した電磁波によってバイオマス燃料の水分率を計測する反射式の非接触式水分計であることが好ましい。
【0023】
本構成のバイオマス燃焼設備によれば、バイオマス燃料を透過し、且つ反射した電磁波によってバイオマス燃料の水分率を計測する反射式の非接触式水分計を採用することにより、電磁波を受信するためだけの受信部を別途設ける必要がなくなるため、構造をより簡素化することができる。
【0024】
次に、上記課題を解決するための本発明に係るバイオマス燃焼方法の特徴構成は、
燃料搬送装置によって搬送されるバイオマス燃料を燃焼炉の燃焼室で燃焼するバイオマス燃焼方法であって、
バイオマス燃料に電磁波を照射して当該バイオマス燃料の水分率を計測する水分率計測工程を包含することにある。
【0025】
本構成のバイオマス燃焼方法によれば、燃料搬送装置によって搬送されるバイオマス燃料に電磁波を照射して当該バイオマス燃料の水分率を計測する水分率計測工程を包含する。これにより、燃焼炉で燃焼する前のバイオマス燃料の水分率を正確に計測することができる。従って、水分率計測工程において得られる水分率の計測値に基づいて、燃焼炉でのバイオマス燃料の燃焼を制御するようにすれば、燃焼運転を安定化させることが可能となる。
【0026】
本発明に係るバイオマス燃焼方法において、
前記燃焼炉は、前記燃料搬送装置から搬送されるバイオマス燃料を前記燃焼室内へと投入する燃料投入機、前記燃焼室内でバイオマス燃料を送る火格子、前記燃焼室内への燃焼空気の供給量を調節する燃焼空気用ダンパ、及び前記燃焼室内への再循環排ガスの供給量を調節する再循環排ガス用ダンパのうちの少なくとも一つを有し、
前記水分率計測工程において計測される水分率に応じて、前記燃料搬送装置によるバイオマス燃料の搬送速度、前記燃料投入機によるバイオマス燃料の投入位置、前記火格子によるバイオマス燃料の送り速度、前記燃焼空気用ダンパによる燃焼空気の供給量、及び前記再循環排ガス用ダンパによる再循環排ガスの供給量のうちの少なくとも一つを調整する燃焼状態制御工程をさらに包含することが好ましい。
【0027】
本構成のバイオマス燃焼方法によれば、水分率計測工程において計測される水分率に応じて、燃料搬送装置によるバイオマス燃料の搬送速度、燃料投入機によるバイオマス燃料の投入位置、火格子によるバイオマス燃料の送り速度、燃焼空気用ダンパによる燃焼空気の供給量、及び再循環排ガス用ダンパによる再循環排ガスの供給量のうちの少なくとも一つを調整する燃焼状態制御工程をさらに包含する。これにより、燃焼運転を確実に安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備の概略構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備に設けられた燃料搬送装置の構造を模式的に示し、(a)は一部を破断して示す側面図、(b)は(a)のA-A線切断端面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備に設けられた燃料搬送装置の他の構造を示す模式図である。
図4図4は、燃料搬送装置に装備される結露防止及び水滴除去に関わる機器を例示する図であり、(a)はヒーター、(b)はワイパー装置、(c)及び(d)はエア吹出装置である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備における燃焼制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図6図6は、マイクロ波の振幅位相比と公定法水分率(乾燥重量法)との相関関係を示すグラフである。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備における燃焼制御システムの機能ブロック図である。
図8図8は、本発明のバイオマス燃焼設備の別実施形態を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0030】
<バイオマス燃焼設備の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、バイオマス燃焼設備1は、主として、燃料供給機2、燃料搬送装置3、燃焼炉4、ボイラ5、及びエコノマイザ6を備えている。図示されないバイオマス燃料供給棟に貯留されているバイオマス燃料は、図示されない燃料定量フィーダ等から構成される燃料供給機2、及び後述する非接触式水分計45(48)を具備する燃料搬送装置3を介して燃焼炉4へと搬送され、燃焼炉4で燃焼する。燃焼炉4での燃焼に伴い発生した排ガスは、図示されない誘引ファンの誘引作用により、ボイラ5やエコノマイザ6に送り込まれて熱回収される。その後、排ガスは、減温塔(図示省略)で減温されてバグフィルタ(図示省略)で除塵処理された後に、煙突(図示省略)を介して外部へと放出される。
【0031】
<燃料搬送装置>
