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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】接触クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/20 20240101AFI20240711BHJP
【FI】
B08B1/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022552665
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021019863
(87)【国際公開番号】W WO2021178236
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】2002942.7
(32)【優先日】2020-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2101993.0
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ハンター パターソン
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5913345(US,A)
【文献】国際公開第2015/147388(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第2492991(GB,A)
【文献】特開2008-168188(JP,A)
【文献】特開2004-202299(JP,A)
【文献】特開2006-36493(JP,A)
【文献】特開2015-217356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00ー5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した前縁部を有するシート基板のための接触クリーニング装置であって、
エラストマ製クリーニングローラと、クリーニングされる前記シート基板を前記エラストマ製クリーニングローラに向かって運ぶための第1のコンベヤであって、前記エラストマ製クリーニングローラは、該第1のコンベヤから前記シート基板を受け取って係合するように配置される接触ゾーンを有する、第1のコンベヤと、
前記第1のコンベヤに対し接近しつつ対向して配置されたガイドであって、前記シート基板の前記湾曲した前縁部が前記エラストマ製クリーニングローラに接触する点において平坦化されるように、前記シート基板の前記湾曲した前縁部に接触係合するように構成される、ガイドと、
を備え
前記ガイドは第2のコンベヤを含み、該第2のコンベヤは前記第1のコンベヤに対して角度をなして配置され、前記第2のコンベヤ及び前記第1のコンベヤは、前記湾曲した前縁部が前記接触ゾーンに接近する際に、前記湾曲した前縁部の誘導をもたらすように構成される、
接触クリーニング装置。
【請求項2】
前記ガイドの前記第1のコンベヤに対する前記角度は、垂直と平行との間で選択可能に調整可能である、請求項に記載の接触クリーニング装置。
【請求項3】
前記第2のコンベヤは、前記第1のコンベヤに接触係合する、請求項1又は2に記載の接触クリーニング装置。
【請求項4】
前記第2のコンベヤは駆動される、請求項3のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
【請求項5】
前記エラストマ製クリーニングローラは、一対のエラストマ製クリーニングローラを含み、該一対のエラストマ製クリーニングローラは、ニップ間隙を形成するように対向して配置され、その間を通って前記シート基板が搬送される、請求項1~のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
【請求項6】
前記エラストマ製クリーニングローラは、少なくとも1つの対のエラストマ製クリーニングローラを含み、該少なくとも1つの対のエラストマ製クリーニングローラは、各対のローラ間に前記シート基板に対するクリーニング表面を提供するように構成及び配置される、請求項1~のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
【請求項7】
各エラストマ製クリーニングローラは、隣接する接着ロールによってクリーニングされる、請求項1~のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
【請求項8】
前記接触ゾーンは、前記エラストマ製クリーニングローラの周りに少なくとも部分的に延在する、請求項1~のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月1日付けの英国特許出願第2002942.7号の優先権の利益を主張するとともに、2021年2月12日付けの英国特許出願第2101993.0号の優先権の利益を主張する。英国特許出願第2002942.7号及び英国特許出願第2101993.0号は、引用することによりその全体が明示的に本開示の一部をなす。
【0002】
分野
本発明は、湾曲した前縁部を有するシート基板の接触クリーニング装置に関する。特に、限定はしないが、本発明は、湾曲した前縁部を有するシート基板の接触クリーニング装置であって、シート基板の湾曲した前縁部に動作可能に係合する平坦化手段を備える、接触クリーニング装置に関する。本発明は、シートの湾曲した前縁部においてシート基板の表面上に、及び/又はシート基板の前縁部の到着に先立ってエラストマ製クリーニングローラ上に空気を向ける、空気供給マニホールドにも関する。
【背景技術】
【0003】
背景
接触クリーニングは、基板又はシートの表面をクリーニングするのに使用される。基板は、クリーニングされた後、電子機器、光起電機器、及びフラットパネルディスプレイの製造等における様々な精巧なプロセスに使用される。通常、接触クリーニング装置は、基板表面から汚染粒子を除去するのに使用されるゴム又はエラストマ製のクリーニングローラと、クリーニングローラから汚染粒子を除去するのに使用される接着ロールとからなる。
【0004】
動作時、接触クリーニングローラは、少なくとも基板の上面に接触し、ファンデルワールス力及び接着力等の接着除去メカニズムによってデブリを除去する。接触クリーニングローラを形成するのに使用される材料の固有の特性により、デブリが引き寄せられ、デブリが接触クリーニングローラの表面に付着する。このように、接触クリーニングローラは、汚染粒子とローラとの間のファンデルワールス力による引力に起因して、基板表面から汚染粒子を引き離す。したがって、既存の接触クリーニングローラは、基板表面との接触を最大限にすることによって、汚染粒子の除去の効力を保証することができる。
【0005】
例えば、銅箔又は薄膜ポリマー等の薄膜シート技術のための接触クリーニング装置は、エラストマ製クリーニングローラを高速で駆動させ、その後、エラストマ製クリーニングローラに隣接して位置する接着ロールによって、エラストマ製クリーニングローラをクリーニングすることが必要である。本開示において使用される場合、そのような薄膜シート技術は、シート基板として知られるものである。
【0006】
