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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240711BHJP
   H01G 2/06 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G2/06 500
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020219215
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022104174
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】柚賀 春希
(72)【発明者】
【氏名】高田 匡平
(72)【発明者】
【氏名】亀橋 健一
(72)【発明者】
【氏名】小林 央始
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-216360(JP,A)
【文献】特開平08-107039(JP,A)
【文献】特開2009-130147(JP,A)
【文献】特開2015-162648(JP,A)
【文献】特開2011-014698(JP,A)
【文献】特開昭58-056404(JP,A)
【文献】特開昭58-173823(JP,A)
【文献】特開平11-283863(JP,A)
【文献】特開2011-151224(JP,A)
【文献】特開平05-326273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面を構成されるように配置される側面を有する素体と、
前記側面に配置されている電極部を有している外部電極と、
互いに対向するように前記素体内に配置されている複数の内部電極と、
前記電極部から離間して、前記側面に配置されている導体層と、を備え、
前記電極部は、複数の粒子と樹脂とを含んでいる導電性樹脂層を有しており、
前記導体層は、よりマイグレーションが生じがたい銅又は炭素を含んでいる、電子部品。
【請求項2】
前記導体層は、前記電極部が接続されるパッドに接続されるように配置されている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記導体層は、前記電極部が接続されるパッドとは異なるパッドに接続されるように配置されている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記素体は、前記側面と隣り合うと共に互いに対向している一対の端面を有し、
前記複数の内部電極は、前記側面に直交する方向と前記一対の端面が対向している方向とに交差する方向で互いに対向するように並んでおり、
前記導体層は、前記側面に直交する方向と前記一対の端面が対向している方向とに交差する前記方向に延在している、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記側面に直交する方向と前記一対の端面が対向している方向とに交差する前記方向での前記導体層の長さは、前記複数の内部電極のうち、前記側面に直交する前記方向と前記一対の端面が対向している前記方向とに交差する前記方向で最も外側に位置している内部電極の間の間隔以上である、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記複数の内部電極のうち、前記複数の内部電極が互いに対向している方向で最も外側に位置している内部電極と同じ層に位置している、あるいは、当該内部電極の外側に位置しているダミー導体を更に備えている、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記導体層は、前記電極部の端縁に沿って延在している、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記導体層は、よりマイグレーションが生じがたい銅又は炭素からなる複数の導電性粒子と、樹脂とを含んでいる、請求項1~7のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている電子部品は、実装面を構成されるように配置される側面を有する素体と、側面に配置されている電極部を有している外部電極と、互いに対向するように素体内に配置されている複数の内部電極と、を備えている(たとえば、特許文献1参照)。電極部は、複数の金属粒子と樹脂とを含んでいる導電性樹脂層を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-006501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部電極(電極部)が導電性樹脂層を有している構成では、外部電極にマイグレ-ションが生じるおそれがある。マイグレーションは、たとえば、以下の事象により生じると考えられる。
内部電極と、当該内部電極が電気的に接続されていない導電性樹脂層との間に生じる電界が、金属粒子に作用し、金属粒子の原子がイオン化する。発生した金属イオンは、外部電極間に生じる電界に引かれ、導電性樹脂層から移動する。導電性樹脂層から移動する金属イオンは、たとえば、素体から供給される電子と反応し、素体の表面上に金属として析出する。素体から供給される電子は、たとえば、電子部品に生じる漏れ電流に起因する。
【0005】
本発明の一つの態様は、外部電極が導電性樹脂層を含んでいる場合でも、マイグレーションの発生を抑制する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る電子部品は、実装面を構成されるように配置される側面を有する素体と、側面に配置されている電極部を有している外部電極と、互いに対向するように素体内に配置されている複数の内部電極と、電極部から離間して、側面に配置されている導体層と、を備えている。電極部は、複数の金属粒子と樹脂とを含んでいる導電性樹脂層を有している。導体層は、金属粒子よりマイグレーションが生じがたい導電性材料を含んでいる。
【0007】
上記一つの態様では、内部電極と、当該内部電極が電気的に接続されていない導電性樹脂層との間に生じる電界が、金属粒子に作用する場合、導体層が、金属粒子に作用する電界を低く抑える。したがって、金属粒子の原子がイオン化しがたい。
上記一つの態様では、電子部品に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が導体層を流れ、素体から供給される電子が低減される。したがって、導電性樹脂層から移動する金属イオンは、素体の表面上に金属として析出しがたい。
これらの結果、上記一つの態様は、マイグレーションの発生を抑制する。
【0008】
上記一つの態様では、導体層は、電極部が接続されるパッド電極に接続されるように配置されていてもよい。
導体層は、電極部が接続されるパッド電極に接続されるように配置されている構成では、導体層が、金属粒子に作用する電界をより一層低く抑える。したがって、本構成は、マイグレーションの発生をより一層抑制する。
【0009】
上記一つの態様では、導体層は、電極部が接続されるパッド電極とは異なるパッド電極に接続されるように配置されていてもよい。
導体層が、電極部が接続されるパッド電極とは異なるパッド電極に接続されるように配置されている構成では、漏れ電流が確実に導体層を流れ、素体から供給される電子がより一層低減される。したがって、本構成は、マイグレーションの発生をより一層抑制する。
【0010】
上記一つの態様では、素体は、側面と隣り合うと共に互いに対向している一対の端面を有していてもよい。複数の内部電極は、側面に直交する方向と一対の端面が対向している方向とに交差する方向で互いに対向するように並んでいてもよい。導体層は、側面に直交する方向と一対の端面が対向している方向とに交差する方向に延在していてもよい。
導体層が、側面に直交する方向と一対の端面が対向している方向とに交差する方向に延在している構成では、電界が、金属粒子に作用する場合、導体層が、金属粒子に作用する電界をより一層低く抑える。
本構成では、電子部品に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が確実に導体層を流れ、素体から供給される電子がより一層低減される。
【0011】
上記一つの態様では、側面に直交する方向と一対の端面が対向している方向とに交差する方向での導体層の長さは、複数の内部電極のうち、側面に直交する方向と一対の端面が対向している方向とに交差する方向で最も外側に位置している最外内部電極の間の間隔以上であってもよい。
導体層の上記長さが最外内部電極の間の上記間隔以上である構成では、導体層が、金属粒子に作用する電界をより一層確実に低く抑える。
本構成では、素体から供給される電子がより一層確実に低減される。
【0012】
上記一つの態様は、複数の内部電極のうち、複数の内部電極が互いに対向している方向で最も外側に位置している内部電極と同じ層に位置している、あるいは、当該内部電極の外側に位置しているダミー導体を備えていてもよい。
上記ダミー電極を備えている構成では、互いに電気的に接続されていない導電性樹脂層と内部電極との間に電界が生じがたい。したがって、導電性樹脂層からのマイグレーションの発生を抑制する。
【0013】
上記一つの態様では、導体層は、電極部の端縁に沿って延在していてもよい。
導体層が、電極部の端縁に沿って延在している構成では、電界が、金属粒子に作用する場合、導体層が、金属粒子に作用する電界をより一層低く抑える。
本構成では、電子部品に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が確実に導体層を流れ、素体から供給される電子がより一層低減される。
【0014】
上記一つの態様では、導体層は、金属粒子よりマイグレーションが生じがたい導電性材料からなる複数の導電性粒子と、樹脂とを含んでいてもよい。
電子部品が電子機器にはんだ実装されている場合、電子機器から電子部品に作用する外力が導体層を通して素体に作用するおそれがある。外力は、はんだ実装の際に形成されたはんだフィレットから導体層に伝わる。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。
導体層が樹脂を含んでいる構成は、導体層がはんだ実装される場合でも、外力が、導体層から素体に作用しがたい。したがって、本構成は、クラックが素体に発生するのを抑制する。
【0015】
上記一つの態様では、導電性樹脂層が含んでいる金属粒子は、銀粒子を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一つの態様は、外部電極が導電性樹脂層を含んでいる場合でも、マイグレーションの発生を抑制する電子部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図4図4は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図5図5は、外部電極と導体層とを示す図である。
図6図6は、外部電極と導体層とを示す図である。
図7図7は、本実施形態に係る積層コンデンサの実装構造を示す図である。
図8図8は、本実施形態に係る積層コンデンサの実装構造を示す図である。
