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特許7519516在庫情報共有システム、在庫情報共有方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】在庫情報共有システム、在庫情報共有方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20240711BHJP
   G16H 40/20 20180101ALI20240711BHJP
【FI】
G06Q10/087
G16H40/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023121509
(22)【出願日】2023-07-26
【審査請求日】2023-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502169076
【氏名又は名称】株式会社メディカルシステムネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】田尻 稲雄
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-197121(JP,A)
【文献】特許第6944211(JP,B1)
【文献】国際公開第2020/195735(WO,A1)
【文献】特開2020-077160(JP,A)
【文献】特開2020-113143(JP,A)
【文献】特開2017-199081(JP,A)
【文献】特開2014-228931(JP,A)
【文献】薬の在庫を教えてくれる優れたアシスタント,PC-Webzine,日本,PC-Webzine編集局,2018年09月25日,Vol.320,p.75-76
【文献】斎藤真咲,スモールスタートが可能なクラウド型医薬品在庫管理システムの特徴,月刊新医療,第48巻第6号,2021年06月01日,p.92-95
【文献】仕入れ情報共有 卸が最適提案,日経MJ,2019年04月14日,6頁
【文献】斎藤萌,医薬品卸、在庫管理を自動化 メディバルHD、アプリで確認,日経産業新聞,2022年05月19日,4頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬局間で医薬品の在庫情報を共有する在庫情報共有システムであって、
卸から複数の薬局への医薬品の納品データを取得し、取得した納品データを、薬局毎の納品実績データを管理するデータベースに登録する在庫情報生成部と、
利用者の薬局の端末から、他の薬局の在庫有無を確認したい医薬品の指定を受け付ける商品指定受付部と、
前記データベースに、指定された医薬品の納品データが登録されている薬局の情報を前記端末に提示する在庫情報提示部と、を備えた在庫情報共有システム。
【請求項2】
前記在庫情報提示部は、
各々の薬局の所在地情報に基づいて、指定された医薬品の納品データが登録されている薬局のうち、前記利用者の薬局から所定距離以内にある薬局の情報を提示する、請求項1に記載の在庫情報共有システム。
【請求項3】
前記在庫情報提示部は、
各々の薬局の所在地情報に基づいて、前記端末に表示された地図上に、前記指定された医薬品の納品データが登録されている薬局の位置を表示する、請求項1または2に記載の在庫情報共有システム。
【請求項4】
前記端末に、前記利用者の薬局から前記指定された医薬品の納品データが登録されている薬局までの経路情報を表示する経路情報提示部を備えた、請求項3に記載の在庫情報共有システム。
【請求項5】
薬局間で医薬品の在庫情報を共有する在庫情報共有システムであって、
各々の薬局への医薬品の納品データを取得し、取得した納品データを、薬局毎の納品実績データを管理するデータベースに登録する在庫情報生成部と、
利用者の薬局の端末から、他の薬局の在庫有無を確認したい医薬品の指定を受け付ける商品指定受付部と、
前記データベースに、指定された医薬品の納品データが登録されている薬局の情報を前記端末に提示する在庫情報提示部と、を備え、
前記在庫情報提示部は、
指定された医薬品が一定期間以内に納品されている薬局の一覧を前記端末に提示する、在庫情報共有システム。
【請求項6】
薬局間で医薬品の在庫情報を共有する在庫情報共有方法であって、
コンピュータが、卸から複数の薬局への医薬品の納品データを取得し、取得した納品データを、薬局毎の納品実績データを管理するデータベースに登録する工程と、
コンピュータが、利用者の薬局の端末から、他の薬局の在庫有無を確認したい医薬品の指定を受け付ける工程と、
コンピュータが、前記データベースに、指定された医薬品の納品データが登録されている薬局の情報を前記端末に提示する工程と、を備えた在庫情報共有方法。
【請求項7】
コンピュータを、
