(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】STING経路を活性化する遺伝子アジュバントの発現のためのウイルスベクター構築物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/86 20060101AFI20240711BHJP
C07K 14/05 20060101ALI20240711BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240711BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240711BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240711BHJP
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A61K 38/17 20060101ALI20240711BHJP
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A61P 37/04 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C07K14/05
C07K19/00
A61K31/7088
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A61K39/00 H
A61K38/17
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A61P31/00
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A61P31/16
A61P31/18
A61P31/20
A61P31/22
A61P33/02
A61P33/06
A61P33/12
A61P35/00
A61P37/04
(21)【出願番号】P 2022169062
(22)【出願日】2022-10-21
(62)【分割の表示】P 2019548779の分割
【原出願日】2017-11-28
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519192751
【氏名又は名称】アラティンガ.バイオ エーアイオー
【氏名又は名称原語表記】ARATINGA.BIO AIO
【住所又は居所原語表記】3, Boulevard De Sebastopol 75001 Paris (FR)
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】ボッシュ,セシル
(72)【発明者】
【氏名】モレーン,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイヤン,ルノー
(72)【発明者】
【氏名】サリー,エムリーヌ
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/039961(WO,A1)
【文献】Journal for ImmunoTherapy of Cancer,2016年11月16日,Vol. 4, Supp. Supplement 1,Abstract Number: P286,DOI 10.1186/s40425-016-0173-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/86
C07K 14/05
C07K 19/00
A61K 31/7088
A61K 35/76
A61K 39/00
A61K 38/17
A61K 48/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原または抗原性エピトープをコードする第1の核酸配列、およびエプスタインバーウイルスの潜在膜タンパク質1(LMP1)の膜貫通部分を含む融合タンパク質をコードする第2の核酸配列を含むウイルスベクターであって、LMP1の細胞質内ドメインが、その膜貫通ドメインを欠くヒトIPS1で置換されており、ここで、前記ベクターを有する細胞の形質導入が前記細胞内のSTING経路を活性化する、
そして、前記第2の核酸配列が、配列番号3および配列番号5からなる群から選択される配列を含む、前記ウイルスベクター。
【請求項2】
前記ベクターがレンチウイルスベクターである、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項3】
前記第1の核酸配列が、2以上の抗原または2以上の抗原性エピトープを含む融合タンパク質をコードする、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項4】
前記ベクターが、さらに、可溶性免疫チェックポイント阻害剤分子、または可溶性免疫モジュレータ分子をコードする第3の核酸配列を含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項5】
前記可溶性免疫チェックポイント阻害剤分子または前記可溶性免疫モジュレータ分子が、CTLA-4、PD-1、PDL-1、LAG-3、TIM 3、B7-H3、ICOS、IDO、4-1BB、CD47、B7-H4、OX-40、TIGIT、CD160、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項
4に記載のウイルスベクター。
【請求項6】
前記ベクターがさらに機能性レンチウイルス・インテグラーゼタンパク質を含み、前記ベクターが自己不活性化である、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項7】
前記抗原が、NY-ESO-1、メソテリン、PSA、MART-1、MART-2、Gp100、チロシナーゼ、p53、ras、MUC1、SAP-1、サバイビン、CEA、Ep-CAM,Her2、BRCA1/2、gag、逆トランスクリプターゼ、tat、スポロゾイト周囲のタンパク質、HCV非構造性タンパク質、ヘマグルチニンならびにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項8】
対象におけるがんまたは感染症を予防または処置するための免疫治療の処方物であって、前記処方物が請求項1に記載のウイルスベクターを含む
、免疫治療の処方物。
【請求項9】
対象においてがんまたは感染症に対する免疫応答を誘導または増強する方法において用いるための、請求項1~
7のいずれか1項に記載のウイルスベクターであって、それを必要とする対象に投与され、それによって、前記がんまたは感染症に対する免疫応答が対象において誘導または増強される、前記ウイルスベクター。
【請求項10】
前記免疫応答ががんに対して誘導または増強され、そして前記がんが黒色腫、神経膠腫、前立腺がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、肺がん、リンパ腫、および膵臓がんからなる群から選択される、請求項
9に記載のウイルスベクター。
【請求項11】
前記免疫応答が感染症に対して誘導または増強され、前記感染症が、HIV/AIDS、C型肝炎、HPV、肺炎、インフルエンザ、マラリア、リーシュマニア症、結核、ハンセン病、狂犬病、デング熱、ジカ、エボラ、および住血吸虫症からなる群から選択される、請求項
9に記載のウイルスベクター。
【請求項12】
対象においてがんまたは感染症に対する免疫応答を誘導または増強する方法において用いるための、請求項
8に記載の免疫治療の処方物であって、それを必要とする対象に投与され、それによって、前記がんまたは感染症に対する免疫応答が対象において誘導または増強される、前記免疫治療の処方物。
【請求項13】
前記免疫応答ががんに対して誘導または増強され、そして前記がんが黒色腫、神経膠腫、前立腺がん、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、肺がん、リンパ腫、および膵臓がんからなる群から選択される、請求項
12に記載の免疫治療の処方物。
【請求項14】
前記免疫応答が感染症に対して誘導または増強され、前記感染症が、HIV/AIDS、C型肝炎、HPV、肺炎、インフルエンザ、マラリア、リーシュマニア症、結核、ハンセン病、狂犬病、デング熱、ジカ、エボラ、および住血吸虫症からなる群から選択される、請求項
12に記載の免疫治療の処方物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、予防用および治療用ワクチン、ならびに細胞性免疫応答を増強するための組成物を含む、遺伝子免疫治療薬としての使用のためのウイルスベクターに関する。
【背景技術】
【0002】
抗体に基づく免疫応答の誘導に基づく標準的なワクチン戦略は、天然痘、ポリオ、および破傷風などの多くの以前に致命的であった感染症の根絶またはほぼ根絶をもたらした。しかし、これらの古典的なヒトワクチンは、HIVや肝炎などの他の感染症や、がんなどの非感染症には無効であるか、安全ではない。
【0003】
細胞性免疫応答を誘導することを目的とした新世代の免疫療法製品は、病原体自体の代わりにがん細胞および感染細胞を認識し殺すことによって伝統的なワクチンの限界を克服し得る。核酸ワクチン、そして特にウイルスベクターは、診療所に移す大きな可能性を示した。
【0004】
がん細胞や多くの感染因子には免疫システムを回避する方法があり、それが効果的なワクチンの作成を困難にしている。古典的ワクチンは、最適な有効性のためにしばしばアジュバント、例えばアルミニウム塩を必要とするが、従来のアジュバントは典型的には細胞性免疫応答の乏しい増強剤である。ウイルスベクターによって誘発される細胞性免疫応答の質および規模を改善するためのいくつかの戦略が提案されている。ベクターベースの免疫療法によって誘導される細胞性免疫応答を改善するために、新しいクラスの遺伝子アジュバントが開発された。遺伝子アジュバントは免疫調節分子をコードするDNA配列からなる。
【0005】
ストーンら(WO2014/039961)は、インターフェロンアルファおよびベータの分泌を誘導し、したがってインターフェロン刺激遺伝子の発現を誘導する遺伝子アジュバントの使用を開示している。このアプローチでは、核酸ワクチンは、場合によりマーカータンパク質または抗原をコードする導入遺伝子に加えて、細胞質内ドメインが免疫エフェクタまたはIPS1タンパク質などのアダプタータンパク質により置換されているLMP1タンパク質の膜貫通部分を含む融合タンパク質をコードする。IFN-βプロモータ刺激因子(IPS1;MAVS、VISAまたはCardifとも言う)の活性化は、STING(インターフェロン遺伝子刺激因子)経路を介して強力なT細胞応答を生じさせる。細胞内で発現されると、LMP1の膜貫通ドメインは自発的にクラスターを形成し、これがIPS1の細胞質内クラスターへの凝集を可能にし、STING経路を活性化する。全長マウスIPS1と融合したLMP1の膜貫通ドメインは、IFN-α、IFN-β、およびIL-6の分泌を誘導し、さらにマウスマクロファージにおける成熟(CD40およびCCR7)および活性化マーカー(CD80およびCD86)の発現を誘導することが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
がん、HIV、および他の満たされていない医学的必要性などの適応症において観察される免疫寛容を破壊するために必要とされる強い細胞性免疫応答を誘導する自己アジュバント化ワクチンに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、免疫応答、特にがんまたは感染症に対するものなどの免疫応答、特に細胞性免疫応答を改善するための遺伝子アジュバントをコードするウイルスベクター、およびウイルスベクターの使用方法を提供する。本技術の抗原およびアジュバント構築物は、ヒト対象における使用のために最適化されている。
【0008】
