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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】家禽移送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/16 20060101AFI20240711BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20240711BHJP
   A22C 21/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
B65G17/16 A
B65G54/02
A22C21/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021551522
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 NL2020050143
(87)【国際公開番号】W WO2020180183
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】2022680
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520386523
【氏名又は名称】マレル・ポウルトリー・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Marel Poultry B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,ヘイス ベレント ヘラルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】レイルセ,ティム サンデル
(72)【発明者】
【氏名】リンデルス,ヨハネス ペトゥルス マリア
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】豪国特許出願公開第6606786(AU,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0194044(US,A1)
【文献】特開平09-002660(JP,A)
【文献】特開昭63-071140(JP,A)
【文献】特表2008-528026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0297619(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/16
B65G 54/02
A22C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家禽体を第1家禽搬送ラインから第2家禽搬送ラインに移送するための家禽移送装置であって、
前記家禽移送装置は、少なくとも1つの軌道と、前記軌道に沿って移動可能なシャトルとを備え、
前記シャトルは、キャリアを有し、
各キャリアは、移送される前記家禽体がペアの前記キャリアによって運搬可能であるように、前記家禽体の1本の脚を運搬するように構成され、
前記家禽移送装置は、前記家禽体の脚の間の距離を変更するために、ペアの前記キャリアにおける前記キャリアの間の距離を変更するように構成され
各シャトルは、ペアの前記シャトルが前記家禽体を運搬するためのペアの前記キャリアを有するように、ペアの前記キャリアのうち1つの前記キャリアを有し、
前記家禽移送装置は、各ペアの前記シャトルのうち第1シャトルの前記キャリアと、各ペアの前記シャトルのうち第2シャトルの前記キャリアとの間の距離を変更するように構成されている、
家禽移送装置。
【請求項2】
各ペアの前記シャトルのうち少なくとも前記第1シャトルは、前記軌道に沿って、各ペアの前記シャトルのうち前記第2シャトルから独立して移動するように構成されている、請求項に記載の家禽移送装置。
【請求項3】
各ペアの前記シャトルのうち少なくとも1つの前記シャトルは、前記シャトルを前記軌道に沿って各ペアの前記シャトルのうち他方の前記シャトルから独立して移動させるための駆動装置を有する、請求項1又は2に記載の家禽移送装置。
【請求項4】
