(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】テープ先端処理治具
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2023534547
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2021026627
(87)【国際公開番号】W WO2023286246
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広康
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-036003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に所定間隔で並んだキャビティが設けられたベーステープと、前記キャビティを覆うカバーテープと、を有するキャリアテープを切断する切断治具部と、
前記切断治具部により切断された前記キャリアテープの切断残部側の先端部を上下方向から挟む挟持部と、
前記挟持部に挟まれた前記先端部を凸状に変形させる押し上げ部と、
を備え
、
前記挟持部は、前記先端部の上面に当接する上側支持部と、前記先端部の下面に当接する下側支持部と、を有し、
前記下側支持部は、前記押し上げ部を有し、
前記切断治具部は、前記キャリアテープの切断開始時に前記キャリアテープの上面に接する上側刃部と、前記切断開始時に前記キャリアテープの下面に接する下側刃部と、第一所定操作により前記上側刃部と前記下側刃部とを合わせる力が付与される第一力点部と、を有し、
前記下側支持部は、前記下側刃部に設けられ、
前記上側支持部は、前記切断治具部とは異なるアーム部材に設けられ、
前記アーム部材は、第二所定操作により前記上側支持部と前記下側支持部とで前記先端部を挟む力が付与される第二力点部を有する、テープ先端処理治具。
【請求項2】
前記キャリアテープの有する送り孔の大きさを変える送り孔治具部を備え、
前記送り孔治具部は、
前記下側支持部に一体的に取り付けられ、前記キャリアテープが載置される第一台座部と、
前記アーム部材に設けられ、前記第二力点部への前記第二所定操作により、前記第一台座部に載置された前記キャリアテープの前記送り孔を変形させる動作を行う孔変形部と、
を有する、請求項
1に記載されたテープ先端処理治具。
【請求項3】
前記下側支持部に一体的に取り付けられ、前記キャリアテープが載置される第二台座部を備え、
前記第二台座部は、前記切断治具部により切断される前記キャリアテープの位置決め及び前記押し上げ部により変形される前記先端部の位置決めを行う位置決め部を有する、請求項
1又は2に記載されたテープ先端処理治具。
【請求項4】
長手方向に所定間隔で並んだキャビティが設けられたベーステープと、前記キャビティを覆うカバーテープと、を有するキャリアテープを切断する切断治具部と、
前記切断治具部により切断された前記キャリアテープの切断残部側の先端部を上下方向から挟む挟持部と、
前記挟持部に挟まれた前記先端部を凸状に変形させる押し上げ部と、
を備え、
前記押し上げ部は、前記先端部を加熱する加熱部を有する
、テープ先端処理治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、テープ先端処理治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリアテープを切断すると共に、キャリアテープの先端部を処理する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。キャリアテープは、長手方向に所定間隔で並んだキャビティに電子部品を収容したベーステープにカバーテープが貼付されたテープである。キャリアテープは、テープリールに巻かれた状態でテープフィーダに装填される。オートローディングフィーダでは、キャリアテープの先端部がテープ入口に差し込まれると、キャリアテープがガイドされながら搬送される。かかる搬送中にキャリアテープの先端におけるベーステープとカバーテープとの間に剥離刃が挿入されてベーステープからカバーテープが剥離されると、キャビティ内の電子部品が取り出し可能に露出する。
【0003】
上記した特許文献1記載の装置は、キャリアテープを切断する切断部材と、キャリアテープの上面を押圧する押圧部材と、を備えている。この押圧部材は、切断部材によるキャリアテープの切断後、キャリアテープの先端部の上面角部を傾斜するように押圧する。かかる押圧が完了して押圧部材が退避すると、ベーステープが傾斜した状態に維持される一方でカバーテープが元の平らな状態に戻る。従って、キャリアテープの切断面においてベーステープとカバーテープとの間にテープ長手方向に凹んだ隙間を形成することができる。このため、ベーステープとカバーテープとの間への剥離刃の挿入を適切に行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カバーテープが下に凸状に撓み易い状態にあると、ベーステープとカバーテープとの間へ剥離刃が挿入される際にカバーテープが上記の隙間に逃げ易くなり、剥離刃がベーステープとカバーテープとの間に適切に挿入されず、カバーテープの剥離が正常に行われない事態が生じ得る。
【0006】
