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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】記憶装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20240711BHJP
   H10B 41/70 20230101ALI20240711BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
H10B12/00 801
H10B41/70
H10B12/00 621Z
H10B12/00 671C
H10B12/00 671Z
H01L29/78 618B
H01L29/78 617N
H01L29/78 613B
H01L27/088 C
H01L27/088 331E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022205118
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2021087092の分割
【原出願日】2016-08-25
(65)【公開番号】P2023029420
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2015167385
(32)【優先日】2015-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】宮入 秀和
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 正己
【審査官】渡邊 佑紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-146965(JP,A)
【文献】特開2015-035597(JP,A)
【文献】特開2015-079950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0264554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
H10B 41/70
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルと、第1のトランジスタと、を有し、
前記複数のメモリセルは、それぞれ第2のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタは、第1のゲートと、第2のゲートと、第1の酸化物半導体と、前記第2のゲートと前記第1の酸化物半導体との間に位置する絶縁体と、を有し、
前記第2のトランジスタは、第3のゲートと、第4のゲートと、第2の酸化物半導体と、を有し、
前記第1のゲートと、前記第2のゲートとは前記第1の酸化物半導体を介して互いに重なる領域を有し、
前記第3のゲートと、前記第4のゲートとは前記第2の酸化物半導体を介して互いに重なる領域を有し、
前記第1のゲートは、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方及び前記第4のゲートと電気的に接続され、
前記絶縁体は、電荷を保持する機能を有する記憶装置の動作方法であって、
前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方と、前記第2のゲートとの間に電圧を印加して、前記絶縁体に電荷を注入するステップと、
前記第2のゲートをフローティングにし、前記絶縁体に注入された電荷を保持するステップと、
前記第2のゲートをフローティングにしたまま、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方に電圧を印加して、前記第1のトランジスタをオンするステップと、有する記憶装置の動作方法
【請求項2】
請求項1において、
前記絶縁体は、アルミニウム、ハフニウム、ガリウム、イットリウムまたはジルコニウムから選ばれた一以上を有する、記憶装置の動作方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トランジスタおよび半導体装置、ならびにそれらの製造方法に関する
。または、本発明は、例えば、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、撮
像装置、プロセッサ、電子機器に関する。または、表示装置、液晶表示装置、発光装置、
記憶装置、撮像装置、電子機器の製造方法に関する。または、半導体装置、表示装置、液
晶表示装置、発光装置、記憶装置、電子機器の駆動方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の
一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明
の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・
オブ・マター)に関するものである。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指す。記憶装置、表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、半導体回路およ
び電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
近年は、酸化物半導体を用いたトランジスタが注目されている。特許文献1には、酸化物
半導体をチャネル形成領域に有するトランジスタ(以下「酸化物半導体トランジスタ」と
いう。)を、DRAM(Dynamic Random Access Memory)
に用いた例が開示されている。酸化物半導体トランジスタは、オフ状態でのリーク電流(
オフ電流ともいう。)が非常に小さいので、リフレッシュ期間が長く、消費電力の少ない
DRAMを作製することができる。
【0005】
また、特許文献2には、酸化物半導体トランジスタを用いた不揮発性メモリが開示されて
おり、該不揮発性メモリは、フラッシュメモリとは異なり、書き換え可能回数に制限がな
く、高速な動作が容易に実現でき、また消費電力も少ない特徴を有する。
【0006】
また、特許文献2には、酸化物半導体トランジスタに第2のゲートを設けて、トランジス
タのしきい値を制御し、トランジスタのオフ電流を下げた例が開示されている。
【0007】
また、特許文献2および特許文献3には、上述の第2のゲートを駆動するための回路の構
成例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2013-168631号公報
【文献】特開2012-069932号公報
【文献】特開2012-146965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することを課
題の一とする。本発明の一態様は、消費電力を抑えることができる半導体装置を提供する
ことを課題の一とする。本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な記憶装
置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、消費電力を抑えることができる
記憶装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供
することを課題の一とする。
【0010】
なお、複数の課題の記載は、互いの課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全て解決する必要はない。また、列記した以外の課題が、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、これらの課題も、本発
明の一形態の課題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、第1の絶縁体、第1の酸化物半導体、第1のゲートおよび第2のゲー
トを有する第1のトランジスタと、第2の酸化物半導体、第3のゲートおよび第4のゲー
トを有する第2のトランジスタと、ノードと、を有し、第1のゲートと、第2のゲートと
、は第1の酸化物半導体を介して互いに重なる領域を有し、第3のゲートと、第4のゲー
トと、は第2の酸化物半導体を介して互いに重なる領域を有し、第1の酸化物半導体と、
第2のゲートと、は第1の絶縁体を介して互いに重なる領域を有し、第1のトランジスタ
のソースまたはドレインの一方と、第1のゲートと、第4のゲートと、はノードと電気的
に接続され、第1の絶縁体は、電荷を保持する機能を有する半導体装置である。
【0012】
本発明の一態様は、第1の絶縁体、第1の酸化物半導体、第1のゲートおよび第2のゲー
トを有する第1のトランジスタと、第2の酸化物半導体、第3のゲートおよび第4のゲー
トを有する第2のトランジスタと、ノードと、第1の入力端子と、を有し、第1のゲート
と、第2のゲートと、は第1の酸化物半導体を介して互いに重なる領域を有し、第3のゲ
ートと、第4のゲートと、は第2の酸化物半導体を介して互いに重なる領域を有し、第1
の酸化物半導体と、第2のゲートと、は第1の絶縁体を介して互いに重なる領域を有し、
第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方と、第1の入力端子と、第4のゲート
と、はノードと電気的に接続され、第1の絶縁体は、電荷を保持する機能を有する半導体
装置である。
【0013】
本発明の一態様は、上記第1のゲートと電気的に接続される第2の入力端子を有する半導
体装置である。
【0014】
本発明の一態様は、上記ノードと電気的に接続される容量素子を有する半導体装置である
【0015】
本発明の一態様は、第2のトランジスタは、第2の絶縁体を有し、第2の酸化物半導体と
、第4のゲートと、は第2の絶縁体を介して互いに重なる領域を有し、第2の絶縁体は、
電荷を保持する機能を有する半導体装置である。
【0016】
本発明の一態様は、第1の酸化物半導体および第2の酸化物半導体は、インジウム、亜鉛
および元素M(元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズ)から選ばれ
た一種以上を有する半導体装置である。
【0017】
本発明の一態様は、第1の絶縁体および第2の絶縁体は、アルミニウム、ハフニウム、ガ
リウム、イットリウムまたはジルコニウムから選ばれた一以上を有する半導体装置である
【0018】
本発明の一態様は、上記記載の半導体装置と、記憶素子と、を有する記憶装置である。
【0019】
本発明の一態様は、上記記載の半導体装置を有するレジスタ回路である。
【0020】
本発明の一態様は、上記記載の半導体装置と、表示素子と、を有する表示装置である。
【0021】
本発明の一態様は、上記記載の半導体装置と、マイクロフォン、スピーカ、表示部または
操作キーのうちの少なくとも1つと、を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様により、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供すること
ができる。本発明の一態様により、消費電力を抑えることができる半導体装置を提供する
ことができる。本発明の一態様により、長期間においてデータの保持が可能な記憶装置を
提供することができる。本発明の一態様により、消費電力を抑えることができる記憶装置
を提供することができる。本発明の一態様により、新規な半導体装置を提供することがで
きる。
【0023】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、
図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項な
どの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】半導体装置の一例を示す回路図。
図2】半導体装置の一例を示す回路図。
図3】半導体装置の動作例を示す回路図。
図4】半導体装置の動作例を示す回路図。
図5】半導体装置の動作例を示す回路図。
図6】半導体装置の動作例を示す回路図。
図7】半導体装置の動作例を示す回路図。
図8】半導体装置の動作例を示す回路図。
図9】不揮発性メモリの回路構成の一例を示す回路図。
図10】DRAMの回路構成の一例を示す回路図。
図11】レジスタの回路構成の一例を示す回路図。
図12】表示装置の回路構成の一例を示す回路図。
図13】本発明の一態様に係るトランジスタの一部を示す上面図および断面図。
図14】本発明の一態様に係るトランジスタの一部を示す断面図。
図15】本発明の一態様に係るトランジスタの一部を示す断面図。
図16】本発明の一態様に係るトランジスタの一部を示す断面図。
図17】本発明の一態様に係るバンド構造を説明する図。
図18】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図、ならびにCAAC-OSの制限視野電子回折パターンを示す図。
図19】CAAC-OSの断面TEM像、ならびに平面TEM像およびその画像解析像。
図20】nc-OSの電子回折パターンを示す図、およびnc-OSの断面TEM像。
図21】a-like OSの断面TEM像。
図22】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
図23】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
図24】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
図25】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
図26】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
図27】半導体装置の一例を示す上面図および断面図。
図28】CPUの構成例を示すブロック図。
図29】電子機器の一例を示す斜視図。
図30】RFタグの使用例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説
明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に
理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるもの
ではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異
なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じく
し、特に符号を付さない場合がある。
【0026】
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されて
いる場合がある。
【0027】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応
じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜
」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用
語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0028】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるた
めに付すものであり、数的に限定するものではない。
【0029】
なお、本明細書において、AがBより迫り出した形状を有すると記載する場合、上面図ま
たは断面図において、Aの少なくとも一端が、Bの少なくとも一端よりも外側にある形状
を有することを示す場合がある。したがって、AがBより迫り出した形状を有すると記載
されている場合、例えば上面図において、Aの一端が、Bの一端よりも外側にある形状を
有すると読み替えることができる。
【0030】
電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電
位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。
【0031】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラン
ジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重な
る領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電
極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つの
トランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
【0032】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で
電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領
域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのト
ランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一
つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細
書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、
最小値または平均値とする。
【0033】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネ
ル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示される
チャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、
立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図
において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる
場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面に
形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示
される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の
方が大きくなる。
【0034】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測
による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積
もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状
が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0035】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが互いに
重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上
のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channe
l Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した
場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合があ
る。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い
込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによ
って、値を決定することができる。
【0036】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求め
る場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャ
ネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0037】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置さ
れている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平
行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。ま