新たな薄いシート基板の前縁部がエラストマ製クリーニングローラに到着する際、シート基板は、湾曲した前縁部を有することが通常である。湾曲した前縁部は、エラストマ製クリーニングローラと衝突し、シート基板のしわ寄りを引き起こし、シート基板の一部を損傷させ、それにより、シート基板の一部を使用不能にするリスクがある。前縁部に対する損傷により、プロセス効率が下がり、機械の故障又は損傷のリスクが生じる。
【0007】
他のシナリオにおいて、シート基板がエラストマ製クリーニングローラに巻き付いてしまい、ローラからシート基板を取り除き、機械類を再起動するために、機械を停止しなければならない。ここでも、クリーニングプロセスの効率は著しく損なわれる。
【0008】
或る特定の状況において、シート基板は、比較的厚いため又は固有の材料特性に起因して堅い。付加的又は代替的に、シート基板は、例えば複数の方向に湾曲しており、それにより、湾曲した前縁部が強化されている。このようにして、シート基板の湾曲した前縁部は、変形に抗し、機械の故障又は損傷のリスクを増加させる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上述の不都合点のうちのいくつかを軽減することである。
【0010】
発明の概要
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の接触クリーニング装置が提供される。
【0011】
本発明の第1の態様において、湾曲した前縁部を有するシート基板の接触クリーニング装置は、
エラストマ製クリーニングローラと、
クリーニングされるシート基板を上記エラストマ製クリーニングローラに向かって運ぶ第1のコンベヤであって、上記エラストマ製クリーニングローラは、上記第1のコンベヤからシート基板を受け取って係合するように配置される接触ゾーンを有する、第1のコンベヤと、
上記第1のコンベヤに近接して配置される平坦化手段であって、シート基板の湾曲した前縁部がエラストマ製クリーニングローラに接触する点において平坦化されるように、シート基板の湾曲した前縁部に動作可能に係合するように構成される、平坦化手段と、
を備える。
【0012】
或る特定の実施の形態において、上記平坦化手段は、上記第1のコンベヤと対向して配置され、シート基板の湾曲した前縁部が上記エラストマ製クリーニングローラに接触する上記点において平坦化されるように、シート基板の湾曲した前縁部に接触係合するように構成されるガイドを含む。
【0013】
このようにして、ガイドは、シート基板がエラストマ製クリーニングローラに向かって運ばれる際、シート基板の湾曲した前縁部に当接するように配置される。すなわち、ガイドは、湾曲した前縁部を、エラストマ製クリーニングローラの接触ゾーン内に受け取られる前に偏向又は変形させることによって平坦化することが可能である。ガイドの出口領域は、ごく短い距離だけ接触ゾーンに動作可能に先行するように、エラストマ製クリーニングローラに非常に近接して設けられることが好ましい。しかしながら、ガイドの出口領域は、第1のコンベヤに沿った任意の好適な点において位置決めすることができる。
【0014】
接触クリーニング装置は、幅広い範囲のシート基板を平坦化することが可能であることが有利である。特に、装置は、堅い又は別様に変形に抗するようなシート基板の湾曲した前縁部を平坦化することにも効果的であることがわかっている。すなわち、装置は、6ミリメートル以上にのぼる厚さを有するシート基板の湾曲した前縁部を平坦化することが可能である。
【0015】
或る特定の実施の形態において、上記ガイドは、上記第1のコンベヤに対して角度をなして設けられ、上記ガイド及び上記第1のコンベヤは、湾曲した前縁部が上記接触ゾーンに接近する際に、湾曲した前縁部の誘導をもたらすように構成される。或る特定の実施の形態において、上記ガイドは第2のコンベヤを含み、上記第2のコンベヤは、湾曲した前縁部の上記誘導をもたらすように、上記第1のコンベヤに対して角度をなして配置される。
【0016】
このようにして、ガイドは、前縁部を第1のコンベヤの方に向ける又は誘導する(channelled)ように、湾曲した前縁部に当接する。第2のコンベヤは、適切な誘導をもたらすように、第1のコンベヤに対して任意の好適な角度で配置される。このようにして、シート基板及び接触クリーニングの動作条件に基づいて、角度を選択することができる。例えば、シート基板の材料特性、接触クリーニング装置の動作速度、又は装置内において第2のコンベヤを位置決めする空間のうちの1つ以上に基づいて、角度を選択することができる。
【0017】
或る特定の実施の形態において、ガイド又は第2のコンベヤは、実質的に垂直から実質的に平行までの任意の好適な角度で、第1のコンベヤに対して角度を付けることができる。すなわち、上記第1のコンベヤに対する、上記ガイド又は上記第2のコンベヤの上記角度は、垂直と平行との間で選択可能に調整可能である。このようにして、ガイド、例えば第2のコンベヤの向きを、或る範囲の変形によって湾曲した前縁部を有するシート基板の処理を最適化するように調整することができる。
【0018】
或る特定の実施の形態において、上記第2のコンベヤは、上記第1のコンベヤに接触係合する。このようにして、第2のコンベヤは、湾曲した前縁部を第1のコンベヤ上に誘導する。或る特定の実施の形態において、第2のコンベヤは、湾曲した前縁部に圧力を印加することができる。すなわち、第2のコンベヤは、第1のコンベヤとともに挟持作用(nip effect)をもたらすことができる。
【0019】
或る特定の実施の形態において、上記第2のコンベヤは駆動される。このようにして、第2のコンベヤは、誘導作用をもたらしながら、湾曲した前縁部をエラストマ製クリーニングローラの方に向けるように、湾曲した前縁部に能動的に係合することができる。或る特定の実施の形態において、第2のコンベヤは、第1のコンベヤとの接触係合に起因して駆動される。或る特定の実施の形態において、第2のコンベヤには、独立の駆動部が設けられる。
【0020】
或る特定の実施の形態において、上記平坦化手段は空気供給マニホールドを含み、上記空気供給マニホールドは、シート基板の湾曲した前縁部が上記エラストマ製クリーニングローラに接触する上記点において平坦化されるように、シート基板の湾曲した前縁部上に及び/又は上記接触ゾーン上に空気ストリームを向けるように動作可能である。本発明の更なる態様において、湾曲した前縁部を有するシート基板の接触クリーニング装置が提供される。接触クリーニング装置は、エラストマ製クリーニングローラと、エラストマ製クリーニングローラ上の接触ゾーン上に空気を向けるように構成及び配置される空気供給マニホールドとを備える。接触クリーニング装置は、クリーニングされるシート基板をエラストマ製クリーニングローラに向かって運ぶコンベヤも備える。空気供給マニホールドは、シート基板の湾曲した前縁部がエラストマ製クリーニングローラに接触する点において平坦化されるように、シート基板の湾曲した前縁部上に及び/又は接触ゾーン上に空気ストリームを向けるように動作可能である。
【0021】
或る特定の実施の形態において、接触ゾーンは、エラストマ製クリーニングローラの表面の周りの空気の境界層を含む。或る特定の実施の形態において、接触ゾーンは、少なくとも部分的にエラストマ製クリーニングローラの周りに延在する。したがって、空気供給マニホールドからの空気ストリームが接触ゾーンに向けられると、空気ストリームは、増大した境界層を形成する。
