(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】廃棄物処理費決済システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20240711BHJP
G06Q 20/08 20120101ALI20240711BHJP
【FI】
G06Q10/30
G06Q20/08 302
(21)【出願番号】P 2023199610
(22)【出願日】2023-11-27
【審査請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2023130981
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594079040
【氏名又は名称】株式会社JTB
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】江上 顕生
(72)【発明者】
【氏名】宮島 明子
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】藤本 有香
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-120904(JP,A)
【文献】特開2020-095488(JP,A)
【文献】特開2002-318974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出事業者の排出事業者端末、処理業者の処理業者端末、仲介業者の仲介業者端末、及び、決済業者の決済業者端末を備え、前記排出事業者と前記処理業者との間で行われる前記仲介業者を介する取引を制御する情報処理システムであって、
前記決済業者端末は、
前記排出事業者端末と前記仲介業者端末の間の第1処理費
の請求情報、前記仲介業者端末と前記処理業者端末の間の第2処理費
の請求情報、前記排出事業者に対する第1仲介手数料の情報、及び、前記処理業者に対する第2仲介手数料の情報を、
前記仲介業者端末から受信し、
前記第1処理費及び前記第1仲介手数料に基づいて、排出事業者から仲介業者への第1支払額の情報を生成し、
前記第2処理費及び前記第2仲介手数料に基づいて、仲介業者から処理業者への第2支払額の情報を生成し、
生成した支払額の情報を、共通の識別コードによって関連付け、
前記共通の識別コードによって関連付けられた情報に基づいて、前記第1支払額と前記第2支払額との間の差額を、仲介業者の受取額として算出し、
仲介業者への前記受取額の支払の決済を銀行システムに委託する情報処理と、前記第2支払額の処理業者への支払の決済を銀行システムに委託する情報処理と、を実行し、
前記決済業者端末は、前記差額を、前記排出事業者端末及び前記処理業者端末に提示する、廃棄物処理費決済システム。
【請求項2】
電子マニフェストシステム
に登録された情報に基づ
いて、所定の金額
を前記第2処理費として請求する請求情報が、前記処理業者端末から前記仲介業者端末に送信された場合、
前記仲介業者端末は、
前記第1処理費の請求情報として、前記排出事業者端末に対して前記所定の金額
を請求する
請求情報を送信する、請求項
1に記載の廃棄物処理費決済システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出事業者、処理業者、仲介業者、及び決済業者の四者による廃棄物処理費決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の適正な処理は、資源が循環する社会と経済を形成するための中核的な事業となっている。廃棄物処理の委託は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「法」という)により、「排出事業者」と、「収集運搬業者」又は「処分業者」(合わせて「処理業者」という)の二者が直接契約を締結することとされており、三者契約は禁止されている。しかし、廃棄物処理費の精算については、法に精算方法を限定する規定がないことから、排出事業者と処理業者の間に「仲介業者」が介在し、排出事業者と仲介業者、仲介業者と処理業者の間には、処理委託契約関係がないにもかかわらず、処理費が仲介業者を介して精算されることが一般的に行われている。すなわち、処理費は、排出事業者から仲介業者に支払われた後、仲介業者から処理業者に支払われている。
【0003】
この仲介業者による処理費の精算には、処理業者から複数の排出事業者への請求、あるいは複数の処理業者から排出事業者への請求を一括化できるというメリットもある反面、仲介業者が、排出事業者への処理費の請求額に仲介手数料を上乗せし、あるいは抱き合わせて、総額を処理費として請求したり、処理業者への処理費の支払額から仲介手数料を割り引いて支払ったりすることも一般的に行われている。また、このように上乗せしたり、割り引いたりした仲介手数料の額の明細が排出事業者や処理業者に明示されておらず、処理費の精算が不透明な場合も少なからずあり、排出事業者が仲介業者から過大な処理費を請求されたり、処理業者が仲介業者から過小な支払い受けたりする要因となっている。
【0004】
このような不透明な決済は、排出事業者と処理業者の間の処理委託契約に基づかない決済をしていることになり、結果的に廃棄物処理費を高止まりさせることになり、廃棄物を資源として再生し、循環させる社会と経済を形成する上で、妨げになっている。このため、仲介業者が介在していても、処理委託契約関係のある排出事業者から処理業者に処理費が直接支払われ、処理委託契約書による処理のマテリアルフローと処理費のキャッシュフローが一致する透明性のある決済方法又はシステムが求められるところである。
【0005】
先行技術文献としての特許文献1には、電子マニフェストと連動した廃棄物処理費決済システムが示されている。このシステムによれば、廃棄物処理費精算の透明性と自動性が実現する。しかしながら、このシステムは、処理費の精算に仲介業者が介在することを想定した決済システムにはなっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)(環廃対発第1703212号・環廃産発第1703211号、平成29年3月21日付環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長・産業廃棄物課長通知)
【0008】
【文献】一般廃棄物の適正な処理の確保について(衛環第72号、平成11年8月30日付 厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