た、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態を
いう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二
つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0038】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
【0039】
なお、明細書において、半導体と記載する場合、酸化物半導体と読み替えることができる
。半導体としては、シリコン、ゲルマニウムなどの第14族半導体、炭化シリコン、ケイ
化ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、セレン化亜鉛、硫化カドミウムなど
の化合物半導体、カーボンナノチューブ、グラフェンおよび有機半導体などを用いること
ができる。
【0040】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素
の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の
含有量が多い膜を指す。
【0041】
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制御
するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、
IGFET(Insulated Gate Field Effect Transi
stor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)
を含む。
【0042】
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを
採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることが
ある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替
えて用いることができるものとする。
【0043】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場
合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場
合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする
。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず
、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものと
する。
【0044】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層
、など)であるとする。
【0045】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であ
り、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量
素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに
、XとYとが、接続されている場合である。
【0046】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが
可能である。なお、スイッチは、オン・オフが制御される機能を有している。つまり、ス
イッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流す
か流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択
して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、X
とYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0047】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能
とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変
換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電
源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)
、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る
回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成
回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能であ
る。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号
がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとY
とが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとY
とが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0048】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYと
が電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟ん
で接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYと
の間に別の素子または別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直
接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟まずに接続
されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続
されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に
記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0049】
なお、例えば、トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1を介して(また
は介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)
が、Z2を介して(または介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタ
のソース(または第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部
がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2の
一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下
のように表現することが出来る。
【0050】
例えば、「XとYとトランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または
第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(ま
たは第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yの順序で
電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース
(または第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または
第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端
子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この順序で電気的
に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(
または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とを介して、Yと電気的に
接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイ
ン(または第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することが
できる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規
定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(また
は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
【0051】
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(または第1の端子など
)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路
は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、ト
ランジスタのソース(または第1の端子など)とトランジスタのドレイン(または第2の
端子など)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トラ
ンジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、
Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前
記第3の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「
トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって
、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有し
ておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタ
のドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介
して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していな
い。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子な
ど)は、少なくとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、
前記第1の電気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、
トランジスタのソース(または第1の端子など)からトランジスタのドレイン(または第
2の端子など)への電気的パスであり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など
)は、少なくとも第3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前
記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、ト
ランジスタのドレイン(または第2の端子など)からトランジスタのソース(または第1
の端子など)への電気的パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表
現方法を用いて、回路構成における接続経路について規定することにより、トランジスタ
のソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別し
て、技術的範囲を決定することができる。
【0052】
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X
、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、
層、など)であるとする。
【0053】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されてい
る場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もあ
る。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、およ
び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における
電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている
場合も、その範疇に含める。
【0054】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置の回路構成について説明する。
【0055】
図1(A)は、本発明の一態様に係る半導体装置の回路図である。図1(A)に示す回路
100はトランジスタM0の第2のゲートを駆動するための半導体装置の回路構成を示し
ている。図1(A)に示す半導体装置は、入力端子VBGと、入力端子VDと、第1のゲ
ートおよび第2のゲートを有するトランジスタM0と、トランジスタM0の第2のゲート
に電気的に接続された回路100と、を有する。
【0056】
回路100は、トランジスタM1と、ノードN1と、容量素子C1と、を有する。また、
トランジスタM1は、電荷を保持(捕獲、ともいう。)する機能を有する絶縁体(チャー
ジトラップ層ともいう。)を有し、該チャージトラップ層は、半導体と、第2のゲートと
、の間に設けられている。このように、チャージトラップ層を有するトランジスタを、図
1(A)に示すトランジスタM1のように表記する(図中において、チャージトラップ層
を点線で表記している。)。該チャージトラップ層に電荷として、たとえば電子を保持さ
せることによって、トランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせることができる。ま
た、正孔を保持させた場合は、トランジスタのしきい値電圧をマイナスシフトさせること
ができる。
【0057】
トランジスタM0の第2のゲートは、トランジスタM0のしきい値電圧(Vth)を制御
する機能を有する。例えば、トランジスタM0をnチャネル型トランジスタとした場合、
トランジスタM0の第2のゲートに、ソース電位よりも低い電位を与えることで、トラン
ジスタM0のVthをプラスシフトさせ、ゲート-ソース間の電圧(Vgs)が0Vにお
けるオフ電流を小さくすることができる(ノーマリーオフにすることができる。)。一方
で、トランジスタM0の第2のゲートに、ソース電位よりも高い電位を与えることで、ト
ランジスタM0のVthをマイナスシフトさせ、Vgs=0Vにおいて、オン電流を流す
こともできる(ノーマリーオンにすることができる。)。
【0058】
トランジスタM0の第1のゲートと、トランジスタM0の第2のゲートとは、半導体を間
に介して互いに重なる領域を有する。
【0059】
トランジスタM1の第1のゲートはノードN1に電気的に接続される。トランジスタM1
の第2のゲートは入力端子VBGに電気的に接続される。トランジスタM1のソースまた
はドレインの一方はノードN1に電気的に接続される。トランジスタM1のソースまたは
ドレインの他方は、入力端子VDに電気的に接続される。
【0060】
容量素子C1の第1の端子はノードN1に電気的に接続され、容量素子C1の第2の端子
は、一定の低電位が与えられる。当該低電位として接地電位を与えてもよい。
【0061】
トランジスタM0の第2のゲートは、ノードN1に電気的に接続される。
【0062】
また、トランジスタM0は、トランジスタM1よりもチャネル長またはチャネル幅が小さ
いほうが好ましい。トランジスタM0は耐圧が小さくてもよい部分に用い、トランジスタ
M1は大きい耐圧が必要な部分に用いればよい。
【0063】
また、トランジスタM0およびトランジスタM1は、同一平面上に形成させてもよい。ま
たはトランジスタM0を有する層の上層に、トランジスタM1を有する層を積層させて形
成してもよい。またその逆に積層する構成でもよい。
【0064】
なお、チャージトラップ層は、トランジスタM0およびトランジスタM1それぞれが有し
ていてもよく、またトランジスタM1のみが有する構成としてもよい。
【0065】
トランジスタM1およびトランジスタM0は、オフ電流が小さいトランジスタであること
が好適である。例えば、トランジスタM1およびトランジスタM0のオフ電流は、好まし
くは10-18A/μm以下、さらに好ましくは10-21A/μm以下、さらに好まし
くは10-24A/μm以下である。オフ電流が小さいトランジスタとして、酸化物半導
体トランジスタが挙げられる。
【0066】
なお、本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態
(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、
特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、VgsがVthよりも低い状態、
pチャネル型トランジスタでは、VgsがVthよりも高い状態をいう。例えば、nチャ
ネル型のトランジスタのオフ電流とは、VgsがVthよりも低いときのドレイン電流を
言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、ト
ランジスタのオフ電流が10-21A以下である、とは、トランジスタのオフ電流が10
-21A以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電
流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または
、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を
指す場合がある。
【0067】
また、本明細書では、チャネル幅(W)を有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅
あたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あた
りを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元
を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
【0068】
また、トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ
電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃における
オフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性
が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度
(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。
【0069】
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧(Vds)に依存する場合があ
る。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsの絶対値が0.1V、
0.8V、1.0V、1.2V、1.8V、2.5V、3.0V、3.3V、10V、1
2V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジ
スタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが
含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。
【0070】
また、図1(B)に示すように、図1(A)に示した回路100において、容量素子C1
を無くした構成としてもよい。その場合、ノードN1に電荷を保持すればよい。
【0071】
また、図1(C)に示すように、図1(A)に示したトランジスタM0において、トラン