【0022】
本開示において言及される場合、「接触ゾーン」とは、接触クリーニング装置のうち、シート基板の前縁部がエラストマ製クリーニングローラに係合する部分のことである。より具体的には、シート基板の前縁部がエラストマ製クリーニングローラ又はその周りの空気の境界層に接触する位置を含む領域のことである。理解されるように、この位置は、前縁部の機械横方向形状(cross-machine shape)に応じて、エラストマ製クリーニングローラの表面又はその空気の境界層に沿った1つ以上の点又は領域を指すことができる。
【0023】
本開示において言及される場合、「境界層」とは、エラストマ製クリーニングローラの表面上に形成される空気の層のことである。
【0024】
本開示において言及される場合、「平坦化」とは、シート基板の前縁部が、クリーニングのためにエラストマ製クリーニングローラによって好適に受け取られるように向けられることである。すなわち、接触ゾーンに接近するにつれて、シート基板の前縁部が平坦又は略平坦になり、効果的なクリーニングをもたらすように、エラストマ製クリーニングローラによって受け取られるようになっている。
【0025】
本開示において言及される場合、「増大した境界層」とは、エラストマ製クリーニングローラの中心からの半径において測定した場合の厚さが一時的に増大した境界層のことである。
【0026】
したがって、装置の使用時、シート基板の前縁部が空気流によって接触ゾーン内に偏向される。このようにして、シート基板の前縁部は、クリーニングのためにエラストマ製クリーニングローラによって受け取られるように向けられる。シート基板は、シート基板の後方の部分の平面へと平坦化され、それにより、シート基板に対する損傷、又は、シート基板がローラに付着する等のエラストマ製クリーニングローラとの誤った係合もなく、空気流及び/又は境界層がシート基板をエラストマ製ローラのニップに運び入れることが可能になる。
【0027】
或る特定の実施の形態において、増大した境界層は、エラストマ製クリーニングローラの周りにニップ間隙まで延在する。このようにして、シート基板の前縁部は、シートを平坦化し、エラストマ製クリーニングローラ間のニップ間隙に入るように、増大した境界層によって更に偏向することができる。
【0028】
空気流は、前縁部がエラストマ製ローラに到達する直前に起動することができるため、境界層には一時的な増大が生じる。
【0029】
こうして、空気が、空気供給マニホールドによってエラストマ製クリーニングローラの接触ゾーンの方に向けられる。
【0030】
或る特定の実施の形態において、空気供給マニホールドは、シートがエラストマ製クリーニングローラに接近すると、シートを平坦化するために、湾曲したシートの前縁部上に空気を直接向けるように動作可能である。シートの平坦化により、シートが、処理ローラ又は更なるエラストマ製クリーニングローラ等の、接触クリーニング装置の別の部分に係合するのではなく、接触ゾーンに入ることが確実になる。このようにして、前縁部の平坦化により、エラストマ製クリーニングローラと正しく係合しないことによるシート基板のしわ寄りが回避される。したがって、接触クリーニング装置をクリーニングプロセス中に停止させる必要がない。さらに、装置は、前縁部がエラストマ製クリーニングローラと正しく係合するか又はエラストマ製クリーニングローラに正しく受け取られることを確実にするのに、追加のセットアップ時間を必要としない。
【0031】
代替的又は付加的に、空気供給マニホールドは、エラストマ製クリーニングローラ上に空気を向けるように動作可能である。より具体的には、空気供給マニホールドは、エラストマ製クリーニングローラの接触ゾーン上に空気を向けるように動作可能である。これらの実施の形態において、増大した境界層がエラストマ製クリーニングローラの表面に形成される。シート基板の前縁部が増大した境界層に接触すると、前縁部における湾曲が取り除かれるか又は著しく低減し、それにより、接触ゾーンにおいてシート基板が平坦化される。
【0032】
或る特定の実施の形態において、空気供給マニホールドからの空気流は、選択的に起動される。このようにして、空気流は、シート基板の前縁部がエラストマ製クリーニングローラに到達する際にのみもたらされる。このようにして、空気流は、境界層の厚さの一時的な増大をもたらして、増大した境界層を形成し、それにより、装置の効率が向上する。
【0033】
或る特定の実施の形態において、空気供給マニホールドは、エラストマ製クリーニングローラの回転軸を通って鉛直に延在する基準平面に対して調整可能な角度で、接触ゾーンの方に空気を向けるように動作可能である。より具体的には、調整可能な角度は、基準平面に対して平行と垂直との間で選択可能である。
【0034】
或る特定の実施の形態において、調整可能な角度は、装置の動作の前に、エラストマ製クリーニングローラの回転軸から鉛直に延在する基準平面に対して選択され、固定される。エラストマ製クリーニングローラの回転軸から鉛直に延在する平面に対して平行から、同平面に対して垂直までの範囲内で、任意の角度を選択可能である。角度は、コンベヤの速度、シート基板の材料等のうちのいずれか1つ以上に基づいて選択される。
【0035】
或る特定の実施の形態において、空気供給は、接触ゾーンにおいてエラストマ製クリーニングローラ上に接線方向に向けられる。
【0036】
或る特定の実施の形態において、空気供給マニホールドは、コンベヤ表面に対して調整可能な角度で、接触ゾーンの方に空気を向けるように動作可能である。より具体的には、調整可能な角度は、コンベヤ表面に対して垂直と、コンベヤ表面に対して平行との間で選択可能である。
【0037】
或る特定の実施の形態において、エラストマ製クリーニングローラは、一対のエラストマ製クリーニングローラを含む。一対のエラストマ製クリーニングローラは、ニップ間隙を形成するように対向して配置することができ、その間を通ってシート基板が搬送される。
【0038】
或る特定の実施の形態において、接触クリーニング装置は、複数対のエラストマ製クリーニングローラを備え、複数対のエラストマ製クリーニングローラは、各対のローラ間にシート基板に対する1つ以上のクリーニング表面を提供するように構成及び配置される。
【0039】
或る特定の実施の形態において、各エラストマ製クリーニングローラは、隣接する接着ロールによってクリーニングされる。
【0040】
或る特定の実施の形態において、空気供給マニホールドは、離隔した開口を有するマニホールドを含む。より具体的には、マニホールドは、マニホールドから空気を出力する離隔した空気送達開口を有する。
【0041】
或る特定の実施の形態において、マニホールドは管状である。
【0042】
或る特定の実施の形態において、マニホールドは、複数の離隔したピンホールを有する。
【0043】
或る特定の実施の形態において、マニホールドは、金属又はプラスチック材料から形成される。他の好適な材料が当業者には既知となる。
【0044】
或る特定の実施の形態において、空気供給マニホールドは、空気供給部に動作可能に結合される。空気供給部は、空気供給マニホールドに空気を送達するように動作可能である。
【0045】
或る特定の実施の形態において、接触クリーニング装置は、シート基板の前縁部を検出するように構成及び配置されるセンサーを備える。
【0046】