本明細書は、キャリアテープを切断すると共に、カバーテープをベーステープから正常に剥離させるうえでカバーテープに下方に撓み難くする曲げ癖を付けることが可能なテープ先端処理治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、長手方向に所定間隔で並んだキャビティが設けられたベーステープと、前記キャビティを覆うカバーテープと、を有するキャリアテープを切断する切断治具部と、前記切断治具部により切断された前記キャリアテープの切断残部側の先端部を上下方向から挟む挟持部と、前記挟持部に挟まれた前記先端部を凸状に変形させる押し上げ部と、を備える、テープ先端処理治具を開示する。
【0008】
本開示によれば、切断治具部によりキャリアテープが切断されると共に、その切断後、挟持部によりキャリアテープの切断残部側の先端部が上下方向から挟まれた状態で、押し上げ部によりキャリアテープの先端部が凸状に変形される。このため、切断されたキャリアテープの先端部のカバーテープが凸状の曲げ癖が付いた形状になる。従って、キャリアテープを切断すると共に、カバーテープをベーステープから正常に剥離させるうえでカバーテープに下方に撓み難くする曲げ癖を付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るテープ先端処理治具の斜視図である。
【
図5】搬送中のキャリアテープを含むオートローディングフィーダの上面図である。
【
図7】テープ先端処理治具にキャリアテープが挿入された状態を表した斜視図である。
【
図8】テープ先端処理治具が備える加熱部がキャリアテープの先端部を加熱するための回路図である。
【
図9】テープ先端処理治具において挟持部がキャリアテープの先端部を挟持する前の状態を表した断面図である。
【
図10】テープ先端処理治具において挟持部がキャリアテープの先端部を挟持した状態を表した断面図である。
【
図11】テープ先端処理治具の挟持部がキャリアテープの先端部を挟持した後のキャリアテープの状態を表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係るテープ先端処理治具の実施形態について説明する。
【0011】
1.概要
テープ先端処理治具1は、
図1及び
図2に示す如く、キャリアテープ10を切断すると共に、キャリアテープ10(
図3及び
図4参照)の先端部を処理する治具である。キャリアテープ10は、主としてオートローディングフィーダ20(
図5参照)に装填されるテープである。オートローディングフィーダ20は、キャリアテープ10がテープ入口に挿入された場合に自動的にそのキャリアテープ10を処理しながら搬送して電子部品2を取り出し可能に露出させる。
【0012】
2.キャリアテープの構成
キャリアテープ10は、複数の電子部品2を収容するテープである。電子部品2は、電子基板に装着される部品であって、例えば0201サイズ(0.2mm×0.1mm)などの微小部品から大型の部品まで存在する。キャリアテープ10は、
図3及び
図4に示す如く、ベーステープ11と、カバーテープ19と、を有している。
【0013】
ベーステープ11は、キャビティ12を有している。キャビティ12は、電子部品2を収容する収容スペースである。ベーステープ11は、樹脂等の柔軟な材料により構成されている。ベーステープ11は、平面状に形成された平面部13と、平面部13から下方に突出する突出部14と、を有している。キャビティ12は、突出部14内に設けられており、平面部13側において開口している。突出部14ひいてはキャビティ12は、テープ長手方向に所定間隔で並んで設けられている。キャリアテープ10は、突出部14内にキャビティ12が設けられたエンボステープである。
【0014】
ベーステープ11は、また、送り孔15が貫通して設けられている。送り孔15は、オートローディングフィーダ20のスプロケットの係合突起が係合する送り孔である。送り孔15は、略円形或いは楕円形に形成されている。送り孔15は、テープ長手方向に所定間隔で並んで設けられている。上記のキャビティ12は、テープ幅方向の一方側(例えば、
図5に示す如くテープ搬送方向Yに対する右側)においてテープ長手方向に一列に配置されている。また、送り孔15は、テープ幅方向の他方側(例えば、テープ搬送方向Yに対する左側)においてテープ長手方向に一列に配置されている。
【0015】
平面部13は、第一平面部13aと、第二平面部13bと、繋ぎ部13cと、を有している。第一平面部13aは、テープ長手方向の他方側すなわち送り孔15が配置される側に設けられたフランジ状の部位である。第二平面部13bは、テープ長手方向の一方側に設けられたフランジ状の部位である。第一平面部13a及び第二平面部13bはそれぞれ、テープ長手方向に延在している。繋ぎ部13cは、第一平面部13aと第二平面部13bとに挟まれた位置でテープ長手方向に隣接する二つの突出部14の間に設けられた部位である。繋ぎ部13cは、二つの突出部14の上部同士を繋いでいる。繋ぎ部13cは、突出部14よりも薄肉に形成されている。
【0016】
繋ぎ部13cは、また、他の平面部13すなわち第一平面部13a及び第二平面部13bに比して薄肉に形成されている。すなわち、繋ぎ部13cには、他の平面部13に比して上端位置が低くなる凹み16が設けられている場合がある。
【0017】
カバーテープ19は、キャビティ12を覆うテープである。カバーテープ19は、透明な高分子フィルムなどのプラスティックにより構成されている。カバーテープ19は、ベーステープ11の上面に接着剤により貼付されている。カバーテープ19は、キャビティ12を避けてそのキャビティ12の幅方向両側それぞれにおいて貼付されている。尚、カバーテープ19は、送り孔15が設けられている部分を除外するように形成されていてよい。カバーテープ19は、ベーステープ11のキャビティ12の上部を閉塞して、キャビティ12に収容された部品の飛び出しを防止する。
