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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/44 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
A47L15/44
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022503155
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 JP2021001955
(87)【国際公開番号】W WO2021171841
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2020032550
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】掬川 文隆
(72)【発明者】
【氏名】新海 清恭
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-258814(JP,A)
【文献】実公平03-035626(JP,Y2)
【文献】実開平05-085409(JP,U)
【文献】特表2000-502640(JP,A)
【文献】特開2017-202230(JP,A)
【文献】特開2004-008849(JP,A)
【文献】特公昭53-035572(JP,B2)
【文献】国際公開第2020/025192(WO,A1)
【文献】特開2000-225087(JP,A)
【文献】特開2007-135650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、被洗浄物を収容する洗浄槽と、
前記洗浄槽に供給される液体洗剤を貯留するための洗剤タンクと、
前記洗剤タンクを収納するための洗剤タンク収納部と、
前記洗剤タンクの洗剤吐出口に設けられた異物捕捉部と、を備える洗浄装置であって
前記洗剤タンクは、前記洗剤タンク収納部に出し入れ自在に収納され、
前記洗剤タンク収納部に前記洗剤タンクが収納されたとき、前記洗剤タンク内の洗剤を前記洗浄槽へ供給するための洗剤投入経路が前記洗剤吐出口に接続され、
前記洗剤投入経路の途中に、前記洗剤タンクに貯留された液体洗剤を前記洗浄槽に送液するための洗剤ポンプが配置され、
前記異物捕捉部は、前記洗剤タンクの外側方向に取り外し可能に構成される、
洗浄装置。
【請求項2】
前記異物捕捉部は、前記洗剤吐出口の内部に挿入されるように設けられ、
前記洗剤タンクを前記洗剤タンク収納部から取り出してから、前記異物捕捉部は、前記洗剤タンクの外側方向に取り外し可能に構成される、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記異物捕捉部は、複数の孔、または長孔で構成される、
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記異物捕捉部は、前記洗剤タンクから前記洗浄槽に至る前記液体洗剤の流路の内径よりも小さい内径の異物捕捉用流路を有する、
請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記異物捕捉用流路は、前記異物捕捉部の本体の外側と前記洗剤吐出口との間の流路を含む、
請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記異物捕捉用流路は、前記洗剤タンクの内部に接する前記異物捕捉部の本体に設けられた複数の孔、または長孔を含む、
請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項7】
記異物捕捉部は、前記洗剤タンクが前記洗剤タンク収納部に収納されていないときに、前記洗剤タンクの外部へ前記液体洗剤を吐出するための流路を閉じる弁体を、備え、
前記弁体は、前記洗剤タンクが前記洗剤タンク収納部に収納されたときに、開弁するように構成される、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被洗浄物を洗浄するための洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、システムキッチンに組み込まれた状態で使用されるビルトイン型の食器洗い機は、前方に開閉可能な扉部を有する洗浄槽を筐体内に固定した構成が主流である。
【0003】
しかし、近年、上方に開口部を有する洗浄槽を、筐体より引き出して食器類を収容し、洗浄する食器洗い機が主流となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示される食器洗い機は、上方に開口部を有し、食器類を収容する洗浄槽と、洗浄槽を前後方向へ出し入れ自在に支持する筐体と、洗浄槽の外に設けられ、洗浄槽内へ洗剤を投入する洗剤投入口と、洗剤投入口と洗浄槽とを連通する投入経路を備える。そして、洗剤は、洗浄槽とは独立した箇所に設けた洗剤投入口から投入される。これにより、洗浄槽内に入れられた食器類の大きさ、形状にかかわらず、確実に洗剤を投入することができる。
【0005】
また、洗浄槽内に洗剤収容容器を備える食器洗い機が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2に開示される食器洗い機は、洗浄槽の内壁に、着脱自在、または、一体的に取り付けられる洗剤収容容器を有する。洗剤収容容器は、洗浄槽の内壁に設けた洗浄水の給水口と、ほぼ同じ高さ、または給水口より上方の位置に取り付けられる。これにより、食器などの洗浄を開始する前において、洗剤のこぼれ落ち、流出、あるいは固化する虞を防止し、食器などの効果的な洗浄を可能にしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の食器洗い機の構成では、洗剤を上方の開口部から投入すると、洗剤が、そのまま洗浄槽に流れ落ちてしまう。つまり、従来の食器洗い機は、洗剤をストックしておくことができない。そのため、食器洗い機の使用時に、使用者は、都度、必要な量の洗剤を、洗浄槽内に投入しなければならない。
【0008】
そこで、特許文献2に開示されるように、洗浄槽内に洗剤収容容器を着脱自在に取り付ける構成が考えられる。しかしながら、洗剤収容容器に異物などが混入した場合、混入した異物を容易に除去することができるような技術が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-135650号公報
【文献】特開2000-225087号公報
【発明の概要】
【0010】
本開示は、洗浄装置の利便性を向上できる食器洗い機を提供する。
【0011】
本発明の一態様に係る洗浄装置は、筐体と、筐体内に設けられ、被洗浄物を収容する洗浄槽と、洗浄槽に供給される液体洗剤を貯留するための洗剤タンクと、洗剤タンクを収納するための洗剤タンク収納部と、洗剤タンクの洗剤吐出口に設けられた異物捕捉部を備える。洗剤タンクは、洗剤タンク収納部に出し入れ自在に収納され、洗剤タンク収納部に洗剤タンクが収納されたとき、洗剤タンク内の洗剤を洗浄槽へ供給するための洗剤投入経路が洗剤吐出口に接続され、洗剤投入経路の途中に、洗剤タンクに貯留された液体洗剤を洗浄槽に送液するための洗剤ポンプが配置される。異物捕捉部は、洗剤タンクの外側方向に取り外し可能に構成される。
【0012】
本開示によれば、洗浄装置の利便性を向上できる食器洗い機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施の形態1における洗浄槽を筐体から引き出した状態の食器洗い機の概略側面図である。
図2図2は、実施の形態1の洗剤タンクを収納途中、もしくは、引き出し途中の状態を示す食器洗い機の概略正面図である。
図3図3は、実施の形態1の洗剤タンクを収納した状態を示す食器洗い機の概略正面図である。
図4図4は、実施の形態1における洗浄槽を筐体から引き出した状態の他の例に係る食器洗い機の概略側面図である。
図5図5は、実施の形態2における洗剤タンクを収納した状態の食器洗い機の概略正面図である。
図6図6は、実施の形態2における洗浄槽を筐体から引き出した状態の食器洗い機の概略側面図である。
図7図7は、実施の形態3に係る食器洗い機の概略側面図である。
図8図8は、実施の形態3に係る食器洗い機の概略正面図である。
図9図9は、実施の形態3に係る食器洗い機の概略正面図である。
図10図10は、実施の形態3に係る食器洗い機の概略正面図である。
図11図11は、実施の形態3に係る食器洗い機の概略正面図である。
図12A図12Aは、洗剤タンクが洗剤タンク収納部に収納された状態を示す部分拡大図である。
図12B図12Bは、洗剤タンクが洗剤タンク収納部に収納された状態を示す部分拡大図である。
図13図13は、洗剤タンクの断面を模式的に示す図である。
図14A図14Aは、洗剤タンクの断面を模式的に示す図である。
図14B図14Bは、洗剤タンクの断面を模式的に示す図である。
図15A図15Aは、洗剤タンクのカバーの下面を示す図である。
図15B図15Bは、洗剤タンクのカバーの下面を示す図である。
図15C図15Cは、洗剤タンクのカバーの下面を示す図である。
図16図16は、アームと回動軸との関係を模式的に示す図である。
図17A図17Aは、アームと回動軸の断面を模式的に示す図である。
図17B図17Bは、アームと回動軸の断面を模式的に示す図である。
図18図18は、実施の形態に係る食器洗い機を制御するための制御装置の構成を示す図である。
図19図19は、回転式粘度計によって測定した液体洗剤の粘度を示す図である。
図20図20は、実施の形態に係る食器洗い機の制御方法の手順を示すフローチャートである。
図21図21は、実施の形態に係る食器洗い機の制御方法の手順を示すフローチャートである。
図22A図22Aは、洗剤タンクの別の例を模式的に示す図である。
図22B図22Bは、洗剤タンクの別の例を模式的に示す図である。
図23図23は、異物捕捉部の断面を模式的に示す図である。
図24A図24Aは、異物捕捉部が洗剤吐出口に取り付けられた状態を模式的に示す図である。
図24B図24Bは、異物捕捉部が洗剤吐出口に取り付けられた状態を模式的に示す図である。
図24C図24Cは、異物捕捉部が洗剤吐出口に取り付けられた状態を模式的に示す図である。
