(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】淋菌に対するワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/095 20060101AFI20240711BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240711BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240711BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240711BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240711BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61K39/095 ZNA
A61K39/39
A61K39/00 H
A61P31/04
A61P37/04
A61P31/12
(21)【出願番号】P 2022109731
(22)【出願日】2022-07-07
(62)【分割の表示】P 2019511996の分割
【原出願日】2017-09-01
【審査請求日】2022-08-03
(32)【優先日】2016-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】305060279
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピッツァ,マリアグラツィア
(72)【発明者】
【氏名】ギリアーニ,マルツィア,モニカ
(72)【発明者】
【氏名】モナシ,エリザベッタ
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-518363(JP,A)
【文献】特表2013-521770(JP,A)
【文献】特表2007-508537(JP,A)
【文献】EVGENY SEMCHENKO,NEISSERIA HEPARIN BINDING ANTIGEN (NHBA): A POTENTIAL VACCINE CANDIDATE FOR NEISSERIA GONORRHOEAE,[ONLINE],2015年,(#135),P1,http://bacpath-2015.p.asnevents.com.au/days/2015-09-27/abstract/27890
【文献】Human Vaccines & Immunotherapeutics,Vol.10. No.12, pp.3737-3745,2014年
【文献】Emerging Infectious Diseases,2016年06月,Vol.22, No.6, pp.1137-1139
【文献】INFECTION AND IMMUNITY,Vol.73, No.11, pp.7558-7568,2005年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
淋菌に対する免疫化を必要とする被験体の、淋菌に対する免疫化に使用するための、免疫原性組成物であって、
髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせたNHBA抗原(ナイセリアヘパリン結合抗原)を含む、免疫原性組成物。
【請求項2】
髄膜炎菌NHBA抗原を含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
髄膜炎菌NHBA抗原、髄膜炎菌NadA(ナイセリアアドヘシンA)抗原、及び髄膜炎菌fHbp(H因子結合タンパク質)抗原を含む、請求項1又は2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
髄膜炎菌血清群A、C、W135、及びYに由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた髄膜炎菌NHBA抗原、髄膜炎菌NadA抗原、及び髄膜炎菌fHbp抗原を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
ナイセリア外膜小胞(OMV)をさらに含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
ナイセリアOMVが、髄膜炎菌OMVである、請求項
5に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
NHBA抗原が、OMV成分から分離されて存在する、請求項
5又は
6に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
(a)配列番号4又は配列番号15に対して
90%以上の同一性を有するアミノ酸配列; 及び/又は(b)配列番号4又は配列番号15の少なくとも7個連続したアミノ酸のフラグメント、を有するNHBA抗原を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
(a)配列番号5に対して
90%以上の同一性を有するアミノ酸配列; 及び/又は(b)配列番号5の少なくとも7個連続したアミノ酸のフラグメント、を含むNadA抗原を含む、請求項3~
8のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
以下のfHbp抗原:
(a)第1のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドであって、第1のアミノ酸配列は、(i)配列番号1に対して少なくとも
90%の配列同一性を有し、及び/又は(ii)配列番号1に由来する少なくとも7個連続したアミノ酸のフラグメントからなる、アミノ酸配列を含む、第1のポリペプチド;
(b)第2のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドであって、第2のアミノ酸配列は、(i)配列番号2に対して少なくとも
90%の配列同一性を有し、及び/又は(ii)配列番号2に由来する少なくとも7個連続したアミノ酸のフラグメントからなる、アミノ酸配列を含む、第2のポリペプチド; 及び/又は
(c)第3のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチドであって、第3のアミノ酸配列は、(i)配列番号3に対して少なくとも
90%の配列同一性を有し、及び/又は(ii)配列番号3に由来する少なくとも7個連続したアミノ酸のフラグメントからなる、アミノ酸配列を含む、第3のポリペプチド、
のうちの1つ以上を含む、請求項3~
9のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
配列番号1に対して少なくとも
95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むfHbp抗原を含む、請求項
10に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
配列番号12に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むfHbp抗原を含む、請求項
10に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
配列番号11に対して少なくとも
95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むfHbp抗原を含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
(i) 配列番号6のアミノ酸配列を含む抗原; (ii) 配列番号8のアミノ酸配列を含む抗原; 及び(iii) 配列番号10のアミノ酸配列を含む抗原、のそれぞれを含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
(i) 配列番号7のアミノ酸配列を含む抗原; (ii) 配列番号9のアミノ酸配列を含む抗原; 及び(iii) 配列番号10のアミノ酸配列を含む抗原、のそれぞれを含む、請求項
14に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
BEXSERO(登録商標)を含む、請求項1~
15のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、淋菌(ナイセリア・ゴノレア; Neisseria gonorrhoeae)に対して免疫化するためのワクチンの分野に属する。
【背景技術】
【0002】
淋菌及び髄膜炎菌(ナイセリア・メニンギチジス; Neisseria meningitidis)は、グラム陰性細菌性病原体である。淋菌は、淋病の原因因子であり、一方、髄膜炎菌は、髄膜炎及び敗血症を引き起こす。
【0003】
淋病は、多剤耐性によって悪化する主要な世界的な公衆衛生上の懸念事項であり、毎年推定7800万件の新規症例がある[1]。淋菌の抗微生物剤耐性は、1940年代以後、着実に増大しており、広範囲薬物耐性株が出現している[2,3]。淋病による自然感染は、防御免疫を誘導せず、感染を繰り返すことが一般的である[4]。抗生物質耐性及び治療不可能な淋菌株の増加は、有効なワクチンを開発する必要性を強調する。
【0004】
淋病に対する有効なワクチンを開発する努力は、1世紀を超える研究にもかかわらず成功していない[5]。課題には、防御の相関要因の不存在、適切な実験室動物モデルの欠如、生存に有利に働く免疫反応の淋菌による破壊、及び高い抗原変動性が含まれる。臨床試験に到達する4つのワクチン候補は、細胞全体、ピリン、及びタンパク質1(Protein 1)ワクチンであったが、いずれも有効ではなかった[5,6,7]。したがって、淋菌に対して有効であろうワクチンに対する必要性が依然としてある。
【0005】
淋病用ワクチンの進歩が欠如している理由には、防御の相関要因の欠如、適切な実験室モデルの欠如、及び高度に抗原的に変動する表面が含まれる。唯一の試験は、前述の細胞全体及びピリンワクチンであった。感染からの回復は、再感染に対する免疫を付与しないので、自然な感染経過の過程からの解決策はありそうもない。
【0006】
淋菌は、マクロファージ及び樹状細胞などの先天性免疫細胞と相互作用し、炎症反応を誘導するが、それは、Th1/Th2を介した特異的免疫反応を抑制する(記憶を生じない局所的な非特異的抗体反応は生じるが)[8]。
【0007】
淋菌に対する防御免疫の誘導における1つのさらなる課題は、淋菌疾患が、一般に粘膜表面に限定されているという事実である。
【0008】
髄膜炎菌ワクチンによるワクチン接種と、淋病に対する防御との間の関連は、これまで確認されておらず、髄膜炎菌ワクチンに見られる抗原は、一般に、淋菌に対する免疫化には不適切であると考えられている[8]。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、以下: (i)NHBA抗原; (ii)fHbp抗原; (iii)NadA抗原; (iv)GNA1030抗原; (v)GNA2091抗原; (vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた上記(i)~(v)のうちの1つ以上、のうちの1つ以上を含む免疫原性組成物を投与することによって、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体を、淋菌に対して免疫化する方法を提供する。
【0010】
本発明の第2の態様は、以下: (i)NHBA抗原; (ii)fHbp抗原; (iii)NadA抗原; (iv)GNA1030抗原; (v)GNA2091抗原; (vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた上記(i)~(v)のうちの1つ以上、のうちの1つ以上を含む、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体の、淋菌に対する免疫化に使用するための、免疫原性組成物を提供する。
【0011】
本発明の第3の態様は、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体を淋菌に対して免疫化するための医薬の製造における、以下: (i)NHBA抗原; (ii)fHbp抗原; (iii)NadA抗原; (iv)GNA1030抗原; (v)GNA2091抗原; (vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた上記(i)~(v)のうちの1つ以上、のうちの1つ以上の、使用を対象とする。
【0012】
本発明の第4の態様は、淋菌OMVを含む免疫原性組成物を投与することによって、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体を、淋菌に対して免疫化する方法を提供する。
【0013】
本発明の第5の態様は、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体の、淋菌に対する免疫化に使用するための免疫原性組成物であって、淋菌OMVを含む、免疫原性組成物を提供する。
【0014】
本発明の第6の態様は、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体を淋菌に対して免疫化するための医薬の製造における、淋菌OMVを含む免疫原性組成物の使用を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】淋菌ΔG287NG抗原に対して生じた血清は、淋菌F62株を認識する。
【
図2A】髄膜炎菌287抗原に対して生じた抗体は、淋菌F62株を認識し(パネルA)、補体沈着を誘導する(パネルB)。
【
図2B】髄膜炎菌287抗原に対して生じた抗体は、淋菌F62株を認識し(パネルA)、補体沈着を誘導する(パネルB)。
【
図3A】抗髄膜炎菌287-953抗血清は、淋菌F62株を認識し(パネルA)、補体沈着を媒介する(パネルB)。
【
図3B】抗髄膜炎菌287-953抗血清は、淋菌F62株を認識し(パネルA)、補体沈着を媒介する(パネルB)。
【
図4】SBAアッセイは、BEXSERO(登録商標)、OMVnz、及びBEXSERO(登録商標)のタンパク質抗原成分が、淋菌FA1090株に対する殺細菌性抗体を誘導することを示す。
【
図5】単一マウスに対するSBAは、プール分析を確認する。
【
図6】
図4及び5に示された結果が、異なるヒト補体ロット(HC1511及びHC1879)で確認されることを示すグラフ。
【
図7】競合的hSBAは、BEXSERO(登録商標)、OMVnz、及びBEXSERO(登録商標)のタンパク質抗原成分が、淋菌FA1090株に対する殺細菌性抗体を誘導すること、及び抗BEXSERO(登録商標)血清のSBA活性が特異的であることを示す。
【
図8】細菌付着阻害アッセイは、BEXSERO(登録商標)、OMVnz、及びOMV FA1090に対して生じた血清が、FA1090のヒト子宮頸部ME180細胞への付着を低減することを示す。
【
図9】5%ウサギ補体を用いた287-953(NHBA-GNA1030融合体)、287(NHBA抗原単独)、及び陰性対照(RSV)についてのSBA結果を示すグラフ。
【
図10】BEXSERO(登録商標)、287、及び287-953が、殺細菌性抗体を誘導することを示し、抗BEXSERO(登録商標)血清のSBA活性が特異的であることを確認しているる競合的hSBA。
【
図11】付属タンパク質953(GNA1030)及びアジュバント対照についてのhSBA結果を示すグラフ。免疫前血清(P)及び免疫血清(I)を用いてアッセイを行った。
【
図12】(A)は、936-741(GNA2091-fHbp v1.1融合体)及びfHbp v1.1単独についてのhSBA結果を示すグラフである。(B)では、936-741についての個々のhSBA結果が提示され、各点は、単一マウスに由来する血清アッセイを表す。
【
図13】BEXSERO(登録商標)及び936-741が、殺細菌性抗体を誘導することを示し、抗BEXSERO(登録商標)血清のSBA活性が特異的であることを確認している競合的hSBA。
【
図14】BEXSERO(登録商標)及びMenABCWYについてのhSBA結果のグラフは、両組成物が、淋菌FA1090株に対する殺細菌性抗体を誘導することを示す。
【
図15】淋菌FA1090に由来するdOMVが、強いSBA活性を有する抗体反応を誘導し、同種株に対する殺細菌性抗体を誘導することを示すグラフ。
【
図16】OMV FA1090が、殺細菌性抗体を誘導することを示し、抗OMV FA1090血清のSBA活性が特異的であることを確認している競合的hSBA。
【
図17】グラフは、BEXSERO(登録商標)、OMVnz、及びOMV FA1090が、淋菌株FA1090に対するCD4+ T細胞反応を誘導することを示す。
【
図18-1】BEXSERO(登録商標)が、Th1プロファイルを有するT細胞反応を誘導することを示すグラフ。
【
図19】グラフは、髄膜炎菌NHBA(MenB)(
図19A)及び淋菌NHBA(Ngo)(
図19B)についての5H2リガンド結合曲線及びKa/Kd値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な開示
本発明者らは、髄膜炎B型ワクチンBEXSERO(登録商標)に使用されるものを含む、ワクチン抗原が、淋菌(NG)に対する殺細菌性抗体を誘導することを見出した(実施例1~7及び9を参照のこと)。
【0017】
疾患兆候における顕著な違いにもかかわらず、DNA-DNAハイブリダイゼーションに基づき、淋菌と髄膜炎菌との間に一次配列において80~90%の遺伝的相同性がある。一方に存在するほとんどの毒性因子は、他方において同等物を有し[9]、交差防御についての生物学的に妥当と思われるメカニズムを提供する。しかし、髄膜炎菌の株間でさえ、遺伝子型決定だけでは菌株範囲を予測するのに不十分である[10]。
【0018】
NZ MeNZB(商標)ワクチンは、B群髄膜炎菌NZ98/254, B:4:P1.7b,4の流行株のOMVの調製物であった。
【0019】
BEXSERO(登録商標)製品(参考文献11~14に記載; 4CMenBとしても知られている)は、血清群B髄膜炎菌に対して免疫化するように設計されている。BEXSERO(登録商標)は、MeNZB(商標)ワクチンに見られるものと同じOMV(ここではOMVnzと称される)を含有する。さらに、BEXSERO(登録商標)は、以下の5つの髄膜炎菌抗原を含む: NHBA(287; サブバリアント1.2)、fHbp(741; サブバリアント1.1)、NadA(961; サブバリアント3.1)、GNA1030(953)、及びGNA2091(936)。これらの抗原のうちの4つは、融合タンパク質(NHBA-GNA1030融合タンパク質(287-953)及びGNA2091-fHbp(936-741)融合タンパク質)として存在する。BEXSERO(登録商標)は、1.5mgの水酸化アルミニウムアジュバント上に吸着された、それぞれ50μgのNHBA、NadA、及びfHbp、並びに髄膜炎菌株NZ98/254に由来する25μgのOMVを含む。
