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特許7519341有用情報出力装置及び有用情報の候補の出力方法
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  • 特許-有用情報出力装置及び有用情報の候補の出力方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】有用情報出力装置及び有用情報の候補の出力方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240711BHJP
   G16Y 10/80 20200101ALI20240711BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240711BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240711BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20240711BHJP
【FI】
G06Q50/16
G16Y10/80
G16Y20/20
G16Y40/10
G16Y40/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021183155
(22)【出願日】2021-11-10
(65)【公開番号】P2023070807
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2022-11-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 僚太
(72)【発明者】
【氏名】中原 隆之
【合議体】
【審判長】松田 直也
【審判官】緑川 隆
【審判官】月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-82810(JP,A)
【文献】国際公開第2014/064819(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/170408(WO,A1)
【文献】特開平4-137992(JP,A)
【文献】特開2014-209277(JP,A)
【文献】特開2009-176203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
G16Y10/80
G16Y20/20
G16Y40/10
G16Y40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部(110)と、
複数の設備機器が設置されている複数の物件について、前記物件毎に、前記物件の属性情報と前記物件に関する監視システムの構築に有用な有用情報とを関連付けて記憶している記憶部(210)と、
を備えている、対象物件について前記有用情報の候補を出力する有用情報出力装置であって、
前記制御部は、
前記対象物件の前記属性情報である第1属性情報(INF1)を取得し、
前記第1属性情報と前記記憶部に記憶されている各前記属性情報との類似度を、所定のルールに基づき算出し、前記類似度に基づいて前記第1属性情報と前記属性情報が類似している前記物件である、類似物件を特定し、
前記記憶部を参照して、前記対象物件の前記有用情報の候補として、前記類似物件の、前記有用情報の少なくとも一部を出力し、
前記属性情報には、前記物件の用途、前記物件の延床面積、前記物件の階数、前記物件の各階の部屋数、前記物件の各部屋の用途、及び前記物件の各部屋に設置される前記設備機器の台数、の少なくとも1つを含み、
前記対象物件の前記有用情報の候補として出力される情報には、監視画面データ、データポイント情報、及び前記設備機器を制御して所定の動作を実行させる制御プログラムの少なくとも1つを含
有用情報出力装置(1000)。
【請求項2】
前記監視画面データには、フロアレイアウト図(G1)のデータを含む、
請求項1に記載の有用情報出力装置。
【請求項3】
前記所定のルールの設定を受け付ける設定受付部(150)を更に備える、
請求項1又は2に記載の有用情報出力装置。
【請求項4】
前記属性情報には、複数の項目を含み、
前記制御部は、前記第1属性情報の前記複数の項目の一部について情報を取得すると、前記記憶部を参照して、取得済みの前記第1属性情報と前記属性情報が類似する前記類似物件を特定し、前記対象物件に関する前記有用情報の候補として、前記類似物件の、前記有用情報の少なくとも一部を出力する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の有用情報出力装置。
【請求項5】
前記対象物件に関する前記有用情報の候補の中から1の有用情報の選択を受け付ける選択部(150)と、
前記選択された前記有用情報の内容に対する変更指示を受け付ける指示受付部(150)と、
を更に備え、
前記制御部は、前記変更指示に基づいて、前記選択部を用いて選択された前記有用情報の内容を変更する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の有用情報出力装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1属性情報及び変更後の前記有用情報の内容を関連付けて、前記記憶部に記憶する、
請求項5に記載の有用情報出力装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記対象物件の前記有用情報の候補として、前記類似物件の前記有用情報から所定の情報を除いた情報を出力する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の有用情報出力装置。
【請求項8】
制御部(110)と、複数の設備機器が設置されている複数の物件について、前記物件毎に、属性情報と前記物件に関する監視システムの構築に有用な有用情報とを関連付けて記憶している記憶部(210)と、を用いて、対象物件に関する有用情報の候補を出力する方法であって、
前記制御部が、前記対象物件の前記属性情報である第1属性情報(INF1)を取得する取得ステップと、
前記制御部が、前記第1属性情報と前記記憶部に記憶されている各前記属性情報との類似度を、所定のルールに基づき算出し、前記類似度に基づいて前記第1属性情報と前記属性情報が類似する前記物件である、類似物件を特定する特定ステップと、
前記制御部が、前記記憶部を参照して、前記対象物件に関する有用情報の候補として、前記類似物件の、前記有用情報の少なくとも一部を出力する出力ステップと、
実行し
前記属性情報には、前記物件の用途、前記物件の延床面積、前記物件の階数、前記物件の各階の部屋数、前記物件の各部屋の用途、及び前記物件の各部屋に設置される前記設備機器の台数、の少なくとも1つを含
前記出力ステップにおいて、前記対象物件の前記有用情報の候補として出力される情報には、監視画面データ、データポイント情報、及び前記設備機器を制御して所定の動作を実行させる制御プログラムの少なくとも1つを含む、
有用情報の候補の出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
物件に関する監視システムの構築に有用な有用情報の候補を出力する有用情報出力装置及び有用情報の候補の出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の設備機器が設置されている物件の管理に、例えば特許文献1(国際公開第2014/064819号)に開示されているような監視システムが利用されることがある。
【0003】
特許文献1(国際公開第2014/064819号)には、監視システムの構築の工数削減を図るため、機器のタイプごとにテンプレート情報を用意し、これを利用することで、監視システムの構築の工数削減を図ることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1(国際公開第2014/064819号)の構成は、監視システムの構築の工数削減にある程度寄与するものの、工数削減に関し更なる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の有用情報出力装置は、対象物件について有用情報の候補を出力する装置である。有用情報出力装置は、制御部と、記憶部と、を備えている。記憶部は、複数の設備機器が設置されている複数の物件について、物件毎に、物件の属性情報と、物件に関する監視システムの構築に有用な有用情報と、を関連付けて記憶している。制御部は、対象物件の属性情報である第1属性情報を取得する。制御部は、記憶部を参照して、第1属性情報と属性情報が類似している物件である、類似物件を特定する。制御部は、記憶部を参照して、対象物件の有用情報の候補として、類似物件の、有用情報の少なくとも一部を出力する。属性情報には、物件の用途、物件の延床面積、物件の階数、物件の各階の部屋数、物件の各部屋の用途、及び物件の各部屋に設置される設備機器の種類、及び物件の各部屋に設置される設備機器の台数、の少なくとも1つを含む。
【0006】
好ましくは、属性情報には、少なくとも物件の延床面積及び物件の階数が含まれる。また、好ましくは、属性情報には、物件の用途が含まれる。
【0007】
第1観点の有用情報出力装置は、対象物件と属性情報が類似する物件の有用情報の少なくとも一部を、そのまま対象物件の有用情報の候補として出力する。このような有用情報出力装置を使用することで、機器レベルでのテンプレートの利用ではなく、類似物件全体の有用情報を対象物件に関する監視システムの構築に利用でき、対象物件に関する監視システムの構築に要する工数を削減できる。
【0008】
第2観点の有用情報出力装置は、第1観点の有用情報出力装置であって、対象物件の有用情報の候補として出力される情報には、監視画面データ、データポイント情報、及び制御プログラムの少なくとも1つを含む。
