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特許7519495水素ステーションパッケージユニットの組立て方法および簡易型水素ステーションの組立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】水素ステーションパッケージユニットの組立て方法および簡易型水素ステーションの組立て方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 5/06 20060101AFI20240711BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
F17C5/06
F17C13/00 301Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023061993
(22)【出願日】2023-04-06
(62)【分割の表示】P 2022102570の分割
【原出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2023076671
(43)【公開日】2023-06-01
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 統
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】緒方 邦行
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 祐貴
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-024061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に圧縮機ユニットと、水素用の蓄圧器ユニットと、水素ガスを供給、遮断又は制御するための各種のバルブ類を支持部材に搭載して集積化したバルブユニットを含む水素ステーションパッケージユニットの組立て方法であって、前記バルブユニットを施工現場とは異なる場所で組立て、組立てたバルブユニットを水素ステーションの施工現場に運搬し、前記水素ステーションパッケージユニットの筐体内に前記圧縮機ユニットと前記バルブユニットと前記蓄圧器ユニットとを組立てると共に、前記圧縮機ユニットと前記バルブユニットの間及び前記バルブユニットと前記蓄圧器ユニットとの間をそれぞれ配管の接続作業を行うことを特徴とする水素ステーションパッケージユニットの組立て方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水素ステーションパッケージユニットの組立て方法において、前記水素ステーションパッケージユニットの筐体内の下部に前記蓄圧器ユニットを配置し、前記蓄圧器ユニットの上部に前記圧縮機ユニットと前記バルブユニットを並置し、前記バルブユニットの前記支持部材は、前記筐体を正面方向からみたときに、前記圧縮機ユニットの水素ガス出口と前記圧縮機ユニットから遠い側に配置された前記蓄圧器ユニットの元弁とを結ぶ直線を対角線とする長方形のスペースに合わせて、前記筐体の内壁面近くに配設して、前記圧縮機ユニットと前記バルブユニットと前記蓄圧器ユニットとを組立てるようにした水素ステーションパッケージユニットの組立て方法。
【請求項3】
前記バルブユニットを前記筐体の内壁面近くに配置すると共に、前記バルブユニットの前面付近にスペースを設けた請求項1又は2に記載の水素ステーションパッケージユニットの組立て方法。
【請求項4】
前記筐体の側面に開閉可能な扉を設けた請求項1乃至3の何れか1項に記載の水素ステーションパッケージユニットの組立て方法。
【請求項5】
前記圧縮機ユニットの水素ガスの出口と前記バルブユニットの水素ガス流入口との間及び前記バルブユニットの水素ガスの出入口と前記蓄圧器ユニットの元弁との間を最短距離の配管接続をした請求項1乃至の何れか1項に記載の水素ステーションパッケージユニットの組立て方法。
【請求項6】
請求項1乃至の何れか1項の水素ステーションパッケージユニットの組立て方法を用いて水素ステーションを組立てるようにした簡易型水素ステーションの組立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ステーションパッケージユニットの組立て方法とその水素ステーションパッケージユニットを用いた簡易型水素ステーションの組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリン車に代わる環境負荷の小さい自動車として、水素を燃料とする燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)が注目されている。燃料電池自動車は、含酸素の空気と燃料ガスである水素ガスとを燃料電池に供給し、これによって発電した電力を利用して電動機を駆動することにより走行するので、ガソリン車のように二酸化炭素(CO)、NOX、SOX等の排出がなく水を排出するだけであり、環境にやさしい自動車とされている。
【0003】
燃料電池自動車では、車内の水素タンクに予め十分な量の水素ガスを貯蔵しておき、走行には水素タンク内の水素ガスを利用するものが主流であり、燃料電池自動車の水素タンクへの水素ガスの供給は、通常のガソリン自動車と同様に、水素ガスを充填する水素ステーションにおいて行われる。このため、燃料電池自動車の普及を図るためには、燃料電池や車両自体の性能向上とともに、インフラの面においても、水素ガスを燃料電池自動車へ供給する水素ステーションを多くの場所に設置することが必要となる。
【0004】
水素ステーションの整備を加速させるため、官民を挙げて各種取組が推進されているが、水素ステーションの建設には多額の費用と広い敷地が必要となるため、1日に1台程度の需要しかない郊外や、土地の確保で制約が生じ易い大都市については、水素ステーションの小型化とコストダウン、設置規制の見直しが求められている。
【0005】
水素ステーションを小型化するための機材としては、例えば特許文献1及び特許文献2には、水素ガスを圧縮する圧縮機ユニット、圧縮された水素ガスを貯留する蓄圧器、蓄圧器からディスペンサーに供給する水素ガスを冷却するプレクールシステム等の水素ステーションに必要な機器を筐体内に収納し、コンパクトにパッケージ化したガス供給システム(パッケージユニット)が開示されている。
【0006】
特許文献1及び特許文献2のパッケージユニットは、水素ステーションに必要な機器をコンパクトにパッケージ化して設置面積を小さくしているため、これらのガス供給システムを利用すると水素ステーションの設置に必要な敷地面積を大幅に削減することができるので、街中の狭小地や従来のガソリンスタンドにも水素ステーションを設置することができる。
【0007】
その一方で、特許文献1及び特許文献2に開示されたパッケージユニットは、コンパクトにパッケージ化して設置面積を小さくすることを優先した結果、筐体内部で各種機器が立体的かつ複雑に配置し、これらの機器を配管で接続しているため、施工性及び整備性に欠ける問題がある。
【0008】
また、特許文献1及び特許文献2のパッケージユニットを含む従来の水素ステーション用の機器では、70MPa級の高圧に対応するためニードルバルブを使用しているが、ニードルバルブはCv値が小さいために圧力損失が大きく、開閉速度も遅いという問題がある。
【0009】
本発明者等は、これらの問題を解決するため、水素ガスを供給・遮断又は制御するための各種バルブ類や配管を支持部材に搭載して集積化したバルブユニットを用いることにより、水素ガスを供給・遮断又は制御するための各種バルブ類や配管の配置を簡単かつ明確にし、施工性及び整備性に優れる小型の水素ステーションを開発した。
【0010】
