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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】通信ネットワーク構成
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/084 20230101AFI20240711BHJP
   H04W 88/12 20090101ALI20240711BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20240711BHJP
   H04W 92/14 20090101ALI20240711BHJP
【FI】
H04W28/084
H04W88/12
H04W76/10
H04W92/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023514047
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2022069285
(87)【国際公開番号】W WO2023006400
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】21188428.3
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ムティカイネン,ヤリ
(72)【発明者】
【氏名】ゲルツォーニ,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】巳之口 淳
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-518398(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111405567(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアクセス制御コンポーネントであって、各前記アクセス制御コンポーネントは、少なくとも1つの基地局に接続され、前記少なくとも1つの基地局を介して通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するセッション管理シグナリング情報及びモビリティ管理情報を前記少なくとも1つの基地局と交換するように構成される、複数のアクセス制御コンポーネント;
セッション管理コンポーネントであって、前記各アクセス制御コンポーネントは、前記少なくとも1つの基地局から受信した、前記少なくとも1つの基地局を介して前記通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するセッション管理情報を前記セッション管理コンポーネントに転送するように構成される、セッション管理コンポーネント;及び
モビリティ管理コンポーネントであって、前記各アクセス制御コンポーネントは、前記少なくとも1つの基地局から受信した、前記少なくとも1つの基地局を介して前記通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するモビリティ管理情報を前記モビリティ管理コンポーネントに転送するように構成される、モビリティ管理コンポーネント;を有し、
前記各アクセス制御コンポーネントは、前記モビリティ管理コンポーネントよりも前記少なくとも1つの基地局の地理的に近くに配置されたコンピュータシステムによって実装される、
通信ネットワーク構成。
【請求項2】
前記少なくとも1つの基地局から受信した、前記少なくとも1つの基地局を介して前記通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連する前記セッション管理シグナリング情報及び前記モビリティ管理情報は、
前記モバイル端末と前記アクセス制御コンポーネントとの間で交換され、前記少なくとも1つの基地局によってリレーされるシグナリング情報、及び
前記基地局と前記アクセス制御コンポーネントとの間で交換され、前記少なくとも1つの基地局を介して前記通信ネットワークに接続された前記モバイル端末に関連するシグナリング情報、を含む、
請求項1に記載の通信ネットワーク構成。
【請求項3】
前記アクセス制御コンポーネント及び前記セッション管理コンポーネントを実装するローカルデータセンターを有し、前記モビリティ管理コンポーネントを実装する中央データセンターを有する、
請求項1に記載の通信ネットワーク構成。
【請求項4】
前記各アクセス制御コンポーネントは、前記少なくとも1つの基地局を介して前記通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連する前記セッション管理シグナリング情報及び前記モビリティ管理情報を、前記少なくとも1つの基地局を有する無線アクセスネットワークに固有のインターフェースを介して前記少なくとも1つの基地局と交換するように構成される、
