(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】マルチリンクデバイスのリンク動作のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04W 76/15 20180101AFI20240711BHJP
H04W 76/11 20180101ALI20240711BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240711BHJP
H04W 88/10 20090101ALI20240711BHJP
H04W 16/32 20090101ALN20240711BHJP
【FI】
H04W76/15
H04W76/11
H04W84/12
H04W88/10
H04W16/32
(21)【出願番号】P 2023520291
(86)(22)【出願日】2021-02-23
(86)【国際出願番号】 EP2021054374
(87)【国際公開番号】W WO2022179675
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クレイン,アリク
(72)【発明者】
【氏名】シロ,シモン
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0335454(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0184428(US,A1)
【文献】Ming Gan (Huawei),ML element design,IEEE 802.11-20/1124r3,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-1124-03-00be-ml-element-design.pptx>,2021年02月04日
【文献】Mark RISON (Samsung),Review of P802.11be/D0.3 for CC34,IEEE 802.11-21/0218r0,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/21/11-21-0218-00-00be-review-of-p802-11be-d0-3-for-cc34.docx>,2021年02月11日
【文献】Yonggang Fang (ZTE TX),pdt-mac-mlo-6-3-5-and-6-authentication,IEEE 802.11-20/1610r1,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-1610-01-00be-pdt-mac-mlo-6-3-5-and-6-authentication.docx>,2020年10月12日
【文献】Yonggang Fang (ZTE TX),pdt-mac-mlo-6-3-7-to-9-association,IEEE 802.11-20/1611r1,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/20/11-20-1611-01-00be-pdt-mac-mlo-6-3-7-to-9-association.docx>,2020年10月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)システムにおいて動作するマルチリンクデバイス(MLD)であり、媒体アクセス制御(MAC)層管理エンティティ(MLME)及びステーション管理エンティティ(SME)を含むMLDであって、
前記SMEにより、選択されたリンクアイデンティティ(ID)を前記MLMEに示すように構成されたプロセッサであり、前記選択されたリンクIDは、AP MLDに所属するアクセスポイント(AP)と非AP MLDに所属する非AP STAとの間のフレーム交換に使用されるリンクを示す、プロセッサと、
前記選択されたリンクIDにより示される前記リンクを通じて1つ以上のフレームを交換するように構成されたトランシーバと
を含
み、
前記選択されたリンクIDは、前記MLMEにより前記SMEに提供される以下の管理サービス、すなわち、認証、認証解除、アソシエーション、再アソシエーション、アソシエーション解除で示される、MLD。
【請求項2】
前記MLDは単一のMAC層及び少なくとも2つの物理(PHY)層を含む、請求項
1に記載のMLD。
【請求項3】
前記少なくとも2つのPHY層は別々の周波数帯域に対応し、各PHY層は物理層管理エンティティ(PLME)により管理される、請求項
2に記載のMLD。
【請求項4】
前記SMEは前記MLME及び/又は前記PLMEと相互作用するように構成される、請求項
3に記載のMLD。
【請求項5】
前記選択されたリンクIDは基本バリアントマルチリンク要素(MLE)の共通部分に含まれる、請求項1乃至
4のうちいずれか1項に記載のMLD。
【請求項6】
前記選択されたリンクIDは4ビットである、請求項1乃至
5のうちいずれか1項に記載のMLD。
【請求項7】
マルチリンクデバイス(MLD)についてのリンク動作の方法であり、当該方法はワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)システムにおいて使用され、前記MLDは、媒体アクセス制御(MAC)層管理エンティティ(MLME)及びステーション管理エンティティ(SME)を含む、方法であって、
前記SMEにより、選択されたリンクアイデンティティ(ID)を前記MLMEに示すステップであり、前記選択されたリンクIDは、AP MLDに所属するアクセスポイント(AP)と非AP MLDに所属する非AP STAとの間のフレーム交換に使用されるリンクを示すために使用される、ステップと、
前記選択されたリンクIDにより示される前記リンクを通じて1つ以上のフレームを交換するステップと
を含
み、
前記選択されたリンクIDは、前記MLMEにより前記SMEに提供される以下の管理サービス、すなわち、認証、認証解除、アソシエーション、再アソシエーション、アソシエーション解除で示される、方法。
【請求項8】
