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特許7519386ケーブルに沿って物体をロックするための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】ケーブルに沿って物体をロックするための装置
(51)【国際特許分類】
   F16G 11/00 20060101AFI20240711BHJP
   H02G 11/02 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F16G11/00 B
H02G11/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021573840
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 EP2020066162
(87)【国際公開番号】W WO2020249655
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】1906285
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トマ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ワルナン,フランソワ
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第96/021114(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 11/00
H02G 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル(14)に沿ってスライドできる物体(20;50)をロックするためのロック装置であって、前記ケーブル(14)及びクランプ(70;90)を備え、前記ケーブル(14)は、軸(28)に沿って延びる間に前記クランプ(70;90)を通過し、前記クランプ(70)は、前記軸(28)に沿った並進移動において少なくとも1つの自由度を有する接続(114)によって前記物体(20;50)に接続された固定部分(112)と、流体挙動を有する弾性材料を含むリング(72)であって、前記ケーブル(14)が通過する中央空洞(74)を含むリング(72)と、2つの形状のうちの、前記ケーブル(14)が前記中央空洞(74)内を自由に走ることができ、開放形状と呼ばれる第1の形状から、前記ケーブル(14)が前記リング(72)によって圧縮され、閉鎖形状と呼ばれる第2の形状へと移るように、2つの形状の間で前記リング(72)を圧縮するように構成されたアクチュエータ(76;92)と、を備える、ロック装置。
【請求項2】
前記クランプ(70;90)の前記固定部分(112)が、前記クランプ(70;90)をクランプするときに圧縮または緩和するように構成された少なくとも1つの弾性要素(114)によって前記物体(20;50)に接続されている、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記弾性要素(114)が、前記軸(28)に沿った並進移動において、且つ他の自由度においても、前記物体(50)に対して前記固定部分(112)の柔軟性を可能にするように構成されている、請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記弾性要素(114)が、物体(50)の運動エネルギーの大部分を、前記弾性要素(114)の変形における位置エネルギーに変換するように構成されている、請求項2又は3のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項5】
前記弾性要素(114)が、前記物体(50)の運動エネルギーから得られる位置エネルギーを放散することができる吸振特性を有する、請求項2~4のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項6】
前記アクチュエータ(92)が、前記ケーブル(14)の前記軸(28)に沿った軸方向の力を前記リング(72)に加え、その閉鎖形状を達成するために、前記軸(28)に沿った前記リング(72)の長さを減少させるのに役立つ、請求項1~5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項7】
前記固定部分(112)に固定されており前記ケーブル(14)が通過する、剛性の環(94)を備え、前記リング(72)は、前記環(94)の一方の面(96)にもたれかかり、前記面(96)は前記ケーブル(14)の前記軸(28)に垂直であり、前記リング(72)は前記環(94)と前記アクチュエータ(92)との間で圧縮されている、請求項6に記載のロック装置。
【請求項8】
前記環(94)の前記面(96)が第1の面と呼ばれ、前記環(94)が前記第1の面(96)の反対側に第2の面(100)を有し、前記第2の面(100)は、前記ケーブル(14)が通る前記環(94)の穴(102)の周りに面取りされている、請求項7に記載のロック装置。
【請求項9】
前記アクチュエータ(92)が、前記閉鎖形状を達成するために前記環(94)に向かう方向に、及び前記開放形状を達成するために、前記環(94)から離れる方向に、前記ケーブル(14)の前記軸(28)に沿って前記リングを移動させる、請求項7又は8のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項10】
前記アクチュエータ(92)が、固定部分(108)は前記クランプ(90)の前記固定部分(112)に固定され、可動部分(110)は前記リング(72)を圧縮するように構成されているスクリューナットシステム(108、110)を含む、請求項9に記載のロック装置。
