(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】半導体装置および車両
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240711BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240711BHJP
H01L 23/48 20060101ALN20240711BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 G
(21)【出願番号】P 2023069508
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2019554443の分割
【原出願日】2018-11-19
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2017222602
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017223349
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】神田 沢水
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昌明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】稲見 嘉聴
(72)【発明者】
【氏名】井上 開人
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-17319(JP,A)
【文献】特開2007-59737(JP,A)
【文献】特開2015-76442(JP,A)
【文献】特開2007-73743(JP,A)
【文献】特開平9-102578(JP,A)
【文献】特開平3-191554(JP,A)
【文献】特開2014-11338(JP,A)
【文献】特開2006-165498(JP,A)
【文献】特開2017-10994(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0218087(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/28―23/31
H01L 23/48―23/50
H01L 25/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向の一方側を向く第1主面を有する第1導電板と、
前記厚さ方向において前記第1主面と同じ側を向く第2主面を有するとともに、前記厚さ方向に対して直交する第1方向において前記第1導電板から離れて配置された第2導電板と、
前記第1導電板に電気的に接合され、かつ前記第2導電板に導通する複数の第1スイッ
チング素子と、
前記第2導電板に電気的に接合された複数の第2スイッチング素子と、
前記第1導電板に電気的に接合された第1電源端子と、
前記厚さ方向に視て前記第1電源端子に重なる領域を含むとともに、前記厚さ方向において前記第1導電板および前記第1電源端子の各々から離れて配置された第2電源端子と、
前記厚さ方向において前記第1電源端子と前記第2電源端子との間に挟まれており、かつ平板状である端子絶縁部材と、を備え、
前記第2電源端子は、前記複数の第2スイッチング素子の各々に導通している、半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電板および前記第2導電板の各々は、銅を含む材料からなる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第2スイッチング素子の各々には、主面電極が設けられており、
前記第2電源端子は、第1帯状部、および複数の第2帯状部を有し、
前記第1帯状部は、前記厚さ方向および前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びており、
前記複数の第2帯状部は、前記複数の第2スイッチング素子の各々の前記主面電極に個別に導通している、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の第1ダイオード、および複数の第2ダイオードをさらに備え、
前記複数の第1ダイオードは、前記第1導電板に電気的に接合され、かつ前記複数の第1スイッチング素子に対応した並列回路を構成しており、
前記複数の第2ダイオードは、前記第2導電板に電気的に接合され、かつ前記複数の第2スイッチング素子に対応した並列回路を構成している、請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の第1スイッチング素子は、炭化ケイ素を主成分としたパワーMOSFETである、請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の第1スイッチング素子は、IGBTである、請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の第2帯状部のいずれかは、絶縁体を介して前記第1主面に接合されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の第2帯状部のいずれかは、対応する前記複数の第2スイッチング素子のいずれかの前記主面電極に電気的に接合されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2導電板に電気的に接合された出力端子をさらに備え、
前記第1方向の一方側から、前記第1電源端子、前記第2電源端子および前記端子絶縁部材の各々の一部が外部に露出しており、
前記第1方向の他方側から、前記出力端子の一部が外部に露出している、請求項1ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1導電板、前記第2導電板、前記複数の第1スイッチング素子、および前記複数の第2スイッチング素子を覆う封止樹脂をさらに備え、
前記第1電源端子および前記第2電源端子の各々は、前記封止樹脂から露出する第1露出部を有し、
前記第1露出部は、前記第1方向において前記第1導電板を基準として前記第2導電板が位置する側とは反対側に延びている、請求項1ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2導電板に電気的に接合された出力端子をさらに備え、
前記出力端子は、前記封止樹脂から露出する第2露出部を有し、
前記第2露出部は、前記第1方向において前記第2導電板を基準として前記第1導電板が位置する側とは反対側に延びている、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
絶縁層をさらに備え、
前記第1導電板は、前記厚さ方向において前記第1主面とは反対側を向く第1裏面を有し、
前記第2導電板は、前記厚さ方向において前記第2主面とは反対側を向く第2裏面を有し、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向において前記第1裏面および前記第2裏面の各々と同じ側を向く底面を有し、
前記絶縁層は、前記第1裏面および前記第2裏面の各々に接合されており、かつ前記底面から露出している、請求項10または11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記絶縁層は、前記第1裏面に接合された第1領域と、前記第2裏面に接合された第2領域と、を含み、
前記第1領域および前記第2領域は、前記第1方向において互いに離れている、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記厚さ方向において前記第1導電板および前記第2導電板の各々に対向する主面を有する絶縁層をさらに備え、
前記第1導電板および前記第2導電板の各々は、前記主面に接合されており、
前記第1導電板および前記第2導電板の各々の前記厚さ方向の寸法は、前記絶縁層の前記厚さ方向の寸法よりも大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
金属層をさらに備え、
前記絶縁層は、前記第1方向において前記主面とは反対側を向く裏面を有し、
前記金属層は、前記裏面に接合されており、
前記金属層の前記厚さ方向の寸法は、前記第1導電板および前記第2導電板の各々の前記厚さ方向の寸法よりも小さい、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1導電板および前記第2導電板の各々は、第1層および第2層を有し、
前記第1層は、前記主面に接合されており、
前記第2層は、前記第1層を基準として前記絶縁層とは反対側に位置しており、
前記第2層の前記厚さ方向の寸法は、前記第1層の前記厚さ方向の寸法よりも大きい、請求項14または15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記金属層に接合された放熱器をさらに備える、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項18】
駆動系統と、
請求項10に記載の半導体装置と、を備え、
前記半導体装置は、前記駆動系統に導通している、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置と、当該半導体装置を具備する車両とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のスイッチング素子(パワーMOSFETまたはIGBT)を備えた半導体装置(パワーモジュール)が、種々提案されている。このような半導体装置は、DC-DCコンバータといった電力変換を行う装置の一部を構成するのに使用しうる。例えば、下記の特許文献1は、複数のスイッチング素子を備えた従来の半導体装置の一例を開示している。この従来の半導体装置では、絶縁基板に金属箔からなる導電層が形成されており、この導電層に複数のスイッチング素子が接合される。
【0003】
スイッチング素子の作動時には、当該素子から熱が発生し、これにより導電層の温度が上昇する。上記従来の半導体装置においては、薄い金属箔を導電層に使用しているため、導電層の熱伝導に対する抵抗は比較的高い。このため、作動中の各スイッチング素子の周辺にある導電層部分において、高温状態が続く傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、装置における寄生インダクタンスの低減を図ることが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面により提供される半導体装置は、厚さ方向を向く主面を有する絶縁層と、前記主面に接合され、かつ前記厚さ方向に対して直交する第1方向において互いに離間した第1導電板および第2導電板と、前記第1導電板に電気的に接合され、かつ前記第2導電板に導通する複数の第1スイッチング素子と、前記第2導電板に電気的に接合された複数の第2スイッチング素子と、前記第1導電板に電気的に接合された第1電源端子と、前記厚さ方向において前記第1導電板および前記第1電源端子のいずれに対しても離間して配置され、かつ複数の前記第2スイッチング素子に導通する第2電源端子と、を備える構成において、前記第1導電板および前記第2導電板の厚さは、前記絶縁層の厚さよりも大とされている。
【0007】
本発明の第2の側面により提供される半導体装置は、第1導電板であって、当該第1導電板の厚さ方向に直交する第1主面を有する第1導電板と、前記厚さ方向に直交する第2主面を有する第2導電板であって、前記厚さ方向に直交する第1方向において前記第1導電板から離間して配置された第2導電板と、前記第1導電板に電気的に接合され、かつ前記第2導電板に導通する複数の第1スイッチング素子と、前記第2導電板に電気的に接合された複数の第2スイッチング素子と、前記第1導電板に電気的に接合された第1電源端子と、前記厚さ方向に見て前記第1電源端子に重なる領域を有する第2電源端子であって、前記厚さ方向において前記第1導電板および前記第1電源端子に対して離間して配置された第2電源端子と、を備える構成において、前記第2電源端子が、前記複数の第2スイッチング素子に導通している。
【0008】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の側面の第1実施形態にかかる半導体装置の斜視図である。
【
図6】上記半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図7】
図6に対応する平面図であり、第2電源端子を省略し、かつ端子絶縁部材を透過している。
【
図8】
図6のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図10A】
図6のX-X線に沿う断面図であり、第1導電板周辺を示す。
【
図10B】
図6のX-X線に沿う断面図であり、第2導電板周辺を示す。
【
図15】上記半導体装置の使用例を説明する概略図である。
【
図16】第1の側面の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図21】第1の側面の第3実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図24】第1の側面の第4実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図28A】
