(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】レーザ加工のための微細スケールでの時間的制御
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20240712BHJP
B23K 26/0622 20140101ALI20240712BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20240712BHJP
B23K 26/073 20060101ALI20240712BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20240712BHJP
【FI】
B23K26/00 N
B23K26/0622
B23K26/064 A
B23K26/073
B23K26/082
(21)【出願番号】P 2022122612
(22)【出願日】2022-08-01
(62)【分割の表示】P 2020050717の分割
【原出願日】2016-11-21
【審査請求日】2022-08-31
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518055899
【氏名又は名称】エヌライト,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】マルティンセン,ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チ
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-045584(JP,A)
【文献】特開2012-059920(JP,A)
【文献】特開2003-129862(JP,A)
【文献】特開2009-142866(JP,A)
【文献】国際公開第2008/053915(WO,A1)
【文献】特表2012-528011(JP,A)
【文献】特開平06-297168(JP,A)
【文献】特開2009-248157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/0622
B23K 26/064
B23K 26/073
B23K 26/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工の方法であって、
走査平面において可変走査速度で前記走査平面の走査経路に沿って連続波レーザビームを標的に方向付けるステップと、
前記走査平面における前記可変走査速度に基づいて、ズームビームエキスパンダによって前記連続波レーザビームのコリメート幅を調整するステップと、を含み、
前記標的が金属粉末を含み、前記連続波レーザビームが前記金属粉末を選択的に溶融させて3D物体を形成する、方法。
【請求項2】
前記連続波レーザビームの前記コリメート幅が調整されて、前記標的における可変スポットサイズと、前記走査経路に沿う所定のフルエンス範囲内の前記標的におけるフルエンスとを、前記連続波レーザビームに提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可変走査速度に基づいて、前記連続波レーザビームのデジタル変調を調整するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
レーザ加工の方法であって、
ズームビームエキスパンダによって連続波レーザビームの幅を調整して、標的における可変スポットサイズを前記連続波レーザビームに提供するステップと、
前記連続波レーザビームを、走査経路に沿って前記標的に方向付けるステップと、
前記可変スポットサイズに対して前記連続波レーザビームをデジタル変調して、前記走査経路に沿って所定のフルエンス範囲内で前記標的においてフルエンスを提供するステップと、を含み、
前記連続波レーザビームが、可変走査速度で走査経路に沿って前記標的に方向付けられ、
前記デジタル変調が、前記標的における前記フルエンスを、前記可変走査速度に対して前記走査経路に沿って前記所定のフルエンス範囲内に維持するように調整され、
前記標的が金属粉末を含み、前記連続波レーザビームが前記金属粉末を選択的に溶融させて3D物体を形成する、方法。
【請求項5】
レーザ加工の方法であって、
可変走査速度で走査経路に沿ってレーザビームを標的に方向付けるステップであって、
前記標的における可変スポットサイズを前記レーザビームに提供するように、ズームビームエキスパンダによって前記レーザビームの幅を調整することと、
z軸集束調整光学システムおよびガルバノメータ走査システムを有する3D走査システムによって、前記ズームビームエキスパンダから前記レーザビームを受けることと、
前記標的において前記走査経路に沿って前記可変スポットサイズを有する前記レーザビームを走査することと、
を含む、ステップと、
前記標的におけるフルエンスを、前記走査経路に沿って所定のフルエンス範囲内で提供するように、前記走査経路に沿った前記レーザビームの移動中に、前記可変走査速度に対してデジタル変調を調整するステップと、を含み、
前記標的が金属粉末を含み、前記レーザビームが前記金属粉末を選択的に溶融させて3D物体を形成し、
前記デジタル変調を調整する前記ステップが、前記レーザビームを生成するのに使用されるポンプ電流の変調によって得られる、方法。
【請求項6】
レーザ加工のための装置であって、
連続波レーザビームを生成するように構成されるレーザ源、および、走査平面において可変走査速度で前記走査平面内の走査経路に沿って前記連続波レーザビームを標的に方向付けるように構成されるレーザスキャナと、
前記連続波レーザビームを受け、前記走査平面における前記可変走査速度に基づいて、前記連続波レーザビームのコリメート幅を調整するように配置されたズームビームエキスパンダと、を備え、
前記標的が金属粉末を含み、
前記レーザスキャナが、前記金属粉末を選択的に溶融させて3D物体を形成するように前記連続波レーザビームを方向付けるように構成される、装置。
【請求項7】
前記ズームビームエキスパンダが、前記連続波レーザビームの前記コリメート幅を調整して、前記標的における可変スポットサイズと、前記走査経路に沿う所定のフルエンス範囲内の前記標的におけるフルエンスとを、前記連続波レーザビームに提供するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記レーザ源に結合され、前記可変走査速度に基づいて、前記連続波レーザビームのデジタル変調を調整するように構成されるコントローラを更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
レーザ加工のための装置であって、
連続波レーザビームを生成するように構成されるレーザ源と、
走査経路に沿って前記連続波レーザビームを標的に方向付けるように構成されるレーザスキャナと、
前記連続波レーザビームの幅を調整して、前記標的における可変スポットサイズを前記連続波レーザビームに提供するように構成されたズームビームエキスパンダと、
前記可変スポットサイズに対して前記連続波レーザビームをデジタル変調するように構成され、前記走査経路に沿って所定のフルエンス範囲内で前記標的においてフルエンスを提供するコントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記レーザスキャナに、前記連続波レーザビームを、可変走査速度で前記走査経路に沿って前記標的に方向付けさせるように構成され、
前記コントローラが、更に、前記デジタル変調を調整するように構成され、前記標的における前記フルエンスを、前記可変走査速度に対して前記走査経路に沿って前記所定のフルエンス範囲内に維持し、
前記標的が金属粉末を含み、
