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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】電気錠システム、及び、制御方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20240712BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
E05B47/00 H
E05B49/00 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020198557
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086507
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 尚典
(72)【発明者】
【氏名】内藤 亮治
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-255477(JP,A)
【文献】特開2012-127096(JP,A)
【文献】特開2002-256745(JP,A)
【文献】特開2019-94727(JP,A)
【文献】特開2008-267068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 47/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠を駆動するための電力を供給する電池の残量が低下したことの通知を第一タイミングに開始する通知部と、
無線通信部と、
前記電池の使用開始タイミングから、前記第一タイミングよりも後の第二タイミングまでの間、第一操作を要件として休止状態の前記無線通信部を起動し、起動した前記無線通信部が認証媒体から所定の認証情報を受信した場合に前記電気錠を施錠または解錠し、前記第二タイミング以降は、前記第一操作と異なる第二操作を要件として休止状態の前記無線通信部を起動し、起動した前記無線通信部が前記認証媒体から前記所定の認証情報を受信した場合に前記電気錠を施錠または解錠する制御部とを備える
電気錠システム。
【請求項2】
さらに、前記電池の残量と、前記電気錠の施錠及び解錠の回数とを取得する取得部を備え、
前記第一タイミングは、取得された前記電池の残量が所定残量に達したタイミングであり、
前記第二タイミングは、取得された前記電気錠の施錠及び解錠の回数が前記第一タイミングを起点として所定回数に達したタイミングである
請求項1に記載の電気錠システム。
【請求項3】
さらに、前記電池の残量を取得する取得部を備え、
前記第一タイミングは、取得された前記電池の残量が第一所定残量に達したタイミングであり、
前記第二タイミングは、取得された前記電池の残量が前記第一所定残量よりも少ない第二所定残量に達したタイミングである
請求項1に記載の電気錠システム。
【請求項4】
前記第二操作は、前記第一操作よりも操作時間が長い操作である
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気錠システム。
【請求項5】
前記第二操作は、前記第一操作よりも操作回数が多い操作である
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気錠システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第二タイミングから前記第二タイミングよりも後の第三タイミングまでの間、前記第二操作を要件として前記電気錠を施錠または解錠し、
前記第三タイミング以降は、前記第一操作及び前記第二操作と異なる第三操作を要件として前記電気錠を施錠または解錠する
請求項1~5のいずれか1項に記載の電気錠システム。
【請求項7】
前記通知部は、前記第一タイミングから第二タイミングの間は第一態様の前記通知を行い、前記第二タイミング以降は、前記第一態様と異なる第二態様の前記通知を行う
請求項1~6のいずれか1項に記載の電気錠システム。
【請求項8】
前記通知部は、前記第二タイミング以降の、前記電池の残量が前記電気錠を駆動できない残量に達したタイミングに、前記第一態様及び前記第二態様と異なる第三態様で前記通知を行う
請求項7に記載の電気錠システム。
【請求項9】
電気錠を駆動するための電力を供給する電池の残量が低下したことの通知を第一タイミングに開始する通知ステップと、
前記電池の使用開始タイミングから、前記第一タイミングよりも後の第二タイミングまでの間、第一操作を要件として休止状態の無線通信部を起動し、起動した前記無線通信部が認証媒体から所定の認証情報を受信した場合に前記電気錠を施錠または解錠し、前記第二タイミング以降は、前記第一操作と異なる第二操作を要件として休止状態の前記無線通信部を起動し、起動した前記無線通信部が前記認証媒体から前記所定の認証情報を受信した場合に前記電気錠を施錠または解錠する制御ステップとを含
制御方法。
【請求項10】