【0020】
本発明者らは、BEXSERO(登録商標)製品が、淋菌に対して交差反応性である免疫反応を誘導することを示した。BEXSERO(登録商標)は、淋菌に対する殺細菌性抗体を誘導すること(実施例3)、並びに動物モデルにおいて、より速い淋菌クリアランス及び淋菌感染に対する耐性に関連するTh1プロファイルを有する細胞性免疫反応を誘導すること(実施例9)が示された。BEXSERO(登録商標)が、ヒト子宮頸部上皮細胞への淋菌の付着を減じることができることも示された(実施例4)。
【0021】
さらに、本発明者らはまた、BEXSERO(登録商標)の個々のタンパク質抗原成分が、淋菌に対する有効な免疫反応を誘導することができることを示した。特に、髄膜炎菌NHBA抗原(287)は、淋菌に対する殺細菌性抗体を誘導することが示された(実施例1、2、及び5)。さらに、本発明者らは、BEXSERO(登録商標)中にそれぞれNHBA及びfHbpとの融合体として存在する髄膜炎菌付属タンパク質GNA1030(953)及びGNA2091(936)も、淋菌に対する殺細菌性抗体を誘導することができることを見出した(実施例6)。
【0022】
したがって、本発明者らは、驚くべきことに、髄膜炎B型ワクチンBEXSERO(登録商標)、及びBEXSERO(登録商標)の構成成分抗原を含む関連ワクチンも、淋菌による感染及び疾患に対する防御を提供することが予期されることを見出した。
【0023】
本発明者らはまた、血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来する莢膜糖などの、担体タンパク質にコンジュゲート化した髄膜炎菌糖抗原を、BEXSERO(登録商標)、又は1つ以上のBEXSERO(登録商標)抗原と組み合わせて使用して、淋菌に対する殺細菌性免疫反応を誘導することができることを見出した(実施例7)。
【0024】
本発明者らはまた、淋菌抗原が、淋菌に対して強力かつ特異的な殺細菌活性を有する機能的抗体を誘導することを見出した。淋菌由来NHBA及び/又は淋菌由来OMVによる免疫化は、淋菌に対する殺細菌活性を誘導することが示された(それぞれ実施例1及び8)。
【0025】
さらに、淋菌由来OMVは、動物モデルにおいて、より速い淋菌クリアランス及び淋菌感染に対する耐性に関連するTh1プロファイルを有する細胞性免疫反応を誘導することが見出された(実施例9)。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ナイセリア抗原」は、髄膜炎菌又は淋菌のいずれかに由来する抗原を指す。
【0027】
したがって、本発明の一態様は、以下:
(i)NHBA抗原;
(ii)fHbp抗原;
(iii)NadA抗原;
(iv)GNA1030抗原;
(v)GNA2091抗原;
(vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた上記(i)~(v)のうちの1つ以上
のうちの1つ以上を含む免疫原性組成物を投与することによって、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体を、淋菌に対して免疫化する方法を提供する。
【0028】
同様に、本発明は、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体の、淋菌に対する免疫化に使用するための、免疫原性組成物であって、以下:
(i)NHBA抗原;
(ii)fHbp抗原;
(iii)NadA抗原;
(iv)GNA1030抗原;
(v)GNA2091抗原;
(vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた上記(i)~(v)のうちの1つ以上
のうちの1つ以上を含む、免疫原性組成物を提供する。
【0029】
また、本発明は、被験体を淋菌に対して免疫化するための医薬の製造における、以下: (i)NHBA抗原;
(ii)fHbp抗原;
(iii)NadA抗原;
(iv)GNA1030抗原;
(v)GNA2091抗原;
(vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた上記(i)~(v)のうちの1つ以上
のうちの1つ以上の、使用を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、ナイセリア外膜小胞を含んでもよい; 他の実施形態では、免疫原性組成物は、ナイセリア外膜小胞を含まない。免疫原性組成物が、上記の抗原(i)~(v)のうちの1つ以上と組み合わせてナイセリア外膜小胞を含む場合、その組成物は、好ましくは、OMV成分から分離された抗原(i)~(v)のうちの1つ以上を、例えば可溶性形態で、含む。
【0031】
成分(i)~(v)は、好ましくは、髄膜炎菌抗原である。しかし、いくつかの場合において、これらの抗原のうちの1つ以上は、淋菌抗原であってもよい。特に好ましい実施形態では、免疫原性組成物は、淋菌NHBA抗原を含む。
【0032】
本発明における使用のための他の好ましい免疫原性組成物は、髄膜炎菌NHBA抗原、髄膜炎菌fHbp抗原、及び髄膜炎菌NadA抗原を含む。そのような組成物は、好ましくは、髄膜炎菌OMVも含む。本発明による使用のための特に好ましい組成物は、BEXSERO(登録商標)ワクチン組成物である。
【0033】
本発明における使用のための他の好ましい免疫原性組成物は、髄膜炎菌NHBA抗原、並びにGNA1030抗原及びGNA2091抗原から選択される1つ以上の付属タンパク質抗原を含む。そのような組成物は、好ましくは、髄膜炎菌OMVも含む。
【0034】
本発明における使用のための他の好ましい免疫原性組成物は、髄膜炎菌血清群A、C、W135、及びYに由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた髄膜炎菌NHBA抗原、髄膜炎菌fHbp抗原、及び髄膜炎菌NadA抗原を含む。そのような組成物は、好ましくは、髄膜炎菌OMVも含む。
【0035】
本発明による淋菌に対して被験体を免疫化するための特に好ましい免疫原性組成物は、BEXSERO(登録商標)及びMENVEO(登録商標)を含む。そのような免疫原性組成物は、髄膜炎菌A、B、C、W135、及びY血清型のそれぞれに対する抗原を含む。
【0036】
本発明の別の態様は、淋菌外膜小胞(OMV)を含む免疫原性組成物を投与することによって、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体を、淋菌に対して免疫化する方法を提供する。
【0037】
同様に、本発明は、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体の、淋菌に対する免疫化に使用するための免疫原性組成物であって、淋菌外膜小胞(OMV)を含む、免疫原性組成物を提供する。
【0038】
また、本発明は、淋菌に対して被験体を免疫化するための医薬の製造における、淋菌外膜小胞(OMV)の使用を提供する。
【0039】
本発明のこれらの態様では、淋菌OMVを含む免疫原性組成物又は医薬はまた、(i)ナイセリアNHBA抗原; (ii)ナイセリアfHbp抗原; (iii)ナイセリアNadA抗原; (iv)ナイセリアGNA1030抗原; (v)ナイセリアGNA2091抗原; (vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135のうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖; 及び(vii)髄膜炎菌OMV、のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、免疫原性組成物又は医薬は、淋菌OMV及び淋菌NHBAを含む。
【0041】
免疫原性組成物又は医薬が、1つ以上のタンパク質抗原と組み合わせてナイセリアOMVを含む場合、前記のタンパク質抗原の1つ以上は、好ましくは、例えば可溶性形態で、OMV成分から分離されている。
【0042】
淋菌に対する防御
本発明は、免疫原性組成物のレシピエントが、淋菌細菌による感染及び/又は疾患に対する防御を提供する免疫反応を開始するように、淋菌によって引き起こされる感染及び/又は疾患(例えば、淋病及び関連合併症、例えば、骨盤炎症性疾患、及び淋菌による無症候性感染)に対して被験体を免疫化するために使用される。
【0043】
したがって、本発明による免疫原性組成物は、淋菌によって引き起こされる感染及び/又は疾患に対して被験体を免疫化するための予防的方法において使用される。免疫原性組成物はまた、治療方法において(すなわち、淋菌感染を治療するために)使用してもよい。
【0044】
淋菌に対する防御は、例えば臨床試験において、疫学的に測定することができるが、免疫原性組成物が、レシピエントにおいて血清殺細菌性抗体(SBA)反応を誘導することを確認するための間接的手段を使用するのが便利である。SBAアッセイでは、その組成物のレシピエントに由来する血清を、補体(仔ウサギ補体が代わりに使用されることが多いが、好ましくはヒト補体)の存在下で標的細菌(本発明では淋菌)と共にインキュベートし、細菌の死滅を血清の様々な希釈度で評価し、SBA活性を決定する。SBAアッセイにおいて観察される結果は、目的抗原(複数可)の免疫原性活性のさらなる間接的証拠を提供するための競合的SBAアッセイを実施することによって補強することができる。競合的SBAアッセイでは、抗原(複数可)を含有する免疫原性組成物のレシピエントに由来する血清を、前記抗原(複数可)と共にプレインキュベートし、続いて、ヒト補体の存在下で標的細菌と共にインキュベートする。次いで、細菌の死滅を評価するが、レシピエントの血清中の殺細菌性抗体が、プレインキュベーション段階の間に目的抗原に結合し、したがって、細菌上の表面抗原に結合するのに利用可能でない場合、その死滅は低減するか、又はなくなる。
【0045】
上記組成物が、淋菌のありとあらゆる株に対して防御機能を有するべきであったり、又は上記組成物のありとあらゆるレシピエントが防御されなければならなかったりする必要はない。そのような普遍的な防御は、この分野の通常の標準ではない。むしろ、防御は、通常、参照実験室株の一群、例えば、FA1090、MS11、及びF62(国ごとに選択されることが多く、恐らく時と共に変化する)に対して評価され、レシピエントの集団にわたって測定される。現在、淋病に対する防御に利用可能なワクチンがないことを背景に、低レベルの交差防御でも、ワクチン接種の価値がある可能性がある。実際、髄膜炎菌ワクチンの淋菌感染率に対する理論的影響のモデル化は、そのようなワクチン接種が、淋菌に対する20%という低いワクチン効力でも(又は抗生物質耐性が実質的に上昇するならば10%でも)費用対効果が高いであろうことを示す[15]。
【0046】
淋菌に対して免疫化されるのと同様に、レシピエントはまた、髄膜炎菌の1つ以上の血清群、例えば、血清群A、B、C、W135、X、及び/又はYのうちの1つ以上に対して免疫化され得る(血清群A、C、W135、及び/又はYに由来する莢膜糖の不存在下でさえ)。例えば、参考文献16は、BEXSERO(登録商標)中の抗原が、血清群Yに対して防御できることを報告し、参考文献17は、fHbpが、血清群B単独を超えた防御を提供し得ることを示唆し、参考文献18は、BEXSERO(登録商標)中の抗原が、血清群Xに対して防御できることを教示する。
【0047】
免疫原性組成物
本発明は、淋菌に対して被験体を防御するために免疫原性組成物(例えば、ワクチン)を使用する。上記組成物は、免疫原性量の、上に提供された抗原又は抗原の組み合わせの少なくとも1つを含む。
【0048】
上記組成物は、免疫原性量の淋菌莢膜糖を含まず、すなわち、淋菌に対する防御は、抗糖反応によって説明することはできない。淋菌莢膜糖は、遊離糖、コンジュゲート化糖、又は膜に位置する糖(例えば、OMVにおける)としては存在しない。好ましくは、組成物はまた、髄膜炎菌血清群A及び/又はCに由来する非コンジュゲート化莢膜糖を含まない。組成物は、非病原性であり、髄膜炎菌又は淋菌の細胞全体を含まない。
【0049】
好ましい組成物は、(i)アミノ酸配列配列番号8を含む又はそれからなるNHBA抗原、例えば、配列番号9; (ii)アミノ酸配列配列番号6を含む又はそれからなるfHbp抗原、例えば、配列番号7; 及び(iii)アミノ酸配列配列番号10を含む又はそれからなるNadA抗原、のそれぞれを含む。BEXSERO(登録商標)は、そのような組成物の1つである。そのような組成物は、好ましくは、髄膜炎菌OMVをさらに含む。
【0050】
配列番号6(髄膜炎菌fHbp)、8(髄膜炎菌NHBA)、及び10(髄膜炎菌NadA)は、組み合わせにおいて有用なアミノ酸配列であるが、本発明は、これらのまさにその配列に限定されない。したがって、改変された配列が、未改変配列からなるポリペプチドに依然として結合する抗体を誘導することができることを条件として、これらのアミノ酸配列の1、2、又は3つ全ては、独立して、最大5個の単一アミノ酸変化(すなわち、1、2、3、4、又は5個の単一アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入)によって改変することができる。
【0051】
組成物中のポリペプチド(又はそのサブセット、例えば、非OMV又は可溶性ポリペプチド)は、実質的に等しい質量で存在してもよく、すなわち、それらのそれぞれの質量は、組成物中の全ポリペプチドの平均質量(又はポリペプチドの選択されたサブセットの平均質量)の±5%以内である。例えば、組成物が、NHBA、fHbp、及びNadAを含む場合、それらは、実質的に等しい質量で、例えば、a:b:c(ここで、a、b、及びcのそれぞれは、0.95~1.05である)の質量比で存在してもよい。
【0052】
NadAは、これまでに研究された全ての淋菌に存在しない(参考文献19及び20を参照のこと)。
【0053】
これまでに研究された淋菌株におけるfHbp遺伝子は、40位におけるG残基の挿入によって、同等の髄膜炎菌遺伝子と部分的に異なり、この挿入は、リポボックスモチーフの喪失を引き起こすフレームシフトをもたらす(参考文献10及び20を参照のこと)。さらに、淋菌の少なくとも1つの株の淋菌fHbpは、表面発現されず、H因子に結合しない[21]。したがって、これら2つの抗原は、淋菌の表面上に発現される、例えばNHBAによる免疫化によって提供される防御と比較して、より限定された範囲の淋菌株に対して(あったとしても)狭い防御のみを与えるであろうことが予期される(実施例4を参照のこと)。このため、NadA単独、fHbp単独、又はNadAとfHbpのみの組み合わせに基づく免疫原性組成物は、本発明で使用するには好ましくない。これらの抗原のいずれか又は両方が使用される場合、好ましくは以下の成分のうちの1つ以上が、免疫原性組成物にさらに含まれる: NHBAナイセリア抗原; GNA1030ナイセリア抗原; GNA2091ナイセリア抗原; 髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖。
【0054】
NHBA(ナイセリアヘパリン結合抗原)
NHBAは、遺伝子NMB2132(GenBankアクセション番号GI:7227388; 本明細書中で配列番号4)として、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公表されたゲノム配列に含まれた[22]。それ以後、多くの株に由来するNHBAの配列が公表されている。例えば、NHBAのアレル型(タンパク質「287」と称される)は、参考文献23の
図5及び15、並びに参考文献24の実施例13及び
図21(その中の配列番号3179~3184)に見ることができる。NHBAの様々な免疫原性フラグメントも報告されている。このタンパク質は、ヘパリン結合タンパク質であると確認され、参考文献25においてNHBAと命名された。
【0055】
本明細書におけるNHBAへの言及は、野生型NHBAポリペプチド配列のN末端がそのポリグリシン配列まで(そのポリグリシン配列を含めて)欠失している(すなわち、髄膜炎菌株MC58における残基1~24の欠失(配列番号4))、NHBAの末端切断型バリアントを含む。得られた末端切断型バリアントは、時折、前につけた「ΔG」の使用によって本明細書において区別される。この欠失は、発現を増強することができる。髄膜炎菌NHBAの「ΔG」バリアントは、本明細書において配列番号8と称される。淋菌NHBAの「ΔG」バリアントは、本明細書において配列番号15と称される。
【0056】
本発明で使用するための好ましいNHBA抗原は、(a)配列番号4に対して70%以上の同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又はそれを超える)を有し; 及び/又は(b)配列番号4の少なくとも「n」個連続したアミノ酸のフラグメントを含む(「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又はそれを超える)である)アミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号4に由来するエピトープを含む。本発明で使用するための特に好ましいNHBA抗原は、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0057】
最も有用な髄膜炎菌NHBA抗原は、被験体に投与されると、アミノ酸配列配列番号4からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合する抗体を誘導する。本発明で使用するための有利な髄膜炎菌NHBA抗原は、被験体への投与後に殺細菌性抗淋菌性抗体を誘導することができる。
【0058】
本発明で使用するための他の好ましいNHBA抗原は、淋菌NHBA配列、例えば、(a)配列番号15に対して70%以上の同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又はそれを超える)を有し; 及び/又は(b)配列番号15の少なくとも「n」個連続したアミノ酸のフラグメントを含む(「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又はそれを超える)である)アミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号15に由来するエピトープを含む。