図24のXXVIII-XXVIII線に沿う断面図であり、第1導電板周辺を示す。
【
図28B】
図24のXXVIII-XXVIII線に沿う断面図であり、第2導電板周辺を示す。
【
図30】第1の側面の第5実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図31A】
図30のXXXI-XXXI線に沿う断面図であり、第1導電板周辺を示す。
【
図31B】
図30のXXXI-XXXI線に沿う断面図であり、第2導電板周辺を示す。
【
図33】第2の側面の第1実施形態にかかる半導体装置の底面図である。
【
図34】
図33に示す半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図35】
図34に対応する平面図であり、第2電源端子を省略し、かつ端子絶縁部材を透過している。
【
図36】
図34のXXXVI-XXXVI線に沿う断面図である。
【
図38】
図34のXXXVIII,XXXIX-XXXVIII,XXXIX線に沿う断面図であり、第1導電板周辺を示す。
【
図39】
図34のXXXVIII,XXXIX-XXXVIII,XXXIX線に沿う断面図であり、第2導電板周辺を示す。
【
図43】第2の側面の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図48】第2の側面の第3実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1~
図13に基づき、第1の側面の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、絶縁層(絶縁基板)10、第1導電板11、第2導電板12、複数の第1スイッチング素子21、複数の第2スイッチング素子22、第1電源端子31および第2電源端子32を備える。これらに加え、半導体装置A10は、絶縁材15(
図9等参照)、端子絶縁部材39(
図1等参照)、複数の第1導通ワイヤ411、複数の第2導通ワイヤ421および封止樹脂50を備える。
図6では、理解の便宜上、封止樹脂50を透過している。また、
図7では、第2電源端子32を省略し、かつ端子絶縁部材39を透過している。
図6および
図7で透過した封止樹脂50と、
図7で透過した端子絶縁部材39は、想像線(二点鎖線)で示している。
【0012】
半導体装置A10は、電力変換を行うパワーモジュールである。例えば
図1に示されるように、半導体装置A10の厚み(厚さ方向zにおける寸法)は、比較的小である。厚さ方向zに対して直交し、かつ第1電源端子31(あるいは第2電源端子32)および出力端子33が延びる方向を「第1方向x」と呼ぶ。また、厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を、「第2方向y」と呼ぶ。なお、以降の説明において、「厚さ方向視」は、「平面視」と同じ意味である。
【0013】
絶縁層10は、
図6~
図11に示すように、第1導電板11および第2導電板12を搭載する平板状の電気絶縁部材である。絶縁層10は、熱伝導率が比較的高い材料から構成される。絶縁層10の構成材料は、たとえばAl
2O
3(アルミナ)またはAlN(窒化アルミニウム)などのセラミックス、あるいは合成樹脂を主成分とする放熱シートである。絶縁層10の厚さt0(厚さ方向zにおけるサイズ)は、構成材料がセラミックスの場合は、0.25~0.5mmであり、構成材料が放熱シートの場合は、100~200μmである。絶縁層10により、第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置A10の外部に対して電気絶縁がなされている。絶縁層10は、厚さ方向zにおいて互いに離間した主面101および裏面102を有する。例えば
図9において、主面101は、上方を向いており、裏面102は、下方を向いている。
【0014】
第1導電板11は、
図6~
図10Aに示すように、複数の第1スイッチング素子21を搭載する金属製かつ平板状の導電部材である。第1導電板11は、絶縁層10の主面101に接合されている。第1導電板11の構成材料は、Cu(銅)である。第1導電板11の厚さt1は、1.5~10mmとされており、絶縁層10の厚さt0よりも大である。あるいは、第1導電板11の厚さt1は、絶縁層10の厚さt0の3~100倍とされている。第1導電板11の厚さt1は、たとえば金属箔から形成された導電層の厚さ(0.25~0.8mm)よりも大である。
【0015】
図6~
図10A(
図9を除く)に示すように、第1導電板11には、電気絶縁性を有する第1基板13が接合されている。第1基板13は、第1方向xにおいて複数の第1スイッチング素子21と第1電源端子31との間に位置し、かつ第2方向yに延びている。第1基板13は、たとえばAl
2O
3などを構成材料とするセラミックス基板、またはプリント配線基板である。第1基板13は、接着剤(図示略)により厚さ方向zにおいて第1導電板11に対して絶縁層10とは反対側に接合されている。第1基板13には、第1ゲート層131および第1検出層132が配置されている。第1ゲート層131および第1検出層132は、導電性を有し、かつ第2方向yに延びている。第1ゲート層131および第1検出層132は、たとえばCu箔からなる。第1方向xにおいて、第1ゲート層131の方が、第1検出層132よりも第1電源端子31に近い位置にある。図示の例では、第1ゲート層131は、第1方向xにおいて第1電源端子31に隣接している。同様に、第1検出層132は、第1方向xにおいて複数の第1スイッチング素子21に隣接している。
【0016】
第2導電板12は、
図6、
図7、
図10Bおよび
図11に示すように、複数の第2スイッチング素子22を搭載する金属製かつ平板状の導電部材である。第2導電板12は、絶縁層10の主面101に接合されている。第2導電板12の構成材料は、第1導電板11の構成材料と同一である。また、第2導電板12の厚さt2は、第1導電板11の厚さt1と同一である。このため、第2導電板12の厚さt2は、絶縁層10の厚さt0よりも大であり、かつ金属箔から形成された導電層の厚さよりも大である。第2導電板12は、第1方向xにおいて第1導電板11から離間して配置されており、第1導電板11に対して電気絶縁がなされている。
【0017】
図6、
図7および
図10Bに示すように、第2導電板12には、電気絶縁性を有する第2基板14が接合されている。第2基板14は、第1方向xにおいて複数の第2スイッチング素子22と出力端子33との間に位置し、かつ第2方向yに延びている。第2基板14の構成材料は、第1基板13の構成材料と同一である。第2基板14は、接着剤(図示略)により厚さ方向zにおいて第2導電板12に対して絶縁層10とは反対側に接合されている。第2基板14には、第2ゲート層141および第2検出層142が配置されている。第2ゲート層141および第2検出層142は、導電性を有し、かつ第2方向yに延びている。第2ゲート層141および第2検出層142は、たとえばCu箔からなる。図示の例では、第2ゲート層141は、第1方向xにおいて出力端子33に隣接している。第2検出層142は、第1方向xにおいて複数の第2スイッチング素子22に隣接している。
【0018】
図6~
図11に示すように、絶縁材15は、第1方向xにおいて第1導電板11と第2導電板12との間に挟まれた電気絶縁部材である。絶縁材15は、絶縁層10と同じく、熱伝導率が比較的高い材料から構成される。絶縁材15の構成材料は、たとえばAl
2O
3、Si
3N
4(窒化ケイ素)またはAlNなどのセラミックスである。
【0019】
複数の第1スイッチング素子21は各々、半導体素子であり、
図6~
図9に示すように、第1導電板11に電気的に接合される(すなわち、複数の第1スイッチング素子21の各々は、第1導電板11に接合され、かつ第1導電板11と電気的に導通する)。また、複数の第1スイッチング素子21は、第2導電板12に導通する。複数の第1スイッチング素子21は、厚さ方向zにおいて第1導電板11に対して絶縁層10とは反対側に接合されている。半導体装置A10では、第1スイッチング素子21は、第1導通ワイヤ411を介して第2導電板12に導通している。半導体装置A10では、複数の第1スイッチング素子21は、いずれもSiC(炭化ケイ素)を主成分としたパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。複数の第1スイッチング素子21は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。複数の第1スイッチング素子21は、第2方向yに配列されている。図示の例では、複数の第1スイッチング素子21の個数は4つであるが、個数はこれに限定されない。複数の第1スイッチング素子21の各々は、主面21Aおよび裏面21Bを有する。
【0020】
図9に示すように、主面21Aは、絶縁層10の主面101と同じ方向を向く。主面21Aには、主面電極211およびゲート電極213(
図12参照)が設けられている。裏面21Bは、主面21Aの反対側を向き、かつ第1導電板11に対向している。裏面21Bには、裏面電極212が設けられている。
【0021】
主面電極211には、ソース電流(第1スイッチング素子21がIGBTである場合はエミッタ電流)が流れる。
図12に示すように、主面電極211は、主面21Aにおいて4つの領域に分離されている。各々の領域に、ソース電流が流れる構成となっている。
【0022】
裏面電極212には、ドレイン電流(第1スイッチング素子21がIGBTである場合はコレクタ電流)が流れる。
図9に示すように、裏面電極212は、素子接合層29を介して第1導電板11に導通している。
【0023】
ゲート電極213には、第1スイッチング素子21を駆動させるためのゲート電圧が印加される。
図12に示すように、半導体装置A10では、第1方向xにおいて互いに離間した主面電極211の2つの領域の間にゲート電極213が位置している。ゲート電極213の大きさは、主面電極211のいずれの領域よりも小である。
【0024】
複数の第2スイッチング素子22は、
図6、
図7、
図10Bおよび
図11に示すように、第2導電板12に電気的に接合された半導体素子である。複数の第2スイッチング素子22は、厚さ方向zにおいて第2導電板12に対して絶縁層10とは反対側に接合されている。各第2スイッチング素子22は、第2導通ワイヤ421を介して第2電源端子32に導通している。第2スイッチング素子22は、第1スイッチング素子21と同一の素子である。複数の第2スイッチング素子22は、第2方向yに配列されている。図示の例では、複数の第2スイッチング素子22の個数は4つであるが、個数はこれに限定されない。各第2スイッチング素子22は、主面22Aおよび裏面22Bを有する。
【0025】
図11に示すように、主面22Aは、絶縁層10の主面101と同じ方向を向く。主面22Aには、主面電極221およびゲート電極223(
図13参照)が設けられている。裏面22Bは、主面22Aの反対側を向き、かつ第2導電板12に対向している。裏面22Bには、裏面電極222が設けられている。
【0026】
主面電極221には、ソース電流(第2スイッチング素子22がIGBTである場合はエミッタ電流)が流れる。
図13に示すように、半導体装置A10では、主面電極221は、主面22Aにおいて4つの領域に分離されている。各領域に、ソース電流が流れる構成となっている。
【0027】
裏面電極222には、ドレイン電流(第2スイッチング素子22がIGBTである場合はコレクタ電流)が流れる。
図11に示すように、裏面電極222は、素子接合層29を介して第2導電板12に導通している。
【0028】
ゲート電極223には、第2スイッチング素子22を駆動させるためのゲート電圧が印加される。
図13に示すように、半導体装置A10では、第1方向xにおいて互いに離間した主面電極221の2つの領域の間にゲート電極223が位置している。ゲート電極223の大きさは、主面電極221のいずれの領域よりも小である。
【0029】
図9に示すように、素子接合層29は、各第1スイッチング素子21の裏面21Bと、第1導電板11との間に介在している。また、
図11に示すように、素子接合層29は、各第2スイッチング素子22の裏面22Bと、第2導電板12との間に介在している。素子接合層29は、導電性を有する。素子接合層29は、たとえばSn(錫)を主成分とする鉛フリーはんだである。各第1スイッチング素子21は、素子接合層29を用いたダイボンディングにより、第1導電板11に電気的に接合されている。同様に、各第2スイッチング素子22は、素子接合層29を用いたダイボンディングにより、第2導電板12に接合されている。
【0030】
第1電源端子31は、
図3~
図7(
図6を除く)に示すように、第1導電板11に電気的に接合された、金属製かつ平板状の導電部材である。第1電源端子31は、半導体装置A10の正極(P端子)である。第1電源端子31の構成材料は、たとえばCuである。第1電源端子31の表面には、Ni(ニッケル)めっきを施してもよい。第1電源端子31の厚さは、0.5~1.5mmとされている。第1電源端子31は、櫛歯部311および外部接続部312を有する(