卸から複数の薬局への医薬品の納品データを取得し、取得した納品データを、薬局毎の納品実績データを管理するデータベースに登録する在庫情報生成部と、
利用者の薬局の端末から、他の薬局の在庫有無を確認したい医薬品の指定を受け付ける商品指定受付部と、
前記データベースに、指定された医薬品の納品データが登録されている薬局の情報を前記端末に提示する在庫情報提示部として、機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品などの商品の在庫情報共有システム、在庫情報共有方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬局間での医薬品の偏在が社会問題になっている。この問題に対応するため、薬局間で医薬品を融通し合う必要が生じており、薬局間での在庫情報の共有が重要課題になってきている。特に地域内の薬局間での医薬品の在庫情報の共有については、地域支援体制加算の特例措置も設けられているように、地域医療における重要課題となっている。
【0003】
例えば特許文献1には、医薬品の流通を支援するサービスとして、薬局間で在庫情報を共有するためのサービスについて記載されている。特許文献1に記載されたシステムでは、各薬局からサービスプロバイダに提供された、レセプト(調剤報酬明細書)のデータに基づいて、それぞれの薬局における医薬品の在庫量を予測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-107018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたシステムでは、薬局側がデータを提供しなければ在庫情報の共有サービスが成立せず、利用者である薬局側の負担が重くなっていた。また、レセプトデータは原則1ヶ月に1度締め切って作成するため、情報更新頻度が低い。また、レセプトデータは医薬品の使用実績を示すデータであり、医薬品を譲り受けたい薬局が、譲り渡す可能性の高い薬局を検索するのには必ずしも適していなかった。
【0006】
そこで本発明の目的は、利用者に負担をかけずに、利用しやすい在庫情報共有の仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る在庫情報共有システムは、店舗間で商品の在庫情報を共有する在庫情報共有システムであって、各々の店舗への商品の納品データに基づいて、店舗毎の在庫データを生成する在庫情報生成部と、利用者の端末から、在庫有無を確認したい商品の指定を受け付ける商品指定受付部と、前記在庫データに基づいて、指定された商品の納品実績がある店舗の情報を前記端末に提示する在庫情報提示部と、を備えたものである。
【0008】
本発明に係る在庫情報共有方法は、店舗間で商品の在庫情報を共有する在庫情報共有方法であって、コンピュータが、各々の店舗への商品の納品データに基づいて、店舗毎の在庫データを生成する工程と、コンピュータが、利用者の端末から、在庫有無を確認したい商品の指定を受け付ける工程と、コンピュータが、前記在庫データに基づいて、指定された商品の納品実績がある店舗の情報を前記端末に提示する在庫情報提示部と、を備えたものである。
【0009】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、各々の店舗への商品の納品データに基づいて、店舗毎の在庫データを生成する在庫情報生成部と、利用者の端末から、在庫有無を確認したい商品の指定を受け付ける商品指定受付部と、前記在庫データに基づいて、指定された商品の納品実績がある店舗の情報を前記端末に提示する在庫情報提示部として、機能させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者に負担をかけずに、利用しやすい在庫情報共有の仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態による、在庫情報共有システム1の構成を示すブロック図。
図2】本発明の実施の形態による、在庫情報共有サーバ10と納品情報管理サーバ30の構成を示すブロック図。
図3】本発明の実施の形態による、在庫情報共有システム1による在庫情報共有サービスのフローチャート。
図4】本発明の実施の形態による、在庫情報データベース121のデータ作成方法を説明する図。
図5】本発明の実施の形態による、店舗端末20に表示される画面を例示する図。
図6】本発明の実施の形態による、店舗端末20に表示される画面を例示する図。
図7】本発明の実施の形態による、店舗端末20に表示される画面を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態による在庫情報共有システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、在庫情報共有システム1は、在庫情報共有サーバ10、店舗端末20、納品情報管理サーバ30を備えている。在庫情報共有サーバ10は、店舗端末20および納品情報管理サーバ30と通信ネットワークNを介して接続されている。通信ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0013】
