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特許7519608イミダゾリン誘導体化合物を有効成分として含む黄斑変性治療用の薬学的組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】イミダゾリン誘導体化合物を有効成分として含む黄斑変性治療用の薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20240712BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240712BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20240712BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240712BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P27/02
A61P17/18
A23L33/10
A61K31/455
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021559502
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 KR2021008074
(87)【国際公開番号】W WO2022234888
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0058106
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521438216
【氏名又は名称】フュージョン バイオテクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FUSION BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(Munji-dong, KAIST Munji Campus), Research building 3F., 193, Munji-ro Yuseong-gu Daejeon 34051 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム チェギュ
【審査官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/047587(WO,A2)
【文献】European Journal of Medicinal Chemistry,2015年,97,pp.525-537
【文献】The Journal of Clinical Investigation,2013年,123, 10,pp.4170-4181
【文献】Ophthalmology,2003年,110,pp.51-60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/496
A61P 27/02
A61K 31/455
A61P 17/18
A23L 33/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、乾性黄斑変性の予防用または治療用の薬学的組成物:

ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【請求項2】
前記イミダゾリン誘導体化合物は、utlin-3である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記抗酸化剤は、ニコチンアミド、アントシアニン、ベンゼンジオールアビエタンジテルペン、カルノシン、カロテノイド、キサントフィル、サフラン内のカロテノイド、クルクミノイド、シクロペンテノンプロスタグランジン、フラボノイド、プレニルフラボノイド、レチノイド、スチルベノイド、尿酸、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、セレニウム、亜鉛、脂質過酸化およびその副産物の阻害剤およびスカベンジャー、チリラザド、並びにこれらの類似体、誘導体、塩および組み合わせからなる群から選択された1つ以上である、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記イミダゾリン誘導体化合物は、老化細胞においてp53およびp21のうちいずれか1つ以上を過剰発現させる、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含み、前記イミダゾリン誘導体化合物は、抗酸化剤と併用投与される、乾性黄斑変性の予防用または治療用の薬学的組成物:

ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【請求項7】
前記併用投与は、前記イミダゾリン誘導体化合物および抗酸化剤を同時に投与するか、またはイミダゾリン誘導体化合物および抗酸化剤のうちいずれか1つを投与した後に他の1つを投与する、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその塩を有効成分として含む、乾性黄斑変性予防用または改善用の健康機能食品:

ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【請求項9】
抗酸化剤をさらに含む、請求項8に記載の健康機能食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダゾリン誘導体化合物を有効成分として含む黄斑変性治療用の薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な視力は、光が目の前方に入るときに発生する。これは、レンズとして、目の後ろの内側に並んでいる光受容体(photoreceptors)と呼ばれる、非常に敏感かつ弱い細胞上に焦点を合わせる。 光受容体は、他の神経細胞(neurons)と共に目の網膜を構成する。 黄斑(macula)は、鮮明な中心視力を担う中心窩(fovea)を含む、目の後方の中心付近に位置する網膜の一部である。 目の奥の網膜の中心部に位置する神経組織を黄斑というが、光の刺激に反応する視細胞の多くがそこに集まっており、物体の像が結ばれる場所も、黄斑の中心であるので、視力にとって非常に重要な役割を担っている。
【0003】
網膜は、様々な原因により、網膜炎、黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、網膜損傷、緑内障、視神経症、網膜血管疾患、眼血管疾患、緑内障などの様々な疾患を患うことがあり、 特に、黄斑部(網膜色素上皮、ブルッフ膜および脈絡膜毛細血管複合体)に種々の原因によって変性が起こって視力障害を引き起こす眼科疾患を黄斑変性(症)といい、黄斑変性は、緑内障および糖尿病性網膜疾患と共に3大失明疾患の1つとして知られている。 当該黄斑変性は、中心視力に影響を与えて、視野の中心がぼやけ、中心暗点、変視症(物が歪んで見える症状)または局所部分の視力喪失により、読書、運転などの精緻な活動を困難にし、ひどい場合、失明につながる非常に深刻な疾病である。
【0004】