本技術の一態様は、(i)1つ以上のマーカータンパク質、抗原、エピトープ、またはそれらの組み合わせをコードする1つ以上の導入遺伝子、および(ii)細胞質内ドメインがヒトIPS1、またはSTING経路を活性化することができるその変異体によって置換された、エプスタインバーウイルスの潜在膜タンパク質1(LMP1)の膜貫通部分を含む融合タンパク質をコードする導入遺伝子、を含むウイルスベクターである。好ましい態様において、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。いくつかの態様において、ベクターは機能性レンチウイルス・インテグラーゼ・タンパク質を含み、それによってそれが形質導入している細胞のゲノムに組み入れることができる。
【0009】
抗原は、腫瘍抗原、ウイルス抗原、または微生物抗原であり得る。複数の抗原または1つ以上の抗原の選択されたエピトープは、ベクターによってコードされ得る。特定の実施態様において、少なくとも1つの抗原は、NY-ESO-1、メソテリン、PSA、MART-1、MART-2、Gp100、チロシナーゼ、p53、ras、MUC1、SAP-1、サバイビン、CEA、Ep-CAM、Her2、BRCA1/2、gag、逆転写酵素、tat、スポロゾイト周囲のタンパク質、HCV非構造タンパク質、ヘマグルチニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施態様において、ベクターは、抗CTLA-4分子、PD-1遮断薬、PDL1遮断薬、またはそれらの組み合わせなどの少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤分子をさらにコードする。
【0010】
特定の実施態様において、ウイルスベクターは複数の核酸配列を含む。いくつかの実施態様において、第1の核酸配列は1つ以上のマーカータンパク質、抗原、エピトープ、またはそれらの組み合わせをコードする。第2の核酸配列は、細胞質内ドメインがヒトIPS1またはSTING経路を活性化することができるその変異体によって置換されている、潜在性膜タンパク質1の膜貫通部分を含む融合タンパク質をコードする。そして、場合によっては、第3の核酸配列は、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤分子(「抗チェックポイント」)をコードする。好ましくは、第1および第2、および第2および第3の核酸配列は、内部リボソーム進入部位(IRES)をコードする核酸配列によって分離されている。第1および第2、ならびに第2および第3の核酸配列は、自己切断ペプチド(例えば、2Aペプチド)をコードする核酸配列によって分離することができる。第1および第2、ならびに第2および第3の核酸配列は、自己切断ペプチド(例えば2Aペプチド)または内部リボソーム進入部位(IRES)のいずれかをコードする核酸配列によって分離することができる。
【0011】
本技術の別の態様は、ウイルスベクターを含む対象の疾病または容体を予防または処置するための免疫療法の処方物である。好ましい態様において、疾病または容体は、がんまたは感染症である。
【0012】
本技術の別の態様は、対象においてがんまたは感染症に対する免疫応答を誘導する方法であり、この方法はそれを必要とする対象にウイルスベクターまたは免疫療法処方物を投与することを含む。いくつかの実施態様において、ウイルスベクターを対象に投与することは、がんまたは感染症に対して対象にワクチン接種することである。
【0013】
いくつかの実施態様において、がんは、黒色腫、神経膠腫、前立腺癌、卵巣癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肺癌、リンパ腫、肉腫、および膵臓癌からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、がんは上に列挙された腫瘍抗原を保有する。いくつかの実施態様において、がんは抗チェックポイントに感受性がある。いくつかの実施態様において、感染症は、HIV/AIDS、C型肝炎、HPV、肺炎、インフルエンザ、マラリア、リーシュマニア症、結核、ハンセン病、狂犬病、デング熱、ジカウイルス感染症、エボラウイルス感染症、ならびに住血吸虫症からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、感染性病原体は上に挙げたウイルスまたは微生物性抗原を保有する。いくつかの実施態様において、感染症は抗チェックポイントに敏感である。
【0014】
本技術は、また以下の実施態様の列挙に要約され得る。
1.抗原または抗原性エピトープをコードする第1の核酸配列、および細胞質内ドメインがヒトIPS1またはSTING経路を活性化することができるその変異体で置換されている、エプスタインバーウイルスの潜在膜タンパク質1(LMP1)の膜貫通部分を含む融合タンパク質をコードする第2の核酸配列を含むウイルスベクターであって、ベクターのコード配列がヒト発現のためにコドン最適化されている。
【0015】
2.ベクターがレンチウイルスベクターである、実施態様1に記載のウイルスベクター。
【0016】
3.第1の核酸配列が、2以上の抗原または2以上の抗原エピトープを含む融合タンパク質をコードする、実施態様1または2に記載のウイルスベクター。
【0017】
4.第2の核酸配列が、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択される配列を含む、先行する実施態様のいずれかに記載のウイルスベクター。
【0018】
5.ベクターが可溶性免疫チェックポイント阻害剤分子または可溶性免疫モジュレータ分子をコードする第3の核酸配列をさらに含む、先行する実施態様のいずれかに記載のウイルスベクター。
【0019】
6.可溶性免疫チェックポイント阻害剤分子または可溶性免疫モジュレータ分子が、CTLA-4、PD-1、PDL-1、LAG-3、TIM 3、B7-H3、ICOS、IDO、4-1BB、CD47、B7-H4、OX-40、TIGIT、CD160、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施態様5に記載のウイルスベクター。
【0020】
7.ベクターが、さらに機能性レンチウイルス・インテグラーゼタンパク質を含み、前記ベクターが自己不活性性である、先行する実施態様のいずれかに記載のウイルスベクター。
【0021】
8.抗原が、NY-ESO-1、メソテリン、PSA、MART-1、MART-2、Gp100、チロシナーゼ、p53、ras、MUC1、SAP-1、サバイビン、CEA、Ep-CAM、Her2、BRCA1/2、gag、逆転写酵素、tat、スポロゾイト周囲のタンパク質、HCV非構造性タンパク質、ヘマグルチニン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、先行する実施態様のいずれかに記載のウイルスベクター。
【0022】
9.対象のがんまたは感染症を予防または処置するための免疫療法処方物で、前記処方物は、実施態様1~8のいずれかに記載のウイルスベクターを含む。
【0023】
10.対象におけるがんまたは感染症に対する免疫応答を誘導または増強する方法であって、該方法は、それを必要とする対象に、実施態様1~8のいずれかに記載のウイルスベクターまたは実施態様9の免疫療法処方物を投与することを含み、それによって、前記がんまたは感染症に対する免疫応答が、対象において誘導または増強される前記方法。
【0024】
11.免疫応答ががんに対して誘導または増強され、そして該がんが黒色腫、神経膠腫、前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肺癌、リンパ腫、膵臓がんからなる群から選択される、実施態様10に記載の方法。
【0025】
12.免疫応答が感染症に対して誘導または増強され、そして該感染症が、HIV/AIDS、C型肝炎、HPV、肺炎、インフルエンザ、マラリア、リーシュマニア症、結核、ハンセン病、狂犬病、デング熱、ジカ、エボラ、ならびに住血吸虫症からなる群から選択される、実施形態10に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、LMP1タンパク質の2次構造の略図を示す。
【
図2】
図2は、細胞質内シグナル伝達ドメインを取り除いた、切断LMP1の2次構造の略図を示す。
【
図3B】
図3Bは、ミトコンドリア膜におけるIPS1タンパク質の配向を示す。
【
図4】
図4は、LPM1-IPS1融合タンパク質の略図を示す。
【
図5】
図5は、WO2014/039961に記載の順序で発現された場合、それが産生されるはずのLPM1-IPS1融合タンパク質の略図を示す。
【
図6】
図6は、IPS1貫通膜ドメインを取り除いた、LPM1-IPS1融合タンパク質の略図を示す。
【
図7】
図7は、IPS貫通膜ドメインが除去され、そしてカスパーゼ動員ドメイン(CARD)およびプロリンに富む(PR)ドメインが転倒方向にある、LPM1・・逆IPS1融合タンパク質の構造を示す。
【
図8】
図8A~8Cは、いくつかの分子構築物の概略図を示す。
図8Aは、対照として使用されるレンチベクターを示し、ここで導入遺伝子はヒトユビキチンプロモータの制御下にある。導入遺伝子は、a)GFPレポーター遺伝子、b)LMP1タンパク質の膜貫通ドメイン、c)GFPレポーター遺伝子およびIRES配列によって分離されたLMP1の膜貫通ドメイン、およびd)全長ヒトIPS1と融合したLMP1膜貫通ドメインである。
図8Bは、導入遺伝子がヒトユビキチンプロモータの制御下にある、様々なアジュバントを評価するために使用されるレンチベクターを示す。導入遺伝子は、a)全長ヒトIPS1タンパク質と融合したLMP1膜貫通ドメインからIRESによって分離されたGFPレポーター遺伝子、b)ヒトIPS1タンパク質と融合したLMP1膜貫通ドメインからIRESによって分離されたGFPレポーター遺伝子であり、膜貫通ドメインを除去し、c)膜貫通ドメインおよびプロリン富裕ドメインがそこから削除された、ヒトIPS1タンパク質と融合しているLMP1膜貫通ドメインからIRESによって分離されたGFPレポーター遺伝子、およびd)そこから膜貫通ドメインが削除され、CARDおよびProドメインが逆になっているヒトIPS1タンパク質と融合したLMP1膜貫通ドメインからのIRESによって分離されたGFPレポーター遺伝子。
図8Cは、アジュバント配列の後にIRESおよび抗チェックポイント可溶性分子または可溶性免疫モジュレータ分子が続く、
図8Bと同じ構築物を示す。
【
図9】
図9A-9Bは、ヒト樹状細胞およびレンチウイルスベクターによって形質導入されたマクロファージにおけるGFP導入遺伝子の発現レベルを示す。
図9Aは、レンチウイルス構築物による形質導入の96時間後のヒト樹状細胞におけるGFP導入遺伝子の発現を示す。
図9Bは、レンチウイルス構築物による形質導入の96時間後のヒトマクロファージにおけるGFP導入遺伝子の発現を示す。
【
図10】
図10A~10Dは、レンチウイルスベクターによってインビトロで誘導されたヒト樹状細胞およびマクロファージの活性化および成熟を示す図である。
図10Aは、レンチウイルス構築物による形質導入の96時間後のヒト樹状細胞におけるアップレギュレートされたサイトカインのパネルを示す。
図10Bは、レンチウイルス構築物による形質導入の96時間後のヒトGFP陽性樹状細胞におけるアップレギュレートされたマーカーのパネルを示す(発現はGFPに対して正規化されている)。
図10Cは、レンチウイルス構築物による形質導入の96時間後のヒトマクロファージにおけるアップレギュレートされたサイトカインのパネルを示す。
図10Dは、レンチウイルス構築物による形質導入の96時間後のGFP陽性ヒトマクロファージにおけるアップレギュレートされたマーカーのパネルを示す(発現はGFPに対して正規化されている)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本技術は、免疫療法用製品に使用するための遺伝子アジュバントの発現のためのウイルスベクター構築物、およびそのベクターの使用方法を提供する。ベクター構築物は、細胞性免疫応答を誘導および/または増強するために特に適している、がんまたは感染症に対するものなどの免疫応答の質および強度を改善することができる。
【0028】
