(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】電磁調理器
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
H05B6/12 307
H05B6/12 314
(21)【出願番号】P 2023002183
(22)【出願日】2023-01-11
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 稔也
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 峻
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-190983(JP,A)
【文献】特開平09-306657(JP,A)
【文献】特開平06-029082(JP,A)
【文献】特開平09-035860(JP,A)
【文献】特開2005-078901(JP,A)
【文献】特開平08-250269(JP,A)
【文献】特開2010-104489(JP,A)
【文献】特開平05-226069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
F24C 15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に広がり且つ調理器具を載置可能な天板と該天板の下方に配置される加熱コイル
を内部に有する筐体部とを有する調理器本体と、
前記調理器本体に対して着脱可能であり、該調理器本体に取り付けられた状態で前記天板に載置された前記調理器具の該天板に沿った移動を抑制する抑制部材と、を備え
、
前記天板は、周面が露出した状態で前記筐体部の上端に取り付けられており、
前記抑制部材は、
前記調理器具の周囲を囲う筒状の筒部と、
該筒部の内周面において周方向に間隔をあけて配置される複数のリブと、を有し、
前記抑制部材は、前記複数のリブが下端部を前記天板に当接させることにより、前記筒部の下部開口内に前記天板が嵌まり込むと共に周方向の全域において前記筒部の下端と前記筐体部との間に上下方向の隙間が形成された状態で、前記調理器本体上に支持されている、電磁調理器。
【請求項2】
前記抑制部材は、
前記天板の周囲を囲むように前記調理器本体に対して取り外し可能に嵌合する嵌合部と、
平面視において前記調理器具の周囲を囲むことで前記調理器具の移動を抑制する抑制部と、を有し、
前記嵌合部は、前記筒部の下端部を構成し、
前記抑制部は、
前記筒部の上端から延びることにより、前記調理器本体と嵌合した状態の前記嵌合部の上側において該嵌合部との相対位置を固定されている、請求項1に記載の電磁調理器。
【請求項3】
前記抑制部材は、前記抑制部と前記嵌合部とを接続する接続部を有し、
該接続部と前記嵌合部とは、前記筒部を構成し、
前記接続部は、平面視において前記調理器具の周囲を囲う、請求項2に記載の電磁調理器。
【請求項4】
前記接続部は、前記嵌合部から前記抑制部まで延びる筒状である、請求項3に記載の電磁調理器。
【請求項5】
前記接続部の内周は、前記抑制部から前記嵌合部に近づくに伴って大きくなっている、請求項4に記載の電磁調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導により加熱を行う電磁調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱コイルに交流電流を印加することによる交番磁界によって天板に載置された金属製の鍋やフライパン等の調理器具を発熱させて加熱調理を行う電磁調理器が知られている。
【0003】
この電磁調理器は、加熱コイルによって発生した磁束を金属製の調理器具(鍋等)に作用させて金属中に渦電流を生じさせ、この渦電流によって生じるジュール熱によって調理器具自体を発熱させて調理を行う。
【0004】
具体的に、電磁調理器100は、
図6に示すように、鍋等の調理器具105が載置される天板101と、天板101を支持し且つ該天板101の下側に配置される加熱コイルを内蔵する筐体部102と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の電磁調理器100では、加熱コイルによって発生した磁束を調理器具105に作用させるために、天板101がガラス等の非磁性体によって形成されている。このため、加熱調理の際に、天板101上に載置された調理器具は、水平方向の力が加わったときに天板101上を滑り易い。特に、深鍋等の上下方向の寸法が大きな調理器具は、より滑り易い。
【0007】
そこで、本発明は、天板上に載置された調理器具が天板に沿って動き難い電磁調理器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電磁調理器は、
