(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】加熱機器監視システム
(51)【国際特許分類】
F24C 7/04 20210101AFI20240711BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20240711BHJP
F24C 1/00 20060101ALI20240711BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F24C7/04 301A
F24C3/12 L
F24C1/00 350Z
H05B6/12 324
F24C3/12 D
(21)【出願番号】P 2021004320
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩野 岳
(72)【発明者】
【氏名】丸田 さやか
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-070947(JP,A)
【文献】特開2004-293953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/04
F24C 3/12
F24C 1/00
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱機器と、
前記加熱機器の監視者が操作する監視端末と、を備えている加熱機器監視システムであって、
前記加熱機器は、
被加熱物を加熱する加熱部と、
ユーザからの操作を受け付ける操作部と、
前記操作部からの指示によって前記加熱部を制御する加熱制御部と、
前記監視端末と通信可能に構成されている制御装置と、を備えており、
前記制御装置は、
前記監視端末から、加熱中の前記加熱部を制御するための加熱制御指示を受信する加熱制御指示受信部と、
受信した前記加熱制御指示に従って所定処理を実行する処理実行部と、
前記加熱機器のユーザが、前記加熱機器の近傍の領域である第1の領域および前記第1の領域よりも前記加熱機器から離間した領域である第2の領域のどちらの領域に存在するかを判定するユーザ存在領域判定部と、
前記ユーザが存在する前記領域に応じて、前記処理実行部が実行する前記所定処理を制限する処理実行制限部と、
を備え
、
前記処理実行制限部は、前記ユーザが前記第1の領域に存在する場合に、前記ユーザが前記第2の領域に存在する場合よりも強く前記所定処理を制限する、
加熱機器監視システム。
【請求項2】
前記ユーザ存在領域判定部は、前記ユーザが、どちらの前記領域にも存在しないことをさらに判定し、
前記処理実行制限部は、どちらの前記領域にも存在しない場合に、前記所定処理を制限しない、請求項1に記載の加熱機器監視システム。
【請求項3】
前記加熱部の加熱中に前記ユーザが前記第1の領域に存在する場合に、前記ユーザが前記第1の領域に存在することを示すユーザ存在通知を前記監視端末に対して通知する存在通知部をさらに備える、請求項1または2に記載の加熱機器監視システム。
【請求項4】
前記加熱部の加熱中に前記ユーザが前記第1の領域に存在しない場合に、前記ユーザが前記第1の領域に存在しないことを示すユーザ不存在通知を前記監視端末に対して通知する不存在通知部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱機器監視システム。
【請求項5】
前記ユーザ存在領域判定部は、
前記ユーザの所有する携帯端末と通信可能に構成されており、
前記携帯端末から、前記携帯端末の動きに関連する情報である携帯端末動作情報を取得し、
前記処理実行制限部は、前記携帯端末動作情報に基づいて前記携帯端末が所定時間を超えて動いていないと判断される場合に、前記所定処理の制限を緩和する、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱機器監視システム。
【請求項6】
加熱中の前記加熱部の加熱に関する情報である加熱情報を取得する加熱情報取得部をさらに備えており、
前記処理実行制限部は、取得した前記加熱情報にも応じて、制限する前記所定処理をさらに変更する、請求項1から5のいずれか一項に記載の加熱機器監視システム。
【請求項7】
前記処理実行部は、前記ユーザが入力した加熱指示にも従って前記加熱部を加熱し、
前記加熱情報取得部は、前記加熱情報として前記加熱指示を取得する、請求項6に記載の加熱機器監視システム。
【請求項8】
前記加熱部の温度を検出する温度センサから、検出した前記加熱部の温度に関係する情報を取得する温度関係情報取得部をさらに備えており、
前記加熱情報取得部は、前記加熱情報として前記温度に関係する情報を取得する、請求項6または7に記載の加熱機器監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、加熱機器監視システムに関する。特に、加熱機器と、加熱機器の監視者が操作する監視端末と、を備えている加熱機器監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報技術の発達に伴い、住宅内に配置されている加熱機器を外部に配置されている監視端末によって遠隔操作することができる技術が開発されている。例えば特許文献1の加熱機器は、加熱が開始されてから所定時間が経過してもその加熱が停止されない場合に、監視端末(特許文献1では外部端末と称している)にその旨を送信する。その場合、監視端末の遠隔操作により、加熱を停止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、加熱が開始されてから所定時間が経過した場合に、監視端末の遠隔操作で加熱停止の処理が実行される。これにより、例えば加熱機器のユーザが加熱していることを失念し、長時間加熱が継続されることを防止することができる。一方、所定時間が経過するまでは、監視端末の処理実行が制限される。これにより、監視端末の処理が過度に実行されることを防止することができる。その結果、ユーザの利便性の悪化を抑制することができる。すなわち、特許文献1では、加熱開始後の経過時間に応じて、監視端末の処理実行を制限する。