本技術は、抗原性カセットおよび遺伝子アジュバントを包含する単一のベクター構築物の使用を記載する。2つのベクター(1つは抗原をコードし、もう1つはアジュバントをコードする)の同時注入と比較すると、単一の製品の使用は開発を単純化し(産業的、規制的および臨床的側面を含む)、処置の有効性および安全性を高める。この独特の構築物により、抗原性カセットを発現する細胞は、誘発された免疫応答の強度および質を改善するアジュバントの発現から構成的に利益を得るであろう。形質導入された細胞は、規制当局によって疑問または懸案となり得る、遺伝子配列の長期的かつ非希望的発現の危険性を低減する前記免疫応答によって急速に排除されるであろう。加えて、1つのベクターのみの産生および注入は、2つの異なるベクターの注入と比較した場合、より費用効率が高いであろう。
【0029】
本技術は、細胞質内ドメインがヒトIPS1またはSTING経路を活性化できるその異性体および1以上の抗原によって置換されたEBV LMP1タンパク質をコードする1以上の核酸配列を含む。
典型的な実施態様において、本技術は細胞膜内の2以上のLMP1タンパク質の凝集、および/または2以上のIPS1細胞質内シグナル伝達ドメインの凝集によって免疫応答の活性化を提供する。
【0030】
直接注入後、核酸配列の導入およびそれに続くタンパク質発現は任意の種類の細胞で起こり得るが、免疫細胞で起こるのが好ましい。この技術は、がんおよび感染症に対する伝統的な予防用または治療用ワクチン、ならびに樹状細胞療法などの細胞ベースの治療に使用することができる。本明細書中に記載される実験において、ウイルスベクターは、免疫応答ならびに感染症およびがんからの保護またはそれらの処置を著しく増強することが期待される。
【0031】
「ベクター」とは、転写され得る遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含有する分子をいう。いくつかの場合において、核酸分子は、次いでタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳される。アンチセンス分子、リボザイムまたはアプタマーの産生におけるなどの他の場合では、これらの配列は翻訳されていない。ベクターは、特定の宿主生物における機能的に連結されたコード配列の転写およびおそらく翻訳に必要な核酸配列を指す、さまざまな制御配列を含有し得る。転写および翻訳を支配する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは同様に他の機能に役立つ核酸配列を含有し得る。
【0032】
「構築物」は、核酸コード配列の一部または全部が転写され得る遺伝子産物をコードする任意の種類の操作された核酸であり得る。転写物は一般にタンパク質に翻訳されるが、そうである必要はない。特定の実施態様において、発現は、遺伝子の転写およびmRNAの遺伝子産物への翻訳の両方を含む。他の実施態様において、発現は目的の遺伝子をコードする核酸の転写のみを含む。
本明細書で使用される場合、「ワクチン」は全ての予防用および治療用ワクチンを含む。
【0033】
「アジュバント」は、抗原に対する免疫応答を活性化または増強する任意の分子または組成物であり得る。アジュバントは、特定の種類の免疫系細胞に対する免疫応答を修飾するのを助けることによってワクチンの効力を増強し得る。アジュバントは、樹状細胞、マクロファージ、およびB細胞などの抗原提示細胞の活性化を引き起こす免疫刺激剤であり得る。アジュバントはまた、免疫系が警戒状態に入るべきであることを示す「危険」信号を提供すると理解されている。アジュバントは、抗原提示細胞による抗原提示を促進することによって、マクロファージおよびリンパ球を活性化することによって、および/またはサイトカインの産生を支援することによって作用し得る。アジュバントがなければ、免疫反応は進行しないか、または無効な免疫または寛容性に転用される可能性がある。アジュバントは、効果的な予防用または治療用ワクチン、あるいは抗腫瘍免疫応答を誘導するためにしばしば必要とされる。「遺伝子アジュバント」は、アジュバントとして機能する分子を産生するために標的細胞によって発現される核酸の形態で提供されるアジュバントである。
【0034】
抗原提示細胞(APC)は、その細胞表面上に(または細胞表面に)少なくとも1つの抗原または抗原性フラグメントを表示、獲得、または提示することが可能な種々の細胞のいずれかである。一般に、用語「抗原提示細胞」は、抗原または抗原組成物に対する免疫応答(すなわち、免疫系のT細胞またはB細胞アームからの)の増強を助けることによって本技術の目的を達成する任意の細胞を言うことができる。そのような細胞は、本明細書において、および当技術分野において開示されている方法を使用して当業者によって定義することができる。当業者に理解され、そして本明細書中で使用されるように、クラスII主要組織適合性分子または免疫細胞に対する複合体と通常または優先的に抗原を表示または提示する細胞が「抗原提示細胞」である。特定の態様において、細胞(例えば、APC)は、所望の抗原を発現する組換え細胞または腫瘍細胞などの他の細胞と融合することができる。2つ以上の細胞の分裂を調製するための方法は当技術分野において周知である。
【0035】
場合によっては、抗原提示細胞が抗原を表示または提示する免疫細胞は、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞である。APCまたは他の免疫細胞上で発現されるさらなる分子は、免疫応答の増強を補助または改善し得る。例えばサイトカインおよびアジュバントなどの分泌されたまたは可溶性の分子もまた、抗原に対する免疫応答を補助または増強し得る。樹状細胞(DC)は、インビボ、インビトロ、エクスビボ、または宿主もしくは対象中に存在する、または造血幹細胞もしくは単球に由来し得る抗原提示細胞である。樹状細胞およびそれらの前駆体は、骨髄および末梢血からと同様に、さまざまなリンパ系器官、例えば脾臓、リンパ節から単離することができる。DCは、樹状細胞体から離れた複数の方向に伸びる薄いシート(葉状仮足)を伴う特徴的な形態を有する。典型的には、樹状細胞は高レベルの主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)および共刺激(例えばB7-1およびB7-2)分子を発現する。樹状細胞は、インビトロでT細胞の抗原特異的分化を誘導することができ、インビトロおよびインビボで一次T細胞応答を開始することができる。
【0036】
「免疫応答」という語句は、抗原、または抗原もしくはアレルゲンもしくは薬物もしくは生物学的物質に対して特異的な抗体および/または免疫細胞媒介性応答の誘導を意味する。免疫応答の誘導は、攻撃された生物の免疫原性の構成、抗原またはアレルゲンまたは薬物または生物学的物質の化学組成および構成、ならびに抗原またはアレルゲンまたは薬物または生物学的物質の投与の方法および期間を含む多くの要因に依存する。免疫応答は多くの面を有し、そのうちのいくつかは免疫系の細胞(例えば、Bリンパ球、Tリンパ球、マクロファージ、および形質細胞)によって示される。免疫系細胞は、抗原またはアレルゲンまたは免疫系の他の細胞との相互作用、サイトカインの放出およびそれらのサイトカインに対する反応性を介して免疫応答に関与し得る。免疫応答は、一般に、体液性および細胞介在性の2つの主要なカテゴリーに分けられる。免疫応答の体液性成分は、抗原またはアレルゲンまたは薬物または生物学的物質に特異的な抗体の産生を含む。細胞媒介成分は、抗原またはアレルゲンに対する遅延型過敏症および細胞傷害性エフェクタ細胞の生成を含む。
【0037】
免疫系の活性化または刺激は、リンパ球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)および細胞傷害性Tリンパ球(CTL)などの免疫エフェクタ細胞の活性化によって媒介され得る。それは樹状細胞などの抗原提示細胞の活性化および成熟によって媒介され得る。それは、免疫チェックポイント阻害剤を阻害することによるなどの、阻害経路の遮断によって媒介され得る。
【0038】
用語「LMP1遺伝子」は、天然エプスタインバーウイルスLMP1をコードする核酸配列、例えば天然エプスタインバーウイルスLMP1遺伝子、LMP1 cDNAが転写され得る配列を有する核酸、および/または前述の対立遺伝子変異体および同族体を意味する。LMP1の例示的な核酸配列は、GenBank登録番号M58153.1である。この用語は、二本鎖DNA、一本鎖DNA、およびRNAを包含する。
【0039】
用語「LMP1タンパク質」は、LMP1遺伝子の発現産物または少なくとも65%(しかし好ましくは75、80、85、90、95、96、97、98、または99%)の上記とのアミノ酸配列同一性を共有し、天然のLMP1タンパク質の機能的活性を示すタンパク質を意味する。タンパク質の「機能的活性」は、タンパク質の生理学的機能に関連した任意の活性である。LMP1は、免疫細胞上のCD40受容体に類似しているC末端細胞シグナル伝達領域に連結したN末端膜貫通領域からなる。LMP1を膜に固定することに加えて、LMP1のN末端は自己凝集し、そしてLMP1またはLMP1のN末端ドメインに結合した任意のタンパク質のクラスター化をもたらす。LMP1タンパク質の膜貫通(凝集)ドメインは、GenBank登録番号AAA66330.1に記載されているアミノ酸配列のアミノ酸1~190である。
【0040】
潜在性膜タンパク質-1(LMP1)は、エプスタインバーウイルス(EBV)における遺伝子である。そのN末端は、タンパク質を膜に固定する6つの隣接する膜貫通ドメインからなる。
図1は、膜貫通ドメイン101および細胞質内シグナル伝達ドメイン102を示すLMP1タンパク質の構造を示す。LMP1は、そのN末端膜貫通ドメインが自発的に細胞膜内にクラスターを形成し、それによって単一のポリペプチド鎖としてペプチド結合を介してそれに結合している細胞質内ドメインをクラスター化するので、リガンドまたは抗体を必要としない。この意味で、LMP1は「構成的に活性化されている」と言われている。同様に、機能するためにクラスター化を必要とするシグナル伝達ドメインにN末端膜貫通ドメインを連結する融合タンパク質もまた「構成的に活性化されている」と言うことができ、もはやそれらが由来する受容体からのリガンドを必要としない。
【0041】
インターフェロンプロモータ刺激因子-1(IPS1;MAVS、VISA、またはCardifとも呼ばれる)は、STING経路に関連する膜貫通型ミトコンドリアタンパク質(「インターフェロン遺伝子の刺激因子」;TMEM173、MPYS、MITA、およびERISとしても知られる)であり、それはサイトゾル中の病原体由来の核酸に対する固有の応答のために重要である。IPS1は、タンパク質をミトコンドリアの外膜に固着させるC末端膜貫通ドメインを含有し、そこで活性化されるとそれは凝集体(すなわち、多量体)を形成する。IPS1はペルオキシソームおよびミトコンドリア関連膜にも存在する。IPS1はまた、下流のタンパク質間相互作用に不可欠なカスパーゼ動員ドメイン(CARD)、および3つのTRAF相互作用モチーフ(TIM)を含有し、2つはN末端プロリン富裕領域に含まれ、3つ目はC末端領域に位置する。膜貫通ドメインの除去はIPS1媒介抗ウイルス応答を阻害するので、IPS1の膜局在化はその活性にとって重要であり得る。IPS1は、ウイルスRNAの存在について細胞質を巡回するレチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)様受容体(RLR)などの病原体認識受容体に対するアダプタータンパク質として機能する。二本鎖RNAがRLRに結合すると、それらはそれらのCARDドメインを介してIPS1と複合体を形成し、IPS1の多量体化および活性化をもたらす。次いで活性化されたIPS1複合体はIKKおよびTBK1/IKKi複合体を動員し、それによって転写因子NF-κBおよびIRF3の活性化をもたらすシグナル伝達カスケードを誘発する。NF-κBおよびIRF3はインターフェロンプロモータに結合してこれを活性化し、1型インターフェロンの産生を介して強力な細胞媒介性免疫応答をもたらす。RIG-1活性化はまたSTING経路を活性化し、ウイルスに対する細胞介在性免疫応答をさらに増強する。本技術において、IPS1とLMP1のN末端ドメインとの融合により、dsRNAによる活性化を模倣するLMP1-IPS1のクラスタリングおよび活性化が促進される。
【0042】
本技術のウイルスベクターは、対象において免疫応答を活性化または増強することができる1つ以上の核酸配列をコードする。核酸は、細胞質内ドメインがヒトIPS1またはSTING経路を活性化することができるその変異体によって置換されているエプスタインバーウイルスの潜在性膜タンパク質1(LMP1)をコードする。LMP1 DNA配列はヒト発現のためにコドン最適化されている。LMP1-IPS1融合タンパク質の発現は、2つ以上のLMP1タンパク質の凝集(すなわち多量体化)による免疫応答の活性化をもたらす。