図2は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備に設けられた燃料搬送装置の構造を模式的に示し、(a)は一部を破断して示す側面図、(b)は(a)のA-A線切断端面図である。図2(a)に示すように、燃料搬送装置3としては、ベルトコンベア式が採用されている。燃料搬送装置3は、ケーシング11と、ケーシング11内に配設されるベルトコンベア13と、ベルトコンベア13を駆動するベルトコンベア駆動装置15とを備えている。
【0032】
[ケーシング]
ケーシング11は、搬送方向に延びる四角筒状のケーシング本体20を備え、ケーシング本体20の搬送方向上流側端部に、上方に開口された投入口21が設けられ、ケーシング本体20の搬送方向下流側端部に、下方に開口された搬出口22が設けられてなるものである。
【0033】
[ベルトコンベア]
ベルトコンベア13は、駆動輪25、従動輪26及び無端ベルト27を備えている。駆動輪25及び従動輪26は、ケーシング本体20の内部において搬送方向に所定間隔を存して配設されている。無端ベルト27は、駆動輪25及び従動輪26に巻き掛け装着されている。
【0034】
[ベルトコンベア駆動装置]
ベルトコンベア駆動装置15は、駆動モータや駆動モータの回転動力を駆動輪25に伝達する動力伝達機構等を備えて構成されている。ベルトコンベア13においては、ベルトコンベア駆動装置15によって無端ベルト27が周回運動するように駆動され、投入口21を通して無端ベルト27上に落下した図2(a)中記号Mで示すバイオマス燃料を搬出口22へと搬送することができるようになっている。
【0035】
<電磁波透過部材>
図2(b)に示すように、ケーシング本体20は、上下方向に対向配置される天板31及び底板32と、左右方向に対向配置される左側板33及び右側板34とを有している。ケーシング本体20の天板31及び底板32には、無端ベルト27上の図2(b)中記号Mで示すバイオマス燃料を挟んで互いに対向する位置に一対の開口部40が形成されている。各開口部40には、ケーシング本体20の内面と面一となるように板状の電磁波透過部材41が装着されている。電磁波透過部材41は、周波数が300MHzから300GHz程度(波長:1mから1mm程度)の電磁波であるマイクロ波が透過可能な耐食性を有する素材から構成されている。電磁波透過部材41を構成する素材としては、マイクロ波が透過可能で耐食性を有していれば特に限定されるものではないが、耐食性を有する樹脂が好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられ、これらのうち、特に、テフロン(登録商標)の商品名で知られるポリテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。
【0036】
<非接触式水分計>
ケーシング本体20には、当該ケーシング本体20内でベルトコンベア13により搬送されるバイオマス燃料にマイクロ波を照射して当該バイオマス燃料の水分率を計測する透過式の非接触式水分計45が装着されている。透過式の非接触式水分計45を採用することにより、バイオマス燃料との間に空気層が存在したとしても、バイオマス燃料の水分率を正確に計測することができる。
【0037】
非接触式水分計45は、マイクロ波発信部45aと、マイクロ波受信部45bと、後述する水分率算出部161(図7参照)とを有している。マイクロ波発信部45aは、ケーシング本体20の天板31に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。マイクロ波受信部45bは、ケーシング本体20の底板32に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。マイクロ波発信部45aから発信されたマイクロ波は、ケーシング本体20の天板31に装着された電磁波透過部材41を通して無端ベルト27上の図2(b)中記号Mで示すバイオマス燃料に照射される。照射されたマイクロ波は、無端ベルト27上のバイオマス燃料を透過するとともに、無端ベルト27を透過し、ケーシング本体20の底板32に装着された電磁波透過部材41を通してマイクロ波受信部45bに受信される。水分率算出部161(図7参照)は、マイクロ波受信部45bで受信されたマイクロ波に基づいて、無端ベルト27によって搬送されるバイオマス燃料の水分率を算出する。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備に設けられた燃料搬送装置の他の構造を示す模式図である。図2(a)及び(b)に示すような燃料搬送装置3の構造に限定されるものではなく、図3(a)~(c)に示すような燃料搬送装置3の構造を採用してもよい。なお、以下の図3(a)~(c)に示す燃料搬送装置3の構造の説明において、図2(a)及び(b)に示す燃料搬送装置3の構造と同一又は同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては、図2(a)及び(b)に示す燃料搬送装置3の構造と異なる部分を中心に説明することとする。
【0039】
