IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エブナー インドゥストリーオーフェンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-金属プレートのセンタリング装置 図1
  • 特許-金属プレートのセンタリング装置 図2
  • 特許-金属プレートのセンタリング装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】金属プレートのセンタリング装置
(51)【国際特許分類】
   C21D 1/00 20060101AFI20240711BHJP
   C21D 9/00 20060101ALI20240711BHJP
   C21D 1/18 20060101ALI20240711BHJP
   F27B 9/24 20060101ALI20240711BHJP
   F27B 9/30 20060101ALI20240711BHJP
   B65G 47/29 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C21D1/00 112B
C21D1/00 B
C21D1/00 115Z
C21D1/00 112M
C21D1/00 118Z
C21D9/00 A
C21D1/18 P
F27B9/24 R
F27B9/30
B65G47/29 L
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023527810
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 AT2021060413
(87)【国際公開番号】W WO2022094644
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】102020129506.5
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521217105
【氏名又は名称】エブナー インドゥストリーオーフェンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト エブナー
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト フーマー
(72)【発明者】
【氏名】アントン オッパーマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シャッツ
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203470711(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第103111536(CN,A)
【文献】実開昭48-072336(JP,U)
【文献】特開昭51-026607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0100760(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0131167(US,A1)
【文献】特表2020-507472(JP,A)
【文献】特表2019-529109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00
C21D 9/00
C21D 1/18
F27B 9/00 - 9/40
B65G 47/22 - 47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼戻し処理システム(200)に対して金属プレート(150)を整列するための装置(100)であって、
前記金属プレート(150)を加熱又は冷却するための少なくとも1つの焼戻し処理ユニット(201、202、203)を有し、
前記装置(100)は、
少なくとも2つの支持ローラ(101)であって、それらの上に前記金属プレート(150)が配置可能であり、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の回転により搬送方向(105)で、かつ搬送面(204)内で焼戻し処理システム(200)を通して搬送可能であり、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)は前記搬送方向(105)に離間して配置されている、少なくとも2つの支持ローラ(101)と、
少なくとも1つのセンタリングフィンガ(111)を備えた第1のセンタリングユニット(110)であって、前記センタリングフィンガ(111)は前記搬送面(204)内で移動可能に配置され、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)上に配置可能である前記金属プレート(150)を所定の向きに整列するために、前記センタリングフィンガ(111)は前記搬送方向(105)に対して横断方向に移動可能である、第1のセンタリングユニット(110)と、
を備え、
前記装置(100)は、更に、少なくとも1つのセンタリングフィンガ(111)を有する第2のセンタリングユニット(115)を備え、前記少なくとも1つのセンタリングフィンガ(111)は前記搬送面(204)内で移動可能に配置され、前記金属プレート(150)を別の所定の向きに整列するために、前記搬送方向(105)に対して横断方向に移動できるようにし、
前記第2のセンタリングユニット(115)は、前記搬送方向(105)及び/又は前記搬送方向(105)に対して横断方向に前記第1のセンタリングユニット(110)から離間して配置されている、装置(100)において、
前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)の前又は前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)内の床において、前記搬送方向(105)に配置された床ガイド(116)及び前記横断方向に配置された別の床ガイド(117)を有する床ガイドユニットが配置され、
前記搬送方向(105)における前記床ガイド(116)と前記横断方向(106)における前記別の床ガイド(117)は交差するガイドレールを有し、このガイドレールに沿って前記第1のセンタリングユニット(110)と前記第2のセンタリングユニット(115)とを、前記搬送方向(105)又は前記横断方向に適宜案内でき、及び適宜調整できる、装置(100)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの支持ローラ(101)は前記搬送方向(105)に対して横断方向に延びている、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記センタリングフィンガ(111)は前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の間に配置されている、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記センタリングフィンガ(111)は前記搬送面(204)の上方の領域と前記搬送面(204)の下方の領域との間に延びている、請求