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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/00 20060101AFI20240711BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240711BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20240711BHJP
   H10N 59/00 20230101ALI20240711BHJP
   H10N 52/80 20230101ALI20240711BHJP
【FI】
H01L23/00 A
H01L23/12 F
H01L23/12 L
H01L23/12 Q
H01L23/50 R
H10N59/00
H10N52/80 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023001207
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2018134794の分割
【原出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2023033385
(43)【公開日】2023-03-10
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2017169389
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕也
(72)【発明者】
【氏名】木越 聖博
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-156434(JP,A)
【文献】特開2014-142729(JP,A)
【文献】特開2007-048989(JP,A)
【文献】特開2001-160604(JP,A)
【文献】特開2010-161095(JP,A)
【文献】国際公開第2014/091714(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447-21/449
H01L21/54
H01L21/60 -21/607
H01L23/00 -23/04
H01L23/06 -23/10
H01L23/16 -23/31
H10N59/00
H10N52/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、
前記端子に導通する半導体素子と、
前記端子の一部、および前記半導体素子を覆う封止樹脂と
前記半導体素子と前記端子とに導電接続されたワイヤと、を備え、
前記封止樹脂は、厚さ方向において互いに反対側を向く第1面および第2面を有し、
前記端子は、前記第2面から露出しており、
前記第1面には、製品情報を表示する標印が設けられており、
前記標印は、前記第1面から凹む凹部と、前記厚さ方向において前記第1面と同じ側を向き、かつ前記凹部に隣接する平坦部と、を有し、
前記ワイヤは、前記第1面から最も近くに位置する頂点を含み、
前記厚さ方向に視て、前記標印は、前記半導体素子および前記頂点の各々から離れており、
前記第1面は、互いに離れた一対の第1縁と、互いに離れた一対の第2縁と、を含み、
前記一対の第2縁の各々の長さは、前記一対の第1縁の各々の長さよりも長く、
前記標印は、前記一対の第1縁の各々と、前記一対の第2縁の各々と、から離れており、
前記封止樹脂には、前記第1面から凹む溝が設けられており、
前記溝は、前記一対の第2縁の各々につながっており、
前記厚さ方向に視て、前記溝は、前記半導体素子および前記頂点の各々から離れている、半導体装置。
【請求項2】
前記頂点と前記第1面との最小間隔は、前記凹部の最大深さよりも大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記頂点と前記第1面との最小間隔は、前記凹部の最大深さよりも小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1面は、平坦であり、かつ前記平坦部と面一である、請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記標印は、互いに離れた第1領域および第2領域を含み、
前記厚さ方向に視て、前記第2領域は、前記半導体素子を基準として前記第1領域とは反対側に位置する、請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記厚さ方向に視て、前記第2領域の面積は、前記第1領域の面積と異なる、請求項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記厚さ方向に視て、前記凹部は、少なくとも1つの矩形により規定されている、請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記厚さ方向に視て、前記凹部は、互いに連なった複数の矩形により規定されている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記第1面と同じ側を向き、かつ前記第1面と前記第2面との間に位置する底面を有し、
前記凹部は、前記底面により規定されており、
前記底面は、前記第1面よりも粗面である、請求項1ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ワイヤは、前記半導体素子に導電接続された第1端と、前記端子に導電接続された第2端と、を有し、
前記厚さ方向に視て、前記標印は、前記第2端に重なっている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記厚さ方向に視て、前記平坦部は、前記第2端に重なっている、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記凹部は、互いに離れた第1凹部および第2凹部を含み、
前記厚さ方向に視て、前記標印の周縁は、前記第1凹部の少なくともいずれかの縁と、前記第2凹部の少なくともいずれかの縁と、を含む、請求項9ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記厚さ方向に視て、前記凹部は、前記端子に重なっており、
前記底面と前記端子との最小間隔は、前記凹部の最大深さよりも大きい、請求項9ないし12のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体素子は、ホール素子である、請求項1ないし13のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子がホール素子である半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子がホール素子である半導体装置は、携帯電話など様々な電子機器に用いられている。たとえば、携帯電話のディスプレイの光源を制御する際、当該半導体装置用いることで、携帯電話の本体の開閉により、光源を点灯、または消灯するといった制御を行うことができる。当該半導体装置が用いられる電子機器の薄型化に伴い、当該半導体装置についても、より一層の低背化が要求されている。
【0003】
特許文献1には、ホール素子であるペレット(半導体素子)を備える半導体装置の一例が開示されている。当該半導体装置においては、ペレットの裏面に絶縁層を密着させ、かつ封止樹脂の裏面から露出させる構成としたことで低背化が図られた構成となっている。ただし、当該絶縁ペーストは、その材料特性により放熱性が比較的低いため、ペレット動作時に半導体装置内に熱がこもることでペレットの駆動性が低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5676826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より多様化された製品情報を表示することが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される半導体装置は、端子と、前記端子に導通する半導体素子と、前記端子の一部、および前記半導体素子を覆う封止樹脂とを備える。前記封止樹脂は、厚さ方向において互いに反対側を向く第1面および第2面を有する。前記端子は、前記第2面から露出している。前記第1面には、製品情報を表示する標印が設けられている。前記標印は、前記第1面から凹む凹部と、前記厚さ方向において前記第1面と同じ側向き、かつ前記凹部に隣接する平坦部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる半導体装置によれば、より多様化された製品情報を表示することが可能となる。