【請求項11】
前記ケーブル(14)の前記軸(28)に沿って延びる剛性チューブ(112)を含み、前記リング(72)が前記チューブ(112)の内側に配置され、前記チューブ(112)は、前記ケーブル(14)の前記軸(28)の周りでの半径方向の前記リング(72)の拡張を制限することができる、請求項6~10のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項12】
前記ケーブル(14)の前記軸(28)に沿って延びる剛性チューブ(112)を含み、前記リング(72)が前記チューブ(112)の内側に配置され、前記チューブ(112)は、前記ケーブル(14)の前記軸(28)の周りでの半径方向の前記リング(72)の拡張を制限することができ、前記チューブ(112)が前記環(94)に固定されている、請求項7~10のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項13】
前記環(94)は、第1の環(94)と呼ばれ、前記装置は、前記ケーブル(14)が通過し、前記アクチュエータ(92)と前記リング(72)との間に挿入されている第2の環(104)を備える、請求項7~10および12のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項14】
前記2つの環(94、104)が、前記軸(28)を中心とし、前記ケーブル(14)が通過する穴(102、106)を有し、その開放形状において、前記中央空洞(74)は、前記軸(28)に沿って一定である前記軸(28)に垂直な断面を有し、前記穴(102、106)の前記断面は、前記中央空洞(74)の前記断面の寸法よりも小さい寸法を有する、請求項13に記載のロック装置。
【請求項15】
前記アクチュエータ(76)は、前記ケーブル(14)の前記軸(28)の方向に前記リング(72)に半径方向の力を及ぼして、前記リング(72)を前記開放形状から前記閉鎖形状へと移るようにする、請求項1~5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項16】
前記リング(72)は、前記中央空洞(74)を取り囲む固体形状を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに沿って物体をロックするためのロック装置に関する。本発明は、物体をケーブルに沿った異なる位置に配置することを可能にする。本発明は、ソナー検出の分野において、より具体的には、しばしば「吊り下げ式ソナー」と呼ばれる空中ソナーに対して特に有用であることが証明されている。この特定の分野は、ヘリコプター又はドローンから所望の深さでソナーアンテナを沈めることにある。
【背景技術】
【0002】
対潜水艦戦の状況下では、所与の領域で水中の潜水艦を検出できるようにするために、ソナー、特にアクティブソナーが一般的に使用される。これに関連して、空中プラットフォーム(ヘリコプター又はドローン)からのソナーの配備は、このようなプラットフォームが潜水艦に対して非常に機動性が高いため、特に効果的であることが証明されている。
【0003】
より正確には、ヘリコプターは、ケーブルによってそれらのプラットフォーム(言い換えれば、ヘリコプター)にリンクされているソナー送信機及び受信機を配備するために使用される。これらは「吊り下げ式ソナー」と呼ばれる。以下では、水中ケーブルリンクサブアセンブリをアンテナと呼ぶ。これは、実際のソナー送信機と受信機、及び送信機と受信機に関連する潜在的な電子機器を備える。これはまた、環境センサを備えることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より一般的には、本発明は、ケーブルに沿って移動及び固定化されるべき任意の物体に関するものであり、ケーブルは、固定点、例えば、キャリアに取り付けられている。ケーブルはどの方向にも伸ばすことができる。特に、ケーブルは水平方向に伸び、物体は重力の影響によってケーブルから吊り下げられてもよい。物体は、任意の媒体、特に空気中又は水中を移動できる。
【0005】
吊り下げ式ソナーの主題に戻ると、知られているように、ヘリコプターの内側に配置されたウインチを使用して、アンテナをプラットフォームから水中に落とし、アンテナの水中への深さを制御し、アンテナを回収する。ケーブルはアンテナに固定されており、浸漬の深さはヘリコプターからケーブルを引き込んだり、又は引き出したりすることによって調整される。
【0006】
ウインチを使用してアンテナを上下させると、ケーブルが水中で大きな抗力を発生させる。この抗力は、引き出されたケーブルの長さのために、アンテナが到達する深さとともに増加する。したがって、アンテナが上下する速度は、ケーブルの移動によって発生する抗力によって制限される。深さが深いほど、アンテナを下げなければならない速度が遅くなり、これは、アンテナがその重量からそれ自体の抗力とケーブルの抗力を差し引いただけで下向きに引っ張られるためである。アンテナを上げるとき、ウインチはケーブルに、アンテナの重量に全体の抗力を加えたものに等しい力を加える必要がある。かなりの抗力を処理できるウインチが使用される場合がある。ケーブルは、ウインチによって加えられる張力に耐える寸法にする必要がある。この力が大きいほど、ケーブルの断面積を大きくしなければならず、これにより抗力がさらに増加する傾向がある。
【0007】