【0043】
ウイルスベクターは、発現ベクターまたはプラスミドなどの任意の種類の適切なベクターであり得る。好ましい態様において、ベクターはレンチウイルスベクターである。レンチウイルスベクターは、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1またはHIV-2)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ウマ感染性脳炎ウイルス(EIAV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)ならびにネコ免疫不全ウイルス(FIV)に由来する修飾レンチウイルスである。修飾レンチウイルスベクターは病原性が低下している。ベクターはまた、有益な治療効果を導入するために修飾され得る。レンチウイルスベクター自体は毒性がなく、そして他のレトロウイルスとは異なり、レンチウイルスは非分裂細胞、特に樹状細胞に形質導入することができ、内因性経路を介した抗原提示を可能にする。
【0044】
レンチウイルスベクターは、RNAまたはDNA分子を含み得る。いくつかの実施態様において、レンチウイルスベクターはプラスミドなどの組換えDNA分子である。いくつかの実施態様において、レンチウイルスベクターは、粒子を形成するために組み換えDNA分子ならびに関連するウイルスタンパク質を含む。レンチウイルスベクター粒子は、一本鎖または二本鎖核酸分子を含有し得る。
【0045】
好ましい態様において、レンチウイルスベクターは、形質導入されている細胞のゲノムへの組み込み能力を有する。好ましい態様において、それらは機能的インテグラーゼタンパク質を含有する。非組込みベクター粒子は、宿主ゲノムへの組込みのためのレンチウイルスベクター粒子の能力を妨げる遺伝子変異を示す。用語「形質移入(transfection)」および「形質導入(transduction)」は、それによって外因性DNA配列が真核生物宿主細胞に導入されるプロセスを指す。形質移入は核酸(DNAまたはRNAのいずれか)の非ウイルス送達であり、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、遺伝子銃送達、レトロウイルス感染、リポフェクション、ポリマー媒介送達などを含む多数の手段のうちのいずれか1つによって達成することができる。形質導入は、核酸がDNAウイルスにとって典型的なDNAであり、RNAウイルスについてはRNAである、ウイルスまたはウイルスベクターによる核酸の送達を指す。
【0046】
いくつかの実施態様において、レンチウイルスベクターは自己不活性性であり、エンハンサーを含有しない。自己不活性化レンチウイルスベクターは、3‘LTRのU3(△U3)領域において、ベクターが宿主細胞内で複製できないようにする修飾を有する。U3領域は、基礎プロモータ活性およびウイルス複製に必須の結合部位をコードし、そしてこれらの結合部位の除去は、ウイルス複製の実質的に完全な不活性化をもたらす。
【0047】
多種多様の要因が、形質導入および場合によっては、いくつか例を挙げると、宿主ゲノムへの組込み、遺伝子発現および翻訳、タンパク質の折り畳み、輸送および代謝回転、細胞間相互作用に成功した後でさえも、ウイルスベクターの有効性に影響を及ぼし得る。これらの因子は、とりわけ、ベクターによってコードされた核酸配列に依存する。本技術を実施するための好ましいDNA配列は、ウイルスベクターの有効性および効率を増大させることを目的とした天然配列の修飾を含む。これらの修飾には以下が含まれる:ヒト使用のためのコドン最適化、融合タンパク質中のIPS1配列の最初のメチオニンの除去、IPS1膜貫通およびプロリン富裕ドメインの除去、ならびに逆IPS1配列の使用。これらの修飾は、転写および/または翻訳の速度に影響を与え、ならびに細胞内のタンパク質の位置およびタンパク質の活性に影響を与え得る。
【0048】
本技術のウイルスベクターは1以上の抗原をコードする。本明細書で使用される「抗原」という用語は、免疫応答を誘発する分子を言う。この免疫応答は、抗体産生もしくは特定の免疫担当細胞の活性化、またはその両方を含み得る。抗原は、生物体、タンパク質/抗原のサブユニット、死滅または不活性化した全細胞または溶解物に由来し得る。したがって、当業者は、事実上すべてのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原として役立ち得ることに気づいている。さらに、抗原は、組換えDNAまたはゲノムDNAに由来し得る。当業者は、病原性ゲノムのヌクレオチド配列もしくは部分ヌクレオチド配列、または免疫応答を引き出すタンパク質のための遺伝子もしくは遺伝子の断片を含む任意のDNAが抗原の合成をもたらすことに気付く。さらに、当業者は、本技術が遺伝子またはゲノムの全核酸配列の使用に限定されないことに気付く。本技術は、核酸配列が所望の免疫応答を引き出すためにさまざまな組み合わせで配置されている、2つ以上の遺伝子またはゲノムの部分核酸配列の使用を含むが、これらに限定されない。
【0049】
抗原は、それに対する免疫応答の増強が望ましい任意の抗原であり得る。そのような抗原には、防御免疫応答が引き出され得る感染症を引き起こす病原体由来の抗原が含まれるが、これらに限定されない。例えば、HIV由来の抗原には、タンパク質gag、env、pol、tat、rev、nef、逆転写酵素、および他のHIV成分が含まれる。ヒトパピローマウイルス由来のE6およびE7タンパク質も適切な抗原である。さらに、単純ヘルペスウイルス由来のEBNA1抗原が適している。この技術で使用するための他のウイルス抗原は、B型肝炎ウイルスのS、M、およびLタンパク質、B型肝炎ウイルスのプレS抗原、および他の肝炎、例えばA型、B型、およびC型肝炎、C型肝炎RNAなどのウイルス成分などの肝炎ウイルス抗原;ヘマググルチニン、ノイラミニダーゼ、核タンパク質、M2、および他のインフルエンザウイルス成分などのインフルエンザウイルス抗原;麻疹ウイルス融合タンパク質および他の麻疹ウイルス成分などの麻疹ウイルス抗原;タンパク質E1およびE2ならびに他の風疹ウイルス成分などの風疹ウイルス抗原;VP7scおよび他のロタウイルス成分などのロタウイルス抗原;エンベロープ糖タンパク質Bおよび他のサイトメガロウイルス抗原成分などのサイトメガロウイルス抗原;RSV融合タンパク質、M2タンパク質および他の呼吸器合胞体ウイルス抗原成分などの呼吸器合胞体ウイルス抗原;最初期タンパク質、糖タンパク質D、および他の単純ヘルペスウイルス抗原成分などの単純ヘルペスウイルス抗原;gpI、gpII、および他の水痘帯状疱疹ウイルス抗原成分などの水痘帯状疱疹ウイルス抗原;タンパク質E、M-E、M-E-NS1、NS1、NS1-NS2A、80%E、および他の日本脳炎ウイルス抗原成分のような日本脳炎ウイルス抗原;狂犬病糖タンパク質、狂犬病核タンパク質および他の狂犬病ウイルス抗原成分などの狂犬病ウイルス抗原;西ナイルウイルスのprMおよびEタンパク質;エボラエンベロープタンパク質である。ウイルス抗原のさらなる例については、Fundamental Virology, Second Edition, eds. Knipe, D. M. and, Howley P. M. (Lippincott Williams & Wilkins, New York, 2001)を参照されたい。さらに、細菌抗原も開示されている。
【0050】
本技術の組成物および方法で使用できる細菌抗原には、百日咳毒素、糸状赤血球凝集素、百日咳、FIM2、FIM3、アデニレートシクラーゼおよび他の百日咳細菌抗原成分などの百日咳細菌抗原;ジフテリア毒素またはトキソイドおよび他のジフテリア細菌抗原成分などのジフテリア細菌抗原;破傷風毒素またはトキソイドなどの破傷風細菌抗原および他の破傷風細菌抗原成分;Mタンパク質および他の連鎖球菌細菌抗原成分などの連鎖球菌細菌抗原;IsdA、IsdB、SdrD、およびSdrEなどのブドウ球菌細菌抗原;リポ多糖類、フラジェリン、および他のグラム陰性細菌抗原成分などのグラム陰性杆菌細菌抗原;ミコール酸、熱ショックタンパク質65(HSP65)、30kDa主要分泌タンパク質、抗原85A、ESAT-6、および他のマイコバクテリア抗原成分などのマイコバクテリア結核菌細菌抗原;ヘリコバクターピロリ細菌抗原成分;ニューモリシン、肺炎球菌莢膜多糖類および他の肺炎球菌細菌抗原成分などの肺炎球菌細菌抗原;莢膜多糖類および他のヘモフィラス・インフルエンザ菌抗原成分などのヘモフィラス・インフルエンザ菌抗原;炭疽菌防御抗原、炭疽菌致死因子、および他の炭疽菌細菌抗原成分などの炭疽菌抗原;Yersinia pestis由来のF1およびVタンパク質;ロンプおよび他のリケッチア細菌抗原成分などのリケッチア細菌抗原が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の細菌抗原には、他の細菌、マイコバクテリア、マイコプラズマ、リケッチア、またはクラミジア抗原も含まれる。原生動物および他の寄生虫抗原の例には、メロゾイト表面抗原、スポロゾイト表面抗原、スポロゾイト周囲抗原、配偶体細胞/配偶子表面抗原、血球期抗原pf1 55/RESA、他のマラリア原虫抗原などの熱帯熱マラリア原虫抗原;SAG-1、p30および他のトキソプラズマ抗原成分などのトキソプラズマ抗原;グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、パラミオシン、および他の住血吸虫抗原成分のような住血吸虫抗原;gp63、リポホスホグリカンおよびその関連タンパク質ならびに他のリーシュマニア抗原成分などのリーシュマニア主要および他のリーシュマニア抗原;75~77kDa抗原、56kDa抗原および他のトリパノソーマ抗原成分などのトリパノソーマクルス抗原が含まれるが、これらに限定されない。真菌抗原の例としては、限定されないが、カンジダ種、アスペルギルス種、ブラストミセス種、ヒストプラズマ種、コクシジオイドミコシス症種、マラセジア・フルフールおよび他の種、エキソフィアラ・ヴェルネキおよび他の種、ピエドレア・ホータイおよび他の種、バイゲル毛芽抱菌種 およびその他の種、ミクロスポラム種、白癬菌種、表皮菌種、スポロトリックスシェンキィおよびその他の種、フォンセカ‐ペドロソイおよびその他の種、ワンギエラデルマチチジスおよびその他の種、シュードアレシェリア・ボイディおよびその他の種、マズレラ-グリセアおよびその他の種、リゾプス種、アブシディア種、ケカビ種からの抗原が含まれる。プリオン病抗原の例には、PrP、β-アミロイド、および他のプリオン関連タンパク質が含まれる。
【0051】
上述の感染性および寄生性物質に加えて、非感染性物質に対する望ましい増強された免疫原性のための別の分野は、炎症性および自己免疫性疾患、神経変性疾患、およびがんを含むが限定はされない増殖性疾患の分野であり、ここで、がん抗原を発現する細胞は、望ましくは一団から排除される。本技術の組成物および方法において使用され得る腫瘍抗原には、前立腺特異抗原(PSA)、乳房、卵巣、精巣、黒色腫、テロメラーゼ;P糖タンパク質などの多剤耐性タンパク質;MAGE-1、αフェトプロテイン、がん胎児性抗原、変異型p53、パピローマウイルス抗原、ガングリオシド、またはメラノーマまたは他の腫瘍細胞の他の炭水化物含有成分を含むがこれらに限定されない。本技術により、任意の種類の腫瘍細胞由来の抗原が本明細書に記載の組成物および方法に使用できることが企図されている。抗原は、がん細胞、または膜タンパク質などのがん細胞から単離された免疫原性物質であり得る。含まれるのは、サバイビンおよびテロメラーゼの普遍的抗原、ならびにがん精巣抗原のMAGEファミリーである。自己免疫に関与していることが示され、および本技術の方法において寛容性を誘導するために使用することができる抗原としては、ミエリン塩基性タンパク質、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質および多発性硬化症のプロテオリピドタンパク質、ならびに慢性関節リウマチのCIIコラーゲンタンパク質が挙げられる。
【0052】
抗原は、非限定的な例として、HIV-1、EBV、HBV、インフルエンザウイルス、SARSウイルス、ポックスウイルス、マラリア、またはHSVのような感染性病原体の一部であり得、そのために(樹状細胞を介した)強いT細胞媒介免疫を動かすワクチンが必要とされる。