図3(a)に示す燃料搬送装置3おいては、ケーシング本体20内で無端ベルト27によって搬送される図3(a)中記号Mで示すバイオマス燃料を透過し、且つ反射した電磁波によってバイオマス燃料の水分率を計測する反射式の非接触式水分計48が採用されている。非接触式水分計48は、マイクロ波発信部及びマイクロ波受信部の機能を兼ね備えたマイクロ波発信・受信部48aと水分率算出部161(図7参照)とを有している。ケーシング本体20の天板31には、無端ベルト27上の図3(a)中記号Mで示すバイオマス燃料の上方に位置するように開口部40が形成されている。開口部40には、ケーシング本体20の内面と面一となるように板状の電磁波透過部材41が装着されている。マイクロ波発信・受信部48aは、ケーシング本体20の天板31に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。マイクロ波発信・受信部48aから発信されたマイクロ波は、ケーシング本体20の天板31に装着された電磁波透過部材41を通して無端ベルト27上の図3(a)中記号Mで示すバイオマス燃料に照射される。照射されたマイクロ波は、無端ベルト27上のバイオマス燃料を透過し、バイオマス燃料と無端ベルト27との境界で反射し、無端ベルト27上のバイオマス燃料を再度通過して、マイクロ波発信・受信部48aに受信される。水分率算出部161(図7参照)は、マイクロ波発信・受信部48aで受信されたマイクロ波に基づいて、無端ベルト27上のバイオマス燃料の水分率を算出する。反射式の非接触式水分計48を採用することにより、図2(a)及び(b)に示す燃料搬送装置3において設けられているマイクロ波受信部45bを別途設ける必要がなくなるため、底板32に開口部40や電磁波透過部材41等を設けなくて済み、構造をより簡素化することができる。
【0040】
図3(b)に示す燃料搬送装置3において、ケーシング本体20の上部は開放されている。一対の開口部40は、無端ベルト27上の図3(b)中記号Mで示すバイオマス燃料を挟んで互いに対向するようにケーシング本体20の左側板33及び右側板34に形成されている。各開口部40には、ケーシング本体20の内面と面一となるように板状の電磁波透過部材41が装着されている。マイクロ波発信部45aは、ケーシング本体20の左側板33に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。マイクロ波受信部45bは、ケーシング本体20の右側板34に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。マイクロ波発信部45aから発信されたマイクロ波は、ケーシング本体20の左側板33に装着された電磁波透過部材41を通して無端ベルト27上の図3(b)中記号Mで示すバイオマス燃料に照射される。照射されたマイクロ波は、無端ベルト27上のバイオマス燃料を透過し、ケーシング本体20の右側板34に装着された電磁波透過部材41を通してマイクロ波受信部45bに受信される。水分率算出部161(図7参照)は、マイクロ波受信部45bで受信されたマイクロ波に基づいて、無端ベルト27によって搬送されるバイオマス燃料の水分率を算出する。
【0041】
図3(c)に示す燃料搬送装置3においても、ケーシング本体20の上部は開放されている。図3(c)に示す燃料搬送装置3では、反射式の非接触式水分計48が採用されている。開口部40は、ベルトコンベア上の図3(c)中記号Mで示すバイオマス燃料に対向するようにケーシング本体20の右側板34に形成されている。開口部40には、ケーシング本体20の内面と面一となるように板状の電磁波透過部材41が装着されている。マイクロ波発信・受信部48aは、ケーシング本体20の右側板34に装着された電磁波透過部材41の背面側に配設されている。マイクロ波発信・受信部48aから発信されたマイクロ波は、ケーシング本体20の右側板34に装着された電磁波透過部材41を通して無端ベルト27上の図3(c)中記号Mで示すバイオマス燃料に照射される。照射されたマイクロ波は、無端ベルト27上のバイオマス燃料を透過し、ケーシング本体20の左側板33で反射し、無端ベルト27上のバイオマス燃料を再度通過して、マイクロ波発信・受信部48aに受信される。水分率算出部161(図7参照)は、マイクロ波発信・受信部48aで受信されたマイクロ波に基づいて、無端ベルト27上のバイオマス燃料の水分率を算出する。
【0042】
なお、図2(a)及び(b)に示す燃料搬送装置3において、マイクロ波発信部45aとマイクロ波受信部45bとの配置を上下方向に入れ替えてもよい。図3(a)に示す燃料搬送装置3において、電磁波透過部材41及びマイクロ波発信・受信部48aを、ケーシング本体の底板32に配置してもよい。図3(b)に示す燃料搬送装置3において、マイクロ波発信部45aとマイクロ波受信部45bとの配置を左右方向に入れ替えてもよい。図3(c)に示す燃料搬送装置3において、電磁波透過部材41及びマイクロ波発信・受信部48aを、ケーシング本体の左側板33に配置してもよい。
【0043】
図4は、燃料搬送装置に装備される結露防止及び水滴除去に関わる機器を例示する図であり、(a)はヒーター、(b)はワイパー装置、(c)及び(d)はエア吹出装置である。以下においては、ケーシング本体20の天板31に装着される電磁波透過部材41の結露防止及び水滴除去に関わる機器を代表例として説明するが、ケーシング本体20の底板32に装着される電磁波透過部材41(図2(b)参照)や、左側板33に装着される電磁波透過部材41(図3(b)参照)、右側板34に装着される電磁波透過部材41(図3(b)及び(c)参照)についても、同様に結露防止及び水滴除去に関わる機器を適用することができる。