図9図9は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図10図10は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図11図11は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図12図12は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図13図13は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図14図14は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図15図15は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図16図16は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図17図17は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図18図18は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図19図19は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図20図20は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの斜視図である。
図21図21は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図22図22は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図23図23は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図24図24は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図25図25は、外部電極と導体層とを示す図である。
図26図26は、外部電極と導体層とを示す図である。
図27図27は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図28図28は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図29図29は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図30図30は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図31図31は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図32図32は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図33図33は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図34図34は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
図1図4を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。図2図3、及び図4は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。本実施形態では、電子部品は、たとえば、積層コンデンサC1である。
【0020】
積層コンデンサC1は、図1に示されるように、直方体形状を呈している素体3と、複数の外部電極5と、複数の導体層21と、を備えている。本実施形態では、積層コンデンサC1は、一対の外部電極5を備えていると共に、一対の導体層21を備えている。一対の外部電極5と一対の導体層21とは、素体3の外表面に配置されている。一対の外部電極5は、互いに離間している。各外部電極5と各導体層21とも、互いに離間している。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。
【0021】
素体3は、互いに対向している一対の側面3aと、互いに対向している一対の側面3cと、互いに対向している一対の端面3eと、を有している。一対の側面3a、一対の側面3c、及一対の端面3eは、長方形状を呈している。一対の側面3aが対向している方向が、第二方向D2である。一対の側面3cが対向している方向が、第三方向D3である。一対の端面3eが対向している方向が、第一方向D1である。積層コンデンサC1は、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。積層コンデンサC1では、一方の側面3aが、電子機器と対向する。一方の側面3aは、実装面を構成するように配置される。一方の側面3aは、実装面である。一対の側面3cのうち、一つの側面3cが実装面を構成するように配置されてもよい。たとえば、側面3aが、第一側面を構成する場合、側面3cは、第二側面を構成する。
【0022】
第二方向D2は、各側面3aに直交する方向であり、第三方向D3と直交している。第一方向D1は、各側面3aと各側面3cとに平行な方向であり、第二方向D2と第三方向D3とに直交している。第三方向D3は、各側面3cに直交する方向であり、第一方向D1は、各端面3eに直交する方向である。本実施形態では、素体3の第一方向D1での長さは、素体3の第二方向D2での長さより大きく、かつ、素体3の第三方向D3での長さより大きい。第一方向D1が、素体3の長手方向である。素体3の第二方向D2での長さと素体3の第三方向D3での長さとは、互いに同等であってもよい。素体3の第二方向D2での長さと素体3の第三方向D3での長さとは、互いに異なっていてもよい。
【0023】
素体3の第二方向D2での長さは、素体3の高さである。素体3の第三方向D3での長さは、素体3の幅である。素体3の第一方向D1での長さは、素体3の長さである。本実施形態では、素体3の高さは、0.1~3.0mmであり、素体3の幅は、0.1~6.5mmであり、素体3の長さは、0.2~8.0mmである。たとえば、素体3の高さは、2.5mmであり、素体3の幅は、2.5mmであり、素体3の長さは、3.2mmである。
【0024】
一対の側面3cは、一対の側面3aを連結するように第二方向D2に延在している。一対の側面3cは、第一方向D1にも延在している。一対の端面3eは、一対の側面3aを連結するように第二方向D2に延在している。一対の端面3eは、第三方向D3にも延在している。
【0025】
素体3は、四つの稜線部3gと、四つの稜線部3iと、四つの稜線部3jと、を有している。稜線部3gは、端面3eと側面3aとの間に位置している。稜線部3iは、端面3eと側面3cとの間に位置している。稜線部3jは、側面3aと側面3cとの間に位置している。本実施形態では、各稜線部3g,3i,3jは、湾曲するように丸められている。素体3には、いわゆるR面取り加工が施されている。端面3eと側面3aとは、稜線部3gを介して、間接的に隣り合っている。端面3eと側面3cとは、稜線部3iを介して、間接的に隣り合っている。側面3aと側面3cとは、稜線部3jを介して、間接的に隣り合っている。
【0026】
素体3は、第二方向D2に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体3は、積層されている複数の誘電体層を有している。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2と一致する。各誘電体層は、たとえば、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。誘電体材料は、たとえば、BaTiO系、Ba(Ti,Zr)O系、又は(Ba,Ca)TiO系などの誘電体セラミックを含む。実際の素体3では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0027】
積層コンデンサC1は、図2図4に示されるように、複数の内部電極7と複数の内部電極9とを備えている。各内部電極7,9は、素体3内に配置されている内部導体である。各内部電極7,9は、積層型電子部品の内部導体として通常用いられる導電性材料からなる。導電性材料は、たとえば、卑金属を含む。導電性材料は、たとえば、Ni又はCuを含む。内部電極7,9は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、内部電極7,9は、Niからなる。
【0028】
内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、素体3内において、第二方向D2に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、互いに極性が異なる。内部電極7,9の一端は、対応する端面3eに露出している。内部電極7,9は、対応する端面3eに露出している一端を有している。
複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第二方向D2で交互に並んでいる。複数の内部電極7,9は、第二方向D2に並ぶように素体3内に配置されている。各内部電極7,9は、側面3aと略平行な面内に位置している。内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2で互いに対向している。内部電極7と内部電極9とが対向している方向(第二方向D2)は、側面3aと平行な方向(第三方向D3及び第一方向D1)と直交している。
【0029】
本実施形態では、複数の内部電極7は、第二方向D2で最も外側に位置している一つの内部電極7Aを含んでいる。内部電極7Aは、最外内部電極である。本実施形態では、複数の内部電極9は、第二方向D2で最も外側に位置している一つの内部電極9Aを含んでいる。内部電極9Aは、最外内部電極である。各内部電極7,9は、一対の側面3a及び一対の側面3cには露出していない。
図3では、説明のため、各内部電極7,9(内部電極7A,9A)は、意図的に、第三方向D3に互いにずれて図示されている。
【0030】
外部電極5は、図1に示されるように、素体3の第一方向D1での両端部にそれぞれ配置されている。各外部電極5は、素体3における、対応する端面3e側に配置されている。本実施形態では、各外部電極5は、一対の側面3a、一対の側面3c、及び一つの端面3eに配置されている。外部電極5は、図2及び図3に示されるように、複数の電極部5a,5c,5eを有している。電極部5aは、側面3a上及び稜線部3g上に配置されている。各電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上に配置されている。電極部5eは、端面3e上に配置されている。外部電極5は、稜線部3j上に配置されている電極部も有している。
【0031】
外部電極5は、一対の側面3a、一つの端面3e、及び一対の側面3cの五つの面、並びに、稜線部3g,3i,3jに形成されている。互いに隣り合う電極部5a,5c,5eは、接続されており、電気的に接続されている。電極部5eは、対応する内部電極7,9の一端をすべて覆っている。電極部5eは、対応する内部電極7,9と直接的に接続されている。外部電極5は、対応する内部電極7,9と電気的に接続されている。外部電極5は、図2及び図3にも示されるように、第一電極層E1、第二電極層E2、及び第三電極層E3を有している。第三電極層E3は、外部電極5の最外層を構成している。各電極部5a,5cは、第一電極層E1、第二電極層E2、及び第三電極層E3を有している。各電極部5eは、第一電極層E1及び第三電極層E3を有している。
【0032】