請求項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠システム、及び、電気錠の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設のドアを施錠または解錠するための電気錠システムが知られている。特許文献1には、屋外から意図に反して解錠されにくい電気錠システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-056503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気錠システムのなかには、電池を電源として動作するものがある。このような電気錠システムにおいては、電池切れにより施錠及び解錠が不可能になってしまうことを抑制することが課題となる。
【0005】
本発明は、電池の残量が低下したときにユーザに電池の交換を促すことができる電気錠システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電気錠システムは、電気錠を駆動するための電力を供給する電池の残量が低下したことの通知を第一タイミングに開始する通知部と、前記電池の使用開始タイミングから、前記第一タイミングよりも後の第二タイミングまでの間、第一操作を要件として前記電気錠を施錠または解錠し、前記第二タイミング以降は、前記第一操作と異なる第二操作を要件として前記電気錠を施錠または解錠する制御部とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る制御方法は、電気錠を駆動するための電力を供給する電池の残量が低下したことの通知を第一タイミングに開始する通知ステップと、前記電池の使用開始タイミングから、前記第一タイミングよりも後の第二タイミングまでの間、第一操作を要件として前記電気錠を施錠または解錠し、前記第二タイミング以降は、前記第一操作と異なる第二操作を要件として前記電気錠を施錠または解錠する制御ステップとを含む。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る電気錠システム等は、電池の残量が低下したときにユーザに電池の交換を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る電気錠システムの外観図である。
図2図2は、実施の形態に係る電気錠システムの機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る電気錠システムの基本動作のフローチャートである。
図4図4は、実施の形態に係る電気錠システムの動作例1を説明するための図である。
図5図5は、実施の形態に係る電気錠システムの動作例2を説明するための図である。
図6図6は、実施の形態に係る電気錠システムの動作例3を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る電気錠システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る電気錠システムの外観図である。図2は、実施の形態に係る電気錠システムの機能構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示されるように、実施の形態に係る電気錠システム10は、既存のドア30(図1の(a))に取り付けられる、後付け型のシステム(装置)である(図1の(b))。電気錠システム10は、電池17を電源として動作するため、配線工事が不要であり安価に導入することができる。なお、ドア30は、例えば、施設内外を行き来するための出入り口に設けられたドアであり、より具体的には、戸建住宅の玄関ドア、または、集合住宅の専有部の玄関ドアなどである。ドア30は、施設内に設けられたドア(部屋の出入り口に設けられたドアなど)であってもよい。
【0015】
図1及び図2に示されるように、電気錠システム10は、操作受付部11と、無線通信部12と、情報処理部13と、記憶部14と、駆動部15と、電気錠16と、電池17と、計測部18と、発光部19とを備える。これらの構成要素のそれぞれは、ドア30の室内側に取り付けられる筐体10aまたはドア30の室外側に取り付けられる筐体10bのいずれかに収容される。また、図2には、認証媒体20も図示されている。
【0016】
操作受付部11は、ドア30の室外側に位置し、ユーザの操作を受け付ける。操作受付部11は、例えば、押しボタンによって実現されるが、タッチパネル等によって実現されてもよい。操作受付部11によって操作が受け付けられると、休止状態(低消費電力状態)の無線通信部12が起動する。
【0017】
無線通信部12は、電気錠システム10が認証媒体20と近距離無線通信(局所通信ネットワークを用いた無線通信)を行うための通信モジュール(通信回路)である。無線通信部12は、例えば、認証媒体20から認証情報を受信する。無線通信部12は、具体的には、RFID(Radio Frequency IDentification)リーダなどの近距離無線通信に対応する通信モジュールであるが、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)などの通信規格に対応する通信モジュールであってもよい。
