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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】制御装置および医療用観察システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20210101AFI20240711BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20240711BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61B 90/20 20160101ALI20240711BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240711BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20240711BHJP
【FI】
G02B7/08 C
A61B1/00 735
A61B1/045 642
A61B10/00 E
A61B90/20
G02B7/04 C
H04N23/67
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020207971
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2021149089
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020046855
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 憲志
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200359(JP,A)
【文献】特開2018-161377(JP,A)
【文献】特開2000-116670(JP,A)
【文献】特開平07-115580(JP,A)
【文献】特開平05-056328(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216302(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0338813(US,A1)
【文献】米国特許第05345538(US,A)
【文献】米国特許第04989253(US,A)
【文献】中国特許出願公開第110461205(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
A61B 1/00
A61B 1/045
A61B 10/00
A61B 90/20
G02B 7/04
H04N 23/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカスレンズを含む光学系と撮像部とを備える撮像装置に対する音声入力による操作指示を取得する取得部と、
前記操作指示が前記フォーカスレンズの動作の停止指示である場合、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記フォーカスレンズの停止時の焦点位置から前記光学系における基準の焦点深度の深さ以下の戻り量だけ戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す制御を行うモードへ移行する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、
音声入力を受け付けるマイクロフォンが生成した音声信号を前記操作指示として取得する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記取得部が取得した前記操作指示の内容を認識する音声認識部をさらに備える請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記戻り量は、前記基準の焦点深度の深さの半分以上である請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記基準の焦点深度は、前記光学系に対して設定可能な倍率のうち、設定可能な範囲の中心の倍率よりも高い倍率に応じた焦点深度である請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記基準の焦点深度は、前記撮像部の撮像時における撮像条件に応じた焦点深度である請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記撮像条件は、前記光学系の倍率である請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記撮像条件は、前記光学系の絞り値である請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記撮像条件に応じた前記基準の焦点深度の深さに基づいて前記戻り量を設定する請求項6に記載の制御装置。
【請求項10】
