(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-10
(45)【発行日】2024-07-19
(54)【発明の名称】仮設屋根ユニット、仮設屋根ユニットシステム、仮設屋根ユニットシステムの収納方法、および仮設屋根ユニットシステムの撤去方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20240711BHJP
【FI】
E04G21/32 B
(21)【出願番号】P 2024040715
(22)【出願日】2024-03-15
【審査請求日】2024-03-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】能勢 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 三樹雄
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-241585(JP,A)
【文献】特開2023-145170(JP,A)
【文献】特公平06-006828(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
E04H 15/00 -15/64
B66C 1/00 - 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、
前記柱の下部に接続され、且つ、前記柱から第1方向に延在する第1梁と、
前記柱の上部に接続され、且つ、前記柱から前記第1方向とは反対の方向に延在する屋根と、
前記第1梁に設けられる錘と、
前記柱又は前記屋根に設けられ、且つ、起重機によって吊り上げられる被吊部材と、
を備えることを特徴とする仮設屋根ユニット。
【請求項2】
前記被吊部材は、前記柱又は前記屋根における前記第1方向の側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の仮設屋根ユニット。
【請求項3】
前記被吊部材は、前記第1方向と直交する方向であって水平方向に沿う方向である第2方向に沿って見て、前記仮設屋根ユニットの略重心に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の仮設屋根ユニット。
【請求項4】
前記被吊部材は、前記錘が前記第1梁の上に載置されることにより、前記第2方向に沿って見て、前記略重心に位置する、
ことを特徴とする請求項3に記載の仮設屋根ユニット。
【請求項5】
前記柱は複数の柱であり、
前記複数の柱は、前記第1方向と直交する方向であって水平方向に並べられており、
前記被吊部材は、前記複数の柱のうち、両端を除く柱に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仮設屋根ユニット。
【請求項6】
前記被吊部材は前記柱に設けられ、
前記屋根は前記柱に着脱可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仮設屋根ユニット。
【請求項7】
前記屋根は、大屋根を載置可能であり、
前記錘は、前記大屋根の端部と綱状体を介して接続される、
ことを特徴とする請求項6に記載の仮設屋根ユニット。
【請求項8】
前記端部は前記被吊部材よりも上に位置する、
ことを特徴とする請求項7に記載の仮設屋根ユニット。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仮設屋根ユニットである第1仮設屋根ユニットと、
壁面状をなし、その主面が鉛直方向と略沿う仮設壁と、
を備える仮設屋根ユニットシステムであって、
前記仮設壁の主面は前記第1仮設屋根ユニットの前記第1方向と略沿う、
ことを特徴とする仮設屋根ユニットシステム。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仮設屋根ユニットである第1仮設屋根ユニットと、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仮設屋根ユニットである第2仮設屋根ユニットと、
壁面状をなし、その主面が鉛直方向と略沿う仮設壁と、
を備える仮設屋根ユニットシステムであって、
前記第1仮設屋根ユニットの前記第1方向と前記第2仮設屋根ユニットの前記第1方向とは略平行であり、
前記仮設壁の主面は前記第1仮設屋根ユニットの前記第1方向と略沿い、且つ、前記第2仮設屋根ユニットの前記第1方向と略沿う、
ことを特徴とする仮設屋根ユニットシステム。