【0059】
ナイセリアNHBA抗原配列(髄膜炎菌性であろうと、又は淋菌性であろうと)を含むポリペプチドは、その配列を単独で含み得るか、又はそれは融合タンパク質であり得る。NHBA配列に対する1つの有用な融合パートナーは、GNA1030(953)ポリペプチドであり、これは、通常、NHBA配列の下流にある。したがって、NHBA抗原は、NHBA-GNA1030融合体(例えば、髄膜炎菌NHBA抗原について配列番号9)として本発明の組成物中に存在することができる。
【0060】
NadA(ナイセリアアドヘシンA)
NadA抗原は、遺伝子NMB1994(GenBankアクセション番号GI:7227256; 本明細書中で配列番号5)として、髄膜炎菌血清群B株MC58についての公表されたゲノム配列に含まれた[22]。それ以後、多くの株に由来するNadA抗原の配列が公表されており、ナイセリアアドヘシンとしてのタンパク質の活性は十分に実証されている。NadAの様々な免疫原性フラグメントも報告されている。このタンパク質は、アドヘシンであると確認され、参考文献26においてNadAと命名された。
【0061】
本発明で使用するための好ましいNadA抗原は、(a)配列番号5に対して70%以上の同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又はそれを超える)を有し; 及び/又は(b)配列番号5の少なくとも「n」個連続したアミノ酸のフラグメントを含む(「n」は7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又はそれを超える)である)アミノ酸配列を含む。(b)の好ましいフラグメントは、配列番号5に由来するエピトープを含む。
【0062】
最も有用なNadA抗原は、被験体への投与後に、アミノ酸配列配列番号5からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合することができる抗体を誘導することができる。配列番号10は、そのようなフラグメントの1つである。本発明に従って使用するための特に好ましいNadA抗原は、配列番号10を含む。
【0063】
fHbp(H因子結合タンパク質)
fHbp抗原は、詳細に特徴付けられている。それはまた、タンパク質「741」(参考文献24における配列番号2535及び2536)、「NMB1870」、「GNA1870」[27~29]、「P2086」、「LP2086」、又は「ORF2086」[30~32]としても知られている。それは、多くの髄膜炎菌血清群にわたって発現され、これらにおいて、それはリポタンパク質である。fHbpのC末端免疫優性ドメイン(「fHbpC」)の構造は、NMRによって決定されている[33]。このタンパク質のこの部分は、8本鎖のβ-バレルを形成し、それらの鎖は、可変長のループによって連結されている。バレルの前には、短いα-ヘリックス及び柔軟なN末端尾部がある。このタンパク質は、H因子結合タンパク質であると確認され、参考文献34においてfHbpと命名された。fHbp抗原はまた、淋菌に存在し、髄膜炎菌fHbpと淋菌fHbpの主な違いは、N末端にある[10]。淋菌において、髄膜炎菌fHbpのホモログは、Ghfpとしても知られている。
【0064】
fHbp抗原は、3つの異なるバリアントに分類され[35]、髄膜炎菌に関しては、所与のファミリーに対して生じた血清は、同じファミリー内で殺細菌性であるが、他の2つのファミリーのうちの1つを発現する株に対しては有効ではなく、すなわち、ファミリー内の交差防御はあるが、ファミリー間の交差防御はないことが見出されている。本発明は、単一のfHbpバリアントを使用することができるが、より広い適用範囲を提供するために、組成物は、バリアントの2つ又は3つに由来するfHbpを有用に含むことができる。公知の淋菌fHbp配列は、バリアント3由来である[10]。
【0065】
組成物が、単一のfHbp抗原を含む場合、それは、以下のうちの1つを含み得る:
(a)第1のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドであって、第1のアミノ酸配列は、(i)配列番号1に対して少なくともa%の配列同一性を有し、及び/又は(ii)配列番号1に由来する少なくともx個連続したアミノ酸のフラグメントからなる、アミノ酸配列を含む、第1のポリペプチド;
(b)第2のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドであって、第2のアミノ酸配列は、(i)配列番号2に対して少なくともb%の配列同一性を有し、及び/又は(ii)配列番号2に由来する少なくともy個連続したアミノ酸のフラグメントからなる、アミノ酸配列を含む、第2のポリペプチド;
(c)第3のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチドであって、第3のアミノ酸配列は、(i)配列番号3に対して少なくともc%の配列同一性を有し、及び/又は(ii)配列番号3に由来する少なくともz個連続したアミノ酸のフラグメントからなる、アミノ酸配列を含む、第3のポリペプチド。
【0066】
組成物が、2つの異なる髄膜炎菌fHbp抗原を含む場合、それは、(i)上に定義される第1及び第2のポリペプチド; (ii)上に定義される第1及び第3のポリペプチド; 又は(iii)上に定義される第2及び第3のポリペプチド、の組み合わせを含んでもよい。第1及び第3のポリペプチドの組み合わせが好ましい。単一のfHbp抗原が使用される場合、それは、上記の第1又は第3のポリペプチドであることが好ましい。
【0067】
他の実施形態では、組成物は、上に定義される第1、第2、及び第3のポリペプチドにて、3つの異なる髄膜炎菌fHbp抗原を含む。
【0068】
組成物が、2つ又は3つの異なる髄膜炎菌fHbp抗原を含む場合、これらは、共通の一部の配列を持ち得るが、第1、第2、及び第3のポリペプチドは、異なるfHbpアミノ酸配列を有する。
【0069】
第1のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与されると、成熟アミノ酸配列配列番号1(株MC58)を有する野生型髄膜炎菌タンパク質に結合する抗体を含む抗体反応を誘導する。いくつかの実施形態では、これらの抗体のうちの一部又は全ては、成熟アミノ酸配列配列番号2を有する野生型髄膜炎菌タンパク質、又は成熟アミノ酸配列配列番号3を有する野生型髄膜炎菌タンパク質に結合しない。
【0070】
第2のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与されると、成熟アミノ酸配列配列番号2(株961-5945)を有する野生型髄膜炎菌タンパク質に結合する抗体を含む抗体反応を誘導する。いくつかの実施形態では、これらの抗体のうちの一部又は全ては、成熟アミノ酸配列配列番号1を有する野生型髄膜炎菌タンパク質、又は成熟アミノ酸配列配列番号3を有する野生型髄膜炎菌タンパク質に結合しない。
【0071】
第3のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、被験体に投与されると、成熟アミノ酸配列配列番号3(M1239)を有する野生型髄膜炎菌タンパク質に結合する抗体を含む抗体反応を誘導する。いくつかの実施形態では、これらの抗体のうちの一部又は全ては、成熟アミノ酸配列配列番号1を有する野生型髄膜炎菌タンパク質、又は成熟アミノ酸配列配列番号2を有する野生型髄膜炎菌タンパク質に結合しない。
【0072】
いくつかの実施形態では、配列番号1に由来する少なくともx個連続したアミノ酸のフラグメントはまた、配列番号2内又は配列番号3内には存在しない。同様に、配列番号2に由来する少なくともy個連続したアミノ酸のフラグメントはまた、配列番号1内又は配列番号3内には存在しなくてよい。同様に、配列番号3に由来する少なくともz個連続したアミノ酸のフラグメントはまた、配列番号1内又は配列番号2内には存在しなくてよい。いくつかの実施形態では、配列番号1~3のうちの1つに由来する前記フラグメントが、他の2つの配列番号に対して連続配列としてアラインメントされる場合、そのフラグメントと、他の2つの配列番号のそれぞれとの間の同一性は、75%未満、例えば、70%未満、65%未満、60%未満などである。
【0073】
aの値は、少なくとも80、例えば、82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99であるか、又はそれを超える。bの値は、少なくとも80、例えば、82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99であるか、又はそれを超える。cの値は、少なくとも80、例えば、82、84、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99であるか、又はそれを超える。a、b、及びcの値は、同じでも又は異なってもよい。いくつかの実施形態では、a、b、及びcは、同一である。
【0074】
xの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250である。yの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250である。zの値は、少なくとも7、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、250である。x、y、及びzの値は、同じでも又は異なってもよい。いくつかの実施形態では、x、y、及びzは、同一である。
【0075】
フラグメントは、好ましくは、それぞれの配列番号の配列に由来するエピトープを含む。他の有用なフラグメントは、その少なくとも1つのエピトープを保持しながら、それぞれの配列番号のC末端に由来する1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個、又はそれを超える)、及び/又はN末端に由来する1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個、又はそれを超える)を欠く。
【0076】
本発明で使用されるアミノ酸配列は、配列番号1、2、又は3と比較して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の保存的アミノ酸置換、すなわち、1つのアミノ酸の、関連する側鎖を有する別のアミノ酸による置換を含んでもよい。遺伝的にコードされたアミノ酸は、一般に、4つのファミリーに分けられる: (1)酸性、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸; (2)塩基性、すなわち、リジン、アルギニン、ヒスチジン; (3)非極性、すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン; 及び(4)非荷電極性、すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンは、時折、共同で芳香族アミノ酸として分類される。一般に、これらのファミリー内の単一アミノ酸の置換は、生物学的活性に大きな影響を及ぼさない。ポリペプチドは、参照配列に対して1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の単一アミノ酸欠失を有してもよい。ポリペプチドはまた、参照配列に対して1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の挿入(例えば、1、2、3、4、又は5個のアミノ酸のそれぞれ)を含んでもよい。
【0077】
有用な第1のアミノ酸配列は、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性(例えば、≧90%、95%又は100%)を有する。別の有用な第1のアミノ酸配列は、配列番号12に対して少なくとも95%の同一性(例えば、≧98%又は100%)を有する。本発明に従って使用するための好ましいfHbp配列は、配列番号6を含む。
【0078】
有用な第3のアミノ酸配列は、配列番号3に対して少なくとも85%の同一性(例えば、≧90%、95%又は100%)を有する。別の有用な第3のアミノ酸配列は、配列番号11に対して少なくとも95%の同一性(例えば、≧98%又は100%)を有する。
【0079】
配列番号11及び12(又はそれらの近縁なバリアント)に基づく第1及び第3の配列の混合物を含む組み合わせは、特に有用である。したがって、組成物は、アミノ酸配列配列番号11を含むポリペプチド、及びアミノ酸配列配列番号12を含むさらなるポリペプチドを含んでもよい。
【0080】
本発明で使用することができる別の有用なfHbpは、例えば、参考文献36に開示される改変形態の1つであり、例えば、それからの配列番号20又は23を含む。これらの改変形態は、様々なfHbpバリアントに対して広く殺細菌性である抗体反応を誘導するために、単一のfHbpポリペプチドを使用することができる。参考文献36における配列番号77は、使用できる別の有用なfHbp配列である。
【0081】
本発明で使用されるfHbp抗原は、例えばN末端システイン残基において、脂質付加することができる。他の実施形態では、それらは、脂質付加されず、天然の成熟N末端システインの上流のアミノ酸配列を含み得る。配列番号1~3及び11~12は、関連する成熟fHbpポリペプチドの天然N末端に由来するシステインで始まる。脂質付加されたfHBPについて、システインに結合した脂質は、通常、例えば、トリパルミトイル-S-グリセリル-システイン(Pam3Cys)、ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン(Pam2Cys)、N-アセチル(ジパルミトイル-S-グリセリルシステイン)などとして、パルミトイル残基を含む。
【0082】
fHBPの投与は、好ましくは、アミノ酸配列配列番号1、2、又は3からなる髄膜炎菌ポリペプチドに結合することができる抗体を誘導する。本発明で使用するための有利なfHBP抗原は、被験体への投与後に殺細菌性抗淋菌性抗体を誘導することができる。
【0083】
fHbpポリペプチドの総量は、通常、1μg/用量~500μg/用量、例えば、60μg/用量~200μg/用量、又は120μg/ml~500μg/mlである。
【0084】
fHbp抗原配列を含むポリペプチドは、その配列を単独で含み得るか、又はそれは融合ポリペプチドであり得る。fHbp配列に対する1つの有用な融合パートナーは、GNA2091ポリペプチドであり、これは、通常、fHbp配列の上流にある。したがって、fHbp抗原は、GNA2091-fHbp融合体、例えば、配列番号7として本発明の組成物中に存在することができる。
【0085】
本発明で使用される組成物はまた、上記の(a)~(c)で定義される第1、第2、及び第3のアミノ酸配列の2つ又は3つを含むfHbp融合タンパク質を含んでもよい。
【0086】
本発明で使用される組成物はまた、ヒトH因子(fH)への結合を減少させるために、配列番号1、2、又は3(それぞれfHbpバリアント1、2、又は3)と比較して変異しているfHbpタンパク質を含んでもよい。適切な変異は、参考文献37に開示される。
【0087】
GNA1030抗原
髄膜炎菌血清群Bに由来する「GNA1030」タンパク質は、参考文献24において「953」として(その中の配列番号2917及び2918)、及び参考文献22において「NMB1030」として開示される(GenBankアクセション番号GI:7226269も参照のこと)。血清群A[38]における対応するタンパク質は、GenBankアクセション番号7380108を有する。
【0088】
本発明に従って使用される場合、GNA1030タンパク質は、様々な形態をとり得る。GNA1030の好ましい形態は、参考文献39、40、及び41に開示されるものなどの、末端切断バリアント又は欠失バリアントである。特に、GNA1030のN末端リーダーペプチドを欠失させて(すなわち、株MC58についての残基1~19の欠失[配列番号13])、GNA1030(NL)を得てもよい。
【0089】
好ましいGNA1030配列は、配列番号13に対して50%以上の同一性(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又はそれを超える)を有する。これは、GNA1030バリアント(例えば、アレルバリアント、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)を含む。GNA1030のアレル型は、参考文献23の
図19に見ることができる。
【0090】
他の好ましいGNA1030配列は、配列番号13に由来する少なくともn個連続したアミノ酸を含み、nは7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又はそれを超える)である。好ましいフラグメントは、GNA1030に由来するエピトープを含み、その場合、目的の病原体中のエピトープの検出は、そのエピトープに対するモノクローナル抗体を用いて実施し得る。他の好ましいフラグメントは、配列番号13のC末端及び/又はN末端に由来する1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個、又はそれを超える)を欠く。
【0091】
GNA2091抗原
髄膜炎菌血清群Bに由来する「GNA2091」タンパク質は、参考文献24においてタンパク質936として(配列番号2883及び2884)、及び参考文献22において「NMB2091」として開示される(GenBankアクセション番号GI:7227353も参照のこと)。血清群A[38]における対応する遺伝子は、GenBankアクセション番号7379093を有する。
【0092】
本発明に従って使用される場合、GNA2091タンパク質は、様々な形態をとり得る。GNA2091の好ましい形態は、参考文献39、40、及び41に開示されるものなどの、末端切断バリアント又は欠失バリアントである。特に、GNA2091のN末端リーダーペプチドを欠失させて(すなわち、株MC58についての残基1~23の欠失[配列番号14])、GNA2091(NL)を得てもよい。
【0093】
好ましいGNA2091配列は、配列番号14に対して50%以上の同一性(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又はそれを超える)を有する。これは、バリアント(例えば、アレルバリアント、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)を含む。
【0094】