請求項1に記載の通信ネットワーク構成。
【請求項5】
前記各アクセス制御コンポーネントは、複数のセッション管理コンポーネントから前記セッション管理コンポーネントの検出と選択を行った後、サービスベースのインターフェースを介して前記少なくとも1つの基地局から受信した前記少なくとも1つの基地局を介して前記通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連する前記セッション管理情報を、前記セッション管理コンポーネントに転送するように構成される、
請求項1に記載の通信ネットワーク構成。
【請求項6】
前記各アクセス制御コンポーネントは、複数のセッション管理コンポーネントから前記セッション管理コンポーネントの検出と選択を行った後、サービスベースのインターフェースを介して前記少なくとも1つの基地局から受信した前記少なくとも1つの基地局を介して前記通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連する前記モビリティ管理情報を、前記モビリティ管理コンポーネントに転送するように構成される、
請求項1に記載の通信ネットワーク構成。
【請求項7】
前記各アクセス制御コンポーネントは、さらに、前記セッション管理コンポーネントから前記セッション管理情報を受信し、受信した前記セッション管理情報を前記少なくとも1つの基地局に転送するように構成される、
請求項1に記載の通信ネットワーク構成。
【請求項8】
前記各アクセス制御コンポーネントは、さらに、前記モビリティ管理コンポーネントから前記モビリティ管理情報を受信し、受信した前記モビリティ管理情報を前記少なくとも1つの基地局に転送するように構成される、
請求項1に記載の通信ネットワーク構成。
【請求項9】
前記セッション管理コンポーネントはセッション管理機能である、
請求項1に記載の通信ネットワーク構成。
【請求項10】
前記セッション管理コンポーネントは、前記モビリティ管理コンポーネントよりも前記アクセス制御コンポーネントが接続されている前記基地局の地理的に近くに配置され、前記セッション管理シグナリング情報及び前記モビリティ管理情報を交換するように前記アクセス制御コンポーネントが構成されている、コンピュータシステムによって実装される、
請求項1に記載の通信ネットワーク構成。
【請求項11】
前記アクセス制御コンポーネントの少なくとも一部の各々が、それぞれのコントロールプレーン無線アクセスネットワークコンポーネントと組み合わされる、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の通信ネットワーク構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信ネットワーク構成に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル無線通信システムの運用のために、様々な種類のシグナリング情報(signaling information)が無線アクセスネットワークとモバイル無線通信システムのコアネットワークとの間で交換される。これには特に、モバイル端末(mobile terminal)の登録及びセッションを処理するためのモビリティ管理(MM)情報及びセッション管理(SM)情報を含む。5G通信システム(3GPP(登録商標)(Third Generation Partnership Project)に準拠)では、モビリティ管理情報及びセッション管理情報の両方が、モビリティ管理情報自体を処理し、セッション管理情報をセッション管理機能(SMF)に転送するアクセス及びモビリティ管理機能によって受信される。
【0003】
通常、シグナリング及びシグナリングに使用される通信リソースをできるだけ少なく保つことが望ましい。したがって、特に、モビリティ管理情報及びセッション管理情報のより効率的な処理を可能にするアプローチが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
1つの実施形態によれば、複数のアクセス制御コンポーネントであって、各アクセス制御コンポーネントは、少なくとも1つの基地局に接続され、少なくとも1つの基地局を介して通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するセッション管理シグナリング情報及びモビリティ管理情報を少なくとも1つの基地局と交換するように構成される、複数のアクセス制御コンポーネント、セッション管理コンポーネントであって、各アクセス制御コンポーネントは、少なくとも1つの基地局から受信した、少なくとも1つの基地局を介して通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するセッション管理情報をセッション管理コンポーネントに転送するように構成される、セッション管理コンポーネント、及びモビリティ管理コンポーネントであって、各アクセス制御コンポーネントは、少なくとも1つの基地局から受信した、少なくとも1つの基地局を介して通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するモビリティ管理情報をモビリティ管理コンポーネントに転送するように構成される、モビリティ管理コンポーネントを含む、通信ネットワーク構成が提供される。
