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特許7519477非小細胞肺がんを治療するための抗B7-H1および抗CTLA-4抗体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】非小細胞肺がんを治療するための抗B7-H1および抗CTLA-4抗体
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240711BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240711BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P11/00
A61P35/00
A61K39/395 T ZNA
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2023009115
(22)【出願日】2023-01-25
(62)【分割の表示】P 2021037883の分割
【原出願日】2015-05-12
(65)【公開番号】P2023052607
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】61/992,658
(32)【優先日】2014-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/105,992
(32)【優先日】2015-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/114,336
(32)【優先日】2015-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506042265
【氏名又は名称】メディミューン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(72)【発明者】
【氏名】ナーワル,ラジェッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロビンス,ポール
(72)【発明者】
【氏名】カラクンネル,ジョイソン
(72)【発明者】
【氏名】ダル,モハメド エム.
【審査官】伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/173223(WO,A1)
【文献】Semin Oncol,2014年02月,41,126-132
【文献】ClinicalTrials.gov Archive NCT03130764 [online],2017年04月26日,https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03130764
【文献】ClinicalTrials.gov Archive NCT03975114 [online],2019年06月05日,https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03975114
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者における非小細胞肺がん(NSCLC)を治療するための医薬組成物であって、MEDI4736またはその抗原結合断片を含み、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片が、1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片と、前記患者に2~4週毎に少なくとも4用量投与され、前記投与により進行のない生存が増加する、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて進行のない生存の増加がもたらされる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
ヒト患者におけるNSCLCを治療するための医薬組成物であって、MEDI4736またはその抗原結合断片を含み、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片が、1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片と、前記患者に2~4週毎に少なくとも4用量投与され、前記投与により全生存が増加する、前記医薬組成物。
【請求項4】
前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて全生存の増加がもたらされる、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片が、少なくとも4用量の20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片の後4週毎に、1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片と、前記患者に投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
1用量の1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が、4用量の20mg/kgのMEDI4736の少なくとも7週後に前記患者に投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記投与により腫瘍応答がもたらされる、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて増強された腫瘍応答がもたらされる、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記腫瘍応答が8週までに検出され得る、請求項またはに記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記腫瘍応答が33週までに検出され得る、請求項またはに記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記投与により進行のない生存が増加する、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて進行のない生存の増加がもたらされる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記投与により全生存が増加する、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて全生存の増加がもたらされる、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記投与により可溶性PD-L1が低下する、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
可溶性PD-L1が少なくとも65%低下する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
可溶性PD-L1が少なくとも80%低下する、請求項16に記載の医薬組成物
【請求項18】
可溶性PD-L1が少なくとも90%低下する、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
可溶性PD-L1が少なくとも95%低下する、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
可溶性PD-L1が少なくとも99%低下する、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記固形腫瘍が少なくとも1つの化学療法剤に対して難治性である、請求項1~20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記化学療法剤が、ベムラフェニブ、エルロチニブ、アファチニブ、セツキシマブ、カルボプラチン、ベバシズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、またはペメトレキセドである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記患者が、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)の0~1のパフォーマンスステータスを有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記患者が、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の前記投与前に免疫療法を受けていない、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記患者が、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の前記投与前に免疫療法を受けている、請求項1~24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
MEDI4736またはその抗原結合断片の前記投与が静脈内注入によるものである、請求項1~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
トレメリムマブまたはその抗原結合断片の前記投与が静脈内注入によるものである、請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記MEDI4736またはその抗原結合断片がMEDI4736であり、かつ前記トレメリムマブまたはその抗原結合断片がトレメリムマブである、請求項1~27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記投与により、腫瘍サイズがベースラインに対して少なくとも約10%縮小する、請求項1~28のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記投与により、腫瘍サイズがベースラインに対して少なくとも約25%または50%縮小する、請求項1~29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記ヒト患者が限局的に進行型の切除不能または転移性NSCLCを有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記NSCLCが扁平上皮または非扁平上皮である、請求項1~31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記NSCLCがKRAS突然変異またはEGFR突然変異を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記NSCLCがPD-L1陽性である、請求項1~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記NSCLCがPD-L1陰性である、請求項1~33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
PD-L1-またはPD-L1+NSCLCを有するものとして同定された患者を治療するための医薬組成物であって、MEDI4736またはその抗原結合断片を含み、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片が、1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片と、PD-L1-またはPD-L1+NSCLCを有するものとして同定された患者に2~4週毎に少なくとも4用量投与される、前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2014年5月13日に出願された米国仮特許出願第61/992,658号明細書、2015年1月21日に出願された米国仮特許出願第62/105,992号明細書、および2015年2月10日に出願された米国仮特許出願第62/114,336号明細書の優先権および利益を主張するものである。これら出願各々の内容全体は、参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
がんは、主要な地球規模での健康上の負担であり続けている。がんの治療が進歩しているにもかかわらず、より有効かつ低毒性な治療、特に既存の治療薬に対して耐性を示す進行性疾患またはがんを有する患者においては満たされない医学的必要性が存続している。
【0003】
腫瘍制御における免疫系、特にT細胞媒介性細胞傷害性の役割は、十分に理解されている。がん患者においては、T細胞が腫瘍成長および生存を疾患の初期および後期ステージの双方で制御するという証拠は増えつつある。しかし、がん患者において、腫瘍特異的T細胞応答は開始し、維持することが困難である。
【0004】
今日まで多大な関心が払われている2つのT細胞経路は、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4、CD152)およびプログラム死リガンド1(PD-L1、B7-H1またはCD274としても既知)を介してシグナル伝達する。
【0005】
CTLA4は、活性化T細胞で発現され、CD28媒介性T細胞活性化後、T細胞応答を抑制するための共阻害剤(co-inhibitor)として機能する。CTLA4は、TCRの会合後、ナイーブおよびメモリT細胞の初期活性化の振幅を調節し、抗腫瘍免疫および自己免疫の双方に影響する中心的阻害経路の一部をなすと考えられる。CTLA4は、T細胞で排他的に発現され、そのリガンドのCD80(B7.1)およびCD86(B7.2)の発現は、主に抗原提示細胞、T細胞、および他の免疫媒介性細胞に制限される。CTLA4シグナル伝達経路を遮断する拮抗性抗CTLA4抗体は、T細胞活性化を増強することが報告されている。かかる抗体の1つであるイピリムマブは、転移性メラノーマの治療を目的として2011年に食品医薬品局(FDA)によって認可された。別の抗CTLA4抗体であるトレメリムマブは、進行性メラノーマの治療を目的として第III相試験で試験されたが、患者の全生存の増加は、当時の標準治療(テモゾロミドまたはダカルバジン)と比べて有意ではなかった。
【0006】
