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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】樹脂組成物、および、成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 59/00 20060101AFI20240711BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20240711BHJP
   C08L 51/04 20060101ALI20240711BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240711BHJP
【FI】
C08L59/00
C08L21/00
C08L51/04
C08L101/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023552591
(86)(22)【出願日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2023020625
(87)【国際公開番号】W WO2023238788
(87)【国際公開日】2023-12-14
【審査請求日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2022094007
(32)【優先日】2022-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523168917
【氏名又は名称】グローバルポリアセタール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】山元 裕太
(72)【発明者】
【氏名】須長 大輔
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/002314(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/002315(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/002316(WO,A1)
【文献】特開2021-011563(JP,A)
【文献】特開2021-011562(JP,A)
【文献】国際公開第2023/238790(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアセタール樹脂(A)60~85質量%とコアシェルエラストマー(B)40~15質量%を、前記ポリアセタール樹脂(A)と前記コアシェルエラストマー(B)の合計が100質量%を超えない範囲で含む樹脂組成物であり、
前記コアシェルエラストマー(B)の架橋指数が0.24~0.30の範囲であり、
前記コアシェルエラストマー(B)が、ポリアセタール樹脂(A)中において、平均2次粒子径が10~250nmであり、
前記コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素量が0質量%超0.05質量%以下であり、
ここで、架橋指数とは、測定温度をX軸、T 2 緩和時間をY軸とした際に得られるプロットの近似直線の傾きZの逆数1/Zを指す、樹脂組成物。
【請求項2】
ポリアセタール樹脂(A)のISO1133に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトボリュームレート(MVR)が0.5~20cm3/10分である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記コアシェルエラストマー(B)におけるブタジエン単位の含有量が50~80質量%である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記コアシェルエラストマー(B)において、コアがブタジエン含有ゴムを含み、シェルがアクリル系樹脂を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記コアシェルエラストマー(B)がスチレン単位を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記コアシェルエラストマー(B)におけるスチレン単位の含有量が0質量%超5質量%以下である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
樹脂組成物に含まれるポリウレタンの量が、0~1質量%である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリアセタール樹脂(A)のISO1133に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトボリュームレート(MVR)が0.5~20cm3/10分であり、
記コアシェルエラストマー(B)におけるブタジエン単位の含有量が50~80質量%であり、
前記コアシェルエラストマー(B)において、コアがブタジエン含有ゴムを含み、シェルがアクリル系樹脂を含み、