水平方向に広がり且つ調理器具を載置可能な天板と該天板の下方に配置される加熱コイルとを有する調理器本体と、
前記調理器本体に対して着脱可能であり、該調理器本体に取り付けられた状態で前記天板に載置された前記調理器具の該天板に沿った移動を抑制する抑制部材と、を備える。
【0009】
かかる構成によれば、抑制部材が調理器本体に取り付けられた状態で天板に調理器具が載置されることで、調理器具の天板に沿った移動が抑制される、即ち、調理器具が天板に沿って動き難くなる。
【0010】
具体的には、前記電磁調理器において、
前記抑制部材は、
前記天板の周囲を囲むように前記調理器本体に対して取り外し可能に嵌合する嵌合部と、
平面視において前記調理器具の周囲を囲むことで前記調理器具の移動を抑制する抑制部と、を有し、
前記抑制部は、前記調理器本体と嵌合した状態の前記嵌合部の上側において該嵌合部との相対位置を固定されていてもよい。
【0011】
このように、抑制部材において抑制部が嵌合部の上側において該嵌合部との相対位置を固定されているため、嵌合部が天板の周囲を囲むことで調理器本体に対して嵌合すると共に、天板に載置された調理器具が抑制部によって囲まれることで、該調理器具が天板に沿って動き難くなる。
【0012】
また、前記電磁調理器では、
前記抑制部材は、前記抑制部と前記嵌合部とを接続する接続部を有し、
前記接続部は、平面視において前記調理器具の周囲を囲ってもよい。
【0013】
かかる構成によれば、調理器具における接続部に囲まれた部位に手等が触れるのを防ぐ、若しくは、触れ難くなるため、加熱されて高温になった調理器具に触れることによる火傷を防ぐことができる。
【0014】
また、前記電磁調理器では、
前記接続部は、前記嵌合部から前記抑制部まで延びる筒状であってもよい。
【0015】
かかる構成によれば、天板に載置された調理器具と該調理器具を囲む筒状の接続部との間に空気層が形成されるため、調理器具及び内容物が保温され、これにより、電磁調理器による加熱等を停止しても調理器具及び内容物が冷め難くなる。
【0016】
また、前記電磁調理器では、
前記接続部の内周は、前記抑制部から前記嵌合部に近づくに伴って大きくなっていてもよい。
【0017】
加熱調理時には調理器具の底面に近い部位(電磁調理器の天板に近い部位)ほど温度が高くなるが、かかる構成によれば、調理器具の温度が高くなる部位ほど接続部との水平方向の間隔が大きくなって熱が接続部に伝わり難くなり、これにより、加熱調理時における接続部の上下方向の各部位での温度上昇が好適に抑えられる。即ち、加熱調理時に接続部において下側ほど高温になることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、天板上に載置された調理器具が天板に沿って動き難い電磁調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電磁調理器の斜視図である。
【
図2】
図2は、前記電磁調理器の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、前記電磁調理器を分解した状態での縦断面図である。
【
図6】
図6は、従来の電磁調理器及び調理器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図5を参照しつつ説明する。
【0021】
本実施形態に係る電磁調理器は、加熱コイルに交流電流を印加することにより生じる交番磁界によって天板に載置された金属製の鍋等の調理器具を発熱させて加熱調理を行う。この電磁調理器1は、
図1~
図3に示すように、調理器具5を載置可能な天板21を有する調理器本体2と、調理器本体2に対して着脱可能な抑制部材3と、を備える。また、本実施形態に係る電磁調理器1は、専用の調理器具5を備え、本実施形態の調理器具は、鍋5である。
【0022】
調理器本体2は、水平方向に広がる板状の天板21と、天板21が取り付けられている筐体部22と、を有する。
【0023】
天板21は、耐熱性を有し且つガラス等の非磁性体によって形成された板状の部材である。本実施形態の天板21は、平面視において円形のガラス板によって形成されている。この天板21は、周面21aが露出した状態で筐体部22の上端に取り付けられている。
【0024】
筐体部22は、平面視において天板21より大きく且つ該天板21と同心円となる円形であり、天板21を下側から支持する。この筐体部22は、電磁調理器1の操作を行う操作部23を有する。また、筐体部22は、平面視において天板21の周縁に沿って該天板21を囲うように円形に延び且つ上方を向いた上面221と、上面221から上方に突出する複数の凸部222と、を有する(