PD-L1はまた、T細胞活性化の制御に関与する受容体およびリガンドの複雑系の一部である。正常組織内では、PD-L1は、T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、間葉幹細胞、骨髄由来肥満細胞、ならびに様々な非造血細胞で発現される。その正常な機能は、その2つの受容体であるプログラム死1(PD-1またはCD279としても既知)およびCD80(B7-1またはB7.1としても既知)との相互作用を介して、T細胞活性化および耐性の間での平衡を調節することである。PD-L1はまた、腫瘍によって発現され、複数の部位で作用し、宿主免疫系による検知および除去を腫瘍が回避することを助ける。PD-L1は、広範囲のがんにおいて高頻度で発現される。一部のがんでは、PD-L1の発現は、生存の低下および好ましくない予後に関連している。B7-H1とその受容体との相互作用を遮断する抗体は、インビトロでPD-L1依存性の免疫抑制効果を軽減し、抗腫瘍T細胞の細胞傷害性活性を増強することができる。MEDI4736は、ヒトPD-L1に特異的なヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1のPD-1およびCD80受容体双方への結合を遮断することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
がんや他の疾患と戦うための方法を開発する上で過去10年にわたり多大な進歩があるにもかかわらず、進行型の難治性および転移性疾患を有する患者が有する臨床上の選択肢は限られている。化学療法、放射線、および高用量化学療法は用量制限的になっている。特に既存の治療薬に対して耐性を示す進行型疾患またはがんを有する患者に対して、より優れた治療効果、より長期の臨床的利点、および改善された安全性特性を有する、新たな毒性が低下した方法および治療薬に向けての実質的な満たされない必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ヒト患者における非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する方法であって、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0019】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0022】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0023】
本発明はまた、治療の方法であって、MEDI4736またはその抗原結合断片(例えば、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、または20mg/kg)、およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片(例えば、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg)を、PD-L1-NSCLCまたはPD-L1+NSCLCを有するものとして同定された患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0024】
先の方法のいずれかの特定の実施形態では、MEDI4736は4週毎に投与される。特定の一実施形態では、MEDI4736は49週にわたり4週毎に投与される。先の方法のいずれかの特定の実施形態では、MEDI4736は2週毎に投与される。別の実施形態では、全部で13用量のMEDI4736が投与される。
【0025】
先の態様の特定の実施形態では、トレメリムマブは最初の21週にわたり4週毎に投与される。先の態様の他の実施形態では、トレメリムマブは25~49週にわたり12週毎に投与される。先の態様のさらに他の実施形態では、全部で9用量のトレメリムマブが投与される。
【0026】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含み、ここでMEDI4736は2週毎に投与される、方法を提供する。
【0027】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含み、ここでMEDI4736は2週毎に投与される、方法を提供する。
【0028】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含み、ここでMEDI4736は2週毎に投与される、方法を提供する。
【0029】
先の態様の特定の実施形態では、トレメリムマブは最初の25週にわたり4週毎に投与される。先の態様の他の実施形態では、トレメリムマブは25~49週にわたり12週毎に投与される。先の態様のさらに他の実施形態では、全部で9用量のトレメリムマブが投与される。
【0030】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含み、ここで投与によって腫瘍応答がもたらされる、方法を提供する。
【0031】
本発明の方法では、投与により、MEDI4736もしくはその抗原結合断片またはトレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて増強された腫瘍応答がもたらされる。
【0032】
一部の実施形態では、腫瘍応答は、2週、4週、6週、8週、または10週毎に検出され得る。他の実施形態では、腫瘍応答は、33週毎に検出され得る。他の実施形態では、腫瘍応答は、50週毎に検出され得る。
【0033】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含み、ここで投与により進行のない生存が増加する、方法を提供する。一部の実施形態では、投与により、MEDI4736もしくはその抗原結合断片またはトレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて進行のない生存の増加がもたらされる。
【0034】
本発明はまた、ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片を患者に投与するステップを含み、ここで投与により全生存が増加する、方法を提供する。一部の実施形態では、投与により、MEDI4736もしくはその抗原結合断片またはトレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて全生存の増加がもたらされる。
【0035】
本発明の方法の一部の実施形態では、投与により腫瘍応答がもたらされる。一部の実施形態では、投与により、MEDI4736もしくはその抗原結合断片またはトレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて増強された腫瘍応答がもたらされる。一部の実施形態では、腫瘍応答は8週毎に検出され得る。一部の実施形態では、腫瘍応答は33週毎に検出され得る。
【0036】
本発明の方法の一部の実施形態では、投与により進行のない生存が増加する。一部の実施形態では、投与により、MEDI4736もしくはその抗原結合断片またはトレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて進行のない生存の増加がもたらされる。
【0037】
本発明の方法の一部の実施形態では、投与により全生存が増加する。一部の実施形態では、投与により、MEDI4736もしくはその抗原結合断片またはトレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて全生存の増加がもたらされる。
【0038】
先の方法のいずれかの特定の実施形態では、MEDI4736は4週毎に投与される。特定の一実施形態では、MEDI4736は49週にわたり4週毎に投与される。別の実施形態では、全部で13用量のMEDI4736が投与される。
【0039】
先の態様の特定の実施形態では、トレメリムマブは最初の21週にわたり4週毎に投与される。先の態様の他の実施形態では、トレメリムマブは、最初の6用量後、25~49週にわたり12週毎に投与される。先の態様のさらに他の実施形態では、全部で9用量のトレメリムマブが投与される。
【0040】
本発明の方法の一部の実施形態では、トレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与は、7回投与に対して約4週毎、次に12週毎に投与される。
【0041】
本発明の方法の一部の実施形態では、投与により可溶性PD-L1が低下する。一部の実施形態では、可溶性PD-L1は、少なくとも約65%、80%、90%、95%または99%低下する。
【0042】
本発明の方法の一部の実施形態では、腫瘍は、少なくとも1つの化学療法剤に対して難治性である。かかる化学療法剤は、限定はされないが、ベムラフェニブ、エルロチニブ、アファチニブ、セツキシマブ、カルボプラチン、ベバシズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、またはペメトレキセドを含み得る。
【0043】
本発明の方法の一部の実施形態では、患者は、米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)の0~1のパフォーマンスステータス(performance status)を有する。
【0044】
本発明の方法の一部の実施形態では、患者は、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与前に免疫療法を受けていない。
【0045】
本発明の方法の一部の実施形態では、患者は、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与前に免疫療法を受けている。
【0046】
本発明の方法の一部の実施形態では、MEDI4736またはその抗原結合断片の投与は静脈内注入によるものである。
【0047】
本発明の方法の一部の実施形態では、トレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与は静脈内注入によるものである。
【0048】
本発明の方法の特定の実施形態では、投与により、腫瘍サイズがベースラインに対して少なくとも約10%、25%、50%、75%または100%縮小する。
【0049】
本発明の方法の特定の実施形態では、ヒト患者は、限局的に進行型の切除不能または転移性NSCLCを有する。本発明の方法の特定の実施形態では、NSCLCは扁平上皮または非扁平上皮である。本発明の方法の他の実施形態では、NSCLCはKRAS突然変異またはEGFR突然変異を含む。
【0050】
本発明の方法の一部の実施形態では、MEDI4736またはその抗原結合断片はMEDI4736であり、かつトレメリムマブまたはその抗原結合断片はトレメリムマブである。
【0051】
別の態様では、本発明は、MEDI4736またはMEDI4736の抗原結合断片をトレメリムマブまたはトレメリムマブの抗原結合断片と併用してがんを治療する方法を提供する。本発明の一部の実施形態では、がんは、前立腺がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、大腸がん、肺がん、NSCLC、頭頚部がん、メラノーマ、胃がん、膵がん、卵巣がん、腎細胞がん、および肝がんから選択される。
本発明はまた、以下に関する。
[項目1]ヒト患者における非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する方法であって、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目2]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目3]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目4]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目5]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目6]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目7]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目8]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目9]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目10]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目11]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目12]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目13]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目14]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目15]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目16]前記MEDI4736が4週毎に投与される、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
[項目17]前記MEDI4736が49週間、4週毎に投与される、項目16に記載の方法。
[項目18]全部で13用量のMEDI4736が投与される、項目17に記載の方法。[項目19]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含み、ここで前記MEDI4736は2週毎に投与される、方法。
[項目20]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含み、ここで前記MEDI4736は2週毎に投与される、方法。
[項目21]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含み、ここで前記MEDI4736は2週毎に投与される、方法。
[項目22]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含み、ここで前記投与により腫瘍応答がもたらされる、方法。
[項目23]前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて増強された腫瘍応答がもたらされる、項目22に記載の方法。
[項目24]前記腫瘍応答が、2、4、6、8、または10週毎に検出され得る、項目22または23に記載の方法。
[項目25]前記腫瘍応答が8週毎に検出され得る、項目22または23に記載の方法。[項目26]前記腫瘍応答が33週毎に検出され得る、項目22または23に記載の方法。
[項目27]前記腫瘍応答が50週毎に検出され得る、項目22または23に記載の方法。
[項目28]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含み、ここで前記投与により進行のない生存が増加する、方法。
[項目29]前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて進行のない生存の増加がもたらされる、項目28に記載の方法。
[項目30]ヒト患者におけるNSCLCを治療する方法であって、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含み、ここで前記投与により全生存が増加する、方法。