各ペアの前記キャリアにおける前記キャリアの間の距離を制御するための制御ユニットを有する、請求項1~のいずれか1つに記載の家禽移送装置。
【請求項5】
前記シャトルは、前記軌道に着脱可能に接続され、好ましくは手動で着脱可能である、請求項1~のいずれか1つに記載の家禽移送装置。
【請求項6】
前記軌道は、長固定子リニアモータを有し、
各シャトルは、電磁石又は永久磁石のような少なくとも1つの磁石を有する、
請求項1~のいずれか1つに記載の家禽移送装置。
【請求項7】
各シャトルは、前記軌道に沿って独立して駆動可能である、請求項1~のいずれか1つに記載の家禽移送装置。
【請求項8】
前記軌道は、載荷軌道部と、脱荷軌道部と、前記載荷軌道部と前記脱荷軌道部との間の少なくとも1つの中間軌道部とを有する、請求項1~のいずれか1つに記載の家禽移送装置。
【請求項9】
前記家禽体を運搬するための各ペアの前記キャリアにおける前記キャリアの間の距離は、前記中間軌道部において一定である、及び/又は、
前記家禽体を運搬するための各ペアの前記キャリアにおける前記キャリアの間の距離は、前記載荷軌道部において一定である、
請求項に記載の家禽移送装置。
【請求項10】
前記家禽移送装置は、前記脱荷軌道部において、各ペアの前記シャトルのうち第1シャトルの前記軌道に沿った移動速度を、各ペアの前記シャトルのうち第2シャトルの移動速度に対して変更するように構成されている、請求項8又は9に記載の家禽移送装置。
【請求項11】
各ペアの前記キャリアは、1つの前記シャトルに変位可能に取り付けられた少なくとも1つの前記キャリアを有する、請求項1~10のいずれか1つに記載の家禽移送装置。
【請求項12】
各ペアの前記キャリアは、1つの前記シャトルに回転可能に取り付けられた少なくとも1つの前記キャリアを有する、請求項1~11のいずれか1つに記載の家禽移送装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の家禽移送装置と、
第1家禽搬送ラインと、
第2家禽搬送ラインと、
を備え、
前記家禽移送装置は、少なくとも1体の家禽体を前記第1家禽搬送ラインから前記第2家禽搬送ラインに移送するように構成され、
前記第1家禽搬送ラインにおける前記家禽体の脚の間の距離は、前記第2家禽搬送ラインにおける前記家禽体の脚の間の距離と異なる、
家禽搬送システム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1つに記載の家禽移送装置、又は、請求項13に記載の家禽搬送システムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家禽体を第1家禽搬送ラインから第2家禽搬送ラインに移送するための家禽移送装置に関する。さらに、本発明は、家禽移送装置と、第1家禽搬送ラインと、第2家禽搬送ラインとを備えた家禽搬送システムに関する。加えて、本発明は、少なくとも1体の家禽体を第1家禽搬送ラインから第2家禽搬送ラインに自動的に移送するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2006/080834号は、例えば2つのコンベアラインの間で使用される移送装置を開示している。移送装置は、屠殺された家禽産物の脚を運搬するためにそれぞれ適した複数のキャリアを備えている。すなわち、屠殺された家禽産物を第1家禽搬送ラインから第2搬送ラインに移送するために、各キャリアにおいて、2本の脚を切欠部に吊り下げることができる。各キャリアにおける切欠部の間の距離は、一定である。さらに、各キャリアは、レール上を移動可能なユニットを有する。キャリアは、各キャリアに関連する連結手段によって、キャリアをレール上で動かすために使用される駆動部材に連結されることができる。キャリアと駆動部材との間の連結手段は、分離手段によって分離されることができる。この公知の移送装置では、キャリアを駆動部材から所望のときに選択的に分離することができる程度に、家禽の運搬を制御することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改良された家禽移送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的は、請求項1に規定されるような家禽移送装置によって達成される。
【0005】