【0018】
3.オートローディングフィーダの構成
オートローディングフィーダ20は、テープ入口に挿入されたキャリアテープ10を搬送することによりキャビティ12内の電子部品2を部品取出位置に供給する装置である。オートローディングフィーダ20は、基板を生産する基板生産ライン上に設けられる部品装着機の有するスロットに着脱可能に装着される。オートローディングフィーダ20から部品取出位置に供給された電子部品2は、部品装着機の装着ヘッドに取り付けられた吸着ノズルなどで吸着保持され、その後、吸着解除により電子基板に装着される。
【0019】
オートローディングフィーダ20は、テープ搬送路の下方に設けられたスプロケットを回転させながらスプロケットの係合突起をキャリアテープ10の送り孔15に係合させることにより、キャリアテープ10を搬送する。オートローディングフィーダ20は、
図5に示す如く、テープガイド21を有している。
【0020】
テープガイド21は、送り孔15にスプロケットの係合突起が係合するキャリアテープ10を保持して案内するガイド部材である。テープガイド21は、キャリアテープ10の上面及び側面に当接するように断面コの字状に形成されている。テープガイド21の上面は、貫通する開口孔22を有している。開口孔22は、キャビティ12から電子部品2を取り出す部品取出位置に設けられている。
【0021】
テープガイド21は、剥離刃23を有している。剥離刃23は、ベーステープ11からカバーテープ19を剥離してキャビティ12内の電子部品を露出させる刃部である。剥離刃23は、テープガイド21の上面における開口孔22よりもテープ搬送方向Y上流側に設けられており、テープ搬送方向Y下流側からテープ搬送方向Y上流側に向けて延びている。剥離刃23は、キャリアテープ10の搬送中においてキャリアテープ10の先端におけるベーステープ11とカバーテープ19との間に挿入される。
【0022】
キャリアテープ10は、オートローディングフィーダ20のテープ入口に差し込まれると、テープ入口側のスプロケットに送り孔15が係合した状態でそのスプロケットが回転することによりテープ搬送方向Yに送られる。またキャリアテープ10は、その後、テープガイド21に進入して保持されつつ、テープ出口側のスプロケットに送り孔15が係合した状態でそのスプロケットが回転することにより更にテープ搬送方向Yに送られる。
【0023】
そして、キャリアテープ10は、テープ搬送中においてキャリアテープ10の先端におけるベーステープ11とカバーテープ19との間にテープガイド21の剥離刃23が挿入されることにより、ベーステープ11からカバーテープ19が剥離された状態になる。カバーテープ19が剥離されると、ベーステープ11のキャビティ12内の電子部品2は、取り出し可能に露出する。電子部品2は、その後、開口孔22の部品取出位置に達すると、吸着ノズルなどで吸着保持されて電子基板へ移載される。
【0024】
ところで、特に、上記の如く繋ぎ部13cに凹み16が設けられたキャリアテープ10では、カバーテープ19が繋ぎ部13cの上面に接するまで下に凸状に撓み易くなる。しかし、カバーテープ19が下に凸状に撓み易いままであると、
図6に示す如く、ベーステープ11とカバーテープ19との間へ剥離刃23が挿入される際にカバーテープ19が下方に撓んで上記の凹み16に逃げ易くなる。このため、剥離刃23がベーステープ11とカバーテープ19との間に適切に挿入されず、カバーテープ19の剥離が正常に行われない事態が生じ得る。
【0025】
4.テープ先端処理治具の構成
テープ先端処理治具1は、キャリアテープ10を切断して切断面を形成し、切断されたキャリアテープ10の切断残部側の先端部をカバーテープ19が下方に撓み難くなるように変形処理する。
【0026】
尚、テープ先端処理治具1がキャリアテープ10を切断してその先端部を変形処理するタイミングは、例えばキャリアテープ10がオートローディングフィーダ20のテープ入口に挿入される直前であることが好ましい。また、テープ先端処理治具1は、作業者がキャリアテープ10をオートローディングフィーダ20のテープ入口に挿入する作業を行う作業台近傍に配置されていてもよく、また、作業者自身に携帯されてもよいし、更には、キャリアテープ10の先端部を処理する装置に搭載されてもよい。
【0027】
テープ先端処理治具1は、
図1、
図2、及び
図7に示す如く、切断治具部30を備えている。切断治具部30は、キャリアテープ10を切断する治具である。切断治具部30は、力点への力の付与により支点を中心にして二枚の刃が合わさることによりキャリアテープ10を切断するハサミ型の部位である。切断治具部30は、上側刃部31と、下側刃部32と、第一力点部33と、を有している。
【0028】
上側刃部31は、キャリアテープ10の切断開始時にキャリアテープの上面に接する部位である。上側刃部31は、長板状に形成されている。上側刃部31は、上側刃先31aを有している。上側刃先31aは、上側刃部31の先端側に設けられている。上側刃先31aは、上側刃部31の下端に沿って延在しており、下方に向けて尖っている。上側刃先31aは、キャリアテープ10のテープ幅を超える長さ(例えば、そのテープ幅の5倍程度)を有している。
【0029】
下側刃部32は、キャリアテープ10の切断開始時にキャリアテープの下面に接する部位である。下側刃部32は、長板状に形成されている。下側刃部32は、下側刃先32aを有している。下側刃先32aは、下側刃部32の先端側に設けられている。下側刃先32aは、下側刃部32の上端に沿って延在しており、上方に向けて尖っている。下側刃先32aは、上側刃先31aと略同じ長さを有している。