また、この水素ステーションでは、従来の水素ステーションで使用しているニードルバルブに比べてCv値が大幅に大きい高圧水素用のボールバルブを使用したので、バルブの水素流量が大幅に増加する結果、水素ステーションから燃料電池自動車への水素供給に要する時間を短縮することができる特長がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第6276060号公報
【文献】特許第6276160号公報
【文献】米国特許第3362731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者等が開発した水素ステーションは、前述したように、従来の水素ステーションには無い特長を有するものであるが、さらなる改善の余地も有している。一般に、水素ステーションでは、82MPaの超高圧水素ガスを取り扱うため、継手部には耐圧性と高い信頼性が要求されるので、配管とバルブとの接続、配管同士の接続には、特許文献3に記載されているコーン・スレッド継手構造が広く使用されており、本発明者等が開発した水素ステーションでもこのコーン・スレッド継手構造を使用している。
【0013】
コーン・スレッド継手は、先端をテーパ状に加工したチューブ(配管)にグランドナットを通した状態で先端ネジ部にカラーを取付けた後、チューブと共にグランドナットを継手(バルブ)ボデーに設けたソケット内に挿入し、継手ボデーに設けたソケットにグランドナットを螺着することによってカラー後方の肩部をソケットにより押し込み、チューブ先端のテーパ部とソケット底部のテーパ付き座部とを強く係合させてチューブと継手ボデーを接続するように構成されている。
【0014】
コーン・スレッド継手はこのように構成されているため、継手ボデーに設けたソケットからグランドナットを取り外してもソケット内にチューブの先端部が残るので、ソケット内からチューブを引き抜かないと継手ボデーを取り外すことができない。また、近年では、引抜きスペースを小さくできるタイプの継手として、配管の端部同士をガスケットを介して突き合わせた状態で外側から固定するメタルガスケット形式の継手も開発されている。しかし、そのような継手であっても、配管の接合部にはガスケットが内包されているため、そのままでは継手を配管の垂直方向にずらすように取り外すことはできない。このように、いずれの形式の継手であっても、取り外しのためには、チューブ(配管)の引抜きスペースが必要である。
【0015】
従って、整備や交換のためにバルブユニットからバルブを脱着する場合には、例え脱着するバルブが1台であっても複数個所の継手部を分解し、バルブの一次側及び二次側の継手部からチューブを引き抜くためのスペースを確保しなければならない。脱着するバルブ周辺の複数の継手部を分解する作業は面倒であるだけでなく、水素ステーションパッケージユニットのような限られた筐体内でチューブを移動させるスペースを確保するのは容易ではないので、より簡単にバルブの脱着作業が行えるようにバルブユニットの構成を改善する必要がある。
【0016】
また、バルブの脱着作業の簡単化だけでなく、水素ステーションパッケージユニットの更なる小型化と施工性の向上を図るためには、筐体内の各種機器の配置状況に対応させて各種バルブ類や配管を集積化するようにバルブユニットの構成を改善する必要がある。
【0017】
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、バルブの脱着作業を簡単化できるように構成されるとともに、筐体内の各種機器の配置に対応して各種バルブ類や配管を集積化させたバルブユニットを設け、メンテナンス性と施工性が向上した水素ステーションパッケージユニットの組立て方法とその水素ステーションパッケージユニットを用いた簡易型水素ステーションの組立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に係る発明は、筐体内に圧縮機ユニットと、水素用の蓄圧器ユニットと、水素ガスを供給、遮断又は制御するための各種のバルブ類を支持部材に搭載して集積化したバルブユニットを含む水素ステーションパッケージユニットの組立て方法であって、バルブユニットを施工現場とは異なる場所で組立て、組立てたバルブユニットを水素ステーションの施工現場に運搬し、水素ステーションパッケージユニットの筐体内に圧縮機ユニットとバルブユニットと蓄圧器ユニットとを組立てると共に、圧縮機ユニットとバルブユニットの間及びバルブユニットと蓄圧器ユニットとの間をそれぞれ配管の接続作業を行う水素ステーションパッケージユニットの組立て方法である。
請求項2に係る発明は、上記の水素ステーションパッケージユニットの組立て方法において、水素ステーションパッケージユニットの筐体内の下部に蓄圧器ユニットを配置し、蓄圧器ユニットの上部に圧縮機ユニットとバルブユニットを並置し、バルブユニットの支持部材は、筐体を正面方向からみたときに、圧縮機ユニットの水素ガス出口と圧縮機ユニットから遠い側に配置された蓄圧器ユニットの元弁とを結ぶ直線を対角線とする長方形のスペースに合わせて、筐体の内壁面近くに配設して、圧縮機ユニットとバルブユニットと蓄圧器ユニットとを組立てるようにした水素ステーションパッケージユニットの組立て方法である。
【0019】
請求項に係る発明は、バルブユニットを筐体の内壁面近くに配置すると共に、バルブユニットの前面付近にスペースを設けた水素ステーションパッケージユニットの組立て方法である。
【0020】
請求項に係る発明は、筐体の側面に開閉可能な扉を設けた水素ステーションパッケージユニットの組立て方法である。
【0021】
請求項に係る発明は、圧縮機ユニットの水素ガスの出口とバルブユニットの水素ガス流入口との間及びバルブユニットの水素ガスの出入口と蓄圧器ユニットの元弁との間を最短距離の配管接続をした水素ステーションパッケージユニットの組立て方法である。
【0022】
請求項に係る発明は、上記の水素ステーションパッケージユニットの組立て方法を用いて水素ステーションを組立てるようにした簡易型水素ステーションの組立て方法である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1又は2に係る発明によると、バルブユニットの支持部材に各種のバルブ類群や配管を搭載して集積化しているので、バルブユニットの組立ては施工現場とは異なる場所(例えば、工場など)で行い、このバルブユニットを水素ステーションの施工現場では、工場などで組立てたバルブユニットを水素ステーションパッケージユニット内の所定の場所に取付けた後、圧縮機ユニットとバルブユニットとの間、バルブユニットと蓄圧器ユニットとの間で最小限の配管の接続作業をすれば良いので、施工性が著しく向上するとともに、施工時の配管ミスを防止することができる。
【0024】
また、バルブユニットを施工現場とは異なる場所で組立てることにより、支持部材への配管作業やバルブの取付け作業は治具等を使用して正確に行うことができるとともに、試験機材を使用して厳密に漏洩検査等を実施することができるので、水素ステーションパッケージユニットの信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0025】
請求項に係る発明によると、バルブユニットを筐体の内壁面近くに配置するようにしたことで、バルブユニットの前面付近にスペースを設けることができるので、バルブユニットの支持部材に取り付けられた配管構成の視認が容易となるだけでなく、整備・点検作業が行い易くなり、メンテナンス性が向上する。
【0026】
請求項に係る発明によると、筐体の側面に開閉可能な扉を設けたので、圧縮機ユニットやバルブユニットへの接近性が向上し、整備作業がさらに容易となる。特に、下部収納室の蓄圧器の元弁側に開閉可能な扉を設けると、蓄圧器の整備作業が容易となる他、必要に応じて蓄圧器の交換等にも対応できるようになり、作業性が向上する。
【0027】
