IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルノー エス.ア.エス.の特許一覧

特許7519383エンジンシリンダヘッドへの斜め取付けのためのシリンダヘッド吸入面のノッチ
<>
  • 特許-エンジンシリンダヘッドへの斜め取付けのためのシリンダヘッド吸入面のノッチ 図1
  • 特許-エンジンシリンダヘッドへの斜め取付けのためのシリンダヘッド吸入面のノッチ 図2
  • 特許-エンジンシリンダヘッドへの斜め取付けのためのシリンダヘッド吸入面のノッチ 図3
  • 特許-エンジンシリンダヘッドへの斜め取付けのためのシリンダヘッド吸入面のノッチ 図4
  • 特許-エンジンシリンダヘッドへの斜め取付けのためのシリンダヘッド吸入面のノッチ 図5
  • 特許-エンジンシリンダヘッドへの斜め取付けのためのシリンダヘッド吸入面のノッチ 図6
  • 特許-エンジンシリンダヘッドへの斜め取付けのためのシリンダヘッド吸入面のノッチ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】エンジンシリンダヘッドへの斜め取付けのためのシリンダヘッド吸入面のノッチ
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20240711BHJP
   F02B 29/04 20060101ALI20240711BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20240711BHJP
   F28F 9/00 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
F02F7/00 N
F02B29/04 J
F02M35/10 101J
F02M35/10 101D
F02M35/10 301U
F28F9/00 321
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021568894
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2020056604
(87)【国際公開番号】W WO2020239282
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】1905475
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ダ シウバ, パウロ
(72)【発明者】
【氏名】エドゥ, リョウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェネツィアーニ, トマ
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-208182(JP,A)
【文献】特開2012-219657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 7/00
F02M 35/10
F02B 29/04
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エンジンのシリンダヘッド(15)の固定壁に、前記熱エンジンの部品のハウジング(42)の固定フランジ(19)を斜めに固定する固定機構であって、前記シリンダヘッドが、固定装置(120)を使用して前記固定フランジ(19)が当接して固定される取付けリム(30)を備える、固定機構において、
前記固定装置が、前記シリンダヘッドにおいて前記取付けリム(30)の面をくり抜いて設けられたノッチ(100)の壁に当接して装着される固定/案内インサート(110)を備えることを特徴とする固定機構。
【請求項2】
前記ノッチ(100)が、前記取付けリム(30)と平行な支持部分(101)を基部に備えることを特徴とする、請求項1に記載の固定機構。
【請求項3】
前記ノッチ(100)が、前記支持部分(101)に直交し且つ前記シリンダヘッド(15)の上方部分に向いた側方支持面(102)を備えることを特徴とする、請求項に記載の固定機構。
【請求項4】
前記固定/案内インサート(110)が、前記取付けリムの前記面から斜めに延出する管状導管(25)を備えることを特徴する、請求項3に記載の固定機構。
【請求項5】
前記固定/案内インサート(110)が、前記管状導管(25)を支持し且つ前記ノッチ(100)に受け入れられるように適合されたねじ留基部(111)を有することを特徴とする、請求項4に記載の固定機構。
【請求項6】
前記固定/案内インサートの前記ねじ留基部(111)が、前記ノッチの前記支持部分(101)および前記側方支持面(102)にそれぞれ当接して装着される前方支持面(115)および側方支持面(112)を備えることを特徴とする、請求項5に記載の固定機構。