項1~3の何れか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記センタリングフィンガ(111)は、該センタリングフィンガ(111)の自由端が前記搬送面(204)の上方の領域と前記搬送面(204)の下方の領域との間で移動できるように、前記搬送面(204)に対して垂直に移動可能に配置されている、請求項4に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記第1のセンタリングユニット(110)は、前記搬送方向(105)に対し横断方向に延びるガイドユニット(112)を有し、前記センタリングフィンガ(111)は、該センタリングフィンガ(111)が前記ガイドユニット(112)に沿って移動できるように、該ガイドユニット(112)と連結されている、請求項1~5の何れか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記センタリングフィンガ(111)は、リニアモータ(113)により前記ガイドユニット(112)に沿って駆動可能である、請求項6に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記搬送方向(105)における前記床ガイド(116)及び/又は前記横断方向(106)における前記別の床ガイド(117)を備えた床ガイドユニットを有する、請求項1~7の何れか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記センタリングフィンガ(111)は、繊維強化材料、特に繊維強化セラミック、特に炭化ケイ素を有し、及び/又は
前記金属プレート(150)を整列するように構成された前記センタリングフィンガ(111)の自由端はステンレス鋼材を有する、請求項1~8の何れか一項に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記第1のセンタリングユニット(110)は少なくとも1つの別のセンタリングフィンガ(114)を有し、前記金属プレート(150)を所定の向きに整列するために、前記搬送方向(105)に対して横断方向に移動できるように、前記少なくとも1つの別のセンタリングフィンガ(114)は前記搬送面(204)内で移動可能に配置され、
前記少なくとも1つの別のセンタリングフィンガ(114)は、前記搬送方向(105)に対して横断方向に前記センタリングフィンガ(111)から離間し、前記センタリングフィンガ(111)と前記少なくとも1つの別のセンタリングフィンガ(114)との間に前記金属プレート(150)が配置可能である、請求項1~9の何れか一項に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記金属プレート(150)を搬送するための前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の少なくとも1つは、前記搬送方向(105)に駆動可能である、請求項1~10の何れか一項に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記搬送面(204)内で選択的に移動可能な停止バー(103)であって、前記金属プレート(150)の前記搬送方向(105)における移動を停止するために、前記金属プレート(150)が前記搬送方向(105)で停止バー(103)に向かって移動可能である、停止バー(103)を備える、請求項1~11の何れか一項に記載の装置(100)。
【請求項13】
前記停止バー(103)は、前記搬送方向(105)に対して横断方向に延び、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の間に配置されている、請求項12に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記停止バー(103)は前記搬送面(204)に対して垂直に移動可能に配置されている、請求項12又は13に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記停止バー(103)は炭化ケイ素を有する、請求項12~14の何れか一項に記載の装置(100)。
【請求項16】
前記搬送面(204)における前記金属プレート(150)の姿勢を検出するように構成された検出ユニット(104)、特に光学検出ユニット(104)を更に備え、
前記センタリングフィンガ(111)は前記金属プレート(150)の姿勢の検出に基づいて制御可能であり、前記センタリングフィンガ(111)の移動により、前記金属プレート(150)が前記搬送面(204)内で所定の姿勢に移動でき、請求項1~15の何れか一項に記載の装置(100)。
【請求項17】
金属プレート(150)の温度を制御するための焼戻し処理システム(200)であって、
該焼戻し処理システム(200)は、
少なくとも1つの焼戻し処理ユニット(201、202、203)と、
請求項1~16の何れか一項に記載の金属プレート(150)を整列するための装置(100)と、を備えており、
前記装置(100)は、前記金属プレート(150)が前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)の前又は少なくとも部分的に前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)内で整列できるように、前記搬送方向(105)で前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)の前又は前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)内に配置されている、焼戻し処理システム(200)。
【請求項18】
前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)は、冷却ユニット、特に接触冷却器であり、及び/又は前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)は炉ユニットである、請求項17に記載の焼戻し処理システム(200)。
【請求項19】
焼戻し処理システム(200)のための金属プレート(150)を整列するための方法であって、
前記金属プレート(150)を加熱又は冷却するための少なくとも1つの焼戻し処理ユニット(201、202、203)を備え、
前記金属プレート(150)を、少なくとも2つの支持ローラ(101)により搬送面(204)内で前記焼戻し処理システム(200)を通して搬送するステップであって、前記金属プレート(150)は、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の上に配置され、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)が回転することにより搬送方向(105)に搬送され、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)は前記搬送方向(105)に離間して配置されている、ステップと、