家禽移送装置は、家禽体を、第1家禽搬送ラインから第2家禽搬送ラインに自動的に移送する。家禽移送装置は、少なくとも1つの軌道と、軌道に沿って移動可能なシャトルとを備えている。シャトルは、キャリアを有する。各キャリアは、移送される家禽体がペアのキャリアによって運搬可能であるように、家禽体の1本の脚を運搬するように構成されている。換言すれば、各キャリアは、1体の家禽体の2本の脚のうち1本の脚のみを運搬するように構成されている。そのため、家禽移送装置の使用中には、1体の家禽体は、2つのキャリアによって運搬される。
【0006】
家禽移送装置では、第1搬送ラインから家禽移送装置への家禽体の移送、及び/又は、家禽移送装置から第2搬送ラインへの家禽体の移送が改善され得る。なぜなら、家禽体の脚の間の距離を変更するために、家禽移送装置がペアのキャリアにおけるキャリアの間の距離を変更するように構成されているためである。その結果、家禽移送装置は、各家禽体の2本の脚の間のピッチ(距離)又はピッチ範囲が異なる2つの搬送ラインの間で、有利に実施されることができる。ピッチは、例えば、各搬送ラインで家禽体に実行される処理ステップが異なる結果として、搬送ライン間で異なってもよい。
【0007】
本明細書において、搬送ラインは、家禽体を搬送すること以外にも使用されるラインであってもよい。例えば、搬送ラインは、家禽体を処理するか、又は、少なくとも1つの処理ステップ、好ましくは様々な処理ステップを家禽体に実行できるように構成されてもよい。一般に、家禽処理プラントは、複数の搬送ラインを備えている。第1搬送ラインは、第2搬送ラインとは異なる製造者によって製造され得る。第1搬送ラインにおける1体の家禽体の脚の間のピッチ(距離)は、第2搬送ラインにおける1体の家禽体の脚の間のピッチ(距離)よりも大きく又は小さくされ得る。家禽移送装置は、1体の家禽体の脚の間の距離を変更するために、ペアのキャリアにおけるキャリアの間の距離を変更するように構成されている。当該家禽移送装置を使用することにより、家禽処理プラントにおいて、追加の構造的手段を必要とせずに、ピッチの異なる搬送ラインを接続することができる。
【0008】
さらに、家禽体の落下、又は、1本の脚のみによる家禽体の運搬を引き起こす誤った移送の数は、ペアのキャリアのうち少なくとも1つのキャリアを第1搬送ライン又は第2搬送ラインによって搬送される家禽体の脚のために最適な位置に移動させることにより、大幅に低減され得る。この点において、家禽移送装置は、適応性のある(flexible)改良された移送を提供できる。加えて、搬送ラインと移送装置との間の家禽体の移送は、移送中のずれを低減するように、より良く制御されることができる。このことにより、移送中の家禽体に対する損傷を低減することができる。誤った移送の結果としての損傷は、家禽体の脚のねじれ又は家禽体の肉の切れ目のように、家禽体に見られる。このような損傷は、商業上の観点から望ましくない。
【0009】
家禽移送装置の使用中におけるキャリアの最適な位置は、例えば、センサユニットから受け取った入力に基づいて、キャリアの間の距離を望ましい距離に設定する制御システム/制御ユニットを使用することにより、決定されることができる。さらに、キャリアの間の距離は、第1搬送ラインと第2搬送ラインとの間の移送中に、家禽体の脚の間の距離を予め決められた距離に亘って変更することにより、変更されることができる。この動作/ステップに必要な力は、例えば、制御システム/制御ユニットと通信するセンサによって、制御システム/制御ユニットに伝達されることができる。制御システム/制御ユニットでは、実際の力の値が、予め決められた値又は予め決められた力の値の範囲と比較される。これらの予め決められた値又は予め決められた力の値の範囲は、例えば、制御システム/制御ユニットのメモリに記憶されているか、又は、制御システム/制御ユニットによって通信回線を介してアクセス可能である。移送装置によって移送される家禽体の種類ごとに、実際の値と比較するための予め決められた特有の力の値、又は、予め決められた特有の力の値の範囲があってもよい。
【0010】