【請求項7】
前記ねじ留基部(111)が、平行六面体形状を有することを特徴とする、請求項5または6に記載の固定機構。
【請求項8】
前記ねじ留基部(111)が円筒形であることを特徴とする、請求項5または6に記載の固定機構。
【請求項9】
円筒形の記ねじ留基部(111)が前記ノッチの前記側方支持面(102)に当接して装着される第2の支持壁としての平坦部分(114)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の固定機構。
【請求項10】
前記ノッチ(100)の深さが、前記固定/案内インサート(110)の前記ねじ留基部(111)の厚さより浅く、または等しい、ことを特徴とする、請求項5から9のいずれか一項に記載の固定機構。
【請求項11】
前記ねじ留基部(111)が、前方支持面(115)に対して斜めに延出する軸周りの回転によって生成される貫通孔(116)を備えることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の固定機構。
【請求項12】
前記管状導管(25)の管路断面が、前記貫通孔(116)に連続していることを特徴とする、請求項11に記載の固定機構。
【請求項13】
前記固定フランジ(19)が、上端部の固定壁に、前記管状導管(25)を囲むように適合された通しチャネルを備えることを特徴とする、請求項から12のいずれか一項に記載の固定機構。
【請求項14】
前記管状導管の長さが、前記固定フランジ(19)の前記通しチャネルの長さより短いことを特徴とする、請求項13に記載の固定機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンに関する。
【0002】
本発明は、また、吸入口に水/空気熱交換器を有する熱エンジンが設けられた自動車に関する。
【0003】
本発明は、より具体的には、熱エンジンの壁、詳細には熱エンジンのシリンダヘッドの壁に斜めにハウジングを固定することに関する。
【背景技術】
【0004】
自動車は、美観や乗り心地のために、装備品が必要とする空間を減らすことを益々強いられている。詳細には、内燃エンジンとも呼ばれる熱エンジンを備える車両は、エンジンおよびエンジンの部品または補機を含む駆動機構を収容するエンジン室を備え、それらエンジンおよびエンジンの部品または補機の大きさは益々小さくなっており、そのことが、エンジンおよびエンジンの部品または補機の緊密化についての改善に対する要望を引き起こす。
【0005】
このように、一方で、エンジンおよびエンジンの部品または補機の体積を減らすことによって、他方で、エンジンと補機とを互いに巧みに配置することによって、エンジン室の空間の最適化が図られる。
【0006】
熱エンジンは、周知の方式では、シリンダヘッドがその上に装着されるシリンダハウジングを備える。シリンダヘッドには、シリンダに至る空気吸入導管が形成されている。シリンダヘッドは、「吸気」面と呼ばれる面であって、シリンダヘッドに形成されシリンダに連結された吸入導管に吸入空気またはガスを導くことができる吸入ディストリビュータが固定される面と、「排気」面と呼ばれる面であって、エンジンのシリンダ内の燃焼から燃焼ガスを回収するために排気マニホルドが固定される面とを有する。
【0007】
吸入空気および/またはガスは、たとえばターボ圧縮機の圧縮段である圧縮機によって流入中に前以て圧縮されて、吸入ディストリビュータに向けて導かれる。エンジンの効率および出力を向上するために、吸入空気は、エンジンのシリンダに取り込まれる前に冷却される。このように、冷却器段が、吸入空気の循環方向において、シリンダヘッドの上流の空気吸入回路に設置される。この冷却器段は、たとえば、高温圧縮空気が熱の一部を水または冷却液にそれを介して伝導する空気/水交換器を備える。
【0008】
熱交換器は、吸入空気の流れ方向の下流に固定フランジによって延在するハウジング内に収容され、そのハウジングは、たとえばシリンダヘッドの陥凹と共にチャンバを形成する。そのチャンバは、吸入ディストリビュータプレナムの一部である。
【0009】
エンジンの重量を軽減するために、ハウジングは、フランジによってシリンダヘッドの吸気面に対して固定される。このハウジングの固定は、強力な機械的応力に耐えなければならず、その応力は、鋼または合金鋼などの金属材料から成る高強度の構成要素を必要とする。
【0010】
さらに、エンジン室の空間の使い方を最適化するために、ハウジングは、シリンダヘッドの吸気面に対して斜め方向に固定される。吸気面は、実質的に垂直面内に延在する。
【0011】