電極部5aの第一電極層E1は、側面3a上及び稜線部3g上に配置されている。電極部5aの第一電極層E1は、側面3aの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成されている。電極部5aの第一電極層E1は、側面3aの上記一部と稜線部3gの全体とに接している。すなわち、電極部5aでは、第一電極層E1は、素体3と直接接している。側面3aは、上記一部において第一電極層E1に覆われており、上記一部を除く残部において第一電極層E1から露出している。側面3aの上記一部は、側面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aの第一電極層E1は、側面3a上に位置している。第一電極層E1は、側面3aに形成されていなくてもよい。すなわち、第一電極層E1は、側面3a上に配置されていなくてもよい。
電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び側面3a上に配置されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1と側面3aの一部とを覆うように形成されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1と側面3aとに直接接している。電極部5aの第二電極層E2は、電極部5aの第一電極層E1を覆うように形成されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と側面3aとの間に位置するように、側面3aを間接的に覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、側面3a上に位置している。
電極部5aの第三電極層E3は、第二電極層E2上に配置されている。電極部5aでは、第三電極層E3は、第二電極層E2を覆っている。電極部5aでは、第三電極層E3は、第二電極層E2と接している。すなわち、電極部5aでは、第三電極層E3は、第二電極層E2と直接接している。電極部5aでは、第三電極層E3は、第一電極層E1と直接接していない。電極部5aの第三電極層E3は、側面3a上に位置している。
【0033】
電極部5cの第一電極層E1は、側面3c上及び稜線部3i上に配置されている。電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部と稜線部3iの全体とを覆うように形成されている。電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの上記一部と稜線部3iの全体とに接している。すなわち、電極部5cでは、第一電極層E1は、素体3と直接接している。側面3cは、上記一部において第一電極層E1に覆われており、上記一部を除く残部において第一電極層E1から露出している。側面3cの上記一部は、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5cの第一電極層E1は、側面3c上に位置している。第一電極層E1は、側面3cに形成されていなくてもよい。すなわち、第一電極層E1は、側面3c上に配置されていなくてもよい。
電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び側面3c上に配置されている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1と側面3cの一部とを覆うように形成されている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1と側面3cとに直接接している。電極部5cの第二電極層E2は、電極部5cの第一電極層E1を覆うように形成されている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と側面3cとの間に位置するように、側面3cを間接的に覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、側面3c上に位置している。
電極部5cの第三電極層E3は、第二電極層E2上に配置されている。電極部5cでは、第三電極層E3は、第二電極層E2を覆っている。電極部5cでは、第三電極層E3は、第二電極層E2と接している。すなわち、電極部5cでは、第三電極層E3は、第二電極層E2と直接接している。電極部5cでは、第三電極層E3は、第一電極層E1と直接接していない。電極部5cの第三電極層E3は、側面3c上に位置している。
【0034】
電極部5eの第一電極層E1は、端面3e上に配置されている。電極部5eの第一電極層E1は、端面3eの全体を覆うように形成されている。電極部5eの第一電極層E1は、端面3eの全体と接している。すなわち、電極部5eでは、第一電極層E1は、端面3eと直接接している。
電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1上に配置されている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆うように形成されている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1に直接接している。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と端面3eとの間に位置するように、端面3eを間接的に覆っている。電極部5eの第二電極層E2は、端面3e上に位置している。
電極部5eの第三電極層E3は、第二電極層E2上に配置されている。電極部5eでは、第三電極層E3は、第二電極層E2の全体を覆っている。電極部5eでは、第三電極層E3は、第二電極層E2の全体と接している。すなわち、電極部5eでは、第三電極層E3は、第二電極層E2と直接接している。電極部5eでは、第三電極層E3は、第一電極層E1と直接接していない。電極部5eの第三電極層E3は、端面3e上に位置している。
電極部5eは、第二電極層E2を有していなくてもよい。電極部5eが、第二電極層E2を有していない場合、電極部5eでは、第三電極層E3は、第一電極層E1の全体を覆っていると共に、第一電極層E1と直接接している。
【0035】
第一電極層E1は、素体3の表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることにより形成されている。第一電極層E1は、側面3aの上記一部、側面3cの上記一部、一つの端面3e、及び稜線部3g,3i,3jを覆うように形成されている。第一電極層E1は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粒子)が焼結することにより形成されている。第一電極層E1は、焼結金属層である。第一電極層E1は、素体3に形成された焼結金属層である。本実施形態では、第一電極層E1は、Cuからなる焼結金属層である。第一電極層E1は、Niからなる焼結金属層であってもよい。第一電極層E1は、卑金属を含んでいる。導電性ペーストは、たとえば、Cu又はNiからなる粒子、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を含んでいる。各電極部5a,5c,5eが有している第一電極層E1は、一体的に形成されている。
【0036】
第二電極層E2は、第一電極層E1上に付与された導電性樹脂を硬化させることにより形成されている。第二電極層E2は、第一電極層E1上と素体3上とにわたって形成されている。第一電極層E1は、第二電極層E2を形成するための下地金属層である。第二電極層E2は、第一電極層E1を覆う導電性樹脂層である。導電性樹脂は、たとえば、樹脂、複数の導電性粒子、及び有機溶媒を含んでいる。樹脂は、たとえば、熱硬化性樹脂である。導電性粒子は、たとえば、金属粒子である。金属粒子は、たとえば、銀粒子である。本実施形態では、第二電極層E2は、複数の銀粒子を含んでいる。すなわち、第二電極層E2は、複数の金属粒子を含んでいる。熱硬化性樹脂は、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂である。第二電極層E2は、稜線部3jの一部と接している。各電極部5a,5c,5eが有している第二電極層E2は、一体的に形成されている。
【0037】
第三電極層E3は、第二電極層E2上と、第一電極層E1(第二電極層E2から露出している部分)上とにめっき法により形成されている。第三電極層E3は、複数層構造を有していてもよい。この場合、第三電極層E3は、たとえば、Niめっき層とはんだめっき層とを有している。Niめっき層は、第二電極層E2上と第一電極層E1上とに形成される。はんだめっき層は、Niめっき層上に形成される。はんだめっき層は、Niめっき層を覆っている。Niめっき層は、第二電極層E2に含まれる金属よりも耐はんだ喰われ性に優れている。第三電極層E3は、Niめっき層の代わりに、Snめっき層、Cuめっき層、又はAuめっき層を有していてもよい。はんだめっき層は、たとえば、Snめっき層、Sn-Ag合金めっき層、Sn-Bi合金めっき層、又はSn-Cu合金めっき層を含んでいる。各電極部5a,5c,5eが有している第三電極層E3は、一体的に形成されている。
【0038】
内部電極7と、内部電極7が電気的に接続されていない電極部5aの第二電極層E2とは、第二方向D2で互いに対向している。内部電極7と、内部電極7が電気的に接続されていない電極部5cの第二電極層E2とは、第三方向D3で互いに対向している。
内部電極9と、内部電極9が電気的に接続されていない電極部5aの第二電極層E2とは、第二方向D2で互いに対向している。内部電極9と、内部電極9が電気的に接続されていない電極部5cの第二電極層E2とは、第三方向D3で互いに対向している。
【0039】
各導体層21は、図4に示されているように、一対の側面3a及び一対の側面3cに配置されている。各導体層21は、各側面3aに配置されている部分21aと、各側面3cに配置されている部分21cとを有している。本実施形態では、部分21aと部分21cとは一体に設けられている。すなわち、各導体層21は、各稜線部3jにも配置されている。各部分21aと各部分21cとは、物理的に接続されているだけでなく、電気的に接続されている。一方の導体層21と、一方の外部電極5(電極部5a,5c)とは、第一方向D1で互いに隣り合っている。他方の導体層21と、他方の外部電極5(電極部5a,5c)とは、第一方向D1で互いに隣り合っている。一方の導体層21と、他方の導体層21とは、第一方向D1で離間している。
【0040】
部分21aは、当該部分21aが配置されている同じ側面3a上に位置している電極部5aの間に配置されており、電極部5aから離間している。部分21aは、電極部5aの端縁5aに沿って延在している。部分21aは、第三方向D3に延在している。第三方向D3は、側面3aに直交する方向と一対の端面3eが対向している方向とに交差している。第三方向D3での部分21aの長さL21aは、内部電極7,9の幅W1以上である。本実施形態では、幅W1は、第三方向D3での内部電極7,9の長さである。本実施形態では、幅W1は、0.01~6.0mmであり、長さL21aは、0.05~6.0mmである。たとえば、幅W1は、2.1mmであり、長さL21aは、2.3mmである。
部分21cは、当該部分21cが配置されている同じ側面3c上に位置している電極部5cの間に配置されており、電極部5cから離間している。部分21cは、電極部5cの端縁5cに沿って延在している。第二方向D2は、側面3cに直交する方向と一対の端面3eが対向している方向とに交差している。部分21cは、第二方向D2に延在している。第二方向D2での部分21cの長さL21cは、内部電極7Aと内部電極9Aとの間隔W2以上である。本実施形態では、間隔W2は、第二方向D2での、内部電極7Aと内部電極9Aとの間隔である。本実施形態では、間隔W2は、0.01~2.5mmであり、長さL21cは、0.04~2.8mmである。たとえば、間隔W2は、2.0mmであり、長さL21cは、2.1mmである。
