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  • 特許-2次元力センサ 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】2次元力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/1627 20200101AFI20240711BHJP
   G01L 5/169 20200101ALI20240711BHJP
【FI】
G01L5/1627
G01L5/169
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021547211
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2020055612
(87)【国際公開番号】W WO2020182554
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-01-24
(31)【優先権主張番号】19162992.2
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ブラダ イペ ベルナルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】コーネン マウリッツ
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-170121(JP,A)
【文献】特開昭59-204732(JP,A)
【文献】特開2001-033319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
G01L 1/00-1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向における第1の力と、前記第1方向とは異なる第2方向における第2の力とを測定する2次元力センサであって、
前記第2の方向に向けられた第1の弾性構造体であって、前記第1の弾性構造体の第1の端部が、基準点に結合される、第1の弾性構造体と、
前記第1の方向に向けられた第2の弾性構造体であって、前記第2の弾性構造体の第1の端部が、前記第1の弾性構造体の第2の端部に結合される、第2の弾性構造体と、
前記第2の弾性構造体の第2の端部に結合される測定プローブとを有し、
前記測定プローブが、前記第2の弾性構造体の第2の端部に取り付けられた延長装置に取り付けられ、前記延長装置は、前記第1の弾性構造体の中立軸と前記第2の弾性構造体の中立軸との仮想断面点から、前記延長装置の長さの20%以下範囲で逸脱した位置に前記測定プローブを配置するよう構成される、2次元力センサ。
【請求項2】
前記第1及び/又は第2の弾性構造体が、弾性プレートである、請求項1に記載の2次元力センサ。
【請求項3】
前記第1及び/又は第2の弾性構造体が、曲げゾーンを含む梁である、請求項1に記載の2次元力センサ。
【請求項4】
前記第1の弾性構造体が、前記第1の力を測定するための第1のひずみ測定ユニットを備え、前記第2の弾性構造体は、前記第2の力を測定するための第2のひずみ測定ユニットを備える、請求項1乃至3のいずれかに記載の2次元力センサ。
【請求項5】
前記第1の弾性構造体及び前記第2の弾性構造体が、前記第1の弾性構造体及び前記第2の弾性構造体がそれぞれ前記第1及び第2のひずみ測定ユニットを備えている位置において、縮小された幅を持つ、請求項3に記載の2次元力センサ。
【請求項6】
前記第1の力及び前記第2の力を測定するために、前記測定プローブの位置のずれを検出するトランスデューサを更に有する、請求項1に記載の2次元力センサ。
【請求項7】
前記トランスデューサが、前記測定プローブに結合された磁石の位置ずれを検出するホール効果センサを有する、請求項に記載の2次元力センサ。
【請求項8】
前記第1の弾性構造体及び前記第2の弾性構造体が、前記第2の方向に向いた第1のセクションと前記第1の方向に向いた第2のセクションを持つように形成された単一の弾性プレートの一部である、請求項乃至7のいずれかに記載の2次元力センサ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の2次元力センサを備えたヘアスタイリング又は分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元の力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