【0005】
本開示の態様に対応する様々な例を以下に示す。
【0006】
例2は、例1の通信ネットワーク構成であり、少なくとも1つの基地局から受信した、少なくとも1つの基地局を介して接続されたモバイル端末に関連するセッション管理シグナリング情報及びモビリティ管理情報は、モバイル端末とアクセス制御コンポーネントとの間で交換され、少なくとも1つの基地局によってリレーされる(relayed)シグナリング情報と、基地局とアクセス制御コンポーネントとの間で交換され、少なくとも1つの基地局を介して通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するシグナリング情報を含む。
【0007】
例3は、例1又は2の通信ネットワーク構成であり、アクセス制御コンポーネント及びセッション管理コンポーネントを実装するローカルデータセンターを有し、モビリティ管理コンポーネントを実装する中央データセンターを有する。
【0008】
例4は、例1から例3のいずれか1つの通信ネットワーク構成であり、各アクセス制御コンポーネントは、少なくとも1つの基地局を介して通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するセッション管理シグナリング情報及びモビリティ管理情報を、アクセス固有のインターフェース(access-specific interface)を介して少なくとも1つの基地局と交換するように構成される。
【0009】
例5は、例1から例4のいずれか1つの通信ネットワーク構成であり、各アクセス制御コンポーネントは、複数のセッション管理コンポーネントからセッション管理コンポーネントの検出及び選択を行った後、サービスベースのインターフェースを介して少なくとも1つの基地局から受信した少なくとも1つの基地局を介して通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するセッション管理情報を、セッション管理コンポーネントに転送するように構成される。
【0010】
例6は、例1から例5のいずれか1つの通信ネットワーク構成であり、各アクセス制御コンポーネントは、複数のセッション管理コンポーネントからセッション管理コンポーネントの検出及び選択を行った後、サービスベースのインターフェースを介して少なくとも1つの基地局から受信した少なくとも1つの基地局を介して通信ネットワークに接続されたモバイル端末に関連するモビリティ管理情報を、モビリティ管理コンポーネントに転送するように構成される。
【0011】
例7は、例1から例6のいずれか1つの通信ネットワーク構成であり、各アクセス制御コンポーネントは、さらに、セッション管理コンポーネントからセッション管理情報を受信し、受信したセッション管理情報を少なくとも1つの基地局に転送するように構成される。
【0012】
例8は、例1から例7のいずれか1つの通信ネットワーク構成であり、各アクセス制御コンポーネントは、さらに、モビリティ管理コンポーネントからモビリティ管理情報を受信し、受信したモビリティ管理情報を少なくとも1つの基地局に転送するように構成される。
【0013】
例9は、例1から例8のいずれか1つの通信ネットワーク構成であり、セッション管理コンポーネントはセッション管理機能である。
【0014】
例10は、例1から例9のいずれか1つの通信ネットワーク構成であり、各アクセス制御コンポーネントは、モビリティ管理コンポーネントよりも少なくとも1つの基地局の地理的に近くに配置されたコンピュータシステムによって実装される。
【0015】
例11は、例1から例10のいずれか1つの通信ネットワーク構成であり、セッション管理コンポーネントは、アクセス制御コンポーネントが接続されている基地局の地理的に近くに配置され、モビリティ管理コンポーネントよりもセッション管理シグナリング情報及びモビリティ管理情報を交換するようにアクセス制御コンポーネントが構成されたコンピュータシステムによって実装される。
【0016】
例12は、例1から例11のいずれかの1つの通信ネットワーク構成であり、アクセス制御コンポーネントの少なくとも一部の各々が、それぞれのコントロールプレーン無線アクセスネットワークコンポーネント(control plane radio access network component)と組み合わされる。
【0017】