図7参照)。櫛歯部311は、第1方向xにおいて第1基板13に隣接し、かつ平面視において第1導電板11に重なっている。櫛歯部311は、厚さ方向zにおいて第1導電板11に対して絶縁層10とは反対側に接合されている。第1導電板11に対する櫛歯部311の接合方法として、はんだ接合または超音波接合が挙げられる。外部接続部312は、櫛歯部311から第1方向xにおいて、第2導電板12に向かう側とは反対側に延びる帯状である。外部接続部312の一部は、半導体装置A10から外部に露出している。
【0031】
第2電源端子32は、
図1~
図6および
図10Aに示すように、平面視において第1電源端子31に重なる領域を有する、金属製かつ平板状の導電部材である。第2電源端子32は、厚さ方向zにおいて第1導電板11、第2導電板12および第1電源端子31のいずれに対しても離間して配置されている(
図10A参照)。このため、第2電源端子32は、第1導電板11、第2導電板12および第1電源端子31のいずれに対しても電気絶縁がなされている。第2電源端子32は、複数の第2スイッチング素子22に導通している(
図6参照)。第2電源端子32は、半導体装置A10の負極(N端子)である。第2電源端子32の構成材料および厚さは、第1電源端子31の構成材料および厚さと同一である。第2電源端子32の表面には、Niめっきを施してもよい。
図6に示すように、第2電源端子32は、第1帯状部321(第2方向yに延びる)、互いに平行な複数の第2帯状部322(各々が第1方向xに延びる)、および外部接続部323(第1方向xに延びる)を有する。第1帯状部321および外部接続部323は、平面視において第1電源端子31に重なる。第1帯状部321は、第1導電板11の周縁(第1電源端子31に交差する周縁)と、第1基板13との間に位置している。複数の第2帯状部322は、第1帯状部321から第2導電板12に向けて延び、かつ第2方向yに互いに離間して配列されている。図示の例では、複数の第2帯状部322の個数は4つであるが、個数はこれに限定されない。外部接続部323は、第1帯状部321から第1方向xにおいて第2導電板12に向かう側とは反対側に延びる帯状である。外部接続部323の一部は、半導体装置A10から外部に露出している。
【0032】
図10A~
図11に示すように、第2電源端子32の各第2帯状部322の先端と、第1導電板11との間には、絶縁体324が介在している。絶縁体324は、電気絶縁性を有する接着剤である。絶縁体324の構成材料は、たとえばエポキシ樹脂またはポリイミドである。第2帯状部322は、絶縁体324を介して第1導電板11に接合されている。絶縁体324により、第2電源端子32は、第1導電板11に接合され、かつ第1導電板11から電気的に絶縁されている。
【0033】
端子絶縁部材39は、
図1~
図6および
図10Aに示すように、平板状であり、かつ厚さ方向zにおいて第1電源端子31と第2電源端子32との間に挟まれている。端子絶縁部材39は、電気絶縁性を有する。端子絶縁部材39の構成材料は、たとえばAl
2O
3などのセラミックスである。端子絶縁部材39の厚さは、0.1~1.0mmとされている。半導体装置A10では、端子絶縁部材39は、第1電源端子31と第2電源端子32の双方に接している。より具体的には、端子絶縁部材39は、第1電源端子31の上面全体に接するとともに(
図4、
図7参照)、第2電源端子32の下面の一部(すなわち、外部接続部323の下面全体および第1帯状部321の下面の一部)に接している(
図4、
図6、
図7参照)。第2電源端子32の複数の第2帯状部322は、端子絶縁部材39とは接しない(
図10A参照)。
【0034】
図6に示すように、隣り合う2つの第1スイッチング素子21の間に、第2電源端子32の1つの第2帯状部322(の一部)が位置している。換言すれば、隣り合う2つの第1スイッチング素子21の間を、対応する1つの第2帯状部322が第2導電板12に向けて延びている。また、第1方向xにおいて、各第2スイッチング素子22は、対応する一つの第2帯状部322に対向している。これにより、複数の第1スイッチング素子21および複数の第2スイッチング素子22は、千鳥配置される。図示の例では、複数の第1スイッチング素子21は、複数の第2スイッチング素子22に対し、第2方向yに沿って位置ずれしている。また、各第1スイッチング素子21は、第1方向xに見て、いずれの第2スイッチング素子22にも重ならない配置である。
【0035】
出力端子33は、
図1~
図7に示すように、第2導電板12に電気的に接合された金属製かつ平板状の導電部材である。第1電源端子31および第2電源端子32から半導体装置A10に入力された電力は、複数の第1スイッチング素子21および複数の第2スイッチング素子22により変換され、変換された電力が出力端子33に出力される。出力端子33の構成材料および厚さは、第1電源端子31の構成材料および厚さと同一である。出力端子33の表面には、Niめっきを施してもよい。出力端子33は、櫛歯部331および外部接続部332を有する。櫛歯部331は、第1方向xにおいて第2基板14に隣接し、かつ平面視において第2導電板12に重なっている。櫛歯部331は、厚さ方向zにおいて第2導電板12に対して絶縁層10とは反対側に接合されている。第2導電板12に対する櫛歯部331の接合方法として、はんだ接合または超音波接合が挙げられる。外部接続部332は、櫛歯部331から第1方向xにおいて第1導電板11に向かう側とは反対側に延びる帯状である。このため、外部接続部332は、第1電源端子31の外部接続部312、および第2電源端子32の外部接続部323が延びる側とは反対側に延びている。外部接続部332の一部は、半導体装置A10から外部に露出している。
【0036】
図6等に示すように、半導体装置A10は、第1ゲート端子341を備える。第1ゲート端子341は、導電性を有するとともに、第2方向yにおいて、第1ゲート層131に対向して配置され、かつ第1ゲート層131に向かう側とは反対側に延びている。第1ゲート端子341は、第1導電板11から離間して設けられている。また、
図2および
図3に示すように、第1ゲート端子341の一部は、半導体装置A10の外部に露出している。第1ゲート端子341の構成材料は、たとえばCuである。第1ゲート端子341の表面には、Snめっきが施されている。
【0037】
図6等に示すように、半導体装置A10は、第1端子ワイヤ451を備える。第1端子ワイヤ451は、導電性を有し、かつ第1ゲート端子341と第1ゲート層131とを接続している。第1端子ワイヤ451の構成材料は、たとえばAl(アルミニウム)である。第1ゲート端子341は、第1端子ワイヤ451を介して第1ゲート層131に導通している。
【0038】
例えば
図12に示すように、半導体装置A10は、第1ゲートワイヤ431を備える。第1ゲートワイヤ431は、導電性を有し、かつ第1スイッチング素子21のゲート電極213と、第1ゲート層131とを接続している。第1ゲートワイヤ431の構成材料は、たとえばAlである。ゲート電極213は、第1ゲートワイヤ431を介して第1ゲート層131に導通している。したがって、第1ゲート端子341は、ゲート電極213に導通している。半導体装置A10では、第1ゲート端子341にゲート電圧が印加されると、複数の第1スイッチング素子21が駆動する構成となっている。
【0039】
図7に示すように、半導体装置A10は、第2ゲート端子342を備える。第2ゲート端子342は、導電性を有するとともに、第2方向yにおいて、第2ゲート層141に対向して配置され、かつ第2ゲート層141に向かう側とは反対側に延びている。
図2および
図3に示すように、第2ゲート端子342の一部は、半導体装置A10の外部に露出している。第2ゲート端子342の構成材料は、第1ゲート端子341の構成材料と同一である。第2ゲート端子342の表面には、Snめっきが施されている。
【0040】
図7に示すように、半導体装置A10は、第2端子ワイヤ452を備える。第2端子ワイヤ452は、導電性を有し、かつ第2ゲート端子342と第2ゲート層141とを接続している。第2端子ワイヤ452の構成材料は、第1端子ワイヤ451の構成材料と同一である。第2ゲート端子342は、第2端子ワイヤ452を介して第2ゲート層141に導通している。
【0041】
図7および
図13に示すように、半導体装置A10は、第2ゲートワイヤ432を備える。第2ゲートワイヤ432は、導電性を有し、かつ第2スイッチング素子22のゲート電極223と、第2ゲート層141とを接続している。第2ゲートワイヤ432の構成材料は、第1ゲートワイヤ431の構成材料と同一である。ゲート電極223は、第2ゲートワイヤ432を介して第2ゲート層141に導通している。したがって、第2ゲート端子342は、ゲート電極223に導通している。半導体装置A10では、第2ゲート端子342にゲート電圧が印加されると、複数の第2スイッチング素子22が駆動する。
【0042】
図7に示すように、半導体装置A10は、第1検出端子351を備える。第1検出端子351は、導電性を有するとともに、第2方向yにおいて、第1検出層132に対向して配置され、かつ第1検出層132に向かう側とは反対側に延びている。
図2および
図3に示すように、第1検出端子351の一部は、半導体装置A10の外部に露出している。第1検出端子351は、第1方向xにおいて第1ゲート端子341とは離間している。第1検出端子351の構成材料は、第1ゲート端子341の構成材料と同一である。第1検出端子351の表面には、Snめっきが施されている。
【0043】
図7に示すように、半導体装置A10は、第3端子ワイヤ453を備える。第3端子ワイヤ453は、導電性を有し、かつ第1検出端子351と第1検出層132とを接続している。第3端子ワイヤ453の構成材料は、第1端子ワイヤ451の構成材料と同一である。第1検出端子351は、第3端子ワイヤ453を介して第1検出層132に導通している。
【0044】
図7および
図12に示すように、半導体装置A10は、第1検出ワイヤ441を備える。第1検出ワイヤ441は、導電性を有し、かつ第1スイッチング素子21の主面電極211と、第1検出層132とを接続している。第1検出ワイヤ441の構成材料は、たとえばAlである。第1検出ワイヤ441は、主面電極211のうち、いずれかの領域に接続されている。主面電極211は、第1検出ワイヤ441を介して第1検出層132に導通している。したがって、第1検出端子351は、主面電極211に導通している。半導体装置A10では、第1検出端子351から複数の第1スイッチング素子21に入力されるソース電流(またはエミッタ電流)が検出される。
【0045】
図7に示すように、半導体装置A10は、第2検出端子352を備える。第2検出端子352は、導電性を有するとともに、第2方向yにおいて、第2検出層142に対向して配置され、かつ第2検出層142に向かう側とは反対側に延びている。
図2および
図3に示すように、第2検出端子352の一部は、半導体装置A10の外部に露出している。第2検出端子352は、第1方向xにおいて第2ゲート端子342とは離間している。第2検出端子352の構成材料は、第1ゲート端子341の構成材料と同一である。第2検出端子352の表面には、Snめっきが施されている。
【0046】
図7に示すように、半導体装置A10は、第4端子ワイヤ454を備える。第4端子ワイヤ454は、導電性を有し、かつ第2検出端子352と第2検出層142とを接続している。第4端子ワイヤ454の構成材料は、第1端子ワイヤ451の構成材料と同一である。第2検出端子352は、第4端子ワイヤ454を介して第2検出層142に導通している。
【0047】
図7および
図13に示すように、半導体装置A10は、第2検出ワイヤ442を備える。第2検出ワイヤ442は、導電性を有し、かつ第2スイッチング素子22の主面電極221と、第2検出層142とを接続している。第2検出ワイヤ442の構成材料は、第1検出ワイヤ441の構成材料と同一である。第2検出ワイヤ442は、主面電極221のうち、いずれかの領域に接続されている。主面電極221は、第2検出ワイヤ442を介して第2検出層142に導通している。したがって、第2検出端子352は、主面電極221に導通している。半導体装置A10では、第2検出端子352から複数の第2スイッチング素子22に入力されるソース電流(またはドレイン電流)が検出される。
【0048】
図7に示すように、半導体装置A10は、装置電流検出端子36を備える。装置電流検出端子36は、導電性を有するとともに、第1方向xにおいて第1検出端子351と第2検出端子352との間に位置し、かつ第2方向yにおいて第1導電板11に対向して配置されている。装置電流検出端子36は、第2方向yにおいて第1導電板11に向かう側とは反対側に延びている。
図2および
図3に示すように、装置電流検出端子36の一部は、半導体装置A10の外部に露出している。装置電流検出端子36の構成材料は、第1ゲート端子341の構成材料と同一である。装置電流検出端子36の表面には、Snめっきが施されている。
【0049】
図7に示すように、半導体装置A10は、第5端子ワイヤ455を備える。第5端子ワイヤ455は、導電性を有し、かつ装置電流検出端子36と第1導電板11とを接続している。第5端子ワイヤ455の構成材料は、第1端子ワイヤ451の構成材料と同一である。装置電流検出端子36は、第5端子ワイヤ455を介して第1導電板11に導通している。半導体装置A10では、装置電流検出端子36から第1導電板11に流れる電流が検出される。
【0050】
第1導通ワイヤ411は、
図6~