【0008】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の斜視図(封止樹脂を透過)である。
図2図1に示す半導体装置の平面図(内部導電層および封止樹脂を透過)である。
図3図1に示す半導体装置の底面図である。
図4図1に示す半導体装置の右側面図である。
図5図1に示す半導体装置の正面図である。
図6図2のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図6の部分拡大断面図である。
図8】本発明の第1実施形態の変形例にかかる半導体装置の断面図である。
図9図1に示す半導体装置を構成要素に含む回路のブロック図である。
図10図2の部分拡大図である。
図11図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図12図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図13図1に示す半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
図14図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図15図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図16図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図17図1に示す半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
図18図1に示す半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
図19】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図(内部導電層および封止樹脂を透過)である。
図20図19に示す半導体装置の底面図である。
図21図19に示す半導体装置の右側面図である。
図22図19に示す半導体装置の正面図である。
図23図19のXXIII-XXIII線に沿う断面図である。
図24】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の平面図(内部導電層および封止樹脂を透過)である。
図25図24に示す半導体装置の底面図である。
図26図24に示す半導体装置の部分拡大断面図である。
図27】本発明の第3実施形態の変形例にかかる半導体装置の部分拡大断面図である。
図28】本発明の第4実施形態にかかる半導体装置の平面図(内部導電層および封止樹脂を透過)である。
図29図28に示す半導体装置の底面図である。
図30図28に示す半導体装置の右側面図である。
図31図28に示す半導体装置の正面図である。
図32図28のXXXII-XXXII線に沿う断面図である。
図33図28に示す半導体装置を配線基板に実装したときの状態を示す断面図である。
図34】本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
図35図34に示す半導体装置の平面図(内部導電層および封止樹脂を透過)である。
図36図34に示す半導体装置の底面図である。
図37図36の部分拡大図である。
図38図34に示す半導体装置の右側面図である。
図39図34に示す半導体装置の右側面図(封止樹脂を透過)である。
図40図34に示す半導体装置の正面図である。
図41図34のXLI-XLI線に沿う断面図である。
図42図41の部分拡大図である。
図43図41の部分拡大図である。
図44図35のXLIV-XLIV線に沿う断面図(封止樹脂の図示を省略)である。
図45図34に示す半導体装置を配線基板に実装したときの状態を示す断面図である。
図46】本発明の第5実施形態の変形例にかかる半導体装置の平面図である。
図47図46のXLVII-XLVII線に沿う断面図である。
図48】本発明の第6実施形態にかかる半導体装置の平面図である。
図49図48に示す半導体装置の右側面図(封止樹脂を透過)である。
図50図48のL-L線に沿う断面図である。
図51図48に示す半導体装置の断面図(封止樹脂の図示を省略)である。
図52】本発明の第6実施形態の変形例にかかる半導体装置の平面図である。
図53図52のLIII-LIII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0011】
〔第1実施形態〕
図1図7に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、半導体素子11、導電層12、複数の端子2、封止樹脂3および複数のワイヤ4を備える。
【0012】
図1は、理解の便宜上、封止樹脂3を透過している。図2は、理解の便宜上、内部導電層28(詳細は後述)および封止樹脂3を透過している。図1および図2において、透過した封止樹脂3の外形を想像線(二点鎖線)で示している。図2に示すVI-VI線の通過位置を一点鎖線で示している。図8の断面位置は、図6の断面位置と同一である。また、図1図7に示す複数の端子2においては、重複する同様な要素の符号の記載を省略している。
【0013】
これらの図に示す半導体装置A10は、半導体素子11がホール素子である磁気センサ(ホールIC)である。後述する半導体装置A20~半導体装置A60も、半導体素子11がホール素子である磁気センサである。半導体装置A10は、携帯電話など様々な電子機器の配線基板に表面実装される形式のものである。半導体装置A10は、半導体素子11の厚さ方向z(以下、単に「厚さ方向z」と呼ぶ。)に視て矩形状である。ここで、説明の便宜上、半導体素子11の厚さ方向zに対して直交する半導体装置A10の短手方向を第1方向xと、厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する半導体装置A10の長手方向を第2方向yと呼ぶ。
【0014】
半導体素子11は、図2に示すように、厚さ方向zに視て矩形状のホール素子である。半導体素子11の主要材料は、たとえば、ヒ化ガリウム(GaAs)である。ヒ化ガリウムを主要材料とするホール素子は、磁束密度の変化に対するホール電圧の直線性に優れるとともに、温度変化の影響を受けにくいという利点を有する。半導体素子11の主要材料は、その他に、シリコン(Si)、ヒ化インジウム(InAs)およびアンチモン化インジウム(InSb)のいずれかを選択してもよい。なお、半導体素子11の主要材料は、これらに限定されない。図6に示すように、半導体素子11は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く表面11Aおよび裏面11Bを有する。表面11Aは、封止樹脂3に覆われている。図2および図6に示すように、表面11Aには、複数の電極111が設けられている。複数の電極111は、たとえば、チタン(Ti)層に金(Au)層を積層させた金属層から構成される。複数の電極111の各々に、ワイヤ4が接続されている。裏面11Bは、導電層12に接している。
【0015】
図1図2および図6に示すように、半導体素子11は、表面11Aおよび裏面11Bの双方につながる側面11Cを有する。側面11Cは、4つの領域を含む。当該4つの領域の各々に、導電層12の一部が接している。表面11Aと側面11Cとの境界が、厚さ方向zに視た半導体素子11の周縁に該当する。図2に示すように、厚さ方向zに視た半導体素子11の周縁は、第1方向xおよび第2方向yの双方に対して傾斜した四辺により構成される。半導体装置A10が示す例においては、第1方向xおよび第2方向yの双方に対する各々の辺の傾斜角は、45°である。
【0016】
導電層12は、図1図6図4および図5を除く)に示すように、半導体素子11の裏面11Bに接して設けられている。図6に示す導電層12の下端は、封止樹脂3から露出している。導電層12は、裏面11Bおよび側面11C(半導体素子11)の双方に接して設けられている。図2に示すように、導電層12の周縁121は、半導体素子11の周縁よりも外側に位置する。導電層12は、たとえば、銀(Ag)などの金属粒子が含有されたダイアタッチペーストを乾燥および硬化させたものである。このように、導電層12には金属粒子が含有されているため、導電層12の熱伝導率は比較的大である。