前記MLDは単一のMAC層及び少なくとも2つの物理(PHY)層を含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのPHY層は別々の周波数帯域に対応し、各PHY層は物理層管理エンティティ(PLME)により管理される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記SMEは前記MLME及び/又は前記PLMEと相互作用する、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記選択されたリンクIDは基本バリアントマルチリンク要素(MLE)の共通部分に含まれる、請求項
7乃至
10のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記選択されたリンクIDは4ビットである、請求項
7乃至
11のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサ実行可能命令を記憶した非一時的な機械読み取り可能記憶媒体であって、
前記プロセッサ実行可能命令は、通信デバイスのプロセッサにより実行されたとき、前記通信デバイスに請求項
7乃至
12のうちいずれか1項に記載のマルチリンクデバイス(MLD)についてのリンク動作の方法を実現させる、非一時的な機械読み取り可能記憶媒体。
【請求項14】
コンピュータ読み取り可能命令
を含むコンピュータプログラ
ムであって、
前記コンピュータ読み取り可能命令は、請求項
7乃至
12のうちいずれか1項に記載の方法を実行するための処理ハードウェアを含むコンピュータ化デバイスにより実行可能である、コンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システムに関し、排他的ではなく、より具体的には、ワイヤレスフィデリティ(wireless fidelity, Wi-Fi)システムにおけるマルチリンクデバイスのリンク動作のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers, IEEE)は、マルチリンクデバイス(multi-link device, MLD)のための次世代Wi-Fi標準の研究を行っている。無線超高スループット(extremely high throughput, EHT)アクセスポイント(access point, AP)MLD及び関連するEHT非AP MLDは、1つよりも多くのリンクを設定し、1つよりも多くのリンク上で、例えば、2.4ギガヘルツ(gigahertz, GHz)帯域上の1つのリンク及び5GHz上の他のリンクでフレームを交換することがある。これらのフレーム交換は、1つよりも多くのリンク上で同時に、或いは、単一のリンク上で一度に行われることができる。
【0003】
新たなMLD機能では、MLDが正常に利用されることを確保するために、多くの技術的課題が解決される必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、マルチリンクデバイス(multi-link device, MLD)のリンク動作のための方法及び装置を提供し、それにより、MLDの設定及び/又は取り消し手順についての伝送性能を改善することである。
【0005】
上記及び他の目的は、独立請求項の特徴により達成される。更なる実現形式は、従属請求項、説明及び図面から明らかになる。
【0006】
本開示の第1の態様によれば、MLDが開示される。MLDはAP MLD又は非AP MLDでもよい。MLDは、プロセッサ及びトランシーバを含む、媒体アクセス制御(medium access control, MAC)層管理エンティティ(MAC Layer Management entity, MLME)及びステーション管理エンティティ(station management entity, SME)を含み、プロセッサは、SMEにより、選択されたリンクアイデンティティ(identity, ID)をMLMEに示すように構成され、選択されたリンクIDは、AP MLDに所属するアクセスポイント(access point, AP)と非AP MLDに所属する非AP STAとの間のフレーム交換に使用されるリンクを示し、トランシーバは、選択されたリンクIDにより示されるリンクを通じて1つ以上のフレームを交換するように構成される。
【0007】
第1の態様の1つの可能な実現方式では、選択されたリンクIDは、MLMEによりSMEに提供される以下の管理サービス、すなわち、認証、認証解除、アソシエーション、再アソシエーション、アソシエーション解除で示される。
【0008】
第1の態様の1つの可能な実現方式では、MLDは単一のMAC層及び少なくとも2つの物理(physical, PHY)層を含む。
【0009】
第1の態様の1つの可能な実現方式では、少なくとも2つのPHY層は別々の周波数帯域に対応し、各PHY層は物理層管理エンティティ(physical layer management entity, PLME)により管理される。
【0010】
第1の態様の1つの可能な実現方式では、SMEはMLME及び/又はPLMEと相互作用するように構成される。
【0011】
第1の態様の1つの可能な実現方式では、選択されたリンクIDは基本バリアント(variant)マルチリンク要素(multi-link element, MLE)の共通部分に含まれる。
【0012】
第1の態様の1つの可能な実現方式では、選択されたリンクIDは4ビットである。
【0013】
本開示の第2の態様によれば、MLDの方法が開示される。MLDはAP MLD又は非AP MLDでもよい。当該方法は、ワイヤレスフィデリティ(wireless fidelity, Wi-Fi)システムにおいて使用され、MLDは、媒体アクセス制御(medium access control, MAC)層管理エンティティ(MAC Layer Management entity, MLME)及びステーション管理エンティティ(station management entity, SME)を含み、SMEにより、選択されたリンクアイデンティティ(identity, ID)をMLMEに示すステップであり、選択されたリンクIDは、AP MLDに所属するアクセスポイント(access point, AP)と非AP MLDに所属する非AP STAとの間のフレーム交換に使用されるリンクを示すために使用される、ステップと、選択されたリンクIDにより示されるリンクを通じて1つ以上のフレームを交換するステップとを含む。
【0014】
第2の態様の1つの可能な実現方式では、選択されたリンクIDは、MLMEによりSMEに提供される以下の管理サービス、すなわち、認証、認証解除、アソシエーション、再アソシエーション、アソシエーション解除で示される。