[項目31]前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて全生存の増加がもたらされる、項目30に記載の方法。
[項目32]前記投与により腫瘍応答がもたらされる、項目1~31のいずれか一項に記載の方法。
[項目33]前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて増強された腫瘍応答がもたらされる、項目32に記載の方法。
[項目34]前記腫瘍応答が8週毎に検出され得る、項目32または33に記載の方法。[項目35]前記腫瘍応答が33週毎に検出され得る、項目32または33に記載の方法。
[項目36]前記投与により進行のない生存が増加する、項目1~35のいずれか一項に記載の方法。
[項目37]前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて進行のない生存の増加がもたらされる、項目36に記載の方法。
[項目38]前記投与により全生存が増加する、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
[項目39]前記投与により、前記MEDI4736もしくはその抗原結合断片または前記トレメリムマブもしくはその抗原結合断片のいずれかの単独投与と比べて全生存の増加がもたらされる、項目38に記載の方法。
[項目40]MEDI4736またはその抗原結合断片の前記投与が約4週毎に反復される、項目32~39のいずれか一項に記載の方法。
[項目41]トレメリムマブまたはその抗原結合断片の前記投与が約4週毎に反復される、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目42]トレメリムマブまたはその抗原結合断片の前記投与が約12週毎に反復される、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目43]トレメリムマブまたはその抗原結合断片の前記投与が、7回投与に対して約4週毎、次に12週毎に投与される、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目44]前記投与により可溶性PD-L1が低下する、項目1~43のいずれか一項に記載の方法。
[項目45]可溶性PD-L1が少なくとも65%低下する、項目44に記載の方法。
[項目46]可溶性PD-L1が少なくとも80%低下する、項目45に記載の方法。
[項目47]可溶性PD-L1が少なくとも90%低下する、項目46に記載の方法。
[項目48]可溶性PD-L1が少なくとも95%低下する、項目47に記載の方法。
[項目49]可溶性PD-L1が少なくとも99%低下する、項目48に記載の方法。
[項目50]前記固形腫瘍が少なくとも1つの化学療法剤に対して難治性である、項目1~49のいずれか一項に記載の方法。
[項目51]前記化学療法剤が、ベムラフェニブ、エルロチニブ、アファチニブ、セツキシマブ、カルボプラチン、ベバシズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、またはペメトレキセドである、項目50に記載の方法。
[項目52]前記患者が、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)の0~1のパフォーマンスステータスを有する、項目1~51のいずれか一項に記載の方法。
[項目53]前記患者が、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の前記投与前に免疫療法を受けていない、項目1~52のいずれか一項に記載の方法。
[項目54]前記患者が、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の前記投与前に免疫療法を受けている、項目1~53のいずれか一項に記載の方法。
[項目55]MEDI4736またはその抗原結合断片の前記投与が静脈内注入によるものである、項目1~54のいずれか一項に記載の方法。
[項目56]トレメリムマブまたはその抗原結合断片の前記投与が静脈内注入によるものである、項目1~55のいずれか一項に記載の方法。
[項目57]前記MEDI4736またはその抗原結合断片がMEDI4736であり、かつ前記トレメリムマブまたはその抗原結合断片がトレメリムマブである、項目1~56のいずれか一項に記載の方法。
[項目58]前記投与により、腫瘍サイズがベースラインに対して少なくとも約10%縮小する、項目1~57のいずれか一項に記載の方法。
[項目59]前記投与により、腫瘍サイズがベースラインに対して少なくとも約25%または50%縮小する、項目1~58のいずれか一項に記載の方法。
[項目60]前記ヒト患者が限局的に進行型の切除不能または転移性NSCLCを有する、項目1~59のいずれか一項に記載の方法。
[項目61]前記NSCLCが扁平上皮または非扁平上皮である、項目1~60のいずれか一項に記載の方法。
[項目62]前記NSCLCがKRAS突然変異またはEGFR突然変異を含む、項目1~61のいずれか一項に記載の方法。
[項目63]前記NSCLCがPD-L1陽性である、項目1~62のいずれか一項に記載の方法。
[項目64]前記NSCLCがPD-L1陰性である、項目1~62のいずれか一項に記載の方法。
[項目65]MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片を、PD-L1-またはPD-L1+NSCLCを有するものとして同定された患者に投与するステップを含む、治療方法。
[項目66]1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目67]3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目68]10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目69]15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目70]10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目71]20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目72]15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目73]15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目74]20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目75]20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目76]10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目77]3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目78]3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目79]1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目80]1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、項目65に記載の方法。
[項目81]前記MEDI4736またはその抗原結合断片が2週毎に投与される、項目65~80のいずれか一項に記載の方法。
[項目82]前記MEDI4736またはその抗原結合断片が4週毎に投与される、項目65~80のいずれか一項に記載の方法。
[項目83]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目84]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目85]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目86]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目87]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目88]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目89]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目90]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目91]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目92]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目93]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目94]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目95]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目96]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目97]ヒト患者におけるがんを治療する方法であって、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片を前記患者に投与するステップを含む、方法。
[項目98]前記MEDI4736が4週毎に投与される、項目83~97のいずれか一項に記載の方法。
[項目99]前記MEDI4736が49週間、4週毎に投与される、項目98に記載の方法。
[項目100]全部で13用量のMEDI4736が投与される、項目99に記載の方法。
[項目101]がんが、前立腺がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、大腸がん、肺がん、NSCLC、頭頚部がん、メラノーマ、胃がん、膵がん、卵巣がん、腎細胞がん、および肝がんから選択される、項目83~97のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】治療スキーマを示す。MTD=最大耐容量。
図2】用量漸増および用量拡大スキーマを示す。
図3】用量漸増試験設計を示す。DLT=用量制限毒性。
図4】MEDI4736の薬物動態学的(PK)特性を示すグラフおよび表を提供する。Q4W=4週毎。LLOQ=定量下限。AUC=曲線下面積。
図5】トレメリムマブの薬物動態学的特性を示すグラフおよび表を提供する。
図6】可溶性PD-L1特性(sPD-L1)の絶対濃度を示すグラフである。
図7】可溶性PD-L1のパーセント抑制を示すグラフである。
図8】個別の患者におけるMEDI4736の薬物動態学的(PK)パラメータを示すグラフである。
図9】個別の患者におけるトレメリムマブの薬物動態学的(PK)パラメータを示すグラフである。
図10A】グレード1またはグレード2の毒性に基づくMEDI4736およびトレメリムマブの用量変更を示す表である。
図10B】グレード3またはグレード4の毒性に基づくMEDI4736およびトレメリムマブの用量変更を示す表である。
図11】試験基準を示す表である。
図12】試験登録を示す。
図13】投与患者における関連有害事象(AE)を示す。
図14】最初の4つのコホートにおけるベースラインからの腫瘍サイズ変化を示す。
図15】試験されたMEDI4736およびトレメリムマブの用量およびスケジュールを示す。
図16】MEDI4736およびトレメリムマブの併用投与を受けた個別特性でのsPD-L1の抑制を示す。
図17】コホートによってグループ化された、MEDI4736およびトレメリムマブの併用投与を受けた個別特性でのsPD-L1の抑制を示す。
図18】MEDI4736およびトレメリムマブを受けた被験者におけるCD4 Ki67+およびCD8 Ki67増殖性細胞のベースラインからの増加を、MEDI4736単独を受けた被験者における増加と比べて示す。CD4 Ki67+およびCD8 Ki67増殖性細胞のベースラインからの増加は、トレメリムマブ用量の増加と相関した。
図19】MEDI4736およびトレメリムマブを受けた被験者におけるCD4 ICOS+およびCD4 HLADR+細胞のベースラインからの増加を、MEDI4736単独を受けた被験者における増加と比べて示す。CD4 ICOS+およびCD4 HLADR+細胞のベースラインからの増加は、トレメリムマブ用量の増加と相関した。
図20】MEDI4736およびトレメリムマブを受けた被験者におけるCD4+Tエフェクター細胞のベースラインからの増加を、MEDI4736単独を受けた被験者における増加と比べて示す。CD4+Tエフェクター細胞のベースラインからの増加は、トレメリムマブ用量の増加と相関した。
図21】MEDI4736およびトレメリムマブを受けた被験者におけるTreg細胞のベースラインからの増加を、MEDI4736単独を受けた被験者における増加と比べて示す。Treg細胞のベースラインからの増加は、トレメリムマブ用量の増加と相関した。
図22】トレメリムマブと組み合わせたMEDI4736療法の臨床活性をMEDI4736単独療法と比べて示す表である。
図23】トレメリムマブ用量:1mg/kg(左上パネル);10mg/kg(右上パネル);および3mg/kg(下パネル)によって固定されたコホートにおける腫瘍サイズのベースラインからの変化を示すスパイダープロットである。
図24】トレメリムマブ用量:1mg/kg;10mg/kg;および3mg/kgによって固定された組み合わせコホートにおける≧グレード3の関連有害事象(AE)の発生時間をMEDI4736単独療法と比べて示すグラフである。
図25】MEDI4736用量:10mg/kg Q4W(左上パネル);15mg/kg Q4W(右上パネル);20mg/kg Q4W(左下パネル);および10mg/kg Q2W(右下パネル)によって固定されたコホートにおける腫瘍サイズのベースラインからの変化を示すスパイダープロットである。
図26】MEDI4736用量:1mg/kg;10mg/kg;および3mg/kgによって固定された組み合わせコホートにおける≧グレード3の関連有害事象(AE)の発生時間をMEDI4736単独療法と比べて示すグラフである。
図27】MEDI4736およびトレメリムマブを受けたNSCLC患者の選択されたコホートにおける腫瘍サイズのベースラインからの変化(左パネル)をMEDI4736(10mg/kg Q4W)単独を受けたNSCLC患者の場合(右パネル)と比べて示すスパイダープロットである。
図28】選択された組み合わせコホートにおける≧グレード3の関連有害事象(AE)の発生時間(左および右パネル)をMEDI4736単独療法(左パネル)と比べて示すグラフである。