前記基準の焦点深度の深さは、前記フォーカスレンズの前記停止時の位置における焦点深度の深さである請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記基準の焦点深度の深さは、前記フォーカスレンズの前記停止指示が入力された位置における焦点深度の深さである請求項9に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記モードへ移行した後、前記操作指示として戻りの指示を受け付けた場合、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記戻り量だけ戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記モードへ移行した後、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記戻り量だけ自動的に戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記操作指示が前記フォーカスレンズの動作を停止する内容である場合、前記基準の焦点深度の深さが所定値より小さいとき、前記モードへ移行する請求項1に記載の制御装置。
【請求項15】
フォーカスレンズを含む光学系と撮像部とを備える撮像装置と、
前記撮像装置に対する音声入力による操作指示を取得する取得部と、前記操作指示が前記フォーカスレンズの動作の停止指示である場合、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記フォーカスレンズの停止時の焦点位置から前記光学系における基準の焦点深度の深さ以下の戻り量だけ戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す制御を行うモードへ移行する制御部と、を有する制御装置と、
前記撮像装置が撮像した画像を表示する表示装置と、
を備える医療用観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置および医療用観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
観察対象である患者の脳や心臓等の手術を行う際に術部を拡大して撮像し、撮像した画像をモニタで表示する医療用観察システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この医療用観察システムでは、顕微鏡装置がフォーカス機能を有している。
【0003】
医師等のユーザがフォーカス機能を用いて画像のピントを合わせる場合、ユーザは所定のスイッチを操作する必要がある。この操作の際、ユーザは手術をいったん中断したり姿勢を変えたりしなければならず、効率的であるとはいい難い。そこで、ユーザが音声を入力することによって各種操作を行うことが考えられる。
【0004】
しかしながら、音声入力の場合には、ユーザが発話に要する時間、音声信号を制御装置に伝送する時間、制御装置が発話内容を認識する時間、および動作を完了するまでの時間が必要になり、ユーザが発話したタイミングからの遅延が発生する。このため、例えばユーザが音声入力によってピント合わせをする場合、ユーザが意図した位置にフォーカスレンズが停止せず、ピントが合わなくなる。
【0005】
そこで、ユーザが意図する動作指令タイミングとそのユーザによって実際に与えられる動作指令タイミングとの時間差を考慮して、ユーザが意図する処理を実現する技術を適用することが考えられる(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-42982号公報
【文献】特開2001-175281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2の技術は、処理が煩雑で、システムの負荷が高くなってしまうという問題がある。
【0008】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、音声入力によるフォーカス調整を負荷の少ない簡易な処理によって行うことができる制御装置および医療用観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る制御装置は、フォーカスレンズを含む光学系と撮像部とを備える撮像装置に対する音声入力による操作指示を取得する取得部と、前記操作指示が前記フォーカスレンズの動作の停止指示である場合、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記フォーカスレンズの停止時の焦点位置から前記光学系における基準の焦点深度の深さ以下の戻り量だけ戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す制御を行うモードへ移行する制御部と、を備える。
【0010】
本開示に係る医療用観察システムは、フォーカスレンズを含む光学系と撮像部とを備える撮像装置と、前記撮像装置に対する音声入力による操作指示を取得する取得部と、前記操作指示が前記フォーカスレンズの動作の停止指示である場合、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記フォーカスレンズの停止時の焦点位置から前記光学系における基準の焦点深度の深さ以下の戻り量だけ戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す制御を行うモードへ移行する制御部と、を有する制御装置と、前記撮像装置が撮像した画像を表示する表示装置と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、音声入力によるフォーカス調整を負荷の少ない簡易な処理によって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施の形態1に係る医療用観察システムを模式的に示す図である。
図2A図2Aは、フォーカス動作を停止するまでのフォーカスレンズの焦点位置の動きを模式的に示す図である。