他の好ましいGNA2091配列は、配列番号14に由来する少なくともn個連続したアミノ酸を含み、nは7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又はそれを超える)である。好ましいフラグメントは、GNA2091に由来するエピトープを含み、その場合、目的の病原体中のエピトープの検出は、そのエピトープに対するモノクローナル抗体を用いて実施し得る。他の好ましいフラグメントは、配列番号14のC末端及び/又はN末端に由来する1つ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25個、又はそれを超える)を欠く。
【0095】
外膜小胞
いくつかの態様及び実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、ナイセリア(髄膜炎菌又は淋菌)OMVを含む。任意選択で、そのようなOMVを含有する実施形態では、組成物は、例えば可溶性形態で、OMV成分から分離された上に挙げた抗原(すなわち、NHBA、NadA、GNA1030、又はGNA2091)の少なくとも1つを含む。したがって、これらの組成物は、OMVを1つ以上の可溶性抗原と混合することによって調製され、これは、参考文献42及び43で採用された手法とは対照をなす。
【0096】
組成物がOMVを含む場合、これらのOMVは、髄膜炎菌又は淋菌の外膜を破壊するか又はそれからブレブ形成して、外膜からの抗原を保持する、それらに由来する小胞を形成することによって得られる、任意のプロテオリポソーム小胞であり得る。したがって、この用語は、例えば、OMV(時折「ブレブ」と称される)、微小胞(MV)、無界面活性剤法を用いて細胞から抽出された「ネイティブOMV」(「NOMV」)、及び界面活性剤抽出OMV(dOMV)、例えば、デオキシコール酸塩処理を用いて細胞から抽出されたOMVを含む。様々なそのような小胞が当技術分野で公知であり(例えば、参考文献44~58を参照のこと)、これらのいずれも、本発明の組成物内に含めることができる。
【0097】
OMVの質量は、総タンパク質の量として測定される。
【0098】
好ましい髄膜炎菌OMVは、PorA血清型1.4を含む。好ましくは、OMVは、PorA可変領域エピトープ1.7-2(VR1)及び/又は1.4(VR2)を含む。これらのエピトープの両方を含むOMVは、より好ましい(すなわち、P1.7-2,4)。株NZ98/254から得られるOMVは、特に好ましい。
【0099】
髄膜炎菌糖抗原
組成物は、担体タンパク質にコンジュゲート化した1つ以上の髄膜炎菌糖抗原を含むことができる。したがって、例えば、組成物は、血清群A、C、W135、及び/又はYに由来する1つ以上の莢膜糖を含んでもよい。例えば、組成物は、MENVEO(登録商標)、MENACTRA(登録商標)、又はNIMENRIX(登録商標)製品(これらの全ては、血清群A、C、W135、及びYのそれぞれについてのコンジュゲート化莢膜糖を含む)中に存在するコンジュゲートを含んでもよい。
【0100】
血清群A、C、W135、及びYの2、3、又は4個に由来するコンジュゲート化糖抗原を含む多価組成物が好ましく、例えば、A+C、C+Y、W135+Y、A+W135+Y、A+C+W135+Yなどがある。少なくとも血清群Cに由来するコンジュゲート化糖抗原を含む組成物が好ましく(例えば、A+C)、同様に、少なくとも、血清群Yに由来するコンジュゲート化糖抗原を含む組成物が好ましい。血清群A、C、W135、及びYの4つ全てに由来するコンジュゲート化糖を含む組成物が、最も好ましい。
【0101】
組成物が髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYに由来する髄膜炎菌莢膜糖(免疫原性組成物のOMV成分の一部ではない)を含む場合、莢膜糖は、担体タンパク質にコンジュゲート化される。
【0102】
血清群A髄膜炎菌の莢膜糖は、C3位及びC4位における部分的O-アセチル化を有する、(α1→6)結合N-アセチル-D-マンノサミン-1-ホスフェートのホモポリマーである。C-3位でのアセチル化は、70~95%であり得る。糖を精製するために使用される条件は、脱O-アセチル化をもたらすことができる(例えば、塩基性条件下で)が、このC-3位にOAcを保持することは有用である。いくつかの実施形態では、血清群A糖におけるマンノサミン残基の少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、又はそれを超える)は、C-3位でO-アセチル化される。アセチル基は、加水分解を防ぐために保護基で置き換えることができ[59]、このような修飾糖は、依然として本発明の意味の範囲内の血清群A糖である。
【0103】
血清群C莢膜糖は、(α2→9)結合シアル酸(N-アセチルノイラミン酸、又は「NeuNAc」)のホモポリマーである。糖構造は、→9)-Neu p NAc 7/8 OAc-(α2→と記載される。ほとんどの血清群C株は、シアル酸残基のC-7及び/又はC-8にO-アセチル基を有するが、臨床分離株の約15%は、これらのO-アセチル基を欠く[60,61]。OAc基の存在又は不存在は、独自のエピトープを生成し、糖に結合する抗体の特異性は、O-アセチル化(OAc+)及び脱O-アセチル化(OAc-)株に対するその殺細菌活性に影響を与え得る[62~64]。本発明で使用される血清群C糖は、OAc+又はOAc-株のいずれかから調製してよい。認可されたMen-Cコンジュゲートワクチンは、OAc-(NEISVAC-C(商標))及びOAc+(MENJUGATE(商標)及びMENINGITEC(商標))糖の両方を含む。いくつかの実施形態では、血清群Cコンジュゲートの産生のための株は、OAc+株、例えば、血清型16、血清亜型P1.7a,1などの株である。したがって、C:16:P1.7a,1 OAc+株を使用してもよい。血清亜型P1.1におけるOAc+株も有用であり、例えば、C11株がある。
【0104】
血清群W135糖は、シアル酸-ガラクトース二糖単位のポリマーである。血清群C糖と同様に、それは、可変のO-アセチル化を有するが、シアル酸の7位及び9位におけるものである[65]。構造は、→4)-D-Neup5Ac(7/9OAc)-α-(2→6)-D-Gal-α-(1→と記載される。
【0105】
二糖繰り返し単位が、ガラクトースの代わりにグルコースを含むことを除いて、血清群Y糖は、血清群W135糖に類似している。血清群W135と同様に、それは、シアル酸の7位及び9位に可変のO-アセチル化を有する[65]。血清群Yの構造は、→4)-D-Neup5Ac(7/9OAc)-α-(2→6)-D-Glc-α-(1→と記載される。
【0106】
本発明に従って使用される糖は、上記のようにO-アセチル化されていてもよく(例えば、天然莢膜糖に見られるのと同じO-アセチル化パターンで)、又はそれらは、糖環の1つ以上の位置で部分的又は全体的に脱O-アセチル化されていてもよく、又はそれらは、天然莢膜糖と比較して高O-アセチル化されていてもよい。
【0107】
コンジュゲート中の糖部分は、髄膜炎菌から調製されるような完全長糖を含んでよく、及び/又は完全長糖のフラグメントを含んでよく、すなわち、糖は、細菌中に見られる天然莢膜糖より短くてもよい。したがって、糖を脱重合してもよく、脱重合は、糖精製の間又は後であるが、コンジュゲーションの前に生じる。脱重合は、糖の鎖長を短くする。1つの脱重合方法は、過酸化水素の使用を含む[66]。過酸化水素を糖に添加し(例えば、1%の最終H2O2濃度を与えるために)、次いで、所望の鎖長短縮が達成されるまで、混合物をインキュベートする(例えば、約55℃で)。別の脱重合方法は、酸加水分解を含む[66]。他の脱重合方法は、当技術分野において公知である。本発明に従って使用するためのコンジュゲートを調製するために使用される糖は、これらの脱重合方法のいずれによっても入手可能であり得る。免疫原性に最適な鎖長を提供するために、及び/又は糖の物理的扱いやすさのために鎖長を短くするために、脱重合を使用することができる。いくつかの実施形態では、糖は、以下の範囲の平均重合度(Dp)を有する: A=10~20; C=12~22; W135=15~25; Y=15~25。Dpではなく、分子量に関しては、有用な範囲は、全ての血清群について: <100kDa; 5kDa~75kDa; 7kDa~50kDa; 8kDa~35kDa; 12kDa~25kDa; 15kDa~22kDa(糖MW)である。
【0108】
いくつかの実施形態では、髄膜炎菌血清群A、C、W135、及びYのそれぞれに由来する糖の平均分子量は、特にMALLSによって決定した場合、50kDa超、例えば、≧75kDa、≧100kDa、≧110kDa、≧120kDa、≧130kDaなど[67]、及び最大1500kDaでさえあってもよい。例えば、Men-A糖は、50~500kDa、例えば、60~80kDaの範囲であってよく; Men-C糖は、100~210kDaの範囲であってよく; Men-W135糖は、60~190kDa、例えば、120~140kDaの範囲であってよく; 及び/又はMen-Y糖は、60~190kDa、例えば、150~160kDaの範囲であってよい。
【0109】
免疫原性組成物中の血清群あたりの髄膜炎菌糖の質量は、通常、血清群あたり1μg~20μg、例えば、2μg~10μg、又は約4μg又は約5μg又は約10μgである。2つ以上の血清群に由来するコンジュゲートが含まれる場合、それらは、実質的に等しい質量において存在してよく、例えば、各血清群の糖の質量は、互いの+10%以内である。同等比率の代わりに、2倍の質量の血清群A糖を使用してもよい。したがって、ワクチンは、10μgのMen-A糖、並びにそれぞれ5μgのMen-C、-W135、及び-Y糖を含んでもよい。
【0110】
コンジュゲートに使用するための典型的な担体タンパク質は、細菌毒素、例えば、ジフテリア毒素[例えば、参考文献68の第13章; 参考文献69~72を参照のこと](又はそのCRM197変異体[73~76])、及び破傷風毒素(通常はトキソイド形態において)(例えば、ホルマリン又はホルムアルデヒドなどの不活性化化学物質による処理によって得られる)である。他の好適な担体タンパク質としては、髄膜炎菌外膜タンパク質複合体[77]、合成ペプチド[78,79]、熱ショックタンパク質[80,81]、百日咳タンパク質[82,83]、サイトカイン[84]、リンホカイン[84]、ホルモン[84]、成長因子[84]、様々な病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4+ T細胞エピトープを含む人工タンパク質[85]、例えば、N19[86]、インフルエンザ菌(H.influenzae)に由来するタンパク質D[87~89]、ニューモリシン[90]若しくはその無毒性誘導体[91]、肺炎球菌表面タンパク質PspA[92]、鉄取り込みタンパク質[93]、C.ディフィシル(C.difficile)に由来する毒素A若しくはB[94]、組み換え緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)エキソプロテインA(rEPA)[95]などが挙げられる。
【0111】
単一の担体タンパク質分子は、多数の異なる血清群に由来する糖を有してもよいが[96]、このアレンジメントは好ましくはない。血清型コンジュゲートは、好ましくは、別々に調製され、次いで、混合される。したがって、複数の血清群を有する単一のタンパク質を使用しないことが好ましい(参考文献96及び97を参照のこと)。混合後、混合コンジュゲートの濃度は、例えば無菌パイロジェンフリーの、リン酸緩衝生理食塩水で調整することができる。凍結乾燥された成分が、2つ以上の髄膜炎菌血清群に由来するコンジュゲートを含む場合、様々なコンジュゲートは、異なる担体タンパク質を使用してもよく(例えば、CRM197上の1つの血清群、破傷風トキソイド上の別の血清群)、又はそれらは、同じ担体タンパク質を使用してもよい(例えば、2つの血清群に由来する糖を別々にCRM197にコンジュゲート化させ、次いで組み合わせる)。
【0112】
4つの特に好ましい担体タンパク質は、ジフテリアトキソイド(Dt)、破傷風トキソイド(Tt)、CRM197、及びインフルエンザ菌に由来するタンパク質Dである。これらのタンパク質は、小児用ワクチンで現在使用されている主要な担体であるので、好ましく、例えばGSKからのHibコンジュゲートは、担体としてTtを使用し、HibTITER(商標)製品は、CRM197を使用し、PREVNAR(商標)における肺炎球菌コンジュゲートは、CRM197を使用し、MENACTRA(商標)製品は、Dtを使用し、MENJUGATE(商標)及びMENINGITEC(商標)製品は、CRM197を使用し、NEISVAC-C(商標)は、Ttを使用する。
【0113】
1:5(すなわち、タンパク質過剰)~5:1(すなわち、糖過剰)の糖:タンパク質比率(w/w)を有するコンジュゲートを使用してよく、例えば、1:2~5:1の比率、及び1:1.25~1:2.5の比率を使用してもよい。参考文献98に記載されるように、混合物中の異なる髄膜炎菌血清群コンジュゲートは、異なる糖:タンパク質比率を有することができ、例えば、あるものは1:2~1:5の比率を有してよく、一方、別のものは5:1~1:1.99の比率を有する。担体がDtである場合、約1:12又は約1:3の糖:タンパク質比率を有するコンジュゲートが有用である。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、理想的には、担体タンパク質の質量過剰を有する。
【0114】
担体分子は、直接又はリンカーを介して、共有結合により髄膜炎菌糖にコンジュゲート化されていてもよい。例えばアジピン酸リンカーなどの様々なリンカーが公知であり、これは、(例えば、アミノ化によって糖に導入された)遊離-NH2基をアジピン酸と(例えば、ジイミド活性化を用いて)カップリングさせ、次いで、得られた糖-アジピン酸中間体にタンパク質をカップリングさせることによって形成してもよい[99,100]。別の好ましいタイプの結合は、カルボニルリンカーであり、これは、修飾グルカンの遊離ヒドロキシル基をCDIと反応させ[101,102]、次いでタンパク質と反応させてカルバメート結合を形成することによって形成してもよい。他のリンカーとしては、β-プロピオンアミド[103]、ニトロフェニル-エチルアミン[104]、ハロアシルハライド[105]、グリコシド結合[106]、6-アミノカプロン酸[107]、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオネート(SPDP)[108]、アジピン酸ジヒドラジドADH[109]、C4~C12部分[110]などが挙げられる。カルボジイミド縮合も使用することができる[111]。
【0115】
タンパク質への直接的結合は、例えば、参考文献112及び113に記載されるように、多糖の酸化、それに続くタンパク質との還元的アミノ化を含み得る。
【0116】
参考文献114に記載されるように、混合物は、直接の糖/タンパク質結合を有する1つのコンジュゲート、及びリンカーを介した結合を有する別のコンジュゲートを含むことができる。このアレンジメントは、異なる髄膜炎菌血清群に由来する糖コンジュゲートを使用する場合に特に適用され、例えば、Men-A糖及びMen-C糖は、リンカーを介してコンジュゲート化されてもよく、一方、Men-W135糖及びMen-Y糖は、担体タンパク質に直接コンジュゲート化されてもよい。
【0117】
糖は、典型的には、コンジュゲーションの前に活性化又は官能化される。活性化は、例えば、シアニル化試薬を用い得る[115,116など]。他の好適な技術は、活性エステル、カルボジイミド、ヒドラジド、ノルボラン(norborane)、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUを使用する; 参考文献117の序文も参照のこと。
【0118】
有用なコンジュゲーションプロセスは、糖へのアミノ基の導入(例えば、末端の=O基を-NH2で置換することによる)、それに続く、アジピン酸ジエステル(例えば、アジピン酸N-ヒドロキシスクシンイミドジエステル)による誘導体化、及び担体タンパク質(例えば、CRM197)との反応を含む。このコンジュゲーション方法のさらなる詳細は、参考文献118に見出すことができる。この方法によって入手可能なコンジュゲートは、本発明に従って使用するための好ましいコンジュゲートである。
【0119】
別の有用なコンジュゲーションプロセスでは、糖を、アジピン酸ジヒドラジドと反応させる。血清群Aについては、カルボジイミド(EDAC)も、この段階で添加してよい。反応期間後、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加する。次いで、誘導体化糖を、例えば限外濾過によって調製することができる。次いで、誘導体化糖を、担体タンパク質(例えば、ジフテリアトキソイド)と混合し、カルボジイミドを添加する。反応期間後、コンジュゲートを回収することができる。このコンジュゲーション方法のさらなる詳細は、参考文献118に見出すことができる。この方法によって入手可能なコンジュゲートは、本発明に従って使用するための好ましいコンジュゲート、例えば、ジフテリアトキソイド担体及びアジピン酸リンカーを含むコンジュゲートである。
【0120】
別の有用なコンジュゲーションプロセスでは、糖を、シアニル化試薬で誘導体化し[116]、続いて、リンカーを使用する必要なしに、(直接、又はチオール若しくはヒドラジド求核基を担体に導入した後に)タンパク質にカップリングさせる。好適なシアニル化試薬としては、1-シアノ-4-(ジメチルアミノ)-ピリジニウムテトラフルオロボレート(「CDAP」)、p-ニトロフェニルシアネート及びN-シアノトリエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(「CTEA」)が挙げられる。特にインフルエンザ菌タンパク質Dが共通の担体である場合、CDAPが好ましい。直接的カップリングが好ましい。
【0121】
コンジュゲートの投与は、好ましくは、ヒト補体を用いて測定される、少なくとも4倍、好ましくは少なくとも8倍の関連血清群についての血清殺細菌アッセイ(SBA)力価の増加をもたらす[119]。ウサギ補体をSBA力価の測定に使用する場合、力価の増加は、好ましくは、少なくとも128倍である。
【0122】
本発明の組成物において、各コンジュゲートに由来する担体(コンジュゲート化及び非コンジュゲート化)の量は、好ましくは、100μg/ml以下、例えば、各コンジュゲートに由来する<30μg/mlの担体タンパク質である。好ましい組成物は、500μg/ml未満、例えば、<400μg/ml、<300μg/ml、<200μg/ml、<100μg/ml、<50μg/mlなどの、担体の総濃度(組み合わせた髄膜炎菌コンジュゲートについてのみ、又は好ましくは組成物全体についてのいずれか)を含む。
【0123】
