(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】副溝結合成分による核酸重合の強化
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6848 20180101AFI20240711BHJP
【FI】
C12Q1/6848 Z ZNA
(21)【出願番号】P 2023075927
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2020537221の分割
【原出願日】2018-12-20
【審査請求日】2023-05-02
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】マーク スタマティオス ココリス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン タボネ
(72)【発明者】
【氏名】メルド ナバビ
(72)【発明者】
【氏名】アアロン ジャコブス
(72)【発明者】
【氏名】ディラン オコネル
(72)【発明者】
【氏名】ドリュー グッドマン
(72)【発明者】
【氏名】ラセイ メリル
(72)【発明者】
【氏名】ジャガデエスワラン チャンドラセカール
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-269196(JP,A)
【文献】J. Mol. Biol.,1994年,Vol.236,pp.725-737
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/
C12N15/
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸ポリメラーゼ反応を強化する方法であって:
a)以下:
(i)テンプレート核酸、
(ii)核酸ポリメラーゼ、
(iii)ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の混合物、
(iv)少なくとも1つの副溝結合成分
を含む核酸ポリメラーゼ反応組成物を形成させること;及び
b)該核酸ポリメラーゼ反応組成物を、核酸重合反応を可能とする条件下でインキュベートすることであって、該少なくとも1つの副溝結合成分が、該核酸ポリメラーゼ反応の進行性、速度、又は忠実度を増加させる、前記インキュベートすること
を含み、
該核酸ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼであり;
該ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の混合物が、ヌクレオシドトリホスホロアミデートを含むヌクレオチド類似体の混合物であり;
該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのそれぞれが、アデニン、グアニン、チミン、及びシトシンからなる群から選択される核酸塩基、並びにポリマー性のテザー部位を含み
;
該ポリマー性のテザー部位の第1末端が、該核酸塩基に取り付けられ、かつ該ポリマー性のテザー部位の第2末端が、該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのα-リン酸に取り付けられて、ホスホロアミデート結合の切断による該ヌクレオチド類似体の拡張が利用可能とされて
おり;かつ
該少なくとも1つの副溝結合成分が、Hoechst 33258、Hoechst 34580、Hoechst 33342、3,6-ジアミノアクリジン塩酸塩、及びネトロプシン二塩酸塩からなる群から選択される、前記方法。
【請求項2】
前記核酸重合反応が、ヌクレオチド類似体の拡張可能なポリマーを生じさせ、該拡張可能なポリマーが、前記テンプレート核酸の核酸塩基配列情報をコードする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記核酸重合反応を可能とする条件が、好適な重合バッファー及びオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記好適なバッファーが、Tris OAc、NH
4OAc、PEG、DMF、ポリホスフェート60、及びMnCl
2を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記
核酸ポリメラーゼ反応組成物が、核酸インターカレート剤をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記
核酸ポリメラーゼ反応組成物が、ポリアニオン認識成分をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の混合物が、検出可能な標識を含むヌクレオチド類似体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記検出可能な標識が、発光標識、化学発光標識、蛍光標識、蛍光発生標識、発色団標識、又は発色性標識からなる群から選択される光学的に検出可能な標識である、請求項7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表に関する記載)
本出願に関連する配列表が、紙での複写物の代わりにテキスト形式で提供され、これに
より引用により本明細書に組み込まれる。該配列表が入ったテキストファイルの名称は、
870225_422WO_SEQUENCE_LISTING.txtである。該テキストファイルは、3.3KBであり、2018
年12月19日に作成されたものであり、EFS-Webを通じて電子的に提出されている。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、核酸の重合のため及び/又は酵素の性能に影響を及ぼすための方法
及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
生体分子の測定は、現代の医学の基盤であり、医学研究において、より具体的には、診
断及び治療において、並びに創薬において広く用いられる。核酸は、生物が機能し生殖す
るのに必要な情報をコードしており、本質的に、生命の設計図である。そのような設計図
を決定することは、純粋な研究においても、応用科学においても有用である。医学におい
ては、シーケンシングは、がん、心疾患、自己免疫障害、多発性硬化症、及び肥満症を含
む種々の病態の診断のため、及びそれらの治療を開発するのに使用し得る。産業において
は、シーケンシングを、改善された酵素プロセス又は人工生物を設計するのに使用するこ
とができる。生物学においては、このツールを、例えば、生態系の健全性を研究するのに
使用することができ、従って、広い範囲で有用である。同様に、タンパク質及び他の生体
分子の測定は、疾患及び病原体の伝播のマーカー及び理解を提供している。
【0004】
個人の特有のDNA配列は、ある疾患へのかかりやすさに関する価値ある情報を提供する
。また、これは、患者に、早期発見のためのスクリーニングを行いかつ/又は予防的処置
を受ける機会を提供する。更に、患者の個々の設計図が与えられれば、臨床医は、薬効を
最大化しかつ/又は有害な薬物応答のリスクを最小化する個別化療法を実施することがで
きるであろう。同様に、病原性生物の設計図を決定することは、感染性疾患の新たな治療
及びより堅固な病原体の監視に繋がる可能性がある。低コストの全ゲノムDNAシーケンシ
ングは、現代の医学に基盤を提供するであろう。本目的を達成するためには、シーケンシ
ング技術は、処理量、正確度、及びリード長に関して改善され続けなければならない。
【0005】
この10年間の間に、多数の次世代DNAシーケンシング技術が、商業的に利用可能となり
、かつ全ゲノムをシーケンシングするコストを劇的に減少させている。これには、合成に
よるシーケンシング(「SBS」)プラットフォーム(Illumina社、454 Life Sciences、Ion T
orrent、Pacific Biosciences)及び類似ライゲーション(analogous ligation)ベースのプ
ラットフォーム(Complete Genomics、Life Technologies社)が含まれる。多様な試料処理
及び検出方法を利用するいくつかの別の技術が開発中である。例えば、GnuBio社(Cambrid
ge, Mass.)は、ピコリットルの反応容器を用いて、数百万の慎重なプローブシーケンシン
グ反応を制御し、その一方で、Halcyon Molecular(Redwood City, Calif.)は、透過型電
子顕微鏡を用いる直接的なDNA測定のための技術を開発する試みを行っていた。
【0006】
ナノ細孔ベースの核酸シーケンシングは、広く研究されている関心をひいてやまないア
プローチである。Kasianowiczら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 13770-13773、1996)
は、一本鎖ポリヌクレオチドを、脂質二重層に埋め込まれたアルファヘモリジンナノ細孔
を通して電気的に移動させながら、それをキャラクタリゼーションした。ポリヌクレオチ
ドを移動させる間に、ナノ細孔開口の部分的な閉塞を、イオン電流の低減として測定する
ことができることが示された。しかしながら、ナノ細孔におけるポリヌクレオチドシーケ
ンシングでは、かなりのバックグラウンドノイズに埋もれた小さいシグナル差を用いて間
隔が詰まった塩基(0.34nm)を分離しなければならないことが負担となる。このナノ細孔に
おける単一塩基の分離の測定上の難題は、通常、1マイクロ秒あたり1塩基のオーダーであ
るポリヌクレオチドに観察される速い移動速度のために、より大変なものとなる。移動速
度を、いくつか例を挙げるならば電圧、塩組成、pH、温度、及び粘度などの実行パラメー
ターを調整することによって減少させることができる。しかしながら、そのような調整で
は、移動速度を、単一塩基の分離を可能とするレベルまで低下させることはできていない
。
【0007】
Stratos Genomicsは、DNAの配列を「エクスパンドマー(Xpandomer)」と呼ばれる測定可
能なポリマー上に転写する生化学的プロセスを用いる拡張によるシーケンシング(「SBX」
)と呼ばれる方法を開発している(Kokorisらの文献、米国特許第7,939,259号、「拡張によ
るハイスループット核酸シーケンシング」)。転写された配列は、~10nm隔てられており
、かつ高い信号対ノイズのよく区別された応答のために設計されている高い信号対ノイズ
のレポーターに、エクスパンドマー骨格に沿ってコード化される。これらの差は、ネイテ
ィブDNAと比較して、エクスパンドマーの配列リードの効率及び正確度の著しい性能強化
を提供する。エクスパンドマーは、いくつかの次世代DNAシーケンシング検出技術を可能
にすることができ、ナノ細孔シーケンシングにかなり適している。
【0008】
エクスパンドマーは、合成の後にエクスパンドマー骨格が拡張されることを可能とする
非常に長い置換基を特徴とする、XNTPと名付けられた非天然のヌクレオチド類似体から作
製される(その全体が引用により本明細書に組み込まれている、KokorisらのUS特許出願公
開公報第US20160145292A1号を参照されたい)。その非定型的な構造のために、XNTP、及び
他のヌクレオチド類似体(例えば、検出可能な標識部位で修飾されたヌクレオチド類似体)
は、現在利用可能なDNAポリメラーゼの基質として新しい課題を持ち込む。その全体が引
用により本明細書に組み込まれるKokorisらのPCT出願公開公報第WO2017/087281号には、
基質として非天然のかさ高いヌクレオチド類似体を利用する強化されたプライマー伸長活
性を有する操作されたDP04ポリメラーゼバリアントが記載されている。
【0009】
DNAテンプレートそれ自体の中では、あるヌクレオチド配列モチーフが、DNAポリメラー
ゼに対して複製に関する追加の課題を引き起こすことが知られている。特に重要なものは
、スリップ鎖の誤対合、すなわち「複製スリップ(replication slippage)」を引き起こす
ことがある、ホモポリマーの連続(runs of homopolymers)、又は短い繰り返されたDNA配
列である。複製スリップは、以下のステップ:(i)複製機構による第1の反復の複製、(ii)
複製休止及び新たに合成された末端からのポリメラーゼの解離、(iii)該新たに合成され
た鎖の不対化、及びそれと第2の反復との対形成、並びに(iv)DNA合成の再開を含むと考え