【0017】
複数の端子2は、図1図6に示すように、半導体素子11と半導体装置A10が実装される配線基板との導電経路を構成している。複数の端子2は、半導体素子11から離間して配置されている。複数の端子2の各々は、ワイヤ4を介して半導体素子11の表面11A(電極111)に導通している。複数の端子2は、4つから構成され、これらを端子2A,2B,2C,2Dと呼ぶ。説明の便宜上、図2の右上に位置する端子2を端子2Aと呼ぶ。あわせて、図2の右下に位置する端子2を端子2Bと、図2の左下に位置する端子2を端子2Cと、図2の左上に位置する端子2を端子2Dと呼ぶ。なお、後述する半導体装置A20~半導体装置A60においても、複数の端子2は、端子2A,2B,2C,2Dの4つから構成され、これらの実施形態の複数の端子2の位置は、いずれも半導体装置A10と同様である。複数の端子2の各々は、主面21、底面22、内側面23、第1外側面24、第2外側面25および陥入部26を有する。さらに複数の端子2は、内部導電層28および外部導電層29を備える。内部導電層28および外部導電層29を除いた複数の端子2は、いずれも同一の金属材料から形成される。当該金属材料は、たとえば銅(Cu)を含む。なお、当該金属材料は、導電性を有し、かつ非磁性体であればいずれでもよい。
【0018】
図1図2および図6に示すように、主面21は、半導体素子11の表面11Aと同じ向きを向く。複数の主面21の各々には、内部導電層28を介してワイヤ4が接続されている。本明細書においては、端子2Aの主面21を主面21Aと、端子2Bの主面21を主面21Bと、端子2Cの主面21を主面21Cと、端子2Dの主面21を主面21Dと呼ぶ。主面21Cの形状は、主面21Aと同様である。主面21Dの形状は、主面21Bの形状と同様である。
【0019】
図1図6に示すように、底面22は、主面21とは反対側を向く。底面22は、封止樹脂3から露出している。本明細書においては、端子2Aの底面22を底面22Aと、端子2Bの底面22を底面22Bと、端子2Cの底面22を底面22Cと、端子2Dの底面22を底面22Dと呼ぶ。底面22Cの形状は、底面22Aと同様である。底面22Dの形状は、底面22Bの形状と同様である。
【0020】
図1図6図3を除く)に示すように、内側面23は、主面21につながり、かつ封止樹脂3に接している。本明細書においては、端子2Aの内側面23を内側面23Aと、端子2Bの内側面23を内側面23Bと、端子2Cの内側面23を内側面23Cと、端子2Dの内側面23を内側面23Dと呼ぶ。内側面23Cの形状は、内側面23Aと同様である。内側面23Dの形状は、内側面23Bの形状と同様である。複数の端子2の各々において、内側面23(内側面23A,23B,23C,23D)は、第1領域231、第2領域232および第3領域233を含む。第1領域231は、第1方向xおよび厚さ方向zの双方に沿って配置されている。第1方向xにおいて、第1領域231の一端は、第1外側面24につながっている。第2領域232は、第2方向yおよび厚さ方向zの双方に沿って配置されている。第2方向yにおいて、第2領域232の一端は、第2外側面25につながっている。第3領域233は、厚さ方向zに沿って配置され、第1方向xおよび第2方向yの双方に対して傾斜している。第1方向xおよび第2方向yの双方に対する第3領域233の傾斜角は45°であることが最も好ましく、当該傾斜角の許容される誤差範囲は±5°である。厚さ方向zに視て、第3領域233の一端は、第1領域231につながり、第3領域233の他端は、第2領域232につながっている。図2に示すように、第3領域233は、半導体素子11の周縁と平行である。
【0021】
図1図5に示すように、第1外側面24は、主面21、底面22および内側面23(第1領域231)のいずれにもつながり、かつ第1方向xを向く。第1外側面24は、封止樹脂3から露出している。本明細書においては、端子2Aの第1外側面24を第1外側面24Aと、端子2Bの第1外側面24を第1外側面24Bと、端子2Cの第1外側面24を第1外側面24Cと、端子2Dの第1外側面24を第1外側面24Dと呼ぶ。第1外側面24Cの形状は、第1外側面24Aと同様である。第1外側面24Dの形状は、第1外側面24Bの形状と同様である。
【0022】
図1図6に示すように、第2外側面25は、主面21、底面22および内側面23(第2領域232)のいずれにもつながり、かつ第2方向yを向く。第2外側面25は、封止樹脂3から露出している。第2外側面25は、第1外側面24につながっている。厚さ方向に視て、第1外側面24を含む面と、第2外側面25を含む面とが交差する部分が、半導体装置A10の角に該当する。本明細書においては、端子2Aの第2外側面25を第2外側面25Aと、端子2Bの第2外側面25を第2外側面25Bと、端子2Cの第2外側面25を第2外側面25Cと、端子2Dの第2外側面25を第2外側面25Dと呼ぶ。第2外側面25Cの形状は、第2外側面25Aと同様である。第2外側面25Dの形状は、第2外側面25Bの形状と同様である。
【0023】
図1図6に示すように、陥入部26は、底面22および内側面23の双方から凹んでいる。厚さ方向zに視て陥入部26に重なる主面21の領域と、内側面23とを含む端子2の部分は、庇状をなしている。陥入部26は、封止樹脂3に接する。半導体装置A10が示す例においては、陥入部26に封止樹脂3が充填された構成となっている。本明細書においては、端子2Aの陥入部26を陥入部26Aと、端子2Bの陥入部26を陥入部26Bと、端子2Cの陥入部26を陥入部26Cと、端子2Dの陥入部26を陥入部26Dと呼ぶ。
【0024】
図2および図7に示すように、厚さ方向zに視て導電層12の周縁121は、複数の端子2の主面21および陥入部26の双方から離間(図7に示す離間AP)している。ここで、図7に示すように、封止樹脂3の第2面3B(詳細は後述)を含み、かつ厚さ方向zに対して直交する基面BSを設定する。基面BSは、第2面3Bに加え、導電層12の下端と、複数の端子2の底面22A,22B,22C,22Dとを含む。図7に示すように、基面BSから最遠部122までの距離B1は、基面BSから内側面23と陥入部26との境界261までの距離B2よりも短い。なお、最遠部122とは、側面11Cに接する導電層12の部分のうち、基面BSから最も離れた部分を指す。また、内側面23と陥入部26との境界261は、基面BSに対して平行である。
【0025】
図1図6図2および図3を除く)に示すように、内部導電層28は、複数の端子2の主面21を覆っている。内部導電層28の組成は、たとえばAgである。なお、内部導電層28は、ニッケル(Ni)層、パラジウム(Pd)層および金層の順に積層された構成や、ニッケル層にパラジウム層が積層された構成でもよい。なお、内部導電層28の構成は、これらに限定されない。内部導電層28は、封止樹脂3に覆われている。図1図6図2を除く)に示すように、外部導電層29は、複数の端子2の底面22を覆っている。外部導電層29の組成は、錫(Sn)を含む合金である。当該合金は、たとえば錫-アンチモン系合金、または錫-銀系合金などの鉛フリーはんだ合金である。なお、外部導電層29の組成は、銀層に当該合金層が積層された構成や、銀層に金層が積層された構成でもよい。なお、外部導電層29の構成は、これらに限定されない。外部導電層29は、露出している。
【0026】
封止樹脂3は、図3図6に示すように、半導体素子11およびワイヤ4と、導電層12および複数の端子2のそれぞれ一部ずつとを覆っている。封止樹脂3の組成は、電気絶縁性を有する熱硬化性の合成樹脂である。当該合成樹脂は、たとえば黒色のエポキシ樹脂である。封止樹脂3は、第1面3A、第2面3B、第3面3Cおよび第4面3Dを有する。
【0027】
図4図6に示すように、第1面3Aは、半導体素子11の表面11Aと同じ向きを向く。第2面3Bは、第1面3Aとは反対側を向く。導電層12と、複数の端子2の底面22とは、いずれも第2面3Bから露出している。導電層12と、複数の底面22とは、いずれも第2面3Bと面一である。
【0028】
図3図5に示すように、第3面3Cは、第1面3Aおよび第2面3Bの双方につながり、かつ第1方向xを向く。第3面3Cは、第1方向xにおいて互いに離間した一対の領域を含む。複数の端子2の第1外側面24は、いずれも第3面3Cから露出している。各々の第1外側面24は、いずれも第3面3Cと面一である。