請求項に係る発明によると、圧縮機ユニットの水素ガス出口と支持部材の水素ガスの流入口との間の距離、及び支持部材の水素ガスの出入口と蓄圧器ユニットの蓄圧器の元弁との間の距離が最短となり、配管作業を簡単化することができる。
【0028】
請求項に係る発明によると、本発明に係る水素ステーションパッケージユニットの組立て方法を用いて水素ステーションを構成したので、水素ステーションに最小限必要な機能をパッケージ化して小型の筐体に収納して設置することができるため、水素ステーションの設置に必要な敷地面積を大幅に削減することができる。特に、オフサイト方式で水素ステーションを建設する場合には、郊外、大都会の狭小地や従来のガソリンスタンドにも簡易型水素ステーションを設置することができる。
【0029】
また、配管やバルブがバルブユニットに集積化されているため、水素ステーションの配管部材やバルブのメンテナンスの際には略バルブユニットを対象にすれば良く、水素ステーション全体としてのメンテナンス性や稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明における水素ステーションパッケージユニットを使用した簡易型水素ステーションの構成を説明する図面である。
図2】本発明における水素ステーションパッケージユニットの構成を模式的に説明する図面である。
図3】流路ラインをコ字形流路部に構成した場合のバルブユニットでの配管及びバルブの支持部材への取付け状態を模式的に示す図面である。
図4】コーン・スレッド継手構造の接続状況を自動ボールバルブを例として説明する図面である。
図5図3に示す実装状態のバルブユニットで、コ字形配管部を取り外した状況を模式的に示す図面である。
図6】流路ラインを2つの二方継手により構成した場合のバルブユニットでの配管及びバルブの支持部材への取付け状態を模式的に示す図面である。
図7】本発明における水素ステーションパッケージユニット内の機器の配置を正面方向から見た状態を示す図面である。
図8】本発明における水素ステーションパッケージユニット内の機器の配置を上方から見た状態を示す図面である。
図9】本発明における水素ステーションパッケージユニット内の機器の配置を右側面方向から見た状態を示す図面である。
図10】本発明における水素ステーションパッケージユニットの下部収納室内の蓄圧器の配置状況を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明における水素ステーションパッケージユニットと簡易型水素ステーションの一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明における水素ステーションパッケージユニットを使用した簡易型水素ステーションの構成を示している。図1において、簡易型水素ステーション11は、いわゆるオフサイト方式の簡易型水素ステーションであり、H受入ユニット12と、水素ステーションパッケージユニット13と、ディスペンサーユニット14と、パージ用Nユニット15と、冷凍機ユニット16により構成されている。
【0032】
受入ユニット12は、既存の工業プラント等で大規模に製造され、大型のボンベを束ねたトレーラー、或いはカードルにより水素ステーションに輸送されてきた水素ガスを受領し、水素ステーションパッケージユニット13に供給する。
【0033】
水素ステーションパッケージユニット13は、筐体17内に、圧縮機ユニット18と、蓄圧器ユニット19と、バルブユニット20とをパッケージ化して設けている。圧縮機ユニット18と蓄圧器ユニット19との間はバルブユニット20を介して充填配管21で接続されており、蓄圧器ユニット19とディスペンサーユニット14との間はバルブユニット20を介して供給配管22で接続されている。
【0034】
ディスペンサーユニット14は、水素ステーション用パッケージユニット13内の蓄圧器ユニット19から供給される高圧水素ガスを流量弁制御弁(図示せず)により流量制御しながら、充填用ノズル(図示せず)を介して燃料電池自動車に水素を供給する。また、ディスペンサーユニット14には、燃料電池自動車に供給する水素を所定温度(例えば、-40℃)に冷却するプレクーラー(熱交換器)(図示せず)を備えている。これは、燃料電池自動車のタンクに水素ガスを急速に充填すると断熱圧縮により温度が上昇するので、タンク温度が上がり過ぎないように予め水素を十分に冷やすためである。
【0035】
パージ用Nユニット15は、水素ステーションパッケージユニット13の配管内、バルブ内に残留する水素の他、空気等の不純物を除去するパージ用の窒素(N)ガスを貯蔵し、必要によりH受入ユニット12を介して水素ステーションパッケージ13に窒素を供給し、配管内に残留する水素ガス等をパージする。
【0036】
冷凍機ユニット16は、ディスペンサーユニット14のプレクーラーに冷媒を循環供給し、燃料電池自動車に供給する水素を所定温度(例えば、-40℃)に冷却している。
【0037】
次いで、図2により水素ステーションパッケージユニット13の構成を説明する。図2に模式的に示すように、水素ステーションパッケージユニット13は、筐体17内に、圧縮機ユニット18と、蓄圧器ユニット19と、バルブユニット20とをパッケージ化して設けている。
【0038】
圧縮機ユニット18は、圧縮機(ガスコンプレッサー)25と、遮断弁として機能する自動ボールバルブ26、27と、逆止弁28とを備え、H受入ユニット12から供給される水素を昇圧(圧縮)し、充填配管21を介して蓄圧器ユニット19に充填している。圧縮機は、吐出圧力が80Pa超程度の高圧水素圧縮機であれば、往復動圧縮機(レシプロコンプレッサー)やダイヤフラム型圧縮機等の適宜の方式の圧縮機を使用することができるが、水素ステーションパッケージ13を小型に構成するためには、水素ステーションの水素供給能力に対応した小型の圧縮機を選定することが好ましい。
【0039】
本実施例では、圧縮機として油圧駆動式ブースターにより水素ガスを圧縮する油圧駆動式水素昇圧装置を使用しているが、このタイプの圧縮機では、水素の昇圧を担う油圧駆動式ブースターが装置の上部に配置されるので、圧縮された水素ガスを外部に供給する水素ガス出口29は、圧縮機ユニット18の上部に設けられている。
【0040】
なお、図2には図示していないが、圧縮機25で水素ガスを圧縮する際に断熱圧縮により水素ガスの温度が上昇するので、圧縮後の水素ガスを冷却するためのクーラーを圧縮機ユニット18に設けることが好ましい。
【0041】
蓄圧器ユニット19は、圧縮機ユニット18で昇圧した高圧(80MPa超)の水素ガスを貯留する機能を有し、容量300Lの長尺タンク形状の蓄圧器30a、30b、30c、30dを4本備えている。
【0042】
高圧の蓄圧器を使用して燃料電池自動車に水素ガスを供給する差圧式の水素ステーションでは、低圧バンク、中圧バンク、及び高圧バンクの組み合わせによるバンク切り替えが効率的であると考えられている。そのため、本実施例では、2本の蓄圧器30a、30bで低圧のバンク1を、蓄圧器30cで中圧のバンク2を、蓄圧器30dで高圧のバンク3を構成し、低圧のバンク1、中圧のバンク2、高圧のバンク3の順で蓄圧器内に貯留した高圧水素ガスを燃料電池自動車に供給するようにしている。低圧のバンク1は、燃料電池自動車に水素ガスを供給する際に最も水素ガスの供給量が多くなるので、2本の蓄圧器30a、30bを使用し、供給量を確保するようにしている。ただし、蓄圧器の数は、簡易型水素ステーション11に求める水素供給能力に応じ、適宜、増減することができる。また、本実施例では、蓄圧器30a、30b、30c及び30dはいずれも同じ容量としたが、必要に応じ、サイズが異なる蓄圧器を組み合わせてもよい。
【0043】
また、蓄圧器への水素ガスの充填と取出しのため、バンク1には配管31aが、バンク2には配管31bが、バンク3には配管31cが接続されている。なお、バンク1は2本の蓄圧器30a、30bで構成されているため、配管31aは蓄圧器30a、30bの直前で分岐して蓄圧器30a、30bに各々接続されている。