られている。従って、繰り返し領域内での複製機構の停止は、プライマー及びテンプレー
トの誤整列をもたらす。インビボでは、複製の間の2つのDNA鎖の誤整列は、さまざまな長
さの欠失又は重複などのDNA再編成に繋がることがある。インビトロでは、複製スリップ
は、スリップ事象の場で複製のエラーをもたらす。このようなポリメラーゼ進行性又は正
確度の減少は、特定の応用又は所望の遺伝子操作を顕著に損なう。
【0010】
従って、非定型的な構造を有する1種以上の試薬を含む条件下でのポリメラーゼ反応を
強化するための新たな方法及び組成物が、例えば、拡張によるシーケンシング(SBX)並び
にバイオテクノロジー及び生体医学における他の応用(DNA増幅、従来のシーケンシング、
標識化、検出、クローニングなど)において必要とされており、かつ当該技術分野におい
て価値を見いだすであろう。本発明は、これらの要求を満たし、さらなる関連する利点を
提供する。
【0011】
背景セクションで論じられた全ての主題は、必ずしも先行技術であるわけではなく、単
に背景セクションでそれを論じたことの結果として先行技術であるとみなされるべきでは
ない。このように、背景セクションにおける先行技術で論じられているか又はそのような
主題に関連する問題のいかなる認識も、明示的に先行技術であると述べられている場合を
除き、先行技術として扱われるべきではない。その代わりとして、背景セクションにおけ
るいかなる主題の議論も、それ自体としても独創的であり得る特定の問題への発明者のア
プローチの一部として扱われるべきである。
【発明の概要】
【0012】
(概要)
手短にいうと、本開示は、核酸ポリメラーゼ活性を強化する方法及び組成物を提供する
。ある実施態様において、ポリメラーゼ活性が、該ポリメラーゼに対する1つ以上の課題
を持ち込む条件、例えば、ポリメラーゼの進行性を損なう非天然のヌクレオチド類似体基
質又はテンプレートモチーフを含む条件下での重合反応において強化される。そのような
強化は、重合反応に、当技術分野において「副溝結合物質」(MGB)として知られているク
ラスの化合物のうちの1つ以上の添加剤を追加することによって達成される。驚くべきこ
とに、かつ有利なことに、本発明者らは、ある種のMGBが、ポリメラーゼ活性を、特に、
非天然の高度に置換されたヌクレオチド類似体基質を用いた場合に、顕著に強化すること
を見出だした。
【0013】
一態様において、本発明は、核酸ポリメラーゼ反応を強化する方法であって、テンプレ
ート核酸、核酸ポリメラーゼ、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の混合物、少なくと
も1つの副溝結合成分を含む核酸ポリメラーゼ反応組成物を形成させる工程;及び該核酸ポ
リメラーゼ反応組成物を、核酸重合反応を可能とする条件下でインキュベートする工程を
含み、該少なくとも1つの副溝結合成分が、該核酸ポリメラーゼ反応の進行性、速度、又
は忠実度を増加させる、前記方法を提供する。一実施態様において、前記少なくとも1つ
の副溝結合成分は、結果として得られる核酸生成物の長さを、該副溝結合成分を欠く核酸
ポリメラーゼ反応と比較して増加させる。別の実施態様において、前記少なくとも1つの
副溝結合成分は、ディスタマイシンA及びその合成類似体、ネトロプシン、(+)-CC-1065、
デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、トラベクチン(trabectin)及びその類似
体、Hoechst色素及びその誘導体、レキシトロプシン、チアゾトロプシンA(thiazotropsin
A)、ジアミジン、並びにポリアミドからなる群から選択される。ある実施態様において
、前記少なくとも1つの副溝結合成分は、Hoechst色素である。別の実施態様において、少
なくとも1つの副溝結合成分は、複数の副溝結合成分を含む。ある実施態様において、前
記複数の副溝結合成分は、異なる構造クラスの副溝結合成分を含む。別の実施態様におい
て、前記核酸ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼである。ある実施態様において、前記DNA
ポリメラーゼは、DPO4又はそのバリアントである。別の実施態様において、前記ヌクレオ
チド又はヌクレオチド類似体の混合物は、ヌクレオシドトリホスホロアミデートを含むヌ
クレオチド類似体の混合物であり、該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのそれぞれが
、アデニン、グアニン、チミン、及びシトシンからなる群から選択される核酸塩基、並び
にポリマー性のテザー部位を含み、該ポリマー性のテザー部位の第1末端が、該核酸塩基
に取り付けられ、かつ該ポリマー性のテザー部位の第2末端が、該ヌクレオシドトリホス
ホロアミデートのα-リン酸に取り付けられて、ホスホロアミデート結合の切断による該
ヌクレオチド類似体の拡張が利用可能とされている。ある実施態様において、前記核酸重
合反応は、ヌクレオチド類似体の拡張可能なポリマーを生じさせ、該拡張可能なポリマー
は、前記テンプレート核酸の核酸塩基配列情報をコードする。別の実施態様において、前
記核酸重合反応を可能とする条件は、好適な重合バッファー及びオリゴヌクレオチドプラ
イマーを含む。さらなる実施態様において、前記好適なバッファーは、Tris OAc、NH4OAc
、PEG、DMF、ポリホスフェート60、及びMnCl2を含む。別の実施態様において、前記反応
混合物は、核酸インターカレート剤をさらに含む。別の実施態様において、前記反応混合
物は、ポリアニオン認識部位をさらに含む。さらなる実施態様において、前記ヌクレオチ
ド又はヌクレオチド類似体の混合物は、検出可能な標識を含むヌクレオチド類似体を含む
。さらに別の実施態様において、前記検出可能な標識は、発光標識、化学発光標識、蛍光
標識、蛍光発生標識、発色団標識、又は発色性標識からなる群から選択される光学的に検
出可能な標識である。
【0014】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの副溝結合成分、及びヌクレオチド類似
体の混合物を含む組成物であって、該少なくとも1つの副溝結合成分が、テンプレート依
存性重合反応の間に娘鎖に取り込まれるヌクレオチド類似体の数及び正確度を、該少なく
とも1つの副溝結合成分が存在しない同一の重合反応と比較して増加させる、前記組成物
を提供する。一実施態様において、前記少なくとも1つの副溝結合成分は、ディスタマイ
シンA及びその合成類似体、ネトロプシン、(+)-CC-1065、デュオカルマイシン、ピロロベ
ンゾジアゼピン、トラベクチン(trabectin)及びその類似体、Hoechst色素及びその誘導体
、レキシトロプシン、チアゾトロプシンA、ジアミジン、並びにポリアミドからなる群か
ら選択される。ある実施態様において、前記少なくとも1つの副溝結合成分は、Hoechst色
素である。別の実施態様において、前記少なくとも1つの副溝結合成分は、複数の副溝結
合成分を含む。ある実施態様において、前記複数の副溝結合成分は、異なる構造クラスの
副溝結合成分を含む。ある実施態様において、前記ヌクレオチド類似体の混合物は、ヌク
レオシドトリホスホロアミデートを含み、該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのそれ
ぞれが、アデニン、グアニン、チミン、及びシトシンからなる群から選択される核酸塩基
、並びにポリマー性のテザー部位を含み、該ポリマー性のテザー部位の第1末端が、該核
酸塩基に取り付けられ、かつ該重合体のエーテル部位の第2末端が、該ヌクレオシドトリ
ホスホロアミデートのα-リン酸に取り付けられて、ホスホロアミデート結合の切断によ
る該ヌクレオチド類似体の拡張が利用可能とされている。別の実施態様において、前記組
成物は、Tris OAc、NH4OAc、PEG、DMF、ポリホスフェート60、及びMnCl2を含むバッファ
ーをさらに含む。別の実施態様において、前記組成物は、DNAインターカレート剤をさら
に含む。別の実施態様において、前記組成物は、ポリアニオン認識部位をさらに含む。あ
る実施態様において、前記ヌクレオチド類似体の混合物は、検出可能な標識を含むヌクレ
オチド類似体を含む。ある実施態様において、前記検出可能な標識は、発光標識、化学発
光標識、蛍光標識、蛍光発生標識、発色団標識、又は発色性標識からなる群から選択され
る光学的に検出可能な標識である。
【0015】
別の態様において、本発明は、DNAテンプレートをシーケンシングする方法であって、
該DNAテンプレート、該テンプレートと複合体を形成する複製プライマー、DNAポリメラー
ゼ、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の混合物、及び少なくとも1つの副溝結合成分
を含むDNAポリメラーゼ反応組成物を形成させる工程;該DNAポリメラーゼ反応組成物を、D
NA重合反応を可能とする条件下でインキュベートする工程であって、該少なくとも1つの
副溝結合成分が、該DNAポリメラーゼ反応の速度、忠実度、又は進行性を増加させる、前
記工程;及び結果として得られるヌクレオチド又はヌクレオチド類似体のポリマー内の該
ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の配列を決定する工程を含む、前記方法を提供する
。ある実施態様において、前記少なくとも1つの副溝結合成分は、ディスタマイシンA及び
その合成類似体、ネトロプシン、(+)-CC-1065、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジア
ゼピン、トラベクチン(trabectin)及びその類似体、Hoechst色素及びその誘導体、レキシ
トロプシン、チアゾトロプシンA、ジアミジン、並びにポリアミドからなる群から選択さ
れる。別の実施態様において、前記ヌクレオチド類似体の混合物は、ヌクレオシドトリホ
スホロアミデートを含み、該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのそれぞれが、アデニ
ン、グアニン、チミン、及びシトシンからなる群から選択される核酸塩基、並びにポリマ
ー性のテザー部位を含み、該ポリマー性のテザー部位の第1末端が、該核酸塩基に取り付
けられ、かつ該重合体のエーテル部位の第2末端が、該ヌクレオシドトリホスホロアミデ
ートのα-リン酸に取り付けられて、ホスホロアミデート結合の切断による該ヌクレオチ
ド類似体の拡張が利用可能とされている。別の実施態様において、前記DNAポリメラーゼ
は、DPO4又はそのバリアントである。別の実施態様において、前記結果として得られるヌ
クレオチド類似体のポリマーは、拡張可能なポリマーである。別の実施態様において、前
記方法は、前記拡張可能なポリマーを、ホスホロアミデート切断剤と接触させて、拡張さ
れたヌクレオチド類似体のポリマーを生成させる工程をさらに含む。ある実施態様におい
て、前記ヌクレオチド類似体のそれぞれの前記ポリマー性のテザー部位は、該類似体の核
酸塩基に対して一意的なレポーター部位を含む。別の実施態様において、前記レポーター
部位は、特有の電子信号を生じさせる。さらに別の実施態様において、前記ヌクレオチド
類似体の配列を決定する工程は、ナノ細孔を通して前記拡張されたヌクレオチド類似体の
ポリマーを移動させる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
(図面の簡単な説明)
本開示の例示的な特徴、その性質、及びさまざまな利点が、添付の図面及び以下のさま
ざまな実施態様の詳細な説明から明らかとなるであろう。非限定的かつ非網羅的な実施態
様が、添付の図面を参照して説明される。図面では、同様な標識又は参照番号は、特に明
記されない限り、さまざまな図の全体にわたって同様な部分を指す。図面において要素の
大きさ及び相対的な位置は、必ずしも縮尺に合わせて描かれたものではない。例えば、さ
まざまな要素の形状は、図面の見やすさを改善するよう選択、拡大、及び配置される。描
かれている要素の特定の形状は、図面での認識の容易さのために選択されている。
【0017】
【
図1】
図1A、
図1B、
図1C、及び
図1Dは、一般化されたXNTPの主要な特徴及びそれらの拡張によるシーケンシング(SBX)における使用を説明する簡約的な概略図である。
【
図2】
図2は、XNTPの一実施態様のさらなる詳細を説明する概略図である。
【
図3】