組成物が、Hibコンジュゲートを含む場合、いくつかの実施形態では、その質量は、血清群あたりの髄膜炎菌糖の平均質量と実質的に同じである。いくつかの実施形態では、Hib糖の質量は、血清群あたりの髄膜炎菌糖の平均質量よりも多い(例えば、少なくとも1.5倍)。いくつかの実施形態では、Hib糖の質量は、血清群あたりの髄膜炎菌糖の平均質量よりも少ない(例えば、少なくとも1.5倍)[120]。
【0124】
さらなる髄膜炎菌抗原
組成物は、1つ以上のさらなる髄膜炎菌タンパク質抗原、例えば、HmbR、NspA、NhhA、App、Omp85、TbpA、TbpB、及び/又はCu,Zn-スーパーオキシドジスムターゼを含むことができる。
【0125】
非髄膜炎菌抗原
組成物は、1つ以上の非髄膜炎菌抗原(非髄膜炎菌抗原は、上に論じられる淋菌莢膜糖ではない)を含むことができる。例えば、組成物は、以下のうちの1つ以上を含むことができる: (a)PREVNAR及びSYNFLORIX製品におけるように、糖(典型的にはコンジュゲート化)などの、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)に由来する抗原; (b)表面抗原HBsAgなどの、B型肝炎ウイルスに由来する抗原; (c)百日咳菌に由来する百日咳ホロトキシン(PT)及び線維状赤血球凝集素(FHA)などの、百日咳菌(Bordetella pertussis)に由来する抗原(任意選択でまた、パータクチン並びに/又は凝集原2及び3と組み合わせて); (d)ジフテリアトキソイドなどの、ジフテリア抗原; (e)破傷風トキソイドなどの、破傷風抗原; (f)インフルエンザ菌B(Hib)に由来する糖抗原、典型的にはコンジュゲート化されたもの; 及び/又は(g)不活性化ポリオウイルス抗原。
【0126】
非抗原成分
その抗原に加えて、本発明の免疫原性組成物は、典型的には、薬学的に許容可能な担体を含み、そのような担体の徹底的な議論は、参考文献121で利用可能である。
【0127】
組成物のpHは、通常6~8、より好ましくは6.5~7.5(例えば、約7)である。安定なpHは、緩衝剤、例えば、トリス緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、又はヒスチジン緩衝剤の使用によって維持し得る。したがって、組成物は、一般に、緩衝剤を含む。特に好ましい緩衝剤は、6.4~6.7のpHを有するヒスチジン緩衝剤である。
【0128】
組成物は、無菌及び/又はパイロジェンフリーであり得る。組成物は、ヒトに関して等張であり得る。
【0129】
組成物は、免疫学的有効量のその抗原(複数可)を含む。さらに、組成物の単一用量は、免疫学的有効量のOMV抗原を含む。「免疫学的有効量」は、被験体に投与した場合に、抗原に対する抗体反応を誘導するのに有効な量である。この量は、治療されるべき個体の健康状態及び体調、それらの年齢、抗体を合成する個体の免疫系の能力、所望の防御の程度、ワクチンの処方、医学的状況の治療医の評価、及び他の関連因子に応じて変わり得る。量は、日常的な試験を通して決定することができる比較的広い範囲内に入ると予期される。本発明の組成物の抗原含有量は、一般に、用量あたりのタンパク質の質量に関して表される。抗原あたり10~500μg(例えば、50μg)の用量が、有用であり得る。
【0130】
免疫原性組成物は、免疫増強量、すなわち、アジュバント成分なしの組成物と比較して、組成物の免疫原性を増加させるのに十分な量の免疫学的アジュバントを含んでもよい。組成物がワクチンである場合、免疫原性の増加は、ワクチン効力の増加によって、又は同様のレベルのワクチン効力を維持しながら抗原(単数又は複数)の量を低減する能力によってのいずれかで、測定し得る。したがって、例えば、組成物は、アルミニウム塩アジュバント又は水中油型エマルジョン(例えば、水中スクアレン型エマルジョン)を含み得る。好適なアルミニウム塩としては、水酸化物(例えば、オキシ水酸化物)、リン酸塩(例えば、水酸化リン酸塩、オルトリン酸塩)(例えば、参考文献122の第8章及び第9章を参照のこと)、又はそれらの混合物が挙げられる。塩は、任意の適切な形態(例えばゲル、結晶質、非晶質など)をとることができ、塩への抗原の吸着が好ましい。被験体に投与するための組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは、5mg/ml未満、例えば、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3mg/ml~1mg/mlの間である。最大0.85mg/用量が好ましい。水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウムアジュバントは、本発明で使用するのに特に適している。
【0131】
組成物は、特に複数用量形式で包装される場合、抗微生物剤を含んでもよい。抗微生物剤、例えば、チオメルサール及び2-フェノキシエタノールは、ワクチンによく見られるが、水銀を含まない防腐剤を使用すること、又は防腐剤を全く使用しないことのいずれかが好ましい。組成物は、好ましくは、チオメルサールを含まない。
【0132】
組成物は、界面活性剤、例えば、TWEEN(ポリソルベート)、例えば、TWEEN 80を含んでもよい。界面活性剤は、一般に、低レベルで、例えば、<0.01%(v/v)で存在する。組成物は、OMV調製物に由来する残留界面活性剤(例えば、デオキシコール酸塩)を含んでもよい。残留界面活性剤の量は、髄膜炎菌タンパク質1μgにつき、好ましくは0.4μg未満(より好ましくは0.2μg未満)である。
【0133】
ワクチンがリポオリゴ糖(LOS)を含む場合、LOSの量は、タンパク質1μgにつき、好ましくは0.12μg未満(より好ましくは0.05μg未満)である。
【0134】
組成物は、張性を与えるためにナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含んでもよい。10±2mg/ml、例えば約9mg/mlの濃度のNaClが、典型的である。
【0135】
ワクチン効力
本発明における使用のための組成物は、好ましくは、少なくとも10%、例えば、≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧85%、≧90%、又はそれを超える、淋菌に対するワクチン効力を有する。参考文献15に説明されるように、淋病に対するワクチン接種は、淋菌に対する20%という低いワクチン効力(淋菌の抗生物質耐性株における実質的な増加を有する場合は10%)においてさえも費用対効果が高い可能性がある。
【0136】
ワクチン効力は、そのような組成物を投与されない被験体(例えば、免疫化されない、又はプラセボ若しくは陰性対照を投与される被験体)と比較した、本発明による組成物を投与される被験体における淋菌疾患を発症する相対的危険性の低減によって決定される。したがって、本発明に従って免疫化された集団における淋菌疾患の発生率(例えば、0.67%の発生率)を、本発明に従って免疫化されていない対照集団における発生率(例えば、4.73%の発生率)と比較して、相対的危険性(例えば、0.67/4.73=14%)が得られ、ワクチン効力は、100%からこの数値を差し引いた値である(例えば、86%の効力)。
【0137】
ワクチン効力は、個人に対してよりもむしろ集団に対して決定される。したがって、それは、有用な疫学的ツールであるが、個々の防御を予測しない。例えば、個々の被験体は、感染物質の非常に大量の接種物に曝露され得るか、又はそれらをより感染しやすくする他の危険因子を有し得るが、これは効力測定の妥当性又は有用性を否定しない。本発明に従って免疫化され、ワクチン効力が測定される集団のサイズは、理想的には、少なくとも100人であり、もしかしたらより多く、例えば、少なくとも500人の被験体である。対照群のサイズも、少なくとも100人、例えば、少なくとも500人であるべきである。
【0138】
組成物の投与
本発明の組成物は、一般に、被験体に直接投与される。直接的送達は、非経口注射によって(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内に、又は組織の間質空間へ)、又は他の任意の適切な経路によって達成してよい。筋肉内投与(例えば、大腿部又は上腕へ)が、好ましい。注射は針(例えば、皮下注射針)を介してもよいが、無針注射を代わりに使用してもよい。典型的な筋肉内投与体積は、0.5mlである。
【0139】
本明細書で使用される場合、組成物の「用量」(dose)は、単回免疫化としての被験体への投与に適した組成物の体積である。分割用量を(例えば、子供に)投与してもよいが、ヒトワクチンは、典型的には、約0.5mlの投与体積で投与される。用量の体積は、組成物中の抗原の濃度に応じてさらに変わってもよい。
【0140】
組成物は、「多用量」キット、すなわち、複数回の免疫化に十分な組成物を含有する単一の容器でさらに提供されてもよい。多用量は、防腐剤を含み得るか、又は多用量容器は、組成物の個々の用量を取り出すための無菌アダプターを有し得る。
【0141】
投与は、単回用量スケジュールを含むことができるが、通常、複数回用量スケジュールを含む。好ましくは、少なくとも3回の用量のスケジュールが与えられる。プライミング用量間の適切な間隔は、日常的に決定することができ、例えば、4~16週間、例えば、1ヶ月又は2ヶ月である。BEXSERO(登録商標)は、2、4、及び6ヶ月の月齢で、又は2、3、及び4ヶ月に投与することができ、4回目の任意選択の用量は12ヶ月に投与することができる。
【0142】
免疫化される被験体はヒトであり、ヒトはどの年齢でもよく、例えば、0~12ヶ月齢、1~5歳、5~18歳、18~55歳、又は55歳超であってよい。好ましくは、免疫化される被験体は、若者(例えば、12~18歳)又は大人(18歳以上)である。
【0143】
任意選択で、被験体は、小児期(例えば、12歳以前)に髄膜炎菌に対して免疫化されており、かつ淋菌に対して防御するためにブースター用量の本発明による免疫原性組成物を受ける、若者又は大人である。
【0144】
好ましい実施形態では、免疫化される被験体は、淋菌による感染の危険性が増加している(例えば、一般集団における平均的危険性と比較して危険性が増加している)。そのような被験体は、(以下に限定されないが)性的に活発な被験体; 複数の性的パートナーを有する被験体(例えば、性産業従事者を含む); 男性と性交する男性(MSM); 淋菌について検査で陽性であったパートナーを有する被験体; 軍人; 出生時に母親が淋菌に対して陽性であった新生児/幼児(出産中の垂直感染に対して防御するため); 及び/又は違法薬物使用者(参考文献123は、性交の前又は最中の違法薬物使用を、淋病の増加した危険性と関連付ける)を含み得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、免疫化される被験体は、淋菌に対してすでに血清反応陽性である。淋菌による感染からの回復は、再感染に対する免疫を付与せず、個体は、同じ株でさえも複数回感染し得る。したがって、例えば、再感染の危険性を低減するために、淋菌に対して血清反応陽性の被験体の免疫化は興味深い。
【0146】
任意選択で、本発明に従って免疫化される被験体は、1つ以上のさらなる性感染症、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、及び/又はジカウイルスによって引き起こされる感染症及び/又は疾患に対して同時免疫化される。好ましい実施形態では、被験体は、淋菌及びHPVに対して同時免疫化される。この実施形態は、若者、特に若年女性の免疫化に対して特に好ましい。好ましくは、被験体は、HPV16型及び18型に対して免疫化される(例えば、CERVARIX(登録商標)ワクチンを用いて)。任意選択で、被験体はまた、HPV6型及び11型に対して免疫化される(例えば、GARDASIL(登録商標)ワクチンを用いて)。被験体はまた、HPV31型、33型、45型、52型、及び58型に対して免疫化される(例えば、GARDASIL(登録商標)9ワクチンを用いて)。そのような同時免疫化戦略は、若者被験体に特に適している。
【0147】
本発明が同時免疫化に言及する場合、異なる免疫原性組成物/ワクチンは、別々に又は組み合わせとしてのいずれかで投与することができる。
【0148】
ワクチンが別々に投与される場合、それらは、典型的には、異なる部位で投与され、例えば、1つのワクチンは左上腕へ、及び第2のワクチンは右上腕へ投与される。したがって、2つのワクチンは、反対側(例えば、両腕、若しくは両脚、又は反対側の腕及び脚)又は同側(例えば、体の同じ側の腕及び脚)に投与してもよい。ワクチンは別々に投与されるが、それらは、実質的に同時に(例えば、同じ医療相談中、又は医療専門家若しくはワクチン接種センターへの訪問中に)、例えば、互いに1時間以内に投与される。
【0149】
しかし、別々に同時免疫化するのではなく、組み合わせとしての投与を実施してもよい。したがって、同時免疫化は、組み合わせワクチン、すなわち、異なる免疫原が混合されている単一の組成物を使用してもよい。組み合わせワクチンは、減少した回数の注射を受けるという利点を被験体に提供し、これはコンプライアンスの向上という臨床上の利点につながり得る。
【0150】
全般
本発明の実施は、他に示されない限り、当技術分野の技能の範囲内の化学、生化学、分子生物学、免疫学、及び薬理学の従来の方法を使用する。そのような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、参考文献124~130などを参照のこと。
【0151】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」及び「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、Xのみからなるか、又は追加の何かを含み得る(例えば、X+Y)。
【0152】
数値xに関して用語「約」は、任意選択的であり、例えば、x±10%を意味する。
【0153】
本発明が「エピトープ」に関する場合、このエピトープは、B細胞エピトープ及び/又はT細胞エピトープであってよいが、通常、B細胞エピトープである。このようなエピトープは、経験的に同定することができる(例えば、PEPSCAN[131,132]又は類似の方法を使用して)か、又はそれらは予想することができる(例えば、Jameson-Wolf抗原インデックス[133]、マトリックスに基づくアプローチ[134]、MAPITOPE[135]、TEPITOPE[136,137]、ニューラルネットワーク[138]、OptiMer及びEpiMer[139,140]、ADEPT[141]、Tsites[142]、親水性[143]、抗原インデックス[144]又は参考文献145~149に開示される方法などを使用して)。エピトープは、抗体又はT細胞受容体の抗原結合部位により認識され、それに結合する抗原の部分であり、それらは、「抗原決定基」とも称され得る。
【0154】
2つのアミノ酸配列間の配列同一性のパーセンテージへの言及は、アラインメントした場合に、そのパーセンテージのアミノ酸が、2つの配列の比較において同じであることを意味する。このアラインメント並びに%相同性若しくは配列同一性は、当技術分野で公知のソフトウェアプログラム、例えば、参考文献150の7.7.18節に記載されているものを使用して決定することができる。好ましいアラインメントは、12のギャップオープンペナルティ及び2のギャップ伸長ペナルティ、62のBLOSUMマトリックスでのアフィンギャップ検索を使用してSmith-Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。Smith-Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献151に開示される。
【0155】
「実質的に」という語は、「完全に」を除外せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要に応じて、「実質的に」という語は、本発明の定義から省略できる。
【0156】
この文書を通して、特に以下の実施例の節において、「rMenB」への言及は、BEXSERO(登録商標)ワクチン製品中に存在する組み換え髄膜炎菌Bタンパク質抗原、すなわち、OMV成分を除く抗原成分を指す。
【実施例】
【0157】
発明を実施するための形態
以下の実施例において、287(NHBA)への言及は全て、ΔGバリアントを指す。
【0158】
実施例1 - 髄膜炎菌NHBAは、淋菌に対する殺細菌活性を有する抗体を誘導する
【0159】
髄膜炎菌NHBAによって誘導された抗体が、淋菌に対する防御を付与することができるかどうかを評価するために、マウスを、水酸化アルミニウム(Alum hydroxide)又はフロイントアジュバント(Freund's Adjuvant)と組み合わせた髄膜炎菌NHBAで3回免疫化した(完全な詳細については一般的方法を参照のこと)。
【0160】
マウスから、最初の免疫化の前及び3回目の用量の2週間後に採血し、抗血清を、淋菌F62株の補体媒介性死滅を誘導するそれらの能力について試験した。
【0161】
実施した全ての実験において、髄膜炎菌NHBA抗血清は、ヒト補体の存在下でF62株に対して殺細菌活性を示した。同様の結果が、FCA製剤又はアラム(Alum)製剤を用いて得られた。陰性対照抗原(タンパク質919又は726)に対する血清又は免疫前血清を使用した場合、殺細菌活性は検出されなかった(表1)。
【0162】
【0163】
BEXSERO(登録商標)において、NHBAは、髄膜炎菌抗原953(ΔG287-953)(配列番号9)に融合されている。髄膜炎菌ワクチンが、淋菌に対しても防御を付与することができるかどうかを評価するために、融合タンパク質ΔG287-953に対して生じた血清の殺細菌活性を試験した。
【0164】
表1に示されるように、抗原をFCAと組み合わせて投与した場合、及びAl(OH)3をアジュバントとして使用した場合に、抗ΔG287-953血清は、ヒト補体の存在下で淋菌F62株を死滅させることができた。
【0165】
これらのデータは、淋菌に対するBEXSERO(登録商標)によって誘導された潜在的な交差防御を示唆する。
【0166】
本発明者らはまた、淋菌におけるNHBAのホモログ(ΔG287NG)が、機能的抗体を誘導することができるかどうかを調べた。淋菌ΔG287NG(配列番号15)で3回免疫化したマウスの血清は、髄膜炎菌及び淋菌の両方に対して殺細菌活性を示した。同様の結果が、アジュバントとしてのFCA又はアラムで製剤化された抗原について観察された(表2)。
【0167】
【0168】
実施例2 - NHBAによって誘導された抗体は、淋菌を認識し、補体カスケードを活性化する
【0169】
NHBAは、髄膜炎菌の表面露出タンパク質である。相同タンパク質が、淋菌の表面にも存在するかどうかを評価するために、FACS分析を、抗ΔG287NG(淋菌)抗血清を用いてF62淋菌株について行った。免疫血清とインキュベートした細菌は、免疫前血清と比較して、蛍光のシフトを示し、これは、タンパク質が淋菌の表面上で発現されていることを示す。FCA製剤とアラム製剤との間に顕著な差は観察されなかった(