図29】MEDI4736およびトレメリムマブを受けたNSCLCを有する患者の全試験コホートにおける腫瘍サイズのベースラインからの変化を示すスパイダープロットである。
図30】MEDI4736およびトレメリムマブを受けたPD-L1陰性NSCLCを有する患者の選択されたコホートにおける腫瘍サイズのベースラインからの変化(左パネル)をMEDI4736(10mg/kg;CP1108)単独を受けた患者の場合(右パネル)と比べて示すスパイダープロットである。
図31】MEDI4736およびトレメリムマブを受けたPD-L1陽性NSCLCを有する患者の選択されたコホートにおける腫瘍サイズのベースラインからの変化(左パネル)をMEDI4736(10mg/kg;CP1108)単独を受けた患者(右パネル)と比べて示すスパイダープロットである。
図32】MEDI4736およびトレメリムマブを受けたPD-L1陰性NSCLCを有する患者の選択されたコホートにおける腫瘍サイズのベースラインからの変化を示す、トレメリムマブ用量:1mg/kg(左パネル)、3mg/kg(中央パネル)、および10mg/kg(右パネル)によって固定されたスパイダープロットである。
図33】MEDI4736およびトレメリムマブを受けたPD-L1陰性NSCLCを有する患者の選択されたコホートにおける腫瘍サイズのベースラインからの変化を示す、MEDI4736用量:10mg/kg Q4W(左上パネル)、15mg/kg(右上パネル)、および20mg/kg(左下パネル)によって固定されたスパイダープロットである。
図34A図29でのMEDI4736およびトレメリムマブを受けたNSCLC患者における、NSCLC PD-L1状態に応じたグループ化における全NSCLC患者の腫瘍サイズのベースラインからの変化を示すスパイダープロットである。
図34B図29でのMEDI4736およびトレメリムマブを受けたNSCLC患者における、NSCLC PD-L1状態に応じたグループ化におけるPD-L1-NSCLCを有すると同定された患者の腫瘍サイズのベースラインからの変化を示すスパイダープロットである。
図34C図29でのMEDI4736およびトレメリムマブを受けるNSCLC患者における、NSCLC PD-L1状態に応じたグループ化におけるPD-L1+NSCLCを有すると同定された患者の腫瘍サイズのベースラインからの変化を示すスパイダープロットである。
図34D図29でのMEDI4736およびトレメリムマブを受けるNSCLC患者における、NSCLC PD-L1状態に応じたグループ化における利用できないNSCLC PD-L1状態を有する患者の腫瘍サイズのベースラインからの変化を示すスパイダープロットである。
図35】MEDI4736およびトレメリムマブを受けたNSCLC患者における腫瘍サイズのベースラインからの最良変化を示すウォーターフォールプロットである。
図36】NSCLCのPD-L1状態に応じて同定された、図35でのMEDI4736およびトレメリムマブを受けたNSCLC患者における腫瘍サイズのベースラインからの最良変化を示すウォーターフォールプロットである。
図37】MEDI4736およびトレメリムマブを受けたNSCLC患者における追跡調査期間を示すスイムレーンプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
用語「a」または「an」の実体は、その実体の1つ以上を指すことは認められるべきであり、例えば「抗体(an antibody)」は、1つ以上の抗体を表すように理解される。このように、用語「a」(または「an」)、「1つ以上(one or more)」、および「少なくとも1つ(at least one)」は、本明細書中で交換可能に用いられ得る。
【0054】
本明細書に提供されるのは、MEDI4736およびトレメリムマブを用いて非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する方法である。NSCLCには、扁平上皮がん、腺がん、および大細胞(未分化)がんという3つの主なサブタイプがある。他のサブタイプは、腺扁平上皮がんおよび肉腫様癌を含む。NSCLCは、KRASまたは上皮成長因子受容体に突然変異を含み得る。かかる突然変異は、当該技術分野で公知であり、例えば、Riely et al.,Proc Am Thorac Soc.2009 Apr 15;6(2):201-5(参照により本明細書中に援用される)によって記載されている。
【0055】
さらに、本明細書に提供されるのは、MEDI4736およびトレメリムマブを用いてがんまたは腫瘍性成長を治療する方法である。本明細書で使用されるとき、「がん」は、異常細胞の制御されない分裂によって引き起こされる疾患を指す。がんの例として、前立腺がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、大腸がん、肺がん、NSCLC、頭頚部がん、メラノーマ、胃がん、膵がん、卵巣がん、腎細胞がん、および肝がんが挙げられる。
【0056】
提供される方法は、有効量のMEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片を投与するステップを含む。
【0057】
「MEDI4736」は、PD-L1ポリペプチドに選択的に結合し、かつ配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の少なくとも一部および/または配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の少なくとも一部を含む抗体またはその抗原結合断片を意味する。
【0058】
本明細書に提供される方法において用いられるMEDI4736(またはその抗原結合断片)に関する情報は、米国特許第8,779,108号明細書(その開示はその全体が参照により本明細書中に援用される)中に見出され得る。MEDI4736の結晶化可能断片(Fc)ドメインは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)の媒介に関与する補体成分C1qおよびFcγ受容体への結合を低下させるIgG1重鎖の定常ドメイン内に三重突然変異を有する。MEDI4736は、PD-L1に対して選択的であり、PD-L1のPD-1およびCD80受容体への結合を遮断する。MEDI4736は、インビトロでヒトT細胞活性化のPD-L1媒介性抑制を軽減することができ、T細胞依存性機構を介して異種移植片モデルでの腫瘍成長を阻害する。
【0059】
本明細書に提供される方法において用いられるMEDI4736は、重鎖および軽鎖または重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。具体的な態様では、本明細書に提供される方法において用いられるMEDI4736またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。具体的な態様では、本明細書に提供される方法において用いられるMEDI4736またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで重鎖可変領域は配列番号3~5のKabat定義のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、またここで軽鎖可変領域は配列番号6~8のKabat定義のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。当業者であれば、当業者に公知のChothia-定義、Abm-定義または他のCDR定義を容易に同定できることになる。具体的な態様では、本明細書に提供される方法において用いられるMEDI4736またはその抗原結合断片は、米国特許第8,779,108号明細書(その全体が参照により本明細書に援用される)に開示される通りの2.14H9OPT抗体の可変重鎖CDR配列および可変軽鎖CDR配列を含む。
【0060】
「トレメリムマブ」は、CTLA4ポリペプチドに選択的に結合し、かつ配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域の少なくとも一部および/または配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域の少なくとも一部を含む抗体またはその抗原結合断片を意味する。代表的な抗CTLA4抗体は、例えば、米国特許第6,682,736号明細書;米国特許第7,109,003号明細書;米国特許第7,123,281号明細書;米国特許第7,411,057号明細書;米国特許第7,824,679号明細書;米国特許第8,143,379号明細書;米国特許第7,807,797号明細書;および米国特許第8,491,895号明細書(トレメリムマブはその中の11.2.1である)(参照により本明細書に援用される)に記載されている。トレメリムマブは、代表的な抗CTLA4抗体である。トレメリムマブ配列は下の配列表中に提供される。
【0061】
本明細書に提供される方法において用いられるトレメリムマブ(またはその抗原結合断片)に関する情報は、米国特許第6,682,736号明細書中に見出され得(ここでそれは11.2.1と称される)、その開示はその全体が参照により本明細書中に援用される。トレメリムマブ(CP-675、206、CP-675、CP-675206、およびチシリムマブとしても公知)は、CTLA4に対して高度に選択的であり、かつCTLA4のCD80(B7.1)およびCD86(B7.2)への結合を遮断するヒトIgG2モノクローナル抗体である。トレメリムマブはインビトロでの免疫活性化をもたらすことが示されており、またトレメリムマブで治療された一部の患者が腫瘍退縮を示している。
【0062】
本明細書に提供される方法において用いられるトレメリムマブおよびその抗原結合断片は、重鎖および軽鎖または重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。具体的な態様では、本明細書に提供される方法において用いられるトレメリムマブまたはその抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域および配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。具体的な態様では、本明細書に提供される方法において用いられるトレメリムマブまたはその抗原結合断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここで重鎖可変領域は配列番号11~13のKabat定義のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含み、また軽鎖可変領域は配列番号14~16のKabat定義のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む。当業者であれば、当業者に公知のChothia-定義、Abm-定義または他のCDR定義を容易に同定できることになる。具体的な態様では、本明細書に提供される方法において用いられるトレメリムマブまたはその抗原結合断片は、米国特許第6,682,736号明細書(その全体が参照により本明細書に援用される)に開示される、11.2.1抗体の可変重鎖CDR配列および可変軽鎖CDR配列を含む。
【0063】
用語「抗原結合断片」はインタクトな抗体の一部を指し、および/またはインタクトな抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体の抗原結合機能が完全長抗体の断片によって果たされ得ることは公知である。抗体断片の例として、限定はされないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片、直鎖抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体、および抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。
【0064】
特定の態様では、NSCLCを呈する患者に、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与される。MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片は、患者に依然として利益をもたらす間、1回限りまたは低頻度に投与され得る。さらなる態様では、患者は追加的な継続用量での投与を受ける。継続用量は、患者の年齢、体重、臨床評価、腫瘍量、および/または主治医の判断を含む他の要素に応じて、様々な時間間隔で投与され得る。
【0065】
MEDI4736またはその抗原結合断片の投与間隔は4週毎であり得る。トレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与間隔は4週毎であり得る。トレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与間隔は12週毎であり得る。トレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与間隔は6サイクルに対して4週毎、次いで12週毎であり得る。
【0066】
特定の態様では、MEDI4736またはその抗原結合断片は、トレメリムマブまたはその抗原結合断片とほぼ同じ頻度で投与される。特定の態様では、MEDI4736またはその抗原結合断片は、トレメリムマブまたはその抗原結合断片の約3倍の頻度で投与される。
【0067】
一部の実施形態では、少なくとも2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。一部の実施形態では、少なくとも3用量、少なくとも4用量、少なくとも5用量、少なくとも6用量、少なくとも7用量、少なくとも8用量、少なくとも9用量、少なくとも10用量、または少なくとも15回以上の用量が患者に投与され得る。一部の実施形態では、MEDI4736またはその抗原結合断片は、4週間の治療期間にわたり、8週間の治療期間にわたり、16週間の治療期間にわたり、20週間の治療期間にわたり、24週間の治療期間にわたり、または1年以上の治療期間にわたり投与される。一部の実施形態では、トレメリムマブまたはその抗原結合断片は、4週間の治療期間にわたり、8週間の治療期間にわたり、12週間の治療期間にわたり、16週間の治療期間にわたり、20週間の治療期間にわたり、24週間の治療期間にわたり、36週間の治療期間にわたり、48週間の治療期間にわたり、または1年以上の治療期間にわたり投与される。
【0068】
一部の実施形態では、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片は、同じ日に投与される。一部の実施形態では、MEDI4736またはその抗原結合断片は、トレメリムマブまたはその抗原結合断片と同時に投与される。他の実施形態では、MEDI4736またはその抗原結合断片は、トレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与から約1時間後に投与される。
【0069】