図24D図24Dは、異物捕捉部が洗剤吐出口に取り付けられた状態を模式的に示す図である。
図25A図25Aは、異物捕捉部の断面を模式的に示す他の図である。
図25B図25Bは、異物捕捉部が洗剤吐出口に取り付けられた状態を模式的に示す他の図である。
図26図26は、異物捕捉部が洗剤吐出口に取り付けられた状態を模式的に示す他の図である。
図27図27は、洗剤タンクを洗剤タンク収納部に収納したときの断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1の食器洗い機の概略構成について、図1を参照しながら、説明する。
【0016】
図1は、実施の形態1における洗浄槽1を筐体2から引き出した状態の食器洗い機の概略側面図である。詳しくは、図1は、食器洗い機の洗浄槽1を、食器洗い機の筐体2から引き出した状態の概略側面図を示している。
【0017】
実施の形態1の食器洗い機は、例えば、システムキッチンなどに搭載されるビルトイン式の食器洗浄機である。
【0018】
なお、実施の形態1において、図中に示すように、前方向は扉体3および洗浄槽1が引き出される方向、後方向は洗浄槽1が収納され扉体3が閉じられる方向として、説明する。また、食器洗い機の洗浄槽1の開口部1a側を上方、反対側を下方として、さらに扉体3の正面から見て右側を右方、左側を左方として、以降では、説明する。
【0019】
図1に示すように、実施の形態1の食器洗い機は、筐体2と、筐体2の内部に配置される、洗浄槽1、側壁12、洗剤タンク15、制御装置19、および筐体2の開口を開閉する扉体3などを有する。
【0020】
洗浄槽1は、上方に開口部1aを有し、食器類8を収容するかご7が、内部に配置される。洗浄槽1は、下方に固定される第1のレール5を備える。一方、筐体2は、内面内側に固定される第2のレール6を備える。第1のレール5は、筐体2の第2のレール6に移動可能に支持される。これにより、洗浄槽1は、前後方向(図1の紙面上では左右方向)へ、筐体2から出し入れ自在に支持される。
【0021】
洗浄槽1は、外側前方上部である開口部1aの前方に配置される平面部23を備える。平面部23には、操作部24および表示部25などが配置される。操作部24は、使用者の操作により、食器洗い機の洗浄コース、電源のオン、オフなどが設定される。表示部25は、洗浄状況、動作状況、時間などを表示する。また、操作部24や表示部25が配置される平面部23の裏面側には、それらの動作を制御する操作表示基板(図示せず)が配置される。
【0022】
側壁12は、洗浄槽1と扉体3との間の両側に配置される。側壁12は、洗浄槽1と扉体3とを、一体的に移動可能につなぐ。このとき、食器洗い機は、洗浄槽1の前面側と、扉体3の後面側と、側壁12と平面部23とで、区画されて形成される前方空間部13を有する。
【0023】
扉体3は、上方で、前方に突出するように設けられる取手4を備える。取手4は、使用者が把持して、洗浄槽1を筐体2から出し入れするのに利用される。
【0024】
また、実施の形態1の食器洗い機は、以下に示す経路で洗浄槽1の食器類を洗浄する洗浄水が、給水される。具体的には、まず、図示しないシステムキッチン上の分岐水栓などから給水ホースなどの給水経路に、水道水などの洗浄水が供給される。供給された洗浄水は、給水経路を経て、図示しない給水ポンプや給水弁などにより、洗浄槽1内に必要な水位や必要量の給水がなされる。以上のように構成される経路で、洗浄水が、洗浄槽1内に給水される。
【0025】
洗浄槽1は、外側下方に配置される循環ポンプ9を備える。循環ポンプ9は、洗浄槽1内に給水された洗浄水を、循環経路を経て循環させ、洗浄ノズル11から洗浄水を噴射させる。そして、噴射された洗浄水で、食器類8の洗浄が可能に構成される。なお、洗浄水を加熱するヒータ10も、洗浄槽1の底部近傍に配置される。
【0026】
また、実施の形態1の食器洗い機は、洗浄槽1から洗浄水を排水する排水経路を備える。排水経路は、図示しない排水ポンプと排水ホースなどで構成される。そして、食器類8の洗浄やすすぎが終了すると、排水ポンプが駆動され、洗浄水は、排水ホースを介して、外部に排水される。つまり、排水経路は、洗浄槽1内の洗浄水を、システムキッチンのシンクなどに排水可能に構成される。
【0027】
洗浄槽1は、外側前方である前方空間部13に配置され、洗剤タンク15が出し入れ自在に収容される洗剤タンク収納部14を備える。洗剤タンク収納部14は、側壁12の片側に溶着、ネジ止め、または側壁12と一体成型で形成される。なお、洗剤タンク収納部14を、洗浄槽1の前面に設ける構成としてもよい。
【0028】
以上のように、実施の形態1の食器洗い機は構成される。
【0029】
つぎに、食器洗い機の洗剤タンク15周りの構成について、図2および図3を参照しながら、説明する。
【0030】
図2は、洗剤タンク15を収納途中もしくは引き出し途中の状態を示す食器洗い機の概略正面図である。図3は、洗剤タンク15を収納した状態を示す食器洗い機の概略正面図である。
【0031】
図2および図3に示すように、洗剤タンク収納部14は、空洞状の空間を有する。洗剤タンク15は、洗剤タンク収納部14の空間に出し入れ自在に収納される。洗剤タンク15は、前方(扉体3の正面側)から見て、例えば、左右方向(側方)へ出し入れ自在に収納される。
【0032】
また、洗剤タンク収納部14は、図1に示すように、平面部23(操作部24または表示部25)の略下方(下方を含む)で、例えば、洗浄槽1の中央部側から右方側に配置され、洗剤タンク15を収納する。
【0033】
なお、図2および図3では、洗剤タンク収納部14から洗剤タンク15を右方向に引き出す構成を例に図示しているが、これに限られない。例えば、洗剤タンク収納部14および洗剤タンク15を、図2図3とは左右対称の反対の位置に配置してもよい。この場合、洗剤タンク収納部14から洗剤タンク15を左方向に引き出す構成が望ましい。
【0034】
上記構成により、洗浄槽1が筐体2に完全に収納された状態において、洗剤タンク15が目立つことがない。そのため、食器洗い機を、シンプルなデザインで構成できる。さらに、洗浄槽1の外側前方における洗剤タンク15を収納するスペース(前方空間部13)を、有効に活用できる。
【0035】
また、図1に示すように、洗剤タンク15は、洗浄槽1を前方に少なくとも距離a(図1の点線矢印)以上、引き出された状態において、洗剤タンク収納部14から洗剤タンク15を左右方向に出し入れ自在に構成される。なお、距離aは、扉体3の背面と筐体2の最前面との合わせ面と、洗剤タンク収納部14の洗浄槽1側の面の最短距離を示す。すなわち、距離aは、少なくとも洗剤タンク収納部14全体が、筐体2の最前部より前側に引き出された状態を示す。
【0036】
上記構成により、洗浄槽1が前方向に所定距離(距離a)以上、引き出された状態において、はじめて洗剤タンク15の出し入れが可能となる。そのため、洗剤タンク15を収納する洗浄槽1の前方のスペースと、筐体2から洗浄槽1を引き出したときの横方向のスペースとを活用して、使用者は、洗剤タンク15を容易に出し入れできる。なお、距離aは、洗剤タンク15の左右方向の出し入れ可能な距離であれば、特に、限られない。
【0037】
また、実施の形態1の食器洗い機は、上述したように、洗浄槽1の外側前方上部に設けられ、使用者が、洗浄コース、電源のオン、オフなどを設定する操作部24を有する。これにより、使用者は、例えば、洗浄槽1の前方、かつ、上方から、片手で操作部24を操作できる。このとき、同時に、使用者は、もう一方の片手で、洗剤タンク15を左右方向へ出し入れできる。その結果、使用者の作業性を、高めることができる。
【0038】
また、洗剤タンク15は、液体洗剤が貯められる、例えば、ボトル状の容器で構成される。具体的には、洗剤タンク15は、洗剤タンク洗剤吐出口15cと、洗剤タンク洗剤吸引経路15dと、洗剤入れ蓋部15eなどで構成される。
【0039】
洗剤タンク洗剤吐出口15cと、洗剤タンク洗剤吸引経路15dと、洗剤入れ蓋部15eとは、一体で形成され、洗剤タンク15から着脱可能に構成される。そのため、洗剤入れ蓋部15eを洗剤タンク15から取り外すと、一体構成の洗剤タンク洗剤吐出口15cと洗剤タンク洗剤吸引経路15dも、同時に、洗剤タンク15からの取り外しが可能となる。なお、液体洗剤を吸引する洗剤タンク洗剤吸引経路15dの先端部は、洗剤タンク15の底面付近まで延設される。これにより、洗剤タンク15から液体洗剤がほぼ無くなるまで吸引することができる。そのため、洗剤タンク15内の液体洗剤を、無駄なく、効率よく使用できる。
【0040】
また、使用者は、液体洗剤の洗剤タンク15への補充時において、まず、洗剤タンク15を洗剤タンク収納部14から取り外す。そして、使用者は、洗剤入れ蓋部15eを洗剤タンク15から取り外す。これにより、使用者は、液体洗剤を洗剤タンク15に、容易に補充できる。
【0041】
上述した洗剤タンク15の構成により、洗浄槽1の外側で、液体洗剤を、洗剤タンク15内に、供給およびストックできる。そのため、洗浄時における、洗浄槽1内の湿気、乾燥などによる、洗剤タンク15での洗剤の固化を抑制できる。また、洗剤タンク15を洗浄槽1内に配置しない分、洗浄槽1の容積を増やすことができる。さらに、使用者は、洗剤タンク15を容易に着脱できる。
【0042】
つまり、従来、洗浄槽と扉体との間には、操作部や表示部などの制御用の基板が配置され、基板以外の空間はデッドスペースであった。そこで、本実施の形態では、デッドスペースに洗剤タンク15を、基板と、左右方向に並べて配置する。これにより、デッドスペースを有効に活用し、洗浄槽1内に洗剤タンク15を配置しない分、従来の洗浄槽と比べて、洗浄槽1の容積を増やすことができる。
【0043】
また、図2に示すように、洗剤タンク15の洗剤タンク洗剤吐出口15cは、洗剤入れ蓋部15eから左側側方に凸状に突出する凸部15fを有する。一方、洗剤タンク収納部14は、洗剤タンク洗剤吐出口15cの凸部15fが係合する凹部14cを有する。そして、洗剤タンク収納部14の凹部14cは、洗剤入れ蓋部15eの凸部15fと係合される。これにより、洗剤タンク15の洗剤タンク収納部14への収納が完了する。
【0044】
そして、凹部14cと凸部15fとの嵌合により、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されると、洗剤タンク洗剤吐出口15cから洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路14bへの液体洗剤を移送する経路が構成される。さらに、凸部15fと凹部14cとの嵌合により、洗剤タンク15の洗剤タンク収納部14内への安定した収納が可能となる。