実際の力の値と予め決められた値又は予め決められた値の範囲との差が閾値を超えた場合、制御システム/制御ユニットは、家禽体を第2搬送ラインに移送する代わりに排出するように、移送装置に指示してもよい。また、移送装置は、更なる検査のために、家禽体を更なるライン又は検査ラインに移送するように構成されてもよい。換言すれば、移送装置は、キャリアによって家禽体の脚の間の距離を変更するための力を、移送装置によって移送される家禽体の品質の指標として使用するように構成されてもよい。この品質検査は、移送装置における、家禽体を第1搬送ラインから第2搬送ラインに移動している間の独立したステップであってもよい。すなわち、品質検査は、移送装置における、脚の間の距離をキャリアによって変更して第2搬送ラインにおける脚の間の距離に対応させるよりも前のステップであってもよい。しかしながら、上述の品質検査は、脚の間の距離を第2搬送ラインにおける脚の間の距離に対応するように変更するステップの間に実行されることもできる。
【0011】
さらに、家禽移送装置は、家禽体の脚の間の距離を、移送中にキャリアによって変更して、家禽体を第2搬送ラインに移送するための移送距離に調整する前に増減させることにより、家禽体の延長/引き伸ばし、及び、短縮/押しつぶし(squeeze)を行う。当該距離は、移送中に予め決められた回数、増減されてもよい。この動作は、家禽移送装置によって行われる、家禽体の処理ステップとして識別され得る。当該処理ステップでは、家禽体が移送中により柔らかくされる。家禽体が柔らかくされることにより、移送装置と第2搬送ラインとの間の移送が容易にされたり、更なる処理ステップ、又は、例えば移送後に第2搬送ラインにおいて家禽体に実行されるステップが容易にされたりする。このような家禽体の処理ステップは、例えば家禽体の温度が比較的低い結果として、第1搬送ラインから受け取った家禽体が比較的硬い場合に使用されてもよい。
【0012】
本明細書において「家禽体」とは、屠殺された産物の少なくとも2本の脚を備えた屠体を意味する。すなわち、家禽体は、翼、頸、胸、頭、及び/又は他の部分を備えてもよい。しかしながら、家禽体は、2本の脚のみを備えた屠体で構成されることもできる。
【0013】
一態様では、家禽移送装置の各シャトルは、ペアのシャトルが家禽体を運搬するためのペアのキャリアを有するように、ペアのキャリアのうち1つのキャリアを有する。家禽移送装置は、各ペアのシャトルのうち第1シャトルのキャリアと、各ペアのシャトルのうち第2シャトルのキャリアとの間の距離を変更するように構成されている。
【0014】
このようにして、軌道に沿って又は軌道上を移動する各シャトルが、移送される家禽体の1本の脚を運搬するための1つのキャリアを有するので、適応性のある移送装置が提供される。各シャトルに、家禽体の脚のうち1本のみを運搬するための1つのキャリアを設けることにより、家禽体の脚の間の距離を変更するための比較的単純で堅牢な構造物を得ることができる。2つのキャリアの間の距離を変更するために、各ペアのシャトルのうち1つのシャトルのみが、軌道に沿って当該ペアのシャトルのうち第2シャトルから独立して移動するように構成されることができる。例えば、軌道上で家禽体を移送する各ペアのシャトルのうち少なくとも1つのシャトルは、各シャトルを軌道に沿って移動させるための駆動装置を有する。ペアのシャトルのうちこのシャトルは、距離を変更するために、駆動装置によって、ペアのシャトルのうち他方のシャトルから独立して移動できる。駆動装置は、家禽移送装置の制御システム/制御ユニットによって制御されてもよい。駆動装置は、アクチュエータであってもよい。上述したように、家禽体の脚の間の距離を変更するために用いられる力は、家禽移送装置によって移送される家禽体の品質の指標として使用されてもよい。
【0015】
また、家禽体の1本の脚を運搬するための1つのキャリアを有する各シャトルは、独立して制御されることもできる。このことにより、各シャトルは、軌道上で独立して移動できる。軌道は、長固定子リニアモータを有する。各シャトルは、電磁石、永久磁石等の少なくとも1つの磁石を有する。長固定子リニアモータとして設けられたこのような軌道によれば、シャトルが軌道に沿って独立して移動するために磁石のみを必要とするので、必要なメンテナンスが最小限で、比較的堅牢なシャトルを製造することが可能になる。軌道として設けられる長固定子リニアモータを使用することにより、磁石を有する各シャトルを、比較的安価で正確な方法で軌道に沿って独立して駆動することができる。さらに、長固定子リニアモータ軌道と磁石を有するシャトルとは、家禽移送装置の使用時に発生する音が、例えば国際公開第2006/080834号に開示されているような従来の移送装置の駆動装置と比較して大幅に低減されるという利点を有する。