【0030】
上側刃部31と下側刃部32とは、支軸34を中心にして相対的に回動可能に支持されている。支軸34は、上側刃部31及び下側刃部32の長手方向中央付近に設けられている。上側刃部31における上側刃先31aが設けられた先端側は、キャリアテープ10の挿入前(具体的には、キャリアテープ10の切断操作が行われる前)は、下側刃部32における下側刃先32aが設けられた先端側よりも上方に位置している。
【0031】
第一力点部33は、切断操作により上側刃部31と下側刃部32とを合わせる力が付与される部位である。第一力点部33は、上側刃部31の後端側及び下側刃部32の後端側それぞれに設けられている。第一力点部33は、作業者の指を引っ掛けることができるように例えば環状に形成されている。上側刃部31における第一力点部33が設けられた後端側は、下側刃部32における第一力点部33が設けられた後端側よりも下方に位置している。
【0032】
キャリアテープ10の切断操作は、作業者により第一力点部33に上側刃部31の後端側が下側刃部32の後端側に接近するように力が付与されることで実現される。そして、キャリアテープ10の切断操作が行われると、その上側刃部31の後端側と下側刃部32の後端側との接近に伴って上側刃部31の先端側が下側刃部32の先端側に接近して上側刃先31aと下側刃先32aとが合わさることでキャリアテープ10が切断される。
【0033】
テープ先端処理治具1は、台座部40を備えている。台座部40は、キャリアテープ10が載置される部位である。台座部40は、ベース部材50を介して下側刃部32に一体的に取り付けられている。ベース部材50は、下側刃部32に固定されている。台座部40は、ベース部材50に着脱可能に取り付け固定されている。
【0034】
台座部40は、本体台座部41と、補助台座部45と、を有している。本体台座部41は、キャリアテープ10の切断及び先端部の変形処理のためにキャリアテープ10が載置される部位である。本体台座部41は、ベース部材50に対して下側刃部32の下側刃先32aの延在方向の任意位置(例えば三箇所)に移動されて固定されることが可能である。また、補助台座部45は、後述の如く、キャリアテープ10の送り孔15の大きさを変えるためにキャリアテープ10が載置される部位である。補助台座部45は、ベース部材50に対して上下方向の任意位置に移動されて固定されることが可能である。
【0035】
本体台座部41は、ブロック状に形成されている。本体台座部41は、ガイド部42を有している。ガイド部42は、キャリアテープ10の突出部14をガイドする凹溝である。ガイド部42は、本体台座部41の上面に形成されており、上方に向いた開口を有している。ガイド部42は、想定されるキャリアテープ10の突出部14の横幅に比して大きな開口幅を有している。ガイド部42は、下側刃部32の下側刃先32aの延在方向に対して直交する方向に延びている。
【0036】
ガイド部42は、本体台座部41に複数種類(例えば、
図1などに示す如く二種類)設けられている。複数種類のガイド部42は、キャリアテープ10の突出部14或いはキャビティ12ひいては電子部品2のサイズに合わせたものである。例えば、二種類のうち一方のガイド部42は、2mm未満のサイズに対応し、他方のガイド部42は、2mm以上のサイズに対応する。
【0037】
本体台座部41は、位置決め部43を有している。位置決め部43は、切断治具部30により切断されるキャリアテープ10の位置決め及び後述の押し上げ部により変形されるキャリアテープ10の先端部の位置決めを行う部位である。位置決め部43は、本体台座部41の上面において上方に突出したピンである。位置決め部43は、キャリアテープ10の送り孔15の大きさに対応して形成されており、キャリアテープ10の送り孔15に挿入可能である。
【0038】
位置決め部43は、各ガイド部42に対応して、本体台座部41に載置されるキャリアテープ10のテープ長手方向に離れて複数箇所(例えば、二箇所)ずつ設けられている。キャリアテープ10は、複数箇所それぞれの位置決め部43が送り孔15に挿入された状態で、切断治具部30がキャリアテープ10の所定箇所を切断できるように載置される。この切断対象の所定箇所は、キャリアテープ10におけるテープ長手方向に隣接する二つの突出部14の間の繋ぎ部13cのテープ長手方向中央付近である。
【0039】
テープ先端処理治具1は、
図1、
図2、及び
図7に示す如く、挟持部60を備えている。尚、テープ先端処理治具1は、キャビティ12ひいては電子部品2のサイズに合わせて設けられた二種類以上の挟持部60が一体化された治具であってよい。例えば
図1などに示す如く二種類の挟持部60が設けられている場合、一方の挟持部60Aは2mm未満のサイズに対応し、他方の挟持部60Bは2mm以上のサイズに対応する。
【0040】
挟持部60は、切断治具部30により切断されたキャリアテープ10の先端部を上下方向から挟む部位である。この挟み対象のキャリアテープ10の先端部は、切断治具部30により切断されて残るキャリアテープ10の切断残部側の先端部であって、ベーステープ11の平面部13の第一平面部13a及び第二平面部13b並びにそれらの平面部13a,13bに対応するカバーテープ19の箇所である。
【0041】
挟持部60は、上側支持部61と、下側支持部62と、を有している。上側支持部61は、キャリアテープ10を挟む際にキャリアテープ10の先端部の上面に当接して支持する部位である。下側支持部62は、キャリアテープ10を挟む際にキャリアテープ10の先端部の下面に当接して支持する部位である。