図1)。
【0170】
また、髄膜炎菌NHBAに対して生じた抗血清を試験し、同様の結果が得られ(
図2A右パネル)、これは、髄膜炎菌に由来するNHBAが、交差反応性抗体を誘導することができることを実証する。
【0171】
さらに、ヒト補体の存在下では、C3沈着が、淋菌の表面上に観察され、これは、抗ΔG287抗体によって引き起こされる補体カスケードの活性化を示す(
図2B右パネル)。細菌を補体単独と共にインキュベートした場合、C3沈着は観察されなかった。
【0172】
陰性対照として、細菌を二次抗体単独(それぞれ、抗マウスIgG PEコンジュゲート化又は抗ヒトC3c FITCコンジュゲート化)と共にインキュベートした(
図2A及び2B左パネル)。
【0173】
FCA又はアラムをアジュバントとして使用した場合、同様の結果が、ΔG287-953に対する抗血清で観察され、大きな差はなかった(
図3A及び3B)。
【0174】
これら全てのデータは、表1及び2に示される殺細菌活性と一致する。
【0175】
結論として、髄膜炎菌NHBAは、淋菌を認識し、補体カスケードを活性化し、かつ細菌死滅を媒介する交差機能的抗体を誘導することができる。この研究は、淋菌に対する免疫化におけるBEXSERO(登録商標)中の個々の抗原の使用についての理論的根拠を提供する。
【0176】
実施例1及び2に使用した一般的方法
動物及び免疫化プロトコル
6週齢の雌性CD1マウスを、1、21、及び35日目に腹腔内に20μgのタンパク質で免疫化した。抗原を、Al(OH)3に吸着させるか、又は1回目の用量では完全フロイントアジュバント、2回目及び3回目のブースター用量では不完全フロイントアジュバントと一緒に与えた。血液サンプルを、最後の用量の2週間後に収集し、血清学的分析に使用した。
【0177】
FACS及びC3結合
淋菌F62株を、O.D.600=0.1からO.D.600=0.3まで1%アイソバイタルエックス(isovitalex)を補充したGC培地中で増殖させた。遠心分離後、細菌を、1mMのCaCl2及び0.15mMのMgCl2を加えたハンクス平衡塩類溶液(HBSS++)に再懸濁した。100μl/ウェルの細菌を、96ウェルプレートに播種し、遠心分離し、HBSS++に希釈したマウス血清を用いて再懸濁し、37℃で15~30分間インキュベートした。
【0178】
C3結合アッセイのために、細菌のマウス血清とのインキュベーションを、最終濃度10%の補体源としてのヒト血清の存在下で実施した。補体源として使用されるべきヒト血清は、以前に淋菌に吸着させた。
【0179】
二次抗体として、HBSS++中1:100に希釈した抗マウスIgG FITCコンジュゲート化抗体又は1:200に希釈した抗マウスPEコンジュゲート化抗体を用いて、抗体結合を検出した。
【0180】
補体沈着を、HBSS++中で1:50に希釈した抗ヒトC3c FITCコンジュゲート化抗体を用いて検出した。
【0181】
二次抗体と共に37℃で20分間インキュベートした後、細菌を、パラホルムアルデヒドで固定し、蛍光を、FACSによって決定した。
【0182】
殺細菌活性
淋菌F62株を、O.D.600=0.1からO.D.600=0.3まで1.5時間、1%アイソバイタルエックスを補充したGC培地中で増殖させた。細菌を希釈してO.D.600=0.1を得て、再度1:10に希釈し、以下の反応混合物と共に37℃で1時間インキュベートした: 125μlの希釈した細菌、25μlの淋菌吸着ヒト血清(外因性補体源として)、25μlの所望濃度の血清、及び75μlの5%BSA(HBSS中)。反応混合物を希釈し、細菌を、時間0、及び37℃で1時間のインキュベーション後に、GC+1%アイソバイタルエックスプレート上にプレーティングした。
【0183】
5%CO2中、37℃で18時間増殖させた後に、コロニーを計数した。
【0184】
反応混合物と共に細菌をインキュベートした後に、時間ゼロの対照CFUと比較して、50%のCFU減少をもたらす血清希釈度として、血清殺細菌力価を定義した。
【0185】
髄膜炎菌を、5%CO2でチョコレート寒天プレート(凍結ストックから開始)上で37℃で一晩増殖させた。コロニーを収集し、これを使用して、0.25%グルコースを含有する7mlのミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton broth)に接種して、0.05~0.06のOD600に達した。OD600が0.24~0.25の値に達するまで、培養物を、振とうしながら5%CO2で37℃で約1.5時間インキュベートした。細菌を、GBSS緩衝液(ゲイ平衡塩類溶液(Gey's balanced salt solution)-SIGMAカタログG9779)及び1%(w/v)BSA(アッセイ緩衝液)中で作業希釈度1:10000(105CFU/ml)で希釈した。最終反応混合物の総体積は、25μlの連続2倍希釈の試験血清、12.5μlの作業希釈度の細菌、12.5μlの仔ウサギ補体(最終濃度25%)を含む50μlであった。
【0186】
対照は、補体血清と共にインキュベートした細菌、細菌と共に、及び56℃で30分間加熱することによって不活性化した補体と共にインキュベートした免疫血清を含んだ。仔ウサギ補体の添加直後に、10μlの対照を、傾斜法を用いてミューラー-ヒントン寒天プレート上にプレーティングした(時間0)。96ウェルプレートを、回転しながら5%CO2で37℃にて1時間インキュベートした。7μlの各サンプルを、ミューラー-ヒントン寒天プレート上にスポットとしてプレーティングし、一方、10μlの対照を、傾斜法を用いてミューラー-ヒントン寒天プレート上にプレーティングした(時間1)。寒天プレートを、5%CO2で37℃にて18時間インキュベートし、時間0及び時間60に対応するコロニーを計数した。
【0187】
データを使用して、50%の細菌が死滅する血清希釈度の逆数を計算した(50%力価)。
【0188】
実施例3 - BEXSERO(登録商標)ワクチン組成物、OMVnz、及びrMenBタンパク質抗原は、FA1090に対して殺細菌性である抗体を誘導する
【0189】
動物及び免疫化プロトコル
6週齢の雌性CD1マウス(10匹の動物/群)を、1、21、及び35日目に、腹腔内に、アラムアジュバントと組み合わせた、BEXSERO(登録商標)(20μgのタンパク質抗原及び10μgのOMVに相当する1:2.5ヒト用量)、又はOMVnz(10μg)、又は組み換えMenBタンパク質抗原(rMenB)(各20μg)で免疫化した。アジュバント単独及び無関係の抗原(呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に由来するタンパク質F)を、陰性対照として使用した。血清サンプルを、最初の免疫化の前及び最後の用量の2週間後に収集し、血清学的分析に使用した。
【0190】
殺細菌活性
淋菌株FA1090を、およそ0.1のO.D.600からおよそ0.3のO.D.600まで1.5時間、1%アイソバイタルエックスを補充したGC培地中で増殖させた。細菌を、SBA緩衝液(dPBS、0.1%グルコース、1%BSA)中の血清の懸濁液で希釈し、外因性補体源としてのヒト血清(16%v/v)の存在下で、試験されるべき血清と共に37℃で1時間インキュベートした。次いで、細菌を、GC+1%アイソバイタルエックスプレート上にプレーティングした。
【0191】
5%CO2中、37℃で18時間増殖させた後に、コロニーを計数した。
【0192】
血清殺細菌力価を、対照(細菌+補体)に対して50%の死滅をもたらす希釈度の逆数として計算した。
【0193】
結果
図4から分かるように、それぞれにおいて、示された3つの免疫化スキームが、BEXSERO(登録商標)、OMVnz、及びrMenBのそれぞれに対して生じた血清の淋菌に対する殺細菌活性を示す場合、BEXSERO(登録商標)、OMVnz、及びrMenBで免疫化したマウスに由来する血清プールのhSBA力価は、高い(≧16)。対照的に、アジュバント単独の力価は低く(2つの異なる免疫化スキームにおいて≦8)、殺細菌活性について統計学的に意味のある(すなわち、非バックグラウンド)力価についての閾値レベルに達しない。RSVについて測定されたhSBA力価は、試験された最低血清希釈度である4未満であり、グラフには示されていない。
【0194】
図5に示されるように、
図4に示されたBEXSERO(登録商標)、OMVnzで免疫化したマウスに由来する血清のhSBAのプール分析は、プールされた集団内の単一のマウスについてのhSBAを考慮することによって確認される。
【0195】
図5Aは、BEXSERO(登録商標)又はOMVnzで免疫化した各マウスの血清を用いて測定されたhSBA力価をプロットし、各点は、個々のマウスに由来する免疫血清についての結果を表す。これらのデータは、BEXSERO(登録商標)及びOMVnzが、淋菌に対して均質な殺細菌反応を誘導することができることを示す。
図5Bに示されるように、BEXSERO(登録商標)(≧80%)又はOMVnz(≧70%)で免疫化したマウスの高いパーセンテージは、≧32の高いhSBA力価を有する免疫血清を産生し、これは、淋菌に対する強い殺細菌性抗体反応を示す。
【0196】
図4及び5に示される淋菌に対する、抗BEXSERO(登録商標)血清及び抗OMVnz血清についての陽性hSBA結果は、ヒト補体における変動を反映するための異なる補体ロットを使用してさらに裏付けられ、これらの結果は、
図6に示される。免疫前(P)及び免疫(I)血清サンプルを使用して、2つの異なるヒト補体(HC)ロット、すなわちHC1511及びHC1879を試験した。
【0197】
各BEXSERO(登録商標)アッセイにおいて、免疫前血清(すなわち、BEXSERO(登録商標)で免疫化する前にマウスから収集したプール血清)について観察された結果は、≦8であり、したがって、殺細菌活性について統計学的に意味のある(すなわち、非バックグラウンド)力価についての閾値レベルに達しない。各OMVnzアッセイにおいて、免疫前血清を用いて殺細菌活性は観察されなかった。対照的に、BEXSERO(登録商標)又はOMVnzで免疫化したマウスに由来する免疫血清(すなわち、免疫化後にマウスから収集した血清)を用いたhSBA力価は、各免疫化スキームにおいて陽性であった(≧16の力価)。BEXSERO(登録商標)で免疫化したマウスについての結果は、試験したヒト補体の両方について特に強く、HC1511については32、及びHC1879については64のSBA力価であった。OMVnzで免疫化したマウスについての結果は、HC1511及びHC1879の両方について一致している(16の抗体力価)。
【0198】
競合的SBA
hSBAアッセイにおいて観察された結果は、淋菌に対するBEXSERO(登録商標)、OMVnz、及びrMenBの免疫原性活性のさらなる間接的証拠を提供するための競合的SBAアッセイを実施することによって補強された。
【0199】
BEXSERO(登録商標)で免疫化したマウスに由来するプール血清を、(i)陰性対照としてのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)、(ii)rMenB、(iii)OMVnz、(iv)さらなる対照としての淋菌株FA1090に由来するOMV、又は(v)BEXSERO(登録商標)、のいずれかと共にプレインキュベートした。続いて、血清を、ヒト補体の存在下で標的淋菌細菌と共にインキュベートした。次いで、細菌の死滅を評価し、結果を
図7に示す。
【0200】
グラフにおいて見られるように、抗BEXSERO(登録商標)免疫血清を、BEXSERO(登録商標)、rMenB、OMVnz、及びOMV FA1090と共にプレインキュベートした場合、死滅はなくなった。レシピエントの血清中の殺細菌性抗体が、プレインキュベーション段階中にこれらの組成物中の抗原に結合し、したがって、細菌上の表面抗原に結合するのに利用可能ではないからである。対照的に、PBSとのプレインキュベーションは、免疫血清の殺細菌活性に影響を及ぼさない。PBSは、免疫血清中で生じた抗体に結合せず、したがって、前記抗体が、標的細菌表面抗原に結合して死滅を開始するのに利用可能であるからである。
【0201】
競合的hSBA結果は、殺細菌性抗体の特異性を実証し、上記のBEXSERO(登録商標)、rMenB、及びOMVnzについてのhSBAの結果を実証し、BEXSERO(登録商標)及び淋菌に対するその構成成分抗原の免疫原性をさらに裏付ける。
【0202】
実施例4 - BEXSERO(登録商標)に対する血清は、ヒト子宮頸部ME180細胞へのFA1090の付着を低減する
【0203】
淋病に対する防御の適切な相関の不存在下で、本発明者らは、BEXSERO(登録商標)によって産生される抗体が、淋菌がヒト子宮頸部細胞株(ME180)の細胞に付着するのを防ぐことができるかどうかを試験するために、細菌付着阻害アッセイを行った。
【0204】
淋菌株FA1090に由来する細菌を、蛍光色素(OREGON GREEN(登録商標)488, Thermofisher)で標識し、標識した細菌を、BEXSERO(登録商標)、OMVnz、又はOMV FA1090で免疫化したマウスから得た連続希釈血清と共に、又は免疫前血清と共に1時間プレインキュベートした。次いで、ヒト上皮子宮頸部細胞株ME180に由来する細胞を、株FA1090細菌+血清で1時間感染させて、細菌を上皮細胞へ付着させた。最終工程において、プレートを洗浄して、未結合細菌を除去し、蛍光出力を測定した。蛍光出力は、上皮細胞への細菌付着に比例し、これは、対照(細菌+細胞、血清なし)と比較した蛍光の減少が、細胞への標識化淋菌の付着の減少に対応することを意味する。
【0205】
図8に示されるように、高濃度(1/10希釈)のBexsero(登録商標)及びOMVnzに対する血清は、淋菌FA1090のヒト子宮頸部ME180細胞への付着を低減し、これは、臨床的状況において興味深い重要な結果である。OMV FA1090に対する血清(すなわち、同種血清)は、はるかに低い濃度で付着を低減した。免疫前血清において、付着の顕著な低減は観察されなかった。
【0206】
実施例5 - 髄膜炎菌NHBAは、FA1090に対して殺細菌性である抗体を誘導する
【0207】
動物及び免疫化プロトコル
6週齢の雌性CD1マウス(10匹の動物/群)を、1、21、及び35日目に腹腔内に、アラムアジュバントと組み合わせた20μgのタンパク質(287-953又は287)で免疫化した。無関係の抗原である呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に由来するタンパク質Fを、陰性対照として使用した。血清サンプルを、最初の免疫化の前及び最後の用量の2週間後に収集し、血清学的分析に使用した。
【0208】
殺細菌活性
淋菌株FA1090を、O.D.600=0.1からO.D.600=0.3まで1.5時間、1%アイソバイタルエックスを補充したGC培地中で増殖させた。細菌を、SBA緩衝液(dPBS、0.1%グルコース、1%BSA)中の血清の懸濁液で希釈し、ウサギ補体(5%v/v)の存在下で、試験されるべき血清と共に37℃で1時間インキュベートした。次いで、細菌を、GC+1%アイソバイタルエックスプレート上にプレーティングした。
【0209】
5%CO2中、37℃で18時間増殖させた後に、コロニーを計数した。
【0210】
血清殺細菌力価を、対照(細菌+補体)に対して50%の死滅をもたらす希釈度の逆数として計算した。
【0211】
図9のrSBA力価から分かるように、287抗血清及び287-953融合体抗血清の両方は、ウサギ補体の存在下でFA1090株に対して殺細菌活性を示した。これは、殺細菌活性についての閾値レベル未満のrSBA力価を生じた、対照RSV抗血清とは対照的である。
【0212】
図10は、抗BEXSERO(登録商標)血清を、ヒト補体の存在下で、BEXSERO(登録商標)、287-953、287、及びPBS(陰性対照として)と共にプレインキュベートした競合的SBAの結果を示す。これらのデータは、BEXSERO(登録商標)、287、及び287-953が、抗BEXSERO(登録商標)血清中の殺細菌性抗体の活性をなくすことを示す。これは、免疫血清の殺細菌活性に影響を与えずに血清希釈度が1/32に達するまで殺細菌死滅が50%閾値を超えて維持される、PBS対照の結果とは対照的である。
【0213】
実施例6 - 髄膜炎菌付属タンパク質953(GNA1030)及び936(GNA2091)は、FA1090に対して殺細菌性である抗体を誘導する
【0214】
6週齢の雌性CD1マウス(10匹の動物/群)を、1、21、及び35日目に腹腔内に、アラムアジュバントと組み合わせた20μgのタンパク質(953、936-741v1.1融合体、又は741v1.1のいずれか)で免疫化した。アジュバント単独を、陰性対照として使用した。血清サンプルを、最初の免疫化の前及び最後の用量の2週間後に収集し、血清学的分析に使用した。
【0215】
殺細菌活性
淋菌株FA1090を、およそ0.1のO.D.600からおよそ0.3のO.D.600まで1.5時間、1%アイソバイタルエックスを補充したGC培地中で増殖させた。細菌を、SBA緩衝液(dPBS、0.1%グルコース、1%BSA)中の血清の懸濁液で希釈し、外因性補体源としてのヒト血清(16%v/v)の存在下で、試験されるべき血清と共に37℃で1時間インキュベートした。次いで、細菌を、GC+1%アイソバイタルエックスプレート上にプレーティングした。
【0216】
5%CO2中、37℃で18時間増殖させた後に、コロニーを計数した。
【0217】
血清殺細菌力価を、対照(細菌+補体)に対して50%の死滅をもたらす希釈度の逆数として計算した。
【0218】
結果
図11から分かるように、hSBAアッセイにおいて、抗953免疫血清は、抗体力価>8を有する、淋菌株FA1090に対する殺細菌性抗体を誘導することができた。対照的に、アジュバント単独で免疫化した血清も、免疫前血清のいずれも、FA1090に対する殺細菌性抗体の統計学的に意味のある力価を誘導することができなかった。
【0219】
図12Aは、抗936-741血清によって誘導された殺細菌性抗体のhSBA力価が、顕著であり(>16)、抗741血清によって誘導された力価よりはるかに高いことを示す。これは、FA1090に対して殺細菌性である抗体の誘導を担うのは、936-741融合体中の936抗原の存在であることを示す。
【0220】
936-741融合体の結果は、
図12Bにおいてさらに調査され、これは、936-741で免疫化された各マウスの血清を用いて測定されたhSBA力価をプロットし、各点は、個々のマウスに由来する免疫血清についての結果を表す。これらのデータは、936-741融合体抗原が、淋菌に対して均質な殺細菌反応を誘導することができ、個々の結果の大部分(10個中、7個)が、≧32のSBA力価を生じることを示し、淋菌に対する強い殺細菌性抗体反応を示す。