図2B図2Bは、フォーカス動作を停止した後にフォーカスレンズの焦点位置が逆方向へ戻る動きを模式的に示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態1に係る医療用観察システムの機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の実施の形態1に係る制御装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。
図5図5は、本開示の実施の形態2に係る制御装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。
図6図6は、本開示の実施の形態3に係る制御装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施の形態4に係る制御装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る医療用観察システムを模式的に示す図である。図1においては、医療用観察システム1を用いて手術を行う医師等のユーザ101が患者102の頭部の手術をしている状況を示している。図1に示す医療用観察システム1は、医療用観察装置2と、表示装置3と、マイクロフォン4とを備える。
【0015】
医療用観察装置2は手術用顕微鏡であり、顕微鏡装置5と、制御装置6とを備える。顕微鏡装置5は、観察対象を撮像して画像信号を生成する撮像装置としての機能を有する。
【0016】
表示装置3は、制御装置6と無線または有線で通信可能に接続されており、制御装置6から3次元画像信号または2次元画像信号を受信し、3次元画像信号に基づく3次元画像(3D画像)または2次元画像信号に基づく2次元画像(2D画像)を表示する。表示装置3は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)からなる表示パネルを有する。表示装置3は、医療用観察装置2が撮像した患者102の術部の画像を表示する。図1では、表示装置3が3D画像を表示し、ユーザ101が3D眼鏡201をかけて3D画像を目視している状況を模式的に示している。
【0017】
マイクロフォン4は、制御装置6と無線または有線で通信接続されており、ユーザ101の音声入力を受け付けて音声信号を生成し、その音声信号を制御装置6に送信する。
【0018】
顕微鏡装置5の外観構成を説明する。顕微鏡装置5は、観察対象の微細構造を拡大して撮像する顕微鏡部7と、顕微鏡部7を支持する支持部8と、支持部8の基端を保持するとともに制御装置6を内蔵するベース部9とを有する。
【0019】
顕微鏡部7は、円柱状をなす筒状部を有する。本体部の下端部の開口面にはカバーガラスが設けられている(図示せず)。筒状部は、ユーザによって把持可能であり、ユーザが顕微鏡部7の撮像視野を変更する際に把持しながら移動させることが可能な大きさを有している。なお、筒状部の形状は円筒状に限られるわけではなく、多角筒状をなしていてもよい。
【0020】
支持部8は、アーム部に複数のリンクを有し、隣接するリンク同士が関節部を介して回動可能に接続されている。支持部8の内部に形成された中空部には、顕微鏡部7と制御装置6との間で各種信号を伝送する伝送ケーブルおよび制御装置6が発生する照明光を顕微鏡部7に伝送するライトガイドが通っている。
【0021】
制御装置6は、マイクロフォン4が生成する音声信号を取得して、その音声信号の内容を認識する。例えば、顕微鏡装置5のフォーカス動作を指示する表現は、「フォーカスイン」や「フォーカスアウト」であり、顕微鏡装置5のフォーカス動作を停止する表現は、「ストップ」である。制御装置6は、顕微鏡装置5のフォーカス動作を行う際、顕微鏡装置5が有するフォーカスレンズ511(後述)を停止指示に相当する音声入力に応じてフォーカス動作を停止した後に、フォーカスレンズ511の焦点位置がフォーカスレンズ511の停止時の焦点位置から所定の戻り量だけ逆方向へ戻るように、フォーカスレンズ511の位置を戻す戻りモードを設定することが可能である。なお、フォーカス動作を音声で指示する際の上記表現は一例にすぎず、他の表現でも構わない。
【0022】
図2Aおよび図2Bは、戻りモードが設定された場合のフォーカス動作を模式的に説明する図である。図2Aは、フォーカス動作を停止するまでのフォーカスレンズ511の焦点位置の動きを模式的に示している。また、図2Bは、フォーカス動作を停止した後にフォーカスレンズ511の焦点位置が逆方向へ戻る動きを模式的に示している。
【0023】
まず、図2Aについて説明する。ユーザ101は、フォーカス動作を停止する場合、マイクロフォン4に対して「ストップ」と音声入力する。図2Aでは、フォーカスレンズ511を止めたい狙いの焦点位置を目標位置Pとし、フォーカスレンズ511の焦点位置が目標位置Pに位置しているタイミングでユーザ101がマイクロフォン4に「ストップ」と音声入力した場合を示している。制御装置6は、マイクロフォン4から取得した音声信号を認識した後、顕微鏡装置5に対してフォーカス動作の停止を指示する制御信号を送信する。このため、ユーザ101による「ストップ」の入力タイミング(I)とフォーカスレンズ511の停止タイミング(II)との間には時間差があり、フォーカスレンズ511が停止したときの焦点位置(以下、「停止位置」という)Qは目標位置Pから時間差の分だけオーバーランする。図2Aでは、停止位置Qが、フォーカスレンズ511の焦点位置が目標位置Pに位置した場合における所定の倍率の焦点深度(深さL0)の外側に位置している状況を示している。この場合、表示装置3にはピントが合っていない画像が表示される。所定の倍率は、顕微鏡装置5が取り得る範囲の倍率の中心よりも高い倍率である。