在庫情報共有システム1は、調剤薬局間で医薬品の在庫情報を共有することにより、必要な医薬品の融通を効率的に行うことを可能とするシステムである。在庫情報共有サーバ10と納品情報管理サーバ30は、調剤薬局間の取引をサポートするサービスを提供する企業内などに設置される。また、在庫情報共有サーバ10と納品情報管理サーバ30は、クラウド上に構築されていてもよい。店舗端末20は、サービスを利用する各々の調剤薬局内などに設置される。ただし、この例に限らず、本発明は、様々な店舗、企業、商店の間での商品の取引に適用できる。
【0014】
在庫情報共有サーバ10および納品情報管理サーバ30は、在庫情報共有サービスを提供する企業等に設置された汎用的なコンピュータである。在庫情報共有サーバ10および納品情報管理サーバ30は、それぞれ1台のコンピュータで構成されていてもよいし、通信ネットワークN上に分散する複数のコンピュータから構成されてもよい。また、在庫情報共有サーバ10と納品情報管理サーバ30は1つのコンピュータで構成されていてもよい。
【0015】
店舗端末20は、在庫情報共有システム1のサービスを利用する調剤薬局等に設置され、薬局の従業者が利用する端末である。店舗端末20は、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)など、通信ネットワークNを介して在庫情報共有サーバ10とデータの授受が可能なあらゆる端末装置を利用することができる。店舗端末20は、プロセッサ、キーボードやマウス、各種操作ボタンやタッチパネルなどの入力装置、液晶ディスプレイなどの表示装置、通信ネットワークNに接続するための通信インタフェース、ディスクドライブまたは半導体メモリ(ROM、RAMなど)などの記憶資源を備えている。
【0016】
図2は、在庫情報共有サーバ10と納品情報管理サーバ30の構成を示すブロック図である。図1に示すように、在庫情報共有サーバ10は、制御装置11と、記憶装置12を備えている。制御装置11は、ハードウェアとして、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。制御装置11は、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。図2に示すように、制御装置11によって実現される機能モジュールには、在庫情報生成部111、商品指定受付部112、在庫情報提示部113、経路情報提示部114が含まれる。記憶装置12は、ハードディスクドライブ等であり、在庫情報データベース121、商品情報データベース122を実装している。
【0017】
在庫情報データベース121は、各薬局への医薬品の納品データに基づいて作成された、薬局毎の医薬品の納品実績を示すデータ(在庫データ)のデータベースである。在庫情報データベース121は、クラウド上など外部の記憶装置に実装されていてもよい。また、商品情報データベース122は、医薬品に関する情報(商品名、一般名(成分名)、商品コード、販売メーカー名、医薬品コード、薬効分類コード、剤型、包装形態(バラ包装、PTP包装、SP包装など)等)を記憶するデータベースである。商品情報データベース122は、外部のシステムで提供されている医薬品マスタを利用するようにしてもよい。
【0018】
納品情報管理サーバ30は、制御装置31と、記憶装置32を備えている。制御装置31は、ハードウェアとして、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバス等を備えている。制御装置31は、CPUがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。図2に示すように、記憶装置32は、ハードディスクドライブ等であり、納品情報データベース321、顧客情報データベース322を実装している。
【0019】
次に、在庫情報共有システム1による、在庫情報共有サービスについて図3のフローチャートを用いて説明する。在庫情報共有サーバ10の在庫情報生成部111は、在庫情報データベース121を生成する(ステップS101)。
【0020】