前記金属プレート(150)を所定の向きに整列するステップであって、前記搬送方向(105)に対して横断方向に移動可能であるように、前記搬送面(204)内で移動可能に配置された少なくとも1つのセンタリングフィンガ(111)を有する第1のセンタリングユニット(110)と、前記金属プレート(150)を別の所定の向きに整列するために、前記搬送方向(105)に対して横断方向に移動可能であるように、前記搬送面(204)内で移動可能に配置された少なくとも1つのセンタリングフィンガ(111)を有する第2のセンタリングユニット(115)と、によって整列するステップと、
を備え
前記第2のセンタリングユニット(115)は、前記搬送方向(105)及び/又は前記搬送方向(105)に対する前記横断方向において前記第1のセンタリングユニット(110)から離間して配置されている、方法において、
前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)の前又は前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)内の床において、前記搬送方向(105)に配置された床ガイド(116)及び前記横断方向に配置された別の床ガイド(117)を有する床ガイドユニットが配置され、前記搬送方向(105)における前記床ガイド(116)と前記横断方向(106)における前記別の床ガイド(117)は交差するガイドレールを有し、このガイドレールに沿って前記第1のセンタリングユニット(110)と前記第2のセンタリングユニット(115)とを、前記搬送方向(105)又は前記横断方向に適宜案内でき、及び適宜調整できる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼戻し処理システムに対して金属プレートを整列するための装置、及び金属プレートを焼き戻すための焼戻し処理システムに関する。さらに、本発明は、焼戻し処理システムに対して金属プレートを整列するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平鋼や金属プレートなどの扁平な金属部品は、焼戻し処理装置で所望の温度に加熱又は冷却される。焼戻し処理装置は、例えば圧延装置やプレス硬化装置などの成形装置を持つことができる。
【0003】
最新の焼戻し処理装置では、金属プレートは、特に金属プレートの特定の領域が金属プレートの他の領域と異なって焼き戻されるように、所定の温度プロファイルで処理される。このようにすると、金属プレートの特定の領域で硬度や延性などの所望の材料特性を選択的に調節できる。焼戻し処理装置における金属プレートの位置決め公差により、所定の焼戻し処理プロファイルからの逸脱を招くことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、金属プレートを所望の温度プロファイルで処理するために、焼戻し処理システムの焼戻し処理装置において金属プレートを正確に整列することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、独立請求項の主題に従い、焼戻し処理システムに対して金属プレートを整列するための装置、金属プレートを焼き戻すための焼戻し処理システム、及び焼戻し処理システムに対して金属プレートを整列するための方法によって解決される。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、金属プレートを加熱又は冷却するための少なくとも1つの焼戻し処理ユニットを有することができる、焼戻し処理システムに対して金属プレート(もしくは金属プレート)を整列するための装置が記載される。この装置は、少なくとも2つの支持ローラを有しており、それらの上に金属プレートを載せて、支持ローラが回転することにより搬送面内で搬送方向に焼戻し処理システムを通して搬送することができ、支持ローラは搬送方向に離間して配置されている。さらに、装置は、少なくとも1つのセンタリングフィンガを備えた第1のセンタリングユニットを有しており、センタリングフィンガは、金属プレートを所定の向きに整列するために、搬送方向に対して横断方向に移動できるように、搬送面内で移動可能に配置されている。
【0007】
本発明の別の態様によれば、金属プレートを加熱又は冷却するための少なくとも1つの焼戻し処理ユニットを有することができる、金属プレートを焼き戻すための焼戻し処理システムが記載される。焼戻し処理システムは、少なくとも1つの焼戻し処理ユニットと、上述した金属プレートを整列するための装置を有しており、装置は、金属プレートが焼戻し処理ユニットの前又は少なくとも部分的に中で整列できるように、搬送方向で焼戻し処理ユニットの前に配置されている。
【0008】
本発明の別の態様によれば、焼戻し処理システムに対して金属プレートを整列するための方法が記載される。この方法によれば、金属プレートは、少なくとも2つの支持ローラにより搬送面内で焼戻し処理システムを通して搬送され、支持ローラの上に金属プレートが載って、支持ローラが回転することにより(即ち少なくとも1つの駆動される支持ローラによって)搬送方向に搬送される。支持ローラは、搬送方向に離間して配置されている。さらに、金属プレートは、少なくとも1つのセンタリングフィンガを備えた第1のセンタリングユニットによって所定の向きに整列され、センタリングフィンガは、金属プレートを整列するために、搬送方向に対して横断方向に移動できるように、搬送面内で移動可能に配置されている。
【0009】
金属プレートは、特に扁平製品(平鋼、金属プレート)であり、したがって幅は厚さよりもはるかに大きい。金属プレートは、同じ種類の個々の部品であってよい。金属プレートは、例えば鋼及び/又は非鉄金属を有することができる。特に金属プレートは、アルミニウムを有することができる。金属プレートは、例えば均一な矩形、円形又は楕円形の形状を有することができる。しかし、実際には金属プレートは、しばしば複雑な形状を有する。金属プレートは、例えば打ち抜き又は他の方法で適宜裁断されて複雑な輪郭を有する金属プレートをなす。この場合、焼戻し処理ユニットにおいて金属プレートの様々な領域がそれぞれ異なるように焼き戻されることが望ましい。
【0010】
焼戻し処理システムは、例えば搬送方向に相前後して配置されている1つ以上の焼戻し処理ユニットを有する。これらの焼戻し処理ユニットは、例えば金属プレートを加熱したり、選択的に冷却したりすることができる。この場合、金属プレートは焼戻し処理ユニットを通して連続的に搬送することができ、又は焼戻し処理ユニット内の所定の位置に順次配置して静止状態で熱処理した後、搬送方向に沿ってさらに搬送することもできる。焼戻し処理ユニットは、金属プレートの特定の領域を異なるように加熱又は冷却することができる。これにより、金属プレートが所定の姿勢に整列されていれば、金属プレートに所定の熱パターン又は冷却パターンを適用することができる。例示的な実施形態では、焼戻し処理ユニットは、冷却ユニット、特に接触冷却器である。追加的又は代替的に、部品を加熱するための炉ユニットを形成する焼戻し処理ユニットを設けることができる。
【0011】
金属プレートは、支持ローラに沿って搬送方向に搬送される。支持ローラは、特に搬送方向に対して横断方向に延び、例えば駆動されることができる。支持ローラは、例えば、望ましくない固化やその他の不純物質の付着を低減するために、様々なコーティングを有することができる。この場合、金属プレートを搬送方向に搬送するために、1つ以上の支持ローラを駆動することができる。
【0012】