【0044】
<ヒーター>
図4(a)に示すヒーター51は、電磁波透過部材41におけるケーシング11(ケーシング本体20)内のバイオマス燃料に対向する側の表面41aに結露が発生するのを防止する結露防止手段、及び電磁波透過部材41の表面41aに付着した水滴を除去する水滴除去手段として機能する。ヒーター51は、電磁波透過部材41におけるマイクロ波が通過しない領域に貼着又は組み込まれる電熱線52を備え、図示されない電源ユニットの電熱線52に対する通電を制御することにより、電磁波透過部材41の表面を露点より高い温度に保って結露が発生するのを防止したり、電磁波透過部材41の表面に水滴が付着したときに、水滴を乾燥させて除去したりすることができるように構成されている。
【0045】
<ワイパー装置>
図4(b)に示すように、ケーシング本体20の天板31には、ワイパー装置55が付設されている。ワイパー装置55は、電磁波透過部材41の表面41aに付着した水滴を除去する水滴除去手段として機能する。ワイパー装置55は、ケーシング本体20の天板31の内側面に取り付けられる装置本体56と、電磁波透過部材41の表面41aに沿って揺動自在に装置本体56に取り付けられる払拭部材57とを備え、装置本体56に内蔵された電動モータ(図示省略)の作動により払拭部材57を揺動駆動することにより、電磁波透過部材41の表面41aに付着した水滴を払拭部材57で払拭できるように構成されている。
【0046】
<エア吹出装置>
図4(c)及び(d)に示すように、ケーシング本体20の天板31には、エア吹出装置61,61´が付設されている。エア吹出装置61,61´は、電磁波透過部材41の表面41aに結露が発生するのを防止する結露防止手段、及び電磁波透過部材41の表面41aに付着した水滴を除去する水滴除去手段として機能する。
【0047】
図4(c)に示すエア吹出装置61は、図示されない圧縮エア供給源からの圧縮空気を電磁波透過部材41の表面41aに沿って吹き出すエア吹出ノズル62を備えて構成されている。エア吹出装置61においては、バイオマス燃料由来の水蒸気が電磁波透過部材41の表面近傍に滞留しないように、エア吹出ノズル62から圧縮空気を常時吹き出して電磁波透過部材41の表面41aに沿ってエアカーテンを形成することにより、電磁波透過部材41の表面41aに結露が発生するのを防止することができる。また、エア吹出装置61においては、電磁波透過部材41の表面41aに水滴が付着したときに、エア吹出ノズル62から圧縮空気を吹き出すことにより、電磁波透過部材41の表面41aに付着した水滴を吹き飛ばして除去することができる。
【0048】
図4(d)に示すエア吹出装置61´は、図示されない圧縮エア供給源からの圧縮空気を電磁波透過部材41の表面41aに向けて吹き出すエア吹出ノズル62´を備えて構成されている。エア吹出装置61´においては、エア吹出ノズル62´から圧縮空気を電磁波透過部材41の表面41aに向けて直接的に吹き出すことにより、電磁波透過部材41の表面41aに結露が発生するのを防止することができる。また、エア吹出装置61´においては、電磁波透過部材41の表面41aに水滴が付着したときに、エア吹出ノズル62´から圧縮空気を電磁波透過部材41の表面41aに向けて直接的に吹き出すことにより、電磁波透過部材41の表面41aに付着した水滴を確実に吹き飛ばして除去することができる。
【0049】
図4(a)~(d)に示す結露防止及び水滴除去に関わる機器のうちから一又は複数を適宜に選択して採用することにより、水滴の影響に起因する水分率の計測誤差が生じるのを未然に防ぐことができる。
【0050】
<撥水加工>
図2(b)において、電磁波透過部材41における表面41aの近傍部分の拡大図に示すように、電磁波透過部材41の表面41aには、撥水加工が施されるのが好ましい。撥水加工としては、例えば、電磁波透過部材41の表面41aに、フッ素樹脂やシリコーン等による被膜65を形成することが挙げられる。このように、電磁波透過部材41の表面41aに撥水加工を施すことで電磁波透過部材41が撥水性を備えることにより、電磁波透過部材41の表面41aに結露が生じたとしても、水滴となって直ちに弾かれて、そのまま電磁波透過部材41の表面41aに付着するのを抑制することができる。また、電磁波透過部材41の表面41aに水滴が付着していても、撥水加工の効果により、水滴の付着力は弱いため、ワイパー装置55やエア吹出装置61,61´を用いて容易、且つ確実に水滴を除去することができる。従って、水滴の影響に起因する計測誤差を抑制することができる。
【0051】
<燃焼炉>