前記コアシェルエラストマー(B)がスチレン単位を含み、前記コアシェルエラストマー(B)におけるスチレン単位の含有量が0質量%超5質量%以下であり、
樹脂組成物に含まれるポリウレタンの量が、0~1質量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1、2またはに記載の樹脂組成物のペレット。
【請求項10】
請求項1、2またはに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
【請求項11】
請求項に記載のペレットから形成された成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、および、成形品に関する。特に、ポリアセタール樹脂を主要成分とする樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアセタール樹脂は、機械的性質、電気的性質、および、耐薬品性などの化学的性質に優れたプラスチックとして、広範囲の用途で使用されている。
ここで、ポリアセタール樹脂に軟質性を持たせるために、エラストマーを配合することが検討されている。
例えば、特許文献1には、ポリアセタール樹脂と、コアシェルエラストマーを含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物を4mm厚さの多目的試験片に成形し、ISO178に従って測定した曲げ弾性率が1700MPa以下であり、かつ、前記樹脂組成物を、ウエルド部を中央に有する1.6mm厚さの試験片に成形し、ASTM D638に従い10mm/分で引張った時のウエルド伸びが20%以上である、樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-011562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の樹脂組成物から得られた成形品は優れた軟質性を有し、ウエルド伸びおよび耐衝撃性に優れるものである。しかしながら、近年の技術革新に伴い、さらにウエルド伸びに優れ、かつ、耐衝撃性に優れた成形品が得られる樹脂組成物が求められている。
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであって、コアシェルエラストマーを配合した軟質性に優れた樹脂組成物であって、ウエルド伸びが高く、かつ、耐衝撃性に優れた樹脂組成物、および、前記樹脂組成物から形成された成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、ポリアセタール樹脂に、所定の架橋指数、平均2次粒子径、および、カリウム元素量を満たすコアシェルエラストマーを配合することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>ポリアセタール樹脂(A)とコアシェルエラストマー(B)を含み、
前記コアシェルエラストマー(B)の架橋指数が0.24~0.30の範囲であり、
前記コアシェルエラストマー(B)が、ポリアセタール樹脂(A)中において、平均2次粒子径が10~250nmであり、
前記コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素量が0質量%超0.05質量%以下である、樹脂組成物。
<2>ポリアセタール樹脂(A)のISO1133に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトボリュームレート(MVR)が0.5~20cm/10分である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記樹脂組成物中のコアシェルエラストマー(B)の含有量が、5~40質量%である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記コアシェルエラストマー(B)におけるブタジエン単位の含有量が50~80質量%である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記コアシェルエラストマー(B)において、コアがブタジエン含有ゴムを含み、シェルがアクリル系樹脂を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記コアシェルエラストマー(B)がスチレン単位を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<7>前記コアシェルエラストマー(B)におけるスチレン単位の含有量が0質量%超5質量%以下である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8>樹脂組成物に含まれるポリウレタンの量が、0~1質量%である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9>ポリアセタール樹脂(A)とコアシェルエラストマー(B)を含み、
前記コアシェルエラストマー(B)の架橋指数が0.24~0.30の範囲であり、
前記コアシェルエラストマー(B)が、ポリアセタール樹脂(A)中において、平均2次粒子径が10~250nmであり、