本発明によれば、センタリングユニットが設けられ、これらは例えば搬送方向で焼戻し処理ユニットの前にあるか(コールドセンタリング)、又は部分的もしくは完全に焼戻し処理装置の焼戻し処理チャンバ内、例えば炉室自体の中に配置される(ホットセンタリング)。センタリングユニットは、搬送面内で移動可能に配置された少なくとも1つのセンタリングフィンガを有している。そのためセンタリングフィンガによって、金属プレートを所定の向きに動かして位置決めすることができる。
【0013】
センタリングフィンガは、棒状もしくはピン状要素として形成されていて、その支持部から金属プレートまで延びている。この場合、センタリングフィンガは、例えば後述するガイドユニットなどの駆動装置に連結できる連結領域と、それと反対側に搬送面内で金属プレートを動かして整列するために金属プレートの縁部に連結できる整列領域とを有することができる。
【0014】
搬送面は、金属プレートが載置されている面であり、搬送面内で金属プレートは搬送方向に移動する。搬送面は、搬送方向と横断方向に対して垂直な法線を有する。横断方向は、搬送方向に対して適宜直角に形成されている。言い換えれば、搬送方向と横断方向が搬送面を画定している。
【0015】
センタリングフィンガは、金属プレートがストッパに当接して定義された整列が行われるまで、金属プレートを第1の方向に、例えば横断方向に沿って動かすことができる。後述する実施形態では、金属プレートの反対側に別のセンタリングフィンガを配置することができ、そのため金属プレートを互いに対向する2つのセンタリングフィンガの間に挟み込んで適切に整列することが可能である。
【0016】
金属プレートの整列は、金属プレートの搬送方向への連続的な移動中に、センタリングフィンガが短時間接触して金属プレートの整列を実行することによって行うことができる。代替的に、金属プレートを搬送方向に順次搬送できる。この場合は、金属プレートを整列するために、金属プレートが静止するように搬送動作を停止することができる。次のステップで、センタリングフィンガが所定の位置に移動して、金属プレートを所望の向きに整列することができる。整列後、金属プレートは整列された状態で搬送方向にさらに搬送されることができる。これにより、金属プレートがセンタリング過程後に所定の位置又は向きを取ったことが保証される。これによってまた、後続の焼戻し処理ユニットで温度プロファイルもしくは温度パターンを正確かつ明確に適用することが可能になる。
【0017】
別の例示的な実施形態によれば、2つの支持ローラの間に少なくとも1つのセンタリングフィンガが配置されている。それにより2つの支持ローラの間の空間内でセンタリングフィンガが搬送方向に対して横断方向に移動する可能性があり、そのために正確な整列が可能である。支持ローラは離間して配置され、センタリングフィンガは狭い形状を有するので、本発明による装置は、支持ローラの位置を変更することなく設置及び後付けが可能である。
【0018】
別の例示的な実施形態によれば、センタリングフィンガは、搬送面の上方の領域と搬送面の下方の領域との間に延びている。特に支持ローラの下には十分な設置スペースがあるので、そこにセンタリングフィンガの駆動ユニットを設置することができる。この下部領域からセンタリングフィンガは、支持ローラの間の(搬送方向にある)間隙内で上部領域に突入して金属プレートを整列する。
【0019】
別の例示的な実施形態によれば、センタリングフィンガは、センタリングフィンガの自由端が搬送面の上方の領域と搬送面の下方の領域との間で移動できるように、搬送面に対して垂直に移動可能に配置されている。これにより、例えば金属プレートのセンタリング又は整列が迫っているときのみ、センタリングフィンガは上部領域に進入できる。この場合、センタリングフィンガは入れ子式に伸縮可能に形成できる。代替的に、センタリングフィンガは揺動して出入することができる。
【0020】
別の例示的な実施形態によれば、第1のセンタリングユニットは、搬送方向に対して横断方向に延びるガイドユニットを有する。センタリングフィンガは、センタリングフィンガがガイドユニットに沿って移動できるように、ガイドユニットと連結されている。ガイドユニットは、例えばレール又は対応するガイド溝を備えたユニットを有することができる。この場合、センタリングフィンガはそれ自体がガイド溝内に延びているか、又は連結要素でガイドユニットであるレールを包囲することができる。それによって、センタリングフィンガが確実に横断方向に沿って案内される堅牢な動作機構を実現できる。この場合、ガイドユニットは、直線進路又は曲線進路を持つことができるので、センタリングフィンガの特定の動作パターンを指定することができる。
【0021】
別の例示的な実施形態によれば、センタリングフィンガはリニアモータによりガイドユニットに沿って駆動可能である。リニアモータは、例えばセンタリングフィンガをガイドユニットに沿って駆動する電気サーボモータであることができる。例示的な実施形態では、ガイドユニットに沿ってコイルを設けることができ、それによりガイドユニットはリニア固定子として形成され、センタリングフィンガはリニアモータの回転子として機能して、適宜選択的に制御可能になる。
【0022】
代替的に、センタリングフィンガは、空気圧駆動機構又は油圧駆動機構によって横断方向に沿って移動することも可能である。例えばセンタリングフィンガ横断方向に動かすために、選択的に伸縮できる油圧シリンダ又は空気圧シリンダを設けることができる。
【0023】
別の例示的な実施形態によれば、装置は、搬送方向における床ガイド及び/又は横断方向における別の床ガイドを備えた床ガイドユニットを有する。床ガイドユニットは、焼戻し処理システムの床の上に、例えば焼戻し処理システムの焼戻し処理ユニット(例えば炉ユニット又は冷却ユニット)の前又は中に配置することができる。この場合、床ガイドユニットは、特に交換可能かつ適宜後付け可能に焼戻し処理ユニットの前又は中に設置することができる。搬送方向における床ガイド及び/又は横断方向における床ガイドは、例えば対応するガイドレール又はガイド溝を有することができ、これに沿ってセンタリングユニットを搬送方向又はそれに対して横断方向に適宜案内でき、及び適宜調節できる。これによりセンタリングユニットは、センタリングされる金属プレートの異なるサイズと形状に合わせて柔軟に調節することができる。例えばセンタリングユニットは床ガイドに沿って、例えばセンタリングユニット及び床ガイドユニット自体に配置されたリニアモータによって駆動されることができる。対応する制御ユニットは、センタリングユニットを床ガイドに沿って選択的に制御及び調節することができる。
【0024】
別の例示的な実施形態によれば、センタリングフィンガは、繊維強化材料、特に繊維強化セラミック、特に炭化ケイ素を有する。追加的又は代替的に、金属プレートを整列するように構成されたセンタリングフィンガの自由端は、ステンレス鋼材を有することができる。これによりセンタリングフィンガは、特に金属プレートとの接触領域で耐熱性及び堅牢性を有するように形成することができる。したがってセンタリングフィンガは、例えば、小さい隙間、特に支持ローラの間に通すことができるようにフィリグリー状に形成することができる。
【0025】