【0015】
第2の態様の1つの可能な実現方式では、MLDは単一のMAC層及び少なくとも2つの物理(physical, PHY)層を含む。
【0016】
第2の態様の1つの可能な実現方式では、少なくとも2つのPHY層は別々の周波数帯域に対応し、各PHY層は物理層管理エンティティ(physical layer management entity, PLME)により管理される。
【0017】
第2の態様の1つの可能な実現方式では、SMEはMLME及び/又はPLMEと相互作用する。
【0018】
第2の態様の1つの可能な実現方式では、選択されたリンクIDは基本バリアントマルチリンク要素(multi-link element, MLE)の共通部分に含まれる。
【0019】
第2の態様の1つの可能な実現方式では、選択されたリンクIDは4ビットである。
【0020】
本開示の第3の態様によれば、コンピュータ読み取り可能記憶媒体が提供される。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は命令を記憶し、命令がコンピュータ上で実行されたとき、コンピュータは、第2の態様又は第2の態様の可能な実現方式のうちいずれか1つに従って、MLDについてのリンク動作の方法を実行することが可能になる。
【0021】
本開示の第4の態様によれば、命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されたとき、コンピュータは、第2の態様又は第2の態様の可能な実現方式のうちいずれか1つに従って、MLDについてのリンク動作の方法を実行することが可能になる。
【0022】
本開示の第5の態様によれば、通信システムが提供される。通信システムは複数のMLDを含み、複数のMLDはAP MLD及び非AP MLDを含み、MLDは、第2の態様又は第2の態様の可能な実現方式のうちいずれか1つに従って、MLDについてのリンク動作の方法をサポートするように構成される。
【0023】
本開示の第6の態様によれば、MLDについてのリンク動作の方法のいずれか1つのコンピュータ記憶媒体又はコンピュータプログラム製品は、上記に提供される対応する方法を実行するように構成され、したがって、装置、コンピュータ記憶媒体又はコンピュータプログラム製品が達成できる有益な効果については、上記に提供される対応する方法の有益な効果に参照が行われてもよい。詳細はここでは再び説明しない。
【0024】
本開示の他の装置、方法、特徴及び利点は、以下の図面及び詳細な説明の検討によって、当業者に明らかであるか或いは明らかになる。全てのこのような更なる装置、方法、特徴及び利点は本説明に含まれており、本開示の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲により保護されることを意図する。
【0025】
特に定義されない限り、ここで使用される全ての技術的及び/又は科学的用語は、実施形態に対して当業者により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。ここに記載のものと同様又は同等の方法及び資料は、実施形態の実施又は試験において使用できるが、以下に例示的な方法及び/又は資料が記載される。競合の場合、定義を含む特許明細書が支配する。さらに、資料、方法及び例は例示のみであり、必ずしも限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ここでは、いくつかの実施形態について、添付の図面を参照して例としてのみ説明する。ここで詳細に図面を特に参照すると、示されている詳細は例として、また、実施形態の例示的な議論の目的のためのものであることが強調される。この点に関して、図面と共に行われる説明は、実施形態がどのように実施されるかを当業者に明らかにする。
【
図1】本開示のいくつかの実施形態によるMLDについてのリンク動作のためのシステムを示す。
【
図2】MLDについての提案される管理エンティティアーキテクチャを示す。
【
図3】各MLMEサービスに定義されたプリミティブの例を示す。
【
図4】非AP MLD及びAP MLDのMLD設定手順の例を示す。
【
図5】いくつかの実施形態による本開示におけるMLDの可能な論理構造の概略図を示す。
【
図6】選択されたリンクIDを含む例示的なMLE構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、その適用において、以下の説明及び/又は図面及び/又は例に示すコンポーネント及び/又は方法の構造及び配置の詳細に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。ここに記載の実現方式は、他の実施形態にも可能であるか或いは様々な方法で実施又は実行可能である。
【0028】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるMLDについてのマルチリンク動作のためのシステムを示す。システム100は、AP MLD110及び1つ以上の非APステーション(station, STA)120を含む。AP MLD110は、複数のAP、例えば、
図1における2.4GHzリンク上で動作する111(AP1)、5GHzリンク上で動作する112(AP2)及び6GHzリンク上で動作する113(AP3)を含む。非AP MLD120は、複数の非APステーション(non-AP station, non-AP STA)、例えば、
図1における2.4GHzリンク上で動作する121(非AP STA1)、5GHzリンク上で動作する122(非AP STA2)、6GHzリンク上で動作する123(非AP STA3)を含む。いくつかの実施形態では、MLDはAP MLDを示してもよく、他のいくつかの実施形態では、MLDは非AP STAを示してもよい。システム100では、AP MLDに所属するAPは、非AP MLDに所属する非AP STAと通信するために、対応するリンクを使用してもよい。
【0029】
本開示におけるシステム100は、802.11beシステム又は以降のものを含むが、これらに限定されない。
【0030】
本開示では、MLDはAP MLD又は非AP STAでもよい。非AP MLDは、例えば、携帯電話、インテリジェント端末、タブレットコンピュータ(タブレット)、ノートブックコンピュータ(ラップトップ)、ビデオゲームコンソール、マルチメディアプレーヤ、Wi-Fiをサポートする車両、デバイス間(device to device, D2D)機器又はいずれかのスマートデバイスでもよい。AP MLD及び/又は非AP MLDは、固定又は移動デバイスでもよい。