出願PCT/EP2018/074558号(参照番号2017PF02274)は、ヘアスタイリング又は分析装置で使用するための2次元力センサを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は特に、改良された2次元の力センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、独立請求項により規定される。有利な実施形態は、従属請求項に規定される。
【0005】
本発明の1つの側面は、第1の方向の第1の力と、第1の方向とは異なる第2の方向の第2の力とを測定する2次元力センサを提供する。2次元力センサは、第2の方向に向けられた第1の弾性構造体(例えば、プレート又は梁)であって、上記第1の弾性構造体の第1の端部が、基準点に結合される、第1の弾性構造体と、第1の方向に向けられた第2の弾性構造体であって、第2の弾性構造体の第1の端部が、第1の弾性構造体の第2の端部に結合される、第2の弾性構造体と、上記第2の弾性構造体の第2の端部に結合された測定プローブとを有する。
【0006】
本発明の実施形態によれば、第1及び/又は第2の弾性構造体は、弾性プレートである。弾性プレートを使用することは、せん断型ロードセルに比べて比較的軽量であることをもたらし、2次元力センサ要素の自重が測定結果に与える影響ははるかに小さい。第1及び第2の弾性プレートは、適切に成形された(例えば、湾曲した)1つのプレートの一部であってもよいし、又は互いに適切に接続された2つの異なるプレートであってもよい。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、第1及び/又は第2の弾性構造体は、曲げゾーンを含む梁である。曲げゾーンとは、梁に荷重がかかったときに曲がるよう構成された梁のゾーンのことである。これは例えば、梁の他の部分と比較して、曲げゾーンの位置で梁の幅及び/又は高さを小さくすることにより実現されることができる。
【0008】
本発明の実施形態と従来技術との重要な違いは、本発明の実施形態によれば、構造体の端部は、せん断型弾性梁に見られるような梁の他端部に対して平行に並進するのではなく、構造体の他端部に対して角度を付けて曲げられることである。
【0009】
本発明の様々な実施形態は、以下の利点を提供する。本発明の実施形態による2次元力センサは、斯かる2次元力センサを含むヘアスタイリング又は分析装置が床に落下した場合に破損する可能性のあるせん断型ロードセルを採用したソリューションよりも、2次元力センサがより堅牢であるという利点を提供する。
【0010】
力センサは、ヘアケア装置での使用に特に有利である。なぜなら、それは、消費者が認識する髪の健康に関連するパラメータを測定するために使用されることができるからである。力センサは例えば、スキンケアのようなパーソナルケアの分野でも有利に働く。更に、力センサは、機械の分野で使用されることもできる。
【0011】
測定プローブは好ましくは、第2の弾性構造体の第2の端部に取り付けられた延長装置に取り付けられる。上記延長装置は、上記第1の弾性構造体の中立軸及び上記第2の弾性構造体の中立軸の仮想断面点から、上記延長装置の長さの20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の範囲で逸脱した位置に上記測定プローブを配置するよう構成される。
【0012】
中立軸は、構造物の断面において、縦方向の応力又はひずみが存在しない軸のことである。断面が対称で等方性であり、曲げが発生する前に湾曲していない場合、中立軸は幾何学的重心にある。中立軸の片側の繊維はすべて緊張状態にあり、反対側の繊維は圧縮状態にある。従って、弾性構造体がプレートである状況では、第1の弾性プレートの中立軸と第2の弾性プレートの中立軸の仮想断面点は、2つの弾性プレートの仮想断面点とほぼ同じ位置にある。
【0013】
この断面点にできるだけ近い位置に測定プローブを配置することが、クロストークを最大限に低減する利点を提供する。クロストークは即ち、ある方向の力が他の方向の力の誤った(望ましくない)測定を誘発する。測定の結果、1%の位置ずれが約1%の測定誤差をもたらすことが示された。製造公差により、測定プローブが、第1の弾性プレート及び第2の弾性プレートの仮想断面点に正確に位置する最適な位置に配置されないことがある。
【0014】