前記コントローラが、前記連続波レーザビームに、前記金属粉末を選択的に溶融させて3D物体を形成するように構成される、装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年2月5日に出願された米国仮特許出願第62/292,108号及び2015年11月23日に出願された米国仮特許出願第62/258,774号の利益を主張するものであり、どちらも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、レーザ加工に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、順次層による物体の形成技術が成熟し、広範に利用できるようになるにつれて、付加製造及び3D印刷技術が注目されるようになってきた。具体的には、現在、選択的レーザ溶融(SLM)及び選択的レーザ焼結(SLS)などのレーザに基づく方法が、鋳造及び機械加工などの、工業グレードの物体を製造するための従来の技術に取って代わる可能性があり得る。しかしながら、数多くの障害が残っている。例えば、従来の付加製造法は、典型的には、従来製造されている相対物のように迅速に、又は完成した状態において信頼性の高い物体を作成することができない。更に、作成された物体は、しばしば、優れた精度の細部又は特徴の解像度を有しない。故に、従来の付加製造機器及び方法と関連付けられた問題点及び欠点を解決することを目的とする新しい手法に必要性が残っている。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態によれば、方法は、可変走査速度で走査経路に沿ってレーザビームを標的に方向付けることと、走査経路に沿って所定のフルエンス範囲内で標的におけるフルエンスを提供するように、走査経路に沿ったレーザビームの移動中に、及び可変走査速度に関連してデジタル変調を調整することとを含む。
【0005】
更なる実施形態によれば、方法は、走査経路に沿ってレーザビームを標的に方向付けることを含み、該方向付けることは、標的において可変スポットサイズをレーザビームに提供するように、ズームビームエキスパンダによってレーザビームの幅を調整することと、z軸集束調整光学システム及びガルバノメーター走査システムを有する3D走査システムによって、ズームビームエキスパンダからレーザビームを受光することと、
標的において走査経路に沿って可変スポットサイズを有するレーザビームを走査することとを含む。
【0006】
更なる実施形態によれば、機器は、レーザビームを放射するように位置させたレーザ源と、レーザビームを受光し、標的において走査平面内の走査経路に沿ってレーザビームを方向付けるように位置させた3Dスキャナと、走査経路に沿ったレーザビーム走査速度が変化したときに所定のフルエンス範囲にある、走査経路に沿った走査平面においてフルエンスを生じさせるようにレーザ源に結合された、レーザ源デジタル変調器とを備える。追加的な例において、機器は、レーザ源からレーザビームを受光するように、及び3Dスキャナによって受光するレーザビームの幅を変化させて走査平面内のレーザビームの集束させたレーザスポットのサイズを変化させるように位置させた、ズームビームエキスパンダを更に備える。
【0007】
追加的な実施形態によれば、方法は、集束フィールド内の標的においてレーザビームを集束させることと、走査経路に沿って、集束させたレーザビームを可変速度で走査することと、走査経路に沿って標的によって受光されるレーザビームの平均パワーを調整するように、及び標的と関連付けられた1つ又は2つ以上のレーザ加工閾値を上回る、又は下回
るフルエンスを標的に提供するように、走査経路に沿った走査移動中にレーザビームをデジタル変調することとを含む。
【0008】
更なる例によれば、方法は、走査経路に沿って可変走査速度でレーザビームを標的に方向付けることと、可変走査速度に基づいて、ズームビームエキスパンダによってレーザビームのコリメート幅を調整することとを含む。いくつかの例において、コリメート幅は、標的における可変スポットサイズ、及び走査経路に沿った所定のフルエンス範囲内の標的におけるフルエンスをレーザビームに提供するように調整される。いくつかの例は、可変走査速度に基づいて、レーザビームのデジタル変調を調整することを更に含むことができる。
【0009】
追加的な実施形態において、方法は、標的において可変スポットサイズをレーザビームに提供するように、ズームビームエキスパンダによってレーザビームの幅を調整することと、走査経路に沿ってレーザビームを標的に方向付けることと、走査経路に沿って所定のフルエンス範囲内で標的におけるフルエンスを提供するように、可変スポットサイズに関連するレーザビームをデジタル変調することとを含む。更なる例において、レーザビームは、可変走査速度で走査経路に沿って標的に方向付けられ、デジタル変調は、標的においてフルエンスを走査経路に沿った所定のフルエンス範囲内に維持するように調整される。
【0010】
開示された技術の前述及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2A】レーザパターニング走査経路の上面図である。
【
図2B】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2C】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2D】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2E】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2F】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2G】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2H】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図2I】走査されたレーザビームに関連する変数のグラフである。
【
図3】集束位置に関するフルエンスのグラフである。
【
図4】レーザパターニング機器の概略側面図である。
【
図5】レーザパターニング機器の別の概略側面図である。
【
図6】レーザパターニング加工のフローチャートである。
【
図7】レーザパターニングシステムの概略図である。
【
図8】レーザパターニングシステムの別の概略図である。
【
図9】レーザパターニングシステムの別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願及び「特許請求の範囲」において使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別途明らかに示されない限り、複数の形態を含む。加えて、用語「含む(includes)」は、「含む(comprises)」を意味する。更に、用語「結合した
」は、結合したアイテム間の中間要素の存在を除外しない。
【0013】
本明細書で記載されたシステム、機器、及び方法は、いかなるようにも限定するものと解釈すべきでない。むしろ、本開示は、様々な開示された実施形態の、単独並びに相互の様々な組み合わせ及び部分的組み合わせでの、全ての新規かつ自明でない特徴及び態様に
向けられる。開示されたシステム、方法、及び機器は、特定の態様若しくは特徴又はそれらの組み合わせに一切限定されず、また開示されたシステム、方法、及び機器は、1つ若しくは2つ以上の特定の利点が存在すること、又は1つ若しくは2つ以上の特定の問題が解決されることも必要としない。あらゆる動作の理論は、説明を容易にすることができるが、開示されたシステム、方法、及び機器は、そのような動作の理論に限定されない。
【0014】
開示された方法のいくつかの動作は、利便性の良い表示のために特定の順序で説明されているが、下記に説明される特定の言語によって特定の順序が必要とされない限り、この説明の方法が並べ替えを包含することを理解するべきである。例えば、順番に記載された動作は、場合によっては、並べ替えるか又は同時に実行してもよい。更に、簡略化のために、添付図面は、開示されたシステム、方法、及び機器を他のシステム、方法、及び機器と併用できる様々な方法を示さない場合がある。加えて、その説明は時として、「生じさせる」及び「提供する」などの用語を使用して、開示された方法を説明する。これらの用語は、実行される実際の動作の高度な抽象概念である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実装に応じて変化することになり、当業者によって認識可能である。