図9に示すように、第1スイッチング素子21の主面電極211と、第2導電板12とを接続する導電部材である。第1導通ワイヤ411は、第1方向xに延びる金属細線である。第1導通ワイヤ411は、主面電極211のいずれかの領域に接続されている。半導体装置A10では、複数の第1スイッチング素子21は、第1導通ワイヤ411を介して第2導電板12に導通している。第1導通ワイヤ411の構成材料は、たとえばAlである。
【0051】
第2導通ワイヤ421は、
図6~
図11(
図8および
図9を除く)に示すように、第2電源端子32の第2帯状部322と、第2スイッチング素子22の主面電極221とを接続する導電部材である。第2導通ワイヤ421は、第1方向xに延びる金属細線である。第2導通ワイヤ421は、主面電極221のいずれかの領域に接続されている。半導体装置A10では、第2帯状部322は、第2導通ワイヤ421を介して主面電極221に導通している。第2導通ワイヤ421の構成材料は、第1導通ワイヤ411の構成材料と同一である。
【0052】
封止樹脂50は、
図1~
図11(
図6および
図7を除く)に示すように、第1導電板11、第2導電板12、複数の第1スイッチング素子21、および複数の第2スイッチング素子22を覆っている。封止樹脂50は、電気絶縁性を有する。封止樹脂50の構成材料は、たとえば黒色のエポキシ樹脂である。封止樹脂50は、表面51、底面52、一対の第1側面531、および一対の第2側面532を有する。
【0053】
図1~
図11(
図3、
図6および
図7を除く)に示すように、表面51は、絶縁層10の主面101と同じ方向を向く。
図3~
図11(
図6および
図7を除く)に示すように、底面52は、絶縁層10の裏面102と同じ方向をく。底面52から、裏面102が露出している。
【0054】
図1~
図5に示すように、一対の第1側面531は、各々が表面51および底面52の双方につながり、かつ第1方向xにおいて互いに離間している。一方の第1側面531から、第1電源端子31の外部接続部312、第2電源端子32の外部接続部323、および端子絶縁部材39のそれぞれ一部ずつが露出している。また、他方の第1側面531から、出力端子33の外部接続部332の一部が露出している。
図1~
図5に示すように、一対の第2側面532は、各々が表面51および底面52の双方につながり、かつ第2方向yにおいて互いに離間している。第2側面532の第1方向xにおける両端は、一対の第1側面531につながっている。一方の第2側面532から、第1ゲート端子341、第2ゲート端子342、第1検出端子351、第2検出端子352および装置電流検出端子36のそれぞれ一部ずつが露出している。
【0055】
図1、
図3、
図4、
図10Aおよび
図10Bに示すように、封止樹脂50には、それぞれが底面52から厚さ方向zに凹み、かつ第2方向yに沿って延びる複数の溝54が形成されている。複数の溝54は、第1方向xにおいて底面52の両端に位置している。例えば
図3に示す例では、複数の溝54は、第1グループの複数の溝(例えば右側グループの複数の溝)と第2グループの複数の溝(左側グループの複数の溝)とに分けられて、これら2つのグループが第1方向xにおいて互いに離間するように配置されている。図示の例では、右側グループの複数の溝は、底面52の右端の近くに配置されており、左側グループの複数の溝は、底面52の左端の近くに配置されている。また、いずれのグループの溝54も、一方の第2側面532から他方の第2側面532に至るまで連続的に延びている。
【0056】
次に、
図14に基づき、半導体装置A10における回路構成について説明する。同図に示すように、半導体装置A10においては、上アーム回路71および下アーム回路72の2つのスイッチング回路が構成されている。これらの回路は、DC-DCコンバータの構成要素の一つであるDC-ACコンバータ(インバータ)をなしている。上アーム回路71は、第1導電板11および複数の第1スイッチング素子21により構成される。上アーム回路71において、複数の第1スイッチング素子21は、いずれも第1電源端子31と出力端子33との間において並列接続されている。第1スイッチング素子21に設けられたゲート電極213は、いずれも第1ゲート端子341に並列接続されている。半導体装置A10の外部に配置されたゲートドライバなどの駆動回路により、第1ゲート端子341にゲート電圧が印加されることで、複数の第1スイッチング素子21は同時に駆動する。
【0057】
また、第1スイッチング素子21に設けられた主面電極211は、いずれも第1検出端子351に並列接続されている。複数の第1スイッチング素子21を流れるソース電流(またはエミッタ電流)は、第1検出端子351を介して、半導体装置A10の外部に配置された制御回路に入力される。
【0058】
第1スイッチング素子21に設けられた裏面電極212は、いずれも装置電流検出端子36に並列接続されている。複数の第1スイッチング素子21に流れるドレイン電流(またはコレクタ電流)、すなわち第1導電板11に流れる電流は、装置電流検出端子36を介して、半導体装置A10の外部に配置された制御回路に入力される。
【0059】
下アーム回路72は、第2導電板12および複数の第2スイッチング素子22により構成される。下アーム回路72において、複数の第2スイッチング素子22は、いずれも出力端子33と第2電源端子32との間において並列接続されている。第2スイッチング素子22に設けられたゲート電極223は、いずれも第2ゲート端子342に並列接続されている。半導体装置A10の外部に配置されたゲートドライバなどの駆動回路により、第2ゲート端子342にゲート電圧が印加されることで、複数の第2スイッチング素子22は同時に駆動する。
【0060】
また、第2スイッチング素子22に設けられた主面電極221は、いずれも第2検出端子352に並列接続されている。複数の第2スイッチング素子22に流れるソース電流(またはエミッタ電流)は、第2検出端子352を介して、半導体装置A10の外部に配置された制御回路に入力される。
【0061】
第1電源端子31および第2電源端子32に直流電源が接続され、かつ複数の第1スイッチング素子21および複数の第2スイッチング素子22が駆動することによって、出力端子33から交流電圧が出力される。たとえば昇圧型のDC-DCコンバータでは、当該交流電圧が、変圧器、整流器、平滑回路の順を経ることによって、直流電源の電圧よりも高い高電圧直流電力に変換される。
【0062】
次に、
図15に基づき、半導体装置A10の使用例について説明する。同図は、半導体装置A10を使用している電気自動車Bの概要図である。電気自動車Bは、DC-DCコンバータ81、車載充電器82、蓄電池83および駆動系統84を備える。半導体装置A10は、DC-DCコンバータ81の一部(DC-ACコンバータ)を構成している。電気自動車Bが、屋外に設置され、かつ直流電源である急速給電施設80から直流電力を給電されると、DC-DCコンバータ81により高電圧直流電力に変換される。DC-DCコンバータ81は、高電圧直流電力を蓄電池83に給電する。同時に、車載充電器82から蓄電池83に電力が給電される。車載充電器82には、屋外に設置された通常の給電施設から給電された電力が蓄えられている。車載充電器82は、その電力を高電圧直流電力に変換した上で蓄電池83に給電する。このように、蓄電池83は、DC-DCコンバータ81および車載充電器82の2系統から同時に高電圧直流電力を供給されるため、短時間で蓄電池83を充電することが可能である。蓄電池83に蓄えられた電力は、インバータ、交流モータおよび変速機から構成される駆動系統84に給電される。駆動系統84より、電気自動車Bが駆動される。
【0063】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。半導体装置A10の構成によれば、第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置A10における放熱部材および導電部材として機能する。また、第1導電板11の厚さt1および第2導電板12の厚さt2は、これらを搭載する絶縁層10の厚さt0よりも大である。これにより、厚さ方向zに対して直交する第1方向xおよび第2方向yにおいて、第1導電板11および第2導電板12の断面積が、たとえば金属箔から形成された導電層の断面積より大となる。このため、第1方向xおよび第2方向yにおいて、第1導電板11および第2導電板12の単位長さ当たりの熱抵抗が、金属箔から形成された導電層の単位長さ当たりの熱抵抗よりも低くなる。換言すれば、第1方向xおよび第2方向yおいて、第1導電板11および第2導電板12の方が金属箔から形成された導電層よりも熱が広範囲に伝わりやすくなる。したがって、半導体装置A10によれば、放熱性を向上させることが可能となる。
【0064】
半導体装置A10の放熱性を向上させることにより、第1導電板11および第2導電板12の電気抵抗を小さくすることができる。このため、半導体装置A10によれば、電力損失を抑制することが可能となる。
【0065】
第1導電板11の厚さt1および第2導電板12の厚さt2は、1.5~10mmであることが、これらの第1方向xおよび第2方向yにおける単位長さ当たりの熱抵抗を低くする上で好ましい。あるいは、第1導電板11の厚さt1および第2導電板12の厚さt2は、絶縁層10の厚さt0の3~1,000倍であることが、これらの第1方向xおよび第2方向yにおける単位長さ当たりの熱抵抗を低くする上で好ましい。
【0066】
半導体装置A10は、電気絶縁性を有し、かつ第1方向xにおいて第1導電板11と第2導電板12との間に挟まれた絶縁材15を備える。これにより、絶縁材15に熱が伝導されるため、熱の伝導経路が広く確保され、かつ第1導電板11の熱分布と、第2導電板12の熱分布と偏りを小さくすることができる。半導体装置A10の回路構成上、上アーム回路71を構成する第1導電板11の方が、下アーム回路72を構成する第2導電板12よりも高熱となる。そこで、絶縁材15を備えることにより、第1導電板11の熱を第2導電板12に伝導させることができる。
【0067】
第2電源端子32では、第1帯状部321および複数の第2帯状部322が平面視において第1導電板11に重なっている。また、第2帯状部322が、第2スイッチング素子22の主面電極221に、第1方向xに延びる第2導通ワイヤ421を介して導通している。これにより、半導体装置A10の平面視における寸法の拡大を抑制できる。
【0068】
複数の第2スイッチング素子22は、第2方向yに配列されており、第1方向xにおいて、各第2スイッチング素子22は、対応する1つの第2帯状部322に対向している。これにより、半導体装置A10の第2方向yにおける寸法の拡大を抑制しつつ、複数の第2スイッチング素子22と第2電源端子32との導通経路を短縮することができる。この場合において、複数の第1スイッチング素子21は、第2方向yに配列されており、隣り合う2つの第1スイッチング素子21の間に、第2帯状部322の一部が位置している。これにより、半導体装置A10の第2方向yにおける寸法の拡大をさらに抑制できる。
【0069】
半導体装置A10は、第2電源端子32の第2帯状部322と、第2スイッチング素子22の主面電極221とに接続され、かつ第1方向xに延びる第2導通ワイヤ421を備える。これにより、複数の第2スイッチング素子22と第2電源端子32との導電経路が第1方向xに沿ったものとなる。また、半導体装置A10は、第1スイッチング素子21と第2導電板12とに接続され、かつ第1方向xに延びる第1導通ワイヤ411を備える。これにより、複数の第1スイッチング素子21と第2導電板12との導電経路が第1方向xに沿ったものとなる。したがって、半導体装置A10では、第1方向xに沿った導電経路が構成されるため、半導体装置A10の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0070】
第2電源端子32の第2帯状部322は、電気絶縁性を有する絶縁体324を介して第1導電板11に接合されている。これにより、第2電源端子32を第1導電板11に支持させることができる。また、第2帯状部322に第2導通ワイヤ421をワイヤボンディングにより接合させる際、第2帯状部322は第1導電板11から反力を受けるため、第2帯状部322に対する第2導通ワイヤ421の接合強度を十分に確保できる。
【0071】
第1導電板11には、電気絶縁性を有する第1基板13が接合されている。第1基板13には、第1スイッチング素子21のゲート電極213と、第1ゲート端子341との双方に導通する第1ゲート層131が配置されている。さらに、第1ゲート層131に導通する第1ゲート端子341が、第1導電板11から離間して配置されている。これにより、第1導電板11に対する第1ゲート層131の電気絶縁がなされた状態で、複数の第1スイッチング素子21を駆動させるための導電経路を半導体装置A10に構成することができる。
【0072】
第2導電板12には、電気絶縁性を有する第2基板14が接合されている。第2基板14には、第2スイッチング素子22のゲート電極223と、第2ゲート端子342との双方に導通する第2ゲート層141が配置されている。さらに、第2ゲート層141に導通する第2ゲート端子342が、第2導電板12から離間して配置されている。これにより、第2導電板12に対する第2ゲート層141の電気絶縁がなされた状態で、複数の第2スイッチング素子22を駆動させるための導電経路を半導体装置A10に構成することができる。
【0073】