別の例示的な実施形態によれば、第1のセンタリングユニットは、金属プレートを所定の位置に整列するために、搬送方向に対して横断方向に移動できるように、搬送面内で移動可能に配置された少なくとも1つの別のセンタリングフィンガを有する。この別のセンタリングフィンガは、搬送方向に対して横断方向にセンタリングフィンガから離間していて、センタリングフィンガと別のセンタリングフィンガとの間に金属プレートを配置できる。別のセンタリングフィンガは、例えば上述のセンタリングフィンガと同じガイドユニット内に配置でき、このガイドユニットに沿って移動することができる。代替的に、別のセンタリングフィンガは、別個のガイドユニットを有し、それに連結されることができる。
【0026】
別の例示的な実施形態によれば、装置は、少なくとも1つのセンタリングフィンガを備えた第2のセンタリングユニットを有しており、このセンタリングフィンガは、金属プレートを別の所定の向きに整列するために、搬送方向に対して横断方向に移動できるように、搬送面内で移動可能に配置されている。第2のセンタリングユニットは、搬送方向及び/又は搬送方向に対して横断方向に第1のセンタリングユニットから離間して配置されている。例えば金属プレートは、特に搬送方向に離間している、それぞれセンタリングフィンガを備えた複数のセンタリングユニットによってセンタリングすることができる。
【0027】
さらに、焼戻し処理システムには複数の焼戻し処理装置を設けることができる。それにより複数の金属プレートを横断方向に配置することができ、これらの金属プレートは搬送方向で同時に焼戻し処理ユニット内に進入して同時に焼き戻すことができる。各金属プレートは、それぞれセンタリングフィンガを備えたセンタリングユニットを有する対応する装置によって個別に整列できる。
【0028】
別の例示的な実施形態によれば、装置は、搬送方向における金属プレートの移動を(所望の位置で)停止するために、金属プレートが搬送方向で停止バーに突き当たることができるように、選択的に搬送面内に移動できる停止バーを有する。
【0029】
別の例示的な実施形態によれば、停止バーは、搬送方向に対して横断方向に延びて、支持ローラの間に配置されている。
【0030】
別の例示的な実施形態によれば、停止バーは、搬送面に対して垂直に移動可能に配置されている。
【0031】
停止バーは例えば、金属プレートが所望の位置で停止バーに突き当たるように、上部領域又は下部領域から搬送面内へ並進移動できる。さらに、停止バーは揺動して搬送面内に入ることもできる。
【0032】
金属プレートは炉内を順次搬送して、センタリングの位置で停止することができる。搬送方向に沿った位置は、停止バーのストッパによって決定される。金属プレートの側方整列は、金属プレートの側縁部に係合して金属プレートを整列するセンタリングフィンガによって決定される。代替的に、金属プレートの連続送りにおいて、停止バーを用いてセンタリングを行うこともできる。例えば停止バーを搬送面内に動かすと、連続的に前進してきた金属プレートが停止バーに突き当たる。支持ローラは金属プレートを駆動し続けるが、搬送方向に沿った搬送は停止バーによって阻止される。支持ローラは金属プレートで、いわば空回りするので、金属プレートはセンタリング位置に留まる。続いてセンタリングフィンガは、側方、即ち搬送方向に対して横断方向に進入して金属プレートを整列することができる。整列後、停止バーは搬送面から進出して、支持ローラによる送りが金属プレートを設定された整列でさらに連続的に搬送する。
【0033】
別の例示的な実施形態によれば、停止バーは炭化ケイ素を有する。これにより、高い耐熱性が可能になる。同時に停止バーにおけるケーキングが低減される。
【0034】
別の例示的な実施形態によれば、装置は、搬送面における金属プレートの姿勢を検出するように構成された検出ユニット、特に光学検出ユニットを有する。検出ユニットは、例えばカメラ、例えばCCDカメラを有することができ、撮影された画像の画像解析を通して金属プレートの正確な位置と向きを決定することができる。1つ以上のセンタリングフィンガは、金属プレートの向きの検出に基づいて、センタリングフィンガの動作により金属プレートを搬送面内の所定の姿勢に動かすように制御することができる。
【0035】
ここに記載された実施形態は、本発明の可能な実施形態の限られた選択のみを表していることに留意すべきである。個々の実施形態の特徴を適切な方法で組み合わせることが可能であるため、当業者にとって本明細書で明示された実施形態例により、多数の様々な実施形態が明らかに開示されていると見なされる。特に、本発明の幾つかの実施形態は装置クレームで、本発明の他の実施形態は方法クレームで説明されている。しかしながら、当業者にとって、明示的に別段の記載がない限り、本発明の1つのタイプの主題に属する特徴の組み合わせに加えて、本発明の異なるタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせも可能であることは、本願を読めば直ちに明らかになるであろう。
【0036】
以下では、本発明をさらに説明し、より良く理解するために、添付の図面を参照しながら実施形態例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は本発明の例示的な実施形態による焼戻し処理システムに対して金属プレートを整列するための装置の概略図である。
図2図2は本発明の例示的な実施形態による様々な焼戻し処理装置を有する焼戻し処理システムの概略図である。
図3図3は本発明の例示的な実施形態による整列装置の停止バーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
異なる図中の同一又は類似の構成要素には、同じ参照番号を付している。図中の表現は模式的である。
【0039】
図1は、焼戻し処理システム200に対して金属プレート150を整列するための装置100を示す。装置100は、少なくとも2つの支持ローラ101を有し、それらの上に金属プレート150を載せて、支持ローラ101が回転することにより搬送方向105及び搬送面204内で焼戻し処理システム200を通して搬送することができ、ここで、支持ローラ101は搬送方向105に離間して配置されている。装置100はさらに、少なくとも1つのセンタリングフィンガ111を備えた第1のセンタリングユニット110を有しており、センタリングフィンガ111は、金属プレート150を所定の向きに整列するために、搬送方向105に対して横断方向に移動できるように、搬送面204内で移動可能に配置されている。
【0040】
例えば金属プレート150は、均一な矩形、円形又は楕円形の形状を有することができる。実際には、金属プレート150は、しばしば複雑な形状を有する。図1に示すように、金属プレート150は、例えば打ち抜き又は他の方法で適宜裁断されて複雑な輪郭を有する金属プレートをなす。この場合、焼戻し処理ユニットにおいて金属プレートの様々な領域がそれぞれ異なるように焼き戻されることが望ましい。
【0041】
金属プレート150は、支持ローラ101に沿って搬送方向に搬送される。支持ローラ101は、特に搬送方向105に対して横(横断方向106)に延び、例えば駆動されることができる。この場合、支持ローラ101は、例えば装置100のハウジング内又は焼戻し処理システム200(図2参照)のハウジング内に設けられた対応する支持開口部102に回転可能に配置されている。図1では、見やすくするために2つの支持ローラ101しかみが示されていない。しかしながら、すべて又はほとんどの支持開口部102に、対応する支持ローラ101を設けることもできる。
【0042】