また、排出事業者、処理業者、及び仲介業者のそれぞれの間のキャッシュフローを明確且つシンプルにする理由から、上記の三者に加えて、決済業者を新たに介在させることが考えられる。ただし、これまでに、排出事業者、処理業者、仲介業者、及び決済業者の四者間で資金を移動させる廃棄物処理費決済システムが提案されたことはない。
【0010】
非特許文献1によれば、「排出事業者は、委託する処理業者を自らの責任で決定すべきものであり、また、処理業者との間の委託契約に際して、処理委託の根幹的内容(委託する廃棄物の種類・数量、委託者が受託者に支払う料金、委託契約の有効期間等)は、排出事業者と処理業者の間で決定するものである。排出事業者は、排出事業者としての自らの責任を果たす観点から、これらの決定を第三者に委ねるべきではない。これらの内容の決定を第三者に委ねることにより、排出事業者責任の重要性に対する認識や排出事業者と処理業者との直接の関係性が希薄になるのみならず、あっせん等を行った第三者に対する仲介料等が発生し、処理業者に適正な処理費用が支払われなくなるといった状況が生じ、委託基準違反や処理基準違反、ひいては不法投棄等の不適正処理につながるおそれがある。」と、第三者の仲介による決済の問題点を指摘している。
【0011】
非特許文献2によれば、「市町村の規制権限の及ばない第三者が一般廃棄物の排出事業者と処理業者との間の契約に介在し、あっせん、仲介、代理等の行為を行うこと(以下「第三者によるあっせん等」という。)は、一般廃棄物の排出者責任が不明確になるおそれがあること、契約の実質的内容や契約に基づく一般廃棄物の処理の実態によっては、市町村の判断により法第7条第10項において禁止される一般廃棄物処理の委託行為に該当すると認められる場合があること、実際の一般廃棄物の処理が市町村の一般廃棄物処理計画に適合しなくなる可能性があること等の理由から、市町村の処理責任の原則の下での適正な処理の確保に支障を生じさせるおそれがあるものである。」と、市町村の規制権限の及ばない第三者の仲介による決済の問題点を指摘している。
【0012】
しかしながら、これまで環境省等が指摘している第三者による決済仲介の問題点を解決する決済システムが提案され、あるいは実現されたことはない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。すなわち、排出事業者、処理業者、仲介業者、及び決済業者の四者による廃棄物処理費決済を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は、下記の[1]~[7]に規定された構成を有する。
[1]本発明の一態様に係る廃棄物処理費決済システムは、排出事業者、処理業者、仲介業者、決済業者の四者による廃棄物処理費決済システムであって、少なくとも1の通信ネットワークに接続された、少なくとも1のコンピュータ装置と少なくとも4の端末装置を備え、少なくともそれぞれ1の排出事業者の端末装置(以下、「排出事業者端末」ともいう)、処理業者の端末装置(以下、「処理業者端末」ともいう)、仲介業者の端末装置(以下、「仲介業者端末」ともいう)、決済業者の端末装置(以下、「決済業者端末」ともいう)の間において、処理業者の端末装置から排出事業者の端末装置への処理費の請求事務及び排出事業者の端末装置から処理業者の端末装置への処理費の支払事務を仲介業者の端末装置が代行し、排出事業者の端末装置と仲介業者の端末装置の間の処理費(以下、「第1処理費」ともいう)の支払、及び仲介業者の端末装置と処理業者の端末装置の間の処理費(以下、「第2処理費」ともいう)の支払を決済業者の端末装置が代行し、仲介業者の端末装置が、排出事業者の端末装置に請求して受領する第1処理費と、処理業者の端末装置が、仲介業者の端末装置に請求して受領する第2処理費を、コンピュータ装置が一連の決済又は一体の決済として共通の識別コードを付することにより関連付けて相殺処理し、排出事業者の端末装置と仲介業者の端末装置の間の支払額と仲介業者の端末装置と処理業者の端末装置の支払額に差額がある場合に、当該差額を決済業者の端末装置が、仲介業者の端末装置に支払い、処理業者の端末装置と仲介業者の端末装置の間の支払額は、決済業者の端末装置が、仲介業者の端末装置を経由せずに処理業者に直接支払う、排出事業者、処理業者、仲介業者、決済業者の四者による廃棄物処理費決済システムである。
【0014】
[2]本発明の一態様に係る廃棄物処理費決済システムは、排出事業者、処理業者、仲介業者、決済業者の四者による廃棄物処理費決済システムであって、排出事業者と処理業者が、電子マニフェストシステムに加入している場合において、処理業者の端末装置が電子マニフェストシステムに登録した処理終了報告情報と、排出事業者の端末装置が電子マニフェストシステムに登録した処理終了報告承認情報を、自動受信又は自動取得することによって、処理業者の端末装置から仲介業者の端末装置に、あらかじめ約定し、あらかじめ登録した処理単価情報に、電子マニフェストの処理数量情報を乗じた所定の金額を第2処理費の額として自動請求し、及び/又は仲介業者の端末装置から処理業者の端末装置に、第2処理費の額から、あらかじめ約定した所定の率又は金額の仲介手数料を差し引いた額を自動請求し、同時に、仲介業者の端末装置から排出事業者の端末装置に、第2処理費を自動請求し、及び/又は仲介業者の端末装置から排出事業者の端末装置に、第2処理費の額にあらかじめ約定した率又は額の仲介手数料を上乗せした額を第1処理費の額として自動請求し、仲介業者の端末装置と排出事業者の端末装置の間で支払われる処理費等と、処理業者の端末装置と仲介業者の端末装置の間で支払われる処理費等を、コンピュータ装置が一連の決済又は一体の決済として共通の識別コードを付すことにより関連付けて相殺処理し、当該支払額に差額がある場合に、当該差額を、決済業者の端末装置が、仲介業者の端末装置に支払い、処理業者の端末装置と仲介業者の端末装置の間の支払い額は決済業者の端末装置が、仲介業者の端末装置を経由せずに処理業者の端末装置に直接支払う、[1]に記載の廃棄物処理費決済システムである。
【0015】
[3]本発明の一態様に係る廃棄物処理費決済システムは、排出事業者の排出事業者端末、処理業者の処理業者端末、仲介業者の仲介業者端末、及び、決済業者の決済業者端末を備え、排出事業者と処理業者との間で行われる仲介業者を介する取引を制御する情報処理システムにおいて、決済業者端末は、排出事業者端末と仲介業者端末の間の第1処理費の支払、及び仲介業者端末と処理業者端末の間の第2処理費の支払を実行し、第1処理費と第2処理費とを、一連の決済又は一体の決済として共通の識別コードを付することにより関連付けて相殺処理し、第1処理費と第2処理費との間に差額がある場合、差額を決済業者端末から仲介業者端末に支払う、廃棄物処理費決済システムである。
【0016】
[4]本発明の一態様に係る廃棄物処理費決済システムは、決済業者端末は、第2処理費を決済業者端末から処理業者端末に仲介業者端末を経由せずに直接支払う、[3]に記載の廃棄物処理費決済システムである。