前記コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素量が0質量%超0.05質量%以下であり、
ポリアセタール樹脂(A)のISO1133に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトボリュームレート(MVR)が0.5~20cm/10分であり、
前記樹脂組成物中のコアシェルエラストマー(B)の含有量が、5~40質量%であり、
前記コアシェルエラストマー(B)におけるブタジエン単位の含有量が50~80質量%であり、
前記コアシェルエラストマー(B)において、コアがブタジエン含有ゴムを含み、シェルがアクリル系樹脂を含み、
前記コアシェルエラストマー(B)がスチレン単位を含み、前記コアシェルエラストマー(B)におけるスチレン単位の含有量が0質量%超5質量%以下であり、
樹脂組成物に含まれるポリウレタンの量が、0~1質量%である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<10><1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物のペレット。
<11><1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
<12><10>に記載のペレットから形成された成形品。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、コアシェルエラストマーを配合した軟質性に優れた樹脂組成物であって、ウエルド伸びが高く、かつ、耐衝撃性に優れた樹脂組成物、および、前記樹脂組成物から形成された成形品を提供可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2022年1月1日時点における規格に基づくものとする。
【0008】
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(A)とコアシェルエラストマー(B)を含み、前記コアシェルエラストマー(B)の架橋指数が0.24~0.30の範囲であり、前記コアシェルエラストマー(B)が、ポリアセタール樹脂(A)中において、平均2次粒子径が10~250nmであり、前記コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素量が0質量%超0.05質量%以下であることを特徴とする。
このような構成とすることにより、軟質性に優れた樹脂組成物であって、ウエルド伸びが高く、かつ、耐衝撃性に優れた樹脂組成物が得られる。
【0009】
<ポリアセタール樹脂(A)>
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(A)を含む。
ポリアセタール樹脂(A)は特に限定されるものではなく、2価のオキシメチレン基のみを構成単位として含むホモポリマーであっても、2価のオキシメチレン基と、炭素数が2~6の2価のオキシアルキレン基とを構成単位として含むコポリマーであってもよい。
【0010】
炭素数が2~6のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、および、オキシブチレン基などが挙げられる。
【0011】
ポリアセタール樹脂においては、オキシメチレン基および炭素数2~6のオキシアルキレン基の総モル数に占める炭素数2~6のオキシアルキレン基の割合は特に限定されるものではなく、0.5~10モル%であればよい。
【0012】
上記ポリアセタール樹脂(A)を製造するためには通常、主原料としてトリオキサンが用いられる。また、ポリアセタール樹脂中に炭素数2~6のオキシアルキレン基を導入するには、環状ホルマールや環状エーテルを用いることができる。環状ホルマールの具体例としては、1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキセパン、1,3-ジオキソカン、1,3,5-トリオキセパン、1,3,6-トリオキソカンなどが挙げられ、環状エーテルの具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドなどが挙げられる。ポリアセタール樹脂(A)中にオキシエチレン基を導入するには、主原料として、1,3-ジオキソランを用いればよく、オキシプロピレン基を導入するには、主原料として、1,3-ジオキサンを用いればよく、オキシブチレン基を導入するには、主原料として、1,3-ジオキセパンを用いればよい。なお、ポリアセタール樹脂においては、ヘミホルマール末端基量、ホルミル末端基量、熱や酸、塩基に対して不安定な末端基量が少ない方がよい。ここで、ヘミホルマール末端基とは、-OCHOHで表されるものであり、ホルミル末端基とは-CHOで表されるものである。
【0013】
