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特許7519357内部軸受を備えたロータリーローブポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】内部軸受を備えたロータリーローブポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/18 20060101AFI20240711BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F04C2/18 311D
F04C15/00 G
F04C15/00 C
F04C2/18 321D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021533465
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2019085094
(87)【国際公開番号】W WO2020120746
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】202018107141.6
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518285555
【氏名又は名称】フォーゲルザンク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Vogelsang GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】クランペ,パウル
(72)【発明者】
【氏名】アーレンス,ヘンリク
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-535045(JP,A)
【文献】特開平08-284855(JP,A)
【文献】特開平07-279868(JP,A)
【文献】実開昭49-005704(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0045046(US,A1)
【文献】特開2018-189018(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157445(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/083195(WO,A1)
【文献】特表2013-507575(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0057979(US,A1)
【文献】特開平03-213688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0118383(US,A1)
【文献】米国特許第04940394(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/18
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含んだ搬送液体を搬送するためのロータリーローブポンプであって
ポンプ室を有するポンプハウジングと、
入口開口部および出口開口部と、
前記ポンプ室に配置され、第1回転軸まわりに回転可能に取り付けられた第1マルチローブロータリーピストンと、
前記ポンプ室に配置され、前記第1回転軸から離れて配置された第2回転軸まわりに回転可能に取り付けられ、前記第1マルチローブロータリーピストンに噛み合い嵌合している第2マルチローブロータリーピストンと
を備え、
前記第1マルチローブロータリーピストンおよび前記第2マルチローブロータリーピストンは、それぞれ反対方向に駆動可能であり、前記第1回転軸および前記第2回転軸まわりの逆回転により、前記搬送液体が前記入口開口部から前記ポンプ室を経て前記出口開口部に至る流れを生成するように設計されており、
前記ポンプハウジングの一方の側に配置され、前記第1マルチローブロータリーピストンおよび前記第2マルチローブロータリーピストンの少なくともいずれかに機械的に連結され、前記第1マルチローブロータリーピストンおよび前記第2マルチローブロータリーピストンの少なくともいずれかを駆動する駆動装置を備え、
前記第1マルチローブロータリーピストン内に配置され、前記ポンプハウジングに駆動装置側で接続された第1固定軸体と、
前記第1マルチローブロータリーピストンを前記第1固定軸体まわりに回転可能に支持する少なくとも1つの第1軸受であって、前記第1軸受は、前記第1固定軸体の外面かつ前記第1マルチローブロータリーピストンの内部に配置されている、第1軸受と
を備える、ロータリーローブポンプであって、
前記第1マルチローブロータリーピストンを前記第1回転軸まわりに回転可能に支持する第2軸受を備え、
前記第2軸受が、前記第1固定軸体の外面かつ前記第1マルチローブロータリーピストンの内部に配置され、
前記第1固定軸体および前記第1マルチローブロータリーピストンの間でかつ前記第1マルチローブロータリーピストン内に配置された、前記第1軸受および/または前記第2軸受から前記ポンプ室までをシールする第1シールを備える、ロータリーローブポンプ。
【請求項2】
前記第1固定軸体は、前記第1回転軸に沿って延び、
前記第1マルチローブロータリーピストンが、前記第1マルチローブロータリーピストンの軸方向の第1端面から前記第1回転軸に沿って第2端面まで延び、
前記第1軸受は、前記第1マルチローブロータリーピストンの前記第1端面および前記第2端面の間に、前記第1回転軸に対して軸方向に配置されている、請求項1のロータリーローブポンプ。
【請求項3】
前記第1軸受が、転がり軸受として設計されている、請求項1または2のロータリーローブポンプ。