患者に投与されるべきMEDI4736またはその抗原結合断片の量およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の量は、患者の年齢、体重、臨床的評価、腫瘍組織量および/または主治医の判断を含む他の要素などの様々なパラメータに依存することになる。
【0070】
特定の態様では、患者には、1用量以上のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約1mg/kgである。特定の態様では、患者には、1用量以上のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約3mg/kgである。特定の態様では、患者には、1用量以上のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約10mg/kgである。特定の態様では、患者には、1用量以上のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約15mg/kgである。特定の態様では、患者には、1用量以上のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約20mg/kgである。
【0071】
特定の態様では、患者には、少なくとも2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約1mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約3mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約10mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約15mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約20mg/kgである。一部の実施形態では、少なくとも2用量は約4週毎に投与される。
【0072】
特定の態様では、患者には、少なくとも3用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約1mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも3用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約3mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも3用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約10mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも3用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約15mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも3用量のMEDI4736またはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約20mg/kgである。一部の実施形態では、少なくとも3用量は約4週毎に投与される。
【0073】
特定の態様では、患者には、1用量以上のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約1mg/kgである。特定の態様では、患者には、1用量以上のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約3mg/kgである。特定の態様では、患者には、1用量以上のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約10mg/kgである。
【0074】
特定の態様では、患者には、少なくとも2用量のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約1mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも2用量のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約3mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも2用量のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約10mg/kgである。一部の実施形態では、少なくとも2用量は約4週毎に投与される。一部の実施形態では、少なくとも2用量は約12週毎に投与される。
【0075】
特定の態様では、患者には、少なくとも3用量のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約1mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも3用量のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約3mg/kgである。特定の態様では、患者には、少なくとも3用量のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が投与され、ここで用量は約10mg/kgである。一部の実施形態では、少なくとも3用量は約4週毎に投与される。一部の実施形態では、少なくとも3用量は約12週毎に投与される。
【0076】
特定の態様では、本明細書に提供される方法に従うMEDI4736もしくはその抗原結合断片および/またはトレメリムマブもしくは抗原結合断片の投与は、非経口投与を介する。例えば、MEDI4736もしくはその抗原結合断片および/またはトレメリムマブもしくは抗原結合断片は、静脈内注入または皮下注射により投与され得る。一部の実施形態では、投与は静脈内注入によるものである。
【0077】
特定の態様では、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、1mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。
【0078】
特定の態様では、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、3mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。
【0079】
特定の態様では、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、10mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。
【0080】
特定の態様では、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、15mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。
【0081】
特定の態様では、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および1mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および3mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。特定の態様では、20mg/kgのMEDI4736またはその抗原結合断片および10mg/kgのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が患者に投与される。
【0082】
本明細書に提供される方法により、腫瘍成長が低下し得るか、遅延し得るか、または安定化し得る。一部の態様では、低下または遅延は統計学的に有意であり得る。腫瘍成長の低下は、ベースラインでの患者の腫瘍の成長に対して、想定される腫瘍成長に対して、大規模患者集団に基づいた想定される腫瘍成長に対して、または対照集団の腫瘍成長に対して比較することにより、測定することができる。特定の態様では、腫瘍応答は、固形癌効果判定基準(RECIST)を用いて測定される。
【0083】
特定の態様では、腫瘍応答は8週目に検出可能である。特定の態様では、腫瘍応答は33週目に検出可能である。特定の態様では、腫瘍応答は50週目に検出可能である。
【0084】
特定の態様では、腫瘍応答は、2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片および2用量のトレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与後に検出可能である。特定の態様では、腫瘍応答は、8用量のMEDI4736またはその抗原結合断片および7用量のトレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与後に検出可能である。特定の態様では、腫瘍応答は、13用量のMEDI4736またはその抗原結合断片および9用量のトレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与後に検出可能である。
【0085】
特定の態様では、患者は疾患コントロール(DC)を達成する。疾患コントロールは、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、または安定疾患(SD)であり得る。
【0086】
「完全寛解」(CR)、「部分寛解」(PR)、および「安定疾患」(SD)は、下の表1中に定義のように判定され得る。
【0087】
特定の態様では、MEDI4736またはその抗原結合断片の投与により、進行のない生存(PFS)が増加し得る。
【0088】
特定の態様では、MEDI4736またはその抗原結合断片の投与により、全生存(OS)が増加し得る。
【0089】
一部の実施形態では、患者は、少なくとも1つの化学療法剤を用いる治療を予め受けている。一部の実施形態では、患者は、少なくとも2つの化学療法剤を用いる治療を予め受けている。化学療法剤として、例えば限定はされないが、ベムラフェニブ、エルロチニブ、アファチニブ、セツキシマブ、カルボプラチン、ベバシズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、および/またはペメトレキセドであり得る。
【0090】
一部の実施形態では、NSCLCは、少なくとも1つの化学療法剤に対して難治性または耐性を示す。一部の実施形態では、同腫瘍は、少なくとも2つの化学療法剤に対して難治性または耐性を示す。同腫瘍は、例えば限定はされないが、ベムラフェニブ、エルロチニブ、アファチニブ、セツキシマブ、カルボプラチン、ベバシズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、および/またはペメトレキセドのうちの1つ以上に対して難治性または耐性を示し得る。一部の実施形態では、NSCLCはPD-L1に対して陰性である。一部の実施形態では、NSCLCはPD-L1に対して陽性である。
【0091】
一部の実施形態では、患者は、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与前に、米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)(Oken MM,et al.Am.J.Clin.Oncol.5:649-55(1982))の0または1のパフォーマンスステータスを有する。
【0092】
本明細書に提供される方法によると、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与により、一部の初期データ中に示されるような望ましい薬物動態学的パラメータが得られ得る。総薬物暴露は、「曲線下面積」(AUC)を用いて評価され得る。「AUC(τ)」は時刻0から時刻τまでの投与間隔のAUCを指す一方、「AUC(inf)」は無限時間までのAUCを指す。投与により、AUC(τ)が約600~約3,000μg/mL*日のMEDI4736またはその抗原結合断片および約250~約350μg/mL*日のトレメリムマブまたはその抗原結合断片が得られ得る。投与により、最高観測濃度(Cmax)が約60~約300μg/mLのMEDI4736またはその抗原結合断片および約25~約35μg/mLのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が得られ得る。投与により、Ctrough(最低血漿薬物濃度)が約5~約40μg/mLのMEDI4736またはその抗原結合断片および約4~約6μg/mLのトレメリムマブまたはその抗原結合断片が得られ得る。
【0093】
本明細書に提供される通り、MEDI4736またはその抗原結合断片はまた、遊離(可溶性)PD-L1レベルを低下させ得る。遊離(可溶性)PD-L1は、(例えばMEDI4736によって)結合されていないPD-L1を指す。一部の実施形態では、PD-L1レベルは少なくとも65%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは少なくとも80%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは少なくとも90%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは少なくとも95%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは少なくとも99%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の投与後、検出不能である。
【0094】
一部の実施形態では、PD-L1レベルは、MEDI4736またはその抗原結合断片の単回投与後、少なくとも65%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、MEDI4736またはその抗原結合断片の単回投与後、少なくとも80%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、MEDI4736またはその抗原結合断片の単回投与後、少なくとも90%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、MEDI4736またはその抗原結合断片の単回投与後、少なくとも95%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、MEDI4736またはその抗原結合断片の単回投与後、少なくとも99%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、MEDI4736またはその抗原結合断片の単回投与後、検出不能である。
【0095】