【0045】
また、洗剤タンク収納部14は、凹部14cに設けられる洗剤タンク収納部洗剤吐出口14aを備える。洗剤タンク収納部洗剤吐出口14aには、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路14bの一端が配置され、接続される。一方、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路14bの他端には、洗剤送液部の例示である洗剤ポンプ16が接続される。洗剤送液部の他の例示としては、電磁弁を用いてもよい。さらに、洗剤ポンプ16と、洗浄槽1の前面に設けられた洗浄槽洗剤吐出口17(図1参照)との間に、洗浄槽側洗剤吐出経路18が接続される。つまり、洗剤ポンプ16は、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路14bの他端と、洗浄槽側洗剤吐出経路18の間である洗剤投入経路の途中に配置される。
【0046】
上述したように、洗剤タンク15は、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路14bに、液体洗剤を吐出する洗剤タンク洗剤吐出口15cを有する。洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路14bは、洗剤タンク収納部14と連結される。つまり、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納されたとき、洗剤タンク洗剤吐出口15cは、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路14bと連結されるように構成される。
【0047】
また、制御装置19は、図1に示すように、洗浄槽1の前面下方に配置される。制御装置19は、例えば、循環ポンプ9、排水ポンプ、給水ポンプ(給水弁)、洗剤ポンプ16などの駆動を制御する。
【0048】
具体的には、制御装置19は、洗剤ポンプ16の駆動回転速度、駆動時間などを制御する。これにより、食器類8などの洗浄時において、必要な量の液体洗剤が洗剤タンク15から吸引される。吸引された液体洗剤は、洗剤タンク洗剤吸引経路15d、洗剤タンク洗剤吐出口15c、洗剤タンク収納部洗剤吐出口14a、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路14b、洗剤ポンプ16、洗浄槽側洗剤吐出経路18、洗浄槽洗剤吐出口17を、順に経由して、洗浄槽1内に供給される。つまり、洗剤タンク15に溜められた液体洗剤を、洗浄槽1に移送して供給可能に構成される。
【0049】
以上のように、食器洗い機の洗剤タンク15周りは構成され、液体洗剤が洗浄槽1内に供給される。
【0050】
以下に、実施の形態1の他の例における食器洗い機の構成について、図4を参照しながら、説明する。
【0051】
図4は、実施の形態1における洗浄槽1を筐体2から引き出した状態の他の例に係る食器洗い機の概略側面図である。
【0052】
図4に示すように、他の例に係る食器洗い機は、洗剤タンク15の側面側の少なくとも一部に設けられる透明部15aを有する。透明部15aは、洗剤タンク15が洗剤タンク収納部14に収納された状態において、使用者が、洗剤タンク15内の液体洗剤の残量を目視可能にする。透明部15aは、液体洗剤の洗剤量を示す目盛り15bを、さらに有する。これにより、洗剤タンク15の洗剤タンク収納部14へ収納した状態でも、使用者は、透明部15aを介して、洗剤タンク15内の洗剤量を側方から目視で確認できる。そのため、使用者は、液体洗剤の減り具合、補充のタイミングなどを、目視により推測できる。その結果、使用者は、洗剤タンク15を引き出して、適切なタイミングで、液体洗剤を容易に補充できる。
【0053】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2の食器洗い機の概略構成について、図5および図6を参照しながら、説明する。
【0054】
図5は、実施の形態2における洗剤タンク15を収納した状態の食器洗い機の概略正面図である。図6は、実施の形態2における洗浄槽1を筐体2から引き出した状態の食器洗い機の概略側面図である。
【0055】
図5および図6に示すように、実施の形態2の食器洗い機は、操作部24および表示部25の配置位置、および取手4の構成が、実施の形態1と異なる。それ以外の構成は、実施の形態1と同様であるので、重複する構成の説明は省略する。
【0056】
つまり、図5に示すように、実施の形態2の食器洗い機は、操作部24および表示部25が、扉体3の前面上部に配置される。取手4は、扉体3の内方に向けて、へこんだ形状で形成される。操作部24は、実施の形態1と同様に、使用者の操作により、洗浄コース、電源のオン、オフが設定される。表示部25は、洗浄状況、動作状況、時間などを表示する。
【0057】
実施の形態2の操作部24および表示部25は、洗浄槽1の外側前方上部で、扉体3の前方側に設けられる。これにより、実施の形態1と同様に、使用者は、洗浄槽1の前方、かつ、上方から操作部24を操作しながら、例えば、同時に、洗剤タンク15を、洗剤タンク収納部14の左右方向から出し入れできる。
【0058】
なお、図6に示すように、操作部24または表示部25のいずれか一方を、実施の形態1と同様に平面部23に配置し、表示部25または操作部24のいずれか他方を扉体3の前面上部に配置する構成としてもよい。
【0059】
また、実施の形態1の記載内容と実施の形態2の記載内容とを、記載されている範囲内で自由に組み合わせて、食器洗い機を構成してもよい。これにより、食器洗い機の、設計の自由度、汎用性などを高めることができる。
【0060】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3の食器洗い機の概略構成について、図7を参照しながら、説明する。
【0061】
図7は、実施の形態3に係る食器洗い機の概略側面図である。
【0062】
図7に示すように、実施の形態3に係る食器洗い機は、洗剤タンク収納部および洗剤タンクの構成が、実施の形態1および実施の形態2と異なる。その他の構成および動作は、実施の形態1または実施の形態2と同様であるので、重複する構成の説明は省略する。
【0063】
以下、実施の形態1および実施の形態2と異なる点について、主に、説明する。
【0064】
つまり、図7に示すように、実施の形態3の食器洗い機は、洗剤タンク30内に、液体洗剤内で浮遊する浮遊体の一例であるフロート34を備える。フロート34は、洗剤タンク30が洗浄槽1または筐体2に対して出し入れされるときに、洗剤タンク30内に貯留された液体洗剤に発生する波を抑える機能を有する。フロート34は、アーム33を介して、洗剤タンク30の蓋に設けられた回動軸32(図8参照)で軸支される。フロート34には、磁性体35が配設される。
【0065】
洗剤タンク30は、洗剤タンク収納部40に出し入れ自在に収納される。洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納された状態で洗浄が開始されると、洗剤タンク30内に貯留された液体洗剤が、洗剤送液部の例示である洗剤ポンプ16により、適量、吸い出される。吸い出された液体洗剤は、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路43および洗浄槽側洗剤吐出経路18を介して、洗浄槽1内に供給される。
【0066】
洗剤タンク収納部40は、例えば、外側面に配設され、磁性体35の磁気を検知するための、検知部の例示である磁気センサ41を備える。磁気センサ41が磁性体35の磁気を検知することにより、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されていることが検知される。
【0067】
つぎに、食器洗い機の洗剤タンク30周りの構成について、図8から図11を参照しながら、説明する。
【0068】
図8から図11は、実施の形態3に係る食器洗い機の概略正面図である。詳しくは、図8は、洗剤タンク30に液体洗剤が貯留されていないときの食器洗い機の概略正面図である。図9は、洗剤タンク30に液体洗剤が貯留されていないときに、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40から引き出されたときの食器洗い機の概略正面図である。図10は、洗剤タンク30に液体洗剤が貯留されているときの食器洗い機の概略正面図である。図11は、洗剤タンク30に液体洗剤が貯留されているときに、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40から引き出されたときの食器洗い機の概略正面図である。
【0069】
上述したように、フロート34は、洗剤タンク30の開口を覆うカバー31に設けられた回動軸32に、アーム33を介して、軸支される。
【0070】
洗剤タンク30は、カバー31、回動軸32、アーム33、フロート34、磁性体35、洗剤吐出口37などを有し、洗剤タンク収納部40に収納可能に構成される。
【0071】
洗剤タンク収納部40は、例えば、磁性体35と対向する内面に設けられる、検知部の例示である磁気センサ41を備える。磁気センサ41は、例えば、制御装置50近傍に配設される。
【0072】
フロート34およびアーム33は、図8および図9に示すように、洗剤タンク30に液体洗剤が貯留されていないとき、自重により、鉛直下方に垂れ下がった状態で、回動軸32に軸支される。
【0073】
一方、洗剤タンク30に液体洗剤が貯留されると、図10および図11に示すように、フロート34は、液体洗剤の液位に応じて、浮上する。そして、上昇する液位により、アーム33は、回動軸32を中心として、上方に回動する。このとき、磁気センサ41は、フロート34の磁性体35の位置を検知する。これにより、洗剤タンク30内の液体洗剤の液位が、検知される。
【0074】