ジスタM1と同様にチャージトラップ層を有する構成としてもよい。
【0072】
また、図2(A)に示すように、図1(A)に示したトランジスタM1の第1のゲートと
電気的に接続された入力端子VGSを有する構成としてもよい。なお、図1(A)に示す
トランジスタとは異なり、トランジスタM1の第2のゲートと、ノードN1と、は電気的
に接続されていない。それによりトランジスタM1のソースおよびドレインの電位を固定
させることができるため、例えばトランジスタM1のチャージトラップ層へ電荷を注入さ
せる際に、効率よく電荷を注入させることができる。
【0073】
また、図2(B)に示すように、図1(A)に示したトランジスタM1において、トラン
ジスタM1の第1のゲートと電気的に接続された入力端子VGと、トランジスタM1のソ
ースまたはドレインの一方およびノードN1と電気的に接続された入力端子VSと、を有
する構成としてもよい。それにより、例えばトランジスタM1のチャージトラップ層へ電
荷を注入させる際に、トランジスタM1をオン状態としながらVBGに電圧を印加するこ
とができるため、効率よく電荷を注入させることができる。
【0074】
また、上記示した構成について、適宜組み合わせて用いてもよい。
【0075】
次に、図1(A)に示す回路100の動作について、図3および図4を用いて説明する。
なお、トランジスタM0およびトランジスタM1はnチャネル型トランジスタとして説明
する。
【0076】
図3および図4を用いて、トランジスタM0の第2のゲートに、-5Vを書き込む場合の
例を示す。なお、本実施の形態における電圧値は一例であり、これに限られない。例えば
、トランジスタのサイズまたはしきい値電圧などによって、適宜変更されるものである。
【0077】
まず、図3(A)に示すように、入力端子VDを0Vに保持した状態で、入力端子VBG
に40V印加することによって、トランジスタM1のチャージトラップ層に電荷(ここで
は負の電荷である電子)を注入する。なお、このときトランジスタM1はオフ状態である
。トランジスタM1のチャージトラップ層に電子を注入し、保持することによって、トラ
ンジスタM1のしきい値電圧をプラスシフトさせることができる。それにより、nチャネ
ル型トランジスタであるトランジスタM1は、ノーマリーオフの特性を有することができ
る。
【0078】
次に、図3(B)に示すように入力端子VDおよび入力端子VBGを電気的に未接続の状
態(フローティングともいう。)とし、トランジスタM1におけるチャージトラップ層へ
の電荷注入および電荷保持が完了する。なお、理解を容易にするため、図中において電荷
(ここでは電子)を模式的に示している。
【0079】
次に、図3(C)に示すように、入力端子VDに-5Vを印加することによって、トラン
ジスタM1をオン状態にする。それによって、入力端子VDからノードN1および容量素
子C1に電荷が供給される。
【0080】
次に、図4(A)に示すように、ノードN1の電位が、入力端子VDとほぼ同じ電位とな
ることによって、トランジスタM1はオフ状態となる。
【0081】
次に、図4(B)に示すように、入力端子VDを電気的に未接続の状態とし、トランジス
タM0の第2ゲートに、-5Vを書き込む動作は完了する。
【0082】
本実施の形態に示す半導体装置は、トランジスタM0の第2のゲートに係る容量素子C1
を充電する回路100の、トランジスタM1にチャージトラップ層を設ける構成となって
いる。それによって、微細なトランジスタを低電圧でしきい値制御でき、かつ長期間制御
可能な半導体装置を作製することができる。例えば、回路100におけるトランジスタM
1を高電圧に耐えられるトランジスタで形成し、記憶素子などに使用するトランジスタM
0を微細なトランジスタで形成する構成とすることができる。
【0083】
上記示したように、トランジスタM1のチャージトラップ層に電荷を注入させるためには
、比較的大きな電圧を印加する必要がある。そのため、トランジスタM0の第2のゲート
に係る容量素子C1を充電するための回路100において、トランジスタM1は高耐圧な
トランジスタとすることが好ましい。また、記憶素子などとして機能するトランジスタM
0は高耐圧である必要はなく、微細なトランジスタとすることが好ましい。
【0084】
次に、図2(A)に示す回路200の動作について、図5および図6を用いて説明する。
なお、トランジスタM0およびトランジスタM1はnチャネル型トランジスタとして説明
する。
【0085】
図5および図6を用いて、上記と同様にトランジスタM0の第2のゲートに、-5Vを書
き込む場合の例を示す。まず、図5(A)に示すように、入力端子VGSおよび入力端子
VDを0Vに保持した状態で、入力端子VBGに40V印加することによって、トランジ
スタM1のチャージトラップ層に電荷(ここでは負の電荷である電子)を注入する。なお
、このときトランジスタM1はオフ状態である。トランジスタM1のチャージトラップ層
に電子を注入し、保持することによって、トランジスタM1のしきい値電圧をプラスシフ
トさせることができる。それにより、nチャネル型トランジスタであるトランジスタM1
は、よりノーマリーオフの特性を有することができる。
【0086】
次に、図5(B)に示すように入力端子VGS、入力端子VDおよび入力端子VBGを電
気的に未接続の状態(フローティングともいう。)とし、トランジスタM1におけるチャ
ージトラップ層への電荷注入および電荷保持が完了する。
【0087】
次に、図5(C)に示すように、入力端子VDに-5Vを印加することによって、トラン
ジスタM1をオン状態にする。それによって、入力端子VDからノードN1および容量素
子C1に電荷が供給される。
【0088】
次に、図6(A)に示すように、ノードN1の電位が、入力端子VDとほぼ同じ電位とな
ることによって、トランジスタM1はオフ状態となる。
【0089】
次に、図6(B)に示すように、入力端子VDを電気的に未接続の状態とし、トランジス
タM0の第2ゲートに、-5Vを書き込む動作は完了する。
【0090】
次に、図2(B)に示す回路300の動作について、図7および図8を用いて説明する。
なお、トランジスタM0およびトランジスタM1はnチャネル型トランジスタとして説明
する。
【0091】
図7および図8を用いて、上記と同様にトランジスタM0の第2のゲートに、-5Vを書
き込む場合の例を示す。まず、図7(A)に示すように、入力端子VSおよび入力端子V
Dを0Vに保持した状態で、入力端子VGに、トランジスタM1をオン状態にする電圧と
して、ここでは例えば5Vを印加する。それにより、トランジスタM1はオン状態となる
。そして、入力端子VBGに40V印加することによって、トランジスタM1のチャージ
トラップ層に電荷(ここでは負の電荷である電子)を注入する。トランジスタM1のチャ
ージトラップ層に電子を注入し、保持することによって、トランジスタM1のしきい値電
圧をプラスシフトさせることができる。それにより、nチャネル型トランジスタであるト
ランジスタM1は、よりノーマリーオフの特性を有することができる。
【0092】
次に、図7(B)に示すように入力端子VS、入力端子VG、入力端子VDおよび入力端
子VBGを電気的に未接続の状態(フローティングともいう。)とし、トランジスタM1
におけるチャージトラップ層への電荷注入および電荷保持が完了する。
【0093】
次に、図7(C)に示すように、入力端子VDに-5Vを印加することによって、トラン
ジスタM1をオン状態にする。それによって、入力端子VDからノードN1および容量素
子C1に電荷が供給される。
【0094】
次に、図8(A)に示すように、ノードN1の電位が、入力端子VDとほぼ同じ電位とな
ることによって、トランジスタM1はオフ状態となる。
【0095】
次に、図8(B)に示すように、入力端子VDを電気的に未接続の状態とし、トランジス
タM0の第2ゲートに、-5Vを書き込む動作は完了する。
【0096】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0097】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示した回路100の適用例について、図9乃至図12
を用いて説明する。なお、回路100の代わりに回路200または回路300を用いても
よい。
【0098】
<不揮発性メモリ>
図9(A)は、記憶素子としての機能を有するメモリセル110の回路構成を示している
【0099】
図9(A)のメモリセル110は、第1のゲートおよび第2のゲートを有するトランジス
タM0と、トランジスタ112と、容量素子114と、ノードFNと、配線BLと、配線
SLと、配線WLと、配線RLと、配線BGLとを有する。
【0100】
図9(A)のメモリセル110において、トランジスタM0の第1のゲートは配線WLに
電気的に接続され、トランジスタM0の第2のゲートは配線BGLに電気的に接続され、
トランジスタM0のソースまたはドレインの一方は配線BLに電気的に接続され、トラン
ジスタM0のソースまたはドレインの他方はノードFNに電気的に接続される。
【0101】
図9(A)のメモリセル110において、トランジスタ112のゲートはノードFNに電
気的に接続され、トランジスタ112のソースまたはドレインの一方は配線BLに電気的
に接続され、トランジスタ112のソースまたはドレインの他方は配線SLに電気的に接
続される。
【0102】
図9(A)のメモリセル110において、容量素子114の第1の端子は配線RLに電気
的に接続され、容量素子114の第2の端子はノードFNに電気的に接続される。
【0103】
トランジスタM0は、オフ電流が小さいトランジスタであることが好ましい。例えば、ト
ランジスタM0のオフ電流は、好ましくは10-18A/μm以下、さらに好ましくは1
-21A/μm以下、さらに好ましくは10-24A/μm以下である。オフ電流が小
さいトランジスタとして、酸化物半導体トランジスタが挙げられる。
【0104】
トランジスタ112は、しきい値電圧のばらつきの小さいトランジスタが用いられること
が好ましい。具体的には、チャネルが単結晶シリコンで形成されているトランジスタが挙
げられる。
【0105】
メモリセル110は、ノードFNの電荷が保持可能という特徴を活かすことで、次のよう
に、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0106】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、トランジスタM0がオン状態になる
ように、配線WLに電位を与える。これにより、配線BLの電位が、ノードFNに与えら
れる。すなわち、ノードFNには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異
なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル、Highレベルという)のいず
れかが与えられるものとする。その後、トランジスタM0をオフ状態とすることにより、
ノードFNに与えられた電荷が保持される(保持)。
【0107】
トランジスタM0のオフ電流は極めて小さいため、ノードFNの電荷は長時間にわたって
保持される。
【0108】
次に情報の読み出しについて説明する。配線SLに所定の電位(定電位)を与えた状態で
、配線RLに適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ112のゲートに保
持された電荷量に応じて、配線BLの電位は変動する。一般に、トランジスタ112をp
チャネル型とすると、ノードFNにHighレベルが与えられている場合の見かけのしき
い値電圧Vth_Hは、ノードFNにLowレベルが与えられている場合の見かけのしき
い値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トラ
ンジスタ112を「オン状態」とするために必要な配線RLの電位をいうものとする。し
たがって、配線RLの電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、
トランジスタ112のゲートに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて
、Lowレベルが与えられていた場合には、ノードFNの電位がV0(<Vth_L)と
なれば、トランジスタ112は「オン状態」となる。Highレベルが与えられた場合は
、ノードFNの電位がV0(>Vth_H)となっても、トランジスタ112は「オフ状
態」のままである。このため、配線BLの電位を判別することで、保持されている情報を
読み出すことができる。
【0109】
なお、上記の説明では、トランジスタ112がpチャネル型トランジスタとして扱ったが
、これに限定されず、トランジスタ112がnチャネル型トランジスタの場合もあり得る
【0110】
図9(B)は、マトリックス状に配置されたメモリセル110と、実施の形態1に示す回
路100を有する記憶装置120の回路構成を示している。記憶装置120は不揮発性メ
モリとしての機能を有する。
【0111】
記憶装置120は、m行n列のマトリクス状に配置されたメモリセル110を有する。こ
こで、mおよびnは2以上の自然数を表す。また、m行目に配置されたメモリセル110
は、配線WL[m]および配線RL[m]に電気的に接続され、n列目に配置されたメモ
リセル110は、配線BL[n]および配線SLに電気的に接続される。
【0112】
それぞれのメモリセル110に含まれるトランジスタM0の第2のゲートは、配線BGL
を介して、回路100に電気的に接続されている。すなわち、回路100は、全てのメモ
リセルに含まれるトランジスタM0の第2のゲートを制御する信号を供給する機能を有す
る。
【0113】
回路100が、トランジスタM0の第2のゲートを制御することで、トランジスタM0は
適切なVthをとることが可能になり、例えばノーマリーオンを防ぐことができる。その
結果、トランジスタM0はオフ電流を小さくすることができ、ノードFNに書き込まれた
電荷を保持しやすくなる。
【0114】
記憶装置120を上記構成にすることで、電源をオフにしても、長時間に渡ってデータの
保持が可能な記憶装置を提供することができる。
【0115】
<DRAM>
図10(A)は、記憶素子としての機能を有するメモリセル130の回路構成を示してい
る。
【0116】
図10(A)のメモリセル130は、第1のゲートおよび第2のゲートを有するトランジ
スタM0と、容量素子131と、配線BLと、配線WLと、配線CLと、配線BGLと、
を有する。
【0117】
図10(A)のメモリセル130において、トランジスタM0の第1のゲートは配線WL
に電気的に接続され、トランジスタM0の第2のゲートは配線BGLに電気的に接続され
、トランジスタM0のソースおよびドレインの一方は配線BLに電気的に接続され、トラ
ンジスタM0のソースおよびドレインの他方は容量素子131の第1の端子に電気的に接
続される。また、容量素子131の第2の端子は配線CLに電気的に接続される。
【0118】
トランジスタM0は、オフ電流が小さいトランジスタであることが好ましい。例えば、ト
ランジスタM0のオフ電流は、好ましくは10-18A/μm以下、さらに好ましくは1
-21A/μm以下、さらに好ましくは10-24A/μm以下である。オフ電流が小
さいトランジスタとして、酸化物半導体トランジスタが挙げられる。
【0119】
配線WLは、トランジスタM0のオン・オフを制御する信号を供給する機能を有し、配線
BLは、トランジスタM0を介して、容量素子131に電荷を書き込む機能を有する。容
量素子131に電荷を書き込んだ後に、トランジスタM0をオフにすることで、容量素子
131に書き込まれた電荷を保持することができる。
【0120】
容量素子131に書き込まれた電荷は、トランジスタM0を介して、外部に流れ出るため
、定期的に容量素子131に書き込まれた電荷を再書き込みする(リフレッシュする)動
作が必要であるが、トランジスタM0はオフ電流が極めて低く、容量素子131から流れ
出る電荷は少ないため、リフレッシュの頻度も少ない。
【0121】
図10(B)は、マトリックス状に配置されたメモリセル130と、実施の形態1に示す
回路100を有する記憶装置140の回路構成を示している。記憶装置140はDRAM
としての機能を有する。
【0122】
記憶装置140は、m行n列のマトリクス状に配置されたメモリセル130を有する。ま
た、m行目に配置されたメモリセル130は、配線WL[m]に電気的に接続され、n列
目に配置されたメモリセル130は、配線BL[n]に電気的に接続される。また、配線
CLは一定の低電位を与える端子VCに電気的に接続されている。
【0123】
それぞれのメモリセル130に含まれるトランジスタM0の第2のゲートは、配線BGL
を介して、回路100に電気的に接続されている。すなわち、回路100は、全てのメモ
リセルに含まれるトランジスタM0の第2のゲートを制御する信号を供給する機能を有す
る。
【0124】
回路100が、トランジスタM0の第2のゲートを制御することで、トランジスタM0は
適切なVthをとることが可能になり、例えばノーマリーオンを防ぐことができる。その
結果、トランジスタM0はオフ電流を小さくすることができ、容量素子131に書き込ま
れた電荷を保持することが可能になる。
【0125】
記憶装置140を上記構成にすることで、リフレッシュ頻度の少ない、低消費電力で動作
可能な記憶装置を提供することができる。
【0126】
<レジスタ>
図11に、1ビットのレジスタ回路150の構成例を示す。
【0127】
レジスタ回路150は、第1のゲートおよび第2のゲートを有するトランジスタM0と、
容量素子154と、ノードN5と、フリップフロップ回路153を有する。
【0128】
フリップフロップ回路153は、インバータ151およびインバータ152を有する。イ
ンバータ151は、インバータ152と並列且つ逆向きに接続され、インバータ151の
出力側が接続されるノードが、レジスタ回路150の出力端子OUTに相当する。
【0129】
トランジスタM0の第2のゲートは、回路100に電気的に接続され、トランジスタM0
の第1のゲートは、入力端子Sig1に電気的に接続され、トランジスタM0のソースま
たはドレインの一方は、入力端子Sig2に電気的に接続され、トランジスタM0のソー
スまたはドレインの他方は、ノードN5に電気的に接続される。
【0130】
容量素子154の第1の端子は、ノードN5に電気的に接続され、容量素子154の第2
の端子は、一定の低電位が与えられる。この低電位として、接地電位を与えてもよい。ま
た、ノードN5は、フリップフロップ回路153に電気的に接続されている。
【0131】
トランジスタM0は、オフ電流が小さいトランジスタであることが好ましい。例えば、ト
ランジスタM0のオフ電流は、好ましくは10-18A/μm以下、さらに好ましくは1
-21A/μm以下、さらに好ましくは10-24A/μm以下である。オフ電流が小
さいトランジスタとして、酸化物半導体トランジスタが挙げられる。
【0132】
レジスタ回路150は、入力端子Sig1および入力端子Sig2からの入力信号により
、データの格納、並びに出力を行う。例えば、ハイレベルの電圧が入力端子Sig1およ
び入力端子Sig2に供給されると、トランジスタM0がオン状態となりノードN5にハ
イレベル電圧が入力される。その結果、レジスタ回路150の出力端子OUTからはイン
バータ151によって反転されたローレベル電圧が出力されると同時に、フリップフロッ
プ回路153にはローレベル電圧のデータが格納される。一方、入力端子Sig2からロ
ーレベル電圧が入力されると、同様にして出力端子OUTからはハイレベル電圧が出力さ
れるとともにハイレベル電圧のデータがフリップフロップ回路153に格納される。
【0133】
容量素子154は、ノードN5の電圧を保持する機能を有する。
【0134】
レジスタ回路150は、入力端子Sig2からノードN5へ電位を書き込んだ後、トラン
ジスタM0をオフにすることで、電源電圧の供給を停止しても、ノードN5の電位を保持
することができる。なぜなら、トランジスタM0のオフ電流は極めて小さいからである。
すなわち、レジスタ回路150を用いることで、電源電圧の供給を停止してもデータの保
持が可能な記憶装置を提供することができる。
【0135】
また、回路100は、トランジスタM0の第2のゲートを制御する信号を供給する機能を
有する。回路100が、トランジスタM0の第2のゲートを制御することで、トランジス
タM0は適切なVthをとることが可能になり、例えばノーマリーオンを防ぐことができ
る。その結果、トランジスタM0はオフ電流を小さくすることができ、ノードN5に書き
込まれた電荷を保持することが可能になる。
【0136】
なお、本実施の形態では、フリップフロップ回路153の例として、2つのインバータ回
路を用いた簡易な構成を示したが、これに限定されること無く、クロック動作の可能なク
ロックドインバータを用いる構成や、NAND回路とインバータを組み合わせた構成を適
宜用いることができる。例えば、RS型、JK型、D型、T型等、公知のフリップフロッ
プ回路を適宜用いることができる。
【0137】
<表示装置>
図12では、実施の形態1で例示した回路100を表示装置に適用した一例について説明
