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特許7519605部品搭載システムおよび部品供給装置ならびに部品供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】部品搭載システムおよび部品供給装置ならびに部品供給方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240712BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20240712BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H05K13/02 A
H05K13/02 E
H05K13/04 A
B23P19/00 302Q
B23P19/00 301G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020165120
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057055
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 優三
(72)【発明者】
【氏名】山本 慎二
(72)【発明者】
【氏名】中野 貴晴
(72)【発明者】
【氏名】桜井 浩二
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-242689(JP,A)
【文献】特開2007-324202(JP,A)
【文献】特開平05-057533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
B23P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品取り出し位置のパレットに載置されたトレイに格納された部品を部品装着部によって取り出して基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載システムであって、
前記パレットを保持する第1保持部と、
前記第1保持部と、前記部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動部と、
前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、前記第1パレット移動部を制御する第1制御部と、
前記第1保持部に供給する前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された前記パレットを保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動部と、
前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第2パレット移動部を制御する第2制御部と、を備え
前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、
前記第2制御部は、前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数の全てがゼロになる前に、前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットが前記第1保持部にそれぞれ1枚以上保持されるように前記第2パレット移動部を制御する、部品搭載システム。
【請求項2】
部品取り出し位置のパレットに載置されたトレイに格納された部品を部品装着部によって取り出して基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載システムであって、
前記パレットを保持する第1保持部と、
前記第1保持部と、前記部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動部と、
前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、前記第1パレット移動部を制御する第1制御部と、
前記第1保持部に供給する前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された前記パレットを保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動部と、
前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第2パレット移動部を制御する第2制御部と、を備え、
前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、
前記第2制御部は、前記第1保持部にある前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品が生産に必要な前記部品数以上ある場合、前記第2保持部が保持する前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットを前記第1保持部に供給するよう前記第2パレット移動部を制御する、部品搭載システム。
【請求項3】
前記第1保持部と前記第2保持部は、複数の前記パレットを保持する、請求項1または2に記載の部品搭載システム。
【請求項4】
前記第1保持部は、前記第1パレット移動部が前記パレットを出し入れする出し入れ口と、前記第2パレット移動部が前記パレットを出し入れする前記出し入れ口とは異なる出し入れ口とを備えている、請求項1から3のいずれかに記載の部品搭載システム。
【請求項5】
部品装着部によって部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載装置に前記部品を供給する部品供給装置であって、
部品が格納されたトレイを載置するパレットを保持する第1保持部と、
前記第1保持部と、前記部品装着部が前記パレットに載置されたトレイから前記部品を取り出す部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動部と、
前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、前記第1パレット移動部を制御する第1制御部と、
前記第1保持部に供給する前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された前記パレットを保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動部と、
前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第2パレット移動部を制御する第2制御部と、を備え
前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、
前記第2制御部は、前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数の全てがゼロになる前に、前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットが前記第1保持部にそれぞれ1枚以上保持されるように前記第2パレット移動部を制御する、部品供給装置。
【請求項6】
部品装着部によって部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載装置に前記部品を供給する部品供給装置であって、
部品が格納されたトレイを載置するパレットを保持する第1保持部と、