第1の弾性構造体は、第1の力を測定するための第1の歪み測定ユニットを備えていてもよく、第2の弾性構造体は、第2の力を測定するための第2の歪み測定ユニットを備えていてもよい。これは非常にシンプルでありながら、2次元の力の測定を正確に実行することができる。歪み測定ユニットは、弾性構造体のいずれかの側にある2つのハーフブリッジ歪みゲージ(プレートの実施形態に最も適している)、又は弾性構造体の片側にある1つのフルブリッジ歪みゲージ(梁の実施形態に最も適している)のセットを含むことができる。両側に1つの歪みゲージを使用してハーフブリッジにする方法が代替的に可能であるが、温度の影響を受けやすくなる。片側にハーフブリッジの歪みゲージを使用することも可能であるが、(実行状況に応じて)温度に対する感度が低くなったり高くなったりする。
【0015】
第1の弾性構造体及び第2の弾性構造体は、第1の弾性構造体及び第2の弾性構造体がそれぞれ第1及び第2のひずみ測定ユニットを備えている位置において、縮小された幅を有してもよい。これは、第1及び第2の弾性構造体において、明確な曲げゾーンが得られるという利点を提供する。
【0016】
代替的な実施形態では、2次元力センサは、第1の力及び第2の力を測定するための測定プローブの位置偏差を感知するためのトランスデューサを更に備える。良好で手頃な価格のトランスデューサは、測定プローブに結合される磁石の位置偏差を検出するためのホール効果センサを含む。
【0017】
第1の弾性プレート及び第2の弾性プレートは、第2の方向に向いた第1のセクション(第1の弾性プレートを形成する)と、第1の方向に向いた第2のセクション(第2の弾性プレートを形成する)とを持つように形成された単一の弾性プレートから作られてもよい。
【0018】
出願PCT/EP2018/074558号に記載されるタイプのヘアスタイリング又は分析装置が、有利には斯かる2次元力センサを備えることができる。
【0019】
本発明のこれらの及び他の態様が、以下に説明される実施形態より明らとなり、これらの実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による2次元力センサの様々な実施形態を示す図である。
図2】本発明による2次元力センサの様々な実施形態を示す図である。
図3】本発明による2次元力センサの様々な実施形態を示す図である。
図4】本発明による2次元力センサの様々な実施形態を示す図である。
図5】本発明による2次元力センサの様々な実施形態を示す図である。
図6】本発明による2次元力センサの様々な実施形態を示す図である。
図7】本発明による2次元力センサの様々な実施形態を示す図である。
図8】本発明による2次元力センサの様々な実施形態を示す図である。
図9】本発明による2次元力センサの様々な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の様々な実施形態は、例えば互いに直角(90°)である2つの異なる方向の力を、有意なクロストークなしに独立して測定できる2次元力センサを提供することを目的としている。様々な実施形態において、この特徴は、2つの弾性構造体H1、H2を互いに垂直に取り付け、力Fx、Fyが誘起される位置(測定プローブP)を両方の弾性構造体H1、H2と正確に一致させることにより得られる。弾性構造体H1、H2の変形は、様々なトランスデューサ、例えばひずみゲージを用いて測定されることができる。様々な実施形態において、2つの弾性構造体H1、H2は、互いに垂直に取り付けられる。これは、弾性構造体H1、H2の間に別の接続要素Cを設けて行われることができる。代替的に、弾性構造体H1、H2は、90°の角度で曲げられた1つのプレートから作られることもできる。有利なことに、2つの弾性構造体H1、H2は、2つの弾性構造体H1、H2が互いに交差するであろう位置が、測定されるべき力Fx、Fyが誘起される測定プローブPを配置するために利用可能であるように取り付けられる。有利なことに、アームAにより形成された延長装置は、測定プローブPを2つの弾力性構造H1、H2と一致する位置に配置する。一実施形態では、アームAの長さは約2cmである。
【0022】
測定プローブPにX方向の力Fxが誘起されると、弾性構造体H2は押し/引き方向に負荷がかかり、運動量がないので、Y方向には弾性構造体H2の変形はない。X方向に力Fxがかかると、弾性構造体H1は純粋な曲げ方向に荷重がかかり、X方向に変形する。Y方向の変形は、いわゆるコサイン誤差に限定され、X方向の弾性構造体H1の曲げによる変形が相対的に小さい場合には、無視できる。
【0023】