【0029】
図3図6に示すように、第4面3Dは、第1面3Aおよび第2面3Bの双方につながり、かつ第2方向yを向く。第4面3Dは、第2方向yにおいて互いに離間した一対の領域を含む。第4面3Dの各々の領域の第1方向xの両端は、第3面3Cにつながっている。複数の端子2の第2外側面25は、いずれも第4面3Dから露出している。各々の第2外側面25は、いずれも第4面3Dと面一である。
【0030】
複数のワイヤ4は、図1図2および図6に示すように、半導体素子11の複数の電極111と、複数の端子2とを相互に導通させる。複数のワイヤ4は、4本から構成される。複数のワイヤ4の構成材料は、たとえば金である。複数のワイヤ4は、ワイヤボンディングにより形成される。複数のワイヤ4の各々は、第1接続部41および第2接続部42を有する。第1接続部41は、ワイヤ4の形成過程において最初に形成されるボールボンディング(Ball Bonding)部である。第1接続部41が、半導体素子11の複数の電極111に接続されている。第2接続部42は、ワイヤ4の形成過程において最後に形成されるステッチボンディング(Stitch Bonding)である。第2接続部42が、複数の端子2の主面21を覆う内部導電層28に接続されている。この場合においては、厚さ方向zに視て、底面22に重なる主面21の領域上に位置する内部導電層28に、第2接続部42が接続されている。
【0031】
<第1実施形態の変形例>
次に、図8に基づき、半導体装置A10の変形例である半導体装置A11について説明する。半導体装置A11は、複数のワイヤ4の第1接続部41が、複数の端子2の主面21を覆う内部導電層28に接続されている。複数のワイヤ4の第2接続部42が、半導体素子11の複数の電極111に接続されている。この場合においては、厚さ方向zに視て、底面22に重なる主面21の領域上に位置する内部導電層28に、第1接続部41が接続されている。このように、複数のワイヤ4の接続形態は、半導体装置A10による形態と、半導体装置A11による形態との両者をとることができる。
【0032】
次に、図9に基づき、半導体装置A10を構成要素に含む回路の一例について説明する。
【0033】
図9に示すように、当該回路は、半導体装置A10、集積回路51および制御対象52によって構成されている。制御対象52は、たとえば携帯電話のディスプレイの光源や、DCモータなどが挙げられる。集積回路51は、装置駆動領域511、電圧検出領域512および制御領域513を備える。装置駆動領域511は、半導体装置A10の半導体素子11に電流を流す領域である。電圧検出領域512は、ホール効果により半導体素子11に現れた起電力(ホール電圧)を検出する領域である。制御領域513は、制御対象52の動作を制御する領域である。半導体装置A10に磁石53を近づけたとき、半導体素子11が磁束密度の変化を検出し、ホール効果により半導体素子11に起電力が現れる。当該起電力は、電圧検出領域512により検出される。電圧検出領域512は、この検出結果を制御領域513に伝達する。制御領域513は、伝達された当該検出結果に基づき、制御対象52の動作を制御(起動や停止など)する。
【0034】
次に、図11図18に基づき、半導体装置A10の製造方法の一例について説明する。
【0035】
図11図18は、半導体装置A10の製造方法を説明する断面図であり、これらの断面位置は、いずれも図6の断面位置と同一である。なお、図11図18において示される導電板81の厚さ方向zと、第2方向yとは、図1図7において示される厚さ方向zと、第2方向yとに相当する。
【0036】
最初に、図11に示すように、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く主面21および底面22を有する導電板81を準備する。導電板81から、半導体装置A10の複数の端子2が形成される。導電板81は、たとえば、銅を含む金属薄板である。導電板81の厚さは、たとえば100μmである。主面21および底面22は、ともに一様な平坦面である。主面21は、全体が内部導電層28に覆われている。内部導電層28は、電解めっきにより形成される。
【0037】
次いで、図12に示すように、導電板81において内部導電層28および底面22の双方にフォトリソグラフィによりマスクを形成した後、ウェットエッチングにより導電板81および内部導電層28のそれぞれ一部ずつを除去する。エッチング液は、たとえば、硫酸(H2SO4)および過酸化水素(H22)の混合溶液である。エッチングは、導電板81において内部導電層28および底面22の双方から行われる。先に、底面22からハーフエッチングにより導電板81の一部を除去する。その後、内部導電層28からエッチングを行い、厚さ方向zにおいて導電板81および内部導電層28の一部を貫通させる。本工程によって、導電板81に内側面23および陥入部26が形成される。
【0038】
次いで、図13に示すように、導電板81の底面22に基材82を貼り付ける。基材82は、電気絶縁性を有する部材であり、たとえばテープである。
【0039】
次いで、図14に示すように、基材82に半導体素子11を搭載した後、半導体素子11と導電板81とを導通させる複数のワイヤ4を形成する。半導体素子11の搭載にあたっては、まず、基材82に接合材83を塗布する。接合材83は、たとえばAgを含む導電性ペーストである。次いで、コレットなどで吸着した半導体素子11を基材82の上に移送して、接合材83に接着する。最後に、接合材83をキュア炉などで熱硬化させる。熱硬化した接合材83が、半導体装置A10の導電層12に相当する。複数のワイヤ4は、ワイヤボンディングにより形成される。
【0040】
次いで、図15に示すように、導電板81、半導体素子11およびワイヤ4を覆う封止樹脂84を形成する。封止樹脂84は、電気絶縁性を有する熱硬化性の合成樹脂をトランスファモールド成形により熱硬化させることによって形成される。封止樹脂84は、基材82に接し、かつ導電板81に形成された陥入部26に充填された状態となる。
【0041】
次いで、図16に示すように、導電板81および封止樹脂84から基材82を剥離し、かつ厚さ方向zにおいて導電板81の主面21寄りに位置する封止樹脂84の一部を、機械研磨により厚さ方向zに対して直交する方向において一様に除去する。本工程によって、封止樹脂84の厚さ方向zの長さが短くなり、半導体装置A10の低背化を図ることができる。この状態において、封止樹脂84には、第1面3Aおよび第2面3Bが形成される。第2面3Bから、導電板81の底面22と、接合材83(導電層12)とが、ともに露出した状態となる。
【0042】
次いで、図17に示すように、導電板81の底面22を覆う外部導電層29を形成する。外部導電層29は、電解めっきにより形成される。
【0043】
次いで、導電板81(内部導電層28および外部導電層29を含む)と、封止樹脂84とを、第1方向xおよび第2方向yの双方に沿って切断し、個片に分割する。切断にあたっては、たとえばダイシングソーを用いて導電板81の底面22が向く方から切断する。たとえば、第1方向xに沿って切断する際は、図18に示す切断線CLに沿って切断する。本工程において分割された個片が半導体装置A10となる。このとき、導電板81には、第1外側面24および第2外側面25が形成され、導電板81が複数の端子2となる。あわせて、封止樹脂84には、第3面3Cおよび第4面3Dが形成され、封止樹脂84が封止樹脂3となる。以上の工程を経ることによって、半導体装置A10が製造される。
【0044】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0045】
半導体装置A10は、半導体素子11の裏面11Bおよび側面11Cの双方に接して設けられ、かつ封止樹脂3の第2面3Bから露出する導電層12を備える。このため、半導体装置A10の使用時に半導体素子11から発生した熱を、導電層12によって効率よく外部に放出させることができる。
【0046】
半導体装置A10の複数の端子2には、底面22および内側面23の双方から凹む陥入部26が形成されている。図10に示すように、導電層12の放熱性をより向上させるため、厚さ方向zに視て導電層12の周縁121が半導体素子11の周縁よりも外側に位置する。このような構成において、周縁121が複数の端子2の主面21および陥入部26から離間することによって、導電層12と複数の端子2との短絡(ショート)を回避できる。一方、半導体装置A10の製造において、導電層12となる接合材83(図14参照)の塗布量が多い場合、接合材83を硬化させたとき導電層12の周縁121の一部が端子2の主面21に重なることが起こり得る。このような状態であっても、導電層12の一部が陥入部26に収容され、かつ導電層12が端子2に接触しない構成となるため、導電層12と複数の端子2との短絡を回避できる。したがって、半導体装置A10によれば、低背化を図りつつ、より放熱性を向上させることが可能となる。