【0024】
つぎに、図2Bについて説明する。図2Bは、ユーザ101が停止位置Qで戻りを指示する音声(例えば「ファイン」)をマイクロフォン4に入力した場合のフォーカスレンズ511の焦点位置の動きを模式的に示している。この場合、フォーカスレンズ511は、図2Aの移動方向と逆方向に移動する。その際のフォーカスレンズ511の焦点位置の移動量すなわち戻り量L2は、フォーカスレンズ511が戻った後のフォーカスレンズ511の焦点位置の停止位置Rに位置した場合の焦点深度の深さL1より小さい。戻り量L2が焦点深度の深さL1の半分以上(L2≧L1/2)であれば、戻る回数も少なくて済む。図2Bでは、停止位置Rにおけるフォーカスレンズ511の焦点深度の内側に目標位置Pが入っている。したがって、ユーザ101はこれ以上フォーカスレンズ511を戻さないでよいと判断することができる。なお、ユーザ101が表示装置3を介してこの状況に対応する画像を見たとき、ピントが合っていると判断すればこのまま終了してもよいし、さらに調整が必要であると判断した場合には、ユーザがマイクロフォン4に再度「ファイン」と音声入力してもよい。
【0025】
なお、上述した2つの焦点深度の深さL0とL1が等しい場合には、目標位置Pにおける焦点深度(図2A)内に停止位置Rが位置していれば、図2Bに示す場合と同様の効果を得ることができる。
【0026】
なお、上述した各種動作指示に対応する表現(「フォーカスイン」、「フォーカスアウト」、「ストップ」、「ファイン」)はあくまでも一例であり、他の表現を採用してもよい。
【0027】
図3は、医療用観察システム1の機能構成を示すブロック図である。まず、顕微鏡装置5の機能構成を説明する。顕微鏡装置5は、レンズユニット51と、レンズ駆動部52と、絞り53と、絞り駆動部54と、検出部55と、撮像部56と、アーム駆動部57と、入力部58と、通信部59と、制御部5aとを備える。
【0028】
レンズユニット51は、光軸に沿って移動可能な複数のレンズを用いて構成され、集光した被写体像を撮像部56が有する撮像素子の撮像面に結像する光学系である。レンズユニット51は、焦点を調整するフォーカスレンズ511と、画角を変更するズームレンズ512とを有する。フォーカスレンズ511およびズームレンズ512は、それぞれ1または複数のレンズを用いて構成される。
【0029】
レンズ駆動部52は、制御部5aの制御のもと、フォーカスレンズ511およびズームレンズ512をそれぞれ移動させるアクチュエータと、アクチュエータを駆動するドライバとを有する。
【0030】
絞り53は、レンズユニット51と撮像部56との間に設けられ、制御部5aによる制御の下、レンズユニット51から撮像部56に向かう被写体像の光量を調整する。絞り53は、レンズユニット51とともに顕微鏡装置5の光学系を構成する。
【0031】
絞り駆動部54は、制御部5aの制御のもと、絞り53を動作させて絞り値(F値ともいう)を調整する。
【0032】
検出部55は、フォーカスレンズ511およびズームレンズ512の位置をそれぞれ検出する2つ位置センサと、絞り53の絞り値を検出するエンコーダ等を有する。検出部55は、検出したズームレンズ512の位置や絞り53の絞り値を制御部5aに出力する。
【0033】
撮像部56は、レンズユニット51が集光した被写体像を結像して撮像画像(アナログ信号)を生成する撮像素子と、撮像素子からの画像信号(アナログ信号)に対して、ノイズ除去やA/D変換等の信号処理を行う信号処理部とを有する。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを用いて構成される。なお、撮像部56は2つの撮像素子を有していてもよい。この場合、撮像部56は3次元画像(3D画像)を生成可能である。
【0034】
アーム駆動部57は、制御部5aの制御のもと、支持部8が有する複数の関節をそれぞれ動作させる。具体的には、アーム駆動部57は、アーム間の関節部に設けられたアクチュエータと、アクチュエータを駆動するドライバとを有する。
【0035】
入力部58は、レンズユニット51の操作信号や支持部8のアームの操作信号等の入力を受け付ける。入力部58は、顕微鏡部7の筒状部の側面のうち、ユーザが顕微鏡部7を把持した状態で操作可能な位置に設けられた複数のスイッチやボタン等を有する。
【0036】
通信部59は、制御装置6との間で通信を行うインターフェースである。通信部59は、撮像部56が生成した画像信号(デジタル信号)を制御装置6に対して送信するとともに、制御装置6からの制御信号を受信する。
【0037】
制御部5aは、制御装置6の制御部66と連携して顕微鏡装置5の動作を制御する。制御部5aは、入力部58は入力を受け付けた操作指示信号や、制御装置6の制御部66から送られてくる操作指示信号に基づいて、顕微鏡装置5を動作させる。本実施の形態では、制御装置6の制御部66からは、顕微鏡装置5の撮像視野を移動させるためにアームを動作させる信号を受信する。
【0038】
制御部5aは、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の少なくともいずれか一つのプロセッサを用いて構成される。
【0039】
つぎに、制御装置6の機能構成を説明する。制御装置6は、通信部61と、画像処理部62と、入力部63と、光源部64と、音声認識部65と、制御部66と、記憶部67と、を備える。通信部61は、顕微鏡装置5が撮像し、伝送ケーブルを経由して伝送してくる画像信号を取得する。画像信号には、撮像時のゲイン調整値、フォーカスレンズ位置、ズームレンズ位置、シャッター速度、絞り値等の撮像に関する情報が含まれる。また、通信部61は、マイクロフォン4が入力を受け付けたユーザ101の音声信号を操作指示として取得する。この意味で、通信部61は取得部の機能を有する。