以下では、さまざまな例について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面において、同様の参照符号が、概して、異なる図を通して同じ部分を指す。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに概して本発明の原理を説明することに重点が置かれている。以下の説明では、以下の図面を参照してさまざまな態様が説明される。
【0019】
図1】例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)によって規定された5G(Fifth Generation)に従って構成された無線通信システムの部分を示す。
図2】一実施形態による無線通信システムの部分を示す。
図3】アクセス制御機能(ACF)が分散フロントエンドとして実装されたアーキテクチャを示す。
図4】CU-CP(セントラルユニット-コントロールプレーン(Central Unit-Control Plane))とACFの1つのコンポーネントへの統合を示す。
図5】一実施形態によるプロトコルスタックを示す。
図6】5Gプロトコルスタックを示す。
図7】一実施形態による通信ネットワーク構成を示す。
図8】一実施形態による通信ネットワーク構成を示し、アクセス制御コンポーネントの複数のグループがあり、各グループはそれぞれのセッション管理(SM)コンポーネントによってサービスされる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明は、本発明を実施することができる本開示の特定の詳細及び態様を例示として示す添付図面を参照する。他の態様を利用することができ、構造的、論理的及び電気的な変更を、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。本開示のいくつかの態様が、本開示の1つ以上の他の態様と組み合わせて新しい態様を形成することができるため、本開示の様々な態様は必ずしも相互に排他的ではない。
【0021】
図1は、例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)で規定された5G(Fifth Generation)に従って構成された無線通信システム100の部分を示している。
【0022】
無線通信システム100は、UE(ユーザ機器)、ナノ機器(NE)などのようなモバイル無線端末装置102を含む。モバイル無線端末装置102は、加入者端末とも呼ばれ、端末側を形成し、一方、以下で説明する無線通信システム100の他のコンポーネントは、モバイル無線通信ネットワーク側の部分、すなわちモバイル無線通信ネットワーク(例えば、公衆陸上モバイルネットワーク(Public Land Mobile Network)PLMN)の部分である。
【0023】
さらに、無線通信システム100は、複数の無線アクセスネットワークノード、すなわち、5G(第5世代)無線アクセス技術((5G New Radio))に従って無線アクセスを提供するように構成された基地局を含み得る無線アクセスネットワーク103を含む。無線通信システム100は、LTE(Long Term Evolution)又は他のモバイル無線通信規格に従う構成であってもよいが、ここでは例として5Gを用いることが留意されるべきである。各無線アクセスネットワークノード103は、無線インターフェースを介してモバイル無線端末装置102との無線通信を提供し得る。無線アクセスネットワーク103は、任意の数の無線アクセスネットワークノードを含み得ることが留意されるべきである。
【0024】
無線通信システム100は、さらに、RAN103に接続されたアクセス及びモビリティ管理機能(Access and Mobility Management Function)(AMF)104とセッション管理機能(Session Management Function)(SMF)105を含むコアネットワーク(5GC)101を含む。
【0025】
コアネットワーク101は、統合データ管理(Unified Data Management)(UDM)、ネットワークスライス選択機能(Network Slice Selection Function)(NSSF)、ユーザープレーン機能(User Plane Function)(UPF)、AUSF(認証サーバ機能(Authentication Server Function))又はPCF(ポリシー制御機能(Policy Control Function))のように、ここでは示されていない多くのコンポーネントを含む。
【0026】
UE102とAMFとの間のインターフェースはN1インターフェースとして示される。これはNAS(非アクセス層(Non-Access Stratum))の一部であると見ることができる。
【0027】
RAN103とAMF104との間のインターフェースはN2インターフェースとして示される(及びピアツーピアベース又はサービスベースであることができる)。これは、RAN103に依存するという意味で、アクセス固有のインターフェースと見なすことができる。