【0015】
いくつかの例において、値、手順、又は機器の、は、「最低の」、「最良の」、「最小の」などと表現される。そのような説明は、多数の用いられる機能的選択肢から選択が行われ得ること、及びそのような選択が、他の選択より良い、小さい、ないしは別の方法で好ましい必要はないことを示すことを意図していることが理解されよう。
【0016】
本明細書で使用されるように、レーザビーム及び関連付けられた光放射とは、約100nm~10μm、典型的には約500nm~2μmの波長での電磁放射を指す。利用可能なレーザダイオード光源及び光ファイバに基づく例は、一般的に約800nm~1700nmの波長に関連する。いくつかの例では、伝搬する光放射は、ビーム波長とビーム成形用の光システムとに依存可能な、直径、非対称のファースト軸とスロー軸、ビーム断面積、及びビーム拡がり角を有する1つ又は2つ以上のビームと称される。便宜上、光放射は、いくつかの例では光と称され、可視波長である必要はない。
【0017】
代表的な実施形態は、光ファイバを参照して記載されるが、正方形、長方形、多角形、卵形、楕円形又は他の断面を有する他のタイプの光導波路を用いることもできる。光ファイバは、典型的には、ドープされた(又はドープされていない)シリカ(ガラス)で形成され、所定の屈折率又は屈折率差を提供する。いくつかの例では、ファイバ又は他の導波路は、関心のある波長に応じて、フルオロジルコン酸塩、フッ化アルミン酸、フッ化物又はリン酸ガラス、ガルコゲナイドガラス、あるいはサファイアなどの結晶材料等の、他の材料で作製される。シリカ及びフッ化物ガラスの屈折率は、典型的に約1.5であるが、ガルコゲナイドなどの他の材料の屈折率は3以上であり得る。更に他の例では、光ファイバはプラスチックの部分に形成され得る。典型的な例では、ファイバコアなどのドープされた導波路コアは、ポンピングに応答して光学利得を提供し、コアとクラッドはほぼ同心円にある。別の例では、コアとクラッドのうちの1つ又は2つ以上は偏心し、いくつかの例では、コアとクラッドの方向及び/又は配置は導波路長に沿って変わる。
【0018】
本明細書に記載された例では、光ファイバコアなどの導波路コアは、Nd、Yb、Ho、Erなどの希土類元素又は他の活性ドーパント若しくはそれらの組み合わせでドープされる。そのように能動的にドープされたコアは、光又は他のポンピングに応答して光学利得を提供できる。以下に説明するように、そのような活性ドーパントを有する導波路を用いて、光増幅器を形成することができ、又は反射層、ミラー、ブラッググレーティング、若しくは他のフィードバック機構などの適切な光フィードバックを備える場合、そのような導波路はレーザ放射を生成できる。光ポンプ放射は、放射されたレーザビーム又は増幅されたビームの伝搬方向に対して、導波路に共伝搬及び/又は反伝搬するように配置され
得る。
【0019】
「輝度」という用語は、単位面積あたり、立体角あたりの光ビームパワーを指すように本明細書で使用される。いくつかの例において、光ビームパワーは、その立体角がビーム波長及びビーム面積に比例するビームを生じさせる、1つ又は2つ以上のレーザダイオードによって提供される。ビーム面積及びビーム立体角の選択は、選択したポンプビームパワーを、ダブル、トリプル、又は他のマルチクラッド光ファイバの1つ又は2つ以上のコア又はクラッディング層に結合する、ポンプビームを生じさせることができる。「フルエンス」という用語は、単位面積あたりのエネルギーを指すように本明細書で使用される。いくつかの実施形態において、フルエンスは、熱又は別様には走査経路と関連付けられた選択された領域内の標的をレーザ加工するように、走査経路に沿って標的に送達される。走査経路は、直線状、曲線状、繰り返し、セグメント状、その他を含む、様々な形状を有することができる。光学システムによって生じる出力ビームは、走査経路に沿って方向付けられ、また、伝搬方向に対して直角な1つ又は2つ以上の軸に沿って、様々な輝度及び均一特性を有することができる。典型的な出力ビームは、特定の用途に応じて、100W、500W、1kW、3kW、6kW、10kW、又は20kW以上の平均ビームパワーを含む、様々な出力パワーを有する連続波である。連続波出力ビームは、本明細書で更に論じられるように、デジタル変調される。
【0020】
図1は、付加製造加工においてレーザ加工ビーム104を放射し、標的106に方向付けるレーザシステム102を含む、機器100である。標的106は、一般に、容器110内に位置する微細金属粉末108から一層ずつ形成された層である。層がレーザパターン化されると、zステージ112が容器110を下げ、隣接する貯蔵部116から追加的な微細金属粉末108を提供するローラー114によって、微細金属粉末108の新しい層が延ばされる。次いで、三次元の物体を形成するために、新しい層がレーザパターン化され、そして、後に続く微細金属粉末層によって加工が多数回を繰り返される。
【0021】
図2Aでは、走査経路200の一実施例が示され、付加製造の標的などの標的をレーザパターン化する際に、該走査経路に沿ってレーザ加工ビームが走査される。時間t
1において、レーザ加工ビームは、走査速度で、例えば特定の速度で、
図2Aの平面において右側の方向に進行している。時間t
2において、レーザ加工ビームが経路の隅部により近い別の位置に到達するにつれて、レーザ加工ビームの走査速度が減少し始める。時間t
3において、方向を変化させ、
図2Aの平面において下方に移動するために、レーザ加工ビームが瞬間的に静止するまで減速する。時間t
4において、レーザ加工ビームの走査速度が増加し、時間t
5において、レーザ加工ビームが時間t
1と同じ速度に到達している。
【0022】
走査経路200の下で、
図2Bは、速度|v(t)|と、走査経路200の時間t
1~t
5に対応する時間とのグラフ202を示す。見て分かるように、レーザ加工ビームの速度は、t
1において初期走査速度を有し、レーザ加工ビームが方向を変化させる時間t
3において減少し、そして、t
5において、初期走査速度と同じ又は異なり得る最終走査速度まで走査速度を増加させる。グラフ202の下で、
図2Cは、レーザ加工ビームの平均パワーP
平均(t)と、時間t
1~t
5及び走査経路200に対応する時間とのグラフ204であり、
図2Dは、走査経路200などの走査経路に沿って加工標的によって受光されるフルエンスE(x)のグラフ206である。典型的なレーザ加工の例において、フルエンスE(x)は、一定の閾値F
高、F
低などの2つの閾値の間などの、所定の範囲内にとどまっていなければならない。いくつかの例において、閾値及び対応する所定の範囲は、特徴のサイズ及び形状、加熱速度及び冷却速度などの材料依存の特性、その他などの、様々な要因に応じて変動させること、又は変調することができる。例えば、異なる標的又は同じ標的の異なる部分若しくは領域は、異なる材料特性を有し得る。また、フルエンスウインドウを含む異なる加工ウインドウでは、異なるレーザ加工効果を達成することがで