【0031】
説明を容易にするために、この出願において使用される用語の意味は以下のように定義される。
【0032】
マルチリンクデバイス(multi-link device, MLD):論理エンティティであり、1つよりも多くの所属AP/非AP STAを有し、1つのMACデータサービスを含む、論理リンク制御(logical link control, LLC)への単一の媒体アクセス制御(medium access control, MAC)サービスアクセスポイント(service access point, SAP)を有するデバイス。
【0033】
アクセスポイント(access point, AP)マルチリンクデバイス(multi-link device, MLD):MLDに所属する各ステーション(station, STA)がAPであるMLD。
【0034】
非アクセスポイント(non-access point, non-AP)マルチリンクデバイス(multi-link device, MLD):MLDに所属する各ステーション(station, STA)が非AP STAであるMLD。
【0035】
所属AP又は非AP STAのそれぞれは、動作しているリンク上で実行されるフレーム交換について独自のMACアドレスを有する。しかし、AP又は非AP MLDは、全ての発信及び着信MACサービスデータユニット(MAC service data unit, MSDU)が転送される上位層に対して単一のエンティティを反映させるために、独自のMACアドレスを有しており、それにより、マルチリンク動作は完全にMAC層内で定義される。
【0036】
AP又は非AP MLDのパラメータは、リンクレベルパラメータ及び/又はMLDレベルパラメータとして分類される。リンクレベルパラメータは、リンク毎に各所属AP又は非AP STAについて異なる値を有してもよいが、MLDレベルパラメータは、全てのリンク上の全ての所属AP又は非AP STAにより使用される単一の値を有する。
【0037】
MLDは、非AP MLDがAP MLDにアソシエーションされるようになるプロセスとして設定を使用してもよい。ネットワークに接続されたエンティティにより発信される全てのMSDUは、非AP MLDに配信されてもよい。また、MSDUは、非AP MLDが設定手順を実行したAP MLDのいずれかに向けられてもよい。MSDUがAP MLDに配信されると、これらはAP MLDに所属するAPのうち1つ以上に向けられてもよく、これは、無線媒体(wireless medium, WM)を通じた非AP MLDへの伝送が有効である1つ以上の設定リンクを通じてMSDUの伝送を開始する。
【0038】
同様に、MLDは、非AP MLDがAP MLDにアソシエーション解除されることになるMLD取り消しプロセスを使用してもよい。ネットワークに接続されたエンティティにより生成されたMSDUは、非AP MLDに配信されるべきであり、非AP MLDがアソシエーション解除されることになったAP MLDに向けられなくてもよい。非AP MLDがAP MLDにアソシエーション解除されることになったとき、非AP MLDとAP MLDとの間で交換できるデータフレームは存在しない。
【0039】
設定プロセスは、正常な認証手順で先行されるべきである。設定プロセスは、少なくとも1つのアソシエーション要求フレーム及び少なくとも1つのアソシエーション応答フレームを使用して行われてもよい。少なくとも1つのアソシエーション要求フレーム及び少なくとも1つのアソシエーション応答フレームは、各所属AP又は非AP STAの全てのパラメータを含んでもよいマルチリンク要素(multi-link element, MLE)を含んでもよい。
【0040】
現在のMLD標準における手順は明確に定義されていない。これは、AP MLD及び/又は非AP MLDが1つよりも多くのリンク上でフレーム交換を開始することをもたらす可能性があり、これは非効率な手順及び重複動作をもたらす。
【0041】
上記の課題を解決するために、本開示は、MLDのリンク動作のための方法及び/又は装置を提供する。本開示は、SMEにより、選択されたリンクアイデンティティ(identity, ID)をMLMEに示すように構成されたプロセッサであり、選択されたリンクIDは、AP MLDに所属するアクセスポイント(access point, AP)と非AP MLDに所属する非AP STAとの間のフレーム交換に使用されるリンクを示す、プロセッサと、選択されたリンクIDにより示されるリンクを通じて1つ以上のフレームを交換するように構成されたトランシーバとを含むMLDを提供する。
【0042】
選択されたリンクIDは、MLMEによりSMEに提供される以下の管理サービス、すなわち、認証、認証解除、アソシエーション、再アソシエーション、アソシエーション解除で示される。MLDは単一のMAC層及び少なくとも2つの物理(physical, PHY)層を含む。少なくとも2つのPHY層は別々の周波数帯域に対応し、各PHY層は物理層管理エンティティ(physical layer management entity, PLME)により管理される。
【0043】
本開示において提供される方法及び/又は装置は、同じ課題を有するいずれかのMLDに使用されることを制限しなくてもよい点に留意すべきである。
【0044】
本開示に存在する実施形態は、システム、方法及び/又はコンピュータプログラム製品でもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに実施形態の態様を実行させるためのコンピュータ読み取り可能プログラム命令を有するコンピュータ読み取り可能記憶媒体(又は媒体)を含んでもよい。
【0045】
コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、命令実行デバイスにより使用される命令を保持及び記憶できる有形のデバイスとすることができる。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス又は上記のいずれかの適切な組み合わせでもよいが、これらに限定されない。
【0046】