【請求項11】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仮設屋根ユニットである第1仮設屋根ユニットと、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の仮設屋根ユニットである第2仮設屋根ユニットと、
を備える仮設屋根ユニットシステムの収納方法であって、
前記第1仮設屋根ユニットの前記第1梁と前記第2仮設屋根ユニットの前記屋根とが鉛直方向に沿って見て重なるように、前記第2仮設屋根ユニットを、水平方向に沿って見て、前記第1仮設屋根ユニットの前記第1方向の側に配置する配置ステップを備える、
ことを特徴とする仮設屋根ユニットシステムの収納方法。
【請求項12】
請求項1から4のいずれか1項に記載の仮設屋根ユニットと、
前記仮設屋根ユニットの前記屋根に載置され、且つ、鉛直方向に沿って見て、前記仮設屋根ユニットの被吊部材と重なる大屋根と、
を備える仮設屋根ユニットシステムの撤去方法であって、
前記仮設屋根ユニットの前記屋根から前記大屋根を撤去する大屋根撤去ステップと、
前記大屋根撤去ステップの後、前記仮設屋根ユニットを移動させる仮設屋根ユニット移動ステップと、
を備えることを特徴とする仮設屋根ユニットシステムの撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設屋根ユニット、仮設屋根ユニットシステム、仮設屋根ユニットシステムの収納方法、および仮設屋根ユニットシステムの撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば洋上風力発電用ジャケット構造体のトランジションピースなどの巨大な構造物を塗装する際は、構造物を囲うための設備が必要となる。
特許文献1には、複数の主骨体と、主骨体の下部に設けられて接地面に接地される座体と、主骨体の下部に設けられる車輪と、隣接する主骨体の下部間に架設された架橋体と、架橋体に載置されて所定の重量を備えた錘体と、座体に設けられて接地面に対して滑止めを行なう滑止体と、を有するテントフレームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のテントフレームは、起重機によって移動させることが想定されておらず、車輪を使わずに移動させるのに支障があるという課題があった。
そこで、本発明は、安定して設置可能であり、且つ、起重機による容易な移動が可能となる仮設屋根ユニット、仮設屋根ユニットシステム、仮設屋根ユニットシステムの収納方法、および仮設屋根ユニットシステムの撤去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本発明の一態様に係る仮設屋根ユニットは、柱と、前記柱の下部に接続され、且つ、前記柱から第1方向に延在する第1梁と、前記柱の上部に接続され、且つ、前記柱から前記第1方向とは反対の方向に延在する屋根と、前記第1梁に設けられる錘と、前記柱又は前記屋根に設けられ、且つ、起重機によって吊り上げられる被吊部材と、を備える、ことを特徴とする。
【0006】
[2]上記[1]において、前記被吊部材は、前記柱又は前記屋根における前記第1方向の側に設けられることが好ましい。
【0007】
[3]上記[1]において、前記被吊部材は、前記第1方向と直交する方向であって水平方向に沿う方向である第2方向に沿って見て、前記仮設屋根ユニットの略重心に位置することが好ましい。
【0008】
[4]上記[3]において、前記被吊部材は、前記錘が前記第1梁の上に載置されることにより、前記第2方向に沿って見て、前記略重心に位置することが好ましい。
【0009】
[5]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記柱は複数の柱であり、前記複数の柱は、前記第1方向と直交する方向であって水平方向に並べられており、前記被吊部材は、前記複数の柱のうち、両端を除く柱に設けられる、ことが好ましい。
【0010】
[6]上記[1]から[4]のいずれかにおいて、前記被吊部材は前記柱に設けられ、前記屋根は前記柱に着脱可能であることが好ましい。
【0011】
[7]上記[6]において、前記屋根は、大屋根を載置可能であり、前記錘は、前記大屋根の端部と綱状体を介して接続されることが好ましい。
【0012】
[8]上記[7]において、前記端部は前記被吊部材よりも上に位置することが好ましい。
【0013】
[9]本発明の一態様に係る仮設屋根ユニットシステムは、上記[1]から[4]のいずれかの仮設屋根ユニットである第1仮設屋根ユニットと、壁面状をなし、その主面が鉛直方向と略沿う仮設壁と、を備える仮設屋根ユニットシステムであって、前記仮設壁の主面は前記第1仮設屋根ユニットの前記第1方向と略沿う、ことを特徴とする。
【0014】