水中を通るケーブルの移動における抗力を制限するために、本出願会社は、アンテナ内にウインチを配置する可能性を調査した。そこで次に、アンテナの位置をケーブルに沿ってロックする問題が生じる。アンテナの内側に配置されたウインチは、ウインチアクチュエータをブロックできるブレーキによってこの機能を簡単に実行できる。ケーブルに沿ったアンテナの位置をロックするためのウインチアクチュエータの使用は、実装が複雑であることが判明する可能性があり、ケーブルに沿ったアンテナの位置のロックをウインチアクチュエータから分離するのは好ましいことであり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、実装が非常に簡単なクランプを提案する。クランプが開放位置にあるとき、ケーブルはクランプを通過する。クランプが閉鎖位置にあるとき、このクランプはケーブルが走るのをブロックする。
【0009】
より具体的には、本発明は、ケーブルに沿ってスライドすることができる物体をロックするためのロック装置に関し、このデバイスは、ケーブル及びクランプを備え、ケーブルは、軸に沿って延びる間にクランプを通過し、クランプは、軸に沿った並進移動において少なくとも1つの自由度を有する接続によって物体に接続された固定部分と、流体挙動を有する弾性材料を含むリングであって、ケーブルが通過する中央空洞を含むリングと、ケーブルが中央空洞内を自由に走ることができ、開放形状と呼ばれる第1の形状、及び、ケーブルがリングによって圧縮され、閉鎖形状と呼ばれる第2の形状、という2つの形状の間でリングを圧縮するように構成されたアクチュエータと、を備える。
【0010】
クランプの固定部分は、少なくとも1つの弾性要素によって物体に有利に接続される。
【0011】
弾性要素は、軸に沿った並進移動において、且つ他の自由度においても、物体に対して固定部分の柔軟性を可能にするように有利に構成される。
【0012】
弾性要素は、物体の運動エネルギーの大部分をばねの変形における位置エネルギーに変換するように有利に構成される。
【0013】
弾性要素は、有利には、物体の運動エネルギーから得られる位置エネルギーを放散させることができる吸振特性を有する。
【0014】
アクチュエータは、ケーブルの軸に沿って有利に向けられる力をリングに加える。
【0015】
デバイスは、固定部分に固定されておりケーブルが通過する、剛性の環を備えることができ、リングは、環の一方の面にもたれかかり、面はケーブルの軸に垂直であり、リングは環とアクチュエータとの間で圧縮されている。
【0016】
環の面は、第1の面と呼ばれる。環には、第1の面の反対側に第2の面がある。第2の面は、ケーブルが通過する穴を通る環の穴の周りに有利に面取りされる。
【0017】
有利なことに、アクチュエータは、閉鎖形状を達成するために環に向かう方向に、及び開放形状を達成するために環から離れる方向に、ケーブルの軸に沿ってリングを移動させる。
【0018】
アクチュエータは、固定部分がクランプの固定部分に固定され、可動部分がリングを圧縮するように構成された、スクリューナットシステムを有利に備える。
【0019】
ロック装置は、ケーブルの軸に沿って延びる剛性チューブを有利に含み、リングはチューブの内側に配置され、チューブは、ケーブルの軸の周りでの半径方向のリングの拡張を制限することができる。
【0020】
チューブは、環に有利に固定される。
【0021】
環は、第1の環と呼ばれる。この装置は、ケーブルが通過し、アクチュエータとリングとの間に挿入される第2の環を有利に備える。
【0022】
2つの環は、軸を中心とし、ケーブルが通過する穴を有する。その開放形状では、中央空洞は、軸に沿って一定である軸に垂直な断面を有利に有し、穴の断面は、中央空洞の断面よりも小さい寸法を有利に有する。
【0023】
本発明は、例として提供される一実施形態の詳細な説明を読むことでよりよく理解され、さらなる利点が明らかになるものであり、この説明は、添付の図面によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a】それぞれが1つの吊り下げ式ソナーを備えた、様々なキャリアを示す。
図1b】それぞれが1つの吊り下げ式ソナーを備えた、様々なキャリアを示す。
図2図1a及び1bの吊り下げ式ソナーのアンテナの第1の変形実施形態を示す。
図3a図1a及び1bの吊り下げ式ソナーのアンテナの第2の変形実施形態を示す。
図3b図1a及び1bの吊り下げ式ソナーのアンテナの第2の変形実施形態を示す。
図4a】ケーブルに沿ったソナーアンテナの位置のロックを可能にするクランプの第1の変形実施形態を説明している。
図4b】ケーブルに沿ったソナーアンテナの位置のロックを可能にするクランプの第1の変形実施形態を説明している。
図5a】クランプの第2の変形実施形態を説明している。
図5b】クランプの第2の変形実施形態を説明している。
図6a】クランプの変形例を示す。
図6b】クランプの変形例を示す。
図6c】クランプの変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
明確にするために、同一である要素は、様々な図において同じ参照番号で示されている。
【0026】
本発明の詳細な説明は、吊り下げ式ソナー、より具体的には、キャリアに固定されたケーブルから吊り下げられたソナーアンテナに関連して与えられる。本発明はソナーに限定されず、ケーブルに沿ってスライドすることができ、ケーブルに対する位置がロックされる任意の物体に使用することができる。
【0027】
図1aは、水面上にホバリングしているドローン10を示し、その水面には参照番号11が与えられている。ドローン10は、ケーブル14によってドローン10に取り付けられたアンテナ12を備えるアクティブ吊り下げ式ソナーを備えている。このタイプのソナーは特に、潜水艦の物体を検出して分類することを可能にする。図1bは、ケーブル14によってヘリコプター16に取り付けられたアンテナ12を備えるアクティブ吊り下げ式ソナーもまた備えているヘリコプター16を示している。水上にそれ自体を配置することができる任意のタイプのキャリアは、アクティブ吊り下げ式ソナーを備えてもよい。キャリアは、アンテナを水中で所望の深さまで下げ、音響検出フェーズを実行し、アンテナを上げて、ミッションを終了するか、又は他のミッションを実行することができる。