コンピュータ読み取り可能記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)、読み取り専用メモリ(read-only memory, ROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory, SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(portable compact disc read-only memory, CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(digital versatile disk, DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク及び上記のいずれかの適切な組み合わせを含む。
【0047】
ここで使用されるコンピュータ読み取り可能記憶媒体は、電波又は他の自由に伝播する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通じて伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、又はワイヤを通じて伝送される電気信号のように、一時的な信号そのものとして解釈されない。
【0048】
ここに記載のコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、或いは、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク及び/又は無線ネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶デバイスにダウンロードできる。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカード又はネットワークインタフェースは、ネットワークからコンピュータ読み取り可能プログラム命令を受信してもよく、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ読み取り可能記憶媒体に記憶するためにコンピュータ読み取り可能プログラム命令を転送する。
【0049】
実施形態の動作を実行するためのコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(instruction-set-architecture, ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語若しくは同様のプログラミング言語のような従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語のいずれかの組み合わせで記述されたソースコード若しくはオブジェクトコードのいずれかでもよい。
【0050】
コンピュータ読み取り可能プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンのソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で且つ部分的にリモートコンピュータ上で、或いは完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行してもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(local area network, LAN)又は広域ネットワーク(wide area network, WAN)を含むいずれかのタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続されてもよく、或いは、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネットを通じて)外部コンピュータへの接続が行われてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、例えば、プログラム可能論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array, FPGA)又はプログラマブルロジックアレイ(programmable logic array, PLA)を含む電子回路は、実施形態の態様を実行するために、電子回路をパーソナライズするようにコンピュータ読み取り可能プログラム命令の状態情報を利用することにより、コンピュータ読み取り可能プログラム命令を実行してもよい。
【0052】
図5は、いくつかの実施形態による本開示におけるMLDの可能な論理構造の概略図を示す。MLDはプロセッサ502を含む。本開示のいくつかの実施形態では、プロセッサ502は、MLDの1つ以上のアクションを制御及び管理するように構成されてもよく、例えば、SMEにより、選択されたリンクIDをMLMEに示すためのコードを実行するように構成されてもよい。任意選択で、MLDはメモリ501及び通信インタフェース503を更に含んでもよい。プロセッサ502、通信インタフェース503及びメモリ501は、相互に接続されてもよく、或いは、バス504を使用することにより相互に接続されてもよい。通信インタフェース503は、通信を実行する際にMLDをサポートするように構成され、メモリ501は、通信デバイスのプログラムコード及びデータを記憶するように構成される。プロセッサ502は、メモリ501に記憶されたコードを呼び出して制御及び管理を実行する。メモリ501はプロセッサ502に結合されててもよく或いは結合されなくてもよい。
【0053】
プロセッサ502は、中央処理装置、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他のプログラム可能論理デバイス、トランジスタ論理デバイス、ハードウェアコンポーネント又はこれらのいずれかの組み合わせでもよい。プロセッサ502は、本開示に開示される内容を参照して記載される様々な例示的な論理ブロック、モジュール及び回路を実現又は実行してもよい。代替として、プロセッサ502は、計算機能を実現するプロセッサの組み合わせ、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサの組み合わせ、又はデジタルシグナルプロセッサとマイクロプロセッサとの組み合わせでもよい。バス504は、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(Peripheral Component Interconnect, PCI)バス、拡張業界標準アーキテクチャ(Extended Industry Standard Architecture, EISA)バス等でもよい。バスは、アドレスバス、データバス、制御バス等に分類されてもよい。