【0005】
しかしながら、所定時間が経過する前であっても、ユーザが加熱機器から離間した位置に移動した場合には、ユーザが加熱していることを失念しているおそれがある。このような場合、監視端末の処理が実行されるべきである。さらに、加熱開始後所定時間が経過しても、ユーザが加熱機器の近傍に存在する場合には、ユーザが意図的に加熱を継続している場合があり得る。このような場合、例え所定時間経過後であっても監視端末の処理が実行されると、ユーザの利便性が悪化する。本明細書では、加熱開始後の経過時間を用いることなく、監視端末の処理実行を制限することができる加熱機器監視システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する加熱機器監視システムは、加熱機器と、前記加熱機器の監視者が操作する監視端末と、を備えている。前記加熱機器は、被加熱物を加熱する加熱部と、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、前記操作部からの指示によって前記加熱部を制御する加熱制御部と、前記監視端末と通信可能に構成されている制御装置と、を備えている。前記制御装置は、加熱制御指示受信部と、処理実行部と、ユーザ存在領域判定部と、処理実行制限部と、を備えている。加熱制御指示受信部は、前記監視端末から、加熱中の前記加熱部を制御するための加熱制御指示を受信する。処理実行部は、受信した前記加熱制御指示に従って所定処理を実行する。ユーザ存在領域判定部は、前記加熱機器のユーザが、前記加熱機器の近傍の領域である第1の領域および前記第1の領域よりも前記加熱機器から離間した領域である第2の領域のどちらの領域に存在するかを判定する。処理実行制限部は、前記ユーザが存在する前記領域に応じて、前記処理実行部が実行する前記所定処理を制限し、さらに、前記ユーザが前記第1の領域に存在する場合に、前記ユーザが前記第2の領域に存在する場合よりも強く前記所定処理を制限する。
【0007】
上述した加熱機器監視システムでは、ユーザ存在領域判定部によって、ユーザと加熱機器との位置関係を検出する。例えば、ユーザが加熱機器の近傍の領域に存在する場合、加熱機器が加熱中であることをユーザが認識している可能性が高い。この場合、処理実行制限部は、監視端末からの処理実行の制限を強める。一方で、ユーザが加熱機器から離間した領域に存在する場合、加熱機器が加熱中であることをユーザが失念しているおそれがある。この場合、処理実行制限部は、監視端末からの処理実行の制限を緩和する。このように、本明細書が開示する加熱機器監視システムは、加熱開始後の経過時間を用いることなく、ユーザと加熱機器との位置関係に応じて監視端末の処理実行を制限することができる。
【0008】
上述した加熱機器監視システムでは、前記ユーザ存在領域判定部が、前記ユーザが、どちらの前記領域にも存在しないこともさらに判定してもよい。その場合、前記処理実行制限部は、どちらの前記領域にも存在しない場合に、前記所定処理を制限しなくてもよい。
【0009】
ユーザが第1の領域および第2の領域のどちらにも存在しない場合には、加熱機器が加熱中であることをユーザが失念している可能性が高い。このような構成によると、ユーザが第1の領域および第2の領域のどちらにも存在しない場合に、監視端末の処理実行が制限なく行われる。その結果、安全性を向上させることができる。
【0010】
上述した加熱機器監視システムは、前記加熱部の加熱中に前記ユーザが前記第1の領域に存在する場合に、前記ユーザが前記第1の領域に存在することを示すユーザ存在通知を前記監視端末に対して通知する存在通知部をさらに備えてもよい。
【0011】
このような構成によると、ユーザが加熱中の加熱機器の近傍に位置していることを監視者に認識させることができる。これにより、監視者は、加熱制御指示を送信する必要がないことを認識することができる。その結果、監視者が不必要な加熱制御指示を送信することを抑制することができる。
【0012】
上述した加熱機器監視システムは、前記加熱部の加熱中に前記ユーザが前記第1の領域に存在しない場合に、前記ユーザが前記第1の領域に存在しないことを示すユーザ不存在通知を前記監視端末に対して通知する不存在通知部をさらに備えてもよい。
【0013】
このような構成によると、加熱中の加熱機器からユーザが離間したことを監視者に認識させることができる。これにより、監視者は、必要なタイミングで加熱制御指示を送信しやすくなる。
【0014】
前記ユーザ存在領域判定部は、前記ユーザの所有する携帯端末と通信可能に構成されており、前記携帯端末から、前記携帯端末の動きに関連する情報である携帯端末動作情報を取得してもよい。その場合、前記処理実行制限部は、前記携帯端末動作情報に基づいて前記携帯端末が所定時間を超えて動いていないと判断される場合に、前記所定処理の制限を緩和してもよい。
【0015】
携帯端末が所定時間を超えて動いていないと判断される場合、例えば不測の事態が発生し、ユーザが動けない状況である可能性がある。そのような場合、たとえユーザが加熱機器の近傍に位置している場合であっても、所定処理を実行すべきである。上述した構成によると、携帯端末が所定時間を超えて動いていないと判断される場合に所定処理の制限を緩和することで、ユーザに不測の事態が発生した場合等に、所定処理を実行することができる。
【0016】
上述した加熱機器監視システムは、加熱中の前記加熱部の加熱に関する情報である加熱情報を取得する加熱情報取得部をさらに備えていてもよい。前記処理実行制限部は、取得した前記加熱情報にも応じて、制限する前記所定処理をさらに変更してもよい。
【0017】
加熱部は、様々な状況で加熱されることがある。加熱情報に応じて、その安全性は変化する。このような構成によると、ユーザと加熱機器との位置関係に加え、加熱情報にも応じて所定処理の制限を変更することができる。これにより、より細かく所定処理の制限を変更することができる。
【0018】