する。
【0138】
図12(A)に、表示装置に適用可能な画素170の構成例を示す。画素170は、第1
のゲートおよび第2のゲートを有するトランジスタM0と、容量素子171と、表示素子
172と、ノードN7と、配線GLと、配線SLと、配線BGLと、を有する。
【0139】
トランジスタM0の第1のゲートは配線GLに電気的に接続され、トランジスタM0の第
2のゲートは配線BGLに電気的に接続され、トランジスタM0のソースおよびドレイン
の一方は配線SLに電気的に接続され、トランジスタM0のソースおよびドレインの他方
はノードN7に電気的に接続される。
【0140】
容量素子171の第1の端子はノードN7に電気的に接続され、容量素子171の第2の
端子は、一定の低電位が与えられている。
【0141】
容量素子171は、必要に応じて設ければよく、電極や配線などに付随する寄生容量で、
画素170の駆動に必要な容量が得られる場合は、容量素子171を省略してもよい。
【0142】
トランジスタM0は、オフ電流が小さいトランジスタであることが好ましい。例えば、ト
ランジスタM0のオフ電流は、好ましくは10-18A/μm以下、さらに好ましくは1
-21A/μm以下、さらに好ましくは10-24A/μm以下である。オフ電流が小
さいトランジスタとして、酸化物半導体トランジスタが挙げられる。
【0143】
表示素子172の第1の端子はノードN7に電気的に接続され、表示素子172の第2の
端子は、一定の低電位が与えられている。当該低電位として接地電位を与えてもよい。表
示素子172は、その両端の電極に電圧が印加されることにより、光学特性が変化する、
誘電性の素子を用いることができる。例えば、液晶素子や、電子ペーパーなどに用いられ
る電気泳動素子、ツイストボール素子などを適用することができる。
【0144】
配線GLは、トランジスタM0のオン・オフを制御する信号を供給する機能を有し、配線
SLは、トランジスタM0を介して、表示素子172に印加する電圧を供給する機能を有
する。
【0145】
トランジスタM0のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタM0をオフにすると、ノ
ードN7は、直前に印加された電圧を保持することができる。ノードN7の電圧が保持さ
れている間、表示素子172は表示状態を保持しておくことができる。
【0146】
画素170は、長時間ノードN7の電圧を保持しておくことが出来るため、電源電圧の供
給を止めても表示素子172の光学特性を保持し続けることが可能となる。例えば、TN
(Twisted Nematic)型液晶のようなメモリ性を有さない液晶素子を用い
た場合であっても、当該素子には常に電圧が印加された状態を保持することが出来るため
、書き換え動作を無くす、またはその頻度を極めて少なくすることが可能となる。
【0147】
図12(B)は、マトリックス状に配置された画素170と、実施の形態1に示す回路1
00を有する表示装置180の回路構成を示している。
【0148】
表示装置180は、m行n列のマトリクス状に配置された画素170を有する。また、m
行目に配置された画素170は、配線GL[m]に電気的に接続され、n列目に配置され
た画素170は、配線SL[n]に電気的に接続される。
【0149】
それぞれの画素170に含まれるトランジスタM0の第2のゲートは、配線BGLを介し
て、回路100に電気的に接続されている。すなわち、回路100は、全ての画素に含ま
れるトランジスタM0の第2のゲートを制御する信号を供給する機能を有する。
【0150】
回路100が、トランジスタM0の第2のゲートを制御することで、トランジスタM0は
適切なVthをとることが可能になり、ノーマリーオンを防ぐことができる。その結果、
トランジスタM0はオフ電流を小さくすることができ、ノードN7に書き込まれた電荷を
保持することが可能になる。
【0151】
また、回路100は、これに接続される画素170内のトランジスタM0のしきい値電圧
を最適な値に制御、保持し、且つ一時的にしきい値電圧を変化させ、ノーマリーオン型の
トランジスタとすることが出来る。回路100に接続されたm×n個のトランジスタを同
時にノーマリーオン型に一時的に変化させることにより、それぞれの画素に格納される電
圧(すなわち表示画像)を一つの信号で同時にリフレッシュすることができる。
【0152】
表示装置180を上記構成にすることで、書き換え頻度が少なく、低消費電力で動作でき
る表示装置を提供することができる。また、容易にリフレッシュ動作が可能な画素を複数
有する表示装置とすることが出来る。また、電源の供給を止めても表示が可能な表示装置
を実現できる。
【0153】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0154】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態2で示した、トランジスタM0および
トランジスタM1に適用可能なトランジスタの一例について説明する。
【0155】
<トランジスタ構造>
図13(A)、(B)および(C)は、本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および
断面図である。図13(A)は上面図である。図13(B)は、図13(A)に示す一点
鎖線A1-A2に対応する断面図であり、チャネル長方向の断面形状を示す。図13(C
)は、図13(A)に示す一点鎖線A3-A4に対応する断面図であり、チャネル幅方向
の断面形状を示す。なお、図13(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を
省いて図示している。
【0156】
図13に示すトランジスタは、基板400上の導電体413と、基板400上の絶縁体4
01と、導電体413上の絶縁体431と、絶縁体431上の絶縁体432と、絶縁体4
32上の絶縁体433と、絶縁体433上の絶縁体406aと、絶縁体406a上の半導
体406bと、半導体406b上の導電体430aおよび導電体430bと、半導体40
6b上の絶縁体406cと、絶縁体406c上の絶縁体412と、絶縁体412および絶
縁体406cを介して半導体406b上に配置する導電体404と、導電体404、導電
体430aおよび導電体430b上の絶縁体411と、絶縁体411を通って導電体40
4、導電体430aおよび導電体430bに達する開口部と、該開口部に埋め込まれ、導
電体404、導電体430aおよび導電体430bと接する領域を有する導電体416a
3、導電体416a1および導電体416a2と、導電体416a1上の導電体418a
1と、導電体416a2上の導電体418a2と、導電体416a3上の導電体418a
3と、を有する。
【0157】
絶縁体431および絶縁体433は、シリコンを有する絶縁体を用いることが好ましい。
例えば、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを有することが好ましい。絶縁体431お
よび絶縁体433の成膜は、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor
Deposition)法などを用いて行えばよい。
【0158】
絶縁体432は、アルミニウム、ハフニウム、ガリウム、イットリウムまたはジルコニウ
ムから選ばれた一以上を有する絶縁体を用いることが好ましい。例えば、酸化アルミニウ
ム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、ハフニウムシリケー
ト、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化
ジルコニウムまたは酸化窒化ジルコニウムを用いればよい。また、酸化マグネシウム、酸
化ゲルマニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどを用いてもよい。
絶縁体432の成膜は、スパッタリング法、有機金属CVD(MOCVD:Metal
Organic CVD)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Dep
osition)法などにより行えばよい。また、絶縁体432は電荷を保持する機能を
有する絶縁体であると好ましい。例えば、絶縁体431および絶縁体433が電子の放出
を抑制する機能を有し、絶縁体432に電子を保持させることによって、負の固定電荷の
ように振舞うことがある。それにより、トランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせ
ることができるため好ましい。
【0159】
絶縁体406aおよび絶縁体406cは、半導体406bの有する、酸素以外の元素の少
なくとも一を有すると好ましい。それによって、半導体406bおよび絶縁体406a、
ならびに半導体406bおよび絶縁体406cのそれぞれの界面において、欠陥の生成を
抑制することができる。
【0160】
半導体406bは、酸化物半導体を有することが好ましく、特に、後述するCAAC-O
Sを有することが好ましい。
【0161】
本トランジスタにおいて、導電体404は第1のゲート電極としての機能を有する。また
、導電体404は、酸素を透過しにくい機能を有する導電体を含む積層構造とすることが
できる。例えば酸素を透過しにくい導電体を下層に形成することで導電体404の酸化に
よる導電率の低下を防ぐことができる。また、絶縁体412は第1のゲート絶縁体として
の機能を有する。なお、導電体の導電率は、2端子法などを用いて測定することができる
【0162】
また、導電体413は、第2のゲート電極としての機能を有する。また、導電体413は
酸素を透過しにくい機能を有する導電膜を含む積層構造とすることもできる。酸素を透過
しにくい機能を有する導電膜を含む積層構造とすることで導電体413の酸化による導電
率の低下を防ぐことができる。絶縁体431、絶縁体432および絶縁体433は第2の
ゲート絶縁体としての機能を有する。導電体413へ印加する電位によって、トランジス
タのしきい値電圧を制御することができる。なお、第1のゲート電極の機能と、第2のゲ
ート電極の機能と、が入れ替わっても構わない。
【0163】
図13(C)に示すように、第1のゲート電極としての機能を有する導電体404の電界
によって、半導体406bを電気的に取り囲むことができる。ゲート電極の電界によって
、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded chann
el(s-channel)構造とよぶ。そのため、半導体406bの全体にチャネルが
形成される場合がある。s-channel構造では、トランジスタのソース-ドレイン
間に大きな電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流)を大きくすることができる
。また、半導体406bが、導電体404の電界によって取り囲まれていることから、非
導通時の電流(オフ電流)を小さくすることができる。
【0164】
また、絶縁体406a、半導体406bおよび絶縁体406cは、それぞれ2層以上の積
層構造としてもよい。
【0165】
また、導電体430aおよび導電体430bは、半導体406bのみでなく、絶縁体40
6aおよび絶縁体433と接して設けられる構成としてもよい。
【0166】
また、絶縁体406aおよび絶縁体406cが無い構成としてもよい(図14(A)参照
。)。
【0167】
また、図14(B)に示すように、導電体404より絶縁体412および絶縁体406c
が迫り出している構成としてもよい。図15(A)に示すように、絶縁体406cは、導
電体430a、導電体430b、半導体406bおよび絶縁体406aを覆い、絶縁体4
12は導電体404より迫り出す構成としてもよい。または、図15(B)に示すように
、絶縁体406cは、導電体430a、導電体430b、半導体406bおよび絶縁体4
06aを覆い、絶縁体406c上に絶縁体412を配す構成としてもよい。。
【0168】
また、図16(A)に示すトランジスタのように、半導体406bに低抵抗領域435a
および低抵抗領域435bが形成されている構成としてもよい。低抵抗領域435aおよ
び低抵抗領域435bは、半導体406bにおいて、導電体404、絶縁体412および
絶縁体406cと重畳しない領域に形成されていると好ましい。また、導電体404、絶
縁体412および絶縁体406cと重畳する領域の一部が低抵抗領域であってもよい。低
抵抗領域435aおよび低抵抗領域435bは、トランジスタのソース領域またはドレイ
ン領域として機能することができる。また、半導体406bに低抵抗領域435aおよび
低抵抗領域435bが形成されていることによって、導電体416a1および導電体41
6a2と、半導体406bと、の接触抵抗を低減させることができる。
【0169】
低抵抗領域435aおよび低抵抗領域435bは、例えば不純物を添加することによって
、形成することができる。添加する不純物は、例えばリン、ホウ素、窒素、アルゴンまた
はキセノンのいずれか一以上を用いればよい。また、不純物の添加は、プラズマ処理、イ
オン注入またはイオンドーピングなどにより行えばよい。また、低抵抗領域435aおよ
び低抵抗領域435bは、低抵抗領域435aおよび低抵抗領域435b以外の領域と比
べ、酸素欠損が多いことが好ましい。それにより、ドナー準位が形成されることによって
キャリア密度が増加し、抵抗値を下げることができる。
【0170】
また、低抵抗領域435aおよび低抵抗領域435bは、低抵抗領域435aおよび低抵
抗領域435b以外の領域と比べ、結晶性が低い領域であってもよい。
【0171】
導電体416a1および導電体416a2は、半導体406bと電気的に接続されており
、ソース配線またはドレイン配線としての機能を有する。特に、導電体416a1および
導電体416a2は、半導体406bにおけるソース領域およびドレイン領域である、低
抵抗領域435aおよび低抵抗領域435bと電気的に接続されていることが好ましい。
また、導電体416a1および導電体416a2は、酸素を透過しにくい機能を有する導
電体を含む積層構造とすることができる。例えば酸素を透過しにくい導電体を上層に形成
することで導電体416a1および導電体416a2の酸化による導電率の低下を防ぐこ
とができる。
【0172】
また、図16(B)に示すトランジスタのような形状としてもよい。図16(B)に示す
トランジスタは、絶縁体411、絶縁体406c、絶縁体412および導電体404の上
面が概略一致しており、平坦に設けられている。このように形成するために、絶縁体41
1、絶縁体406c、絶縁体412および導電体404の上面は化学的機械研磨(Che
mical Mechanical Polishing:CMP)などによって平坦化
すればよい。その後、絶縁体421を成膜し、導電体416a1、導電体416a2、導
電体418a1および導電体418a2を形成すればよい。なお、絶縁体421は、絶縁
体411と同様にして成膜すればよい。
【0173】
このような構造にすることにより、導電体404と導電体430aおよび導電体430b
が重なる領域がほぼ形成されなくなるので、トランジスタのゲート―ソース間、およびゲ
ート―ドレイン間に発生する寄生容量を低減することができる。寄生容量を低減すること
により、トランジスタのスイッチング速度を向上させることができるので、高い周波数特
性を有するトランジスタを提供することができる。
【0174】
<半導体>
以下、半導体406bの詳細な構成について説明する。
【0175】
なお、半導体406bとともに絶縁体406a、絶縁体406cの詳細な構成についても
説明する。
【0176】
半導体406bとしては、酸化物半導体を用いることが好ましい。ただし、シリコン(歪
シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、
アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウムまたは有機半導体などを用い
ても構わない場合がある。
【0177】
絶縁体406aおよび絶縁体406cとしては、半導体406bを構成する酸素以外の元
素一種以上、または二種以上から構成される酸化物を用いることが好ましい。ただし、シ
リコン(歪シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリ
ウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウムまたは有機半導体
などを用いても構わない場合がある。
【0178】
半導体406bは、例えば、インジウムを含む酸化物半導体である。半導体406bは、
例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、半導体
406bは、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム
、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホ
ウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ラ
ンタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、マグネシウム、タングステンなど
がある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。例えば、酸素との結合エ
ネルギーがインジウムよりも高い元素である。または、元素Mは、例えば、酸化物半導体
のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、半導体406bは、
亜鉛を含むと好ましい。酸化物半導体は、亜鉛を含むと結晶化しやすくなる場合がある。
【0179】
ただし、半導体406bは、インジウムを含む酸化物半導体に限定されない。半導体40
6bは、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物などの、インジウムを含まず、亜
鉛を含む酸化物半導体、ガリウムを含む酸化物半導体、スズを含む酸化物半導体などであ
っても構わない。
【0180】
半導体406bは、例えば、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。半導体406
bのエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8
eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
【0181】
半導体406bは、絶縁体406aおよび絶縁体406cよりも電子親和力の大きい酸化
物を用いる。例えば、半導体406bとして、絶縁体406aおよび絶縁体406cより
電子親和力が0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以
下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電
子親和力は、真空準位と伝導帯下端とのエネルギー差である。なお、絶縁体406aおよ
び絶縁体406cは、どちらかの電子親和力が大きくてもよく、または電子親和力が同じ
であってもよい。
【0182】
このように、半導体406bの上下に絶縁体406aおよび絶縁体406cを配置したト
ランジスタにおいて、ゲート電圧を印加すると、絶縁体406a、半導体406bおよび
絶縁体406cのうち、電子親和力の大きい半導体406bにチャネルが形成される。こ
のように、いわゆる埋め込みチャネル構造を形成することができる。
【0183】
ここで、絶縁体406aと半導体406bとの間には、絶縁体406aと半導体406b
との混合領域を有する場合がある。また、半導体406bと絶縁体406cとの間には、
半導体406bと絶縁体406cとの混合領域を有する場合がある。混合領域は、欠陥準
位密度が低くなる。そのため、絶縁体406a、半導体406bおよび絶縁体406cの
積層体は、それぞれの界面近傍において、エネルギーが連続的に変化する(連続接合とも
いう。)バンド図となる(図17参照。)。なお、絶縁体406a、半導体406bおよ
び絶縁体406cは、それぞれの界面を明確に判別できない場合がある。
【0184】
このとき、電子は絶縁体406aおよび絶縁体406c中ではなく、半導体406b中を
主として移動する。
【0185】
トランジスタのオン電流は、電子の移動を阻害する要因を低減するほど、高くすることが
できる。電子の移動は、例えば、チャネル形成領域の物理的な凹凸が大きい場合にも阻害
される。
【0186】
トランジスタのオン電流を高くするためには、例えば、半導体406bの上面または下面
(被形成面、ここでは絶縁体406aの上面)の、1μm×1μmの範囲における二乗平
均平方根(RMS:Root Mean Square)粗さが1nm未満、好ましくは
0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0.4nm未満とす