公報DE102014217314-A1は、熱エンジンシリンダヘッドの吸気面に対するハウジングの固定部を開示し、その固定部は、互いに実質的に直交する2つの支持壁を備え、それら支持壁は、シリンダヘッドの2つの直交面に当接して固定される。
【0012】
この固定部の問題は、シリンダヘッドの上端部に2つの直交する支持面を必要とすることであり、その支持面は、シリンダヘッドの上端部に過度な厚さを生じさせ得る。
【0013】
別の問題は、固定部が交換器ハウジングの一部であり、そのことがエンジンの重量の増加を生じる。
【0014】
さらに別の問題は、この固定部が、シリンダヘッドの上端部に近接する機構、すなわちシリンダヘッドの取付けリムまたは吸気面に平行な第1の支持または固定面に垂直なシリンダハウジング上の第2の支持面を必要とすることである。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、これらの問題を克服することであり、本発明の主題の態様の1つは、エンジン部品のハウジングの固定フランジをシリンダヘッドに斜めに固定するための機構である。
【0016】
本発明は、より具体的には、熱エンジンのシリンダヘッドの固定壁に、そのエンジンの部品のハウジングの固定フランジを斜めに固定する機構であって、シリンダヘッドが、固定装置を使用して固定フランジが当接してシリンダヘッドに対して固定される取付けリムを備える、機構において、固定装置が、シリンダヘッドにおいて取付けリムの面をくり抜いて設けられたノッチの壁に当接して装着される固定/案内インサートを備えることを特徴とする機構に関する。
【0017】
有利には、固定装置は、シリンダヘッドにおいて取付けリムの面をくり抜いて設けられたノッチの壁に当接して装着される固定/案内インサートを備える。固定装置は、フランジをシリンダヘッドに対して締結または固定することによる負荷に耐えることができる。ノッチは、シリンダヘッドの取付けリムの面をくり抜いて設けられた座ぐりでもよく、装置を精密に固定するように位置決めすることを可能にし、詳細には、シリンダヘッド壁の厚さが薄い領域を避ける。
【0018】
本発明の別の特徴によれば、
- インサートは、シリンダヘッドの取付けリムの面から斜めに延出する管状導管を備える。
【0019】
有利には、固定インサートは、シリンダヘッドの取付けリムの面から斜めに延出する管状導管を備え、管状導管は、シリンダヘッドに対するフランジの組付けを容易にし、シリンダヘッドの取付けリムに対するフランジの固定を確実にするために、固定フランジと協働することが可能である。
【0020】
- ノッチは、取付けリムと平行な支持部分を備える。
【0021】
有利には、ノッチまたは座ぐりは、フランジをシリンダヘッドに対して固定することによる負荷を十分に分散し吸収するために、シリンダヘッドの取付けリムと平行な座ぐりの底に支持部分を備える。
【0022】
- ノッチは、支持部分と直交する側方支持面をノッチの下方端部に備える。
【0023】
有利には、ノッチは、フランジをシリンダヘッドに対して固定することによる負荷を十分に分散し吸収するために、前方支持部分に直交し、ノッチの下方端部に配置された側方支持面を備える。
【0024】
- インサートは、ノッチに受け入れられるように成されたねじ留基部を備える。
【0025】
有利には、固定装置は、ノッチに受け入れられるように成されたねじ留基部を備える。このために、台の寸法は、ノッチの寸法より実質的に小さい。
【0026】
- インサートのねじ留基部は、ノッチの支持部分および側方支持面にそれぞれ当接して装着される前方支持面および側方支持面を備える。
【0027】
有利には、インサートのねじ留基部は、荷重を伝達するために、少なくともノッチの支持部分および側方支持面と接触する必要がある。
【0028】
- ねじ留基部は、平行六面体形状を有する。
【0029】
有利には、一実施形態によれば、インサートの台は、前方面および側方支持面をノッチの支持部分および支持面それぞれに対して確実に接触させ支持するために、平行六面体形状を有する。
【0030】
- ねじ留基部が、円筒形である。
【0031】
有利には、インサートの台が、作るのに容易な円筒形状を有する。
【0032】
- 円筒形ねじ留基部は、平坦部分を備える。
【0033】
有利には、円筒形台は、ノッチの第2の支持面に当接して装着される第2の支持壁としての平坦部分を備え、それによって、フランジをシリンダヘッドに対して固定するための荷重を確実に伝達する。
【0034】
- ノッチの深さは、インサートのねじ留基部の厚さより浅く、または等しい。
【0035】
有利には、ノッチの深さは、インサートのねじ留基部の厚さより浅く、または等しく、それによって、フランジとシリンダヘッドとの間に配置される封止接合部の圧縮の調整を可能にするために、インサートのねじ留基部の僅かな頭出しを生じさせることができる。