本実施形態で用いるポリアセタール樹脂(A)は、ISO1133に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトボリュームレート(MVR)が、0.5cm/10分以上であることが好ましく、0.6cm/10分以上であることがより好ましく、0.8cm/10分以上であることがさらに好ましく、1cm/10分以上であることが一層好ましく、5cm/10分以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、樹脂組成物の生産性がより向上する傾向にある。また、前記ポリアセタール樹脂(A)のMVRは、例えば、30cm/10分以下であり、20cm/10分以下であることが好ましく、18cm/10分以下であることがより好ましく、14cm/10分以下であることがさらに好ましく、10cm/10分以下であることが一層好ましく、8cm/10分以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、コアシェルエラストマー(B)の分散性が向上し、コアシェルエラストマー(B)の平均二次粒子径を小さくすることができる傾向にある。
【0014】
ポリアセタール樹脂としては、上記の他、特開2015-074724号公報の段落0018~0043に記載のポリアセタール樹脂を用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0015】
本実施形態の樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂を60質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、72質量%以上含むことが一層好ましく、76質量%以上であってもよい。上限は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、本実施形態の効果がより効果的に発揮される傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0016】
<コアシェルエラストマー(B)>
本実施形態の樹脂組成物は、コアシェルエラストマー(B)を含む。コアシェルエラストマーとは、コア部とその一部または全部を被覆するシェル層を有する多層構造のポリマーであり、カネカ社のカネエースシリーズや三菱ケミカル社のメタブレンシリーズが知られている。
本実施形態で用いるコアシェルエラストマー(B)は、架橋指数が0.24~0.30の範囲であり、ポリアセタール樹脂(A)中において、平均2次粒子径が10~250nmであり、カリウム元素量が0質量%超0.05質量%以下である。このような構成とすることにより、ウエルド伸びが高く、かつ、耐衝撃性に優れた成形品が得られる。
【0017】
コアシェルエラストマー(B)の架橋指数は0.24~0.30の範囲であり、0.25以上が好ましく、また、0.29以下が好ましく、0.28以下がより好ましく、0.27以下がさらに好ましい。架橋指数とは、コアシェルエラストマーのコア部における分子間架橋の度合いを意味する。すなわち架橋指数が大きいほどエラストマーとしては硬く、架橋指数が小さいほどエラストマーとしては柔らかくなる。架橋指数を前記下限値以上とすることにより、ウエルド伸びが高くなる。これは、エラストマーが硬い方が成形時にウエルド部にかかる力により変形せず、その球状の形状を保てるためと推測される。また、架橋指数を前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の耐衝撃性がより向上する傾向にある。
コアシェルエラストマー(B)の架橋指数は、コアシェルエラストマー生産時の重合条件によって調整される。
コアシェルエラストマー(B)の架橋指数は、後述する実施例の記載に従って測定された結果から算出される。
【0018】
コアシェルエラストマー(B)の平均2次粒子径は、ポリアセタール樹脂(A)中において10~250nmである。本実施形態におけるコアシェルエラストマー(B)の平均二次粒子径は、成形品中の二次平均粒子径である。コアシェルエラストマー(B)の平均二次粒子径を250nm以下とすることにより、ポリアセタール樹脂(A)中でコアシェルエラストマー(B)が分散しやすくなり、ウエルド伸びを高くし、かつ、耐衝撃性を向上させることができる。これは、コアシェルエラストマー(B)の平均2次粒子径が大きくなると、コアシェルエラストマー(B)が成形品中の破壊起点となってしまうためである。また、コアシェルエラストマー(B)とポリアセタール樹脂(A)の間にかかる界面の力も小さくなり、ウエルド伸びを高くし、かつ、耐衝撃性を向上させることができる。このようなポリアセタール樹脂(A)中のコアシェルエラストマー(B)の二次平均粒子径は、コアシェルエラストマー(B)の種類の選択、ポリアセタール樹脂の流動性、溶融混練の条件などを調整することによって達成される。
【0019】
コアシェルエラストマー(B)の平均2次粒子径は、240nm以下であることが好ましく、210nm以下であることがより好ましく、180nm以下であることがさらに好ましく、150nm以下であることが一層好ましく、120nm以下であることがより一層好ましい。また、コアシェルエラストマー(B)の平均2次粒子径は、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、80nm以上であることが一層好ましく、100nm以上であることがより一層好ましい。