【請求項4】
前記ポンプハウジングに接続され、前記第2マルチローブロータリーピストン内に配置された第2固定軸体と、
前記第2マルチローブロータリーピストンを前記第2回転軸まわりに回転可能に支持する少なくとも1つの軸受と
により特徴づけられている、請求項1から3のいずれか1つのロータリーローブポンプ。
【請求項5】
前記駆動装置が、第1駆動ユニットおよび第2駆動ユニットを有し、
前記第1マルチローブロータリーピストンが、前記第1駆動ユニットに直接的に連結され、前記第2マルチローブロータリーピストンが、前記第2駆動ユニットに直接的に連結されている、請求項1からのいずれか1つのロータリーローブポンプ。
【請求項6】
前記第1マルチローブロータリーピストンおよび前記第2マルチローブロータリーピストンは、それぞれN個のローブを有し、Nは2以上であり、前記第1マルチローブロータリーピストンおよび前記第2マルチローブロータリーピストンのローブは、前記第1マルチローブロータリーピストンまたは前記第2マルチローブロータリーピストンの周面に沿って螺旋状に延び、少なくとも180度/Nの角度をスイープする、請求項1からのいずれか1つのロータリーローブポンプ。
【請求項7】
前記第1マルチローブロータリーピストンおよび前記第2マルチローブロータリーピストンは、それぞれN個のローブを有する、請求項1からのいずれか1つのロータリーローブポンプ。
【請求項8】
前記第1軸受および/または前記第2軸受と前記第1シールとは、スリーブ内に配置され、前記スリーブは前記第1軸受および/または前記第2軸受に接続され、
前記第1マルチローブロータリーピストン内の前記スリーブは、前記第1マルチローブロータリーピストンに対して着脱可能に接続され、前記第1マルチローブロータリーピストンと共に回転する、請求項1から7のいずれか1つのロータリーローブポンプ。
【請求項9】
前記スリーブに接続され、動作状態および解除状態の間で調整可能なクランプ装置を備え、
前記動作状態では、前記スリーブおよび前記第1マルチローブロータリーピストンの間にフォースクロージャ接続が存在し、前記解除状態では、前記スリーブおよび前記第1マルチローブロータリーピストンが互いに相対的に移動可能である、請求項のロータリーローブポンプ。
【請求項10】
前記クランプ装置は、前記クランプ装置および前記スリーブを前記第1マルチローブロータリーピストンに対して相対的に移動させるための工具係合部を有する、請求項のロータリーローブポンプ。
【請求項11】
前記クランプ装置および前記スリーブは、前記第1マルチローブロータリーピストン内で前記第1マルチローブロータリーピストンの肩部に載せられ、前記肩部に対して解放可能にクランプされ、
前記スリーブおよび前記肩部間の距離は、調整可能である、請求項または10のロータリーローブポンプ。
【請求項12】
前記スリーブおよび前記肩部の間に配置され、前記スリーブに対する前記第1マルチローブロータリーピストンの軸方向の位置を調整するためのワッシャを備える、請求項11のロータリーローブポンプ。
【請求項13】
前記ポンプハウジングに接続され、前記第1マルチローブロータリーピストン内に配置された第3固定軸体と、
前記第1マルチローブロータリーピストンを前記第1回転軸まわりに回転可能に支持する少なくとも1つの軸受であって、前記第3固定軸体の外面および前記第1マルチローブロータリーピストン内に配置されている軸受と
を備える、請求項1から12のいずれか1つのロータリーローブポンプ。
【請求項14】
前記ポンプハウジングに接続され、前記第2マルチローブロータリーピストン内に配置された第4固定軸体と、
前記第2マルチローブロータリーピストンを前記第2回転軸まわりに回転可能に支持する少なくとも1つの軸受であって、前記第4固定軸体の外面および前記第2マルチローブロータリーピストン内に配置されている軸受と
を備える、請求項13のロータリーローブポンプ。
【請求項15】
前記第1マルチローブロータリーピストン内に配置され、前記第1マルチローブロータリーピストンを駆動する、油圧モータを備える、請求項1から14のいずれか1つのロータリーローブポンプ。
【請求項16】
前記油圧モータは、前記第1回転軸まわりに回転可能であり、前記第1マルチローブロータリーピストン内で前記第1マルチローブロータリーピストンに機械的に連結されて前記第1マルチローブロータリーピストンを駆動するロータを有し、
前記油圧モータは、前記ロータ内に配置され、前記第1固定軸体に連結された、または、前記第1固定軸体と一体設計されたステータを有し、
入口および出口が、前記油圧モータに接続され、前記第1固定軸体内に延びている、請求項15のロータリーローブポンプ。
【請求項17】
前記第1マルチローブロータリーピストンおよび前記第2マルチローブロータリーピストンを駆動する前記駆動装置は、同期歯車を介して連結された2つの駆動軸を駆動し、第1駆動軸は前記第1マルチローブロータリーピストンに機械的に連結され、第2駆動軸は前記第2マルチローブロータリーピストンに機械的に連結されている、請求項1から16のいずれか1つのロータリーローブポンプ。
【請求項18】
前記第1駆動軸および前記第1マルチローブロータリーピストンを耐トルク的に接続し、前記第1マルチローブロータリーピストン内に配置された、トルクを伝達するシャフト-ハブ接続部を備える、請求項17のロータリーローブポンプ。
【請求項19】
前記駆動装置が、前記第1マルチローブロータリーピストンに機械的に連結され、
第2の駆動装置が、前記第2マルチローブロータリーピストンを駆動するために、前記第2マルチローブロータリーピストンに機械的に連結されている、請求項1から16のいずれか1つのロータリーローブポンプ。
【請求項20】