【0042】
上側支持部61及び下側支持部62はそれぞれ、板状に形成されている。具体的には、上側支持部61は、下に凸となる樋状に形成されており、上方に向いた開口を有している。下側支持部62は、下に凸となる樋状に形成されており、上方に向いた開口を有している。下側支持部62の開口幅は、想定されるキャリアテープ10の突出部14の横幅に比して大きくなるように設定されている。上側支持部61と下側支持部62とは、上側支持部61の底壁61aと下側支持部62の側壁62aの上端部との間でキャリアテープ10を挟む。
【0043】
下側支持部62は、下側刃部32に設けられている。下側支持部62は、下側刃部32における本体台座部41に対向する側面に設けられており、下側刃先32aの上端よりも下方に配置されている。下側支持部62は、本体台座部41のガイド部42に連なるように配置されている。下側支持部62の側壁62aの上端の高さ位置は、下側刃先32aの上端高さ位置よりも低くかつ本体台座部41の上面の高さ位置よりも低い。
【0044】
上側支持部61は、アーム状に延びたアーム部材70に設けられている。アーム部材70は、切断治具部30(具体的には、上側刃部31及び下側刃部32)とは異なる部材である。アーム部材70は、上側刃部31と下側刃部32との回動中心である支軸34を中心にして回動可能に支持されている。アーム部材70の回動は、切断治具部30との干渉が生じないように行われる。アーム部材70は、第二力点部71を有している。
【0045】
第二力点部71は、挟持操作により上側支持部61と下側支持部62とでキャリアテープ10の先端部を挟む力が付与される部位である。尚、第二力点部71は、孔変形操作により後述の送り孔治具部90でキャリアテープ10の先頭の送り孔15の大きさを変える力が付与される部位でもある。挟持操作及び孔変形操作は共に、
図2に矢印で示す如く、アーム部材70を支軸34を中心にして回動させる操作であって、具体的には、第二力点部71を持ち上げる操作である。
【0046】
第二力点部71は、アーム部材70における支軸34よりも後端側に設けられている。第二力点部71は、作業者が挟持操作できるように例えばレバー状に形成されている。アーム部材70における第二力点部71が設けられた後端側は、上側刃部31及び下側刃部32における第一力点部33が設けられた後端側よりも下方に位置している。第二力点部71は、キャリアテープ10の先端部を挟むうえでは持ち上げ操作される。
【0047】
上側支持部61は、アーム部材70における支軸34よりも先端側に設けられている。アーム部材70における支軸34よりも先端側は、キャリアテープ10の先端部を挟む前は、上側刃部31及び下側刃部32の先端側よりも上方に位置している。上側支持部61は、アーム部材70における本体台座部41側の側面に設けられている。上側支持部61は、第二力点部71に対する持ち上げ操作が行われた場合に、アーム部材70の回動によって下側支持部62に接近するように下動する。
【0048】
尚、アーム部材70は、付勢部材により第二力点部71が下がり上側支持部61が下側支持部62から離れる方向に付勢されていてよい。この場合、アーム部材70は、上側支持部61と下側支持部62とが最大で所定の離間位置関係になるようにストッパにより回動規制されるものであってよい。この構成において、第二力点部71が付勢部材の付勢力に抗して持ち上げ操作されると、上側支持部61が下側支持部62に接近してやがてキャリアテープ10の先端部が上側支持部61と下側支持部62とに挟まれることとなる。
【0049】
テープ先端処理治具1は、
図9及び
図10に示す如く、押し上げ部80を備えている。押し上げ部80は、挟持部60に挟まれたキャリアテープ10の先端部(特に繋ぎ部13c及びその繋ぎ部13cに対応するカバーテープ19)を上に凸状に変形させる部位である。押し上げ部80は、下側刃部32に設けられている。下側支持部62は、押し上げ部80を有する。すなわち、押し上げ部80は、キャリアテープ10が挟まれる際にキャリアテープ10の先端部の下面に当接して支持する。
【0050】
押し上げ部80は、下側刃部32における本体台座部41に対向する側面に設けられており、下側刃先32aよりも下方に配置されている。押し上げ部80は、ブロック状に形成されており、下側刃部32の側面から本体台座部41側へ突出している。尚、押し上げ部80の上面は、平面であってもよいが、上に凸に湾曲していてもよい。
【0051】
尚、押し上げ部80の上面は、下側支持部62の両側の側壁62aの上端よりも上方に位置しており、本体台座部41の上面と略同じ高さに位置していることが好ましい。これは、キャリアテープ10の第一平面部13a及び第二平面部13bの下面が下側支持部62の側壁62aの上端に接しかつカバーテープ19の上面が上側支持部61の下面に接した状態でその先端部が上側支持部61と下側支持部62とに挟持される際に、キャリアテープ10の先端部の繋ぎ部13cの下面が押し上げ部80の上面に接してその先端部がその押し上げ部80により上方へ押し上げられるようにするためである。
【0052】
押し上げ部80は、位置決め部43にキャリアテープ10が位置決めされた状態で、キャリアテープ10の先端部の第一平面部13a及び第二平面部13b並びにカバーテープ19が挟持部60により挟持される際に上面でキャリアテープ10の先端部の繋ぎ部13c及びカバーテープ19を上方へ押し上げる。
【0053】