【0053】
本明細書で使用される用語「がん」は、その独特の形質-正常な制御の喪失-が無秩序な増殖、分化の欠如、局所組織浸潤、および転移をもたらす細胞の過剰増殖として定義される。例としては、黒色腫、非小細胞肺、小細胞肺、肺、肝癌、白血病、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、膠芽腫、歯肉、舌、神経芽細胞腫、頭、首、乳房、膵臓、前立腺、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、頸部、消化管、リンパ腫、脳、結腸、肉腫または膀胱を含むが、これらに限定されない。
【0054】
「腫瘍」という用語は、組織新形成の形態、特に自発的、自律的かつ不可逆的な、多かれ少なかれ内因性組織の過剰成長の形態の、それは多かれ少なかれ脱抑制された、少なくとも1つの細胞または細胞塊を意味し、その増殖は、原則として、特定の細胞および組織機能の多かれ少なかれ顕著な喪失に関連する。この細胞または細胞塊は、その増殖に関して、それ自体によってまたは黒色腫または癌腫などの宿主生物の調節機構によっては効果的に抑制されない。腫瘍抗原は、悪性細胞自体の中または上に存在する抗原を含むだけでなく、内皮細胞および他の血管成分を含む腫瘍の間質支持組織上に存在する抗原も含む。関連する側面において、「新生物性(neoplastic)」とは異常な新たな増殖をいい、したがって良性または悪性であり得る腫瘍と同じことを意味する。さらに、そのような新生物(neoplasia)は細胞増殖障害を含むであろう。
【0055】
本技術のレンチウイルスベクターは、1つ以上のアジュバントをコードする核酸配列をさらに含む。 好ましいアジュバントは、細胞質内領域を含まない、全長ヒトIPS1と融合したエプスタインバーウイルス由来のLMP1を含有する融合タンパク質LMP1(デルタ)hIPS1である。融合タンパク質において、ヒトIPS1の最初のアミノ酸(メチオニン)を取り除いた。融合タンパク質はヒトの使用のためにコドン最適化されている。この融合タンパク質のDNAおよびコードされているアミノ酸配列を以下に示す。
DNA配列
配列番号1(SEQ ID NO : 1 ):
ATGGATCTGGATCTCGAAAGAGGACCTCCTGGACCTAGACGGCCTCCTAGAGGACCACCTCTGAGCAGCTCTATTGGACTGGCCCTGCTGCTGCTTCTGCTGGCTCTGCTGTTCTGGCTGTACATCATCATGAGCAACTGGACCGGCGGAGCACTGCTGGTGCTGTATGCCTTTGCTCTGATGCTGGTCATCATCATCCTGATCATCTTCATCTTCCGGCGGGACCTGCTGTGTCCTCTGGGAGCACTTTGTCTGTTGCTGCTGATGATCACCCTCCTGCTGATCGCCCTGTGGAACCTGCATGGACAGGCCCTGTATCTGGGCATCGTGCTGTTCATCTTCGGCTGCCTGCTGGTTCTCGGCCTGTGGATCTACCTGCTGGAAATCCTTTGGAGACTGGGCGCCACCATCTGGCAGCTGCTGGCCTTTTTCCTGGCCTTCTTTCTGGATATCATCCTCCTCATCATTGCCCTGTACCTGCAGCAGAACTGGTGGACCCTGCTGGTGGATCTGCTTTGGCTGCTGCTCTTTCTGGCCATCCTGATTTGGATGTACTACCACGGCCAGCGGCCTTTCGCCGAGGACAAGACCTACAAGTACATCTGCCGGAACTTCAGCAACTTCTGCAACGTGGACGTGGTGGAAATTCTGCCCTACCTGCCTTGCCTGACCGCCAGAGATCAGGACAGACTGAGAGCCACATGTACCCTGAGCGGCAACAGAGACACACTGTGGCACCTGTTCAACACCCTGCAGAGAAGGCCTGGCTGGGTCGAGTACTTTATCGCCGCTCTGAGAGGCTGCGAGCTGGTCGATCTGGCTGATGAAGTGGCCAGCGTGTACCAGAGCTACCAGCCTAGAACCAGCGACCGGCCTCCTGATCCTCTCGAACCTCCATCTCTGCCCGCCGAAAGACCTGGACCTCCTACACCAGCTGCCGCTCACAGCATCCCTTACAACAGCTGCAGAGAGAAAGAACCTAGCTACCCCATGCCTGTGCAAGAGACACAGGCCCCAGAAAGCCCTGGCGAGAATAGCGAACAGGCTCTGCAGACACTGAGCCCCAGAGCCATTCCTAGAAACCCTGATGGCGGCCCTCTGGAAAGCTCTAGTGATCTGGCCGCTCTGTCCCCTCTGACAAGCTCTGGACACCAAGAGCAGGATACCGAGCTGGGCAGCACACATACAGCCGGCGCTACAAGCAGCCTGACACCTTCTAGAGGCCCCGTGTCTCCCAGCGTGTCATTTCAGCCTCTGGCCAGGTCTACCCCTAGGGCTTCTAGACTGCCTGGACCAACAGGCAGCGTGGTGTCTACCGGCACAAGCTTCAGCTCTAGCTCTCCTGGACTGGCTAGTGCCGGTGCCGCTGAGGGAAAACAAGGCGCCGAATCTGATCAGGCCGAGCCTATCATCTGTAGCAGCGGAGCAGAAGCCCCTGCCAATAGCCTGCCTAGCAAGGTGCCAACCACACTGATGCCCGTGAACACAGTGGCCCTGAAGGTGCCAGCTAATCCTGCCTCCGTGTCCACCGTGCCTTCTAAGCTGCCAACCAGCTCTAAGCCACCTGGCGCCGTGCCATCTAACGCCCTGACAAATCCTGCTCCAAGCAAGCTGCCCATCAACTCCACAAGAGCCGGCATGGTGCCCTCTAAGGTGCCCACATCTATGGTGCTGACCAAGGTGTCCGCCAGCACCGTGCCAACAGATGGCAGCTCCAGAAACGAGGAAACCCCTGCCGCTCCTACTCCTGCTGGCGCTACAGGCGGATCTTCTGCTTGGCTGGATAGCAGCAGCGAGAACAGAGGCCTGGGCAGCGAGCTTTCTAAACCTGGCGTGCTGGCTTCCCAGGTGGACAGCCCATTTTCCGGCTGCTTTGAGGACCTGGCTATCAGCGCCTCTACAAGCCTCGGCATGGGACCTTGTCACGGCCCCGAGGAAAACGAGTACAAGAGCGAGGGCACCTTCGGCATCCACGTGGCCGAGAATCCTAGCATCCAACTGCTGGAAGGCAACCCCGGACCTCCAGCTGATCCAGATGGCGGACCAAGACCTCAGGCCGACAGAAAGTTCCAAGAGCGCGAGGTGCCCTGCCACAGACCTTCTCCAGGTGCTCTGTGGCTGCAGGTTGCAGTGACAGGCGTCCTGGTGGTTACACTGCTCGTGGTCCTGTATAGACGGCGGCTGCACTGATGA
タンパク質配列
配列番号2(SEQ ID NO : 2 ):
MDLDLERGPPGPRRPPRGPPLSSSIGLALLLLLLALLFWLYIIMSNWTGGALLVLYAFALMLVIIILIIFIFRRDLLCPLGALCLLLLMITLLLIALWNLHGQALYLGIVLFIFGCLLVLGLWIYLLEILWRLGATIWQLLAFFLAFFLDIILLIIALYLQQNWWTLLVDLLWLLLFLAILIWMYYHGQRPFAEDKTYKYICRNFSNFCNVDVVEILPYLPCLTARDQDRLRATCTLSGNRDTLWHLFNTLQRRPGWVEYFIAALRGCELVDLADEVASVYQSYQPRTSDRPPDPLEPPSLPAERPGPPTPAAAHSIPYNSCREKEPSYPMPVQETQAPESPGENSEQALQTLSPRAIPRNPDGGPLESSSDLAALSPLTSSGHQEQDTELGSTHTAGATSSLTPSRGPVSPSVSFQPLARSTPRASRLPGPTGSVVSTGTSFSSSSPGLASAGAAEGKQGAESDQAEPIICSSGAEAPANSLPSKVPTTLMPVNTVALKVPANPASVSTVPSKLPTSSKPPGAVPSNALTNPAPSKLPINSTRAGMVPSKVPTSMVLTKVSASTVPTDGSSRNEETPAAPTPAGATGGSSAWLDSSSENRGLGSELSKPGVLASQVDSPFSGCFEDLAISASTSLGMGPCHGPEENEYKSEGTFGIHVAENPSIQLLEGNPGPPADPDGGPRPQADRKFQEREVPCHRPSPGALWLQVAVTGVLVVTLLVVLYRRRLH
【0056】
別の好ましいアジュバントは、その膜貫通領域を含まずに、ヒトIPS1のアミノ酸2-439と融合した、細胞質内領域を含まない、エプスタインバーウイルス由来のLMP1を含有する融合タンパク質LMP1(デルタIC)hIPS1(デルタTM)である。融合タンパク質において、ヒトIPS1の最初のアミノ酸(メチオニン)を取り除いた。融合タンパク質はヒトの使用ためにコドン最適化されている。この融合タンパク質のDNAおよびコードされているアミノ酸配列を以下に示す。
DNA配列
配列番号3(SEQ ID NO : 3 ):
ATGGATCTGGATCTCGAAAGAGGACCTCCTGGACCTAGACGGCCTCCTAGAGGACCACCTCTGAGCAGCTCTATTGGACTGGCCCTGCTGCTGCTTCTGCTGGCTCTGCTGTTCTGGCTGTACATCATCATGAGCAACTGGACCGGCGGAGCACTGCTGGTGCTGTATGCCTTTGCTCTGATGCTGGTCATCATCATCCTGATCATCTTCATCTTCCGGCGGGACCTGCTGTGTCCTCTGGGAGCACTTTGTCTGTTGCTGCTGATGATCACCCTCCTGCTGATCGCCCTGTGGAACCTGCATGGACAGGCCCTGTATCTGGGCATCGTGCTGTTCATCTTCGGCTGCCTGCTGGTTCTCGGCCTGTGGATCTACCTGCTGGAAATCCTTTGGAGACTGGGCGCCACCATCTGGCAGCTGCTGGCCTTTTTCCTGGCCTTCTTTCTGGATATCATCCTCCTCATCATTGCCCTGTACCTGCAGCAGAACTGGTGGACCCTGCTGGTGGATCTGCTTTGGCTGCTGCTCTTTCTGGCCATCCTGATTTGGATGTACTACCACGGCCAGCGGCCTTTCGCCGAGGACAAGACCTACAAGTACATCTGCCGGAACTTCAGCAACTTCTGCAACGTGGACGTGGTGGAAATTCTGCCCTACCTGCCTTGCCTGACCGCCAGAGATCAGGACAGACTGAGAGCCACATGTACCCTGAGCGGCAACAGAGACACACTGTGGCACCTGTTCAACACCCTGCAGAGAAGGCCTGGCTGGGTCGAGTACTTTATCGCCGCTCTGAGAGGCTGCGAGCTGGTCGATCTGGCTGATGAAGTGGCCAGCGTGTACCAGAGCTACCAGCCTAGAACCAGCGACCGGCCTCCTGATCCTCTCGAACCTCCATCTCTGCCCGCCGAAAGACCTGGACCTCCTACACCAGCTGCCGCTCACAGCATCCCTTACAACAGCTGCAGAGAGAAAGAACCTAGCTACCCCATGCCTGTGCAAGAGACACAGGCCCCAGAAAGCCCTGGCGAGAATAGCGAACAGGCTCTGCAGACACTGAGCCCCAGAGCCATTCCTAGAAACCCTGATGGCGGCCCTCTGGAAAGCTCTAGTGATCTGGCCGCTCTGTCCCCTCTGACAAGCTCTGGACACCAAGAGCAGGATACCGAGCTGGGCAGCACACATACAGCCGGCGCTACAAGCAGCCTGACACCTTCTAGAGGCCCCGTGTCTCCCAGCGTGTCATTTCAGCCTCTGGCCAGGTCTACCCCTAGGGCTTCTAGACTGCCTGGACCAACAGGCAGCGTGGTGTCTACCGGCACAAGCTTCAGCTCTAGCTCTCCTGGACTGGCTAGTGCCGGTGCCGCTGAGGGAAAACAAGGCGCCGAATCTGATCAGGCCGAGCCTATCATCTGTAGCAGCGGAGCAGAAGCCCCTGCCAATAGCCTGCCTAGCAAGGTGCCAACCACACTGATGCCCGTGAACACAGTGGCCCTGAAGGTGCCAGCTAATCCTGCCTCCGTGTCCACCGTGCCTTCTAAGCTGCCAACCAGCTCTAAGCCACCTGGCGCCGTGCCATCTAACGCCCTGACAAATCCTGCTCCAAGCAAGCTGCCCATCAACTCCACAAGAGCCGGCATGGTGCCCTCTAAGGTGCCCACATCTATGGTGCTGACCAAGGTGTCCGCCAGCACCGTGCCAACAGATGGCAGCTCCAGAAACGAGGAAACCCCTGCCGCTCCTACTCCTGCTGGCGCTACAGGCGGATCTTCTGCTTGGCTGGATAGCAGCAGCGAGAACAGAGGCCTGGGCAGCGAGCTTTCTAAACCTGGCGTGCTGGCTTCCCAGGTGGACAGCCCATTTTCCGGCTGCTTTGAGGACCTGGCTATCAGCGCCTCTACAAGCCTCGGCATGGGACCTTGTCACGGCCCCGAGGAAAACGAGTACAAGAGCGAGGGCACCTTCGGCATCCACGTGGCCGAGAATCCTAGCATCCAACTGCTGGAAGGCAACCCCGGACCTCCAGCTGATCCAGATGGCGGACCAAGACCTCAGGCCGACAGAAAGTTCCAAGAGCGCGAGGTGCCCTGCCACAGACCTTCTCCA