或る特定の実施の形態において、センサーは、空気供給部に動作可能に結合される。装置の使用時、センサーは、シート基板の前縁部を検出し、空気供給部が空気供給マニホールドに空気を送達するようにする。そして、空気供給マニホールドは、シート基板の前縁部上に及び/又はエラストマ製クリーニングローラの接触ゾーン上に空気を向ける。
【0047】
或る特定の実施の形態において、シート基板の湾曲した前縁部に向けられる空気供給により、エラストマ製クリーニングローラの接触ゾーンの前で、シートの曲がりを正す。したがって、シート基板のエラストマ製クリーニングローラとの誤った係合が防止される。シートが折れたり、シート基板がエラストマ製クリーニングローラの周りに巻き付いたりすることも防止される。さらに、空気は、クリーニング装置を通したシート基板の移送を円滑にする役目を果たす。
【0048】
或る特定の実施の形態において、エラストマ製クリーニングローラの接触ゾーン上に向けられる空気は、エラストマ製クリーニングローラの表面の上に増大した境界層を生成する。このようにして、空気により、シート基板が、接触することなくエラストマ製クリーニングローラの表面によってクリーニングされることが確実になる。
【0049】
或る特定の実施の形態において、空気が空気供給マニホールドから脈動式に供給される。より具体的には、シート基板の前縁部がエラストマ製クリーニングローラに隣接することをセンサーが検出すると、その脈動が発生する。空気の各脈動により、前方表面が、接触ゾーンに接近する際に平坦化される。
【0050】
或る特定の実施の形態において、空気流マニホールドを通る空気流は、センサーにより、シート基板の湾曲した前縁部が接触ゾーンから所定の距離にあることを検出することによって起動される。付加的又は代替的に、空気流マニホールドを通る空気流は、前縁部が接触ゾーンに係合すると停止される。このようにして、湾曲した前縁部が接触ゾーンに接近するときにのみ、空気流が使用され、湾曲した前縁部を平坦化する。空気流は、湾曲した前縁部が空気流マニホールドの動作可能範囲内にあるときにのみもたらされる。それにより、空気供給部によってもたらされる空気流は効率的に利用される。
【0051】
或る特定の実施の形態において、コンベヤは、シート基板を接触ゾーンに送達するように構成及び配置される。
【0052】
或る特定の実施の形態において、シート基板はフィルムである。より具体的には、フィルムは薄膜である。更により具体的には、フィルムは銅箔又は薄膜ポリマーである。
図面の簡単な説明
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】第1の形態における、空気流マニホールドへの空気供給がオフにされた接触クリーニング装置の概略図である。
図2】第2の形態における、図1の接触クリーニング装置の概略図である。
図3】第3の形態における、図1の接触クリーニング装置の概略図である。
図4】第4の形態における、図1の接触クリーニング装置の概略図である。
図5】第1の形態における、空気流マニホールドへの空気供給がオンにされた一実施形態に係る接触クリーニング装置の概略図である。
図6】第2の形態における、図5の接触クリーニング装置の概略図である。
図7】第3の形態における、図5の接触クリーニング装置の概略図である。
図8】本発明の一態様に係る更なる例示的な接触クリーニング装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な説明
以下の説明において或る特定の用語を使用するのは便宜のためでしかなく、限定するものではない。「右」、「左」、「下側」、「上側」、「前側」、「後側」、「上向き」「下」、及び「下向き」という単語は、参照する図面における方向を指定するものであり、組み立て及び取り付け時の説明する構成部材に対するものである。「内側」、「内向き」及び「外側」、「外向き」という単語は、それぞれ、説明中の要素の指定された中心線又は幾何学的中心(例えば、中心軸)に向かう方向及び離れる方向を指すものであり、具体的な意味は説明の文脈から容易に明らかになる。
【0055】
さらに、本開示において使用する場合、「接続される」、「固定される」、「結合される」、「取り付けられる」等の用語は、2つの部材の間に他の部材が介在しない直接的な接続と、部材の間に1つ以上の他の部材が介在する間接的な接続とを含むことを意図したものである。この用語は、具体的に上述した単語、その派生形、及び同様の意味の単語を含む。
【0056】
さらに、別段の指定がない限り、「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数を表す形容詞を使用するのは、同様の物体の異なる実例を参照中であることを示すにすぎず、そのように記載する物体が、時間的又は空間的に所与の順番、格付け又は他の任意の様式である義務を暗示する意図はない。
【0057】
全体を通して同様の特徴を示すために同様の参照符号を使用する。
【0058】
最初に図1を参照すると、接触クリーニング装置1が示されている。接触クリーニング装置は、第1の対のエラストマ製クリーニングローラと、第2の対のエラストマ製クリーニングローラとを備える。第1の対のエラストマ製クリーニングローラは、コンベヤ16の経路内に取り付けられる、第1のエラストマ製クリーニングローラ24及び第2のエラストマ製クリーニングローラ26を含む。コンベヤ16は、基板80(すなわち、シート80)をコンベヤ16に沿って輸送するために、2つの輸送ローラ12、14によって駆動される。第1のエラストマ製クリーニングローラ24は、細長く、概ね円筒形の形状であり、図の平面に対して垂直な回転軸を有するホルダー(図示せず)に取り付けられ、その回転軸の周りに、第1のエラストマ製クリーニングローラ24が自由に回転する。第1のエラストマ製クリーニングローラ24は、この特定の例においてはシリコーンエラストマ層を含むが、他の材料も想定される。第2のエラストマ製クリーニングローラ26は、概ね円筒形の形状であり、シリコーンエラストマ層を含む。第2のエラストマ製クリーニングローラ26は、図の平面に対して垂直であり、第1のエラストマ製クリーニングローラ24の回転軸に対して平行な回転軸を有するホルダー(図示せず)に取り付けられ、その回転軸の周りに、第2のエラストマ製クリーニングローラ26が自由に回転する。第1のエラストマ製クリーニングローラ24及び第2のエラストマ製クリーニングローラ26は、互いに接触するように取り付けられ、第1のエラストマ製クリーニングローラ24及び第2のエラストマ製クリーニングローラ26がそれぞれの回転軸の周りに反対方向に回転するようになっている。第1のエラストマ製クリーニングローラ24は、反時計回りに回転し、第2のエラストマ製クリーニングローラ26は、時計回りに回転する。
【0059】
第1のエラストマ製クリーニングローラ24及び第2のエラストマ製クリーニングローラ26は、コンベヤから基板を受け取るように取り付けられる。第1のエラストマ製クリーニングローラ24及び第2のエラストマ製クリーニングローラ26の双方は、基板を受け取ると、基板80の表面に接触するように配置される。第1のエラストマ製クリーニングローラ24は、基板80の上面に接触するように配置される。第2のエラストマ製クリーニングローラ26は、基板80の下面に接触するように配置される。基板80は、ローラに最も近い湾曲した端部82を有する。