一部の実施形態では、PD-L1レベルは、2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片の投与後、少なくとも65%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片の投与後、少なくとも80%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片の投与後、少なくとも90%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片の投与後、少なくとも95%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片の投与後、少なくとも99%低下する。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、2用量のMEDI4736またはその抗原結合断片の投与後、検出不能である。
【0096】
本明細書に提供されるMEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の双方を用いた固形腫瘍を有する患者の治療(すなわち併用療法)は相乗効果をもたらし得る。本明細書で使用されるとき、用語「相乗」は、治療薬の組み合わせ(例えば、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の組み合わせ)を指し、単一の治療薬の相加的効果より有効である。
【0097】
治療薬の組み合わせ(例えば、MEDI4736またはその抗原結合断片およびトレメリムマブまたはその抗原結合断片の組み合わせ)の相乗効果により、より低用量の1つ以上の治療薬の使用および/または前記治療薬の固形腫瘍を有する患者へのより低頻度の投与が許容される。より低用量の治療薬を利用する能力および/または前記治療薬をより低頻度に投与する能力により、固形腫瘍の治療における前記治療薬の有効性が低下することなく、前記治療薬の被験者への投与に関連した毒性が低下する。さらに、相乗効果により、固形腫瘍の管理、治療、または寛解における治療薬の改善された有効性がもたらされ得る。治療薬の組み合わせの相乗効果により、いずれかの単一治療の使用に関連した有害または不必要な副作用が回避または低減され得る。
【0098】
併用療法では、MEDI4736またはその抗原結合断片は、任意選択的にトレメリムマブまたはその抗原結合断片と同じ医薬組成物中に含まれ得るか、あるいは別の医薬組成物中に含まれ得る。この後者の場合、MEDI4736またはその抗原結合断片を含む医薬組成物は、トレメリムマブまたはその抗原結合断片を含む医薬組成物の投与に対する前投与、同時投与、または後投与に適している。特定の場合、MEDI4736またはその抗原結合断片は、別の組成物中のトレメリムマブまたはその抗原結合断片と重複する時点に投与される。
【0099】
肺がん(例えば非小細胞肺がん)を患う被験者は、治療方法を選択する過程で、PD-L1ポリヌクレオチドまたはポリペプチド発現について試験してもよい。PD-L1が陰性である腫瘍を有するものとして(例えばCtまたはIHC-Mスコアによって規定)、または参照レベルと比べて低下しているもしくは検出できないレベルのPD-L1を有することにより同定された患者は、抗PD-L1抗体およびトレメリムマブの併用治療に応答性を示すものとして同定される。かかる患者には、MEDI4736またはその抗原結合断片がトレメリムマブまたはその抗原結合断片と併用投与される。
【実施例
【0100】
実施例1:患者および方法
(a)被験者
本試験における被験者は、18歳以上であり、かつ、固形癌効果判定基準(RECIST)ガイドラインv1.1(その全体が参照により本明細書に援用される)に従うと、少なくとも1つの測定可能な病変を伴う組織学的または細胞学的に確認された非小細胞肺がん(NSCLC;扁平上皮および非扁平上皮)を有することが求められる。
【0101】
用量漸増段階および用量拡大段階の双方においては、コホートに特異的な先行的な免疫療法の要件は、次の通りである。a)免疫療法を受けていないコホート:免疫療法、例えば限定はされないが、他の抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、または抗PD-L1抗体(ワクチンを除く)への先行的な曝露を有する必要がない;およびb)免疫療法で前治療されたコホート:免疫療法、例えば限定はされないが、MEDI4736およびトレメリムマブの初回投与前の28日より長い期間、他の抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、または抗PD-L1抗体(ワクチンを除く)への先行的な曝露を有している必要がある。
【0102】
被験者はまた、標準治療に応答できていないか、標準治療後に再発しているか、標準治療を拒否しているか、または標準治療に適格でなかったことが求められる。被験者は、米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)の0~1のパフォーマンスステータスを有することになる。
【0103】
中枢神経系(CNS)転移を有する被験者は、試験1日目に無症候性でなければならない。さらに、1日目までに、放射線治療の最終日から磁気共鳴画像法(MRI)/コンピュータ断層撮影(CT)による証拠としてCNS転移の進行のない状態で少なくとも28週、またコルチコステロイドの最終投与から少なくとも14日、経過している必要がある。
【0104】
被験者はまた、適切な器官(肝臓および腎臓)および骨髄機能を有することが求められる。適切な器官および骨髄機能は、ヘモグロビン≧9g/dL;絶対好中球数≧1,500/mm3;血小板数≧100,000/mm3;総ビリルビン≦1.5×正常上限(ULN)、但しギルバート症候群または肝転移を伴わない場合(これらの被験者では、ベースラインの総ビリルビンは≦3.0mg/dLである必要がある);アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)は≦2.5×ULNでなければならない、但し肝転移を伴わない場合(これらの被験者では、ALTおよびASTは≦5×ULNである必要がある);ならびに血清クレアチニン≦2.0mg/dL、と定義される。
【0105】
被験者は、がん治療のための任意の化学療法、免疫療法、生物学的療法、またはホルモン療法を同時に受けている場合、参加することができない。被験者は、MEDI4736およびトレメリムマブの初回投与前の28日以内に任意の抗がん治験薬を服用している場合、参加することができない。被験者は、抗CTLA-4治療を含む免疫療法を受ける間での任意の先行的なグレード≧3の免疫関連有害事象(irAE)、または任意の未解明のirAE>グレード1を有する場合、参加することができない。被験者はまた、MEDI4736およびトレメリムマブの初回投与前の28日以内に主な外科手技(治験責任医師によって規定されたもの)を受けている場合かまたは先行する手術からまだ回復途中にある場合、参加することができない。被験者はまた、脱毛症を例外として国立がん研究所の有害事象共通用語規準(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events)(NCI CTCAE)v4.03のグレード0または1や、組み入れ基準毎に列挙される臨床検査値に未解明な状況として規定された、先行する抗がん治療薬からの未解明の毒性を有する場合、参加することができない。MEDI4736およびトレメリムマブによって悪化することが合理的に予想されない不可逆毒性を有する被験者は含めることができる。被験者は、プレドニゾンまたは等価物が10mg/日を超えない程度の生理的用量での鼻腔内および吸入コルチコステロイドまたは全身性コルチコステロイドを例外として、免疫抑制薬を現在使用中であるかまたはMEDI4736およびトレメリムマブの初回投与前の14日以内で使用している場合もまた除外される。
【0106】
被験者は、過去3年以内に、炎症性腸疾患、憩室炎、過敏性腸疾患、セリアック病、ウェゲナー症候群、および橋本症候群を含むが、全身治療を必要としない白斑、脱毛症、グレーブ病、または乾癬(過去3年以内)を除く、活動性または先行性の自己免疫疾患を有する場合、参加することができない。被験者は、原発性免疫不全または結核の病歴を有する場合、既知の活動性または慢性のウイルス性A型肝炎、B型肝炎、またはC型肝炎を有する場合;ヒト免疫不全ウイルス(HIV);他の活動性の重篤な病気または制御されない介入性の病気を有する場合;MEDI4736およびトレメリムマブの初回投与前の28日以内に生弱毒化ワクチンを受けている場合;5年以内に他の浸潤性悪性腫瘍を有する場合;あるいは試験薬製剤に対する既知のアレルギーまたは過敏症を有する場合もまた参加することができない。
【0107】
被験者は、未分化リンパ腫受容体チロシンキナーゼ(ALK)の遺伝子再構成または上皮成長因子受容体(EGFR)感作性突然変異を内在する腫瘍を伴う進行型NSCLCを有し、かつ適切なチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療を受けていない場合もまた参加することができない。これらの被験者は、適切なTKIに対して増悪または不耐容が記録された後、登録することができる。
【0108】
(b)試験の設計
試験は、MEDI4736およびトレメリムマブの組み合わせに関する非盲検第1b相試験である(図1)。コホートにおける主要な試験基準を図11に示す。試験では、用量漸増段階および用量拡大段階において約36名の被験者を、また免疫療法を受けていないコホートおよび免疫療法で前治療されたコホートの各々において最低20名の被験者を登録することになる。最大耐容量(MTD)またはプロトコルで規定された最高用量(用量漸増段階中に免疫療法を受けていないコホートにおいて決定されたMTDを超えない場合で各薬剤に対する)は、用量漸増段階の一部としての免疫療法で前治療されたコホート内の登録された被験者における開始用量として役立つことになる。免疫療法で前治療されたコホートにおける用量探索は、免疫療法を受けていないコホートにおける用量拡大段階と並行して行うことになる。
【0109】
用量漸増段階
免疫療法を受けていないコホート
試験の用量漸増段階では、MEDI4736およびトレメリムマブを、免疫療法を受けていない被験者3~6名の連続コホートに最初に投与することになり、ここで各被験者は、トレメリムマブをQ4Wに6用量および12週毎(Q12W)に3用量受け(すなわち、トレメリムマブは用量6から4週目に用量7を投与し、用量7から12週目に用量8を投与する)、また13用量のMEDI4736を全部で1年間Q4WにIV注入を介して受ける(図2)。各コホートには、標準の3+3設計および改良されたゾーンに基づく設計に従い、最低で被験者3名を登録することになる。第1のコホート(コホート1)内の被験者は、用量が3mg/kgのMED4736および1mg/kgのトレメリムマブを受けることになる。第1の用量コホート内で≧2の用量制限毒性(DLT)が認められる場合、開始用量は図1のように漸減することになる。所与の用量コホートにおいてDLTを経験する被験者が6名から
である場合、用量漸増が継続することになる。
【0110】
その後のコホートは、トレメリムマブの投与をQ4Wに6用量、その後にQ12Wに3用量受け、またMEDI4736の投与を、MTDまたはプロトコルで規定された最高用量(同定されたMTDを超えない場合での各薬剤に対する)に達するまで、Q4Wに13用量受けることになる。
【0111】
免疫療法を受けていないコホートにおける拡大段階(図1を参照)は、MTDまたはプロトコルで規定された最高用量(MTDを超えない場合での各薬剤に対する)が用量漸増段階中の免疫療法を受けていない被験者において決定されると、開始することになる。MTDを超えない中間ゾーンに基づく1つもしくは複数のコホートからの単回もしくは複数回の追加的用量は、用量拡大段階からの免疫療法を受けていないコホートにおけるPKおよび薬力学、安全性および有効性パラメータの評価に基づき、拡大段階で評価することができる。
【0112】
免疫療法で前治療されたコホート
MTDまたはプロトコルで規定された最高用量(用量漸増段階中に免疫療法を受けていないコホートにおいて決定されたMTDを超えない場合での各薬剤に対する)(図1を参照)は、用量漸増段階の一部としての免疫療法で前治療されたコホート内に登録された被験者における開始用量として役立つことになる。3+3設計を用いる免疫療法で前治療されたコホートにおける用量探索は、免疫療法を受けていないコホートにおける用量拡大段階と並行して行うことになる。免疫療法で前治療されたコホートにおける用量拡大段階は、MTDまたはプロトコルで規定された最高用量(MTDを超えない場合での各薬剤に対する)が用量漸増段階中の免疫療法で前治療された被験者において決定されると、開始し得る。MTDを超えない中間ゾーンに基づく1つもしくは複数のコホートからの単回もしくは複数回の追加的用量は、用量拡大段階からの免疫療法で前治療されたコホートにおけるPKおよび薬力学、安全性および有効性パラメータの評価に基づき、用量拡大段階で評価することができる。
【0113】
用量拡大段階
免疫療法を受けていないコホートおよび免疫療法で前治療されたコホートという2つの用量拡大コホートを用いることになる(図1を参照)。MTDまたはプロトコルで規定された最高用量(用量漸増段階中に同定されたMTDを超えない場合での各薬剤に対する)は、用量拡大段階での両コホートに対して用いることになる。さらに、MTDを超えない1つもしくは複数の中間ゾーンに基づくコホートからの単回もしくは複数回の用量は、安全性、PK、薬力学、バイオマーカー、および応答を含む新たな被験者データ、ならびに進行中の試験から提示されるデータに基づいて、用量拡大段階での免疫療法で前治療されたコホートおよび免疫療法を受けていないコホートにおける単回もしくは複数回の追加的用量として含めることができる。
【0114】
最初に約20名のNSCLCを有する被験者は、免疫療法を受けていないコホートおよび免疫療法で前治療されたコホートの各々に登録することになる。追加の被験者、全部で最大60名の被験者は各々、安全性、PK、薬力学、バイオマーカー、および応答を含む新たな被験者データ、ならびに進行中の試験から提示されるデータに応じて、用量拡大段階での免疫療法を受けていないコホートに登録することができる。
【0115】
治療計画
被験者は、試験の用量漸増段階または用量拡大段階のいずれかで治療することになる。試験の用量漸増段階および用量拡大段階では、トレメリムマブは、4週毎(Q4W)に6用量、その後に12週毎(Q12W)に3用量投与することになり、ここで用量7は用量6の4週間後に投与され、用量8は用量7の12週間後に投与される。MEDI4736は、Q4Wに13用量投与することになる。両薬剤は、全部で1年間、IV注入を介して投与することになる(図2)。
【0116】
トレメリムマブは、250mLの0.9%塩化ナトリウム中で静脈内に投与することになる。MEDI4736は、250mlの0.9%塩化ナトリウム中で静脈内に投与することになる。まずトレメリムマブを投与することになる。MEDI4736の注入は、トレメリムマブ注入終了から約1時間後に開始することになる。コホート1では、トレメリムマブの最初のIV注入は期間中の約1時間となり、MEDI4736の最初のIV注入は期間中の約4時間となり、このコホート内の被験者へのその後の注入および残りのコホートへのすべての注入は、期間中の約1時間となる。