【0028】
AMF104は、セッション管理(SM)情報(UE102及びRAN103からそれぞれN1又はN2インターフェースを介して受信する)をSMFに転送する、すなわち、SM関連のN1及びN2シグナリング情報をSMF105に転送する。
【0029】
AMF104は、図1の5GアーキテクチャにおけるN1及びN2シグナリングの集中型フロントエンドであり、すなわち複数の基地局を担当し、すなわち、AMF104によってサービスされるRAN103は複数の基地局を含む。
【0030】
無線アクセスネットワーク103とコアネットワーク101(例えば、6Gのための)との間でネットワーク機能を再分散することは、利点となる場合がある。これは、「RAN-CNコンバージェンス」とも呼ばれる。例えば、サービスベースのアーキテクチャ(現在は3GPP 5G CNでのみ採用されている)を一部のRAN機能に拡張することを可能にし、仮想化された展開の採用という点でメリットがある場合がある。
【0031】
したがって、さまざまな実施形態に応じて、5G AMF(アクセス制御及びモビリティ機能)は、アクセス固有の機能:図2に示すように、ACF(アクセス制御機能)と、アクセスに依存しないモビリティ管理機能(MMF)に分割される。
【0032】
図2は、無線通信システム200の一部を示している。
【0033】
図1の無線通信システム100と同様に、無線通信システム200は、コアネットワーク201、UE202、RAN203、SMF205を含む。
【0034】
しかし、図1の無線通信システム100とは異なり、無線通信システム200は、ACF204及びMMF206を含む。
【0035】
ACF204は、ネットワーク側のNAS(非アクセス層(Non Access Stratum))フロントエンドをUEに実装し、N1(すなわちNAS)セキュリティを終了する(terminate)。さらに、ACF204は、MMF206によるMM N1及びN2シグナリング、及びSMF205によるSM N1及びN2シグナリングを行う、すなわち、N1インターフェース及びN2インターフェースを介して送受信するMMF/SMFによりMM/SMシグナリング情報を交換する。
【0036】
言い換えれば、ACFはMMシグナリング情報をSMシグナリング情報から分離し(切り離し)、MMF及びSMFと並行して相互作用する(interacts)。したがって、MM N1/N2プロシージャはSM N1/N2プロシージャから切り離される。
【0037】
1つの実施形態によれば、ACF204は、N1及びN2シグナリングのための分散フロントエンドである、すなわち、それぞれが少なくとも1つの基地局にサービスを提供する複数のACFがある(しかし、例えばAMF104によってサービスされるよりも少なく、SMF205及びMMF206によってサービスされるよりも少ない)。
【0038】
図3は、ACFが分散フロントエンドであるアーキテクチャを示している。
【0039】
この例では、ACF301及びSMF302は分散データセンター(又は「分散クラウド」)308によって実装され、一方、MMF303は中央データセンター(又は「中央クラウド」)309によって実装される。分散データセンター/クラウド対中央データセンター/クラウドという用語は、ACF301とSMF302がMMF303よりも少ない数の基地局(すなわち、小さいサービスエリアを有する)にサービスを提供する責任があり、MMF303よりもサービスを提供する基地局の(地理的に)近くに配置されることを意味し、すなわち、ACF301とSMF302はローカルであり、一方、MMF303は中央である。
【0040】
ここで、基地局(gNB)はそのコンポーネントDU(分散ユニット(Distributed Unit))304、CU-CP(セントラルユニット-コントロールプレーン)305、CU-UP(セントラルユニット-ユーザープレーン(Central Unit-User Plane))306によって表される。
【0041】
CU(CU-CP305及びCU-UP306を含む)は、SDAP(サービスデータ適応プロトコル(Service Data Adaptation Protocol))、PDCP(パケットデータコンバージェンスプロトコル(Packet Data Convergence Protocol))、RRC(無線リソース制御(Radio Resource Control))などのプロトコルスタックの上位層をサポートし、DUはRLC、MAC及び物理層などのプロトコルスタックの下位層をサポートする。
【0042】
通常、基地局(gNB)ごとに単一のCUがあるが、1つのCUが複数のDUを制御できる。各DUは1つ以上のセルをサポートできるため、1つのgNBが数百のセルを制御できる。CUとDUとの間のインターフェースはF1と名付けられる。
【0043】