タンパク質配列
配列番号4(SEQ ID NO : 4 ):
MDLDLERGPPGPRRPPRGPPLSSSIGLALLLLLLALLFWLYIIMSNWTGGALLVLYAFALMLVIIILIIFIFRRDLLCPLGALCLLLLMITLLLIALWNLHGQALYLGIVLFIFGCLLVLGLWIYLLEILWRLGATIWQLLAFFLAFFLDIILLIIALYLQQNWWTLLVDLLWLLLFLAILIWMYYHGQRPFAEDKTYKYICRNFSNFCNVDVVEILPYLPCLTARDQDRLRATCTLSGNRDTLWHLFNTLQRRPGWVEYFIAALRGCELVDLADEVASVYQSYQPRTSDRPPDPLEPPSLPAERPGPPTPAAAHSIPYNSCREKEPSYPMPVQETQAPESPGENSEQALQTLSPRAIPRNPDGGPLESSSDLAALSPLTSSGHQEQDTELGSTHTAGATSSLTPSRGPVSPSVSFQPLARSTPRASRLPGPTGSVVSTGTSFSSSSPGLASAGAAEGKQGAESDQAEPIICSSGAEAPANSLPSKVPTTLMPVNTVALKVPANPASVSTVPSKLPTSSKPPGAVPSNALTNPAPSKLPINSTRAGMVPSKVPTSMVLTKVSASTVPTDGSSRNEETPAAPTPAGATGGSSAWLDSSSENRGLGSELSKPGVLASQVDSPFSGCFEDLAISASTSLGMGPCHGPEENEYKSEGTFGIHVAENPSIQLLEGNPGPPADPDGGPRPQADRKFQEREVPCHRPSP
【0057】
別の好ましいアジュバントは、ヒトIPS1のアミノ酸2~93と融合した(C末端プロリン富裕ドメインおよび膜貫通ドメインを除去した切断型IPS1)、細胞質内領域を含まない、エプスタインバーウイルス由来のLMP1を含有する、融合タンパク質LMP1(デルタIC)hIPS1(デルタTMデルタプロ)である。融合タンパク質において、ヒトIPS1の最初のアミノ酸(メチオニン)を取り除いた。融合タンパク質はヒトの使用のためにコドン最適化された。この融合タンパク質のDNAおよびコードされているアミノ酸配列を以下に示す。
DNA配列
配列番号5(SEQ ID NO : 5 ):
ATGGATCTGGATCTCGAAAGAGGACCTCCTGGACCTAGACGGCCTCCTAGAGGACCACCTCTGAGCAGCTCTATTGGACTGGCCCTGCTGCTGCTTCTGCTGGCTCTGCTGTTCTGGCTGTACATCATCATGAGCAACTGGACCGGCGGAGCACTGCTGGTGCTGTATGCCTTTGCTCTGATGCTGGTCATCATCATCCTGATCATCTTCATCTTCCGGCGGGACCTGCTGTGTCCTCTGGGAGCACTTTGTCTGTTGCTGCTGATGATCACCCTCCTGCTGATCGCCCTGTGGAACCTGCATGGACAGGCCCTGTATCTGGGCATCGTGCTGTTCATCTTCGGCTGCCTGCTGGTTCTCGGCCTGTGGATCTACCTGCTGGAAATCCTTTGGAGACTGGGCGCCACCATCTGGCAGCTGCTGGCCTTTTTCCTGGCCTTCTTTCTGGATATCATCCTCCTCATCATTGCCCTGTACCTGCAGCAGAACTGGTGGACCCTGCTGGTGGATCTGCTTTGGCTGCTGCTCTTTCTGGCCATCCTGATTTGGATGTACTACCACGGCCAGCGGCCTTTCGCCGAGGACAAGACCTACAAGTACATCTGCCGGAACTTCAGCAACTTCTGCAACGTGGACGTGGTGGAAATTCTGCCCTACCTGCCTTGCCTGACCGCCAGAGATCAGGACAGACTGAGAGCCACATGTACCCTGAGCGGCAACAGAGACACACTGTGGCACCTGTTCAACACCCTGCAGAGAAGGCCTGGCTGGGTCGAGTACTTTATCGCCGCTCTGAGAGGCTGCGAGCTGGTCGATCTGGCTGATGAAGTGGCCAGCGTGTACCAGAGCTACCAGCCTAGAACCAGCGACCGGGGCGAGAATAGCGAACAGGCTCTGCAGACACTGAGCCCCAGAGCCATTCCTAGAAACCCTGATGGCGGCCCTCTGGAAAGCTCTAGTGATCTGGCCGCTCTGTCCCCTCTGACAAGCTCTGGACACCAAGAGCAGGATACCGAGCTGGGCAGCACACATACAGCCGGCGCTACAAGCAGCCTGACACCTTCTAGAGGCCCCGTGTCTCCCAGCGTGTCATTTCAGCCTCTGGCCAGGTCTACCCCTAGGGCTTCTAGACTGCCTGGACCAACAGGCAGCGTGGTGTCTACCGGCACAAGCTTCAGCTCTAGCTCTCCTGGACTGGCTAGTGCCGGTGCCGCTGAGGGAAAACAAGGCGCCGAATCTGATCAGGCCGAGCCTATCATCTGTAGCAGCGGAGCAGAAGCCCCTGCCAATAGCCTGCCTAGCAAGGTGCCAACCACACTGATGCCCGTGAACACAGTGGCCCTGAAGGTGCCAGCTAATCCTGCCTCCGTGTCCACCGTGCCTTCTAAGCTGCCAACCAGCTCTAAGCCACCTGGCGCCGTGCCATCTAACGCCCTGACAAATCCTGCTCCAAGCAAGCTGCCCATCAACTCCACAAGAGCCGGCATGGTGCCCTCTAAGGTGCCCACATCTATGGTGCTGACCAAGGTGTCCGCCAGCACCGTGCCAACAGATGGCAGCTCCAGAAACGAGGAAACCCCTGCCGCTCCTACTCCTGCTGGCGCTACAGGCGGATCTTCTGCTTGGCTGGATAGCAGCAGCGAGAACAGAGGCCTGGGCAGCGAGCTTTCTAAACCTGGCGTGCTGGCTTCCCAGGTGGACAGCCCATTTTCCGGCTGCTTTGAGGACCTGGCTATCAGCGCCTCTACAAGCCTCGGCATGGGACCTTGTCACGGCCCCGAGGAAAACGAGTACAAGAGCGAGGGCACCTTCGGCATCCACGTGGCCGAGAATCCTAGCATCCAACTGCTGGAAGGCAACCCCGGACCTCCAGCTGATCCAGATGGCGGACCAAGACCTCAGGCCGACAGAAAGTTCCAAGAGCGCGAGGTGCCCTGCCACAGACCTTCTCCA
タンパク質配列
配列番号6(SEQ ID NO: 6):
MDLDLERGPPGPRRPPRGPPLSSSIGLALLLLLLALLFWLYIIMSNWTGGALLVLYAFALMLVIIILIIFIFRRDLLCPLGALCLLLLMITLLLIALWNLHGQALYLGIVLFIFGCLLVLGLWIYLLEILWRLGATIWQLLAFFLAFFLDIILLIIALYLQQNWWTLLVDLLWLLLFLAILIWMYYHGQRPFAEDKTYKYICRNFSNFCNVDVVEILPYLPCLTARDQDRLRATCTLSGNRDTLWHLFNTLQRRPGWVEYFIAALRGCELVDLADEVASVYQSYQPRTSDRGENSEQALQTLSPRAIPRNPDGGPLESSSDLAALSPLTSSGHQEQDTELGSTHTAGATSSLTPSRGPVSPSVSFQPLARSTPRASRLPGPTGSVVSTGTSFSSSSPGLASAGAAEGKQGAESDQAEPIICSSGAEAPANSLPSKVPTTLMPVNTVALKVPANPASVSTVPSKLPTSSKPPGAVPSNALTNPAPSKLPINSTRAGMVPSKVPTSMVLTKVSASTVPTDGSSRNEETPAAPTPAGATGGSSAWLDSSSENRGLGSELSKPGVLASQVDSPFSGCFEDLAISASTSLGMGPCHGPEENEYKSEGTFGIHVAENPSIQLLEGNPGPPADPDGGPRPQADRKFQEREVPCHRPSP
【0058】
別の好ましいアジュバントは、細胞質内領域を含まない、エプスタインバーウイルス由来のLMP1を含有する融合タンパク質LMP1(デルタIC)hIPS1(デルタTMリバース)であり、ヒトIPS1のアミノ酸2-439(膜貫通ドメインが取り除かれ、逆のアミノ酸順、すなわち天然のIPS1のC末端からN末端方向の439~2に提示された切断型IPS1)と融合している。融合タンパク質において、ヒトIPS1の最初のアミノ酸(メチオニン)を取り除いた。融合タンパク質はヒトの使用のためにコドン最適化されている。この融合タンパク質のDNAおよびコードされているアミノ酸配列を以下に示す。
DNA配列
配列番号7(SEQ ID NO: 7):