【0117】
12か月のMEDI4736およびトレメリムマブ治療期間の終了に至るまでの疾患コントロール(DC)(すなわち、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、または安定疾患(SD))を達成し、維持する被験者は、追跡調査に入ることになる。追跡調査期間中の進行性疾患(PD)の証拠に対しては、被験者がその疾患に対して他の治療を受けておらず、また試験プロトコルにおける組み入れ基準および除外基準を依然として満たす場合、被験者に、MEDI4736およびトレメリムマブを、最初の12か月の期間中に従った治療ガイドラインと同じものを用いて、最大でさらに12か月間再投与することができる。MEDI4736およびトレメリムマブを用いた再治療は、1回に限り許容されることになる。
【0118】
試験では、3+3用量漸増段階を用いて、図3に示されるスキームに従うことになる。最低3名の被験者を、各用量コホートに登録することになる。用量コホート内患者の3名中0名が用量制限毒性(DLT)を有する場合、次の用量漸増コホートを開始することになる。患者の3名中1名がDLTを有する場合、追加の患者3名を同じコホートに登録することになる。DLTを経験する被験者が6名中わずか1名である場合、次の用量漸増コホートが開始することになる。評価期間中、DLTを経験する用量コホート内患者が2名以上である場合、その用量コホートにさらなる被験者を登録することはない。
【0119】
最大耐容量(MTD)は、DLTを経験する患者が6名中わずか1名である場合のコホート内でのトレメリムマブまたはMEDI4736の最高用量と定義する。これは、用量漸増段階中での免疫療法を受けていないコホートおよび前治療されたコホートの双方に対して決定する。拡大段階での患者(免疫療法を受けていないコホートおよび免疫療法で前治療されたコホート)は、用量漸増段階で決定されたMTDレベルで治療することになる。
【0120】
MEDI4736およびトレメリムマブの投与は、図10Aおよび図10Bに記載のように、毒性の結果として変更または中断することができる。用量変更は、明らかにMEDI4736またはトレメリムマブに帰属しない有害事象(AE)(事故など)あるいは臨床的に有意であるとみなされない研究所内での異常事態に対して必要とならない。
【0121】
(c)薬物動態学的な抗腫瘍バイオマーカー、可溶性因子、および安全性評価
血清中のMEDI4736およびトレメリムマブ濃度の測定は、有効な免疫測定法を用いて実施することになる。
【0122】
薬物動態学的評価用の血液試料は、用量漸増段階中の以下の日程:1日目(前投与および注入終了)、8日(±1日)目、15日(±1日)目、29日目(前投与および注入終了;±3日)、57日目(前投与および注入終了;±3日)、85日目(前投与および注入終了;±3日)、113日目(前投与および注入終了;±3日)、141日目(前投与および注入終了;±3日)、169日目(前投与および注入終了;±3日)、197日目(前投与および注入終了;±3日;MEDI4736単独)、225日目(前投与および注入終了;±3日;MEDI4736単独)、253日目(前投与および注入終了;±3日)、281日目(前投与および注入終了;±3日;MEDI4736単独)、309日目(前投与および注入終了;±3日)、337日目(前投与および注入終了;±3日)、治療終了時、治療終了後60日目、および治療終了後90日目に採取することになる。
【0123】
薬物動態学的評価用の血液試料は、用量拡大段階中の以下の日程:1日目(前投与および注入終了)、29日(±3日)目、57日(±3日)目、85日(±3日)目、113日(±3日)目、141日(±3日)目、169日(±3日)目;197日目(±3日;MEDI4736単独)、225日目(±3日;MEDI4736単独)、253日(±3日)目、281日目(±3日;MEDI4736単独)、309日目(±3日;MEDI4736単独)、337日(±3日)目、治療終了時、治療終了後60日目、および治療終了後90日目に採取することになる。
【0124】
抗薬剤抗体(ADA)の存在は、1日目および29日(±3日)目、85日(±3日)目、141日(±3日)目、169日(±3日)目、253日(±3日)目、および337日(±3日)目、治療終了時、治療終了後60日目、および治療終了後90日目に評価することになる。Meso Scale Discoveryプラットフォームを用いる有効な電気化学発光アッセイを、ヒト血清中の抗MEDI4736抗体の測定用とヒト血清中の抗トレメリムマブ抗体の測定用に用いることになる。
【0125】
血液試料は、可溶性PD-L1(sPD-L1)を含む循環する可溶性因子の分析用に採取することになる。用量漸増段階中、sPD-L1のレベルは、1日目、8日(±1日)目、15日(±1日)目、29日(±3日)目、57日(±3日)目、85日(±3日)目、113日(±3日)目、141日(±3日)目、169日(±3日)目;197日(±3日)目、225日(±3日)目、253日(+3日)目、281日(+3日)目、309日(+3日)目、337日(+3日)目、治療終了時、治療終了後60日目、および治療終了後90日目に評価することになる。用量拡大段階中、sPD-L1のレベルは、1日目、29日(+3日)目、57日(+3日)目、85日(+3日)目、113日(+3日)目、141日(+3日)目、169日(+3日)目;197日(+3日)目、225日(±3日)目、253日(±3日)目、281日(±3日)目、309日(±3日)目、337日(±3日)目、治療終了時、治療終了後60日目、および治療終了後90日目に評価することになる。
【0126】
腫瘍評価は、スクリーニング中(-28日目~-1日目)、用量漸増段階における8週(50日±3日)目および33週(225日±3日)目に実施することになる。腫瘍評価は、改良を伴うRECISTガイドラインv1.1に基づき、以下の評価項目:身体検査(適用可能であれば皮膚病変の写真および測定を伴う)、胸部、腹部、および骨盤のCTまたはMRIスキャン、ならびに脳のCTまたはMRIスキャンを含むことになる。脳のコンピュータ断層撮影またはMRIスキャンは、スクリーニング時に限って実施する。
【0127】
抗腫瘍活性の評価は、腫瘍病変の測定、標的病変の評価、非標的病変の評価、および新たな病変の外観に基づく。
【0128】
標的病変評価
標的病変の評価においては、完全寛解は、すべての標的病変の消失と定義する。任意の病理学的リンパ節(標的か非標的かを問わない)は、短軸が<10mmに減少している必要がある(標的リンパ節が存在する場合、合計が「0」でない場合がある)。
【0129】
標的病変の評価においては、部分寛解は、ベースライン合計直径を参照とする、標的病変の直径の合計における少なくとも30%の減少と定義する。
【0130】
標的病変の評価においては、進行性疾患は、試験中の最小合計(これは試験中に最小である場合のベースライン合計を含む)を参照とする、標的病変の直径の合計における少なくとも20%の増加と定義する。20%の相対的増加に加えて、合計はまた、少なくとも5mmの絶対的増加を示す必要がある。1つ以上の新たな病変の出現もまた進行性と考える。
【0131】
標的病変の評価においては、安定疾患(SD)は、PRと認定するほどの十分な縮小でもなければ、PDと認定するほどの十分な増加でもない(試験中の直径の最小合計を参照とする)。
【0132】
非標的病変の評価
非標的病変の評価においては、完全寛解(CR)は、すべての非標的病変の消失と定義する。すべてのリンパ節は、短軸が<10mmである必要がある。
【0133】
非標的病変の評価においては、非完全寛解/非進行性疾患は、1つ以上の非標的病変の持続および/または正常範囲を超えるがんマーカーレベルの維持と定義する。
【0134】
非標的病変の評価においては、進行性疾患は、たとえ標的疾患におけるSDまたはPRの存在下であっても、全腫瘍量が治療の中断に値するほどに十分に増加している程度に、非標的疾患における全体レベルが実質的に悪化するものと定義する。測定可能な疾患の不在下では、測定不能な疾患における変化は、測定可能な疾患においてPDと判定する上で要求されるであろう増加に匹敵する規模である。
【0135】
新たな病変
新たな病変の出現は、RECISTガイドラインv1.1に従い、PDと考えられる。免疫療法に伴って認められている固有の応答動態を考慮すると、新たな病変は真の疾患進行を表さない場合がある。急激な臨床的悪化の不在下では、被験者は、MEDI4736およびトレメリムマブを用いる治療を受け続けてもよい。
【0136】
総合効果
CR、PR、およびPDの確認は、初回記録日から4週以降にわたる反復的な継続的評価によって必要とされる。標的病変、非標的病変、および新たな病変の評価に基づく総合効果の評価については、下の表1のように判定する。
【0137】
【表1】
【0138】
有害事象は、MEDI4736の投与後に監視する。他の評価項目として、身体検査、バイタルサイン監視、および検査測定が挙げられる。
【0139】
実施例2:結果
(a)登録および追跡調査
被験者3名ずつを、コホート1a(1mg/kgのトレメリムマブおよび3mg/kgのMEDI4736)、コホート2a(1mg/kgのトレメリムマブおよび10mg/kgのMEDI4736)、コホート3a(1mg/kgのトレメリムマブおよび15mg/kgのMEDI4736)、およびコホート3b(3mg/kgのトレメリムマブおよび10mg/kgのMEDI4736)に入れて、被験者12名を治療した。コホート1aの被験者2名(被験者1名は両薬剤の2回投与後に同意の上中止した)は約115日の追跡調査を完了し;コホート2aの被験者は約56日の追跡調査を完了し;またコホート3aおよび3bの被験者は28日の追跡調査を完了した(図12)。
【0140】
(b)薬物動態
3mg/kgおよび10mg/kgでのMEDI4736の(1mg/kgのトレメリムマブを組み合わせた)投与から得られた薬物動態学的データを図4に示す。MEDI4736の投与から得られた各PKパラメータを図8に示す。初回投与からのこの初期データでは、3mg/kgのMEDI4736を受けた被験者における平均Cmaxは67.36μg/mlであった。3mg/kgのMEDI4736を受けた被験者における平均AUCτは625.3μg/mL*日であった。3mg/kgのMEDI4736を受けた被験者における平均Ctroughは8.85μg/mlであった。10mg/kgのMEDI4736を受けた被験者における平均Cmaxは266.7μg/mlであった。10mg/kgのMEDI4736を受けた被験者における平均AUCτは2860μg/mL*日であった。10mg/kgのMEDI4736を受けた被験者における平均Ctroughは35.65μg/mlであった。MEDI4736は、非線形PKを示す、AUCにおける用量比例性を超える増加を示した。図4を参照のこと。
【0141】
1mg/kgでのトレメリムマブの(3mg/kgのMEDI4736または10mg/kgのMEDI4736のいずれかを組み合わせた)投与から得られた薬物動態学的データを図5にまとめる。トレメリムマブの投与から得られた個別のPKパラメータを図9に示す。
【0142】
3mg/kgのMEDI4736を組み合わせて1mg/kgのトレメリムマブを受けた被験者における平均Cmaxは27.07μg/mlであった。10mg/kgのMEDI4736を組み合わせて1mg/kgのトレメリムマブを受けた被験者における平均Cmaxは30.40μg/mlであった。
【0143】
3mg/kgのMEDI4736を組み合わせて1mg/kgのトレメリムマブを受けた被験者における平均AUCτは262.2μg/ml*日であった。10mg/kgのMEDI4736を組み合わせて1mg/kgのトレメリムマブを受けた被験者における平均AUCτは338.8μg/ml*日であった。
【0144】
3mg/kgのMEDI4736を組み合わせて1mg/kgのトレメリムマブを受けた被験者における平均Ctroughは4.21μg/mlであった。10mg/kgのMEDI4736を組み合わせて1mg/kgのトレメリムマブを受けた被験者における平均Ctroughは5.33μg/mlであった。
【0145】
(c)可溶性PD-L1の評価
3mg/kgおよび10mg/kgのMEDI4736ならびに1mg/kgのトレメリムマブの投与から得られたsPD-L1データを、図6(絶対濃度)、図7および図8(抑制、ベースラインの%)に示す。MEDI4736の投与後、被験者6名中5名で完全なsPD-L1抑制が認められた。被験者1名では、約65%のsPD-L1抑制がMEDI4736の2回目の投与で認められた。
【0146】
(d)安全性
被験者12名中10名が治療中に発生した有害反応(TEAE)を報告した。最も高頻度に報告されたTEAEが、疲労(41.7%;被験者5名)、アミラーゼ増加(25.0%;被験者3名)、そう痒および上気道感染(16.7%;各々被験者2名)であった。用量制限毒性を経験した被験者はなかった。TEAEを経験した被験者10名中9名が、重症度がグレード1または2の事象を有した。被験者1名(コホート2a)が、グレード3のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の増加およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加および致死性(グレード5)重症筋無力症を経験した。被験者12名中2名が、治療下で出現した重篤な有害事象(SAE)を経験した。被験者2名が、TEAEが原因で治療を中断した。図13は関連有害事象を示す。
【0147】
腫瘍サイズのベースラインからの変化を示す初期結果を図14に示す。腫瘍サイズの縮小が、1mg/kg(T)+10mg/kg(M)群、1mg/kg(T)+15mg/kg(M)群および3mg/kg(T)+10mg/kg(M)群における患者で認められた。
【0148】
本試験は、MEDI4736およびトレメリムマブが好ましい薬物動態学的特性を有し、薬剤の組み合わせによりsPD-L1が抑制されることを示す。さらに、MEDI4736は、現在治療中の被験者の大部分において十分な耐容性を示す。
【0149】
実施例3:進行型NSCLCを有する患者におけるトレメリムマブと組み合わせたMEDI4736の第1b相非盲検試験
阻害性PD-L1およびCTLA-4経路は、T細胞活性化の制御における主要な役割を果たす。MEDI4736(M)は、PD-L1のPD-1およびCD-80への結合を遮断するヒトIgG1モノクローナル抗体である。トレメリムマブ(T)は、CTLA-4を標的とするヒトIgG2モノクローナル抗体である。MEDI4736およびトレメリムマブの双方は、単剤として安全性特性および有望な臨床活性を促進することを示している。つまり、それらが免疫抑制に寄与する明らかな相互作用を遮断することから、MEDI4736+トレメリムマブの併用療法は、進行型非小細胞肺がんを有する患者(pts)において、いずれかの薬剤単独と比べて抗腫瘍活性の増強を提供し得る。
【0150】
この第1相試験は、進行型NSCLCを有する患者におけるMEDI4736+トレメリムマブ併用療法の安全性/耐容性、抗腫瘍活性、薬物動態(PK)および免疫原性を評価することである。試験は、用量漸増段階および用量拡大段階を有する。
【0151】
結果:2014年12月4日時点で患者61名が治療を受けている(表2)。