[10]本発明の一態様に係る仮設屋根ユニットシステムは、上記[1]から[4]のいずれかの仮設屋根ユニットである第1仮設屋根ユニットと、上記[1]から[4]のいずれかの仮設屋根ユニットである第2仮設屋根ユニットと、壁面状をなし、その主面が鉛直方向と略沿う仮設壁と、を備える仮設屋根ユニットシステムであって、前記第1仮設屋根ユニットの前記第1方向と前記第2仮設屋根ユニットの前記第1方向とは略平行であり、前記仮設壁の主面は前記第1仮設屋根ユニットの前記第1方向と略沿い、且つ、前記第2仮設屋根ユニットの前記第1方向と略沿う、ことを特徴とする。
【0015】
[11]本発明の一態様に係る仮設屋根ユニットシステムの収納方法は、上記[1]から[4]のいずれかの仮設屋根ユニットである第1仮設屋根ユニットと、上記[1]から[4]のいずれかの仮設屋根ユニットである第2仮設屋根ユニットと、を備える仮設屋根ユニットシステムの収納方法であって、前記第1仮設屋根ユニットの前記第1梁と前記第2仮設屋根ユニットの前記屋根とが鉛直方向に沿って見て重なるように、前記第2仮設屋根ユニットを、水平方向に沿って見て、前記第1仮設屋根ユニットの前記第1方向の側に配置する配置ステップを備える、ことを特徴とする。
【0016】
[12]本発明の一態様に係る仮設屋根ユニットシステムの撤去方法は、上記[1]から[4]のいずれかの仮設屋根ユニットと、前記仮設屋根ユニットの前記屋根に載置され、且つ、鉛直方向に沿って見て、前記仮設屋根ユニットの被吊部材と重なる大屋根と、を備える仮設屋根ユニットシステムの撤去方法であって、前記仮設屋根ユニットの前記屋根から前記大屋根を撤去する大屋根撤去ステップと、前記大屋根撤去ステップの後、前記仮設屋根ユニットを移動させる仮設屋根ユニット移動ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1梁上の錘と屋根とがバランス良く配置されていることによって、仮設屋根ユニットを安定して設置することができ、且つ、起重機による容易な移動を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る仮設屋根ユニットシステムの斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る仮設屋根ユニットの斜視図である。
【
図3】屋根支持梁の延在方向に沿って見た、屋根の構成を説明する概略図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る仮設屋根ユニットシステムの正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る仮設屋根ユニットの収納方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1に示すように、第1実施形態に係る仮設屋根ユニットシステム100は、大屋根102と、大屋根102を支持する2つの第1仮設屋根ユニット1Aおよび2つの第2仮設屋根ユニット1Bと、仮設壁101と、を備える。仮設屋根ユニットシステム100は、例えば洋上風力発電用ジャケット構造体のトランジションピースなどの巨大な構造物を塗装する際、風の影響を受けないように構造物の周りを囲むための設備である。
第1仮設屋根ユニット1Aと第2仮設屋根ユニット1Bとは同一の構成を有し、仮設壁101とともに仮設屋根ユニットシステム100の壁部として機能する。
【0020】
大屋根102は、鉛直方向に沿って見て矩形状をなし、囲うべき物体の大きさや仮設屋根ユニットシステム100の他の構成要素に対応した大きさに形成されている。大屋根102は、仮設屋根ユニット1の屋根4(
図2参照)の上に載置され、所定の取付金具を用いて固定されている。大屋根102は、例えば鋼材によって形成された骨組と、骨組に取り付けられて風を遮断する遮風用シートと、を備える。遮風用シートは、帆布などによって形成することができる。
【0021】
仮設壁101は、壁面状をなし、その主面が鉛直方向と略沿うように自立可能に構成されている。なお、本発明において、仮設壁101を構成する面のうち最も面積の大きい主要な面を「主面」と呼ぶ。仮設壁101は、例えば鋼材によって形成された骨組110と遮風用シートとを備える。骨組110は、地上に載置される基部111と矩形状の壁本体部112とからなる。仮設壁101は、囲うべき物体の大きさなどに対応した大きさに形成されている。
また、仮設屋根ユニットシステム100には、所定の枠組足場を追加することができる。
【0022】
次に、仮設屋根ユニット1(第1仮設屋根ユニット1A、第2仮設屋根ユニット1B)の詳細について説明する。
図2に示すように、本実施形態の仮設屋根ユニット1は、4本の柱2と、各々の柱2の下部に接続された4本の第1梁3と、柱2の上部に接続された屋根4と、第1梁3に設けられた錘5と、2つの被吊部材6と、を備える。