図4は、在庫情報データベース121のデータ作成方法を説明する図である。在庫情報共有サーバ10の在庫情報生成部111は、例えば一日に複数回のタイミングで納品情報データベース321から、各薬局への納品データを取得する(F1)。納品情報データベース321には、医薬品の卸会社等から日次で取得する各薬局への納品データが記憶されている(F2)。納品データには、納品日、商品コード、商品名、納品数、代金等のデータが含まれる。また、在庫情報生成部111は、顧客情報データベース322から、各薬局の店舗名、所在地情報等を取得する(F3)。在庫情報生成部111は、取得した納品データに基づいて、各薬局への各医薬品の納品実績をデータベース化し、在庫情報データベース121を作成する。また、店舗名、所在地情報等を薬局に紐づけて記憶する。在庫情報データベース121の更新は、一日に複数回など、定期的に実施するようにしてもよい。
【0021】
薬局Xの従業者は、店舗端末20を操作して在庫情報共有システム1にアクセスし、ユーザアカウントを用いてログインする。図5は、店舗端末20に表示される画面を例示する図である。図5に示すように、画面の左側の領域P1には、出発地を入力する入力欄51、商品を指定する入力欄52が表示される。画面の右側の領域P2には、入力欄51に入力した出発地の周辺の地図が表示される。
【0022】
薬局Xの従業者は、入力欄51に「出発地」を入力する(ステップS102)。出発地は、入力欄51に住所を直接入力したり、領域P2に表示された地図上の位置を選択したりすることによって指定できるようにしてよい。また、店舗端末20がGPS機能を有する場合には、店舗端末20の現在位置が自動的に設定されるようにしてもよい。また、出発地は、何も入力しなければユーザアカウントに紐づく薬局の所在地が自動的に設定されるようにしてもよい。図5の例では、出発地として現在位置(すなわち薬局X)が設定されており、領域P2には出発地(薬局X)を中心とした周辺の地図が表示される。
【0023】
さらに、薬局Xの従業者は、入力欄52に、在庫を探している医薬品の情報を入力する(ステップS103)。なお、従業者が入力欄52に医薬品の情報の一部(例えば、商品名の一部や、一般名(成分名)の一部)を入力すると、商品情報データベース122の中から、入力された文字列が含まれる商品が抽出されて表示されるようにしてもよい。従業者は、表示されたリストの中から、在庫を探す医薬品を指定できるようにしてもよい。また、在庫を探す対象を、商品名が一致する医薬品のみとするか、商品名が一致しなくても一般名(成分名)が一致する医薬品も含めるかを指定できるようにしてもよい。入力された医薬品の情報は在庫情報共有サーバ10に送信され、商品指定受付部112が取得する(ステップS104)。なお、取得した医薬品の情報に基づいて、表示欄53に医薬品の正式名称が表示されるようにしてもよい。例えば、従業者が医薬品の情報の一部を入力した場合、商品指定受付部112が商品情報データベース122を参照し、入力されたテキスト情報に該当する医薬品の商品名を表示するようにしてもよい。図5の例では、入力欄52に「〇△×」と入力されており、商品指定受付部112によって具体的な商品名「〇△×F糖衣錠25mg/錠」が表示されている。
【0024】
次に、在庫情報提示部113は、在庫情報データベース121を参照し、商品指定受付部112によって取得された医薬品を保持している可能性のある薬局を抽出する(ステップS105)。具体的には、当該医薬品の納品実績がある薬局、すなわち在庫情報データベース121に、当該医薬品の納品データが登録されている薬局を抽出するようにしてよい。なお、商品名が完全に一致する医薬品のみが探す対象とされている場合には、当該商品名に紐づく商品コードを含む納品データが登録されている薬局を抽出する。一方、商品名が一致しなくても一般名(成分名)が一致する医薬品も対象とされている場合には、商品情報データベース122を参照して該当する一般名(成分名)の商品の商品コードを取得し、それらの商品コードを含む納品データが登録されている薬局を抽出するようにしてもよい。なお、納品データは所定の期間内に納品されたもの(例えば、直近1カ月以内)を対象とするようにしてもよい。
【0025】
在庫情報提示部113は、図6に例示するように、店舗端末20の領域P1の表示欄54に、抽出された薬局の一覧を表示する(ステップS106)。図6に示すように、各薬局の店舗名(薬局Q、薬局Y、薬局Z、薬局R)の下に、出発地(薬局Xの所在地)からのおよその距離、所在地、電話番号等が表示されるようにしてよい。
【0026】
なお、図6の例では、入力欄52には1つの医薬品が入力されているが、一度に複数種類の医薬品を指定できるようにしてもよい。この場合、表示欄54には、指定された全ての種類の医薬品の納品実績がある薬局を表示するようにしてもよいし、1種類でも納品実績があれば表示するようにしてもよい。その場合、図6に示すように、指定された複数種類の医薬品のうちのいくつの医薬品の納品実績があるのかを「該当商品」として表示するようにしてもよい。例えば、指定された医薬品のうちの1つの医薬品の納品実績がある場合には、「該当商品:1件」と表示されるようにしてもよい。
【0027】
さらに、在庫情報提示部113は、図6に示すように、領域P2の地図上に一覧に表示された各薬局の位置(所在地)を表示する(ステップS107)。図6の例では、薬局Q、薬局Y、薬局Z、薬局Rの位置Pがそれぞれ地図上に示されている。