また、図9および図11に示すように、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されていないとき、磁気センサ41と磁性体35とは、対向して配置されない。そのため、磁気センサ41は、磁性体35の磁気を検知しない。これにより、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されていないことを検知できる。
【0075】
磁気センサ41は、例えば、洗剤タンク30内の液体洗剤の複数の液位に対応する磁性体35の位置の近傍に設けられた複数のホール素子で構成される。これにより、液体洗剤の液位を、より精確に検知できる。
【0076】
なお、磁気センサ41は、上記ホール素子以外に、例えば、磁気抵抗効果素子、磁気インピーダンス素子など、任意の方式で磁性体35の磁気を検知可能なセンサで構成してもよい。
【0077】
また、磁気センサ41は、洗剤タンク収納部40の側面のうち、制御装置50から遠い側の側面に設ける構成が望ましい。これにより、磁気センサ41が受ける、制御装置50の電気回路において発生する磁場の影響を、小さくできる。その結果、磁気センサ41の検知精度が、より向上する。
【0078】
洗剤吐出口37は、洗剤タンク30の、出し入れ方向の奥側の側面の最下端に設けられる。洗剤受入口42は、洗剤タンク収納部40に洗剤タンク30が収納されたときにおいて、洗剤タンク収納部40の洗剤タンク30の洗剤吐出口37が当接する位置に設けられる。
【0079】
そして、洗剤ポンプ16が動作すると、洗剤タンク30内の液体洗剤は、洗剤吐出口37、洗剤受入口42、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路43、洗浄槽側洗剤吐出経路18を介して、洗浄槽1内に供給される。
【0080】
さらに、洗剤タンク30の内底面36は、洗剤吐出口37に向けて低くなるように傾斜して形成される。これにより、液体洗剤が洗剤タンク30内に残留することなく、液体洗剤を洗剤吐出口37に導くことができる。
【0081】
つぎに、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納された状態における、液体洗剤の液位に対する磁気センサ41と磁性体35との関係について、図12Aおよび図12Bを参照しながら、説明する。
【0082】
図12Aは、洗剤タンク30内の液体洗剤の液位が低いときの洗剤タンク30および洗剤タンク収納部40の概略側面図である。図12Bは、洗剤タンク30内の液体洗剤の液位が高いときの洗剤タンク30および洗剤タンク収納部40の概略側面図である。
【0083】
図12Aおよび図12Bに示すように、検知部の例示である磁気センサ41は、液体洗剤の液位に応じた磁性体35の位置を検知する。これにより、磁気センサ41は、液体洗剤の液位を検知できる。
【0084】
つぎに、食器洗い機の洗剤タンク30の液体洗剤38の状態について、図13を参照しながら、説明する。
【0085】
図13は、洗剤タンク30の断面を模式的に示す図である。
【0086】
図13に示すように、洗剤タンク30内に液体洗剤38が貯留されているときに、洗浄槽1の筐体2からの引き出し、あるいは洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40から引き出されると、図中の二重破線で示すように、液体洗剤38の表面に波が、発生する。なお、図9に示す洗剤タンクにおいても、同様に、波が発生する。
【0087】
そこで、本実施の形態の食器洗い機は、液体洗剤38の表面に発生する波を打ち消すために設けられる、フロート34を有する。フロート34は、例えば、液体洗剤38に浮く材料で形成される。つまり、フロート34は、液体洗剤38の液面に浮遊して、発生する波を打ち消す。これらの現象(例えば、消波効果)は、本発明者らが、実験によって明らかにしている。これにより、フロート34を設けない構成と比べて、液体洗剤38に発生する波を、効果的に抑制できる。その結果、食器洗い機の使用時や、洗剤タンク30への液体洗剤の補充時などにおいて、液体洗剤の洗剤タンク30からのこぼれや、周囲の部材などへの付着による液体洗剤の固化を、未然に防止できる。
【0088】
なお、フロート34は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの熱可塑性樹脂や、ステンレスなどの金属で形成される。フロート34を金属材料で形成する場合、フロート34の内部に空洞を設ける構成が好ましい。これにより、液体洗剤の表面上に、フロート34が浮きやすくなる。
【0089】
また、フロート34とアーム33は、一体的に形成してもよく、別々に形成して、接合して一体化してもよい。
【0090】
さらに、アーム33は、洗剤タンク30のカバー31に設けられた回動軸32に、着脱自在に軸支される。これにより、使用者は、カバー31から、アーム33およびフロート34を取り外して、容易に、洗うことができる。さらに、アーム33は、洗剤タンク30のカバー31と、一体的に形成してもよい。
【0091】
つぎに、食器洗い機の別の例に係る洗剤タンク30の構成について、図14Aおよび図14Bを参照しながら、説明する。
【0092】
図14Aおよび図14Bは、洗剤タンク30の断面を模式的に示す図である。詳しくは、図14Aは、液体洗剤の液位が高いときの、洗剤タンク30の断面を模式的に示す図である。図14Bは、洗剤タンク30内の液体洗剤の液位が低いときの、洗剤タンク30の断面を模式的に示す図である。
【0093】
図14Aおよび図14Bに示すように、洗剤タンク30は、カバー31に設けられ、外部と連通する大気開放口39を有する。
【0094】
また、カバー31は、洗剤タンク30の上方に形成される開口を、気密、かつ、液密に覆うように設けられる。そのため、洗剤タンク30から液体洗剤38が吐出されると、洗剤タンク30の内部が負圧になる。これにより、液体洗剤38の吐出が、円滑に進まなくなる可能性がある。そこで、カバー31に、大気開放口39を設ける。これにより、洗剤タンク30から液体洗剤38が吐出されるときに、大気開放口39から洗剤タンク30内に外気が流入する。その結果、液体洗剤38の吐出時における、洗剤タンク30内が負圧になることを防ぐことができる。そのため、洗剤タンク30から洗浄槽1内に、精確な量の液体洗剤38を供給できる。これにより、供給される液体洗剤38の量のばらつきを抑制できる。その結果、食器洗い機の洗浄性能などにおける、高い信頼性を維持できる。
【0095】
また、液体洗剤38が大気開放口39に付着して固化すると、大気開放口39が塞がれて、外気を洗剤タンク30内に流入させる機能が低下する。つまり、洗剤タンク30の内部が負圧になり、洗剤タンク30から洗浄槽1内に適切な量の液体洗剤38を供給できなくなる虞がある。そこで、上記現象の発生を回避するために、本実施の形態の食器洗い機は、大気開放口39を、カバー31の、フロート34の移動範囲の上方に設けている。このとき、洗剤タンク30内の液体洗剤38の液位が高い場合、洗剤タンク30の出し入れ時、波の発生により、液体洗剤38が液面から飛び跳ねて、大気開放口39にかかりやすくなる。しかしながら、本実施の形態の食器洗い機は、フロート34が大気開放口39の直下の液体洗剤38の液面に浮上して、液体洗剤38の波を打ち消す。そのため、液体洗剤38が、大気開放口39にかかるのを、より確実に抑えることができる。
【0096】
つぎに、食器洗い機の洗剤タンク30のカバー31の構成について、図15Aから図15Cを参照しながら、説明する。
【0097】
図15Aから図15Cは、洗剤タンク30のカバー31の下面を示す図である。詳しくは、図15Aは、カバー31の下面図である。図15Bは、カバー31の下面の斜視図である。図15Cは、カバー31の大気開放口39の近傍の拡大斜視図である。
【0098】
図15Aから図15Cに示すように、本実施の形態の食器洗い機の洗剤タンク30のカバー31は、大気開放口39の近傍で、カバー31の下面から洗剤タンク30の内部に向けて突出して設けられる、突出部39aを有する。突出部39aは、液面から飛び跳ねた液体洗剤38が大気開放口39にかからないように保護するための壁として機能する。これにより、液体洗剤38が大気開放口39にかかるのを、さらに、効果的に抑制できる。なお、突出部39aは、カバー31と一体的に形成しても、カバー31とは別に形成して、カバー31に取り付ける構成としてもよい。
【0099】
突出部39aは、フロート34が上方に移動しているときに、フロート34またはアーム33の少なくとも一部が、突出部39aに近接、または当接するように設けられる。つまり、洗剤タンク30内の液体洗剤38の液位が高い場合、液体洗剤38が大気開放口39にかかる可能性が高まる。この場合、フロート34が液体洗剤38の液面に浮上して、フロート34またはアーム33と、突出部39aとの間の間隙が狭まる。これにより、間隙からの液体洗剤38の浸入を防止して、大気開放口39にかかる可能性が低減される。なお、突出部39aは、フロート34が上方に移動するときに、フロート34とともに移動する他の部材(例えば、アーム33)の少なくとも一部に、近接または当接するように設けてもよい。
【0100】
さらに、突出部39aは、大気開放口39を囲む、例えば円筒状の形状で形成され、その一部に切欠39bを有する。切欠39bは、液体洗剤38が触れたときに、突出部39aの開口の膜の形成を防止する。その結果、膜によって、大気開放口39が塞がれることを、さらに抑制できる。
【0101】
上述したように、本実施の形態の食器洗い機は、洗浄槽1が、筐体2に対して、出し入れ自在に配設される。そのため、食器などの被洗浄物の出し入れ時において、洗浄槽1を筐体2に出し入れするたびに、液体洗剤38が洗浄槽1の出し入れ方向に揺れて、波が生じる。そこで、切欠39bを、洗浄槽1の出し入れ方向と異なる方向に設ける構成が望ましい。これにより、洗浄槽1の出し入れ時に生じる液体洗剤38の波による、切欠39bから突出部39a内部への、液体洗剤38の浸入を防止できる。その結果、液体洗剤38が大気開放口39にかかることを、より確実に抑制できる。
【0102】
また、本実施の形態の食器洗い機は、洗剤タンク30が、洗剤タンク収納部40に対して、出し入れ自在に配設される。そのため、液体洗剤38の補充時において、洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40に出し入れするたびに、液体洗剤38が洗剤タンク30の出し入れ方向に揺れて、波が生じる。そこで、切欠39bを、洗剤タンク30の出し入れ方向と異なる方向に設けてもよい。これにより、洗剤タンク30の出し入れ時に生じる液体洗剤38の波による、切欠39bから突出部39a内部への、液体洗剤38の浸入を防止できる。その結果、液体洗剤38が大気開放口39にかかることを、さらに抑制できる。