【0028】
図2は、アクティブ吊り下げ式ソナーのアンテナ20の第1の変形実施形態を示している。アンテナ20は、音響送信機22、音響受信機24、及びモータ駆動ウインチ26を備えている。ウインチ26は、ケーブル14の引き込み及び引き出しに使用される。ケーブル14の自由端27は、アンテナ20をドローン10又はヘリコプター16などのキャリアに取り付けることを可能にする。アンテナ20は、アンテナ20がケーブル14からぶら下がっているときに垂直であり、重力のみを受ける、軸28に沿って延びる。アンテナ20は、軸28を中心に実質的に回転する形状を有する。音響送信機22及び音響受信機24は、軸28の周りに半径方向に配置される。
【0029】
音響送信機22及び音響受信機24は、アンテナ20のケーシング29に固定され得る。音響送信機22及び音響受信機24は、アンテナ20の別個の領域に配置することができ、これらの領域は、図2に示すように互いに重ね合わされる。或いは、例えば、国際公開第2015/092066号パンフレットで公開され、本出願人の名前で出願された特許出願に記載されているように、これらの領域が散在していてもよい。
【0030】
ウインチ26は、アクチュエータ30によってモータ駆動される。より正確には、アクチュエータ30は、ケーブル14が巻かれたリール32を回転させることを可能にする。アクチュエータ30は、電気若しくは油圧モータ、又はより一般的には、空気を入れ換えることなく限られたスペースで動作することができる任意の形態のエネルギーを使用するモータであり得る。それは、アンテナ20内のスペースを解放するためにリール32の内側に有利に配置される。ケーブル14は、その引き出し部分に関して、垂直軸28に沿って延びる。アンテナ20は、重力の効果によってぶら下がる。図2において、リール32は、水平軸34の周りを回転する。或いは、ケーブル14は、垂直軸を有するリールの周りに巻かれ得る。リール機構により、ケーブル14をリール32にきちんと収容することができる。リール機構により、ケーブルガイドは、リールの軸に沿って前後に並進移動されて、ケーブル14をリール32上に連続する層できちんと収容する。垂直軸リールの場合、リールは静止したままであってもよく、このときリール機構は、その並進移動を行うことに加えて、リールの周りを回転する。このような機構は、特にフィッシングリールに存在する。或いは、リールはその軸の周りを回転することができ、リール機構のガイドは、アンテナ20のケーシング29に対して並進的にのみ移動する。
【0031】
リール32及びアクチュエータ30から形成されたウインチ26は、アンテナ20の内部、例えば、音響受信機24の間に配置された内部ボリューム36に配置される。
【0032】
アンテナ20はまた、特に送信機22によって送信される音響信号を生成し、受信機24によって受信される音響信号を処理し、アクチュエータ30を駆動することを可能にする、電子モジュール38を備える。
【0033】
アンテナ20のすべてのコンポーネントの動作に必要な電力は、キャリアから与えられ、ケーブル14を介して供給され得る。しかし、この解決策は、必要なすべての電力を運ぶことができるようにするために、ケーブル14の断面積を増加させる必要がある。特に、音響送信機には、数キロワットのオーダーとなり得る高い瞬時電力を供給する必要がある。ケーブル14は数百メートルを超える長さである可能性があるため、ケーブル14に沿ったオーム損失の影響を制限するのに十分なだけ大きい断面積を有するケーブルを提供する必要がある。これはリール32の寸法を増加させる傾向があり、ケーブル14のほぼすべての長さを収容できなければならない。さらに、音響伝送フェーズの間、ケーブルを介したデータの伝送は、ケーブル14を介した電力の伝送によるデータの破損を防ぐために中断されなければならない。
【0034】
ケーブル14を介した高電力伝送の期間を制限するために、アンテナ20は、アンテナ20の下部、又は少なくともウインチ26を含むボリューム36の下部に有利に配置されるバッテリ40を備えていることが有利であり、それによりアンテナが、特にケーブル14にぶら下がっているときの下降中に、より良い垂直方向を維持できるようにする。バッテリ40は、ケーブル14を介した電力の伝送を円滑にすることを目的とすることができ、これにより、ケーブル14の導電体の断面積を減少させることが可能になる。この目的のために、バッテリ40は、従来、高電力でミッションの期間のわずかな部分だけ送信する音響送信機22に、電力を供給することができる。ケーブル14を介した電力伝送を完全に省くことも有利である。次に、バッテリ40は、アンテナのすべての電気負荷、特にウインチ26、電子モジュール38、並びに音響送信機22及び受信機24などに電力を供給する。バッテリ40を再充電するために、アンテナは、特定のコネクタ又は、ケーブル14から独立している再充電手段、例えば、非接触で、例えば誘導性である再充電領域42を備える。バッテリ40は、特定のコネクタを接続することによって、又は領域42を専用インダクタの近くに配置することによって、キャリア10又は16に搭載されて再充電され得る。
【0035】
アンテナ20はまた、アンテナ20から海底までの距離を判定することを可能にするサウンダー44、及び測定されるアンテナ20が到達する深さの関数として水の温度の変化を与える温度センサ46などの環境センサを備え得る。具体的には、水中での音波の伝播は、水の温度の変化に依存する。これらのセンサはまた、バッテリ40によって電力を供給され得る。
【0036】