【0221】
競合的hSBA
hSBAアッセイにおいて観察された結果は、淋菌に対する936付属タンパク質の免疫原性活性のさらなる間接的証拠を提供するための競合的SBAアッセイを実施することによって補強された。
【0222】
BEXSERO(登録商標)で免疫化されているレシピエントに由来する血清を、(i)陰性対照としてのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)、(ii)BEXSERO(登録商標)、(iii)741単独、又は(iv)936-741融合体、のいずれかと共にプレインキュベートした。続いて、血清を、ヒト補体の存在下で標的淋菌細菌と共にインキュベートした。次いで、細菌の死滅を評価し、結果を
図13に示す。
【0223】
グラフにおいて見られるように、抗BEXSERO(登録商標)免疫血清を、BEXSERO(登録商標)又は936-741融合体のいずれかと共にプレインキュベートした場合、死滅はなくなった。レシピエントの血清中の殺細菌性抗体が、プレインキュベーション段階中にこれらの組成物中の抗原に結合し、したがって、細菌上の表面抗原に結合するのに利用可能ではないからである。対照的に、PBS又は741抗原単独とのプレインキュベーションは、免疫血清の殺細菌活性に影響を及ぼさない。
【0224】
競合的SBA結果は、上記の936抗原についてのSBA結果を確認し、936付属タンパク質が、淋菌に対して免疫原性であるという結論をさらに支持する。
【0225】
実施例7 - BEXSERO(登録商標)をMenACWY抗原と組み合わせると、高い殺細菌力価が維持される
【0226】
雌性ニュージーランドウサギ(6匹の動物/群)を、1及び22日目に、筋肉内に、アラムアジュバントと組み合わせた、BEXSERO(登録商標)単独又はBEXSERO(登録商標)+MenACWY(MenABCWYと称する)のヒト用量で免疫化した。血清サンプルを、2回目の用量の2週間後に収集し、血清学的分析に使用した。
【0227】
殺細菌活性
淋菌株FA1090を、およそ0.1のO.D.600からおよそ0.3のO.D.600まで1.5時間、1%アイソバイタルエックスを補充したGC培地中で増殖させた。細菌を、SBA緩衝液(dPBS、0.1%グルコース、1%BSA)中の血清の懸濁液で希釈し、外因性補体源としてのヒト血清(16%v/v)の存在下で、試験されるべき血清と共に37℃で1時間インキュベートした。次いで、細菌を、GC+1%アイソバイタルエックスプレート上にプレーティングした。
【0228】
5%CO2中、37℃で18時間増殖させた後に、コロニーを計数した。
【0229】
血清殺細菌力価を、対照(細菌+補体)に対して50%の死滅をもたらす希釈度の逆数として計算した。
【0230】
結果
図14から分かるように、抗BEXSERO(登録商標)及び抗MenABCWY血清の両方についてのhSBAアッセイにおいて、同等の結果が見られる。両方のワクチンは、高いSBA力価(16~32)をもたらし、これは、淋菌に対する強い殺細菌性抗体反応を示す。グラフ中の各点は、個々のウサギに由来する免疫血清についての結果を表し、これらのデータは、両方のワクチンが、淋菌に対して均質な殺細菌反応を誘導することができ、個々の結果の大部分が32のSBA力価を生じることを示す。
【0231】
実施例8 - FA1090に由来するdOMVは、同種株に対して強力かつ特異的な殺細菌性抗体反応を誘導する
【0232】
6週齢の雌性CD1マウスを、1、21、及び35日目に腹腔内に、アラムアジュバントと組み合わせた、淋菌FA1090株から得られた10μgのOMVで免疫化した。呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に由来するタンパク質Fを、陰性対照として使用した。血清サンプルを、最初の免疫化の前及び最後の用量の2週間後に収集し、血清学的分析に使用した。
【0233】
殺細菌活性
淋菌株FA1090を、およそ0.1のO.D.600からおよそ0.3のO.D.600まで1.5時間、1%アイソバイタルエックスを補充したGC培地中で増殖させた。細菌を、SBA緩衝液(dPBS、0.1%グルコース、1%BSA)中の血清の懸濁液で希釈し、外因性補体源としてのヒト血清(16%v/v)の存在下で、試験されるべき血清と共に37℃で1時間インキュベートした。次いで、細菌を、GC+1%アイソバイタルエックスプレート上にプレーティングした。
【0234】
5%CO2中、37℃で18時間増殖させた後に、コロニーを計数した。
【0235】
血清殺細菌力価を、対照(細菌+補体)に対して50%の死滅をもたらす希釈度の逆数として計算した。
【0236】
結果
図15から分かるように、免疫前血清(すなわち、dOMV FA1090で免疫化する前にマウスから収集した血清)又はRSV免疫血清について、hSBA結果は観察されなかった。対照的に、dOMV FA1019で免疫化したマウスに由来する免疫血清(すなわち、免疫化後にマウスから収集した血清)を用いたhSBA力価は、陽性であり、≧1024の極めて高い力価を生じた。
【0237】
競合的hSBA
SBAアッセイにおいて観察された結果は、淋菌に対する淋菌OMVの免疫原性活性のさらなる間接的証拠を提供するための競合的SBAアッセイを実施することによって補強された。
【0238】
OMV FA1090で免疫化されているレシピエントに由来する血清を、(i)陰性対照としてのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)、又は(ii)OMV FA1090のいずれかと共にプレインキュベートした。続いて、血清を、ヒト補体の存在下で標的淋菌細菌と共にインキュベートした。次いで、細菌の死滅を評価し、結果を
図16に示す。
【0239】
グラフにおいて見られるように、抗OMV FA1090免疫血清を、OMV FA1090と共にプレインキュベートした場合、死滅はなくなった。レシピエントの血清中の殺細菌性抗体が、プレインキュベーション段階中にこれらの組成物中の抗原に結合し、したがって、細菌上の表面抗原に結合するのに利用可能ではないからである。対照的に、PBSとのプレインキュベーションは、免疫血清の殺細菌活性に影響を及ぼさなかった。
【0240】
競合的hSBA結果は、上記のOMV FA1090についてのSBA結果を実証し、淋菌に由来するOMVが、淋菌に対する強力かつ特異的な殺細菌性抗体反応を誘導するというさらなる証拠を提供する。
【0241】
実施例9 - BEXSERO(登録商標)ワクチンは、Th1プロファイルを有する淋菌に対する交差反応性T細胞反応を誘導する
【0242】
T細胞反応実験プロトコル
CD1マウス(5匹の動物/群)を、1、22、及び36日目に、(i)BEXSERO(登録商標)(各タンパク質抗原について20μg及びOMVについて10μgに相当する1:2.5ヒト用量)、(ii)OMVnz(10μg)、(iii)OMVFA1090(10μg)、又は(iv)Al(OH)3アジュバント単独、のいずれかでワクチン接種した。
【0243】
脾細胞を、最終ワクチン接種の2週間後に単離し、96ウェルプレート中、1~2×106個の細胞/ウェルでプレーティングし、(i)淋菌FA1090株に由来するOMV又は(ii)大腸菌(Escherichia coli)に由来するOMV(陰性対照として)を用いて、最終濃度10μg/mlで、37℃で16~18時間、抗CD28及び抗CD49d(各2μg/ml, BD Biosciences)共刺激分子の存在下で刺激した。最後の4時間、ブレフェルジンA(5μg/ml)を添加した。
【0244】
次いで、細胞をLive/Dead Yellow(Invitrogen)で染色し、Cytofix/Cytoperm(BD Biosciences)で固定及び透過処理し、Perm/Wash緩衝液(BD Biosciences)で洗浄し、抗CD16/CD32 Fcブロック(BD Biosciences)と共に室温で20分間インキュベートし、次いで、Perm/Wash緩衝液1x(BD Biosciences)中、以下の蛍光色素コンジュゲート化mAbで室温で20分間染色した: 抗CD3-BV605、抗CD4BV510、抗IFN-γ-BV785、抗IL-2-PE-Cy5、抗TNF-Alexa488、抗CD44-V450、抗CD8-PE-CF594、抗IL-17 PE-Cy7及び抗IL-4-PerCPef710及び抗IL-13-PerCPef710。最後に、サンプルをPerm/Wash緩衝液で2回洗浄し、PBSに懸濁した。サンプルを、LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences)について取得し、FlowJoソフトウェア(TreeStar)を使用して分析した。
【0245】
結果
図17に示されるように、BEXSERO(登録商標)ワクチン及びOMVnzワクチンは、淋菌抗原OMV FA1090に対する交差反応性CD4+ T細胞反応を誘導することができた。OMV FA1090ベースのワクチンはまた、同種淋菌抗原OMV FA1090に対するCD4+ T細胞反応を誘導することができた。対照的に、これらのワクチンはどれも、大腸菌OMV抗原に対するT細胞反応を誘導することができず、これは、T細胞反応がワクチン特異的であることを実証する。同様に、アジュバント単独で免疫化した集団において、淋菌又は大腸菌OMV抗原のいずれに対しても顕著なCD4+ T細胞反応は生じなかった。
【0246】
生じていたT細胞反応のプロファイルを理解するために、本発明者らは、ワクチン特異的CD4+ T細胞によって産生された異なるサイトカインを研究した。これらのサイトカインは、以下のように、異なるT細胞反応プロファイルを示すことが知られている:
TNF及びIL-2は、Th0プロファイルに関連している。
IL-17は、Th17プロファイルに関連している。
IL-4及びIL-13は、Th2プロファイルに関連している。
IFN-γは、Th1プロファイルに関連している。
【0247】
図18A~Eのデータの比較は、淋菌抗原に対するBEXSERO(登録商標)ワクチンによって誘導されたT細胞反応が、それぞれIFN-γ(
図9A)及びTNF(
図9E)の検出に関連しているTh1/Th0プロファイルを示すことを示す。Th1プロファイルは、動物モデルにおける淋菌感染に対する耐性、及び速いクリアランスに関連していると考えられるため、これは興味深い結果である。
【0248】
実施例10 - BEXSERO(登録商標)ワクチン接種に由来するヒトモノクローナル抗体は、交差反応性であり、髄膜炎菌NHBAタンパク質及び淋菌NHBAタンパク質に対して同等の結合親和性を有する
【0249】
本発明者らは、髄膜炎菌及び淋菌に由来するNHBAタンパク質に対する、BEXSERO(登録商標)(HumAb 5H2)をワクチン接種したヒト被験体に由来するヒトモノクローナル抗体の結合定数(Ka)及び解離定数(Kd)を測定した。これは、BIACORE(登録商標)から市販されている機器を使用して行った。
【0250】
BIACORE(登録商標)マイクロチップに、HumAb 5H2を捕捉する抗ヒトポリクローナル抗体をロードし、次いで、NHBAタンパク質を、マイクロチップ上に固定化した。測定されたシグナルは、HumAb 5H2と2つのNHBAタンパク質との間の結合の親和性(及び安定性)を示す。
【0251】
図19(A及びB)に示されるように、5H2リガンド結合曲線及びKa/Kd値は、NHBA MenB(
図19A)及びNHBA NG(
図19B)の両方について非常に類似している。これらのデータは、BEXSERO(登録商標)での免疫化によって誘導された抗体によって認識される、髄膜炎菌NHBAタンパク質及び淋菌NHBAタンパク質上の共通のエピトープが存在することを示す。特に、
図19Bに示される結果は、BEXSERO(登録商標)での免疫化によって誘導された抗体が、交差反応性であり、淋菌の表面上に発現される淋菌NHBAに結合することを実証する。これらのデータは、これらの実施例に示された他のデータと組み合わせて考慮すると、淋菌に対するワクチンとしてのBEXSERO(登録商標)の有用性を裏付ける。
【0252】
本発明は例としてのみ上に記載され、本発明の範囲及び精神内に留まりながら変更を加えることができることは理解される。
本発明は以下の実施形態にも関する。
[1] 以下:
(i)ナイセリアヘパリン結合抗原(NHBA);
(ii)H因子結合タンパク質(fHbp)抗原;
(iii)ナイセリアアドヘシンA(NadA)抗原;
(iv)GNA1030抗原;
(v)GNA2091抗原;
(vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた上記(i)~(v)のうちの1つ以上
のうちの1つ以上を含む免疫原性組成物を投与することによって、淋菌に対する免疫化を必要とするヒト被験体を、淋菌に対して免疫化する方法。
[2] 淋菌に対する免疫化を必要とする被験体の、淋菌に対する免疫化に使用するための、免疫原性組成物であって、以下:
(i)NHBA抗原;
(ii)fHbp抗原;
(iii)NadA抗原;
(iv)GNA1030抗原;
(v)GNA2091抗原;
(vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた上記(i)~(v)のうちの1つ以上
のうちの1つ以上を含む、免疫原性組成物。
[3] 淋菌に対する免疫化を必要とする被験体を淋菌に対して免疫化するための医薬の製造における、以下:
(i)NHBA抗原;
(ii)fHbp抗原;
(iii)NadA抗原;
(iv)GNA1030抗原;
(v)GNA2091抗原;
(vi)髄膜炎菌血清群A、C、W135、及び/又はYのうちの1つ以上に由来するコンジュゲート化莢膜糖と組み合わせた上記(i)~(v)のうちの1つ以上
のうちの1つ以上の、使用。
[4] 免疫原性組成物が、髄膜炎菌NHBA抗原又は淋菌NHBA抗原を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[5] 免疫原性組成物が、髄膜炎菌NHBA抗原、髄膜炎菌NadA抗原、及び髄膜炎菌fHbp抗原を含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[6] 前記組成物が、ナイセリア外膜小胞(OMV)をさらに含む、上記[5]に記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[7] ナイセリアOMVが、髄膜炎菌OMVである、上記[6]に記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[8] ナイセリアOMVが、淋菌OMVである、上記[6]に記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[9] 抗原(i)~(v)のうちの少なくとも1つが、OMV成分から分離されて存在する、上記[6]~[8]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[10] 前記組成物が、(a)配列番号4又は配列番号15に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列; 及び/又は(b)配列番号4又は配列番号15の少なくとも7個連続したアミノ酸のフラグメント、を有するNHBA抗原を含む、上記[1]~[9]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[11] 前記組成物が、(a)配列番号5に対して70%以上の同一性を有するアミノ酸配列; 及び/又は(b)配列番号5の少なくとも7個連続したアミノ酸のフラグメント、を含むNadA抗原を含む、上記[1]~[10]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[12] 前記組成物が、以下のfHbp抗原: (a)第1のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチドであって、第1のアミノ酸配列は、(i)配列番号1に対して少なくともa%の配列同一性を有し、及び/又は(ii)配列番号1に由来する少なくともx個連続したアミノ酸のフラグメントからなる、アミノ酸配列を含む、第1のポリペプチド; (b)第2のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチドであって、第2のアミノ酸配列は、(i)配列番号2に対して少なくともb%の配列同一性を有し、及び/又は(ii)配列番号2に由来する少なくともy個連続したアミノ酸のフラグメントからなる、アミノ酸配列を含む、第2のポリペプチド; 及び/又は(c)第3のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチドであって、第3のアミノ酸配列は、(i)配列番号3に対して少なくともc%の配列同一性を有し、及び/又は(ii)配列番号3に由来する少なくともz個連続したアミノ酸のフラグメントからなる、アミノ酸配列を含む、第3のポリペプチド、のうちの1つ以上を含む、上記[1]~[11]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[13] 前記組成物が、配列番号1に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むfHbp抗原を含む、上記[12]に記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[14] 前記組成物が、配列番号12に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むfHbp抗原を含む、上記[12]に記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[15] 前記組成物が、配列番号11に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含むfHbp抗原を含む、上記[6]~[9]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[16] 前記組成物が、(i)アミノ酸配列配列番号6を含む抗原; (ii)アミノ酸配列配列番号8を含む抗原; 及び(iii)アミノ酸配列配列番号10を含む抗原、のそれぞれを含む、上記[5]又は上記[6]に記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[17] 前記組成物が、(i)アミノ酸配列配列番号7を含む抗原; (ii)アミノ酸配列配列番号9を含む抗原; 及び(iii)アミノ酸配列配列番号10を含む抗原、のそれぞれを含む、上記[16]に記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[18] 免疫原性組成物が、BEXSERO(登録商標)を含む、上記[1]~[7]及び[9]~[17]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[19] 淋菌OMVを含む免疫原性組成物を投与することによって、淋菌に対する免疫化を必要とする被験体を、淋菌に対して免疫化する方法。