【0103】
なお、切欠39bは、アーム33が軸支される回動軸32側に設けてもよい。このとき、液体洗剤38の液位が高い場合、フロート34が液面に浮上することにより、アーム33が上方に移動する。そのため、突出部39aと回動軸32との間の空間は、突出部39a、回動軸32、およびアーム33によって、液体洗剤38と隔てられる。これにより、切欠39bから突出部39a内部への、液体洗剤38の浸入を防止できる。その結果、液体洗剤38が大気開放口39にかかることを、抑制できる。
【0104】
つぎに、食器洗い機の洗剤タンク30のアーム33と回動軸32との関係について、図16を参照しながら、説明する。
【0105】
図16は、アーム33と回動軸32との関係を模式的に示す図である。
【0106】
図16に示すように、回動軸32は、円柱状の形状で構成される。アーム33は、アーム33の上端に設けられ、円柱状の回動軸32に嵌合する嵌合部33aを有する。嵌合部33aは、嵌合部33aの側面の一部の角度範囲が、軸方向に切り欠かれた円筒状の形状を有する。切欠部33bにより、使用者は、アーム33を回動軸32から取り外して、容易に洗浄できる。そのため、嵌合部33aと回動軸32との間への液体洗剤38の付着による固化を防止して、フロート34の機能の低下を抑制できる。また、洗剤タンク30の内部を、固化物が無い状態で、清潔に保つことができる。さらに、食器洗い機の製造時において、回動軸32に、アーム33を容易に取り付けることができる。これにより、洗剤タンク30の製造コストを低減できる。
【0107】
なお、上記では、アーム33を回動軸32周りに回動させて移動させる構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、鉛直方向に設けられたガイドに沿ってフロートを移動させる方式でも、液体洗剤の液位を検知できるともに、消波効果が得られる可能性がある。しかしながら、この構成の場合、粘度の高い液体洗剤を使用すると、ガイドとフロートとの間の摺動抵抗が大きくなる。そのため、フロートが、液位の変動に追随し難くなる可能性がある。また、液体洗剤の液位が下がった場合、ガイドとフロートとの間に付着した液体洗剤38が固化して、フロートが移動しなくなる可能性がある。さらに、洗剤タンクの深さが浅い場合、フロートの移動範囲が狭いので、液位を細かく検知できない虞がある。
【0108】
そこで、本実施の形態の食器洗い機は、液体洗剤38の液面よりも上方に設けられた回動軸32でアーム33を軸支し、液位に応じてフロート34を回動させるように構成する。これにより、回動軸32とアーム33との間での液体洗剤の固化により、フロート34が移動しなくなる可能性を低減できる。また、フロート34は、液位に応じて、回動軸32に対して、水平方向にも垂直方向にも、略円弧状(円弧状を含む)に変位できるので、液位を、より精確に検知できる。
【0109】
つぎに、食器洗い機の洗剤タンク30のアーム33と回動軸32との動作関係について、図17Aおよび図17Bを参照しながら、説明する。
【0110】
図17Aおよび図17Bは、アーム33と回動軸32の断面を模式的に示す図である。詳しくは、図17Aは、洗剤タンク30内の液体洗剤38の液位が最高であるときのアーム33と回動軸32の断面を示す図である。図17Bは、洗剤タンク30内の液体洗剤38が空であるときのアーム33と回動軸32の断面を示す図である。
【0111】
図17Aおよび図17Bに示すように、アーム33の切欠部33bは、液体洗剤38の液位の全範囲において、液位に応じてアーム33が回動軸32の周りで回動したとき、常に、水平方向よりも上方に向くように構成される。これにより、液面から飛び跳ねた液体洗剤38が、切欠部33bからアーム33と回動軸32との間に浸入し、固化する可能性を、より低減できる。
【0112】
また、本実施の形態の食器洗い機は、回動軸32が、洗浄槽1を筐体2に対して出し入れする方向に対して、平行に設けられる。そして、洗浄槽1を筐体2に対して出し入れする方向と直交する方向に、フロート34が回動するように構成される。これにより、洗浄槽1を筐体2に出し入れする際、出し入れする方向に生じる波を、フロート34により、効果的に打ち消すことができる。その結果、大気開放口39、回動軸32、アーム33の嵌合部33aなどへの液体洗剤38の付着を抑制できる。また、洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40に出し入れする際にも、出し入れする方向に生じる波を、フロート34により、打ち消すことができる。これにより、大気開放口39、回動軸32、アーム33の嵌合部33aなどへの液体洗剤の付着を抑制できる。
【0113】
なお、上記構成以外に、洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40に出し入れする方向と平行に、回動軸32を設け、洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40に出し入れする方向と直交する方向に、フロート34が回動する構成してもよい。これにより、洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40に出し入れする際、出し入れする方向に生じる波を、フロート34により、効果的に打ち消すことができる。そのため、大気開放口39、回動軸32、アーム33の嵌合部33aなどへの液体洗剤38の付着を抑制できる。さらに、使用者が洗剤タンク30に液体洗剤を補充する際に、洗剤タンク30からの液体洗剤38のこぼれを抑制できる。また、洗浄槽1を筐体2に出し入れする際にも、出し入れする方向に生じる波を、フロート34により、打ち消すことができる。そのため、大気開放口39、回動軸32、アーム33の嵌合部33aなどへの液体洗剤38の付着を抑制できる。
【0114】
つぎに、食器洗い機の制御装置50の構成について、図18を参照しながら、説明する。
【0115】
図18は、実施の形態に係る食器洗い機を制御するための制御装置50の構成を示す図である。
【0116】
制御装置50は、例えば、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、集積回路などのハードウエアにより実現される。
【0117】
図18に示すように、制御装置50は、ステップ制御部51、検知結果取得部52、液位判定部53、洗剤タンク収納判定部54、送液制御部55、報知部56、放置時間取得部57、送液目標量判定部58、およびメモリ59などを備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現される。また、ソフトウエア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。しかし、図18では、それらの連携によって実現される機能ブロックで図示している。なお、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0118】
制御装置50のステップ制御部51は、食器洗い機による洗浄運転を制御する。ステップ制御部51は、食器洗い機の操作部24から使用者による指示を受け付け、指示にしたがって洗浄運転を制御する。なお、ステップ制御部51は、洗浄ステップ、すすぎステップ、および乾燥ステップを、連続的に実行してもよく、いずれかのステップのみを実行するように制御してもよい。さらに、ステップ制御部51は、上記いずれか2以上のステップの組合せを、任意の順序で実行するように制御してもよい。
【0119】
検知結果取得部52は、検知部の例示である磁気センサ41から検知結果を取得する。上述したように、磁気センサ41は、フロート34に設けられた磁性体35の磁気を検知する。
【0120】
液位判定部53は、検知結果取得部52により取得された検知結果に基づいて、洗剤タンク30に貯留された液体洗剤38の液位を判定する。このとき、液位判定部53は、例えば、設置位置の異なる複数のホール素子により検知された磁気に基づいて、磁性体35の位置を判定し、液体洗剤38の液位を判定してもよい。
【0121】
洗剤タンク収納判定部54は、検知結果取得部52により取得された検知結果に基づいて、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されているか否かを判定する。具体的には、洗剤タンク収納判定部54は、検知結果取得部52により、磁気センサ41が磁性体35の磁気を検知したことを示す検知結果が取得された場合、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されていると判定する。一方、洗剤タンク収納判定部54は、検知結果取得部52により、磁気センサ41が磁性体35の磁気を検知しなかったことを示す検知結果が取得された場合、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されていないと判定する。
【0122】
送液制御部55は、洗剤タンク30に貯留されている液体洗剤38を洗浄槽1へ送液するために、洗剤送液部の例示である洗剤ポンプ16を制御する。具体的には、送液制御部55は、後述するように、送液目標量判定部58により判定された量の液体洗剤38が、洗浄槽1に供給されるように、洗剤ポンプ16を制御する。そして、送液制御部55は、送液目標量判定部58により判定された量の液体洗剤38の送液が終了すると、送液終了時刻をメモリ59に記録する。
【0123】
また、送液制御部55は、洗剤タンク収納判定部54により、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されていないと判定された場合、液体洗剤38を洗剤タンク30から洗浄槽1へ送液しないように、洗剤ポンプ16を制御する。これにより、洗剤が洗浄槽1に供給されないまま洗浄ステップが実行されることを、未然に防止できる。例えば、洗剤タンク30から洗浄槽1に至る液体洗剤の流路に空気が送り込まれた場合、次回の洗浄実行時、送液目標量の洗剤が洗浄槽1に供給されない虞がある。この場合、送液制御部55は、液体洗剤を洗浄槽1へ送液しないように、洗剤ポンプ16を制御する。これにより、次回以降の洗浄実行時において、適切な送液目標量の洗剤が、洗浄槽1に供給されなくなることを、未然に防止できる。
