(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
F21V 29/67 20150101AFI20240711BHJP
F21V 29/71 20150101ALI20240711BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20240711BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20240711BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240711BHJP
【FI】
F21V29/67 100
F21V29/71
F21V9/32
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021526064
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 JP2020022280
(87)【国際公開番号】W WO2020250821
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2019108125
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】小西 正宏
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-031546(JP,A)
【文献】特開2015-144041(JP,A)
【文献】特開2017-059493(JP,A)
【文献】特開2005-352427(JP,A)
【文献】特開平10-301498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/67
F21V 29/71
F21V 9/32
F21V 19/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板、前記絶縁基板の一面に配置されている回路パターン層、及び、前記回路パターン層に接合されている少なくとも1つの発光素子を有する発光基板と、
前記少なくとも1つの発光素子の発光に伴い昇温する前記発光基板から熱を奪うフラットヒートパイプ機構と、
前記フラットヒートパイプ機構を冷却する冷却部と、
を備え、
前記フラットヒートパイプ機構は、第1フラットヒートパイプ及び第2フラットヒートパイプを有し、
前記第1フラットヒートパイプ及び前記第2フラットヒートパイプは、それぞれ、L字状で、熱入力部である第1平板部分及び熱出力部である第2平板部分を有し、
前記第1フラットヒートパイプは、その第1平板部分を前記絶縁基板の他面側に向けた状態で配置され、
前記第2フラットヒートパイプは、その第1平板部分を前記第1フラットヒートパイプの第1平板部分に重ねて配置されている、発光装置。
【請求項2】
前記フラットヒートパイプ機構の熱を放熱するヒートシンク、
をさらに備える請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記冷却部は、前記ヒートシンクに空気流を当てて前記ヒートシンクを冷却する、
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記ヒートシンクは、前記フラットヒートパイプ機構を挟んで前記発光基板の反対側に配置され、前記フラットヒートパイプ機構が前記発光基板から奪った熱を放熱する、
請求項2又は3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの発光素子は、複数個の発光素子である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光基板は、前記絶縁基板の一面側に配置され、前記少なくとも1つの発光素子の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体を含む蛍光体層を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記蛍光体層は、前記絶縁基板の一面のうち80%以上の部分を覆っている、
請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光基板及び前記フラットヒートパイプ機構を収容している収容部、
を備える請求項1~7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記収容部は、さらに前記冷却部を収容している、
請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記フラットヒートパイプ機構は、熱入力部である第1平板部分及び熱出力部である第2平板部分を有するL字状のフラットヒートパイプであり、
前記フラットヒートパイプは、前記第1平板部分を前記絶縁基板の他面側に向けた状態で配置され、
前記冷却部は、前記第2平板部分に空気流を当てて前記フラットヒートパイプを冷却する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記フラットヒートパイプ機構は、熱入力部である第1平板部分及び熱出力部である第2平板部分を有するL字状のフラットヒートパイプであり、
前記フラットヒートパイプは、前記第1平板部分を前記絶縁基板の他面側に向けた状態で配置され、
前記冷却部は、前記第2平板部分に空気流を当てて前記フラットヒートパイプを冷却し、
前記ヒートシンクは、前記第2平板部分と、前記冷却部との間に配置されている、請求項2に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第1フラットヒートパイプと前記第2フラットヒートパイプとは、それぞれの前記第2平板部分が互いに反対側に延びた状態で配置されている、
請求項1~11のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記フラットヒートパイプ機構は、平板状で、互いに重なり合っている第1フラットヒートパイプ及び第2フラットヒートパイプを有し、かつ、前記絶縁基板の他面側で前記絶縁基板に重なって配置されている、
請求項1~9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項14】
前記冷却部は、前記フラットヒートパイプ機構を挟んで前記発光基板の反対側に配置されている、
請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記第1フラットヒートパイプ及び前記第2フラットヒートパイプは、それぞれ、複数のパイプが並べられて構成されており、