【0009】
第2観点の有用情報出力装置を用いることで、対象物件に関する監視システムの構築に要する工数の削減に寄与できる。
【0010】
第3観点の有用情報出力装置は、第2観点の有用情報出力装置であって、監視画面データには、フロアレイアウト図のデータを含む。
【0011】
第3観点の有用情報出力装置では、類似物件で実際に使用されているフロアレイアウト図を、対象物件に関する監視システムの構築に利用できるため、対象物件に関する監視システムの構築に要する工数を削減できる。
【0012】
第4観点の有用情報出力装置は、第1観点から第3観点のいずれかの有用情報出力装置であって、制御部は、所定のルールに基づき類似物件を特定する。
【0013】
第5観点の有用情報出力装置は、第4観点の有用情報出力装置であって、所定のルールの設定を受け付ける設定受付部を更に備える。
【0014】
第5観点の有用情報出力装置では、所定のルールが設定可能であるため、ニーズに合わせて、適切な有用情報の候補を出力することができる。
【0015】
第6観点の有用情報出力装置は、第4観点又は第5観点の有用情報出力装置であって、制御部は、第1属性情報と記憶部に記憶されている各属性情報との類似度を、所定のルールに基づき算出し、類似度に基づいて類似物件を特定する。
【0016】
第6観点の有用情報出力装置では、対象物件の有用情報の候補とするのに適切な有用情報を出力することができる。
【0017】
第7観点の有用情報出力装置は、第1観点から第6観点のいずれかの有用情報出力装置であって、属性情報には、複数の項目を含む。制御部は、第1属性情報の複数の項目の一部について情報を取得すると、記憶部を参照して、取得済みの第1属性情報と属性情報が類似する類似物件を特定し、対象物件に関する有用情報の候補として、類似物件の、有用情報の少なくとも一部を出力する。
【0018】
第7観点の有用情報出力装置では、第1属性情報の一部の項目を入力した時点で、有用情報の候補が出力される。そのため、適切な有用情報の候補が得られた時点で、第1属性情報の項目の入力を終了することができ、対象物件に関する監視システムの構築に要する工数を削減できる。
【0019】
第8観点の有用情報出力装置は、第1観点から第7観点のいずれかの有用情報出力装置であって、選択部と、指示受付部と、を更に備える。選択部は、対象物件に関する有用情報の候補の中から1の有用情報の選択を受け付ける。指示受付部は、選択された有用情報の内容に対する変更指示を受け付ける。制御部は、変更指示に基づいて、選択部を用いて選択された有用情報の内容を変更する。
【0020】
第8観点の有用情報出力装置では、有用情報の候補の内容を変更可能であるため、有用情報の候補をそのまま利用できない場合であっても、出力された有用情報の少なくとも部分的に流用して、対象物件に関する監視システムの構築に要する工数を削減できる。
【0021】
第9観点の有用情報出力装置は、第8観点の有用情報出力装置であって、制御部は、第1属性情報及び変更後の有用情報の内容を関連付けて、記憶部に記憶する。
【0022】
第9観点の有用情報出力装置では、対象物件の属性情報と変更後の(編集後の)有用情報とが関連付けて記憶されるため、この情報を、他の対象物件に対する有用情報の候補の出力に利用できる。
【0023】
第10観点の有用情報出力装置は、第1観点から第9観点のいずれかの有用情報出力装置であって、制御部は、対象物件の有用情報の候補として、類似物件の有用情報から所定の情報を除いた情報を出力する。
【0024】
第10観点の有用情報出力装置では、類似物件の有用情報がそのまま有用情報の候補として出力されるのではなく、所定の情報は除いた上で出力される。制御部が、物件固有の情報であって対象物件での利用が難しい情報を有用情報から除くようにすれば、対象物件に関する監視システムの構築の際に不要な情報を削除する手間を省くことができる。
【0025】
第11観点の有用情報の候補の出力方法は、制御部と、記憶部と、を用いて、対象物件に関する有用情報の候補を出力する方法である。記憶部は、複数の設備機器が設置されている複数の物件について、物件毎に、属性情報と物件に関する監視システムの構築に有用な有用情報とが関連付けて記憶している。有用情報の候補の出力方法は、取得ステップと、特定ステップと、出力ステップと、を備える。取得ステップでは、制御部が、対象物件の属性情報である第1属性情報を取得する。特定ステップでは、制御部が、記憶部を参照して、第1属性情報と属性情報が類似する物件である、類似物件を特定する。出力ステップでは、制御部が、記憶部を参照して、対象物件に関する有用情報の候補として、類似物件の、有用情報の少なくとも一部を出力する。属性情報には、物件の用途、物件の延床面積、物件の階数、物件の各階の部屋数、物件の各部屋の用途、及び物件の各部屋に設置される設備機器の種類、及び物件の各部屋に設置される設備機器の台数、の少なくとも1つを含む。
【0026】
好ましくは、属性情報には、少なくとも物件の延床面積及び物件の階数が含まれる。また、好ましくは、属性情報には、物件の用途が含まれる。
【0027】
第11観点の有用情報の候補の出力方法は、対象物件と属性情報が類似する物件の有用情報の少なくとも一部を、そのまま対象物件の有用情報の候補として出力する。この方法を使用することで、機器レベルでのテンプレートの利用ではなく、類似物件全体の有用情報を対象物件に関する監視システムの構築に利用でき、対象物件に関する監視システムの構築に要する工数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の有用情報出力装置が出力する有用情報の候補がシステムの構築に利用される監視システムの概略ブロック図である。
図2A図1の監視装置のディスプレイに表示される監視画面のフロアレイアウト図の例を概略的に示す図である。
図2B図1の監視装置の記憶装置に記憶される物件用のデータの内容の例を概略的に示す図である。
図3】一実施形態に係る有用情報出力装置のブロック図である。
図4図3の有用情報出力装置の有用情報の候補の出力処理の流れを示すフローチャートの一例である。
図5図3の有用情報出力装置の制御部が、第1属性情報のうち「対象物件の用途」の項目を受け付けた際に、有用情報出力装置の出力部としてのディスプレイに出力する画面の例である。
図6A図3の有用情報出力装置の制御部が、第1属性情報のうち「対象物件の用途」、「延床面積」、「階数」、「部屋の用途」及び「各階の部屋数」を受け付けた際に、有用情報出力装置の出力部としてのディスプレイに出力する画面の例である。
図6B図3の有用情報出力装置の制御部が、第1属性情報のうち「対象物件の用途」、「延床面積」、「階数」、「部屋の用途」及び「各階の部屋数」を受け付けた際に、有用情報出力装置の出力部としてのディスプレイに出力する画面の他の例である。
図7A図3の有用情報出力装置の制御部が、第1属性情報の全てを受け付けた際に、有用情報出力装置の出力部としてのディスプレイに出力する画面の例である。
図7B図3の有用情報出力装置の制御部が、第1属性情報の全てを受け付けた際に、有用情報出力装置の出力部としてのディスプレイに出力する画面の他の例であり、対象物件の第1属性情報に関する描画は省略している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の一実施形態に係る有用情報出力装置について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
(1)監視システム
初めに、本開示の有用情報出力装置の出力する有用情報の候補がシステムの構築に利用される監視システムの例を、図1を参照して説明する。図1は、監視システムの一例としての監視システム10の概略ブロック図である。
【0031】
図1に示すように、オフィスビル、ホテル、病院などの各施設(図1中の物件A,B・・・Zのそれぞれ)には、通常、複数の設備機器(図1中の設備機器4A,4B,・・・4Z)が設置されている。物件A,B・・・Zに設置されている設備機器の種類を限定するものではないが、各物件A,B・・・Zに設置されている複数の設備機器4A,4B,・・・4Zには、例えば、電源機器、空調機器、照明機器、防災機器等の種々の設備機器が含まれる。各物件A,B,・・・Zの複数の設備機器4A,4B,・・・4Zは、例えば、その物件A,B,・・・Zに設置されているコントローラ3A,3B,・・・3Zと、ネットワーク(例えばLAN)を介し、所定の通信プロトコルを使用して通信可能に接続されている。各コントローラ3A,3B,・・・3Zは、通信可能に接続されている設備機器4A,4B,・・・4Zの制御を行う。なお、図1では、各物件A,B,・・・Zに対し1台しかコントローラ3A,3B,・・・3Zを描画していないが、各物件A,B,・・・Zには、設備機器4A,4B,・・・4Zの一部と通信可能に接続されているコントローラ3A,3B,・・・3Zが複数設置されてもよい。
【0032】
これらの物件A,B・・・Zの統括的な監視や、物件A,B・・・Zの設備機器4A,4B,・・・4Zの統括的な制御を行うのが監視システム10である。監視システム10は、監視装置1を用いて、物件A,B・・・Zの統括的な監視や制御を行う。なお、ここでは、監視システム10を、複数の物件A,B・・・Zの監視や制御を行うシステムとして説明するが、監視システム10は、単一の物件の監視や制御を行うシステムであってもよい。
【0033】
監視装置1は、制御部2c、記憶部2d、出力部としてのディスプレイ2a、及びキーボードやマウス等の入力部2bを主に有するコンピュータである(図1参照)。記憶部2dは、ROMやRAMなどの主記憶装置と、HDDやSSDなどの補助記憶装置とを含む。制御部2cは、CPUを含み、CPUが記憶部2dに記憶されているプログラムを実行することで、各種の演算や処理を行う。なお、ここでは、監視装置1を1台のコンピュータとして説明するが、監視装置1を構成するコンピュータの台数は1台に限定されない。監視装置1は、例えば、サーバとして機能する1台又は複数台のコンピュータと、クライアントとしてのコンピュータや携帯端末と、から構成されてもよい。