【0018】
情報処理部13は、無線通信部12によって登録情報と一致する認証情報(所定の認証情報とも記載される)が受信された場合に、電気錠16を駆動(施錠または解錠)する。情報処理部13は、具体的には、制御信号を駆動部15に出力することにより、駆動部15を介して電気錠16を駆動する。情報処理部13は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0019】
情報処理部13は、機能的な構成要素として、取得部13a、制御部13b、及び、通知部13cを有する。取得部13a、制御部13b、及び、通知部13cの機能は、例えば、情報処理部13を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部14に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。取得部13a、制御部13b、及び、通知部13cのそれぞれの詳細な機能については後述する。
【0020】
記憶部14は、認証情報の照合に用いられる登録情報、及び、情報処理部13が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部14は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0021】
駆動部15は、電気錠16を駆動するための駆動回路である。駆動部15は、具体的には、情報処理部13から出力される制御信号に基づいて電気錠16に電池17の電力を供給し、電気錠16を駆動する。
【0022】
電気錠16は、電動モータと、電動モータの駆動力をドア30のデッドボルトに伝達する伝達機構とを有する。電動モータは、電池17から駆動部15を介して供給される電力により駆動し、電動モータの駆動力が伝達機構を介してデッドボルトに伝達されることによって、デッドボルトが施錠位置または解錠位置に移動する。
【0023】
電池17は、電気錠システム10の電源であり、無線通信部12、情報処理部13、記憶部14、駆動部15、電気錠16、計測部18等に電力を供給する。電池17は、例えば、電気錠16を駆動するための電力を供給する。電池17は、具体的には、乾電池などの一次電池であるが、二次電池であってもよい。電池17は、室内側の筐体10a及び室外側の筐体10bの少なくとも一方に設けられた電池収容部(電池ボックス)に収容される。
【0024】
計測部18は、電池17の残量を計測する回路(例えば、集積回路)である。計測部18は、例えば、電池17の両端の電圧を計測することで電池17の残量を計測する電圧計測方式の回路であるが、クーロン・カウンタ方式など他の方式の回路であってもよい。
【0025】
発光部19は、電池17の残量が低下したことをユーザに通知するために発光する。発光部19は、例えば、ドア30の室外側に位置するが、ドア30の室内側に位置してもよい。発光部19は、ドア30の室外側、及び、室内側のそれぞれに位置してもよい。発光部19が発光していることは、室外側の筐体10b(または室内側の筐体10a)の外側から視認可能である。発光部19は、LED(Light Emitting Diode)または有機EL(Electro Luminescence)などの発光素子によって実現される。
【0026】
認証媒体20は、ユーザが電気錠16を施錠または解錠するために所持するメディアである。認証媒体20は、無線通信部12と近距離無線通信を行い、無線通信部12に認証情報を送信する。認証媒体20は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末であるが、IC(Integrated Circuit)カードまたはICチップを有するその他の媒体であってもよい。
【0027】
[基本動作]
次に、電気錠システム10の基本動作について説明する。図3は、電気錠システム10の基本動作のフローチャートである。以下の基本動作は、施錠状態のドア30を室外側から解錠するときの動作であるが、解錠状態のドア30を室外側から施錠する場合も同様の動作となる。このため、下記の基本動作の説明における「解錠」は、「施錠」に読み替えられてもよい。なお、ドア30を室内側から施錠または解錠する場合には、室内側の筐体10aに設けられたサムターン10c(図1の(b)に図示)が手動で操作される。
【0028】
まず、ユーザは、操作受付部11を1回押下する第一操作を行う。操作受付部11は、第一操作を受け付ける(S11)。制御部13bは、操作受付部11によって第一操作が受け付けられると、休止状態の無線通信部12を起動し(S12)、無線通信部12に認証媒体20との通信(より詳細には、近距離無線通信)を試行させる(S13)。
【0029】
無線通信部12は、通信の試行により認証媒体20と通信が可能な状態になると、認証媒体20から認証媒体20に記録された認証情報を受信する(S14)。制御部13bは、受信された認証情報が記憶部14に記憶された登録情報と一致するか否かを判定する(S15)。登録情報は、例えば、ユーザによってあらかじめ記憶部14に記憶(登録)される。
【0030】