図3は、生物学的ナノ細孔を通過するエクスパンドマーの一実施態様を説明する概略図である。
【
図4】
図4は、プライマー伸長生成物を示すゲルである。
【
図5】
図5は、プライマー伸長生成物を示すゲルである。
【
図6】
図6は、プライマー伸長生成物を示すゲルである。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、ナノ細孔から得た配列の整列されたリードの集団のヒストグラム表示である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(詳細な説明)
以下の説明において、ある特定の詳細が、さまざまな実施態様の完全な理解を提供する
ように記載される。しかしながら、当業者は、本発明が、これらの詳細がなくても実践さ
れ得ることを理解するであろう。別の例においては、不必要で不明瞭化してしまう実施態
様の説明を避けるために、周知の構造を示していないか又は詳細に説明していない。文脈
上別段の必要性がある場合を除き、本明細書及びそれに続く特許請求の範囲の全体にわた
って、「を含む(comprise)」という用語、並びに「を有する(have)」、「を含む(include
)」、「を含む(comprises)」及び「を含む(comprising)」などのその同意語及び変形形態
は、オープンである包含的な意味で、すなわち、「これらに限定されないが、~を含む」
として解釈されるべきである。「本質的に~からなる」という用語は、請求項の範囲を、
明示された材料又は工程にか、又は特許請求された発明の基本的かつ新規の特徴に実質的
に影響を及ぼさないものに限定する。さらに、本明細書で提示される見出しは、便宜上の
みのものであり、特許請求された発明の範囲又は意味を説明するものではない。
【0019】
本明細書の全体にわたり、「一実施態様」又は「実施態様」並びにその変形形態への言
及は、該実施態様に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つ
の実施態様に含まれることを意味する。従って、本明細書の全体にわたるさまざまな場所
での句「一実施態様において」又は「実施態様において」の出現は、必ずしも全てが、同
じ実施態様に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以
上の実施態様において任意の適当な様式で組み合わせ得る。また、本明細書及び添付の特
許請求の範囲において用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「前
記/該(the)」は、内容が、明確にそうでないことを表す場合を除き、複数の指示物を含む
。
【0020】
場合に応じて、内容及び文脈が、含まれる又は含まれないことを明確に示している場合
を除き、「及び(and)」及び「又は(or)」という接続語が、一般に、「及び/又は」を含む
最も広い意味で採用されることにも留意されたい。従って、選択(例えば、「又は(or)」)
の使用は、選択肢のいずれか一方、双方、又はそれらの任意の組み合わせを意味するよう
理解されるべきである。加えて、「及び」及び「又は」の組み合わせは、本明細書で「及
び/又は」として記載される場合、関連事項又は概念の全てを含む実施態様、及び該関連
事項又は概念の全てよりも少数を含む1つ以上の他の選択的実施態様を包含することが意
図されることにも留意されたい。
【0021】
値の範囲が、本明細書で提供される場合、文脈により、そうでないことが明確に必要と
されない限り、下限の単位の10分の1までの、該範囲の上限と下限との間に入る値のそれ
ぞれ、及び該記載された範囲内の任意の他の記載された値又は間にある値が、本発明の範
囲内に含まれることが理解される。該記載される範囲内の任意の具体的に排除された限度
を条件として、こうしたより小さい範囲の上限及び下限は、独立に、より小さい範囲に含
まれ得、また、本発明の範囲内に含まれる。記載された範囲が限度の一方又は双方を含む
場合、これらの含まれる限度のいずれか又は双方を除く範囲もまた、本発明に含まれる。
【0022】
例えば、本明細書で提供されるいかなる濃度範囲、百分率範囲、比の範囲、又は整数範
囲も、別途示されない限り記載された範囲内の全ての整数の値、及び、適切な場合には、
その分数(例えば、整数の10分の1及び100分の1)を含むよう理解されるべきである。また
、ポリマーサブユニット、大きさ、又は厚さなどの、本明細書で記載される任意の物理的
特徴に関する数値範囲はすべて、別途示されない限り、該記載された範囲内の全ての整数
を含むよう理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約(about)」という用
語は、別途示されない限り、示された範囲、値、又は構造の±20%を意味するよう理解さ
れるべきである。
【0023】
本明細書で使用される術語は、特定の実施態様を説明するためのみのものであると理解
されるべきであり、限定を意図するものではない。さらに、本明細書で明確に定義される
場合を除き、本明細書で使用される術語は、関連分野で知られている従来の意味を与えら
れていることを理解するべきである。
【0024】
本文書内で用いられる見出しはいずれも、読み手による調査をはかどらせることのみに
利用され、いかなる様式にも本発明又は特許請求の範囲を制限するよう解釈されるべきで
はない。従って、本明細書で提供される本開示の見出し及び要約書は、便宜上のみのもの
であり、実施態様の範囲又は意味を説明するものではない。
【0025】
(定義)
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドとも呼ばれる「核酸」は、1つのヌクレ
オチドのペントースの3’位が、次のヌクレオチドの5’位に、ホスホジエステル基によっ
て連結されている、共有結合的に連結されたヌクレオチドの連結である。核酸分子は、デ
オキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、又は双方の組合せであり得る。DNA(デオキシリボ
核酸)及びRNA(リボ核酸)は、ヌクレオチド残基が、ホスホジエステル結合によって特定の
配列に連結されている、生物学的に生じるポリヌクレオチドである。本明細書で使用され
る場合、「核酸」、「ポリヌクレオチド」、又は「オリゴヌクレオチド」という用語は、
ヌクレオチドの線状骨格を有するいかなるポリマー化合物をも包含する。オリゴマーとも
よばれるオリゴヌクレオチドは、一般に、より短い鎖のポリヌクレオチドである。核酸は
、一般に、シーケンシングの標的とされた場合には、「標的核酸」又は「標的配列」と呼
ばれる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「重合」は、テンプレート依存型の様式で、核酸の新たな
鎖を作製する又は既存の核酸(すなわち、DNA又はRNA)を伸長させるためのインビトロ方法
を指す。本発明による重合は、ポリメラーゼを使用して、ポリヌクレオチドテンプレート
配列の配列を複製するプライマー伸長を含む。核酸重合(例えば、プライマー伸長)は、ポ
リヌクレオチド(すなわち、プライマー)内へのヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の取
り込みをもたらし、それによって、該ポリヌクレオチドテンプレートに相補的な新たな核
酸分子が形成される。形成された核酸分子は、単一分子シーケンシングのために使用し得
るか又はさらなる核酸分子を合成するテンプレートとして使用し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「テンプレート依存型の様式」という用語は、プライマー
分子のテンプレート依存型伸張を伴うプロセス(例えば、DNAポリメラーゼによるDNA合成)
を指すことが意図される。「テンプレート依存型の様式」という用語は、ポリヌクレオチ
ドの新たに合成された鎖の配列が、周知の相補的塩基対形成の法則(例えば、「遺伝子の
分子生物学(Molecular Biology of the Gene)」、第4版, W. A. Benjamin社, Menlo Park
, Calif. (1987)中のWatson, J. D.らの文献を参照されたい)によって決定される、RNA又
はDNAのポリヌクレオチド合成を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「核酸ポリメラーゼ」は、一般に、3'-OH 5'-三リン酸ヌ
クレオチド、オリゴマー、及びそれらの類似体を連結するための酵素である。ポリメラー
ゼとしては、DNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリ
メラーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、T3 DNAポリメラーゼ、T4 D
NAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、DNA
ポリメラーゼ1、クレノウ断片、サーモフィルス・アクウァーティクス(Thermophilus aqu
aticus)DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、VentR(登録商標)DNAポリメラーゼ(New
England Biolabs)、Deep VentR(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)、Bst
DNAポリメラーゼ大断片、Stoeffel断片、9° N DNAポリメラーゼ、9° N DNAポリメラー
ゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Tfl DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、RepliPHI Phi2
9 ポリメラーゼ、Tli DNAポリメラーゼ、真核生物DNAポリメラーゼβ、テロメラーゼ、Th
erminator(商標)ポリメラーゼ(New England Biolabs)、KOD HiFi(商標)DNAポリメラーゼ(
Novagen)、KOD1 DNAポリメラーゼ、Q-βレプリカーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、
AMV逆転写酵素、M-MLV逆転写酵素、Phi6逆転写酵素、HIV-1逆転写酵素挙げられるが、こ
れらに限定されない。本発明によるポリメラーゼは、バリアント、変異体、又はキメラの
ポリメラーゼとすることができる。
【0029】
本明細書で使用される場合、「DPO4型DNAポリメラーゼ」は、一般に、損傷乗り越え合
成(TLS)として知られるプロセスによる、損傷したDNAの複製において機能する、古細菌で
あるスルホロブス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)により天然に発現され
るDNAポリメラーゼ、又は関連するYファミリーDNAポリメラーゼである。YファミリーDNA
ポリメラーゼは、DPO4ポリメラーゼ(例えば、配列番号:1に挙げられているもの)と相同で
あり;例としては、原核生物酵素、PolII、PolIV、PolV、古細菌酵素、Dbh、及び真核生物
酵素、Rev3p、Rev1p、Polη、REV3、REV1、PolΙ、及びPolкDNAポリメラーゼ、並びにそ
れらのキメラが挙げられる。修飾された組換えDPO4型DNAポリメラーゼは、天然に生じる
野生型DPO4型DNAポリメラーゼと比較して1つ以上の変異、例えば、かさ高いヌクレオチド
類似体を基質として利用する能力又は別のポリメラーゼとしての性質を増加させる1つ以
上の変異を含み、かつ野生型のDPO4型DNAポリメラーゼに対して追加の変化又は修飾、例
えば、1つ以上の欠失、挿入、及び/又は追加のペプチドもしくはタンパク質配列の融合(
例えば、ポリメラーゼを表面に固定化するためのもの、又はそうではなくポリメラーゼ酵
素にタグ付けするためのもの)を含み得る。本発明によるバリアントポリメラーゼの例は
、その全体が引用により本明細書に組み込まれる、PCT特許出願公開公報第WO2017/087281
A1号に記載されたスルホロブス・ソルファタリカスDPO4のバリアントである。
【0030】
上記の酵素のいずれかのポリメラーゼ活性は、当技術分野において公知の手段によって
決定することができる。例えば、Hogrefeらの文献(Methods in Enzymol. Vol. 334、pp.