前記第1保持部と、前記部品装着部が前記パレットに載置されたトレイから前記部品を取り出す部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動部と、
前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、前記第1パレット移動部を制御する第1制御部と、
前記第1保持部に供給する前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された前記パレットを保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動部と、
前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第2パレット移動部を制御する第2制御部と、を備え、
前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、
前記第2制御部は、前記第1保持部にある前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品が生産に必要な前記部品数以上ある場合、前記第2保持部が保持する前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットを前記第1保持部に供給するよう前記第2パレット移動部を制御する、部品供給装置。
【請求項7】
前記第1保持部は、前記第1パレット移動部が前記パレットを出し入れする出し入れ口と、前記第2パレット移動部が前記パレットを出し入れする前記出し入れ口とは異なる出し入れ口とを備えている、請求項5または6に記載の部品供給装置。
【請求項8】
前記第1保持部と前記第2保持部は、複数の前記パレットを保持する、請求項5から7のいずれかに記載の部品供給装置。
【請求項9】
部品装着部によって部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載装置に前記部品を供給する部品供給方法であって、
前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、部品が格納されたトレイを載置する複数のパレットを保持する第1保持部と、前記部品装着部が前記パレットに載置されたトレイから前記部品を取り出す部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動工程と、
前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第1保持部に供給する複数の前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された複数の前記パレットを保持する第2保持部と前記第1保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動工程と、を含み、
前記第1パレット移動工程と前記第2パレット移動工程を並行して実行する、部品供給方法。
【請求項10】
部品装着部によって部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載装置に前記部品を供給する部品供給方法であって、
前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、部品が格納されたトレイを載置する複数のパレットを保持する第1保持部と、前記部品装着部が前記パレットに載置されたトレイから前記部品を取り出す部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動工程と、
前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第1保持部に供給する複数の前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された複数の前記パレットを保持する第2保持部と前記第1保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動工程と、を含み、
前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、
前記第2パレット移動工程は、前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数の全てがゼロになる前に、前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットが前記第1保持部にそれぞれ1枚以上保持されるように移動させる、部品供給方法。
【請求項11】
前記第2パレット移動工程において、前記第1パレット移動工程で前記パレットを出し入れする前記第1保持部の出し入れ口とは異なる出し入れ口から前記第1保持部に前記パレットを出し入れする、請求項9または10に記載の部品供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに格納された部品を基板に搭載する部品搭載システムおよびトレイに格納された部品を供給する部品供給装置ならびに部品供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品搭載装置によって基板に搭載される部品のうち、LSIチップやコネクタなどの大型の部品は凹部が複数形成されたトレイに格納した状態で供給される。トレイに格納された部品は、部品供給装置(トレイフィーダ)によって部品搭載装置に供給される(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の部品供給装置は、トレイを載置する複数のパレットを収容する移載用マガジンと補給用マガジンを上下に備え、パレット引き出しテーブルによって移載用マガジンまたは補給用マガジンからパレットを取り出して、トレイに格納された部品を部品搭載装置に供給している。
【0003】
この部品供給装置は、移載用マガジンが収容するパレットに載置されたトレイから優先的に部品を供給する。そして、この部品供給装置は、パレットに載置されたトレイの部品が空になると、パレット引き出しテーブルで補給用マガジンに予め収容されていた同じ部品種の部品を格納するトレイを載置するパレットとの入れ替を実行する。この作業を繰り返して補給用マガジンに収容されるトレイが全て空トレイになると、作業者により空となった補給用マガジンを補給部品が収容された補給用マガジンと入れ替える部品補給作業が行われる。これによって、作業者による部品補給作業の間隔の長期化と、部品補給作業の時間の短縮を図り、部品補給作業を効率的に行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-60816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、パレット引き出しテーブルが部品の供給作業とパレットの入れ替え作業の両方の作業を実行しているため、パレットの入れ替え作業中は部品の供給作業が中断されるという問題点があった。また近年、部品搭載装置によって基板に搭載可能な部品のサイズが大型化していることに伴って一枚のトレイに格納可能な部品数が少なくなっている。