図1に示すように、燃焼炉4は、一次燃焼室71及び二次燃焼室72を有する炉本体70を備えている。炉本体70の一側(図1において左側)には、炉本体70内にバイオマス燃料を投入するための燃料投入機75が配設されるとともに、炉本体70内にバイオマス燃料よりも発熱量が高い補助燃料を供給するための補助燃料供給装置76が配設されている。炉本体70の下部側には、トラベリングストーカ80が配設されるとともに、トラベリングストーカ80に一次燃焼空気を供給するための一次燃焼空気供給装置91が配設されている。燃焼炉4において、二次燃焼室72には、二次燃焼空気供給装置92によって二次燃焼空気が供給されるようになっている。また、燃焼炉4において、炉本体70には、再循環排ガス供給装置93によって再循環排ガスが供給されるようになっている。
【0052】
<燃料投入機>
燃料投入機75は、投入機本体77と放射ノズル78とを備えている。投入機本体77には、燃料搬送装置3の搬出口22から搬出されるバイオマス燃料が導入されるとともに、二次燃焼空気供給装置92からの二次燃焼空気の一部が導入される。燃料投入機75においては、投入機本体77内に導入されたバイオマス燃料を、二次燃焼空気を利用してその二次燃焼空気と共に放射ノズル78から放射することにより、炉本体70内にバイオマス燃料を投入することができるようになっている。燃料投入機75においては、投入機本体77内に導入される二次燃焼空気供給装置92からの二次燃焼空気の流量が可変に構成されている。このような構成により、炉本体70内にバイオマス燃料を投入するときの放射速度を調節することができる。また、燃料投入機75においては、放射ノズル78の放射角度が可変に構成されている。このような構成により、炉本体70内にバイオマス燃料を投入するときの放射角度を調節することができる。こうして、炉本体70内にバイオマス燃料を投入するときの放射速度と放射角度とを調節することにより、トラベリングストーカ80に対するバイオマス燃料の投入位置を調整することができる。
【0053】
<トラベリングストーカ>
トラベリングストーカ80は、炉本体70内において図1中記号Mで示すバイオマス燃料を移動させる方向に所定間隔を存して配される駆動輪81及び従動輪82に、複数の火格子を互いに回動自在に環状に連結してなる環状火格子体83を巻き掛け装着して構成されている。トラベリングストーカ80には、トラベリングストーカ80を駆動するストーカ駆動装置85が付設されている。ストーカ駆動装置85は、駆動モータや駆動モータの回転動力を駆動輪81に伝達する動力伝達機構等を備えて構成されている。
【0054】
トラベリングストーカ80は、燃料投入機75によって炉本体70の他側(図1において右側)に向けて投入された図1中記号M´で示すバイオマス燃料を環状火格子体83で受け止めることができるように炉本体70内に配置されている。トラベリングストーカ80においては、ストーカ駆動装置85によって環状火格子体83が周回運動するように駆動され、環状火格子体83で受け止めた燃料投入機75からのバイオマス燃料を、炉本体70の一側(図1において左側)へと移動させながら環状火格子体83上で燃焼させ、燃焼によって生じた主灰を炉本体70の一側下部に設けられた主灰排出口86へと搬送することができるようになっている。
【0055】
炉本体70におけるトラベリングストーカ80の下方側には、風箱87が付設されている。そして、一次燃焼空気供給装置91からの一次燃焼空気が、風箱87を介してトラベリングストーカ80に供給される。
【0056】
<一次燃焼空気供給装置>
一次燃焼空気供給装置91は、一次燃焼空気を送り出す送風機111と、送風機111からの一次燃焼空気を風箱87に導く管路112とを備え、送風機111からの一次燃焼空気を、管路112を介して風箱87へと供給することができるように構成されている。管路112には、流量調節ダンパ装置113が介設されている。
【0057】
<二次燃焼空気供給装置>
二次燃焼空気供給装置92は、二次燃焼空気を送り出す送風機121と、送風機121からの二次燃焼空気が流通される主管路122と、主管路122から分岐する第一分岐管路122a及び第二分岐管路122bとを備えている。第一分岐管路122aは、炉本体70の一側(図1において左側)から燃料投入機75を介して炉本体70内の二次燃焼室72に通じている。第二分岐管路122bは、炉本体70の他側(図1において右側)から炉本体70内の二次燃焼室72に通じている。二次燃焼空気供給装置92においては、送風機121からの二次燃焼空気を、主管路122、第一分岐管路122a及び第二分岐管路122bを介して二次燃焼室72内に供給することができるように構成されている。
【0058】
主管路122には、主流量調節ダンパ装置123が介設されている。また、第一分岐管路122a及び第二分岐管路122bには、それぞれ第一流量調節ダンパ装置124及び第二流量調節ダンパ装置125が介設されている。
【0059】
<再循環排ガス供給装置>
再循環排ガス供給装置93は、煙突(図示省略)から大気中へ排出される低温の排ガスの一部を再循環排ガスとして送り出す送風機131と、この送風機131からの再循環排ガスを炉本体70内へと導く管路132とを備え、送風機131からの再循環排ガスを、管路132を通して炉本体70内に供給することができるように構成されている。管路132には、流量調節ダンパ装置133が介設されている。
【0060】