【0016】
更なる態様では、各ペアのキャリアは、1つのシャトルに変位可能に取り付けられた少なくとも1つのキャリアを有する。このような家禽移送装置において、各シャトルは、1体の家禽体の脚を運搬するための2つのキャリアを有してもよい。シャトルの2つのキャリアのうち少なくとも1つは、シャトルに変位可能に取り付けられてもよい。また、各シャトルは、1つのキャリアを有することもできる。このとき、1体の家禽体を運搬するための2つのシャトルの間の距離は、家禽移送装置の使用中に一定であってもよい。2つのキャリアの間の距離は、家禽体を運搬する各ペアのシャトルのうち少なくとも1つのシャトルに変位可能に取り付けられた少なくとも1つのキャリアによって、変更されることができる。
【0017】
各ペアのキャリアは、1つのシャトルに回転可能に取り付けられた少なくとも1つのキャリアを有することもできる。このようにして、例えば、家禽移送装置による移送中に家禽体の向きを変更すること、及び/又は、少なくとも1つのキャリアの向きを変更して、移送装置と1つの搬送ラインとの間の良好な移送を最適化することが可能である。家禽体は、移送中に予め決められた回転角度に亘って正逆回転されてもよい。当該正逆回転は、少なくとも1本の脚を回転させるための力を測定及び比較して品質検査を行うために、及び/又は、家禽体をより柔らかくするための家禽体の処理ステップとして、行われてもよい。家禽体をより柔らかくすることは、例えば、第2搬送ラインへの移送、及び/又は、家禽体に実行される後の処理ステップを容易にするために行われてもよい。また、少なくとも1本の脚の回転と、上述のような脚の間の距離の変更とを組み合わせて、より正確な品質検査を提供すること、及び/又は、移送装置によって柔らかい家禽体を提供することも可能である。
【0018】
さらに、家禽移送装置の容量は、家禽移送装置においてシャトルを追加及び/又は除去することにより、容易に調整されることができる。シャトルは、軌道に着脱可能に接続されることができ、好ましくは手動で着脱可能である。そのため、操作者は、家禽移送装置におけるシャトルの数を容易に調整できる。
【0019】
キャリアを構成するシャトルのための軌道は、終わりのない軌道であってもよい。
【0020】
また、改良された家禽搬送システムを提供することも目的である。このような家禽搬送システムは、請求項14によって提供される。この家禽搬送システムは、本明細書に開示された家禽移送装置と、第1家禽搬送ラインと、第2家禽搬送ラインとを備えている。家禽移送装置は、少なくとも1体の家禽体を第1家禽搬送ラインから第2家禽搬送ラインに移送するように構成されている。第1家禽搬送ラインにおける家禽体の脚の間の距離は、第2家禽搬送ラインにおける家禽体の脚の間の距離と異なる。
【0021】
さらに、少なくとも1体の家禽体を第1家禽搬送ラインから第2家禽搬送ラインに自動的に移送するための改良された方法を提供することも目的である。このような方法は、請求項15によって提供される。
【0022】
本方法では、家禽体は、軌道に沿って移動可能なシャトルによって、第1家禽搬送ラインから第2家禽搬送ラインに自動的に移送される。少なくとも1つの家禽体は、脚を介してシャトルのキャリアによって運搬される。家禽体を運搬するキャリアの間の距離は、家禽体の脚の間の距離を変更するために、変更される。本方法によれば、例えば、移送装置と第2搬送ラインとの間の移送を容易にするために、第1搬送ラインから第2搬送ラインへの移送中に、1体の家禽体の脚の間のピッチを調整することができる。
【0023】
例えば、第1家禽搬送ラインにおいて搬送される家禽体の脚の間の距離(ピッチ)は、第2家禽搬送ラインにおいて搬送される家禽体の脚の間の距離と異なり得る。家禽体の1本の脚をそれぞれ運搬するためのキャリアの間の距離は、任意のときに変更され得る。家禽体の脚の間の距離は、シャトルのキャリアによって、移送中に長くされたり短くされたりしてもよい。家禽体に対するこの処理ステップは、第2搬送ラインへの移送及び/又は家禽体に実行される後の処理ステップのために、より柔らかい家禽体を提供する。このステップは、移送装置における移送中に複数回繰り返されてもよい。
【0024】