前記第1フラットヒートパイプを構成する前記複数のパイプの並び方向と、前記第2フラットヒートパイプを構成する前記複数のパイプの並び方向とは、互いに交差する方向になっている、
請求項13又は14に記載の発光装置。
【請求項16】
絶縁基板、前記絶縁基板の一面に配置されている回路パターン層、及び、前記回路パターン層に接合されている少なくとも1つの発光素子を有する発光基板と、
前記少なくとも1つの発光素子の発光に伴い昇温する前記発光基板から熱を奪うフラットヒートパイプ機構と、
前記フラットヒートパイプ機構を冷却する冷却部と、
を備え、
前記フラットヒートパイプ機構は、平板状で、互いに重なり合っている第1フラットヒートパイプ及び第2フラットヒートパイプを有し、かつ、前記絶縁基板の他面側で前記絶縁基板に重なって配置されており、
前記第1フラットヒートパイプ及び前記第2フラットヒートパイプは、それぞれ、複数のパイプが並べられて構成されており、
前記第1フラットヒートパイプを構成する前記複数のパイプの並び方向と、前記第2フラットヒートパイプを構成する前記複数のパイプの並び方向とは、互いに交差する方向になっている、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子(LED素子)が搭載された基板を備えるLED照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1のLED照明器具の場合、発光素子に電力を供給して発光素子を発行し続けると、発光素子はその発光による発熱で故障する虞がある。
【0005】
本発明は、絶縁基板及び複数の発光素子を有する発光基板を備える発光装置において、前記発光に伴い昇温した発光基板の熱を適切に奪うことが可能な発光装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の発光装置は、
絶縁基板、前記絶縁基板の一面に配置されている回路パターン層、及び、前記回路パターン層に接合されている少なくとも1つの発光素子を有する発光基板と、
前記少なくとも1つの発光素子の発光に伴い昇温する前記発光基板から熱を奪うフラットヒートパイプ機構と、
前記フラットヒートパイプ機構を冷却する冷却部と、
を備える。
【0007】
本発明の第2態様の発光装置は、
絶縁基板、前記絶縁基板の一面に配置されている回路パターン層、前記回路パターン層に接合されている少なくとも1つの発光素子、及び、前記絶縁基板の一面側に配置され、前記少なくとも1つの発光素子の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある蛍光体を含む蛍光体層を有する発光基板と、
前記少なくとも1つの発光素子の発光に伴い昇温する前記発光基板から熱を奪うフラットヒートパイプ機構と、
前記フラットヒートパイプ機構を冷却する冷却部と、
を備える。
【0008】
本発明の第3態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記フラットヒートパイプ機構の熱を放熱するヒートシンク、
をさらに備える。
【0009】
本発明の第4態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記冷却部は、前記ヒートシンクに空気流を当てて前記ヒートシンクを冷却する。
【0010】
本発明の第5態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記ヒートシンクは、前記フラットヒートパイプ機構を挟んで前記発光基板の反対側に配置され、前記フラットヒートパイプ機構が前記発光基板から奪った熱を放熱する。
【0011】
本発明の第6態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記少なくとも1つの発光素子は、複数個の発光素子である。
【0012】
本発明の第7態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記蛍光体層は、前記絶縁基板の一面のうち80%以上の部分を覆っている。
【0013】
本発明の第8態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記発光基板及び前記フラットヒートパイプ機構を収容している収容部、
を備える。
【0014】
本発明の第9態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記収容部は、さらに前記冷却部を収容している。
【0015】
本発明の第10態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記フラットヒートパイプ機構は、熱入力部である第1平板部分及び熱出力部である第2平板部分を有するL字状のフラットヒートパイプであり、
前記フラットヒートパイプは、前記第1平板部分を前記絶縁基板の他面側に向けた状態で配置され、
前記冷却部は、前記第2平板部分に空気流を当てて前記フラットヒートパイプを冷却する。
【0016】
本発明の第11態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記ヒートシンクは、前記第2平板部分と、前記冷却部との間に配置されている。
【0017】
本発明の第12態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記フラットヒートパイプ機構は、第1フラットヒートパイプ及び第2フラットヒートパイプを有し、
前記第1フラットヒートパイプ及び前記第2フラットヒートパイプは、それぞれ、L字状で、熱入力部である第1平板部分及び熱出力部である第2平板部分を有し、
前記第1フラットヒートパイプは、その第1平板部分を前記絶縁基板の他面側に向けた状態で配置され、
前記第2フラットヒートパイプは、その第1平板部分を前記第1フラットヒートパイプの第1平板部分に重ねて配置されている。
【0018】
本発明の第13態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記第1フラットヒートパイプと前記第2フラットヒートパイプとは、それぞれの前記第2平板部分が互いに反対側に延びた状態で配置されている。
【0019】
本発明の第14態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記フラットヒートパイプ機構は、平板状で、互いに重なり合っている第1フラットヒートパイプ及び第2フラットヒートパイプを有し、かつ、前記絶縁基板の他面側で前記絶縁基板に重なって配置されている。
【0020】