各内部電極7,9は、導体層21(部分21a,21c)に物理的に接続されていない。導体層21は、各内部電極7,9から離間している。
【0041】
部分21aの幅W4aは、図5に示されるように、外部電極5の幅W3の10%以上である。第一方向D1で互いに隣り合う電極部5aと部分21aとの間隔W5aは、幅W3の10%以上である。幅W4aは、第一方向D1での部分21aの長さである。外部電極5の幅W3は、第一方向D1での外部電極5の長さである。間隔W5aは、第一方向D1での電極部5aと部分21aとの最短距離である。本実施形態では、幅W3は、0.01~1.0mmであり、幅W4aは、0.001~2.0mmであり、間隔W5aは、0.001~2.0mmである。たとえば、幅W3は、0.65mmであり、幅W4aは、0.2mmであり、間隔W5aは、0.2mmである。図5は、外部電極と導体層とを示す図である。
部分21cの幅W4cは、図6に示されるように、幅W3の10%以上である。幅W4cは、第一方向D1での部分21cの長さである。第一方向D1で互いに隣り合う電極部5cと部分21cとの間隔W5cは、幅W3の10%以上である。間隔W5cは、第一方向D1での電極部5cと部分21cとの最短距離である。本実施形態では、幅W4cは、0.001~2.0mmであり、間隔W5cは、0.001~2.0mmである。たとえば、幅W4cは、0.2mmであり、間隔W5cは、0.2mmである。図6は、外部電極と導体層とを示す図である。
【0042】
導体層21は、たとえば、導電性樹脂層である。導体層21は、素体3上に付与された導電性樹脂を硬化させることにより形成されている。導電性樹脂は、たとえば、樹脂、複数の導電性粒子、及び有機溶媒を含んでいる。樹脂は、たとえば、熱硬化性樹脂である。導電性粒子は、たとえば、金属粒子である。金属粒子は、たとえば、銅粒子である。本実施形態では、導体層21は、複数の銅粒子を含んでいる。銅は、銀(第二電極層E2に含まれている銀粒子)よりマイグレーションが生じがたい導電性材料である。熱硬化性樹脂は、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂である。導体層21が含んでいる導電性粒子は、炭素粒子であってもよい。導体層21は、銀粒子を実質的に含んでいない。
導体層21の表面には、めっき層が形成されていてもよい。めっき層は、たとえば、第三電極層E3と同じ構成を有していてもよい。
【0043】
導体層21は、導体層21と第一方向D1で互いに隣り合っている電極部5a,5cが接続されるパッド電極に接続されるように配置されていてもよい。この場合、第一方向D1で互いに隣り合っている電極部5a,5cと導体層21とは、互いに電気的に接続され得る。
導体層21は、導体層21と第一方向D1で互いに隣り合っている電極部5a,5cとは異なるパッド電極に接続されるように配置されていてもよい。この場合、第一方向D1で互いに隣り合っている電極部5a,5cと導体層21とは、互いに電気的に接続され得ない。パッド電極は、接地されていてもよい。
【0044】
積層コンデンサC1が電子機器にはんだ実装されている場合、電子機器から積層コンデンサC1に作用する外力が電極部5cを通して素体3に作用するおそれがある。外力は、はんだ実装の際に形成されたはんだフィレットから電極部5cに伝わる。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。
積層コンデンサC1では、電極部5cが第二電極層E2を有している。したがって、外力が、電極部5cから素体3に作用しがたい。この結果、積層コンデンサC1は、クラックが素体3に発生するのを抑制する。
【0045】
電子機器から積層コンデンサC1に作用する外力が電極部5aを通して素体3に作用するおそれもある。
積層コンデンサC1では、電極部5aが第二電極層E2を有している。したがって、外力が、電極部5aから素体3に作用しがたい。この結果、積層コンデンサC1は、クラックが素体3に発生するのをより一層抑制する。
【0046】
積層コンデンサC1では、電極部5eが第二電極層E2を有している。電極部5eの第二電極層E2は、電極部5eに形成されるはんだフィレットに作用する応力を緩和する。したがって、積層コンデンサC1は、はんだクラックの発生を抑制する。
【0047】
積層コンデンサC1では、内部電極7,9と、当該内部電極7,9が電気的に接続されていない第二電極層E2との間に生じる電界が、第二電極層E2が含んでいる銀粒子に作用する場合、導体層21が、銀粒子に作用する電界を低く抑える。すなわち、外部電極5の第二電極層E2に比して、導体層21に電界が集中するので、外部電極5の第二電極層E2に電界が集中しがたい。したがって、銀粒子の原子がイオン化しがたい。
積層コンデンサC1では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が導体層21を流れ、素体3から供給される電子が低減される。したがって、第二電極層E2から移動する銀イオンは、素体3の表面上に金属として析出しがたい。
これらの結果、いずれの場合でも、積層コンデンサC1は、マイグレーションの発生を抑制する。
【0048】
積層コンデンサC1では、導体層21は、導体層21と第一方向D1で隣り合っている電極部5a,5cが接続されるパッド電極に接続されるように配置されている構成では、導体層21が、銀粒子に作用する電界をより一層低く抑える。したがって、積層コンデンサC1は、マイグレーションの発生をより一層抑制する。
導体層21が、導体層21と第一方向D1で隣り合っている電極部5a,5cが接続されるパッド電極とは異なるパッド電極に接続されるように配置されている構成では、漏れ電流が確実に導体層21を流れ、素体3から供給される電子がより一層低減される。したがって、積層コンデンサC1は、マイグレーションの発生をより一層抑制する。
【0049】
導体層21の部分21aが、第三方向D3に延在している構成では、電界が、銀粒子に作用する場合、部分21aが、銀粒子に作用する電界をより一層低く抑える。部分21aが、第三方向D3に延在している構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が確実に部分21aを流れ、素体3から供給される電子がより一層低減される。
導体層21の部分21cが、第二方向D2に延在している構成では、電界が、銀粒子に作用する場合、部分21cが、銀粒子に作用する電界をより一層低く抑える。部分21cが、第二方向D2に延在している構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が確実に部分21cを流れ、素体3から供給される電子がより一層低減される。
【0050】
長さL21cが、間隔W2以上である構成では、電界が、銀粒子に作用する場合、導体層21の部分21cが、銀粒子に作用する電界をより一層確実に低く抑える。長さL21cが、間隔W2以上である構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、素体3から供給される電子がより一層確実に低減される。
長さL21aが、幅W1以上である構成では、電界が、銀粒子に作用する場合、導体層21の部分21aが、銀粒子に作用する電界をより一層確実に低く抑える。長さL21aが、幅W1以上である構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、素体3から供給される電子がより一層確実に低減される。
【0051】
導体層21の部分21aが、電極部5aの端縁5aに沿って延在している構成では、電界が、金属粒子に作用する場合、部分21aが、銀粒子に作用する電界をより一層低く抑える。部分21aが、電極部5aの端縁5aに沿って延在している構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が確実に部分21aを流れ、素体3から供給される電子がより一層低減される。
導体層21の部分21cが、電極部5cの端縁5cに沿って延在している構成では、電界が、金属粒子に作用する場合、部分21cが、銀粒子に作用する電界をより一層低く抑える。部分21cが、電極部5cの端縁5cに沿って延在している構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が確実に部分21cを流れ、素体3から供給される電子がより一層低減される。
【0052】
積層コンデンサC1が電子機器にはんだ実装されている場合、電子機器から積層コンデンサC1に作用する外力が導体層21を通して素体3に作用するおそれがある。外力は、はんだ実装の際に形成されたはんだフィレットから導体層21に伝わる。
導体層21が樹脂を含んでいる構成は、導体層21がはんだ実装される場合でも、外力が、導体層21から素体3に作用しがたい。したがって、積層コンデンサC1は、クラックが素体3に発生するのを抑制する。
【0053】
第二電極層E2は、複数の銀粒子を含んでいる。銀粒子は、たとえば、銅粒子に比して、マイグレーションを生じさせやすい。
積層コンデンサC1は、第二電極層E2が複数の銀粒子を含んでいる場合でも、マイグレーションの発生を確実に抑制する。
【0054】
次に、図7及び図8を参照して、積層コンデンサC1の実装構造を説明する。図7及び図8は、本実施形態に係る積層コンデンサの実装構造を示す図である。
【0055】
図7に示されるように、電子部品装置は、積層コンデンサC1と、電子機器ED1と、を備えている。電子機器ED1は、たとえば、回路基板又は電子部品である。積層コンデンサC1は、電子機器ED1にはんだ実装されている。電子機器ED1は、主面ED1aと、二つのパッド電極PEを有している。各パッド電極PEは、主面ED1aに配置されている。二つのパッド電極PEは、互いに離間している。積層コンデンサC1は、実装面を構成する側面3aと主面ED1aとが対向するように、電子機器ED1に配置されている。各内部電極7,9は、主面ED1aと略平行な面内に位置している。側面3cが実装面を構成する場合、各内部電極7,9は、主面ED1aと略直交する面内に位置している。
【0056】
積層コンデンサC1がはんだ実装される場合、溶融したはんだが外部電極5(第三電極層E3)及び導体層21(めっき層)を濡れ上がる。濡れ上がったはんだが固化することにより、はんだフィレットSFが外部電極5及び導体層21に形成される。互いに対応するパッド電極PEと外部電極5及び導体層21とは、はんだフィレットSFを介して連結されている。第一方向D1で互いに隣り合っている外部電極5及び導体層21とは、同じパッド電極PEと連結されている。図5で示されている積層コンデンサC1では、導体層21は、導体層21と第一方向D1で互いに隣り合っている電極部5a,5cが接続されるパッド電極PEに接続されるように配置されている。
【0057】
図8に示されるように、電子部品装置は、積層コンデンサC1と、電子機器ED2と、を備えている。電子機器ED2も、たとえば、回路基板又は電子部品である。積層コンデンサC1は、電子機器ED2にはんだ実装されている。電子機器ED2は、主面ED2aと、二つのパッド電極PEと、二つのパッド電極PEeを有している。各パッド電極PE,PEeは、主面ED2aに配置されている。各パッド電極PE,PEeは、互いに離間している。積層コンデンサC1は、実装面を構成する側面3aと主面ED2aとが対向するように、電子機器ED2に配置されている。各内部電極7,9は、主面ED2aと略平行な面内に位置している。側面3cが実装面を構成する場合、各内部電極7,9は、主面ED2aと略直交する面内に位置している。各パッド電極PEeは、接地されている。
【0058】