[20] 淋菌に対する免疫化を必要とする被験体の、淋菌に対する免疫化に使用するための免疫原性組成物であって、淋菌OMVを含む、免疫原性組成物。
[21] 淋菌に対する免疫化を必要とする被験体を淋菌に対して免疫化するための医薬の製造における、淋菌OMVを含む免疫原性組成物の使用。
[22] 免疫原性組成物が、淋菌NHBA抗原をさらに含む、上記[19]に記載の方法、上記[20]に記載の免疫原性組成物、又は上記[21]に記載の使用。
[23] 免疫原性組成物が、少なくとも10%の淋菌に対するワクチン効力を有する、上記[1]~[22]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[24] 免疫原性組成物が、1つ以上のさらなる髄膜炎菌タンパク質抗原を含む、上記[1]~[23]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[25] 被験体が、血清群A、B、C、W135、X、及び/又はYのうちの1つ以上に対しても免疫化される、上記[1]~[24]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[26] 前記組成物が、1つ以上の髄膜炎菌莢膜糖抗原を含む、上記[1]~[25]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[27] 前記組成物が、1つ以上の非髄膜炎菌抗原を含む、上記[1]~[26]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[28] 前記組成物が、アジュバントを含む、上記[1]~[27]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[29] 前記組成物が、アルミニウム塩アジュバントを含む、上記[28]に記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[30] 前記組成物が、チオメルサールを含まない、上記[1]~[29]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[31] 前記組成物が、筋肉内注射によって被験体に投与される、上記[1]~[30]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[32] 前記組成物の少なくとも3回の用量が、被験体に投与される、上記[1]~[31]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[33] 被験体が、若者及び/又は大人である、上記[1]~[32]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[34] 被験体は、淋菌による感染の危険性が増加している、上記[1]~[33]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[35] 被験体が、髄膜炎菌に対して以前に免疫化されており、免疫原性組成物が、淋菌に対して防御するためのブースターとして投与される、上記[33]に記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[36] 被験体が、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対して同時免疫化される、上記[1]~[35]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
[37] 被験体が、淋菌に対して血清反応陽性である、上記[1]~[36]のいずれかに記載の方法、免疫原性組成物、又は使用。
【0253】
参考文献
[1] Newman et al. (2015) PloS one 10:e0143304.
[2] Lewis (2014) Curr. Opin. Infect. Dis. 27:62-67.
[3] Bolan et al. (2012) N. Engl. J. Med. 366:485-487.
[4] Mehta et al. (2003) Sexually transmitted infections 79:124-128.
[5] Edwards et al. (2016) Crit. Rev. Microbiol. 1-14.
[6] Zhu et al. (2011) Frontiers in Microbiology 2:124.
[7] Jerse et al. (2014) Vaccine 32:1579-1587.
[8] Jerse et al. (2014) Vaccine 32:1579-87.
[9] Tinsley and Nassif (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:11109-11114.
[10] Muzzi et al. (2013) mBio 4:e00163-13
[11] Bai et al. (2011) Expert Opin Biol Ther. 11:969-85.
[12] Su & Snape (2011) Expert Rev Vaccines 10:575-88.
[13] Gorringe & Pajon (2012) Human Vaccines & Immunotherapeutics 8:1-10.
[14] Giuliani et al. (2006) PNAS USA 103:10834-9.
[15] Regnier and Huels (2014) Hum. Vacc. Immunother. 10:3737-3745
[16] WO2005/102384.
[17] Jiang et al. (2010) Vaccine 28:6086-93.
[18] WO2013/186753
[19] Comanducci et al. (2002) J. Exp. Med. 195:1445-1454
[20] Hadad et al. (2012) APMIS 120:750-760.
[21] Jongerius 9(8):e1003528 (2013) PLoS Pathog. 9:e1003528
[22] Tettelin et al. (2000) Science 287:1809-1815.
[23] WO00/66741.
[24] WO99/57280
[25] Serruto et al. (2010) PNAS USA 107:3770-5.
[26] Comaducci et al. (2002) J Exp Med 195:1445-54.
[27] Masignani et al. (2003) J Exp Med 197:789-799.
[28] Welsch et al. (2004) J Immunol 172:5605-15.
[29] Hou et al. (2005) J Infect Dis 192(4):580-90.
[30] WO03/063766.
[31] Fletcher et al. (2004) Infect Immun 72:2088-2100.
[32] Zhu et al. (2005) Infect Immun 73(10):6838-45.
[33] Cantini et al. (2006) J. Biol. Chem. 281:7220-7227
[34] Madico et al. (2006) J Immunol 177:501-10.
[35] WO2004/048404
[36] WO2009/104097.
[37] Rossi et al. (2013) Vaccine 31:5451-7
[38] Parkhill et al. (2000) Nature 404:502-506.
[39] WO01/64920.
[40] WO01/64922.
[41] WO03/020756
[42] Beernink et al. (2009) J Infect Dis 199:1360-8.
[43] Pinto et al. (2011) Vaccine 29:7752-8.
[44] WO02/09643.
[45] Katial et al. (2002) Infect. Immun. 70:702-707.
[46] US patent 6,180,111.
[47] WO01/34642.
[48] WO2006/046143.
[49] WO2004/019977.
[50] European patent 0011243.
[51] Fredriksen et al. (1991) NIPH Ann. 14(2):67-80.
[52] WO01/91788.
[53] WO2005/004908.
[54] WO2011/036562.
[55] Claassen et al. (1996) Vaccine 14:1001-8.
[56] de Kleijn et al. (2000) Vaccine 18:1456-66.
[57] WO03/105890.
[58] WO2006/024946
[59] WO03/080678.
[60] Glode et al. (1979) J Infect Dis 139:52-56
[61] WO94/05325; US patent 5,425,946.
[62] Arakere & Frasch (1991) Infect. Immun. 59:4349-4356.
[63] Michon et al. (2000) Dev. Biol. 103:151-160.
[64] Rubinstein & Stein (1998) J. Immunol. 141:4357-4362.
[65] WO2005/033148
[66] WO02/058737
[67] WO2007/000314.
[68] Vaccines. (eds. Plotkin & Orenstein). 4th edition, 2004, ISBN: 0-7216-9688-0.
[69] US patent 4,709,017.
[70] WO93/25210.
[71] US patent 5,917,017.
[72] WO00/48638.
[73] Del Guidice et al. (1998) Molecular Aspects of Medicine 19:1-70.
[74] Anonymous (Jan 2002) Research Disclosure, 453077.
[75] Anderson (1983) Infect Immun 39(1):233-238.
[76] Anderson et al. (1985) J Clin Invest 76(1):52-59.
[77] EP-A-0372501.
[78] EP-A-0378881.
[79] EP-A 0427347.
[80] WO93/17712
[81] WO94/03208.
[82] WO98/58668.
[83] EP A 0471177.
[84] WO91/01146
[85] Falugi et al. (2001) Eur J Immunol 31:3816-3824.
[86] Baraldo et al. (2004) Infect Immun 72(8):4884-7.
[87] EP-A-0594610.
[88] Ruan et al. (1990) J Immunol 145:3379-3384.
[89] WO00/56360.
[90] Kuo et al. (1995) Infect Immun 63:2706-13.
[91] Michon et al. (1998) Vaccine. 16:1732-41.
[92] WO02/091998.
[93] WO01/72337
[94] WO00/61761.
[95] WO00/33882
[96] WO99/42130
[97] US patent 4,711,779.
[98] WO2007/000341.
[99] Mol. Immunol., 1985, 22, 907-919
[100] EP-A-0208375
[101] Bethell et al. (1979) J. Biol. Chem., 254, 2572-4
[102] Hearn (1981) J. Chromatogr., 218:509-18
[103] WO00/10599
[104] Gever et al., Med. Microbiol. Immunol, 165 : 171-288 (1979).
[105] US patent 4,057,685.
[106] US patents 4,673,574; 4,761,283; 4,808,700.
[107] US patent 4,459,286.
[108] US patent 5,204,098
[109] US patent 4,965,338
[110] US patent 4,663,160.
[111] WO2007/000343.
[112] US patent 4,761,283
[113] US patent 4,356,170
[114] WO2007/000342.
[115] Lees et al. (1996) Vaccine 14:190-198.
[116] WO95/08348.
[117] WO98/42721.
[118] WO03/007985
[119] W.H.O. Tech. Rep. Ser. 594:51, 1976.
[120] WO2007/000322.
[121] Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy. 20th edition, ISBN: 0683306472.
[122] Vaccine Design… (1995) eds. Powell & Newman. ISBN: 030644867X. Plenum.
[123] Loza et al. (2010) Int. J. STD AIDS 21:460-465
[124] Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan, eds., Academic Press, Inc.)
[125] Handbook of Experimental Immunology, Vols. I IV (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds, 1986, Blackwell Scientific Publications)
[126] Sambrook et al. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press).
[127] Handbook of Surface and Colloidal Chemistry (Birdi, K.S. ed., CRC Press, 1997)
[128] Ausubel et al. (eds) (2002) Short protocols in molecular biology, 5th edition (Current Protocols).
[129] Molecular Biology Techniques: An Intensive Laboratory Course, (Ream et al., eds., 1998, Academic Press)
[130] PCR (Introduction to Biotechniques Series), 2nd ed. (Newton & Graham eds., 1997, Springer Verlag)
[131] Geysen et al. (1984) PNAS USA 81:3998-4002.
[132] Carter (1994) Methods Mol Biol 36:207-23.
[133] Jameson, BA et al. 1988, CABIOS 4(1):181-186.
[134] Raddrizzani & Hammer (2000) Brief Bioinform 1(2):179-89.
[135] Bublil et al. (2007) Proteins 68(1):294-304.
[136] De Lalla et al. (1999) J. Immunol. 163:1725-29.
[137] Kwok et al. (2001) Trends Immunol 22:583-88.
[138] Brusic et al. (1998) Bioinformatics 14(2):121-30
[139] Meister et al. (1995) Vaccine 13(6):581-91.
[140] Roberts et al. (1996) AIDS Res Hum Retroviruses 12(7):593-610.
[141] Maksyutov & Zagrebelnaya (1993) Comput Appl Biosci 9(3):291-7.
[142] Feller & de la Cruz (1991) Nature 349(6311):720-1.
[143] Hopp (1993) Peptide Research 6:183-190.
[144] Welling et al. (1985) FEBS Lett. 188:215-218.
[145] Davenport et al. (1995) Immunogenetics 42:392-297.
[146] Tsurui & Takahashi (2007) J Pharmacol Sci. 105(4):299-316.
[147] Tong et al. (2007) Brief Bioinform. 8(2):96-108.
[148] Schirle et al. (2001) J Immunol Methods. 257(1-2):1-16.
[149] Chen et al. (2007) Amino Acids 33(3):423-8.
[150] Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., eds., 1987) Supplement 30
[151] Smith & Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2: 482-489.
【配列表】