きる。フルエンスを対応する1つ又は2つ以上の範囲内に維持することによって、レーザエネルギーは、所望の変化を標的に対して行うことができる。例えば、選択的レーザ溶融加工において、過度のフルエンスは、標的に損傷を与え、熱影響域を悪化させ、また、完成した物体の抗張力及び信頼性などの様々なパラメータに影響を及ぼす場合がある。不十分なフルエンスは、標的材料が正しく溶融することを妨げ得るので、完成した物体を弱化させる。レーザ加工中にフルエンスを所定の範囲内に維持することによって、優れた材料特性を有する完成物体を製作することができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、フルエンスE(x)を所定の範囲内(例えば、F高とF低との間)に維持するために、レーザ加工ビームの平均パワーP平均(t)は、走査経路200に沿ったレーザ加工ビームの走査速度|v(t)|の減少などの、ビーム移動情報に対応して減少する。しかしながら、種々の理由から、平均パワーP平均(t)の直進の連続的な減少は、達成することができないか、又は効率的な方法で達成することができない。例えば、ミラー及び光学部品などのレーザ走査の構成要素は、レーザパターニング加工が必要とする速度よりも遅い速度で移動させることができ、標的においてF高を上回る、又はF低を下回るレーザフルエンスをもたらす。いくつかの場合において、レーザ加工ビームを生成するレーザ源の利得媒体のダイナミクスは、レーザ加工ビームのパワーレベルに対して所望される連続又は不連続な変化に、十分迅速に応答しない。
【0024】
グラフ206の下で、
図2Eは、スキャナがスローダイナミクスを有していても、又は他のレーザシステムを欠いていても平均パワーP
平均(t)の迅速な変化を生じ得る、レーザ加工ビームの変調された電力P(t)を表す、グラフ208である。変調された電力P(t)は、高電力P
高と低電力P
低とを繰り返し、低電力P
低は、ゼロ又は非ゼロであり得る。変調された電力P(t)は、可変変調周期T
変調、及びT
変調のパーセンテージである可変デューティサイクルP
デューティを含む。一般に、レーザ加工ビームの走査と関連付けられた速度が減少したときには、レーザ加工ビームの平均パワーが減少するように、及び標的が受けるフルエンスを所定の範囲内に維持するように、変調周期T
変調及びデューティサイクルP
デューティのうちの1つ又は2つ以上を変化させることができる。いくつかの例では、以前に走査した(繰り返しを含む)走査経路200の隣接部分に対する走査経路200の近似性、周囲温度、局所温度、加熱速度及び冷却速度、走査加速度、走査位置、その他などの、走査経路200と関連付けられた他の情報を使用して、フルエンスE(x)を所定の範囲内に維持する。更なる例において、送達されたフルエンス、及びフルエンスを送達するレーザビームのピーク電力は、レーザ加工要件に従う所定の範囲内のままである。特定の実施形態において、微細特徴(マイクロメートル程度)は、より小さい標的細部の形成中に、レーザ加工ビームの走査速度が急速に変化するときにレーザ加工される。いくつかの実施形態において、変調周期T
変調は、ビームを生成するレーザ源の利得媒体の応答ダイナミクス又はレーザ源の他の構成要素に基づいて平均ビームパワーが変化するように変動させることができる。
【0025】
グラフ208に示される実施例では、時間t
1において、レーザ加工ビームの電力は、電力P
高で一定である。レーザ加工ビームの速度|v(t)|が減少すると、レーザ加工ビームが一定電力から変調された電力に変化し、P
高からP
低に切り換わり、そして、レーザ加工ビームの走査速度の減少と関連付けられた周波数でP
高に戻る。時間がt
2及びt
3に接近するときに、レーザ加工ビームの走査速度|v(t)|が減少し続けると、電力変調周波数が増加し、周期T
変調及びデューティサイクルT
高/T
高+T
低が減少するが、ここで、T
高は、その間に電力P
高が印加される持続時間であり、T
低は、電力P
低が印加される持続時間である。減少したデューティサイクルは、レーザ加工ビームの平均パワーP
平均を減少させ、また、レーザ加工フルエンスを所定の範囲内で提供する。したがって、レーザ加工ビームの電力のデジタル変調を調整することによって、標的に対応する所定のフルエンス範囲内のままであるフルエンスを標的において提供することができる
ように、レーザ加工ビームの平均パワーを調整することができる。
図2Fのグラフ210を更に参照すると、いくつかの実施形態において、レーザ加工ビームは、P0、P1、及びP2などの2つ以上のパワーレベルに変化させること、又はこれらの間で切り換えること、並びに平均パワー及び関連付けられたフルエンスの迅速な変化を生じさせるようにデジタル変調することができる。更なる実施例において、平均レーザ加工ビームパワーの減少は、パワーレベルがレーザ加工を行うのに適したピーク電力の範囲内であるように、レーザ加工ビームのデジタル変調を調整することによって提供することができる。
【0026】
上で論じたように、所定のフルエンス範囲は、レーザ加工要因に従って変動し得、本明細書の実施例は、フルエンスを可変フルエンス範囲内に維持する、変調された光ビームパワーを生じさせることができる。
図2Gは、閾値F
1-高、F
1-低を有する第1のフルエンスF
1から閾値F
2-高、F
2-低を有する第2のフルエンスF
2まで階段状に変動する標的フルエンスを有する、フルエンスE
ステップのグラフ212を示す。いくつかの例において、直線状の走査経路などによるレーザ加工ビームの一定走査速度によって、一定周期及びデューティサイクルを有するデジタル変調されたビームは、第1のフルエンスF
1を提供することができ、変調されていないビームは、第2のフルエンスF
2を提供することができる。電力のデジタル変調は、第1のフルエンスF
1と第2のフルエンスF
2との間のより迅速な移行を可能にすることができる。
図2Hにおいて、グラフ214は、それぞれの高フルエンス限度F
高と低フルエンス限度F
低との間でシヌソイドに従って変動する、所定のフルエンス範囲F
変調を示す。標的に送達されるフルエンスE
実際は、レーザ加工ビームの光電力のデジタル変調を通して、フルエンス範囲F
変調内に維持することができる。いくつかのレーザ加工の例において、フルエンス変調の周波数は、1kHz、10kHz、100kHz、又はそれ以上を含む、比較的高速であり得る。異なる例において、高周波数のフルエンスの振動は、フルエンスの振動位相に依存するか、又は該振動位相から独立している。
【0027】
いくつかの例では、デジタル変調と併用して、アナログ変調を適用して、レーザ加工ビームの平均パワーを変化させることができる。しかしながら、アナログ変調は、典型的に、フルエンスを所定の範囲内に維持するために平均パワーの所望の低減を達成することに対して、より遅い応答時間を有する。加工効率を高めるために、及びスキャナダイナミクスなどの様々なシステム変数にかかわりなくフルエンスを所定のフルエンス範囲内にロバストに維持するために、典型的に、デジタル変調を使用して、又はハイブリッドデジタル/アナログ変調を使用して、フルエンスを所定の範囲内で保つように、レーザ加工ビームの平均パワーを調整し、より迅速な応答を提供する。例えば、
図2Iを参照すると、グラフ216は、アナログコマンド信号P
アナログに従って、最小電力P
低1まで減少する電力最大値を有する複数の変調部分を含む、デジタル変調された信号P
変調を示す。レーザ加工ビームに対して命令され、生じさせた実際の平均出力パワーは、平均ビームパワー及びより低い最小電力P
低2のより急速な変化を含み得る経路P
平均のトレースを含むことができる。
【0028】
図3は、レーザ加工ビームに結合されたスキャナと関連付けられた集束位置Zに関するレーザ加工ビームのフルエンスF(z)のグラフである。全般に、フルエンスF(z)は、フルエンスF
最大における最大値であり、該最大値において、レーザ加工ビームは、レーザ加工ビームの伝搬の方向において最良の集束位置Z
最良となる。レーザ加工ビームの集束距離がZ
最良から増加又は減少するにつれて、レーザ加工ビームを効果的に脱集束させ、レーザ加工ビームが拡大し、脱集束するにつれて、新しい集束位置と関連付けられたフルエンスが減少する。レーザ加工中には、一般に、例えば、レーザ加工が標的において対応する変化を生じさせることができるように、脱集束を集束位置Z
低とZ
高との間に抑制又は制御することによって、レーザ加工ビームのフルエンスF(z)がフルエンス限度F
高及びF
低以内にとどまることが望ましい。フルエンス限度は、可変であり得るが、典
型的な例において、フルエンス限度は、固定される。いくつかの実施形態では、3Dスキャナを使用して、大きいパターン加工領域上で、標的において、Fθレンズ又は他の走査光学部品よりも平坦な集束フィールドの湾曲を有するレーザ加工ビームを走査することができる。したがって、標的において走査されるレーザ加工ビームによって送達されるフルエンスは、フルエンス限度F