【0047】
なお、導電層12は、半導体素子11の裏面11Bおよび側面11Cの双方に接して設けられている。このような構成をとることによって、半導体素子11に対する導電層12の接触面積が広くなり、半導体装置A10の放熱性をより向上させることができる。
【0048】
陥入部26には、封止樹脂3が充填されている。このような構成をとることによって、厚さ方向zに視て陥入部26に重なる主面21の領域と、内側面23とを含む端子2の庇状の部分は、厚さ方向zにおいて封止樹脂3に挟まれた状態となる。このため、複数の端子2が封止樹脂3の第2面3Bから脱落することを防止できる。
【0049】
厚さ方向zに視て、底面22に重なる主面21の領域上にワイヤ4が接続されている。このような構成をとることによって、ワイヤ4を複数の端子2に接続する際、底面22に反力が作用するため、端子2に対するワイヤ4の接合強度を確保することができる。
【0050】
複数の端子2は、主面21を覆う内部導電層28を備える。内部導電層28によって、主面21にワイヤ4を導通させるときに発生する熱衝撃から端子2を保護することができる。
【0051】
複数の端子2は、底面22を覆う外部導電層29をさらに備える。外部導電層29によって、配線基板に対する半導体装置A10の実装強度を向上させることができる。
【0052】
厚さ方向zに視て、半導体装置A10の半導体素子11の周縁は、第1方向xおよび第2方向yの双方に対して傾斜した四辺により構成されている。あわせて、複数の端子2の内側面23は、半導体素子11の周縁と平行である領域(第3領域233)を有する。このような構成をとることによって、半導体素子11に対する複数の端子2の離間距離が短くなり、半導体装置A10のより一層の小型化を図ることができる。
【0053】
〔第2実施形態〕
次に、図19図23に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図19は、理解の便宜上、内部導電層28および封止樹脂3を透過している。図19において、透過した封止樹脂3の外形を想像線で示している。図19に示すXXIII-XXIII線の通過位置を一点鎖線で示している。また、図19図23において、複数の端子2について重複する同様な要素の符号の記載を省略している。
【0054】
半導体装置A20は、複数の端子2、および封止樹脂3の構成が、先述した半導体装置A10と異なる。
【0055】
図19図23図21を除く)に示すように、複数の端子2の各々において、陥入部26は、底面22および第2外側面25の双方からも凹むように形成されている。図19図22に示すように、複数の端子2の各々は、貫通部27をさらに有する。貫通部27は、主面21から底面22に到達している。貫通部27は、第1外側面24、第2外側面25および陥入部26につながっている。貫通部27には、封止樹脂3の一部が位置している。半導体装置A20が示す例においては、貫通部27に封止樹脂3が充填された構成となっている。本明細書においては、端子2Aの貫通部27を貫通部27Aと、端子2Bの貫通部27を貫通部27Bと、端子2Cの貫通部27を貫通部27Cと、端子2Dの貫通部27を貫通部27Dと呼ぶ。
【0056】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0057】
半導体装置A20は、先述した半導体装置A10と同様に、半導体素子11の裏面11Bおよび側面11Cの双方に接して設けられ、かつ封止樹脂3の第2面3Bから露出する導電層12を備える。このため、半導体装置A20の使用時に半導体素子11から発生した熱を、導電層12により効率よく外部に放出させることができる。半導体装置A20の複数の端子2には、底面22および内側面23の双方から凹む陥入部26が形成されている。このため、導電層12と複数の端子2との短絡を回避できる。したがって、半導体装置A20によっても、低背化を図りつつ、より放熱性を向上させることが可能となる。
【0058】
複数の端子2の各々には、貫通部27が形成されている。貫通部27には、封止樹脂3の一部が位置している。このような構成をとることによって、複数の端子2が、第1方向xおよび第2方向yの外側にずれようとすると、貫通部27に位置する封止樹脂3の一部に端子2が接触する。このため、複数の端子2が、封止樹脂3の第3面3Cおよび第4面3Dの双方から抜け出すことを防止できる。複数の端子2の各々において、陥入部26は、底面22および第2外側面25の双方からも凹むように形成されている。このような構成をとることによって、半導体装置A20の製造の際、貫通部27に形成される封止樹脂3が、より密な状態となるため、複数の端子2が封止樹脂3から抜け出すことを、より効果的に防止できる。
【0059】
〔第3実施形態〕
図24図26に基づき、本発明の第3実施形態にかかる半導体装置A30について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図24は、理解の便宜上、内部導電層28および封止樹脂3を透過している。図24において透過した封止樹脂3の外形を想像線で示している。図26は、半導体装置A30の拡大断面図であり、その断面位置は、図7の断面位置と同一である。また、図24および図25において、複数の端子2について重複する同様な要素の符号の記載を省略している。
【0060】
半導体装置A30は、導電層12の構成が、先述した半導体装置A10と異なる。なお、複数の端子2、および封止樹脂3の構成は、半導体装置A10の構成と同様であるが、これらを半導体装置A20の構成としてもよい。
【0061】
図24図26に示すように、厚さ方向zに視て導電層12は、複数の端子2の主面21に重なる領域を含む。このため、図25に示すように、封止樹脂3の第2面3Bから露出する導電層12の面積は、半導体装置A10の当該面積よりも大である。図26に示すように、導電層12は、半導体素子11の裏面11Bおよび側面11Cの双方に接して設けられている。基面BS(先述した半導体装置A10を参照)から最遠部122(先述した半導体装置A10を参照)までの距離B1は、基面BSから内側面23と陥入部26との境界261までの距離B2よりも短い。なお、厚さ方向zに視て、最遠部122は、主面21および陥入部26の双方から離間(図26に示す離間AP)している。
【0062】
<第3実施形態の変形例>
次に、図27に基づき、半導体装置A30の変形例である半導体装置A31について説明する。半導体装置A31においては、基面BSから最遠部122までの距離B1は、基面BSから内側面23と陥入部26との境界261までの距離B2よりも長い。このため、半導体素子11に対する導電層12の接触面積は、半導体装置A30の当該面積よりも大である。なお、厚さ方向zに視て、最遠部122は、主面21および陥入部26の双方から離間(図27に示す離間AP)している。
【0063】
半導体装置A30および半導体装置A31の導電層12の構成は、ともに導電層12となる接合材83(図14参照)の塗布量を増加させることにより得ることができる。
【0064】
次に、半導体装置A30の作用効果について説明する。
【0065】
半導体装置A30は、先述した半導体装置A10と同様に、半導体素子11の裏面11Bおよび側面11Cの双方に接して設けられ、かつ封止樹脂3の第2面3Bから露出する導電層12を備える。このため、半導体装置A30の使用時に半導体素子11から発生した熱を、導電層12により効率よく外部に放出させることができる。半導体装置A30の複数の端子2には、底面22および内側面23の双方から凹む陥入部26が形成されている。このため、導電層12と複数の端子2との短絡を回避できる。したがって、半導体装置A30によっても、低背化を図りつつ、より放熱性を向上させることが可能となる。
【0066】
一方、半導体装置A30は、厚さ方向zに視て導電層12は、複数の端子2の主面21に重なる領域を含む。このような状態であっても、図26に示すように、導電層12の一部が陥入部26に収容され、かつ導電層12が端子2に接触しない構成となるため、導電層12と複数の端子2との短絡を回避することができる。半導体装置A30は、封止樹脂3の第2面3Bから露出する導電層12の面積が半導体装置A10の当該面積よりも大であるため、半導体装置A10よりも放熱性をさらに向上させることができる。