本実施形態では、柱2および第1梁3を4本としているが、これに限ることはなく、仮設屋根ユニット1に必要とされる大きさや強度などに応じて適宜増減することができる。
【0023】
柱2は、鉛直方向に延在する柱状部材であり、例えばH形鋼によって形成することができる。柱2の長さ、強度は、囲うべき物体の大きさなどに応じて決定することができる。複数の柱2は、互いに平行となるように配置されている。
【0024】
第1梁3は、その長手方向が水平となるように、地面または後述する嵩上げ架台103(
図4参照)に載置される部材である。第1梁3は、各々の柱2の下部に例えば溶接によって接続されている。第1梁3は、例えばH形鋼によって形成することができる。
第1梁3は、柱2から第1方向X1に延在している。本明細書において、第1方向X1は、仮設屋根ユニット1において、第1梁3が延在する方向である。第1方向X1は、柱2の延在方向(鉛直方向)と略直角をなす方向であり、例えば、水平方向である。また、仮設屋根ユニット1において、第1方向X1と略直角をなして水平方向に略沿う方向を第2方向Yとする。
【0025】
4本の柱2および4本の第1梁3は、第2方向Yに間隔を空けて、互いに平行となるように、水平方向に並べられている。第1梁3同士は、第2方向Yに延在する第2梁7によって接続されている。第2梁7は必要とされる強度に応じて1本以上設けることができ、例えば溶接によって第1梁3に接続することができる。第2梁7は、第1梁3と同様に、例えばH形鋼によって形成することができる。
【0026】
本実施形態の仮設屋根ユニット1は、仮設屋根ユニット1の剛性を強化するための補助柱8を備える。第1梁3は、第1方向X1とは反対の方向X2にも延在しており、補助柱8は、第1梁3の端部と屋根4との間で、柱2と平行をなすように配置されている。
柱2同士、および補助柱8同士は、第2方向Yに延在する複数の梁状の補強部材9によって接続することができる。
【0027】
屋根4は、柱2の上部に接続され、且つ、第1方向X1とは反対の方向X2に延在している。屋根4は、屋根支持梁41と、屋根支持梁41によって支持される屋根本体42と、を備える。
図3は、屋根支持梁41の延在方向に沿って見た、屋根4の構成を説明する概略図である。
図3に示すように、屋根支持梁41は、梁本体43と梁本体43の両側に固定されて、梁本体43の長手方向に延在する板状部材44とを備えている。梁本体43の上面と一対の板状部材44によって屋根支持梁41には屋根端収容溝45が形成される。
【0028】
屋根本体42は、矩形状をなし、互いに平行な2辺には、屋根端収容溝45に対応する線状突起46が形成されている。屋根4は、屋根本体42の線状突起46が屋根支持梁41の屋根端収容溝45に差し込まれるように構成されている。このような構成により、屋根本体42は、屋根支持梁41に対して着脱可能である。屋根端収容溝45は、屋根4上の雨水を流す樋としても機能する。屋根4には、大屋根102を載置可能である。
【0029】
被吊部材6は、例えば、4つの柱2のうち、両端の柱2を除く柱2の上部に設けられている。被吊部材6は、起重機のフックがかけられる部位であり貫通孔が形成されている。被吊部材6は、屋根4よりも下方に配置され、柱2から第1方向X1の側に突出するように設けられている。
【0030】
錘5は、第1梁3上に設けられている。錘5は、被吊部材6を介して起重機で仮設屋根ユニット1を吊り上げる際に、仮設屋根ユニット1のバランスを適切とする機能を有する。すなわち、錘5の位置、および重量は、被吊部材6を介して起重機で仮設屋根ユニット1を吊り上げる際に、仮設屋根ユニット1のバランスが適切となるように定められる。ここで、適切なバランスとは、被吊部材6を介して起重機で仮設屋根ユニット1を吊り上げたとき、柱2が大きく傾くことなく、且つ、第1梁3が略水平に保たれる状態をいう。
具体的には、被吊部材6は、適切な重量の錘5が第1梁3の上の適切な位置に載置されることにより、第2方向Yに沿って見て、仮設屋根ユニット1の略重心に位置するように配置されている。錘5は、所定の重量物、例えばH形鋼によって形成することができる。なお、被吊部材6の位置は厳密に重心に位置している必要はなく、第1方向X1に対して±500mm程度ずれていてもよい。
【0031】
このように、被吊部材6が仮設屋根ユニット1の略重心に位置していることによって、起重機により、より容易に、且つ、より安定的に仮設屋根ユニット1を運搬することができる。さらに、錘5を第1梁3の上に載置することで、仮設屋根ユニット1の重心を低くすることができる。また、錘5とともに仮設屋根ユニット1を移動させることができるため、より容易に仮設屋根ユニット1を移動させることができる。