互いに対応するパッド電極PEと外部電極5とは、はんだフィレットSFを介して連結されている。互いに対応するパッド電極PEeと導体層21とも、はんだフィレットSFを介して連結されている。外部電極5及び導体層21とは、互いに異なるパッド電極PE,PEeとそれぞれ連結されている。図6で示されている積層コンデンサC1では、導体層21は、導体層21と第一方向D1で互いに隣り合っている電極部5a,5cが接続されるパッド電極PEとは異なるパッド電極PEeに接続されるように配置されている。
【0059】
次に、図9図12を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図9図10図11、及び図12は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。本変形例に係る積層コンデンサC1は、概ね、上述した積層コンデンサC1と類似又は同じであるが、本変形例は、内部電極7A,9Aの構成に関して、上述した本実施形態と相違する。以下、上述した本実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
【0060】
内部電極7Aは、図9及び図10に示されるように、第一方向D1で互いに対向している一対の端7Ae,7Aeを有している。端7Aeは、端面3eに露出している。端7Aeは、素体3内に位置している。内部電極9Aは、図9及び図11に示されるように、第一方向D1で互いに対向している一対の端9Ae,9Aeを有している。端9Aeは、端面3eに露出している。端9Aeは、素体3内に位置している。たとえば、各端7Ae,9Aeが、第一端を構成する場合、各端7Ae,9Aeは、第二端を構成する。
【0061】
電極部5aの第二電極層E2は、側面3a上に位置している。同じ側面3a上に位置している各第二電極層E2は、端縁E2aを有している。同じ側面3a上において、一方の第二電極層E2の端縁E2aは、他方の第二電極層E2の端縁E2aと対向している。
【0062】
図9に示されるように、内部電極7Aの、基準面PL1からの第一方向D1での長さL1は、基準面PL1から、内部電極7Aと電気的に接続されている第二電極層E2の端縁E2aまでの第一方向D1での長さL2より大きい。したがって、内部電極7Aと、内部電極7Aが電気的に接続されている第二電極層E2とを第二方向D2から見たとき、端7Aeは、内部電極7Aが電気的に接続されている第二電極層E2から露出している。
長さL1は、基準面PL1から、内部電極7Aが電気的に接続されていない第二電極層E2の端縁E2aまでの第一方向D1での長さL3より小さい。したがって、内部電極7Aと、内部電極7Aが電気的に接続されていない第二電極層E2とを第二方向D2から見たとき、内部電極7Aと、内部電極7Aが電気的に接続されていない第二電極層E2とは、互いに重なっていない。
基準面PL1は、内部電極7Aの端7Aeが露出している端面3eを含んでいる。たとえば、長さL1が第一長さを構成する場合、長さL2が第二長さを構成し、長さL3が第三長さを構成する。
【0063】
内部電極9Aの、基準面PL2からの第一方向D1での長さL1は、基準面PL2から、内部電極9Aと電気的に接続されている第二電極層E2の端縁E2aまでの第一方向D1での長さL2より大きい。したがって、内部電極9Aと、内部電極9Aが電気的に接続されている第二電極層E2とを第二方向D2から見たとき、端9Aeは、内部電極9Aが電気的に接続されている第二電極層E2から露出している。
長さL1は、基準面PL2から、内部電極9Aが電気的に接続されていない第二電極層E2の端縁E2aまでの第一方向D1での長さL3より小さい。したがって、内部電極9Aと、内部電極9Aが電気的に接続されていない第二電極層E2とを第二方向D2から見たとき、内部電極9Aと、内部電極9Aが電気的に接続されていない第二電極層E2とは、互いに重なっていない。
基準面PL2は、内部電極9Aの端9Aeが露出している端面3eを含んでいる。たとえば、長さL1が第一長さを構成する場合、長さL2が第二長さを構成し、長さL3が第三長さを構成する。
【0064】
基準面PL1から内部電極9の他端までの第一方向D1での長さL4は、長さL2より小さい。したがって、内部電極7Aと電気的に接続されていない内部電極9と、内部電極7Aが電気的に接続されている第二電極層E2とを第二方向D2から見たとき、内部電極9と、内部電極7Aが電気的に接続されている第二電極層E2とは、互いに重なっている。
基準面PL2から内部電極7の他端までの第一方向D1での長さL4は、長さL2より小さい。したがって、内部電極9Aと電気的に接続されていない内部電極7と、内部電極9Aが電気的に接続されている第二電極層E2とを第二方向D2から見たとき、内部電極7と、内部電極9Aが電気的に接続されている第二電極層E2とは、互いに重なっている。
【0065】
長さL1と長さL1とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。長さL2と長さL2とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。長さL3と長さL3とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。長さL4と長さL4とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0066】
積層コンデンサC1は、複数の導体11,13を備えている。積層コンデンサC1は、二つの導体11,13を備えている。図10及び図11では、説明のため、各内部電極7,9(内部電極7A,9A)及び各導体11,13は、意図的に、第三方向D3に互いにずれて図示されている。
導体11は、内部電極7Aと同じ層に位置していると共に内部電極7Aから離間している。導体11は、対応する端面3eに露出している一端を有している。導体11の一端は、内部電極9の一端が露出している端面3eに露出している。導体11の一端は、対応する電極部5eによりすべて覆われている。導体11は、対応する電極部5eと直接的に接続されている。導体11は、対応する外部電極5と電気的に接続されている。積層コンデンサC1では、導体11は、内部電極9が電気的に接続されている外部電極5(電極部5e)と電気的に接続されている。すなわち、導体11は、内部電極7が電気的に接続されていない外部電極5と電気的に接続されている。
導体13は、内部電極9Aと同じ層に位置していると共に内部電極9Aから離間している。導体13は、対応する端面3eに露出している一端を有している。導体13の一端は、内部電極7の一端が露出している端面3eに露出している。導体13の一端は、対応する電極部5eによりすべて覆われている。導体13は、対応する電極部5eと直接的に接続されている。導体13は、対応する外部電極5と電気的に接続されている。積層コンデンサC1では、導体13は、内部電極7が電気的に接続されている外部電極5(電極部5e)と電気的に接続されている。すなわち、導体13は、内部電極9が電気的に接続されていない外部電極5と電気的に接続されている。
導体11,13は、静電容量の形成に寄与しがたいダミー導体を構成する。
【0067】
積層コンデンサC1では、長さL1,L1が長さL2,L2より大きい。したがって、内部電極7A,9Aと第二方向D2で隣り合う内部電極7,9と、内部電極7A,9Aと第二方向D2で隣り合う電極部5aが含んでいる第二電極層E2とは、互いに電気的に接続されていないものの、第二方向D2で互いに対向しがたい。互いに電気的に接続されていない第二電極層E2と内部電極7,9との間に電界が生じがたい。
長さL1,L1が長さL3,L3より小さい。したがって、内部電極7A,9Aは、内部電極7A,9Aが電気的に接続されていない電極部5aが含んでいる第二電極層E2と、第二方向D2で対向しがたい。互いに電気的に接続されていない第二電極層E2と内部電極7A,9Aとの間に電界が生じがたい。
これらの結果、積層コンデンサC1は、マイグレーションが電極部5aの第二電極層E2から発生するのを抑制する。このため、導体層21は、各部分21aを有していなくてもよい。すなわち、導体層21は、各側面3aに配置されていなくてもよい。導体層21は、一対の側面3cに配置されていればよい。各部分21cを電気的に接続する必要がある場合、導体層21は、図12にも示されるように、一つの部分21aを有していてもよい。
【0068】
積層コンデンサC1では、導体11は、内部電極7Aが電気的に接続されていない外部電極5と電気的に接続されている。導体13は、内部電極9Aが電気的に接続されていない外部電極5と電気的に接続されている。
導体11,13が内部電極7A,9Aと同じ層に位置している構成では、構造欠陥が素体3に生じがたい。
【0069】
次に、図13図15を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図13図14、及び図15は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。本変形例に係る積層コンデンサC1は、概ね、図9図12に示されている積層コンデンサC1と類似又は同じであるが、本変形例は、各導体11,13の構成に関して、積層コンデンサC1と相違する。以下、積層コンデンサC1と本変形例との相違点を主として説明する。
【0070】
積層コンデンサC1は、一対の導体11,13を備えている。図14及び図15では、説明のため、各内部電極7A,9A及び各導体11,13は、意図的に、第三方向D3に互いにずれて図示されている。積層コンデンサC1でも、導体11,13は、静電容量の形成に寄与しがたいダミー導体を構成する。
【0071】
導体11は、一方の側面3aと第二方向D2で隣り合っている。導体11は、内部電極9Aと第二方向D2で隣り合っている。導体11は、内部電極9Aの外側に位置している。導体11は、一方の側面3aと内部電極9Aとの間に位置している。導体11は、図13に示されるように、部分11aと部分11bとを含んでいる。
部分11aは、内部電極9Aが電気的に接続されていないと共に一方の側面3a上に配置されている第二電極層E2に、第二方向D2で対向している。したがって、導体11は、内部電極9Aが電気的に接続されていない第二電極層E2に第二方向D2で対向している。
部分11bは、内部電極9Aが電気的に接続されていると共に一方の側面3a上に配置されている第二電極層E2に、第二方向D2で対向している。
たとえば、部分11aが、第一部分を構成する場合、部分11bは、第二部分を構成する。
【0072】
部分11aは、第一方向D1で部分11bから離間していると共に、いずれの第二電極層E2とも電気的に接続されていない。部分11aは、素体3の表面に露出する端を有していない。
部分11bは、部分11bに第二方向D2で対向している第二電極層E2と電気的に接続されている。部分11bは、内部電極9Aが露出している端面3eに露出している端を有している。部分11bは、端面3eに露出している端で、内部電極9Aが電気的に接続されている外部電極5(電極部5e)と直接的に接続されている。部分11bは、内部電極9Aが電気的に接続されている外部電極5と電気的に接続されている。
【0073】
導体13は、他方の側面3aと第二方向D2で隣り合っている。導体13は、内部電極7Aと第二方向D2で隣り合っている。導体13は、内部電極7Aの外側に位置している。導体13は、他方の側面3aと内部電極7Aとの間に位置している。導体13は、図13に示されるように、部分13aと部分13bとを含んでいる。
部分13aは、内部電極7Aが電気的に接続されていないと共に他方の側面3a上に配置されている第二電極層E2に、第二方向D2で対向している。したがって、導体13は、内部電極7Aが電気的に接続されていない第二電極層E2に第二方向D2で対向している。
部分13bは、内部電極7Aが電気的に接続されていると共に他方の側面3a上に配置されている第二電極層E2に、第二方向D2で対向している。