【0060】
第2の対のローラは、第1の対のローラの下流に、コンベヤ16の経路内に取り付けられる、第3のエラストマ製クリーニングローラ34及び第4のエラストマ製クリーニングローラ36を含む。第3のエラストマ製クリーニングローラ34は、細長く、概ね円筒形の形状であり、図の平面に対して垂直な回転軸を有するホルダー(図示せず)に取り付けられ、その回転軸の周りに、第3のエラストマ製クリーニングローラ34が自由に回転する。第4のエラストマ製クリーニングローラ36は、図の平面に対して垂直であり、第3のエラストマ製クリーニングローラ34の回転軸に対して平行な回転軸を有するホルダー(図示せず)に取り付けられ、その回転軸の周りに、第4のエラストマ製クリーニングローラ36が自由に回転する。第3のエラストマ製クリーニングローラ34及び第4のエラストマ製クリーニングローラ36は、互いに接触するように取り付けられ、第3のエラストマ製クリーニングローラ34及び第4のエラストマ製クリーニングローラ36がそれぞれの軸の周りに反対方向に回転するようになっている。第3のエラストマ製クリーニングローラ34は、時計回りに回転し、第4のエラストマ製クリーニングローラ36は、反時計回りに回転する。
【0061】
第3のエラストマ製クリーニングローラ34及び第4のエラストマ製クリーニングローラ36は、第1のエラストマ製クリーニングローラ24及び第2のエラストマ製クリーニングローラ26から基板を受け取るように取り付けられる。第3のエラストマ製クリーニングローラ34及び第4のエラストマ製クリーニングローラの双方は、基板を受け取ると、基板80の表面に接触するように配置される。第3のエラストマ製クリーニングローラ34は、基板80の上面に接触するように配置される。第4のエラストマ製クリーニングローラ36は、基板80の下面に接触するように配置される。第1の対のローラ24、26及び第2の対のローラ34、36には、それぞれ、ニップ間隙を設けることができ、その間を通って基板80が搬送される。
【0062】
クリーニングされるシート基板80は、コンベヤ16の表面上に位置決めされ、図1では、コンベヤ16は、シート基板80を左から右に搬送する。基板80は、第1の対のエラストマ製クリーニングローラの間と第2の対のエラストマ製クリーニングローラ間とを連続して通過する。すなわち、基板80は、最初に第1のエラストマ製クリーニングローラ24と第2のエラストマ製クリーニングローラ26との間を通過する。第1のエラストマ製クリーニングローラ24が反時計回りに回転するとともに、第2のエラストマ製クリーニングローラ26が時計回りに回転し、基板80を右側に移動させる。
【0063】
第1のエラストマ製クリーニングローラ24は、基板80の上面に接触し、その上面からデブリを除去する。第1のエラストマ製クリーニングローラ24を形成するのに使用される材料の固有の極性により、基板80の上面からデブリが引き寄せられ、デブリが第1のエラストマ製クリーニングローラ24の表面に付着する。第1のエラストマ製クリーニングローラ24の表面とデブリとの間の相対的な引力は、デブリと基板80の表面との間の引力よりも大きいため、デブリの除去が可能になる。
【0064】
第2のエラストマ製クリーニングローラ26は、時計回りに回転する。第2のエラストマ製クリーニングローラ26は、基板80の下面に接触し、その下面からデブリを除去する。第2のエラストマ製クリーニングローラ26を形成するのに使用される材料の固有の極性により、基板80の底面からデブリが引き寄せられ、デブリが第2のエラストマ製クリーニングローラ26の表面に付着する。第2のエラストマ製クリーニングローラ26の表面とデブリとの間の相対的な引力は、デブリと基板80の表面との間の引力よりも大きいため、デブリの除去が可能になる。
【0065】
その後、基板80は、第2の対のエラストマ製クリーニングローラによって受け取られる。基板80は、第3のエラストマ製クリーニングローラ34と第4のエラストマ製クリーニングローラ36との間を通過する。第3のエラストマ製クリーニングローラ34が時計回りに回転するとともに、第4のエラストマ製クリーニングローラ36が反時計回りに回転し、基板80を右側に移動させる。
【0066】
第3のエラストマ製クリーニングローラ34は、基板80の下面に接触し、その下面からデブリを除去する。第3のエラストマ製クリーニングローラ34を形成するのに使用される材料の固有の極性により、基板80の下面からデブリが引き寄せられ、デブリが第3のエラストマ製クリーニングローラ34の表面に付着する。第3のエラストマ製クリーニングローラ34の表面とデブリとの間の相対的な引力は、デブリと基板80の表面との間の引力よりも大きいため、デブリの除去が可能になる。
【0067】
第4のエラストマ製クリーニングローラ36は、反時計回りに回転する。第4のエラストマ製クリーニングローラ36は、基板80の上面に接触し、その上面からデブリを除去する。第4のエラストマ製クリーニングローラ36を形成するのに使用される材料の固有の極性により、基板80の上面からデブリが引き寄せられ、デブリが第4のエラストマ製クリーニングローラ36の表面に付着する。第4の接触クリーニングローラ36の表面とデブリとの間の相対的な引力は、デブリと基板80の表面との間の引力よりも大きいため、デブリの除去が可能になる。第2の対の接触クリーニングローラは、第1の対の接触クリーニングローラによって除去されない更なるデブリを除去するために実装される。
【0068】
第1の接着ロール20及び第2の接着ロール22も設けられる。接着ロール20、22は、概ね円筒形の形状であり、図の平面に対して垂直であり、エラストマ製クリーニングローラ24、26、34、36の軸に対して平行な回転軸を有する、接着剤が施された表面を有する本体を備え、その回転軸の周りに、接着ロール20、22が自由に回転する。第1の接着ロール20は、紙製基部と基層の上の接着剤とを備える。第2の接着ロール22は、紙製基部と基層の上の接着剤とを備える。
【0069】
第1の接着ロール20は、第1のエラストマ製クリーニングローラ24及び第4のエラストマ製クリーニングローラ36とは反対に回転する。このようにして、第1のクリーニングローラ24及び第4のクリーニングローラ36と第1の接着ロール20とのそれぞれの表面が、基板80の上面から除去されたデブリを第1の接着ロール20に移送するのに十分に近付く。第1のエラストマ製クリーニングローラ24及び第4のエラストマ製クリーニングローラ36上のデブリと第1の接着ロール20との間の接着力は、第1のエラストマ製クリーニングローラ24又は第4のエラストマ製クリーニングローラ36のいずれかの表面上にデブリを保持する接着力よりも大きいため、デブリの移送が可能になる。
【0070】
第2の接着ロール22は、第2のエラストマ製クリーニングローラ26及び第3のエラストマ製クリーニングローラ34とは反対に回転する。このようにして、第2のエラストマ製クリーニングローラ26及び第3のエラストマ製クリーニングローラ34と第2の接着ロール22とのそれぞれの表面が、基板80の下面から除去されたデブリを第2の接着ロール22に移送するのに十分に近付く。第2のエラストマ製クリーニングローラ26及び第3のエラストマ製クリーニングローラ34上のデブリと第2の接着ロール22との間の接着力は、第2のエラストマ製クリーニングローラ26及び第3のエラストマ製クリーニングローラ34のいずれかの表面上にデブリを保持する接着力よりも大きいため、デブリの移送が可能になる。