【0017】
[5]本発明の一態様に係る廃棄物処理費決済システムは、決済業者端末は、差額を、排出事業者端末及び処理業者端末に提示する、[1]又は[3]に記載の廃棄物処理費決済システムである。
【0018】
[6]本発明の一態様に係る廃棄物処理費決済システムは、処理業者端末から仲介業者端末に対して電子マニフェストシステムに基づく所定の金額が自動請求された場合、仲介業者端末は、排出事業者端末に対して上記の所定の金額を自動請求する、[1]乃至[3]のいずれかに記載の廃棄物処理費決済システムである。
【0019】
[7]本発明の一態様に係る廃棄物処理費決済システムは、仲介業者端末から処理業者端末に対して電子マニフェストシステムに基づく第2処理費としての所定の金額から所定の仲介手数料を差し引いた金額が自動請求された場合、仲介業者端末は、排出事業者端末に対して第1処理費としての所定の金額に仲介手数料を加算した金額を自動請求する、[1]乃至[3]のいずれかに記載の廃棄物処理費決済システムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、廃棄物処理費決済に関する、排出事業者、処理業者、仲介業者、及び決済業者の四者間の決済事務において、決済業者が、排出事業者から仲介業者への処理費等の支払いと、仲介業者から処理業者への処理費の支払いを相殺し、その差額のみを仲介手数料相当額として仲介業者に支払うようにする。これにより、排出事業者と処理業者の間の処理費の決済に仲介業者が介在していても、決済業者から処理業者への処理費の直接支払いができるようになる。その結果、仲介業者が処理費決済に介在していても、廃棄物処理委託契約を締結している排出事業者と処理業者の間で、直接的に処理費が支払われるようになり、仲介業者から処理業者へ処理費が間接的に支払われることによる弊害を改善することができる。具体的には、仲介業者が処理費に仲介手数料を上乗せして排出事業者に請求していたり、処理費から仲介手数料を割り引いて処理業者に支払ったりしていても、排出事業者や処理業者に対して、処理業者への処理費支払額と仲介業者への仲介手数料の支払額を、決済業者が明示することができるようになる。
また、電子マニフェストシステムと当該決済システムを連携することにより、産業廃棄物の処理費精算の透明化のみならず、処理費精算の自動化を図ることができる。
さらにまた、一般廃棄物の収集運搬費の精算においても仲介業者の介在がみられるところ、電子マニフェストシステムのない一般廃棄物においては、一般廃棄物の処理責任がある市町村の清掃工場等に設置した自動計量システムを、電子マニフェストシステムと同等の処理数量確認システムとみなして、当該決済システムと連携することにより、一般廃棄物の処理費精算の透明化のみならず、処理費精算の自動化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る排出事業者端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る処理業者端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る仲介業者端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る決済業者端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るコンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るパターン1の実施ステップを示す手順図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るパターン2の実施ステップを示す手順図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る各請求情報等を関連付ける各関連付けコードを示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る廃棄物の品目、数量単位、収集運搬方法、及び処分方法のコードを示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る収集運搬終了情報、及び処分終了情報を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る収集運搬料金、処分料金、及び仲介手数料の単価情報を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る収集運搬料金、処分料金、及び仲介手数料の請求情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。本発明の情報処理システムは、
図1に示すように、通信ネットワーク1と、廃棄物の排出事業者の排出事業者端末装置(以下、排出業者端末2)と、廃棄物の処理業者の処理業者端末装置(以下、処理業者端末3)と、排出事業者と処理業者の処理委託契約を仲介する仲介業者の仲介業者端末装置(以下、仲介業者端末4)と、排出事業者、仲介業者及び処理業者の間の処理費の決済を行う決済業者の決済業者端末装置(以下、決済業者端末5)と、コンピュータ装置6とを少なくとも備える。また、本発明の情報処理システムの外部システムである電子マニュフェストシステムを運用する電子マニフェストサーバ7と、銀行システム8とが、通信ネットワーク1を介して接続されていることを少なくとも要する。
【0023】
排出事業者端末2は、廃棄物の排出事業者が本発明の情報処理システム(以下、本システムともいう。)を利用する際に操作する端末装置である。ここで排出事業者とは、廃棄物(産業廃棄物又は事業系一般廃棄物)を発生させ、排出する事業者である。排出事業者には、法により、産業廃棄物の排出に際して、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付又は電子マニフェストの登録をする義務が課せられている。
【0024】
処理業者端末3は、廃棄物の処理業者が本システムを利用する際に操作する端末装置である。ここで処理業者とは、廃棄物を収集運搬、処分、最終処分、又は再生する事業者である。処理業者には、法により、産業廃棄物の処理終了後に、マニフェストの返送又は電子マニフェストの処理終了報告の登録をする義務が課せられている。
【0025】
仲介業者端末4は、仲介業者が本システムを利用する際に操作する端末装置である。ここで仲介業者とは、排出事業者と処理業者の処理委託契約を仲介し、契約締結事務その他契約の締結と契約業務の実行に付帯する種々の事務の代行や助言を排出事業者及び/又は処理業者から委託される事業者である。つまり、仲介業者端末4は、処理業者端末3から排出事業者端末2への処理費の請求事務、及び、排出事業者端末2から処理業者端末3への処理費の支払事務を代行する。