高、F
低以内に維持される可能性がより高くなり、又はより容易に維持される。
【0029】
図4において、機器400は、レーザ加工ビーム404を放射するように位置させたレーザ源402を含む。レーザコントローラ406は、変調された電力を含むレーザ加工ビーム404の電力を制御するために、レーザ源402に結合される。3Dスキャナ408は、レーザ加工ビーム404を受光し、レーザ加工ビームを標的410に方向付けるように位置される。3Dキャナ408によって、レーザ加工ビーム404は、一般に、標的410の平坦面と平行に整列される集束面412内に集束させられる。しかしながら、いくつかの例において、3Dスキャナ408は、不均一な標的面に対応することができる非平坦な集束フィールドを提供するように、集束位置を変動させることを可能にする。典型的な例において、3Dスキャナ408は、XYガルバノメーター走査ミラーセットと、ガルボ走査ミラーの位置に基づいて集束面412におけるビームの集束位置を変化させるZ位置集束群とを含む。機器400はまた、コリメートされた入力直径D
0を有するレーザ加工ビーム404を受光し、ビーム幅を調整するように位置させたズームビームエキスパンダ414も含み、よって、ズームビームエキスパンダ414を出るレーザ加工ビームは、レーザ加工ビームの伝搬経路に対して直角な1つ又は2つ以上の方向に沿って、同じ又は異なるコリメートされた直径D
1を有する。コリメートされた直径D
1を有するレーザ加工ビーム404は、3Dスキャナ408によって受光され、そして、標的410においてスポットサイズW
1で走査され、集束される。ズームビームエキスパンダ414はまた、コリメートされた直径D
1よりも小さいコリメートされた直径D
2を有するように、レーザ加工ビーム404を調整することもできる。より小さいコリメートされた直径D
2は、3Dスキャナによって受光され、そして、標的において、より小さいコリメートされた直径D
2に起因してスポットサイズW
1よりも大きいスポットサイズW
2で走査され、集束される。
【0030】
ズームビームエキスパンダ414は、様々な方式で構築することができる。典型的な例において(及び
図4に示されるように)、ズームビームエキスパンダ414は、レーザ源402からレーザ加工ビーム404を受光するように固定され、位置させた一組の入口光学部品群416を含む。一組の出口光学部品群418は、入口光学部品群416から拡大されたビームを受光し、出口光学部品群418のうちの1つ又は2つ以上の光学部品の光軸に沿った移動を通して、ズームビームエキスパンダ414から放射されるレーザ加工ビーム404の直径を増加又は減少させるように位置される。レーザ加工ビーム404のコリメートされた直径を変化させるための制御された移動を提供するために、ズームビームエキスパンダ414は、レーザコントローラ406に結合される。3Dスキャナ408に光学的に結合されるレーザ加工ビーム404の直径を制御可能に拡大することによって、様々な効果のために、スポットサイズの管理された変動を標的において提供することができる。
【0031】
典型的な例では、ズームビームエキスパンダ414によって生じさせた異なるスポットサイズを使用して、標的410において様々なサイズ及び形状の特徴をレーザ加工する。いくつかの例では、可変走査速度に関連してスポットサイズを変動させることによって、所定のフルエンス範囲内のフルエンスを標的が受光するように、レーザ加工ビーム404は、標的410において、走査経路に沿って可変走査速度で走査される。更なる例において、より大きい特徴は、より大きいスポットサイズを有する、例えばスポットサイズW2及び一定のレーザ加工ビームパワーを有するレーザ加工ビーム404によってレーザ加工
され、より小さい特徴は、より小さいスポットサイズを有する、例えばより小さいスポットサイズW1及び典型的により小さいデジタル変調されたレーザ加工ビームパワーを有するレーザ加工ビーム404によってレーザ加工される。レーザ加工ビームパワーをデジタル変調することによって、レーザ加工は、ビームパワーのアナログ変調を回避すること、又は任意選択にすることができ、標的に送達されるフルエンスは、スポットサイズの変化が生じたときのレーザ加工について、所定のフルエンス範囲内に維持することができる。
【0032】
図5は、レーザコントローラ504によって制御され、コリメートされたレーザビーム506を生じさせるように配置されたレーザ源502を含む、別の機器500を示す。ズームビームエキスパンダ508は、コリメートされたレーザビーム506を受光し、その直径を変化させて、拡大されたビーム507を生じさせるように位置される。3Dスキャナ510は、ズームビームエキスパンダ508から拡大されたビーム507を受光し、標的512において、拡大されたビーム507を様々な位置S
1~S
3のスポットに集束させるように位置される。3Dスキャナ510は、典型的に、拡大されたビーム507を受光し、集束させる可変位置集束光学部品514と、集束させたビームを受光し、集束させたビームを標的512と整列させた(典型的に、集束面内の)特定の位置に、例えば所定のX-Y座標に位置付ける一対のガルボ制御走査ミラー516とを含む。標的512のレーザビームスポットの位置は、3Dスキャナ510と関連付けられた走査フィールド全体にわたって変動させることができる。Fθレンズなどの固定集束光学部品を使用するスキャナにおいて、Fθレンズの集束位置と関連付けられたフィールド湾曲518は、典型的に、曲線状である。したがって、位置S
1及びS
3などの、走査フィールドの周囲に向かう位置S
Nにおいて集束させたレーザビームの場合は、典型的に、脱集束が生じる。そのような脱集束は、標的512によって受光されるフルエンスを低減させ得るので、フルエンスが所定の範囲を外れ、走査フィールド全体にわたる不均等な加熱及び不均等な加工が生じ得る。3Dスキャナ510の可変位置集束光学部品514(1つ又は2つ以上のレンズ、ミラー、回折光学要素、その他を含むことができる)は、3Dスキャナ510のフィールド内のスポットのX-Y位置に関連するスポットの焦点位置の変化を可能にする。したがって、3Dスキャナと関連付けられたフィールド湾曲が他のシステムよりも平坦であるように、スポットの焦点位置に対して細かい調整を行うことができる。三次元スキャナ510は、標的において、コリメートされたレーザビーム506を走査し、集束させるためのパターンデータに対応する走査及び集束信号を受信するように、レーザコントローラ504に結合される。パターンデータは、レーザコントローラ504に記憶することができ、又は外部ソースから受信することができる。
【0033】
図6において、標的をレーザ処理する方法600は、602において、レーザビームの走査経路を提供することと、604において、標的におけるレーザビームのスポットサイズを選択することとを含む。例えば、レーザビームの走査経路は、標的全体にわたって走査されるべきレーザビームの位置に関連するデータを含むレーザパターンファイルを、レーザコントローラに提供することができる。レーザビームの走査経路はまた、レーザコントローラ又はレーザスキャナによる走査経路信号の受信が、標的におけるレーザビームの走査と同時に、又は該走査に近い時間関係で生じるように、レーザコントローラにリアルタイムで提供することもできる。606において、レーザビームの走査経路、及びレーザビームのスポットサイズ、及び標的のレーザ加工と関連付けられたレーザビームのフルエンス範囲に基づいて、レーザビームの平均パワーが決定される。608において、レーザビームを生じさせる活性媒体に結合された1つ又は2つ以上のレーザポンプ源のデジタル変調を通して、レーザビームの電力がデジタル変調される。デジタル変調されたレーザビームは、606において決定された平均パワーに対応し、走査経路及びスポットサイズに基づいて大幅に変化させることができる。610において、レーザビームは、602において提供される走査経路に沿って方向付けられる。更なる例において、平均パワーは、走査経路について決定され、レーザビームのスポットサイズは、決定された平均パワーに対