91-116 (2001))のヌクレオチド取り込みアッセイを使用して、重合の速度を測定すること
ができる。簡単に述べると、ポリメラーゼ活性を、活性化サケ精子DNA(Pharmaciaから購
入;活性化プロトコルについては、C. C. Richardsonの文献, Procedures in Nucl. Acid
Res. (Cantoni及びDavies編),263~276頁(1966)の第264頁を参照されたい)内への32P-dCT
Pの取り込み速度として測定可能である。反応バッファーは、例えば、50mM Tris-HCl (pH
8.0)、5mM MgCl2、1mM ジチオスレイトール(DTT)、50μg/ml ウシ血清アルブミン(BSA)
、及び4%(v/v)グリセロールとすることができる。ヌクレオチド基質及びDNAは、大過剰
で、通常、アッセイされているポリメラーゼのKmの少なくとも10倍で用いられ、例えば、
各200μgMのdATP、dTTP、及びdGTP、195μgMのdCTP+5μgMの標識化dCTP、及び250μg/mL
の活性化DNAである。反応は氷上でクエンチされ、反応混合物の一定分量が、イオン交換
フィルター(例えば、Whatman DE81)上にスポットされる。取り込まれていないヌクレオチ
ドを、よく洗浄し、それに続き、シンチレーション測定を行って、取り込まれた放射能を
測定する。本明細書で使用される、「強化された速度」は、本明細書で定義されるような
速度を増加させる添加剤がない重合反応と比較して、5~10%、10~50%、もしくは50~1
00%、又はそれを超える増加を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「進行性」は、核酸ポリメラーゼとそのテンプレートとの
間の単回の接触の間の該ポリメラーゼによる重合の程度、すなわち基質から解離せずに基
質に作用し続ける、該ポリメラーゼの性質を指す。重合の程度は、ポリメラーゼとそのテ
ンプレートとの間の単回の接触の間の、ポリメラーゼによって付加されるヌクレオチド又
はヌクレオチド類似体の数を指す。進行性は、ポリメラーゼの性質、テンプレートの配列
、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体基質の構造、及び反応条件、例えば、塩濃度、温
度、又は特定の添加剤の存在に応じて決まり得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「強化された進行性」は、本明細書で定義されるような、
進行性を増加させる添加剤がない重合反応と比較して、5~10%、10~50%、もしくは50
~100%、又はそれを超える増加を指す。核酸ポリメラーゼの進行性を測定するための方
法は、例えば、その全体が、引用により本明細書に組み込まれている、「モレキュラー・
クローニング(Molecular Cloning)」、第2版、CSH Press内のSambrookらの文献1989, 7.7
9-7.83及び13.8、並びに米国特許出願公開第2002/0119467号、PCT出願公開公報第WO01/92
501号、及び米国特許第5,972,603号に記載されているように、当技術分野において一般に
知られている。
【0033】
本明細書で使用される「忠実度」という用語は、テンプレート依存性核酸ポリメラーゼ
による核酸重合の正確度を指す。DNAポリメラーゼの忠実度は、誤り率(不正確なヌクレオ
チド、すなわち、テンプレート依存性様式で取り込まれなかったヌクレオチドを取り込む
頻度)によって測定される。DNAポリメラーゼの忠実度又は誤り率は、本技術分野で公知の
アッセイを用いて測定され得る(例えば、Lundburgらの文献、1991 Gene, 108:1-6を参照
されたい)。本明細書で使用される場合、「強化された忠実度」は、本明細書で定義され
るような、忠実度を増加させる添加剤がない重合反応と比較して、5~10%、10~50%、
もしくは50~100%、又はそれを超える増加を指す。
【0034】
「プライマー伸長反応」は、標的-プライマーハイブリッドとヌクレオチド又はヌクレ
オチド類似体との間の反応を意味し、これは、組み込まれるヌクレオチド又はヌクレオチ
ド類似体が、該標的ポリヌクレオチドの対応するヌクレオチドに相補的であるような、該
ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の該プライマーの3’末端への付加をもたらす。プ
ライマー伸長試薬は、通常、(i)ポリメラーゼ酵素;(ii)バッファー;及び(iii)1種以上の
伸長可能なヌクレオチド又はヌクレオチド類似体を含む。プライマー伸長反応を用いて、
特定の実験条件下で結果として得られる核酸生成物の長さを測定すること、及び伸長され
たプライマー生成物の長さを、例えば、ゲル電気泳動で比較することによって、ポリメラ
ーゼ活性に対するさまざまなポリメラーゼ反応添加剤の作用を決定することができる。
【0035】
本明細書で使用される場合「副溝結合成分」(「MGB」とも称される)は、その想定され
る作用機構が、二重鎖DNAの副溝とのものである、小分子DNA結合物質の多様な群を指す当
該技術分野においてよく受け入れられた用語である。一般的に、MGBの構造は、B型DNAの
副溝の曲線を補完する曲がったコンホメーションを採用している。しかしながら、本発明
による、MGBが、ポリメラーゼ反応の間にテンプレート核酸と相互作用する様式は、決定
されておらず、副溝結合に基づく作用機構が、本発明にとって重要であるかどうかは不明
であることが理解されるべきである。本発明者らは、この用語を、当該技術分野において
これが長年にわたり用いられていることを唯一の理由として用いており、何らかの限定的
な作用機構を説明するために用いるものではない。本発明のMGBは、天然物由来であって
も、合成のものであってもよい。MGBは、任意の公知のMGBの任意の類似体又は誘導体であ
り得る。例示的なMGBとしては、Hoechst色素及び誘導体(例えば、Hoechst 33258、Hoechs
t 34580、Hoechst 33342)、ネトロプシン、ディスタマイシンA及びその合成類似体(例え
ば、レキシトロプシン及びチアゾトロプシンA)、(+)-CC-1065、デュオカルマイシン、ピ
ロロベンゾジアゼピン、トラベクチン(trabectin)及び類似体、ジアミジン(例えば、DAPI
、ベレニル、ペンタミジン、DB293、及び3,6-ジアミノアクリジン塩酸塩)、並びにポリア
ミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書で使用される場合、「複数の」という用語は、「少なくとも2個」を指す。
【0037】
「XNTP」は、テンプレート依存型酵素重合と適合する伸長可能な5' 三リン酸修飾ヌク
レオチド基質である。XNTPは、2つの別個の機能的構成要素;すなわち、核酸塩基5'-トリ
ホスホロアミデート、及び各ヌクレオシドトリホスホロアミデート内部で、ホスホロアミ
デート結合のヌクレオチド内での切断による制御された拡張を可能にする位置で取り付け
られたテザーを有する。XNTPは、本明細書で使用される、例示的な「非天然の高度に置換
されたヌクレオチド類似体基質」である。例示的なXNTP及びそれを作製する方法は、例え
ば、その全体が引用により本明細書に組み込まれている、出願人によるPCT出願公開公報
第WO2016/081871号に記載されている。
【0038】
「エクスパンドマー中間体」は、XNTPから構築される中間体生成物(本明細書では、「
娘鎖」とも称される)であり、標的核酸テンプレートを用いるXNTPのポリメラーゼ媒介性
テンプレート指示型構築(polymerase-mediated template-directed assembly)によって形
成される。新たに合成されたエクスパンドマー中間体は、拘束エクスパンドマーである。
XNTPによって提供されるホスホロアミデート結合が切断されるプロセス工程の下では、拘
束エクスパンドマーは、もはや拘束されておらず、テザーが伸ばされて展開されたエクス
パンドマー生成物となっている。
【0039】
「エクスパンドマー」又は「エクスパンドマー生成物」は、XNTP基質のテンプレート指
示型構築によってそれ自体が合成される、拘束エクスパンドマーの拡張によって製造され
る合成の分子構築体である。エクスパンドマーは、それが製造される元の標的テンプレー
トよりも長いものとされている。これは、配列情報を含む、各サブユニットが1つのモチ
ーフであり、各モチーフがライブラリーの1要素であるサブユニット、テザー、及び、任
意に、基質の一部又は全ての連結で構成され、それらの全ては、形成可能な基質構築体(f
ormative substrate construct)に由来する。エクスパンドマーは、拡張して、標的テン
プレートよりも長くなり、それによって、長さに沿った標的テンプレートの配列情報の線
密度を低下させるよう設計される。加えて、エクスパンドマーは、任意に、レポーターの
大きさ及び存在量を増加させるためのプラットフォームを提供し、これは、次いで、検出
のための信号対ノイズを改善する。より低い情報線密度及びより強い信号は、分解能を増
加させ、テンプレート鎖の配列を検出及び解読する感度要件を減少させる。
【0040】
「テザー」又は「テザーメンバー」は、概して線状の広がりを有しかつ2つの反対の末
端のそれぞれに末端部位を有するポリマー又は分子構築体を指す。テザーは、末端部位で
の結合でヌクレオシドトリホスホロアミデートに取り付けられて、XNTPを形成する。この
結合は、テザーを「拘束立体配置」に拘束するのに役立つ。テザーは、「拘束立体配置」
及び「拡張立体配置」を有する。拘束立体配置は、XNTP内及び娘鎖又はエクスパンドマー
中間体内に見られる。テザーの拘束立体配置は、エクスパンドマー生成物に見られるよう
な拡張立体配置への前駆体である。拘束立体配置から拡張立体配置への移行は、選択的に