センタリングユニット110は、金属プレート150に対して横断方向106で互いに対向する2つのセンタリングフィンガ111、114を有しており、これらは搬送面204(図2参照)内で移動可能に配置されている。センタリングフィンガ111により金属プレート150を、所定の向きに、特に横断方向106に移動させて位置決めすることができる。
【0043】
センタリングフィンガ111は、棒状又はピン状に形成されている。センタリングフィンガ111は、駆動装置、例えば後述するガイドユニット112に連結できる連結領域と、それと反対側に、金属プレート150を搬送面204内で動かして整列するためにセンタリングフィンガ111を金属プレート150の縁部に連結できる整列領域を有する。
【0044】
搬送面204は、金属プレート150が載り、その内部で金属プレート150が搬送方向105に移動する平面を形成する。搬送面204は、搬送方向105と横断方向106に対して垂直に延びる法線107を有する。横断方向106は、搬送方向105に対応して垂直な方向である。言い換えれば、搬送方向105と横断方向106が、搬送面204を画定している。
【0045】
センタリングフィンガ111は、金属プレート150がストッパ又は別のセンタリングフィンガ114に突き当たるまで、金属プレート150を第1の方向、例えば横断方向106に沿って動かすことができ、その結果、金属プレート150は互いに対抗する2つのセンタリングフィンガ111、114間で整列可能になる。
【0046】
金属プレート150の整列は、金属プレート150の搬送方向105への連続的な移動中に、センタリングフィンガ111、114が短時間接触して金属プレート150の整列を実行することによって行われてよい。代替的に、金属プレート150を搬送方向に順次搬送できる。金属プレート150を整列するために、金属プレート150が静止するように搬送動作が停止される。次のステップで、センタリングフィンガ111、114が所定の位置に移動して、金属プレート150を所望の向きに整列することができる。
【0047】
センタリングユニット110、115のセンタリングフィンガ111、114は、それぞれ2つの支持ローラ101の間に配置されている。それにより2つの支持ローラ101の間の空間内で、センタリングフィンガ111、114が搬送方向105に対して横断方向に移動する可能性があり、そのため正確な整列が可能である。支持ローラ101は離間して配置され、センタリングフィンガ111、114は狭い形状を有するので、本発明による装置100は、支持ローラ101の位置を変更することなく設置及び後付けが可能である。
【0048】
センタリングフィンガ111は、搬送面204の上方の領域と搬送面204の下方の領域との間に延びている。特に支持ローラ101の下には十分な設置スペースがあるので、そこにセンタリングフィンガ111、114の駆動ユニットを設置することができる。この下部領域からセンタリングフィンガ111、114は、支持ローラ101の間の間隙内で上部領域に突入して金属プレート150を整列する。
【0049】
センタリングユニット110、115は、それぞれ搬送方向105に対して横断方向に延びるガイドユニット112を有する。センタリングフィンガ111は、センタリングフィンガ111がガイドユニット112に沿って移動できるように、ガイドユニット112と連結されている。この場合、センタリングフィンガ111はそれ自体が、ガイドユニット112であるガイド溝内に延びているか、又はガイドユニット112であるガイドレールを包囲することができる。それにより、センタリングフィンガ111が確実に横断方向106に沿って案内される堅牢な移動機構を実現することができる。
【0050】
さらに、反対側のセンタリングフィンガ114は、センタリングフィンガ111と同じガイドユニット(例えばガイドレールまたはガイド溝)112に支持されることができる。
【0051】
センタリングフィンガ111は、リニアモータ113によってガイドユニット112に沿って駆動することができる。リニアモータ113は、例えばセンタリングフィンガ111をガイドユニット112に沿って駆動する電気サーボモータであることができる。例示的な実施形態では、ガイドユニット112に沿ってコイルを設けることができ、それによりガイドユニット112がリニア固定子として設計され、センタリングフィンガ111がリニアモータの回転子として機能して、適宜選択的に制御可能になる。
【0052】
センタリングフィンガ111は、細くフィリグリー状に形成されていて、例えば小さい隙間、特に支持ローラ101の間に通すことができる。
【0053】
センタリングフィンガ111と反対側のセンタリングフィンガ114は、金属プレート150の下の下部領域における横断方向106でのセンタリングフィンガ111、114の間の距離が、金属プレート150の上の上部領域における横断方向106でのセンタリングフィンガ111、114間の距離より小さくなるように成形することができる。これにより下部領域ではより短いガイドユニット112を設けることができる一方、上部領域では横断方向106でより広い金属プレート150をセンタリングフィンガ111、114によって整列することができる。
【0054】
別の第2のセンタリングユニット115は、搬送方向105で第1のセンタリングユニット110から離間して配置されているようにすることができる。第2のセンタリングユニット115も同様に、横断方向106で互いに対向する2つのセンタリングフィンガ111、114を有し、このセンタリングフィンガ111、114は、金属プレート150を別の所定の向きに配置するために、搬送方向105に対して横断方向に移動できるように、搬送面204内に、特に横断方向106に移動可能に配置されている。
【0055】
さらに図1には、停止バー103が示されている。停止バー103は、金属プレート150が搬送方向105において停止バー103に突き当たって、金属プレート150の搬送方向105における移動を(所望の位置で)停止するように、選択的に搬送面204内に移動できる。
【0056】
停止バー103は、搬送方向105に対して横断方向に延びて、例えば支持ローラ101の間に配置されている。特に停止バー103は、搬送面204に対して垂直に並進移動することができる。
【0057】
金属プレート150の位置は、停止バー103の停止によって、搬送方向105に沿って決定される。金属プレート150の横断方向106における側方整列は、金属プレート150の側縁部に係合してこれを整列するセンタリングフィンガ111、114によって決定される。
【0058】
さらに、搬送面における金属プレート150の姿勢を検出するように構成された検出ユニット104、特に光学検出ユニットを設けることができる。センタリングフィンガ111、114は、金属プレート150の姿勢の検出に基づいて、金属プレート150を搬送面204内の所定の姿勢に動かすように制御される。
【0059】
焼戻し処理ユニットの前又は中の床に、搬送方向105における床ガイド116と、横断方向106における別の床ガイド117を備えた床ガイドユニットが示されている。搬送方向105における床ガイド116と横断方向106における床ガイド117は、交差するガイドレールを有しており、このガイドレールに沿ってセンタリングユニット110、115を搬送方向105又はそれに対して横断方向に適宜案内でき、及び適宜調節できる。
【0060】