制御部13bは、認証情報が登録情報と一致すると判定すると(S15でYes)、電気錠16(ドア30)を解錠する(S16)。制御部13bは、具体的には、制御信号を駆動部15に出力することで、電気錠16が解錠状態となるように、電気錠16(電動モータ)を駆動する。一方、制御部13bは、認証情報が登録情報と一致しないと判定すると(S15でNo)、電気錠16(ドア30)を解錠しない。
【0031】
[動作例1]
ところで、電気錠システム10は電池17を電源として動作するため、電池17の残量が少なくなり過ぎると、室外側から電気錠16を施錠及び解錠できない、いわゆる電池切れの状態に陥ってしまう。そこで、電気錠システム10においては、電池切れとなる前にユーザに電池17の交換を促す仕組みが導入されている。図4は、このような電気錠システム10の動作例1を説明するための図である。
【0032】
電気錠システム10に新しい電池17が投入された使用開始タイミングからしばらくの間は、上記基本動作が行われる。つまり、制御部13bは、第一操作を要件として電気錠16を施錠または解錠する。このとき、発光部19は、消灯状態である。
【0033】
この間、取得部13aは、計測部18によって計測された電池17の残量を定期的に取得(モニタ)する。電池17の残量が低下し、取得部13aによって取得された電池17の残量が所定残量に達すると、通知部13cは、発光部19を点灯する。
【0034】
図4に示される第一タイミングは、電池17の残量が所定残量に達したタイミングである。つまり、通知部13cは、電池17の残量が低下したことの通知(発光部19の発光)を第一タイミングに開始する。発光部19は、第一タイミング以降、電池17が交換されるか、電池切れが起こるまで発光し続ける。
【0035】
これにより、通知部13cは、電池17の残量が低下し電池17の交換が必要であることをユーザに通知することができる。なお、電池17の使用開始から第一タイミングまでの期間の長さは、例えば、2年程度である。所定残量については、経験的または実験的に適宜定められればよい。
【0036】
ここで、このような発光部19の発光による通知を行っても電池17が交換されない可能性がある。そこで、第一タイミング以降、取得部13aは、電気錠16の施錠及び解錠の回数(言い換えれば、駆動回数)を取得(計数)する。電池17が交換されないまま、電気錠16の施錠及び解錠の回数の累計が、第一タイミングを起点として(つまり、第一タイミングにおける回数を0回として)所定回数に達すると、制御部13bは、第一操作に代えて第一操作と異なる第二操作を要件として電気錠16を施錠または解錠する。
【0037】
図4に示される第二タイミングは、電気錠16の施錠及び解錠の回数が第一タイミングを起点として所定回数に達したタイミングである。第二操作は、例えば、操作受付部11の長押し操作である。つまり、第二操作は、第一操作よりも操作時間が長い操作である。所定回数は、例えば、100回程度であるが、経験的または実験的に適宜定められればよい。
【0038】
上述のように、基本動作においては第一操作(通常の1回押し)が受け付けられたことで無線通信部12が起動されたが、第二タイミング以降は、第一操作が受け付けられても無線通信部12は起動しない。つまり、ユーザは第一操作を行っても電気錠16を施錠及び解錠することができない。
【0039】
そうすると、ユーザは、コールセンター等に連絡し、電気錠16が施錠及び解錠できないもことをオペレータに伝えると考えられる。ここでオペレータは、電池17の交換が必要であることと、第二操作(操作受付部11の長押し)を行えば、当面は電気錠16の施錠及び解錠が可能であることをユーザに返答する。
【0040】
このように、電気錠システム10は、電気錠16を施錠または解錠するための操作に関する要件を変更することでユーザに電池17の交換を強く促すとともに、電池切れが起こるまでの間、第二操作によって暫定的に電気錠16を施錠及び解錠することを許容することができる。なお、ここでの操作に関する要件とは、同じ操作受付部11(例えば、同じ押しボタン)に対してユーザが行う手動操作の要件を意味する。
【0041】
第二操作が簡単な操作である場合、ユーザが第二操作による電気錠16の施錠及び解錠に慣れてしまい、第二操作による電気錠16の施錠及び解錠を継続し、電池切れが起きてしまう可能性がある。第二操作は、ユーザが第二操作を面倒だと感じて電池17を新しいものに交換するように、第一操作よりも煩雑な操作であるとよい。上述のように、第二操作は、例えば、第一操作よりも操作時間が長い操作であるが、第一操作よりも操作回数が多い操作(2回以上の連続押しなど)であってもよい。
【0042】
なお、第二操作は、操作受付部11以外の操作受付部への操作であってもよい。例えば、第二タイミング以降は、操作受付部11への第一操作では電気錠16を施錠及び解錠できなくなり、認証媒体20(この場合、専用のアプリケーションプログラムがインストールされた携帯端末など)が備える操作受付部(タッチパネル等)への第二操作が電気錠16の施錠及び解錠の要件とされてもよい。つまり、第一操作及び第二操作が異なることには、第一操作及び第二操作の各操作を受け付ける操作受付部が異なることも含まれる。
【0043】
[動作例2]