【0071】
接触クリーニング装置1には、空気供給部(図示せず)に流体結合される空気供給マニホールド40が更に設けられる。概略断面図に示されている空気供給マニホールド40は、内部に穴を有する円筒の形態で設けられる。穴42のうちの1つが、図示の実施形態に示されている。複数の穴42を、マニホールド40の長手方向軸に沿って離隔したピンホールの形態で設けることができる。
【0072】
空気供給部(図示せず)が、穴42を通して空気を放出することができるように、空気マニホールド内に空気を供給するように構成される。空気マニホールド40は、第1の対の接触クリーニングローラ24、26の上流に位置する位置に取り付けられ、空気ストリームをシート基板80上に向けるようになっている。より具体的には、空気マニホールド40は、シート基板80が第1のエラストマ製クリーニングローラ24及び第2のエラストマ製クリーニングローラ26の表面における接触ゾーンに係合する前に、空気ストリームをシート基板80上に放出するように設計される。この動作は、図5図7を参照してより詳細に記載する。代替的又は付加的に、空気供給マニホールド40は、空気ストリームをエラストマ製ローラ24、26の表面における接触ゾーン上に放出するように構成及び配置される。
【0073】
ここで図2及び図3を参照すると、基板80は、コンベヤ16に沿って第1の対のエラストマ製クリーニングローラ24、26に向かって輸送される。基板80の湾曲した前縁部82は、コンベヤ16から上方に離れるようになっており、そのため、基板80は平坦でない。
【0074】
図2及び図3に示されている例において、空気供給マニホールドは停止しており、空気を提供しない。エラストマ製クリーニングローラは、通常、クリーニングを促進するために非常に高速に駆動される。したがって、図3に示されているように、基板80の湾曲した前縁部82が第1のエラストマ製クリーニングローラ24と衝突する。
【0075】
図4に示されているように、衝突速度が高速であるため、基板80は、第1のエラストマ製クリーニングローラ24に当たってしわになる。空気供給がない場合、基板80の湾曲した縁部が第1のエラストマ製クリーニングローラ24に巻き付く。したがって、基板80は、クリーニングのために第1のエラストマ製クリーニングローラ24と第2のエラストマ製クリーニングローラ26との間を通過する代わりに、装置の詰まり又は故障を引き起こす。その場合、装置1は、修理及びメンテナンスを受けなければならない。
【0076】
ここで図5図7を参照して、上述の空気マニホールド140を利用する接触クリーニング装置101の動作を以下に記載する。接触クリーニング装置101は、図1図4における接触クリーニング装置1と実質的に同じである。最初に図5を参照すると、シート基板180は、輸送ローラ112、114によって駆動されるコンベヤ116に沿って輸送される。基板180の自由前縁部182が、第1の対の接触クリーニングローラ124、126に接近する。
【0077】
ここで図6及び図7を参照すると、空気供給マニホールド140の空気出口142から、概して矢印144によって示されている方向に沿って空気が放出される。したがって、空気ストリームが、第1のエラストマ製クリーニングローラ126の接触ゾーンの方に向けられる。空気ストリームは、基板シート180の湾曲した前縁部182が接触ゾーンに接近すると、基板シート180の湾曲した前縁部182上に向けられる。この例において、空気は、基板180を平坦化するために、基板180の湾曲した前縁部182上に向けられる。
【0078】
付加的又は代替的に、空気を、空気出口142から、第1の対のエラストマ製クリーニングローラ124、126と基板180の湾曲した前縁部182との間の接触ゾーン上に放出することができる。空気ストリームは、接触ゾーンの上流の場所の方に向けることができることも想定される。このようにして、シート基板180の湾曲した前縁部182が接触ゾーンに向かって搬送されるとき、シート基板180が第1の対のエラストマ製クリーニングローラ124、126及び第2の対のエラストマ製クリーニングローラ134、136によってクリーニングされる前に、基板180を平坦化することができる。
【0079】
第1の対のエラストマ製ローラ124、126の接触ゾーンに空気を向けることによって、第2のエラストマ製ローラ126の周りの空気の境界層が一時的に増大する。これらの例において、増大した境界層により、接触ゾーンにおいてシート基板180の前縁部182が平坦化される。その結果、シート基板180が、第1の対のエラストマ製クリーニングローラによって受け取られ、クリーニングされるのに正しい向きになる。
【0080】
基板180は、エラストマ製クリーニングローラ124、126、134、136の上流の任意の点において平坦化することができる。
【0081】
この特定の実施形態において、第2のエラストマ製クリーニングローラ126の回転軸から鉛直に延在する基準平面に対して20度の角度で、空気が供給される。この角度は、固定角とすることができる。
【0082】
空気マニホールド140の空気出口142から向けられる空気供給の角度は、基板180のクリーニングゾーンへの移送速度に応じて決まる。この角度は、基準平面に対して垂直と平行との間の任意の数の固定角に変更することができる。空気は、基準平面に対して平行と垂直との間の角度等の異なる角度で供給することができることが想定される。
【0083】
いくつかの例において、空気マニホールド出口の角度は、基準平面の表面に対して変動することができる。
【0084】
いくつかの例において、クリーニング接触装置の空気ストリームは、選択的に起動することができる。このようにして、空気ストリームは、前縁部が接触ゾーンに接近するときにのみ動作可能とすることができる。前縁部が接触ゾーンに係合すると、装置の正しい動作を保証するために空気供給はもはや必要とされない。したがって、空気ストリームは、シート基板の残りの部分が接触ゾーンを通して搬送される際には停止される。
【0085】
いくつかの例において、クリーニング接触装置には、検出センサー(図示せず)が設けられる。検出センサーは、コンベヤ上の基板の前縁部が接触ゾーンに接近すると、それを検出し、空気ストリームを起動する。例えば、基板の前縁部がセンサーによって検出されると、コントローラが空気供給部と通信し、空気を空気供給マニホールドに送達し、さらに、出口を通して送達する。
【0086】
いくつかの例において、空気ストリームは、マニホールドの出口を通して脈動式に放出することができる。任意選択として、例えば、コンベヤ上の基板の前縁部を検出する検出センサーを使用して、脈動式の空気ストリームを選択的に起動することができる。
【0087】
ここで図8を参照すると、本発明の一態様に係る、湾曲した前縁部を有するシート基板の更なる例示的な接触クリーニング装置201が示されている。先行の例と同じ特徴部の場合、最初の桁が「2」であることを除き、参照符号は同じである。
【0088】