前記駆動装置および前記第2の駆動装置は、前記ポンプハウジングの反対側に配置されている、請求項19のロータリーローブポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子を含む搬送媒体を搬送するためのロータリーローブポンプであって、ポンプ室、入口開口部および出口開口部を有するポンプハウジングと、ポンプ室内に配置され第1回転軸まわりに回転可能に取り付けられた第1マルチローブロータリーピストンと、ポンプ室内に配置され第1回転軸から離れて配置された第1回転軸まわりに回転可能に取り付けられ、第1ロータリーピストンに噛み合い嵌合している第2マルチローブロータリーピストンと、を備え、第1ロータリーピストンおよび第2ロータリーピストンは、反対方向に駆動可能であり、それぞれ、第1回転軸および第2回転軸まわりの逆回転によって、ポンプ室を通って入口開口から出口開口への搬送媒体の流れを生成するように設計されており、ロータリーピストンを駆動するためにロータリーピストンに機械的に連結されている駆動装置を備える、ロータリーローブポンプに関する。本発明はさらに、ロータリーローブポンプ用のスリーブに関するものである。本発明はまた、ロータリーローブポンプを整備する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前述の設計のロータリーローブポンプは、液体、特に粒子を含んだ液体の移送に使用される。固形物の含有量が変化したり、変動したりする液体も送液できる。ロータリーローブポンプは、固形物の含有量が多くても確実にその機能を果たすことができる点に特徴がある。さらに、このタイプのロータリーローブポンプは、低粘度と高粘度の両方の液体の移送に適している。このようなポンプは、一般的に、農業技術または下水道技術などに使用される。ロータリーローブポンプは、例えば、DE2002518A1、DE3427282A1、DE29723984U1、EP1519044B1、DE202010011626U1、EP2475889B1、WO2014/067988A2およびUS2,848,952の例が知られている。
【発明の概要】
【0003】
本発明によるタイプのロータリーローブポンプは、少なくとも1cm、好ましくは少なくとも2cm、5cm、または、さらには少なくとも7.5cmのボール通路を有する。このことは、最大で1cm、2cm、5cm、または、7.5cmの直径を持つ球状の固体粒子が、ロータリーローブポンプの可動部品を詰まらせることなく、ポンプ室内を入口から出口開口部まで搬送され得ることを意味する。
【0004】
このような回転式ローブポンプで生じる基本的な問題は、摩耗部品の交換に比較的大きな労力を要するという事実によるものであり、このことは、メンテナンスコストに悪影響を及ぼし、ロータリーローブポンプのダウンタイムを長くすることにもつながる。EP1519044B1から、一方側からアクセス可能なロータリーローブポンプが知られており、これにより、従来のロータリーローブポンプと比較して、摩耗部品のアクセス性が改善されている。しかし、この設計では、ロータリーピストンに接続されている駆動軸が、ロータリーピストンの一方側のみに取り付けられているため、任意の長さにできず、ロータリーピストンの実行可能な長さが著しく制限される。
【0005】
DE202010015437U1から、中空のロータリーピストンを備えたロータリーローブポンプが知られている。これは、中空のロータリーピストンが駆動軸との接続部に軸方向に案内されるため、ロータリーピストンをポンプ室から取り外したり、再び挿入したりするのが容易になるという利点がある。特に、駆動軸をロータリーピストンよりも短く設計できるため、これらのロータリーピストンを交互にポンプ室に挿入できる。しかし、このようなロータリーローブポンプの欠点は、ベアリングおよびシールなどの摩耗部品をロータリーピストンのように簡単に交換できないことである。
【0006】
もう一つの一般的な問題は、このようなポンプは、そのデザインのために、比較的高い重量と比較的大きなサイズを持っているということであり、このことは、特に、自動車で使用する場合など、このようなポンプのモバイル的使用にはマイナスである。
【0007】
したがって、本発明の課題は、粒子を含む搬送媒体を搬送するためのロータリーローブポンプであって、言及された欠点の1つ以上を低減または排除するロータリーローブポンプを提供することである。特に、本発明の課題は、ポンプの負荷容量を減らすことなく、ロータリーローブポンプの設計がメンテナンス性に優れている解決策を提供することである。
【0008】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴を有するロータリーローブポンプによって解決される。冒頭に記載したロータリーローブポンプは、ポンプハウジングに連結され、第1ロータリーピストン内に配置された第1固定軸体と、第1ロータリーピストンを第1固定軸体まわりに回転可能に支承するための少なくとも1つの第1軸受であって、第1固定軸体の外面でかつ第1ロータリーピストン内に配置された第1軸受と、で特徴付けられている。
【0009】