切断可能なホスホロアミデート結合の切断の結果として起こる。テザーは、基質の配列情
報をコードすることができる1つ以上のレポーター又はレポーター構築体を、その長さに
沿って含む。テザーは、エクスパンドマーの長さを増加させ、それによって、配列情報の
線密度を低下させる手段を提供する。
【0041】
「テザーエレメント」又は「テザーセグメント」は、概して線状の広がりを有し、2つ
の終末端を有し、該末端が、テザーエレメントを連結するための末端結合を形成している
、ポリマーである。テザーエレメントは、テザーのセグメントである。そのようなポリマ
ーとしては:ポリエチレングリコール、ポリグリコール、ポリピリジン、ポリイソシアニ
ド、ポリイソシアネート、ポリ(トリアリールメチル)メタクリレート、ポリアルデヒド、
ポリピロリノン、ポリ尿素、ポリグリコールホスホジエステル、ポリアクリレート、ポリ
メタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルエステル、ポリスチレン、ポリアミド
、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ酪酸、ポリブタジエン、ポリブチロラクトン、
ポリピロリジノン、ポリビニルホスホネート、ポリアセトアミド、ポリサッカライド、ポ
リヒアルラネート(polyhyaluranate)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリテレフタレート、ポリ
シラン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミノ酸、ポリグリシン、ポリプロリン、N
置換ポリリジン、ポリペプチド、側鎖N置換ペプチド、ポリN置換グリシン、ペプトイド、
側鎖カルボキシル置換ペプチド、ホモペプチド、オリゴヌクレオチド、リボ核酸オリゴヌ
クレオチド、デオキシ核酸オリゴヌクレオチド、ワトソン・クリック塩基対形成を妨げる
ように修飾されたオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、ポリシチジル酸、ポ
リアデニル酸、ポリウリジル酸、ポリチミジン、ポリホスフェート、ポリヌクレオチド、
ポリリボヌクレオチド、ポリエチレングリコール-ホスホジエステル、ペプチドポリヌク
レオチド類似体、トレオシル-ポリヌクレオチド類似体、グリコール-ポリヌクレオチド類
似体、モルホリノ-ポリヌクレオチド類似体、ロックされたヌクレオチドオリゴマー類似
体、ポリペプチド類似体、分岐鎖ポリマー、櫛形ポリマー、星形ポリマー、樹枝状ポリマ
ー、ランダム、グラジエント、及びブロックコポリマー、アニオン性ポリマー、カチオン
性ポリマー、ステムループを形成するポリマー、剛直セグメント、並びに可撓性セグメン
トを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0042】
「レポーター」は、1つ以上のレポーターエレメントで構成される。レポーターは、標
的核酸の遺伝情報を解析するのに役立つ。
【0043】
「レポーター構築体」は、検出可能な信号(複数可)を生じさせることができる1つ以上
のレポーターを含み、ここで、該検出可能な信号(複数可)は、一般に、配列情報を含む。
この信号情報は、「レポーターコード」と名付けられ、その後、遺伝学的な配列データに
解読される。レポーター構築体はまた、テザーセグメント又はポリマー、グラフト共重合
体、ブロック共重合体、親和性リガンド、オリゴマー、ハプテン、アプタマー、デンドリ
マー、連結基、又は親和性結合基(例えば、ビオチン)をはじめとする他の構築成分も含み
得る。
【0044】
「レポーターコード」は、測定されたレポーター構築体の信号由来の遺伝情報である。
レポーターコードは、解読されて、配列特異的な遺伝情報データを提供する。
【0045】
(副溝結合成分(MGB)を用いる強化された核酸重合のための方法)
MGBは、その想定される作用機構が、二重鎖DNAの副溝とのものである小分子DNA結合物
質の多様な群である(総説については、例えば、Jerry L. Atwood編「超分子化学総覧II (
Comprehensive Supramolecular Chemistry II)」内のJ.M. Withers, G. Padroni, S.M. P
auff, A.W. Clark, S.P. Mackay及びG.A. Burleyの文献「5.07-治療薬としてのDNA副溝
結合物質(5.07 - DNA Minor Groove Binders as Therapeutic Agents)」、Elsevier, Oxf
ord, 2017, Pages 149-178, ISBN 9780128031995, https://doi.org/10.1016/B978-0-12-
409547-2.12561-2を参照されたい)。一般的に、MGBの構造は、B型DNAの副溝の曲線を補完
する曲がったコンホメーションを採用している。MGBは、任意の公知のMGBの任意の類似体
又は誘導体であり得る。例示的なMGBとしては、Hoechst色素及び誘導体(例えば、Hoechst
33258、Hoechst 34580、Hoechst 33342)、ネトロプシン、ディスタマイシンA及びその合
成類似体(例えば、レキシトロプシン及びチアゾトロプシンA)、(+)-CC-1065、デュオカル
マイシン、ピロロベンゾジアゼピン、トラベクチン(trabectin)及び類似体、ジアミジン(
例えば、DAPI、ベレニル、ペンタミジン、DB293、及び3,6-ジアミノアクリジン塩酸塩)、
並びにポリアミドが挙げられるが、これらに限定されない。MGBは、MilliporeSigma社(St
. Louis, MO)など、多くの商業的供給業者から入手可能である。
【0046】
本発明のある実施態様によれば、MGBは、任意の核酸重合反応を強化し得るか、又は結
果として得られる核酸の性質、例えば、反応生成物の長さ又は正確度を改善し得る。重合
反応には、例えば、プライマー伸長反応、PCR、変異誘発、等温増幅、DNAシーケンシング
、及びプローブ標識法が含まれる。そのような方法は、当技術分野において周知である。
強化は、ポリメラーゼの進行性を増加させること(すなわち、ポリメラーゼのテンプレー
トからの解離を減少させること)、基質結合又は酵素触媒反応の速度を増加させること、
及びヌクレオチド取り込みの正確度又は忠実度を増加させることなどの機構によってヌク
レオチド取り込みを刺激することによって提供され得る。加えて、強化は、二次構造及び
二本鎖DNAなどの、核酸テンプレートでの障害を減少させることによって提供され得る。
そのような障害をMGBの添加によって克服する又は改善することは、重合反応がより正確
に又はより効率的に起こることを可能とすることができるか、又はより低い変性/伸長温
度又は等温度の使用を可能とすることができる。
【0047】
ある実施態様において、MGBは、ポリメラーゼ反応を強化する別のPEM添加剤クラスと組
み合わせて用いられ得る。
【0048】
(拡張によるシーケンシング(SBX))
MGBで強化することができる例示的なポリメラーゼ反応の1つは、Stratos Genomicsによ
り開発された「拡張によるシーケンシング」(SBX)プロトコルの基礎を成す「XNTP」とし
て知られる非天然ヌクレオチド類似体の重合である(例えば、Kokorisらの文献、米国特許
第7,939,259号、「拡張によるハイスループット核酸シーケンシング(High Throughput Nu
cleic Acid Sequencing by Expansion)」を参照されたい)。一般的には、SBXは、この生
化学的重合を使用して、DNAテンプレートの配列を、「エクスパンドマー」と呼ばれる測
定可能なポリマー上に転写する。転写された配列は、~10nm離された高い信号対ノイズの
レポーターに、エクスパンドマー骨格に沿ってコード化され、高い信号対ノイズのよく区
別された応答のために設計される。これらの差は、ネイティブDNAと比較して、エクスパ
ンドマーの配列リード効率及び正確度における著しい性能強化を提供する。一般化された
SBXプロセスの概要を、
図1A~
図1Dに示す。
【0049】
XNTPは、テンプレート依存型酵素重合と適合する、拡張可能な5' 三リン酸修飾ヌクレ
オチド基質である。高度に簡略化されたXNTPが、
図1Aに例示され、ここでは、これらヌク
レオチド類似体のユニークな特徴が強調されている:XNTP 100は、2つの別個の機能的領域
;すなわち、5’ α-リン酸115を核酸塩基105へ連結している、選択的に切断可能なホスホ
ロアミデート結合110、及びホスホロアミデート結合のヌクレオチド内切断によって制御
された拡張を可能にする位置で、ヌクレオシドトリホスホロアミデート内部に取り付けら
れたテザー120を有する。XNTPのテザーは、前記選択的に切断可能なホスホロアミデート
結合によって分離されたリンカーアーム部位125A及び125Bから構成される。その全体が引
用により本明細書に組み込まれているKokorisらの米国特許第8,324,360号に開示されてい
るように、各リンカーは、連結基(LG)を介してレポーター130の一端に結合する。XNTP 10
0は、XNTP基質及び重合後の娘鎖に特徴的な「拘束立体配置」で図示される。重合したXNT
Pの拘束立体配置は、エクスパンドマー生成物にみられる拡張立体配置の前駆体である。
拘束立体配置から拡張立体配置への移行は、娘鎖の一次骨格内のホスホロアミデートのP-
N結合の切断時に起こる。
【0050】
エクスパンドマーの合成が、
図1B及び
図1Cに概説される。構築の間、モノマー性のXNTP
基質145(XATP、XCTP、XGTP、及びXTTP)は、新生娘鎖150の伸長可能な終端上に、ガイドと
して一本鎖テンプレート140を用いるテンプレート指示型重合のプロセスによって重合さ