黄斑変性を引き起こす最も代表的な原因としては、加齢を挙げることができ、その他、家族歴、人種、喫煙などともある程度連関性があることが知られている。 特に、老人性(退行性)加齢黄斑変性(AMD; age-related macular degeneration)は、既に西洋社会において55歳以上の老人に失明を引き起こす最もありふれた疾患になっており、米国では、既に老人失明の1位を占めており、韓国でも、高齢化が急速に進行するにつれて、患者が大きく増えている。 これは、西洋化した食習慣と共に、オゾン層破壊による紫外線露出増加による結果と推測されている。 特に、黄斑変性は、本来は、老年層で主に発生する疾患であったが、近年、韓国でも、発病の年代が60代の老年層から40代および50代の中長年層に低下している傾向にあり、中長年層の発病率も最近数年間急増している。
【0005】
黄斑変性は、乾性と湿性の2つのタイプに大別され、黄斑変性患者のうち約90%は、乾性黄斑変性患者である。 黄斑変性の1つの形態である乾性黄斑変性は、萎縮性(非滲出性)として分類され、地図状萎縮(geographical atrophy)と呼ばれ、ドルーゼン(drusen)が網膜下のレベルで網膜上に沈着される初期段階の疾病である。 当該ドルーゼンの沈着は、黄斑組織の老化または薄膜化を引き起こす可能性がある。 当該ドルーゼン沈着の結果として、中心視力の損傷が次第に発生しうる。 頻繁に、加齢黄斑変性は、乾性黄斑変性と共に開始する。 黄斑変性のうち乾性形態である場合、初期には兆候がないため、自己診断が困難であることが特徴であり、徐々に進行するため、失明の危険性が相対的に低いが、乾性黄斑変性は、まだ確立された治療法がない実情であるので、予防の必要性がさらに強調されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許第10-2050506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一態様は、下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、黄斑変性の予防用または治療用の薬学的組成物を提供することである:
【0008】
ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【0009】
他の態様は、前記イミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含み、前記イミダゾリン誘導体化合物は、抗酸化剤と併用投与される、黄斑変性の予防用または治療用の薬学的組成物を提供することである。
【0010】
さらに他の態様は、前記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその塩を有効成分として含む、黄斑変性予防用または改善用の健康機能食品を提供することである。
【0011】
さらに他の態様は、下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、それを要する個体に投与するステップを含む、黄斑変性予防方法または治療方法を提供することである:
【0012】
ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【0013】
さらに他の態様は、黄斑変性予防用または治療用薬剤の製造のための、下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の用途を提供することである:
【0014】
ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一態様は、下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、黄斑変性の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する:
【0016】
ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【0017】
前記イミダゾリン誘導体化合物は、1以上の置換基、例えば、以下に例示されるもの、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種として例示されるものにより任意に置換可能である。
【0018】
本明細書において、用語「アルキル」は、1~10個(例えば、1~8個、1~6個、または1~4個)の炭素原子を含有する飽和脂肪族炭化水素基を意味する。 アルキル基は、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよい。 アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘプチル、または2-エチルヘキシルが含まれるが、これらに限定されるものではない。 アルキル基は、1以上の置換基、例えば、ハロ、ホスホ、シクロ脂肪族[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロシクロ脂肪族[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニル、または(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、シクロ脂肪族アミノ、またはヘテロシクロ脂肪族アミノ]、スルホニル[例えば、脂肪族-SO2-]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、シクロ脂肪族オキシ、ヘテロシクロ脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシに置換(すなわち、任意に置換)可能である。 制限ではなく、置換されたアルキルの一部の例には、カルボキシアルキル(例えば、HOOC-アルキル、アルコキシカルボニルアルキル、およびアルキルカルボニルオキシアルキル)、シアノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アシルアルキル、アラルキル、(アルコキシアリール)アルキル、(スルホニルアミノ)アルキル(例えば、(アルキル-SO2-アミノ)アルキル)、アミノアルキル、アミドアルキル、(シクロ脂肪族)アルキル、ハロアルキル、アミンカチオン、4級アンモニウム、および4級ホスホニウムが含まれる。
【0019】
