(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】フィルムコーティング錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/28 20060101AFI20240711BHJP
A61K 9/32 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240711BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240711BHJP
【FI】
A61K9/28
A61K9/32
A61K47/32
A61K47/10
(21)【出願番号】P 2023065072
(22)【出願日】2023-04-12
(62)【分割の表示】P 2019031412の分割
【原出願日】2019-02-25
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000209049
【氏名又は名称】沢井製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 翔太
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-515999(JP,A)
【文献】特表2009-538920(JP,A)
【文献】特表2009-513717(JP,A)
【文献】国際公開第2005/053599(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/019286(WO,A1)
【文献】特開昭62-288076(JP,A)
【文献】改訂 医薬品添加物ハンドブック,株式会社薬事日報社,2007年02月28日,第891~893頁,「ポリビニルアルコール」
【文献】AAPS PharmSciTech,2011年,12(2),pp.746-754
【文献】日本画像学会誌,2018年,第57巻,第4号,第462~469頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬効成分を含む素錠、
前記素錠を被覆し、部分けん化ポリ酢酸ビニル
(ただし、ポリビニルアルコールを除く)を含むコーティング層、および
前記コーティング層上に付着されたインクジェットインクを含む、フィルムコーティング錠剤。
【請求項2】
前記部分けん化ポリ酢酸ビニルのけん化率は、40%以上95%以下である、請求項1に記載のフィルムコーティング錠剤。
【請求項3】
前記コーティング層は可塑剤をさらに含む、請求項1に記載のフィルムコーティング錠剤。
【請求項4】
前記可塑剤はポリエチレングリコールである、請求項3に記載のフィルムコーティング錠剤。
【請求項5】
単一の前記素錠、前記コーティング層、および前記インクジェットインクからなる、請求項1に記載のフィルムコーティング錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、フィルムコーティング用組成物でコーティングされた錠剤、およびその製造方法に関する。例えば本発明の実施形態の一つは、インクの定着性が良いフィルムコーティング用組成物でコーティングされた錠剤とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医薬品のコンプライアンス向上や医療過誤防止のため、表面に薬効成分名やその含有量などの情報が直接表示された錠剤が広く用いられている。錠剤の表面に情報を表示させる方法としては、レーザー印刷やインク印刷が挙げられる。前者では錠剤表面をレーザーによって変色させることで印刷が行われる。一方後者では、インクジェット法などを用いて錠剤表面にインクを塗布することで印刷が行われる。一般に、インク印刷は、視認性やインクの色が調整可能である点でレーザー印刷より優れている。特許文献1には、有効成分含有顆粒と賦形剤とからなる素錠に対してインク印刷を行う方法が開示されている。また、特許文献2にはフィルムコート用組成物にヒドロキシプロピルセルロース、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いたフィルムコーティング錠に対してインク印刷を行う方法が開示されている。
【0003】
インクを塗布する錠剤は、特許文献1のように素錠である場合と、特許文献2のようにフィルムコーティング錠である場合があるが、どちらの錠剤であっても、錠剤表面にインクが十分に定着しなかった場合、外的衝撃によって印字の擦れや滲みといった問題が生じ得る。例えば、錠剤保管時に錠剤同士が密着することで印字面からインクが移り、錠剤が汚れることがある。また、錠剤を服用する際、指で印字面に触れることが考えられるが、指の油分等で印字が消失する恐れもある。上記問題を解決するためには、インクの定着性が特に良いフィルムコーティング用組成物で錠剤表面をコーティングした上でインク印刷を行うことが考えられるが、これまでにインクの定着性が良いフィルムコーティング用組成物は確立されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-114280号公報