上側支持部61は、窓部61bを有している。窓部61bは、上側支持部61の底壁61aに上下方向に貫通する貫通孔である。窓部61bは、挟持部60に挟持されるキャリアテープ10の先端部を作業者に目視させると共に、挟持部60に挟持されて押し上げ部80により押し上げられたキャリアテープ10の先端部上方へを逃がす空間部位である。窓部61bは、例えば矩形状や楕円状に形成されている。
【0054】
押し上げ部80は、
図8に示す如く、加熱部81を有している。加熱部81は、押し上げ部80により押し上げられているキャリアテープ10の先端部を加熱する部位である。加熱部81は、押し上げ部80における主にキャリアテープ10の繋ぎ部13cの下面に接する上面近傍に埋設されている。加熱部81の加熱温度は、キャリアテープ10の先端部(特に、繋ぎ部13c及びカバーテープ19)を変形させ易くして変形後の状態を長時間(例えば、半日~一日)に亘って保持できる温度(例えば、60℃~80℃)に設定されている。
【0055】
加熱部81は、例えば電熱線などである。加熱部81が電熱線である場合、加熱部81は、電源82からの電力供給により加熱を行う。電源82は、テープ先端処理治具1内に搭載可能な電池や小型バッテリなどである。また、加熱部81は、作業者がスイッチ83をオン操作することにより電源82から電力供給されて加熱を行う。尚、スイッチ83は、テープ先端処理治具1の表面に操作可能に取り付けられていてよい。
【0056】
テープ先端処理治具1は、
図1、
図2、及び
図7に示す如く、送り孔治具部90を備えている。送り孔治具部90は、キャリアテープ10の送り孔15の大きさを変える治具であって、キャリアテープ10の先頭の送り孔15にオートローディングフィーダ20のスプロケットの係合突起を係合させ易くするための治具である。
【0057】
送り孔治具部90は、キャリアテープ10が載置される台座部としての上記した補助台座部45を有している。補助台座部45は、キャリアテープ10の送り孔15の大きさを変えるためにキャリアテープ10が載置される部位である。補助台座部45は、ブロック状に形成されている。補助台座部45は、本体台座部41に着脱可能に取り付け固定されている。
【0058】
補助台座部45は、ガイド部46を有している。ガイド部46は、キャリアテープ10の突出部14をガイドする凹溝である。ガイド部46は、補助台座部45の上面に形成されており、上方に向いた開口を有している。ガイド部46は、想定されるキャリアテープ10の突出部14の横幅に比して大きな開口幅を有している。ガイド部46は、下側刃部32の下側刃先32aの延在方向に対して平行な方向に延びている。
【0059】
補助台座部45は、位置決め部47を有している。位置決め部47は、送り孔治具部90により送り孔15の大きさが変わるキャリアテープ10の位置決めを行う部位である。位置決め部47は、補助台座部45の上面において上方に突出したピンである。位置決め部47は、キャリアテープ10の送り孔15の大きさに対応して形成されており、キャリアテープ10の送り孔15に挿入可能である。
【0060】
位置決め部47は、補助台座部45に載置されるキャリアテープ10のテープ長手方向に離れて複数箇所(例えば、二箇所)設けられている。キャリアテープ10は、複数箇所それぞれの位置決め部47が送り孔15に挿入された状態で、送り孔治具部90の後述の孔変形部91がキャリアテープ10の先頭の送り孔15を変形できるように載置される。
【0061】
送り孔治具部90は、孔変形部91を有している。孔変形部91は、補助台座部45に載置されるキャリアテープ10の先頭の送り孔15の周縁に接してその送り孔15を変形させる部位である。孔変形部91は、上記のアーム部材70の先端部の下面に設けられている。孔変形部91は、例えば円錐状に形成されている。孔変形部91の円錐根元側は、キャリアテープ10の送り孔15の大きさに比して大きい径を有している。孔変形部91は、第二力点部71に対する持ち上げ操作が行われた場合に、アーム部材70の回動によって補助台座部45に接近するように下動する。
【0062】
補助台座部45は、進入孔48を有している。進入孔48は、孔変形部91が下動してキャリアテープ10の送り孔15に嵌る際にその孔変形部91の先端部が進入する孔である。キャリアテープ10は、孔変形部91がキャリアテープ10の送り孔15に嵌って押し込まれて孔変形部91の先端部が進入孔48に進入することにより、その送り孔15が拡径して変形した状態になる。
【0063】
5.テープ先端処理治具の動作
作業者は、キャリアテープ10をオートローディングフィーダ20のテープ入口に挿入する前、テープ先端処理治具1を用いてキャリアテープ10を切断させると共にそのキャリアテープ10の先端部を変形処理させる。
【0064】
具体的には、まず、作業者は、切断治具部30の第一力点部33に力を付与して、上側刃先31aを下側刃先32aから離して上方に位置させる操作を行う。そして、作業者は、キャリアテープ10の切断箇所を見定めたうえで、キャリアテープ10を上側刃先31aと下側刃先32aとの間に通した状態で本体台座部41に載置し、本体台座部41の位置決め部43をそのキャリアテープ10の送り孔15に挿入させる。尚、テープ先端処理治具1において本体台座部41に二種類以上のガイド部42が設けられている場合は、キャリアテープ10のキャビティ12ひいては電子部品2のサイズに対応したガイド部42が選択され、その選択されたガイド部42に沿ってキャリアテープ10が載置される。
【0065】