【0040】
画像処理部62は、通信部61が取得した画像信号に対して各種信号処理を施すことによって表示用の画像信号を生成し、生成した画像信号を表示装置3に出力する。具体的な画像処理として、画像信号の明るさレベルの検出処理、ゲイン調整、補間処理、色補正処理、色強調処理、および輪郭強調処理等の公知の画像処理を挙げることができる。画像処理部62は、CPU、FPGA、およびASIC等の少なくともいずれか一つのプロセッサを用いて構成される。
【0041】
入力部63は、各種情報の入力を受け付ける。入力部63は、キーボード、マウス、タッチパネル、フットスイッチ等のユーザインタフェースを用いて構成される。なお、入力部63に顕微鏡装置5の入力部58の少なくとも一部の機能を兼備させてもよい。
【0042】
光源部64は、ライトガイドを介して顕微鏡装置5に供給する照明光を発生する。光源部64は、例えばLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)等の固体発光素子、レーザ光源、キセノンランプまたはハロゲンランプ等を用いて構成される。
【0043】
音声認識部65は、マイクロフォン4から受信した音声信号の認識処理を実行する。音声認識部65は、音声信号の特徴量と、記憶部67が記憶する特徴量とを比較することによって音声信号の内容を認識する。
【0044】
制御部66は、制御装置6の動作を制御するとともに、顕微鏡装置5の制御部5aと連携して医療用観察装置2の動作を統括して制御する。制御部66は、音声認識部65が認識した音声信号の内容がフォーカスレンズ511の動作の停止指示である場合、フォーカスレンズ511の焦点位置がフォーカスレンズ511の停止時の焦点位置から光学系における基準の焦点深度の深さ以下の戻り量だけ戻るように、フォーカスレンズ511の位置を戻す制御を行うモード(戻りモード)へ移行する。制御装置6が戻りモードに設定されている場合、制御部66は、音声認識部65が認識した音声信号の内容に基づいて顕微鏡装置5を動作させる制御信号を生成し、顕微鏡装置5へ送信する。なお、基準の焦点深度の深さは、フォーカスレンズ511の停止時の位置における焦点深度の深さであってよいが、フォーカスレンズ511の停止指示が入力された位置における焦点深度の深さであってもよく、フォーカスレンズ511の任意の位置における焦点深度の深さであってよい。また、制御部66は、顕微鏡装置5が撮像する画像信号の明るさレベルを所定の明るさレベルにするために、撮像部56のシャッター速度、画像処理部62が行うゲイン調整、および光源部64が発生する照明光の光量等を制御する。また、制御部66は、表示装置3の表示を制御する。
【0045】
制御部66は、CPU、FPGA、およびASIC等の少なくともいずれか一つのプロセッサを用いて構成される。なお、画像処理部62と制御部66を、共通のプロセッサを用いて構成してもよい。
【0046】
記憶部67は、戻りモードにおける戻り量を記憶する。この戻り量は、所定の倍率の焦点深度の深さに応じて予め設定される。所定の倍率は、顕微鏡装置5のレンズユニット51に対して設定可能な倍率のうち、設定可能な範囲の中心の倍率よりも高倍である。また、戻り量は焦点深度の深さの半分以下でもよい。
【0047】
記憶部67は、制御装置6が動作するための各種プログラムを記憶するとともに、制御装置6が演算処理中のデータを一時的に記憶する。記憶部67は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を用いて構成される。
【0048】
図4は、制御装置6が行う処理の概要を示すフローチャートである。なお、制御装置6は、以下に説明する処理と並行して、通信部61が撮像部56によって撮像された画像のデータを顕微鏡装置5から逐次取得し、画像処理部62が表示用の画像信号を生成して表示装置3に出力する。この点は、後述するすべてのフローチャートに共通している。
【0049】
まず、通信部61が音声信号を取得すると(ステップS1:Yes)、音声認識部65が音声信号の認識処理を行う(ステップS2)。ステップS1で通信部61が音声信号を取得しない場合(ステップS1:No)、制御装置6はステップS1を繰り返す。
【0050】
認識処理の結果、フォーカス動作の入力(例えば「フォーカスイン」や「フォーカスアウト」)である場合(ステップS3:Yes)、制御部66は顕微鏡装置5のレンズ駆動部52を動作させる制御信号(動作制御信号)を生成して制御部5aに送信する(ステップS4)。これにより、レンズ駆動部52は、制御部5aの制御のもとでフォーカスレンズ511を移動させる。認識処理の結果、フォーカス動作の入力でない場合(ステップS3:No)、制御装置6はステップS1に戻る。
【0051】
ステップS4の後、通信部61が音声信号を取得すると(ステップS5:Yes)、音声認識部65が音声信号の認識処理を行う(ステップS6)。ステップS5で通信部61が音声信号を取得しない場合(ステップS5:No)、制御装置6はステップS5を繰り返す。なお、ステップS4の後、所定時間経過しても通信部61が音声信号を取得しない場合、制御部66は、ユーザ101に音声入力を促す情報を表示装置3に表示させてもよい。また、制御部66は、ユーザ101に音声入力を促すメッセージまたは警報音をスピーカから出力させてもよい。
【0052】
ステップS6における認識処理の結果、フォーカス動作の停止指示(例えば「ストップ」)である場合(ステップS7:Yes)、制御部66は、レンズ駆動部52の動作を停止させる制御信号(停止制御信号)を生成して制御部5aに送信する(ステップS8)。これにより、レンズ駆動部52は、制御部5aの制御のもとでフォーカスレンズ511を停止させる。