ポンプルームは、ロータリーピストンが配置され、搬送媒体が搬送されるポンプルームであると理解される。搬送された媒体は、好ましくは、パイプを介して入口開口部からポンプ室に流入する。そこで、搬送媒体は、ロータリーピストンを回転させることにより、出口開口部に向かって搬送される。搬送媒体は、その後、出口開口部から、好ましくは出口開口部に接続されたパイプに流れる。これにより、ロータリーピストンは、回転軸まわりに回転するように取り付けられている。第1回転軸は、第1ロータリーピストンの回転軸に沿って走る仮想線として定義される。第2回転軸は、第2ロータリーピストンの回転軸に沿って走る仮想線として定義される。マルチローブロータリーピストンは、好ましくは、少なくとも2つのピストンローブを備え、ローブまたはピストンローブは、ロータリーピストンの変位ローブを意味する。ロータリーピストンのローブは、互いに噛み合い嵌合している。駆動装置は、ロータリーピストンと機械的に連結され、ロータリーピストンを駆動する。例えば、両方のロータリーピストンは、例えば、2つの電気モータまたは2つの油圧モータによって、個別に駆動され得る。あるいは、1つのロータリーピストンのみを駆動装置で駆動して、第2ロータリーピストンを第1ロータリーピストンとの噛み合い嵌合によって駆動することができる。このようにして、両方のロータリーピストンを直接駆動することで、各ロータリーピストンに必要な動力を直接与えることができ、また、一方のロータリーピストンを直接駆動し、このロータリーピストンを介して他方のロータリーピストンを間接的に駆動することもできる。駆動装置は、好ましくは、電気モータまたは油圧モータで構成できる。駆動装置はまた、例えば、トラクターなどの車両のパワーテイクオフを介してポンプを駆動するために、シャフト出力に連結できる駆動フランジによって形成することもできる。さらに、例えば、駆動装置がギアボックスを介して2つのシャフトを駆動し、一方のシャフトが第1ロータリーピストンに連結され、他方のシャフトが第2ロータリーピストンに連結されることも可能である。上述したすべての駆動方法で、ロータリーピストンの同期化を実現できる。
【0010】
固定軸体は、好ましくは、ポンプハウジングに接続される回転対称の要素である。ポンプハウジングへの接続は、フォームクロージャ(form closure)、マテリアルクロージャ(material closure)、ねじ接続等のフォースクロージャ(force closure)、または、それらの組み合わせによって実行され得る。マテリアルクロージャによる締結は、既知の解決策とは異なり、軸体が取り外し可能である必要がないため、ポンプハウジングでの軸体の確実なセンタリングと、正確な軸方向のアライメントとを可能にし、本発明によるコンセプトが実現され得る。フォースクロージャもまた、製造工数が増えるが、優れた耐故障性のあるセンタリングを実現し、さらに、軸体を交換するオプションも提供する。第1固定軸体は、第1ロータリーピストン内で第1回転軸に沿って延びている。これにより、好ましくは、少なくとも1つの軸受が第1固定軸体に配置される。軸受は、ロータリーピストンが第1固定軸体まわりに回転可能に取り付けられることを可能にする。軸受は、第1ロータリーピストン内、特に、ロータリーピストンの第1端面と第2端面との間に配置される。
【0011】
本発明では、ロータリーピストン内に軸受を配置することで、非常にコンパクトな設計が可能になるという利点がある。ポンプハウジング内またはその隣に軸受が必要ないため、設置スペースが節約できる。さらに、ロータリーピストン内で軸受を固定軸体に直接配置できるため、駆動軸を支持する必要もない。これにより、従来のロータリーローブポンプと比較して、ポンプは、その負荷容量が制限されない。これは、より軽量でよりコンパクトなロータリーローブポンプを製造可能であることを意味しており、特にモバイル用途には有利である。
【0012】
さらに、本発明には、従来の軸受位置のロータリーローブポンプに比べて、より大きなチャンバー長を実現できるという利点がある。内部軸受により、軸受の位置が回転可能な部品の端に限定されないため、任意かつ最適な軸受点を実現できる。
【0013】
第1の好ましい実施形態によれば、第1固定軸体が第1回転軸に沿って延び、第1ロータリーロータリーピストンが、このピストンの軸方向における第1端面から第1回転軸に沿って第2端部まで延び、第1軸受が、ピストンの第1端面および第2端面の間で、第1回転軸に対して軸方向に配置されている。
【0014】
固定された軸体は、異なる長さで設計できる。例えば、軸体は、中空の円筒として設計することもできるし、中実の材料からなる円筒として設計することもできる。中空の円筒として設計する場合、好ましくは、駆動軸は固定軸体を通ることができる。好ましくは、固定軸体の仮想回転軸は、第1回転軸上を走る。第1回転軸に対する軸方向とは、回転軸を規定する仮想線に沿って、または、その仮想線の方向にあることを意味する。第1軸受は、第1ロータリーピストン内に配置されていることが好ましい。したがって、軸受は、第1ロータリーピストンの2つの端面の間に配置されることが好ましい。
【0015】
さらに好ましい実施形態によれば、第1軸受は転がり軸受として設計されている。この実施形態では、転がり軸受が第1軸受として使用され、第1ロータリーピストンを第1回転軸まわりに回転可能に支持する。
【0016】
さらに好ましい実施形態は、好ましくは転がり軸受として設計された第2軸受が、第1回転軸まわりに第1ロータリーピストンを回転可能に支持するために設けられており、第2軸受が、第1固定軸体の外面および第1ロータリーピストン内に配置されていることを特徴とする。これにより、第2軸受は、固定軸体に配置され、第1回転軸まわりに第1ロータリーピストンを回転可能に支持する。
【0017】
他の好ましい実施形態は、ポンプハウジングに接続され第2ロータリーピストン内に配置された第2固定軸体と、第2ロータリーピストンを第2回転軸まわりに回転可能に支持するための少なくとも1つの軸受とで特徴付けられている。第2軸受は、第2固定軸体の外面および第2ロータリーピストン内に配置されている。
【0018】
この実施形態では、第1固定軸体が第1のロータリーピストン内に少なくとも部分的に延び、第2固定軸体が第2ロータリーピストン内に少なくとも部分的に延びるように、2つの固定軸体が配置されている。
【0019】