ればよい。また、1μm×1μmの範囲における平均面粗さ(Raともいう。)が1nm
未満、好ましくは0.6nm未満、さらに好ましくは0.5nm未満、より好ましくは0
.4nm未満とすればよい。また、1μm×1μmの範囲における最大高低差(P-Vと
もいう。)が10nm未満、好ましくは9nm未満、さらに好ましくは8nm未満、より
好ましくは7nm未満とすればよい。RMS粗さ、RaおよびP-Vは、エスアイアイ・
ナノテクノロジー株式会社製走査型プローブ顕微鏡システムSPA-500などを用いて
測定することができる。
【0187】
なお、上述の絶縁体406a、半導体406bおよび絶縁体406cの3層構造は一例で
ある。例えば、絶縁体406aまたは絶縁体406cのいずれか一方を設けない2層構造
としてもよい。また、絶縁体406aまたは絶縁体406cの両方を設けない単層構造と
してもよい。または、絶縁体406a、半導体406bまたは絶縁体406cとして例示
した絶縁体、半導体または導電体のいずれかを有するn層構造(nは4以上の整数)とし
ても構わない。
【0188】
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
【0189】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けら
れる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(c-axis-aligned
crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semicond
uctor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-l
ike oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがあ
る。
【0190】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半
導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-
OS、多結晶酸化物半導体およびnc-OSなどがある。
【0191】
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置
が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さな
い、などといわれている。
【0192】
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous
)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構
造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a-li
ke OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。
不安定であるという点では、a-like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い
【0193】
<CAAC-OS>
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0194】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半
導体の一種である。
【0195】
CAAC-OSをX線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解
析した場合について説明する。例えば、空間群R-3mに分類されるInGaZnO
結晶を有するCAAC-OSに対し、out-of-plane法による構造解析を行う
と、図18(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピー
クは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSで
は、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともい
う。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°
近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近
傍のピークは、空間群Fd-3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC
-OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
【0196】
一方、CAAC-OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin-pla
ne法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、I
nGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し
、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を
行っても、図18(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZ
nOに対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図18(C)に示すよ
うに(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、X
RDを用いた構造解析から、CAAC-OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であるこ
とが確認できる。
【0197】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGaZ
nOの結晶を有するCAAC-OSに対し、CAAC-OSの被形成面に平行にプロー
ブ径が300nmの電子線を入射させると、図18(D)に示すような回折パターン(制
限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、In
GaZnOの結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回
折によっても、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面
または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に
垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図18(E)
に示す。図18(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プロー
ブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC-OSに含まれるペレ
ットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図18(E)における第
1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面および(100)面などに起因する
と考えられる。また、図18(E)における第2リングは(110)面などに起因すると
考えられる。
【0198】
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Mi
croscope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像
(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる
。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウ
ンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC
-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0199】
図19(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能T
EM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Ab
erration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分
解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、
例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによ
って観察することができる。
【0200】
図19(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することが
できる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわ
かる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこと
もできる。また、CAAC-OSを、CANC(C-Axis Aligned nan
ocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC
-OSの被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上
面と平行となる。
【0201】
また、図19(B)および図19(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC
-OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図19(D)および図19(E)は、
それぞれ図19(B)および図19(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理
の方法について説明する。まず、図19(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast
Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得
したFFT像において原点を基準に、2.8nm-1から5.0nm-1の間の範囲を残
すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:
Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像
処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフ
ィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子
配列を示している。
【0202】
図19(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、
一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部であ
る。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレ
ットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
【0203】
図19(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点線
で示している。。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線
近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七
角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制し
ていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において原子配列が稠密
でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって
、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0204】
以上に示すように、CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複
数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CA
AC-OSを、CAA crystal(c-axis-aligned a-b-pl
ane-anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもでき
る。
【0205】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混
入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(
酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
【0206】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属
元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素
との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二
酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を
乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0207】
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合があ
る。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリ
ア発生源となる場合がある。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップと
なる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0208】
不純物および酸素欠損の少ないCAAC-OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体であ
る。具体的には、8×1011cm-3未満、好ましくは1×1011cm-3未満、さ
らに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上のキャリア
密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または
実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く、欠陥
準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0209】
<nc-OS>
次に、nc-OSについて説明する。
【0210】
nc-OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc-OSに対し
、out-of-plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない
。即ち、nc-OSの結晶は配向性を有さない。
【0211】
また、例えば、InGaZnOの結晶を有するnc-OSを薄片化し、厚さが34nm
の領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図20
(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測され
る。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナ
ノビーム電子回折パターン)を図20(B)に示す。図20(B)より、リング状の領域
内に複数のスポットが観測される。したがって、nc-OSは、プローブ径が50nmの
電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入
射させることでは秩序性が確認される。
【0212】
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、
図20(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンが観測
される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc-OSが秩序
性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているた
め、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
【0213】
図20(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc-OSの断面のCs補正高分
解能TEM像を示す。nc-OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所など
のように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない
領域と、を有する。nc-OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさで
あり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが1
0nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro
crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがあ
る。nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合
がある。なお、ナノ結晶は、CAAC-OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性
がある。そのため、以下ではnc-OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
【0214】
このように、nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に
1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは
、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見ら
れない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質
酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0215】
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc-OSを、
RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物
半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystals)を有す
る酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0216】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、
nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる
。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため
、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0217】
<a-like OS>
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半
導体である。
【0218】
図21に、a-like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図21(A)は