【0067】
他方、半導体装置A31は、半導体装置A30と同様に、厚さ方向zに視て導電層12は、複数の端子2の主面21に重なる領域を含む。半導体素子11に対する導電層12の接触面積は、半導体装置A30の当該面積よりも大である。このような状態であっても、図27に示すように、導電層12の一部が陥入部26に収容され、かつ導電層12が端子2に接触しない構成となるため、導電層12と複数の端子2との短絡を回避することができる。なお、半導体装置A31は、半導体装置A30よりも放熱性がさらに向上するという利点がある。
【0068】
〔第4実施形態〕
図28図32に基づき、本発明の第4実施形態にかかる半導体装置A40について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図28は、理解の便宜上、内部導電層28および封止樹脂3を透過している。図28において透過した封止樹脂3の外形を想像線で示している。また、図28図32において、端子2について重複する同様な要素の符号の記載を省略している。
【0069】
半導体装置A40は、複数の端子2の外部導電層29の構成が、先述した半導体装置A10と異なる。なお、複数の端子2、および封止樹脂3との構成は、半導体装置A10の構成と同様であるが、これらを半導体装置A20の構成としてもよい。
【0070】
図28図32に示すように、複数の端子2の各々において、外部導電層29は、底面22および第1外側面24の双方を覆っている。さらに、外部導電層29は、複数の端子2の第2外側面25と、封止樹脂3の第2面3Bから露出した導電層12とを覆っている。外部導電層29は、電解バレルめっきにより形成される。具体的には、半導体装置A40の製造工程において、電解めっきにより外部導電層29を形成する工程(図17参照)を省略し、導電板81および封止樹脂84を個片に分割する工程(図18参照)の後に、外部導電層29を電解バレルめっきにより形成する。
【0071】
次に、半導体装置A40の作用効果について説明する。
【0072】
半導体装置A40は、先述した半導体装置A10と同様に、半導体素子11の裏面11Bおよび側面11Cの双方に接して設けられ、かつ封止樹脂3の第2面3Bから露出する導電層12を備える。このため、半導体装置A40の使用時に半導体素子11から発生した熱を、導電層12により効率よく外部に放出させることができる。半導体装置A40の複数の端子2には、底面22および内側面23の双方から凹む陥入部26が形成されている。このため、導電層12と複数の端子2との短絡を回避できる。したがって、半導体装置A40によっても、低背化を図りつつ、より放熱性を向上させることが可能となる。
【0073】
複数の端子2の各々において、外部導電層29は、底面22および第1外側面24の双方を覆っている。図33は、リフロー方式により半導体装置A40を配線基板61に実装したときの状態を示す断面図(断面位置は図31と同一)である。図33に示すように、たとえばクリームはんだである導電接合層62は、底面22を覆う外部導電層29のみならず、第1外側面24を覆う外部導電層29にも付着する。したがって、配線基板61に対する半導体装置A40の実装強度を、半導体装置A10の実装強度よりもさらに向上させることができる。
【0074】
〔第5実施形態〕
次に、図34図45に基づき、本発明の第5実施形態にかかる半導体装置A50について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図35は、理解の便宜上、内部導電層28および封止樹脂3を透過している。図39は、理解の便宜上、封止樹脂3を透過している。図35および図39において透過した封止樹脂3の外形を想像線で示している。図34に示すXLI-XLI線、および図35に示すXLIV-XLIV線のそれぞれの通過位置を一点鎖線で示している。図43の断面位置は、図42の断面位置と同一である。また、図34図41において、端子2について重複する同様な要素の符号の記載を省略している。
【0075】
半導体装置A50は、半導体素子11、導電層12、複数の端子2、封止樹脂3および複数のワイヤ4の構成が、先述した半導体装置A10と異なる。半導体素子11の構成は、半導体装置A10の半導体素子11の構成に対して、より実物に即したものとなっている。導電層12、複数の端子2および複数のワイヤ4の形状は、半導体装置A20のこれらの形状に対して、より実物に即したものとなっている。
【0076】
図44に示すように、半導体素子11は、凹部11D、半導体基板112、検出層113、配線層114および絶縁膜115をさらに有する。
【0077】
半導体基板112は、複数の電極111、検出層113、配線層114および絶縁膜115を支持している。半導体基板112の構成材料は、ドーパントが含有されていないヒ化ガリウムである。厚さ方向zにおいて導電層12に接する半導体基板112の面が、裏面11Bに相当する。
【0078】
検出層113は、半導体基板112に対して厚さ方向zに積層されている。検出層113が、半導体素子11の機能の中枢となる。検出層113は、たとえば、n型ドーパントが含有され、かつ半導体基板112に積層されたヒ化ガリウム層と、それに積層されたキャップ膜としてのヒ化ガリウム層から構成される。n型ドーパントは、たとえばケイ素(Si)である。なお、キャップ膜としてのヒ化ガリウム層は、ドーパントが含有されていない。検出層113は、エピタキシャル成長により形成される。厚さ方向zにおいて複数の端子2の主面21と同じ向きを向く検出層113の面が、表面11Aに相当する。表面11Aから裏面11Bに至る半導体素子11の厚さは、たとえば70μm~90μmである。
【0079】
凹部11Dは、表面11Aから凹んでいる。厚さ方向zに視て、凹部11Dは、半導体素子11の周縁を含み、かつ枠状である。凹部11Dは、半導体基板112および検出層113の一部をエッチングにより除去することによって形成される。凹部11Dにより、半導体基板112にはメサ構造が構成される。当該メサ構造の上端に検出層113が位置する。
【0080】
配線層114は、表面11Aおよび凹部11Dのそれぞれ一部ずつを覆っている。配線層114は、検出層113に導通している。配線層114は、たとえば、金、ゲルマニウム(Ge)およびニッケルを含む合金層から構成される。
【0081】
絶縁膜115は、配線層114に覆われていない表面11Aおよび凹部11Dを覆っている。絶縁膜115の構成材料は、たとえば窒化ケイ素(Si34)である。
【0082】
複数の電極111は、配線層114を覆っている。これにより、複数の電極111は、配線層114を介して検出層113に導通している。
【0083】
図37に示すように、複数の端子2の主面21の各々は、第1縁211をさらに有する。第1縁211は、主面21の周縁の一部である。第1縁211は、内側面23の第1領域231と、第1外側面24との双方につながっている。第1縁211は、第1方向xに対して傾斜角α1で傾斜している。
【0084】
図37に示すように、複数の端子2の底面22の各々は、第2縁221および平行縁222をさらに有する。第2縁221および平行縁222は、底面22の周縁の一部である。第2縁221は、第1外側面24および陥入部26の双方につながっている。第2縁221は、第1方向xに対して傾斜角α2で傾斜している。傾斜角α2は、傾斜角α1よりも小である。平行縁222は、第1方向xに延び、かつ第1外側面24、陥入部26および貫通部27につながっている。図37に示す底面22の第1方向xの最大幅Wmは、平行縁222の長さよりも大である。
【0085】
主面21から底面22に至る複数の端子2の各々の厚さは、たとえば80μm~100μmである。複数の主面21から封止樹脂3の第1面3Aに至る封止樹脂3の厚さ方向zの各々の寸法は、たとえば55μm~75μmである。
【0086】
図34および図41に示すように、封止樹脂3は、標印31を有する。標印31は、第1面3Aに形成されている。半導体装置A50が示す例においては、標印31は、第2方向yにおいて互いに離間した2つの領域を含む。厚さ方向zに視て、これらの領域の間に半導体素子11が位置する。標印31は、凹部311および平坦部312を有する。凹部311は、第1面3Aから凹んでいる。平坦部312は、第1面3Aから凹んでいない。厚さ方向zに視て、凹部311および平坦部312により、標印31は、厚さ方向zに視てコード標記をなしている。当該コード標記は、型式番号など、半導体装置A50の製品情報を表示している。標印31を画像読み取りすることにより、半導体装置A50の製品情報を把握することができる。なお、凹部311は、レーザにより形成される。