【文献】特開2015-218268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係る実施形態の一つは、フィルムコーティング用組成物でコーティングされた錠剤、およびその製造方法を提供することを課題の一つとする。例えば本発明に係る実施形態の一つは、インクの定着性が良いフィルムコーティング用組成物でコーティングされた錠剤、およびその製造方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る実施形態の一つはインク印刷が施されたフィルムコーティング錠剤である。この錠剤は、薬効成分を含む素錠、素錠を被覆し、ビニルアルコールユニットを主鎖、または側鎖に有する高分子を含むコーティング層、およびコーティング層上に付着されたインクを含む。
【0007】
本発明に係る実施形態の一つは、インク印刷が施されたフィルムコーティング錠を製造するための方法である。この方法は、ビニルアルコールユニットを主鎖、または側鎖に有する高分子を含むコーティング層を素錠に被覆すること、およびインクを用いてコーティング層上に印刷を施すことを含む。
【0008】
高分子は、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、部分けん化された酢酸ビニルとアクリル酸とメタクリル酸エステルの共重合体から選択することができる。コーティング層は可塑剤をさらに含んでもよい。可塑剤はポリエチレングリコールでもよい。コーティング層による被覆は、単一の素錠をコーティング層で被覆することによって行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態により、インクの定着性が良いフィルムコーティング用組成物でコーティングされた錠剤とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態の一つに係る錠剤の模式的斜視図と断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について、図面などを参照しつつ説明する。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0012】
1.錠剤
本発明の実施形態の一つである錠剤100の模式的な斜視図と断面図を
図1(A)と
図1(B)にそれぞれ示す。これらの図に示すように、錠剤100は素錠102、および素錠102の表面全体を被覆するコーティング層104を有し、さらにコーティング層104の表面に付着されたインク106を含む。インク106は錠剤100に関する情報(薬効成分、服用量、服用回数などの情報)を表す態様で印刷によってコーティング層104の表面に付着される。錠剤100の形状に制約はなく、錠剤100は円柱状、球状、楕円球状などの種々の形状を取ることができる。
【0013】
素錠102は薬効成分として機能する薬剤、および素錠102に一定の形状を与えるための賦形剤を一種、あるいは複数種含有する。錠剤100は一つのコーティング層104内に単一の素錠102を含むことができる。換言すると、被覆(コーティング)されていない単一の素錠102とそれを覆うコーティング層104からなるように錠剤100を構成してもよい。素錠102は二層以上からなる多層錠や、有核錠であってもよい。
【0014】
薬剤の種類に制限はなく、薬剤は錠剤100の使用目的によって適宜選択される。
【0015】
賦形剤としては、例えば乳糖水和物、白糖、マルトース、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、トレハロース、デキストリン、プルランなどの糖類、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトールなどの糖アルコール、デンプン、アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプンなどのデンプン類、ヒドロキシプロピルセルロースやヒプロメロース、エチルセルロース、カルメロース、結晶セルロースのようなセルロース類、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの無機化合物が挙げられる。なお、これらの材料のすべて、あるいは一部は単なる賦形剤としてだけでなく、結合剤や崩壊剤などとしても機能する。したがって、素錠102は薬剤と賦形剤以外に、結合剤や崩壊剤などを含むと認識することもできる。
【0016】
素錠102は、薬剤や賦形剤以外に滑沢剤や着色剤などを含んでもよい。滑沢剤としては、例えば、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ホウ酸、パラフィン、ココアバター、ポリエチレングリコール、ロイシン、安息香酸ナトリウムなどが挙げられる。着色剤としては、例えば三二酸化鉄や黄色三二酸化鉄と呼ばれる酸化鉄、タール色素などが例示される。
【0017】