【0034】
監視装置1は、物件A,B,・・・Zに設置されているコントローラ3A,3B,・・・3Zと、インターネット等のネットワークを介して通信可能に接続されている。監視装置1は、物件A,B,・・・Zから、ネットワークを介して、物件A,B,・・・Zに関する各種の情報を取得する。
【0035】
例えば、監視装置1は、コントローラ3A,3B,・・・3Zから、設備機器4A,4B,・・・4Zの動作状態に関する情報を取得する。設備機器4A,4B,・・・4Zの動作状態に関する情報には、例えば、設備機器4A,4B,・・・4Zが運転中であるか停止中であるかの情報や、設備機器4A,4B,・・・4Zの運転モードの情報を含む。
【0036】
また、例えば、監視装置1は、物件A,B,・・・Zに設置されている各種のセンサ5A,5B,・・・5Zの計測値を、コントローラ3A,3B,・・・3Zを介して取得する。監視装置1は、各種のセンサ5A,5B,・・・5Zの計測値を、コントローラ3A,3B,・・・3Zを介してではなく、センサ5A,5B,・・・5Zから直接取得してもよい。また、監視装置1は、設備機器4A,4B,・・・4Zが有する各種のセンサの計測値を、コントローラ3A,3B,・・・3Zを介して取得してもよい。センサ5A,5B,・・・5Zは、限定するものではないが、例えば、物件A,B,・・・Zの所定の場所の気温や湿度を測定するセンサを含む。また、センサ5A,5B,・・・5Zには、物件A,B,・・・Zの設備機器4A,4B,・・・4Zの所定箇所の温度等を測定するセンサ(例えば、設備機器の過熱を監視する温度センサ)を含んでもよい。
【0037】
また、監視装置1は、ネットワークを介して、物件A,B,・・・Zに設置されているコントローラ3A,3B,・・・3Zに、各種の指令や情報を送信する。
【0038】
監視装置1の機能について説明する。
【0039】
監視装置1は、各物件A,B,・・・Zの環境の状態や、各物件A,B,・・・Zに設置されている設備機器4A,4B,・・・4Zの状態を監視するために用いられる。また、監視装置1は、各物件A,B,・・・Zに設置されている設備機器4A,4B,・・・4Zを制御するために用いられる。ここでは、説明が煩雑になるのを避けるため、物件Aの環境の状態や物件Aに設置されている設備機器4Aの状態が監視対象であり、また、物件Aに設置されている設備機器4Aが制御対象である場合を例に、監視装置1の機能を概説する。他の物件B,・・・Zの環境の状態や、物件B,・・・Zに設置されている設備機器4B,・・・4Zの状態が監視対象であり、物件B,・・・Zに設置されている設備機器4B,・・・4Zが制御対象である場合においても、監視装置1の発揮する機能は、以下で説明する機能と同様であるので、この場合についての説明は省略する。
【0040】
監視装置1は、物件Aの環境の状態や物件Aに設置されている設備機器4Aの状態の監視を可能とするために、入力部2bに対する操作等に応じ、ディスプレイ2aに物件Aに関する各種情報を表示するように構成されている。
【0041】
例えば、監視装置1は、物件Aに設置されている設備機器4Aの状態を示す監視画面をディスプレイ2aに表示する。例えば、限定するものではないが、設備機器4Aの状態を示す監視画面には、物件Aの施設空間内の各階の設備機器4Aの設置状態を示すフロアレイアウト図G1を含む(図2A参照)。また、設備機器4Aの状態を示す監視画面には、受変電機器の接続状態を示す受変電系統図や、給排水機器の接続状態を示す給排水系統図を含んでもよい。設備機器4Aの状態を示す監視画面データは、記憶部2dに記憶されている。
【0042】
なお、監視装置1は、フロアレイアウト図G1等の監視画面をディスプレイ2aに表示させる際に、設備機器4Aの状態を示す情報や、物件Aの環境の状態を示す情報をディスプレイ2aに同時に表示させてもよい。あるいは、監視装置1は、監視画面の所定箇所が入力部2bとしてのマウスを用いてクリックされると、監視画面に重ねて、又は、表示内容を切り換えて、設備機器4Aの状態を示す情報や、物件Aの環境の状態を示す情報を、ディスプレイ2aに表示してもよい。例えば、設備機器4Aが空調機器である場合、設備機器4Aの状態を示す情報には、空調機器が運転中であるか停止中であるかを示す情報や、空調機器が冷房運転モードか暖房運転モードかを示す情報や、空調機器の設定温度の情報等を含む。物件Aの環境の状態を示す情報には、例えば、空調機器の設置されている空間の気温や湿度の情報等を含む。
【0043】
また、監視装置1は、例えば、ディスプレイ2aに、アラーム画面を表示してもよい。アラーム画面は、設備機器4Aに異常があることや、センサ5Aの計測値に異常があることを示す画面である。監視装置1は、例えば、センサにより計測される設備機器4Aの所定箇所の温度が、記憶部2dに記憶されている閾値を超えている場合に、ディスプレイ2aにアラーム画面を表示させる。
【0044】
また、監視装置1は、例えば、ディスプレイ2aに、トレンド情報を表示してもよい。トレンド情報は、センサ5Aの計測値の時間変化を示す情報である。監視装置1は、記憶部2dに記憶されているトレンド設定に従って、センサ5Aの計測値の時間変化をディスプレイ2aに表示する。トレンド設定は、例えば、センサ5Aの計測値の時間変化を、表形式で表示するのかあるいはグラフで表示するのか、どれだけの時間分の計測値の時間変化を表示するのか、というような表示の態様を設定する情報である。
【0045】
また、監視装置1は、例えば、記憶部2dに記憶されている設備機器4Aの全て又は一部の動作を制御するための制御プログラムを、インターネット等のネットワークを介して、物件Aのコントローラ3Aに送信してもよい。制御プログラムは、例えば、複数の設備機器4Aを所定のタイミングで個別に動作させたり、複数の設備機器4Aのいくつかを連動させて所望の動作を実行させたりするためのプログラムである。
【0046】
上記のように、監視装置1が、ディスプレイ2aに物件Aに関する各種情報を表示させたり、物件Aのコントローラ3Aに制御プログラムを送信して、物件Aの設備機器4Aに所望の動作をさせたりするためには、物件A用に、監視画面データ、制御プログラム、アラーム設定、トレンド設定、データポイント情報等の、データ(プログラムを含む)を作成する必要がある。そして、作成したデータや、作成したデータに基づいて更に作成されたデータ(図2Bに示すような内容のデータ)が、記憶部2dに記憶される必要がある。なお、アラーム設定は、どのような条件が成立した時に監視装置1のディスプレイ2aにアラーム画面を表示させるかを指定する情報である。また、データポイント情報は、物件Aにおけるデータの取得点を示す情報、言い換えれば物件Aからどのような情報を取得するかを示す情報である。なお、監視画面データ、制御プログラム、アラーム設定、トレンド設定、データポイント情報は、作成されるデータの一例であり、これらのデータの一部は作成されなくてもよく、また、これら以外のデータが作成されてもよい。
【0047】
また、監視装置1が、ディスプレイ2aに物件Aに関する各種情報を表示させたりするためには、コントローラ3Aから送信されてくる情報が、どの設備機器4Aやセンサ5Aからの情報かを特定し、更に、その設備機器4Aの配置位置やセンサ5Aの計測場所が、施設内のどの位置であるかを、フロアレイアウト図G1等において特定する必要がある。言い換えれば、監視装置1が、ディスプレイ2aに物件Aに関する各種情報を表示させたりするためには、記憶部2dに記憶されるデータ間の紐づけを行う必要がある。
【0048】
このような、データの作成作業や、データ間の紐づけ作業を、ここでは監視システム10の構築作業と呼ぶ。なお、監視装置1の監視の対象である物件が図1のように複数存在する場合には、物件毎に、監視システム10の構築作業を行う必要がある。
【0049】
このような、監視システム10の構築作業には、一般に多くの作業時間を要する。そこで、この作業、特には、監視画面データ、制御プログラム、アラーム設定、トレンド設定、データポイント情報等の作成を補助し、これらの作成時間を短縮する目的で、本開示の有用情報出力装置が出力する有用情報が用いられる。
【0050】
(2)有用情報出力装置
(2-1)概要
有用情報出力装置1000は、例えば、監視システム10で、新たな物件について、物件の状態や設備機器の状態の監視を行うことになった場合に、その物件(以後、対象物件と呼ぶ)について監視システム10の構築を行う上で有用な有用情報の候補を出力する装置である。
【0051】
ここでの有用情報は、対象物件用に、監視画面データ(フロアレイアウト図のデータを含む)、制御プログラム、アラーム設定、トレンド設定、データポイント情報等(以後、説明が冗長になるのを避けるため、監視画面データ等と呼ぶ場合がある)を作成する際に利用される情報である。具体的には、有用情報は、対象物件以外の他の物件で用いられている、言い換えれば他の物件用の、監視画面データ、制御プログラム、アラーム設定、トレンド設定、データポイント情報等である。対象物件の監視画面データ等を作成する作業者(以後、作成作業者と呼ぶ場合がある)は、有用情報出力装置1000の出力する有用情報の候補をそのまま転用して、あるいは、有用情報出力装置1000の出力する有用情報の候補を編集して、対象物件用の監視画面データ等を作成できる。有用情報を利用することで、作成作業者は、一から対象物件用の監視画面データ等を作成する場合に比べ、短時間で監視画面データ等を作成できる。
【0052】
なお、上述のように、有用情報は、対象物件以外の他の物件用の監視画面データ等である。仮に、対象物件と属性が大きく異なる他の物件の有用情報を、対象物件用の監視画面データ等の作成に利用したとすると、大幅な修正が必要となり、対象物件用の監視画面データ等の作成時間の短縮にあまり寄与しない可能性がある。そこで、有用情報出力装置1000は、後述するような方法で、対象物件と属性の類似する物件(以後、類似物件と呼ぶ)を特定し、類似物件用の監視画面データ等を、有用情報の候補として出力する。