測定プローブPにY方向の力Fyが誘起されると、弾性構造体H1は押し/引き方向に負荷がかかり、運動量がないので、X方向における弾性構造体H1の変形はない。Y方向に力Fyが加わると、弾性構造体H2には、運動量及び力が加わる。弾性構造体H2の実行に基づき、弾性構造体H2には一重又は二重の曲がりができ、Y方向に変形が生じる。弾性構造体H2のX方向の変形は、いわゆるコサイン誤差に限定され、弾性構造体H2のX方向の曲げによる変形が相対的に小さい場合には、無視できる。
【0024】
弾性構造体H1、H2は、単純な形状であるため、弾性構造体H1、H2は様々な材料、例えば高張力鋼から作られることが可能であるが、特定の特性を満たす場合にはあらゆる材料が可能である。
【0025】
センサが様々な向きで使用される場合、又は動的な環境で使用される場合、重量又は慣性質量がセンサの所望の精度の範囲内で弾性構造体H1、H2を変形させるように、材料の弾性係数及びセンサの質量(材料比質量)の比が最小値を持つことが望ましい。
【0026】
材料の変形におけるヒステリシスは、センサの望ましい精度の範囲内であるべきである。
【0027】
材料の降伏強度は、センサの最大荷重の範囲内で、弾性構造体H1、H2の塑性変形をもたらさないものであるべきである。
【0028】
上記のような制限は一般的に、スチール、アルミニウム、複合材などのエンジニアリング材料が好ましいことをもたらす。適切な材料は、0.6mm、より好ましくは0.8mmのステンレススチールであるように思われる。しかしながら、適切なプラスチック材料が代替的に、弾性構造体H1、H2に使用されることができる。
【0029】
ヒンジの変形を電気信号に変換するために、さまざまなトランスデューサが使用されることができる。最も直接的な方法は、弾性構造体H1、H2におけるひずみゲージにより、弾性構造体H1、H2のひずみを測定することである。変形は、弾性構造体H1、H2の位置の変化を測定し、又は線形可変差動変圧器(LVDT)、光学式距離センサ、ホールセンサ、渦電流センサ若しくは静電容量センサなどの(非接触)測定方法で測定プローブPの位置の変化を測定することにより測定されることができる。測定プローブPの位置変化を測定する場合、非対称な負荷によるクロストークが所望のセンサ精度の範囲内となるように、アームAの剛性を十分に確保する必要がある。
【0030】
様々な実施形態は、以下の利点を提供する。
【0031】
センサは薄い素材から作られることができるので、重量が少なくて済む。センサが複数の方向で使用される場合、センサの重さはあまり重要ではない。
【0032】
センサは薄い素材から作られることができる。センサが動的な状況で使用される場合、センサの慣性の役割は小さく、簡単に補正されることができる。
【0033】
センサの材料は、ドリル加工又はミル加工が容易な材料に限定されるものではない。これらは、せん断型ロードセルに必要とされ、そこでは穴が開けられ、せん断型ロードセルが変形することを可能にするヒンジを形成するため、この穴から材料が除去される。スチールのような高強度の材料を選択することで、高負荷がかかったときに荷重下で塑性変形を起こさない堅牢な設計が可能になる。
【0034】
慣性質量に起因する力は、センサの質量が小さいため、特に高強度の材料との組み合わせで小さくなる。慣性質量が小さくなることで発生するより低い力は、高強度材料により少ない影響(ダメージ)を与える。高強度材料は、弾性構造体H1、H2のより大きなたわみを可能にするため、塑性変形を防ぐストロークを制限することが容易になる。
【0035】
センサは薄いプレートから作られており、スペースを取らない。それは、小さなボリュームにもフィットする。
【0036】
シンプルな構造の結果として、このセンサは本質的に安価なソリューションであり、ヘアスタイリング又は分析装置に有利に使用されることができる。
【0037】
図面において、図1A図1Bは、2次元力センサの基本的な動作を示しており、静止状態において、アームAは、測定プローブPが弾性プレートH1、H2の仮想交差部に揃って配置されることを確実にする。弾性プレートH1、H2の間には、接続部Cが存在する。
【0038】
図2の表示は、プローブPの測定位置(即ち、力Fx、Fyが測定プローブに作用する位置)が、これらの力Fx、Fyが測定される手段である弾性プレートH1、H2の上にある場合があることを示す。
【0039】
図3は、測定プローブの動き、及び従って力Fx、Fyが、測定プローブP上の磁石Mと、磁石Mに隣接するホール効果センサHSにより測定される実施形態を示す。
【0040】