コアシェルエラストマー(B)の平均2次粒子径は、後述する実施例の記載に従って測定される。
【0020】
コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素量が0質量%超0.05質量%以下である。前記上限値以下とすることにより、カリウム元素が由来となって、成形品中に破壊起点が生じてしまうことを効果的に抑制できる。前記下限値以上とすることにより、ポリアセタール樹脂に添加した際の樹脂の分解を抑制できる傾向にある。コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素量は、0.04質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以下であることがより好ましく、また、0.01質量%以上であることが好ましく、0.01質量%超であることがさら好ましい。本実施形態においては、検出限界以下を0質量%とする。
コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素とは、カリウム含有化合物として含まれていてもよいし、カリウムイオンやカリウム元素単体として含まれていてもよい。
コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素の量は、例えば、市販品のコアシェルエラストマーを洗浄することによって得られる。
カリウム元素の量は、後述する実施例の記載に従って測定される。
【0021】
本実施形態で用いるコアシェルエラストマーの種類は特に問わないが、コアは、ゴム系ポリマーが好ましい。ゴム系ポリマーとしては、ブタジエン含有ゴム、ブチルアクリレ-ト含有ゴム、2-エチルヘキシルアクリレ-ト含有ゴム、シリコ-ン系ゴムから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ブタジエン含有ゴムを含むことがより好ましい。
本実施形態で用いるコアシェルエラストマーは、また、スチレン単位を含むことが好ましい。スチレン単位を含むことにより、得られる成形品の耐衝撃性が向上する傾向にある。
本実施形態で用いるコアシェルエラストマーは、また、ブタジエン単位の含有量が50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが一層好ましく、また、80質量%以下であることが好ましい。
また、本実施形態で用いるコアシェルエラストマーがスチレン単位を含む場合、その含有量は0質量%超であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、また、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態で用いるコアシェルエラストマーは、ブタジエン単位とスチレン単位と(メタ)アクリル酸エステル単位(好ましくはメチルメタクリレート)の合計が98質量%以上を占めることが好ましい。
本実施形態で用いるコアシェルエラストマーは、シェルは、(メタ)アクリル酸エステル(好ましくはメチルメタクリレート)、芳香族ビニル化合物等の1種または2種以上の単量体の重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル(好ましくはメチルメタクリレート)由来の単位が全体の50質量%以上を占める重合体(アクリル系樹脂)がより好ましい。
本実施形態で用いるコアシェルエラストマーは、コアがゴム系ポリマーを含み、シェルがアクリル系樹脂を含むことが好ましい。このようなコアシェルエラストマーを用いると、本発明の効果がより効果的に発揮される傾向にある。
【0022】
本実施形態の樹脂組成物は、コアシェルエラストマー(B)を5質量%以上含むことが好ましく、10質量%以上含むことがより好ましく、15質量%以上含むことがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐衝撃性がより向上する傾向にある。上限は、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが一層好ましく、28質量%以下であることがより一層好ましく、24質量%以下であってもよい。上記上限値以下とすることにより、耐衝撃性がより向上する傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、コアシェルエラストマーを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0023】
本実施形態の樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(A)とコアシェルエラストマー(B)の合計量が樹脂組成物の95質量%以上を占めることが好ましく、98質量%以上を占めることがより好ましい。ただし、ポリアセタール樹脂(A)とコアシェルエラストマー(B)の合計が100質量%を超えることはない。
【0024】