【0053】
なお、ここで、有用情報出力装置1000が、物件の類否を判断するために使用される属性の情報(以後、単に属性情報と呼ぶ場合がある)には、物件の用途、物件の延床面積、物件の階数、物件の各階の部屋数、物件の各部屋の用途、物件の各部屋に設置される設備機器の種類、及び物件の各部屋に設置される設備機器の台数の少なくとも1つの項目を含む。なお、ここで例示した項目は、属性情報の例に過ぎず、例示した項目の一部が含まれなくてもよいし、例示した以外の項目が含まれてもよい。
【0054】
ただし、属性情報には、少なくとも物件の延床面積及び階数が含まれることが好ましい。さらに、属性情報には、物件の用途が含まれることが好ましい。
【0055】
ここでは、属性情報が、物件の用途、物件の延床面積、物件の階数、物件の各階の部屋数、物件の各部屋の用途、物件の各部屋に設置される設備機器の種類、及び物件の各部屋に設置される設備機器の台数の全てを項目に含む場合を例に以下の説明を行う。
【0056】
(2-2)有用情報出力装置の物理構成
有用情報出力装置1000は、コンピュータ100と、サーバ200と、を主に含む。
【0057】
コンピュータ100は、制御部110と、記憶部140と、入力部150と、出力部160と、を有する。記憶部140は、ROMやRAMなどの主記憶装置と、HDDやSSDなどの補助記憶装置と、を含む。制御部110は、主にCPU120を含む。制御部110は、CPU120が記憶部140に記憶されているプログラムを実行することで、各種の演算や処理を行う。制御部110は、特許請求の範囲における制御部の一例である。入力部150は、例えば、キーボードやマウスである。出力部160は、例えばディスプレイである。なお、コンピュータ100は、他の機器(例えば、他のコンピュータや携帯情報端末)と通信可能な通信装置を有し、この通信装置が、他の機器が送信してくる情報の入力を受け付ける入力部150、及び、他の機器に情報を送信する(情報を出力する)出力部160として機能してもよい。
【0058】
なお、前述した監視システム10の監視装置1と、有用情報出力装置1000のコンピュータ100とは、別の装置ではなくてもよく、前述した監視装置1が、有用情報出力装置1000のコンピュータ100と機能してもよい。
【0059】
サーバ200は、データベース210を有するコンピュータである。データベース210は、特許請求の範囲における記憶部の一例である。なお、有用情報出力装置1000はサーバ200を有していなくてもよく、ここで説明するデータベース210に記憶されている情報は、コンピュータ100の記憶部140に記憶されていてもよい。
【0060】
データベース210は、複数の設備機器が設置されている複数の物件について、物件毎に、物件の属性情報と、物件に関する監視システムの構築に有用な有用情報とを関連付けて記憶している。例えば、データベース210は、監視システム10により既に監視されている、複数の設備機器4A,4B,・・・4Zが設置されている複数の物件A,B,・・・Zについて、物件A,B,・・・Z毎に、物件A,B,・・・Zの属性情報と、物件A,B,・・・Zに関する有用情報とを関連付けて記憶している。また、データベース210は、監視システム10とは別の監視システムにより既に監視されている、複数の設備機器が設置されている1又は複数の物件について、物件毎に、物件の属性情報と、物件に関する有用情報とが関連付けて記憶されてもよい。ここでは、データベース210には、複数の設備機器が設置されている複数の物件α,β,・・・ωについて、物件α,β,・・・ω毎に、物件α,β,・・・ωの属性情報と、物件α,β,・・・ωに関する有用情報とを関連付けて記憶しているものとする。
【0061】
制御部110は、例えば入力部150に対して対象物件の属性情報(以後、対象物件の属性情報を、第1属性情報INF1と呼ぶ)の少なくとも一部の項目が入力されると、データベース210を参照して、第1属性情報INF1と属性情報が類似している物件である、類似物件を特定する。そして、制御部110は、データベース210を参照して、対象物件の有用情報の候補として、特定した類似物件の有用情報の少なくとも一部を、出力部160に出力する。
【0062】
制御部110が実行する処理の具体例を以下に示す。
【0063】
(2-3)有用情報の候補の出力方法
有用情報出力装置1000による有用情報の候補の出力方法の具体例を、図4図7を参照して説明する。なお、ここでは、入力部150がキーボードやマウスであり、出力部160がディスプレイである場合を例に以下の説明を行う。
【0064】
図4は、有用情報出力装置1000の有用情報の候補の出力処理の流れを示すフローチャートの一例である。図5は、有用情報出力装置1000の制御部110が、第1属性情報INF1のうち「対象物件の用途」の項目を受け付けた際に、有用情報出力装置1000の出力部160に出力する画面の例である。図6Aは、制御部110が、第1属性情報INF1のうち「対象物件の用途」、「延床面積」、「階数」、「部屋の用途」及び「各階の部屋数」を受け付けた際に、出力部160に出力する画面の例である。図6Aは、制御部110が、第1属性情報INF1のうち「対象物件の用途」、「延床面積」、「階数」、「部屋の用途」及び「各階の部屋数」を受け付けた際に、出力部160に出力する画面の他の例である。図7Aは、制御部110が、第1属性情報INF1の全てを受け付けた際に、出力部160に出力する画面の例である。図7Bは、制御部110が、第1属性情報INF1の全てを受け付けた際に、出力部160に出力する画面の他の例である。なお、図7Bでは、対象物件の第1属性情報INF1に関する描画は省略している。
【0065】
なお、説明の前提として、データベース210には、用途の異なる対象物件に関し(例えば、限定するものではないが、コンビニエンスストア、ホテル、オフィスビル及び病院について)、物件の属性情報と物件に関する有用情報とが関連付けて記憶されているものとする。なお、以下では、データベース210に記憶されている、物件毎に関連付けられた属性情報及び有用情報をまとめて「物件の第1情報」と呼ぶ場合がある。
【0066】
また、説明の前提として、データベース210には、十分な件数の物件の情報が記憶されているものとする。言い換えれば、データベース210に記憶されている物件の中に、対象物件にある程度属性が類似する物件が存在しているものとする。
【0067】
さらに、有用情報出力装置1000を使用する前提として、対象物件の監視画面データ等を作成する作成作業者(有用情報出力装置1000の使用者)は、対象物件の第1属性情報INF1を把握しているものとする。また、作成作業者は、第1属性情報INF1の他に、対象物件に関して監視システム10を構築する上で必要な情報、例えば、対象物件の設計図面等を有しているものとする。
【0068】
これらの前提のもと、作成作業者は、例えば入力部150を操作して、有用情報出力装置1000に、有用情報の候補を出力させるための処理を開始させる。
【0069】
そして、作成作業者は、入力部150に対し、第1属性情報INF1の中から、「対象物件の用途」を入力する。例えば、図5に示す例では、作成作業者は、入力部150に対し、「対象物件の用途」として「ホテル」を入力する。制御部110は、入力部150に入力された、「対象物件の用途」が「ホテル」であるという情報を取得する(図4のステップS1)。
【0070】
ステップS1で対象物件の用途を受け付けると、制御部110は、データベース210に記憶されている物件の第1情報のうち、属性情報の「物件の用途」が「ホテル」ではない第1情報と関連付けられている物件については、類似物件の候補から除外する。言い換えれば、ステップS1で対象物件の用途を受け付けると、制御部110は、類似物件候補を絞り込む(ステップS2)。ステップS2で類似物件候補から除外された物件の第1情報は、ステップS2より後のステップでは利用されない。言い換えれば、ステップS2で類似物件候補から除外された物件の第1情報に含まれる有用情報は、有用情報の候補として出力されない。
【0071】
ステップS2で類似物件の候補の絞り込みを行うと、制御部110は、出力部160に、類似物件候補(データベース210に第1情報が記憶されている全ての物件から、類似物件候補から除外された物件を除いたもの)のそれぞれを表す文字や記号(例えばアイコン)を表示させる。なお、類似物件候補が多数存在する場合、制御部110は、出力部160に、類似物件候補の一部だけを表示させ、画面中のハイパーリンクをクリックして他のページに移動することで、類似物件候補の全体を確認できるようにしてもよい。
【0072】
制御部110は、例えば図5のように、出力部160に、類似物件候補から除外された「ホテル」以外の用途の物件を表す文字や記号に対して、類似物件候補である用途が「ホテル」の物件を表す文字や記号を強調して表示する。あるいは、図示は省略するが、制御部110は、出力部160に、「ホテル」用途の物件についてのみ、物件を表す文字や記号を表示してもよい。なお、出力部160に対する類似物件候補を表す文字や記号の表示の態様は一例に過ぎず、表示の態様を限定するものではない。
【0073】
次に、作成作業者は、入力部150に対し、第1属性情報INF1の中の「対象物件の延床面積」を入力する。そして、制御部110は、入力部150に入力された「対象物件の延床面積」の値を取得する(図4のステップS3)。
【0074】
次に、ステップS4では、制御部110は、取得した第1属性情報INF1(ここでは、「対象物件の延床面積」)と所定のルールとに基づき、類似物件を特定する。例えば、制御部110は、データベース210を参照して、取得した第1属性情報INF1(ここでは、「対象物件の延床面積」)と、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報と、の類似度を、所定のルールに基づき算出し、更に類似度に基づいて類似物件を特定する。