図3a及び3bは、本発明によるアクティブ吊り下げ式ソナーのアンテナ50の第2の変形実施形態を示している。この変形例では、ソナー受信中、おそらくアームに配置されている音響受信機24は、アンテナ50のケーシング29から離れて展開される。対照的に、ウインチ26の動作中、音響受信機24は、アンテナ50が水中で下降及び上昇している間のアンテナ50の抗力を制限するためにケーシング29に対して収容される。このタイプの展開可能なアンテナは、本出願者によってすでに開発されている。このタイプのアンテナでは、音響受信機はアンテナに配置された電気機械機構によって展開される。この機構は、音響受信機を支えるアームを動かす電気モータを備えている。モータは、アームを展開及び引き込みするために作動する。この機構は重くてかさばるものである。
【0037】
音響受信機24を支えるアームを動かすためのそのような電気機械的機構をアンテナ内に維持することが可能である。或いは、第2の変形例は、この機構を省くことができる。
【0038】
アンテナ50は、音響受信機24が配置される展開可能なアーム52を備える。アーム52は、軸28の周りの完全な音響検出を確実にするために、軸28の周りに有利に規則的に分散されている。図3aは、アーム52がケーシング29に対して折り畳まれているアンテナ50を部分的に示している。図3bはまた、アンテナ50を部分的に示しており、ここで、アーム52は、ケーシング29から離れて展開されている。アーム52は、ケーシング29に対して、及び本体54に対してヒンジで留められ、環状部形状のカバーを形成し、これは、軸28に沿ったケーシング29に対して並進して動くことができる。本体54は、例えば、軸28の周りの回転するものであり、ケーブル14は、環の穴を介して本体54を通過する。
【0039】
この2ヒンジアプローチは、本体54の移動中にアーム52がケーシング29から離れるか、又はケーシング29に近づくことを可能にする。より正確には、図3aに示される本体54の位置において、アーム52は、ケーシング29に対して折り畳まれ、図3bに示される本体54の位置では、アーム52は、ケーシング29から離れて展開される。
【0040】
アーム52は、ピボットリンクによってケーシング29及び本体54に直接ヒンジで留めることができる。展開されると、アーム52は水平に位置するか、又は軸28に対して傾斜している。このタイプの機構の動力学は非常に単純である。これらの動力学は、キャリアが水面に浮かぶソナーブイで特に採用されている。しかしながら、キャリアがドローン又はヘリコプターの場合、このアームの向きによって音響検出が低下する可能性がある。具体的には、この向きでは、音響受信機24は、キャリアによって生成されるノイズの影響を受ける。したがって、アーム52が展開されるときに垂直方向となるように準備することが好ましい場合がある。言い換えれば、本体54の並進移動の間、アームを軸28に平行に保つことが望ましい場合がある。これを行うために、アーム52は、4本のバーの変形可能な平行四辺形リンケージによってヒンジで留めることができる。より正確には、平行なセグメントを有する2つのバー56及び58は、一方ではリンク60及び62によってそれぞれアーム52にヒンジで留められ、他方ではリンク64及び66によってそれぞれケーシング29にヒンジで留められる。バーの1つ、示されている例ではバー58は、バーがアーム52にヒンジで留められているポイントから離れて位置するポイントで、且つ、バーがケーシング29にヒンジで留められているポイントから離れて位置するポイントで、リンク68によって本体54にヒンジで留められている。したがって、本体54が並進的に移動すると、バー58は、そのヒンジを中心にケーシング29に旋回し、アーム52を駆動する。バー56は、アーム52によって駆動され、また、ケーシング29に対して旋回する。この移動の間、ケーシング29に対するアーム52の向きは変化しない。示されている例では、アーム52は軸29に平行のままである。示されているように、複数のアーム52(示されている例では2つ)を同じ2つのバー56及び58にヒンジで留めることが可能である。より正確には、2つのアーム52のそれぞれが、バー58及びバー56にヒンジで留められている。上記のように、アンテナ50は、軸28の周りに分散された複数のアーム52を備えてもよい。これらの様々なアーム52を支えるために、アンテナ50は、軸28の周りにも半径方向に分布している複数の一連の2つのバー56及び58を備えている。
【0041】
ケーシング29に対する本体54の並進移動は、この移動を直接確実にする電気機械式アクチュエータによって達成することができる。アクチュエータは、例えば、本体がケーシング29に固定され、油圧シリンダの本体に対して並進的に移動するそのロッドが本体54に固定された、線形油圧シリンダから形成される。逆の構成もまた可能である。
【0042】
有利には、ケーシング29及び本体54に加えられる重力による力を使用することによって、ケーシング29と本体54との間のアクチュエータを省くことが可能である。具体的には、ケーシング29は、アーム52を展開するのに利点があり得る重いコンポーネントを含み得る。これを行うために、本体54は、ケーブル14をクランプし、本体54に対してケーブルを固定するように構成されたクランプ70を備えている。
【0043】
クランプ70が開放位置にあるとき、ケーブル14は、本体54に対して自由であり、ヒンジ68を介したアーム52の重量に関連するその重量は、本体54を下向きに、すなわちケーシング29に向かって駆動する。この位置では、アーム52も下向きに、すなわちケーシング29に対して折り畳まれた位置まで駆動される。このクランプ開放位置は、図3aに示されている。
【0044】