なお、以下では、仲介業者を廃棄物管理業者、又は廃棄物コンサルタント業者と呼ぶこともある。
【0026】
決済業者端末5は、排出事業者と仲介業者の間、仲介業者と処理業者の間、及び処理業者と排出事業者の間の処理費等の決済を行う決済業者の端末装置である。つまり、決済業者端末5は、排出事業者端末2と仲介業者端末4の間の処理費の精算、及び仲介業者端末4と処理業者端末2の間の処理費の精算を代行する。ここで決済業者とは、銀行、信託銀行、クレジットカード会社(信販会社)、決済代行業者、資金移動業者など、資金の振替、資金の振込、資金の引落、資金の送金、資金の預託、資金の貸付、信用の供与、決済手段の供与などを行う金融業者であり、本システムの決済を実行することができれば、とくにその業種、業態は問わない。また、排出事業者と仲介業者の間の処理費の決済と、仲介業者と処理業者の間の処理費の決済は、決済業者の業態により、同時精算(送金)、排出事業者の支払額の先行精算(預託)、処理業者の受取額の先行精算(与信)の3つの方法があるが、本システムでは、そのいずれの方法でもよい。
【0027】
排出事業者端末2、処理業者端末3、仲介業者端末4、及び決済業者端末5のそれぞれは、少なくとも表示画面、入力部、制御部、記憶部、及び通信部を有するコンピュータ(端末)であれば、特に限定されない。また、上記の各端末は、各事業者の事業所に設置されていてもよいし、各事業者が携帯するものであってもよい。例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、及びPDAなどが、上記の各端末として利用可能である。
【0028】
コンピュータ装置6は、少なくとも制御部、記憶部、及び通信部を有し、排出事業者端末2、処理業者端末3、仲介業者端末4、決済業者端末5、電子マニフェストサーバ7、及び銀行システム8と、通信ネットワーク1を介して接続される。コンピュータ装置6は、各端末の入力部から入力された情報、各端末の記憶部に記憶された情報、及び各端末の通信部が取得した情報を共有及び交換し、各端末の通信部による情報の送受信と各端末の制御部による情報処理を統括及び代替するサーバ装置であれば、特に限定されない。例えば、メインフレーム、スーパーコンピュータ、オフィスコンピュータ、及びワークステーションなどが、本発明のコンピュータ装置6として利用できる。なお、以下の説明において、端末間の通信又は接続、各端末と電子マニフェストサーバ7、銀行システム8と間の通信又は接続は、コンピュータ装置6を介した通信又は接続と解してもよい。
【0029】
電子マニフェストサーバ7は、排出者から処理者に委託された廃棄物処理の進捗状況に関する情報の管理を行う、本システムとは異なる外部のサーバ又は外部のシステム(電子マニュフェストシステムに相当)である。具体的には、例えば、日本における産業廃棄物処理の進捗状況を電子マニフェスト情報として一元管理する、電子マニフェスト情報処理センターとして環境大臣から指定されている公益財団法人日本廃棄物処理振興センターが運営するJWNET、その他民間会社が開発してJWNETにEDI接続するEDI版電子マニフェスト等(以下あわせて「電子マニフェスト」という)が挙げられる。
電子マニュフェストシステムには、排出事業者及び処理業者が加入している。詳しくは、電子マニュフェストシステムにおいて、排出事業者が、産業廃棄物の排出場所、委託品目、委託数量、処理委託先、搬送先、処理方法、及び最終処分方法等を登録し、処理業者が、収集運搬終了報告、中間処理終了報告、及び最終処分終了報告を登録する。そして、排出事業者は、上記一連の報告に対する承認を電子マニュフェストシステムに登録する。
なお、マニフェスト又は電子マニフェストは、産業廃棄物についてのみ、法的に使用が義務付けられているシステムであるが、一般廃棄物、災害廃棄物、資源物などについても、電子マニフェストと同様の機能がある処理終了確認システム、物流管理システム、トレーサビリティシステム(追跡システム)などが任意に使用されていることがある。従って、本システムにおいて、電子マニフェストの使用は、必ずしも産業廃棄物に限らない。また、電子マニフェストは必ずしも法で義務付けられている電子マニフェストに限らない。
【0030】
電子マニフェストサーバ7において管理される廃棄物処理の進捗状況に関する情報には、廃棄物の収集運搬の進捗状況に関する情報、廃棄物の中間処理の進捗状況に関する情報、二次収集運搬の進捗状況に関する情報、及び、廃棄物の最終処分の進捗状況に関する情報等が含まれている。本システムにおいては、これらの情報の中から収集運搬終了情報、中間処理終了情報、二次収集運搬終了情報、最終処分終了情報、及び排出事業者によるこれらの情報の承認情報をダウンロードし、そこに含まれる廃棄物の品目、処理/運搬数量、処理方法、処理完了日時等の情報を、所定の期間における処理業者又は処理施設の処理実績情報として取得し、処理費決済に利用する。以下では、特に注釈の無い限り、電子マニフェストサーバ7において管理され、コンピュータ装置6及び各端末が電子マニフェストサーバ7から取得する情報を、「処理実績情報」又は「電子マニフェスト情報」として扱う。
【0031】
電子マニフェストサーバ7は、電子マニフェスト情報と同等の廃棄物の処理進捗情報、又は、同等の廃棄物の処理実績情報を管理する他のサーバや他の情報提供サービス等で代替されてもよい。
【0032】
銀行システム8は、資金又は決済手段の口座開設、口座間の資金又は決済手段の送金、振替、振込、引落、移動、電子登録債権交付、与信等ができるシステムであれば、銀行以外の金融機関のシステムでもよいし、あるいは、決済業者が運用するシステムであってもよい。銀行システム8が、決済業者が運用するシステムである場合は、コンピュータ装置6と銀行システム8は、一体のシステムであってもよい。
【0033】
排出事業者端末2、処理業者端末3、仲介業者端末4、及び決済業者端末5は、前述のように通信ネットワーク1を介してコンピュータ装置6と接続されている。また、コンピュータ装置6は、通信ネットワーク1を介して電子マニフェストサーバ7及び銀行システム8と常時接続されていることが好ましいが、必要に応じて接続が可能であればよい。
【0034】
コンピュータ装置6は、本システムのサーバとしての所在を特定されないクラウドコンピューティングシステムによって代替されてもよい。つまり、コンピュータ装置6は、ASP(Application Service Provider)、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)又はIaaS(Infrastructure as a Service)用のサーバコンピュータであってもよい。
【0035】
決済業者端末5とコンピュータ装置6は、一体の装置としてもよい。