【0053】
ステップS6における認識処理の結果、フォーカス動作の停止指示ではない場合(ステップS7:No)、制御装置6はステップS5に戻る。なお、ステップS4の後、所定時間経過してもフォーカス動作の停止指示が入力されない場合、制御部66は、ユーザ101に音声入力を促す情報を表示装置3に表示させてもよい。ここでも制御部66は、ユーザ101に音声入力を促すメッセージまたは警報音を、別途設置するスピーカから出力させてもよい。
【0054】
ステップS8の後、制御部66は、戻りモードへ移行する(ステップS9)。
【0055】
その後、通信部61が音声信号を取得すると(ステップS10:Yes)、音声認識部65が音声信号の認識処理を行う(ステップS11)。ステップS10において通信部61が音声信号を取得しない場合(ステップS10:No)、制御装置6は後述するステップS14へ移行する。
【0056】
ステップS11の認識処理の結果、戻り指示(例えば「ファイン」)である場合(ステップS12:Yes)、制御部66は、フォーカスレンズ511の焦点位置がフォーカスレンズ511の停止時の焦点位置から所定の戻り量だけ戻るように、フォーカスレンズ511の位置を戻す制御信号(以下、戻り制御信号ともいう)を生成して制御部5aに送信する(ステップS13)。これにより、レンズ駆動部52は、制御部5aの制御のもとでフォーカスレンズ511の焦点位置がフォーカスレンズ511の停止時の焦点位置から停止前の移動とは逆方向へ戻り量だけ戻るように、フォーカスレンズ511の位置を戻す。
【0057】
ステップS13の後、所定時間経過した場合(ステップS14:Yes)、制御装置6は一連の処理を終了する。一方、ステップS13の後、所定時間経過していない場合(ステップS14:No)、制御装置6はステップS10へ戻る。
【0058】
ステップS11の認識処理の結果、戻り指示でない場合(ステップS12:No)、制御装置6はステップS10へ戻る。
【0059】
以上説明した本開示の実施の形態1によれば、フォーカスレンズを含む光学系と撮像部とを備える医療用観察装置の操作者の音声入力を受け付けたマイクロフォンから取得した音声信号の内容を認識し、その内容がフォーカスレンズの動作の停止指示である場合、フォーカスレンズの焦点位置がフォーカスレンズの停止時の焦点位置から光学系における基準の焦点深度の深さ以下の戻り量だけ戻るように、フォーカスレンズの位置を戻す制御を行うモード(戻りモード)へ移行するため、音声入力だけでフォーカス調整を行うことができる。したがって、音声入力によるフォーカス調整を負荷の少ない簡易な処理によって行うことができる。
【0060】
また、本実施の形態1によれば、音声入力からの遅延が発生しても、音声入力のみで微調整が可能であるため、簡易にフォーカス調整を行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態1によれば、戻り量をさらに焦点深度の深さ半分以上とすることで、微調整の回数を削減することができる。
【0062】
(実施の形態2)
本開示の実施の形態2は、戻りモードにおける戻り量を、撮像時の撮像条件に応じた基準の焦点深度の深さに基づいて設定する。本実施の形態2に係る医療用観察システムの機能構成は、実施の形態1と同様である。ここでいう撮像条件とは、例えば光学系の倍率や絞り値である。
【0063】
本実施の形態2において、制御装置6の制御部66は、マイクロフォン4がフォーカス動作を指示する音声信号を受信したときのフォーカスレンズ511およびズームレンズ512の位置に応じた倍率および/または絞り53の絞り値に基づいて基準の焦点深度の深さを抽出し、その深さに応じた戻り量を設定する。倍率や絞り値は、検出部55によって検出される。
【0064】
記憶部67は、上述した倍率および/または絞り値に応じた基準の焦点深度の深さをテーブルで記憶するとともに、基準の焦点深度の深さと戻り量との関係を記憶する。例えば、記憶部67は、基準の焦点深度の深さの50~90%の範囲のいずれかの値として戻り量を記憶する。なお、基準の焦点深度の深さと戻り量との関係は、ユーザ101が入力部63を介して変更することが可能である。
【0065】
図5は、本実施の形態2に係る制御装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。まず、ステップS21~S24の処理は、実施の形態1で説明したステップS1~S4の処理に順次対応している。
【0066】
ステップS24の後、制御部66は、通信部61を介して顕微鏡装置5に倍率および絞り値の情報を要求し、顕微鏡装置5からそれらの情報を取得する(ステップS25)。なお、ステップS24とS25の処理順序は逆でもよいし、並行して行ってもよい。
【0067】
続いて、制御部66は、取得した倍率および/または絞り値の情報をもとに記憶部67のテーブルを参照して基準の焦点深度の深さを抽出し、この深さと、記憶部67が記憶する基準の焦点深度の深さと戻り量の関係とに基づいて、戻りモードにおける戻り量を設定する(ステップS26)。
【0068】
以降のステップS27~S36の処理は、上述したステップS5~S14の処理に順次対応している。ステップS35におけるフォーカスレンズ511の焦点位置の戻り量は、ステップS26で制御部66が設定した戻り量である。
【0069】
以上説明した本開示の実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、音声入力によるフォーカス調整を負荷の少ない簡易な処理によって行うことができる。
【0070】