本発明の第15態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記冷却部は、前記フラットヒートパイプ機構を挟んで前記発光基板の反対側に配置されている。
【0021】
本発明の第16態様の発光装置は、
前記発光装置において、
前記第1フラットヒートパイプ及び前記第2フラットヒートパイプは、それぞれ、複数のパイプが並べられて構成されており、
前記第1フラットヒートパイプを構成する前記複数のパイプの並び方向と、前記第2フラットヒートパイプを構成する前記複数のパイプの並び方向とは、互いに交差する方向になっている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2A】第1実施形態の発光装置が備える発光基板の平面図である。
【
図2B】第1実施形態の発光基板が備える絶縁基板(発光基板からすべての発光素子及び蛍光体層を除いたもの)の平面図である。
【
図3】第1実施形態の発光基板の発光動作を説明するための図である。
【
図4】蛍光体層を備えていない発光基板の発光動作を説明するための図である。
【
図9C】第6実施形態の発光装置が備えるフラットヒートパイプ機構を冷却ファン側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
≪概要≫
以下、本発明の一例である第1~第6実施形態についてこれらの記載順で説明する。また、以下の説明で参照するすべての図面において、同様な構成要素には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0024】
≪第1実施形態≫
以下、第1実施形態について
図1A~
図4を参照しながら説明する。まず、本実施形態の発光装置100の機能及び構成について
図1A及び
図1Bを参照しながら説明する。次いで、本実施形態の発光装置100の発光動作について
図3を参照しながら説明する。次いで、本実施形態の効果について説明する。
【0025】
<第1実施形態の発光装置の機能及び構成>
本実施形態の発光装置100は、発光基板10を発光させることにより発光する機能を有する。例えば、発光装置100は、照明装置として利用される。
発光装置100は、発光基板10と、フラットヒートパイプ40(フラットヒートパイプ機構の一例)と、冷却ファン50(冷却部の一例)と、ハウジング60(収容部の一例)と、電源(図示省略)と、スイッチ(図示省略)とを備えている。
【0026】
ここで、発光基板10、フラットヒートパイプ40及び電源は、ハウジング60に収容されている。発光基板10とフラットヒートパイプ40とは、発光基板10の板厚方向において互いに重なるように配置されている。冷却ファン50は、ハウジング60に隣接して配置されている。スイッチは、ハウジング60の外面に取り付けられている。
【0027】
〔発光基板〕
次に、本実施形態の発光基板10について、主に
図2A及び
図2Bを参照しながら説明する。
発光基板10は、表面31側及び裏面33側から見て、すなわち、板厚方向から見て、一例として矩形である。また、発光基板10は、複数の発光素子20と、蛍光体基板30と、コネクタ、ドライバIC等の電子部品(図示省略)とを有し、蛍光体基板30に、複数の発光素子20及び上記電子部品が搭載されたものである。そして、発光基板10は、コネクタを介して電源(図示省略)から給電されると、複数の発光素子20を発光させるように構成されている(
図3参照)。
なお、発光基板10は、
図1A及び
図1Bに示されるように、ハウジング60の一部を構成する板66の表面66Aにその裏面33を接触させて、板66に固定されている。
【0028】
〈複数の発光素子〉
複数の発光素子20は、それぞれ、一例として、フリップチップLED(図示省略)が組み込まれたCSP(Chip Scale Package)である。複数の発光素子20は、
図1Aに示されるように、蛍光体基板30の表面31の全体に亘って規則的に並べられた状態で、蛍光体基板30に搭載されている。各発光素子20が発光する光の相関色温度は、一例として3,018Kである。なお、本実施形態では、フラットヒートパイプ40及び冷却ファン50により、複数の発光素子20の発光動作時に、蛍光体基板30を一例として常温~100℃以下となるように放熱(冷却)されるようになっている。
【0029】
ここで、本明細書で数値範囲に使用する「~」の意味について補足すると、例えば「50℃~100℃」は「50℃以上100℃以下」を意味する。すなわち、本明細書で数値範囲に使用する「~」は、「『~』の前の記載部分以上『~』の後の記載部分以下」を意味する。
【0030】
〈蛍光体基板〉
蛍光体基板30は、絶縁基板32と、回路パターン層34と、蛍光体層36と、裏面パターン層(省略)とを有する(
図2A及び
図2B参照)。ここで、
図2Bでは蛍光体層36が省略されているが、蛍光体層36は、
図2Aに示されるように、一例として、絶縁基板32及び回路パターン層34の表面31における、後述する複数の電極対34A以外の部分に配置されている。
【0031】
また、蛍光体基板30には、四つ角付近の4箇所及び中央付近の2箇所の6箇所に貫通孔39が形成されている(
図2A及び
図2B参照)。6箇所の貫通孔39は、蛍光体基板30及び発光基板10の製造時に位置決め孔として利用される。あわせて、6箇所の貫通孔39は、(発光)灯具筐体への熱引き効果確保(基板反り及び浮き防止)のための取り付け用のネジ穴として利用される。なお、本実施形態の蛍光体基板30は、後述するように、絶縁板の両面に銅箔層が設けられたマザーボードを加工(エッチング等)して製造されるが、マザーボードは一例として利昌工業株式会社製のCS-3305Aである。
【0032】
〈絶縁基板〉
絶縁基板32は、一例として、以下のような特徴を有する。
形状は、前述のとおり、一例として表面31側及び裏面33側から見て矩形である。
材質は、一例としてビスマレイミド樹脂及びガラスクロスを含む絶縁材である。
厚みは、一例として100μmである。
縦方向及び横方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ、一例として、50℃~100℃の範囲において10ppm/℃以下である。また、別の見方をすると、縦方向及び横方向の熱膨張係数(CTE)は、それぞれ、一例として、6ppm/Kである。この値は、本実施形態の発光素子20の場合とほぼ同等(90%~110%、すなわち±10%以内)である。
ガラス転移温度は、一例として、300℃よりも高い。
貯蔵弾性率は、一例として、100℃~300℃の範囲において、1.0×1010Paよりも大きく1.0×1011Paよりも小さい。
縦方向及び横方向の曲げ弾性率は、一例として、それぞれ、常態において35GPa及び34GPaである。