さらに、第1駆動装置が第1駆動ユニットおよび第2駆動ユニットを有し、第1ロータリーピストンが第1駆動ユニットに直接連結され、第2ロータリーピストンが第2駆動ユニットに直接連結されているのが好ましい。この文脈において、駆動ユニットがロータリーピストンに直接連結されているということは、第1ロータリーピストンから第2ロータリーピストンへ、または、第2ロータリーピストンから第1ロータリーピストンへ、実質的にトルクが伝達されないことを意味する。駆動装置は、例えば、電気モータまたは油圧モータであってもよい。駆動装置は、ロータリーピストンが均等に駆動するように同期させることができる。駆動装置は、いずれもポンプハウジングの一方側に配置できる。これにより、メンテナンス上の利点が提供される。このようにして、ポンプ室内の部品へのアクセス、および、ポンプ室へのアクセスを簡単に管理できる。ポンプ室およびポンプチャンバという用語は、交換して使用できる。例えば、蓋で閉じることができるポンプハウジングの開口部を開いて、ポンプ室および/またはポンプ室内の部品にアクセスできる。これにより、ロータリーローブポンプのメンテナンスの面で大きな利点が提供される。また、駆動装置をポンプハウジングの反対側に配置することもできる。この配置により、各駆動装置により多くのスペースを確保できるため、より大きな駆動装置を使用できるという利点が提供される。
【0020】
さらに、第1ロータリーピストンおよび第2ロータリーピストンが、それぞれN個のローブ(lobe)を有し、Nは2以上であり、第1ロータリーピストンおよび第2ロータリーピストンのローブは、ロータリーピストンの周面に沿って螺旋状に延び、少なくとも180度/N、好ましくは240度/N、さらに好ましくは300度/N、好ましくは360度/Nの角度をスイープ(sweep)するのが好ましい。
【0021】
このロータリーピストンのローブのねじれた形状により、ロータリーローブポンプを脈動なしで運転できるという利点が提供される。とりわけ、これにより、ロータリーローブポンプおよびロータリーローブポンプの部品への負荷が軽減される。
【0022】
さらに、第1ロータリーピストンおよび第2ロータリーピストンがそれぞれN個のローブを有し、Nは、好ましくは8以下、6以下、または、4以下であるのが好ましい。したがって、この好ましい実施形態では、ローブの数は最大でも8個である。
【0023】
さらなる実施形態は、第1ロータリーピストン内で第1固定軸体および第1ロータリーピストンの間に配置された、第1軸受および/または第2軸受からポンプ室へのシールのための第1シールにより特徴付けられている。第1シールは、好ましくはダイナミックシール、特にスライディングシールとして設計され、特に好ましくはアキシャルシールまたはラジアルシール、例えばアキシャルフェイスシールまたはロータリーシャフトシールとして設計されている。
【0024】
第1ロータリーピストンを回転可能に支持するベアリングは、ダイナミックシールによってポンプハウジング内の空間に対してシールされているのが好ましい。
【0025】
さらに、第1軸受および/または第2軸受からポンプ室へのシールのための第1シールが、軸受の第1端部に配置され、ダイナミックシール、特にスライディングシールとして設計され、特に好ましくはロータリーシャフトシールとして設計され、第1軸受および/または第2軸受からポンプ室へのシールのための第2のシールが、軸受の第2端部に配置され、スタティックシール、特に好ましくはオーリングとして設計されているのが好ましい。
【0026】
ダイナミックシールを軸受の一方側に使用する必要があるだけで、静的軸受を軸受の他方側に使用できることが、特に有利な点である。これにより、ダイナミックシールよりもスタティックシールの方がはるかに堅牢で耐久性があるという利点が提供される。そのため、摩耗部品の交換頻度が少なくて済むという更なる利点がある。
【0027】
さらに好ましいのは、第1軸受および/または第2軸受と第1シールとがスリーブ内に配置され、スリーブが第1軸受および/または第2軸受に接続され、第1ロータリーピストン内のスリーブが、好ましくはフォースクロージャによって、取り外し可能にロータリーピストンに接続され、ロータリーピストンと一緒に回転することである。
【0028】
スリーブは、好ましくは、第1軸受および/または第2軸受と、第1シールとに接続されている。第1軸受および/または第2軸受と第1シールとは、好ましくは、スリーブの第1端および第2端の間に配置される。スリーブは、ロータリーピストンに接続できる。これは、例えば、スリーブまたはスリーブの一部を広げることができるような方法により可能である。好ましくは、スリーブを広げることによって、スリーブと第1ロータリーピストンとの間のフォースクロージャによる接続を確立できる。
【0029】
さらに好ましい実施形態は、スリーブに接続され、好ましくは少なくとも1つのねじ接続によって動作状態および解除状態の間で調整可能なクランプ装置により特徴付けられている。動作状態では、スリーブおよび第1ロータリーピストンの間にフォースクロージャ接続が存在し、解除状態では、スリーブおよび第1ロータリーピストンが互いに相対的に移動可能である。
【0030】
クランプ装置は、例えば、スリーブと一体的に、または、スリーブに着脱可能に接続されるように設計できる。特に、クランプ装置は、スリーブに着脱不可能に接続することもできる。好ましくは、クランピングデバイスは、スリーブおよび第1ロータリーピストン間の接続を確立できるように、少なくとも1つのネジによって調整可能である。スリーブおよびロータリーピストン間の接続は、例えば、フォースクロージャおよび/またはフォームクロージャにより実行できる。動作状態では、スリーブおよび第1ロータリーピストンとの間の接続がある。一方、解除状態では、スリーブおよびロータリーピストンの間の相対的な移動が可能である。
【0031】
クランプ装置が、クランプ装置およびスリーブをロータリーピストンに対して相対的に移動させるための工具係合部(tool engagement)を有する場合、さらに好ましい。工具係合部により、クランプ装置を工具に接続でき、クランプ装置に接続された工具により、好ましくは工具係合部を介して、クランプ装置を回転軸に沿って相対的に移動させることができる。