しかし、部品供給装置に格納可能な部品数は部品供給装置に収容できるパレットの最大数で制約されるため、部品補給作業の間隔を長くして部品補給作業を効率的に行うためには更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、トレイに格納された部品の部品補給作業を効率的に行うことができる部品搭載システムおよび部品供給装置ならびに部品供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品搭載システムは、部品取り出し位置のパレットに載置されたトレイに格納された部品を部品装着部によって取り出して基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載システムであって、前記パレットを保持する第1保持部と、前記第1保持部と、前記部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動部と、前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、前記第1パレット移動部を制御する第1制御部と、前記第1保持部に供給する前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された前記パレットを保持する第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動部と、前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第2パレット移動部を制御する第2制御部と、を備え、前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、前記第2制御部は、前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数の全てがゼロになる前に、前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットが前記第1保持部にそれぞれ1枚以上保持されるように前記第2パレット移動部を制御する
また、本発明の部品搭載システムは、部品取り出し位置のパレットに載置されたトレイに格納された部品を部品装着部によって取り出して基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載システムであって、前記パレットを保持する第1保持部と、前記第1保持部と、前記部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動部と、前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、前記第1パレット移動部を制御する第1制御部と、前記第1保持部に供給する前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された前記パレットを保持する第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動部と、前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第2パレット移動部を制御する第2制御部と、を備え、前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、前記第2制御部は、前記第1保持部にある前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品が生産に必要な前記部品数以上ある場合、前記第2保持部が保持する前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットを前記第1保持部に供給するよう前記第2パレット移動部を制御する。
【0008】
本発明の部品供給装置は、部品装着部によって部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載装置に前記部品を供給する部品供給装置であって、部品が格納されたトレイを載置するパレットを保持する第1保持部と、前記第1保持部と、前記部品装着部が前記パレットに載置されたトレイから前記部品を取り出す部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動部と、前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、前記第1パレット移動部を制御する第1制御部と、前記第1保持部に供給する前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された前記パレットを保持する第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動部と、前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第2パレット移動部を制御する第2制御部と、を備え、前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、前記第2制御部は、前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数の全てがゼロになる前に、前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットが前記第1保持部にそれぞれ1枚以上保持されるように前記第2パレット移動部を制御する
また、本発明の部品供給装置は、部品装着部によって部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載装置に前記部品を供給する部品供給装置であって、部品が格納されたトレイを載置するパレットを保持する第1保持部と、前記第1保持部と、前記部品装着部が前記パレットに載置されたトレイから前記部品を取り出す部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動部と、前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、前記第1パレット移動部を制御する第1制御部と、前記第1保持部に供給する前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された前記パレットを保持する第2保持部と、前記第1保持部と前記第2保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動部と、前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第2パレット移動部を制御する第2制御部と、を備え、前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、前記第2制御部は、前記第1保持部にある前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品が生産に必要な前記部品数以上ある場合、前記第2保持部が保持する前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットを前記第1保持部に供給するよう前記第2パレット移動部を制御する。
【0009】
本発明の部品供給方法は、部品装着部によって部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載装置に前記部品を供給する部品供給方法であって、前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、部品が格納されたトレイを載置する複数のパレットを保持する第1保持部と、前記部品装着部が前記パレットに載置されたトレイから前記部品を取り出す部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動工程と、前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第1保持部に供給する複数の前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された複数の前記パレットを保持する第2保持部と前記第1保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動工程と、を含み、前記第1パレット移動工程と前記第2パレット移動工程を並行して実行する