【0124】
報知部56は、洗剤タンク収納判定部54により、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されていないと判定された場合、その旨を使用者に報知する。このとき、報知部56は、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されていない旨を、使用者に、音声で報知してもよく、表示部25に表示して報知してもよい。これにより、使用者が誤って洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40に収納しないまま洗浄を開始した場合でも、報知により、使用者に、洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40に収納するように促すことができる。
【0125】
放置時間取得部57は、洗剤ポンプ16により、前回、液体洗剤38が洗浄槽1に供給されてからの経過時間を算出する。これにより、放置時間取得部57は、洗剤ポンプ16および液体洗剤の流路が使用されずに放置されていた放置時間を取得する。具体的には、放置時間取得部57は、前回の送液終了時刻をメモリ59から読み出して、現在時刻までの経過時間を、放置時間として算出する。この場合、放置時間取得部57は、前回の送液終了時刻からの経過時間を、カウンタ回路などによりカウントして算出してもよい。また、放置時間取得部57は、前回の送液終了時刻または放置時間を示す情報を、外部のサーバなどから取得してもよい。
【0126】
通常、食器洗い機において使用される液体洗剤38は、図19に示すように、長期にわたって放置されると、空気中の酸素による酸化によって、粘度が増加(増粘)する。
【0127】
図19は、液体洗剤38の放置時間に対する、回転式粘度計によって測定した液体洗剤38の粘度の変化を示す図である。
【0128】
図19に示すように、3ヶ月放置した後に測定した液体洗剤38の粘度は、初期値から、わずかに増加した程度の変化である。一方、6ヶ月放置した後に測定した液体洗剤38の粘度は、初期値から顕著に増大している。そのため、食器洗い機が使用されてから長期間使用されずに放置された後に、再び、食器洗い機を使用する場合、洗剤ポンプ16を含む流路に残っていた液体洗剤38が、増粘または固化して、流れが悪くなる。そのため、洗剤ポンプ16によって規定量の洗剤を洗浄槽1に供給できない可能性がある。
【0129】
そこで、本実施の形態では、放置時間が所定の閾値よりも長かった場合、液体洗剤の送液目標量を規定量よりも増量する。具体的には、制御装置50は、洗剤ポンプ16の駆動時間、駆動回数、駆動電圧などを、通常よりも増加させる。これにより、液体洗剤38の増粘によって送液量が低下した分を補って、適切な量の液体洗剤38を、洗浄槽1に供給できる。
【0130】
送液目標量判定部58は、洗浄槽1に液体洗剤38を供給する際の送液目標量を判定する。詳しくは、放置時間取得部57により取得された放置時間が、第1の閾値よりも短い場合、送液目標量判定部58は、洗浄ステップの運転モード、液体洗剤の種類、被洗浄物の種類や量、水温、気温などの状況に応じて、送液目標量を決定する。一方、放置時間取得部57により取得された放置時間が、第1の閾値よりも長い場合、送液目標量判定部58は、上記のように決定された通常の送液目標量に、さらに、所定量を追加する。なお、追加量は、放置時間、放置期間の季節、気温、湿度などの状況に応じて、決定される。例えば、放置時間が長いほど、放置期間の気温または湿度が低いほど、液体洗剤38の増粘の程度が高いと考えられる。そこで、上記状況の場合、送液目標量判定部58は、液体洗剤38の追加量を多くするように決定する。なお、上記第1の閾値は、例えば、3か月程度である。
【0131】
送液制御部55は、送液目標量判定部58により決定された送液目標量の液体洗剤を送液するために、洗剤ポンプ16を制御する。具体的には、送液制御部55は、送液目標量に応じて、洗剤ポンプ16の駆動時間、駆動回数、駆動電圧を決定し、洗剤ポンプ16を制御する。
【0132】
なお、上記第1の閾値よりも、さらに長い時間、液体洗剤が使用されずに放置された場合、送液目標量判定部58が、液体洗剤38の送液目標量を通常よりも増量する期間は、経過時間直後の1回だけでも、経過時間後、所定回数実行する期間でもよい。さらに、増量する期間は、洗剤タンク30に貯留されていた液体洗剤が、使用されて洗剤タンク30が、概ね、ほぼ空になった状態が検知されるまででもよい。つまり、放置時間に応じて、上記のいずれの期間を採用するかを決定すればよい。例えば、放置時間が比較的短い場合、液体洗剤38を、1回、送液する。これにより、流路に残っていた増粘した液体洗剤38が、洗浄槽1に流れ出ることが期待される。この場合、送液目標量判定部58は、直後の1回だけ送液目標量を増量するように決定してもよい。一方、放置時間が比較的長い場合、流路に残っていた増粘した液体洗剤が洗浄槽1に流れ出るまでに、数回の送液が必要と考えられる。この場合、送液目標量判定部58は、直後の所定回数にわたって送液目標量を増量するように決定してもよい。放置時間がさらに長かった場合、洗剤タンク30に残っていた液体洗剤も、さらに増粘していると考えられる。この場合、送液目標量判定部58は、洗剤タンク30に残っていた液体洗剤が、概ね、使用されるまで、送液目標量を増量するように決定してもよい。このとき、洗剤タンク30に残っていた液体洗剤が、概ね、使用されたことは、液位判定部53により判定された液体洗剤の液位に基づいて、判定すればよい。
【0133】
送液目標量判定部58は、さらに、液体洗剤38が洗剤タンク30に貯留されてからの経過時間に基づいて、送液目標量を決定してもよい。つまり、液体洗剤38が洗剤タンク30に貯留されてからの経過時間が所定の閾値(第1の閾値に相当)よりも長い場合、送液目標量判定部58は、洗剤タンク30に貯留されている液体洗剤38の増粘による送液量の低下を補うために、送液目標量の増量を決定してもよい。この場合、液位判定部53により洗剤タンク30に貯留された液体洗剤の液位が満量になったと判定されたときの時刻が、メモリ59に記録される。そして、送液目標量判定部58は、メモリ59に記録された時刻を参照して、経過時間を算出してもよい。
【0134】
送液目標量判定部58は、さらに、液位判定部53により判定された液体洗剤38の液位に基づいて、送液目標量を決定してもよい。具体的には、送液目標量判定部58は、第1の時点、例えば液位判定部53により判定された液体洗剤の液位が満量である時点から第2の時点までの送液目標量の累計を、第1の時点において液位判定部53により判定された液位から差し引いた目標液位を算出する。そして、送液目標量判定部58は、第2の時点において、液位判定部53により判定された実液位を算出する。このとき、送液目標量判定部58は、算出した目標液位と実液位との差が、所定値よりも大きい場合、現実に送液された液体洗剤38の量が、送液目標量から大きく外れていると判定する。つまり、送液目標量判定部58は、目標液位と実液位との差に応じて、送液目標量を調整してもよい。なお、上記所定値は、2g程度である。例えば、目標液位が実液位よりも所定値以上高い場合、送液目標量を増量してもよい。なお、目標液位と実液位との差を算出するための送液目標量は、送液目標量判定部58により増量される前の値でもよい。
【0135】
送液制御部55は、放置時間取得部57により取得された放置時間が第2の閾値よりも長い場合、または、液体洗剤38が洗剤タンク30に貯留されてからの経過時間が所定の閾値よりも長い場合、洗剤タンク30に貯留されている液体洗剤を廃棄するように制御してもよい。この場合、送液制御部55は、洗剤タンク30に貯留されている全ての液体洗剤を、洗浄槽1に送液した後、洗浄槽1内に水を供給して、供給された水とともに、液体洗剤38を排出する構成としてもよい。このとき、報知部56は、液体洗剤を廃棄する旨を、使用者に報知する構成が好ましい。これにより、洗剤タンク30に長期間貯留され、酸化などにより劣化している可能性がある液体洗剤38を使用して被洗浄物を洗浄することを、未然に防止できる。
【0136】
つぎに、食器洗い機の制御方法の手順について、図20を参照しながら、説明する。
【0137】
図20は、実施の形態に係る食器洗い機の制御方法の手順を示すフローチャートである。詳しくは、図20は、食器洗い機において、洗浄ステップが開始される前の洗剤タンク30の装着有無の判断の手順を示すフローチャートである。
【0138】
図20に示すように、制御装置50は、ステップ制御部51により洗浄ステップを開始すると(ステップS10)、まず、検知結果取得部52が、磁気センサ41から検知結果を取得する。そして、洗剤タンク収納判定部54は、取得した検知結果に基づいて、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されているか否かを判定する(ステップS12)。このとき、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されていない場合(ステップS12のN)、報知部56を介して、使用者に、その旨を報知する(ステップS14)。そして、ステップS12に戻り、以降の処理を実行する。
【0139】
一方、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されている場合(ステップS12のY)、ステップ制御部51は、以下、図21に示す、洗浄ステップを実行する(ステップS16)。
【0140】
つぎに、食器洗い機の制御方法の洗浄ステップの前の液体洗剤38を供給するまでの手順について、図21を参照しながら、さらに詳しく、説明する。
【0141】
図21は、実施の形態に係る食器洗い機の制御方法の手順を示すフローチャートである。詳しくは、図21は、食器洗い機において実行される洗浄ステップの前の液体洗剤38を供給するまでの手順を示すフローチャートである。
【0142】
図21に示すように、制御装置50の放置時間取得部57は、まず、前回の送液終了時刻を、メモリ59から読み出し(ステップS20)、放置時間を算出する(ステップS21)。
【0143】