縦方向及び横方向の熱間曲げ弾性率は、一例として、250℃において19GPaである。
吸水率は、一例として、23℃の温度環境で24時間放置した場合に0.13%である。
比誘電率は、一例として、1MHz常態において4.6である。
誘電正接は、一例として、1MHz常態において、0.010である。
【0033】
〈回路パターン層〉
回路パターン層34は、絶縁基板32の表面31側に設けられた金属層(一例として銅箔層)であり、コネクタ(図示省略)に接合される端子37と導通している。そして、回路パターン層34は、コネクタを介して電源(図示省略)から給電された電力を、複数の発光素子20に供給する機能を有する。そのため、回路パターン層34の一部は、複数の発光素子20がそれぞれ接合される複数の電極対34Aとなっている。すなわち、回路パターン層34は、各発光素子20に接続されている。
【0034】
また、前述のとおり、複数の発光素子20は絶縁基板32の表面31に全体に亘って規則的に並べられていることから(
図2A参照)、複数の電極対34Aも表面31の全体に亘って規則的に並べられている(
図2B参照)。以下、本明細書では、回路パターン層34における複数の電極対34A以外の部分を配線部分34Bという。
絶縁基板32の表面31における回路パターン層34が配置されている領域(回路パターン層34の専有面積)は、一例として、絶縁基板32の表面31の60%以上の領域(面積)である(
図2A参照)。
【0035】
〈蛍光体層〉
本実施形態の蛍光体層36は、一例として、蛍光体層36は、絶縁基板32及び回路パターン層34の表面31における、複数の電極対34A以外の部分に配置されている(
図2A参照)。そして、本実施形態では、絶縁基板32の表面31における蛍光体層36が配置されている領域は、一例として、絶縁基板32の表面31における80%以上の領域である。別言すると、蛍光体層36は、絶縁基板32の表面31のうち80%以上の部分を覆っている。
なお、蛍光体層36における絶縁基板32の厚み方向の外側の面(外表面)は、一例として、回路パターン層34における絶縁基板32の厚み方向の外側の面(外表面)よりも当該厚み方向の外側に位置している。
【0036】
蛍光体層36は、一例として、後述する蛍光体(複数の蛍光体粒子の集合体)とバインダーとを含み、複数の蛍光体粒子が当該バインダーに分散された絶縁層である。蛍光体層36に含まれる蛍光体は、各発光素子20の発光を励起光として励起する性質を有する。具体的には、本実施形態の蛍光体は、発光素子20の発光を励起光としたときの発光ピーク波長が可視光領域にある性質を有する。なお、当該バインダーは、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系等のバインダーであって、ソルダーレジストに含まれるバインダーと同等の絶縁性を有するものであればよい。
【0037】
蛍光体層36に含まれる蛍光体は、一例として、Euを含有するα型サイアロン蛍光体、Euを含有するβ型サイアロン蛍光体、Euを含有するCASN蛍光体及びEuを含有するSCASN蛍光体からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の蛍光体である。なお、前述の蛍光体は、本実施形態での一例であり、YAG、LuAG、BOSその他の可視光励起の蛍光体のように、前述の蛍光体以外の蛍光体であってもよい。
【0038】
Euを含有するα型サイアロン蛍光体は、一般式:MxEuySi12-(m+n)Al(m+n)OnN16-nで表される。上記一般式中、MはLi、Mg、Ca、Y及びランタニド元素(ただし、LaとCeを除く)からなる群から選ばれる、少なくともCaを含む1種以上の元素であり、Mの価数をaとしたとき、ax+2y=mであり、xが0<x≦1.5であり、0.3≦m<4.5、0<n<2.25である。
【0039】
Euを含有するβ型サイアロン蛍光体は、一般式:Si6-zAlzOzN8-z(z=0.005~1)で表されるβ型サイアロンに発光中心として二価のユーロピウム(Eu2+)を固溶した蛍光体である。
【0040】
また、窒化物蛍光体として、Euを含有するCASN蛍光体、Euを含有するSCASN蛍光体等が挙げられる。
【0041】
Euを含有するCASN蛍光体(窒化物蛍光体の一例)は、例えば、式CaAlSiN3:Eu2+で表され、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう。なお、本明細書におけるEuを含有するCASN蛍光体の定義では、Euを含有するSCASN蛍光体が除かれる。
【0042】
Euを含有するSCASN蛍光体(窒化物蛍光体の一例)は、例えば、式(Sr,Ca)AlSiN3:Eu2+で表され、Eu2+を付活剤とし、アルカリ土類ケイ窒化物からなる結晶を母体とする赤色蛍光体をいう。
【0043】
〈裏面パターン層〉
裏面パターン層(図示省略)は、絶縁基板32の裏面33側に配置され、パターンを有する金属層(一例として銅箔層)である。また、裏面パターン層は、一例として、独立フローティング層である。裏面パターン層は、一例として、絶縁基板32の厚み方向において表面31に配置されている回路パターン層34の80%以上の領域と重なっている。絶縁基板32の裏面33における裏面パターン層が配置されている領域(裏面パターン層の専有面積)は、一例として、絶縁基板32の裏面33の80%以上の領域(面積)である。
【0044】
〔フラットヒートパイプ〕
次に、本実施形態のフラットヒートパイプ40について
図1A及び
図2Aを参照しながら説明する。
フラットヒートパイプ40は、発光装置100の発光動作時に、複数の発光素子20の発光に伴い昇温する発光基板10から熱を奪う機能を有する。
フラットヒートパイプ40は、平板をL字状に曲げたような形状となっている。フラットヒートパイプ40は、屈曲部分42と、第1平板部分44と、第2平板部分46とを有し、第1平板部分44と第2平板部分46とは、屈曲部分42を介して繋がっている。そして、フラットヒートパイプ40は、第1平板部分44を発光基板10(又は絶縁基板32)の裏面33側に向けた状態で配置されている。この場合、第2平板部分46は、第1平板部分44の板厚方向における、発光基板10が配置されている側と反対側に延びた状態となっている。具体的には、フラットヒートパイプ40は、
図1A及び
図1Bに示されるように、ハウジング60の一部を構成する板66の裏面66Bにその裏面44Bを接触させて、板66に固定されている。
【0045】
ここで、フラットヒートパイプ40の内部構造について説明する。
フラットヒートパイプ40は、その幅方向に沿って並べられた複数のパイプ(図示省略)を有している。各パイプは、フラットヒートパイプ40の長手方向に沿って配置されている。各パイプはそれぞれ密閉空間を形成しており、当該密閉空間には作動液(図示省略)が収容されている。作動液は、減圧された状態で当該密閉空間に封入されている。