図3参照)。
【0025】
これら複数の凸部222は、周方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態の筐体部22では、三つの凸部222が周方向に等間隔で配置されており、調理器本体2の製造時における天板21の位置出しに用られる。
【0026】
また、筐体部22は、
図4及び
図5にも示すように、天板21の下方に配置される加熱コイル24と、加熱コイル24に対して駆動電流を供給するインバータ回路と、加熱コイル24等を冷却するためのファン25と、磁気シールド等と、を内部に有する。また、筐体部22は、ファン25によって外気を吸気する吸気口22aを底面に有し、加熱コイル24等を冷却した後の空気を排気する排気口22bを側面に有する。
【0027】
操作部23は、レバー式スイッチであり、レバー(操作部)23が左右に動かされることによって電磁調理器1のオン・オフや調理温度の調節等を行う。
【0028】
抑制部材3は、調理器本体2に取り付けられた状態で天板21に載置された鍋5の該天板21に沿った移動を抑制する。この抑制部材3は、天板21の周囲を囲むように調理器本体2に対して取り外し可能に嵌合する嵌合部Aと、平面視において鍋5の周囲を囲むことで鍋5の天板21に沿った方向の移動を抑制する抑制部Bと、を有する。この抑制部Bは、調理器本体2と嵌合した状態の嵌合部Aの上側において該嵌合部Aとの相対位置が固定されている。本実施形態の抑制部材3は、抑制部Bと嵌合部Aとを接続する接続部Cを有している。
【0029】
具体的に、抑制部材3は、天板21に鍋5が載置されたときに平面視において該鍋5の周囲を囲う筒状の筒部31と、筒部31の内周面31aに配置される少なくとも一つのリブ32と、筒部31の上端から延びる延設部33と、を有する。本実施形態の抑制部材3は、複数のリブ32を有し、樹脂によって構成されている。
【0030】
筒部31は、上端部と下端部とに開口311、312を有し、上下方向の各位置での水平面方向の断面形状が円形となる筒状である。本実施形態の筒部31では、上端から下端に近づくに伴って径が大きくなっている。換言すると、筒部31の内周面31aは、筒部31の上端から下端に近づくに伴って内周(内径)が大きくなっている。これにより、筒部31では、下端部の開口(下部開口)312が上端部の開口(上部開口)311より大きい。即ち、下部開口312の内径が上部開口311の内径より大きい。
【0031】
この上部開口311の内径は、鍋5の大きさと対応する大きさである。また、下部開口312の内径は、天板21の大きさと対応する大きさであり、本実施形態の下部開口312の内径は、天板21の直径より僅かに大きい。この下部開口312は、抑制部材3が調理器本体2に取り付けられたときに、天板21が嵌まり込む領域(部位)である(
図4参照)。
【0032】
複数のリブ32は、筒部31の内周面31aにおいて周方向に間隔をあけて配置されている。これら複数のリブ32が下端部を天板21に当接させることによって、筒部31の下端(嵌合部A)と調理器本体2との間に上下方向の隙間が形成された状態(
図4参照)で抑制部材3が調理器本体2上に支持される。本実施形態の抑制部材3では、六つのリブ32は、筒部31の内周面31aの下部において周方向に等間隔で配置されている。
【0033】
各リブ32は、筒部31の内周面31aから筒部31の内側(本実施形態の例では、径方向内側)に向けて突出すると共に上下方向に延びている。各リブ32の下端は、筒部31(内周面31a)の下端より上方に位置している。
【0034】
延設部33は、筒部31の上端から水平方向で且つ筒部31の内側に延びる板状の部位である。この延設部33の内径は、鍋5の対応する位置(部位)の外径より僅かに大きい(
図4参照)。
【0035】
以上のように構成される抑制部材3において、筒部31の下端部(詳しくは、筒部31の下端から天板21の上面と対応する位置までの部位、換言すると、天板21が嵌まり込んでいる部位:
図4参照)31bが上述の嵌合部Aを構成し、延設部33が上述の抑制部Bを構成し、筒部31における下端部31bを除いた部位が上述の接続部Cを構成する。
【0036】
この抑制部材3は、抑制部材3の下部開口312内に天板21が嵌まり込むように調理器本体2に対して上側から載せることによって該調理器本体2に対して取り付けられる。このとき、抑制部材3は、筒部31の内周面31aに配置された複数のリブ32(詳しくは、各リブ32の下端)の天板21への当接によって調理器本体2上に支持された状態となる。
【0037】
一方、抑制部材3は、調理器本体2に取り付けられた状態から持ち上げることで該調理器本体2から取り外される。
【0038】
鍋5は、上部が開口する有底筒状の鍋本体51と、鍋本体51の開口を塞ぐ鍋蓋55と、を有する。