【0074】
部分13aは、第一方向D1で部分13bから離間していると共に、いずれの第二電極層E2とも電気的に接続されていない。部分13aは、素体3の表面に露出する端を有していない。
部分13bは、部分13bに第二方向D2で対向している第二電極層E2と電気的に接続されている。部分13bは、内部電極7Aが露出している端面3eに露出している端を有している。部分13bは、端面3eに露出している端で、内部電極7Aが電気的に接続されている外部電極5(電極部5e)と直接的に接続されている。部分13bは、内部電極7Aが電気的に接続されている外部電極5と電気的に接続されている。
たとえば、部分13aが、第一部分を構成する場合、部分13bは、第二部分を構成する。
【0075】
端7Aeは、第二方向D2から見て、導体13(部分13a)と重なっている。内部電極9Aと、内部電極9Aが電気的に接続されていないと共に一方の側面3a上に配置されている第二電極層E2と、導体13(部分13a)との位置関係において、導体13(部分13a)は、内部電極9Aと第二電極層E2との間に位置している。したがって、上記位置関係において、内部電極9Aと、内部電極9Aが電気的に接続されていないと共に一方の側面3a上に配置されている第二電極層E2とは、第二方向D2で対向しない。
【0076】
端9Aeは、第二方向D2から見て、導体11(部分11a)と重なっている。内部電極7Aと、内部電極7Aが電気的に接続されていないと共に他方の側面3a上に配置されている第二電極層E2と、導体11(部分11a)との位置関係において、導体11(部分11a)は、内部電極7Aと第二電極層E2との間に位置している。したがって、上記位置関係において、内部電極7Aと、内部電極7Aが電気的に接続されていないと共に他方の側面3a上に配置されている第二電極層E2とは、第二方向D2で対向しない。
【0077】
積層コンデンサC1では、導体11が、第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極7Aとの間に位置する。導体11により、第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極7Aとが離間する。したがって、第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極7Aとの間に電界が生じがたい。第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極7Aとの間に電界が生じる場合でも、当該電界の強度は小さい。
導体13が、第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極9Aとの間に位置する。導体13により、第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極9Aとが離間する。したがって、第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極9Aとの間に電界が生じがたい。第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極9Aとの間に電界が生じる場合でも、当該電界の強度は小さい。
これらの結果、積層コンデンサC1は、マイグレーションが電極部5aの第二電極層E2から発生するのを抑制する。このため、導体層21は、各部分21aを有していなくてもよい。すなわち、導体層21は、各側面3aに配置されていなくてもよい。導体層21は、一対の側面3cに配置されていればよい。各部分21c電気的に接続するために、導体層21は、一つの部分21aを有していてもよい。
【0078】
積層コンデンサC1では、導体11は、部分11aと部分11bとを含み、導体13は、部分13aと、部分13bとを含んでいる。
部分11aは、導体11と第二方向D2で隣り合う内部電極9Aが電気的に接続されていない第二電極層E2に第二方向D2で対向している。部分11bは、内部電極9Aが電気的に接続されている第二電極層E2に第二方向D2で対向している。
部分13aは、導体13と第二方向D2で隣り合う内部電極7Aが電気的に接続されていない第二電極層E2に第二方向D2で対向している。部分13bは、内部電極7Aが電気的に接続されている第二電極層E2に第二方向D2で対向している。
積層コンデンサC1では、第一方向D1での中央より一方の端面3e側での構成と、第一方向D1での中央より他方の端面3e側での構成が相違しがたい。したがって、構造欠陥が素体3に生じがたい。
【0079】
積層コンデンサC1では、端7Aeは、第二方向D2から見て、導体13(部分13a)と重なっている。したがって、第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極7Aとの間に電界がより一層生じがたい。端9Aeは、第二方向D2から見て、導体11(部分11a)と重なっている。したがって、第二電極層E2と、第二電極層E2と電気的に接続されていない内部電極9Aとの間に電界がより一層生じがたい。これらの結果、積層コンデンサC1は、マイグレーションが電極部5aの第二電極層E2から発生するのをより一層抑制する。
【0080】
次に、図16図19を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図16図17図18、及び図19は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。本変形例に係る積層コンデンサC1は、概ね、図13図15に示されている積層コンデンサC1と類似又は同じであるが、本変形例は、各導体11,13の構成に関して、積層コンデンサC1と相違する。以下、積層コンデンサC1と本変形例との相違点を主として説明する。
【0081】
積層コンデンサC1では、部分11aと部分11bとは、一体である。導体11は、素体3の表面に露出する端を有していない。導体11は、いずれの外部電極5にも接続されていない。すなわち、導体11は、第二電極層E2とも電気的に接続されていない。導体11は、導体層21にも接続されていない。
部分13aと部分13bとは、一体である。導体13は、素体3の表面に露出する端を有していない。導体13は、いずれの外部電極5にも接続されていない。すなわち、導体13は、第二電極層E2とも電気的に接続されていない。導体13は、導体層21にも接続されていない。
図17及び図18では、説明のため、各内部電極7,9及び各導体11,13は、意図的に、第三方向D3に互いにずれて図示されている。
【0082】
本変形例でも、導体層21は、各側面3aに配置されていなくてもよい。導体層21は、一対の側面3cに配置されていればよい。各部分21cを電気的に接続する必要がある場合、導体層21は、一つの部分21aを有していてもよい。
【0083】
端7Aeは、内部電極7Aが電気的に接続されていないと共に他方の側面3a上に配置されている第二電極層E2に第二方向D2で対向している。すなわち、端7Aeは、第二方向D2から見て、導体13(部分13a)から露出している。
端9Aeは、内部電極9Aが電気的に接続されていないと共に一方の側面3a上に配置されている第二電極層E2に第二方向D2で対向している。すなわち、端9Aeは、第二方向D2から見て、導体11(部分11a)から露出している。
積層コンデンサC1では、第二方向D2での内部電極7,9の長さが大きくなり、積層コンデンサの静電容量の増大が可能となる。
【0084】
次に、図20図24を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図20は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの斜視図である。図21図22図23、及び図24は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。本変形例に係る積層コンデンサC1は、概ね、上述した積層コンデンサC1と類似又は同じであるが、本変形例は、外部電極5(第二電極層E2)及び導体層21の構成に関して、上述した本実施形態と相違する。以下、上述した本実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
図22及び図23では、説明のため、各内部電極7,9は、意図的に、第三方向D3に互いにずれて図示されている。
【0085】
外部電極5は、図21図23に示されるように、複数の電極部5a,5a,5c,5eを有している。電極部5aは、実装面を構成する一方の側面3a上と、一方の側面3aと隣り合う稜線部3g上に配置されている。電極部5aは、他方の側面3a上と、他方の側面3aと隣り合う稜線部3g上に配置されている。各電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上に配置されている。電極部5eは、端面3e上に配置されている。外部電極5は、稜線部3j上に配置されている電極部も有している。
互いに隣り合う電極部5a,5a,5c,5eは、接続されており、電気的に接続されている。電極部5a,5c,5eは、第一電極層E1、第二電極層E2、及び第三電極層E3を有している。電極部5aは、第一電極層E1及び第三電極層E3を有している。
【0086】
電極部5aの第一電極層E1は、一方の側面3a上及び稜線部3g上に配置されている。電極部5aの第一電極層E1は、一方の側面3aの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成されている。電極部5aの第一電極層E1は、一方の側面3aの上記一部と稜線部3gの全体とに接している。すなわち、電極部5aでは、第一電極層E1は、素体3と直接接している。一方の側面3aは、上記一部において第一電極層E1に覆われており、上記一部を除く残部において第一電極層E1から露出している。一方の側面3aの上記一部は、一方の側面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aの第一電極層E1は、一方の側面3a上に位置している。電極部5aでも、第一電極層E1は、一方の側面3aに形成されていなくてもよい。すなわち、第一電極層E1は、一方の側面3a上に配置されていなくてもよい。
電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び一方の側面3a上に配置されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1と一方の側面3aの一部とを覆うように形成されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1と一方の側面3aとに直接接している。電極部5aの第二電極層E2は、電極部5aの第一電極層E1を覆うように形成されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と一方の側面3aとの間に位置するように、一方の側面3aを間接的に覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、一方の側面3a上に位置している。同じ一方の側面3a上に位置している各第二電極層E2は、端縁E2aを有している。同じ一方の側面3a上において、一方の第二電極層E2の端縁E2aは、他方の第二電極層E2の端縁E2aと対向している。
電極部5aの第三電極層E3は、第二電極層E2上に配置されている。電極部5aでは、第三電極層E3は、第二電極層E2を覆っている。電極部5aでは、第三電極層E3は、第二電極層E2と接している。すなわち、電極部5aでは、第三電極層E3は、第二電極層E2と直接接している。電極部5aでは、第三電極層E3は、第一電極層E1と直接接していない。電極部5aの第三電極層E3は、一方の側面3a上に位置している。