電子照射開始時におけるa-like OSの高分解能断面TEM像である。図21(B
)は4.3×10/nmの電子(e)照射後におけるa-like OSの高
分解能断面TEM像である。図21(A)および図21(B)より、a-like OS
は電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また
、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密
度領域と推測される。
【0219】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-like
OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すため
、電子照射による構造の変化を示す。
【0220】
試料として、a-like OS、nc-OSおよびCAAC-OSを準備する。いずれ
の試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0221】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料
は、いずれも結晶部を有する。
【0222】
なお、InGaZnOの結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-
O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている
。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同
程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以
下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZn
の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa-b面に対応す
る。
【0223】
図22は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である
。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図22より、a-like
OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなってい
くことがわかる。図22より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさ
だった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e)の累積照射量が4.2×10
/nmにおいては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc
-OSおよびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
/nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図22
り、電子の累積照射量によらず、nc-OSおよびCAAC-OSの結晶部の大きさは、
それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射お
よびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H-9000NARを用いた。電子線照射条件
は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×10/(nm・s)、照射領域
の直径を230nmとした。
【0224】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合があ
る。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど
見られない。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、
不安定な構造であることがわかる。
【0225】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べ
て密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結晶
酸化物半導体の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc-OSの密度お
よびCAAC-OSの密度は、同じ組成の単結晶酸化物半導体の密度の92.3%以上1
00%未満である。単結晶酸化物半導体の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜
すること自体が困難である。
【0226】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱
面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmである。よっ
て、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、a-like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満である。また
、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm
未満である。
【0227】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わ
せることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所
望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、
加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組
み合わせて見積もることが好ましい。
【0228】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。な
お、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、
CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0229】
<基板、絶縁体、導電体>
以下に、トランジスタの半導体以外の各構成要素について詳細な説明を行う。
【0230】
基板400としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい
。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコ
ニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体
基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、または炭化シリ
コン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウ
ムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域
を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板
などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板など
がある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さ
らには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または
絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある
。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子
としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0231】
また、基板400として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトラン
ジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トラン
ジスタを剥離し、可とう性基板である基板400に転置する方法もある。その場合には、
非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板400として
、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板400が
伸縮性を有してもよい。また、基板400は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形
状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板4
00は、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、
さらに好ましくは15μm以上300μm以下の厚さとなる領域を有する。基板400を
薄くすると、トランジスタを有する半導体装置を軽量化することができる。また、基板4
00を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや
引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などに
よって基板400上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫
な半導体装置を提供することができる。
【0232】
可とう性基板である基板400としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、ま
たはそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板400は、線膨張
率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板400とし
ては、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×1
-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリ
オレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、
アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基板
400として好適である。
【0233】
なお、トランジスタを、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体
で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。例えば絶縁体
401、絶縁体432、絶縁体412、絶縁体411または絶縁体421に、水素などの
不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を単層、または積層で用いればよい
【0234】
水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ
素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、
アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム
、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
【0235】
また、例えば、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体としては
、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウ
ム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオ
ジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。
【0236】
絶縁体401、絶縁体431または絶縁体433は、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素
、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、
ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタ
ンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体401、絶
縁体431または絶縁体433としては、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを有する
ことが好ましい。
【0237】
また、絶縁体421は、絶縁体401と同様にして形成させればよい。
【0238】
絶縁体411は、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミ
ニウムなどを有することが好ましい。または、絶縁体401などに用いることができる絶
縁体と、積層させて形成させてもよい。
【0239】
また、絶縁体432は、アルミニウム、ハフニウム、ガリウム、イットリウムまたはジル
コニウムから選ばれた一以上を有する絶縁体を用いることが好ましい。例えば、酸化アル
ミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、ハフニウムシ
リケート、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム
、酸化ジルコニウムまたは酸化窒化ジルコニウムを用いればよい。また、酸化マグネシウ
ム、酸化ゲルマニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどを用いても
よい。絶縁体432の成膜は、スパッタリング法、有機金属CVD(MOCVD:Met
al Organic CVD)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer
Deposition)法などにより行えばよい。
【0240】
絶縁体412としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、ア
ルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム
、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体412としては、酸化シリコンまたは酸
化窒化シリコンを有することが好ましい。
【0241】
なお、絶縁体412は、比誘電率の高い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁体
412は、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化
物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有
する酸化物、またはシリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物などを有することが好
ましい。または、絶縁体412は、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンと、比誘電率の
高い絶縁体と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリコ
ンは、熱的に安定であるため、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定
かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。例えば、酸化アルミニウム、酸化ガリ
ウムまたは酸化ハフニウムを、絶縁体406c側に有することで、酸化シリコンまたは酸
化窒化シリコンに含まれるシリコンが、半導体406bに混入することを抑制することが
できる。また、例えば、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを、絶縁体406c側に有
することで、酸化アルミニウム、酸化ガリウムまたは酸化ハフニウムと、酸化シリコンま
たは酸化窒化シリコンと、の界面にトラップセンターが形成される場合がある。該トラッ
プセンターは、電子を捕獲することでトランジスタのしきい値電圧をプラス方向に変動さ
せることができる場合がある。
【0242】
導電体430a、導電体430b、導電体416a1および導電体416a2としては、
例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム
、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、
モリブデン、ルテニウム、プラチナ、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステ
ンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金膜や化合
物膜であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およ
びマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、またはチタンおよ
び窒素を含む導電体などを用いてもよい。また、導電体416a3、導電体418a1、
導電体418a2および導電体418a3も同様に形成すればよい。
【0243】
導電体404および導電体413としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリ
コン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛
、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、
スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用い
ればよい。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅お
よびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素
を含む導電体、またはチタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0244】
以上のようなトランジスタの構成とすることにより、第1のゲート電極として機能する導
電体404と、第2のゲート電極として機能する導電体413と、の間において、大きな
リーク電流が流れるのを抑制することができる。それにより、良好な電気特性を有するト
ランジスタを提供することができる。また、安定した電気特性を有するトランジスタを提
供することができる。
【0245】
<トランジスタの作製方法>
以下では、本発明に係る図13に示すトランジスタの作製方法を図23乃至図26を用い
て説明する。
【0246】
まず、基板400を準備する。
【0247】
次に、基板400上に絶縁体401を成膜し、絶縁体401を加工して開口部を形成する
。次に導電体を成膜する。導電体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE(Mo
lecular Beam Epitaxy)法、PLD(Pulsed Laser
Deposition)法、またはALD法などを用いて行うことができる。導電体は酸
素を透過し難い機能を有する導電体を含む多層構造としてもよい。次に、CMPなどを用
いて絶縁体401の一部が露出するまで研磨し、導電体413を形成する。
【0248】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma E
nhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CV
D)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用い
る原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(
MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0249】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得やすい。また、熱CVD法は、プラズ
マを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法で
ある。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)
などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、
蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合が
ある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じ
ないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜
中にプラズマに曝されることがないため、欠陥の少ない膜が得られやすい。
【0250】
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法で
ある。
【0251】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは
異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって
、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に
、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の
高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、成膜速度が遅
いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好まし
い場合もある。
【0252】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御するこ
とができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の
組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜し
ながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜す
ることができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用い
て成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短くす
ることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0253】
また導電体413の他の形成方法としては、基板400上に導電体を成膜し、フォトリソ
グラフィー法などを用いて加工し、導電体413を形成する。次に、絶縁体401となる
絶縁体を成膜し、CMPなどを用いて導電体413の一部が露出するまで研磨し、絶縁体
401を形成してもよい。
【0254】
なお、リソグラフィー法では、まず、フォトマスクを介してレジストを露光する。次に、
露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次
に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体
などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエ
キシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、
レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズと
の間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した
光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビー
ムを用いる場合には、フォトマスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去には、ア
ッシングなどのドライエッチング処理を行う、またはウェットエッチング処理を行う、ま
たはドライエッチング処理に加えてウェットエッチング処理を行う、またはウェットエッ
チング処理に加えてドライエッチング処理を行うことができる。
【0255】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:
Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いるこ
とができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型
電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の
電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞ
れに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに
周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するド
ライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング
装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Couple
d Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0256】
次に、絶縁体431、絶縁体432および絶縁体433を成膜する。これら絶縁体は、前
述のように成膜すればよい。
【0257】
次に、高密度プラズマ処理を行ってもよい。高密度プラズマ処理は、酸素雰囲気または窒
素雰囲気で行うと好ましい。酸素雰囲気としては、酸素原子を有する気体雰囲気であり、
酸素、オゾンまたは窒素酸化物(一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素、三酸化二窒素
、四酸化二窒素、五酸化二窒素など)雰囲気をいう。また、酸素雰囲気において、窒素、
または希ガス(ヘリウム、アルゴンなど)の不活性気体が含まれてもよい。このように酸
素雰囲気での高密度プラズマ処理を行うことによって、例えば炭素などの第14族元素を
脱離させることができる。また、酸素雰囲気で高密度プラズマ処理を行うことによって、
被処理物から炭化水素などの有機化合物も脱離させやすい。
【0258】
窒素雰囲気での高密度プラズマ処理としては、例えば窒素と希ガスを含む雰囲気下、また
は窒素と水素と希ガスを含む雰囲気下、またはアンモニアと希ガスを含む雰囲気下におい
て、上記高密度プラズマ処理を行えばよい。それによって、被処理物の表面およびその近
傍を窒化することができる。窒化される領域は、被処理物の表面側に極めて薄く形成でき
る。また、このように窒化された領域によって、不純物の拡散を抑制することができる。
【0259】
また、高密度プラズマ処理は、酸素雰囲気で行った後、窒素雰囲気で行ってもよく、また
窒素雰囲気で処理後、酸素雰囲気で処理してもよい。また、それぞれの高密度プラズマ処
理の前後にアニール処理を行ってもよい。なお、プラズマの密度を高くするためには、十
分な量のガスを流すことが好ましい場合がある。ガスの量が十分でないと、ラジカルの生
成速度よりも失活速度が高くなる場合がある。例えば、ガスを100sccm以上、30
0sccm以上または800sccm以上流すと好ましい場合がある。
【0260】
高密度プラズマ処理は、例えば、周波数0.3GHz以上3.0GHz以下、0.7GH
z以上1.1GHz以下、または2.2GHz以上2.8GHz以下(代表的には2.4
5GHz)の高周波発生器を用いて発生させたマイクロ波を用いればよい。また、処理圧
力を10Pa以上5000Pa以下、好ましくは200Pa以上1500Pa以下、さら
に好ましくは300Pa以上1000Pa以下、基板温度を100℃以上600℃以下(
代表的には400℃)とし、酸素とアルゴンとの混合ガスを用いて行うことができる。
【0261】
高密度プラズマは、例えば2.45GHzのマイクロ波を用いることによって生成され、
電子密度が1×1011/cm以上1×1013/cm以下、電子温度が2eV以下
、またはイオンエネルギーが5eV以下で行うと好ましい。このような高密度プラズマ処
理は、ラジカルの運動エネルギーが小さく、従来のプラズマ処理と比較してプラズマによ
るダメージが少ない。そのため、欠陥の少ない膜を形成することができる。マイクロ波を
発生するアンテナから被処理物までの距離は5mm以上120mm以下、好ましくは20
mm以上60mm以下とするとよい。
【0262】
または、基板側にRF(Radio Frequency)バイアスを印加するプラズマ
電源を有してもよい。RFバイアスの周波数は、例えば13.56MHzまたは27.1
2MHzなどを用いればよい。高密度プラズマを用いることより高密度の酸素イオンを生
成することができ、基板側にRFバイアスを印加することで高密度プラズマによって生成
された酸素イオンを効率よく被処理物に導くことができる。そのため、基板バイアスを印
加しながら、高密度プラズマ処理を行うことが好ましい。
【0263】
また、高密度プラズマ処理の後、大気に暴露することなく連続してアニール処理を行って
もよい。また、高密度プラズマ処理は、アニール処理の後、大気に暴露することなく連続
して行ってもよい。高密度プラズマ処理と、アニール処理と、を連続して行うことによっ
て、処理の間で不純物が混入することを抑制できる。また、酸素雰囲気で高密度プラズマ
処理を行った後、アニール処理を行うことによって、被処理物へ添加された酸素のうち、
酸素欠損の補償に使用されなかった不要な酸素を脱離させることができる。また、上記ア
ニール処理は、例えばランプアニールなどにより行えばよい。
【0264】
また、高密度プラズマ処理の処理時間は、30秒以上120分以下、1分以上90分以下
、2分以上30分以下、または3分以上15分以下とすると好ましい。
【0265】
また、アニール処理は、250℃以上800℃以下、300℃以上700℃以下または4
00℃以上600℃以下とし、処理時間は、30秒以上120分以下、1分以上90分以
下、2分以上30分以下、または3分以上15分以下とすると好ましい。
【0266】
次に、絶縁体433上に絶縁体406aとなる絶縁体を成膜する。該絶縁体の成膜は、ス
パッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことが
できる。特に、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて成膜することが好ましい。
【0267】
対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて絶縁体406aとなる絶縁体を成膜するこ
とによって、成膜時におけるプラズマ損傷を低減できる。そのため、膜中の酸素欠損を低
減することができる。また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることで、高真
空での成膜が可能となる。それにより、成膜された絶縁体中の不純物濃度(例えば水素、
希ガス(アルゴンなど)、水など)を低減させることができる。
【0268】
また、誘導結合型アンテナ導体板を有するスパッタ装置を用いてもよい。それにより、成
膜速度が高く、大面積かつ均一性の高い膜を成膜することができる。
【0269】
成膜は、酸素を含むガス、希ガス、窒素を含むガスなどを用いて行うと好ましい。窒素を
含むガスとして、たとえば窒素(N)、一酸化二窒素(NO)、アンモニア(NH
)などを用いればよい。
【0270】
次に、半導体406bとなる半導体を成膜する。半導体406bとなる半導体の成膜は、
スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うこと
ができる。特に、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて成膜することが好ましい
【0271】
対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて半導体を成膜することによって、成膜時に
おけるプラズマ損傷を低減できる。そのため、膜中の酸素欠損を低減することができる。
また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることで、高真空での成膜が可能とな
る。それにより、成膜された半導体中の不純物濃度(例えば水素、希ガス(アルゴンなど
)、水など)を低減させることができる。
【0272】
また、誘導結合型アンテナ導体板を有するスパッタ装置を用いてもよい。それにより、成
膜速度が高く、大面積かつ均一性の高い膜を成膜することができる。
【0273】
成膜は、酸素を含むガス、希ガス、窒素を含むガスなどを用いて行うと好ましい。窒素を
含むガスとして、たとえば窒素(N)、一酸化二窒素(NO)、アンモニア(NH
)などを用いればよい。
【0274】
次に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下
、好ましくは450℃以上600℃以下で行えばよい。第1の加熱処理は、不活性ガス雰
囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行
う。第1の加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、第1の加熱処理は、不活性ガス
雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1
%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって
、半導体の結晶性を高めることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる。
または、第1の加熱処理の前もしくは後に、上述した高密度プラズマ処理を行ってもよい
【0275】
次に、導電体430となる導電体を成膜する。導電体430となる導電体の成膜は、スパ
ッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことがで
きる。
【0276】
次に、絶縁体406aとなる絶縁体、半導体406bとなる半導体および導電体430と
なる導電体をフォトリソグラフィー法などによって加工し、絶縁体406a、半導体40
6bおよび導電体430を有する多層膜を形成する(図23参照。)。なお、多層膜を形
成する際、絶縁体433もエッチングされ、一部の領域が薄くなる場合がある。即ち、絶
縁体433は、多層膜と接する領域に凸部を有する形状となる場合がある。また、フォト
リソグラフィー法によって加工する際、絶縁体または導電体などをマスクに用いてもよい
。また、該多層膜形成後に、第1の加熱処理と同様にして加熱処理を行ってもよい。
【0277】
次に、導電体430をフォトリソグラフィー法などによって加工し、導電体430aおよ
び導電体430bを形成する(図24参照。)。
【0278】
次に、絶縁体406cとなる絶縁体を成膜する。絶縁体406cとなる絶縁体の成膜は、
スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うこと
ができる。絶縁体406cとなる絶縁体の成膜は、絶縁体406aと同様にして行えばよ
い。また、絶縁体406cとなる絶縁体の成膜後、上述した高密度プラズマ処理を行って
もよい。
【0279】
次に、絶縁体406cとなる絶縁体上に絶縁体412となる絶縁体を成膜する。絶縁体4
12となる絶縁体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはA
LD法などを用いて行うことができる。
【0280】
絶縁体412となる絶縁体は、カバレッジ性の良いALD法を用いて成膜することが好ま
しく、特に基板を加熱しながら成膜すると好ましい。基板温度は、100℃以上600℃
以下で行えばよく、好ましくは300℃以上500℃以下で成膜すればよい。
【0281】
次に、導電体404となる導電体を成膜する。導電体404となる導電体の成膜は、スパ
ッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことがで
きる。
【0282】
次に、絶縁体406cとなる絶縁体、絶縁体412となる絶縁体および導電体404とな
る導電体をフォトリソグラフィー法などによって加工し、絶縁体406c、絶縁体412
および導電体404を形成する(図25参照。)。
【0283】
次に、絶縁体411を成膜する。絶縁体411の成膜は、スパッタリング法、CVD法、
MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。または、スピンコー
ト法、ディップ法、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オ
フセット印刷など)、ドクターナイフ法、ロールコーター法またはカーテンコーター法な
どを用いて行うことができる。
【0284】
絶縁体411は、上面が平坦性を有するように形成してもよい。例えば、絶縁体411は
、成膜直後に上面が平坦性を有していてもよい。または、例えば、絶縁体411は、成膜
後に基板裏面などの基準面と平行になるよう絶縁体などを上面から除去していくことで平
坦性を有してもよい。このような処理を、平坦化処理と呼ぶ。平坦化処理としては、CM
P、ドライエッチング処理などがある。ただし、絶縁体411の上面が平坦性を有さなく
ても構わない。
【0285】
次に、絶縁体411上にリソグラフィー法などによってレジストマスクを形成する。ここ
で絶縁体411の上面とレジストマスクとの間の密着性を向上するために、例えば、有機
塗布膜を絶縁体411上とレジストマスクの間に設けても良い。また、フォトリソグラフ
ィー法によって加工する際、絶縁体または導電体などをマスクに用いてもよい。
【0286】
次に、絶縁体411を、ドライエッチング法などを用いて導電体404、導電体430a
および導電体430bの上面に達するまで加工を行って開口部を形成する。
【0287】
次に、開口部を埋める導電体416a1、導電体416a2および導電体416a3と、
導電体416a1、導電体416a2および導電体416a3とそれぞれ接続する導電体
418a1、導電体418a2および導電体418a3と、を形成する(図26参照。)
【0288】
以上のようにして、図13に示すトランジスタを作製することができる。
【0289】
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。ただし、本発明の一態様
は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発
明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば
、本発明の一態様として、半導体として、酸化物半導体を用いた場合の例を示したが、本
発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明
の一態様は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウム
ヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体等を用い
てもよい。
【0290】
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合
わせて用いることができる。
【0291】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態3で示した、トランジスタM0、トラン
ジスタM1および容量素子C1を形成する一例について説明する。
【0292】
図27(A)は、図1に示す半導体装置の上面図である。図27(B)、図27(C)お
よび図27(D)は、図27(A)に示す一点鎖線A1-A2に対応する断面図である。
図27(B)は、図1(A)に対応する断面図を示し、図27(C)は、図1(B)に対
応する断面図を示し、図27(D)は、図1(C)に対応する断面図を示している。なお
図27(A)に示す上面図では、図の明瞭化のために、容量素子C1など一部の要素を
省いて図示している。
【0293】
なお、トランジスタM0およびトランジスタM1の詳細については、実施の形態3の記載
などを参照すればよい。また、容量素子C1は、平面状の電極を有する構造を示している