ATGGATCTGGATCTCGAAAGAGGACCTCCTGGACCTAGACGGCCTCCTAGAGGACCACCTCTGAGCAGCTCTATTGGACTGGCCCTGCTGCTGCTTCTGCTGGCTCTGCTGTTCTGGCTGTACATCATCATGAGCAACTGGACCGGCGGAGCACTGCTGGTGCTGTATGCCTTTGCTCTGATGCTGGTCATCATCATCCTGATCATCTTCATCTTCCGGCGGGACCTGCTGTGTCCTCTGGGAGCACTTTGTCTGTTGCTGCTGATGATCACCCTCCTGCTGATCGCCCTGTGGAACCTGCATGGACAGGCCCTGTATCTGGGCATCGTGCTGTTCATCTTCGGCTGCCTGCTGGTTCTCGGCCTGTGGATCTACCTGCTGGAAATCCTTTGGAGACTGGGCGCCACCATCTGGCAGCTGCTGGCCTTTTTCCTGGCCTTCTTTCTGGATATCATCCTCCTCATCATTGCCCTGTACCTGCAGCAGAACTGGTGGACCCTGCTGGTGGATCTGCTTTGGCTGCTGCTCTTTCTGGCCATCCTGATTTGGATGTACTACCACGGCCAGCGGCCTTCTCCAAGACACTGCCCAGTGGAAAGAGAGCAGTTCAAGAGGGACGCCCAGCCTAGACCTGGCGGAGATCCTGATGCTCCACCTGGACCAAATGGCGAGCTGCTGCAGATCAGCCCTAATGAGGCCGTGCACATCGGCTTCACCGGCGAGTCTAAGTACGAGAACGAGGAACCCGGCCACTGTCCTGGCATGGGCCTTTCTACATCTGCCTCTATCGCCCTGGACGAGTTCTGCGGCAGCTTTCCATCTGATGTGCAGTCTGCCCTCGTGGGCCCTAAGTCTCTGGAATCTGGCCTGGGCAGAAACGAGAGCAGCTCCGATCTGTGGGCTAGCTCTGGTGGAACAGCTGGCGCTCCTACACCAGCCGCTCCTACCGAAGAGAATAGAAGCAGCGGCGACACCCCTGTGACAAGCGCCTCTGTGAAAACCCTGGTCATGAGCACCCCAGTGAAGTCCCCAGTGATGGGCGCCAGAACCTCCAACATTCCCCTGAAGTCTCCCGCTCCTAACACACTGGCCAACTCTCCAGTGGCTGGCCCTCCTAAGTCTAGCACCCCTCTGAAAAGCCCCGTGACCTCTGTGTCTGCCCCTAACGCTCCTGTGAAACTGGCCGTGACCAACGTGCCCATGCTGACCACACCTGTGAAATCCCCACTGAGCAATGCCCCTGCCGAGGCCGGAAGCTCTTGTATCATTCCCGAGGCTCAGGATAGCGAGGCTGGCCAAAAAGGCGAAGCTGCAGGCGCTTCTGCTCTGGGCCCTAGCTCTAGCTCTTTTAGCACCGGCACCAGCGTGGTGTCTGGCACACCAGGACCTCTGAGAAGCGCCAGACCTACCTCTAGAGCCCTGCCTCAGTTTAGCGTGTCCCCTAGTGTGCCTGGCAGAAGCCCTACACTGTCTAGTACAGCCGGCGCTACACACACCAGCGGACTGGAAACAGACCAAGAACAGCATGGCAGCAGCACCCTGCCTTCTCTGGCTGCCCTTGATTCTAGCAGCGAACTGCCAGGCGGCGACCCCAATAGACCTATCGCTAGACCTAGCCTGACACAGCTGGCCCAAGAGAGCAATGAGGGCCCTTCTGAGCCTGCTCAGACCGAACAGGTGCCAATGCCTTACAGCCCCGAGAAAGAGCGGTGCAGCAACTACCCTATCAGCCATGCCGCTGCTCCCACACCTCCTGGTCCAAGAGAAGCTCCTCTGAGCCCTCCTGAGCTGCCCGATCCTCCAAGAGATAGCACCAGACCTCAGTACTCCCAGTACGTGTCCGCCGTGGAAGATGCCCTGGATGTGCTGGAATGTGGCAGACTGGCCGCCATCTTCTACGAAGTGTGGGGCCCTAGAAGGCAGCTGACCAACTTTCTGCACTGGCTGACCGACAGAAACGGCAGCCTGACATGTACCGCCAGACTGAGAGATCAGGACCGGGCCACACTGTGCCCTCTGTATCCTCTGATCGAGGTGGTGGACGTGAACTGCTTCAACAGCTTCAACCGGTGCATCTACAAGTACACCAAGGACGAGGCTTTCCCTATG
タンパク質配列
配列番号8(SEQ ID NO : 8 ):
MDLDLERGPPGPRRPPRGPPLSSSIGLALLLLLLALLFWLYIIMSNWTGGALLVLYAFALMLVIIILIIFIFRRDLLCPLGALCLLLLMITLLLIALWNLHGQALYLGIVLFIFGCLLVLGLWIYLLEILWRLGATIWQLLAFFLAFFLDIILLIIALYLQQNWWTLLVDLLWLLLFLAILIWMYYHGQRPSPRHCPVEREQFKRDAQPRPGGDPDAPPGPNGELLQISPNEAVHIGFTGESKYENEEPGHCPGMGLSTSASIALDEFCGSFPSDVQSALVGPKSLESGLGRNESSSDLWASSGGTAGAPTPAAPTEENRSSGDTPVTSASVKTLVMSTPVKSPVMGARTSNIPLKSPAPNTLANSPVAGPPKSSTPLKSPVTSVSAPNAPVKLAVTNVPMLTTPVKSPLSNAPAEAGSSCIIPEAQDSEAGQKGEAAGASALGPSSSSFSTGTSVVSGTPGPLRSARPTSRALPQFSVSPSVPGRSPTLSSTAGATHTSGLETDQEQHGSSTLPSLAALDSSSELPGGDPNRPIARPSLTQLAQESNEGPSEPAQTEQVPMPYSPEKERCSNYPISHAAAPTPPGPREAPLSPPELPDPPRDSTRPQYSQYVSAVEDALDVLECGRLAAIFYEVWGPRRQLTNFLHWLTDRNGSLTCTARLRDQDRATLCPLYPLIEVVDVNCFNSFNRCIYKYTKDEAFPM
【0059】
好ましい態様において、免疫チェックポイント阻害剤分子はウイルスベクター内にコードされ、腫瘍に対する免疫応答を増強するであろう。免疫チェックポイント阻害剤分子は、抗CTLA-4分子、PD1遮断薬、およびPDL1遮断薬であり得るが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤分子は、抗体などのタンパク質、または可溶型の抗チェックポイントであり得る。
【0060】
特定の実施態様において、ウイルスベクターは複数の発現カセットを含み得る。いくつかの実施態様において、ウイルスベクター粒子は、別々にまたは機能的に連結されて送達され得る、2つまたは3つの核酸分子などの複数の核酸分子を含み得る。いくつかの実施態様において、第2の核酸は抗原および/または可溶性免疫チェックポイント阻害剤分子または可溶性免疫モジュレータ分子をコードする。いくつかの実施態様において、第3の核酸は、抗原および/または第2の核酸分子によってコードされるものとは異なる免疫チェックポイント阻害剤分子をコードする。
【0061】
一態様において、本技術は、対象における疾患または容体を予防または処置するための免疫療法処方物である。ワクチンは治療上有効量のウイルスベクターを含む。疾患は、がんまたは感染症などの、行為者に対するワクチン接種が望ましい任意の疾患であり得る。
【0062】
別の態様において、本技術は、対象におけるがんまたは感染症に対する免疫応答を誘導または増強するための方法である。この方法は、治療上有効量のウイルスベクターまたは免疫療法処方物をそれを必要とする対象に投与することを含む。
【実施例】
【0063】
実施例1.分子構築物
ベクターは、以下の遺伝子要素を含有するように構築した:(a)プロモータ、好ましくはヒトユビキチンプロモータ;(b)レポーター遺伝子(例えば緑色蛍光タンパク質)、あるいは1つ以上の抗原が単一の導入遺伝子中に融合され、および;(c)IRESとそれに続くアジュバント遺伝子(すなわち、LMP1-IPS1COまたはその機能的変異体)。任意にベクターは、(d)IRESとそれに続く可溶性および分泌型免疫チェックポイント阻害剤遺伝子または可溶性免疫モジュレータ遺伝子(
図8Cを参照)。好ましくは、配列は上記の順序であるが、遺伝子は他の適切な順序でベクター中に位置させることができる。上記の領域の全部ではないがいくつかを有する対照ベクターも構築された。
【0064】
実施例2:ウイルスベクターの産生
レンチウイルスベクターは、Nasriら(2014)に記載されているように、HEK 293T細胞株の一過性リン酸カルシウムトランスフェクションによって産生された。HEK 293T細胞を250mLの完全培地中の2チャンバーCell Stack(Corning)に1.6×108細胞で播種し、37℃で5%CO2の加湿雰囲気のインキュベーター内で24時間維持して接着させた。産生された各ベクターについて、1つの細胞スタックを以下のようにトランスフェクトさせた。レンチウイルス骨格プラスミド(235μg)、エンベロープコードプラスミド(47μg)、およびパッケージングプラスミド(235μg)を8.6mLの滅菌蒸留水および3.0mLのCaCl2と混合した。次いで、DNA混合物を、37℃の予め温めたHBS 2X(pH=7.1)12.1mLに一滴ずつ添加し、そして得られた24.2mLの沈殿物を、室温で30分間インキュベートした後に細胞の培地に添加した。トランスフェクトした細胞を37℃、5%CO2でインキュベートした。トランスフェクションの24時間後に培地を血清およびフェノールレッドを含まない210mLの回収培地と交換し、さらに24時間後にウイルス上清を回収し、2500rpmで5分間の遠心分離により清澄化した。回収した清澄化バルク(210mL)をMgCl2の存在下でDNase Iで30分間処理してあらゆる残留DNAを開裂し、22000rpm、4℃で1時間の遠心分離により濃縮した。ベクターペレットを70μlのトリス-トレハロース(50mM)に再懸濁し、1.5mLのマイクロチューブにプールし、50μLのアリコートに分け、凍結し、≦-70℃で保存した。確かにより長いDNAカセットの存在のために、生産収率はGFPベクターと比較してアジュバント添加ベクターでは少し効果的ではなかった。しかしながら、全てのアジュバント化構築物について、力価は少なくとも109TU/mLの範囲内であり、そして異なる生産キャンペーンを通して一貫して得られた。それ故、これらのアジュバント構造の将来の工業的バイオ生産に関する問題は予想される筈はない。
【0065】
実施例3:LMP1-IPS1を発現するレンチウイルスベクターのインビボでの効果
新鮮なヒト樹状細胞およびマクロファージをヒト健康ドナー(白血球錐体)から密度勾配にわたって得た。CD14+単球を、磁気単離キット(ポジティブセレクション)を用いてPBMCから精製し、そして完全RPMI中で6ウェルプレートにプレーティングした。公表された方法を使用して、単球をGM-CSFおよびIL-4を用いて樹状細胞に分化させた。サイトカインを補充するために3日後に10%の培地交換を行い、そして細胞を非酵素的細胞解離溶液を用いて合計6日の培養後に回収した。次いでDCを完全RPMI+4μg/mlのポリブレン+レンチウイルス構築物(MOI 15にて)+ GM-CSFおよびIL-4中に再プレーティングした。2時間後、700μlの完全RPMI+GM-CSF/IL-4を添加し、細胞を合計96時間培養した。活性化マーカー発現の陽性対照として作用するために、追加の対照ウェルをIFN-ガンマおよびLPSで96時間刺激した。
【0066】
CD14+単球をGM-CSF(M1)またはM-CSF(M2)でM1またはM2マクロファージに分化させた。サイトカインを補充するために3日後に10%の培地交換を行い、そして細胞を非酵素的細胞解離溶液を用いて合計6日の培養後に回収し、そしてマクロファージを1:1の比でプールした。次いで、M1/M2マクロファージを300μlの完全RPMI+4μg/mlのポリブレン+レンチウイルス構築物(MOI15にて)+M-CSF中に再プレーティングした。2時間後、700μlの完全RPMI+M-CSFを添加し、そして細胞を合計96時間培養した。活性化マーカー発現についての陽性対照として作用するために、追加の対照ウェルをIFN-γおよびLPS(M1)またはIL-13およびIL-4(M2)で合計96時間刺激した。
【0067】
以下に記載するように、ヒトDCおよびマクロファージを、発現カセットを含有するレンチウイルスベクターを用いてMOI 15で形質導入した。
構築物1:GFP-IRES-LMP1(dIC)hIPS1
構築物2:GFP-IRES-LMP1(dIC)hIPS1(dTM)
構築物3:GFP-IRES-LMP1(dIC)hIPS1(dTMdPro)
構築物4:GFP-IRES-LMP1(dIC)hIPS1(dTMRev)
対照構築物1:GFP
対照構築物2:GFP+LMP1(dIC)
対照構築物3:細胞をGFPとLMP1(dIC)hIPS1で二重形質導入(それぞれMOI 15にて、分離ベクターにおいて)
対照構築物の説明については
図8A、アジュバント化構築物については
図8B参照。
【0068】
樹状細胞およびマクロファージの増殖は、培養24時間後に定量した。3組の試料を3H-TdRでパルスし、一晩培養した後に回収し、放射性チミジンの取り込みを標準シンチレーション・カウントにより決定した。GFPベクターと比較して、アジュバント添加ベクターでは増殖がわずかに減少したが、これはおそらくより長いDNAカセットの存在によるものであろう。既に述べたように、形質導入細胞の生存率は、固定可能な生存率染料で染色し、BD FACS Canto Systemフローサイトメータを用いた分析することによって決定した。アジュバント添加ベクター間でわずかな違いが観察されたが、有意な毒性は見られなかった。