【0075】
限定するものではないが、類似度算出の所定のルールは、例えば、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の延床面積」と「対象物件の延床面積」との差が大きいほど、その第1情報と関連付けられた物件の類似度を小さく算出するというようなルールである。また、類似度算出の所定のルールは、例えば、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の延床面積」と「対象物件の延床面積」との差が小さいほど、その第1情報と関連付けられた物件に高い点数を付与し、点数が高い物件ほど、類似度を大きく算出するというようなルールでもよい。なお、ここで説明する類似度算出のルールは、例示に過ぎず、ここで例示した以外のルールが用いられてもよい。
【0076】
制御部110は、類似度を算出すると、算出した類似度に基づいて、取得済みの第1属性情報INF1と属性情報が類似する類似物件を特定する。例えば、制御部110は、算出した類似度が所定値より大きな物件を、対象物件と類似する類似物件であると特定する。また、制御部110は、算出した類似度が所定値より小さな物件を、類似物件候補から除外してもよい。なお、ステップS4で類似物件候補から除外された物件の第1情報は、ステップS4より後のステップでは利用されない。言い換えれば、ステップS4で類似物件の候補から除外された物件の第1情報に含まれる有用情報は、有用情報の候補として出力されることはない。
【0077】
なお、類似物件を特定する上で、類似度は必ずしも算出されなくてもよい。例えば、制御部110は、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の延床面積」と「対象物件の延床面積」との差が所定範囲内である場合に、その第1情報と関連付けられた物件を類似物件と特定してもよい。また、制御部110は、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の延床面積」と「対象物件の延床面積」との差が所定範囲外である場合は、その第1情報と関連付けられた物件を類似物件から除外する。
【0078】
制御部110は、類似物件を特定すると、出力部160に、特定された類似物件のそれぞれを表す文字や記号を表示させる。なお、類似物件が多数存在する場合、制御部110は、出力部160に、類似物件の一部だけを表示させ、画面中のハイパーリンクをクリックして他のページに移動することで、類似物件の全体を確認できるようにしてもよい。
【0079】
制御部110は、例えば、出力部160に、類似物件以外の物件のそれぞれを表す文字や記号に対して、類似物件のそれぞれを表す文字や記号を強調して表示する。あるいは、図示は省略するが、制御部110は、出力部160に、類似物件についてのみ、物件のそれぞれを表す文字や記号を表示してもよい。なお、出力部160に対する類似物件を表す文字や記号の表示の態様は一例に過ぎず、表示の態様を限定するものではない。
【0080】
なお、制御部110は、出力部160に、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に、その類似物件の属性情報の全部又は一部を表示してもよい。例えば、制御部110は、出力部160に、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に、その類似物件の属性情報の一部である「延床面積」を表示してもよい。また、例えば、制御部110は、出力部160に、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に、その類似物件の有用情報の全部又は一部を、対象物件に関する有用情報の候補として表示してもよい。例えば、制御部110は、出力部160に、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に、その類似物件の監視画面(例えば、所定の階のフロアレイアウト図)のサムネイルを表示してもよい。また、例えば、制御部110は、出力部160に、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に、類似物件の特定の際に算出したその物件の類似度を表示してもよい。
【0081】
また、他の態様では、制御部110は、出力部160に、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に各種の情報を表示するのではなく、入力部150に対して所定の操作が行われた時に、出力部160に、その類似物件の属性情報の全部又は一部、その類似物件の有用情報の全部又は一部、及び/又は、類似物件の特定の際に算出したその物件の類似度を表示させてもよい。例えば、制御部110は、出力部160に表示される類似物件のそれぞれを表す記号や文字が入力部150としてのマウスでクリックされると、制御部110は、出力部160に、その類似物件の属性情報の全部又は一部、その類似物件の有用情報の全部又は一部、及び/又は、類似物件の特定の際に算出したその物件の類似度を表示させてもよい。
【0082】
作成作業者は、この時点で、選択部の一例としての入力部150を操作することで(例えば、出力部160に表示される類似物件のそれぞれを表す記号や文字をクリックすることで)、対象物件に関する有用情報の候補の中から(類似物件に特定されている物件の有用情報の中から)、1の類似物件の有用情報を、対象物件の監視画面データ等を作成する際に用いる有用情報として選択できる(ステップS5)。例えば、作成作業者は、出力部160に表示される有用情報の候補を参照し(類似物件の有用情報を参照し)、対象物件の監視画面データ等の作成に適したものがあれば、この類似物件の有用情報を、対象物件の監視画面データ等を作成する際に用いる有用情報として選択する。作成作業者が1の類似物件の有用情報を選択した場合、処理はステップS15に進む。
【0083】
なお、この時点では、類似物件の特定に、第1属性情報INF1として、「対象物件の用途」及び「対象物件の延床面積」しか利用されていないため、類似物件がまだ多数存在し、作成作業者が対象物件の監視画面データ等の作成に適した有用情報を選択することが難しい場合がある。そのため、作成作業者は、1の類似物件の有用情報を対象物件の監視画面データ等を作成する際に用いる有用情報として選択する代わりに、入力部150に、更なる情報を、第1属性情報INF1として入力することができる。
【0084】
具体的には、作成作業者は、入力部150に対し、第1属性情報INF1の中の「対象物件の階数」を入力する。そして、制御部110は、入力部150に入力された「対象物件の階数」の値を取得する(図4のステップS6)。
【0085】
ステップS7では、制御部110は、取得した第1属性情報INF1(少なくとも「対象物件の階数」)と所定のルールとに基づき、類似物件を特定する。
【0086】
例えば、制御部110は、データベース210を参照して、取得した第1属性情報INF1(例えば、「対象物件の延床面積」及び「対象物件の階数」)と、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報と、の類似度を、所定のルールに基づき算出し、更に類似度に基づいて類似物件を特定する。
【0087】
例えば、限定するものではないが、類似度算出の所定のルールは、第1属性情報INF1の「対象物件の延床面積」を「対象物件の階数」で除した値(言い換えれば、各階の床面積)と、データベース210に記憶されている各物件の第1情報の「対象物件の延床面積」を「対象物件の階数」で除した値との差が大きいほど、その第1情報と関連付けられた物件の類似度を小さく算出するというようなルールである。また、類似度算出の所定のルールは、例えば、第1属性情報INF1の「対象物件の延床面積」を「対象物件の階数」で除した値と、データベース210に記憶されている各物件の第1情報の「対象物件の延床面積」を「対象物件の階数」で除した値との差が小さいほど、その第1情報と関連付けられた物件に高い点数を付与し、点数が高い物件ほど、類似度を大きく算出するというようなルールでもよい。
【0088】
また、類似度算出の所定のルールは、例えば、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の延床面積」と「対象物件の延床面積」との差が大きいほど、その第1情報と関連付けられた物件の類似度を小さく算出し、また、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の階数」と「対象物件の階数」との差が大きいほど、その第1情報と関連付けられた物件の類似度を小さく算出する、というようなルールでもよい。また、類似度算出の所定のルールは、例えば、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の延床面積」と「対象物件の延床面積」との差が小さいほど、また、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の階数」と「対象物件の階数」との差が小さいほど、その第1情報と関連付けられた物件に高い点数を付与し、点数が高い物件ほど、類似度を大きく算出するというルールでもよい。また、類似度の算定の際には、「物件の延床面積」と「物件の階数」とのうちのどちらを、類似度の算出で重要視するのか、重み付けを行ってもよい。
【0089】
なお、ここで説明する類似度算出のルールは、例示に過ぎず、ここで例示した以外のルールが用いられてもよい。
【0090】