なお、フラットヒートパイプ40の熱に対する作用については、後述する。
【0046】
〔冷却ファン〕
次に、本実施形態の冷却ファン50について
図1Aを参照しながら説明する。
冷却ファン50は、発光装置100の発光動作時に、フラットヒートパイプ40を冷却する機能を有する。冷却ファン50は、ハウジング60に隣接して配置されている。具体的には、冷却ファン50は、発光基板10の長手方向の一端側に配置されている。
なお、冷却ファン50は、発光装置100の発光動作時に、電源(図示省略)から給電されて発生させた空気流を、フラットヒートパイプ40の第2平板部分46に当てるようになっている。
【0047】
〔ハウジング、電源及びスイッチ〕
次に、本実施形態のハウジング60、電源(図示省略)及びスイッチ(図示省略)について説明する。
ハウジング60は、
図1A及び
図2Aに示されるように、一例として円筒状の有底であり、発光基板10及びフラットヒートパイプ40を収容する機能を有する。ハウジング60は、
図1Aに示されるように、周壁62と、2つの底壁64と、板66とを有する。ここで、板66は、熱伝導性のよいものが好ましく、一例として金属製の板(アルミ製の板)である。
ハウジング60の複数の箇所には、それぞれ開口(図示省略)が形成されている。すなわち、ハウジング60には、複数の開口が形成されている。
複数の開口のうちの一部の開口は、2つの底壁64にそれぞれ形成されている。これにより、冷却ファン50が発生させた空気流は、ハウジング60の一方の底壁64から流入し、他方の底壁64から流出するようになっている。また、複数の開口のうちの一部の開口は、周壁62のうち発光基板10の表面31側が対向する部分に形成されている。これにより、発光基板10の複数の発光素子20が発光させる光は、ハウジング60の外部に照射されるようになっている。
【0048】
電源(図示省略)は、前述のとおり、発光基板10及び冷却ファン50への給電を行うためのものである。また、スイッチ(図示省略)は、電源をオン、オフさせるためのインターフェイスである。
【0049】
以上が本実施形態の発光装置100の機能及び構成についての説明である。
【0050】
<第1実施形態の発光装置の発光動作>
次に、本実施形態の発光装置100の発光動作について主に
図1A及び
図3を参照しながら説明する。
【0051】
まず、スイッチ(図示省略)がオンにされると、電源(図示省略)からコネクタ(図示省略)を介して回路パターン層34への給電が開始される。これに伴い、複数の発光素子20は発光する。また、スイッチ(図示省略)がオンにされると、電源から冷却ファン50への給電が開始される。これに伴い、冷却ファン50はそのファンを軸周りに回転させて、ハウジング60に向けて空気流を送る。
以下、発光基板10による発光動作について説明し、次いで、フラットヒートパイプ40による冷却動作について説明する。
【0052】
〔発光基板による発光動作〕
複数の発光素子20は光L(
図3参照)を放射状に発散出射し、その光Lの一部は蛍光体基板30の表面31に到達する。以下、出射された光Lの進行方向に分けて光Lの挙動について説明する。
【0053】
各発光素子20から出射された光Lの一部は、蛍光体層36に入射することなくハウジング60の外部に出射される。この場合、光Lの波長は、各発光素子20から出射された際の光Lの波長と同じままである。
【0054】
また、各発光素子20から出射された光Lの一部のうちのフリップチップLED自身の光は、蛍光体層36に入射する。ここで、前述の「光Lの一部分の中のフリップチップLED自身の光」とは、出射された光Lのうち各発光素子20(CSP自身)の蛍光体により色変換されていない光、すなわち、フリップチップLED自身の光(一例として青色(波長が470nm近傍)の光)を意味する。そして、フリップチップLED自身の光Lが蛍光体層36に分散されている蛍光体に衝突すると、蛍光体が励起して励起光を発する。ここで、蛍光体が励起する理由は、蛍光体層36に分散されている蛍光体が青色の光に励起ピークを持つ蛍光体(可視光励起蛍光体)を使用しているためである。これに伴い、光Lのエネルギーの一部は蛍光体の励起に使われることで、光Lはエネルギーの一部を失う。その結果、光Lの波長が変換される(波長変換がなされる)。例えば、蛍光体層36の蛍光体の種類によっては(例えば、蛍光体に赤色系CASNを用いた場合には)光Lの波長が長くなる(例えば650nm等)。
【0055】
また、蛍光体層36での励起光はそのまま蛍光体層36から出射するものもあるが、一部の励起光は下側の回路パターン層34に向かう。そして、回路パターン層34に向かった励起光は、回路パターン層34での反射により外部に出射する。以上のように、蛍光体による励起光の波長が600nm以上の場合、回路パターン層34がCuでも反射効果が望める。なお、蛍光体層36の蛍光体の種類によっては光Lの波長が前述の例と異なるが、いずれの場合であっても光Lの波長変換がなされる。例えば、励起光の波長が600nm未満の場合、回路パターン層34又はその表面を例えばAg(鍍金)とすれば反射効果が望める。
【0056】
以上のとおり、各発光素子20が出射した光L(各発光素子20が放射状に出射した光L)は、それぞれ、上記のような複数の光路を経由して上記励起光とともに外部に照射される。そのため、蛍光体層36に含まれる蛍光体の発光波長と、発光素子20(CSP)におけるフリップチップLEDを封止した(又は覆う)蛍光体の発光波長とが異なる場合、本実施形態の発光基板10は、各発光素子20が出射した際の光Lの束を、各発光素子20が出射した際の光Lの波長と異なる波長の光Lを含む光Lの束として上記励起光とともに照射する。例えば、本実施形態の発光基板10は、発光素子20が出射した光(波長)と蛍光体層36より出射された光(波長)との合成光を照射する。
これに対して、蛍光体層36に含まれる蛍光体の発光波長と、発光素子20(CSP)におけるフリップチップLEDを封止した(又は覆う)蛍光体の発光波長とが同じ場合(同じ相関色温度の場合)、本実施形態の発光基板10は、各発光素子20が出射した際の光Lの束を、各発光素子20が出射した際の光Lの波長と同じ波長の光Lを含む光Lの束として上記励起光とともに照射する。
また、本実施形態の場合(
図3参照)、蛍光体層36がない場合(
図4参照)と異なり、蛍光体層36からも光が照射されるため、照射される光のグレアが低減される。
【0057】
なお、本実施形態の場合、蛍光体層36は絶縁基板32の表面31を全体的に覆っている(
図2A及び
図3参照)。また、各発光素子20から出射した光の一部は蛍光体層36に入射して励起する際に発熱する。