れる。一般に、このプロセスは、プライマーから開始され、5'から3'の方向に進行する。
一般に、DNAポリメラーゼ又は他のポリメラーゼは、娘鎖を形成するのに用いられ、条件
は、テンプレート鎖の相補的なコピーが得られるように選択される。娘鎖が合成された後
に、連結されたテザーは、娘鎖をさらに含む拘束エクスパンドマーを含む。娘鎖内のテザ
ーは、XNTP基質の「拘束立体配置」を有する。テザーの拘束立体配置は、エクスパンドマ
ー生成物に見られるような拡張立体配置の前駆体である。
図1Cに示されるように、拘束立
体配置160から拡張立体配置165への移行は、娘鎖の一次骨格内の選択的に切断可能なホス
ホロアミデート結合の切断に起因する(単純化のために、影のない楕円形で図示される)。
この実施態様において、テザーは、これらが連結された核酸塩基に対して特異的な1つ以
上のレポーター又はレポーター構築体130A、130C、130G、又は130Tを含み、それにより、
テンプレートの配列情報をコードする。このように、テザーは、エクスパンドマーの長さ
を増加させ、かつ親鎖の配列情報の線密度を低下させる手段を提供する。
図1Dは、ナノ細
孔180を通ってこちら側の液溜め175から向こう側の液溜め185へと移動するエクスパンド
マー165を示す。ナノ細孔を通過すると、直線化されたエクスパンドマーのレポーターの
それぞれ(本図においては、「G」、「C」、及び「T」と表示されている)は、それが連結
した核酸塩基に対して特異的な、別個のかつ再現性のある電子信号を発生させる(重ねあ
わされたトレース(superimposed trace)190によって図示される)。
【0051】
図2は、XNTPの一般化された構造をより詳細に表す。XNTP 200は、リンカーアーム部位2
20A及び220Bが、選択的に切断可能なホスホロアミデート結合230によって分離された、核
酸塩基トリホスホロアミデート210から構成される。テザーは、連結基250A及び250Bでヌ
クレオシドトリホスホロアミデートに連結され、ここで、第1のテザー末端は、複素環260
(ここでは、シトシンで表されるが、該複素環は、4つの標準的な核酸塩基、A、C、G、又
はTのいずれか1つであり得る)に連結され、かつ第2のテザー末端は、核酸塩基骨格のα-
リン酸270に連結される。当業者は、当技術分野において公知の多くの適切なカップリン
グ化学を、最終XNTP基質産物を形成させるのに用いてもよいことを認めるであろう。例え
ば、テザーコンジュゲーションは、トリアゾール結合を介して達成され得る。
【0052】
この実施態様において、テザー275は、エンハンサー280A及び280B、レポーターコード2
85A及び285B、並びに翻訳制御エレメント(TCE)290A及び290Bを含む、いくつかの機能的エ
レメントから構成される。これらの特徴のそれぞれは、ナノ細孔を通るエクスパンドマー
の移動の間に、一意的かつ再現性のある電子信号の発生によってユニークな機能を果たす
。テザー275は、ハイブリダイゼーションによる移動制御(translocation control by hyb
ridization; TCH)のために設計される。図示されるように、TCEは、相補的なオリゴマー(
CO)と二本鎖形成することができるハイブリダイゼーションの領域を提供し、かつレポー
ターコードに隣接して配置される。異なるレポーターコードは、ナノ細孔を通過するイオ
ン流を異なる測定可能なレベルでブロックする大きさとされている。具体的なレポーター
コードは、オリゴヌクレオチド合成に通常使用されるホスホロアミダイト化学を用いて効
率的に合成することができる。レポーターは、商業的に入手できるライブラリーから特定
のホスホロアミダイトの配列を選択することによって設計することができる。このような
ライブラリーとしては、長さが1~12又はそれを超えるエチレングリコール単位であるポ
リエチレングリコール、長さが1~12又はそれを超える炭素単位である脂肪族、デオキシ
アデノシン(A)、デオキシシトシン(C)、デオキシグアノジン(deoxyguanodine)(G)、デオ
キシチミン(T)、塩基脱落(Q)が挙げられるが、これらに限定されない。レポーターコード
に結合する二本鎖TCEは、イオン電流閉塞の一因ともなり、従って、レポーターコード及
びTCEの組合せが、「レポーター」と呼ばれることもある。レポーターコードに続くもの
は、エンハンサーであり、これは、一実施態様において、スペルミンポリマーを含む。
【0053】
図3は、α-ヘモリジンナノ細孔を移動させるプロセスにおいて切断されたエクスパンド
マーの一実施態様を示す。この生物学的ナノ細孔は、2つの電解質の液溜めを分離し電気
的に絶縁する、脂質二重層膜内に埋め込まれている。典型的な電解質は、7.0のpHに緩衝
された1モル濃度のKClを有する。二重層を横切って小電圧、通常、100mVが印加される場
合、ナノ細孔は、イオン電流の流れを制限し、かつ回路での主要な抵抗となる。エクスパ
ンドマーレポーターは、特定のイオン電流閉塞レベルを与えるよう設計されており、配列
情報を、一連のレポーターが、ナノ細孔を移動するときの、一連のイオン電流レベルを測
定することによって読み取ることができる。
【0054】
α-ヘモリジンナノ細孔は、通常、前庭側(vestibule side)から入り基部側(stem side)
に出ることによって移動が起こる向きに置かれる。
図3に示されるように、ナノ細孔は、
初めに基部側からのエクスパンドマーを捕獲する向きに置かれる。この配向性は、初めに
前庭に入る場合に起こる閉塞の人為的結果(blockage artifact)が少なくなるという理由
で、TCH法を用いる際に有利である。別途指示されない限り、基部側を先にすることを、
想定の移動方向とする。エクスパンドマーが移動すると、レポーターは、基部入口でその
二本鎖TCEが停止するまで、基部に入る。二本鎖は、直径が~2.4nmであり、その一方で、
基部入口は、~2.2nmであるため、レポーターは、二本鎖の相補鎖395が、解離(遊離)する
まで基部に保持され、その後すぐに、移動は、次のレポーターに進む。エクスパンドマー
がまだ移動中であるという理由で、遊離相補鎖がナノ細孔に入るのは非常に不利であり、
遊離相補鎖は細孔から離れて拡散する。
【0055】
一実施態様において、(二本鎖に続く)レポーターコードの各メンバーは、多くの商業的
なライブラリーから選択することができるホスホロアミダイトの順序選択(ordered choic
e)によって形成される。構成する各ホスホロアミダイトは、ナノ細孔内でのその位置(二
本鎖停止後に置かれる位置)、その排除体積(displacement)、その電荷、ナノ細孔とのそ
の相互作用、その化学的及び熱的環境、並びに他の因子に応じて、正味のイオン抵抗に貢
献する。各ホスホロアミダイト上の電荷は、部分的には、-1の名目電荷を有するリン酸イ
オンによるものであるが、対イオン遮蔽(counterion shielding)によって実際上減少して
いる。二本鎖を引く力は、局所電場によって作用される、レポーターに沿ったこれらの有
効電荷によるものである。各レポーターは、異なる電荷分布を有し得るため、これは、所
与の印加電圧で異なる力を二本鎖に対して働かせることができる。レポーター骨格に沿っ
て伝達される力は、レポーターを広げて、繰返し可能なブロッキング応答を与えるのにも
役立つ。
【0056】
(副溝結合成分(MGB)を用いる強化された核酸重合のための組成物)
一実施態様において、本開示は、本明細書で開示される少なくとも1つのMGB、並びに複
数のヌクレオチド及び/又はヌクレオチド類似体を含む組成物を提供する。別の実施態様
において、本開示は、本明細書で開示される少なくとも1つのMGB、及びバッファーを含む
組成物を提供する。別の実施態様において、本開示は、本明細書で開示される少なくとも
1つのMGB、及びポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。別の実施態様において、本開
示は、本明細書で開示される少なくとも1個、及びタンパク質を含む組成物であって、任
意に、該タンパク質が、上述のポリメラーゼのうちのいずれかを含むポリメラーゼである
、前記組成物を提供する。
【0057】
一実施態様において、本開示は、少なくとも1つのMGB、及びバッファー、特に、DNA重
合反応を実施するのに適したバッファーを含む水性(含水)組成物を提供し、ここで、Tris
HClが、例示的なこの種のバッファーである。一実施態様において、本開示は、少なくと
も1つのMGB、及びDNAポリメラーゼタンパク質を含む組成物を提供する。一実施態様にお
いて、本開示は、少なくとも1つのMGB、及びポリヌクレオチド、例えば、20~90mer、20
~60mer、30~90mer、又は30~60merのオリゴヌクレオチドを含む組成物を提供する。一
実施態様において、本開示は、これらの成分のそれぞれを含む組成物、すなわち、少なく
とも1つのMGB、バッファー、DNAポリメラーゼタンパク質、及びポリヌクレオチドを含む
水性組成物を提供する。
【0058】
ある実施態様において、MGBは、ポリメラーゼ反応を強化する別の添加剤クラスと組み
合わせて用いられ得る。例示的な添加剤クラスのひとつは、重合強化部位(PEM)である。
ポリメラーゼ反応を強化するPEMの使用についてのさらなる情報は、出願人による同時に
出願された芳香族化合物による核酸重合の強化という題名の出願に認められるであろう。
【実施例】
【0059】
(実施例)
(実施例1 XNTP重合の強化のための添加剤のスクリーニング)
本発明者らにより開発された拡張によるシーケンシング(SBX)方法体系は、ネイティブD
NAと比較して、エクスパンドマーの配列リード効率及び正確度の著しい性能強化を提供す
る。しかしながら、はじめの天然DNAテンプレートの配列の測定可能なエクスパンドマー
上への転写は、DNAポリメラーゼが基質としてXNTPを利用する能力に頼っている(XNTPの一