【0032】
本実施形態では、2つの錘5が、第2方向Yに離隔して配置されており、2つの錘5の間には、リフトのフォークが挿入されるスペースSが設けられている。このように、2つの錘5の間にスペースSが設けられていることによって、リフトを用いた仮設屋根ユニット1の移動が容易となる。
【0033】
仮設屋根ユニット1には、作業員用の足場10を設けることができる。足場10は、柱2に対して被吊部材6とは反対の側に配置することができる。本実施形態では、足場10は、柱2と補助柱8に固定されている。また、柱2には、足場10のみならず、階段や手摺も設けることができる。
【0034】
図1に戻って、仮設屋根ユニットシステム100において、第1仮設屋根ユニット1Aの第1方向X1(第1梁3の延在方向)と第2仮設屋根ユニット1Bの第1方向X1とは略平行であり、2つの第1仮設屋根ユニット1Aは、大屋根102の一方の端部を支持するように並んで配置され、2つの第2仮設屋根ユニット1Bは、大屋根102の他方の端部を支持するように並んで配置されている。また、仮設壁101は、その主面が、第1仮設屋根ユニット1Aの第1方向X1と略沿い、第2仮設屋根ユニット1Bの第1方向X1と略沿うように配置されている。また、錘5は大屋根102の端部と綱状体114を介して接続されている。なお、仮設壁101の主面と仮設屋根ユニット1の第1方向X1とは厳密に沿っている必要はなく、±20°程度傾いていてもよい。
【0035】
大屋根102は、鉛直方向に沿って見て、第1仮設屋根ユニット1Aの被吊部材6と重なるように形成されている。すなわち、大屋根102は、被吊部材6よりも第1方向X1に突出している。これにより、錘5と大屋根102の端部とを綱状体114を介して接続するのを容易とすることができる。
また、上述のように、被吊部材6が屋根4よりも下方に配置され、大屋根102の端部は被吊部材6より上に位置している。これにより、屋根4上に載置される大屋根102と被吊部材6とが干渉することを抑制することができ、大屋根102を屋根4に載置することが容易となる。
【0036】
上記実施形態によれば、第1方向X1に延在する第1梁3に錘5が設けられ、第1方向X1とは反対の方向X2に延在する屋根4とバランスがとられることによって、安定して設置可能であり、且つ、起重機によって運搬可能な仮設屋根ユニット1を提供することができる。
【0037】
加えて、仮設屋根ユニット1を第2方向Yに隣接するように配置する際に、被吊部材6が隣接する仮設屋根ユニット1と干渉することを抑制することができるので、起重機で仮設屋根ユニット1を移動させることがより容易となる。また、柱2に設けられる足場、階段、手摺などが、柱2を挟んで被吊部材6とは反対の側に設けられていることによって、起重機で仮設屋根ユニット1を吊り上げる際に、足場などが邪魔になることを抑制することができる。
【0038】
また、被吊部材6が柱2に設けられていることによって、屋根4と干渉することなく、起重機で仮設屋根ユニットを吊り上げることが可能となる。また、被吊部材6が第1方向X1に突出するように設けられていることによって、本実施形態のように、仮設屋根ユニットを第2方向Yに沿って隣接するように配置する場合においても、被吊部材6が隣接する仮設屋根ユニット1と干渉することを抑制することができるため、起重機で仮設屋根ユニットを移動させることがより容易となる。
【0039】
また、被吊部材6が4本の柱2のうち、両端の柱2を除く柱2の上部に設けられていることによって、起重機により、仮設屋根ユニット1を運搬する際、短い玉掛けワイヤーを使用する場合でも、玉掛けワイヤーの仰角を確保しやすくなる。
【0040】
また、屋根4が着脱可能であることによって、起重機で仮設屋根ユニット1を移動させる際に、屋根4を取り外して運搬することが可能となる。また、巨大な構造物を囲う際に、屋根4を取り外すことで、構造物との干渉を抑制することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、被吊部材6は、柱2に設けられているが、起重機によって安定して吊ることができれば、これに限ることはなく、被吊部材6を屋根4に設けることもできる。
また、本実施形態では、2つの仮設屋根ユニット1で大屋根102の端部を支持する構成としたが、仮設屋根ユニット1の数は適宜変更することができる。
【0042】
〔仮設屋根ユニットシステムの撤去方法〕
次に、本実施形態の仮設屋根ユニットシステムの撤去方法について説明する。
仮設屋根ユニットシステムの撤去方法は、上記した仮設屋根ユニット1と、大屋根102と、を備える仮設屋根ユニットシステムの撤去方法である。