【0058】
以上が発光基板10による発光動作についての説明である。
【0059】
〔フラットヒートパイプによる冷却動作〕
次に、フラットヒートパイプ40による発光基板10の冷却動作について
図1A等を参考にしながら説明する。
発光基板10による発光動作に伴い、発光基板10は発熱して昇温される。そして、昇温された発光基板10の熱は、その裏面33から板66に伝搬され、更に板66からフラットヒートパイプ40の第1平板部分44に伝搬される。これに対して、第2平板部分46は、冷却ファン50からの空気流が当たること及び板66に接触していないことにから、第1平板部分44よりも低い温度の状態を維持する。
以上のような条件下で、第1平板部分44に熱が伝搬されると、第1平板部分44内の作動液が沸騰する(以下、第1段階という。)。
次いで、第1平板部分44内の作動液は沸騰して蒸気となり、当該密閉空間においてより低温側である第2平板部分46内に向けて蒸気流となって流れる(以下、第2段階という。)。すなわち、第1平板部分44は、発光基板10からの熱が入力される熱入力部として機能する。
次いで、第2平板部分46内に到達した蒸気は第1平板部分44よりも低温である第2平板部分46に自身の熱を奪われる。その結果、第2平板部分46内で熱を奪われた蒸気は凝縮する(以下、第3段階という。)。すなわち、第2平板部分46は、発光基板10からの熱を出力する熱出力部として機能する。
次いで、第2平板部分46で凝縮した作動液は、毛細管現象、自励振動現象等により、第1平板部分44側に戻る(以下、第4段階という)。
以上のようにして、発光基板10による発光動作の期間中、フラットヒートパイプ40は、発光基板10により加熱されつつ冷却ファン50により冷却されることにより、発光基板10の温度が一定の温度以上にならないようにする。別言すると、フラットヒートパイプ40は、冷却ファン50とで、発光動作を行う発光基板10の温度を一定の温度以下に維持する。
【0060】
以上がフラットヒートパイプ40による冷却動作についての説明である。また、以上が本実施形態の発光基板10の発光動作についての説明である。
【0061】
<第1実施形態の効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0062】
〔第1の効果〕
本実施形態の発光装置100は、発光基板10と、フラットヒートパイプ40と、冷却ファン50とを備える(
図1A参照)。
ここで、発光基板10は、絶縁基板32の表面31に配置され、複数の発光素子20から入射した光を励起して発光する蛍光体層36を有する(
図2A及び
図3参照)。
しかしながら、本実施形態の発光装置100は、フラットヒートパイプ40と、冷却ファン50とを備える(
図1A参照)。そのため、フラットヒートパイプ40は、発光基板10による発光動作の期間中、発光基板10により加熱されつつ冷却ファン50により冷却されることにより、発光基板10の温度が一定の温度以上にならないようにすることができる。ここで、一定の温度とは、発光素子20が故障しない温度の上限の温度を意味する。
以上より、本実施形態の発光装置100は、複数の発光素子20及び蛍光体層36の発光に伴い昇温した発光基板10の熱を適切に奪うことが可能となる。
【0063】
なお、本実施形態の発光基板10では、前述のとおり、蛍光体層36は絶縁基板32の表面31のうち80%以上の部分を覆っている(
図2A参照)。別言すれば、本実施形態の発光基板10は、その表面31の大部分が蛍光体層36で覆われている。そのため、本効果は、蛍光体層36専有面積が大きいほど有効といえる。
また、本実施形態の発光装置100では、発光基板10がハウジング60に収容されている(
図1A及び
図1B参照)。すなわち、本実施形態の発光装置100は、発光基板10の発光動作に伴い発生する熱がハウジング60に溜まり易いともいえる。しかしながら、ハウジング60には、冷却ファン50からの空気流(冷却風)が効率よく流れる。
【0064】
〔第2の効果〕
本実施形態のフラットヒートパイプ40は、L字状であって、熱入力部として機能する第1平板部分44と、熱出力部として機能する第2平板部分46とを有する(
図1A参照)。そして、フラットヒートパイプ40は、第1平板部分44を発光基板10の裏面33側に向けて、第2平板部分46を冷却ファン50からの空気流が当たるように配置されている。
したがって、本実施形態の発光装置100は、フラットヒートパイプ40の形状を工夫することで、複数の発光素子20及び蛍光体層36の発光に伴い昇温した発光基板10の熱を適切に奪うことが可能となる。
【0065】
以上が本実施形態の効果についての説明である。また、以上が第1実施形態についての説明である。
【0066】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態について
図5A及び
図5Bを参照しながら説明する。以下、本実施形態における、第1実施形態(
図1A、
図1B等参照)と異なる部分のみについて説明する。
【0067】
<第2実施形態の発光装置の機能及び構成並びに発光動作>
本実施形態の発光装置100Aは、第1実施形態の発光装置100を基本構成としたうえで、さらにヒートシンク70を備える。
ここで、ヒートシンク70は、フラットヒートパイプ40が発光基板10から奪った熱の一部を放熱する機能を有する。ヒートシンク70は、フラットヒートパイプ40を挟んで発光基板10の反対側に配置され、フラットヒートパイプ40の第1平板部分44に接触している。ヒートシンク70は、一例として、複数の板で構成され、第2平板部分46と同じように第1平板部分44の板厚方向に突出しつつ第1平板部分44の幅方向に並べられている。
本実施形態の発光装置100Aの機能及び構成において、第1実施形態の場合と異なる点は以上である。
また、本実施形態の発光装置100Aの発光動作は、第1平板部分44からの熱の一部をヒートシンク70が放熱する点以外は、第1実施形態の場合と同じである。
以上が第2実施形態の発光装置100Aの機能及び構成並びに発光動作についての説明である。
【0068】
<第2実施形態の効果>
前述のとおり、本実施形態の発光装置100Aは、第1実施形態の発光装置100を基本構成としたうえで、第1平板部分44からの熱の一部を放熱するヒートシンク70を備える。
したがって、本実施形態の発光装置100Aは、第1実施形態の発光装置100に比べて、発光装置100Aの発光動作時に発光装置100Aの温度をより低温に維持することができる。
本実施形態のその他の効果は、第1実施形態の場合と同じである。
【0069】
以上が第2実施形態についての説明である。
【0070】
≪第3実施形態≫
次に、第2実施形態について
図6A及び
図6Bを参照しながら説明する。以下、本実施形態における、第2実施形態(