コーティング層104はポリビニルアルコール、あるいはその誘導体を基材として含むことができる。ポリビニルアルコールとその誘導体は、ビニルアルコールを基本繰り返しユニット(モノマー単位)として主鎖または側鎖に含む高分子であり、具体的には、ポリビニルアルコールのみならず、部分けん化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、部分けん化された酢酸ビニルとアクリル酸とメタクリル酸エステルの共重合体などが例示される。部分けん化された高分子の場合、そのけん化率(ビニルアルコールユニットの数/(ビニルアルコールユニットと酢酸ビニルユニットの総数))は30%以上100%未満、40%以上95%以下、あるいは50%以上90%以下でもよい。これらの高分子は、水素結合可能な高極性基である水酸基を主鎖上または側鎖上に有し、かつ単位重量当たりの水酸基の数が多いため、コーティング層104の表面に付着されたインク106と強固な結合を形成することができる。このため、インク106の定着性が高く、インク106を用いて薬効成分に関する情報を錠剤100上に印刷した場合、錠剤100の表面でインク106が滲む、インク106がはじかれる、あるいはインク106の色むらの発生などを防止することができる。このことは、コーティング層104上に情報を鮮明に印刷することに寄与する。また、指や手が錠剤100に触れたり、錠剤100同士が接触したりしてもインク106を用いて印刷された情報が消失することなく、長期間にわたって安定的に情報を保存することができる。
【0018】
コーティング層104はさらに可塑剤を含んでもよい。可塑剤としては、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル、トリアセチン、プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリンなどの低分子化合物、あるいはポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、エチレングリコールとラクチドとの共重合体などの高分子が挙げられる。特にポリエチレングリコールを添加することで、コーティング層104を素錠102上に均一に形成することができ、その結果、インク106はムラなく均一にコーティング層104の表面に付着される。
【0019】
コーティング層104はさらに、任意の構成として、酸化鉄や酸化チタンなどの金属酸化物を着色剤として含んでもよい。
【0020】
インク106は医薬品として使用可能なものであれば染料、顔料のいずれでもよい。例えばカラメル系色素やアントシアニン系色素、フラボノイド系色素、ベニコウジ系染料、クチナシ系色素などに代表される天然色素を使用することができる。あるいは、酸化鉄や二酸化チタンなどの無機化合物を使用してもよい。
【0021】
従来、インクを用いてコーティング層104上に情報を印刷する場合、素錠を覆うコーティング層はインクとの親和性が低いため、明確な印刷ができない、あるいは付着したインクが消失することが多い。
【0022】
しかしながら上述したように、錠剤100のコーティング層104は、主鎖上、あるいは側鎖上に高密度で水酸基を有するため、インク106と強固な結合を形成することができる。このため、錠剤上に情報を鮮明に表示し、かつその情報を長期間にわたって安定に維持することが可能となる。さらに、ポリエチレングリコールに例示される可塑剤をコーティング層104に添加することで、コーティングが容易となり、均一性が高いコーティング層104を形成することができる。以上のことから、本実施形態を適用することで、インクの定着性が良いフィルムコーティング錠剤を供給でき、効果的に薬の誤飲を防止する、あるいは服用コンプライアンスを向上させることができる。
【0023】
2.錠剤の製造方法
以下、錠剤100の製造方法について述べる。
【0024】
まず、薬剤と賦形剤を混合する。この時、崩壊剤や結合剤、着色剤、滑沢剤などを同時に混合してもよい。その後、この混合物を圧縮成形(打錠)することで、素錠102が得られる。
【0025】
次に、基材を含む溶液、あるいは分散液(以下、総じてコーティング用組成物と記す)を調整し、圧縮成形で得られる素錠102の表面に塗布する。コーティング用組成物中の溶媒としては、水、あるいはエタノールやエチレングリコールなどのアルコール、あるいは水とアルコールの混合溶媒などが挙げられる。コーティング用組成物の塗布は、コーティング用組成物を素錠102に対して噴霧するスプレーコーティング法によって行うことができる。その後、素錠102上に形成されたコーティング層104中に残存する溶媒を溜去することでコーティング層104が形成される。このコーティング層104によって薬剤がコーティングされる。
【0026】
引き続き、コーティング層104上にインク106を付着させる。具体的には、インクジェット法や印刷法を利用し、インク106の溶液、または懸濁液をコーティング層104上に塗布する。その後、インク106の溶液や懸濁液に残存する溶媒を除去する。インク106によって表される情報は、薬剤の種類や服用方法などに応じて任意に決定することができる。
【実施例】
【0027】
1.素錠の作製
乳糖水和物(ダイラクトーズS、DMV製)158.0kg、結晶セルロース(PH102、旭化成製)39.6kg、ステアリン酸マグネシウム(植物性、太平化学産業製)2.4kgを混合し、打錠用混合物とした。この混合物を打錠し、重量266mgの素錠を得た。