【0069】
96時間培養した後、Attune NxTフローサイトメータで蛍光を測定することによって、各構築物で形質導入された細胞についてGFPの発現を決定した。結果を
図9A(樹状細胞)および9B(マクロファージ)に示す。生存細胞およびGFP陽性細胞の割合は、細胞片を除いた細胞/生存細胞/単一細胞をゲートして決定した。異なるドナーから単離されたPBMCを用いて3つの独立した実験を実施した。グラフ化されたデータは、代表的な実験の複製の平均を表す。結果は
図9A(樹状細胞)および9B(マクロファージ)に示され、両方の細胞型について、アジュバント添加ベクター間でわずかな差が観察されたが、GFP/導入遺伝子の有意な発現が全てのIRES構築物で観察されたことを示す。アジュバント化ベクターの間において、おそらくより短いDNAカセットの存在に起因して、構築物2および3を用いたGFP/導入遺伝子発現の増加をもたらした。IPS1膜貫通ドメインの除去は、IPS1 CARDおよびPROドメインの配向の反転はするが、GFP/導入遺伝子の発現の改良をもたらさなかった。
【0070】
レンチウイルスベクターによって誘発された樹状細胞およびマクロファージの活性化および成熟は、表面マーカーの発現を測定し、それらのサイトカインおよびケモカイン放出プロファイルを査定することによって評価した。レンチウイルス組込みおよび樹状細胞/マクロファージ活性化のレベルを決定するために、96時間の培養後に細胞を回収し、固定可能な生存率染料および以下の表面マーカーを認識する一群の染色抗体;CD25、CD40、CD69、CD80/86、CD83、CCR7、MHC IおよびMHC IIで染色し、BD FACS Canto Systemフローサイトメータを使用して分析した。細胞頻度および幾何平均(Gmean)マーカー発現値は、細胞片を除去した細胞/生存可能な細胞/単一細胞をゲートすることによって決定された。全ての発現レベルをGFPの発現に対して正規化した。樹状細胞およびマクロファージの両方について、STING経路の活性化が、IFN-αおよびIFN-β、ならびにハイスループット流体素子を備えたBio plex 200システム(BioRad)を用いたLuminex分析による免疫刺激性サイトカインIL-8、IL-1β、TNF-α、IL-6、およびIL-12p70の培地上澄み中での産生を測定することによって96時間形質導入後に評価した。免疫抑制性サイトカインIL-10の産生を対照として測定した。異なる健康なドナーから単離されたPBMCを用いて3つの独立した実験を実施した。グラフ化されたデータは代表的な実験の複製の平均を表す。結果を
図10A(樹状細胞、サイトカイン)、10B(樹状細胞、膜マーカー)、10C(マクロファージ、サイトカイン)、および10D(マクロファージ、膜マーカー)に示す。
【0071】
形質導入樹状細胞について、GFP陽性細胞による表面マーカーの発現の結果は、IRES構築物が以下の免疫活性化分子の発現をアップレギュレートすることを示した:MHCII(構築物1、および2で良好);CD40(4~5倍増加、特に構築物1および4で);CD80/86(構築物1,2および4);CD83(構築物2および3で3倍~4倍の増加、対照3よりずっと良好);およびCCR7移動シグナル(構築物1および2、対象3より高い)。これらの活性化表面マーカーのアップレギュレートと一致して、サイトカイン発現の増加は以下の通りであった;炎症誘発性IL-6は構築物2および対照3で刺激された;炎症誘発性TNF-αは、構築物2および3で有意に増加〈対照2および3より良好〉;IL-12は構築物2および4で有意に増加(対照2および3より良好)。抗炎症性IL-10レベルは評価された構築物のいずれによっても影響を受けなかった。形質導入樹状細胞についての結果は、IPS1膜貫通ドメインの除去がアジュバントの活性を増大させることを示した。IPS1膜貫通領域およびプロリン富裕(PRO)ドメインの除去はアジュバントの活性をわずかに増加させた。そして、IPS1 CARDおよびPROドメインの方向を逆にしながらIPS1膜貫通ドメインを除去しても、いかなる免疫刺激効果も示されなかった。
【0072】
形質導入マクロファージにおいて、GFP陽性細胞による表面マーカーの発現の結果は、IRES構築物が以下の免疫活性化分子の発現をアップレギュレートすることを示した。CD83は構築物1および3で有意に、対照2より良好に増加した。CD80/86は構築物2で増加し、CD69の早期活性マーカーが構築物2および3で対照3より高いレベルで誘導された。樹状細胞で観察された結果と一致して、活性化マーカーの増強された発現は、以下のようにサイトカイン発現の増大と相関した。炎症誘発性IL-1βは、構築物2および4、ならびに対照3で4倍増加した。炎症誘発性IL-6は、構築物2および3で4倍増加し、対照3よりも良好であった。炎症誘発性TNF-αは構築物2および3で増加した(対照3よりも良好)。抗炎症性IL-10のレベルは、評価した構築物のいずれによっても影響を受けなかった。
【0073】
結論として、LMP1膜貫通領域とヒトIPS1タンパク質との融合は、樹状細胞およびマクロファージの両方についてアジュバント効果を増大させる。さらに、構築物の最適化(IPS1タンパク質の膜貫通ドメインの除去、
図8B参照)はアジュバント活性を増大させた。
膜貫通ドメインの除去に加えてプロリン富裕領域(PRO)が除去された場合、アジュバント効果はわずかに増加しただけであった。PRO領域機能は十分に記載されていないが、それはIPS1タンパク質の立体配座において役割を果たす可能性がある。
IPS1 CARDおよびPROドメインの方向を逆転させながら、IPS1膜貫通ドメインを除去すると、免疫刺激効果の減少を示した。この除去は、当該タンパク質の誤った立体配座および活性の損失を導き得る。
【0074】
実施例4:単一または複数の抗原で処置した健康なマウスにおけるインビボ免疫原性は、LMP1-IPS1レンチウイルスベクターを使用して優れた免疫原性を示す。
(a)ヒトユビキチンプロモータ、(b)1つの腫瘍抗原、および(c)LMP1(ヒト発現にコドン最適化)およびヒトIPS1、またはそれらの機能的変異体の膜貫通ドメインの融合をコードする、発現カセットを含有する異なるウイルスベクターで健康なマウスが処置される。抗原およびアジュバント(すなわち、IMP1 IPS1融合)を2回の投与後(プライム+ブースト)に同じベクターから発現された場合に対して異なるベクターから発現させたときの免疫応答を比較するために実験を実施する。インビボの免疫原性の短期(3週間)および長期(3ヶ月)評価は、抗原特異的免疫細胞、例えばCD4+、CD8+、およびベクター中に存在する抗原を標的とするメモリーT細胞の検出および定量化を可能にするマウス血液バイオマーカー(IFN-γおよびさまざまなインターロイキン)のFACS分析によって行われる。抗原をコードするレンチウイルスベクターおよびLMP1-IPS1での処置は、LMP1-IPS1なしで同じレンチウイルスベクターと比較した場合、またはLMP1の膜ドメインのみを発現した場合に、特異的免疫原性を高めると予想される。さらに、異なるベクターからの発現と比較して、同じベクターから抗原とアジュバントの両方を発現させると、免疫原性のより大きな増加が予想される。
【0075】
実施例5:特定の腫瘍のマウスモデルにおけるインビボの免疫原性は、複数の抗原とアジュバントとしてのLMPI-IPS1の組み合わせを含有するレンチウイルスベクターの優れた有効性を示す。
特定の腫瘍のマウスモデルが、(a)プロモータとしてのヒトユビキチン、(b)腫瘍特異的抗原、およびLMP1(ヒト発現のためにコドン最適化)およびヒトIPS1、またはそれらの機能的変異体の膜貫通ドメインの融合をコードする、発現カセットを含有するレンチウイルスベクターで処置された。マウスは、ベクタータイプおよび構築物、用量および注射回数によって異なる処置群に分割される。実験群は、以下をコードするベクターと共に投与される(プライム+ブースト注射):適応症特異的抗原のみ。LMPI-IPS1または適応症特異的抗原、およびLMP1-IPS1(または機能的IPS1を有する変異体)のみ。インビボでの有効性および免疫原性は、腫瘍増殖速度、生存、ならびにマウス血液バイオマーカー(IFN-γおよび種々のインターロイキン)のFACS分析によるCD4+、CD8+およびメモリーT細胞として特異的な抗原の検出によって評価される。適応症特異的抗原およびLMP1-IPS1融合タンパク質をコードするレンチウイルスベクターは、すべての実験群の中で最も強力で長期にわたる免疫応答を誘導すると予想され、したがって処置群のマウスにおいてより高い生存率および/またはより低い腫瘍増殖を誘導する。
【0076】
実施例6:特定の抗チェックポイント感受性腫瘍のマウスモデルにおけるインビボ免疫原性は、複数の抗原、アジュバント、および抗チェックポイントの組み合わせを含有するレンチウイルスベクターの優れた有効性を示す。
特定の腫瘍のマウスモデルは、プロモータとしてヒトユビキチンをコードする発現カセットおよび以下の少なくとも1つを含有するレンチウイルスベクターで処置される:適応症特異的抗原、LMP1-IPS1、および1つ以上の抗チェックポイント分子の可溶性および分泌型形態。マウスは、ベクター構築物、用量、および注射回数によって異なる処置群に分けられる。実験群は、以下をコードするベクターと共に投与される(プライム+ブースト注射):適応症特異的抗原のみ。LMP1-IPS1のみ。1つ以上の可溶性の分泌型抗チェックポイント分子のみ。適応症特異的抗原およびLMP1(デルタIC)。適応症特異的抗原およびLMP1(デルタIC)、ならびに1以上の可溶性および分泌型抗チェックポイント分子。適応症特異的抗原およびLMP1-IPS1(または機能的IPS1を有する変異体)。または適応症特異的抗原および1以上の可溶性および分泌抗チェックポイント分子。または適応症特異的抗原、LMP1-IPS1または機能的IPS1を有する変異体)、および1以上の可溶性および分泌型抗チェックポイント分子。インビボでの有効性および免疫原性は、腫瘍増殖速度、生存、ならびにマウス血液バイオマーカー(IFN-γおよび種々のインターロイキン)のFACS分析によるCD4+、CD8+およびメモリーT細胞として特異的な抗原の検出によって評価される。適応症特異的抗原、LMP1-IPS1(または機能性IPS1持つ変異体)をコードするレンチウイルスベクターおよび抗チェックポイント分子は、全ての実験群について最も強力で長期持続の免疫応答を誘導することが予想される。
【0077】
本出願は、2016年11月28日出願の米国仮出願番号62/426,855の優先権を主張し、その全体を参照して本明細書に組み込まれる。
【0078】
本明細書で使用されるとき、「から本質的になる」は、請求項の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップの包含を可能にする。特に組成物の成分の説明または装置の要素の説明における「含む」という用語の本明細書における任意の記載は、「から本質的になる」または「からなる」と交換することができる。
【0079】
参考文献
・Barry, M. et al. Role of endogenous endonucleases and tissue site in transfection and CpG-mediated immune activation after naked DNA injection(裸のDNA注射後のトランスフェクションおよびCpG媒介免疫活性化における内因性エンドヌクレアーゼおよび組織部位の役割)
・Hum Gene Ther, 10 (15) (1999), pp. 2461 - 2480
・McNamara, M. et al. RNA-Based Vaccines in Cancer Immunotherapy. J Immunol Res. 2015; 2015: 794528.
・Nasri et al., Production, Purification and Titration of a Lentivirus-Based Vector for Gene Delivery Purposes(遺伝子送達目的のためのレンチウイルスに基づくベクターの産生、精製および滴定), Cytotechnology 66,1031-8 (2014).
【配列表】