般化された構造は、
図1A及び
図2を参照して本明細書で解説される)。本発明者らは、大部
分のDNAポリメラーゼが、XNTPを効率的に重合させないことを見出だした。エクスパンド
マーへのXNTP重合の効率及び正確度を改善しようとして、様々な添加剤を、基質としてXN
TPを用いるDNAポリメラーゼプライマー伸長反応を強化する能力に関してスクリーニング
した。
【0060】
代表的なプライマー伸長反応は、以下の試薬:2pmol プライマー、2.2pmol 45merオリゴ
ヌクレオチドテンプレート、50pmolの各XNTP(XATP、XCTP、XGTP、及びXTTP)、50mM Tris
HCl、pH 6.79、200mM NaCl、20% PEG、5% NMS、0.5nmol ポリホスフェート60.19、0.3m
M MnCl2、及び0.6μgの精製組換え DNAポリメラーゼタンパク質を含む。反応は、23℃で1
時間実施される。反応生成物(すなわち、拘束エクスパンドマー)は、ホスホロアミデート
結合を切断するよう処理され、それにより、直線化されたエクスパンドマーを生じさせる
。反応生成物を、4~12%アクリルアミドゲル上でのゲル電気泳動を用いて分析して、異
なる長さのエクスパンドマー生成物を決定し可視化する。この添加剤スクリーニングでは
、反応添加剤は、通常、マイクロモル濃度からミリモル濃度の範囲で試験される。
【0061】
添加剤スクリーニング結果の概要を、以下の表1に記載する。以前の実験に基づいて予
想される通りに、ナトリウムポリホスフェート及びペグ8000は、XNTPを用いるプライマー
伸長を強化した。しかしながら、以前に試験されていない添加剤の大部分は、作用を有し
ないか、又は実際にはプライマー伸長反応を阻害したかのいずれかであった。驚くべきこ
とに、Hoescht 33258、Hoescht 34580、Hoescht 33342、3,6-ジアミノアクリジン塩酸塩
、及びネトロプシン二塩酸塩を含むいくつかの公知のMGBは、顕著にかつ再現性よくXNTP
を用いるプライマー伸長を強化した。この強化を実証する代表的なゲルを、
図4に示す。
レーン1で分かるように、添加剤の非存在下では、DNAポリメラーゼは、これらの条件下で
、約14個のXNTPまでテンプレートに結合したプライマーを伸長させた。レーン2及び10に
おける14mer伸長生成物の非存在は、DAPI及びフラミジンが、XNTP重合反応に対する抑制
作用を有することを示す。レーン3~9の伸長生成物は、レーン1対照のものの長さを超え
たようであり(例えば、レーン3の矢印は、18mer生成物を指す)、このことは、XNTP重合に
対するこれらのMGBの強化作用を示している。従って、MGBが、XNTP重合のさらなる最適化
のための焦点となった。
(表1)
【表1】
【0062】
(実施例2)
(XNTP重合のMGB介在性強化の最適化)
実施例1に記載したプライマー伸長反応を用いて、タイトレーション実験を行って、XNT
P重合の強化のためのMGBの最適量を決定した。代表的な実験の結果を、
図5に示す。これ
らの結果は、最高濃度が、プライマー伸長の最も強固な強化を示す、試験された各MGB(Ho
escht 33258、Hoescht 33342、及びネトロプシン、75~600μMの範囲)での用量依存的な
強化を示している。さらなるタイトレーション実験は、0.6mMのHoescht 33258及び0.8mM
のHoescht 33342が、XNTP重合の信頼できる強化を実際に示すことを示した。これらの作
用を示す代表的なゲルを、
図6に示す。
【0063】
(実施例3)
(MGBは、拡張によるシーケンシング(SBX)を強化する)
XNTP重合の強化の正確度を調査するために、プライマー伸長生成物を、SBXプロトコル
を用いてシーケンシングした。簡単に述べると、XNTP重合の拘束エクスパンドマー生成物
を切断して、直線化されたエクスパンドマーを生成させる。これは、はじめに、伸長反応
を、100mM EDTA、2mM THPTA、及び2% Tween-20を含有する溶液でクエンチすることによ
って達成される。その後、試料を、DMF中の1M NaHCO3及び1M 無水コハク酸の溶液でアミ
ン修飾する。ホスホロアミデート結合の切断を、37% HClを用いて行い、直線化されたエ
クスパンドマーを、QIAquickカラム(QIAGEN社)で精製する。
【0064】
シーケンシングのために、2M NH4Cl及び100mM HEPES、pH 7.4を含有するバッファーB1
中のDPhPE/ヘキサデカン二重層メンバー内に、α-ヘモリジンを挿入することによって、
タンパク質ナノ細孔を調製する。cisウェルを、0.4M NH4Cl、0.6M GuCl、及び100mM HEPE
S、pH 7.4を含有するバッファーB2で灌流する。エクスパンドマー試料を、70℃に2分間加
熱し、完全に冷却し、その後、2μLの試料を、前記cisウェルに添加する。その後、90mV/
390mV/10μsの電圧パルスを印加し、データを、Labview取得ソフトウェアによって取得す
る。
【0065】
配列データを、単一のSBX反応からの配列リードの集団のヒストグラム表示によって解
析する。解析ソフトウェアは、各配列リードをテンプレートの配列に整列させ、正しいテ
ンプレート配列と整列されなかったリードの末端の配列の範囲を取り除く。45merテンプ
レートのSBXシーケンシングの代表的なヒストグラムを、
図7A(添加剤なしの対照)及び
図7
B(Hoescht 33258の存在下でのSBX)に示す。見て分かるように、添加剤の非存在下では、
配列リードは、テンプレートの塩基20を超えると不正確となる。注目すべきことに、SBX
反応へのMGBの添加は、完全に45merテンプレートの末端までの配列リードの正確度を増加
させた。
【0066】
本明細書で開示される、特許文献及び非特許文献を含む全ての引例は、それぞれが、個
々に組み込まれているかのように、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0067】
これらに限定されないが、米国仮特許出願第62/614,114号を含む、本明細書で言及され
かつ/又は出願データシートに列挙される、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願
、他国の特許、他国の特許出願、及び非特許刊行物は全て、その全体が引用により本明細
書に組み込まれる。そのような文書は、例えば、ここで記載される発明に関連して用いら
れ得る、該刊行物に記載された材料及び方法体系を説明し開示する目的のために引用によ
り組み込まれ得る。上で及び文書全体で記載された刊行物は、本出願の出願日前にそれら
が開示されたという理由のみで提供されている。本明細書におけるいかなるものも、本発
明者らが、先行発明を理由として何らかの参照刊行物に先行する資格がないことを認める
ものとして解釈されるべきではない。
【0068】
本明細書で引用された又は触れられた全ての特許、刊行物、科学論文、ウェブサイト、
並びに他の文書及び資料は、本発明が属する分野の当業者の技術水準を表すものであり、
このような引用された文書及び資料はそれぞれ、あたかも、それが、個々にその全体が引
用により組み込まれている、又はその全体が本明細書に記載されているのと同じ程度に、
引用により本明細書に組み込まれている。出願人は、任意のそのような特許、刊行物、科
学論文、ウェブサイト、電子的に入手可能な情報、及び他の引用された資料又は文書から
、全ての資料及び情報を本明細書に物理的に組み込む権利を留保する。
【0069】
一般的に、以下の特許請求の範囲において、用いられる用語は、該特許請求の範囲を、
本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施態様に限定するよう解釈されるべき
ではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、全て
の可能な実施態様を含むように解釈されるべきである。従って、特許請求の範囲は、本開
示によって限定されない。
【0070】
更に、本特許の書面による説明部分は、全ての特許請求の範囲を含む。更に、全ての元
の特許請求の範囲及び全ての優先権書類からの全ての特許請求の範囲を含む全ての特許請
求の範囲は、本明細書の書面による説明部分に、その全体が引用により本明細書に組み込
まれ、出願人は、全てのそのような特許請求の範囲を、本出願の書面による説明又は任意
の他の部分に物理的に組み込む権利を留保する。従って、例えば、いかなる状況において
も、請求項の厳密な言い回しが、本特許の書面による説明部分に、そのとおりの言葉で記
載されていないという主張に基づいて、本特許が、証拠もなく該請求項に関する書面によ
る説明を提供していないと解釈されてはならない。
【0071】
特許請求の範囲は、法に従い解釈されるものである。しかしながら、任意の請求項又は
その部分を解釈する際の主張される又は知覚される容易さ又は難しさにかかわらず、いか
なる状況下でも、本特許に繋がる出願(単数)又は出願(複数)の手続きの間の請求項又はそ
の一部のいかなる調整も補正も、先行技術の一部を形成しないその全ての等価物に対する
何らかの権利を失っているものとして解釈されてはならない。
【0072】
他の非限定的な実施態様は、以下の特許請求の範囲内である。本特許は、本明細書に具
体的にかつ/又は明示的に開示される具体例や非限定的実施態様や方法に限定されるもの
として解釈されてはならない。米国特許商標庁の審査官又は任意の他の当局者や被雇用者
によって成された何らかの主張が、出願人による応答書に明確にかつ限定なしで無条件に
明示的に採用されている場合を除き、いかなる状況であっても、そのような主張によって
、本特許が限定されるものと解釈されてはならない。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