応するように変動される。更なる例では、デジタル変調及び可変スポットサイズの双方を使用して、所定のフルエンス範囲に対応するように平均パワーを提供する。
【0034】
図7において、レーザシステム700は、標的702において、フルエンスの正確な制御によって標的702をレーザパターニングするように位置される。レーザシステム700は、電圧制御されたAC/DC電源又は電源に結合された電圧調整器などのポンプ駆動装置706、及びレーザスキャナ708に結合された、レーザコントローラ704を含む。ポンプ駆動装置706は、電圧及び電流のうちの1つ又は2つ以上に基づいて、ポンプダイオード710を駆動する。ポンプダイオード710は、活性ファイバ712などのレーザ利得媒体に結合され、該レーザ利得媒体は、ポンプダイオード710からのエネルギーを使用して、レーザシステムビーム714を生成する。レーザシステムビーム714の伝搬方向に対して直角な1つ又は2つ以上の軸に沿って、標的702において、同じ平面内のレーザシステムのビーム714の集束させたスポットのサイズを変化させるために、レーザシステムビーム714は、ズームビームエキスパンダ716を出るレーザシステムビーム714のコリメートされた幅を変化させることができるズームビームエキスパンダ716によって受光される。走査経路715に沿って、パターンを加工し、レーザ加工と関連付けられた所定の範囲内でレーザフルエンスを付与するために、レーザスキャナ708は、ズームビームエキスパンダ716から、選択されたコリメートされたビーム幅を有するレーザシステムビーム714を受光し、レーザシステムビーム716を標的702に方向付ける。
【0035】
いくつかの例において、レーザコントローラ704は、レーザシステムビーム714の第1の状態及び第2の状態の条件をコントローラ704に提供し、標的702上に形成されるパターンと関連付けることができるゲート信号718に結合される。例えば、ゲート信号718は、オン及びオフの条件を提供するレーザパターニングデータファイル720に対応することができ、よって、レーザシステムビーム714が走査されるときに、様々な特徴を標的702上の他の特徴から隔離又は離間させることができ、また、複雑な特徴を形成することができる。レーザコントローラ704は、ゲート制御722を含み、該ゲート制御は、ゲート制御信号をポンプ駆動装置706に通信し、よって、ポンプダイオード710がエネルギー付与されて、ゲート信号と関連付けられたオン及びオフに対応するように活性ファイバ712をポンプする。レーザパターニングデータファイル720はまた、レーザシステムビーム714が標的702において走査されるための、走査位置データなどの様々なベクトルデータも提供することができる。レーザコントローラ704は、レーザスキャナ708に結合されるが、他の例において、レーザパターニングデータファイル720は、レーザスキャナ708に直接結合することができる。様々な接続は、有線又は無線とすることができ、ファイルデータは、揮発性又は不揮発性メモリに記憶することができる。更なる例において、ゲート信号のゲートコマンドは、レーザコントローラ704のメモリに記憶される。
【0036】
標的702に送達されるレーザフルエンスを所定の範囲内に維持するために、レーザコントローラ704は、変調周期制御726、デューティサイクル変調制御728、及びアナログ変調周波数制御730に結合されたフルエンス設定点724を含み、これらはまた、ポンプ駆動装置706にも結合される。変調周期制御726は、ポンプダイオード710のデジタル変調周期を調整するように位置される。例えば、ポンプダイオードの光電力出力は、より遅い周波数及び対応する周期から、より速い周波数及び対応する周期まで(例えば、10kHzから、100kHz、200kHz、又はそれ以上まで)増加させることができ、又は連続オン状態(例えば、0kHz)から増加させることができ、よって、レーザシステムビーム714と関連付けられた電力が、2つ以上のパワーレベルを交替するか、又はより迅速に交替する(例えば、10kHzが、10Wと500Wとの間で交替する)。
【0037】
デューティサイクル制御728は、ポンプダイオード710の電力デューティサイクルを調整するように位置される。デューティサイクルは、90%超から10%未満の範囲とすることができ、また、変調周期に関連して変動させることができる。選択されたデューティサイクルは、典型的に、レーザ加工ビーム平均パワーを所望のレベルに維持するために、選択された変調周期のレーザ加工ビームの立ち上がり及び立ち下がり時間に関連して適切な量のレーザ加工ビームエネルギーを生成することができるように、十分に大きい。いくつかの例では、レーザ加工ビーム平均パワーの対応する低減を生じるように、固定変調周期が選択され、デューティサイクルを100%から10%未満まで変動させる。更なる例では、レーザ加工ビーム平均パワーの低減に対応するように、変調周期を減少させ、また、デューティサイクルを減少させ、よって、走査速度との変化と関連付けられた微細な細部をレーザ加工ビームによって形成することができる。
【0038】
変調周期制御726及びデューティサイクル制御728は、標的においてレーザシステムビーム714の平均パワーを低減又は変動させるために、フルエンス設定点724に基づいて、変調の変化を生じさせることができる。いくつかの実施形態において、平均パワーの減少は、標的702におけるレーザシステムビーム714のスポットのサイズの減少、又は標的702に対して走査されているレーザシステムビーム714の、走査速度の減少又は走査方向の変化などの、ビーム走査速度の変化と関連付けることができる。レーザシステムビーム714の電力は、コントローラ704に結合されている検出された電力の対応する信号で、活性ファイバ712などの1つ又は2つ以上のシステム構成要素に結合された電力検出器732によって検出することができる。レーザシステムビーム714の検出された電力は、一般的な監視、緊急遮断、その他のために使用することができ、更に、該電力を使用して、レーザ加工中に、レーザフルエンスが、1つ又は2つ以上の閾値、限度、許容度、その他の範囲内のままであるか、それを上回っているか、下回っているかを判定する際に支援することができる。例えば、検出された電力は、特定のデジタル変調設定及び変調周期制御726に基づいて算出された平均パワーと比較することができ、デューティサイクル制御728は、変調周期及びデューティサイクルをスケーリング又は調整して、フルエンス設定点724に対応する平均パワーを有するレーザシステムビーム714を生じさせることができる。例えば、レーザシステム700は、異なる種類のレーザスキャナ、ポンプダイオード、活性ファイバ、その他に結合させることができ、これらはそれぞれ、レーザシステム700のダイナミクスに、及びデジタル変調調整がフルエンス付与に影響を及ぼす範囲に、影響を及ぼし得る。
【0039】
いくつかの例において、フルエンス設定点724に基づいて調整されるデジタル変調周期及びデューティサイクルは、ゲート信号718をレーザコントローラ704に結合する前に、ゲート信号718によって定義することができる。更なる実施形態において、パターンファイル720は、コントローラ704に結合させることができ、ゲート信号722は、外部に提供する必要はない。追加的な実施形態において、アナログ変調制御730はまた、それを変調周期制御726及びデューティサイクル制御728と組み合わせることによって、標的702におけるレーザフルエンスを維持する際に支援するためにも使用される。典型的に、レーザシステムビーム714の出力パワーのアナログ変調は、単独では遅すぎるので、標的702において、送達されたレーザフルエンスをフルエンス設定点724と関連付けられた所定の範囲内に維持すること、又はレーザ加工のフルエンス要件を維持することができない。典型的に、維持ができないことは、コントローラ704の電子機器又はポンプダイオード710及び活性ファイバ712のダイナミクスと関連付けることができる。しかしながら、ズームビームエキスパンダ716及びレーザスキャナ708のダイナミクスも変動し得る。したがって、変調周期制御726及びデューティサイクル制御728を使用してポンプダイオード710をデジタル変調することによって、レーザシステム700の様々な構成要素の間で、遅い又は一貫していないダイナミクスを有する