【0028】
さらに、従業者が画面上で表示欄54に表示された薬局のうちの1つ(例えば、薬局Y)を選択する操作を行うと(ステップS108:YES)、経路情報提示部114が、図7に示すように、領域P2の地図上に、選択された薬局Yまでの経路情報55,56を表示する(ステップS109)。図7に示すように、経路情報55は、出発地である薬局Xから目的地である薬局Yまでのルート説明を文章で示したものであり、経路情報56は、地図上に、出発地である薬局Xから目的地である薬局Yまでのルートを表示したものである。
【0029】
なお、従業者が画面上で表示欄54に表示された薬局のうちの1つを選択した際、表示欄54に、選択された薬局についてのより詳細な情報が表示されるようにしてもよい。例えば、選択された薬局における当該医薬品の最終仕入日や、仕入れた医薬品の包装形態、販売メーカー等の情報が表示されるようにしてもよい。
【0030】
薬局Xの担当者は、薬局Yに電話をして在庫を譲り渡してもらうことが可能かどうかを確認してから、薬局Yまで出向き医薬品を受け取ることができる。仮に、薬局Yに融通してもらえる医薬品が無い場合には、他の候補の薬局に問合せてみることができる。なお、実際の医薬品の売買は、薬局の担当者が出向いて医薬品を受け取った際に代金を支払うようにしてもよいし、在庫情報共有システム1で決済を行うようにしてもよい。例えば、医薬品を譲り渡した薬局については、卸会社等への支払い分から該当する料金を差し引き、代わりに、医薬品を譲り受けた薬局の方の支払いに加算するようにしてもよい。
【0031】
以上のように本実施形態によれば、薬局への医薬品の納品データを用いて、各薬局への各医薬品の納品実績をデータベース化し、薬局の担当者が必要な医薬品を指定すると、当該医薬品の納品実績がある薬局の情報を店舗端末20に表示するようにした。これにより、薬局側が自ら在庫情報を提供しなくても、薬局間で在庫情報を共有する仕組みを提供することができる。
【0032】
また、店舗端末20には、医薬品の納品実績がある薬局のうち、当該薬局から所定距離以内にある他の薬局の情報を表示するようにしたので、医薬品を必要としている薬局は、近所にある薬局に医薬品の在庫を受け取りにいくことができるという利便性の高い仕組みを提供することができる。
【0033】
また、医薬品の納品実績がある薬局の所在地を、店舗端末20に表示された地図上に示すようにしたので、在庫がありそうな薬局の位置を簡単に把握することができる。
【0034】
また、店舗端末20で、提示された薬局のうちのいずれかを選択すると、その薬局までのルート情報が表示されるようにしたので、医薬品を必要としている薬局にとって利便性の高い仕組みを提供することができる。
【0035】
また、指定された医薬品が一定間以内に納品された実績のある薬局の情報を店舗端末20に表示するようにしたので、在庫がある可能性がより高い薬局の情報を提供することができる。
【0036】
本発明のシステムを導入することで、医薬品不足、特に昨今問題になっている後発医薬品の供給不安定な状況において、薬局の従業者の作業負荷を軽減することができる。すなわち、医薬品の在庫が不足している場合に、譲渡を打診する薬局を探す手間を大幅に軽減することができる。また、患者にとっては、訪ねた薬局に在庫が無くても、それほど長い期間待たずに医薬品を受け取ることができるという利点がある。また、卸会社にとっても、緊急の配送を要請される機会が減るという利点がある。また、使用期限の短い医薬品や、高価格の医薬品などが不動品となっている場合でも、必要としている薬局へ効率的に回すことができるという利点がある。
【0037】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…在庫情報共有システム
10…在庫情報共有サーバ
11…制御装置
12…記憶装置
20…店舗端末
30…納品情報管理サーバ
31…制御装置
32…記憶装置
111…在庫情報生成部
112…商品指定受付部
113…在庫情報提示部
114…経路情報提示部
121…在庫情報データベース
122…商品情報データベース
321…納品情報データベース
322…顧客情報データベース
【要約】
【課題】利用者に負担をかけずに、利用しやすい在庫情報共有の仕組みを提供する。
【解決手段】店舗間で商品の在庫情報を共有する在庫情報共有システムであって、各々の店舗への商品の納品データに基づいて、店舗毎の在庫データを生成する在庫情報生成部と、利用者の端末から、在庫有無を確認したい商品の指定を受け付ける商品指定受付部と、在庫データに基づいて、指定された商品の納品実績がある店舗の情報を端末に提示する在庫情報提示部と、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7