半導体装置A10は、第1導電板11および第2導電板12などを覆う封止樹脂50を備える。第1電源端子31および第2電源端子32は、第1方向xにおいて第2導電板12に向かう側とは反対側に延び、かつ封止樹脂50から露出する部分を有する。また、半導体装置A10は、第2導電板12に電気的に接合された出力端子33を備える。出力端子33は、第1方向xにおいて第1導電板11に向かう側とは反対側に延び、かつ封止樹脂50から露出する部分を有する。これにより、第1電源端子31および第2電源端子32と、出力端子33とは、半導体装置A10の導電経路と同方向である第1方向xにおいて互いに離間した構成となる。したがって、半導体装置A10の絶縁耐圧を、より向上させることができる。
【0074】
図16~
図20に基づき、第1の側面の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。また、これらの図のうち、
図16は、理解の便宜上、封止樹脂50を透過している。
【0075】
半導体装置A20は、第1導通ワイヤ411の代わりに第1導通リード412を備え、かつ第2導通ワイヤ421の代わりに第2導通リード422を備える点が、先述した半導体装置A10と異なる。
【0076】
第1導通リード412は、
図16~
図18に示すように、第1スイッチング素子21の主面電極211と、第2導電板12とを接続する導電部材である。第1導通リード412は、第1方向xに延びる帯状で、かつ鉤状の曲げ加工が厚さ方向zに施された金属板である。第1導通リード412の構成材料は、CuまたはCu合金である。第1導通リード412の一端は、導電接合層49を介して主面電極211に電気的に接合されている。第1導通リード412の他端は、導電接合層49を介して第2導電板12に電気的に接合されている。導電接合層49は、導電性を有する。導電接合層49は、たとえばSnを主成分とする鉛フリーはんだである。
【0077】
第2導通リード422は、
図16、
図19および
図20に示すように、第2電源端子32の第2帯状部322と、第2スイッチング素子22の主面電極221とを接続する導電部材である。第2導通リード422は、第1方向xに延びる帯状で、かつ鉤状の曲げ加工が厚さ方向zに施された金属板である。第2導通リード422の構成材料は、第1導通リード412の構成材料と同一である。第2導通リード422の一端は、導電接合層49を介して第2帯状部322に電気的に接合されている。第2導通リード422の他端は、導電接合層49を介して主面電極221に電気的に接合されている。
【0078】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。半導体装置A20の構成によれば、先述した半導体装置A10と同一の絶縁層10、第1導電板11および第2導電板12を備える。このため、第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置A20における放熱部材および導電部材として機能する。したがって、半導体装置A20によっても、放熱性を向上させることが可能となる。
【0079】
半導体装置A20は、第1導通ワイヤ411の代わりとなる第1導通リード412と、第2導通ワイヤ421の代わりとなる第2導通リード422とを備える。第1導通リード412および第2導通リード422の横断面積は、第1導通ワイヤ411および第2導通ワイヤ421の横断面積よりも大である。このため、第1導通リード412および第2導通リード422の電気抵抗は、第1導通ワイヤ411および第2導通ワイヤ421の電気抵抗よりも低い。したがって、半導体装置A20の電力損失を、半導体装置A10よりも抑制することができる。
【0080】
図21~
図23に基づき、第1の側面の第3実施形態にかかる半導体装置A30について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、これらの図のうち、
図21は、理解の便宜上、封止樹脂50を透過している。
【0081】
半導体装置A30では、第1導通ワイヤ411の代わりに第1導通リード412を備える点と、第2電源端子32の第2帯状部322の構成について、先述した半導体装置A10と異なる。なお、第1導通リード412の構成は、先述した半導体装置A20の第1導通リード412の構成と同一であるため、説明は省略する。
【0082】
図21に示すように、第2電源端子32の第2帯状部322は、その先端が平面視において第2スイッチング素子22の主面電極221に重なる位置まで延びている。
図22および
図23に示すように、第2帯状部322の先端には、鉤状の曲げ加工が厚さ方向zにされている。第2帯状部322の先端は、導電接合層49を介して主面電極211に電気的に接合されている。このため、主面電極221は、第2導通ワイヤ421および第2導通リード422のいずれも介さずに、第2電源端子32に導通している。なお、半導体装置A30では、第2帯状部322が第1導電板11に接合されないため、絶縁体324が不要となる。
【0083】
次に、半導体装置A30の作用効果について説明する。半導体装置A30の構成によれば、先述した半導体装置A10と同一の絶縁層10、第1導電板11および第2導電板12を備える。このため、第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置A30における放熱部材および導電部材として機能する。したがって、半導体装置A30によっても、放熱性を向上させることが可能となる。
【0084】
第2電源端子32の第2帯状部322は、第2スイッチング素子22の主面電極221に接続されている。これにより、半導体装置A30では、第2導通ワイヤ421、第2導通リード422および絶縁体324のいずれも不要となる。このため、半導体装置A30の製造にかかる部品点数を削減できる。
【0085】
図24~
図29に基づき、第1の側面の第4実施形態にかかる半導体装置A40について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、これらの図のうち、
図24は、理解の便宜上、封止樹脂50を透過している。
【0086】
半導体装置A40では、金属層16および放熱器60を備える点が、先述した半導体装置A10と異なる。金属層16は、
図29に示すように、絶縁層10の裏面102に接合された導電層である。金属層16の構成材料は、Cuである。金属層16の厚さt3は、0.25~0.8mmとされている。このため、金属層16の厚さt3は、第1導電板11の厚さt1および第2導電板12の厚さt2よりも小である。絶縁層10により、金属層16は、第1導電板11および第2導電板12に対して電気絶縁がなされている。
【0087】
放熱器60は、
図24~
図29に示すように、金属層16に接合されている。半導体装置A40では、放熱器60は平板状であるが、放熱器60の形状はこれに限定されない。放熱器60は、半導体装置A40の外部に露出している。
【0088】
図24に示すように、半導体装置A40は半導体装置A10と同じく、第1導通ワイヤ411および第2導通ワイヤ421を備える。半導体装置A40の構成では、半導体装置A20と同じく、これらの代わりに第1導通リード412および第2導通リード422を備える構成でもよい。また、半導体装置A40の構成では、半導体装置A30と同じく、第1導通リード412を備え、かつ第2電源端子32の第2帯状部322が第2スイッチング素子22の主面電極221に接続された構成でもよい。
【0089】
次に、半導体装置A40の作用効果について説明する。半導体装置A40の構成によれば、先述した半導体装置A10と同一の絶縁層10、第1導電板11および第2導電板12を備える。このため、第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置A40における放熱部材および導電部材として機能する。したがって、半導体装置A40によっても、放熱性を向上させることが可能となる。
【0090】
半導体装置A40は、放熱器60を備える。これにより、半導体装置A40の放熱性を、より向上させることができる。また、金属層16を備えることにより、放熱器60を、たとえばはんだなどで容易に金属層16に接合させることができる。
【0091】
図30~
図32に基づき、第1の側面の第5実施形態にかかる半導体装置A50について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、これらの図のうち、
図30は、理解の便宜上、封止樹脂50を透過している。
【0092】
半導体装置A50では、金属層16および放熱器60を備える点と、第1導電板11および第2導電板12の構成とが、先述した半導体装置A10と異なる。なお、金属層16および放熱器60の構成は、先述した半導体装置A40と同一であるため、説明は省略する。
【0093】
図31A~
図32に示すように、第1導電板11は、第1層111および第2層112を有する。第1層111は、絶縁層10の主面101に接合されている。第2層112は、厚さ方向zにおいて第1層111に対して絶縁層10とは反対側に位置し、かつ導電接合層49により第1層111に接合されている。第1層111および第2層112の構成材料は、ともにCuである。第1層111の厚さは、0.25~0.8mmとされている。第2層112の厚さは、2.0mm以上とされ、第1層111の厚さよりも大である。半導体装置A50では、第1層111および第2層112の厚さに、導電接合層49を加えた厚さが、第1導電板11の厚さt1になるようにされている。
【0094】
図31A~
図32に示すように、第2導電板12は、第1層121および第2層122を有する。第1層121は、絶縁層10の主面101に接合されている。第2層122は、厚さ方向zにおいて第1層121に対して絶縁層10とは反対側に位置し、かつ導電接合層49により第1層121に接合されている。第1層121および第2層122の構成材料は、ともにCuである。第1層121の厚さは、第1導電板11の第1層111の厚さと同一である。第2層122の厚さは、第2導電板12の第2層122の厚さと同一である。このため、第2層122の厚さは、第1層121の厚さよりも大である。半導体装置A50では、第1層121および第2層122の厚さに、導電接合層49を加えた厚さが、第2導電板12の厚さt2になるようにされている。
【0095】
図30に示すように、半導体装置A50は半導体装置A10と同じく、第1導通ワイヤ411および第2導通ワイヤ421を備える。半導体装置A50の構成では、半導体装置A20と同じく、これらの代わりに第1導通リード412および第2導通リード422を備える構成でもよい。また、半導体装置A50の構成では、半導体装置A30と同じく、第1導通リード412を備え、かつ第2電源端子32の第2帯状部322が第2スイッチング素子22の主面電極221に接続された構成でもよい。
【0096】
次に、半導体装置A50の作用効果について説明する。半導体装置A50の構成によれば、先述した半導体装置A10と同一の絶縁層10、第1導電板11および第2導電板12を備える。このため、第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置A50における放熱部材および導電部材として機能する。したがって、半導体装置A50によっても、放熱性を向上させることが可能となる。
【0097】
第1導電板11は、第1層111および第2層112を有し、第2層112の厚さは、第1層111の厚さよりも大である。また、第2導電板12は、第1層121および第2層122を有し、第2層122の厚さは、第1層121の厚さよりも大である。このことは、パターニングが施された既存のDBC(Direct Bonding Copper:登録商標)基板において、片側の金属箔層に金属板を導電接合層49により接合させることによって、絶縁層10、第1導電板11、第2導電板12および金属層16の構成を容易に成立できることを意味する。
【0098】
本発明では、第1スイッチング素子21に対応した並列回路を構成する複数のダイオード(ショットキーバリアダイオードなど)を、第1導電板11に電気的に接合してもよい。さらに、第2スイッチング素子22に対応した並列回路を構成する複数のダイオードを、第2導電板12に電気的に接合してもよい。複数のダイオードを備えることにより、複数の第1スイッチング素子21の駆動の際、スイッチングにより逆起電力が発生しても第1スイッチング素子21に逆電流が流れることを回避できる。同様に、複数の第2スイッチング素子22の駆動の際においても、第2スイッチング素子22に逆電流が流れることを回避できる。
【0099】
先述した第1の側面にかかる種々の実施形態は、例えば、以下の付記として規定しうる。
【0100】
付記1.厚さ方向を向く主面を有する絶縁層と、
前記主面に接合され、かつ前記厚さ方向に対して直交する第1方向において互いに離間した第1導電板および第2導電板と、
前記第1導電板に電気的に接合され、かつ前記第2導電板に導通する複数の第1スイッチング素子と、
前記第2導電板に電気的に接合された複数の第2スイッチング素子と、
前記第1導電板に電気的に接合された第1電源端子と、
前記厚さ方向において前記第1導電板および前記第1電源端子のいずれに対しても離間して配置され、かつ複数の前記第2スイッチング素子に導通する第2電源端子と、を備える構成において、
前記第1導電板および前記第2導電板の厚さは、前記絶縁層の厚さよりも大である、半導体装置。
【0101】