例えばセンタリングユニットは、例えば焼戻し処理のユニット110、115内と床ガイドユニット自体の中に配置されているリニアモータによって、床ガイド116、117に沿って駆動及び制御することができる。対応する制御ユニットは、センタリングユニット110、115を床ガイドに沿って的確に制御及び調節することができる。
【0061】
図2は、詳細に説明した図1からの焼戻し処理の装置100に従って設計することができる、様々な焼戻し処理の装置100、100’を備えた焼戻し処理システム200の概略図である。
【0062】
焼戻し処理システム200は、例えば搬送方向105に相前後して配置された1つ以上の焼戻し処理ユニット201、202、203を有する。焼戻し処理ユニット201、202、203は、例えば金属プレート150を加熱し、又は選択的に冷却することができる。例えば金属プレート150は搬送方向105で、最初に焼戻し処理ユニットである炉201を通過する。続いてシートは、例えば焼戻し処理ユニットである焼戻し処理可能な圧延スタンドもしくは圧延装置202を通過する。続いて金属プレート150は、再び焼戻し処理ユニットである別の炉203を通過することができる。したがって金属プレート150は、続いて焼戻し処理ユニットである冷却装置(例えば接触冷却器)を通過することもできる。
【0063】
金属プレート150は、焼戻し処理ユニット201、202、203を通して連続的に搬送でき、又は焼戻し処理ユニット201、202、203内の所定の位置に順次配置して静止状態で熱処理した後、搬送方向105に沿ってさらに搬送できる。この場合、焼戻し処理ユニット201、202、203は、金属プレート150の特定の領域をそれぞれ異なるように加熱又は冷却することができる。これにより金属プレート150が所定の姿勢に配向されていれば、金属プレート150に所定の熱パターン又は冷却パターンを適用することができる。
【0064】
図2に示すように、対応する金属プレート150を整列するための複数の装置100、100’を横断方向106に設けることもできる。さらに、対応する金属プレート150を整列するための装置100を搬送方向105に相前後して配置することができる。さらに、対応する金属プレート150を整列するための装置100は、例えば炉などの焼戻し処理ユニット201内に設けることができる。ホットセンタリング、即ち焼き戻された状態での金属プレート150のセンタリングを実施することができる。同様に対応する金属プレート150を整列するための装置100を焼戻し処理ユニット201、202、203の外部に設けて、装置100が焼戻し処理ユニット201、202、203内の温度に完全にさらされないようにすることができる。これによりコールドセンタリングを実施することができる。
【0065】
図3は、本発明の例示的な実施形態による整列装置100の停止バー103の概略図である。停止バー103は、金属プレート150が搬送方向105で停止バー103に突き当たって、搬送方向105における金属プレート150の移動を(所望の位置で)停止するように、搬送面204(図2参照)内に選択的に移動可能である。
【0066】
停止バー103は、特に駆動ユニット301によって制御される。駆動ユニット301と停止バー103との間に、対応する制御接続部302を設けることができる。制御接続部302は、例えば入れ子式に伸縮可能なロッドエレメントであることができる。例えば制御接続部302は、駆動ユニット301と停止バー103に揺動可能に設けることができ、停止バー103は揺動することによって搬送面204の上及び下に配置され得る。
【0067】
駆動ユニット301は、例えば停止バー103を移動させるためのリニアモータとして設計することができる。さらに、駆動ユニット301は、空気圧式、油圧式又は電気機械式の駆動装置として設計することができる。制御接続部302は、例えば油圧式、空気圧式又は電気機械式に伸縮可能又は揺動可能であることができる。
【0068】
補足的に、「含む」は他の要素又はステップを排除せず、「1つ」は複数を排除しないことに留意されたい。また、上記の実施形態例の1つを参照して説明した特徴又はステップは、上記の別の実施形態の他の特徴又はステップと組み合わせても使用できることに留意されたい。特許請求の範囲における参照符号は、限定とみなすべきではない。
[構成1]
焼戻し処理システム(200)に対して金属プレート(150)を整列するための装置(100)であって、
前記金属プレート(150)を加熱又は冷却するための少なくとも1つの焼戻し処理ユニット(201、202、203)を有し、
前記装置(100)は、
少なくとも2つの支持ローラ(101)であって、それらの上に前記金属プレート(150)が配置可能であり、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の回転により搬送方向(105)で、かつ搬送面(204)内で焼戻し処理システム(200)を通して搬送可能であり、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)は前記搬送方向(105)に離間して配置されている、少なくとも2つの支持ローラ(101)と、
少なくとも1つのセンタリングフィンガ(111)を備えた第1のセンタリングユニット(110)であって、前記センタリングフィンガ(111)は前記搬送面(204)内で移動可能に配置され、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)上に配置可能である前記金属プレート(150)を所定の向きに整列するために、前記センタリングフィンガ(111)は前記搬送方向(105)に対して横断方向に移動可能である、第1のセンタリングユニット(110)と、
を備える装置(100)。
[構成2]
前記少なくとも2つの支持ローラ(101)は前記搬送方向(105)に対して横断方向に延びている、構成1に記載の装置(100)。
[構成3]
前記センタリングフィンガ(111)は前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の間に配置されている、構成1又は2に記載の装置(100)。
[構成4]
前記センタリングフィンガ(111)は前記搬送面(204)の上方の領域と前記搬送面(204)の下方の領域との間に延びている、構成1~3の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成5]
前記センタリングフィンガ(111)は、該センタリングフィンガ(111)の自由端が前記搬送面(204)の上方の領域と前記搬送面(204)の下方の領域との間で移動できるように、前記搬送面(204)に対して垂直に移動可能に配置されている、構成4に記載の装置(100)。
[構成6]
前記第1のセンタリングユニット(110)は、前記搬送方向(105)に対し横断方向に延びるガイドユニット(112)を有し、前記センタリングフィンガ(111)は、該センタリングフィンガ(111)が前記ガイドユニット(112)に沿って移動できるように、該ガイドユニット(112)と連結されている、構成1~5の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成7]
前記センタリングフィンガ(111)は、リニアモータ(113)により前記ガイドユニット(112)に沿って駆動可能である、構成6に記載の装置(100)。
[構成8]
前記搬送方向(105)における床ガイド(116)及び/又は前記横断方向(106)における別の床ガイド(117)を備えた床ガイドユニットを有する、構成1~7の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成9]