核酸ポリメラーゼ反応を強化する方法であって:
a)以下:
(i)テンプレート核酸、
(ii)核酸ポリメラーゼ、
(iii)ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の混合物、
(iv)少なくとも1つの副溝結合成分
を含む核酸ポリメラーゼ反応組成物を形成させること;及び
b)該核酸ポリメラーゼ反応組成物を、核酸重合反応を可能とする条件下でインキュベー
トすることであって、該少なくとも1つの副溝結合成分が、該核酸ポリメラーゼ反応の進
行性、速度、又は忠実度を増加させる、前記インキュベートすること
を含む、前記方法。
(態様2)
前記少なくとも1つの副溝結合成分が、結果として得られる核酸生成物の長さを、該副
溝結合成分を欠く核酸ポリメラーゼ反応と比較して増加させる、態様1記載の方法。
(態様3)
前記少なくとも1つの副溝結合成分が、ディスタマイシンA及びその合成類似体、ネトロ
プシン、(+)-CC-1065、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、トラベクチン(tr
abectin)及びその類似体、Hoechst色素及びその誘導体、レキシトロプシン、チアゾトロ
プシンA、ジアミジン、並びにポリアミドからなる群から選択される、態様1記載の方法。
(態様4)
前記少なくとも1つの副溝結合成分が、Hoechst色素である、態様3記載の方法。
(態様5)
前記少なくとも1つの副溝結合成分が、複数の副溝結合成分を含む、態様3記載の方法。
(態様6)
前記複数の副溝結合成分が、異なる構造クラスの副溝結合成分を含む、態様5記載の方
法。
(態様7)
前記核酸ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼである、態様1記載の方法。
(態様8)
前記DNAポリメラーゼが、DPO4又はそのバリアントである、態様7記載の方法。
(態様9)
前記ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の混合物が、ヌクレオシドトリホスホロアミ
デートを含むヌクレオチド類似体の混合物であり、
該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのそれぞれが、アデニン、グアニン、チミン、
及びシトシンからなる群から選択される核酸塩基、並びにポリマー性のテザー部位を含み
、
該ポリマー性のテザー部位の第1末端が、該核酸塩基に取り付けられ、かつ該ポリマー
性のテザー部位の第2末端が、該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのα-リン酸に取り
付けられて、ホスホロアミデート結合の切断による該ヌクレオチド類似体の拡張が利用可
能とされている、態様7記載の方法。
(態様10)
前記核酸重合反応が、ヌクレオチド類似体の拡張可能なポリマーを生じさせ、該拡張可
能なポリマーが、前記テンプレート核酸の核酸塩基配列情報をコードする、態様9記載の
方法。
(態様11)
前記核酸重合反応を可能とする条件が、好適な重合バッファー及びオリゴヌクレオチド
プライマーを含む、態様10記載の方法。
(態様12)
前記好適なバッファーが、Tris OAc、NH4OAc、PEG、DMF、ポリホスフェート60、及びMn
Cl2を含む、態様11記載の方法。
(態様13)
前記反応混合物が、核酸インターカレート剤をさらに含む、態様1記載の方法。
(態様14)
前記反応混合物が、ポリアニオン認識成分をさらに含む、態様1記載の方法。
(態様15)
前記ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の混合物が、検出可能な標識を含むヌクレオ
チド類似体を含む、態様1記載の方法。
(態様16)
前記検出可能な標識が、発光標識、化学発光標識、蛍光標識、蛍光発生標識、発色団標
識、又は発色性標識からなる群から選択される光学的に検出可能な標識である、態様15記
載の方法。
(態様17)
少なくとも1つの副溝結合成分、及びヌクレオチド類似体の混合物を含む、DNAポリメラ
ーゼ反応の進行性、忠実度、又は速度を強化するための組成物。
(態様18)
少なくとも1つの副溝結合成分、及びヌクレオチド類似体の混合物を含む組成物であっ
て、該少なくとも1つの副溝結合成分が、テンプレート依存性重合反応の間に娘鎖に取り
込まれるヌクレオチド類似体の数及び正確度を、該少なくとも1つの副溝結合成分が存在
しない同一の重合反応と比較して増加させる、前記組成物。
(態様19)
前記少なくとも1つの副溝結合成分が、ディスタマイシンA及びその合成類似体、ネトロ
プシン、(+)-CC-1065、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、トラベクチン(tr
abectin)及びその類似体、Hoechst色素及びその誘導体、レキシトロプシン、チアゾトロ
プシンA、ジアミジン、並びにポリアミドからなる群から選択される、態様17記載の組成
物。
(態様20)
前記少なくとも1つの副溝結合成分が、Hoechst色素である、態様19記載の組成物。
(態様21)
前記少なくとも1つの副溝結合成分が、複数の副溝結合成分を含む、態様17記載の組成
物。
(態様22)
前記複数の副溝結合成分が、異なる構造クラスの副溝結合成分を含む、態様21記載の組
成物。
(態様23)
前記ヌクレオチド類似体の混合物が、ヌクレオシドトリホスホロアミデートを含み、
該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのそれぞれが、アデニン、グアニン、チミン、
及びシトシンからなる群から選択される核酸塩基、並びにポリマー性のテザー部位を含み
、
該ポリマー性のテザー部位の第1末端が、該核酸塩基に取り付けられ、かつ該重合体の
エーテル部位の第2末端が、該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのα-リン酸に取り付
けられて、ホスホロアミデート結合の切断による該ヌクレオチド類似体の拡張が利用可能
とされている、態様17記載の組成物。
(態様24)
Tris OAc、NH4OAc、PEG、DMF、ポリホスフェート60、及びMnCl2を含むバッファーをさ
らに含む、態様23記載の組成物。
(態様25)
DNAインターカレート剤をさらに含む、態様17記載の組成物。
(態様26)
ポリアニオン認識成分をさらに含む、態様17記載の組成物。
(態様27)
前記ヌクレオチド類似体の混合物が、検出可能な標識を含むヌクレオチド類似体を含む
、態様17記載の組成物。
(態様28)
前記検出可能な標識が、発光標識、化学発光標識、蛍光標識、蛍光発生標識、発色団標
識、又は発色性標識からなる群から選択される光学的に検出可能な標識である、態様27記
載の組成物。
(態様29)
DNAテンプレートをシーケンシングする方法であって、以下の工程:
a)以下:
(i)該DNAテンプレート、
(ii)該テンプレートと複合体を形成する複製プライマー、
(iii)DNAポリメラーゼ、
(iv)ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の混合物、
(v)少なくとも1つの副溝結合成分
を含むDNAポリメラーゼ反応組成物を形成させる工程;
b)該DNAポリメラーゼ反応組成物を、DNA重合反応を可能とする条件下でインキュベート
する工程であって、該少なくとも1つの副溝結合成分が、該DNAポリメラーゼ反応の速度、
忠実度、又は進行性を増加させる、前記工程;及び
c)結果として得られるヌクレオチド又はヌクレオチド類似体のポリマー内の該ヌクレオ
チド又はヌクレオチド類似体の配列を決定する工程
を含む、前記方法。
(態様30)
前記少なくとも1つの副溝結合成分が、ディスタマイシンA及びその合成類似体、ネトロ
プシン、(+)-CC-1065、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、トラベクチン(tr
abectin)及びその類似体、Hoechst色素及びその誘導体、レキシトロプシン、チアゾトロ
プシンA、ジアミジン、並びにポリアミドからなる群から選択される、態様29記載の方法
。
(態様31)
前記ヌクレオチド類似体の混合物が、ヌクレオシドトリホスホロアミデートを含み、
該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのそれぞれが、アデニン、グアニン、チミン、
及びシトシンからなる群から選択される核酸塩基、並びにポリマー性のテザー部位を含み
、
該ポリマー性のテザー部位の第1末端が、該核酸塩基に取り付けられ、かつ該重合体の
エーテル部位の第2末端が、該ヌクレオシドトリホスホロアミデートのα-リン酸に取り付
けられて、ホスホロアミデート結合の切断による該ヌクレオチド類似体の拡張が利用可能
とされている、態様29記載の方法。
(態様32)
前記DNAポリメラーゼが、DPO4又はそのバリアントである、態様29記載の方法。
(態様33)
前記結果として得られるヌクレオチド類似体のポリマーが、拡張可能なポリマーである
、態様29記載の方法。
(態様34)
前記拡張可能なポリマーを、ホスホロアミデート切断剤と接触させて、拡張されたヌク
レオチド類似体のポリマーを生成させる工程をさらに含む、態様33記載の方法。
(態様35)
前記ヌクレオチド類似体のそれぞれの前記ポリマー性のテザー部位が、該類似体の核酸
塩基に対して一意的なレポーター部位を含む、態様34記載の方法。
(態様36)
前記レポーター部位が、特有の電子信号を生じさせる、態様35記載の方法。
(態様37)
前記ヌクレオチド類似体の配列を決定する工程が、ナノ細孔を通して前記拡張されたヌ
クレオチド類似体のポリマーを移動させる工程を含む、態様36記載の方法。
【配列表】