場合であっても、標的702に送達されるレーザフルエンスを所定の範囲内に維持することができる。いくつかの例において、変調周期制御726、デューティサイクル制御328、及びアナログ変調制御730からの、レーザフルエンスに対する複合効果は、フルエンスを所望のレベルに好都合に維持することができる。
【0040】
更なる例において、変調周期制御726はまた、レーザ走査経路715と関連付けられたパターンファイル720又は他のデータに基づいて、変調周期を調整することもできる。互いに近接する多数の特徴などの微細な特徴が生じる標的702と関連付けられたパターンにおいて、総熱負荷は、隣接する、又は繰り返した特徴のレーザ加工フルエンス閾値に影響を及ぼし得る。変調周期制御726及びデューティサイクル制御728は、標的702に送達された熱負荷、標的702の1つ又は2つ以上の部分と関連付けられた予測若しくは測定された温度、又は標的702の1つ又は2つ以上の領域におけるレーザシステムビーム714の停滞時間、その他に基づいて、レーザシステムビーム714の電力を調整することができる。例えば、レーザシステムビーム714は、レーザ走査経路715における標的702に対する第1の走査移動の変化(例えば、レーザシステムビーム714の第1の転向)を通してデジタル変調することができ、また、第1の転向に近接する第2の転向中に、レーザシステム714の平均パワーをより大きい程度まで低減させるようにデジタル変調することができる。
【0041】
図8において、レーザシステム800は、アナログ入力804においてアナログ信号を受信し、と、ゲート入力806においてゲート信号を受信し、また、フルエンス変調入力808においてのフルエンス変調信号を受信するように位置させたコントローラ802を含む。コントローラ802は、典型的に、ゲート信号を使用して、典型的にレーザポンプダイオード812に供給される駆動電流を変動させることによって、電源810によってレーザポンプダイオード812に提供される電力を変調又は変動させる。レーザポンプダイオード812は、ドープファイバ814、又はレーザシステムビーム816を生成する他のレーザ利得媒体に光学的に結合される。レーザシステムビーム816のパワーは、例えば、選択的レーザ溶融(SLM)標的818の不連続部分の加工の間を減少させるように、ゲート信号の変調に対応して増加及び/又は減少させることができる。立ち上がり-立ち下がり回路820は、コントローラ802及びポンプダイオード812に結合されて、電源810によってポンプダイオード812に提供されるポンプ電流の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を制御する。ポンプ電流の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を制御することによって、ポンプダイオード812によって生成される1つ又は2つ以上のポンプビーム822の関連付けられた立ち上がり時間、立ち下がり時間、オーバーシュート、及びアンダーシュートを選択することができる。いくつかの例において、ポンプビーム822の適切な応答時間は、ポンプダイオードの信頼性とバランスさせることができる。ドープファイバ814によって生成されるレーザシステムビーム816もまた、SLM標的818においてレーザスキャナ826を通して同じ平面内に集束されるレーザシステムビーム814のスポットサイズを変化させるように位置させたズームビームエキスパンダ824に結合される。立ち上がり時間は、典型的に、ある定常状態値の選択部分から別の定常状態値の選択部分まで、例えば2%から98%まで、5%から95%まで、10%から90%まで、1%から95%まで、その他に立ち上げるために、レーザビームパワーなどのパラメータに必要とされる持続時間として定義される。立ち下がり時間は、同様に、定常状態値から立ち下がるための持続時間として定義することができる。初期値又は定常状態立ち下がり値は、ゼロ又は非ゼロとすることができる。オーバーシュート及びアンダーシュートは、定常状態値のパーセンテージとして定義することができる。
【0042】
また、フルエンス変調信号を使用して、レーザシステムビームパワーを、ゲート信号と関連付けられた同じ又は異なるパワーレベルに変調させること、変動させること、又は制御することもできる。フルエンス変調信号を使用して、SLM標的818においてレーザ
スキャナ826によって走査されているレーザシステムビーム816の可変速度に対応してレーザシステムビーム816の平均パワーが変動されるように、ポンプダイオード812のポンプ電流をデジタル変調することができる。例えば、同じ期間にわたるデジタル変調周期の減少又はデューティサイクルの低減は、レーザシステムビーム816の平均パワーの急速な低減を生じさせ得る。走査経路に沿って走査するレーザシステムビーム816の可変速度、又はビームエキスパンダ824によるレーザシステムビーム816のスポットサイズの変化は、SLM標的818において、完成品の適合性に悪影響を及ぼし得る望ましくないフルエンス変動を生じさせ得るが、フルエンス変調信号を使用して、フルエンス変動を補償することができる。また、フルエンス変調信号を使用して、ズームビームエキスパンダ824によって生じた異なるスポットサイズに対応するようレーザシステムビーム816のパワーを調整するように、ポンプ電流をデジタル変調することもできる。いくつかの実施形態において、フルエンス変調信号及びゲート信号は、共通入力を通して提供することができる。更なる実施形態において、フルエンス変調信号を使用して、レーザシステムビーム814の平均パワーを調整するように、ズームビームエキスパンダ824によってレーザシステムビーム814のスポットサイズを変調又は変動させることができる。例えば、スポットサイズは、レーザシステムビーム816の走査速度の変動に対応する、異なるサイズに変動させることができる。また、スポットサイズを変調して、異なる変調周期及びデューティサイクルを有する2つ以上の異なるサイズを繰り返して、レーザシステムビーム816の平均パワーを変化させることができる。
【0043】
図9は、1つ又は2つ以上のポンプモジュール904において直列的に位置させた(典型的にいくつかの)1つ又は2つ以上のポンプダイオード902A、902Bの光出力901A、901Bを制御する、レーザポンプ制御装置システム900を示す。光出力901A、901Bを使用して、いわゆるダイレクトダイオードレーザシステムなどのレーザシステムにおいて、レーザシステム処理ビームを直接生じさせること、又はレーザシステム加工ビーム(例えば、ファイバレーザ、固体レーザ、ディスクレーザ、その他)を生じさせるために他の利得媒体をポンプすることができる。AC/DC電源906は、光出力901A、901Bを生じさせるために、電流をポンプダイオード902A、902Bに提供する。FPGA 908又は他の類似するコントローラデバイス(例えば、PLC、PLD、CPLD、PAL、ASIC、その他)は、DAC 910へのデジタル出力909を生じさせるように位置され、該デジタル出力は、対応するポンプダイオード光出力901A、901Bを生成するように、ポンプダイオード902A、902Bの所望のポンプ電流に対応する。DAC 910は、FPGAからのデジタル出力を、対応する電圧を有し、また、ポンプ電流を生成するためにAC/DC電源906によって受信されるDAC出力911Aに変換する。
【0044】