【0036】
次に、排出事業者端末2、処理業者端末3及びコンピュータ装置6の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る排出事業者端末2の構成を示すブロック図である。排出事業者端末2は、制御部21、RAM(Random Access Memory)22、ストレージ部23、グラフィックス処理部24、表示部25、入力部27、通信インターフェイス部28、及びインターフェイス部29からなり、それぞれ内部バスにより接続されている。上記の表示部25は、例えば、表示画面26、及び/又はタッチ入力部27a等を備えるものでもよい。
【0037】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)及びROM(Read Only Memory)等によって構成される。制御部21は、ストレージ部23に格納されたプログラムを実行し、排出事業者端末2の制御を行う。RAM22は、制御部21のワークエリアである。ストレージ部23は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。
【0038】
制御部21は、プログラム及びデータをRAM22から読み出して処理を行う。制御部21は、RAM22にロードされたプログラムやデータを処理することで、描画命令をグラフィックス処理部24に出力する。
【0039】
グラフィックス処理部24は、表示部25に接続されている。表示部25は、表示画面26を有している。制御部21が描画命令をグラフィックス処理部24に出力すると、グラフィックス処理部24は、表示画面26上に画像を表示するためのビデオ信号を出力する。ここで、表示部25は、タッチ入力部27aを備えるタッチパネルの画面であってもよい。
【0040】
通信インターフェイス部28は、無線又は有線により通信ネットワーク1に接続が可能であり、通信ネットワーク1を介してコンピュータ装置6と情報の送受信を行う。通信インターフェイス部28を介して受信したデータは、RAM22にロードされ、制御部21により演算処理が行われる。
【0041】
インターフェイス部29には、マウスやキーボード等からなる入力部27が接続され得る。排出事業者端末2のユーザによる入力部27からの入力情報は、RAM22に格納され、制御部21は、入力情報を基に各種の演算処理を実行する。また、タッチパネルを備えた表示部25のタッチ入力部27aによって入力部27を代替することもできる。
【0042】
図3から
図5に記載した処理業者端末3、仲介業者端末4、及び決済業者端末5の構成については、
図2に示す排出事業者端末2の構成を必要な範囲で採用ないし援用することができる。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態に係るコンピュータ装置6の構成を示すブロック図である。コンピュータ装置6は、制御部61、RAM62、ストレージ部63、及び、通信インターフェイス部64を少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0044】
制御部61は、CPU及びROM等によって構成され、ストレージ部63に格納されたプログラムを実行し、コンピュータ装置6の制御を行う。また、制御部61は、時間を計時する内部タイマを備えている。RAM62は、制御部61のワークエリアである。ストレージ部63は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部61は、プログラム及びデータをRAM62から読み出し、排出事業者端末2、処理業者端末3、仲介業者端末4、決済業者端末5、及び電子マニフェストサーバ7から受信した各種の情報をもとに、プログラムの実行処理を行う。
【0045】
通信インターフェイス部64は、無線又は有線により通信ネットワーク1に接続が可能であり、通信ネットワーク1を介して排出事業者端末2、処理業者端末3、仲介業者端末4、決済業者端末5、電子マニフェストサーバ7及び銀行システム8とデータの送受信を行うことが可能である。通信ネットワーク1を介して受信したデータは、例えば、RAM62にロードされ、制御部61により演算処理が行われる。
【0046】
次に、処理施設の廃棄物の処理費情報と、電子マニフェスト情報の所定の分類コードとの関連付けについて説明する。
【0047】
処理費の評価額の算出処理のための前段階として、まず、コンピュータ装置6に処理業者の処理品目ごとの契約処理単価情報を登録するとともに、登録した契約処理単価情報を、廃棄物の処理に関する所定の分類コードに関連付けて記憶する処理を行う。この情報登録は、排出事業者端末2、処理業者端末3、又は仲介業者端末4のいずれかの端末の入力部27,37,47から入力され、当該端末の通信インターフェイス部28,38,48から、通信ネットワーク1を介して、コンピュータ装置6に送信され、コンピュータ装置6の通信インターフェイス部64が受信した情報に基づいて行われる。
ここで、所定の分類コードとは、廃棄物の処理に関する所定の分類基準に基づいて、事前に定められているものであり、かつ、処理実績情報、あるいは、電子マニフェスト情報に関連付けられているものであり、例えばJWNETが採用しているコード表を使用する。所定の分類コードの種類としては、例えば、廃棄物の品目に関する分類コード、廃棄物の処理(処分)方法に関する分類コード、廃棄物の数量の単位に関する分類コード、及び、廃棄物の運搬方法に関する分類コード等が挙げられる(
図10参照)。また、例えば、処理業者又は処理施設を識別するための識別情報として所定の分類コードを採用し、処理業者又は処理施設ごとに、あるいは、処理事業者の業態ごとに固有のコードを関連付けて利用するものであってもよい。契約処理単価は、処理委託契約書に基づき、分類コードに関連付けてコンピュータ装置6に登録される。処理委託契約書の情報は、あらかじめデータベース化して、コンピュータ装置6に格納しておいてもよい。
【0048】
以下、本発明の具体的な一つの実施形態として、処理業者と仲介業者の間、及び仲介業者と排出事業者の間で、処理費決済代行契約が締結されているケースについて説明する。
【0049】
なお、処理費決済代行契約とは、処理業者から排出事業者への処理費の請求事務及び排出事業者から処理業者への処理費の支払い事務を、仲介業者が代行する契約であり、処理業者からの処理費の請求先が仲介業者になり、排出事業者への処理費の請求者が仲介業者になるものである。処理費決済代行契約の利点は、処理業者にとっては、複数の排出事業者への請求が一本化されることにより、決済事務が合理化されることであり、排出事業者にとっては、複数の処理業者からの請求が一本化されることにより、決済事務が合理化されることである。
【0050】
<<実施の形態パターン1>>