【0036】
- ねじ留基部は、前方支持面に対して斜めに延出する軸周りの回転によって生成される貫通孔を備える。
【0037】
有利には、孔が、座ぐり内に第1の支持面から開けられる。その孔は、固定インサートの台を通って延出する固定スクリューを挿入するように成される。
【0038】
- フランジは、上端部の固定壁に、管状導管を囲むように成された通しチャネルを備える。
【0039】
有利には、固定フランジは、フランジの上端部で固定壁を貫通して形成された通しチャネルを備え、その通しチャネルが、固定フランジ、したがってエンジンの部品のハウジングをシリンダヘッドに対して組付けることを容易にするために、固定装置の管状導管を受け入れるように成されている。
【0040】
- 管状導管の長さは、フランジの通しチャネルの長さより短い。
【0041】
有利には、固定装置の管状導管の長さは、圧力によってフランジがシリンダヘッドに対して確実に保持されるように、フランジの通しチャネルの長さより短い。
【0042】
本発明の他の特徴および利点が、非限定的例として提示され、添付図面に示された本発明の特定の実施形態に関する以下の説明を読むことによって、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】シリンダヘッドの吸気面の概略前面図である。
図2】熱エンジンのシリンダヘッドの概略図である。
図3】固定フランジがシリンダヘッドに対して装着された、シリンダヘッドの断面図である。
図4】固定/強化インサートの概略図である。
図5】シリンダヘッドの方に向けられた、一実施形態による固定インサートの前面図である。
図6】一実施形態による固定機構の断面図である。
図7】固定/強化インサートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下の説明において、同一の参照番号は、同一の構成要素または類似の機能を有する構成要素を示す。
【0045】
上方/下方との用語は、自動車の正規直交基準系に関し、その基準系は、たとえば車両の両車軸を通って延在する車両の平面内の2つの水平軸と、その平面に対して垂直であり、たとえば車両のエンジンからエンジンカバーへ上方に向かう直交軸とを有する。
【0046】
本発明は、自動車の熱エンジンまたは内燃エンジンの部品をエンジンに斜めに固定する配置を提案する。
【0047】
図1および2は、熱エンジンのシリンダヘッド15、特にシリンダヘッド15の吸気面14を示す。
【0048】
図3によれば、吸入ディストリビュータが、シリンダヘッドの吸入開口を覆うようにシリンダヘッドに当接して装着される。吸入ディストリビュータは、エンジンの部品または補機のハウジング42をシリンダヘッドに固定するのを可能にする固定フランジ19によって形成され、この場合、部品は、図4に示されているように、水/空気熱交換器11である。
【0049】
本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、熱交換器11のハウジング42、詳細にはハウジングの固定フランジ19を、固定手段を用いて、熱エンジンのシリンダヘッド15の吸気面14に対して斜めに固定することを記述する。すなわち、吸入空気流軸は、シリンダヘッドの吸気面14の平面に対して斜めであり、固定手段、たとえばスクリューの固定軸は、シリンダヘッドの吸気面14の平面に対してやはり斜めである。固定軸とシリンダヘッドの吸気面の平面に直交する軸とで形成される角度は、45°未満、詳細には20°~45°である。ただし、ハウジングは、エンジンの別の部品または補機のハウジングでもあり得る。
【0050】
周知のように、自動車の熱エンジンは、空気吸入回路と連携する。その回路は、自動車の前面の領域で捕捉した冷たい空気をエンジンへ導く。その空気は、空気フィルタ、吸入バルブ、ターボ圧縮機という圧縮機であり得る圧縮段を含み得るエンジンの部品を通過する。空気の圧縮は空気の温度を上昇させ得、吸入空気がエンジンに導入される前に吸入空気の温度を下げるために、一般に空気/水タイプの熱交換器を通る経路を加えることが知られている。空気は、また、排気回路から取られた再循環排気ガスと混合することができ、それによって、再循環空気/ガス吸気混合体の温度が上昇する。混合は、一般に、空気循環方向において熱交換器の上流で行われる。
【0051】
圧縮中に、または再循環ガスと混合することによって高温になった吸入空気は、エンジンに流入する前に温度を下げるために、図4のように、名称「WaterCAC」によって知られる水/空気タイプの熱交換器11を通って流れる。熱交換器は、シリンダヘッド15の吸気面14に当接して固定されたハウジング42に収容される。
【0052】