また、制御部110は、ステップS4において、類似物件と特定された物件に対してのみ、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の延床面積」と「対象物件の延床面積」との関係から類似度を算出し、ステップS4において類似物件から除外された物件に対しては類似度を算出しなくてもよい。言い換えれば、制御部110は、ステップS4で類似物件と特定されなかった物件は、ステップS7において類似物件に選択しなくてもよい。
【0091】
制御部110は、類似度を算出すると、算出した類似度に基づいて、取得済みの第1属性情報INF1と属性情報が類似する類似物件を特定する。類似度に基づいて類似物件を特定する方法は、ステップS4の説明の中で説明したため、ここでは説明は省略する。
【0092】
また、ステップS6においても、類似物件を特定する上で、類似度は必ずしも算出されなくてもよい。類似度を算出せずに類似物件を特定する方法は、ステップS4の説明の中で説明したため、ここでは説明は省略する。
【0093】
制御部110は、類似物件を特定すると、出力部160に、特定された類似物件のそれぞれを表す文字や記号を表示させる。出力部160に対する類似物件の表示の態様については、ステップS4の説明の中で説明したため、ここでは説明は省略する。
【0094】
作成作業者は、この時点で、ステップS5と同様に、選択部の一例としての入力部150を操作することで、対象物件に関する有用情報の候補の中から、1の類似物件の有用情報を、対象物件の監視画面データ等を作成する際に用いる有用情報として選択できる(ステップS8)。ステップS5と同様の内容のため、ステップS8の詳細な説明は省略する。作成作業者が1の類似物件の有用情報を選択した場合、処理はステップS15に進む。
【0095】
また、作成作業者は、ステップS5と同様に、1の類似物件の有用情報を対象物件の監視画面データ等を作成する際に用いる有用情報として選択する代わりに、入力部150に、更なる情報を、第1属性情報INF1として入力することができる。
【0096】
ここでは、作成作業者は、入力部150に対し、第1属性情報INF1の中の「物件の各階の部屋数」と、「物件の各部屋の用途」と、を入力する。具体的には、作成作業者は、入力部150に対し、対象物件の階毎に、その階に存在する部屋の用途と、部屋の用途別の部屋数と、を入力する。そして、制御部110は、入力部150に入力された「物件の各階の部屋数」及び「物件の各部屋の用途」を取得する(図4のステップS9)。
【0097】
次に、ステップS10では、制御部110は、取得した第1属性情報INF1(少なくとも「対象物件の各階の部屋数」及び「対象物件の各部屋の用途」)と、所定のルールと、に基づき、類似物件を特定する。
【0098】
例えば、制御部110は、データベース210を参照して、取得した第1属性情報INF1(例えば、「対象物件の延床面積」、「対象物件の階数」、「物件の各階の部屋数」及び「物件の各部屋の用途」)と、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報と、の類似度を、所定のルールに基づき算出し、更に類似度に基づいて類似物件を特定する。
【0099】
限定するものではないが、類似度算出の所定のルールは、以下のようなルールである。なお、「対象物件の延床面積」や「対象物件の階数」に基づいて、類似度をどのように算出するかは既に説明したので、ここでは、「物件の各階の部屋数」及び「物件の各部屋の用途」を類似度の算出にどのように用いるかのみ説明する。
【0100】
例えば、制御部110は、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の各部屋の用途」と「対象物件の各部屋の用途」とを比較し、対象物件に存在している用途の部屋が比較する物件に存在しない場合や、対象物件に存在していない用途の部屋が比較する物件に存在している場合に、対象物件と比較される物件の類似度を低く算出する。また、例えば、制御部110は、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の各階の部屋数」と「対象物件の各階の部屋数」とを比較し、その差が大きいほど、対象物件と比較される物件の類似度を低く算出する。例えば、より具体的には、制御部110は、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の各階の部屋数」と「対象物件の各階の部屋数」とを、部屋の用途別に比較し、その差が大きいほど、対象物件と比較される物件の類似度を低く算出する。具体例を挙げれば、例えば、対象物件も比較される物件もホテルであって、ある階が客室として利用されている点は共通しているものの、その階の客室数に大きな差があるとする。この場合、制御部110は、対象物件と比較される物件の類似度を低く算出してもよい。
【0101】
ステップS4と同様に、類似度の算定の際には、「延床面積」、「階数」、「各部屋の用途」及び「各階の部屋数」のうち、何を類似度の算出で重要視するのか、重み付けを行ってもよい。
【0102】
なお、ここで説明する類似度算出のルールは、例示に過ぎず、ここで例示した以外のルールが用いられてもよい。
【0103】
また、制御部110は、ステップS7において、類似物件と特定された物件に対してのみ、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の各部屋の用途」及び「物件の各階の部屋数」と、「対象物件の各部屋の用途」及び「対象物件の各階の部屋数」と、の関係で類似度を算出し、ステップS7において類似物件から除外された物件に対しては類似度を算出しなくてもよい。言い換えれば、制御部110は、ステップS7で類似物件と特定されなかった物件は、ステップS10において類似物件に選択しなくてもよい。
【0104】
制御部110は、類似度を算出すると、算出した類似度に基づいて、取得済みの第1属性情報INF1と属性情報が類似する類似物件を特定する。類似度に基づいて類似物件を特定する方法は、ステップS4の説明の中で説明したため、ここでは説明は省略する。
【0105】
また、ステップS10においても、類似物件を特定する上で、類似度は必ずしも算出されなくてもよい。類似度を算出せずに類似物件を特定する方法については、ステップS4の説明の中で説明したため、ここでは説明は省略する。
【0106】
制御部110は、類似物件を特定すると、出力部160に、特定された類似物件のそれぞれを表す文字や記号を表示させる。例えば、図6Aは、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に、その類似物件の属性情報の一部と、類似物件の特定のために算出した類似度と、を表示した画面である。図6Aのような情報が出力部160に表示される場合、例えば、画面上の所定の箇所が入力部150としてのマウスを用いてクリックされると、制御部110は、出力部160に、例えば図6Bのような有用情報を表示してもよい。図6Bは、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に、その類似物件の有用情報の一部である、類似物件の監視画面(所定の階のフロアレイアウト図)のサムネイルを表示したものである。なお、図6A及び図6Bでは、類似物件は、類似物件に該当していない物件(類似物件として特定されていない物件)に対して強調して(濃く)表示されている。出力部160に対する類似物件の表示の態様については、ステップS4の説明の中でも説明したため、ここでは更なる詳細な説明は省略する。
【0107】
なお、詳細な説明は省略するが、ステップS10の処理は、ステップS9において、対象物件の全ての階について、階毎に、その階に存在する部屋の用途と、部屋の用途別の部屋数とが入力されるのを待たずに行われてもよい。例えば、制御部110は、ステップS9において情報の一部が入力される度に、それまでに入力された情報を用いて類似物件を特定し、出力部160に、特定された類似物件のそれぞれを表す文字や記号を表示させてもよい。そして、制御部110は、ステップS9で入力される情報が増えるたびに、それまでに入力された情報を用いて類似物件の特定を更新し、出力部160に、特定された類似物件のそれぞれを表す文字や記号を表示させてもよい。
【0108】
作成作業者は、この時点で、ステップS5と同様に、選択部の一例としての入力部150を操作することで、対象物件に関する有用情報の候補の中から、1の類似物件の有用情報を、対象物件の監視画面データ等を作成する際に用いる有用情報として選択できる(ステップS11)。ステップS5と同様の内容のため、ステップS11の詳細な説明は省略する。作成作業者が1の類似物件の有用情報を選択した場合には、処理はステップS15に進む。
【0109】
また、作成作業者は、ステップS5と同様に、1の類似物件の有用情報を対象物件の監視画面データ等を作成する際に用いる有用情報として選択する代わりに、入力部150に、更なる第1属性情報INF1を入力することができる。
【0110】
ここでは、作成作業者は、入力部150に対し、第1属性情報INF1の中の「対象物件の各部屋に設置される設備機器の種類」及び「対象物件の各部屋に設置される設備機器の台数」と、を入力する。具体的には、作成作業者は、入力部150に対し、対象物件の部屋毎に、その部屋に存在する設備機器の種類と、その部屋に存在する設備機器の種類別の設備機器の台数と、を入力する。そして、制御部110は、入力部150に入力された「対象物件の各部屋に設置される設備機器の種類」、及び「対象物件の各部屋に設置される設備機器の台数」を取得する(図4のステップS12)。
【0111】
次に、ステップS13では、制御部110は、取得した第1属性情報INF1(少なくとも「対象物件の各部屋に設置される設備機器の種類」及び「対象物件の各部屋に設置される設備機器の台数」)と、所定のルールと、に基づき、類似物件を特定する。
【0112】