仮設屋根ユニットシステムの撤去方法は、仮設屋根ユニット1の屋根4から大屋根102を撤去する大屋根撤去ステップと、大屋根撤去ステップの後、仮設屋根ユニット1を起重機によって移動させる仮設屋根ユニット移動ステップと、を備える。
【0043】
この仮設屋根ユニットシステムの撤去方法によれば、大屋根102を撤去した後に、仮設屋根ユニット1を移動させるので、仮設屋根ユニット1を起重機によって移動させることが容易となる。
【0044】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る仮設屋根ユニットシステムについて説明する。
図4は、本実施形態に係る仮設屋根ユニットシステム100Aの正面図である。
図4に示すように、本実施形態の仮設屋根ユニットシステム100Aは、第1仮設屋根ユニット1Aと、仮設壁101と、を備える。仮設壁101は、その主面が第1仮設屋根ユニット1Aの第1方向X1と略沿うように配置されている。
仮設屋根ユニットシステム100Aの大屋根102の一方の端部は、嵩上げ架台103によって嵩上げされた仮設屋根ユニット1に支持され、大屋根102の他方の端部は、嵩上げ架台103のみによって支持されている。嵩上げ架台103は、仮設屋根ユニット1の下部に所定の取付金具によって固定されている。また、嵩上げ架台103同士も所定の取付金具によって固定することができる。
このように、仮設屋根ユニット1を用いた仮設屋根ユニットシステムは、第1実施形態の仮設屋根ユニットシステム100に限らず、様々な形態の仮設屋根ユニットシステムに適用することができる。
【0045】
〔仮設屋根ユニットシステムの収納方法〕
次に、複数の仮設屋根ユニット1を有する仮設屋根ユニットシステム100の不使用時に、複数の仮設屋根ユニット1を所定の場所に収納する、仮設屋根ユニットシステムの収納方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る仮設屋根ユニットシステムの収納方法について説明する図である。仮設屋根ユニットシステムの収納方法は、第1仮設屋根ユニット1Aと、第2仮設屋根ユニット1Bと、を備える仮設屋根ユニットシステムの収納方法であって、第1仮設屋根ユニット1Aの第1梁3と第2仮設屋根ユニット1Bの屋根4とが鉛直方向に沿って見て重なるように、第2仮設屋根ユニット1Bを、水平方向に沿って見て、第1仮設屋根ユニット1Aの第1方向X1の側に配置する配置ステップを備える。
【0046】
すなわち、本実施形態の仮設屋根ユニットシステムの収納方法では、2つの仮設屋根ユニット1は、第1仮設屋根ユニット1Aの第1方向X1と、第2仮設屋根ユニット1Bの第1方向X1とが略同じ方向を向き、且つ、第2仮設屋根ユニット1Bが第1仮設屋根ユニット1Aの第1方向X1の側となるように配置される。
さらに、第1仮設屋根ユニット1Aの第1梁3と、第2仮設屋根ユニット1Bの屋根4とは、鉛直方向に沿って見て重なるように配置される。すなわち、第2仮設屋根ユニット1Bの屋根4の下に、第1仮設屋根ユニット1Aの第1梁3が挿入されるように配置される。
【0047】
上記実施形態によれば、第2仮設屋根ユニット1Bの屋根4の下に、第1仮設屋根ユニット1Aの第1梁3が挿入されるように配置されることにより、第1仮設屋根ユニット1Aと第2仮設屋根ユニット1Bを収納するための空間を小さくすることができる。
なお、上記では、2つの仮設屋根ユニット1を備える仮設屋根ユニットシステムの収納方法を例に、仮設屋根ユニットシステムの収納方法を説明したが、仮設屋根ユニットの数はこれに限ることはない。例えば、3つ以上の仮設屋根ユニットを収納する場合も同様の方法で収納可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…仮設屋根ユニット、2…柱、3…第1梁、4…屋根、5…錘、6…被吊部材、7…第2梁、8…補助柱、9…補強部材、10…足場、41…屋根支持梁、42…屋根本体、43…梁本体、44…板状部材、45…屋根端収容溝、46…線状突起、100…仮設屋根ユニットシステム、101…仮設壁、102…大屋根、103…嵩上げ架台、110…骨組、111…基部、112…壁本体部、114…綱状体、S…スペース、X1…第1方向、X2…第1方向とは反対の方向、Y…第2方向。
【要約】
【課題】構造物の周りを囲むための設備である仮設屋根ユニットの安定した設置、および起重機による移動を容易とする。
【解決手段】柱2と、柱2の下部に接続され、且つ、柱2から第1方向X1に延在する第1梁3と、柱2の上部に接続され、且つ、柱2から第1方向X1とは反対の方向X2に延在する屋根4と、第1梁3に設けられる錘5と、柱2又は屋根4に設けられ、且つ、起重機によって吊り上げられる被吊部材6と、を備える仮設屋根ユニット1を提供する。
【選択図】
図2