図5A及び
図5B等参照)と異なる部分のみについて説明する。
【0071】
<第3実施形態の発光装置の機能及び構成並びに発光動作>
本実施形態の発光装置100Bは、第2実施形態の発光装置100Aと同じように、第1実施形態の発光装置100を基本構成としたうえで、さらにヒートシンク70を備える。
ただし、本実施形態の場合、フラットヒートパイプ40を板66に取り付ける姿勢が、第2実施形態の場合と異なる。具体的には、本実施形態のフラットヒートパイプ40は、第2平板部分46が冷却ファン50側と反対側に位置するように、板66に取り付けられている。そのため、本実施形態では、ヒートシンク70は、第2平板部分46と、冷却ファン50との間に配置されている。
本実施形態の発光装置100Bの機能及び構成並びに発光動作において、第2実施形態の場合と異なる点は以上である。
【0072】
<第3実施形態の効果>
前述のとおり、本実施形態の発光装置100Bは、第2実施形態の発光装置100Aと異なり、フラットヒートパイプ40の第2平板部分46が冷却ファン50側と反対側に位置する。別言すると、本実施形態の発光装置100Bでは、ヒートシンク70は、第2平板部分46と、冷却ファン50との間に配置されている。そのため、本実施形態の場合、第2実施形態の場合と異なり、冷却ファン50が発生させた空気流はヒートシンク70にも当たる。
したがって、本実施形態の発光装置100Bは、第2実施形態の発光装置100Aに比べて、発光装置100Bの発光動作時に発光装置100Bの温度をより低温に維持することができる。
本実施形態のその他の効果は、第1実施形態及び第2実施形態の場合と同じである。
【0073】
以上が第3実施形態についての説明である。
【0074】
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態について
図7A及び
図7Bを参照しながら説明する。以下、本実施形態における、第2実施形態(
図5A及び
図5B等参照)と異なる部分のみについて説明する。
【0075】
<第4実施形態の発光装置の機能及び構成並びに発光動作>
本実施形態の発光装置100Cは、第2実施形態の発光装置100Aと同じように、第1実施形態の発光装置100を基本構成としたうえで、さらにヒートシンク70を備える。
ただし、本実施形態の場合、フラットヒートパイプ40を板66に取り付ける姿勢が、第2実施形態の場合と異なる。具体的には、本実施形態のフラットヒートパイプ40は、第2平板部分46が第1平板部分44の板厚方向において発光基板10側に突出するように板66に取り付けられている。
本実施形態の発光装置100Cの機能及び構成並びに発光動作において、第2実施形態の場合と異なる点は以上である。
【0076】
<第4実施形態の効果>
前述のとおり、本実施形態の発光装置100Cは、第2実施形態の発光装置100Aと異なり、フラットヒートパイプ40の第2平板部分46が第1平板部分44の長手方向から見てヒートシンク70と重なっていない。そのため、本実施形態の場合、第2実施形態の場合と異なり、冷却ファン50が発生させた空気流はヒートシンク70にも当たる。
したがって、本実施形態の発光装置100Cは、第2実施形態の発光装置100Aに比べて、発光装置100Cの発光動作時に発光装置100Cの温度をより低温に維持することができる。
本実施形態のその他の効果は、第1実施形態及び第2実施形態の場合と同じである。
なお、本実施形態の場合に第2平板部分46に当たる空気流は、第3実施形態の場合(
図6A及び
図6B参照)と異なり、ヒートシンク70の配置領域を通過したものではない。そのため、本実施形態の発光装置100Cは、第3実施形態の場合に比べて、発光装置100Cの発光動作時に発光装置100Cの温度をより低温に維持することができる。
【0077】
以上が第4実施形態についての説明である。
【0078】
≪第5実施形態≫
次に、第5実施形態について
図8A及び
図8Bを参照しながら説明する。以下、本実施形態における、第1実施形態(
図1A、
図1B等参照)と異なる部分のみについて説明する。
【0079】
<第5実施形態の発光装置の機能及び構成並びに発光動作>
本実施形態の発光装置100Dは、第1実施形態の発光装置100のフラットヒートパイプ40が、2枚のフラットヒートパイプ40D(フラットヒートパイプ機構の他の一例)に変更されている。フラットヒートパイプ40Dは、第1フラットヒートパイプ40D1と、第2フラットヒートパイプ40D2とを有し、それぞれ第1実施形態のフラットヒートパイプ40と同じ構成である。
第1フラットヒートパイプ40D1は、第1平板部分44を発光基板10側(絶縁基板32の裏面33側)に向けた状態で配置されている。また、第2フラットヒートパイプ40D2は、第1平板部分44を第1フラットヒートパイプ40D1の第1平板部分44に重ねて配置されている。そして、第1フラットヒートパイプ40D1の第2平板部分46と第2フラットヒートパイプ40D2の第2平板部分46とは、互いに反対側に延びた状態で配置されている。
本実施形態の発光装置100Dの機能及び構成において、第1実施形態の場合と異なる点は以上である。
また、本実施形態の発光装置100Dの発光動作は、2枚のフラットヒートパイプ40D(第1フラットヒートパイプ40D1及び第2フラットヒートパイプ40D2)と、冷却ファン50とで、発光動作を行う発光基板10の温度を一定の温度以下に維持する点以外は、第1実施形態の場合と同じである。
以上が第5実施形態の発光装置100Dの機能及び構成並びに発光動作についての説明である。
【0080】
<第5実施形態の効果>
前述のとおり、本実施形態の発光装置100Dは、第1実施形態の発光装置100と異なり、2つのフラットヒートパイプ40D(第1フラットヒートパイプ40D1及び第2フラットヒートパイプ40D2)で構成されている。
したがって、本実施形態の発光装置100Dは、第1実施形態の発光装置100に比べて、発光装置100Aの発光動作時に発光装置100Aの温度をより低温に維持することができる。
本実施形態のその他の効果は、第1実施形態の場合と同じである。
【0081】
以上が第5実施形態についての説明である。なお、本実施形態を基本構成として、さらに、第2実施形態のヒートシンク70(
図5A及び
図5B参照)を備えた変形例(図示省略)としてもよい。
【0082】
≪第6実施形態≫
次に、第6実施形態について
図9A~
図9Cを参照しながら説明する。以下、本実施形態における、第1実施形態(
図1A、
図1B等参照)と異なる部分のみについて説明する。
【0083】
<第6実施形態の発光装置の機能及び構成並びに発光動作>
本実施形態の発光装置100Eは、第1実施形態の発光装置100と異なり、全体として円錐状に構成されている。