したがって、図8の例は、第1のコンベヤ216からシート基板280を受け取るように取り付けられる、第1のエラストマ製クリーニングローラ224及び第2のエラストマ製クリーニングローラ226を含む、第1の対のエラストマ製クリーニングローラが設けられることを示している。平坦化手段が、第1のコンベヤ216に近接して配置され、平坦化手段は、湾曲した前縁部282が第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226に接触する点において平坦化されるように、シート基板280の湾曲した前縁部282に動作可能に係合するように構成される。
【0089】
図8に示されている例において、平坦化手段は、第2のコンベヤ296である。第2のコンベヤ296は、上記第1のコンベヤ216に近接して設けられる。第2のコンベヤ296は、湾曲した前縁部282が第2のエラストマ製クリーニングローラ226に接触する点において平坦化されるように、シート基板280の湾曲した前縁部282に動作可能に係合するように構成される。
【0090】
第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226は、本開示において記載した他の例の第1の対のエラストマ製クリーニングローラ24、26と実質的に同じである。第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226のそれぞれは、コンベヤから基板を受け取るようにホルダー(図示せず)に回転可能に取り付けられる。
【0091】
第2の対のエラストマ製クリーニングローラ234、236が、第1の対のローラの下流に設けられる。図8に示されている例の第2の対のローラ234、236は、本開示において記載した他の例の第1の対のエラストマ製クリーニングローラ34、36と実質的に同じである。第2の対の各ローラは、ホルダー(図示せず)に回転式に取り付けられる。第2の対のエラストマ製クリーニングローラ234、236は、第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226からシート基板280を受け取るように配置される。
【0092】
第1のコンベヤ216は、第1の輸送ローラ212及び第2の輸送ローラ214によって駆動される。このようにして、第1のコンベヤ216は、第1のコンベヤ216上のシート基板280を輸送するようになっている。第1のコンベヤ216の第1の輸送ローラ212及び第2の輸送ローラ214は、第1のコンベヤ216の対向する端部領域内に配置される。
【0093】
第2のコンベヤ296は、第2のコンベヤ296の対向する端部領域内に配置される第1の輸送ローラ294及び第2の輸送ローラ292によって駆動される。第1の輸送ローラ294は、第1のコンベヤ216及び第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226の双方に近接して位置決めされる。第2の輸送ローラ292は、第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226の遠位に位置決めされる。
【0094】
第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226及び第2の対のローラ234、236には、それぞれ、ニップ間隙が設けられ、その間を通って基板280が搬送される。
【0095】
接触クリーニング装置201は、第1の接着ロール220及び第2の接着ロール222を備える。第1の接着ロール220及び第2の接着ロール222は、本開示において記載した他の例と同様に、第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226及び第2の対のエラストマ製クリーニングローラ234、236からデブリを移送するように取付け及び配置される。
【0096】
使用時、第1のコンベヤ216は、第1の輸送ローラ212及び第2の輸送ローラ214によって駆動される。第1のコンベヤ216は、方向D2に駆動され、シート基板280を支持する表面領域が、第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226に向かって移動するようになっている。このようにして、シート基板280が第1のコンベヤ216上で運ばれるとき、シート基板280は、方向D1に、第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226に向かって移動する。
【0097】
使用時、第2のコンベヤ296は、第1の輸送ローラ294及び第2の輸送ローラ292によって駆動される。第2のコンベヤ296は、方向D3に駆動され、湾曲した前縁部282に係合する第2のコンベヤ296の表面は、第1の輸送ローラに向かって移動する。このようにして、湾曲した前縁部282に係合する表面は、第1の対のエラストマ製クリーニングローラに向かって移動する。
【0098】
第2のコンベヤ296は、第1のコンベヤ216に対して角度をなして配置される。第1のコンベヤ216と第2のコンベヤ296との相対的な位置決めにより、第2のコンベヤ296は、第1のコンベヤ216に接触係合し、第1の対のエラストマ製クリーニングローラ224、226に近接して設けられる。すなわち、第1のコンベヤ216及び第2のコンベヤ296は、ニップ間隙を提供し、その間を通って基板280が搬送される。
【0099】
第1のコンベヤ216及び第2のコンベヤ296の相対的な角度配向により、第1のコンベヤ216及び第2のコンベヤ296は、湾曲した前縁部282が第1の対のクリーニングローラ224、226に向かって移動する際に、湾曲した前縁部282を誘導することが可能になる。すなわち、第1のコンベヤ216と第2のコンベヤ296との間の間隙が減少することにより、湾曲した前縁部が、第1のコンベヤ216及び第2のコンベヤ296のニップ間隙に接近するにつれて平坦にされる。結果として、湾曲した前縁部は、エラストマ製クリーニングローラによって受け取られる前に簡便に平坦化することができる。
【0100】
或る特定の例において、平坦化手段は、湾曲した前縁部が第1のコンベヤ上を移動する際に、湾曲した前縁部に係合し、平坦化するように動作可能な任意のガイドである。好適なガイドは、湾曲した前縁部が第1のコンベヤ上を移動する際に、湾曲した前縁部の平坦化をもたらすように、好適な角度、湾曲、又は形状の付いた表面を有することができる。付加的又は代替的に、ガイドは、必要に応じて湾曲した前縁部の移動方向に向けられたリッジ、突起、又はリブを有することができる。
【0101】
或る特定の例において、ガイドには、表面処理又はコーティングを設けることができる。このようにして、ガイドは、ガイドと湾曲した前縁部との間に低摩擦での誘導作用をもたらすことができる。
【0102】
或る特定の例において、ガイド又は第2のコンベヤ等の平坦化手段は、選択的に調整可能とすることができる。このようにして、平坦化手段は、第1のコンベヤに対して変動する位置及び角度で位置決めすることができる。
【0103】
本開示の記載及び請求項を通じて、「備える」及び「含む」という文言並びにそれらの変化形は、「非限定的に含むこと」を意味し、他の部分、添加剤、構成部材、整数、ステップを排除することを意図したものではない(排除するものではない)。本明細書の記載及び請求項全体を通じて、単数のものは、文脈から特に単数であることを要件としていない限り複数のものも包含する。特に不定冠詞が使用される場合、本明細書では、文脈から特に単数であることを要件としていない限り、単数のみならず複数と考えるものと理解される。
【0104】