<その他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内で、従来公知の任意の添加剤や充填剤を含んでいてもよい。本実施形態に用いる添加剤や充填剤としては、例えば、ポリアセタール樹脂以外の熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、帯電防止剤、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスフレーク、チタン酸カリウムウイスカー等が挙げられる。これらの詳細は、特開2017-025257号公報の段落0113~0124の記載を参酌することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリウレタンを実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、樹脂組成物に含まれるポリウレタンの量が、0~1質量%であることをいい、0~0.5質量%であることが好ましく、0~0.1質量%であることがより好ましく、0質量%であってもよい。ポリウレタンの含有量が少ないことにより、得られる成形品のウェルド伸びをより向上させることができる。
【0025】
<樹脂組成物の物性>
本実施形態の樹脂組成物は、ウエルド伸びに優れていることが好ましい。具体的には、本実施形態の樹脂組成物をASTM引張試験片(厚み1.6mm)に成形し、ASTM D638に準じて、引張試験を行ったときのウエルド伸びが95%以上であることが好ましく、98%以上が好ましく、100%以上がより好ましい。また、前記ウエルド伸びの上限は、例えば、300%以下である。
本実施形態の樹脂組成物は、耐衝撃性に優れていることが好ましい。具体的には、ISO179-1に従い、長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片、かつ、先端半径r=0.25mmのノッチ加工を有する試験片のシャルピー衝撃強さが20kJ/m以上であることが好ましく、21kJ/m以上であることがより好ましい。上限は、特に定めるものではないが、50kJ/m以下が実際的である。
ウエルド伸びおよびシャルピー衝撃強さは後述する実施例の記載に従って測定される。
【0026】
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物は、上述した必須成分および必要に応じ上述した任意の成分を含有させてなる。そしてその製造方法は平均2次粒子径が前述の範囲になるように任意の方法が選定される。であり、従来公知の任意の、樹脂組成物の製造方法を使用し、これらの原料を混合・混練すればよい。
【0027】
平均2次粒子径を上記範囲とするための方法の1つとして、ポリアセタール樹脂とコアシェルエラストマーをタンブラーで混合した後、溶融混練機にて押出し、ストランド状とした後に切断してペレットとする方法が挙げられる。この際、溶融混練機としては単軸押出機では二次凝集が発生しやすいことから、二軸押出機を用いることが好ましい。中でもスクリューの長さL(mm)と同スクリューの直径D(mm)の比であるL/Dが、20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、また、100以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましい。前記L/Dを20以上とすることにより、コアシェルエラストマーが微分散しやすくなり、コアシェルエラストマーの二次凝集を効果的に抑制することができる。また、前記L/Dを100以下とすることにより、熱劣化による樹脂組成物の変色を効果的に抑制できる傾向にある。
ダイノズルの形状も特に限定されないが、ペレット形状の点で、直径1mm以上の円形ノズルが好ましく、直径2mm以上の円形ノズルがより好ましく、また、直径10mm以下の円形ノズルが好ましく、直径7mm以下の円形ノズルがより好ましい。
【0028】
また、溶融混練時の樹脂組成物の溶融温度は170℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、また、250℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましい。溶融温度を170℃以上とすることにより、溶融が十分となり、生産量が向上する傾向にある。また、250℃以下とすることにより、熱劣化による樹脂組成物の変色を効果的に抑制できる傾向にある。
【0029】
2軸押出機のスクリュー構成は特に制限されるものでは無いが、好ましい実施形態の1つとして少なくとも2つの混練部を有することが挙げられる。混練部はニーディングディスクを有し、主に樹脂の溶融やエラストマーの分散に寄与する。
【0030】
溶融混練時のスクリュー回転数は、50rpm以上であることが好ましく、70rpm以上であることがより好ましく、80rpm以上であることがより好ましく、また、500rpm以下であることが好ましく、350rpm以下であることがより好ましい。スクリュー回転数を50rpm以下とすることにより、コアシェルエラストマーが微分散しやすくなり、二次凝集の発生をより効果的に抑制できる傾向にある。また、500rpm以下とすることにより、溶融混練時の発熱を抑制でき、熱劣化による樹脂組成物の変色を効果的に抑制できる傾向にある。また、吐出量は、5kg/hr以上であることが好ましく、7kg/hr以上であることがより好ましく、また、1,000kg/hr以下であることが好ましく、800kg/hr以下であることがより好ましい。5kg/hr以上とすることにより、コアシェルエラストマーがより微分散しやすくなり、二次凝集の発生を効果的に抑制できる。また、1,000kg/hr以下とすることにより、溶融混練時の発熱を効果的に抑制でき、熱劣化による樹脂組成物の変色を効果的に抑制できる傾向にある。