本方法の一態様では、家禽体の1本の脚を運搬するための第1キャリアを有する第1シャトルの移動速度は、家禽体の他方の脚を運搬するための第2キャリアを有する第2シャトルの移動速度に対して変更される。これらの速度差は、移送される家禽体の脚の間の距離を変更するために、及び/又は、良好な移送を容易にするために、使用されてもよい。
【0025】
更なる一態様では、家禽体の脚を運搬するキャリアのうち少なくとも1つは、当該キャリアのシャトルに対して回転可能である。このようにして、キャリアによって運搬される家禽体の向きを、例えば第2家禽搬送ラインで実行される所望の作業に合わせるように変更することができる。さらに、キャリアをシャトルに対して回転させ、少なくとも1つのキャリアの向きを変更して、移送装置と1つの搬送ラインとの間の良好な移送を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、例示的な実施形態を示す添付図面を参照しながら、以下により詳細に説明される。
【0027】
図1図1は、家禽搬送システムの平面図である。
図2図2は、第1搬送ラインと家禽移送装置との間の移送を示す斜視図である。
図3図3は、第2搬送ラインの一部にあるシャックルの平面図である。
図4図4は、家禽移送装置の平面図である。
図5図5は、家禽体を運搬する家禽移送装置の2つのシャトルに取り付けられた2つのキャリアを示す斜視図である。
図6A図6Aは、家禽移送装置と第2搬送ラインとの間の家禽体の移送を示す平面図である。
図6B図6Bは、家禽移送装置と第2搬送ラインとの間の家禽体の移送を示す平面図である。
図6C図6Cは、家禽移送装置と第2搬送ラインとの間の家禽体の移送を示す平面図である。
図6D図6Dは、家禽移送装置と第2搬送ラインとの間の家禽体の移送を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明では、同一又は対応する部品には、同一又は対応する符号が付されている。また、特定の図を参照して開示された特徴の各々は、特徴同士が両立されないことが当業者にとって明白でない限り、本開示において開示された他の特徴と組み合わせられ得る。
【0029】
図1は、家禽搬送装置100の平面図である。家禽搬送装置100は、家禽移送装置1と、矢印P1で示す搬送方向を有する第1搬送ライン3と、第2搬送ライン5とを備えている。第2搬送ライン5は、家禽移送装置1に向かう空のシャックルのための、矢印P2aで示す第1搬送方向と、家禽移送装置1から離れる、矢印P2bで示す第2搬送方向とを有する。上から見ると、矢印P2aと矢印P2bとで示す搬送方向の間の角度は、約90度である。シャックル20(図2);120(図3)は、第1搬送ライン3及び第2搬送ライン5において、家禽体50の脚を運搬するために使用される。各シャックル20;120は、1体の家禽体50の2本の脚のための2つの切欠部20a,20b;120a,120bを有する。各シャックル20;120は、家禽体の脚を切欠部20a,20b;120a,120bに留めるためのクランプ手段を任意に有する。各シャックル20;120の2つの切欠部20a,20b;120a,120bの間の距離(ピッチ)は、一定である。すなわち、例えば、第1搬送ライン3の各シャックル20の切欠部20a,20bの間の距離は、15cmである。第2搬送ライン5の各シャックル120の切欠部120a,120bの間の距離は、20cmである。第2搬送ライン5は、シャックル120を開放及び回転させるためのシャックル開放装置5aと、シャックル120を家禽移送装置1に対して位置決めするための位置決めホイール5bとを有する。図3は、シャックル120と位置決めホイール5bの一部とを示す。
【0030】
家禽体50は、第1搬送ライン3によって、家禽移送装置1に向かって運搬される。図2に示すように、家禽体50は、第1搬送ライン3のシャックル20から、プッシャユニット60によって、家禽移送装置1のキャリア11a,11bに向かって移送される。
【0031】
図4及び図5は、家禽移送装置1の詳細を示す図である。第1家禽搬送ライン3から第2家禽搬送ライン5に家禽体を移送するための家禽移送装置1は、少なくとも1つの軌道、すなわち終わりのない軌道15と、軌道15に沿って移動可能なシャトル13,13’とを有する。各シャトル13,13’は、シャトル13,13’に対する支持を追加する車輪18と、軸受(図示せず)とを有する。シャトル13,13’は、キャリア11a,11bを有する。図5に詳細に示すように、各キャリア11a,11bは、移送される家禽体50がペアのキャリア11a,11bによって運搬可能であるように、家禽体50の1本の脚50a,50bを運搬するように構成されている。家禽移送装置1は、家禽体50の脚50a,50bの間の距離D(図5)を変更するために、ペアのキャリアにおけるキャリア11a,11bの間の距離を変更するように構成されている。