例えば、制御部110は、データベース210を参照して、取得した第1属性情報INF1(例えば、「対象物件の延床面積」、「対象物件の階数」、「物件の各階の部屋数」、「物件の各部屋の用途」、「対象物件の各部屋に設置される設備機器の種類」、及び「対象物件の各部屋に設置される設備機器の台数」)と、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報と、の類似度を、所定のルールに基づき算出し、更に類似度に基づいて類似物件を特定する。
【0113】
限定するものではないが、類似度算出の所定のルールは、以下のようなルールである。なお、「対象物件の延床面積」、「対象物件の階数」、「物件の各階の部屋数」及び「物件の各部屋の用途」に基づいて、類似度をどのように算出するかは既に説明したので、ここでは、「対象物件の各部屋に設置される設備機器の種類」及び「対象物件の各部屋に設置される設備機器の台数」を類似度の算出にどのように用いるかのみ説明する。
【0114】
例えば、制御部110は、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の各部屋に設置される設備機器の種類」と「対象物件の各部屋に設置される設備機器の種類」とを比較し、対象物件に存在している設備機器が比較する物件に存在しない場合や、対象物件に存在していない設備機器が比較する物件に存在している場合には、対象物件と比較される物件の類似度を低く算出する。また、例えば、制御部110は、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の各部屋に設置される設備機器の台数」と「対象物件の各部屋に設置される設備機器の台数」とを比較し、その差が大きいほど、対象物件と比較される物件の類似度を低く算出する。
【0115】
ステップS4と同様に、類似度の算定の際には、「対象物件の延床面積」、「対象物件の階数」、「物件の各階の部屋数」、「物件の各部屋の用途」、「対象物件の各部屋に設置される設備機器の種類」、及び「対象物件の各部屋に設置される設備機器の台数」のうち、何を類似度の算出で重要視するのか、重み付けを行ってもよい。
【0116】
なお、ここで説明する類似度算出のルールは、例示に過ぎず、ここで例示した以外のルールが用いられてもよい。
【0117】
また、制御部110は、ステップS10において、類似物件と特定された物件に対してのみ、データベース210に記憶されている物件の第1情報の中の属性情報に含まれる「物件の各部屋に設置される設備機器の種類」及び「物件の各部屋に設置される設備機器の台数」と、「対象物件の各部屋に設置される設備機器の種類」及び「対象物件の各部屋に設置される設備機器の台数」と、の関係で類似度を算出し、ステップS10において類似物件から除外された物件に対しては類似度を算出しなくてもよい。言い換えれば、制御部110は、ステップS10で類似物件と特定されなかった物件は、ステップS13において類似物件に選択しなくてもよい。
【0118】
制御部110は、類似度を算出すると、算出した類似度に基づいて、取得済みの第1属性情報INF1と属性情報が類似する類似物件を特定する。類似度に基づいて類似物件を特定する方法は、ステップS4の説明の中で説明したため、ここでは説明は省略する。
【0119】
また、ステップS13においても、類似物件を特定する上で、類似度は必ずしも算出されなくてもよい。類似度を算出せずに類似物件を特定する方法については、ステップS4の説明の中で説明したため、ここでは説明は省略する。
【0120】
制御部110は、類似物件を特定すると、出力部160に、特定された類似物件のそれぞれを表す文字や記号を表示させる。例えば、図7Aは、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に、その類似物件の属性情報と、類似物件の特定のために算出した類似度と、を表示した画面である。図7Aのような情報が出力部160に表示される場合、例えば、画面上の所定の箇所を入力部150としてのマウスを用いてクリックすると、制御部110は、出力部160に、例えば図7Bのような有用情報を表示してもよい。図7Bは、類似物件のそれぞれを表す記号や文字と共に、その類似物件の有用情報(フロアレイアウト図と、有用情報のデータの内容を示す情報)を表示したものである。なお、図7Bでは、対象物件の第1属性情報INF1の描画は省略している。図7Bのような情報が出力部160に表示される場合には、例えば、画面上の所定の箇所を入力部150としてのマウスを用いてクリックすると、制御部110は、出力部160に、有用情報の各項目の詳細を表示してもよい。なお、図7A及び図7Bでは、類似物件を示す文字や記号等だけが表示されており、類似物件以外を示す文字や記号等は表示されていない。
【0121】
なお、詳細な説明は省略するが、ステップS10と同様に、ステップS13の処理は、ステップS12において情報の一部が入力される度に行われ、制御部110は、それまでに入力された情報を用いて類似物件を特定し、出力部160に、特定された類似物件のそれぞれを表す文字や記号を表示させてもよい。
【0122】
次に、作成作業者は、選択部の一例としての入力部150を操作することで、対象物件に関する有用情報の候補の中から(類似物件に特定されている物件の有用情報の中から)、1の類似物件の有用情報を、対象物件の監視画面データ等を作成する際に用いる有用情報として選択する(ステップS14)。例えば、作成作業者は、出力部160に表示される有用情報の候補を参照し(類似物件の有用情報を参照し)、対象物件の監視画面データ等の作成に適したものを、対象物件の監視画面データ等を作成する際に用いる有用情報として選択する。作成作業者が1の類似物件の有用情報を選択すると、処理はステップS15に進む。
【0123】
ステップS15では、作成作業者は、ステップS14で選択した有用情報を、そのまま対象物件の監視画面データ等として利用できるかを判断する。言い換えれば、ステップS15では、作成作業者は、ステップS14で選択した有用情報を対象物件の有用情報として利用する上で、ステップS14で選択した有用情報の編集が必要か否かを判断する。
【0124】
編集不要の場合、作成作業者は、入力部150に対して、編集不要の際に行う操作を行い、制御部110による処理はステップS17に進む。
【0125】
一方、編集が必要な場合、作成作業者は、支持受付部の一例としての入力部150に選択された有用情報の内容の変更指示を入力し、制御部110は、入力部150が受け付けた変更指示に基づいて、ステップS14で選択された有用情報の内容を変更する。具体的には、作成作業者は、入力部150としてのマウスやキーボードを用いて、選択された有用情報の中の監視画面の編集を行ったり、選択された有用情報の中の各種データ(プログラムを含む)の編集を行ったりする。作成作業者が、入力部150に対して、編集終了の際に行う操作を行うと、制御部110による処理はステップS17に進む。
【0126】
ステップS17では、制御部110は、ステップS14で選択された有用情報、又は、ステップS16で編集された有用情報を、インターネット等のネットワーク等を介して、監視装置1に対して送信する。監視装置1は、有用情報出力装置1000(具体的にはコンピュータ100)から受信した有用情報を記憶部2dに記憶し、対象物件(新たな物件)の監視や、対象物件の設備機器の制御に利用する。なお、監視装置1を、有用情報出力装置1000のコンピュータ100として利用する場合には、このような処理は不要となる。
【0127】
また、ステップS17では、制御部110は、サーバ200のデータベース210に、対象物件の属性情報(第1属性情報INF1)と、対象物件の有用情報(ステップS14で選択された有用情報、又は、ステップS16で編集(変更)された有用情報)の内容と、を関連付けて記憶する。このように対象物件の属性情報及び有用情報を関連付けて記憶しておくことで、このデータを、次に有用情報出力装置1000が、新たな対象物件に対して有用情報の候補を出力する際に利用することができる。
【0128】
(3)特徴
(3-1)
有用情報出力装置1000は、対象物件について有用情報の候補を出力する装置である。有用情報出力装置1000は、制御部110と、記憶部の一例としてのデータベース210と、を備えている。データベース210は、複数の設備機器が設置されている複数の物件α,β,・・・ωについて、物件α,β,・・・ω毎に、物件α,β,・・・ωの属性情報と、物件に関する監視システム10の構築に有用な有用情報と、を関連付けて記憶している。制御部110は、対象物件の属性情報である第1属性情報INF1を取得する。制御部110は、データベース210を参照して、第1属性情報INF1と属性情報が類似している物件である、類似物件を特定する。制御部110は、データベース210を参照して、対象物件の有用情報の候補として、類似物件の、有用情報の少なくとも一部を出力する。属性情報には、物件の用途、物件の延床面積、物件の階数、物件の各階の部屋数、物件の各部屋の用途、物件の各部屋に設置される設備機器の種類、及び物件の各部屋に設置される設備機器の台数、の少なくとも1つを含む。
【0129】
好ましくは、属性情報には、物件の延床面積及び物件の階数が少なくとも含まれる。好ましくは、属性情報には、物件の用途が含まれる。
【0130】
有用情報出力装置1000は、対象物件と属性情報が類似する物件の有用情報の少なくとも一部を、そのまま対象物件の有用情報の候補として出力する。このような有用情報出力装置1000を使用することで、機器レベルでのテンプレートの利用ではなく、類似物件全体の有用情報を対象物件に関する監視システム10の構築に利用でき、対象物件に関する監視システム10の構築に要する工数を削減できる。
【0131】
(3-2)
有用情報出力装置1000では、対象物件の有用情報の候補として出力される情報には、監視画面データ、データポイント情報、及び制御プログラムの少なくとも1つを含む。
【0132】
有用情報出力装置1000を用いることで、対象物件に関する監視システム10の構築に要する工数の削減に寄与できる。