つぎに、算出した放置時間が第2の閾値t2よりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。なお、上記第2の閾値t2は、例えば、6か月程度である。このとき、放置時間が第2の閾値t2よりも大きい場合(ステップS22のY)、送液制御部55は、洗剤タンク30に貯留されている全ての液体洗剤38を、洗浄槽1に送液する(ステップS24)。さらに、送液制御部55は、洗浄槽1内に水を供給して、水とともに、液体洗剤38を排出する(ステップS26)。そして、洗浄ステップをスキップして、処理を終了する。
【0144】
一方、放置時間が第2の閾値t2以下である場合(ステップS22のN)、送液目標量判定部58は、通常の送液目標量を決定する(ステップS28)。
【0145】
つぎに、算出した放置時間が第1の閾値t1よりも大きいか否かを判定する(ステップS28)。なお、第1の閾値t1は、例えば、3か月程度である。このとき、放置時間が第1の閾値t1よりも大きい場合(ステップS30のY)、送液目標量判定部58は、送液目標量を増量し(ステップS32)、ステップS34に移行する。一方、放置時間が第1の閾値t1以下である場合(ステップS30のN)、送液目標量を変更せず、ステップS32をスキップする。
【0146】
つぎに、送液制御部55は、洗剤送液部の例示である洗剤ポンプ16を制御して、増量した送液目標量の液体洗剤38を洗浄槽1に送液する(ステップS34)。そして、送液が終了すると、送液終了時刻を、メモリ59に記録する(ステップS36)。
【0147】
その後、ステップ制御部51は、洗浄ステップを実行する(ステップS38)。
【0148】
以上の前手順を実行後、食器洗い機は、洗浄ステップを実行する。
【0149】
以下、本実施の形態の食器洗い機の別の例に係る洗剤タンク30の構成ついて、図22Aおよび図22Bを参照しながら、説明する。
【0150】
図22Aおよび図22Bは、別の例に係る洗剤タンク30の構成を模式的に示す図である。詳しくは、図22Aは、別の例に係る洗剤タンク30の概略断面図である。図22Bは、別の例に係る洗剤タンク30を出し入れ方向の奥側から見た概略側面図である。
【0151】
図22Aに示すように、洗剤タンク30は、洗剤タンク30の出し入れ方向の奥側の側面の最下端に設けられる、洗剤吐出口71を備える。洗剤吐出口71は、略円筒状(円筒状を含む)の形状で形成され、内部の空洞に異物捕捉部70が挿入される。異物捕捉部70は、洗剤タンク30内に混入した異物を捕捉する。
【0152】
異物捕捉部70と洗剤吐出口71の間には、Oリング72が配設される。これにより、異物捕捉部70と洗剤吐出口71との間が、液密に固定される。
【0153】
洗剤タンク30に貯留された液体洗剤38は、異物捕捉部70の内部に形成される流路73(図22B参照)から吐出される。
【0154】
異物捕捉部70は、洗剤タンク30の内側に挿入される端部の外径が、洗剤吐出口71の内側の開口よりも小さく、外側の端部の外径が、洗剤吐出口71の外側の開口よりも大きい径で形成される。これにより、異物捕捉部70は、洗剤タンク30の外側から洗剤吐出口71の内部に着脱自在に挿入される。つまり、異物捕捉部70は、Oリング72による摺動抵抗のみで、洗剤吐出口71に固定される。そのため、図22Aの矢印で示すように、使用者は、洗剤タンク30の内側から外側に向けて異物捕捉部70を押し出すだけで、容易に、異物捕捉部70を、洗剤タンク30から取り外すことができる。また、使用者は、洗剤タンク30の外側から洗剤吐出口71に押し込むだけで、異物捕捉部70を、容易に、洗剤タンク30に取り付けることができる。これにより、使用者は、異物捕捉部70を容易に着脱して、洗剤吐出口71とその周辺を洗い流して洗浄できる。つまり、使用者は、異物捕捉部70により捕捉された異物を、容易に、除去できる。
【0155】
なお、異物捕捉部70の周囲部に凹部または凸部を形成し、洗剤吐出口71にも異物捕捉部70の周囲部の凹部または凸部に嵌合する凸部または凹部を形成してもよい。これにより、使用者が所定の力を加えて引き出さない限り、異物捕捉部70が洗剤タンク30から外れにくくできる。つまり、異物捕捉部70を洗剤タンク30から外れにくくすることにより、使用者が洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40から取り外した際、洗剤タンク30から異物捕捉部70が意図せずに外れて、洗剤タンク30から液体洗剤38が流れ出ることを防止できる。
【0156】
つぎに、上記異物捕捉部70の構成ついて、図23を参照しながら、説明する。
【0157】
図23は、異物捕捉部70の断面を模式的に示す図である。
【0158】
図23に示すように、異物捕捉部70は、略円筒状(円筒状を含む)の形状を有するカバー76と、カバー76の端部に接続される絞り部74と、カバー76の内部の空洞内に配設される弁体80を備える。
【0159】
カバー76は、カバー76の長手方向の中央部近傍に形成される、溝部78を有する。溝部78の外側には、上述したOリング72(図22A参照)が配設される。
【0160】
絞り部74は、カバー76との接続部付近に形成される、絞り部開口75を備える。一方、カバー76は、絞り部74との接続部付近に形成される、カバー開口77を備える。
【0161】
そして、洗剤タンク30に貯留された液体洗剤38は、絞り部開口75およびカバー開口77を介して、カバー76の内部の流路73に流入する。
【0162】
また、弁体80は、シール部材82を備え、通常、付勢ばね81によって、図23中の左方向に付勢されている。これにより、弁体80は、シール部材82を介して、溝部78の内側に押し付けられる。その結果、弁体80とカバー76との間が、シール部材82によって、液密にシールされる。そのため、液体洗剤38の、異物捕捉部70の流路73への流出が防止される。
【0163】
つぎに、上記異物捕捉部70の動作ついて、図24Aから図24Dを参照しながら、説明する。
【0164】
図24Aから図24Dは、異物捕捉部70が洗剤吐出口71に取り付けられた状態を模式的に示す図である。詳しくは、図24Aは、異物捕捉部70が洗剤吐出口に取り付けられたときの断面を示す。図24Bは、図24Aの矩形部分の一部拡大図である。図24Cは、異物捕捉部70を洗剤タンク30の内部から見た側面図である。図24Dは、異物捕捉部70の絞り部74の別の例の側面図である。なお、図24Aから図24Dは、弁体80が開かれた状態で図示しているが、弁体80の開閉については、後述する。
【0165】
図24Bに示すように、異物捕捉部70は、洗剤吐出口71に取り付けられたとき、異物捕捉部70の本体の外側と、洗剤吐出口71の内側開口との間の間隙dが、絞り部開口75から洗浄槽1に至る液体洗剤38の流路の内径よりも小さくなるように構成される。上記液体洗剤の流路は、カバー開口77、弁体80が開いたときの弁体80とカバー76との間の流路、流路73、洗剤吐出口71の外側の開口、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路43、洗剤ポンプ16内の流路、洗浄槽側洗剤吐出経路18、および洗浄槽洗剤吐出口17を含む。
【0166】
このとき、洗剤送液部の例示である洗剤ポンプ16により、洗剤タンク30から洗浄槽1に液体洗剤38が送液されるとき、洗剤タンク30にある間隙dよりも大きい異物は、間隙dを通過することができないので、洗剤タンク30内に留まる。一方、間隙dよりも小さく、間隙dを通過可能な異物は、上記流路の途中で詰まることなく、洗浄槽1まで流れる。これにより、洗剤吐出口71から洗浄槽1に至る液体洗剤38の流路への、異物の詰まりを防止できる。そして、間隙dを通過せずに洗剤タンク30内に留まった異物は、異物捕捉部70を取り外すことにより、容易に、洗い流して除去できる。
【0167】
つまり、図24Cに示すように、液体洗剤38は、絞り部74の外周に形成される同心円環状の間隙dのみから異物捕捉部70の内部に流入し、洗剤タンク30の洗剤吐出口71から吐出される。そのため、間隙dは、上述したように、洗剤タンク30にある異物を捕捉するための異物捕捉用流路として機能する。
【0168】
また、図24Dに示すように、異物捕捉部70が、間隙dに加えて、絞り部74に設けられる孔83を、さらに有する構成としてもよい。これにより、液体洗剤38は、孔83からも異物捕捉部70の内部に流入できる。このとき、孔83の径は、洗剤吐出口71から洗浄槽1に至る液体洗剤の流路の径よりも小さくなるように形成される。そのため、孔83も、上記間隙dと同様に、異物捕捉用流路として機能する。つまり、孔83よりも大きい異物は、孔83を通過できないので、洗剤タンク30内に留まる。一方、孔83よりも小さく、孔83を通過可能な異物は、流路に詰まることなく、洗浄槽1まで流れる。これにより、洗剤吐出口71から洗浄槽1に至る液体洗剤38の流路への、異物の詰まりを防止できる。そして、孔83を通過せずに孔83の周辺に付着した異物は、異物捕捉部70を取り外して洗うことにより、容易に、除去できる。
【0169】
上述したように、異物捕捉部70に孔83を、さらに設けることにより、液体洗剤38の流路断面積を増加させることができる。これにより、圧力損失を低減させて、洗剤ポンプ16により液体洗剤38が吸い出されるときに生じる負圧を低減できる。また、孔83により、液体洗剤38が通過可能な部分が増加する。そのため、孔83の一部が、異物によって塞がれたとしても、詰まりの影響を低減できる。その結果、液体洗剤38の送液性能および信頼性を良好に維持できる。
【0170】
つぎに、上記異物捕捉部70の他の構成ついて、図25Aを参照しながら、説明する。
【0171】
図25Aは、異物捕捉部70の断面を模式的に示す他の図である。
【0172】
図25Aに示すように、異物捕捉部70は、略円筒状(円筒状を含む)の形状を有するカバー76と、カバー76の端部に接続される絞り部74と、カバー76の内部の空洞内に配設される弁体80を備える。
【0173】
カバー76は、カバー76の長手方向の中央部近傍に形成される、溝部78を有する。溝部78の外側には、上述したOリング72(図22A参照)が配設される。
【0174】
絞り部74は、カバー76との接続部付近に形成される、一方、カバー76は、絞り部74との接続部付近に形成される、カバー開口77を備える。
【0175】
絞り部74の側面74aおよび周囲面74bには、長孔84が複数形成される。長孔84の寸法の例示としては、0.3mm程度×0.8mm程度の大きさとすればよい。