【0032】
さらなる実施形態では、クランプ装置およびスリーブが、ロータリーピストン内でロータリーピストンの肩部に載せられ、肩部に対して解放可能にクランプされており、スリーブおよび肩部の間の距離が、好ましくはクランプ装置の、特に好ましくは少なくとも1つのグラブねじとして設計されている、少なくとも1つのねじ接続によって調整可能であることが好ましい。ロータリーピストンのボア(bore)内のこのようなショルダーは、ロータリーピストン内に配置された部品の明確な位置決めを可能にする。このように、肩部によって、軸受および/またはスリーブおよび/またはシールを正確かつ明確に位置決めできる。
【0033】
スリーブおよびロータリーピストンの肩部の間に、スリーブに対する第1ロータリーピストンの軸方向の位置を調整するためのワッシャが配置されているのがさらに好ましい。ワッシャによって、第1固定軸体、つまりはポンプ室に対するロータリーピストンの規定の位置を調整できる。好ましくは、ポンプ室に対するロータリーピストンの位置を調整するために、このスリーブを交換することも可能である。
【0034】
さらに好ましい実施形態は、ポンプハウジングに接続され第1ロータリーピストン内に配置された第3固定軸体と、第1ロータリーピストンを第1回転軸まわりに回転可能に支持するための少なくとも1つの軸受とにより特徴付けられている。軸受は、第3固定軸体の外面および第1ロータリーピストン内に配置されている。
【0035】
この実施形態では、第1ロータリーピストンは、2つの固定軸体まわりに取り付けられている。固定軸体は、例えば、両方とも中空円筒として設計することも、1つを中空円筒とし1つを中実体とすることも可能である。ロータリーピストンごとに2つの軸体を使用すると、長いロータリーピストンでも軸受距離を十分に小さくできるので、より長いロータリーピストンの長さを実現できる。
【0036】
さらに好ましい実施形態は、ポンプハウジングに接続され第2ロータリーピストン内に配置された第4固定軸体と、第2ロータリーピストンを第2回転軸まわりに回転可能に支持するための少なくとも1つの軸受とで特徴付けられている。軸受は、第4固定軸体の外面および第2ロータリーピストン内に配置されている。
【0037】
さらに、ロータリーピストンを駆動するために、ラジアルピストンモータまたは歯付きリングモータとして設計された油圧モータが、第1ロータリーピストン内に配置されているのが好ましい。
【0038】
この実施形態では、第1ロータリーピストンを駆動する油圧モータが、ポンプハウジング内に配置されている。特に、油圧モータは、少なくとも大部分が第1ロータリーピストン内に配置されている。これにより、ロータリーローブポンプをさらにコンパクトにすることができる。
【0039】
さらに、油圧モータは、第1回転軸まわりに回転可能で、かつ、第1ロータリーピストン内でロータリーピストンに機械的に連結されてロータリーピストンを駆動するロータを有し、油圧モータは、ロータ内に配置され、第1固定軸体に接続されるかまたは第1固定軸体と一体的に設計されたステータを有し、入口および出口は、油圧モータに接続され、第1固定軸体の内部に、好ましくはポンプハウジングの外部まで延びているのが好ましい。
【0040】
油圧モータのロータは、好ましくはステータの外部に配置される。ステータは、好ましくは、ロータの内部に配置される。さらに、ロータは、好ましくは、シャフト-ハブ接続部によって、第1ロータリーピストンに接続される。
【0041】
さらに好ましい実施形態は、ロータリーピストンを駆動するための駆動装置が、同期ギアを介して連結された2つの駆動軸を駆動し、第1駆動軸が第1ロータリーピストンに機械的に連結され、第2駆動軸が第2ロータリーピストンに機械的に連結され、同期ギアが、好ましくは駆動軸を同期的に駆動するための平歯車または歯付きベルト、特に二重歯付きベルトを有することを特徴とする。この実施形態では、2つの駆動軸がギアボックスを介して駆動され、好ましくは、いずれの場合も駆動軸の1つが1つのロータリーピストンを駆動する。駆動軸は、ロータリーピストンにトルクを伝達するために、例えば、シャフト-ハブ接続部を介してロータリーピストンに接続される。同期歯車は、好ましくは、2つの駆動軸が同じ回転速度で反対方向に回転するように駆動するように設計されている。
【0042】
さらに、この実施形態は、第1駆動軸および第1ロータリーピストンを耐トルク的に接続し、第1ロータリーピストンの内部に配置された、トルクを伝達するためのシャフト-ハブ接続部により特徴付けられている。好ましくは、シャフト-ハブ接続部は、ロータリーピストンの内部の内ねじに接続されている。特に好ましくは、第1ロータリーピストンの内部に内部ねじが配置され、その内部ねじには、駆動軸から第1ロータリーピストンにトルクを伝達するために第1駆動軸に接続されるねじがねじ込まれる。好ましくは、第1駆動軸から第1ロータリーピストンにトルクを伝達するためのクランピングスリーブがねじに接続される。
【0043】
さらに、第2ロータリーピストンを駆動するために、第2駆動装置が第2ロータリーピストンに機械的に連結されていることが好ましい。駆動装置は、第2駆動装置から、好ましくは駆動軸を介して、第2ロータリーピストンにトルクを伝達するために、シャフト-ハブ接続部によってロータリーピストンに接続されるのが好ましい。
【0044】
さらに、第1駆動装置および第2駆動装置が、ポンプハウジングの反対側に配置されるのが好ましい。このように配置により、各駆動装置により多くのスペースを確保できるため、より大きな駆動装置を使用できるという利点が提供される。
【0045】