動作例1においては、発光部19は、第一タイミングに発光を開始し、第一タイミング以降は、電池17が交換されるか、電池切れが起こるまで同じ態様で発光し続けた。しかしながら、発光部19の発光態様は、第二タイミングにおいて変更されてもよい。図5は、このような電気錠システム10の動作例2を説明するための図である。以下の動作例2の説明においては動作例1との相違点を中心に説明が行われる。
【0044】
図5に示されるように、動作例2において、通知部13cは、第一タイミングから第二タイミングの間は、発光部19を第一態様で発光させる。つまり、通知部13cは、第一タイミングから第二タイミングの間は第一態様の通知を行う。また、通知部13cは、第二タイミング以降は、発光部19を第二態様で発光させる。つまり、通知部13cは、第二タイミング以降は、第一態様と異なる第二態様の通知を行う。
【0045】
第二態様は、例えば、発光色が第一態様と異なる態様であるが、第一態様が定常発光、第二態様が点滅、というように、点滅周期が第一態様と異なる態様であってもよい。第一態様及び第二態様は、発光色、及び、点滅周期などの複数の発光パラメータのうち少なくとも1つの発光パラメータが互いに異なる態様であればよい。
【0046】
このように、電気錠システム10は、第二タイミングで通知の態様を変更することで、電池17の残量の低下を段階的にユーザに通知することができる。
【0047】
なお、電池切れの際には、電気錠16の駆動は不可能となるが、発光部19の発光は可能な場合がある。そのような場合、通知部13cは、電池切れのタイミングで発光部19の発光態様を第三態様に変更してもよい。つまり、通知部13cは、第二タイミング以降の、電池17の残量が電気錠16を駆動できない残量に達したタイミングに、第一態様及び第二態様と異なる第三態様で通知を行ってもよい。
【0048】
第三態様は、例えば、発光色が第一態様及び第二態様と異なる態様であるが、点滅周期が第一態様及び第二態様と異なる態様であってよい。第一態様、第二態様、及び、第三態様は、発光色、及び、点滅周期などの複数の発光パラメータのうち少なくとも1つの発光パラメータが互いに異なる態様であればよい。
【0049】
このように、電気錠システム10は、電池切れのタイミングで通知の態様を変更することで、電池切れをユーザに通知することができる。
【0050】
なお、電気錠システム10がスピーカなどの出音部を備える場合、通知部13cは、音による通知を行ってもよい。この場合、通知部13cは、光による通知に代えて音による通知を行ってもよいし、光による通知と、音による通知を併用してもよい。例えば、第一態様の通知が発光部19の発光によって行われ、第二態様の通知が発光部19の発光、及び、出音部からの音の出力によって行われてもよい。
【0051】
[第一タイミング及び第二タイミングの決定方法の変形例]
動作例1及び動作例2では、第一タイミングは、電池17の残量によって決定され、第二タイミングは、電気錠16の施錠及び解錠の回数によって決定されたが、第一タイミング及び第二タイミングの決定方法は、このような方法に限定されない。
【0052】
例えば、第一タイミングは、取得部13aによって取得された、電気錠16の施錠及び解錠の回数によって決定されてもよい。具体的には、第一タイミングは、取得された電気錠16の施錠及び解錠の回数が電池17の使用開始タイミングを起点として(使用開始タイミングにおける回数を0回として)第一所定回数に達したタイミングであってもよい。
【0053】
また、電気錠システム10がリアルタイムクロックなどの計時部を備える場合には、取得部13aは、計時部によって計測される電池17の使用開始タイミングからの経過時間を取得することができる。この場合、第一タイミングは、取得部13aによって取得される経過時間によって決定されてもよい。具体的には、第一タイミングは、取得された経過時間が使用開始タイミングから第一時間に達したタイミングであってもよい。
【0054】
同様に、第二タイミングは、取得部13aによって取得される電池17の残量によって決定されてもよい。具体的には、第二タイミングは、取得された電池17の残量が上記所定残量である第一所定残量よりも少ない第二所定残量に達したタイミングであってもよい。
【0055】
また、第二タイミングは、取得部13aによって取得される経過時間によって決定されてもよい。具体的には、第二タイミングは、取得された経過時間が使用開始タイミングから第一時間よりも長い第二時間に達したタイミングであってもよい。
【0056】
このように、第一タイミング及び第二タイミングのそれぞれは、電池17の残量、電気錠16の施錠及び解錠の回数、及び、経過時間などのいずれかに基づいて決定されればよい。
【0057】
[動作例3]
動作例1及び2においては、制御部13bは、電池17の残量の低下に応じて、電気錠16を施錠または解錠するための操作に関する要件を1回変更したが、2回変更してもよい。図6は、このような電気錠システム10の動作例3を説明するための図である。以下の動作例3の説明においては動作例1及び2との相違点を中心に説明が行われる。
【0058】