【0054】
通信インタフェース503は、無線信号の送信及び/又は受信をサポートできるトランシーバでもよく、或いは、通信インタフェース503は、内部及び/又は外部モジュールでもよい異なるモジュールの間の通信のためのソフトインターフェイスでもよい。
【0055】
図2は、MLDについての提案される管理エンティティアーキテクチャを示す。管理エンティティアーキテクチャ200は、ステーション管理エンティティ(station management entity, SME)、MAC層管理エンティティ(MAC layer management entity, MLME)及び少なくとも2つの物理(physical, PHY)層管理エンティティ(PHY layer management entity, PLME)を含む。
【0056】
SMEは、AP MLD及び非AP MLDを含むMLDの全体的な管理エンティティである。SMEは、正しいMAC層動作を提供することを担う。SMEは、上位層の管理機能を実行し、標準管理プロトコルを実現してもよい。一般的に、SMEは必ずしもMLDの不可欠な部分として考えられなくてもよいが、MLME及びPLMEはSTAの内部部分として考えられてもよい。
【0057】
SMEは、レイヤ依存管理エンティティ、例えば、MLME及び/又はPLMEを使用して、STA動作に必要な特定のアクション又はサービスを実行してもよい。管理エンティティの間の相互作用は、サービスアクセスポイント(service access point, SAP)を通じて行われてもよい。SAPを通じた管理サービスは、認証、アソシエーション、再アソシエーション、アソシエーション解除等を含む。MLDでは、SMEはMLDにおいて行われる全ての管理アクティビティを担ってもよい。
【0058】
MLMEによりSMEに提供されるサービスは、MLD設定手順中に使用されてもよく、少なくとも、認証、アソシエーション、再アソシエーション、アソシエーション解除を引き起こす。
【0059】
SMEは、SAPを通じて提供されるサービスにより、MLME及び/又はPLMEと相互作用してもよい。異なるレイヤ又はサブレイヤの間でサービスを提供するために、一種の抽象プリミティブが定義される。
図3はMLMEサービス毎に定義されたプリミティブの例を示す。
【0060】
図3に示すように、プリミティブは次を含む。
・Service.request
・Service.confirm
・Service.indication
・Service.response
【0061】
プリミティブService.request及びService.responseはSMEにより生成されてもよく、プリミティブService.confirm及びService.indicationはMLMEにより生成されてもよい。プリミティブのそれぞれは、プリミティブの生成器、例えば、SME及び/又はMLMEにより割り当てられるパラメータのセットを有する関数として抽象的に定義されてもよい。プリミティブ内のサービスは、例えば、認証、アソシエーション、再アソシエーション、アソシエーション解除のうち1つでもよい。
【0062】
上記の課題を解決するために、SMEは、選択されたリンクIDをMLMEに示してもよく、選択されたリンクIDは、アクセスポイント(access point, AP)MLD及び非AP MLDの間のフレーム交換に使用されるリンクを示す。
【0063】
選択されたリンクIDを示すことにより、MLMEはフレーム交換に使用されるリンクを認識してもよい。利点は、各リンク上で管理機能を伝送することを回避し、したがって、効率が改善されることである。
【0064】
選択されたリンクIDは、異なるプリミティブにおいて異なる名前を有してもよい点に留意すべきである。例えば、選択されたリンクIDは、MLME-ASSOCIATE.request、MLME-REASSOCIATE.request、MLME-ASSOCIATE.response又はMLME-REASSOCIATE.responseプリミティブにおいてselectedSetupLinkIDと呼ばれてもよく、選択されたリンクIDは、MLME-DISASSOCIATE.requestにおいてselectedTeardownLinkIDと呼ばれてもよく、選択されたリンクIDは、MLME-AUTHENTICATE.request又はMLME-DEAUTHENTICATE.requestプリミティブにおいてselectedAuthenticateLinkIDと呼ばれてもよい。
【0065】
一実施形態では、selectedSetupLinkIDは、MLME-ASSOCIATE.request、MLME-REASSOCIATE.request、MLME-ASSOCIATE.response又はMLME-REASSOCIATE.responseプリミティブにおいて示されてもよい。selectedSetupLinkIDは、アソシエーション又は再アソシエーション要求/応答フレーム交換がMLD設定段階中に行われ得るリンクID値を示してもよい。当該値は、AP MLD MLEにおいて定義されているリンクID値のうち1つでもよい。
【0066】
以下のパラメータは、MLME-ASSOCIATE.request又はMLME-REASSOCIATE.requestプリミティブにおいて更に示されてもよい。
・PeerSTAAddress:非AP MLDがアソシエーションされることになる可能性があるAP MLD MACアドレスを示す。
・EHT能力:MLD、例えば、AP MLD又は非AP MLDに定義され得る能力のセット。
・基本バリアントMLE:非AP MLDの各所属STAの情報を含む(非AP MLD MACアドレスを含む)。
【0067】
MLME-ASSOCIATE.requestプリミティブを受信すると、非AP MLDは、MLME-ASSOCIATE.requestプリミティブにおいて示されたリンクID上で動作している非AP MLDに所属する非AP STAの1つを使用して、アソシエーション要求フレーム内に基本バリアントMLEを有するアソシエーション要求フレームの伝送を開始してもよい。
【0068】