また、本発明の部品供給方法は、部品装着部によって部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載装置に前記部品を供給する部品供給方法であって、前記部品装着部による前記部品搭載基板の生産の進捗に基づき、部品が格納されたトレイを載置する複数のパレットを保持する第1保持部と、前記部品装着部が前記パレットに載置されたトレイから前記部品を取り出す部品取り出し位置との間で前記パレットを移動させる第1パレット移動工程と、前記部品搭載基板の生産に関する情報に基づき、前記第1保持部に供給する複数の前記パレットを保持し、もしくは、前記第1保持部から回収された複数の前記パレットを保持する第2保持部と前記第1保持部との間で前記パレットを移動させる第2パレット移動工程と、を含み、前記情報は、第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数と、前記第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数を含み、前記第2パレット移動工程は、前記第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数の全てがゼロになる前に、前記第2部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品を格納するトレイが載置されたパレットが前記第1保持部にそれぞれ1枚以上保持されるように移動させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トレイに格納された部品の部品補給作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態の部品搭載システムの構成を示す平面図
図2】本発明の一実施の形態の部品供給装置の構成を示す側面図
図3】本発明の一実施の形態の部品供給装置の構成を示す正面図
図4】本発明の一実施の形態の部品供給装置の構成を示す平面図
図5】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の部品供給装置においてパレットを第2保持部から第1保持部に移動する工程の説明図
図6】本発明の一実施の形態の部品搭載システムの制御系の構成を示すブロック図
図7】本発明の一実施の形態の部品供給装置で使用されるパレット配置データの一例を示す図
図8】本発明の一実施の形態の部品供給装置で使用される生産情報の一例を示す図
図9】本発明の一実施の形態の部品供給方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品搭載システム、部品搭載装置、部品供給装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図2における上下方向)が示される。
【0013】
まず図1を参照して、部品搭載システム1の構成を説明する。部品搭載システム1は、部品搭載装置2および部品搭載装置2に装着された部品供給装置3から構成されている。部品搭載システム1は、部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産する機能を備えている。まず、部品搭載装置2の構成について説明する。部品搭載装置2の基台4の中央には、基板搬送機構5がX方向に設置されている。基板搬送機構5は、上流側から搬入された基板6をX方向へ搬送し、以下に説明する搭載ヘッドによる搭載作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品搭載作業が完了した基板6を下流側に搬出する。
【0014】
部品搭載装置2において、基板搬送機構5の両側方には、それぞれ部品供給手段装着部7が設置されている。両方の部品供給手段装着部7には、複数のテープフィーダ8がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ8は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給手段装着部7の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、搭載ヘッドが部品をピックアップする部品取り出し位置に部品を供給する。
【0015】
また、一方の部品供給手段装着部7には、部品Dを整列して格納するトレイ9が載置されたパレット10を部品取り出し位置に供給する部品供給装置3が装着されている。以下、パレット10に載置されたトレイ9に格納され、部品供給装置3によって部品搭載装置2に供給される部品Dを「トレイ部品」と称する。
【0016】
図1において、部品搭載装置2の基台4の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル11が配置されている。Y軸テーブル11には、同様にリニア機構を備えたビーム12がY方向に移動自在に結合されている。ビーム12には、搭載ヘッド13がX方向に移動自在に装着されている。搭載ヘッド13は、下端に部品Dを真空吸着して保持する吸着ノズル(図示省略)が装着されている。
【0017】
Y軸テーブル11およびビーム12は、搭載ヘッド13を水平方向(X方向、Y方向)に移動させるヘッド移動機構を構成する。ヘッド移動機構および搭載ヘッド13は、部品供給手段装着部7に装着されているテープフィーダ8および部品供給装置3の部品取り出し位置に供給される部品Dを搭載ヘッド13によってピックアップし、基板搬送機構5に保持された作業対象である基板6の実装位置に移載する部品装着部14である。
【0018】
図1において、部品搭載装置2の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル15が設置されている。タッチパネル15は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品搭載装置2の操作を行う。
【0019】
次に図2図4を参照して、部品供給装置3の詳細について説明する。部品供給装置3は、トレイ部品供給部20とトレイ部品ストック部21から構成されている。部品供給装置3は、トレイ部品供給部20の後側から部品搭載装置2の部品供給手段装着部7に装着される。トレイ部品供給部20は、複数のパレット10を保持し、パレット10に載置されたトレイ9に格納された部品D(トレイ部品)を部品搭載装置2に供給する機能を備えている。トレイ部品ストック部21は、トレイ部品供給部20の前側に配置されている。トレイ部品ストック部21は、部品搭載装置2に供給されるトレイ部品を格納するトレイ9を載置した複数のパレット10を一時的に保持し、トレイ部品供給部20が保持するパレット10と入れ替える機能を備えている。
【0020】
トレイ部品供給部20の前側には、第1保持部22が配置されている。第1保持部22には、パレット10を収容する複数の第1保持棚23が上下多段に形成された第1マガジン24が上下に複数(ここでは2つ)配置されている。第1保持部22の後側(部品搭載装置2側)には、部品供給テーブル25および供給テーブル昇降部26を備えて構成される第1パレット移動部27が設けられている。供給テーブル昇降部26は、部品供給テーブル25を昇降させる(図2に示す矢印a)。第1パレット移動部27は、部品供給装置3が備える供給制御装置50が有する第1制御部51によって制御される(図6参照)。