図6に示されるように、制御部13bは、電池17の使用開始タイミングから第二タイミングまでの間、第一操作を要件として電気錠16を施錠または解錠する。この点は、動作例1及び2と同様である。制御部13bは、第二タイミングから第三タイミングまでの間、第二操作を要件として電気錠16を施錠または解錠する。第三タイミングは、第二タイミングよりも後のタイミングであり、例えば、電気錠16の施錠及び解錠の回数が第二タイミングを起点として所定回数に達したタイミングである。なお、上記変形例において説明したように、第三タイミングは、電池17の残量に基づいて決定されてもよいし、経過時間に基づいて決定されてもよい。
【0059】
制御部13bは、第三タイミング以降は、第二操作に代えて、第一操作及び第二操作のいずれとも異なる第三操作を要件として電気錠16を施錠または施錠または解錠する。
【0060】
上述のように、第二操作は、ユーザが第二操作を面倒だと感じて電池17を新しいものに交換するように、第一操作よりも煩雑な操作であるとよい。同様の理由で、第三操作は、第二操作よりも煩雑な操作であるとよい。第三操作は、例えば、第二操作よりも操作時間が長い操作であるが、第二操作よりも操作回数が多い操作であってもよい。
【0061】
このような電気錠システム10は、電気錠16を施錠または解錠するための要件となる操作を2回変更することでユーザに電池17の交換をさらに強く促すとともに、電池切れが起こるまでの間、第三操作によって暫定的に電気錠16を施錠及び解錠することを許容することができる。
【0062】
なお、電気錠システム10は、電池17の残量の低下に応じて、電気錠16を施錠または解錠するための要件となる操作を3回以上変更してもよい。また、動作例3において、動作例2と同様の通知態様の変更が行われてもよい。つまり、通知部13cは、第二タイミング、及び、第三タイミングのそれぞれにおいて通知態様(発光部19の発光態様)を変更してもよいし、電池切れのタイミングで通知態様を変更してもよい。
【0063】
[効果等]
以上説明したように、電気錠システム10は、電気錠16を駆動するための電力を供給する電池17の残量が低下したことの通知を第一タイミングに開始する通知部13cと、電池17の使用開始タイミングから、第一タイミングよりも後の第二タイミングまでの間、第一操作を要件として電気錠16を施錠または解錠し、第二タイミング以降は、第一操作と異なる第二操作を要件として電気錠16を施錠または解錠する制御部13bとを備える。
【0064】
このような電気錠システム10は、電池17の残量の低下に応じて電気錠16を施錠または解錠するための操作の要件を変更することで、ユーザに電池17の交換を促しつつ、第二操作により暫定的に電気錠16を施錠または解錠することを許容することができる。
【0065】
また、例えば、電気錠システム10は、さらに、電池17の残量と、電気錠16の施錠及び解錠の回数とを取得する取得部13aを備える。第一タイミングは、取得された電池17の残量が所定残量に達したタイミングであり、第二タイミングは、取得された電気錠16の施錠及び解錠の回数が第一タイミングを起点として所定回数に達したタイミングである。
【0066】
このような電気錠システム10は、電池17の残量が低下したことの通知を行った後に所定回数の電気錠16の施錠または解錠が行われても電池17を交換しないユーザに対して、操作の要件を変更することで電池17の交換を促すことができる。
【0067】
また、例えば、電気錠システム10は、さらに、電池17の残量を取得する取得部13aを備える。第一タイミングは、取得された電池17の残量が第一所定残量に達したタイミングであり、第二タイミングは、取得された電池17の残量が第一所定残量よりも少ない第二所定残量に達したタイミングである。
【0068】
このような電気錠システム10は、電池17の残量が低下したことの通知を行った後にさらに電池17の残量が低下しても電池17を交換しないユーザに対して、操作の要件を変更することで電池17の交換を促すことができる。
【0069】
また、例えば、第二操作は、第一操作よりも操作時間が長い操作である。
【0070】
このような電気錠システム10は、第一操作よりも操作時間が長い第二操作を、電気錠16を施錠または解錠するための要件とすることで、ユーザに電池17の交換を促すことができる。
【0071】
また、例えば、第二操作は、第一操作よりも操作回数が多い操作である。
【0072】
このような電気錠システム10は、第一操作よりも操作回数が多い第二操作を、電気錠16を施錠または解錠するための要件とすることで、ユーザに電池17の交換を促すことができる。
【0073】
また、例えば、制御部13bは、第二タイミングから第二タイミングよりも後の第三タイミングまでの間、第二操作を要件として電気錠16を施錠または解錠し、第三タイミング以降は、第一操作及び第二操作と異なる第三操作を要件として電気錠16を施錠または解錠する。
【0074】
このような電気錠システム10は、電気錠16を施錠または解錠するための操作の要件を変更した後も電池17を交換しないユーザに対して、操作の要件をもう一度変更することで電池17の交換を促すことができる。
【0075】
また、例えば、通知部13cは、第一タイミングから第二タイミングの間は第一態様の通知を行い、第二タイミング以降は、第一態様と異なる第二態様の通知を行う。
【0076】
このような電気錠システム10は、電池17の残量の低下を段階的に通知することができる。
【0077】