図5は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備における燃焼制御システムの概略構成を示すブロック図である。バイオマス燃焼設備1は、図5に示すような燃焼制御システム150を備えている。この燃焼制御システム150は、CPU151aやメモリ151b、I/Oポート151c等を内蔵するマイクロコンピュータを主体に構成される制御装置151と、制御装置151に信号伝達可能に接続される各種機器152とを備えて構成されている。各種機器152としては、コンベア駆動装置15、非接触式水分計45,48、燃料投入機75、補助燃料供給装置76、ストーカ駆動装置85、一次燃焼空気供給に関わる流量調節ダンパ装置113、二次燃焼空気供給に関わる流量調節ダンパ装置123~125、再循環排ガス供給に関わる流量調節ダンパ装置133等が挙げられる。
【0061】
制御装置151において、メモリ151bには、各種機器152を制御するのに必要な所定プログラム等や、マイクロ波発信部45a,105a(マイクロ波発信・受信部48a,108a)から発信されたマイクロ波に対するマイクロ波受信部45b,105b(マイクロ波発信・受信部48a,108a)で受信されたマイクロ波に関する、図6に示すような、振幅と位相との比(振幅位相比)と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ、その他、燃焼制御等に必要なデータ等が記憶されている。制御装置151においては、メモリ151bに格納されている所定プログラム等や各種データ等をCPU151aが読み込んで所定の処理を実行することにより、図7の機能ブロック図に示すような各種機能部の機能が発揮される。
【0062】
図7は、本発明の一実施形態に係るバイオマス燃焼設備における燃焼制御システムの機能ブロック図である。図7の機能ブロック図に示される制御装置151の各種機能部としては、水分率算出部161、コンベア制御部162、燃料制御部163、ストーカ制御部164、ダンパ制御部165、及び記憶部166が挙げられる。
【0063】
透過式の非接触式水分計45が用いられている場合、水分率算出部161は、予め記憶部166に記憶されている、マイクロ波発信部45aから発信されたマイクロ波に対するマイクロ波受信部45bで受信されたマイクロ波に関する、振幅位相比と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ(図6参照)を記憶部166から読み出し、読み出したデータと、マイクロ波受信部45bで受信されたマイクロ波とに基づいて、バイオマス燃料の水分率を算出する。
【0064】
反射式の非接触式水分計48が用いられている場合、水分率算出部161は、予め記憶部166に記憶されている、マイクロ波発信・受信部48aから発信されたマイクロ波に対するマイクロ波発信・受信部48aで受信されたマイクロ波に関する、振幅位相比と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ(図6参照)を記憶部166から読み出し、読み出したデータと、マイクロ波発信・受信部48aで受信されたマイクロ波とに基づいて、バイオマス燃料の水分率を算出する。
【0065】
コンベア制御部は、水分率算出部161によって算出された水分率等に基づいて、所定の制御信号をコンベア駆動装置15に送信する。これにより、燃料投入機75に対する燃料搬送装置3によるバイオマス燃料の搬送速度や、搬送タイミング等が制御される。
【0066】
燃料制御部163は、水分率算出部161によって算出された水分率に基づいて、所定の制御信号を燃料投入機75に送信する。これにより、炉本体70内にバイオマス燃料を投入するときの放射速度や放射角度が調節されて、バイオマス燃料の投入位置等が制御される。また、燃料制御部163は、水分率算出部161によって算出された水分率に基づいて、所定の制御信号を補助燃料供給装置76に送信する。これにより、必要に応じて、バイオマス燃料よりも発熱量が大きい補助燃料を炉本体70内に供給することができる。
【0067】
ストーカ制御部164は、水分率算出部161によって算出された水分率に基づいて、所定の制御信号をストーカ駆動装置85に送信する。これにより、トラベリングストーカ80における環状火格子体83によるバイオマス燃料の炉本体70内での移動速度が制御される。
【0068】
ダンパ制御部165は、水分率算出部161によって算出された水分率に基づいて、所定の制御信号を各流量調節ダンパ装置113,123~125,133に送信する。これにより、一次燃焼空気や二次燃焼空気、再循環排ガスの供給量が制御される。
【0069】
記憶部166は、CPU151aが所定の演算処理を行う場合に使用するデータ、例えば、マイクロ波発信部45a,105a(マイクロ波発信・受信部48a,108a)から発信されたマイクロ波に対するマイクロ波受信部45b,105b(マイクロ波発信・受信部48a,108a)で受信されたマイクロ波に関する、振幅位相比と、公定法水分率(乾燥重量法)との正の相関関係のデータ(図6参照)、その他、燃焼制御等に必要なデータ等を保持するストレージとして機能する。
【0070】