【0087】
図34図38および図41に示すように、封止樹脂3は、判別溝32をさらに有する。判別溝32は、第1面3Aに形成されている。厚さ方向zに視て、判別溝32は、標印31に対して第2方向yに離間し、かつ第1方向xに延びている。判別溝32の第1方向xの両端は、第3面3Cの一対の領域に到達している。判別溝32は、半導体装置A50を配線基板に実装する際、半導体装置A50の極性を判別するために用いられる。
【0088】
第1面3Aから第2面3Bに至る封止樹脂3の厚さは、たとえば135μm~175μmである。
【0089】
図35に示すように、複数のワイヤ4は、一対の第1ワイヤ4Aおよび一対の第2ワイヤ4Bを含む。厚さ方向zに視て、一対の第1ワイヤ4Aおよび一対の第2ワイヤ4Bのそれぞれの対は、半導体素子11の中心Cに対して点対称となるように配置されている。厚さ方向zに視て、第1ワイヤ4Aの長さL1は、第2ワイヤ4Bの長さL2よりも大である。
【0090】
図34図39および図42に示すように、一対の第1ワイヤ4Aおよび一対の第2ワイヤ4Bの各々は、頂部Tを有する。頂部Tは、第1接続部41の底から厚さ方向zに最も離れて位置する部分である。一対の第1ワイヤ4Aの各々のループ高さh1は、一対の第2ワイヤ4Bの各々のループ高さh2よりも大である。なお、ループ高さh1,h2は、複数のワイヤ4の各々において、第1接続部41の底から頂部Tに至る厚さ方向zの長さである。
【0091】
図34および図41に示すように、厚さ方向zに視て、標印31の外縁は、複数のワイヤ4の頂部Tに対して第2方向yに所定の間隔ITで離間している。図42に示すように、標印31の凹部311の最大深さDmは、封止樹脂3の第1面3Aから複数の頂部Tに至る封止樹脂3の各々の被覆厚さCTよりも小である。被覆厚さCTは、たとえば18μm~21μmである。なお、図43に示すように、凹部311の最大深さDmは、封止樹脂3の各々の被覆厚さCTよりも大である構成でもよい。
【0092】
図44に示すように、一対の第2ワイヤ4Bの第1接続部41は、下層部411および上層部412を有する。下層部411は、電極111に接する略円盤状である。下層部411の上端の幅W1は、その下端の幅W2よりも大である。なお、幅W1,W2は、厚さ方向zに対して直交する方向の下層部411の寸法である。上層部412は、下層部411の上端に接する略円錐台状である。なお、図示はしていないが、一対の第1ワイヤ4Aの第1接続部41も、下層部411および上層部412を有する。
【0093】
図45は、リフロー方式により半導体装置A50を配線基板61に実装したときの状態を示す断面図(断面位置は図41と同一)である。図45に示すように、たとえばクリームはんだである導電接合層62は、複数の端子2の底面22を覆う外部導電層29に付着している。なお、導電接合層62の体積を増加させることにより、導電接合層62が外部導電層29と、複数の端子2の第1外側面24との双方に付着する構成(図33参照)でもよい。
【0094】
<第5実施形態の変形例>
次に、図46および図47に基づき、半導体装置A50の変形例である半導体装置A51について説明する。図47に示すように、半導体装置A51は、複数のワイヤ4の第1接続部41が、複数の端子2の主面21を覆う内部導電層28に接続されている。複数のワイヤ4の第2接続部42が、半導体素子11の複数の電極111に接続されている。この場合においては、厚さ方向zに視て、底面22に重なる主面21の領域上に位置する内部導電層28に、第1接続部41が接続されている。図46に示すように、封止樹脂3の標印31および判別溝32は、厚さ方向zに視て半導体素子11に重なっている。このように、複数のワイヤ4の接続形態は、半導体装置A50による形態と、半導体装置A51による形態との両者をとることができる。
【0095】
次に、半導体装置A50の作用効果について説明する。
【0096】
半導体装置A50は、先述した半導体装置A10と同様に、半導体素子11の裏面11Bおよび側面11Cの双方に接して設けられ、かつ封止樹脂3の第2面3Bから露出する導電層12を備える。このため、半導体装置A50の使用時に半導体素子11から発生した熱を、導電層12により効率よく外部に放出させることができる。半導体装置A50の複数の端子2には、底面22および内側面23の双方から凹む陥入部26が形成されている。このため、導電層12と複数の端子2との短絡を回避できる。したがって、半導体装置A50によっても、低背化を図りつつ、より放熱性を向上させることが可能となる。
【0097】
封止樹脂3は、第1面3Aに形成された標印31を有する。標印31の外縁は、複数のワイヤ4の頂部Tに対して第2方向yに所定の間隔ITで離間している。これにより、標印31を構成する凹部311が複数のワイヤ4に干渉することを回避できる。
【0098】
〔第6実施形態〕
次に、図48図51に基づき、本発明の第6実施形態にかかる半導体装置A60について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図48は、理解の便宜上、内部導電層28および封止樹脂3を透過している。図49は、理解の便宜上、封止樹脂3を透過している。図48および図49において透過した封止樹脂3の外形を想像線で示している。図48に示すL-L線の通過位置を一点鎖線で示している。図51の断面位置は、図44の断面位置と同一である。また、図48図50において、端子2について重複する同様な要素の符号の記載を省略している。
【0099】
半導体装置A50は、封止樹脂3の厚さ、および複数のワイヤ4の構成が、先述した半導体装置A50と異なる。
【0100】
第1面3Aから第2面3Bに至る封止樹脂3の厚さは、たとえば125μm~165μmである。このため、封止樹脂3の厚さは、半導体装置A50の封止樹脂3の厚さよりも小である。
【0101】
図49図51に示すように、複数のワイヤ4は、屈曲部43をさらに有する。屈曲部43は、第1接続部41の上端につながっている。屈曲部43は、厚さ方向zにおいてV字状に屈曲している。複数のワイヤ4の各々における頂部Tの位置は、第1接続部41の底から厚さ方向zに最も離れた屈曲部43の先端に位置する。図48に示すように、厚さ方向zに視て複数の頂部Tは、いずれも半導体素子11に重なっている。図51に示すように、一対の第2ワイヤ4Bの第1接続部41の上端(屈曲部43につながる面)の幅W1は、その下端(電極111に接する面)の幅W2よりも大である。なお、図示はしていないが、一対の第1ワイヤ4Aの第1接続部41においても、幅W1は、幅W2よりも大である。
【0102】
図49図51に示すように、一対の第1ワイヤ4Aの各々のループ高さh1は、一対の第2ワイヤ4Bの各々のループ高さh2に略等しい。ループ高さh1,h2は、たとえば32μm~52μmである。ループ高さh1,h2は、これらに対応する半導体装置A50のループ高さh1,h2の各々よりも小である。
【0103】
図48および図50に示すように、厚さ方向zに視て、複数のワイヤ4の頂部Tから標印31の外縁に至る2つの間隔ITの長さは、これらに対応する半導体装置A50の間隔ITの各々の長さよりも小である。
【0104】
<第6実施形態の変形例>
次に、図52および図53に基づき、半導体装置A60の変形例である半導体装置A61について説明する。図53に示すように、半導体装置A61は、複数のワイヤ4の第1接続部41が、複数の端子2の主面21を覆う内部導電層28に接続されている。複数のワイヤ4の第2接続部42が、半導体素子11の複数の電極111に接続されている。この場合においては、厚さ方向zに視て、底面22に重なる主面21の領域上に位置する内部導電層28に、第1接続部41が接続されている。図52に示すように、封止樹脂3の標印31および判別溝32は、厚さ方向zに視て半導体素子11に重なっている。複数のワイヤ4の頂部Tは、厚さ方向zに視て複数の端子2に重なっている。このように、複数のワイヤ4の接続形態は、半導体装置A60による形態と、半導体装置A61による形態との両者をとることができる。
【0105】
次に、半導体装置A60の作用効果について説明する。
【0106】