前記処理実行部は、前記ユーザが入力した加熱指示にも従って前記加熱部を加熱してもよい。その場合、前記加熱情報取得部は、前記加熱情報として前記加熱指示を取得してもよい。
【0019】
このような構成によると、ユーザと加熱機器との位置関係に加え、加熱指示にも応じて所定処理の制限を変更することができる。これにより、より細かく所定処理の制限を変更することができる。
【0020】
上述した加熱機器監視システムは、前記加熱部の温度を検出する温度センサから、検出した前記加熱部の温度に関係する情報を取得する温度関係情報取得部をさらに備えていてもよい。その場合、前記加熱情報取得部は、前記加熱情報として前記温度に関係する情報を取得してもよい。
【0021】
このような構成によると、ユーザと加熱機器との位置関係に加え、温度に関係する情報にも応じて所定処理の制限を変更することができる。これにより、より細かく所定処理の制限を変更することができる。
【0022】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施例の加熱機器監視システム2のブロック図を示す。
【
図2】監視端末100のハードウェアの構成を示す。
【
図3】加熱調理器10のハードウェアの構成を示す。
【
図4】制御装置20がユーザの存在領域を判定するために実行する処理のフローを示す。
【
図5】加熱停止指示を受信した場合に制御装置20が実行する処理のフローを示す。
【
図6】火力低下指示を受信した場合に制御装置20が実行する処理のフローを示す。
【
図7】第2実施例の制御装置20が加熱停止指示を受信した場合に実行する処理のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施例)
図1を参照して、第1実施例の加熱機器監視システム2の構成について説明する。加熱機器監視システム2は、加熱調理器10と、監視端末100と、を備えている。加熱調理器10は、ユーザ3が居住しているユーザ住宅40内に配置されるガス燃焼式のビルトインコンロである。監視端末100は、ユーザ住宅40とは別の監視者住宅45に居住している監視者5が所有する携帯端末である。ユーザ3は、携帯端末30を所有している。監視端末100および携帯端末30は、ともに典型的にはスマートフォンであるが、フィーチャーフォン、タブレット端末、ノートパソコン等であってもよい。
【0025】
加熱調理器10は、上面に配置されているコンロ12と、前面(すなわち、
図1の紙面手前側)に配置されているグリル14と、制御装置20と、を備えている。加熱調理器10には、ガス配管(図示省略)を介して、ユーザ住宅40の外に配置されているガス供給源(図示省略)からガスが供給される。
図1に示されるように、コンロ12は、上方に載置される鍋11を加熱する。グリル14の右側に配置されているコンロ操作部12sがユーザ3によって押されると、コンロ12のコンロバーナ12b(
図3参照)にガスが供給され、イグナイタ(図示省略)によってそのガスに着火することで、コンロ12の加熱が開始される。ユーザ3がコンロ操作部12sを左右に回転させることで、コンロバーナ12bに供給されるガスの量が変更される。これにより、コンロ12の加熱量(すなわち、火力)が変更される。また、ユーザ3によってコンロ12の加熱中にコンロ操作部12sが押されると、コンロバーナ12bに対するガスの供給が停止される。その結果、コンロ12の加熱が停止する。このように、コンロ操作部12sは、ユーザ3からの操作を受け付け、コンロ12は、ユーザ3のコンロ操作部12sの操作に基づいて制御される。
【0026】
グリル14のグリルバーナ14b(
図3参照)は、グリル14内に収容した被調理物(図示省略)を加熱する。上述したコンロ12と同様に、グリル14の左側に配置されているグリル操作部14sが押されると、グリル14のグリルバーナ14bにガスが供給され、イグナイタ(図示省略)によってそのガスに着火することで、グリル14の加熱が開始される。グリル14の火力も、グリル操作部14sを左右に回転させることで変更され、グリル14の加熱中にグリル操作部14sが押されると、グリル14の加熱が停止する。このように、グリル操作部14sは、ユーザ3からの操作を受け付け、グリル14は、ユーザ3のグリル操作部14sの操作に基づいて制御される。
【0027】
加熱調理器10の前面(すなわち、
図1の紙面手前側)の右上部には、操作パネル10sが配置されている。操作パネル10sには、加熱調理器10を起動させるスイッチである電源スイッチ16s(
図3参照)と、加熱調理器10によって調理するメニューを入力するメニュー入力部16m(
図3参照)とが配置されている。ユーザ3が電源スイッチ16sをオンすることでコンロ12、グリル14への点火が可能になる。ユーザ3がメニュー入力部16mに「天ぷら」、「煮物」などのメニューを入力することで、コンロ12、グリル14が、予め設定されている加熱パターンに基づいて加熱する。
【0028】
加熱調理器10は、制御装置20を内部に収容している。詳細は
図3を参照して後述するが、制御装置20は、コンロ12、グリル14を自動制御するためのコンピュータである。制御装置20は、Bluetooth(登録商標)に従ってユーザ3の携帯端末30と無線通信をすることができる。より具体的には、
図1に示されるように、制御装置20は、Bluetoothの規格に従った電波であるBT電波W1を、加熱調理器10の近傍に発信する。携帯端末30は、BT電波W1を受信し、返信をすることで、加熱調理器10と無線通信を行う。ここで、BT電波W1は、加熱調理器10の近傍にある第1の領域T1内にしか到達しない。そのため、ユーザ3が携帯端末30を保持したまま第1の領域T1の外に移動した場合には、加熱調理器10は、携帯端末30とBluetoothで無線通信を行うことができない。
【0029】
加熱調理器10の上方には、レンジフード4が配置されている。レンジフード4は、コンロ12、グリル14の加熱時に加熱調理器10周辺の空気をユーザ住宅40外に排出する換気装置である。レンジフード4の下面には、カメラ4cが配置されている。カメラ4cは加熱調理器10の周辺の画像を、上方から撮像する。