【0032】
図示した家禽移送装置1の例では、各シャトル13,13’は、切欠部12a,12bで家禽体の脚のうち1本のみを運搬するための、各シャトル13,13’特有のキャリア11a,11bを有する。各シャトル13,13’は、各ペアのキャリア11a,11bにおけるキャリア11a,11bの間の距離を制御するための制御ユニット(図示せず)によって、独立して制御されることができる。このことにより、軌道15上で、各シャトル13,13’を正確に独立して移動させることができる。軌道15は、長固定子リニアモータである。各シャトル13,13’は、電磁石、永久磁石等の少なくとも1つの磁石(図示せず)を有する。このような軌道15によれば、シャトル13,13’が軌道に沿って独立して移動するために磁石のみを必要とするので、必要なメンテナンスが最小限で、比較的堅牢なシャトルを製造することが可能になる。ペアのシャトル13,13’における2つのキャリア11a,11bの間の距離Dは、シャトル13,13’の間で速度を変えることにより、軌道15に沿った移動中に変更されてもよい。図1及び図4に示すように、家禽移送装置1は、比較的多くのシャトルを有する。当該比較的多くのシャトルは、シャトル13,13’のような、1体の家禽体50を運搬するシャトルのペアを形成する。そのため、家禽移送装置1の軌道15に沿って1体の家禽体を搬送するためには、2つのシャトル13,13’が必要である。各シャトル13,13’には、家禽体50の脚のうち1本のみを運搬するキャリア11a,11bが取り付けられている。
【0033】
上述のように、第1搬送ライン3は、シャックル20を有する。シャックル20が有する切欠部20a,20bの間の距離(ピッチ)は、第2搬送ライン5のシャックル120とは異なる。上記で説明した移送装置1を使用することにより、家禽体50の脚50a,50bの間の距離Dを、第1搬送ライン3から第2搬送ライン5への移送中に変更することができる。図2に示す移送ステップの間、脚は、脚の間の距離D1(図2には示さず)を空けてキャリアに配置される。距離D1は、家禽移送装置1による移送中に、家禽体50を第2搬送ライン5のシャックル120に移送するための距離D2(図3)に適合される。より具体的には、距離D1は、大きくなる。
【0034】
家禽体50を第1搬送ライン3から移送装置1に移送する移送動作が行われるか否かは、例えば、家禽体50の品質及び/又は重量に基づいて、選択的であってもよい。さらに、移送装置1は、移送中に品質管理を行うように構成されている。品質管理は、移送中に、脚の間の距離を予め決められた距離を超えて変更するために必要な力を測定することにより行われてもよい。測定された実際の力は、制御システム/ユニットにおいて、予め決められた力又は予め決められた力の範囲と比較されてもよい。実際の力の値と、予め決められた値又は予め決められた値の範囲との間の差が閾値を超えた場合、制御システム/制御ユニットは、家禽体を第2搬送ラインに移送する代わりに排出するように、移送装置に指示してもよい。長固定子リニアモータの更なる利点は、そのようなモータが、追加のセンサや他の構造的な変更を必要とせずに、制御システム/ユニットに対して脚の間の距離を変更するための正確な力の値を提供することである。さらに、移送装置1は、移送中に処理ステップを行うように構成されている。処理ステップにおいて、家禽体を引き伸ばしたり押しつぶしたり(squeezing)するために、家禽体の脚の間の距離は、例えば、予め決められた回数に亘って、大きくされたり小さくされたりすることができる。その結果、家禽体は、移送装置においてより柔らかくされる。家禽体がより柔らかくされることは、移送、又は、家禽体に行われる後の処理ステップに有益であり得る。
【0035】
家禽移送装置1における移送中には、家禽体50は、例えば、搬送ライン3,5の間の速度差の結果として、図1に示すように緩衝(buffered)されてもよい。シャトル13,13’が軌道15上で独立して制御されることができ、そのために移送装置1が家禽体を緩衝するための特別な構造的手段を必要しないことは、有利である。