本発明の第1の実施形態における処理費決済に関する情報処理パターン(以下、パターン1)は、処理費決済代行契約が締結されている場合の、電子マニフェスト参照決済の処理フローである。以下、
図7及び
図9~
図13を参照しながら、パターン1の手順について説明する。
パターン1では、
図7に示すステップS1~ステップS10が、この順に実施される。それぞれのステップは、排出事業者端末2、処理業者端末3、仲介業者端末4、及び決済業者端末5のうち、対応する端末装置によって実施される。
【0051】
(
図7のステップS1)
処理業者端末3は、通信インターフェイス部38により、電子マニフェストサーバ7から処理業者が登録した処理終了報告情報(以下「報告情報」という。)及び排出事業者が登録した処理終了報告承認情報(以下「承認情報」という。)をダウンロードしてRAM32に格納し(
図11)、当該報告情報と当該承認情報が対応しているかを制御部31で照合し、対応していれば、制御部31により、あらかじめストレージ部33に格納しておいた処理委託契約に基づく品目、数量単位、収集運搬方法、処分方法の区分(
図10)に応じた処理単価情報(
図12)と、RAM32に格納した報告情報の処理終了数量(詳しくは、処理終了が報告され、その報告が承認された処理数量情報)を参照して、処理費請求額(以下「処理業者請求情報」という。)を生成し、RAM32に格納し(
図13)、通信インターフェイス部38により、仲介業者端末4に、処理業者請求情報を送信する。
なお、上記の処理単価情報が示す処理単価に、上記の報告情報が示す処理終了数量を乗じた額が、電子マニュフェストシステムに基づく処理費(所定の金額)に相当する。また、処理業者請求情報が示す金額の処理費は、パターン1における第2処理費に相当する。
【0052】
(
図7のステップS2)
仲介業者端末4は、通信インターフェイス部48により、処理業者端末3から、処理業者請求情報を受信してRAM42に格納し、電子マニフェストサーバ7から当該処理業者請求情報に係る報告情報及び承認情報をダウンロードしてRAM42に格納し、当該報告情報、承認情報、及び処理業者請求情報が対応しているかを制御部41で照合し、対応していれば、制御部41により、処理費請求額(以下「仲介業者請求情報」という。)を生成してRAM42に格納し、通信インターフェイス部48により、排出事業者端末2に、仲介業者請求情報を送信する。
なお、仲介業者請求情報が示す金額の処理費は、パターン1における第1処理費に相当する。
【0053】
(
図7のステップS3)
排出事業者端末2は、通信インターフェイス部28により、仲介業者端末4から、仲介業者請求情報を受信してRAM22に格納し、電子マニフェストサーバ7から当該仲介業者請求情報に係る報告情報及び承認情報をダウンロードしてRAM22に格納し、当該報告情報と当該承認情報が対応しているかを制御部21で照合し、これらが対応していれば、制御部21により、仲介業者請求情報を確認する情報(以下「仲介業者請求確認情報」という。)を生成してRAM22に格納し、通信インターフェイス部28により、仲介業者端末4に、仲介業者請求確認情報を送信する。
【0054】
(
図7のステップS4)
仲介業者端末4は、通信インターフェイス部48により、排出事業者端末2から、仲介業者請求確認情報を受信してRAM42に格納し、制御部41により、処理業者請求情報と仲介業者請求情報が一連の決済、又は一体の決済に係る請求情報であることを関連付けるコード(以下「関連付けコード1」という。)を、処理業者請求情報と仲介業者請求情報に添付し、RAM42に格納する(
図9参照)。
なお、関連付けコード1は、処理業者請求情報と仲介業者請求情報に付与され、これらの情報が処理される一連の決済、又は一体の決済について共通の識別コードに相当する。
【0055】
また、このステップS4において、仲介業者端末4は、制御部41により、あらかじめストレージ部43に格納しておいた仲介業者が処理業者に請求する仲介手数料額又は仲介手数料率の情報があるときは、これを参照し、仲介業者が処理業者に請求する仲介手数料額(以下「処理業者手数料情報」という。)を生成し、処理業者請求情報と処理業者手数料情報が一連の決済又は一体の決済であることを関連付けるコード(以下「関連付けコード2」という。)を、処理業者請求情報と処理業者手数料情報に添付し、RAM42に格納する(
図9参照)。ここで、処理業者が仲介業者に支払う仲介手数料とは、排出事業者の紹介ないし契約仲介、契約書作成代行、電子マニフェスト処理代行、及び、処理費の一括請求を可能にする請求事務代行等の業務委託手数料である。
なお、関連付けコード2は、処理業者請求情報と処理業者手数料情報に付与され、これらの情報が処理される一連の決済、又は一体の決済について共通の識別コードに相当する。
【0056】
また、このステップS4において、仲介業者端末4は、制御部41により、あらかじめストレージ部43に格納しておいた仲介業者が排出事業者に請求する仲介手数料額又は仲介手数料率の情報があるときは、これを参照し、仲介業者が排出事業者に請求する仲介手数料額(以下「排出事業者手数料情報」という。)を生成し、仲介業者請求情報と排出事業者手数料情報を関連付けるコード(以下「関連付けコード3」という。)を、仲介業者請求情報と排出事業者手数料情報に添付し、RAM42に格納する(
図9参照)。ここで、排出事業者が仲介業者に支払う仲介手数料とは、処理業者の紹介ないし契約仲介、契約書作成代行、電子マニフェスト処理代行、及び、処理費の一括支払いを可能にする請求とりまとめ等の業務委託手数料である。
なお、関連付けコード3は、仲介業者請求情報と排出事業者手数料情報に付与され、これらの情報が処理される一連の決済、又は一体の決済について共通の識別コードに相当する。
【0057】
(
図7のステップS5)
仲介業者端末4は、通信インターフェイス部48により、決済業者端末5に、RAM42に格納した処理業者請求情報、仲介業者請求情報、処理業者手数料情報、及び、排出事業者手数料情報を、決済業者端末5に送信する。
【0058】
決済業者端末5は、通信インターフェイス部58により、処理業者請求情報、仲介業者請求情報、処理業者手数料情報、及び、排出事業者手数料情報を受信し、RAM52に格納する。
【0059】
(
図7のステップS6)
決済業者端末5は、制御部51により、関連付けコード2により関連付けられている処理業者請求情報と処理業者手数料情報を照合し、これらを互いに相殺処理することにより、仲介事業者から処理業者への支払額(以下「処理業者受取額情報」という。)を生成し、RAM42に格納する。ステップS6での相殺処理では、処理業者請求情報が示す処理費請求額と、処理業者手数料情報が示す仲介手数料額とを相殺し、処理業者受取額情報として算出する。
【0060】