【0030】
ユーザ住宅40内には、ルータ8が配置されている。ルータ8は、ユーザ住宅40に配置されている各デバイス(すなわち、加熱調理器10、携帯端末30等)とWi-Fi(登録商標)に従って無線通信をすることができる。具体的には、
図1に示されるように、ルータ8は、Wi-Fiの規格に従った電波であるWF電波W2を、ユーザ住宅40内に発信する。加熱調理器10及び携帯端末30は、それぞれ、WF電波W2を受信し、返信をすることで、ルータ8と通信を行うことができる。その結果、加熱調理器10は、ルータ8を介して、携帯端末30とWi-Fiによる無線通信をすることができる。ここで、WF電波W2は、ユーザ住宅40内にしか到達しない。そのため、ユーザ3が携帯端末30を保持したユーザ住宅40の外に移動した場合には、ルータ8は、携帯端末30とWi-Fiで無線通信を行うことができない。すなわち、携帯端末30がユーザ住宅40の外に移動した場合には、加熱調理器10は、携帯端末30とWi-Fiで無線通信を行うことができない。Wi-Fiを使用することで、Bluetoothよりも広い領域で加熱調理器10と携帯端末30とが無線通信を行うことができる。WF電波W2が到達する領域(すなわち、ユーザ住宅40内)は、第2の領域T2である。ユーザ住宅40の外部は、BluetoothおよびWi-Fiのどちらの電波も到達しない第3の領域T3である。このため、第3の領域T3では、加熱調理器10は、携帯端末30と無線通信を行うことができない。
【0031】
また、携帯端末30は、GPS(Global Positioning Systemの略)によって、自身の現在の位置を取得可能に構成されている。さらに、加熱調理器10は、上述したBluetoothまたはWi-Fiの通信によって、携帯端末30の位置を携帯端末30から受信することができる。
【0032】
加熱調理器10及び携帯端末30は、ルータ8を介してインターネット9に接続可能であり、インターネット9に接続された管理サーバ50と通信可能である。管理サーバ50は、加熱調理器10を遠隔で監視及び制御するサービスを提供するサーバである。管理サーバ50は、監視端末100と加熱調理器10との間の通信を中継する。例えば、管理サーバ50は、加熱調理器10に関する情報を加熱調理器10から受信して、当該情報を監視端末100に送信する。これにより、監視者5は、監視端末100を利用して、加熱調理器10に関する情報を閲覧することができる。加熱調理器10に関する情報は、例えば、加熱調理器10の現在の状態(例えば、点火中、消火中)を示す情報である。また、管理サーバ50は、監視者5が監視端末100に入力した制御内容を、加熱調理器10に送信する。管理サーバ50は、加熱調理器10のベンダによって管理される。なお、変形例では、管理サーバ50は、加熱調理器10のベンダとは異なる事業者によって管理されてもよい。監視端末100が加熱調理器10を制御する内容の詳細については、後述する。
【0033】
図2に示されるように、監視端末100は、操作部114、表示部116、外部I/F(インターフェース)120と、制御部130と、を備える。操作部114は、様々な指示の入力を受けるボタンを含む。表示部116は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部116は、いわゆるタッチパネル(即ち操作部114)として機能してもよい。外部I/F120は、管理サーバ50との通信を実行するためのインターフェースである。なお、外部I/F120は、インターネット9に接続されていてもよい。その場合、監視端末100は、管理サーバ50を介さず、インターネット9を介してルータ8と通信してもよい。
【0034】
制御部130は、CPU(Central Processing Unit)132と、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ134を備える。CPU132は、メモリ134に記憶されているプログラム140、142に従って、監視端末100の動作を制御する。OSプログラム140は、監視端末100の基本的な動作を制御するためのプログラムである。アプリケーションプログラム142(以下では、「アプリ142」と記載)は、管理サーバ50によって提供されるサービスを受けるためのプログラムである。アプリ142は、加熱調理器10のベンダによって提供される。なお、変形例では、アプリ142は、加熱調理器10のベンダとは異なる事業者によって提供されてもよい。監視者5は、アプリ142によって、加熱調理器10の制御内容を監視端末100に入力する。これにより、監視者5は、加熱調理器10を遠隔操作で制御することができる。
【0035】
図3に示されるように、加熱調理器10は、上述した各操作部12s、14s、メニュー入力部16mに加え、さらにコンロ温度センサ12tと、グリル温度センサ14tと、を備えている。コンロ温度センサ12tは、コンロバーナ12bの加熱温度を検出するセンサである。グリル温度センサ14tは、グリルバーナ14bの加熱温度を検出するセンサである。各操作部12s、14sからの指示、メニュー入力部16mに入力されたメニューに加え、各温度センサ12t、14tが検出した温度は、制御装置20に伝達される。
【0036】
図3では省略したが、制御装置20も、監視端末100と同様に、CPUと、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリを備えている。さらに、制御装置20は、外部の機器と通信するインターフェースである外部I/F20cを備えている。電源スイッチ16sがオンされると、制御装置20が起動する。
【0037】
制御装置20は、あらかじめメモリ(図示省略)に記憶されたプログラムをCPUにより解釈および実行して、各構成要素を制御する。これによって、
図3に示される通り、制御装置20は、ソフトウェアモジュールとして、加熱情報取得部20g、処理実行部20a、処理実行制限部20b、ユーザ存在領域判定部20u、通知部20n、加熱制御指示受信部20rを備えるコンピュータとして構成される。