本発明のさらなる態様によれば、上述の問題は、ポンプ室内に回転可能にそれぞれ配置されたスリーブおよびロータリーピストン間の着脱可能な接続、好ましくはフォースクロージャ接続を解除し、スリーブをロータリーピストンから軸方向に引き抜くことを含み、スリーブは、ロータリーピストン内に配置され、少なくとも1つの軸受および1つのシールが、スリーブが引き抜かれたときにスリーブと共にロータリーピストンから軸方向に移動するようにスリーブに接続されている、整備方法によって解決される。
【0046】
これにより、好ましくはフォースクロージャおよび/またはフォームクロージャにより、例えば、接続が可能であり好ましくはスリーブに配置された拡張可能な部分により、スリーブおよびロータリーピストンを接続できるのが好ましい。スリーブをロータリーピストンから軸方向に引き抜くことは、スリーブが、ロータリーピストンの仮想回転軸の方向にロータリーピストンからガイドされることを意味する。これらの更なる態様の更なる利点、実施形態の変形、及び実施形態の詳細については、ロータリーローブポンプの対応する特徴及び更なる実施形態に関する先に与えられた説明も参照されたい。
【0047】
本発明の好ましい実施形態を、添付の図を参照して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】第1実施形態の側面図であり、第1ロータリーピストンの領域における第1回転軸を通る部分断面で示されている。
図2】スリーブを備えた第2実施形態の側面図であり、第1ロータリーピストンの領域における第1回転軸を通る部分断面で示されている。
図3】駆動装置を備えた第3実施形態の側面図であり、第1ロータリーピストンの領域における第1回転軸を通る部分断面で示されている。
図4】第1ロータリーピストンの内部に配置された油圧モータを備える第4実施形態の側面図であり、第1ロータリーピストンの領域における第1回転軸を通る部分断面で示されている。
図5】同期歯車を備えた第5実施形態の側面図であり、第1ロータリーピストンの領域における第1回転軸を通る部分断面で示されている。
図6】反対側に2つの駆動装置を備えた第6実施形態の側面図であり、第1ロータリーピストンの領域における第1回転軸を通る部分断面で示されている。
図7】回転軸ごとに2つの固定軸体を有する第7実施形態の側面図であり、第1ロータリーピストンの領域における第1回転軸を通る部分断面で示されている。
図8】固定軸体の代替的な配置を有する第8実施形態の側面図であり、第1ロータリーピストンの領域における第1回転軸を通る部分断面で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図面において、同一または本質的機能的に同一または類似の要素には、同じ参照符号が付けられている。
【0050】
図1は、ポンプハウジング70を備えるロータリーローブポンプ1を示しており、ポンプハウジング70は、ポンプ室60を取り囲んでいる。ポンプハウジングの一方側には、2つの駆動装置80a,80bが配置されている。第1駆動装置80aは、第1固定軸体20に接続されている。固定軸体は、ポンプハウジング70に接続されている。駆動装置80aは、シャフト11を有しており、このシャフト11は、シャフト-ハブ接続部12によって、第1回転軸100aに沿って固定軸体20を通って延びる駆動軸13に接続されている。これにより、駆動軸13は、シャフト-ハブ接続部25によって第1ロータリーピストン50aに接続され、駆動装置からこのロータリーピストンにトルクを伝達する。第2ロータリーピストン50bも同様に、第2駆動装置80bによって駆動され、第2ロータリーピストン50bに機械的に連結されて第2回転軸100bまわりに回転する第2駆動軸(図示せず)を駆動する。第1ロータリーピストン50aおよび第2ロータリーピストン50bの各々は、複数のねじれたローブを有している。2つのロータリーピストンは、互いに噛み合い嵌合している。第1ロータリーピストン50aは、第1固定軸体20にスペーサスリーブ33により配置された第1軸受34および第2軸受35によって、回転軸100aまわりに回転可能に取り付けられている。第1軸受に加えて、ダイナミックシール32が第1固定軸体20に配置され、ポンプ室に対して軸受をシールする。シール32は、第1ロータリーピストンの内部に配置された保持リング31によって軸方向に固定されている。第1固定軸体の端部に配置された第2軸受35は、締結装置36によって固定されている。締結装置36は、第2軸受35および第1固定軸体20の両方に着脱可能に接続されている。
【0051】
図2は、2つの駆動装置80a,80bが、ポンプ室60に配置されている2つのロータリーピストン50a,50bを駆動するロータリーローブポンプ1を示している。ポンプ室60は、ポンプハウジング70内に配置されている。ロータリーピストン50a,50bは、それぞれ回転軸100a,100bまわりに回転可能に取り付けられている。第1固定軸体20には、ダイナミックシール32、第1軸受34、スペーサスリーブ33、第2軸受35および第2スペーサスリーブ40が配置されている。固定軸体20の軸受の位置は、第2スペーサスリーブ40を固定軸体20に固定する固定装置36によって固定されている。軸受34,35の外輪にはスリーブ37が配置され,軸受がスリーブの内部にある。スリーブに取りけられた保持リング31は、ダイナミックシール32の軸方向の位置を固定する。また、スリーブは、第1ロータリーピストン50aのボアの肩部51に配置され、スリーブ37よりも肩部51の他方側に配置されたクランプ装置38によって、この肩部に対してクランプされている。クランプ装置は、ねじ接続部39によって、スリーブ37、肩部51およびクランプ装置38の間の着脱可能な接続を確立できる。
【0052】
図3は、駆動装置80aを1つだけ備えたロータリーローブポンプ1を示している。回転軸100aまわりに回転する駆動軸13が、駆動装置80aにより駆動される。駆動軸13は、シャフト-ハブ接続部25を介して、第1ロータリーピストン50aを駆動する。第2ロータリーピストン50bは、第2ロータリーピストン59bと噛み合う第1ロータリーピストン50aにより駆動される。ロータリーピストンの同期は、2つのロータリーピストンの嵌合により行われる。第1ロータリーピストンの軸受は、ここでは本質的に、図2に示す実施形態の軸受に対応している。