前記センタリングフィンガ(111)は、繊維強化材料、特に繊維強化セラミック、特に炭化ケイ素を有し、及び/又は
前記金属プレート(150)を整列するように構成された前記センタリングフィンガ(111)の自由端はステンレス鋼材を有する、構成1~8の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成10]
前記第1のセンタリングユニット(110)は少なくとも1つの別のセンタリングフィンガ(114)を有し、前記金属プレート(150)を所定の向きに整列するために、前記搬送方向(105)に対して横断方向に移動できるように、前記少なくとも1つの別のセンタリングフィンガ(114)は前記搬送面(204)内で移動可能に配置され、
前記少なくとも1つの別のセンタリングフィンガ(114)は、前記搬送方向(105)に対して横断方向に前記センタリングフィンガ(111)から離間し、前記センタリングフィンガ(111)と前記少なくとも1つの別のセンタリングフィンガ(114)との間に前記金属プレート(150)が配置可能である、構成1~9の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成11]
少なくとも1つのセンタリングフィンガ(111)を有する第2のセンタリングユニット(115)を備え、前記少なくとも1つのセンタリングフィンガ(111)は前記搬送面(204)内で移動可能に配置され、前記金属プレート(150)を別の所定の向きに整列するために、前記搬送方向(105)に対して横断方向に移動できるようにし、
前記第2のセンタリングユニット(115)は、前記搬送方向(105)及び/又は前記搬送方向(105)に対して横断方向に前記第1のセンタリングユニット(110)から離間して配置されている、構成1~10の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成12]
前記金属プレート(150)を搬送するための前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の少なくとも1つは、前記搬送方向(105)に駆動可能である、構成1~11の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成13]
前記搬送面(204)内で選択的に移動可能な停止バー(103)であって、前記金属プレート(150)の前記搬送方向(105)における移動を停止するために、前記金属プレート(150)が前記搬送方向(105)で停止バー(103)に向かって移動可能である、停止バー(103)を備える、構成1~12の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成14]
前記停止バー(103)は、前記搬送方向(105)に対して横断方向に延び、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の間に配置されている、構成12に記載の装置(100)。
[構成15]
前記停止バー(103)は前記搬送面(204)に対して垂直に移動可能に配置されている、構成13又は14に記載の装置(100)。
[構成16]
前記停止バー(103)は炭化ケイ素を有する、構成13~15の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成17]
前記搬送面(204)における前記金属プレート(150)の姿勢を検出するように構成された検出ユニット(104)、特に光学検出ユニット(104)を更に備え、
前記センタリングフィンガ(111)は前記金属プレート(150)の姿勢の検出に基づいて制御可能であり、前記センタリングフィンガ(111)の移動により、前記金属プレート(150)が前記搬送面(204)内で所定の姿勢に移動でき、構成1~16の何れか一項に記載の装置(100)。
[構成18]
金属プレート(150)の温度を制御するための焼戻し処理システム(200)であって、
該焼戻し処理システム(200)は、
少なくとも1つの焼戻し処理ユニット(201、202、203)と、
構成1~17の何れか一項に記載の金属プレート(150)を整列するための装置(100)と、を備えており、
前記装置(100)は、前記金属プレート(150)が前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)の前又は少なくとも部分的に前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)内で整列できるように、前記搬送方向(105)で前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)の前又は前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)内に配置されている、焼戻し処理システム(200)。
[構成19]
前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)は、冷却ユニット、特に接触冷却器であり、及び/又は前記焼戻し処理ユニット(201、202、203)は炉ユニットである、構成18に記載の焼戻し処理システム(200)。
[構成20]
焼戻し処理システム(200)のための金属プレート(150)を整列するための方法であって、
前記金属プレート(150)を加熱又は冷却するための少なくとも1つの焼戻し処理ユニット(201、202、203)を備え、
前記金属プレート(150)を、少なくとも2つの支持ローラ(101)により搬送面(204)内で前記焼戻し処理システム(200)を通して搬送するステップであって、前記金属プレート(150)は、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)の上に配置され、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)が回転することにより搬送方向(105)に搬送され、前記少なくとも2つの支持ローラ(101)は前記搬送方向(105)に離間して配置されている、ステップと、
前記金属プレート(150)を所定の向きに整列するステップであって、前記搬送方向(105)に対して横断方向に移動可能であるように、前記搬送面(204)内で移動可能に配置された少なくとも1つのセンタリングフィンガ(111)を有する第1のセンタリングユニット(110)によって整列する、ステップと、
を備える方法。
【符号の説明】
【0069】
100 整列装置
101 支持ローラ
102 支持ローラ用支持開口部
103 停止バー
104 検出ユニット
105 搬送方向
106 横断方向
107 搬送面の法線
110 第1のセンタリングユニット
111 センタリングフィンガ
112 ガイドユニット
113 リニアモータ
114 別のセンタリングフィンガ
115 第2のセンタリングユニット
116 搬送方向における床ガイド
117 横断方向における床ガイド
150 金属プレート
200 焼戻し処理システム
201 焼戻し処理ユニット/炉
202 焼戻し処理ユニット/圧延スタンド
203 焼戻し処理ユニット/別の炉
204 搬送面
301 駆動ユニット
302 制御接続部
図1
図2
図3