図4は、ひずみゲージS1、S2を弾性プレートH1、H2に取り付けた(例えば、接着した)構成を示す。
【0041】
図5は、弾性プレートH1、H2から材料が除去され、明確な曲げゾーンを形成した実施形態を示す。
【0042】
図6A図6Bは、弾性プレートH1、H2が、測定プローブPのためのスペースを確保するために(接続領域Cで)適切に曲げられた1つのプレートの一部である場合を示す。
【0043】
図7は、アームAも、適切に曲げられたこの1つのプレートの一部であってもよいことを示す。ひずみゲージを使って力を測定する場合、アームAが弾性プレートH1、H2よりも剛性が高くなければ十分である。
【0044】
図8は、アームAにおいて、1つのプレートを曲げて補強リブSRを形成し、力が加わってもアームAがほとんど曲がらないように十分な剛性であることを確実にし、力の測定が妨げられない実施形態を示す。これは、図3に示すように、例えばホールセンサHSを用いて力を測定する場合など、測定プローブPにトランスデューサが配置される場合に望ましい。図6Bは、第1の弾性プレートH1及び第2の弾性プレートH2を有するプレートとは別の、比較的剛性の高いアームAを得るための代替的な方法を示す。補強リブSRは、プレートの曲げとは別の方法、例えば鋳造又は押し出し成形により得られることができる。
【0045】
図1B図6A図6B図7図8の実施形態は、2つの異なるロードセルのアセンブリの代わりに、1つのロードセルで法線力及び摩擦力が測定されることができるという利点を提供する。
【0046】
必要に応じて、ストローク制限保護手段が適用され、過負荷状態での弾性プレートH1、H2の塑性変形が防止されることができる。
【0047】
こうして、本発明の様々な実施形態は、最小限の要素を有し、測定に影響を与えるクロスなしに法線力及び摩擦力の両方を測定し、1回の測定後に試験片の摩擦係数を計算することを可能にするロードセルを提供する。平らな曲げプレートを使用することで、良好な強度対剛性比が実現される。せん断型ロードセルのアセンブリを用いた場合と比較して、センサアセンブリの質量が減少したことで、硬い表面への落下による衝撃力に耐えるセンサの能力が改善された。測定プローブを2つのロードセルブレードH1、H2の仮想断面点に配置することで、法線力及び摩擦力の相互干渉が避けられる。せん断型ロードセルでは手作業での調整が必要な場合が多いが、このロードセルは、レーザーカット又はスタンピングなどの大量生産技術を用いて製造されることができる。
【0048】
本発明の主な特徴は、1つのセンサで法線力Fn及び摩擦力Ffを測定できることであり、従って、1つのプローブ及びセンサで摩擦係数μ=Ff/Fnを計算できることである。1つのプローブで摩擦係数を測定する任意の場所で、本発明が使用されることができる。例えば、毛髪又は皮膚の摩擦係数を測定しなければならない場合である。他の産業では、それは、表面仕上げ又は摩耗の変化を検出するのに有用な場合がある。
【0049】
図9は、第1及び第2の弾性構造体が、曲げゾーンBZ1、BZ2を有する梁H1、H2である2次元力センサを概略的に示す。歪み測定ユニット90は、曲げゾーンに提供されることができる。梁H1及びH2の中立軸は破線で示されており、この破線は仮想断面点で交差している。これは、測定プローブPが配置される場所である。
【0050】
上記の実施形態は、本発明を限定するものではなく例示するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替実施形態を設計できることに留意されたい。第1の方向及び第2の方向は互いに直角である必要はなく、例えば、互いに45°又は135°であってもよい。請求項において、括弧の間に置かれた任意の参照符号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する」という語は、請求項に記載される以外の要素の存在を排除するものではない。要素に先行する単語「a」又は「an」は、斯かる要素の複数の存在を排除するものではない。本発明は、いくつかの別個の要素を含むハードウェアにより実現されることができる。いくつかの手段を列挙するデバイスクレームにおいて、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの1つの同じアイテムにより実現されることができる。相互に異なる従属請求項に記載される手段は、組み合わせて有利に使用されることができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9