【0021】
図2図4において、第1パレット移動部27が第1保持部22からパレット10を出し入れする際、第1制御部51は供給テーブル昇降部26を稼働させて部品供給テーブル25を昇降させ、パレット10を出し入れする第1保持棚23の高さ位置に位置させる。次いで第1制御部51は部品供給テーブル25を制御して、パレット10の前側に形成された第1係合部10aに第1牽引部25aを係合させて第1保持棚23から引き出して保持させる。または、第1制御部51は部品供給テーブル25を制御して、保持しているパレット10を第1保持棚23に収納させる。
【0022】
第1パレット移動部27が第1保持部22から取り出したパレット10に載置されたトレイ9に格納された部品D(トレイ部品)を部品搭載装置2に供給する際、第1制御部51は供給テーブル昇降部26を稼働させて部品供給テーブル25を上昇させ、保持するパレット10を部品取り出し位置Pに移動させる。この状態で、部品搭載装置2は部品装着部14によって部品Dを取り出して、搭載作業位置に保持された基板6の実装位置に部品Dを搭載させる。
【0023】
このように、第1保持部22は、部品搭載装置2に供給される部品D(トレイ部品)が格納されたトレイ9を載置する複数のパレット10を保持する。そして、第1パレット移動部27(部品供給テーブル25、供給テーブル昇降部26)は、第1保持部22の第1保持棚23と、部品搭載装置2の部品装着部14がパレット10に載置されたトレイ9から部品Dを取り出す部品取り出し位置Pとの間でパレット10を移動させる。第1パレット移動部27は、第1保持部22の後側に形成された第1開口22aから、第1保持部22に保持されているパレット10を出し入れする。
【0024】
図2図4において、トレイ部品ストック部21において、トレイ部品供給部20の第1保持部22の前側には、パレット搬送テーブル28、搬送テーブル旋回部29、および搬送テーブル昇降部30を備えて構成される第2パレット移動部31が設けられている。トレイ部品ストック部21において、第2パレット移動部31の横側(トレイ部品ストック部21を前側から見て左側)には、第2保持部32が配置されている。第2保持部32には、パレット10を収容する複数の第2保持棚33が上下多段に形成された第2マガジン34を保持するマガジン保持部35が上下に複数(ここでは5つ)配置されている。
【0025】
マガジン保持部35には部品供給装置3の外部から第2マガジン34が出し入れされ、各マガジン保持部35には第2マガジン34が1つずつ保持される。第2保持部32のマガジン保持部35に保持された第2マガジン34の第2保持棚33には、第1保持部22の第1保持棚23に収容されたパレット10とは水平面内(XY平面内)で90度旋回させた状態でパレット10が収容される。部品供給装置3の前側で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル36が設置されている。タッチパネル36は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品供給装置3の操作を行う。
【0026】
図3図4において、搬送テーブル昇降部30は、パレット搬送テーブル28及び搬送テーブル旋回部29を昇降させる(図3に示す矢印b)。搬送テーブル旋回部29は、パレット搬送テーブル28を水平面内(XY平面内)で旋回させる(図5(b)に示す矢印d)。パレット搬送テーブル28は、パレット10の後側に形成された第2係合部10bに係合する第2牽引部28aと、第2牽引部28aを水平面内で直線状に移動させる第2牽引部移動部28bを備えて構成されている。第2パレット移動部31は、部品供給装置3が備える供給制御装置50が有する第2制御部52によって制御される(図6参照)。
【0027】
第2パレット移動部31が第2保持部32からパレット10を出し入れする際、第2制御部52は搬送テーブル旋回部29を稼働させ、パレット搬送テーブル28を第2牽引部28aが第2保持棚33からパレット10を出し入れする第2方向に旋回させる(図4の状態)。次いで第2制御部52は搬送テーブル昇降部30を稼働させパレット搬送テーブル28を昇降させ、パレット10を出し入れする第2保持棚33の高さ位置に移動させる。次いで第2制御部52はパレット搬送テーブル28を制御して、パレット10の第2係合部10bに第2牽引部28aを係合させて第2保持棚33から引き出して保持させる。または、第2制御部52はパレット搬送テーブル28を制御して、保持しているパレット10を第2保持棚33に収納させる(図3参照)。
【0028】
図2において、第2パレット移動部31が第1保持部22からパレット10を出し入れする際、第2制御部52は搬送テーブル旋回部29を稼働させ、パレット搬送テーブル28を第2牽引部28aが第1保持棚23からパレット10を出し入れする第1方向に旋回させる。次いで第2制御部52は搬送テーブル昇降部30を稼働させてパレット搬送テーブル28を昇降させ、パレット10を出し入れする第1保持棚23の高さ位置に移動させる。次いで第2制御部52はパレット搬送テーブル28を制御して、パレット10の第2係合部10bに第2牽引部28aを係合させて第1保持棚23から引き出して保持させる。または、第2制御部52はパレット搬送テーブル28を制御して、保持しているパレット10を第1保持棚23に収納させる。
【0029】
第2パレット移動部31は、第1保持部22の前側に形成された第2開口22bから、第1保持部22に保持されているパレット10を出し入れする。すなわち、第1保持部22は、第1パレット移動部27がパレット10を出し入れする第1開口22a(出し入れ口)と、第2パレット移動部31がパレット10を出し入れする第1開口22aとは異なる第2開口22b(出し入れ口)とを備えている。このように、第1パレット移動部27と第2パレット移動部31は、異なる出し入れ口から第1保持部22にパレット10を出し入れすることにより、第1パレット移動部27と第2パレット移動部31が互いに干渉することがない。これにより、第1制御部51と第2制御部52の制御が単純になる。
【0030】
次に図5を参照して、第2パレット移動部31が第2保持部32に保持されているパレット10を第1保持部22に移動させる工程について説明する。図5は、第2保持部32に保持されている第2マガジン34の第2保持棚33から第1保持部22の第1マガジン24の第1保持棚23にパレット10を移動させる工程を、模式的に示している。図5(a)において、まず、第2パレット移動部31は、第2方向に旋回させたパレット搬送テーブル28を、パレット10を取り出す第2保持棚33の高さ位置に移動させる。次いで第2パレット移動部31は、第2牽引部28aをパレット10に係合させて第2保持棚33から引き出す(矢印c)。
【0031】
図5(b)において、第2パレット移動部31は、パレット10を第2保持棚33から引き出すと、次いでパレット搬送テーブル28を第1方向に旋回させる(矢印d)。図5(c)において、次いで第2パレット移動部31は、パレット搬送テーブル28を、パレット10を保持させる第1保持棚23の高さ位置に移動させる。次いで第2パレット移動部31は、第2牽引部28aを第1保持棚23の方向に移動させて、パレット10を第2開口22bから第1保持棚23に移動させる(矢印e)。
【0032】
なお、第2パレット移動部31が第1保持部22に保持されているパレット10を第2保持部32に移動させる工程では、上述の工程とは逆の制御が行われる。このように、第2保持部32は、第1保持部22に供給する複数のパレット10を保持し、もしくは、第1保持部22から回収された複数のパレット10を保持する。そして、第2パレット移動部31(パレット搬送テーブル28、搬送テーブル旋回部29、搬送テーブル昇降部30)は、第1保持部22と第2保持部32との間でパレット10を移動させる。