以上に述べたように構成されるバイオマス燃焼設備1においては、以下のようにして燃焼炉4での燃焼を制御する。すなわち、燃料搬送装置3において、ケーシング本体20内でベルトコンベア13により搬送されるバイオマス燃料の水分率を非接触式水分計45により計測する(水分率計測工程)。コンベア制御部162、燃料制御部163、ストーカ制御部164及びダンパ制御部165は、バイオマス燃料の水分率の計測結果に基づいて、以下に例示するように、燃焼炉4での燃焼を制御する(燃焼状態制御工程)。
【0071】
例えば、バイオマス燃料の水分率の計測結果から、バイオマス燃料の発熱量の増加傾向を予測できれば、炉本体70内に発熱量の大きいバイオマス燃料が供給される前に、コンベア制御部162は、燃料投入機75に対するバイオマス燃料の搬出量を減じるような所定の制御信号をコンベア駆動装置15に送信し、ベルトコンベア13の搬送速度等を調節して、ベルトコンベア13によるバイオマス燃焼の搬出量を減少させる。これにより、過剰燃焼を抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0072】
例えば、バイオマス燃料の水分率の計測結果から、バイオマス燃料の発熱量の減少傾向を予測できれば、燃料投入機75による炉本体70内へのバイオマス燃料の放射速度等を調節するための所定の制御信号を燃料投入機75に送信する。こうして、燃料投入機75から炉本体70内に投入されたバイオマス燃料が、環状火格子体83における炉本体70の燃焼に適した位置に集中的に落下される。これにより、水分率が高い場合の発熱量の小さいバイオマス燃料が環状火格子体83上において、燃焼が不活発になることを抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0073】
例えば、バイオマス燃料の水分率の計測結果から、バイオマス燃料の発熱量の増加傾向を予測できれば、ストーカ制御部164は、環状火格子体83によるバイオマス燃料の送り速度を調整するための所定の制御信号をストーカ駆動装置に送信する。これにより、環状火格子体83によるバイオマス燃料の送り速度を変化させる。これにより、過剰燃焼を抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0074】
例えば、バイオマス燃料の水分率の計測結果から、バイオマス燃料の発熱量の増加傾向を予測できれば、ダンパ制御部165は、炉本体70内の温度が変化するように再循環排ガスの供給量を調整するための所定の制御信号を流量調節ダンパ装置133に送信し、流量調節ダンパ装置133のダンパ開度を変化させる。これにより、過剰燃焼を抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0075】
例えば、バイオマス燃料の水分率の計測結果から、バイオマス燃料の発熱量の減少傾向を予測できれば、炉本体70内に発熱量の小さいバイオマス燃料が供給される前に、ダンパ制御部165は、燃焼室71、72内の温度が変化するように燃焼空気供給量を調整するための所定の制御信号を各流量調節ダンパ装置113,123~125に送信し、各流量調節ダンパ装置113,123~125のダンパ開度を変化させる。これにより、燃焼が不活発になることを抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0076】
例えば、バイオマス燃料の水分率の計測結果から、バイオマス燃料の発熱量の減少傾向を予測できれば、ストーカ制御部164は、環状火格子体83によるバイオマス燃料の送り速度を調整するための所定の制御信号をストーカ駆動装置85に送信する。これにより、環状火格子体83によるバイオマス燃料の送り速度を変化させる。これにより、燃焼が不活発になることを抑制することができ、燃焼運転を安定化させることができる。
【0077】
なお、上記に例示した燃焼制御を適宜に組み合わせて実施してもよい。
【0078】
以上に述べた燃焼制御により、炉本体70内の温度や排ガス量が安定し、燃焼運転を安定化させることができる。燃焼運転の安定化により、ボイラ5での蒸気発生量が安定するため、熱回収量も安定する。さらに、燃焼運転の安定化により、各種機器への負荷が一定となり、機器の損耗や作動量を低減できる。作動量低減により、動力コストを削減することができる。なお、燃焼制御の自動化とAI(人工知能)の学習機能の活用により、より最適な燃焼運転を実現することができ、運転コストを大幅に削減することが可能となる。
【0079】
また、バイオマス燃焼設備1においては、非接触式水分計45,48を用いて、バイオマス燃料を透過した電磁波に関する振幅位相比と、公定法水分率との相関関係データに基づいて、バイオマス燃料の水分率を計測するようにしている。このような振幅位相比に基づく水分率の計測によれば、燃料搬送装置3によって搬送される測定対象物(バイオマス燃料)の厚みによらず、正確な計測値を得ることができる。
【0080】
以上、本発明のバイオマス燃焼設備について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。具体的な別実施形態は以下のとおりである。
【0081】
図8は、本発明のバイオマス燃焼設備の別実施形態を例示する模式図である。