決済業者端末5は、制御部51により、関連付けコード3により関連付けられている仲介業者請求情報と排出事業者手数料情報を照合し、これらを合算処理することにより、排出事業者から仲介業者への支払額(以下「排出事業者支払額情報」という。)を生成し、RAM42に格納する。ステップS6での合算処理では、仲介業者請求情報が示す処理費請求額と、排出事業者手数料情報が示す仲介手数料額とを合算し、その合計額を、排出事業者支払額情報として算出する。
【0061】
(
図7のステップS7)
決済業者端末5は、制御部51により、処理業者請求情報と仲介業者請求情報を関連付ける関連付けコード1から、処理業者受取額情報と排出事業者支払額情報を関連付けるコード(以下「関連付けコード4」という。)を仲介業者支払額情報と排出事業者支払額情報に添付し、RAM52に格納する。
なお、関連付けコード4は、処理業者受取額情報と排出事業者支払額情報に付与され、これらの情報が処理される一連の決済、又は一体の決済について共通の識別コードに相当する。
【0062】
(
図7のステップS8)
決済業者端末5は、制御部51により、関連付けコード4により関連付けられた処理業者受取額情報と排出事業者支払額情報を相殺処理し、その差額(以下「仲介業者受取額情報」という。)を生成し、RAM52に格納する。
【0063】
(
図7のステップS9)
決済業者端末5は、通信インターフェイス部58により、銀行システム8に、処理業者の口座への資金の振り込みにかかる処理業者受取額情報、仲介業者の口座への資金の振り込みにかかる仲介業者受取額情報、及び、排出事業者の口座からの資金の引き落としにかかる排出事業者支払額情報を送信し、銀行システム8に決済の実行を委託する。なお、この時、銀行システム8は、口座への資金の振り込み、口座からの資金の引き落とし以外の方法、例えば送金、信用の供与、電子記録債権の交付又は交換、デジタル通貨の交付又は交換、仮想通貨(暗号資産)の交付又は交換、あるいは、他の決済との相殺などの方法による決済とすることもできる。
【0064】
(
図7のステップS10)
決済業者端末5は、通信インターフェイス部58により、銀行システム8から処理業者受取額情報及び仲介業者受取額情報の支払確認情報を受信し、RAM52に格納し、同情報を排出事業者端末2に送信し、排出事業者端末2は、通信インターフェイス部28により、同情報を受信し、RAM22に格納し、グラフィックス処理部24で表示画像を作成し、表示部25の表示画面26に同画像を表示して決済状況を確認可能とする。処理業者端末3、及び仲介業者端末4においても、同情報を受信し、同様に表示部35,45に表示して決済状況を確認可能とする。
【0065】
以上のパターン1の各ステップにおいて、各端末における情報処理の全部又は一部を、各端末の通信インターフェイス部を介して、コンピュータ装置6による情報処理とすることができる。
【0066】
<<実施の形態パターン2>>
本発明の第2の実施形態における処理費決済に関する情報処理パターン(以下、パターン2)は、処理費決済代行契約が締結されている場合の、電子マニフェスト連動自動決済の処理フローである。以下、
図8~
図13を参照しながら、パターン2の手順について説明する。
パターン2では、
図8に示すステップS11~ステップS20が、この順に実施される。それぞれのステップは、排出事業者端末2、処理業者端末3、仲介業者端末4、及び決済業者端末5のうち、対応する端末装置によって実施される。
【0067】
(
図8のステップS11)
処理業者端末3は、制御部31において、通信インターフェイス部38により、電子マニフェストサーバ7から処理業者が登録した報告情報及び排出事業者が登録した承認情報を、定期的(例えば毎週月曜日など)に、自動受信(詳しくは、自動ダウンロード)してRAM32に格納し(
図11)、当該報告情報と当該承認情報が対応しているかを自動照合し、対応していれば、あらかじめストレージ部33に格納しておいた処理委託契約に基づく品目、数量単位、収集運搬方法、処分方法の区分(
図10)に応じた処理単価情報(
図12)と、RAM32に格納した報告情報の処理終了数量を自動参照して、処理業者請求情報を自動生成して、RAM32に格納し(
図13)、通信インターフェイス部38により、仲介業者端末4に、処理業者請求情報を自動送信する設定とする。すなわち、処理業者請求情報が示す額の処理費が、処理業者端末3から仲介業者端末4に自動請求される。ここで、処理業者請求情報が示す金額の処理費は、パターン2における第2処理費に相当する。
【0068】
(
図8のステップS12)
仲介業者端末4は、制御部41において、通信インターフェイス部48により、処理業者端末3から、処理費請求情報を自動受信してRAM42に格納し、電子マニフェストサーバ7から当該請求に係る報告情報及び承認情報を自動ダウンロードしてRAM42に格納し、当該報告情報と当該承認情報が対応しているかを自動照合し、対応していれば、処理費請求額(以下「仲介業者請求情報」という。)を自動生成して、RAM42に格納し、通信インターフェイス部48により、排出事業者端末2に、仲介業者請求情報を自動送信する設定とする。すなわち、仲介業者請求情報が示す額の処理費が、仲介業者端末4から排出事業者端末2に自動請求される。
【0069】
(
図8のステップS13)
排出事業者端末2は、制御部21において、通信インターフェイス部28により、仲介業者端末4から、仲介業者請求情報を自動受信してRAM22に格納し、電子マニフェストサーバ7から当該仲介業者請求情報に係る報告情報及び承認情報を自動ダウンロードしてRAM22に格納し、当該報告情報と当該承認情報が対応しているかを自動照合し、対応していれば、仲介業者請求確認情報を自動生成してRAM22に格納し、通信インターフェイス部28により、仲介業者端末4に、仲介業者請求確認情報を自動送信する設定とする。
【0070】
(
図8のステップS14)
仲介業者端末4は、制御部41において、通信インターフェイス部48により、排出事業者端末2から、仲介業者請求確認情報を自動受信してRAM42に格納し、処理業者請求情報と仲介業者請求情報が一連の決済、又は一体の決済にかかる請求情報であることを関連付ける関連付けコード1を、処理業者請求情報と仲介業者請求情報に自動添付し、RAM42に格納する設定とする(
図9参照)。
【0071】
また、このステップS14において、仲介業者端末4は、制御部41において、あらかじめストレージ部43に格納しておいた仲介業者が処理業者に請求する仲介手数料額又は仲介手数料率の情報があるときは、これを自動参照し、仲介業者が処理業者に請求する処理業者手数料情報を自動生成する。そして、仲介業者端末4は、処理業者請求情報と処理業者手数料情報が一連の決済又は一体の決済であることを関連付ける関連付けコード2を、処理業者請求情報と処理業者手数料情報に自動添付し、RAM42に格納する設定とする(
図9参照)。
【0072】