クランプ70が閉鎖位置にあるとき、ケーブル14は、本体54に対して固定されている。この位置では、ウインチ26を作動させてケーブルを引き出し、したがってケーシング29及びそれに固定された機器を、重力の効果によって本体54に対して下降させるようにすることが可能である。ケーシング29に対する本体54のこの相対的な動きにより、アーム52は、図3bに示される位置に展開される。これは、アーム52、及び適切な場合にはバー56及び58が、ケーシング29及びそれに固定されているすべてのコンポーネントよりも軽い場合に可能である。この条件は、重いコンポーネント、特にバッテリ40及びケーシング29内のウインチ26が存在するため、一般に容易に満たされる。クランプ70が閉じられた後にケーブル14を引き出すことを目的としたウインチ26の作動は、ケーシング29に対する本体54の相対的な動きと協調する方法で実行される。より正確には、引き出されるケーブルの長さは、ケーシング29に対する本体54の並進移動の長さに実質的に等しい。ケーブルをより長く引き出すと、リール32とクランプ70との間にたるんだケーブルが存在するリスクが生じる。ケーブルをより短く引き出すと、アーム52を完全に展開することができない。ウインチ26を作動させることにより、アーム52の展開を制御することが可能である。
【0045】
クランプ70は、図2に記載されているアンテナ20とともに、すなわち展開可能なアームなしで使用することができる。
【0046】
図4a及び4bは、ケーブル14に沿ってアンテナ20又は50をロックするためのロック装置を形成するクランプ70の第1の変形実施形態を示す。上に示したように、本発明は、クランプ70を通過するケーブルに沿ってスライドでき、ケーブル14に対する位置がロックされるべきである、任意の物体に対して実施され得る。クランプ70は、ケーブル14の任意の方向に対して実装することができる。クランプ70を実装するために、ケーブル14が垂直のままである必要はない。
【0047】
クランプ70は、本体54の一部を形成することができるか、又は本体54に取り付けられ、それに固定され得る、固定部分を備える。上に示したように、クランプ70は、アンテナ20に実装することができる。次に、クランプの固定部分は、ケーシング29にしっかりと固定される。残りの説明を簡略化するために、本体54は、クランプ70の固定部分であると見なす。クランプ70は、流体挙動を有する弾性材料を含むリング72をさらに備える。これは、例えばゴム又はシリコーンに基づくワンピースの材料であり得る。或いは、リング72は、流体を含む弾性エンベロープを含み得る。ワンピースの材料は、機械的応力が材料に加えられていないときにその形状を保持するほぼ固体の材料の使用を可能にする。エンベロープを使用すると、液体など、はるかに流動性の高い材料を使用できる。エンベロープは、リング72の弾性挙動を提供し得る。エンベロープの有無にかかわらず、機械的応力がない場合、リング72は、ケーブル14が通過する中央空洞74を取り囲む固体形状を有する。
【0048】
クランプ70はまた、2つの形状の間でリング72を圧縮するように構成されたアクチュエータ76を備える。開放形状と呼ばれる第1の形状を図4aに示す。第1の形状は、クランプ70のクランプ開放位置を提供する。リング72のこの第1の形状では、アクチュエータ76は、ケーブル14が中央空洞74内を自由に走ることができるその自然な形状を維持するリング72を圧縮しない。或いは、リング72が第1の形状にあるとき、アクチュエータ76は、例えば、リング72を所定の位置に保持するために、すでにリング72に予荷重を加えていてもよい。この予荷重が存在する場合でも、ケーブル14は中央空洞74内を自由に走ることができる。
【0049】
リング72が、閉鎖形状と呼ばれ、図4bに示される第2の形状にある場合、ケーブル14は、リング72によって圧縮される。言い換えると、中央空洞74は、アクチュエータ76の効果によって、ケーブル14を圧縮するポイントまで閉じて、それがクランプ70内を走るのを防ぐ。本体54の位置、したがってアンテナの位置がロックされる。第2の形状は、クランプ70のクランプ閉鎖位置を提供する。
【0050】
流体挙動を示す材料がリング72内に存在することによって、中央空洞74は、クランプ70によって保持されるその外面全体にわたってケーブル14の形状に完全に一致することができる。このようなクランプは、その長さ全体で不規則なケーブルに合うように適応することができる。不規則性には、あらゆる種類の根本的な原因があり得る。それらは意図的ではなく、例えば、製造上の欠陥、又はアンテナの使用中に生じた変形が原因である可能性がある。欠陥は、意図的なもので、ケーブルの設計時に定義されるものであり得る。
【0051】
クランプ70、並びに、特にリング72及びアクチュエータ76は、リング72がその2つの形状の間でその弾性挙動を維持するように、すなわち永久変形を取り入れないように構成される。より具体的には、閉鎖形状から始めて、アクチュエータ76がその圧縮を緩和すると、リング72は弾性挙動により、その開放形状を取り戻すことができる。
【0052】
図4a及び4bに示される変形例では、アクチュエータ76は、リング72を図4aの第1の形状から図4bの第2の形状にさせるために、軸28の方向にリング72に半径方向の力を加える。
【0053】
図4a及び4bの変形例では、リング72に半径方向の力を加えるために、アクチュエータ76は、例えば、軸28に沿って延在し、その端部の1つに固定されたつる巻ばね78を備える。モータ又は油圧シリンダ80は、ばね78を軸28の周りに締め付けるために、ばね78の第2の端部を引っ張るように構成される。
【0054】