【0033】
次に図6を参照して、部品搭載システム1の制御系の構成について説明する。部品搭載システム1が備える部品搭載装置2は、搭載制御装置40、基板搬送機構5、部品装着部14、タッチパネル15を備えている。搭載制御装置40は、搭載動作処理部41、パレット移動指令部42、搭載記憶部43を備えている。搭載記憶部43は記憶装置であり、実装データ44、生産計画データ45などが記憶されている。
【0034】
実装データ44には、生産する部品搭載基板の種類(基板種)毎に、基板6のサイズ、実装される部品Dの種類(部品種)と実装位置(XY座標)、部品Dの供給情報(部品供給装置3またはテープフィーダ8、部品供給手段装着部7における装着位置など)、その他の部品搭載作業に必要な情報が含まれている。生産計画データ45には、生産する部品搭載基板の種類(基板種)毎に、生産する生産枚数、生産着手日時、生産終了日時などの生産計画が含まれている。
【0035】
図6において、部品搭載装置2の部品供給手段装着部7に装着された部品供給装置3の供給制御装置50、テープフィーダ8の制御装置(図示省略)は、搭載制御装置40に接続されている。搭載動作処理部41は、実装データ44に基づいて部品搭載装置2の各部を制御して、部品供給装置3やテープフィーダ8が供給する部品Dを部品装着部14で保持して、搭載作業位置に保持された基板6に装着する部品搭載作業を制御する。
【0036】
部品搭載作業において搭載動作処理部41は、部品装着部14による部品搭載基板の生産の進捗に基づき、テープフィーダ8に対してキャリアテープをピッチ送りして次の部品Dを部品取り出し位置に移動させる部品送り指令を送信する。また、部品搭載作業において搭載動作処理部41は、部品搭載基板の生産の進捗に基づき、部品供給装置3に対して次に部品取り出し位置Pに移動させる部品Dの種類(部品種)を指示する部品供給指令を送信する。パレット移動指令部42は、部品供給装置3に対してトレイ部品供給部20とトレイ部品ストック部21との間で入れ替えるパレット10を指示するパレット移動指令を送信する。
【0037】
図6において、部品供給装置3は、供給制御装置50、第1パレット移動部27、第2パレット移動部31、タッチパネル36を備えている。供給制御装置50は、第1制御部51、第2制御部52、生産管理部53、供給記憶部54を備えている。供給記憶部54は記憶装置であり、パレット配置データ55、生産情報56などが記憶されている。第1制御部51は、部品搭載装置2の搭載動作処理部41から送信される部品供給指令に基づき第1パレット移動部27を制御して、第1保持部22の第1保持棚23と、部品取り出し位置Pとの間でパレット10を移動させる。すなわち、第1制御部51は、部品装着部14による部品搭載基板の生産の進捗に基づき、第1パレット移動部27を制御する。
【0038】
パレット配置データ55は、第1保持部22の各第1保持棚23および第2保持部32の各第2保持棚33に収納されたパレット10を特定するパレット番号などが記憶されている。パレット配置データ55は、第2保持部32にパレット10を補給した時、第1保持部22と第2保持部32との間でパレット10を移動させた時、部品装着部14によって部品取り出し位置Pのパレット10に載置されたトレイ9から部品Dが取り出された時などに、生産管理部53によって更新される。
【0039】
ここで、図7を参照してパレット配置データ55の一例について説明する。パレット配置データ55には、第1保持部22または第2保持部32を特定する保持部番号60、第1保持棚23または第2保持棚33の位置を特定する保持棚番号61、パレット番号62、部品種番号63、格納部品数64が含まれている。保持部番号60は、「1」が第1保持部22を、「2」が第2保持部32を示している。
【0040】
この例では、第1保持部22には、保持棚番号61が「A1」~「A4」、「B1」~「B4」の合計8段の棚が配置されている。また、第2保持部32には、保持棚番号61が「E1」~「E4」、「F1」~「F4」、「G1」~「G4」、「H1」~「H4」の合計16段の棚が配置されている。保持棚番号61において、アルファベットの部分が同じ棚は同じマガジン(第1マガジン24、第2マガジン34)の棚であることを示している。
【0041】
例えば、第2保持部32には、それぞれ4段の棚(「1」~「4」)が形成された4つの第2マガジン34(「E」~「H」)が装着されている。以下、保持棚番号61が「A1」の保持棚(第1保持棚23)を、単に「保持棚A1」などと記載する。また、保持棚H1~H4が形成されたマガジン(第2マガジン34)を、単に「マガジンH」などと記載する。
【0042】
図7において、パレット番号62は、第1保持棚23または第2保持棚33に収納されているパレット10を特定する情報である。パレット番号62が「-」の保持棚(例えば、保持棚E1)には、パレット10が収容されていないことを示している。以下、パレット番号62が「P013」のパレット10を、単に「パレットP013」などと記載する。部品種番号63は、パレット10に載置されたトレイ9に収納された部品Dの部品種を特定する情報である。以下、部品種番号63が「DQ011」の部品Dの部品種を、単に「部品種DQ011」などと記載する。
【0043】
格納部品数64は、パレット10が載置するトレイ9に格納されている部品Dの合計数(残数)である。例えば、保持棚A1に収容されているパレットP013に載置されたトレイ9の部品種DQ011の部品Dの合計数は「4個」である。生産管理部53は、部品装着部14によって部品Dが取り出されると、部品Dが取り出されたパレット10の格納部品数64を更新(減算)する。
【0044】
図6において、生産情報56は、実装データ44、生産計画データ45、パレット配置データ55に基づいて、生産管理部53によって作成、更新される。ここで、図8を参照して生産情報56の一例について説明する。生産情報56には、部品搭載システム1で生産する部品搭載基板の基板種を特定する基板種番号65毎に、生産予定の部品搭載基板の生産枚数66、部品供給装置3から供給されて部品搭載基板に搭載される部品Dの部品種番号63、必要部品数67、格納合計数68が含まれている。以下、基板種番号65が「Q」の部品搭載基板の基板種を、単に「基板種Q」などと記載する。
【0045】
図8において、必要部品数67は、部品搭載基板を生産枚数66だけ生産する場合に必要な部品種毎の部品Dの部品数である。すなわち、生産情報56(情報)は、部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数(必要部品数67)を含んでいる。生産管理部53は、生産枚数66と実装データ44に含まれる部品搭載基板に搭載する部品Dの情報から必要部品数67を算出する。
【0046】
例えば、基板種Qの部品搭載基板には、1枚当たり部品種DQ011が1個、部品種DQ012が2個、部品種DQ013が2個、搭載される。そして、基板種Qの残りの生産枚数66は「40枚」であることから、生産管理部53は、必要部品数67は部品種DQ011が40個、部品種DQ012が80個、部品種DQ013が80個と算出する。このように、生産情報56(情報)は、生産すべき部品搭載基板の枚数(生産枚数66)をさらに含み、生産管理部53は生産枚数66に基づき部品種毎の部品数(必要部品数67)を算出する算出部である。
【0047】
図8において、格納合計数68は、部品種毎の部品供給装置3に格納されている部品Dの合計数である。生産管理部53は、パレット配置データ55の同じ部品種の格納部品数64を合計して格納合計数68を算出する。例えば、生産管理部53は、生産中の基板種Qの部品搭載基板に搭載する部品種DQ012の部品Dの格納合計数68として、保持棚A4のパレットP016の5個、保持棚B2のパレットP018の25個、保持棚B4のパレットP020の25個、保持棚E3のパレットP022の25個を合計して80個と算出する。