【0044】
バルブユニット20は、圧縮機ユニット18で昇圧した水素ガスの蓄圧器ユニット19内の蓄圧器30a、30b、30c、30dへの充填と、蓄圧器30a、30b、30c、30dに貯留した水素ガスの取出しを制御する。このため、バルブユニット20には、分岐配管21が着脱可能な水素ガスの流入口33と、供給配管22が着脱可能な水素ガスの流出口34とを設けるとともに、蓄圧ユニット19の3本の配管31a、31b、31cを着脱可能な水素ガスの出入口35a、35b、35cを設けている。
【0045】
充填配管21は、バルブユニット20内でバンク1に水素ガスを供給する分岐配管21aと、バンク2に水素ガスを供給する分岐配管21bと、バンク3に水素ガスを供給する分岐配管21cに分岐し、分岐配管21aは水素ガスの出入口35aに、分岐配管21bは水素ガスの出入口35bに、分岐配管21cは水素ガスの出入口35cに接続されている。
【0046】
また、蓄圧器ユニット19内の蓄圧器30a、30b、30c、30dからディスペンサーユニット14へ水素ガスを供給するため、バンク1から水素ガスを取出す支配管22a、バンク2から水素ガスを取出す支配管22b、バンク3から水素ガスを取出す支配管22cを設け、支配管22aと水素ガスの出入口35a、支配管22bと水素ガスの出入口35b、支配管22cと水素ガスの出入口35cとを接続するとともに、バルブユニット20内で支配管22a、22b、22cを集合させて供給配管22を構成している。
【0047】
なお、図2に示すように、分岐配管21aと支配管22a、分岐配管21bと支配管22b、分岐配管21cと支配管22cは、蓄圧器ユニット19とバルブユニット20との間では配管の一部を共用しているが、分岐配管と支配管を個別に蓄圧器ユニット19とバルブユニット20との間に設けるようにしても良い。
【0048】
このように、バルブユニット20は、蓄圧器ユニット19よりも手前で分岐し、蓄圧器ユニット19よりも後ろで集合する並列した複数の配管を有している。
【0049】
分岐配管21aには自動ボールバルブ37aと逆止弁38aを、分岐配管21bには自動ボールバルブ37bと逆止弁38bを、分岐配管21cには自動ボールバルブ37cと逆止弁38cを設けている。これら自動ボールバルブ37a、37b、37cは、圧縮機ユニット18から蓄圧器ユニット19への水素ガスの供給を開閉する第1バルブである。これにより、圧縮機ユニット18から蓄圧器ユニット19への水素ガスの供給を制御するとともに、水素ガスの逆流を防止している。
【0050】
また、支配管22aには自動ボールバルブ39aと逆止弁40aを、支配管22bには自動ボールバルブ39bと逆止弁40bを、支配管22cには自動ボールバルブ39cと逆止弁40cを設けている。これら自動ボールバルブ39a、39b、39cは、蓄圧器ユニット19から水素ガスの流出口34まで水素ガスの供給を開閉する第2バルブである。これにより、蓄圧器ユニット19から水素ガスの流出口34への水素ガスの供給を制御するとともに、水素ガスの逆流を防止している。
【0051】
支配管22a、22b、22cが集合した供給配管22には、逆止弁43と自動ボールバルブ44を設け、水素ガスの逆流防止とディスペンサーユニット14に供給する水素ガスの供給を制御している。
【0052】
さらに、支配管22aから分岐させた配管45aには自動ボールバルブ46aを、支配管22bから分岐させた配管45bには自動ボールバルブ46bを、支配管22cから分岐させた配管45cには自動ボールバルブ46cを設けている。これらの自動ボールバルブ46a、46b、46cは、配管内の水素ガスのベントを開閉するベントバルブである。
【0053】
以上のように、水素ステーションパッケージユニット13は構成されているので、H受入ユニット12から供給された水素ガスを圧縮機ユニット18で昇圧(圧縮)して蓄圧ユニット19に充填、貯留し、所要に応じてディスペンサーユニット14に供給することができる。そして、蓄圧ユニット19への水素ガスの充填、及び蓄圧ユニット19からの水素ガスの取出しは、バルブユニット20内に設けた複数の自動ボールバルブを開閉することにより制御される。
【0054】
次に、バルブユニット20での配管、バルブの実装状態を説明する。バルブユニット20では、水素ガスの供給を開閉したり、水素ガスのベントを開閉したりするための各種のバルブが支持部材50に集積化した状態で搭載されている。また、圧縮機ユニットから蓄圧器への水素を制御する第1バルブを含む第1の流路、及び蓄圧器から水素ガス出口への水素を制御する第2バルブを含む第2の流路の少なくとも一つには、それらの流路との接続部から略同一平面にて略正反対方向、例えば角度180度に転回される流路ラインが接続されている。ここで、「略同一平面にて転回される」とは、流路ラインを構成している配管を側方から見たときに、転回された配管がほぼ重なって見える状態を意味するが、完全に重なっている必要はなく、当該配管の外径の幅程度の範囲であれば重なっていなくても構わない。
【0055】
先ず、流路ラインが、2つの直角エルボ継手を介してコの字形に引き回されたコ字形流路部で構成された場合について説明する。図3は、水素パッケージユニット13を正面側から見たときの支持部材50への配管及びバルブの取付け状態を模式的に示す図面である。
【0056】
図3に示すように、支持部材50には、複数の配管が直角エルボ継手及びチーズ継手により接続され、水平方向及び垂直方向に水素ガスの流路が設けられている。水素ステーションでは、高圧の水素ガスを取り扱うために耐圧性と高い信頼性が要求されるので、配管と直角エルボ継手、配管とチーズ継手、配管とバルブ、配管と逆止弁の接続には、従来からの使用実績があるコーン・スレッド継手構造を使用している。
【0057】
また、圧縮機ユニット18の水素ガス出口29から充填配管21を介して供給される圧縮された高圧水素ガスをバルブユニット20に受け入れる水素ガスの流入口33は、支持部材50の上方部に設けられ、バルブユニット20から供給配管22を介して蓄圧器ユニット19に高圧水素ガスを供給する水素ガスの流出口34は、支持部材50の下方部に設けられており、水素ガスの流入口33と水素ガスの出入口35の位置関係は、長方形状の支持部材50の略対角線上に、支持部材50の中心に対して略点対称に設けている。
【0058】
このように、支持部材50の上方部に水素ガスの流入口33を設けることにより、圧縮機ユニット18の水素ガス出口29と水素ガスの流入口33との距離を最短とし、両者を接続する管路を最短に設けることができる。また、支持部材50の下方部に水素ガスの出入口35を設けることにより、水素ガスの出入口35と蓄圧器の元弁83との距離を最短とし、両者を接続する管路を最短に設けることができる。
【0059】
圧縮機ユニット18から水素ガスの流入口33を介してバルブユニット20に水平に引き込まれた充填配管21は、直角エルボ継手52aにより下向き垂直方向に向きを変え、水素ガス供給先のバンク数に合わせ、チーズ継手53aにより分岐配管21cに、チーズ継手53bにより分岐配管21bに、直角エルボ継手52bにより分岐配管21aに分岐される。3本の流路に分岐された分岐配管21a、21b、21cは平行を維持して、分岐配管21aは水素ガスの出入口35aに、分岐配管21bは水素ガスの出入口35bに、分岐配管21cは水素ガスの出入口35cに接続されている。
【0060】
これら分岐配管21a、21b、21cは、圧縮機ユニット18から蓄圧器ユニット19へ供給される水素ガスを制御する第1バルブを含む第1の流路であり、それらの流路との継手の接続部から2つの直角エルボ継手を介し、流路ラインとしてコの字状に引き回されたコ字形流路部が接続されている。
【0061】