自動車のエンジン室内に設置されるエンジンおよびエンジンの部品または補機が必要とする空間を最適化するために、交換器11のハウジング42は、エンジンの実質的に垂直な吸気面14に対して斜めに固定される。吸入空気流軸は、図4に示すように、シリンダヘッドの吸気面14に対して斜めになる。吸入空気流は、外部からシリンダヘッドに向かって方向A1で流れ、方向A1は、シリンダヘッド15の吸気面14の平面に直交する軸と45°未満、具体的には20°~45°の鋭角を成す。本発明の理解を容易にするために、シリンダヘッド15は、平坦で垂直な吸気面14を有する概ね平行六面体である。
【0053】
図3および4によれば、交換器ハウジング42は、このように、固定フランジ19が寄与して吸気面14に対して斜めに、この場合には、吸気面14の上端部12に近接して固定される。
【0054】
固定フランジ19は、シリンダヘッドの吸気面14と対向する支持面20と、支持面20に対して斜めの反対側の外面21とを備える。
【0055】
支持面20は、シリンダヘッドの吸気面14に実質的に平行な平坦面を有する取付けリム30に当接するようになされている。
【0056】
ハウジング42は、フランジの外面21に固定される。それによって、フランジ19は、エンジンの吸入ディストリビュータの吸気プレナムの一部であるチャンバ18を画成する。好ましくは、固定フランジ19は、たとえばフィッティングクリップを用いて交換器ハウジング42と組み合される。
【0057】
固定フランジ19は、フランジの支持面の縁部に配置されるスクリューなどの固定手段を使用してシリンダヘッドに対して固定される。固定手段の固定軸は、フランジ19の上端部では支持面20に対して斜めであり、側方縁部および下方端部では支持面20に直交する。
【0058】
エンジンおよびエンジンの部品または補機の重量を最適化するために、固定フランジ19は、プラスチック材であり得る軽量材料から成る。しかしながら、プラスチック材は、フランジ19を交換器ハウジングと共にシリンダヘッド15に対して確実に斜めに固定するのに十分な剛性を有さない。
【0059】
本発明は、図1および3に示されるように、フランジの上方部分での、固定フランジ19とシリンダヘッド15との固定機構10を提案する。シリンダヘッドへのフランジの固定は、スクリューなどの固定手段を備える固定装置を使用して行われ、その固定手段の軸は、シリンダヘッド15の吸気面14の平面に直交する軸に対して傾いている。
【0060】
垂直な支持面、この場合は吸気面14に斜めに固定すると、固定軸に沿って機械的応力を生じることは周知である。応力は、支持面20に直交する軸に沿う応力、および構成要素の変形を生じ得る支持面に平行な応力から構成される。シリンダヘッドへのフランジ19の固定部を強化する装置を設けることが必要になる。
【0061】
本発明の実施形態によれば、シリンダヘッド15は、少なくとも1つのノッチ100、好ましくは図2に示されるように2つのノッチを備え、そのノッチは取付けリム30の面をくり抜いて設けられる。ノッチ100は座ぐりでもよい。
【0062】
本説明は、同一である2つのノッチの1つに関する。
【0063】
一実施形態によれば、ノッチ100は、シリンダヘッド15の長手方向軸Xに沿って延在し、2~5mm程度の深さの矩形であり得る支持部分101をノッチの底に有する。
【0064】
ノッチの支持部分101は、シリンダヘッド15の吸気面14と実質的に平行である。
【0065】
ノッチは、支持部分101に直交し、ノッチの深さ全体に亘る側方支持面102を有する。側方支持面102は、ノッチ100の下方端部に配置され、シリンダヘッドの上方部分に向いている。
【0066】
好ましくは、支持部分101および側方支持面102は、機械加工によって作られる。支持部分および支持部分に直交する側方支持面は、吸気面全体と同じ工程サイクル中に同じ工具案内基準によって作ることができ、それによって、2つの表面の機械加工作業が容易になり、両表面を作る精度が向上する。
【0067】
ノッチ100の底に、支持部分101に開口するねじ孔103が開けられ、そのねじ孔の軸X1が、支持部分101の平面、したがってシリンダヘッドの吸気面14に対して実質的に傾いている。
【0068】
図4および5に示された実施形態によれば、固定装置120は、シリンダヘッドの取付けリム30に対するフランジ19の組付けおよび固定を容易にすることを可能にする固定/案内インサート110を備える。インサート110は、ノッチ100の支持部分101に当接して装着される実質的に平行六面体のねじ留基部111を備える。ねじ留基部111は、支持部分101と接触する正方形または矩形であり得る支持面115を備える。
【0069】