その後、作業者は、第一力点部33に力を付与して、上側刃先31aを下側刃先32aに接近させる切断操作を行う。キャリアテープ10の送り孔15に位置決め部43が挿入された状態で切断治具部30に対するキャリアテープ10の切断操作が行われると、上側刃先31aと下側刃先32aとが合わさることで、キャリアテープ10が、テープ長手方向に隣接する二つの突出部14の間の繋ぎ部13cのテープ長手方向中央付近で切断される。
【0066】
作業者は、上記の如くキャリアテープ10が切断された後、そのキャリアテープ10を本体台座部41に載置したまま、次に、アーム部材70の第二力点部71に力を付与して、上側支持部61と下側支持部62とがキャリアテープ10の切断残部側の先端部を挟むように挟持操作を行う。かかる挟持操作が行われると、
図10に示す如く、上側支持部61と下側支持部62とがキャリアテープ10の先端部を挟みつつ、押し上げ部80がキャリアテープ10の先端部の繋ぎ部13cの下面に接してキャリアテープ10の繋ぎ部13c及びそれに対応するカバーテープ19を押し上げる。
【0067】
上記の挟持操作が行われてカバーテープ19が押し上げ部80により押し上げられる際、キャリアテープ10の繋ぎ部13c及びカバーテープ19は、加熱部81により加熱される。また、上記の挟持操作は、例えば数秒~十数秒に亘って継続して行われる。
【0068】
そして、上記の挟持操作が完了すると、作業者は、その挟持操作を解除して上側支持部61と下側支持部62とを互いに離れる方向に移動させる。この状態でキャリアテープ10の先端部が本体台座部41から引き抜かれると、
図11に示す如く、キャリアテープ10は、カバーテープ19及び繋ぎ部13cが上に凸状に湾曲して変形した状態になる。そして、作業者は、このキャリアテープ10をオートローディングフィーダ20のテープ入口に挿入する。
【0069】
このように、テープ先端処理治具1においては、切断治具部30の第一力点部33に対するキャリアテープ10の切断操作が行われた場合に、上側刃先31aと下側刃先32aとが合わさることで、キャリアテープ10が切断される。また、そのキャリアテープ10の切断後、アーム部材70の第二力点部71に対するキャリアテープ10の先端部の挟持操作が行われた場合に、そのキャリアテープ10の第一平面部13a及び第二平面部13b並びにカバーテープ19が挟持部60に挟まれた状態で、そのキャリアテープ10の繋ぎ部13c及びカバーテープ19が押し上げ部80により押し上げられる。
【0070】
キャリアテープ10が押し上げ部80により押し上げられると、キャリアテープ10の先端部が上に凸状に湾曲して変形することで、キャリアテープ10の先端部のカバーテープ19が上に凸状の曲げ癖が付いた形状になる。そして、そのキャリアテープ10がオートローディングフィーダ20のテープ入口に挿入されると、キャリアテープ10の先端部のカバーテープ19に上記の曲げ癖が付いた状態で剥離刃23によるカバーテープ19の剥離が行われる。
【0071】
かかる構成においては、剥離刃23によりベーステープ11からカバーテープ19の剥離が行われる際に、そのカバーテープ19に上に凸状に曲がった曲げ癖があることで、そのカバーテープ19が下に凸状に撓み難くなる。このため、上記の剥離刃23による剥離が行われる際にもカバーテープ19が繋ぎ部13cの凹み16に逃げることを防ぐことができる。従って、テープ先端処理治具1によれば、キャリアテープ10のベーステープ11とカバーテープ19との間に剥離刃23を適切に挿入させることができ、カバーテープ19の正常な剥離を行い易くすることができる。
【0072】
また、テープ先端処理治具1によれば、キャリアテープ10が本体台座部41に載置された状態で、作業者によるキャリアテープ10を切断させる切断操作と、作業者によるキャリアテープ10の先端部に曲げ癖を付ける挟持操作と、の双方を実現することができる。このため、キャリアテープ10の切断操作及び挟持操作を行ううえでそれぞれ別々の治具を用意することは不要であり、治具の共通化を図ることができる。
【0073】
また、キャリアテープ10の切断操作と挟持操作とを一連の作業として行うことができる。このため、キャリアテープ10の切断操作から挟持操作までの作業をキャリアテープ10の移動や移載を伴うことなく実現することができるので、作業者のトータル作業時間の短縮や労力の軽減を図ることができる。
【0074】
また、テープ先端処理治具1において、本体台座部41は、切断治具部30により切断されるキャリアテープ10の位置決め及び押し上げ部80により変形されるキャリアテープ10の先端部の位置決めを行う位置決め部43を有している。このため、切断治具部30がキャリアテープ10を切断する際及び押し上げ部80がキャリアテープ10の先端部を押し上げて変形させる際にそのキャリアテープ10の位置決めを精度良く行うことができる。従って、切断治具部30によるキャリアテープ10の切断及び押し上げ部80によるキャリアテープ10の先端部の押し上げ変形をキャリアテープ10の所望箇所で適切に行うことができる。
【0075】
また、上記の如く、本体台座部41は、ベース部材50に対して下側刃部32の下側刃先32aの延在方向の任意位置に移動されて固定されることが可能である。かかる構成においては、下側刃先32a及び上側刃先31aの同じ位置でキャリアテープ10の切断が繰り返されたとき或いは下側刃先32a及び上側刃先31aに刃こぼれが生じたときに、本体台座部41のガイド部42の位置を下側刃先32aに対して任意の延在方向位置に移動させて、テープ先端処理治具1の使用を継続させることができる。従って、テープ先端処理治具1の長寿命化を図ることができる。
【0076】