複数の追加的なDAC出力911B~911Dは、ポンプダイオード902A、902Bによって受信されるポンプ電流の立ち上がり時間及び立ち下がり時間を選択するように位置させた信号マルチプレクサ912に結合される。信号マルチプレクサ912は、RC回路キャパシタC、及びポンプダイオード902A、902Bからの光出力901A、901Bを生成するポンプ電流を制御するように位置させた1つ又は2つ以上の電流制御回路914に結合される。例えば、DAC出力911Bに結合された抵抗器RBは、ポンプダイオード902A、902Bのより長いポンプ電流立ち上がり時間と関連付けることができ、抵抗器RCは、より短いポンプ電流立ち上がり時間と関連付けることができ、抵抗器RDは、適切なポンプ電流立ち下がり時間と関連付けることができる。立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、典型的に、ポンプダイオード902A、902Bにおいて非対称であり、よって、立ち上がり及び立ち下がりと関連付けられた異なる選択可能な抵抗値を有し、また、抑制されたオーバーシュート又はアンダーシュートを有するより短い立ち上がり時間及び立ち下がり時間などの向上した応答を生じる。いくつかの例では、デジタル変調によっても変動させることができ、また、向上した立ち上がり時間、立ち下がり時間
、オーバーシュート、及びアンダーシュート光応答特性を生じる、調整可能な抵抗値を可能にするように、デジポットなどの可変抵抗器が使用される。シリアルバス916は、異なる立ち上がり時間と立ち下がり時間との間で切り換え、ポンプ電流をデジタル変調するように、デジタル変調コマンドを、FPGA 908からマルチプレクサ912に通信することができる。
【0045】
電流制御回路914は、電流検知抵抗器917に結合された1つ又は2つ以上のFET
915と、制御フィードバックを提供し、FPGA 908から現在の設定点を受信する1つ又は2つ以上の演算増幅器919とを含むことができる。複数の電流制御回路914を並列的に含むことで、電流制御回路917のそれぞれのFET 915全体にわたる熱を拡散及び消散させて、電流制御の精度及び信頼性を向上させることができる。典型的な例において、ポンプダイオード902Aは、ポンプダイオード902Bと異なる順電圧を有する。したがって、FET全体にわたる電圧降下は、一連のポンプダイオードの間で変動することになる。AC/DC電源906は、一定の又は一貫した熱放散に対応する適切なFET電圧を維持するように位置させることができる。FET 915全体にわたる熱放散が分割され、制限されるので、電流制御回路914の関連付けられた電子効率及び信頼性が向上する。更に、ポンプダイオード902A、902Bの光出力901A、901Bの全体的な応答時間に寄与する電流制御回路917の電流制御応答特性が向上し、抵抗器RB、RC、RD、及びより高いデジタル変調周波数と関連付けられた、より短い立ち上がり時間及び立ち下がり時間を可能にする。並列の電流制御回路914によって電流を割り当てることはまた、より正確である電流検知抵抗器917の電流センサの抵抗器値の選択も可能にし、電流制御回路914及び光出力901A、901Bの応答特性を更に向上させる。DAC 910からの高速サンプリングレートによって、及び電流制御回路914の向上した応答特性によって、レーザダイオードの電流を高速に切り換える又は変動させることができる。いくつかの例では、100μs、50μs、20μs、10μs、又は5μs未満などの短い変調周期を含む、50μs、20μs、10μs、5μs、又は2.5μs以下の光出力901A、901Bの立ち上がり時間及び立ち下がり時間が達成される。
【0046】
いくつかの実施形態において、FPGA 908は、信号調整器及びADC(図示せず)を通過した外部源からのアナログ入力918から、アナログ信号を受信する。自動化システム、コンピュータ、コンピュータメモリ若しくはデータファイル、手動制御、グラフィカルユーザインターフェースの入力、その他などの外部源は、所望のレーザシステムパワーレベルに基づいて、アナログ信号を提供するように構成される。次いで、所望のレーザシステムパワーレベルを達成するために、レーザシステムを光出力901A、901Bによってポンプすることができる。FPGA 908はまた、アナログ信号及びアナログ信号を提供する外部源と関連付けることができるゲート入力920から、ゲート信号を受信することもできる。ゲート信号は、対応するレーザシステムビームをオン及びオフするように、典型的に、デジタルであり、また、ポンプダイオード902A、902Bのオン及びオフコマンドを提供するように構成することができる。また、ゲート信号及びアナログ信号を使用して、光出力901A、901Bの任意の波形を生じさせることもできる。典型的な例において、アナログ信号及びゲート信号は、レーザシステムビームが標的全体にわたって走査されて、異なるパワーレベル及び標的の異なる場所で標的の材料を選択的に加熱し、加工するようにする協調される。パルスプロファイル信号入力922からのパルスプロファイルはまた、外部源を提供して、ポンプダイオード902A、902Bから生成されるレーザシステムビームの様々な特徴を選択するように、FPGA 908に結合させることもできる。パルスプロファイル情報は、ローカル又はリモートにメモリに記憶することができ、又は外部源からの信号として提供することができる。例えば、レーザシステムビームの繰り返し速度、パワーレベル、その他と共に、異なる立ち上がり時間及び立ち下がり時間をポンプ電流について選択することができる。
【0047】
フルエンス変調信号は、フルエンス変調入力924から受信され、該フルエンス変調入力はまた、FPGA 908にも結合され、また、アナログ信号、ゲート信号、及びパルスプロファイルと協調させることもでき、又は別個とすることができる。フルエンス変調信号は、標的に送達されているレーザシステムビームと関連付けられたフルエンスの逸脱を修正するために提供することができる。例えば、アナログ入力は、例えば典型的に高周波アナログ信号と関連付けられたノイズの増加のため、制限された帯域幅を有する場合があり、又は帯域幅は、スキャナなどの他のレーザシステム構成要素、又は行われているレーザ加工のダイナミクスに関連して適切でない場合がある。光出力901A、901Bによって生じたレーザシステムビームによるレーザ処理中に、標的において所望のフルエンスを達成するために、ポンプ電流をデジタル変調することによって、フルエンス変調信号を使用して、帯域幅が制限されたアナログ信号又は対応する帯域幅が制限されたレーザシステムの性能を補償することができる。例えば、走査速度が減少したときに、フルエンス変調信号は、FPGA 908によって受信することができ、FPGA 908は、標的における所望のフルエンスの修正を生じさせるように、シリアルバス916を通じてマルチプレクサ912を方向付けて、変調させることができる。
【0048】
例示された実施形態を参照して開示された技術の原理を説明し、図示したが、例示された実施形態はそのような原理から逸脱することなく構成及び詳細に関して変更することができる。例えば、例示された実施形態の要素は、ソフトウェア又はハードウェアにおいて実装され得る。また、任意の例からの技術は、他の例のうちの任意の1つ又は2つ以上で記載された技術と組み合わせることができる。例示された例を参照して記載されたようないくつかの手順及び機能は、単一ハードウェア又はソフトウェアモジュールにおいて実装され得て、あるいは別個のモジュールが提供できることが理解されよう。上記特定の構成は、便宜上の図示のために提供されており、他の構成も使用可能である。
【0049】
開示された技術の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を鑑みて、図示された実施形態は代表的な例に過ぎず、本開示の範囲を限定するものではないことを認識するべきである。これらのセクションで特別に言及された代替は、単なる例示であり、本明細書に記載された実施形態の全ての可能な代替を構成するものではない。例えば、本明細書に記載されたシステムの様々な構成要素は、機能及び使用において組み合わせられてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲内と趣旨にある全てを請求する。