【0082】
〔別実施形態(1)〕
図8(a)に示す別実施形態(1)においては、二種以上のバイオマス燃料を用い、各々のバイオマス燃料に対応して設置される各々の燃料搬送装置3を介して、各々のバイオマス燃料を別々に燃料投入機75に搬送し、各々の燃料投入機75から炉本体70内にバイオマス燃料を投入するように構成されている。この場合、各々の燃料搬送装置3に配設された非接触式水分計45(48)による計測結果に基づいて、上記に例示したように、燃焼炉4での燃焼が制御される。
【0083】
〔別実施形態(2)〕
図8(b)に示す別実施形態(2)においては、二種以上のバイオマス燃料を用い、各々のバイオマス燃料に対応して設置される各々の燃料搬送装置3で搬送し、各々の燃料搬送装置3と燃料投入機75との間に配設される混合機170で混合した混合バイオマス燃料を燃料投入機75へと搬送するように構成されている。また、別実施形態(2)においては、非接触式水分計45(48)が、混合機170で混合された後の混合バイオマス燃料の水分率を計測するように配設されている。この場合、非接触式水分計45(48)による計測結果に基づいて、混合機170でのバイオマス燃料の混合割合を調節するとともに、混合バイオマス燃料の水分率に応じて、上記に例示したように、燃焼炉4での燃焼が制御される。
【0084】
〔別実施形態(3)〕
図8(c)に示す別実施形態(3)においては、別実施形態(2)と同様に、二種以上のバイオマス燃料を用い、各々のバイオマス燃料に対応して設置される各々の燃料搬送装置3で搬送し、各々の燃料搬送装置3と燃料投入機75との間に配設される混合機170で混合した混合バイオマス燃料を燃料投入機75へと搬送するように構成されている。別実施形態(3)では、各々の燃料搬送装置3に非接触式水分計45(48)が配設されるとともに、混合機170で混合された後の混合バイオマス燃料の水分率を計測するように非接触式水分計45(48)が配設されている。この場合、各々の燃料搬送装置3に配設された非接触式水分計45(48)を用いて混合前の各々のバイオマス燃料の水分率を計測し、その計測結果に基づいて、混合バイオマス燃料の水分率を所望の値とする上で最適な各々のバイオマス燃料の混合割合を算出し、算出した混合割合に応じて各々のバイオマス燃料を混合機170に導入し、導入された各々のバイオマス燃料を混合機170で混合する。このようにすることにより、混合バイオマス燃料の水分率を所望の水分率に近づけることができる。そして、混合バイオマス燃料の実際の水分率を、混合バイオマス燃料の水分率計測用に配設された非接触式水分計45(48)を用いて計測し、その計測結果に基づいて、上記に例示したように、燃焼炉4での燃焼が制御される。
【0085】
〔別実施形態(4)〕
上記実施形態では、燃料搬送装置3として、ベルトコンベア式を採用した例を示したが、これに限定されるものではなく、フライトコンベア式を採用してもよい。フライトコンベア式燃料搬送装置については、図示による詳細説明は省略するが、簡単に説明すると、以下の通りである。フライトコンベア式燃料搬送装置は、上記のケーシング11と同構造のケーシング内にフライトコンベアが配設されて構成されている。フライトコンベアは、搬送方向に所定間隔を存して配設される駆動輪及び従動輪と、これら駆動輪及び従動輪に巻き掛け装着される無端チェーンと、ケーシングの底板に対し近接して移動可能となるように無端チェーンに所定間隔で取り付けられる複数のスクレーパと、駆動輪を駆動する駆動モータとを備えている。このフライトコンベアにおいては、ケーシングの投入口を通してケーシングの底板上にバイオマス燃料が落下されるようになっており、駆動モータの作動にて周回運動するように駆動される無端チェーンに取り付けられたスクレーパによってケーシングの底板上のバイオマス燃料を掻き取ってケーシングの搬出口へと搬送することができるように構成されている。
【0086】
〔別実施形態(5)〕
燃焼炉4について、階段ストーカ式燃焼炉、流動床燃焼炉、循環流動層燃焼炉を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明のバイオマス燃焼設備、及びバイオマス燃焼方法は、例えば、木質系バイオマス燃料、植物系バイオマス燃料、家畜系バイオマス燃料等のバイオマス燃料の燃焼運転を安定化させる用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 バイオマス燃焼設備
3 燃料搬送装置
4 燃焼炉
11 ケーシング
40 開口部
41 電磁波透過部材
45 非接触式水分計(透過式)
48 非接触式水分計(反射式)
51 ヒーター(結露防止手段、水滴除去手段)
55 ワイパー装置(水滴除去手段)
61,61’ エア吹出装置(結露防止手段、水滴除去手段)
65 被膜
71,72 燃焼室
75 燃料投入機
83 環状火格子体
113 流量調節ダンパ装置(一次燃焼空気用ダンパ)
123~125 流量調節ダンパ装置(二次燃焼空気用ダンパ)
133 流量調節ダンパ装置(再循環排ガス用ダンパ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8