好ましくは、ねじ留基部11の厚さは、シリンダヘッドの取付けリム30に対する固定フランジ19の接触および支持を効果的に調整するために、特に、フランジ19とトラック30との間に配置される封止接合部(図示せず)の圧縮を調整するために、ノッチ100の深さと等しいかまたはむしろ僅かに大きい。
【0070】
ねじ留基部111は、インサート110のねじ留基部がノッチの受座内にシリンダヘッドに対して装着されると、ノッチ100の支持部分101に開口するねじ孔103の軸と軸が一致する貫通孔116を備える。
【0071】
ねじ留基部111は、支持部分101に当接して装着される正方形または矩形の前方支持面115を備える。ねじ留基部の前方支持面115の表面積は、ノッチ100の支持部分101の表面積に等しくあり得る。
【0072】
インサート110は、前方支持面115に直交する側方支持面112を備え、その側方支持面は、シリンダヘッドの上方部分の方に向いているノッチ100の側方支持面102に当接して装着される。
【0073】
好ましくは、ノッチ100の支持部分101および側方支持面102にそれぞれ対向するねじ留基部111の前方支持面115および側方支持面112は、機械加工される。
【0074】
インサート110は、図5に示されるように、固定フランジ19を確実に組付け保持するために、案内導管24をさらに備える。好ましくは、案内導管24は、ねじ留基部111、したがって実質的に取付けリム30の面から、貫通孔116の軸と整合する軸に沿って延出する管状導管25によって形成される。管状導管25は、円筒形かつ直線状である。管状導管は、貫通孔116の断面と少なくとも等しい円筒形内側通路断面を有する。
【0075】
管状案内導管は、円筒形管状導管25を受け入れることができる通しチャネルを備える交換器の固定フランジ19と協働する。好ましくは、管状導管25の外径は、実質的に、通しチャネルの断面の直径に等しいか、または組立遊隙のために僅かに小さい。
【0076】
同様に、管状導管25の長さは、交換器ハウジング42の固定フランジ19の通しチャネルの長さより僅かに短い。
【0077】
図6および7に示される好ましい実施形態によれば、インサート110は、ノッチ100に受け入れられる円筒形ねじ留基部111を有する円筒形かつ管状である。円筒形インサート110は、ノッチの支持部分101に当接して装着される平坦な前方支持面115を有する。円筒形インサート110の軸は、前方支持面115に直交しない。前方支持面115に直交する軸は、円筒形インサート110の軸と鋭角を成す。
【0078】
ねじ留基部111は、円筒形インサート110の軸と軸が整合する貫通孔116を備える。ねじ留基部の長さは、ノッチ100の深さに実質的に等しい。
【0079】
円筒形ねじ留基部111は、管状導管25によって取付けリム30の面から延長され、円筒形ねじ留基部11と管状導管25とは同軸である。
【0080】
好ましくは、円筒形ねじ留基部111の外径と管状導管25の外径とは、インサート110の製造を容易にするために等しい。
【0081】
好ましくは、円筒形ねじ留基部111は、前方支持面115に直交する平坦部分114を備える。平坦部分114は、ノッチの側方支持面102に当接するようになされる。
【0082】
インサート110は、平行六面体または円筒形のねじ留基部110がノッチ100に受け入れられるように、シリンダヘッド15に当接して装着される。
【0083】
前方支持面115が、ノッチ100の支持部分101に当接して装着される。
【0084】
同様に、側方支持壁112または平坦部分114が、シリンダヘッドの上方部分に向いているノッチ100の側方支持面102に当接して装着される。
【0085】
交換器ハウジングの固定フランジ19が、管状導管25を囲うように装着され、次いで、その全体が、ねじ孔103に圧入されたスタッド51の周りにボルトをねじ込むことによって、シリンダヘッドに対して組付けられる。フランジ19は、管状導管25を使用して、シリンダヘッド15に対して保持される。
【0086】
好ましくは、固定装置120は、30000~200000N/mm程度の十分な剛性を有する金属材料から成る。
【0087】
目的が達成される。すなわち、本固定機構が、一方で、十分な剛性を確保し、他方で、容易な組付けを確保しながら、ハウジングの固定フランジをシリンダヘッドの吸気面に対して斜めに固定することを可能にする。案内インサートが、組付けミスを防止することを可能にする。本機構は、シリンダヘッドの上端部に配置しても、そうでなくてもよい。
【0088】
自明であるが、本発明は、例として上記に説明されたこの概説の実施形態のみに限定されることはなく、全ての変形形態を含む。
【0089】
諸図は、シリンダヘッドの上端縁部での固定を示しているが、固定は、シリンダヘッドの吸気面の下方に設定することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7