【0176】
そして、洗剤タンク30に貯留された液体洗剤38は、長孔84およびカバー開口77を介して、カバー76の内部の流路73に流入する。
【0177】
また、弁体80は、シール部材82を備え、通常、付勢ばね81によって、図25A中の左方向に付勢されている。これにより、弁体80は、シール部材82を介して、溝部78の内側に押し付けられる。その結果、弁体80とカバー76との間が、シール部材82によって、液密にシールされる。そのため、液体洗剤38の、異物捕捉部70の流路73への流出が防止される。
【0178】
つぎに、上記異物捕捉部70の動作ついて、図25Bを参照しながら、説明する。
【0179】
図25Bは、異物捕捉部70の絞り部74の他の例の側面図である。
【0180】
図25Bに示すように、異物捕捉部70は、洗剤吐出口71に取り付けられたとき、異物捕捉部70の本体の外側と、洗剤吐出口71の内側開口との間の間隙dが、長孔84の最大寸法(0.8mm程度)よりも小さくなるように構成される。上記液体洗剤の流路は、カバー開口77、弁体80が開いたときの弁体80とカバー76との間の流路、流路73、洗剤吐出口71の外側の開口、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路43、洗剤ポンプ16内の流路、洗浄槽側洗剤吐出経路18、および洗浄槽洗剤吐出口17を含む。
【0181】
このとき、洗剤送液部の例示である洗剤ポンプ16により、洗剤タンク30から洗浄槽1に液体洗剤38が送液されるとき、洗剤タンク30にある間隙dよりも大きい異物は、間隙dを通過することができないので、洗剤タンク30内に留まる。一方、間隙dよりも小さく、間隙dを通過可能な異物は、上記流路の途中で詰まることなく、洗浄槽1まで流れる。これにより、洗剤吐出口71から洗浄槽1に至る液体洗剤38の流路への、異物の詰まりを防止できる。そして、間隙dを通過せずに洗剤タンク30内に留まった異物は、異物捕捉部70を取り外すことにより、容易に、洗い流して除去できる。
【0182】
つまり、図25Bに示すように、液体洗剤38は、絞り部74の外周に形成される同心円環状の間隙dのみから異物捕捉部70の内部に流入し、洗剤タンク30の洗剤吐出口71から吐出される。そのため、間隙dは、上述したように、洗剤タンク30にある異物を捕捉するための異物捕捉用流路として機能する。
【0183】
また、異物捕捉部70が、間隙dに加えて、絞り部74に設けられる長孔84を、さらに有する構成としてもよい。これにより、液体洗剤38は、複数の長孔84から異物捕捉部70の内部に流入できる。このとき、長孔84の最大寸法は、洗剤吐出口71から洗浄槽1に至る液体洗剤の流路の径よりも小さくなるように形成される。そのため、長孔84は、上記間隙dと同様に、異物捕捉用流路として機能する。つまり、長孔84よりも大きい異物は、長孔84を通過できないので、洗剤タンク30内に留まる。一方、長孔84よりも小さく、長孔84を通過可能な異物は、流路に詰まることなく、洗浄槽1まで流れる。これにより、洗剤吐出口71から洗浄槽1に至る液体洗剤38の流路への、異物の詰まりを防止できる。そして、長孔84を通過せずに長孔84の周辺に付着した異物は、異物捕捉部70を取り外して洗うことにより、容易に、除去できる。
【0184】
上述したように、異物捕捉部70に長孔84を、さらに設けることにより、図24Dの孔83と比較しても、液体洗剤38の流路断面積を増加させることができる。これにより、圧力損失を低減させて、洗剤ポンプ16により液体洗剤38が吸い出されるときに生じる負圧を低減できる。また、長孔84により、液体洗剤38が通過可能な部分が増加する。そのため、長孔84の一部が、異物によって塞がれたとしても、詰まりの影響を低減できる。その結果、液体洗剤38の送液性能および信頼性を良好に維持できる。
【0185】
また、長孔84は、典型的な異物の形状である粒状の異物(例えば、直径0.4mm程度の異物)で長孔84の一部が塞がれたとしても、長孔84のすべてが塞がれないので、詰まりの影響を低減できる。
【0186】
つぎに、上記異物捕捉部70のさらに他の構成ついて、図26を参照しながら、説明する。図26は、異物捕捉部70の絞り部74の別の例の側面図である。
【0187】
図26に示すように、他の構成の異物捕捉部70は、周囲部に形成される凸部85を備える。一方、洗剤吐出口71は、異物捕捉部70の周囲部の凸部に嵌合するように形成される凹部86を備える。なお、他の構成の異物捕捉部70の、その他の構成は、図24D図25Bと同様である。そして、異物捕捉部70の周囲部の凸部85と、洗剤吐出口71の凹部86とが嵌合するように構成される。これにより、使用者が所定の力を加えて引き出さない限り、異物捕捉部70が洗剤タンク30から外れにくくできる。つまり、異物捕捉部70を洗剤タンク30から外れにくくすることにより、使用者が洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40から取り外した際、洗剤タンク30から異物捕捉部70が意図せずに外れて、洗剤タンク30から液体洗剤38が流れ出ることを防止できる。
【0188】
つぎに、別の例に係る洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40に収納したときの状態について、図27を参照しながら、説明する。
【0189】
図27は、別の例に係る洗剤タンク30を洗剤タンク収納部40に収納したときの断面を模式的に示す図である。
【0190】
図27に示すように、洗剤タンク収納部40は、洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路43を構成するエルボ44を有する。エルボ44は、洗剤タンク30側の先端部に設けられる、リブ45を有する。
【0191】
リブ45は、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40に収納されると、異物捕捉部70の流路73内に挿入されて、弁体80を押し込む。これにより、弁体80により閉塞されている流路が開かれ、液体洗剤38が流路73に流入可能となる。
【0192】
一方、洗剤タンク30が洗剤タンク収納部40から取り外されている間は、弁体80は、付勢ばね81によって溝部78に押し付けられ、弁体80とカバー76との間の流路が閉じられる。そのため、洗剤タンク30の内部に貯留されている液体洗剤38の洗剤吐出口71からの漏れ出しを防止できる。
【0193】
なお、上記実施の形態では、異物捕捉部70が、異物を捕捉するための異物捕捉用流路(間隙d、孔83、長孔84)を有する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、異物捕捉部70は、異物を捕捉するためのフィルターなどを備えてもよい。この場合、異物捕捉部70は、上記と同様に、洗剤タンク30の外側方向に取り外し可能に設けられる構成が好ましい。これにより、使用者は、フィルターを容易に取り外して、異物を除去できる。
【0194】
以上、本開示を、実施の形態における実施例をもとに説明した。この実施例は例示で、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能である。また、そうした変形例も、本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0195】
つまり、上記実施の形態では、上方に開口部を有する洗浄槽1が、前方に前方開口部を有する筐体2から前後に出し入れ可能に設けられる構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、洗浄槽1の開閉扉を、洗浄槽1の上方に設ける構成としてもよい。この構成の場合、洗浄槽1は、筐体2から前後に出し入れ可能に設けられる構成でも、また、筐体2の内部に固定的に収納される構成でもよい。
【0196】
また、上記実施の形態では、食器洗い機がシステムキッチンの内部に収納される構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、食器洗い機は、独立した装置でもよい。
【0197】
また、上記実施の形態では、食器などの被洗浄物を洗浄するための食器洗い機を例に説明したが、本開示の技術は、衣類などを洗浄するための洗濯機や、その他の被洗浄物を洗浄するための洗浄装置などにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明は、被洗浄物を洗浄するための洗浄装置などに利用可能である。
【符号の説明】
【0199】
1 洗浄槽
1a 開口部
2 筐体
3 扉体
4 取手
5 第1のレール
6 第2のレール
8 食器類
9 循環ポンプ
10 ヒータ
11 洗浄ノズル
12 側壁
13 前方空間部
14 洗剤タンク収納部
14a 洗剤タンク収納部洗剤吐出口
14b 洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路
14c,86 凹部
15 洗剤タンク
15a 透明部
15c 洗剤タンク洗剤吐出口
15d 洗剤タンク洗剤吸引経路
15e 蓋部
15f,85 凸部
16 洗剤ポンプ(洗剤送液部)
17 洗浄槽洗剤吐出口
18 洗浄槽側洗剤吐出経路
19 制御装置
23 平面部
24 操作部
25 表示部
30 洗剤タンク
31 カバー
32 回動軸
33 アーム
33a 嵌合部
33b 切欠部
34 フロート(浮遊体)
35 磁性体
36 内底面
37 洗剤吐出口
38 液体洗剤
39 大気開放口
39a 突出部
39b 切欠
40 洗剤タンク収納部
41 磁気センサ(検知部)
42 洗剤受入口
43 洗剤タンク収納部側洗剤吐出経路
44 エルボ
45 リブ
50 制御装置
51 ステップ制御部
52 検知結果取得部
53 液位判定部
54 洗剤タンク収納判定部
55 送液制御部
56 報知部
57 放置時間取得部
58 送液目標量判定部
59 メモリ
70 異物捕捉部
71 洗剤吐出口
72 Oリング
73 流路
74 絞り部
74a 側面
74b 周囲面
75 絞り部開口
76 カバー
77 カバー開口
78 溝部
80 弁体
81 付勢ばね
82 シール部材
83 孔
84 長孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図25A
図25B
図26
図27