が、これに限られない。例えば、シリンダー型またはトレンチ型などの立体構造を有する
容量素子を用いても構わない。
【0294】
図27(B)は、図1(A)に示すトランジスタM0、トランジスタM1および容量素子
C1の断面図を示している。トランジスタM1はチャージトラップ層を有するトランジス
タであり、トランジスタM0はチャージトラップ層を有していないトランジスタである。
【0295】
図27(C)は、図1(B)に示すトランジスタM0およびトランジスタM1の断面図を
示している。トランジスタM1はチャージトラップ層を有するトランジスタであり、トラ
ンジスタM0はチャージトラップ層を有していないトランジスタである。
【0296】
図27(D)は、図1(C)に示すトランジスタM0、トランジスタM1および容量素子
C1の断面図を示している。トランジスタM1およびトランジスタM0は、どちらもチャ
ージトラップ層を有するトランジスタである。
【0297】
また、本実施の形態に示す半導体装置において、トランジスタM0およびトランジスタM
1は、同一平面上に形成された例を示したが、これに限られない。例えば、トランジスタ
M0およびトランジスタM1を積層させて形成してもよい。その場合、トランジスタM0
をトランジスタM1の下層に形成してもよく、またトランジスタM0をトランジスタM1
の上層に形成してもよい。
【0298】
容量素子C1についても、トランジスタM0またはトランジスタM1と同一平面上に設け
る構成としてもよい。また、容量素子C1をトランジスタM0またはトランジスタM1の
上層に設ける構成としてもよい。
【0299】
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合
わせて用いることができる。
【0300】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1で説明したトランジスタを用いることができ、実施の形
態2で説明した記憶装置を含むCPUについて説明する。
【0301】
図28は、先の実施の形態で説明したトランジスタを少なくとも一部に用いたCPUの一
例の構成を示すブロック図である。
【0302】
図28に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmet
ic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラク
ションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ
1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1
198(Bus I/F)、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェ
ース1189(ROM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基
板、ガラス基板などを用いる。ROM1199およびROMインターフェース1189は
、別チップに設けてもよい。もちろん、図28に示すCPUは、その構成を簡略化して示
した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例え
ば、図28に示すCPUまたは演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含
み、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算
回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64
ビットなどとすることができる。
【0303】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクション
デコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタ
ラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ
1195に入力される。
【0304】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロー
ラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制
御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御する
ための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラ
ム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク
状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアド
レスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
【0305】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ119
2、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、および
レジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタ
イミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成す
る内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
【0306】
図28に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ
1196のメモリセルとして、実施の形態1に示したトランジスタ、または、実施の形態
2に示した記憶装置を用いることができる。
【0307】
図28に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの
指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ11
96が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量
素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が
選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる
。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換え
が行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる
【0308】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0309】
(実施の形態6)
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備
えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc
等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いること
ができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器と
して、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ
、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプ
レイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオ
プレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ
払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図29に示
す。
【0310】
図29(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部
904、マイクロフォン905、スピーカ906、操作キー907、スタイラス908等
を有する。なお、図29(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示部
904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0311】
図29(B)は、携帯電話機であり、筐体911、表示部916、操作ボタン914、外
部接続ポート913、スピーカ917、マイク912などを備えている。図29(B)に
示す携帯電話機は、指などで表示部916に触れることで、情報を入力することができる
。また、電話を掛ける、或いは文字を入力するなどのあらゆる操作は、指などで表示部9
16に触れることにより行うことができる。また、操作ボタン914の操作により、電源
のON、OFF動作や、表示部916に表示される画像の種類を切り替えることができる
。例えば、メール作成画面から、メインメニュー画面に切り替えることができる。
【0312】
図29(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、キ
ーボード923、ポインティングデバイス924等を有する。
【0313】
図29(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉93
3等を有する。
【0314】
図29(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、
操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944およびレンズ
945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられて
いる。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されてお
り、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能であ
る。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体94
2との間の角度に従って切り替える構成としても良い。
【0315】
図29(F)は自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ライト
954等を有する。
【0316】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【0317】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を備えることができるRFタグの使用例
について図30を用いながら説明する。RFタグの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣
、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図30(A)参照
。)、記録媒体(DVDやビデオテープ等、図30(B)参照。)、包装用容器類(包装
紙やボトル等、図30(C)参照。)、乗り物類(自転車等、図30(D)参照。)、身
の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、薬品や薬
剤を含む医療品、または電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、ま
たは携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取り付ける荷札(図30(E)、図30(F
)参照。)等に設けて使用することができる。
【0318】
本発明の一態様に係るRFタグ4000は、表面に貼る、または埋め込むことにより、物
品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであれ
ば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFタグ
4000は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデザ
イン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、または証書
類等に本発明の一態様に係るRFタグ4000を設けることにより、認証機能を設けるこ
とができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器
類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、または電子機器等に本発明の一
態様に係るRFタグを取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図る
ことができる。また、乗り物類であっても、本発明の一態様に係るRFタグを取り付ける
ことにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
【0319】
以上のように、本発明の一態様に係わるRFタグを本実施の形態に挙げた各用途に用いる
ことにより、情報の書込みや読み出しを含む動作電力を低減できるため、最大通信距離を
長くとることが可能となる。また、電力が遮断された状態であっても情報を極めて長い期
間保持可能であるため、書き込みや読み出しの頻度が低い用途にも好適に用いることがで
きる。
【0320】
次に、本発明の一態様の半導体装置を備えることができる表示装置の使用例について説明
する。一例としては、表示装置は、画素を有する。画素は、例えば、トランジスタや表示
素子を有する。または、表示装置は、画素を駆動する駆動回路を有する。駆動回路は、例
えば、トランジスタを有する。例えば、これらのトランジスタとして、他の実施の形態で
述べたトランジスタを採用することができる。
【0321】
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光素
子、および発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、または様
々な素子を有することが出来る。表示素子、表示装置、発光素子または発光装置は、例え
ば、EL(エレクトロルミネッセンス)素子(有機物および無機物を含むEL素子、有機
EL素子、無機EL素子)、LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LED
など)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子
、電子インク、電気泳動素子、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディス
プレイパネル(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を
用いた表示素子、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイ
クロ・シャッター)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャ
ッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティ
ング素子、圧電セラミックディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示素子などの
少なくとも一つを有している。これらの他にも、電気的または磁気的作用により、コント
ラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有していても良い。EL素子を
用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表
示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)またはSED方
式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction Electr
on-emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例
としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反
射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある
。電子インクまたは電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどが
ある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、
画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例
えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすれば
よい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能
である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。なお、LEDを用いる
場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい
。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、
グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶
を有するn型GaN半導体などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶
を有するp型GaN半導体などを設けて、LEDを構成することができる。なお、グラフ
ェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体との間に、AlN層を設けてもよ
い。なお、LEDが有するGaN半導体は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラ
フェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体は、スパッタ法で成膜すること
も可能である。
【0322】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
【符号の説明】
【0323】
C1 容量素子
M0 トランジスタ
M1 トランジスタ
N1 ノード
N5 ノード
N7 ノード
Sig1 入力端子
Sig2 入力端子
100 回路
110 メモリセル
112 トランジスタ
114 容量素子
120 記憶装置
130 メモリセル
131 容量素子
140 記憶装置
150 レジスタ回路
151 インバータ
152 インバータ
153 フリップフロップ回路
154 容量素子
170 画素
171 容量素子
172 表示素子
180 表示装置
200 回路
300 回路
400 基板
401 絶縁体
404 導電体
406a 絶縁体
406b 半導体
406c 絶縁体
411 絶縁体
412 絶縁体
413 導電体
416a 導電体
416a1 導電体
416a2 導電体
416a3 導電体
418a1 導電体
418a2 導電体
418a3 導電体
421 絶縁体
430 導電体
430a 導電体
430b 導電体
431 絶縁体
432 絶縁体
433 絶縁体
435a 低抵抗領域
435b 低抵抗領域
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイクロフォン
906 スピーカ
907 操作キー
908 スタイラス
911 筐体
912 マイク
913 外部接続ポート
914 操作ボタン
916 表示部
917 スピーカ
921 筐体
922 表示部
923 キーボード
924 ポインティングデバイス
931 筐体
932 冷蔵室用扉
933 冷凍室用扉
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 車体
952 車輪
953 ダッシュボード
954 ライト
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
4000 RFタグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30