【0038】
加熱情報取得部20gは、ユーザ3(
図1参照)が各操作部12s、14sに対して行った操作に関する情報を取得する。加熱情報取得部20gは、さらに、ユーザ3がメニュー入力部16mに入力したメニューに関する情報も取得する。また、各温度センサ12t、14tが検出した温度に関する情報も取得する。
【0039】
通知部20nは、加熱調理器10に関する様々な情報を、外部I/F20cを介して監視端末100に通知する。
【0040】
加熱制御指示受信部20rは、監視者5(
図1参照)が監視端末100に入力した加熱調理器10の制御内容を、外部I/F20cを介して取得する。
【0041】
ユーザ存在領域判定部20uは、ユーザ3(
図1参照)の携帯端末30と、加熱調理器10との位置関係を検出する。具体的には、ユーザ存在領域判定部20uは、携帯端末30が、制御装置20とBluetoothおよびWi-Fiによって無線通信を行っているか、Wi-Fiのみによって無線通信を行っているか、さらには、どちらの無線通信も行っていないか、を判定する。ユーザ存在領域判定部20uがユーザ3の存在する領域を判定するために実行する処理については、
図4を参照して後述する。
【0042】
処理実行部20aは、加熱情報取得部20gが取得した各情報と、加熱制御指示受信部20rが受信した制御内容に基づいて、処理を実行する。これにより、ユーザ3(
図1参照)が各操作部12s、14sに対して実行した操作に基づく制御に加え、監視者5(
図1参照)が監視端末100(
図2参照)に入力した内容に基づく制御が、加熱調理器10に対して実行される。これにより、例えば、コンロバーナ12bが加熱中であることを、ユーザ3が失念してしまった場合に、遠方に存在する監視者5が、コンロバーナ12bの加熱を停止(もしくは、その火力を低下させる)等の制御を実行することができる。
【0043】
加熱調理器10を遠方で制御する監視者5は、ユーザ3の現在の状況を把握することができない。そのため、コンロバーナ12bの加熱が継続している場合に、ユーザ3によって意図的に継続されているものなのか、加熱中であることをユーザ3が失念しているものなのかを正確に判定することが困難である。このため、制御装置20は、処理実行制限部20bを備えている。処理実行制限部20bは、ユーザ存在領域判定部20uの判定結果に応じて、監視端末100から受信した加熱制御指示に基づく処理実行部20aの処理の実行を制限する。
【0044】
制御装置20が、各部によって実行する処理について
図4~6を参照して説明する。なお、以下では、理解を助けるため、
図3を参照した制御装置20の各部が実行する処理を、制御装置20が実行する処理として記載する。電源スイッチ16s(
図3参照)がオンされ、コンロ操作部12sによってコンロ12の加熱が開始されると、制御装置20は、まず、ユーザ3の存在領域を判定するために、
図4の処理を実行する。なお、本明細書では、コンロ12の加熱が開始された後の制御装置20の処理について説明するが、グリル14による加熱が開始された場合も、制御装置20は同様の処理を実行する。
【0045】
図4に示されるように、制御装置20は、まず自身の通信が正常か否かを判定する(ステップS2)。例えば、制御装置20がBT電波W1(
図1参照)を正常に発信できない場合には、携帯端末30(
図1参照)と正常に通信することができない。また、制御装置20がルータ8(
図1参照)からWF電波W2(
図1参照)を正常に受信できない場合には、制御装置20は、携帯端末30および監視端末100と正常に通信することができない。このような場合、制御装置20は、ステップS6以下の処理を実行することができない。このため、制御装置20は、通信が正常に行えない場合(ステップS2:NO)には、通信エラーを報知する(ステップS4)。制御装置20は、加熱調理器10(
図1参照)に設けられているスピーカ(図示省略)を介して、「通信が正常に行われていません」というメッセージを報知する。これにより、ユーザ3(
図1参照)は、加熱調理器10と携帯端末30との通信が正常に行われていないことを認識することができる。ユーザ3は、監視端末100による遠隔操作が実行されない可能性があることを認識することができる。
【0046】
通信が正常な場合(ステップS2:YES)には、制御装置20は、携帯端末30とBluetoothによる無線通信が可能か否かを判定する(ステップS6)。制御装置20は、ステップS6で、例えば、Bluetoothの規格に従った通信確認用の電波を携帯端末30に送信する。送信した通信確認用の電波に対するBluetoothの規格に従った返信を、所定時間内に携帯端末30から受信した場合には、制御装置20は携帯端末30とBluetoothによる無線通信が可能であると判定する。所定時間を超えても携帯端末30からの返信がない場合には、制御装置20は、Bluetoothによる無線通信が不可能であると判定する。
【0047】
ステップS6で携帯端末30とBluetoothによる無線通信が可能だと判定された場合(ステップS6:YES)には、制御装置20は、ユーザ3の存在する領域は第1の領域T1であると判定する(ステップS8)。
図1に示されるように、第1の領域T1は、加熱調理器10の近傍に位置する領域である。次いで、制御装置20は、通知部20nにより、ユーザ3が第1の領域T1に存在することを示す存在通知を監視端末100に送信する(ステップS10)。存在通知とは、例えば、「ユーザ3が、加熱調理器10の近くにいます」というメッセージである。これにより、存在通知を受信した監視者5(
図1参照)は、ユーザ3が加熱中の加熱調理器10の近くにいることを認識することができるため、不必要な加熱制御指示を送信することを抑制することができる。
【0048】