【0048】
生産管理部53は、現在生産中の部品搭載基板に搭載する部品種の格納合計数68が必要部品数67より少ない場合に、部品供給装置3のタッチパネル36にその部品種の部品Dを補給するように報知させる。格納合計数68の不足は、部品供給装置3に収容した部品Dの数が不足していた場合の他、部品搭載作業中にトレイ9から取り出した部品Dを保持不良などの理由で基板6に搭載せずに廃棄した場合などに起こり得る。
【0049】
この例では、現在生産中の基板種Qの部品種DQ013の格納合計数68が「78個」で必要部品数67の「80個」より少ない。そこで、生産管理部53は、タッチパネル36に部品種DQ013の部品Dを2個以上、第2保持部32から補給するように報知させる。なお、生産管理部53は、現在生産中の部品搭載基板(基板種Q)だけでなく、次に生産する部品搭載基板(基板種R)の生産準備が完了すべき時間に必要な部品Dが不足している場合などに、不足している部品種の部品Dを補給するように報知してもよい。
【0050】
このように、タッチパネル36は、第1保持部22と第2保持部32にある部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品Dのいずれかの合計数(格納合計数68)が生産に必要な部品数(必要部品数67)よりも少ない場合に、第2保持部32に当該部品種の部品Dを補給するよう報知する報知部である。このように、部品Dの欠品が原因で部品搭載作業が中断される前に部品Dの不足をチェックして部品補給を報知することで、トレイ9に格納された部品Dの部品補給作業を効率的に行うことができる。なお、生産管理部53は、部品供給装置3のタッチパネル36の他、部品搭載装置2のタッチパネル15に報知させても、図示省略する無線通信部を介して作業者が携帯する情報端末に無線で通知させてもよい。
【0051】
図8において、生産情報56には、部品搭載システム1で現在生産中の基板種Q、基板種Qの次に生産予定の基板種R、基板種Rの次に生産予定の基板種Sの3種類の部品搭載基板の情報が含まれている。すなわち、生産情報56(情報)は、第1部品搭載基板(基板種Q)を生産すべき枚数である第1枚数(生産枚数66)と、第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板(基板種R)を生産すべき枚数である第2枚数(生産枚数66)とを少なくとも含んでいる。そして、生産管理部53(算出部)は、第1枚数に基づき第1部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数(必要部品数67)を、第2枚数に基づき第2部品搭載基板の生産に必要な部品種毎の部品数(必要部品数67)を算出する。
【0052】
生産管理部53は、部品搭載システム1において基板6への部品搭載作業が1枚完了すると、現在生産している基板種Qの生産枚数66を1枚減算し、必要部品数67を再計算して生産情報56を更新する。また、生産管理部53は、部品供給装置3から部品装着部14によって部品Dが取り出された時に、格納部品数64を減算してパレット配置データ55を更新すると同時に、格納合計数68を再計算して生産情報56を更新する。
【0053】
また、生産管理部53は、第2保持部32に部品Dが補給された時に、パレット配置データ55を更新すると同時に、格納合計数68を再計算して生産情報56を更新する。これにより、生産情報56に含まれる部品搭載基板の生産枚数66、部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品数(必要部品数67)、部品供給装置3に格納されている部品Dの部品種毎の合計数(格納合計数68)が最新の情報に更新される。
【0054】
図6において、第2制御部52は、パレット配置データ55および生産情報56に基づき第2パレット移動部31を制御して、第1保持部22の第1保持棚23と第2保持部32の第2保持棚33との間でパレット10を移動させる。すなわち、第2制御部52は、部品搭載基板の生産に関する情報(パレット配置データ55、生産情報56)に基づき、第2パレット移動部31を制御する。
【0055】
ここで図7を参照しながら、第2制御部52による第2パレット移動部31の制御の例について説明する。図7において、第1保持部22の保持棚A3のパレットP015の格納部品数64は「0」である。そこで、第2制御部52は第2パレット移動部31を制御して、保持棚A3から第2保持部32のパレット10が収容されていない保持棚H2にパレットP015を移動させる(矢印f1)。すなわち、第2制御部52は、第1保持部22に収容されていた空きパレット(パレットP015)を第2保持部32の空き棚(保持棚H2)に移動させる。
【0056】
図7において、この状態で、第1保持部22には現在生産中の基板種Qの部品搭載基板に搭載する部品種DQ011の部品が合計40個、部品種DQ012の部品が合計55個、部品種DQ013の部品が合計78個ある。そして、第2保持部32には、部品種DQ012の部品が合計25個ある。そこで、第2制御部52は第2パレット移動部31を制御して、第2保持部32の保持棚E3から現在生産中の基板種Qの部品搭載基板に搭載する部品種DQ012の部品を格納するパレットP022を空いた第1保持部22の保持棚A3に移動させる(矢印f2)。
【0057】
すなわち、第2制御部52は、第1保持部22にある部品搭載基板の生産に必要な部品種の部品のいずれかの合計数(ここでは、部品種DQ012の合計数が55個)が生産に必要な部品数(必要部品数67の80個)よりも少ない場合に、第2保持部32が保持する当該部品種(部品種DQ012)の部品を格納するトレイ9が載置されたパレットP022を第1保持部22の保持棚A3に供給するよう第2パレット移動部31を制御する。
【0058】
これにより、第2保持部32に一時保管されているパレットのうち、現在生産中の基板種Qの生産に必要な部品種DQ011,DQ012,DQ013を格納するパレットを優先して第1保持部22に移動させることができる。このように、第2制御部52は、部品種毎の部品数(格納部品数64、必要部品数67、格納合計数68)に基づき第2パレット移動部31を制御する。
【0059】
図7において、部品搭載システム1における部品搭載基板(基板種Q)の生産を継続実行すると、次に第1保持部22の保持棚A4のパレットP016の部品種DQ012の部品がゼロになる。そこで、第2制御部52は第2パレット移動部31を制御して、保持棚A4から第2保持部32の空き棚(保持棚H1)にパレットP016を移動させる(矢印f3)。この状態で、現在生産中の基板種Qの生産に必要な部品種DQ011,DQ012,DQ013の部品を格納するパレットは全て第1保持部22に移動され、第2保持部32には残っていない。そこで第2制御部52は、第2保持部32の保持棚E4に収容されている次に生産する基板種Rの生産に必要な部品種DR021を格納するパレットP023を第1保持部22の保持棚A4に移動させる(矢印f4)。
【0060】
さらに部品搭載基板(基板種Q)の生産を継続実行すると、次に第1保持部22の保持棚A1のパレットP013の部品種DQ011の部品がゼロになる。そこで、第2制御部52は第2パレット移動部31を制御して、保持棚A1から第2保持部32の空き棚(保持棚E4)にパレットP013を移動させる。次いで第2制御部52は、第2保持部32の保持棚F2に収容されている次に生産する基板種Rの生産に必要な部品種DR022を格納するパレットP025を第1保持部22の保持棚A1に移動させる。
【0061】