付記2.前記第1導電板および前記第2導電板の前記厚さは、1.5~10mmである、付記1に記載の半導体装置。
【0102】
付記3.前記第1導電板および前記第2導電板の前記厚さは、前記絶縁層の前記厚さの3~100倍である、付記1に記載の半導体装置。
【0103】
付記4.前記第1導電板および前記第2導電板は、Cuを含む材料からなる、付記2または3に記載の半導体装置。
【0104】
付記5.前記第1方向において前記第1導電板と前記第2導電板との間に挟まれた絶縁材をさらに備える、付記2~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0105】
付記6.前記複数の第2スイッチング素子の各々は、主面電極が設けられた素子主面を有しており、
前記第2電源端子は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に延びる第1帯状部と、前記第1帯状部から前記第2導電板に向けて延び、かつ前記第2方向に互いに離間して配置された複数の第2帯状部とを有し、
前記複数の第2帯状部が、前記複数の第2スイッチング素子それぞれの前記主面電極に導通している、付記2ないし5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0106】
付記7.前記複数の第2帯状部と、前記複数の第2スイッチング素子それぞれの前記主面電極とに接続された複数の導通ワイヤをさらに備える構成において、
前記複数の導通ワイヤは、前記第1方向に延びている、付記6に記載の半導体装置。
【0107】
付記8.前記複数の第2帯状部と、前記複数の第2スイッチング素子それぞれの前記主面電極とに接続された複数の導通リードをさらに備える構成において、
前記複数の導通リードは、前記第1方向に延びている、付記6に記載の半導体装置。
【0108】
付記9.前記複数の第2帯状部の各々は、絶縁体を介して前記第1導電板に接合されている、付記7または8に記載の半導体装置。
【0109】
付記10.前記複数の第2帯状部は、前記複数の第2スイッチング素子それぞれの前記主面電極に接合されている、付記6に記載の半導体装置。
【0110】
付記11.前記複数の第2スイッチング素子は、前記第2方向に互いに離間して配置されており、
前記第1方向において、前記複数の第2スイッチング素子は、前記複数の第2帯状部にそれぞれ対向している、付記10に記載の半導体装置。
【0111】
付記12.基板、ゲート層およびゲート端子をさらに備える構成において、
前記基板は、前記第2方向に延び、電気絶縁性を有し、かつ前記第2導電板に接合されており、
前記ゲート層は、前記第2方向に延び、導電性を有し、かつ前記基板に配置されており、
前記ゲート端子は、前記第2導電板から離間して配置され、かつ前記ゲート層に導通しており、
前記複数の第2スイッチング素子の各々の前記素子主面には、前記主面電極から離間しかつ前記ゲート層に導通するゲート電極が設けられている、付記11に記載の半導体装置。
【0112】
付記13.前記絶縁層に接合された金属層をさらに備える構成において、
前記絶縁層は、前記主面とは反対側を向く裏面を有し、前記金属層は、前記絶縁層の前記裏面に接合されており、
前記金属層の厚さは、前記第1導電板および前記第2導電板の前記厚さよりも小である、付記2ないし12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0113】
付記14.前記第1導電板および前記第2導電板の各々は、前記絶縁層の前記主面に接合された第1層と、前記厚さ方向において前記第1層に対して前記絶縁層とは反対側に位置する第2層と有しており、前記第2層の厚さは、前記第1層の厚さよりも大である、付記13に記載の半導体装置。
【0114】
付記15.前記金属層に接合された放熱器をさらに備える、付記13または14に記載の半導体装置。
【0115】
付記16.前記第1導電板、前記第2導電板、前記複数の第1スイッチング素子、および前記複数の第2スイッチング素子を覆う封止樹脂をさらに備える構成において、
前記第1電源端子および前記第2電源端子は、前記第1方向において前記第2導電板に向かう側とは反対側に延び、かつ前記封止樹脂から露出する部分を有する、付記2ないし15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0116】
付記17.前記第2導電板に電気的に接合された出力端子をさらに備える構成において、
前記出力端子は、前記第1方向において前記第1導電板に向かう側とは反対側に延び、かつ前記封止樹脂から露出する部分を有する、付記16に記載の半導体装置。
【0117】
次に、第2の側面の実施形態にかかる半導体装置B10~B30について、
図33~
図50に基づいて説明する。なお、以下の説明では、先述した半導体装置A10~A50と同一あるいは類似の要素には同一の符号を付すとともに、同要素に関する説明を適宜省略あるいは簡略化している。
【0118】
図33~
図42に基づき、第2の側面の第1実施形態にかかる半導体装置B10について説明する。半導体装置B10は、第1導電板11、第2導電板12、複数の第1スイッチング素子21、複数の第2スイッチング素子22、第1電源端子31および第2電源端子32を備える。これらに加え、半導体装置B10は、端子絶縁部材39、第1導通ワイヤ411、第2導通ワイヤ421、絶縁層10'および封止樹脂50を備える。これらの図のうち、
図34は、理解の便宜上、封止樹脂50を透過している。
図35は、理解の便宜上、第2電源端子32を省略し、かつ端子絶縁部材39を透過している。
図34および
図35で透過した封止樹脂50と、
図35で透過した端子絶縁部材39とを想像線(二点鎖線)で示している。なお、半導体装置B10の斜視図および平面図は、
図1および
図2と同じである。
【0119】
第1導電板11は、
図34~
図38に示すように、複数の第1スイッチング素子21を搭載する金属製かつ平板状の導電部材である。第1導電板11の構成材料は、Cu(銅)またはCu合金である。第1導電板11の厚さは、1.5~10mmとされている。第1導電板11は、第1主面11aおよび第1裏面11bを有する。
【0120】
図34~
図38(
図37を除く)に示すように、第1導電板11の第1主面11aには、電気絶縁性を有する第1基板13が接合されている。第1基板13は、第1方向xにおいて複数の第1スイッチング素子21と第1電源端子31との間に位置し、かつ第2方向yに延びている。第1基板13は、たとえばAl
2O
3(アルミナ)などを構成材料とするセラミックス基板、またはプリント配線基板である。第1基板13は、接着剤(図示略)により第1主面11aに接合されている。第1基板13には、第1ゲート層131および第1検出層132が配置されている。第1ゲート層131および第1検出層132は、導電性を有し、かつ第2方向yに延びている。第1ゲート層131および第1検出層132は、たとえばCu箔からなる。
【0121】
第2導電板12は、
図34、
図35、
図39および
図40に示すように、複数の第2スイッチング素子22を搭載する金属製かつ平板状の導電部材である。第2導電板12の構成材料および厚さは、第1導電板11の構成材料および厚さと同一である。第2導電板12は、第2主面12aおよび第2裏面12bを有する。第1方向xにおいて、第2導電板12は、第1導電板11から離間して配置されている。例えば
図37に示すように、第1導電板11と第2導電板12の間の隙間には、封止樹脂50の一部が入り込み、当該隙間を充填している。
【0122】
図34、
図35および
図39に示すように、第2導電板12の第2主面12aには、電気絶縁性を有する第2基板14が接合されている。第2基板14は、第1方向xにおいて複数の第2スイッチング素子22と出力端子33との間に位置し、かつ第2方向yに延びている。第2基板14の構成材料は、第1基板13の構成材料と同一である。第2基板14は、接着剤(図示略)により第2主面12aに接合されている。第2基板14には、第2ゲート層141および第2検出層142が配置されている。第2ゲート層141および第2検出層142は、導電性を有し、かつ第2方向yに延びている。第2ゲート層141および第2検出層142は、たとえばCu箔からなる。
【0123】
複数の第1スイッチング素子21は、
図34~
図37に示すように、第1導電板11の第1主面11aに電気的に接合され、かつ第2導電板12に導通する。各第1スイッチング素子21は、第1導通ワイヤ411を介して第2導電板12に導通している。各第1スイッチング素子21は、主面21Aおよび裏面21Bを有する。
【0124】
複数の第2スイッチング素子22は、
図34、
図35、
図39および
図40に示すように、第2導電板12の第2主面12aに電気的に接合された半導体素子である。各第2スイッチング素子22は、第2導通ワイヤ421を介して第2電源端子32に導通している。第2スイッチング素子22は、第1スイッチング素子21と同一の素子である。複数の第2スイッチング素子22は、第2方向yに配列されている。各第2スイッチング素子22は、主面22Aおよび裏面22Bを有する。
【0125】
図40に示すように、主面22Aは、第2導電板12の第2主面12aと同じ方向を向く。主面22Aには、主面電極221およびゲート電極223が設けられている。また、裏面22Bは、主面22Aの反対側を向き、かつ第2主面12aに対向している。裏面22Bには、裏面電極222が設けられている。
【0126】
ゲート電極223には、第2スイッチング素子22を駆動させるためのゲート電圧が印加される。
図42に示すように、第1方向xにおいて互いに離間した2つの主面電極221の間にゲート電極223が位置している。ゲート電極223の大きさは、いずれの主面電極221よりも小である。
【0127】
図37に示すように、素子接合層29は、第1スイッチング素子21の裏面21Bと、第1導電板11の第1主面11aとの間に介在している。また、
図40に示すように、素子接合層29は、第2スイッチング素子22の裏面22Bと、第2導電板12の第2主面12aとの間に介在している。素子接合層29は、導電性を有する。素子接合層29は、たとえばSn(錫)を主成分とする鉛フリーはんだである。第1スイッチング素子21は、素子接合層29を用いたダイボンディングにより、第1主面11aに電気的に接合されている。同様に、第2スイッチング素子22は、素子接合層29を用いたダイボンディングにより、第2主面12aに接合されている。
【0128】
第1電源端子31は、
図33および
図35に示すように、第1導電板11に電気的に接合された金属製かつ平板状の導電部材である。第1電源端子31は、半導体装置B10の正極(P端子)である。第1電源端子31の構成材料は、たとえばCuである。第1電源端子31の表面には、Ni(ニッケル)めっきを施してもよい。第1電源端子31の厚さは、0.5~1.5mmとされている。第1電源端子31は、櫛歯部311および外部接続部312を有する。櫛歯部311は、第1方向xにおいて第1基板13に隣接し、かつ平面視において第1導電板11に重なっている。櫛歯部311は、第1導電板11の第1主面11aに電気的に接合されている。第1主面11aに対する櫛歯部311の接合方法として、はんだ接合または超音波接合が挙げられる。外部接続部312は、櫛歯部311から第1方向xにおいて第2導電板12に向かう側とは反対側に延びる帯状である。外部接続部312の一部は、半導体装置B10から外部に露出している。
【0129】
第2電源端子32は、
図34に示すように、平面視において第1電源端子31に重なる領域を有する金属製かつ平板状の導電部材である。第2電源端子32は、厚さ方向zにおいて第1導電板11、第2導電板12および第1電源端子31のいずれに対しても離間して配置されている。このため、第2電源端子32は、第1導電板11、第2導電板12および第1電源端子31のいずれに対しても電気絶縁がなされている。第2電源端子32は、複数の第2スイッチング素子22に導通している。第2電源端子32は、半導体装置B10の負極(N端子)である。第2電源端子32の構成材料および厚さは、第1電源端子31の構成材料および厚さと同一である。第2電源端子32の表面には、Niめっきを施してもよい。第2電源端子32は、第1帯状部321、複数の第2帯状部322、および外部接続部323を有する。
【0130】
図38~
図40に示すように、第2帯状部322(第2電源端子32)の先端と、第1導電板11の第1主面11aとの間には、絶縁体324が介在している。絶縁体324は、電気絶縁性を有する接着剤である。絶縁体324の構成材料は、たとえばエポキシ樹脂またはポリイミドである。第2帯状部322は、絶縁体324を介して第1主面11aに接合されている。絶縁体324により、第2電源端子32は、第1導電板11に接合され、かつ第1導電板11と第2電源端子32との電気絶縁が確保される。
【0131】
端子絶縁部材39は、
図33~
図34および
図38に示すように、平板状であり、かつ厚さ方向zにおいて第1電源端子31と第2電源端子32との間に挟まれている。端子絶縁部材39は、電気絶縁性を有する。端子絶縁部材39の構成材料は、たとえばAl
2O
3などのセラミックスである。端子絶縁部材39の厚さは、0.1~1.0mmとされている。半導体装置B10では、端子絶縁部材39は、第1電源端子31と第2電源端子32の双方に接している。
【0132】