また、このステップS14において、仲介業者端末4は、制御部41において、あらかじめストレージ部43に格納しておいた仲介業者が排出事業者に請求する仲介手数料額又は仲介手数料率の情報があるときは、これを自動参照し、仲介業者が排出事業者に請求する排出事業者手数料情報を自動生成し、仲介業者請求情報と排出事業者手数料情報を関連付ける関連付けコード3を、仲介業者請求情報と排出事業者手数料情報に自動添付し、RAM42に格納する設定とする(
図9参照)。
【0073】
(
図8のステップS15)
仲介業者端末4は、制御部41において、通信インターフェイス部48により、決済業者端末5に、RAM42に格納した処理業者請求情報、仲介業者請求情報、処理業者手数料情報、及び、排出事業者手数料情報を、決済業者端末5に自動送信する設定とする。
【0074】
決済業者端末5は、制御部51において、通信インターフェイス部58により、処理業者請求情報、仲介業者請求情報、処理業者手数料情報、及び、排出事業者手数料情報を自動受信し、RAM52に格納する設定とする。
【0075】
(
図8のステップS16)
決済業者端末5は、制御部51において、関連付けコード2により関連付けられている処理業者請求情報と処理業者手数料情報を自動照合し、相殺処理することにより、仲介事業者から処理業者への処理業者受取額情報を自動生成し、RAM42に格納する設定とする。これにより、仲介事業者端末4から処理業者端末3に、処理業者請求情報が示す処理費(第2処理費)から、処理業者手数料が示す仲介手数料を差し引いた額が自動請求される。
【0076】
決済業者端末5は、制御部51において、関連付けコード3により関連付けられている仲介業者請求情報と排出事業者手数料情報を自動照合し、合算処理することにより、排出事業者から仲介業者への排出事業者支払額情報を自動生成し、RAM42に格納する設定とする。これにより、排出事業者端末2から仲介業者端末4に、仲介事業者請求情報が示す処理費から、排出事業者手数料が示す中間手数料を上乗せした額が自動請求される。この自動請求額が第1処理費の額に相当する。
【0077】
(
図8のステップS17)
決済業者端末5は、制御部51において、処理業者請求情報と仲介業者請求情報を関連付ける関連付けコード1から、処理業者受取額情報と排出事業者支払額情報を関連付ける関連付けコード4を、仲介業者支払額情報と排出事業者支払額情報に自動添付し、RAM52に格納する設定とする(
図9参照)。
【0078】
(
図8のステップS18)
決済業者端末5は、制御部51において、関連付けコード4により関連付けられた処理業者受取額情報と排出事業者支払額情報を相殺処理することにより、仲介業者受取額情報を自動生成し、RAM52に格納する設定とする。
【0079】
(
図8のステップS19)
決済業者端末5は、制御部51において、通信インターフェイス部58により、銀行システム8に、処理業者の口座への資金の振り込みにかかる処理業者受取額情報、仲介業者の口座への資金の振り込みにかかる仲介業者受取額情報、排出事業者の口座からの資金の引き落としにかかる排出事業者支払額情報を自動送信し、銀行システム8に決済の実行を委託する設定とする。
【0080】
(
図8のステップS20)
決済業者端末5は、制御部51において、通信インターフェイス部58により、銀行システム8から処理業者受取額情報及び仲介業者受取額情報の支払確認情報を受信し、RAM52に格納し、同情報を排出事業者端末2に送信し、排出事業者端末2は、通信インターフェイス部28により、同情報を受信し、RAM22に格納し、グラフィックス処理部24で表示画像を作成し、表示部25の表示画面26に同画像を表示して決済状況を確認する設定とする。処理業者端末3、仲介業者端末4においても、同情報を受信し、同様に決済状況を確認する設定とする。
【0081】
以上のパターン2の各ステップにおいて、各端末における情報処理の全部又は一部を、各端末の通信インターフェイス部を介して、コンピュータ装置6による情報処理とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、仲介業者による、処理業者への排出事業者の紹介ないし契約仲介、排出事業者への処理業者への紹介ないし契約仲介、処理業者から複数の排出事業者への請求書の一本化、複数の処理業者から排出事業者への請求書の一本化、電子マニフェストの管理事務の代行、及び、電子マニフェストと請求書の照合事務の代行など、排出事業者と処理業者の間に仲介業者を介在させることの利便性を生かしながら、処理費決済の透明化と合理化を図ることができる。これにより、排出事業者と処理業者の取引及び取引の精算を仲介する仲介業者のビジネスモデルを拡充することをもって、廃棄物が資源として循環する社会及び経済の形成に資することができる。
また、本発明は、廃棄物処理費の決済に限定せず、発注者、受注者、仲介業者、及び決済業者の四者が介在する取引額の決済システムに利用し、又は援用することにより、取引額決済の透明化と合理化を図ることができ、発注者と受注者の取引を仲介する仲介業者のビジネスモデルを拡充することをもって、取引及び取引の精算が円滑かつ安全、確実に進行する社会及び経済の形成に資することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 通信ネットワーク
2 排出事業者端末
3 処理業者端末
4 仲介業者端末
5 決済業者端末
6 コンピュータ装置
7 電子マニフェストサーバ
8 銀行システム
21,31,41,51 制御部
22,32,42,52 RAM
23,33,43,53 ストレージ部
24,34,44,54 グラフィックス処理部
25,35,45,55 表示部
26,36,46,56 表示画面
27,37,47,57 入力部
27a,37a,47a,57a タッチ入力部
28,38,48,58 通信インターフェイス部
29,39,49,59 インターフェイス部
【要約】 (修正有)
【課題】各業者のそれぞれの間のキャッシュフローを明確且つシンプルにする排出事業者、処理業者、仲介業者及び決済業者の四者による廃棄物処理費決済を可能にする廃棄物処理費決済システムを提供する。
【解決手段】各端末及び各装置がネットワークを介して接続される廃棄物処理費決済システムであって、決済業者が、排出事業者から仲介業者への処理費等の支払い額と、仲介業者から処理業者への処理費の支払い額を相殺し、その差額を仲介手数料として算出することによって、仲介業者が介在していても、決済業者から処理業者に処理費を直接支払い、決済業者から仲介業者に仲介手数料のみを支払い、結果的に、仲介業者が処理費決済に介在していても、処理委託契約のある排出事業者から処理業者に処理費が直接支払われ、処理のマテリアルフローと処理費のキャッシュフローを一致させることができるようにする。
【選択図】
図1