【0039】
鍋本体51は、円筒状の胴部52と、胴部52の下端部を塞ぐ鍋底53と、胴部52の上側に配置される縁部54と、を有する。この胴部52では、上端から下端(鍋底53)に近づくに伴って径が小さくなっており、胴部52と鍋底53の境界部では、断面(詳しくは、胴部52の径方向と上下方向とを含む面方向に沿った断面:
図4及び
図5参照)が円弧状になっている。また、縁部54は、胴部52より径方向に大きくなっている部位であり、胴部52の上端から径方向外側に延びる第一部位541と、第一部位541の外周縁から上側に延びる第二部位542と、を有する。この縁部54は、平面視において抑制部材3の延設部33に囲まれた領域(開口)より大きい。
【0040】
以上のように構成される鍋5は、抑制部材3の延設部33に囲まれた領域から嵌め込むようにして調理器本体2の天板21に載置される。このとき、鍋5の縁部54の下端(詳しくは、第一部位541)と抑制部材3の上端(詳しくは、延設部33)との間には、上下方向の隙間が形成されている(
図4参照)。この隙間により、抑制部材3が取り付けられた調理器本体2の天板21に鍋5が載置されたときに、鍋底53が天板21に確実に接することができる。
【0041】
また、胴部52の上端部(外周面)と、抑制部材3の延設部33の先端(径方向内側の端)との間にも水平方向の隙間が形成されている。これにより、鍋5に天板21に沿った方向の力が加わって鍋5が天板21に沿って移動したときに、鍋5の胴部52が延設部33の先端に当接することで、それ以上の前記天板21に沿った方向の移動が規制される。
【0042】
また、本実施形態の電磁調理器1では、調理器本体2から抑制部材3が取り外されることで、フライパン等の抑制部材3より上下方向の寸法の小さな調理器具5を使用して加熱調理することもできる。
【0043】
以上の電磁調理器1は、水平方向に広がり且つ鍋(調理器具)5を載置可能な天板21と該天板21の下方に配置される加熱コイル24とを有する調理器本体2と、調理器本体2に対して着脱可能であり、該調理器本体2に取り付けられた状態で天板21に載置された鍋5の該天板21に沿った移動を抑制する抑制部材3と、を備える。
【0044】
かかる構成によれば、抑制部材3が調理器本体2に取り付けられた状態で天板21に鍋5が載置されることで、鍋5の天板21に沿った移動が抑制される、即ち、鍋5が天板21に沿って動き難くなる。
【0045】
本実施形態の電磁調理器1では、抑制部材3は、
天板21の周囲を囲むように調理器本体2に対して取り外し可能に嵌合する嵌合部A(筒部31の下端部)と、平面視において鍋(調理器具)5の周囲を囲むことで鍋5の移動を抑制する抑制部と、を有する。そして、抑制部B(延設部33)は、調理器本体2と嵌合した状態の嵌合部Aの上側において該嵌合部Aとの相対位置を固定されている。
【0046】
このように、抑制部材3において抑制部Bが嵌合部Aの上側において該嵌合部Aとの相対位置を固定されているため、嵌合部Aが天板21の周囲を囲むことで調理器本体2に対して嵌合すると共に、天板21に載置された鍋5が抑制部Bによって囲まれることで、該鍋5が天板21に沿って動き難くなる。
【0047】
また、本実施形態の電磁調理器1では、抑制部材3は、筒部31において抑制部B(延設部33)と嵌合部A(筒部31の下端部)とを接続する部位(接続部C)を有し、該部位(接続部C)は、平面視において鍋5の周囲を囲っている。
【0048】
かかる構成によれば、鍋5における抑制部材3(詳しくは、接続部C)に囲まれた部位に手等が触れるのを防ぐ、若しくは、触れ難くなるため、加熱されて高温になった鍋5に触れることによる火傷を防ぐことができる。
【0049】
また、本実施形態の電磁調理器1では、接続部C(筒部31の下端部を除いた部位)は、嵌合部A(筒部31の下端部)から抑制部B(延設部33)まで延びる筒状である。
【0050】
かかる構成によれば、天板21に載置された鍋5と該鍋5を囲む筒状の接続部Cとの間に空気層が形成されるため、鍋5及び内容物が保温され、これにより、電磁調理器1による加熱等を停止しても鍋5及び内容物が冷め難くなる。
【0051】
また、本実施形態の電磁調理器1では、接続部C(筒部31の下端部を除いた部位)の内周は、抑制部B(延設部33)から嵌合部A(筒部31の下端部)に近づくに伴って大きくなっている。
【0052】
加熱調理時には鍋5の底面に近い部位(電磁調理器1の天板21に近い部位)ほど温度が高くなるが、かかる構成によれば、鍋5の温度が高くなる部位ほど接続部Cとの水平方向の間隔が大きくなって(例えば、
図4における矢印α及び矢印β参照)熱が接続部Cに伝わり難くなる。これにより、加熱調理時における接続部Cの上下方向の各部位での温度上昇が好適に抑えられる。即ち、加熱調理時に接続部Cにおいて下側ほど高温になることを防ぐことができる。