すなわち、分岐配管21aでは、チーズ継手53gの接続部とチーズ継手53hとの間に、直角エルボ継手52gと直角エルボ継手52hを介してコ字形流路部55を、分岐配管21bでは、チーズ継手53eの接続部とチーズ継手53fとの間に、直角エルボ継手52dと直角エルボ継手52eを介してコ字形流路部56を、分岐配管21cでは、チーズ継手53bの接続部とチーズ継手53cとの間に、直角エルボ継手52bと直角エルボ継手52cを介してコ字形流路部57を設けている。
【0062】
蓄圧器ユニット19からバルブユニット20の水素ガス出口34に水素ガスを供給する流路は、水素ガス供給元のバンク数に合わせ、支配管22a、22b、22cの3本の流路を有し、支配管22aは直角エルボ継手52lにより、支配管22bはチーズ継手53jにより、支配管22cはチーズ継手53iにより供給配管22に合流している。
【0063】
なお、支配管22aの水素ガスの出入口35aとチーズ継手53gとの間は分岐配管21aと共用し、支配管22bの水素ガスの出入口35bとチーズ継手53eとの間は分岐配管21bと共用し、支配管22cの水素ガスの出入口35cとチーズ継手53bとの間は分岐配管21cと共用している。
【0064】
蓄圧器ユニット19からバルブユニット20の水素ガス流出口(出口)34へ供給する水素ガスを制御する第2バルブを含む第2の流路である供給配管22にも、流路との継手の接続部から2つの直角エルボ継手を介し、流路ラインとしてコの字状に引き回されたコ字形流路部が接続されている。
【0065】
すなわち、供給配管22は、チーズ継手53iの接続部と直角エルボ継手52oとの間に、直角エルボ継手52mと直角エルボ継手52nを介してコ字形流路部58を設けている。
【0066】
また、分岐配管21a(支配管22a)の水素ガスの出入口35aと直角エルボ継手52hとの間にチーズ継手53hを設けて配管45aを分岐させ、分岐配管21b(支配管22b)の水素ガスの出入口35bと直角エルボ継手52eとの間にチーズ継手53fを設けて配管45bを分岐させ、分岐配管21c(支配管22c)の水素ガスの出入口35cと直角エルボ継手52cとの間にチーズ継手53cを設けて配管45cを分岐させている。
【0067】
図3に示すように、圧縮機ユニット18から蓄圧器ユニット19への水素ガスの供給を開閉する第1バルブである自動ボールバルブ37a、37b、37cからなる第1バルブ群61と、蓄圧器ユニット19から水素ガスの流出口34への水素ガスの供給を開閉する第2バルブである自動ボールバルブ39a、39b、39cからなる第2バルブ群62と、配管内の水素ガスのベントを開閉する第3バルブである自動ボールバルブ46a、46b、46cからなるベントバルブ群63は、それぞれバルブユニット20内の異なる所定領域内に集積化された状態で配置されている。
【0068】
これにより、圧縮機ユニットから蓄圧器への水素ガスの流れを考慮して効率よく集積化して配置することができ、コンパクト性を向上させつつ、製造性やメンテナンス性を向上させることができる。すなわち、製造時には、同じ種類のバルブを所定領域内で同時に支持部材50に取付けることができるので、製造性を向上させることができる。また、水素ステーションパッケージユニットのメンテナンス時には、同じ種類のバルブを同時に点検、整備することができるので、メンテナンス性を向上させることができる。
【0069】
このように支持部材50に配管を取付けるため、配管の配置が簡単かつ明解となり、製造時には配管作業が容易となって製造性を向上させることができるとともに、配管ミスが発生しにくい。また、水素ステーションパッケージユニットの点検・整備時には、目視点検を行い易くなり、かつ異常も発見しやすいので、メンテナンス性を向上させることができる。
【0070】
このような配管方法では、最短距離で配管を連接するよりも配管長が増して圧力損失が増えることになるが、本実施例の水素ステーションパッケージユニットでは、ニードルバルブよりもCv値が格段に大きいボールバルブを使用しているので、配管長が増すことにより生じる圧力損失の増加を補い、配管を簡潔にした効果を十分に得ることができる。また、最短距離で配管を連接しようとすると筐体内で配管が直線的で複雑にならざるを得ず、全体として大型化してしまうが、本実施例のような集積化によれば、大幅なコンパクト化が達成される。
【0071】
以上のように、バルブユニット20の支持部材50に各種のバルブ群61、62、63や配管を搭載して集積化しているので、バルブユニット20の組立ては工場で行い、水素ステーションの施工現場では、工場で組立てたバルブユニット20を水素ステーションパッケージユニット13内の所定の場所に取付けた後、圧縮機ユニット18とバルブユニット20との間、バルブユニット20と蓄圧器ユニット19との間で最小限の配管の接続作業をすれば良いので、施工性が著しく向上するとともに、施工時の配管ミスを防止することができる。
【0072】
また、バルブユニットを工場で組立てることにより、支持部材50への配管作業やバルブの取付け作業は治具等を使用して正確に行うことができるとともに、試験機材を使用して厳密に漏洩検査等を実施することができるので、水素ステーションパッケージユニット13の信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0073】
これに加え、バルブユニット20では配管やバルブを支持部材50に集積化して搭載しているため、水素ステーションの整備の際には、概ねバルブユニット20を中心に点検等を行えば良いので、水素ステーションのメンテナンス性を向上させることができる。
【0074】
さらには、バルブユニット20では、支持部材50に適宜に配管を配管することができるので、複数の配管を蓄圧器から水素ガスを供給する順に短く設けたり、略同じ長さに設けたりすることが容易となり、蓄圧器等の機器の特性に対応させて配管を構成することができる。なお、本発明におけるバルブユニットは、上述した例に限定されず、適宜構成を変更可能である。例えば、ベントバルブが設けられている配管45a、45b及び45cとは別に、これらと並列な配管を設け、そこに手動のベントバルブを設置するなどして、自動ボールバルブ46a、46b、46cに異常が生じたときにも確実にベントを行うことができる配管設計としても良い。また、配管の必要箇所に安全弁を設けたり、第2バルブ群62と自動ボールバルブ44との間の配管を脱圧するための配管を設けたりするなど、必要なバルブや配管を設置することができる。
【0075】
本発明の水素ステーションパッケージユニットのバルブユニット20では、前述したように、配管と直角エルボ継手、配管とチーズ継手、配管とバルブ、配管と逆止弁の接続には、従来からの使用実績があるコーン・スレッド継手構造を使用している。コーン・スレッド継手構造を使用した場合、バルブや継手のボデーに設けたソケット(接合部)からグランドナットを取り外しても接合内にチューブの先端部(接続部)が残るので、接合部内からチューブの接続部を引き抜かないとバルブや継手のボデーを取り外すことができない。
【0076】
この状況をパッケージユニット20で使用している自動ボールバルブを例にして、図4により具体的に説明する。自動ボールバルブ37、39、44、46のボデー63に設けた接合部64には、グランドナット65とカラー66によりチューブ(配管)67の接続部68が接続され、コーン・スレッド継手69を構成している。図4に示すように、接合部64からグランドナット65を取り外しても、チューブ67の接続部68は接合部64内に残っている。このため、単に1次側と2次側のグランドナット65、65を取り外しただけでは自動ボールバルブを取り外すことができない。自動ボールバルブを支持部材50から取り外すためには、1次側と2次側のチューブ67、67の接続部68、68を完全にグランドナット65、65の外部に引き出す必要があり、少なくともそれぞれ距離Lだけ1次側と2次側のチューブ67、67を配管方向に沿って平行移動させて引き出さなくてはならない。
【0077】