このように、MLMEは、SMEにより必要とされる各サービスを、非AP MLDに所属する非AP STAとAP MLDに所属するAPとの間で交換される特定の管理フレームのセットに「変換」する。
【0069】
一実施形態では、selectedAuthenticateLinkIDは、MLME-AUTHENTICATE.request又はMLME-DEAUTHENTICATE.requestプリミティブにおいて示されてもよい。selectedAuthenticateLinkIDは、認証又は認証解除フレーム交換がMLD事前設定段階中に実行され得るリンクID値を示してもよい。当該値は、AP MLD MLEにおいて定義されているリンクID値のうち1つでもよい。
【0070】
以下のパラメータは、MLME-AUTHENTICATE.requestプリミティブにおいて更に示されてもよい。
・PeerSTAAddress:非AP MLDが認証するAP MLD MACアドレスを示してもよい。
・基本バリアントMLE:非AP MLDの各所属STAの情報を含む(非AP MLD MACアドレスを含む)。
【0071】
一実施形態では、selectedTeardownLinkIDは、MLME-DISASSOCIATE.requestプリミティブにおいて示されてもよい。selectedTeardownLinkIDは、対応するアソシエーション解除フレーム交換がMLD取り消し段階中に行われ得るリンクID値を示してもよい。当該値は、AP MLDと非AP MLDとの間に設定され且つ伝送に利用可能であるリンクID値のうち1つでもよい。
【0072】
一実施形態では、MLD設定手順は以下のガイドラインを使用して行われてもよい。
・設定プロセスは、正常な認証手順で先行されてもよい。
・設定プロセスは、アソシエーション要求フレーム及びアソシエーション応答フレームを使用して行われてもよい。アソシエーション要求フレーム及びアソシエーション応答フレームはMLEを含む。MLEは、各所属AP又は非AP STAの全てのパラメータを含んでもよい。
・アソシエーション要求フレーム及びアソシエーション応答フレームは、単一のリンク、例えば、同じリンク上で動作する1つの所属非AP STAと1つの所属APとの間の選択されたリンクを通じて交換されてもよい。
■非AP MLDに所属する各非AP STAは、同じリンク上で動作するAP MLDに所属するAPにアソシエーションされる。
■アソシエーション応答フレームは、同じリンク上で動作する所属非AP STAにより送信されたアソシエーション要求を受け入れるか拒否するかの各所属APの決定を含んでもよい。
・対応する所属AP又は非APにより受け入れられたリンクのみが設定リンクとして定義されてもよい。
■非AP MLDは、複数の設定リンクを通じてAP MLDにアソシエーションされることになってもよい。
【0073】
選択されたリンクがアソシエーション要求フレーム及びアソシエーション応答フレームに使用されるため、各リンク上でのアソシエーション要求フレーム及びアソシエーション応答フレームの伝送が回避され、効率が改善される。
【0074】
図4は非AP MLD及びAP MLDのMLD設定手順の例を示す。
図4において、AP MLDは、3つの所属AP、すなわち、2.4GHz周波数帯域上で動作するAP1、5GHz周波数帯域上で動作するAP2及び6GHz周波数帯域上で動作するAP3を含む。非AP MLDは、3つの所属非AP STA、すなわち、2.4GHz周波数帯域上で動作するSTA1、5GHz周波数帯域上で動作するSTA2及び6GHz周波数帯域上で動作するSTA3を含む。
【0075】
MLD設定は、2.4GHz周波数帯域上のリンクを通じて行われてもよく、アソシエーション要求フレームの送信及びアソシエーション応答フレームの受信を含んでもよい。これらのフレームのそれぞれはMLEを含む。
【0076】
アソシエーション要求フレームに含まれるMLEは、対応する所属APとのアソシエーションを必要とする所属非AP STAのそれぞれの全てのパラメータを含んでもよい。
【0077】
アソシエーション応答フレームに含まれるMLEは、所属APのそれぞれの全てのパラメータと、アソシエーションが受け入れられるか拒否されるかの指示とを含んでもよい。
【0078】
マルチリンク設定プロセスが成功し、全てのリンクの全ての要求が受け入れられたとき、非AP STA1がAP1にアソシエーションされ、非AP STA2がAP2にアソシエーションされ、非AP STA3がAP3にアソシエーションされる。
【0079】
一実施形態では、MLD取り消し手順は以下のガイドラインを使用して行われてもよい。
・設定プロセスは、AP MLD又は非AP MLDのいずれかにより開始できるアソシエーション解除フレームを使用して行われてもよい。
・アソシエーション解除フレームは、単一のリンク、例えば、同じリンクで動作する1つの所属非AP STAと1つの所属APとの間の選択されたリンクを通じて交換されるものとする。
■その結果、アソシエーション解除フレームの受信者は、所属非AP STA/APのそれぞれが、いずれかのMSDUを対応する所属AP/非AP STAに送信するのを禁止する。
・このように、非AP MLD及びAP MLDが全てのリンクについてアソシエーション解除されることになってもよい。
【0080】
選択されたリンクがアソシエーション解除フレーム交換に使用されるため、各リンク上でのアソシエーション解除フレームの伝送が回避され、効率が改善される。
【0081】
一実施形態では、セキュリティ関連キー、例えば、ペアワイズマスターキー(pairwise master Key, PMK)及びペアワイズトランジェントキー(pairwise transient key, PTK)がMLDレベルで定義されてもよい。したがって、データフレームの暗号化/解読に使用されるPMK、PTKは、非AP MLDとAP MLDとの間のフレーム交換のために、非AP MLDに所属する全ての非AP STAと、AP MLDに所属する全てのAPとにより使用されてもよい。
【0082】
さらに、認証手順は、例えば、同等性同時認証(simultaneous authentication of equals, SAE)方法でPMKを生成してもよい。PTKは、MLD設定手順の後に発生する4ウェイハンドシェイク手順で生成されてもよい。PMKの生成は、選択されたたリンク上での認証フレーム交換を通じて行われてもよく、非AP MLDに所属する1つの非AP STA及びAP MLDに所属する対応するAPにより生成されたPMKは、同じMLDに所属する全ての他の非AP STA/APにより使用されるものとする。