また、本実施の形態2によれば、撮像時の倍率および/または絞り値に応じて戻り量を設定するため、撮像時の光学パラメータ等の撮像条件に合った戻り量を設定することができる。
【0071】
(実施の形態3)
本開示の実施の形態3は、ユーザの音声入力によってフォーカスレンズを停止した後、自動的にフォーカスレンズの焦点位置がフォーカスレンズの停止時の焦点位置から所定の戻り量だけ戻るように、フォーカスレンズの位置を戻す。戻り量は、実施の形態1と同様に定めればよい。本実施の形態3に係る医療用観察システムの機能構成は、実施の形態1と同様である。
【0072】
本実施の形態3において、制御装置6の制御部66は、ユーザ101によるマイクロフォン4への停止指示の入力に応じてフォーカスレンズ511の移動を停止した後、フォーカスレンズ511の焦点位置がフォーカスレンズ511の停止時の焦点位置から自動的に所定の戻り量だけ戻るように、フォーカスレンズ511の位置を戻す制御を行う。
【0073】
図6は、本実施の形態3に係る制御装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。図6において、ステップS41~S49の処理は、ステップS1~S9の処理に順次対応している。
【0074】
ステップS50において、制御部66は、戻り制御信号を生成して制御部5aに送信する(ステップS50)。この処理は、ユーザ101による音声入力とは無関係に自動で行われる。
【0075】
その後、所定時間が経過した場合(ステップS51:Yes)、制御装置6は一連の処理を終了する。
【0076】
ステップS51において所定時間が経過していない場合(ステップS51:No)を説明する。この場合、通信部61が音声信号を取得すると(ステップS52:Yes)、音声認識部65が音声信号の認識処理を行う(ステップS53)。ステップS52において、通信部61が音声信号を取得しない場合(ステップS52:No)、制御装置6はステップS51へ戻る。
【0077】
ステップS53の認識処理の結果、戻り指示である場合(ステップS54:Yes)、制御装置6はステップS50に戻る。一方、ステップS53の認識処理の結果、戻り指示でない場合(ステップS54:No)、制御装置6はステップS51に戻る。
【0078】
以上説明した本開示の実施の形態3によれば、実施の形態1と同様、音声入力によるフォーカス調整を負荷の少ない簡易な処理によって行うことができる。
【0079】
また、本実施の形態3によれば、ユーザの音声入力によってフォーカスレンズを停止した後、自動的にフォーカスレンズの焦点位置を所定の戻り量だけ戻すため、音声入力による操作の回数を減らすことができる。
【0080】
なお、本実施の形態3においても、実施の形態2と同様に、制御部がフォーカス動作の指示入力を受け付けたときの倍率および/または絞り値等の撮像時の撮像条件に応じた焦点深度の深さに基づいて戻り量を設定してもよい。
【0081】
また、本実施の形態3において、ユーザの音声入力によってフォーカスレンズを停止した後、自動で戻すか否かをユーザが設定できるようにしてもよい。
【0082】
(実施の形態4)
本開示の実施の形態4は、実施の形態2と同様に基準の焦点深度の深さを抽出し、この焦点深度の深さが所定値より小さい場合には、戻りモードにおいてフォーカスレンズを停止した後、自動的にフォーカスレンズの位置を戻す。本実施の形態4に係る医療用観察システムの機能構成は、実施の形態1と同様である。
【0083】
本実施の形態4において、制御装置6の制御部66は、マイクロフォン4がフォーカス動作を指示する音声信号を受信したときに検出部55が検出するフォーカスレンズ511およびズームレンズ512の位置に応じた倍率および/または絞り53の絞り値に基づいて基準の焦点深度の深さを抽出し、その深さに応じた戻り量を設定する。また、制御部66は、基準の焦点深度の深さと所定値とを比較して、その深さが所定値より小さい場合には、ユーザ101によるマイクロフォン4への停止指示の入力に応じてフォーカスレンズ511の移動を停止した後、フォーカスレンズ511の焦点位置がフォーカスレンズ511の停止時の焦点位置から所定の戻り量だけ自動的に戻るように、フォーカスレンズ511の位置を戻す制御を行う。
【0084】
記憶部67は、上述した倍率および/または絞り値に応じた基準の焦点深度の深さをテーブル、および基準の焦点深度の深さと戻り量との関係に加えて、基準の焦点深度の深さとの比較対象である所定値を記憶する。この所定値は、ユーザ101によるマイクロフォン4への音声の入力時間や、マイクロフォン4からの通信遅延に基づいて想定されるフォーカスレンズ511の焦点位置の停止時のオーバーラン量(図2Aの目標位置Pと停止位置Qの距離)をもとに設定される値である。所定値は、基準の焦点深度の深さがその所定値より大きい場合、フォーカスレンズ511の焦点位置を戻す必要がないような値として設定される。
【0085】
図7は、本実施の形態4に係る制御装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。ステップS61~S70の処理は、実施の形態2で説明したステップS21~S30の処理に順次対応している。
【0086】
ステップS71において、制御部66は基準の焦点深度の深さと所定値を比較する。基準の焦点深度の深さが所定値より小さい場合(ステップS71:Yes)、制御部66は戻りモードへ移行する(ステップS72)。一方、基準の焦点深度の深さが所定値以上である場合(ステップS71:No)、制御装置6は一連の処理を終了する。
【0087】
ステップS73~S77の処理は、実施の形態3で説明したステップS50~S54の処理に順次対応している。
【0088】