以上は自動ボールバルブを例にして説明したが、直角エルボ継手であっても、チーズ継手であっても、また逆止弁であっても同じコーン・スレッド継手構造を使用しているため、これらのボデーの接合部とチューブの接続部は同じ関係にある。
【0078】
従って、メンテナンス等のためにバルブユニット20から自動ボールバルブを取り外す際には、1次側と2次側のチューブ67、67の接続部68、68を完全にグランドナット65、65の外部に引き出すため、チューブ67、67を流路方向にそれぞれ距離Lだけ引き出すスペースを作り出す必要がある。そのためには、1次側と2次側のチューブ67、67に接続されている継手や逆止弁等を取り外す必要があるが、それらの継手や逆止弁等を取り外すためには、さらに継手や逆止弁に接続されているチューブを取り外す作業が連鎖的に発生し、結局は複数の継手部を分解する面倒な作業となる。これに加え、サイズを可能な限り切り詰めた水素ステーションパッケージユニットの筐体内で、チューブを移動させるスペースを確保するのは容易ではない。
【0079】
しかしながら、本発明の水素ステーションパッケージのバルブユニットでは、第1バルブを設けた第1の配管である分岐配管21aにはコ字形配管部55が、分岐配管21bにはコ字形配管部56が、分岐配管21cにはコ字形配管部58が接続されており、第2バルブを設けた第2の配管である供給配管22にはコ字形配管部59が接続されているので、第1バルブ群61、第2バルブ群62、第3バルブ群63の自動ボールバルブを取り外す際に、これらのコ字形配管部55、56、57、58を活用して従来よりも簡単にバルブの取外し作業を行うことができる。
【0080】
例えば、第1バルブ群61の自動ボールバルブ37cを支持部材50から取り外す場合について説明する。図5に示すように、チーズ継手53bとチーズ継手53cの接合部に上方側から接続されている分岐配管21c、21cの外周に設けたグランドナットを緩めると、分岐配管21c、21cの接続部をチーズ継手53bとチーズ継手53cの接合部から上方に引き抜き、太線示したコ字形配管部57を支持部材50の上方方向に平行移動させることができる。
【0081】
チーズ継手53bの接合部に下方側から接続されている支配管22cを取外し、自動ボールバルブ37cの1次側と2次側の接合部に接合されている分岐配管21c、21cの外周に取付けたグランドナットを緩めると、自動ボールバルブ37cの2次側の接合部に接続されていた分岐配管21cと逆止弁38cとチーズ継手53bを一体に分岐配管21b側に移動させることができる。すなわち、コ字形配管部57を上方に平行移動させたことにより、チーズ継手53bの分岐配管21b側に、配管引抜きスペースが付与される。
【0082】
この後、自動ボールバルブ37cの1次側の接合部から分岐配管21cの接続部が抜け出すように、自動ボールバルブ37cを分岐配管21b側(図では右方側)に距離L以上配管方向に平行移動させると、自動ボールバルブ37cの1次側と2次側の接合部内に分岐配管(チューブ)21c、21cの接続部が係合しない状態となり、自動ボールバルブ37cを取り外すことができる。
【0083】
なお、太線で示したコ字形配管部57を上方に平行移動させると、図4に示すように、自動ボールバルブ37cだけでなく、第3バルブ群63の自動ボールバルブ46cについても同様に、チーズ継手53cの(図に向かって)右方側に配管引抜きスペースが付与されるので、前述の自動ボールバルブ37cの場合と同様に方法により、配管45cとチーズ継手53cを一体の状態で配管引抜スペースへ平行移動させ、自動ボールバルブ46を取り外すことができる。
【0084】
以上と同様に、太線で示したコ字形配管部56を上方に平行移動させた場合には、第1バルブ群61の自動ボールバルブ37bと第3バルブ群62の自動ボールバルブ46bを、太線で示したコ字形配管部55を上方に平行移動させた場合には、第1バルブ群61の自動ボールバルブ37aと第3バルブ群62の自動ボールバルブ46aを取り外すことができる。なお、メンテナンスの際には、必ずしもコ字状配管部(流路ライン)の全体を取り外す必要はなく、コ字状配管部の一部を取り外すようにしてもよい。自動ボールバルブ37cを取り外す場合の例で言えば、コ字状配管部57のうち、直角エルボ継手52b、直角エルボ継手52c及びこれらの間の分岐配管21c、22cを上方に取り外すこともできる。この場合、直角エルボ継手52bに下方側から接続されている支配管22cを取り外すようにすれば、その後は上記と同様に自動ボールバルブ37cを取り外すことができる。
【0085】
次に、第2バルブ群62の自動ボールバルブを取り外す場合について説明する。この場合には、チーズ継手53iの接合部に上方から接続されている供給配管22の接続部の外周に取付けたグランドナットを緩めるとともに、直角エルボ継手52oの2次側に接続されている供給配管22の外周に取付けたグランドナットを緩めると、太線で示したコ字形配管部58を左方側へ移動させて、配管の引抜スペースを付与することができる。
【0086】
この後は、前述のコ字形配管部55、56、57を移動させた場合と同様の方法により、第2バルブ群62の自動ボールバルブ39a、39b、39cを個別に、又は順番に支持部材50から取り出すことができる。第2バルブ群62の自動ボールバルブを取り外す場合も、コ字状配管部58の全体を取り外すのではなく、一部を取り外すようにしてもよい。すなわち、直角エルボ継手52m、直角エルボ継手52n及びこれらの間の供給配管22を上方に取り外すようにすれば、同様に配管の引抜きスペースを付与することが可能となる。
【0087】
このように、本発明の水素ステーションパッケージユニット及びメンテナンス方法によれば、第1バルブを含む第1の流路、及び第2バルブを含む第2の流路の少なくとも一つには、それらの流路との接続部から2つの直角エルボを介してコの字状に引き回されたコ字形流路部を設け、またこのコ字形流路部を利用して自動ボールバルブを取り外すようにしているので、従来に比べ大幅に少ない工数で自動ボールバルブの接合部から配管を取外し、自動ボールバルブを取り外してメンテナンスすることができる。
【0088】
次いで、流路ラインが、第1バルブを含む第1の流路、及び第2バルブを含む第2の流路の少なくとも一に、それらの流路との接続部から2つの二方継手を介して接続された流路部で構成された場合の一例について説明する。図6は、水素パッケージユニット13を正面側から見たときの支持部材50への配管及びバルブの取付け状態を模式的に示す図面である。なお、図3と同一の部分については、同じ符号を使用して説明を省略する。
【0089】
図6のバルブユニットでは、図3のバルブユニットで使用していた直角エルボ継手52gを二方継手71aに、直角エルボ継手52hを二方継手71bに置き換えるとともに、コ字形配管72の両端の接続部を二方継手71aと二方継手71bの接合部に接続して流路ライン76を形成し、分岐配管21a及び支配管22aの一部を構成している。
【0090】
また、直角エルボ継手52dを二方継手71cに、直角エルボ継手52eを二方継手71dに置き換えるとともに、コ字形配管73の両端の接続部を二方継手71cと二方継手71dの接合部に接続して流路ライン77を形成し、分岐配管21b及び支配管22bの一部を構成するとともに、直角エルボ継手52bを二方継手71eに、直角エルボ継手52cを二方継手71fに置き換えるとともに、コ字形配管74の両端の接続部を二方継手71eと二方継手71fの接合部に接続して流路ライン78を形成し、分岐配管21c及び支配管22cの一部を構成している。
【0091】