図34に示すように、隣り合う2つの第1スイッチング素子21の間に、第2電源端子32の第2帯状部322の一部が位置している。このため、半導体装置B10では、隣り合う2つの第1スイッチング素子21の間を、第2帯状部322が第2導電板12に向けて延びている。また、第1方向xにおいて、各第2スイッチング素子22は、対応する1つの第2帯状部322に対向している。
【0133】
出力端子33は、
図33~
図35に示すように、第2導電板12に電気的に接合された金属製かつ平板状の導電部材である。第1電源端子31および第2電源端子32から半導体装置B10に入力された電力は、複数の第1スイッチング素子21および複数の第2スイッチング素子22により変換され、変換された電力が出力端子33に出力される。出力端子33の構成材料および厚さは、第1電源端子31の構成材料および厚さと同一である。出力端子33の表面には、Niめっきを施してもよい。出力端子33は、櫛歯部331および外部接続部332を有する。櫛歯部331は、第1方向xにおいて第2基板14に隣接し、かつ平面視において第2導電板12に重なっている。櫛歯部311は、第2導電板12の第2主面12aに電気的に接合されている。第2主面12aに対する櫛歯部331の接合方法として、はんだ接合または超音波接合が挙げられる。外部接続部332は、櫛歯部331から第1方向xにおいて第1導電板11に向かう側とは反対側に延びる帯状である。このため、外部接続部332は、第1電源端子31の外部接続部312、および第2電源端子32の外部接続部323が延びる側とは反対側に延びている。外部接続部332の一部は、半導体装置B10から外部に露出している。
【0134】
図35に示すように、半導体装置B10は、第1ゲート端子341を備える。第1ゲート端子341は、導電性を有するとともに、第2方向yにおいて、第1ゲート層131に対向して配置され、かつ第1ゲート層131に向かう側とは反対側に延びている。
図2および
図33に示すように、第1ゲート端子341の一部は、半導体装置B10の外部に露出している。第1ゲート端子341の構成材料は、たとえばCuである。第1ゲート端子341の表面には、Snめっきが施されている。
【0135】
図35に示すように、第1端子ワイヤ451を備える。第1端子ワイヤ451は、導電性を有し、かつ第1ゲート端子341と第1ゲート層131とを接続している。第1端子ワイヤ451の構成材料は、たとえばAl(アルミニウム)である。第1ゲート端子341は、第1端子ワイヤ451を介して第1ゲート層131に導通している。
【0136】
図35および
図41に示すように、半導体装置B10は、第1ゲートワイヤ431を備える。第1ゲートワイヤ431は、導電性を有し、かつ第1スイッチング素子21のゲート電極213と、第1ゲート層131とを接続している。第1ゲートワイヤ431の構成材料は、たとえばAlである。ゲート電極213は、第1ゲートワイヤ431を介して第1ゲート層131に導通している。したがって、第1ゲート端子341は、ゲート電極213に導通している。半導体装置B10では、第1ゲート端子341にゲート電圧が印加されると、複数の第1スイッチング素子21が駆動する構成となっている。
【0137】
図35に示すように、半導体装置B10は、第2ゲート端子342を備える。第2ゲート端子342は、導電性を有するとともに、第2方向yにおいて、第2ゲート層141に対向して配置され、かつ第2ゲート層141に向かう側とは反対側に延びている。
図33に示すように、第2ゲート端子342の一部は、半導体装置B10の外部に露出している。第2ゲート端子342の構成材料は、第1ゲート端子341の構成材料と同一である。第2ゲート端子342の表面には、Snめっきが施されている。
【0138】
図35に示すように、半導体装置B10は、第2端子ワイヤ452を備える。第2端子ワイヤ452は、導電性を有し、かつ第2ゲート端子342と第2ゲート層141とを接続している。第2端子ワイヤ452の構成材料は、第1端子ワイヤ451の構成材料と同一である。第2ゲート端子342は、第2端子ワイヤ452を介して第2ゲート層141に導通している。
【0139】
図35および
図42に示すように、半導体装置B10は、第2ゲートワイヤ432を備える。第2ゲートワイヤ432は、導電性を有し、かつ第2スイッチング素子22のゲート電極223と、第2ゲート層141とを接続している。第2ゲートワイヤ432の構成材料は、第1ゲートワイヤ431の構成材料と同一である。ゲート電極223は、第2ゲートワイヤ432を介して第2ゲート層141に導通している。したがって、第2ゲート端子342は、ゲート電極223に導通している。半導体装置B10では、第2ゲート端子342にゲート電圧が印加されると、複数の第2スイッチング素子22が駆動する。
【0140】
図35に示すように、半導体装置B10は、第1検出端子351を備える。第1検出端子351は、導電性を有するとともに、第2方向yにおいて、第1検出層132に対向して配置され、かつ第1検出層132に向かう側とは反対側に延びている。
図2および
図33に示すように、第1検出端子351の一部は、半導体装置B10の外部に露出している。第1検出端子351は、第1方向xにおいて第1ゲート端子341とは離間している。第1検出端子351の構成材料は、第1ゲート端子341の構成材料と同一である。第1検出端子351の表面には、Snめっきが施されている。
【0141】
図35に示すように、半導体装置B10は、第3端子ワイヤ453を備える。第3端子ワイヤ453は、導電性を有し、かつ第1検出端子351と第1検出層132とを接続している。第3端子ワイヤ453の構成材料は、第1端子ワイヤ451の構成材料と同一である。第1検出端子351は、第3端子ワイヤ453を介して第1検出層132に導通している。
【0142】
図35および
図41に示すように、半導体装置B10は、第1検出ワイヤ441を備える。第1検出ワイヤ441は、導電性を有し、かつ第1スイッチング素子21の主面電極211と、第1検出層132とを接続している。第1検出ワイヤ441の構成材料は、たとえばAlである。第1検出ワイヤ441は、主面電極211のうち、いずれかの領域に接続されている。主面電極211は、第1検出ワイヤ441を介して第1検出層132に導通している。したがって、第1検出端子351は、主面電極211に導通している。半導体装置B10では、第1検出端子351から複数の第1スイッチング素子21に入力されるソース電流(またはエミッタ電流)が検出される。
【0143】
図35に示すように、半導体装置B10は、第2検出端子352を備える。第2検出端子352は、導電性を有するとともに、第2方向yにおいて、第2検出層142に対向して配置され、かつ第2検出層142に向かう側とは反対側に延びている。
図2および
図33に示すように、第2検出端子352の一部は、半導体装置B10の外部に露出している。第2検出端子352は、第1方向xにおいて第2ゲート端子342とは離間している。第2検出端子352の構成材料は、第1ゲート端子341の構成材料と同一である。第2検出端子352の表面には、Snめっきが施されている。
【0144】
図35に示すように、半導体装置B10は、第4端子ワイヤ454を備える。第4端子ワイヤ454は、導電性を有し、かつ第2検出端子352と第2検出層142とを接続している。第4端子ワイヤ454の構成材料は、第1端子ワイヤ451の構成材料と同一である。第2検出端子352は、第4端子ワイヤ454を介して第2検出層142に導通している。
【0145】
図35および
図42に示すように、半導体装置B10は、第2検出ワイヤ442を備える。第2検出ワイヤ442は、導電性を有し、かつ第2スイッチング素子22の主面電極221と、第2検出層142とを接続している。第2検出ワイヤ442の構成材料は、第1検出ワイヤ441の構成材料と同一である。第2検出ワイヤ442は、主面電極221のうち、いずれかの領域に接続されている。主面電極221は、第2検出ワイヤ442を介して第2検出層142に導通している。したがって、第2検出端子352は、主面電極221に導通している。半導体装置B10では、第2検出端子352から複数の第2スイッチング素子22に入力されるソース電流(またはエミッタ電流)が検出される。
【0146】
図35に示すように、半導体装置B10は、装置電流検出端子36を備える。装置電流検出端子36は、導電性を有するとともに、第1方向xにおいて第1検出端子351と第2検出端子352との間に位置し、かつ第2方向yにおいて第1導電板11に対向して配置されている。装置電流検出端子36は、第2方向yにおいて第1導電板11に向かう側とは反対側に延びている。
図33に示すように、装置電流検出端子36の一部は、半導体装置B10の外部に露出している。装置電流検出端子36の構成材料は、第1ゲート端子341の構成材料と同一である。装置電流検出端子36の表面には、Snめっきが施されている。
【0147】
図35に示すように、半導体装置B10は、第5端子ワイヤ455を備える。第5端子ワイヤ455は、導電性を有し、かつ装置電流検出端子36と、第1導電板11の第1主面11aとを接続している。第5端子ワイヤ455の構成材料は、第1端子ワイヤ451の構成材料と同一である。装置電流検出端子36は、第5端子ワイヤ455を介して第1導電板11に導通している。半導体装置B10では、装置電流検出端子36から第1導電板11に流れる電流が検出される。
【0148】
第1導通ワイヤ411は、
図34~
図37に示すように、第1スイッチング素子21の主面電極211と、第2導電板12の第2主面12aとを接続する導電部材である。第1導通ワイヤ411は、第1方向xに延びる金属細線である。第1導通ワイヤ411は、主面電極211の一の領域に接続されている。半導体装置B10では、複数の第1スイッチング素子21は、第1導通ワイヤ411を介して第2導電板12に導通している。第1導通ワイヤ411の構成材料は、たとえばAlである。
【0149】
第2導通ワイヤ421は、
図34に示すように、第2電源端子32の第2帯状部322と、第2スイッチング素子22の主面電極221とを接続する導電部材である。第2導通ワイヤ421は、第1方向xに延びる金属細線である。第2導通ワイヤ421は、主面電極221の一の領域に接続されている。半導体装置B10では、第2帯状部322は、第2導通ワイヤ421を介して主面電極221に導通している。第2導通ワイヤ421の構成材料は、第1導通ワイヤ411の構成材料と同一である。
【0150】
図38および
図39に示すように、絶縁層10'は、2つの個別領域(第1領域103、第2領域104)を含み、それぞれ、第1導電板11の第1裏面11b、および、第2導電板12の第2裏面12bに接合されている。第1領域103および第2領域104は、第1方向xにおいて互いに離間している。絶縁層10'(延いては第1領域103および第2領域104)は、電気絶縁性、および比較的高い熱伝導性を有する。絶縁層10'の構成材料は、たとえばAl
2O
3またはAlN(窒化アルミニウム)などのセラミックス、あるいは合成樹脂を主成分とする放熱シートである。絶縁層10'の厚さは、第1導電板11および第2導電板12の厚さよりも相対的に薄く、0.1~1.0mmとされている。絶縁層10'により、第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置B10の外部に対して電気絶縁がなされている。絶縁層10'は省略することができる。この場合、第1裏面11bおよび第2裏面12bの双方は、封止樹脂50に覆われた構成となる。
【0151】
封止樹脂50は、
図33~
図40に示すように、第1導電板11、第2導電板12、複数の第1スイッチング素子21、および複数の第2スイッチング素子22を覆っている。封止樹脂50は、電気絶縁性を有する。封止樹脂50の構成材料は、たとえば黒色のエポキシ樹脂である。封止樹脂50は、表面51、底面52、一対の第1側面531、および一対の第2側面532を有する。
【0152】
図36~
図40に示すように、表面51は、第1導電板11の第1主面11aおよび第2導電板12の第2主面12aと同じ方向を向く。底面52は、第1導電板11の第1裏面11bおよび第2導電板12の第2裏面12bと同じ方向を向く。底面52から、絶縁層10'(第1領域103および第2領域104)が露出している。露出した絶縁層10'の面に、放熱部材を接合させてもよい。
【0153】
一対の第1側面531は、各々が表面51および底面52の双方につながり、かつ第1方向xにおいて互いに離間している(
図4参照)。一方の第1側面531から、第1電源端子31の外部接続部312、第2電源端子32の外部接続部323、および端子絶縁部材39のそれぞれ一部が露出している。他方の第1側面531から、出力端子33の外部接続部332の一部が露出している。一対の第2側面532は、各々が表面51および底面52の双方につながり、かつ第2方向yにおいて互いに離間している(
図5参照)。各第2側面532の第1方向xにおける両端は、一対の第1側面531につながっている。一方の第2側面532から、第1ゲート端子341、第2ゲート端子342、第1検出端子351、第2検出端子352および装置電流検出端子36のそれぞれ一部が露出している(
図33参照)。
【0154】
図33等に示すように、封止樹脂50の底面52にはそれぞれが第2方向yに沿って延びる複数の溝54が形成されている。複数の溝54は、第1方向xにおいて底面52の両端に位置している。複数の溝54は、いずれも一方の第2側面532から他方の第2側面532に至っている。
【0155】
半導体装置B10の回路構成は、