【0036】
軌道15は、様々な部分、例えば、第1搬送ライン3の近くの載荷軌道部と、第2搬送ライン5の近くの脱荷軌道部と、載荷軌道部と脱荷軌道部との間の少なくとも1つの中間軌道部とに分けられてもよい。中間軌道部及び/又は載荷軌道部では、家禽体を運搬するための各ペアのキャリアにおけるキャリアの間の距離は、一定に保たれてもよい。図6A図6Dに関連して以下に説明するように、家禽移送装置は、脱荷軌道部において、各ペアのシャトル13,13’のうち第1シャトル13の軌道に沿った移動速度を、各ペアのシャトル13,13’のうち第2シャトル13’の移動速度に対して変更するように構成されてもよい。これらの速度差は、移送される家禽体50の脚50a,50bの間の距離を変更するために使用されてもよく、良好な移送を容易にしたり、改良したり、加速させたりするために使用されてもよい。
【0037】
図6A図6Dは、移送装置1の脱荷軌道部における、家禽移送装置1から第2搬送ライン5への家禽体の移送を示す図である。図6A図6Dは、特に、シャックル120と、シャックル120を家禽移送装置1に対して位置決めするための、第2搬送ライン5の位置決めホイール5bとを示す。図6Aでは、シャックル120とキャリア11a,11b,11a’,11b’とは、互いに向かって移動している。図6Bでは、キャリア11aに取り付けられたシャトル(図示せず)が、シャックル120の切欠部120aの前で、家禽体の一方の脚を移動させている。キャリア11aに取り付けられたシャトルの移動速度を、キャリア11bに取り付けられたシャトルの移動速度に対して速くすることにより、キャリア11a,11bに支持された家禽体50の脚50a,50bの間の距離は、図6Aに描かれた状況と図6Bに描かれた状況の間で増大している。図6Cには、脚50aがシャックル120の切欠部120aに配置されることが示されている。さらに、第2キャリア11bが減速又は停止することにより、キャリア11a,11bの間の距離が更に増大することが示されている。このことにより、シャックル120は、第2キャリア11bを追い越すことができる。その後、図6Dに示すように、第2キャリア11bは、加速してシャックル120に追いつき、家禽体の脚50bをシャックル120の切欠部12bに押し込む。その後、シャックル120は、閉鎖され、家禽体を第2搬送ライン5によって図1に示す矢印P2bの方向に搬送する。また、図6Dには、新しいシャックル120’に対して図6Bで説明されるような位置にある新しいペアのキャリア11a’,11b’が示されている。
【0038】
キャリア11a,11bの間の距離を変更する移送によって、誤った移送の数を大幅に減らすことができる。誤った移送は、第2搬送ライン5において、1本の脚のみによって運搬される家禽体を生じ得る。後者は、第2搬送ライン5において誤って運搬された家禽体を降ろすための追加の動作/構造的手段が必要であるため、望まれない。
【0039】
キャリア11a,11bを互いに対して移動させることにより、すなわち、キャリア11a,11bの間の距離を変更することにより、第1搬送ライン3と移送装置1との間で家禽体を移送するための、キャリア11a,11bの受取位置を最適化することもできる。
【0040】
シャトル13,13’は、手動で着脱できるように軌道15に接続されている。このことにより、操作者は、家禽移送装置1におけるシャトルの数を容易に調整できる。
【0041】
さらに、各ペアのキャリアが1つのシャトルに変位可能に取り付けられた少なくとも1つのキャリア(図示せず)を有すること、及び/又は、各ペアのキャリアが1つのシャトルに取り付けられた回転可能な少なくとも1つのキャリア(図示せず)を有することが可能である。
【0042】
さらに、各ペアのシャトルのうち第1シャトルは、シャトルにおける駆動装置(図示せず)によって、軌道に沿って各ペアのシャトルのうち第2シャトルから独立して移動するように構成されてもよい。当該シャトルにおける駆動装置は、シャトルを、軌道に沿って各ペアのシャトルのうち他方のシャトルから独立して移動させる。駆動装置は、制御システム/制御ユニットに無線接続されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D