また、テープ先端処理治具1において、押し上げ部80は、キャリアテープ10の先端部を加熱する加熱部81を有している。このため、キャリアテープ10の先端部を加熱により変形させ易くすることができ、カバーテープ19への曲げ癖の維持を長期化させることができる。
【0077】
更に、作業者は、キャリアテープ10の送り孔15の大きさを変えるうえでは、キャリアテープ10を補助台座部45に載置し、補助台座部45の位置決め部47をキャリアテープ10の送り孔15に挿入させる。その後、作業者は、アーム部材70の第二力点部71に力を加えて、孔変形部91が補助台座部45に接近してキャリアテープ10の先頭の送り孔15を変形するように孔変形操作を行う。かかる孔変形操作が行われると、孔変形部91がキャリアテープ10の先頭の送り孔15に嵌ってその送り孔15が拡径して変形する。
【0078】
作業者は、キャリアテープ10の送り孔15を変形させた後、上記の孔変形操作を解除して孔変形部91を補助台座部45から離れる方向に移動させ、キャリアテープ10の先端部を補助台座部45から引き抜く。そして、作業者は、このキャリアテープ10をオートローディングフィーダ20のテープ入口に挿入する。
【0079】
このように、テープ先端処理治具1においては、第二力点部71に対するキャリアテープ10の孔変形操作が行われた場合に、送り孔治具部90の孔変形部91によってキャリアテープ10の先頭の送り孔15が拡径した状態に変形される。そして、そのキャリアテープ10がオートローディングフィーダ20のテープ入口に挿入されると、キャリアテープ10の先頭の送り孔15が拡径して変形した状態でその送り孔15にスプロケットの係合突起が係合され、キャリアテープ10の搬送及び剥離刃23によるカバーテープ19の剥離が行われる。
【0080】
かかる構成においては、オートローディングフィーダ20へのキャリアテープ10の挿入時、キャリアテープ10の送り孔15にスプロケットの係合突起を係合させ易くすることができる。このため、テープ先端処理治具1によれば、オートローディングフィーダ20におけるキャリアテープ10の搬送及び剥離刃23によるカバーテープ19の剥離を適切に行うことができる。
【0081】
また、テープ先端処理治具1によれば、上記した切断操作及び挟持操作とは別に、キャリアテープ10が補助台座部45に載置された状態で、作業者によるキャリアテープ10の送り孔を変形させる孔変形操作を行うことができる。このため、キャリアテープ10の切断操作、挟持操作、及び孔変形操作を行ううえでそれぞれ別々の治具を用意することは不要であり、治具の共通化を図ることができる。
【0082】
また、作業者が孔変形操作を行ううえで力を加える力点部と、作業者が挟持操作を行ううえで力を加える力点部と、は互いに共通した第二力点部71である。すなわち、キャリアテープ10が本体台座部41に載置された状態で第二力点部71に力が付与されると、そのキャリアテープ10の先端部が挟持部60により挟持されつつ押し上げ部80により押し上げ変形される。一方、キャリアテープ10が補助台座部45に載置された状態で第二力点部71に力が付与されると、そのキャリアテープ10の先頭の送り孔が送り孔治具部90の孔変形部91により変形される。
【0083】
このため、テープ先端処理治具1によれば、作業者が孔変形操作を行ううえで必要な力点部と作業者が挟持操作を行ううえで必要な力点部との共通化を図ることができ、これにより、治具の簡素化を図ることができる。
【0084】
また、テープ先端処理治具1において、補助台座部45は、送り孔治具部90により先頭の送り孔15が変形されるキャリアテープ10の位置決めを行う位置決め部47を有している。このため、送り孔治具部90がキャリアテープ10の送り孔15を変形させる際にそのキャリアテープ10の位置決めを精度良く行うことができ、これにより、送り孔治具部90によるキャリアテープ10の先頭の送り孔15の変形を適切に行うことができる。
【0085】
ところで、上記の実施形態においては、切断操作が特許請求の範囲に記載した「第一所定操作」に、挟持操作及び孔変形操作が特許請求の範囲に記載した「第二所定操作」に、補助台座部45が特許請求の範囲に記載した「第一台座部」に、本体台座部41が特許請求の範囲に記載した「第二台座部」に、位置決め部43が特許請求の範囲に記載した「位置決め部」に、それぞれ相当している。
【0086】
また、上記の実施形態においては、キャリアテープ10が、平面部13から下方に突出する突出部14内にキャビティ12が設けられたエンボステープである。しかし、本開示はこれに限定されるものではなく、キャリアテープ10が、ベーステープ11の平面部にキャビティ12が凹状に設けられた紙テープであってもよい。
【0087】
尚、本開示は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1:テープ先端処理治具、2:電子部品、10:キャリアテープ、11:ベーステープ、12:キャビティ、13:平面部、13a:第一平面部、13b:第二平面部、13c:繋ぎ部、14:突出部、15:送り孔、16:凹み、19:カバーテープ、20:オートローディングフィーダ、21:テープガイド、23:剥離刃、30:切断治具部、31:上側刃部、32:下側刃部、33:第一力点部、34:支軸、40:台座部、41:本体台座部、42:ガイド部、43:位置決め部、45:補助台座部、46:ガイド部、47:位置決め部、60:挟持部、61:上側支持部、62:下側支持部、70:アーム部材、71:第二力点部、80:押し上げ部、81:加熱部、90:送り孔治具部、91:孔変形部。