以上説明した本開示の実施の形態4によれば、実施の形態1と同様、音声入力によるフォーカス調整を負荷の少ない簡易な処理によって行うことができる。
【0089】
また、本実施の形態4によれば、基準の焦点深度の深さが所定値より小さい場合には、自動的にフォーカスレンズの焦点位置を所定の戻り量だけ戻し、その深さが所定値以上の場合にはフォーカスレンズを戻すことなく処理を終了するため、焦点深度内に入っている状況で不要な操作を回避することができる。
【0090】
(その他の実施の形態)
ここまで、本開示を実施するための形態を説明してきたが、本開示は、上述した実施の形態1~4によってのみ限定されるべきものではない。例えば、本開示はフォーカス動作に限らず、ズーム動作や視野移動の場合にもユーザの音声入力による各種機能部材の停止後に同様の処理を行うことができる。
【0091】
また、本開示に係る医療用観察装置は、撮像装置を備えた内視鏡や外視鏡でもよい。
【0092】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
フォーカスレンズを含む光学系と撮像部とを備える撮像装置に対する音声入力による操作指示を取得する取得部と、
前記操作指示が前記フォーカスレンズの動作の停止指示である場合、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記フォーカスレンズの停止時の焦点位置から前記光学系における基準の焦点深度の深さ以下の戻り量だけ戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す制御を行うモードへ移行する制御部と、
を備える制御装置。
(2)
前記取得部は、
音声入力を受け付けるマイクロフォンが生成した音声信号を前記操作指示として取得する前記(1)に記載の制御装置。
(3)
前記取得部が取得した前記操作指示の内容を認識する音声認識部をさらに備える前記(1)または(2)に記載の制御装置。
(4)
前記戻り量は、前記基準の焦点深度の深さの半分以上である前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の制御装置。
(5)
前記基準の焦点深度は、前記光学系に対して設定可能な倍率のうち、設定可能な範囲の中心の倍率よりも高い倍率に応じた焦点深度である前記(1)または(2)に記載の制御装置。
(6)
前記基準の焦点深度は、前記撮像部の撮像時における撮像条件に応じた焦点深度である前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の制御装置。
(7)
前記撮像条件は、前記光学系の倍率である前記(6)に記載の制御装置。
(8)
前記撮像条件は、前記光学系の絞り値である前記(6)に記載の制御装置。
(9)
前記制御部は、
前記撮像条件に応じた前記基準の焦点深度の深さに基づいて前記戻り量を設定する前記(6)~(8)のいずれか一項に記載の制御装置。
(10)
前記基準の焦点深度の深さは、前記フォーカスレンズの前記停止時の位置における焦点深度の深さである前記(9)に記載の制御装置。
(11)
前記基準の焦点深度の深さは、前記フォーカスレンズの前記停止指示が入力された位置における焦点深度の深さである前記(9)に記載の制御装置。
(12)
前記制御部は、
前記モードへ移行した後、前記操作指示として戻りの指示を受け付けた場合、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記戻り量だけ戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す前記(1)~(11)のいずれか一項に記載の制御装置。
(13)
前記制御部は、
前記モードへ移行した後、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記戻り量だけ自動的に戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す前記(1)~(12)のいずれか一項に記載の制御装置。
(14)
前記制御部は、
前記操作指示が前記フォーカスレンズの動作を停止する内容である場合、前記基準の焦点深度の深さが所定値より小さいとき、前記モードへ移行する前記(1)~(13)のいずれか一項に記載の制御装置。
(15)
フォーカスレンズを含む光学系と撮像部とを備える撮像装置と、
前記撮像装置に対する音声入力による操作指示を取得する取得部と、前記操作指示が前記フォーカスレンズの動作の停止指示である場合、前記フォーカスレンズの焦点位置が前記フォーカスレンズの停止時の焦点位置から前記光学系における基準の焦点深度の深さ以下の戻り量だけ戻るように、前記フォーカスレンズの位置を戻す制御を行うモードへ移行する制御部と、を有する制御装置と、
前記撮像装置が撮像した画像を表示する表示装置と、
を備える医療用観察システム。
【符号の説明】
【0093】
1 医療用観察システム
2 医療用観察装置
3 表示装置
4 マイクロフォン
5 顕微鏡装置
5a、66 制御部
6 制御装置
7 顕微鏡部
8 支持部
9 ベース部
51 レンズユニット
52 レンズ駆動部
53 絞り
54 絞り駆動部
55 検出部
56 撮像部
57 アーム駆動部
58、63 入力部
59、61 通信部
62 画像処理部
64 光源部
65 音声認識部
67 記憶部
101 ユーザ
102 患者
201 3D眼鏡
511 フォーカスレンズ
512 ズームレンズ
1 焦点深度の深さ
2 戻り量
P 目標位置
Q、R 戻り位置
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7