【0031】
溶融混練時のスクリュー回転数(Ns)と吐出量(Q)の比(Q/Ns)は、押出機のスクリュー径やスクリュー構成にもよるが、例えば、0.5以上が好ましく、0.7以上がさらに好ましく、0.9以上が特に好ましく、また、1.5以下が好ましく、1.3以下がさらに好ましく、1.2以下が特に好ましい。上記Q/Nsは、スクリュー径が18~75mm(さらには、58mm)、スクリュー構成として混練部を2つ有する実施形態において特に好ましい。
【0032】
混練機は、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等が例示される。混合・混練の各種条件や装置についても、特に制限はなく、従来公知の任意の条件から適宜選択して決定すればよい。混練はポリアセタール樹脂が溶融する温度以上、具体的にはポリアセタール樹脂の融解温度以上(一般的には180℃以上)で行うことが好ましい。
【0033】
<成形品>
本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物から形成される。また、本実施形態の樹脂組成物は、直接に、あるいは、ペレタイズして得られたペレットは、通常、射出成形して成形品とされる。
すなわち、本実施形態の成形品の好ましい一例は、射出成形品である。射出成形品とは、射出成形により、成形された成形品であり、通常、金型内で溶融樹脂が合流する部分に脆弱部分(ウエルド部)が形成されてしまう。
成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、歯車状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状、キャップ状のもの等が挙げられる。本発明の成形品は、部品であっても、完成品であってもよい。
【0034】
<用途>
本実施形態の樹脂組成物および樹脂組成物から形成される成形品は、例えば、トリムクリップやシートベルト部材、ヘッドレストガイドなどの自動車部品、建材部品、電気・電子部品、事務機器部品、日用雑貨部品の他、凍食品、飲料、などの容器、冷蔵庫のパッキン等の家電用品、ホースバンドやパッキン、結束バンドなどが例示される。
【実施例
【0035】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
【0036】
1.原料
以下の表1-1に示す原料を用いた。
【0037】
【表1-1】
【0038】
上記MVRは、ISO1133に従い、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトボリュームレートである。
【0039】
<エラストマーの組成の分析>
各コアシェルエラストマーの組成(コアとシェルの合計の組成)は、以下のとおり分析した。有機元素分析で得られた各元素量を基に熱分解GC/MS分析で得られたコアシェルエラストマーの各構成成分の存在比を計算し組成比とした。熱分解GC/MSの測定を行った。熱分解GC/MSの装置構成及び条件は以下のとおりとした。
装置構成
加熱炉:フロンティア・ラボ製EGA/PY-3030D
GC:島津製作所製 GC-2030
MS:GCMS-QP2020 NX
条件
Pyrolyzer 600℃
カラム: UA-5、0.25mmI.D.×30m×0.25μm
温度条件:50℃(2分)⇒20℃/min⇒320℃(10min)
Flow:1.0mL/min.
Split: 1:30
Inj/IF: 200℃/300℃
有機元素分析の装置及び測定モードは以下のとおりとした。
装置:Elementar社製 vario EL cube
測定モード:CHNモードおよびOモード
単位は質量%である。
結果を下記表1-2に示す。
【表1-2】
【0040】
<M-910の洗浄品の調整>
表2~表6に示すM-910洗浄品A~Cは以下の通り調整した。
100質量部のM910を200質量部の純水中に入れ、撹拌機により10分間攪拌した後、吸引ろ過により固液分離した。洗浄品Aはこの操作を5回繰り返したのに対し、洗浄品Bは3回、洗浄品Cは1回とした。上記操作により得られた固体を60℃の真空乾燥機により乾固させそれぞれ実施例で使用するサンプルとした。
【0041】
<コアシェルエラストマー中のカリウム元素量>
各実施例および比較例にて使用したコアシェルエラストマー中のカリウム元素量について、株式会社リガク製「ZSXminiII」を用いて測定した。
単位は、質量%で示した。
N.Dは検出下限以下であることを意味している。
【0042】
<コアシェルエラストマー架橋指数>