【0053】
尚、本発明の電磁調理器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0054】
上記実施形態の電磁調理器1では、専用の調理器具(鍋)5を備えているが、この構成に限定されない。電磁調理器1は、調理器本体2と抑制部材3とを備えた構成、即ち、調理器具5を備えていない構成であってもよい。この場合、調理器具5は、いわゆるIH対応のものであり、平面視において抑制部材3の延設部33に囲まれた領域と対応する大きさ(外径等)で且つ該領域に挿入した(嵌め込んだ)状態で底面が天板21に接するものであればよい。
【0055】
また、上記実施形態の調理器具5は、鍋であるが、例えば、寸胴鍋等であってもよく、フライパン等の上下方向の寸法の小さなものでもよい。使用される調理器具5の上下方向の寸法が小さい場合には、抑制部材3の上下方向の寸法が小さく(対応する寸法に)設定される。
【0056】
また、上記実施形態の抑制部材3の筒部31(詳しくは、接続部C)は、周方向及び上下方向に連続している、即ち、孔やスリット等の無い筒状であるが、この構成に限定されない。筒部31は、少なくとも一つの孔やスリット等を有していてもよい。この場合、前記少なくとも一つの孔やスリット等の大きさを、手等が調理器具5側に侵入するのを阻止する大きさや形状に設定することで、加熱された調理器具5に手等が触れて火傷することを防ぐことができる。
【0057】
また、上記実施形態の抑制部材3は、平面視環状の嵌合部Aと、嵌合部Aの上方に配置され且つ平面視環状の抑制部Bと、嵌合部Aから抑制部Bまで延びる複数の棒状部位と、を有し、複数の棒状部位が周方向に間隔をあけて配置されている構成(いわゆるフレーム状の構成)等であってもよい。即ち、抑制部材3は、調理器具5を天板21に載置でき、且つ、嵌合部(調理器本体2と嵌合する部位)Aに対して抑制部(調理器具5の天板21に沿った移動を抑える部位)Bの相対位置が固定されている構成であればよい。
【0058】
また、上記実施形態の抑制部材3の嵌合部Aは、天板21と嵌合するが、この構成に限定されない。抑制部材3の嵌合部Aは、調理器本体2の筐体部22等と嵌合する構成でもよい。
【0059】
また、上記実施形態の抑制部材3の抑制部Bは、上下方向から見て周方向に連続する環形状(即ち、調理器具5を囲む形状)であるが、この構成に限定されない。抑制部Bは、上下方向から見て、周方向に断続して調理器具5を囲む形状等であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態の抑制部材3は、抑制部Bが調理器具5の上端部の周囲を囲うことで該調理器具の天板21に沿った移動を抑制しているが、この構成に限定されない。抑制部Bは、調理器具5の胴部52における上下方向の中央部や下部(断面が円弧状の部位より上側の部位)の周囲を囲う構成であってもよい。即ち、抑制部Bは、平面視において調理器具5を囲うことで該調理器具5の天板21に沿った移動を抑制できる位置であれば、天板21に載置された調理器具5に対して上下方向のいずれの位置に配置されていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態の抑制部材3では、接続部C(筒部31の下端部を除いた部位)の内径は、下端に近づくに伴って大きくなっているが、この構成に限定されない。抑制部材3の接続部Cは、上下方向の各位置での内径が同じ筒状等でもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…電磁調理器、2…調理器本体、21…天板、21a…周面、22…筐体部、22a…吸気口、22b…排気口、221…上面、222…凸部、23…操作部、24…加熱コイル、25…ファン、3…抑制部材、31…筒部、31a…内周面、31b…下端部、311…上部開口、312…下部開口、32…リブ、33…延設部(抑制部)、5…鍋(調理器具)、51…鍋本体、52…胴部、53…鍋底、54…縁部、541…第一部位、542…第二部位、55…鍋蓋、100…電磁調理器、101…天板、102…筐体部、105…調理器具、A…嵌合部、B…抑制部、C…接続部
【要約】
【課題】天板上に載置された調理器具が天板に沿って動き難い電磁調理器を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、水平方向に広がり且つ調理器具を載置可能な天板と該天板の下方に配置される加熱コイルとを有する調理器本体と、調理器本体に対して着脱可能であり、該調理器本体に取り付けられた状態で天板に載置された調理器具の該天板に沿った移動を抑制する抑制部材と、を備える、ことを特徴とする。
【選択図】
図4