分散データセンターはさらに、例えばMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング(Multi Access Edge Computing))コンポーネント312に接続されたユーザープレーン機能(User Plane Function(UPF))307を実装する。
【0044】
ACF301により、MM N1/N2プロシージャはMM N1/N2プロシージャとは別に且つ並行して実行することができる。
【0045】
MM更新とSM更新の頻度は異なることができる:MM更新、すなわちMMシグナリング311は登録とモビリティ追跡にのみ必要であるため、SM更新、すなわちSMシグナリング310ほど頻繁には必要ない。図3のアーキテクチャでは、SM NAS要求をローカルで処理できる。
【0046】
これは、SMF302が、MMF303と比較して、ローカルである、すなわち、SMF302のサービスエリア(すなわち、SMF302がSMを行う基地局を含むエリア)が、(中央)MMF303のサービスエリア(すなわち、MMF303がMMを行う基地局を含むエリア)より小さいためである。
【0047】
したがって、SM NAS要求はローカルで処理でき、長距離MMプロシージャによって遅延しない。これには、コントロールプレーンの遅延と中央クラウド309に向けたシグナリング負荷の軽減という点で利点がある。
【0048】
さらに、ACF301は、図3に示すように(6G)RANコントロールプレーン機能CU-CP305と同じ場所にある(co-located with)ことができるため、図4に示すようにそれと組み合わせることができる。
【0049】
図4は、CU-CPとACFの1つのコンポーネント400への統合を示している。
【0050】
結果として得られるコンポーネントは、UE403へのUuインターフェース及びN1インターフェース、ならびにMMF404(MMF303に対応)へのサービスベースのインターフェース(SBI)を実現する。6G-ANとして表記される、CU-CPコンポーネント401とACFコンポーネント402はN2インターフェースによって接続される。
【0051】
SBIは、5G SBA(サービスベースのアーキテクチャ(Service Based Architecture))内の2つのVNF(仮想化ネットワーク機能(Virtualized Network Functions))間で実行できるAPIベースの通信に与えられる用語である。所与のVNFは、特定のサービス又はサービス操作を呼び出すために、SBI経由のAPIコールを利用できる。
【0052】
CU-CPとACFの組み合わせは、(例えば、仮想化プラットフォームに実装するために)仮想化に適していないSCTP(ストリーム制御伝送プロトコル(Stream Control Transmission Protocol))のようなN2インターフェースにおいて3GPP固有のレガシープロトコル(すなわち、すべてのIT機器で共通にサポートされているわけではない)の削除を可能にする。さらに、CU-CPとACFの組み合わせは、重複する機能を組み合わせることによってシステムアーキテクチャを簡素化することを可能にする。これにより、パフォーマンスが向上する。
【0053】
分散N1/N2フロントエンドとしてACFを提供することはさらに、UE側とRAN側の両方の削減された電力消費につながる:低レイテンシの通信要件を必要とするサービスは、通常、常時接続を使用する。しかし、UEが常に接続モードであることは、バッテリ消費の問題につながる。ACFによって、アイドルモードから再開するためのサービスリクエストプロシージャをより高速にすることができる:常時接続の代わりにアイドルモードを使用でき、バッテリ消費の面でメリットがある。常時接続されているUEの数を減らすことで、RANでの電力消費も減らすことができる。
【0054】
さらに、(ローカル)ACFは、(ACFからの)コントロールプレーン通知を有効にし得、これは(ACFがRANと同じ場所に配置されている)UEに関するより豊富な情報を保持し得る。Rel-17では、5GはUPFで利用可能な情報、すなわち、QoS監視情報に限定されたUPFからアプリケーション層への通知を実装することが留意されるべきである。
【0055】
図5は、ACF503、MMF504、UE506、SMF507、6G-AN510によって実装された一実施形態によるプロトコルスタック500を示している。
【0056】
図6は、比較のために5Gプロトコルスタック601,602を示している。
【0057】
プロトコルスタック500では、NG-AP(次世代-アプリケーションプロトコル(Next Generation-Application Protocol)501とNASトランスポート(セキュリティヘッダーを含む)502は、AMF603での5Gの場合と同様にACF503で終了する。MMF504とSMF507へのSB(サービスベースの)インターフェースを処理する単一のACF503が示されている。
【0058】