【0087】
電極部5aの第一電極層E1は、他方の側面3a上及び稜線部3g上に配置されている。電極部5aの第一電極層E1は、他方の側面3aの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成されている。電極部5aの第一電極層E1は、他方の側面3aの上記一部と稜線部3gの全体とに接している。すなわち、電極部5aでは、第一電極層E1は、素体3と直接接している。他方の側面3aは、上記一部において第一電極層E1に覆われており、上記一部を除く残部において第一電極層E1から露出している。他方の側面3aの上記一部は、他方の側面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aの第一電極層E1は、他方の側面3a上に位置している。第一電極層E1は、他方の側面3aに形成されていなくてもよい。すなわち、第一電極層E1は、他方の側面3a上に配置されていなくてもよい。
電極部5aの第三電極層E3は、第一電極層E1上に配置されている。電極部5aでは、第三電極層E3は、第一電極層E1を覆っている。電極部5aでは、第三電極層E3は、第一電極層E1と接している。すなわち、電極部5aでは、第三電極層E3は、第一電極層E1と直接接している。電極部5aの第三電極層E3は、他方の側面3a上に位置している。電極部5aは、第二電極層E2を有していない。すなわち、他方の側面3aは、第二電極層E2で覆われていない。
【0088】
電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び側面3c上に配置されている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の一部と側面3cの一部とを覆うように形成されている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の上記一部と側面3cの上記一部とに直接接している。電極部5cの第二電極層E2は、電極部5cの第一電極層E1の上記一部を覆うように形成されている。側面3cの上記一部は、たとえば、側面3cにおける側面3a及び端面3e寄りの角領域である。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と側面3cとの間に位置するように、側面3cの上記一部を間接的に覆っている。電極部5cの第一電極層E1は、上記一部において第二電極層E2に覆われており、上記一部を除く残部において第二電極層E2から露出している。電極部5cの第二電極層E2は、側面3c上に位置している。
電極部5cの第三電極層E3は、第一電極層E1上及び第二電極層E2上に配置されている。電極部5cでは、第三電極層E3は、第二電極層E2の全体を覆っていると共に、第一電極層E1の、第二電極層E2から露出している部分の全体を覆っている。電極部5cでは、第三電極層E3は、第二電極層E2の全体と接していると共に、第一電極層E1の、第二電極層E2から露出している部分の全体と接している。すなわち、電極部5cでは、第三電極層E3は、第一電極層E1及び第二電極層E2と直接接している。電極部5cの第三電極層E3は、側面3c上に位置している。
【0089】
電極部5cは、複数の領域5c,5cを有している。本変形例では、電極部5cは、二つの領域5c,5cのみを有している。領域5cは、領域5cよりも側面3a寄りに位置している。領域5cは、第一電極層E1及び第三電極層E3を有している。領域5cは、第二電極層E2を有していない。領域5cは、第一電極層E1、第二電極層E2、及び第三電極層E3を有している。領域5cは、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域である。領域5cは、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域である。
【0090】
電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1上に配置されている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の一部を覆うように形成されている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の上記一部に直接接している。電極部5eの第二電極層E2は、電極部5eの第一電極層E1の上記一部を覆うように形成されている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と端面3eとの間に位置するように、端面3eの一部を間接的に覆っている。端面3eの一部は、たとえば、端面3eにおける側面3a寄りの一部領域である。電極部5eの第一電極層E1は、上記一部において第二電極層E2に覆われており、上記一部を除く残部において第二電極層E2から露出している。
電極部5eの第三電極層E3は、第一電極層E1上及び第二電極層E2上に配置されている。電極部5eでは、第三電極層E3は、第二電極層E2の全体を覆っていると共に、第一電極層E1の、第二電極層E2から露出している部分の全体を覆っている。電極部5eでは、第三電極層E3は、第二電極層E2の全体と接していると共に、第一電極層E1の、第二電極層E2から露出している部分の全体と接している。すなわち、電極部5eでは、第三電極層E3は、第一電極層E1及び第二電極層E2と直接接している。電極部5eの第三電極層E3は、端面3e上に位置している。
電極部5eは、第二電極層E2を有していなくてもよい。電極部5eが、第二電極層E2を有していない場合、電極部5eでは、第三電極層E3は、第一電極層E1の全体を覆っていると共に、第一電極層E1と直接接している。
【0091】
電極部5eは、複数の領域5e,5eを有している。本変形例では、電極部5eは、二つの領域5e,5eのみを有している。領域5eは、領域5eよりも側面3a寄りに位置している。領域5eは、第一電極層E1及び第三電極層E3を有している。領域5eは、第二電極層E2を有していない。領域5eは、第一電極層E1、第二電極層E2、及び第三電極層E3を有している。電極部5eでは、第三電極層E3は、第一方向D1から見て、端面3eの全体を覆うように形成されている。本変形例では、第三電極層E3は、端面3eの全体を間接的に覆っている。領域5eは、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域である。領域5eは、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域である。
【0092】
積層コンデンサC1では、第二電極層E2は、側面3aの一部のみ、端面3eの一部のみ、及び一対の側面3cの各一部のみを連続して覆っている。すなわち、第二電極層E2は、側面3aの一部のみ、端面3eの一部のみ、及び一対の側面3cの各一部のみを連続して覆うように設けられている部分を有している。端面3eの上記一部は、端面3eにおける側面3a寄りの一部である。各側面3cの上記一部は、側面3cにおける側面3a寄りの一部である。第二電極層E2は、一方の側面3aと隣り合う稜線部3gの全体、稜線部3iの一部のみ、及び稜線部3jの一部のみを覆っている。第一電極層E1の、稜線部3iを覆っている部分の一部は、第二電極層E2から露出している。たとえば、各領域5c,5eが有する第一電極層E1は、第二電極層E2から露出している。
電極部5eが第二電極層E2を有していない構成では、第二電極層E2は、一方の側面3aの一部のみ及び一対の側面3cの各一部のみを連続して覆っている。すなわち、第二電極層E2は、側面3aの一部のみ及び一対の側面3cの各一部のみを連続して覆うように設けられている部分を有する。
【0093】
一方の側面3aと第二方向で隣り合う内部電極(本変形例では、たとえば、内部電極9A)と、当該内部電極が電気的に接続されていない電極部5aの第二電極層E2とは、第二方向D2で互いに対向している。
内部電極7と、内部電極7が電気的に接続されていない電極部5c(領域5c)の第二電極層E2とは、第三方向D3で互いに対向している。内部電極9(本変形例では、内部電極9A)と、内部電極9が電気的に接続されていない電極部5c(領域5c)の第二電極層E2とは、第三方向D3で互いに対向している。
【0094】
導体層21は、図24に示されているように、一方の側面3aに配置されている部分21aと、各側面3cに配置されている部分21cとを有している。導体層21は、他方の側面3aには配置されていない。本変形例でも、部分21aと部分21cとは一体に設けられている。すなわち、各導体層21は、一方の側面3aと隣り合っている各稜線部3jにも配置されている。
長さL21cは、電極部5c(領域5c)と第三方向D3で対向している内部電極7,9の間隔W2以上である。間隔W2は、電極部5c(領域5c)と第三方向D3で対向している複数の内部電極7,9のうち、一方の側面3aに最も近い内部電極(本変形例では、内部電極9A)と他方の側面3aに最も近い内部電極(本変形例では、内部電極7)との間隔である。本変形例では、間隔W2は、0.001~0.25mmであり、長さL21cは、0.01~1.5mmである。たとえば、間隔W2は、0.015mmであり、長さL21cは、0.8mmである。
【0095】
部分21aは、図25に示されるように、電極部5aの端縁5a1eから離間している。部分21aは、電極部5aの端縁5a1eに沿って、第三方向D3に延在している。図25は、外部電極と導体層とを示す図である。
部分21cは、図26に示されるように、電極部5cの領域5cの端縁5c2eから離間している。部分21cは、領域5cの端縁5c2eに沿って、第二方向D2に延在している。電極部5cの領域5cは、第二電極層E2を有していない。したがって、部分21cは、電極部5cの領域5cの端縁に沿って、第二方向D2に延在していなくてもよい。部分21cは、領域5cに対応する位置に設けられていればよく、領域5cに対応する位置に設けられていなくてもよい。図26は、外部電極と導体層とを示す図である。
【0096】
積層コンデンサC1は、導体層21(部分21a,21c)を備えている。したがって、積層コンデンサC1は、積層コンデンサC1と同様に、マイグレーションの発生を抑制する。
【0097】
長さL21cが、間隔W2以上である構成では、電界が、銀粒子に作用する場合、導体層21の部分21cが、銀粒子に作用する電界をより一層確実に低く抑える。長さL21cが、間隔W2以上である構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、素体3から供給される電子がより一層確実に低減される。
【0098】
導体層21の部分21aが、電極部5aの端縁5a1eに沿って延在している構成では、電界が、金属粒子に作用する場合、部分21aが、銀粒子に作用する電界をより一層低く抑える。部分21aが、電極部5aの端縁5a1eに沿って延在している構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が確実に部分21aを流れ、素体3から供給される電子がより一層低減される。
導体層21の部分21cが、領域5cの端縁5c2eに沿って延在している構成では、電界が、金属粒子に作用する場合、部分21cが、銀粒子に作用する電界をより一層低く抑える。部分21cが、領域5cの端縁5c2eに沿って延在している構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、漏れ電流が確実に部分21cを流れ、素体3から供給される電子がより一層低減される。
【0099】