【0028】
2.実施例1
部分けん化ポリ酢酸ビニル(PE-05JPS、日本酢ビ・ポバール製)、ポリエチレングリコール(マクロゴール6000、日油製)、酸化チタン(NA61、東邦チタニウム製)を水に分散し、フィルムコーティング用組成物を得た。フィルムコーティング用組成物中におけるポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、および酸化チタンの総量は12.5重量%であり、これらの重量比は87.5:3.8:8.8であった。コーティング機(HC-LABO20、フロイント産業製、以下同様)を用いてこのフィルムコーティング用組成物を上述した素錠上にコーティングし、錠剤(274mg)を得た。錠剤中におけるコーティング層の重量は2.9重量%であった。。
【0029】
3.実施例2
部分けん化ポリ酢酸ビニルの替わりにポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(コリコートIR、BASF製)を用い、実施例1と同様の方法に従って錠剤を得た。
【0030】
4.実施例3
部分けん化ポリ酢酸ビニルの替わりにポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT TypeF、大同化成製)を用い、実施例1と同様の方法に従って錠剤を得た。
【0031】
5.比較例1
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(略称HPMC、TC-5M、信越化学製)、酸化チタン(NA61、東邦チタニウム製)を水に分散し、フィルムコーティング用組成物を得た。フィルムコーティング用組成物中におけるHPMC、ポリエチレングリコール、および酸化チタンの総量は12.5重量%であり、これらの重量比は87.5:3.8:8.8であった。コーティング機を用いてこのフィルムコーティング用組成物を上述した素錠上にコーティングし、錠剤(274mg)を得た。錠剤中におけるコーティング層の重量は2.9重量%であった。
【0032】
6.比較例2
HPMCの替わりにメタクリル酸アミノアルキルとメタクリル酸アルキルの共重合体(EUDRAGIT EPO、EVONIC製)を用い、溶媒として水の替わりに水とエタノールの混合溶媒(水:エタノール=3:7 w/w)を用い、比較例1と同様の方法に従って錠剤を得た。
【0033】
7.比較例3
HPMCの替わりにメタクリル酸とメタクリル酸アルキルの共重合体(EUDRAGIT L100-55、EVONIC製)を用い、溶媒として水の替わりに水とエタノールの混合溶媒(水:エタノール=3:7 w/w)を用い、比較例1と同様の方法に従って錠剤を得た。
【0034】
8.比較例4
HPMCの替わりにメタクリル酸アルキルとメタクリル酸アンモニオアルキルの共重合体(EUDRAGIT RLPO、EVONIC製)を用い、溶媒として水の替わりに水とエタノールの混合溶媒(水:エタノール=3:7 w/w)を用い、比較例1と同様の方法に従って錠剤を得た。
【0035】
表1に実施例1から3と比較例1から4の錠剤の組成をまとめる。表1に示すように、実施例と比較例において錠剤の重量は同一であり、含まれるコーティング層と素錠との重量比も同一であった。
【0036】
【0037】
9.印刷
実施例と比較例で得られた錠剤に対し、インクジェット印刷機(IIM-Labo、松岡機械工作所製)を用いて印刷を行った。印刷に用いたインクとして、顔料を含むUCA-04(ミューチュアル製)、および染料を含むU310-G7(ミューチュアル製)の二種類を用いた。
【0038】
10.評価
印刷後の錠剤の表面を親指の腹で3回擦ったのち、目視により印刷状態を確認した。結果を表2に示す。この表に示すように、実施例1から3では、いずれのインクを用いても印刷の擦れは観察されず、印刷された情報が消失しないことが確認された。これに対して比較例1から4では、染料を含むインクを用いた場合にはある程度印刷された情報は残存するものの、顔料を含むインクを用いた場合には印刷の擦れが観察され、印刷された情報が容易に消失することが分かった。これらの結果から、ビニルアルコールユニットを主鎖、または側鎖に有する高分子を含むコーティング層を素錠に被覆することで、素錠に対してコーティングができるだけでなく、インクを確実に定着できることが分かった。
【0039】
【0040】
以上述べたように、本発明の実施形態を適用することで、錠剤に対してインク定着性が高いコーティングが可能となる。このため、インクを用いて印刷された情報を長期間、安定的に維持することができ、効果的に薬の誤飲を防止する、あるいは服用コンプライアンスを向上することができる。
【0041】
本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、上述した実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。これらの実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【符号の説明】
【0042】
100:錠剤、102:素錠、104:コーティング層、106:インク