この他の配管及びバルブの構成は図3のバルブユニットと同じであり、同様の作用及び効果を奏することができる。従って、第1バルブ群61、第3バルブ群63の自動ボールバルブを取り外す際には、チーズ継手53bとチーズ継手53cの接合部に上方側から接続されている分岐配管21c、21cの外周に設けたグランドナットを緩め、分岐配管21c、21cの接続部をチーズ継手53bとチーズ継手53cの接合部から引き抜くことにより、流路ライン78を上方に平行移動させて、配管の引抜スペースを生じさせることができる。また、二方継手71eと二方継手71fの接合部に上方側から接続されているコ字形配管74の両端の外周に設けたグランドナットを緩め、コ字形配管74の接続部を二方継手71eと二方継手71fの接合部から引き抜くようにしてもよい。なお、流路ライン77、76を上方に平行移動させて引き抜く場合についても、同様に行うことができる。
【0092】
以上の説明においては、二方継手71aと二方継手71bとの間、二方継手71cと二方継手71dとの間、二方継手71eと二方継手71fとの間を、コ字形配管72、73、74で接続しているが、供給配管22でチーズ継手53iと直角エルボ継手52oとの間を直接U字状曲線配管で接続して流路ライン79を形成しているように、曲線状の管路によりこれらの二方継手同士を接続することもできる。
【0093】
続いて、水素ステーションパッケージユニット13内の機器の配置について図面に基づいて説明する。図7は正面方向から、図8は上面方向から、及び図9は右側面方向から見た水素ステーションパッケージユニット13内の機器の配置状況を示す図面である。
【0094】
図7乃至図9に示すように、水素ステーションパッケージユニット13の筐体17は直方体形状を有しており、この筐体17の下部収納室81に蓄圧器ユニット19を構成する4本の長尺タンク形状の蓄圧器30a、30b、30c、30dを並置した状態で配置している。図9は、下部収納室81内に4本の長尺タンク形状の蓄圧器30a、30b、30c、30dを並置した状態を示している。このように蓄圧器を並列に配置したことにより、下部収納室81の短尺方向の幅を狭くするようにしている。
【0095】
下部収納室81に収納された蓄圧器30a、30b、30c、30dは、固定金具82によって下部収納室81の床部に固定されているが、図10に示すように、隣接する固定金具82同士が接触しないように互い違いに配置するようにした結果、蓄圧器同士をより近づけて配置することができるようになり、下部収納室81の短尺方向の幅をより狭くすることができるようにしている。
【0096】
このように、下部収納室81の短尺方向の幅を狭くすることに努めた結果、本実施例では、筐体17の短尺方向の幅を2.5m以内に収めることができた。筐体17の幅が2.5mを超えると、車両に積載して道路輸送する際には、道路交通法による制限外積載許可を申請して許可を得るか、或いは構成機器単位に分解して輸送した後、再度組み立てることが必要になる。本実施例では、筐体17の幅が2.5m以内であるので、制限外積載許可申請や分解は不要であり、組立てた状態の水素ステーションパッケージユニット13をそのまま車両輸送することができるので、極めて施工性に優れている。
【0097】
図7に示すように、圧縮機ユニット18とバルブユニット20は下部収納室81の上部に配置されており、バルブユニット20の支持部材50は、筐体17を正面方向からみたときに、圧縮機ユニット18の水素ガス出口29と圧縮機ユニット18から遠い側に配置された蓄圧器30a、30b、30c、30dの元弁83とを結ぶ直線を対角線84とする長方形のスペースに合わせた略長方形の平面形状を有している。
【0098】
バルブユニット20の支持部材50を上記のような形状に設けたため、図8に示すように、圧縮機ユニット18とバルブユニット20は、蓄圧器30a、30b、30c、30dの長手方向に沿って並置する状態で設けることができる。このように、圧縮機ユニット18とバルブユニット20とを並列する状態で配置することによっても、筐体17の短尺方向の幅を狭くするようにしている。
【0099】
バルブユニット20の支持部材50を圧縮機ユニット18とバルブユニット20とを並列する状態で配置するとともに、下部収納室81内の蓄圧器30a、30b、30c、30dとバルブユニット20とを結ぶ配管群31a、31b、31cを、下部収納71室に開けた連通穴85を集積状態に通してバルブユニット20の配管群21a、21b、21c、22a、22b、22cと接続しているため、圧縮機ユニット18の水素ガス出口29と支持部材50の水素ガスの流入口33との間の距離、及び支持部材50の水素ガスの出入口35a、35b、35cと蓄圧器30a、30b、30c、30dの元弁83との間の距離が最短となり、配管作業を簡単化することができる。
【0100】
このように、本発明のバルブユニット20の支持部材50では、筐体内の各種機器の配置に対応して第1、第2、第3バルブ群の各種のバルブ類や配管を集積化させているので、圧縮機ユニットの水素ガス出口とバルブユニットとの間、及びバルブユニットと蓄圧器の元弁との間の配管接続を最短距離で行うことができ、水素ステーションパッケージユニットの施工時における配管作業を容易に行うことができる。
【0101】
なお、図7に示すように、支持部材50の上部にバルブユニット20の水素ガスの流入口33を設けると、本実施例のように、圧縮機ユニット18の水素ガス出口29が圧縮機ユニットの上部に設けられている場合には特に顕著な効果を奏するが、圧縮機ユニットの水素ガス出口が上部以外の下部等に設けられている場合であっても、充填配管21の長さが若干増すものの、配管の配置は簡単かつ明解となって、施工性には影響を受けない。
【0102】
本発明の水素ステーションパッケージユニットでは、第1バルブ群、第2バルブ群及び第3バルブ群のバルブには、従来の二―ドルバルブよりもCv値が大きい自動ボールバルブを使用しているので、配管長の増加による圧力損失の増加を補い、配管を簡潔にした効果を十分に得ることができる。
【0103】
さらに、図8に示すように、バルブユニット20を筐体17の内壁面86近くに配置するようにしたことで、バルブユニット20の前面付近にスペース87を設けることができるので、バルブユニット20の支持部材50に取り付けられた配管構成の視認が容易となるだけでなく、整備・点検作業が行い易くなり、メンテナンス性が向上する。
【0104】
また、図示はしていないが、筐体17の側面に開閉可能な扉を設けると、圧縮機ユニット18やバルブユニット20への接近性が向上し、整備作業がさらに容易となる。特に、下部収納室81の蓄圧器30a、30b、30c、30dの元弁83側に開閉可能な扉を設けると、蓄圧器30a、30b、30c、30dの整備作業が容易となる他、必要に応じて蓄圧器30a、30b、30c、30dの交換等にも対応できるようになり、作業性が向上する。
【0105】
以上説明したように、本発明の水素ステーションパッケージユニット13では、筐体17内に機器を整然と配置することにより、無駄なスペースを削減して筐体17を小型化するとともに、特にバルブユニット20の支持部材50に配管や水素ガスを供給・遮断又は制御するための各種のバルブ群を集結化して整然と取付けることにより、施工性、メンテナンス性の向上を図っている。
【0106】
本発明の水素ステーションパッケージユニット13では、水素ステーションに必要とされる水素ガスの貯留と供給に不可欠な機能を有しているので、本発明の水素ステーションパッケージユニット13を用いることにより、水素ステーションの設置に必要な敷地面積を大幅に削減することができる。特に、オフサイト方式で水素ステーションを建設する場合には、郊外、大都会の狭小地や従来のガソリンスタンドにも図1に示すように構成した簡易型水素ステーションを設置することができる。
【0107】
また、本発明の水素ステーションパッケージユニット13はメンテナンス性に優れているので、水素ステーションの稼働率の向上にも寄与することができる。なお、本発明の水素ステーションパッケージユニットは、圧縮器ユニット、蓄圧器及びバルブユニットのほかにも、例えばディスペンサーユニットを筐体内に内蔵するなど、全体的なサイズ等に応じて必要な機器を備えることができる。
【0108】