図5a及び5bは、ここで参照番号90を有するクランプの第2の変形実施形態を示す。この変形例はまた、その2つの形状、つまり、図5aに示され、ケーブル14がクランプ90を通って自由に走ることを可能にする開放形状と、図5bに示され、ケーブル14を圧縮してそれがクランプ90内を走ることを防止する閉鎖形状とをとることができる、リング72を有する。クランプ70とは異なり、クランプ90は、軸28に沿って、リング72上で軸方向の力を及ぼして、その閉鎖形状を達成するために、軸28に沿ったリング72の長さを減少させるのに役立つ、アクチュエータ92を備える。アクチュエータ92によって加えられる力を緩和することにより、リング72の弾性のために、その長さが増加し、リング72は開放形状を取り戻す。
【0055】
例えばポアソン比が約0.5であるゴムなどの実質的に非圧縮性の材料を使用することにより、リング72の高さの減少は、軸28に対して垂直なリング72の断面積の増加に完全に変換される。この断面積の増加は、中央空洞74の断面積の減少をもたらし、したがって、ケーブル14の圧縮をもたらす。ポアソン比が0.5未満の材料を使用することが可能である。次に、アクチュエータ92は、非圧縮性材料で得られるのと同じ中央空洞74の断面積の減少を得るために、より大きな動きを生成する必要がある。言い換えれば、ポアソン比が高いほど、したがってそれが0.5に近いほど、アクチュエータ92の有効性は高くなる。
【0056】
アクチュエータ92は、リング72の両端にその力を加えることができる。しかし、アクチュエータ92のこの配置は、軸28に沿ったリング72の高さのために、実施するのが困難であることがわかる場合がある。リング72が本体54にもたれかかり、アクチュエータ92が、本体54にもたれかかるこの端部とは反対側の端部でリング72にその力を加えることは有利である。さらに、リング72が、本体54にもたれかかる圧力がケーブル14の軸28の周りに分散されるのは有利である。この目的のために、クランプ90は、本体54に固定されてケーブル14が通過する、剛性の環94を備える。リング72は、ケーブル14の軸28に垂直な環94の一方の面96にもたれかかる。リング72は、環94とアクチュエータ92との間で圧縮される。
【0057】
環94は、ケーブル14がクランプ90に入るときにケーブル14を案内することができる。これを行うために、環94は、面96と反対の面である環94の面100に作られた面取り98を有する。面取り98は、環94の穴102の周りに生成される。穴102は、ケーブル14を環94に通すために使用される。穴102とリング72の中央空洞74は、互いに継続して位置している。より具体的には、穴102及び中央空洞74は両方とも軸28と同心である。軸28に垂直な平面において、中央空洞74の断面は、リング72の全高にわたって一定である。リング72が図5aに示される開放形状にあるとき、穴102の断面は、中央空洞74の断面の寸法と同じ寸法を有することができる。
【0058】
ケーブル14を案内することに加えて、環94は、リング72がその開放形状にあるときに、中央空洞74内を走るケーブル14の摩擦を制限することができる。この目的のために、穴102の断面は、開放形状の中央空洞74の断面の寸法よりも小さい寸法を有する。したがって、リング72が開放形状であるとき、ケーブル14は、環94の近くのリング72に接触することなく、環94と接触する。環94のために選択される材料は、リング72とケーブルとの間の摩擦係数よりも低い、ケーブル14に対する摩擦係数を有する材料とすることができる。この目的のために、環94は、例えば、青銅でできていてもよい。
【0059】
アクチュエータ92が、リング72にもたれかかる圧力が、ケーブル14の軸28の周りに分散されるのは有利である。この目的のために、クランプ90は、軸28に沿った並進移動が可能な第2の環104を備える。環104の並進移動性は、リング72がその開放形状からその閉鎖形状に、及びその逆に移ることを可能にする。環104は、ケーブル14が通過する穴106を有する。環104は、特にその面取りを含めて、環94の形状と同じ形状を有することができる。リング72は、環94と104の間に配置されている。2つの環94及び104は、反対の方法で取り付けられている。アクチュエータ94は、その力を環104を介してリング72に加える。穴102及び106の断面を両方とも、開放形状の中央空洞74の断面よりも小さい寸法を有するものとして画定することによって、ケーブル14は、ぴんと張ったとき、リング72ではなく、穴102及び106のみに接触し、したがって、開放形状のケーブル14とリング72との間のあらゆる摩擦を排除する。環94の場合のように、環104の材料は、ケーブル14にかかる摩擦力を制限するように選択される。
【0060】
アクチュエータ92は、例えば、環104が存在する場合はその力を環104に、又は環104がない場合にはリング72に直接力を加える、線形油圧シリンダの形態などの多くの形態をとることができる。或いは、クランプ90を単純化するために、アクチュエータ92は、固定部分が本体54に固定され、可動部分がリング72を圧縮することを目的とする、スクリューナットシステムを備える。図5a及び5bに示されているスクリューナットシステム構成は、優れたコンパクトなスクリューナットシステムを提供する。より具体的には、軸28と同心のめねじ108が本体54内にタップインされる。ねじ110は、タップねじ108と係合し、軸28に沿って移動し、環104を環94に向かって押して、リング72を開放形状から閉鎖形状に移し、開放形状に戻るために反対方向に移動する。ねじ110は、ケーブル14が通過できるように軸28に沿って穴があけられている。
【0061】