【0152】
【表2】
【0153】
全体として、全グレード(≧10%の患者)において最も頻発した薬剤関連AEは、下痢、疲労、そう痒症、増加したアラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアミラーゼであり、それらはステロイドを含む標準治療ガイドラインにより管理可能であった。全患者にわたる最も頻発した≧グレード3の薬剤関連AE(≧5%)は、大腸炎、下痢、増加したアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびALTであった。中断につながる薬剤関連AEは、大腸炎(6.6%)、下痢(3.3%)、間質性肺炎(3.3%)、増加したAST(3.3%)およびALT(1.6%)、咳(1.6%)および呼吸困難(1.6%)であり、10mg/kgのMEDI4736(q4w)コホート+1mg/kgのトレメリムマブコホートにおいて1名の治療関連死(多発性筋炎)が生じた。少なくとも1回の8週スキャンを受けた被験者31名の内、患者8名(26%)で最良総合効果が報告され、患者11名(36%)で安定疾患が報告された。
【0154】
これらの有望な結果は、MEDI4736+トレメリムマブの組み合わせが管理可能な安全性特性および初期臨床活性を有することを示す。
【0155】
結果:2015年1月27日時点で、10のコホートにわたる患者74名が治療を受けている(表3)。
【0156】
【表3-1】
【0157】
【表3-2】
【0158】
【表3-3】
【0159】
併用投与される様々な用量およびスケジュールのMEDI4736およびトレメリムマブについて試験した(図15)。MEDI4736の用量およびスケジューリングは、3mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、および20mg/kgで4週毎(q4w)、ならびに10mg/kgで2週毎(q2w)を含んだ。トレメリムマブの用量およびスケジューリングは、1mg/kg、3mg/kg、および10mg/kgで4週毎(q4w×6用量)および12週毎(q12w×3用量)を含んだ。
【0160】
用量≧15mg/kg Q4WのMEDI4736で完全なsPD-L1抑制が認められた(図16)。10mg/kg Q4Wおよび15mg/kg Q4Wで各々1名の被験者が、数回訪問時での部分的なsPD-L1抑制、次いで反復投与後の完全な抑制を示した。15mg/kg Q4Wに従う被験者1名は、29日目で抑制されなかった。比較によると、用量>3mg/kg Q2Wでの単剤MEDI4736(試験1108)の場合に完全な抑制が認められた。個別のsPD-L1特性をコホート毎に試験すると、10mg/kg Q2W用量に従う被験者の>95%において完全なsPD-L1抑制が認められた(図17)。
【0161】
MEDI4736およびトレメリムマブを併用投与したとき、T細胞増殖の増加もまた認められた(図18)。細胞は、細胞増殖マーカーであるKi67と組み合わせたマーカーCD4およびCD8に対するFACS分析により選別した。ピークCD4+Ki67+細胞における単調な増加がトレメリムマブ用量の増加とともに認められ、それはMEDI4736単独で認められたピークCD4+Ki67+での増加よりも大きかった。CD8+増殖性応答は、MEDI4736およびトレメリムマブの併用では、MEDI4736単独の場合よりも大きかった。
【0162】
MEDI4736およびトレメリムマブを受けた被験者では、MEDI4736単独の場合と比べて、CD4 ICOS+およびCD4 HLADR+細胞の増加が認められた(図19)。MEDI4736単独の場合、CD4+ICOS+細胞およびCD4+HLADR+細胞における最小変化が認められ、すべての試験した併用投与は、MEDI4736と識別可能なパターンを有した。10mg/kgのトレメリムマブ投与の場合、CD4+ICOS+細胞およびCD4+HLADR+細胞における最大増加が認められた。MEDI4736およびトレメリムマブを受けた被験者ではまた、MEDI4736単独の場合と比べて、CD4+Tエフェクター細胞およびTreg細胞(CD25hi CD127lo表現型もまた一部の活性化T細胞を含み得る)の増加が認められた(図20および図21)。
【0163】
MEDI4736およびトレメリムマブ(すべての用量)を用いた治療で認められたNSCLCにおける臨床活性では、MEDI4736単独療法(10mg/kg Q2Wによる治療と比べて、奏効率の増加が示された(図22)。応答は、ベースライン+≧1のフォローアップスキャンで測定可能な疾患(初回フォローアップスキャン前の疾患進行または死亡に起因する中断を含む)を有する治療患者において評価可能であった。MEDI4736 NSCLC(CP1108)においては、≧12週の追跡調査を伴う患者のみを含めた。奏効率(ORR)は、完全寛解(CR)または部分寛解(PR)の確認されたものおよび未確認のものを含む。MEDI4736 NSCLC単独療法(CP1108、10mg/kg Q2W)においては、12週の最低期間で、安定疾患(SD)の最良総合効果(BOR)が認められる。MEDI4736およびトレメリムマブの組み合わせにおいては、7週の最低期間で、SDのBORが認められる。
【0164】
MEDI4736およびトレメリムマブ(1mg/kg;3mg/kg;および10mg/kgのトレメリムマブ用量)を投与したNSCLC患者の大部分において、腫瘍サイズの縮小または安定化が認められた(図23)。グレード3の有害事象の発生では、トレメリムマブ用量の増加により、有害事象の発生時間が減少することが示された(図24)。MEDI4736(10mg/kg;315mg/kg;および20mg/kgでQ4Wまたは10mg/kgでQ2WのMEDI4736用量)およびトレメリムマブを投与したNSCLC患者の大部分において、腫瘍サイズの縮小または安定化が認められた(図25)。グレード3の有害事象の発生では、トレメリムマブ用量の増加が、MEDI4736用量の増加よりも有害事象の発生時間に影響することが示された(図26)。したがって、MEDI4736およびトレメリムマブの用量選択については、有効性および安全性を考慮することになる。
【0165】
がん治療におけるトレメリムマブ単剤からの曝露データは、有効性を最大化するには一層の高曝露(>30mg/mL)が必要であることを支持している。これらのレベルは、平均で≧3mg/kgの用量で得られる。1mg/kgのトレメリムマブから得られる曝露は、単剤曝露-安全性の関係の分析に基づくと、3mg/kgの場合より低い毒性をもたらすものと想定される。特定の理論に拘束されない限り、1mg/kgのトレメリムマブはCTLA4を部分的に阻害するが、これは1mg/kgであっても免疫媒介性有害作用が(より低い発生率であるが)認められるためである。MEDI4736と組み合わせた1mg/kgのトレメリムマブは、相乗的な有効性が認められ、安全性特性がより高用量のトレメリムマブに対して改善される場合、最適であり得る。
【0166】
1つの試験では、血清中のPD-L1シンクおよびsPD-L1の完全な抑制が、用量が≧3mg/kg Q2WのMEDI4736で認められた。マウスモデルにおいて最大腫瘍成長阻害(TGI)をもたらす薬物濃度(最低標的トラフ濃度として同定された100mg/mL)の場合、被験者の大部分でシンクの>99%の飽和を得ることに基づき、単剤として使用するため、10mg/kg Q2Wの用量を選択した。トレメリムマブと組み合わせた10mg/kg Q4Wによると、一部の被験者においてsPD-L1の抑制が認められた。投与密度はMEDI4736 Q2Wの場合により高く、CmaxはQ4Wの場合により高かった。Q4Wでのスケジューリングにより、便益性の改善が得られ得る。他の被験者では、おそらくはこの用量レベルで得られる準最適なトラフレベルと組み合わせたPD-L1の上方制御に起因し、不完全な抑制が認められた。トレメリムマブと組み合わせて評価した10mg/kg Q4WでのMEDI4736により、100mg/mLの目標を下回るトラフ濃度がもたらされた。しかし、15mg/kgおよび20mg/kg Q4WでのMEDI4736の場合、目標レベルが得られ、またより高用量のMEDI4736は、これまで評価した全被験者においてsPD-L1抑制を維持した。トレメリムマブと組み合わせた10mg/kg以上のMEDI4736は、相乗的な有効性が認められ、安全性特性が改善される場合、最適であり得る。
【0167】
概して、MEDI4736およびトレメリムマブの組み合わせにおける傾向は、MEDI4736単独療法と比べて疾患を低下または安定化させることであり、また試験した最高用量でのMEDI4736およびトレメリムマブは、有害事象の発生率増加に関連していた(図27~29)。これらの結果は、MEDI4736およびトレメリムマブの組み合わせが十分な耐容性を示し、NSCLCに対する有効な治療法であるという可能性を有することを示している。
【0168】
実施例4:MED14736およびトレメリムマブを用いたNSCLCにおけるPD-L1陰性腫瘍の治療
被験者3名ずつを、コホート1a(1mg/kgのトレメリムマブおよび3mg/kgのMEDI4736)、コホート2a(1mg/kgのトレメリムマブおよび10mg/kgのMEDI4736)、コホート3a(1mg/kgのトレメリムマブおよび15mg/kgのMEDI4736)、およびコホート3b(3mg/kgのトレメリムマブおよび10mg/kgのMEDI4736)に入れて、被験者12名を治療した。コホート1aの被験者2名(被験者1名は両薬剤の2回投与後に同意の上中止した)は約115日の追跡調査を完了し;コホート2aの被験者は約56日の追跡調査を完了し;またコホート3aおよび3bの被験者は28日の追跡調査を完了した。
【0169】
試験中の被験者7名におけるPD-L1腫瘍発現データのベースラインレベルを表4(下記)に提供する。付加的情報を表5に提供する。
【0170】
【表4】
【0171】
【表5】
【0172】
NSCLC患者の対象組織を、免疫組織化学により、ホルマリン固定およびパラフィン包埋組織試料中でのPD-L1発現について特徴づけた。試料は、PD-L1膜染色で25%以上の腫瘍細胞を含有する場合、「PD-L1陽性」と判定した。これを免疫組織化学膜(M)-スコアと表す。全試料をPD-L1発現に対して「陰性」とスコア化した。腫瘍評価は、7名中6名の患者に対して適用可能である。患者3名をトレメリムマブおよびMEDI4736の組み合わせを用いて治療した。
【0173】
患者2名を未確認の部分寛解者(PR)として同定し、2名が安定疾患(SD)を有し、また2名が進行性疾患(PD)を有した。全部で6名の患者において、腫瘍試料をPD-L1発現について分析する>6か月前に採取し、6中3の生検試料を、分析する>2年前に採取した。これらのデータは、MEDI4736およびトレメリムマブの組み合わせが、貯蔵した組織試料に基づくPD-L1陰性NSCLCにおいて活性があることを示す。
【0174】
MEDI4736およびトレメリムマブの投与時、PD-L1陰性NSCLCを有する大部分の患者が、併用療法に応答し、またMEDI4736単独療法(CP1108、10mg/kg Q2W)と比べて腫瘍サイズの縮小または安定化を示した(図30)。PD-L1陽性NSCLCを有する患者もまた、MEDI4736単独療法と比べてMEDI4736およびトレメリムマブの組み合わせに応答し、また腫瘍サイズの縮小または安定化を示した(図31)。PD-L1陰性NSCLCを有する患者の結果をトレメリムマブの用量によってグループ化したとき、10mg/kg Q4Wまたは15mg/kg Q4WでのMEDI4736と併用投与した1mg/kgのトレメリムマブまたは3mg/kgのトレメリムマブは、疾患を制御または低減するのに有効であった(図32)。その結果をMEDI4736の用量によってグループ化したとき、結果はまた、10mg/kg Q4W~15mg/kg Q4WでのMEDI4736と併用投与した1mg/kg~3mg/kgのトレメリムマブが、疾患を制御または低減するのに有効であることを示した(図33)。MEDI4736およびトレメリムマブを受けた全NSCLC患者の分析によると、PD-L1-およびPD-L1+NSCLC患者が治療に応答することが示された(図34A図34Dおよび図35図37;表6~表9)。
【0175】
【表6】
【0176】
【表7】
【0177】
【表8】
【0178】
【表9】
【0179】
当業者は、本明細書に記載される開示の具体的な態様に対する多数の均等物を理解するか、または単に通常の実験を用いて確認できるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるように意図される。
【0180】
様々な出版物が本明細書中に引用され、その開示内容はそれら全体が参照により援用される。
【0181】
前述の発明が、理解を深めることを目的として図面および実施例によって一部詳細に説明されているが、特定の変化および修飾を添付の特許請求の範囲の範囲内で実行できることは明白であろう。
【0182】
配列表
配列番号1 MEDI4736 VL
配列番号2 MEDI4736 VH
配列番号3-MEDI4736 VH CDR1
RYWMS
配列番号4-MEDI4736 VH CDR2
NIKQDGSEKYYVDSVKG
配列番号5-MEDI4736 VH CDR3
EGGWFGELAFDY
配列番号6-MEDI4736 VL CDR1
RASQRVSSSYLA
配列番号7-MEDI4736 VL CDR2
DASSRAT
配列番号8-MEDI4736 VL CDR3
QQYGSLPWT
配列番号9 トレメリムマブVL
配列番号10 トレメリムマブVH
配列番号11-トレメリムマブVH CDR1
GFTFSSYGMH
配列番号12-トレメリムマブVH CDR2
VIWYDGSNKYYADSV
配列番号13-トレメリムマブVH CDR3
TAVYYCARDPRGATLYYYYYGMDV
配列番号14-トレメリムマブVL CDR1
RASQSINSYLD
配列番号15-トレメリムマブVL CDR2
AASSLQS
配列番号16-トレメリムマブVL CDR3
QQYYSTPFT

<110> MEDIMMUNE LIMITED

<120> ANTI-B7-H1 AND ANTI-CTLA-4 ANTIBODIES FOR TREATING NON-SMALL
CELL LUNG CANCER

<130> PA23-041

<150> US 62/114,336
<151> 2015-02-10

<150> US 62/105,992
<151> 2015-01-21

<150> US 61/992,658
<151> 2014-05-13

<160> 16

<170> PatentIn version 3.5

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Gln Gln Tyr Tyr Ser Thr Pro Phe Thr
1 5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図34C
図34D
図35
図36
図37
【配列表】
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