各実施例および比較例にて使用した各コアシェルエラストマーについて、Bruker製Minispec mq20を用いてT緩和時間の測定を行った。測定は-40℃、0℃、23℃、80℃で実施し、それぞれのT緩和時間を得た。測定温度をX軸、T緩和時間をY軸とした際に得られるプロットの近似直線について、傾きが大きいほど分子運動性が高い、すなわち分子の運動を制限する架橋構造が少なく、傾きが小さいほど分子運動性が低い、すなわち分子の運動を制限する架橋構造が多いと考え、前記近似直線の傾きの逆数を架橋指数とした。測定温度-40℃および0℃はSolid echo法で想定し、測定温度23℃および80℃はSpin echo法で測定した。
緩和時間は以下の条件で測定した。
観測周波数:25MHz
測定法:Solid echo法/Spin echo法
繰り返し時間:4sec/4sec
積算回数:16回/4回
測定温度:-40℃、0℃/23℃、80℃
【0043】
2.実施例1~9、比較例1~6
<樹脂組成物(ペレット)の製造>
表2~表6に示す各成分を表2~表6に示す割合(質量部)で、川田製作所社製スーパーミキサーを用いて均一に混合した。得られた混合物をスクリュー径30mm、スクリュー長さ760、ダイノズル径3.5mmのベント付き二軸押出機(株式会社池貝製「PCM-30」)を用いて、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数120rpm、吐出量10kg/時間で溶融せん断混合し、樹脂組成物のペレットを製造した。
【0044】
<コアシェルエラストマーの平均2次粒子径(nm)>
上記で得られたペレットを、温度80℃の熱風循環式乾燥機にて4時間熱処理を行った。
次に、上記乾燥後のペレットを、射出成形機を用い、シリンダー温度195℃に設定し、金型温度を90℃に設定して、ウエルド部を中央に有するASTM引張試験片(厚み3.2mm)を作製し、ASTM D638に準じて、引張試験を行って、ウエルド伸びを測定した。
このASTM引張試験片から、成型時の流動方向に並行で、かつ、ウエルド部を含むようにダイヤモンドナイフで走査型電子顕微鏡(SEM)観察用試験片を切り出した。
得られたSEM観察用試験片の観察面に四酸化オスミウムを蒸着させた後、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてSEM画像を取得した。
得られたSEM画像から、エラストマー由来の島状部の最大長さの平均値を、エラストマーの平均二次粒子径とした。
射出成形機は、芝浦社製EC-100Sを用いた。
四酸化オスミウムの蒸着は、メイワフォーシス社製「オスミウムコータ」を用いて8mA、60秒の条件で行った。走査型電子顕微鏡は日立ハイテクノロジーズ社製「走査型電子顕微鏡(SEM)S-4800」を用い、加速電圧:1kV、信号:LA100(U)、エミッション電流:6μA、プローブ電流:Normalの条件でSEM画像を取得した。
【0045】
<ウエルド伸び>
上記で得られたペレットを、温度80℃の熱風循環式乾燥機にて4時間熱処理を行った。
次に、上記乾燥後のペレットを、射出成形機を用い、シリンダー温度195℃に設定し、金型温度を90℃に設定して、ウエルド部を中央に有するASTM引張試験片(厚み1.6mm)を作製し、ASTM D638に準じて、引張試験を行って、ウエルド伸びを測定した。
射出成形機は、芝浦機械社製、EC-100Sを用いた。
結果を下記表2~表6に示した。単位は、%で示した。
【0046】
<ノッチ付きシャルピー衝撃強さ(kJ/m)>
上記で得られたペレットを、温度80℃の熱風循環式乾燥機にて4時間熱処理を行った。
次に、上記乾燥後のペレットを、金型温度80℃、シリンダー温度190℃で、4mm厚さの多目的試験片に成形した後、ISO179-1に従い、東洋精機社製のノッチングツールを用いて長さ80mm×幅10mm×厚さ4mmの試験片を切り出し、先端半径r=0.25mmのノッチ加工を施した。
結果を表2~表6に示した。単位は、kJ/mで示した。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
上記結果から明らかなとおり、本実施形態の樹脂組成物は、ウエルド伸びが高く、かつ、耐衝撃性に優れていた(実施例1~9)。
これに対し、コアシェルエラストマー(B)の架橋指数が0.24~0.30の範囲を外れる場合(比較例2)、あるいは、架橋指数が0.24~0.30の範囲を満たしていても、平均2次粒子径が250nmを超える場合(比較例3)、ウエルド伸びが低かった。また、やや架橋指数が高めの比較例では、ウエルド伸びはやや高めであったが、シャルピー衝撃強さが劣っていた(比較例1)。
【0053】
また、コアシェルエラストマー(B)の架橋指数および平均2次粒子径が本発明の範囲内であっても、コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素量が0質量%超0.05質量%以下の範囲外の場合(比較例4)、ウエルド伸びが低かった。特に、実施例3と比較例4との比較から明らかなとおり、コアシェルエラストマー(B)中のカリウム元素量が0.05質量%を境に、ウエルド伸びに顕著な差異が認められた。
【0054】
一方、コアシェルエラストマー(B)の架橋指数、および、カリウム元素量が本発明の範囲内であっても、コアシェルエラストマー(B)の平均2次粒子径が本発明の範囲外の場合(比較例5)、ウエルド伸びおよびシャルピー衝撃強さが劣っていた。