ステップS6で携帯端末30とBluetoothによる無線通信が不可能だと判定された場合(ステップS6:NO)には、制御装置20は、通知部20nにより、ユーザ3がコンロ12の加熱中にも関わらず第1の領域T1に存在しないことを示す不存在通知を監視端末100に送信する(ステップS12)。これにより、不存在通知を受信した監視者5は、ユーザ3が加熱中の加熱調理器10から離間していることを認識することができるため、加熱制御指示を送信しやすくなる。また、コンロ12が加熱中であることを失念していないかを確認するために、ユーザ3に対して連絡を取ることができる。
【0049】
制御装置20は、次いで、携帯端末30とWi-Fiによる無線通信が可能か否かを判定する(ステップS14)。制御装置20は、Bluetoothの無線通信の可否判断時と同様に、Wi-Fiの規格に従った通信確認通知の所定時間内の返信の有無により、携帯端末30とWi-Fiによる無線通信が可能か否かを判定する。所定時間内に携帯端末30からWi-Fiの規格に従った返信を受信した場合(ステップS14:YES)には、制御装置20は、ユーザ3は第2の領域T2(すなわち、ユーザ住宅40内)にいると判定する(ステップS18)。一方、所定時間を経過しても携帯端末30からの返信がない場合(ステップS14:NO)には、制御装置20は、ユーザ3が第3の領域T3(すなわち、ユーザ住宅40の外)に存在していると判定する(ステップS16)。すなわち、ユーザ3が第1の領域T1および第2の領域T2のどちらの領域にも存在しない場合に、制御装置20は、ユーザ3が第3の領域T3に存在すると判定する。この場合、制御装置20は、コンロ12が加熱中にも関わらず、ユーザ3がユーザ住宅40の外に存在していることを示す通知を、監視端末100に対して送信してもよい。これにより、監視者5は、ユーザ3がコンロ12の加熱中にユーザ住宅40内に存在しないことを認識することができため、早期に遠隔操作で加熱の停止指示を送信することができる。
【0050】
図5を参照して、コンロ12(
図1参照)の加熱中に、監視者5(
図1参照)が監視端末100に、その加熱を停止するための加熱制御指示である加熱停止指示を入力した場合に制御装置20が実行する処理について説明する。監視端末100から加熱停止指示を受信した場合(ステップS20)、制御装置20は、
図4の処理により判定したユーザ3の存在領域が、第3の領域T3であるか否かを判定する(ステップS22)。存在領域が第3の領域T3である場合、ユーザ3は、ユーザ住宅40(
図1参照)の外部に存在している。この場合(ステップS22:YES)、制御装置20は、加熱制御指示受信部20r(
図3参照)が監視端末100から受信した加熱停止指示を、処理実行部20a(
図3参照)によって実行する。具体的には、制御装置20は、処理実行部20aによって、コンロ12へのガスの供給を停止する。その結果、コンロ12の加熱が停止される(ステップS24)。これにより、コンロ12が加熱中であることをユーザ3が失念し、第3の領域(すなわち、ユーザ住宅40の外)に移動してしまった場合に、監視者5が遠隔でコンロ12の加熱を停止することができる。その後、制御装置20は、通知部20nによって、監視端末100にコンロ12の加熱を停止したことを通知する(ステップS25)。これにより、監視者5に、自身が監視端末100に入力した加熱停止の指示が実行されたことを認識させることができる。
【0051】
存在領域が第3の領域T3ではない場合、ユーザ3は、ユーザ住宅40内に存在する。この場合(ステップS22:NO)、制御装置20は、処理実行制限部20b(
図3参照)によって、加熱停止の実行を禁止する(ステップS26)。ユーザ3がユーザ住宅40内に存在する場合には、コンロ12が加熱中であることをユーザ3が失念しておらず、意図して加熱を継続していることも考えられる。その場合、監視者5によって遠隔でコンロ12の加熱が停止されると、ユーザ3の利便性が悪化する。ユーザ3がユーザ住宅40内に存在する場合、加熱停止の実行を禁止した後、制御装置20は、さらに実行禁止通知を監視端末100に送信する(ステップS28)。ここで、実行禁止通知とは、ユーザ3の存在領域に応じて監視者5の指示した処理の実行が禁止されたことを示す通知である。ステップS28で送信される実行禁止通知は、例えば「ユーザ3がユーザ住宅40内に存在するため、加熱停止を実行しませんでした」というメッセージである。実行禁止通知を受信した監視者5は、自身の加熱停止の指示が実行されなかったことに加え、ユーザ3がユーザ住宅40内に存在していることを認識することができる。
【0052】
次に、
図6を参照して、コンロ12(
図1参照)の加熱中に、監視者5(
図1参照)が監視端末100に、その火力を低下させるための加熱制御指示である火力低下指示を入力した場合に制御装置20が実行する処理について説明する。監視端末100から火力低下指示を受信した場合(ステップS30)、制御装置20は、
図4の処理により判定したユーザ3の存在領域が、第1の領域T1以外であるか否かを判定する(ステップS32)。存在領域が第1の領域T1以外である場合、ユーザ3は、少なくとも加熱調理器10(
図1参照)の近傍には存在しない。この場合(ステップS32:YES)、制御装置20は、加熱制御指示受信部20r(
図3参照)が受信した火力低下指示を、処理実行部20a(
図3参照)によって実行する。具体的には、制御装置20は、処理実行部20aによって、コンロ12へのガスの供給量を減らす。その結果、コンロ12の火力が低下する(ステップS34)。その後、制御装置20は、通知部20nによって、監視端末100に火力低下が完了したことを通知する(ステップS35)。これにより、監視者5に、自身が監視端末100に入力した火力低下の指示が実行されたことを認識させることができる。
【0053】
存在領域が第1の領域T1である場合、ユーザ3は、加熱調理器10の近傍に存在する。この場合(ステップS32:NO)、制御装置20は、処理実行制限部20b(