このようにして、ACF503はN2 MM情報と(N1)NAS-MM情報を決定し、関連する情報要素をNx/Nmmfインターフェース505(5Gアーキテクチャに関して追加される、すなわち5Gアーキテクチャには存在しない)経由でMMF504に送信できる。
【0059】
UE506とACF503との間のインターフェースは、(5G)UE604とAMF603との間のインターフェースと同じであり得る。
【0060】
NG-AP501はオプションである:6GノードB(NodeB)がACF503と統合されている場合、NG-AP501は必要ない。この場合、MMシグナリング情報508のためのNGAP(NGアプリケーションプロトコル)とSMシグナリング情報509のためのNGAPのみが存在し、6G-AN510とACF503との間のNGAPトランスポートは存在しない。
【0061】
ACF503(ローカル又はセントラル)
・SCTPを終了する
・N1/NASセキュリティを終了する
・MMFからUEコンテキストを取得し、それを格納する。
・N1をSMコンテナとMMコンテナに分割する(5Gに関してNAS-MMコンテナを導入;NAS-SMコンテナは5Gと同様に実装され得る)
・N2をSMコンテナとMMコンテナに分割する(5Gに関してNGAP-MMコンテナを導入;NAS-SMコンテナは5Gと同様に実装され得る)
・SMF507ととともにN11インターフェースを実装する(5Gと同様に実装され得る)。N11はACF503とSMF507の間の基準ポイントであり、NsmfはSMF507によって示されるサービスベースのインターフェースである。
・(Nx/Nmmfインターフェース505の)Nxインターフェース(サービスベース)をMMF504に実装する。NxはACF503とMMFと間の基準ポイントである。NmmfはMMF504によって示されるサービスベースのインターフェースである。
【0062】
MMF504(中央)はNmmfサービスベースのインターフェース(Nx/Nmmfインターフェース505の)を実装し、ACF503でNx基準ポイント上のNAS-MM及びNGAP-MMプロシージャ(登録(ユーザ認証)、登録エリア更新)をサポートする。
【0063】
要約すると、様々な実施形態にしたがって、図7に示すような通信ネットワーク構成が提供される。
【0064】
図7は、一実施形態による通信ネットワーク構成700を示す。
【0065】
通信ネットワーク構成は、複数のアクセス制御コンポーネント701を含み、各アクセス制御コンポーネント701は、少なくとも1つの基地局702に接続され、1つの基地局を介して通信ネットワークに接続されたモバイル端末705に関連するセッション管理シグナリング情報及びモビリティ管理情報を、少なくとも1つの基地局702と交換するように構成される。
【0066】
通信ネットワーク構成700は、さらに、セッション管理コンポーネント703を含み、各アクセス制御コンポーネント701は、少なくとも1つの基地局702から受信したセッション管理情報を、セッション管理コンポーネント703に転送するように構成される。
【0067】
さらに、通信ネットワーク構成700は、モビリティ管理コンポーネント704を含み、各アクセス制御コンポーネント701は、少なくとも1つの基地局702から受信したモビリティ管理情報を、モビリティ管理コンポーネント704に転送するように構成される。
【0068】
様々な実施形態によれば、言い換えれば、アクセス制御コンポーネント(例えば、アクセス制御機能)は、RANとモビリティ管理コンポーネント及びセッション管理コンポーネントとの間に接続され、複数のアクセス制御コンポーネントは、モビリティ管理情報を同じモビリティ管理コンポーネント及び同じセッション管理コンポーネントに転送する。
【0069】
特に、モビリティ管理コンポーネントよりも多くのアクセス制御コンポーネントがある。これは、アクセス制御コンポーネントが基地局と同じ場所に配置されることを可能にする(又は、少なくとも、モビリティ管理コンポーネントよりも、アクセス制御コンポーネントがサービスを提供する基地局の地理的に近くに配置されることを可能にする)。
【0070】
1つの実施形態によれば、例えば、各SMコンポーネントをアクセス制御コンポーネントのグループ(例えば、上記のような分散データセンターにおいて)と同じ場所に配置し、一方、MMコンポーネントを共有して、より離れた場所に配置される(例えば、中央の場所において)ように、複数のSMコンポーネントがある。これを図8に示す。
【0071】
図8は、さまざまな実施形態による通信ネットワーク構成800を示し、アクセス制御コンポーネント801の複数のグループ805があり、各グループ805はそれぞれのSMコンポーネント803によってサービスされるが、すべてのグループが共通のMMコンポーネント804を共有する(すなわち、同じMMコンポーネント804によって共有される)。
【0072】