環94とアクチュエータ92との間でリング72を圧縮することにより、リング72の断面が増加し、中央空洞74の寸法を減少させてリング72の外部断面の寸法を増加させることの両方で、バレル形状に変形する。中央空洞の断面の減少は、ケーブル14を圧縮するのに有益である。しかし、リング72の外側の膨張は、ケーブル14を把持するのに有益ではない。リング72を軸28の周りで半径方向にリング72が拡張するのを制限する剛性チューブ112の内側に配置することによって、この膨張を回避することが有利である。チューブ112は、寸法がその開放形状のリング72の外部断面の寸法と同じであり、機能的クリアランスを与えるか又は取る、内部断面を有する。チューブ112は、本体54に対して自由に取り付けられ、接着によってリング72上の所定の位置に保持され得る。或いは、チューブ112は、本体54に固定されてもよく、又は本体54に直接穴あけされてもよい。したがって、本体54は、いくつかの機能を果たし、それは、環94、チューブ112、及びタップねじ108のための軸受座面を提供する。クランプ90を構成する別個の機械部品の数を制限するために、環94は、本体54内に直接製造されてもよい。
【0062】
2つの変形例では、クランプは、リング72を圧縮するための単一のアクチュエータ76及び92をそれぞれ備える。複数のアクチュエータ、場合によっては相互に独立したアクチュエータを使用することも同様に可能である。
【0063】
図4a及び4bでは、本体54は、クランプ70の固定部分を形成する。同様に、図5a及び5bでは、チューブ112は、クランプ90の固定部分を形成する。クランプの固定部分は、アンテナ20又は50にしっかりと固定され得る。或いは、クランプの固定部分は、アンテナ20又は50に対して浮くことができる。クランプが開放位置にあるとき、固定部分は、アンテナ20又は50に対する軸28に沿った少なくともある程度の並進移動の自由度を維持することができる。この自由度は、アンテナが下降又は上昇されているときにクランプ70又は90の閉鎖を容易にする。この自由度により、クランプの閉鎖中のリング72とケーブル14との間の摩擦を制限することができる。
【0064】
より具体的には、図6a、6b及び6cにおいて、チューブ112は、本体54とチューブ112との間の軸28に沿った並進移動を可能にしながら、本体54に接続される。ばね114は、チューブ112を本体54に接続する。ばね114は圧縮されて、チューブ112を本体54に近づけることができる。図6aでは、クランプ90は開放位置にある。チューブ112は、本体54からある程度離れて本体54の下に位置する。ケーブル14は、リング72の中央空洞74内を自由に走ることができる。図6bは、クランプ90の閉鎖の開始を示す。より具体的には、アクチュエータ92はリング72を圧縮して、それをケーブル14に押し付けるようにする。クランプの開始時に、ばね114は、図6aのようにまだ弛緩したままである。その後、図6cに示されるように、重力が本体54に作用し、ばね114が圧縮されて、チューブ112を本体54に対して隣接させる。言い換えれば、図6cの位置では、軸28に沿って本体54に対して並進的に移動するクランプ90の自由度は排除される。
【0065】
ばね114は、軸28に沿った並進移動において、及び他の自由度においても、本体54に対してチューブ112の柔軟性を可能にする。これは、ケーブル14がクランプ90を通過するときのケーブル14のセンタリングを改善し得る。言い換えれば、軸28に沿った並進移動をもたらす自由度とは別に、他の自由度が利点を提供し得る。ばね114の存在の代替として、チューブ112が本体54に対して並進移動するのを可能にする軸28に沿った他の任意の案内面を使用することができる。この並進移動により、クランプ90の閉鎖中にリング72の中央空洞74内でのケーブル14の滑りを制限することができる。より正確には、アンテナが下がっている間にクランプ90をクランプすることは望ましいことであり得る。クランプ90のクランプ中に固定部分、この場合はチューブ112が本体54に固定されるクランプ90では、アンテナは速度を失い、クランプ90はブレーキとして作用し、ケーブル14にこすりつけられる。アンテナのすべての運動エネルギーはこの摩擦において放散され、ケーブル14及びリング72の摩耗につながる。対照的に、クランプ90が、本体54に対して軸28に沿った並進移動において自由度を有する場合、クランプの質量に起因する運動エネルギーのみがケーブル14との摩擦によって放散される。クランプ90は、アンテナ全体の質量よりも非常に小さい質量を有し、アンテナの質量のせいぜい半分未満であるため、アンテナの運動エネルギーの大部分は、ばね114の圧縮において位置エネルギーに変換され、次に、これは、リング72とケーブル14との間の摩擦によって放散されるエネルギーを制限し、したがって、このリングとこのケーブルの摩耗を制限する。ケーブルの摩擦を制限するためのばね114の圧縮は、アンテナ50を下げるときと上げるときの両方で機能する。図6a、6b、及び6cに示される例では、ばね114は、クランプ90がクランプされるときに圧縮されるようになる。或いは、クランプ90がクランプされるときに張力がかかるばねを考えることも可能である。次に、チューブ112の底部は、それ自体が本体54に固定されて今度はチューブ112の下に位置する、ばねに固定される。チューブ112を2つのばねの間に配置することも可能であり、それらのそれぞれが、一方はチューブ112に、他方は本体54に固定される。
【0066】
ばね114は、エラストマーなどの他のタイプの弾性要素で置き換えることができる。弾性要素は、クランプの運動エネルギーから得られる位置エネルギーを放散させることができる吸振特性を有し得る。例えば、ばね114の代わりに、又はばね104に加えてダンパーを使用することが可能である。特定のエラストマーはまた、それらの弾性特性に加えて吸振特性を提供する。
【0067】
図6a~6cを使用して説明された構成は、もちろん、クランプ70に関して、そして、より一般的には、本発明の範囲内にある任意のクランプに関して実施され得る。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c