図3参照)によって、火力低下の実行を停止する(ステップS36)。ユーザ3が加熱調理器10の近傍に存在する場合には、ユーザ3が意図してコンロ12の加熱を継続していると考えられる。その場合、監視者5によってコンロ12の火力が低下してしまうと、ユーザ3の利便性が悪化する。ユーザ3が加熱調理器10の近傍に存在する場合、火力低下の実行を禁止した後、制御装置20は、実行禁止通知を送信する(ステップS38)。ステップS38で送信される実行禁止通知は、例えば「ユーザ3が加熱調理器10の近傍に存在するため、火力低下を実行しませんでした」というメッセージである。これにより、実行禁止通知を受信した監視者5に、自身の火力低下の指示が実行されなかったことに加え、ユーザ3が加熱調理器10の近傍に存在していることを認識させることができる。
【0054】
このように、実施例の加熱機器監視システム2(
図1参照)では、ユーザ3の存在領域が第3の領域T3である場合には、加熱停止と火力低下との双方の処理を実行可能である。すなわち、存在領域が第3の領域T3である場合、制御装置20は、処理実行制限部20bによって、処理実行部20aの実行する処理を制限しない。また、ユーザ3の存在領域が第2の領域T2である場合には、火力低下の処理のみを実行可能とし、加熱停止の処理を制限する。さらに、ユーザ3の存在領域が第1の領域T1である場合には、加熱停止と火力低下との双方の処理を制限する。すなわち、処理実行制限部20bは、ユーザ3の存在領域に応じて、処理実行部20aの実行する処理を制限する。これにより、コンロ12の加熱時間に関わらず、ユーザ3と加熱調理器10との位置関係に応じて、監視者5による遠隔の制御を制限することができる。
【0055】
(第2実施例)
図7を参照して第2実施例の加熱機器監視システム2の制御装置20が、コンロ12(
図1参照)の加熱中に、監視者5(
図1参照)が監視端末100に、加熱停止指示を入力した場合に実行する処理について説明する。なお、第2実施例の加熱機器監視システム2は、上述した第1実施例に対して
図7に示される処理のみが異なっている。
【0056】
監視端末100から加熱停止指示を受信した場合(ステップS40)、制御装置20は、初めに、メニュー入力部16m(
図3参照)に入力されたメニューが「天ぷら」であるか否かを判定する(ステップS42)。先に述べたように、メニュー入力部16mに「天ぷら」が入力されると、コンロ12(
図1参照)は、制御装置20のメモリ内に記憶されている温度、時間を用いて加熱を開始する。メニューが「天ぷら」の場合、コンロ12周辺は、他のメニューに比して高温になりやすい。このため、メニュー入力部16mに「天ぷら」が入力されている状態で、コンロ12が加熱中であることをユーザ3が失念した場合には、早期に加熱を停止する必要がある。このため、第2実施例の制御装置20は、メニュー入力部16mに「天ぷら」が入力されている場合(ステップS42:YES)には、
図5で説明した第1実施例の処理とは異なり、ユーザ3の存在領域が第1の領域T1以外であるか否かを判定する(ステップS44)。ユーザ3の存在領域が第1の領域T1以外である場合、ユーザ3は、加熱調理器10の近傍から少なからず離間している。制御装置20は、この場合(ステップS44:YES)、制御装置20は、加熱制御指示受信部20r(
図3参照)が監視端末100から受信した加熱停止指示を、処理実行部20a(
図3参照)によって実行し、コンロ12の加熱を停止する(ステップS46)。その後、制御装置20は、通知部20nによって、コンロ12の加熱を停止したことを監視端末100に通知する(ステップS47)。
【0057】
また、メニュー入力部16mに、例えば「煮物」が入力されている場合(ステップS42:NO)、制御装置20は、第1実施例と同様に、ユーザ3の存在領域が、第3の領域T3であるか否かを判定する(ステップS48)。存在領域が第3の領域T3である場合(ステップS48:YES)、ユーザ3は、ユーザ住宅40(
図1参照)の外部に存在しているため、制御装置20は、メニューが「煮物」であっても加熱停止指示を処理実行部20a(
図3参照)によって実行する。その結果、コンロ12の加熱が停止される(ステップS56)。その後、制御装置20は、通知部20nによって、コンロ12の加熱を停止したことを監視端末100に通知する(ステップS57)。
【0058】
このように、第2実施例の制御装置20は、ユーザ3の存在領域に加え、さらにメニュー入力部16mに入力されたメニューに応じて、制限する処理を変更する。これにより、ユーザ3の加熱調理器10の使用状況に応じても、監視者5による遠隔操作による処理を制限することができる。その結果、よりユーザ3の使用状況に沿って遠隔操作による処理を制限することができる。
【0059】
また、ステップS44でユーザ3の存在領域が第1の領域T1である場合(ステップS44:NO)およびステップS48でユーザ3の存在領域が第3の領域T3以外である場合(ステップS48:NO)、制御装置20は、携帯端末30の動作の有無を判定する(ステップS50)。先に述べたように、制御装置20は、携帯端末30がGPSによって取得した携帯端末30の位置を、携帯端末30から受信可能である。制御装置20は、ステップS50において、受信した携帯端末30の位置が所定時間内に変化するか否かを判定する。ここでの所定時間は、ユーザ3に不測の事態が発生し、ユーザ3が動けない状況にあると推測できる時間である。このため、携帯端末30の位置が所定時間を超えて変化しない場合には、ユーザ3と加熱調理器10との位置関係にかかわらず、遠隔でコンロ12の加熱を停止すべきである。この場合(ステップS50:NO)、制御装置20は、通知部20nによって、異常発生通知を監視端末100に送信する(ステップS51)。異常発生通知とは、例えば、「ユーザ3に異常が発生した可能性があります」というメッセージである。これにより、監視者5に、ユーザ3が動けない状況であることを認識させることができる。その後、制御装置20は、処理実行制限部20bの制限を緩和して、コンロ12の加熱を停止する(ステップS46)。制御装置20は、通知部20nによって、コンロ12の加熱を停止したことを監視端末100に通知する(ステップS47)。これにより、監視者5に、ユーザ3に異常が発生した可能性はあるものの、コンロ12の加熱は停止されたことを認識させることができる。
【0060】