本発明の水素ステーションパッケージユニットは、少なくとも圧縮機ユニット、複数の蓄圧器及びバルブユニットを搭載するものである。このような水素ステーションパッケージユニットが設置される簡易型水素ステーションは、それが設置される地域によって必要とされる水素供給能力は異なるものである。そこで、その要求能力をちょうど満たすように、圧縮機ユニットの出力、蓄圧器の容量や本数、バルブユニットの配管等の構造を適宜選択して組み合わせることが好ましい。例えば、連続して2台の燃料電池自動車への水素供給を行うことを想定した簡易型水素ステーションにおいては、ちょうど2台に水素充填を行うことが可能な蓄圧器の容量や本数を適用し、それが一定時間以内に必要な水素圧を回復できる能力の圧縮機を組み合わせ、それらに合わせたバルブユニットの配管設計を行う。それによって、必要な水素供給能力を得つつも、最低限の装置構成とすることによるコンパクト化や低コスト化を達成することが可能となる。
【0109】
以下に、本実施形態における水素ステーションパッケージユニットの水素ガスの充填、貯留及び供給方法を説明する。
既存の工業プラント等で大規模に製造され、大型のボンベを束ねたトレーラー、或いはカードルにより水素ステーションに輸送されてきた水素ガスは、H受入ユニット12で受領され、水素ステーションパッケージユニット13に供給される。
【0110】
この時、圧縮機ユニット18で、水素ガスは所定の圧力(80MPa超)まで昇圧され、バルブユニット20を介して蓄圧器ユニットの蓄圧器に充填される。この水素ガスの充填は、基本的に、バンク1、バンク2、バンク3の順に行われる。ただし、バンクの切替は、必要に応じ、順番を変えても良い。
【0111】
先ず、バルブユニット20内の自動ボールバルブ37aのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置となる。これにより、圧縮機ユニット18で昇圧された水素ガスは、分岐配管21aを経由してバンク1を構成する蓄圧器30aと蓄圧器30bに充填される。蓄圧器30aと蓄圧器30bの内圧が所定の圧力まで上昇すると、自動ボールバルブ37aは閉位置となり、蓄圧器30aと蓄圧器30b内に水素ガスが貯留される。
【0112】
次いで、自動ボールバルブ37bのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、圧縮機ユニット18で昇圧された水素ガスは、分岐配管21bを経由してバンク2を構成する蓄圧器30cに充填される。蓄圧器30cの内圧が所定の圧力まで上昇すると、自動ボールバルブ37bは閉位置となり、蓄圧器30c内に水素ガスが貯留される。
【0113】
最後に、自動ボールバルブ37cのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、圧縮機ユニット18で昇圧された水素ガスは、分岐配管21cを経由してバンク3を構成する蓄圧器30dに充填される。蓄圧器30dの内圧が所定の圧力まで上昇すると、自動ボールバルブ37cは閉位置となり、蓄圧器30c内に水素ガスが貯留される。
【0114】
これで水素ステーションパッケージユニット13内への水素ガスの充填は完了し、水素ガスは、燃料電池自動車に供給されるまでの間、蓄圧器ユニットに貯留される。
【0115】
ディスペンサーユニット14の充填用ノズルが燃料電池自動車に接続され、水素ガス充填のスイッチがONとなると、水素ステーションパッケージユニット13に貯留した水素ガスの供給が開始されるが、この場合も水素ガスの供給は、バンク1、バンク2、バンク3の順に行われる。なお、バンクの切換えに伴い、燃料電池自動車に水素を供給していない蓄圧器に対しては、逐次、水素の圧力を回復させるため圧縮機ユニット18からの水素供給を行うことができる。
【0116】
先ずバルブユニット20内の自動ボールバルブ39aのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、バンク1を構成する蓄圧器30aと蓄圧器30bに貯留された高圧の水素ガスは、燃料電池自動車の水素ガスタンクとの差圧により、支配管22a、供給経路22を経由して、ディスペンサーユニット14を介して燃料電池自動車に供給される。バンク1は低圧バンクであるため、燃料電池自動車の水素タンクの内圧が所定の圧力(50MPa程度)に達すると、自動ボールバルブ39aは閉位置となる。
【0117】
次いで、自動ボールバルブ39bのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、バンク2を構成する蓄圧器30cに貯留された高圧の水素ガスは、支配管22b、供給経路22を経由して、ディスペンサーユニット14を介して燃料電池自動車に供給される。バンク2は中圧バンクであるため、燃料電池自動車の水素タンクの内圧が所定の圧力(70MPa程度)に達すると、自動ボールバルブ39bは閉位置となる。
【0118】
最後に、自動ボールバルブ39cのみが開位置となり、他の全ての自動ボールバルブは閉位置を維持する。これにより、バンク3を構成する蓄圧器30dに貯留された高圧の水素ガスは、支配管22c、供給経路22を経由して、ディスペンサーユニット14を介して燃料電池自動車に供給される。バンク3は高圧バンクであるため、燃料電池自動車の水素タンクの内圧が所定の圧力(75MPa超)に達すると、自動ボールバルブ39cは閉位置となり、燃料自動車への水素ガスの供給は完了する。
【0119】
水素ステーションパッケージユニット13は、上述した水素ガスの充填、貯留、供給のサイクルを繰り返し、燃料電池自動車に水素ガスを供給する。
【0120】
また、メンテナンスの際に水素ステーションパッケージユニット13内に残留する水素ガスをパージする際には、バルブユニット20の自動ボールバルブ37a、37b、37cを開位置とし、他のバルブを閉位置にした後、パージ用Nユニット15から窒素を供給し、配管内に窒素で圧を張り、その後、自動ボールバルブ37a、37b、37cを閉位置にして、自動ボールバルブ46a、46b、46cを開位置にすると、配管内に残留する水素ガスをパージすることができる。この操作を複数回繰り返すことにより、水素ステーションパッケージユニット13内に残留する水素等をパージすることができる。なお、この水素等のパージ方法は一例であり、必要に応じ、各種の手法を適用することができる。
【0121】
なお、以上説明した各ユニットの作動と自動ボールバルブの開閉は、図示しない圧力計等のセンサーからの信号を受信する図示しないPLC(Programmable Logic Controller)により制御される。
【0122】
以上、本発明の水素ステーションパッケージユニットをオフサイト方式の水素ステーションに使用した場合について詳述してきたが、本発明の水素ステーションパッケージユニットの使用はオフサイト方式に限られるものではなく、当然にオンサイト方式でも使用することができる。
【0123】
本発明の水素ステーションパッケージユニットは、小型に構成されて製造性、施工性及び整備性に優れるとともに、この水素ステーションパッケージを用いた簡易型水素ステーションは、郊外、大都会の狭小地や従来のガソリンスタンドにも設置することができるので、その利用価値は非常に大きいものがある。
【符号の説明】
【0124】
11 簡易型水素ステーション
13 水素ステーションパッケージユニット
17 筐体
18 圧縮機ユニット
20 バルブユニット
21 第1の流路(充填配管)
22 第2の流路(供給配管)
30 蓄圧器
34 水素ガス出口
37a、37b、37c 第1バルブ(自動ボールバルブ)
39a、39b、39c 第2バルブ(自動ボールバルブ)
50 支持部材
52 接続部(直角エルボ継手)
53 接続部(チーズ継手)
55、56、57、58 流路ライン(コ字形流路部)
69 コーン・スレッド継手
L:チューブの引抜距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10