【0053】
図4は、油圧モータによって駆動されるロータリーローブポンプ1を示している。油圧モータは、第1ロータリーピストン50aの内部に配置されている。油圧モータは、固定軸体20に配置され第1ロータリーピストン50aの内部に配置されるステータ81を有している。固定軸体20は、中実の部品として構成されており、油圧流入導管88および油圧流出導管89が固定軸体20を貫通して延びている。流入導管88および流出導管89は、固定軸体20を貫通してポンプハウジング70の外部に延びており、ロータリーローブポンプの外部に接続できる。回転方向が逆になると、流入導管および流出導管が逆になる。ロータ82は、第1回転軸100aを中心に回転し、第1ロータリーピストン50aに接続されて、ロータリーピストンにトルクを伝達する。ロータ82は、ねじ接続部83によって、スリーブ37に接続され、第1ロータリーピストンに接続されている。また、ねじ接続部83は、連結部84をロータ82に接続する。ロータ82および連結部84は、第1ロータリーピストン内のボアの肩部52に対して異なる側からクランプされている。これにより、連結部84、ロータ82、および、その中に配置された軸受と接続されたスリーブ37の位置が決定され、それらの位置が軸方向に固定される。
【0054】
図5は、駆動装置80aを有するロータリーローブポンプ1を示す。駆動装置80aは、同期歯車90に接続されている。2つの駆動軸13a,13bが同期歯車によって駆動され、回転軸100a,100bを中心に反対方向に回転する。さらに、この実施形態では、構成要素は本質的に図2に示す実施形態のように配置されている。
【0055】
図6は、ロータリーローブポンプ1を示す。2つの駆動装置80a,80bがポンプハウジング70の反対側に配置されている。第1駆動装置80aは、回転軸100aまわりに回転可能に取り付けられた第1ロータリーピストン50aを駆動する。さらに、第2駆動装置80bは、回転軸100bまわりに回転可能に取り付けられた第2ロータリーピストン50bを駆動する。この実施形態では、ポンプハウジングの同じ側に上下に配置された場合に、可能な最大直径よりも大きな直径を有する駆動装置の使用が可能になる。
【0056】
図7は、2つの駆動装置80a,80bを有するロータリーローブポンプ1を示す。駆動装置80aは、固定軸体20に接続され、固定軸体は、ポンプハウジング70に接続されている。駆動装置80aは、シャフト11を有する。シャフト11は、シャフト-ハブ接続部12によって、第1回転軸100aに沿って固定軸体20を通って延びる駆動軸13に接続されている。駆動軸13は、シャフト-ハブ接続部25によってロータリーピストン50a、50cに接続され、駆動装置からロータリーピストンにトルクを伝達する。ロータリーピストン50a、50cは、それらの端面が互いに寄りかかるように接続され、その接続が強固に設計される。これは、駆動装置80bによって駆動され、回転軸100bまわりに回転可能に取り付けられているロータリーピストン50b、50dにも類似的に適用される。ロータリーピストン50a、50cは、ローブのねじれの回転方向が回転の反対方向になるように、回転軸100aに沿って配置されている。また、ロータリーピストン50b、50dは、ローブのねじれの回転方向が回転の反対方向になるように、回転軸100bに沿って配置されている。固定軸体20に加えて、別の固定軸体220が、ポンプ室60の反対側で回転軸100aに沿ってポンプハウジング70に接続されている。この固定軸体220は、中実の構成要素として設計されている。ロータリーピストン50cは、固定軸体220の周りに回転可能に取り付けられている。この軸受は、第2の固定軸体に、第1の転がり軸受234と、第2の転がり軸受235と、その間に配置されたスペーサスリーブ233とが配置されている。軸受234,235の外輪は、ロータリーピストン50cの内部に配置されそれに接続されたスリーブ237に接続されている。軸受234の隣には、ダイナミックシールが、第2固定軸体220に配置され、ポンプ室に対して軸受をシールしている。ダイナミックシール232は、スリーブ237に配置された保持リング231によって固定されている。
【0057】
図8は、固定軸体220が中実体で作られ、ポンプ室60に配置されているロータリーローブポンプ1を示す。これにより、固定軸体は、駆動装置80aとは反対側でポンプハウジング70に接続されている。駆動装置80aは、シャフト11を有する。シャフト11は、シャフト-ハブ接続部12,25によって、第1ロータリーピストン50aに接続されている。第1ロータリーピストンは、第1回転軸100aまわりに回転可能に取り付けられている。ポンプハウジングのシャフト11には、ダイナミックシール332が配置されている。固定軸体には、2つの軸受235,234およびダイナミックシール232が配置されている。軸受はスペーサスリーブ235によってはなれて配置されている。シール232には、ベアリングおよびシールを囲むスリーブ237に配置された保持リング231が軸方向に固定されている。スリーブは、ベアリング235,234の外輪と、第1ロータリーピストン50aとに接続されている。スリーブは、クランプ装置238によって、第1ロータリーピストン50a内のショルダー51に対してクランプされている。クランプ装置238は、複数のねじ239を有している。軸受235は、第2スペーサスリーブ240によって、固定軸体220に位置決めされている。第2スペーサスリーブ240は、締結装置241によって固定軸体220に固定されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8