アクセス制御コンポーネント801は、必ずしもSMコンポーネントと静的に接続されているわけではないことが留意されるべきである。サービスベースのアーキテクチャでは、各アクセス制御コンポーネント801は、アクセス制御コンポーネント801がSMサービスを呼び出す必要があるたびに、異なるSMコンポーネント803を検出して(discover)選択し得る。その意味で、図8に示すアクセスコンポーネント801のグループ化は固定されておらず、動的に変更される可能性がある。したがって、図8は、単一のMMコンポーネントによって提供される複数のアクセス制御コンポーネント801が、複数のSMコンポーネント803によって提供される可能性があると理解されるべきである。
【0073】
各アクセス制御コンポーネント701、801は、無線アクセスネットワーク(すなわち、無線アクセスネットワークの特性に依存するインターフェース)へのアクセス固有のインターフェースと、モビリティ管理コンポーネント(例えば、MMF)又はセッション管理コンポーネント(例えば、SMF)へのサービスベースのインターフェースを持つと見なすことができる。
【0074】
これは、各アクセス制御コンポーネントがアクセス固有のインターフェースを介してMM及びSM関連の情報を受信するように構成され、且つ、サービスベースのインターフェースを介してMM関連の情報をMMコンポーネントに、サービスベースのインターフェースを介してSM関連の情報をSMコンポーネントに配信するように構成されていることを意味する。
【0075】
サービスベースのインターフェースは、例えばHTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル(Hypertext Transfer Protocol))に基づいている場合がある。サービスベースのインターフェース(SBI)は、各ACコンポーネント801がSBIを公開する複数のSMコンポーネント803からサービスを呼び出すことができることを意味する:SMサービスの呼び出す際、ACコンポーネントは複数のSMコンポーネントからSMコンポーネントの検出と選択を実行する。その後、ACコンポーネントは選択されたSMコンポーネントによって公開されたSBIを呼び出す。同様に、MMサービスを呼び出す際、ACコンポーネントは複数のMMコンポーネントからMMコンポーネントの検出と選択を実行する。
【0076】
さまざまな実施形態によると、各アクセス制御コンポーネント701、801は、分散コントロールプレーン(N1/N2)シグナリングフロントエンドと見なすことができ、NASシグナリングを終了し、MMF及びSMFとそれぞれ別個のMM及びSMシグナリングを処理することができる。これは、ネットワークアーキテクチャの簡素化、より高速なコントロールプレーンの動作、バッテリ消費の観点からのユーザのメリット、及びコントロールプレーンからアプリケーション層へのより豊富な通知を可能にする。
【0077】
したがって、さまざまな実施形態によれば、通信ネットワークでは、コントロールプレーン機能(ACF)が、モビリティ管理とセッション管理の両方のためのUEからの非アクセス層(N1)シグナリングと、モビリティ管理とセッション管理の両方のためのアクセスノード(N2)シグナリングを処理し、非アクセス層(N1)とアクセスネットワーク(N2)シグナリングの両方のための第2のコントロールプレーン機能(MMF)によるMMシグナリングと、非アクセス層(N1)とアクセスネットワーク(N2)シグナリングの両方のための第3のコントロールプレーン機能(SMF)によるSMシグナリングを処理する。
【0078】
ACFとMMFとの間のインターフェース及びACFとSMFとの間のインターフェースは、例えばサービスベースである。
【0079】
通信ネットワーク構成のコンポーネントは、例えば1つ以上の回路によって実装される。「回路」は、任意の種類の論理実装エンティティとして理解することができ、これはメモリ、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせに格納されているソフトウェアを実行する特別な目的の回路又はプロセッサであり得る。したがって、「回路」は、ハードワイヤード論理回路である場合もあれば、プログラマブルプロセッサ、例えばマイクロプロセッサのようなプログラマブル論理回路である場合もある。「回路」は、ソフトウェア、例えば任意の種類のコンピュータプログラムを実行するプロセッサである場合もある。上記のそれぞれの機能の他の種類の実装も、「回路」として理解することができる。
【0080】
特定の態様が記載されているが、添付の請求項によって定義される本開示の態様の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に様々な変更を加えることができることを当業者は理解すべきである。したがって、範囲は添付の請求項によって示され、したがって、範囲は、請求項の意味及び均等の範囲内にあるすべての変更が包含されることを意図している。
図1
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図8