発光装置100Eは、発光基板10Eと、2枚のフラットヒートパイプ40E(フラットヒートパイプ機構の一例)と、冷却ファン50(冷却部の一例)と、ハウジング60E(収容部の一例)と、電源(図示省略)と、スイッチ(図示省略)とを備えている。
【0084】
ハウジング60Eは、円錐状の周壁62Eと、一例として熱伝導性のよい材料からなる上壁66Eとを含んで構成されている。
発光基板10Eは、一例として正方形状であるが、その他の構成は第1実施形態の発光基板10と同じである。また、発光基板10Eは、上壁66Eの外面に配置されている。
2枚のフラットヒートパイプ40Eは、第1フラットヒートパイプ40E1と、第2フラットヒートパイプ40E2とで構成され、それぞれ平板状である。ここで、第1フラットヒートパイプ40E1及び第2フラットヒートパイプ40E2の内部構造について説明する。第1フラットヒートパイプ40E1と第2フラットヒートパイプ40E2とは、同じ構造である。2枚のフラットヒートパイプ40Eは、上壁66Eの内面であって、上壁66Eを挟んで発光基板10Eの反対側の部分に配置されている。
第1フラットヒートパイプ40E1は、定められた方向に並ぶ複数のパイプ40E11を有している。各パイプ40E11は、それぞれ密閉空間を形成しており、当該密閉空間には作動液(図示省略)が収容されている。作動液は、減圧された状態で当該密閉空間に封入されている。第2フラットヒートパイプ40E2は、第1フラットヒートパイプ40E1を挟んで上壁66Eの反対側に配置されている。また、第2フラットヒートパイプ40E2の複数のパイプ40E21の並び方向は、第1フラットヒートパイプ40E1の場合と異なる方向(本実施形態の場合は一例として直交方向)となっている。
冷却ファン50は、第1実施形態の場合と異なり、ハウジング60Eの内部であって、2枚のフラットヒートパイプ40Eを挟んで発光基板10Eの反対側に、配置されている。
本実施形態の発光装置100Eの機能及び構成並びに発光動作において、第1実施形態の場合と異なる点は以上である。
【0085】
<第6実施形態の効果>
前述のとおり、本実施形態の発光装置100Eでは、第1フラットヒートパイプ40E1の複数のパイプ40E11の並び方向と、第2フラットヒートパイプ40E2の複数のパイプ40E21の並び方向とは交差する方向になっている。そのため、第1フラットヒートパイプ40E1と第2フラットヒートパイプ40E2とでは、それぞれの内部の作動液の循環方向が交差する方向となる。
したがって、本実施形態の発光装置100Eは、第1フラットヒートパイプ40E1及び第2フラットヒートパイプ40E2の一方がない場合に比べて、発光基板10Eの温度勾配を小さくすることができる。
本実施形態のその他の効果は、第1実施形態の場合と同じである。
【0086】
以上が第5実施形態についての説明である。
【0087】
以上のとおり、本発明について前述の各実施形態を例として説明したが、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではない。少なくとも、前述の第1の効果を奏する構成を有する形態であれば、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0088】
例えば、各実施形態の説明では、発光基板10は、複数の発光素子20を有するとした。しかしながら、発光基板10が有する発光素子20の数量は1つであってもよい。すなわち、本変形例の発光基板は、少なくとも1つの発光素子20を有すればよい。
【0089】
また、各実施形態の説明では、発光基板10は、絶縁基板32の表面31に配置され、複数の発光素子20から入射した光を励起して発光する蛍光体層36を有する(
図2A及び
図3参照)とした。すなわち、各実施形態の発光装置100、100A等が備える、発光基板10は、蛍光体層36を構成要素とするとして説明した。
しかしながら、例えば、絶縁基板32及び複数の発光素子20を有し、蛍光体層36を有さない点で、各実施形態の場合と異なる発光基板(図示省略)を備える発光装置としてもよい。本変形例の場合であっても、フラットヒートパイプ40等は、各発光素子20の発光に伴い昇温する発光基板から熱を奪うため、各実施形態の効果についての説明の中で説明した効果を奏する。
なお、本変形例の発光基板は、複数の発光素子20を有するとしたが、例えば、発光素子20の数量は1つであってもよい。すなわち、本変形例の発光基板は、少なくとも1つの発光素子20を有すればよい。
【0090】
また、各実施形態では、発光基板10、10Eと、フラットヒートパイプ40、40Eとは、それぞれ、板66に固定されているとした。しかしながら、発光基板10、10Eとフラットヒートパイプ40、40Eとは、互いに直接的に固定されていてもよい。
【0091】
また、第1~第6実施形態の場合、冷却ファン50は、ハウジング60に隣接して配置されているとした(
図1A、
図5A、
図6A、
図7A及び
図8A参照)。しかしながら、冷却ファン50は、ハウジング60の内部に配置されていてもよい。この場合、冷却ファン50をハウジング60の内部におけるハウジング60の一方の底壁64に隣接して配置させて、冷却ファン50が当該一方の底壁64(前述のとおり開口が形成されている)から外部の空気を取り込んで、他方の底壁64の開口からハウジング60の内部の空気を吹き出すようにすればよい。この変形例の場合、前述の各実施形態の場合に比べて、冷却を効率的にできる点で有効である。
【0092】
この出願は、2019年6月10日に出願された日本出願特願2019-108125号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0093】
10 発光基板
10E 発光基板
20 発光素子
30 蛍光体基板
31 表面
32 絶縁基板
33 裏面
34 回路パターン層
34A 電極対
34B 配線部分
36 蛍光体層
37 端子
39 貫通孔
40 フラットヒートパイプ(フラットヒートパイプ機構の一例)
40A 第1フラットヒートパイプ
40B 第2フラットヒートパイプ
40D フラットヒートパイプ(フラットヒートパイプ機構の一例)
40E フラットヒートパイプ(フラットヒートパイプ機構の一例)
40E1 第1フラットヒートパイプ
40E2 第2フラットヒートパイプ
40E11 パイプ
40E21 パイプ
42 屈曲部分
44 第1平板部分
46 第2平板部分
50 冷却ファン(冷却部の一例)
60 ハウジング
60E ハウジング
62 周壁
62E 周壁
64 底壁
66 板
66A 表面
66B 裏面
66E 上壁
70 ヒートシンク
100 発光装置
100A 発光装置
100B 発光装置
100C 発光装置
100D 発光装置
100E 発光装置
L 光