図14に示すものと同じであり、当該回路を構成するスイッチング素子等の作動態様も、
図14を参照して説明した内容と同じである。また、半導体装置B10の使用例も、
図15を参照して説明したものと同じである。
【0156】
次に、半導体装置B10の作用効果について説明する。半導体装置B10の構成によれば、第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置B10における放熱部材および導電部材として機能する。第1導電板11および第2導電板12の厚さは、たとえば金属箔から形成された導電層の厚さより大である。これにより、厚さ方向zに対して直交する第1方向xおよび第2方向yにおいて、第1導電板11および第2導電板12の断面積が、金属箔から形成された導電層の断面積より大となる。このため、第1方向xおよび第2方向yにおいて、第1導電板11および第2導電板12の単位長さ当たりの熱抵抗が、金属箔から形成された導電層の単位長さ当たりの熱抵抗よりも低くなる。換言すれば、第1方向xおよび第2方向yおいて、第1導電板11および第2導電板12の方が金属箔から形成された導電層よりも熱が広範囲に伝わりやすくなる。したがって、半導体装置B10によれば、放熱性を向上させることが可能となる。
【0157】
半導体装置B10の放熱性を向上させることにより、第1導電板11および第2導電板12の電気抵抗を小さくすることができる。このため、半導体装置B10によれば、電力損失を抑制することが可能となる。
【0158】
また、第2電源端子32は、平面視において第1電源端子31に重なる領域を有する。この構成によれば、第2電源端子32から発せられるノイズが第1電源端子31から発せられるノイズと干渉することにより、第1電源端子31の自己インダクタンスが小さくなる。同様に、第1電源端子31から発せられるノイズが第2電源端子32から発せられるノイズと干渉することにより、第2電源端子32の自己インダクタンスが小さくなる。このように、第1電源端子31および第2電源端子32の自己インダクタンスが小さくなると、半導体装置B10の電力損失をより抑制することが可能となる。また、複数の第1スイッチング素子21および複数の第2スイッチング素子22に印加されるサージ電圧を低減することも可能となる。なお、同様の技術的効果は、第1の側面にかかる各半導体装置によっても奏される。
【0159】
半導体装置B10は、電気絶縁性を有し、かつ第1電源端子31および第2電源端子32に挟まれた端子絶縁部材39を備える。これにより、第1電源端子31と第2電源端子32との電気絶縁を確保しつつ、厚さ方向zにおける第1電源端子31と第2電源端子32との間隔を、より短縮できる。したがって、第1電源端子31および第2電源端子32の自己インダクタンスを、より低減できる。
【0160】
第2電源端子32では、第1帯状部321および複数の第2帯状部322が平面視において第1導電板11に重なっている。あわせて、第2帯状部322が、第2スイッチング素子22の主面電極221に、第1方向xに延びる第2導通ワイヤ421を介して導通している。これにより、半導体装置B10の平面視における寸法の拡大を抑制できる。
【0161】
複数の第1スイッチング素子21は、第2方向yに配列されており、隣り合う2つの第1スイッチング素子21の間に、第2帯状部322の一部が位置している。これにより、半導体装置B10の第2方向yにおける寸法の拡大を抑制できる。この場合において、複数の第2スイッチング素子22は、第2方向yに配列されており、第1方向xにおいて、各第2スイッチング素子22は、対応する1つの第2帯状部322に対向している。これにより、半導体装置B10の第2方向yにおける寸法の拡大をさらに抑制しつつ、複数の第2スイッチング素子22と第2電源端子32との導通経路を短縮することができる。
【0162】
半導体装置B10は、第2電源端子32の第2帯状部322と、第2スイッチング素子22の主面電極221とに接続され、かつ第1方向xに延びる第2導通ワイヤ421を備える。これにより、複数の第2スイッチング素子22と第2電源端子32との導電経路が第1方向xに沿ったものとなる。また、半導体装置B10は、第1スイッチング素子21と、第2導電板12の第2主面12aとに接続され、かつ第1方向xに延びる第1導通ワイヤ411を備える。これにより、複数の第1スイッチング素子21と第2導電板12との導電経路が第1方向xに沿ったものとなる。したがって、半導体装置B10では、第1方向xに沿った導電経路が構成されるため、半導体装置B10の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0163】
第2電源端子32の第2帯状部322は、電気絶縁性を有する絶縁体324を介して第1導電板11の第1主面11aに接合されている。これにより、第2電源端子32を第1導電板11に支持させることができる。また、第2帯状部322に第2導通ワイヤ421をワイヤボンディングにより接合させる際、第2帯状部322は第1導電板11から反力を受けるため、第2帯状部322に対する第2導通ワイヤ421の接合強度を十分に確保できる。
【0164】
第1導電板11の第1主面11aには、電気絶縁性を有する第1基板13が接合されている。第1基板13には、第1スイッチング素子21のゲート電極213と、第1ゲート端子341との双方に導通する第1ゲート層131が配置されている。さらに、第1ゲート層131に導通する第1ゲート端子341が、第1導電板11から離間して配置されている(
図34等参照)。これにより、第1導電板11に対する第1ゲート層131の電気絶縁がなされた状態で、複数の第1スイッチング素子21を駆動させるための導電経路を半導体装置B10に構成することができる。
【0165】
第2導電板12の第2主面12aには、電気絶縁性を有する第2基板14が接合されている。第2基板14には、第2スイッチング素子22のゲート電極223と、第2ゲート端子342との双方に導通する第2ゲート層141が配置されている。さらに、第2ゲート層141に導通する第2ゲート端子342が、第2導電板12から離間して配置されている。これにより、第2導電板12に対する第2ゲート層141の電気絶縁がなされた状態で、複数の第2スイッチング素子22を駆動させるための導電経路を半導体装置B10に構成することができる。
【0166】
半導体装置B10は、第1導電板11および第2導電板12などを覆う封止樹脂50を備える。第1電源端子31および第2電源端子32は、第1方向xにおいて第2導電板12に向かう側とは反対側に延び、かつ封止樹脂50から露出する部分を有する。また、半導体装置B10は、第2導電板12に電気的に接合された出力端子33を備える。出力端子33は、第1方向xにおいて第1導電板11に向かう側とは反対側に延び、かつ封止樹脂50から露出する部分を有する。これにより、第1電源端子31および第2電源端子32と、出力端子33とは、半導体装置B10の導電経路と同方向である第1方向xにおいて互いに離間した構成となる。したがって、半導体装置B10の絶縁耐圧を、より向上させることができる。
【0167】
半導体装置B10は、第1導電板11の第1裏面11bおよび第2導電板12の第2裏面12bに接合された絶縁層10'を備える。絶縁層10'は、封止樹脂50の底面52から露出している。このように、第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置B10の外部に対して電気絶縁がなされている。絶縁層10'の厚さを極力薄くすることにより、半導体装置B10の厚さを縮小できる。
【0168】
絶縁層10'は、第1導電板11に接合された第1領域103と、第2導電板12に接合された第2領域104とを有し、第1領域103および第2領域104は第1方向xにおいて互いに離間している。これにより、半導体装置B10の製造において、絶縁層10'に生じる反りを抑制し、第1導電板11および第2導電板12に過度な曲げひずみが生じることを回避できる。
【0169】
封止樹脂50には、底面52から厚さ方向zに凹み、かつ第2方向yに沿って延びる複数の溝54が形成されている。複数の溝54は、第1方向xにおける底面52の両端に位置している。これにより、複数の溝54を含めた第1方向xにおける底面52の表面延長が、より長くなるため、半導体装置B10の絶縁耐圧をさらに向上させることができる。
【0170】
図43~
図47に基づき、第2の側面の第2実施形態にかかる半導体装置B20について説明する。これらの図のうち、
図43では、封止樹脂50を想像線で示している。
【0171】
半導体装置B20では、第1導通ワイヤ411の代わりに第1導通リード412を用い、かつ第2導通ワイヤ421の代わりに第2導通リード422を用いている。
【0172】
第1導通リード412は、
図43~
図45に示すように、第1スイッチング素子21の主面電極211と、第2導電板12の第2主面12aとを接続する導電部材である。第1導通リード412は、第1方向xに延びる帯状で、かつ鉤状の曲げ加工が厚さ方向zに施された金属板である。第1導通リード412の構成材料は、CuまたはCu合金である。第1導通リード412の一端は、導電接合層49を介して主面電極211に電気的に接合されている。第1導通リード412の他端は、導電接合層49を介して第2主面12aに電気的に接合されている。導電接合層49は、導電性を有し、たとえばSnを主成分とする鉛フリーはんだである。
【0173】
第2導通リード422は、
図43、
図46および
図47に示すように、第2電源端子32の第2帯状部322と、第2スイッチング素子22の主面電極221とを接続する導電部材である。第2導通リード422は、第1方向xに延びる帯状で、かつ鉤状の曲げ加工が厚さ方向zに施された金属板である。第2導通リード422の構成材料は、第1導通リード412の構成材料と同一である。第2導通リード422の一端は、導電接合層49を介して第2帯状部322に電気的に接合されている。第2導通リード422の他端は、導電接合層49を介して主面電極221に電気的に接合されている。
【0174】
次に、半導体装置B20の作用効果について説明する。半導体装置B20の構成によれば、先述した半導体装置B10と同一の第1導電板11および第2導電板12を備える。第1導電板11および第2導電板12は、半導体装置B20における放熱部材(および導電部材)として機能するので、半導体装置B20によっても、放熱性を向上させることが可能となる。
【0175】
半導体装置B20は、第1導通リード412と、第2導通リード422とを備える。第1導通リード412および第2導通リード422の横断面積は、第1導通ワイヤ411および第2導通ワイヤ421の横断面積よりも大である。このため、第1導通リード412および第2導通リード422の電気抵抗は、第1導通ワイヤ411および第2導通ワイヤ421の電気抵抗よりも低い。したがって、半導体装置B20の電力損失を、半導体装置B10よりも抑制することができる。
【0176】
図48~
図50に基づき、第2の側面の第3実施形態にかかる半導体装置B30について説明する。これらの図のうち、
図48では、封止樹脂50を想像線で示している。
【0177】
半導体装置B30では、第1導通ワイヤ411の代わりに第1導通リード412を用いており、第2電源端子32の第2帯状部322の構成が、半導体装置B10の場合と異なる。第1導通リード412の構成は、先述した半導体装置B20の第1導通リード412の構成と同一である。
【0178】
図48に示すように、第2電源端子32の第2帯状部322は、その先端が平面視において第2スイッチング素子22の主面電極221に重なる位置まで延びている。
図49および
図50に示すように、第2帯状部322の先端には、鉤状の曲げ加工が厚さ方向zにされている。第2帯状部322の先端は、導電接合層49を介して主面電極211に電気的に接合されている。このため、主面電極221は、第2導通ワイヤ421および第2導通リード422のいずれも介さずに、第2電源端子32に導通している。半導体装置B30では、第2帯状部322が第1導電板11の第1主面11aに接合されないため、絶縁体324が不要となる。
【0179】
次に、半導体装置B30の作用効果について説明する。半導体装置B30の構成においても、第1導電板11および第2導電板12が、放熱部材(および導電部材)として機能するので、放熱性を向上させることが可能となる。
【0180】
第2電源端子32の第2帯状部322は、第2スイッチング素子22の主面電極221に接続されている。これにより、半導体装置B30では、第2導通ワイヤ421、第2導通リード422および絶縁体324のいずれも不要となる。このため、半導体装置B30の製造にかかる部品点数を削減できる。
【0181】
第2の側面にかかる実施形態において、第1スイッチング素子21に対応した並列回路を構成する複数のダイオード(ショットキーバリアダイオードなど)を、第1導電板11の第1主面11aに電気的に接合してもよい。さらに、第2スイッチング素子22に対応した並列回路を構成する複数のダイオードを、第2導電板12の第2主面12aに電気的に接合してもよい。複数のダイオードを備えることにより、複数の第1スイッチング素子21の駆動の際、スイッチングにより逆起電力が発生しても第1スイッチング素子21に逆電流が流れることを回避できる。同様に、複数の第2スイッチング素子22の駆動の際においても、第2スイッチング素子22に逆電流が流れることを回避できる。
【0182】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。