また、例えば、通知部13cは、第二タイミング以降の、電池17の残量が電気錠16を駆動できない残量に達したタイミングに、第一態様及び第二態様と異なる第三態様で通知を行う。
【0078】
このような電気錠システム10は、電池切れにより電気錠16を駆動(施錠または解錠)できないことを通知することができる。
【0079】
また、例えば、電気錠システム10は、さらに、無線通信部12を備える。制御部13bは、電池17の使用開始タイミングから第二タイミングまでの間、第一操作を要件として休止状態の無線通信部12を起動し、起動した無線通信部12が認証媒体から所定の認証情報を受信した場合に電気錠16を施錠または解錠する。制御部13bは、第二タイミング以降は、第二操作を要件として休止状態の無線通信部12を起動し、起動した無線通信部12が認証媒体から所定の認証情報を受信した場合に電気錠16を施錠または解錠する。
【0080】
このような電気錠システム10は、無線通信を用いた認証に基づいて、電気錠16を施錠または解錠することができる。
【0081】
また、電気錠システム10などのコンピュータによって実行される電気錠16の制御方法は、例えば、電気錠16を駆動するための電力を供給する電池17の残量が低下したことの通知を第一タイミングに開始する通知ステップと、電池17の使用開始タイミングから、第一タイミングよりも後の第二タイミングまでの間、第一操作を要件として電気錠16を施錠または解錠し、第二タイミング以降は、第一操作と異なる第二操作を要件として電気錠16を施錠または解錠する制御ステップとを含む。
【0082】
このような制御方法は、電池17の残量の低下に応じて電気錠16を施錠または解錠するための操作の要件を変更することで、ユーザに電池17の交換を促しつつ、第二操作により暫定的に電気錠16を施錠または解錠することを許容することができる。
【0083】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0084】
例えば、上記実施の形態では、電気錠システムは、既存のドアに後付けされる態様であるとして説明が行われたが、電気錠システムは、ドアにあらかじめ内蔵される態様であってもよい。また、電気錠は、人が出入りするドアに適用される電気錠に限定されず、宅配ボックスの扉などに適用される電気錠であってもよい。
【0085】
また、上記実施の形態では、電池の残量の低下に応じて室外側から電気錠を施錠及び解錠するときの操作に関する要件が変更されたが、室内側から電気錠を施錠及び解錠するときの要件が変更されてもよい。電気錠システムによっては、室内側に押しボタンなどの操作受付部を有するものがあり、本発明は、このような電気錠システムにも適用できる。
【0086】
また、上記実施の形態では、電池の残量が低下したことの通知は、電気錠システムが発する光または音によって行われたが、認証媒体が携帯端末である場合、携帯端末に表示される通知画面によって行われてもよい。この場合、電気錠システムの通知部は、無線通信部が携帯端末と通信した際に無線通信部に携帯端末へ通知情報を送信させる。通知情報を受信した携帯端末は、表示部に通知画面を表示する。
【0087】
また、上記実施の形態では、電気錠システムは、第一操作等が行われた後に認証媒体から認証情報を取得したが、第一操作等が行われた後に、ユーザからユーザの生体情報を認証情報として取得してもよい。つまり、電気錠システムは、生体認証によって施錠及び解錠されてもよい。この場合の生体情報は、顔画像情報、指紋情報、及び、声紋情報などである。また、電気錠システムの操作受付部がテンキーを含むような場合、電気錠システムは、第一操作等が行われた後にテンキーを有効にし、テンキーに対して入力される暗証番号を認証情報として取得してもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、第一操作等は、電気錠システムを、認証情報を取得可能な待ち受け状態にするための操作であったが、第一操作等は、認証情報を取得した後に行われる確定操作(決定操作)であってもよい。
【0089】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0090】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0091】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0092】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0093】
例えば、本発明は、上記実施の形態の電気錠システムなどのコンピュータが実行する電気錠の制御方法として実現されてもよい。また、本発明は、電気錠の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0094】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
10 電気錠システム
12 無線通信部
13a 取得部
13b 制御部
13c 通知部
16 電気錠
17 電池
20 認証媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6