一方、所定時間内に携帯端末30の位置が変化した場合(ステップS50:YES)には、ユーザ3は問題なく動けるため、制御装置20は処理実行制限部20bによって、加熱停止の実行を禁止する(ステップS52)。その場合、制御装置20は、第1実施例と同様に、実行禁止通知を送信する(ステップS54)。
【0061】
このように、第2実施例の制御装置20は、携帯端末30の動作の有無によっても、監視端末100の処理の制限を変更する。これにより、ユーザ3が動けない状況となった場合に、ユーザ3と加熱調理器10との位置関係に関わらず、監視端末100による遠隔操作の処理を実行することができる。
【0062】
(対応関係)加熱調理器10が、「加熱機器」の一例である。鍋11が「被加熱物」の一例である。コンロ12、グリル14が、それぞれ、「加熱部」の一例である。制御装置20が、「加熱制御部」の一例である。天ぷら、煮物が、それぞれ、「加熱情報」の一例である。天ぷら、煮物が、それぞれ、「加熱指示」の一例である。
【0063】
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0064】
(変形例1)本明細書が開示する技術は、加熱調理器10以外への「加熱機器」にも適用可能である。「加熱機器」は、例えば、ガスファンヒータでもよい。その場合、「被加熱物」は、ガスファンヒータが配置されている室内の空気となる。
【0065】
(変形例2)上述した実施例では、制御装置20は、Bluetooth通信によって、ユーザが第1の領域T1にいるかを判定し、Wi-Fi通信によって、ユーザが第2の領域T2にいるかを判定した。変形例では、制御装置20は、Bluetooth通信が可能な範囲を第1の領域T1として判定し、Bluetooth通信が不可能な範囲を第2の領域T2として判定してもよい。その場合、制御装置20は、ルータ8と通信しなくてもよい。さらに、制御装置20は、ユーザが第1の領域T1にいると判定された場合にのみ監視端末100の処理実行を制限し、ユーザが第2の領域T2にいると判定された場合には監視端末100の処理実行を制限しなくてもよい。
【0066】
(変形例3)また、さらなる変形例では、制御装置20は、カメラ4cにユーザ3が撮像される領域を第1の領域T1としてもよい。また、制御装置20は、携帯端末30から受信する携帯端末30の位置によってユーザ3の存在領域を判定してもよい。さらに、別の変形例では、制御装置20は、携帯端末30から受信するBluetooth通信の電波の強度に基づいて、ユーザ3の存在領域を判定してもよい。さらに、制御装置20は、ルータ8から、ルータ8と携帯端末30とのWi-Fi通信の電波の強度を取得し、その電波の強度と、ルータ8から加熱調理器10までの距離と、に基づいて、ユーザ3の存在領域を判定してもよい。また、赤外線や超音波を利用した人感センサ、測距センサなどを用いて、ユーザ3の存在領域を判定してもよい。
【0067】
(変形例4)上述した実施例では、制御装置20は、ユーザ3が第1の領域T1に存在する場合に、存在通知を監視端末100に送信したが、変形例では、制御装置20は、存在通知を監視端末100に送信しなくてもよい。また、制御装置20は、不存在通知も監視端末100に送信しなくてもよい。
【0068】
(変形例5)上述した実施例では、制御装置20は、携帯端末30の位置を取得し、所定時間を超えてその位置が変化しない場合に、ユーザ3が動けない状況にあることを検知した。変形例では、制御装置20は、携帯端末30の加速度センサから携帯端末30の加速度を取得し、取得した加速度が所定時間を超えて変化しない場合に、ユーザ3が動けない状況にあることを検知してもよい。
【0069】
(変形例6)上述した実施例では、制御装置20は、メニュー入力部16mに入力したメニューが「天ぷら」である場合に、処理の制限を緩和した。変形例では、制御装置20が、これに代えて、または加えて、コンロ温度センサ12t(または、グリル温度センサ14t)の温度が所定閾値を超えた場合に、処理の制限を緩和してもよい。これにより、制御装置20は、例えばメニューの入力をせずにユーザ3が天ぷらを調理している場合に、処理の制限を緩和し、高温の加熱を早期に停止することができる。本変形例では、コンロ温度センサ12t(または、グリル温度センサ14t)の温度が、「加熱部の温度に関係する情報」の一例である。
【0070】
(変形例7)上述した実施例では、制御装置20は、監視端末100から加熱停止指示や火力低下指示を送信した後、ユーザ3の存在領域を判定して、それらの指示の実行の可否を判定している。変形例では、制御装置20がユーザ3の存在領域を常時判定して、管理サーバ50に送信してもよい。その場合、管理サーバ50は、監視端末100に対してユーザ3の現在の存在領域に関する情報を送信し、監視端末100は、受信した現在の存在領域において指示の実行が可能となる加熱指示のみを表示部116(または操作部114)に表示してもよい。
【0071】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0072】
2 :加熱機器監視システム
3 :ユーザ
4 :レンジフード
4c :カメラ
5 :監視者
8 :ルータ
9 :インターネット
10 :加熱調理器
10s :操作パネル
11 :鍋
12 :コンロ
12b :コンロバーナ
12s :コンロ操作部
12t :コンロ温度センサ
14 :グリル
14b :グリルバーナ
14s :グリル操作部
14t :グリル温度センサ
16m :メニュー入力部
16s :電源スイッチ
20 :制御装置
20a :処理実行部
20b :処理実行制限部
20c、120 :外部I/F
20g :加熱情報取得部
20n :通知部
20r :加熱制御指示受信部
20u :ユーザ存在領域判定部
30 :携帯端末
40 :ユーザ住宅
45 :監視者住宅
50 :管理サーバ
100 :監視端末
114 :操作部
116 :表示部
130 :制御部
132 :CPU
134 :メモリ
140 :OSプログラム
142 :アプリケーションプログラム
T1 :第1の領域
T2 :第2の領域
T3 :第3の領域
W1 :BT電波
W2 :WF電波