半導体装置A60は、先述した半導体装置A10と同様に、半導体素子11の裏面11Bおよび側面11Cの双方に接して設けられ、かつ封止樹脂3の第2面3Bから露出する導電層12を備える。このため、半導体装置A60の使用時に半導体素子11から発生した熱を、導電層12により効率よく外部に放出させることができる。半導体装置A60の複数の端子2には、底面22および内側面23の双方から凹む陥入部26が形成されている。このため、導電層12と複数の端子2との短絡を回避できる。したがって、半導体装置A60によっても、低背化を図りつつ、より放熱性を向上させることが可能となる。
【0107】
複数のワイヤ4の各々は、屈曲部43を有する。屈曲部43は、第1接続部41につながり、かつ厚さ方向zにおいてV字状に屈曲している。これにより、一対の第1ワイヤ4Aの各々のループ高さh1を、一対の第2ワイヤ4Bの各々のループ高さh2に略等しくすることができる。さらにループ高さh1,h2を、これらに対応する半導体装置A50のループ高さh1,h2の各々よりも小とすることができる。したがって、第1面3Aから第2面3Bに至る封止樹脂3の厚さを、半導体装置A50の封止樹脂3の厚さよりも小とすることができるため、半導体装置A60を、より低背化とすることが可能である。
【0108】
厚さ方向zに視て複数のワイヤ4の頂部Tは、いずれも半導体素子11に重なっている。これにより、厚さ方向zに視て、複数のワイヤ4の頂部Tから標印31の外縁に至る2つの間隔ITの長さを、これらに対応する半導体装置A50の間隔ITの各々の長さよりも小とすることができる。したがって、厚さ方向zに視た封止樹脂3の標印31の領域をより拡大することができるため、標印31に表示される半導体装置A60の製品情報量を、より大とすることが可能である。
【0109】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0110】
本発明は、以下の付記に記載した実施形態を含む。
【0111】
[付記1]
厚さ方向において互いに反対側を向く表面および裏面、並びに前記表面および前記裏面の双方につながる側面、を有する半導体素子と、
前記裏面および前記側面の双方に接して設けられ、かつ金属粒子が含有された導電層と、
前記半導体素子から離間して配置され、かつ前記半導体素子に導通する複数の端子と、
前記表面と同じ向きを向く第1面、および前記第1面とは反対側を向く第2面、を有し、かつ前記半導体素子を覆う封止樹脂と、を備え、
前記厚さ方向に視て、前記導電層の周縁は、前記半導体素子の周縁よりも外側に位置し、
複数の前記端子の各々は、前記表面と同じ向きを向く主面と、前記主面とは反対側を向く底面と、前記主面につながり、かつ前記封止樹脂に接する内側面と、前記底面および前記内側面の双方から凹む陥入部と、を有し、
前記導電層および複数の前記底面は、いずれも前記第2面から露出している、半導体装置。
[付記2]
複数の前記陥入部は、前記封止樹脂に接する、付記1に記載の半導体装置。
[付記3]
前記封止樹脂は、前記厚さ方向に対して直交する第1方向を向く第3面を有し、
複数の前記端子の各々は、前記主面、前記底面および前記内側面のいずれにもつながり、かつ前記第1方向を向く第1外側面を有し、
複数の前記第1外側面は、いずれも前記第3面から露出している、付記2に記載の半導体装置。
[付記4]
前記封止樹脂は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向を向く第4面を有し、
複数の前記端子の各々は、前記主面、前記底面および前記内側面のいずれにもつながり、かつ前記第2方向を向く第2外側面を有し、
複数の前記第2外側面は、いずれも前記第4面から露出している、付記3に記載の半導体装置。
[付記5]
複数の前記端子の各々において、前記陥入部は、前記底面および前記第2外側面の双方から凹んでいる、付記4に記載の半導体装置。
[付記6]
複数の前記端子の各々は、前記主面から前記底面に到達し、かつ前記第1外側面、前記第2外側面および前記陥入部のいずれにもつながる貫通部を有し、
複数の前記貫通部には、前記封止樹脂の一部が位置する、付記5に記載の半導体装置。
[付記7]
前記厚さ方向に視て、前記半導体素子の周縁は、前記第1方向および前記第2方向の双方に対して傾斜した四辺により構成され、
複数の前記内側面は、前記半導体素子の周縁と平行である領域を含む、付記4ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
[付記8]
前記厚さ方向に視て、前記導電層の周縁は、複数の前記主面から離間している、付記7に記載の半導体装置。
[付記9]
前記厚さ方向に視て、前記導電層の一部は、複数の前記主面の少なくともいずれかに重なっている、付記7に記載の半導体装置。
[付記10]
前記厚さ方向に対して直交し、かつ前記第2面を含む基面から、前記側面に接する前記導電層の部分のうち前記基面から最も離れた最遠部までの距離は、前記基面から前記内側面と前記陥入部との境界までの距離よりも短い、付記8または9に記載の半導体装置。
[付記11]
前記厚さ方向に対して直交し、かつ前記第2面を含む基面から、前記側面に接する前記導電層の部分のうち前記基面から最も離れた最遠部までの距離は、前記基面から前記内側面と前記陥入部との境界までの距離よりも長く、
前記厚さ方向に視て、前記最遠部は、複数の前記主面から離間している、付記9に記載の半導体装置。
[付記12]
複数の前記端子は、複数の前記底面を覆う外部導電層を備える、付記8または9に記載の半導体装置。
[付記13]
複数の前記端子の各々において、前記外部導電層は、前記第1外側面を覆っている、付記12に記載の半導体装置。
[付記14]
前記半導体素子と、複数の前記端子とを相互に導通させるワイヤをさらに備える、付記12に記載の半導体装置。
[付記15]
前記厚さ方向に視て、複数の前記端子の各々において、前記底面に重なる前記主面の領域上に、前記ワイヤが接続されている、付記14に記載の半導体装置。
[付記16]
複数の前記端子は、複数の前記主面を覆う内部導電層をさらに備える、付記15に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0112】
A10,A11,A20,A30,A31,A40:半導体装置
A50,A51,A60,A61:半導体装置
11:半導体素子(ホール素子)
11A:表面
11B:裏面
11C:側面
11D:凹部
111:電極
112:半導体基板
113:検出層
114:配線層
115:絶縁膜
12:導電層
121:周縁
122:最遠部
2(2A,2B,2C,2D):端子
21(21A,21B,21C,21D):主面
211:第1縁211
22(22A,22B,22C,22D):底面
221:第2縁
222:平行縁
23(23A,23B,23C,23D):側面
231:第1領域
232:第2領域
233:第3領域
24(24A,24B,24C,24D):第1外側面
25(25A,25B,25C,25D):第2外側面
26(26A,26B,26C,26D):陥入部
261:境界
27(27A,27B,27C,27D):貫通部
28:内部導電層
29:外部導電層
3:封止樹脂
3A:第1面
3B:第2面
3C:第3面
3D:第4面
31:標印
311:凹部
312:平坦部
32:判別溝
4:ワイヤ
41:第1接続部
411:下層部
412:上層部
42:第2接続部
43:屈曲部
51:集積回路
511:装置駆動領域
512:電圧検出領域
513:制御領域
52:制御対象
53:磁石
61:配線基板
62:導電接合層
81:導電板
82:基材
83:接合材
84:封止樹脂
AP:離間
BS:基面
B1,B2:距離
CL:切断線
T:頂部
C:中心
L1,L2:長さ
α1,α2:傾斜角
Wm:最大幅
h1,h2:ループ高さ
Dm:最大深さ
CT:被覆厚さ
W1,W2:幅
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
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図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
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図30
図31
図32
図33
図34
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図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
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図52
図53