本発明の特定の態様、実施形態、例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学部分、又はグループは、それらと非互換でない限り本開示中に記載される他のいずれの態様、実施形態、又は例にも適用可能であると理解される。本明細書に開示される特徴の全て(いずれの添付請求項、要約書、図面も含む)及び/又は同様に開示されるいずれの方法又は処理のステップの全ては、このような特徴及び/又はステップのうちの少なくともいくつかが互いに排他的である組合せを除いていずれの組合せで組み合わされてもよい。本発明は、いずれの上記実施形態の細部に限定されるものではない。本発明は、本明細書に開示される特徴のうちのいずれの新規のもの若しくはいずれの新規の組合せ、又は同様に開示されるいずれの方法若しくは処理のステップのうちのいずれの新規のもの若しくはいずれの新規の組合せにも拡大する。
【0105】
当業者であれば、上記の実施形態(複数の場合もある)は、例としてのみであって限定的な意味で記載したのではないこと、また、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正が可能であることが理解されよう。上述したような詳細な設計に対して様々な修正が可能である。
[構成1]
湾曲した前縁部を有するシート基板の接触クリーニング装置であって、
エラストマ製クリーニングローラと、
クリーニングされる前記シート基板を前記エラストマ製クリーニングローラに向かって運ぶ第1のコンベヤであって、前記エラストマ製クリーニングローラは、該第1のコンベヤから前記シート基板を受け取って係合するように配置される接触ゾーンを有する、第1のコンベヤと、
前記第1のコンベヤに近接して配置される平坦化手段であって、前記シート基板の前記湾曲した前縁部が前記エラストマ製クリーニングローラに接触する点において平坦化されるように、前記シート基板の前記湾曲した前縁部に動作可能に係合するように構成される、平坦化手段と、
を備える、接触クリーニング装置。
[構成2]
前記平坦化手段は、前記第1のコンベヤと対向して配置されたガイドであって、前記シート基板の前記湾曲した前縁部が前記エラストマ製クリーニングローラに接触する前記点において平坦化されるように、前記シート基板の前記湾曲した前縁部に接触係合するように構成されるガイドを含む、構成1に記載の接触クリーニング装置。
[構成3]
前記ガイドは、前記第1のコンベヤに対して角度をなして設けられ、前記ガイド及び前記第1のコンベヤは、前記湾曲した前縁部が前記接触ゾーンに接近する際に、前記湾曲した前縁部の誘導をもたらすように構成される、構成2に記載の接触クリーニング装置。
[構成4]
前記ガイドの前記第1のコンベヤに対する前記角度は、垂直と平行との間で選択可能に調整可能である、構成3に記載の接触クリーニング装置。
[構成5]
前記ガイドは第2のコンベヤを含み、該第2のコンベヤは、前記湾曲した前縁部の前記誘導をもたらすように、前記第1のコンベヤに対して角度をなして配置される、構成3又は4に記載の接触クリーニング装置。
[構成6]
前記第2のコンベヤは、前記第1のコンベヤに接触係合する、構成5に記載の接触クリーニング装置。
[構成7]
前記第2のコンベヤは駆動される、構成5又は6に記載の接触クリーニング装置。
[構成8]
前記平坦化手段は空気供給マニホールドを含み、該空気供給マニホールドは、前記シート基板の前記湾曲した前縁部が前記エラストマ製クリーニングローラに接触する前記点において平坦化されるように、前記シート基板の前記湾曲した前縁部上に及び/又は前記接触ゾーン上に空気ストリームを向けるように動作可能である、構成1に記載の接触クリーニング装置。
[構成9]
湾曲した前縁部を有するシート基板の接触クリーニング装置であって、
エラストマ製クリーニングローラと、
前記エラストマ製クリーニングローラ上の接触ゾーン上に空気を向けるように構成及び配置される空気供給マニホールドと、
クリーニングされる前記シート基板を前記エラストマ製クリーニングローラに向かって運ぶコンベヤと、
を備え、
前記空気供給マニホールドは、前記シート基板の前記湾曲した前縁部が前記エラストマ製クリーニングローラに接触する点において平坦化されるように、前記シート基板の前記湾曲した前縁部上に及び/又は前記接触ゾーン上に空気ストリームを向けるように動作可能である、
接触クリーニング装置。
[構成10]
前記エラストマ製クリーニングローラは回転軸を有し、前記空気供給マニホールドは、前記回転軸を通って鉛直に延在する基準平面に対して調整可能な角度で、前記シート基板の前記湾曲した前縁部に及び/又は前記エラストマ製クリーニングローラの前記接触ゾーン上に空気を向けるように動作可能である、構成8又は9に記載の接触クリーニング装置。
[構成11]
前記空気供給マニホールドは、互いに離隔した複数の空気送達開口を有する管状のマニホールドを含む、構成8~10のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
[構成12]
前記空気ストリームは選択的に起動される、構成8~11のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
[構成13]
前記接触ゾーンに係合する前に前記シート基板の前記前縁部を動作可能に検出するように配置されるセンサーを備え、前記センサーは、前記前縁部の検出に応じて、前記空気ストリームを動作可能に起動する、構成12に記載の接触クリーニング装置。
[構成14]
前記空気供給マニホールドの前記調整可能な角度は、前記基準平面に対して垂直と、前記基準平面に対して平行との間で選択可能である、構成10~13のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
[構成15]
前記調整可能な角度は、前記接触クリーニング装置の動作の前に、前記基準平面に対して選択され固定される、構成10~14に記載の接触クリーニング装置。
[構成16]
前記エラストマ製クリーニングローラは、一対のエラストマ製クリーニングローラを含み、該一対のエラストマ製クリーニングローラは、ニップ間隙を形成するように対向して配置され、その間を通って前記シート基板が搬送される、構成1~15のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
[構成17]
前記エラストマ製クリーニングローラは、少なくとも1つの対のエラストマ製クリーニングローラを含み、該少なくとも1つの対のエラストマ製クリーニングローラは、各対のローラ間に前記シート基板に対するクリーニング表面を提供するように構成及び配置される、構成1~16のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
[構成18]
各エラストマ製クリーニングローラは、隣接する接着ロールによってクリーニングされる、構成1~17のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
[構成19]
前記接触ゾーンは、前記エラストマ製クリーニングローラの周りに少なくとも部分的に延在する、構成1~18のいずれか1項に記載の接触クリーニング装置。
図1
図2
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図8