【0083】
認証フレーム交換のために選択されたリンクを使用することにより、認証フレームの各リンク上での伝送が回避され、効率が改善される。
【0084】
一実施形態では、MLDは、選択されたリンクIDにより示されるリンクを通じて1つ以上のフレームを交換してもよい。選択されたリンクIDは、上記で詳述したselectedSetupLinkID、selectedAuthenticateLinkID又はselectedTeardownLinkIDのうちいずれか1つでもよい。selectedSetupLinkID、selectedAuthenticateLinkID又はselectedTeardownLinkIDの名前は、本開示における限定ではない点に留意すべきである。
【0085】
選択されたリンクIDは、基本バリアントMLEの共通情報部分に含まれてもよい。選択されたリンクIDは、MLEがこのようなフレーム(特定のセットのフレーム用)に含まれるときに対応するフレーム交換が実行され得るリンクID値を示す。
【0086】
MLD設定及び/又は取り消し手順において使用される1つ以上のフレームは、認証、認証解除、アソシエーション要求、アソシエーション応答、再アソシエーション要求、再アソシエーション応答、アソシエーション解除を含むが、これらに限定されない。
【0087】
任意選択で、選択されたリンクIDは4ビットである。
【0088】
図6は、選択されたリンクIDを含む例示的なフレーム構造を示す。
図6において、選択されたリンクIDは、基本バリアントMLEの共通情報部分内の「MLD動作用の選択されたリンク」フィールドに含まれる。
図6におけるTBDは、「定義予定」の省略であり、これは、従来技術ではまだ定義されていないことを意味する。選択されたリンクIDはフレームに新たに追加されたフィールドである。選択されたリンクIDは4ビットに設定されてもよいが、何ビットが設定されるかは標準定義に依存してもよく、この開示は選択されたリンクIDの長さの制限を有さず、例えば、選択されたリンクIDは8ビット、16ビット又はkビットに設定されてもよく、kは整数である。
【0089】
様々な実施形態の説明は、説明の目的で提示されているが、網羅的であること又は開示の実施形態に限定されることを意図するものではない。多くの修正及び変形は、記載の実施形態の範囲及び真意から逸脱することなく、当業者には明らかになる。ここで使用される用語は、実施形態の原理、市場で発見された技術に対する実用的適用又は技術的改善を最も良く説明するため、或いは、当業者がここに開示の実施形態を理解することを可能にするために選択されている。
【0090】
「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語及びこれらの活用は、「含むが限定されない」ことを意味する。
【0091】
ここで使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数の参照を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、これらの混合物を含む複数の化合物を含んでもよい。
【0092】
「例示的」という語は、ここでは「例、インスタンス又は例示としての役目をする」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載される如何なる実施形態も、必ずしも他の実施形態よりも好ましいか或いは有利であると解釈されるとは限らず、及び/又は、他の実施形態からの特徴の組み込みを排除するとも限らない。「A/B」という記号は、A及びB、A又はBを含んでもよい。
【0093】
「任意選択で」という語は、ここでは「いくつかの実施形態で提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するために使用される。いずれかの特定の実施形態は、このような特徴が競合しない限り、複数の「任意選択の」特徴を含んでもよい。
【0094】
この出願を通じて、様々な実施形態は範囲形式で提示されてもよい。範囲形式での説明は、単に便宜及び簡潔さのためのものであり、実施形態の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【0095】
明確にするために、別々の実施形態の文脈で記述されている実施形態の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが認識される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記述されている実施形態の様々な特徴もまた、別々に或いはいずれかの適切なサブコンビネーションで、或いは、いずれかの他の記載の実施形態において適切に提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で記述された特定の特徴は、実施形態がこれらの要素なしでは動作不可能である場合を除き、これらの実施形態の本質的な特徴とは考えられない。
【0096】
実施形態について、その特定の実施形態に関連して記載されているが、多くの代替、修正及び変形が当業者に明らかになることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の真意及び広範な範囲内にある全てのこのような代替、修正及び変形を包含することを意図する。
【0097】
本開示は、装置の観点からMLDのリンク動作のための解決策を説明しているが、本開示で対処されるべき課題はまた、方法及び/又はシステムにより実現できることを当業者が理解することは明らかである。MLDのリンク動作のための方法は、冗長性を回避するために詳述されない。
【0098】
この明細書で参照される全ての出版物、特許及び特許出願は、あたかも個々の出版物、特許又は特許出願が参照されたときに参照により援用されることが具体的且つ個別に記されているかのように、参照によりその全内容を明細書に組み込まれることが、出願人の意図である。さらに、この出願におけるいずれかの参照の引用又は特定は、このような参照が実施形態に対する従来技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されないものとする。セクション見出しが使用される範囲において、これらが必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。