電極部5aは、第二電極層E2を有していない。このため、導体層21は、他方の側面3aに配置されている部分を有していなくてもよい。すなわち、導体層21は、他方の側面3aに配置されていなくてもよい。導体層21は、一方の側面3a及び一対の側面3cに配置されていればよい。
積層コンデンサC1は、積層コンデンサC1,C1,C1と同様に、導体13を備えていてもよい。積層コンデンサC1が、導体13を備えている場合、導体層21は、部分21aを有していなくてもよい。すなわち、導体層21は、一方の側面3aに配置されていなくてもよい。導体層21は、一対の側面3cに配置されていればよい。各部分21cを電気的に接続する必要がある場合、導体層21は、一つの部分21aを有していてもよい。
【0100】
次に、図27図30を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図27図28図29、及び図30は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。本変形例に係る積層コンデンサC1は、概ね、上述した積層コンデンサC1と類似又は同じであるが、本変形例は、内部電極7,9の構成に関して、積層コンデンサC1と相違する。以下、積層コンデンサC1と本変形例との相違点を主として説明する。
【0101】
内部電極7と内部電極9とは、図27図29示されるように、第三方向D3において異なる位置(層)に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、素体3内において、第三方向D3に間隔を有して対向するように交互に配置されている。この場合、素体3は、第三方向D3に複数の誘電体層が積層されて構成されている。積層コンデンサC1では、複数の誘電体層の積層方向が第三方向D3と一致する。図27では、説明のため、内部電極7,9は、意図的に、第二方向D2に互いにずれて図示されている。
複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第三方向D3で交互に並んでいる。複数の内部電極7,9は、第三方向D3に並ぶように素体3内に配置されている。各内部電極7,9は、各側面3cと略平行な面内に位置している。内部電極7と内部電極9とは、第三方向D3で互いに対向している。内部電極7と内部電極9とが対向している方向(第三方向D3)は、各側面3cと平行な方向(第二方向D2及び第一方向D1)と直交している。
【0102】
内部電極7と、内部電極7が電気的に接続されていない電極部5aの第二電極層E2とは、第二方向D2で互いに対向している。内部電極7と、内部電極7が電気的に接続されていない電極部5cの第二電極層E2とは、第三方向D3で互いに対向している。内部電極9と、内部電極9が電気的に接続されていない電極部5aの第二電極層E2とは、第二方向D2で互いに対向している。内部電極9と、内部電極9が電気的に接続されていない電極部5cの第二電極層E2とは、第三方向D3で互いに対向している。
【0103】
本変形例では、図30に示されるように、導体層21は、一方の側面3aに配置されている部分21aと、各側面3cに配置されている部分21cと、を有している。導体層21は、他方の側面3aに配置されている部分21aを有していない。すなわち、本変形例では、導体層21は、一方の側面3a及び一対の側面3cに配置されていればよい。
第三方向D3での部分21aの長さL21aは、間隔W2以上である。本変形例では、間隔W2は、第三方向D3での、内部電極7Aと内部電極9Aとの間隔である。
第二方向D2での部分21cの長さL21cは、幅W1以上である。本変形例では、幅W1は、第二方向D2での内部電極7,9の長さである。
【0104】
長さL21aが、間隔W2以上である構成では、電界が、銀粒子に作用する場合、導体層21の部分21aが、銀粒子に作用する電界をより一層確実に低く抑える。長さL21aが、間隔W2以上である構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、素体3から供給される電子がより一層確実に低減される。
長さL21cが、幅W1以上である構成では、電界が、銀粒子に作用する場合、導体層21の部分21cが、銀粒子に作用する電界をより一層確実に低く抑える。長さL21cが、幅W1以上である構成では、積層コンデンサC1に漏れ電流が生じる場合、素体3から供給される電子がより一層確実に低減される。
【0105】
次に、図31図34を参照して、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図31図32図33、及び図34は、本実施形態の変形例に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。本変形例に係る積層コンデンサC1は、概ね、上述した積層コンデンサC1と類似又は同じであるが、本変形例は、内部電極7A,9A及び導体層21の構成に関して、積層コンデンサC1と相違する。以下、積層コンデンサC1と本変形例との相違点を主として説明する。
【0106】
内部電極7Aは、内部電極7Aと電気的に接続されている電極部5cと第三方向D3で隣り合っている。内部電極7Aと電気的に接続されている電極部5cは、内部電極7Aと第三方向D3で隣り合っている一方の側面3c上に位置している。
内部電極9Aは、内部電極9Aと電気的に接続されている電極部5cと第三方向D3で隣り合っている。内部電極9Aと電気的に接続されている電極部5cは、内部電極9Aと第三方向D3で隣り合っている他方の側面3c上に位置している。
各電極部5cは、上述したように、第二電極層E2を有している。
【0107】
電極部5cの第二電極層E2は、側面3c上に位置している。同じ側面3c上に位置している各第二電極層E2は、端縁E2cを有している。同じ側面3c上において、一方の第二電極層E2の端縁E2cは、他方の第二電極層E2の端縁E2cと対向している。
【0108】
図33に示されるように、内部電極7Aの長さL1は、基準面PL1から、内部電極7Aと電気的に接続されている第二電極層E2の端縁E2cまでの第一方向D1での長さL5より大きい。したがって、内部電極7Aと、内部電極7Aが電気的に接続されている第二電極層E2とを第三方向D3から見たとき、端7Aeは、内部電極7Aが電気的に接続されている第二電極層E2から露出している。
内部電極7Aの長さL1は、基準面PL1から、内部電極7Aが電気的に接続されていない第二電極層E2の端縁E2cまでの第一方向D1での長さL6より小さい。したがって、内部電極7Aと、内部電極7Aが電気的に接続されていない第二電極層E2とを第三方向D3から見たとき、内部電極7Aと、内部電極7Aが電気的に接続されていない第二電極層E2とは、互いに重なっていない。
本変形例では、たとえば、長さL1が第四長さを構成する場合、長さL5が第五長さを構成し、長さL6が第六長さを構成する。
【0109】
内部電極9Aの長さL1は、基準面PL2から、内部電極9Aと電気的に接続されている第二電極層E2の端縁E2cまでの第一方向D1での長さL5より大きい。したがって、内部電極9Aと、内部電極9Aが電気的に接続されている第二電極層E2とを第三方向D3から見たとき、端9Aeは、内部電極9Aが電気的に接続されている第二電極層E2から露出している。
長さL1は、基準面PL2から、内部電極9Aが電気的に接続されていない第二電極層E2の端縁E2cまでの第一方向D1での長さL6より小さい。したがって、内部電極9Aと、内部電極9Aが電気的に接続されていない第二電極層E2とを第三方向D3から見たとき、内部電極9Aと、内部電極9Aが電気的に接続されていない第二電極層E2とは、互いに重なっていない。
たとえば、長さL1が第四長さを構成する場合、長さL5が第五長さを構成し、長さL6が第六長さを構成する。
【0110】
長さL1と長さL1とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。長さL5と長さL5とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。長さL6と長さL6とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0111】
積層コンデンサC1は、積層コンデンサC1と同じく、複数の導体11,13を備えている。積層コンデンサC1は、二つの導体11,13を備えている。図31及び図32では、説明のため、各内部電極7,9(内部電極7A,9A)及び各導体11,13は、意図的に、第二方向D2に互いにずれて図示されている。本変形例でも、導体11,13は、静電容量の形成に寄与しがたいダミー導体を構成する。
【0112】
積層コンデンサC1では、長さL1,L1が長さL5,L5より大きい。したがって、内部電極7A,9Aと第三方向D3で隣り合う内部電極7,9と、内部電極7A,9Aと第三方向D3で隣り合う電極部5cが含んでいる第二電極層E2とは、互いに電気的に接続されていないものの、第三方向D3で互いに対向しがたい。互いに電気的に接続されていない第二電極層E2と内部電極7,9との間に電界が生じがたい。
長さL1,L1が長さL6,L6より小さい。したがって、内部電極7A,9Aは、内部電極7A,9Aが電気的に接続されていない電極部5cが含んでいる第二電極層E2と、第三方向D3で対向しがたい。互いに電気的に接続されていない第二電極層E2と内部電極7A,9Aとの間に電界が生じがたい。
これらの結果、積層コンデンサC1は、マイグレーションが電極部5cの第二電極層E2から発生するのを抑制する。このため、導体層21は、各部分21cを有していなくてもよい。すなわち、導体層21は、図34に示されるように、各側面3cに配置されていなくてもよい。導体層21は、一方の側面3aに配置されていればよい。
【0113】
導体11,13は、積層コンデンサC1,C1が備えている導体11,13と同様の構成を有していてもよい。すなわち、導体11は、部分11aと部分11bとを含んでいてもよく、導体13は、部分13aと部分13bとを含んでいてもよい。これらの場合でも、導体層21は、一方の側面3aに配置されていればよい。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0115】
導体層21が、導体層21と第一方向D1で互いに隣り合っている電極部5a,5cとは異なるパッド電極に接続されるように配置されている場合、二つの導体層21は一体に設けられていてもよい。
導体層21が、導体層21と第一方向D1で互いに隣り合っている電極部5a,5cが接続されるパッド電極に接続されるように配置されている場合、二つの導体層21は別体に設けられる。すなわち、各導体層21は、物理的に離間する。
【0116】
積層コンデンサC1,C1は、各導体11,13を備えていなくてもよい。積層コンデンサC1,C1が各導体11,13を備えている場合、上述したように、構造欠陥が素体3に生じがたい。
【0117】
本実施形態及び変形例では、電子部品として積層コンデンサC1,C1~C1を例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コンデンサに限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。
【符号の説明】
【0118】
3…素体、3a,3c…側面、3e…端面、5…外部電極、5a,5a,5c,5e…電極部、7,7A,9,9A…内部電極、11,13…導体、21…導体層、C1,C1~C1…積層コンデンサ、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向、E1…第一電極層、E2…第二電極層、E3…第三電極層。
図1
図2
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