これにより、第1保持部22には、次に生産する基板種Rの生産に必要な部品種DR021,DR022を格納するパレットが1枚ずつ保持され、基板種Rの生産が開始可能な状態となる。このように、第2制御部52は、現在生産中の第1部品搭載基板(基板種Q)の生産に必要な部品種(部品種DQ011,DQ012,DQ013)毎の部品数(必要部品数67)の全てがゼロになる前に、第1部品搭載基板の次に生産される第2部品搭載基板(基板種R)の生産に必要な部品種(部品種DR021,DR022)の部品を格納するトレイ9が載置されたパレットが第1保持部22にそれぞれ1枚以上保持されるように第2パレット移動部31を制御する。
【0062】
また、第2制御部52は、第1保持部22にある生産中の第1部品搭載基板(基板種Q)の生産に必要な部品種(部品種DQ011,DQ012,DQ013)の部品の全てが生産に必要な部品数(必要部品数67)以上ある場合、第2保持部32が保持する次に生産する第2部品搭載基板(基板種R)の生産に必要な部品種(部品種DR021,DR022)の部品Dを格納するトレイ9が載置されたパレット10を第1保持部22に供給するよう第2パレット移動部31を制御する。これにより、現在の基板種Qの生産中に次の基板種Rの生産準備を終了することができ、トレイ9に格納された部品Dの部品補給作業を効率的に行うことができる。
【0063】
図7において、保持棚A4から空のパレットP016が保持棚H1に移動されると(矢印f3)、マガジンHの全ての保持棚H1~H4にそれぞれ空のパレットが収納された状態となる。そこで、生産管理部53は、報知部(タッチパネル36、タッチパネル15、情報端末)に第2保持部32に格納されているマガジンHを補給部品が格納されたマガジン(第2マガジン34)と入れ替えるよう報知させる。この例では、次に生産される基板種Rの部品搭載基板の生産に必要な全ての部品種DR021,DR022の部品は、必要な部品数(必要部品数67)以上、部品供給装置3に格納されている。そこで作業者は、その次に生産される基板種Sの部品搭載基板の生産に必要な基板種の部品が格納されたパレット10を収納したマガジンをマガジンHと入れ替える。
【0064】
このように、第2制御部52は、第1保持部22にある空のパレット10を第2保持部32に移動させる際は、第2保持部32に格納された一のマガジンH(第2マガジン34)の全ての保持棚H1~H4にそれぞれ空のパレット10が優先的に保持されるように第2パレット移動部31を制御する。このように、一のマガジンHに優先的に空のパレット10を移動させて、一のマガジンHを空のマガジンとすることで、トレイ9に格納された部品Dの部品補給作業を効率的に行うことができる。
【0065】
上記説明したように、部品供給装置3は、第1保持部22、第1パレット移動部27、第1制御部51、第2保持部32、第2パレット移動部31、第2制御部52を備えており、部品装着部14によって部品Dを基板6に搭載して部品搭載基板を生産する部品搭載装置2に部品Dを供給する。そして、第1制御部51は、部品装着部14による部品搭載基板の生産の進捗に基づいて搭載動作処理部41から送信される部品供給指令に基づき、第1パレット移動部27を制御する。また、第2制御部52は、部品搭載基板の生産に関する情報(パレット配置データ55、生産情報56)に基づき、第2パレット移動部31を制御する。
【0066】
なお、上記の実施の形態では、部品搭載基板の生産に関する情報のうち、生産情報56は、実装データ44、生産計画データ45、パレット配置データ55に基づき供給制御装置50が備える生産管理部53によって作成、更新されて供給記憶部54に記憶されているが、この形態に限定されることはない。例えば部品搭載装置2の搭載制御装置40が生産管理部53を備え、パレット配置データ55、生産情報56を搭載記憶部43に記憶する形態であってもよい。
【0067】
この場合、搭載制御装置40のパレット移動指令部42が搭載記憶部43に記憶されるパレット配置データ55、生産情報56(部品搭載基板の生産に関する情報)に基づいて、部品供給装置3に対してパレット移動指令を送信する。そして、第2制御部52は、部品搭載基板の生産に関する情報に基づくパレット移動指令に基づき、第2パレット移動部31を制御して第1保持部22と第2保持部32との間でパレット10を移動させる。
【0068】
次に図9のフローに沿って、部品供給装置3により部品搭載装置2に部品Dを供給する部品供給方法について説明する。部品搭載装置2の搭載動作処理部41から部品供給指令が送信されると(ST1においてYes)、第1制御部51は、部品供給指令(部品装着部14による部品搭載基板の生産の進捗)に基づき、第1保持部22と部品取り出し位置Pとの間で指定されたパレット10を移動させる(ST2:第1パレット移動工程)。搭載動作処理部41から部品供給指令が送信されていない場合(ST1においてNo)、第2制御部52は、パレット配置データ55、生産情報56に基づいて、第1保持部22と第2保持部32との間で入れ替えるパレット10があるか否かを判断する(ST3)。
【0069】
入れ替えるパレット10がある場合(ST3においてYes)、第2制御部52は、部品搭載基板の生産に関する情報(パレット配置データ55、生産情報56)に基づき、第2保持部32と第1保持部22との間でパレット10を移動させる(ST4:第2パレット移動工程)。第2パレット移動工程(ST4)では、第1パレット移動工程(ST2)でパレット10を出し入れする第1保持部22の出し入れ口(第1開口22a)とは異なる出し入れ口(第2開口22b)から第1保持部22にパレット10を出し入れする。
【0070】
図9において、入れ替えるパレット10がない場合(ST3においてNo)、または、第1パレット移動工程(ST2)もしくは第2パレット移動工程(ST4)が終了すると、(ST1)に戻って部品搭載装置2からの部品供給指令を待機する。なお、部品供給装置3において、第1パレット移動部27と第2パレット移動部31が干渉することがない時は、第1パレット移動工程(ST2)と第2パレット移動工程(ST4)を並行して実行させてもよい。これによって、トレイ9に格納された部品Dの部品補給作業をより効率的に行うことができる。
【0071】
上記説明したように、本実施の形態の部品搭載システム1は、複数のパレット10を保持する第1保持部22と、第1保持部22と部品取り出し位置Pとの間でパレット10を移動させる第1パレット移動部27と、部品装着部14による部品搭載基板の生産の進捗に基づき、第1パレット移動部27を制御する第1制御部51と、第1保持部22に供給する複数のパレット10を保持し、もしくは、第1保持部22から回収された複数のパレット10を保持する第2保持部32と、第1保持部22と第2保持部32との間でパレット10を移動させる第2パレット移動部31と、部品搭載基板の生産に関する情報(パレット配置データ55、生産情報56)に基づき、第2パレット移動部31を制御する第2制御部52と、を備えている。
【0072】
これによって、トレイ9に格納された部品Dの部品補給作業を効率的に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の部品搭載システムおよび部品供給装置ならびに部品供給方法は、トレイに格納された部品の部品補給作業を効率的に行うことができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 部品搭載システム
2 部品搭載装置
3 部品供給装置
6 基板
9 トレイ
10 パレット
14 部品装着部
15,36 タッチパネル(報知部)
22 第1保持部
22a 第1開口(出し入れ口)
22b 第2開口(出し入れ口)
27 第1パレット移動部
31 第2パレット移動部
32 第2保持部
D 部品
P 部品取り出し位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9