【0133】
(3-3)
有用情報出力装置1000では、監視画面データには、フロアレイアウト図のデータを含む。
【0134】
有用情報出力装置1000では、類似物件で実際に使用されているフロアレイアウト図を、対象物件に関する監視システム10の構築に利用できるため、対象物件に関する監視システムの構築に要する工数を削減できる。
【0135】
(3-4)
有用情報出力装置1000では、制御部110は、第1属性情報INF1とデータベース210に記憶されている各属性情報との類似度を、所定のルールに基づき算出し、類似度に基づいて類似物件を特定する。
【0136】
有用情報出力装置1000では、対象物件の有用情報の候補とするのに適切な有用情報を候補として出力することができる。
【0137】
(3-5)
有用情報出力装置1000では、属性情報には、複数の項目を含む。制御部110は、第1属性情報INF1の複数の項目の一部について情報を取得すると、データベース210を参照して、取得済みの第1属性情報INF1と属性情報が類似する類似物件を特定し、対象物件に関する有用情報の候補として、類似物件の、有用情報の少なくとも一部を出力する。
【0138】
有用情報出力装置1000では、第1属性情報INF1の一部の項目を入力した時点で、有用情報の候補が出力される。そのため、適切な有用情報の候補が得られた時点で、第1属性情報INF1の項目の入力を終了することができ、対象物件に関する監視システム10の構築に要する工数を削減できる。
【0139】
(3-6)
有用情報出力装置1000は、選択部及び指示受付部として機能する入力部150を備える。入力部150は、対象物件に関する有用情報の候補の中から1の有用情報の選択を受け付ける。入力部150は、選択された有用情報の内容に対する変更指示を受け付ける。制御部110は、変更指示に基づいて、入力部150を用いて選択された有用情報の内容を変更する。
【0140】
有用情報出力装置1000では、有用情報の候補の内容を変更可能であるため、有用情報の候補をそのまま利用できない場合であっても、出力された有用情報の少なくとも部分的に流用して、対象物件に関する監視システムの構築に要する工数を削減できる。
【0141】
(3-7)
有用情報出力装置1000では、制御部110は、対象物件の第1属性情報INF1及び変更後(編集後)の対象物件の有用情報の内容を関連付けて、データベース210に記憶する。
【0142】
有用情報出力装置1000では、対象物件の属性情報と変更後の(編集後の)有用情報とが関連付けて記憶されるため、この情報を、他の対象物件に対する有用情報の候補の出力に利用できる。
【0143】
(3-8)
本実施形態の有用情報の候補の出力方法は、制御部110と、データベース210と、を用いて、対象物件に関する有用情報の候補を出力する方法である。データベース210には、複数の設備機器が設置されている複数の物件α,β,・・・ωについて、物件α,β,・・・ω毎に、属性情報と物件に関する監視システム10の構築に有用な有用情報とが関連付けて記憶されている。有用情報の候補の出力方法は、取得ステップと、特定ステップと、出力ステップと、を備える。取得ステップでは、制御部110が、対象物件の属性情報である第1属性情報INF1を取得する。特定ステップでは、制御部110が、データベース210を参照して、第1属性情報INF1と属性情報が類似する物件である、類似物件を特定する。出力ステップでは、制御部110が、データベース210を参照して、対象物件に関する有用情報の候補として、類似物件の、有用情報の少なくとも一部を出力する。属性情報には、物件の用途、物件の延床面積、物件の階数、物件の各階の部屋数、物件の各部屋の用途、及び物件の各部屋に設置される設備機器の種類、及び物件の各部屋に設置される設備機器の台数、の少なくとも1つを含む。
【0144】
好ましくは、物件の延床面積及び物件の階数が少なくとも含まれる。また、好ましくは、属性情報には、物件の用途が含まれる。
【0145】
この有用情報の候補の出力方法は、対象物件と属性情報が類似する物件の有用情報の少なくとも一部を、そのまま対象物件の有用情報の候補として出力する。この方法を使用することで、機器レベルでのテンプレートの利用ではなく、類似物件全体の有用情報を対象物件に関する監視システム10の構築に利用でき、対象物件に関する監視システム10の構築に要する工数を削減できる。
【0146】
(4)変形例
上記実施形態の変形例について説明する。なお、変形例の内容は、互いに矛盾しない限り、他の変形例の一部又は全部の内容と適宜組み合わされてもよい。
【0147】
(4-1)変形例A
上述のように、類似物件の特定のために利用される物件の属性情報には、物件の用途、延床面積、階数、各階の部屋数、各部屋の用途、各部屋に設置される設備機器の種類、及び物件の各部屋に設置される設備機器の台数、の全てを含む必要はない。
【0148】
例えば、一例を挙げると、データベース210に記憶されている物件の第1情報が、全て同一用途の物件の第1情報であり、対象物件の用途も、データベース210に記憶されている物件の用途と同一であるような場合には、物件の属性情報には、物件の用途は含まれなくてもよい。
【0149】
また、例えば、対象物件の一部の属性(例えば物件の階数)の違いが、作成しようとする有用情報の内容にあまり影響を与えないような場合には、このような属性の項目は、有用情報の候補の出力に利用される属性情報から除外してもよい。
【0150】
(4-2)変形例B
上記実施形態では、制御部110は、既定のルールに基づき類似物件を特定する。ただし、これに限定されるものではなく、設定受付部の一例としての入力部150がルールの設定を受け付けるように構成され、制御部110は、入力部150が受け付けたルールに基づいて類似物件を特定してもよい。
【0151】
ルールの設定には、属性情報の複数の項目のうち、どの項目を類似度の算出に用いるかの設定を含む。
【0152】
また、ルールの設定には、例えば、属性情報の項目の重み付けの設定を含む。重み付けの設定とは、属性情報の複数の項目のうち、どの項目を類似度の算出において重要視するかの設定である。
【0153】
このように、類似物件の特定の際のルールが設定可能であることで、有用情報出力装置1000は、有用情報出力装置1000を利用する作成作業者のニーズに合わせて、適切な有用情報の候補を出力することができる。
【0154】
(4-3)変形例C
上記実施形態で図4のフローチャートを参照しながら説明した有用情報の候補の出力方法は、有用情報の候補の出力方法の一例に過ぎない。
【0155】
例えば、図4のフローチャートでは、「物件の用途」が一致しない場合、その属性情報を有する物件を類似物件候補から除外している。しかし、有用情報の候補の出力方法は、このような態様に限定されるものではなく、制御部110は、「物件の用途」が不一致の場合でも、直ちにこの物件を類似物件候補から除外せずに、属性情報の全項目を考慮して類似物件を決定してもよい。
【0156】
また、図4のフローチャートにおける第1属性情報INF1の各項目の入力順序は、一例であって、第1属性情報INF1の各項目の入力順序は、適宜変更されてもよい。
【0157】
また、図4のフローチャートでは、制御部110は、第1属性情報INF1の項目の一部が入力されると、随時、類似物件の特定を行っている。しかし、有用情報の候補の出力方法は、このような態様に限定されるものではなく、制御部110は、第1属性情報INF1の全項目の入力後に類似物件の特定を行ってもよい。
【0158】
また、例えば、制御部110は、類似物件を特定する度に、出力部160に、類似物件を特定する文字又は記号や、その類似物件の有用情報等を出力(表示)している。しかし、有用情報の候補の出力方法は、このような態様に限定されるものではなく、制御部110は、類似物件に特定される物件の数が所定数以下になるまでは、類似物件を特定する文字又は記号や、その類似物件の有用情報等を出力(表示)しなくてもよい。
【0159】
(4-4)変形例D
上記実施形態では、制御部110は、対象物件の有用情報の候補として、類似物件の有用情報をそのまま出力するがこれに限定されるものではない。制御部110は、対象物件の有用情報の候補として、類似物件の有用情報から所定の情報を除いた情報を出力してもよい。
【0160】
例えば、有用情報には、データ間の紐づけに関する情報が含まれる場合がある。このようなデータ間の紐づけに関する情報は、物件により異なるため、他の物件における情報を対象物件では利用できない場合がある。そこで、制御部110は、類似物件の有用情報の中から、利用が難しい所定の情報(ここでは、データ間の紐づけに関する情報)を除いた情報を出力してもよい。
【0161】
なお、除かれる情報は、データ間の紐づけに関する情報に限定されるものではなく、監視画面データ、制御プログラム、アラーム設定、トレンド設定、データポイント情報のいずれかでもよい。
【0162】
このように、制御部110が、物件固有の情報であって対象物件での利用が難しい情報を有用情報から除くようにすれば、対象物件に関する監視システム10の構築の際に不要な情報を削除する手間を省くことができる。
【0163】
<付記>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本開示の有用情報出力装置及び有用情報の候補の出力方法は、監視システムの構築に要する工数を削減でき有用である。
【符号の説明】
【0165】
110 制御部
150 入力部(設定受付部,選択部,指示受付部)
210 データベース(記憶部)
1000 有用情報出力装置
G1 フロアレイアウト図
INF1 第1属性情報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0166】
【文献】国際公開第2014/064819号
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B