本明細書において、用語「アルケニル」は、2~10個(例えば、2~8個、2~6個、または2~4個)の炭素原子および1以上の二重結合を含有する脂肪族炭素基を意味する。 アルキル基と同様に、アルケニル基は、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよい。 アルケニル基の例には、アリル、イソプレニル、2-ブテニル、および2-ヘキセニルが含まれる。 アルケニル基は、1以上の置換基、例えば、ハロ、ホスホ、シクロ脂肪族[例えば、シクロアルキルまたはシクロアルケニル]、ヘテロシクロ脂肪族[例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル]、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アシル[例えば、(脂肪族)カルボニル、(シクロ脂肪族)カルボニル、または(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル]、ニトロ、シアノ、アミド[例えば、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ、シクロ脂肪族アミノ、ヘテロシクロ脂肪族アミノ、または脂肪族スルホニルアミノ]、スルホニル[例えば、アルキル-SO2-、シクロ脂肪族-SO2-、またはアリール-SO2-]、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、シクロ脂肪族オキシ、ヘテロシクロ脂肪族オキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、またはヒドロキシに任意に置換可能である。 制限ではなく、置換されたアルケニルの例には、シアノアルケニル、アルコキシアルケニル、アシルアルケニル、ヒドロキシアルケニル、アラルケニル、(アルコキシアリール)アルケニル、(スルホニルアミノ)アルケニル(例えば、(アルキル-SO2-アミノ)アルケニル)、アミノアルケニル、アミドアルケニル、(シクロ脂肪族)アルケニル、またはハロアルケニルが含まれる。
【0020】
本明細書において、用語「アルキニル」は、2~10個(例えば、2~8個、2~6個、または2~4個)の炭素原子を含有し、1以上の三重結合を有する脂肪族炭素基を意味する。 アルキニル基は、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよい。 アルキニル基の例には、プロパルギルおよびブチニルが含まれるが、これらに限定されるものではない。 アルキニル基は、1以上の置換基、例えば、アロイル、ヘテロアロイル、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、スルファニル[例えば、脂肪族スルファニルまたはシクロ脂肪族スルファニル]、スルフィニル[例えば、脂肪族スルフィニルまたはシクロ脂肪族スルフィニル]、スルホニル[例えば、脂肪族-SO2-、脂肪族アミノSO2-、またはシクロ脂肪族-SO2-]、アミド[例えば、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、またはヘテロアリールアミノカルボニル]、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アシル[例えば、(シクロ脂肪族)カルボニルまたは(ヘテロシクロ脂肪族)カルボニル]、アミノ[例えば、脂肪族アミノ]、スルホキシ、オキソ、カルボキシ、カルバモイル、(シクロ脂肪族)オキシ、(ヘテロシクロ脂肪族)オキシ、または(ヘテロアリール)アルコキシに任意に置換可能である。
【0021】
本明細書において、用語「アルコキシ」は、ヒドロキシの水素原子が、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルに置換された基を意味する。 適切なアルコキシは、限定するものではないが、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシおよびペントキシなどのC1~C10のアルコキシを挙げることができる。
【0022】
本明細書において、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0023】
本発明の化合物は、例えば、前記例示されるか、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種として例示された、1以上の置換基に任意に置換可能である。 特に言及しない限り、本発明のR1~R3は、本願に述べられた1以上の置換基に任意に置換される。 特定の基のそれぞれの置換基は、ハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、シクロ脂肪族、ヘテロシクロ脂肪族、ヘテロアリール、ハロアルキル、およびアルキルのうち1~3個にさらに任意に置換される。 例えば、アルキル基は、アルキルスルファニルに任意に置換可能であり、アルキルスルファニルは、ハロ、シアノ、オキソ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アリール、ハロアルキル、およびアルキルのうち1~3個に任意に置換可能である。 他の例として、(シクロアルキル)カルボニルアミノのシクロアルキル部分は、ハロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、ハロアルキル、およびアルキルのうち1~3個に任意に置換可能である。 2個のアルコキシ基が同一原子または隣接した原子に結合されるとき、2個のアルコキシ基は、これらが結合される原子と共に環を形成することができる。
【0024】
一具体例において、前記化学式1中、前記R1はイソプロピルであり、前記R2はメチルであり、前記R3は水素であり、前記X1およびX2はClであってもよい。
【0025】
一具体例において、前記イミダゾリン誘導体化合物は、Nutlin-1、Nutlin-2またはNutlin-3であり、前記Nutlin-3は、Nutlin-3aまたはNutlin-3bであってもよい。
【0026】
一具体例において、前記組成物は、抗酸化剤をさらに含んでもよく、前記抗酸化剤は、ニコチンアミド、アントシアニン、ベンゼンジオールアビエタンジテルペン、カルノシン、カロテノイド、キサントフィル、サフラン内のカロテノイド、クルクミノイド、シクロペンテノンプロスタグランジン、フラボノイド、プレニルフラボノイド、レチノイド、スチルベノイド、尿酸、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、セレニウム、亜鉛、脂質過酸化およびその副産物の阻害剤およびスカベンジャー、チリラザド、並びにこれらの類似体、誘導体、塩および組み合わせからなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0027】
一具体例において、前記イミダゾリン誘導体化合物は、老化細胞でp53およびp21のうちいずれか1つ以上を過剰発現させてもよく、これによって、老化細胞を選択的に死滅させることができる。
【0028】
一具体例において、前記黄斑変性は、加齢黄斑変性(age-related macular degeneration, AMD)、湿性黄斑変性および乾性黄斑変性からなる群から選択された1つ以上であってもよい。 網膜にドルーゼン(老廃物が黄斑部にたまっていく状態)や網膜色素上皮の萎縮のような病変が生じた場合を乾性黄斑変性といい、網膜下に脈絡膜新生血管が成長して生じる疾患を湿性黄斑変性という。 本発明によるイミダゾリン誘導体化合物を投与するか、またはイミダゾリン誘導体化合物および抗酸化剤を複合し、老化した網膜に投与する場合、ドルーゼンが減少し、ブルッフ膜が薄くなるので、乾性黄斑変性に効果的である。 一実施形態によって、Nutlin-3を投与するか、またはNutlin-3およびニコチンアミドを複合して投与する場合、ドルーゼンが減少し、ブルッフ膜が薄くなることを確認した。
【0029】
他の態様は、下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含み、前記イミダゾリン誘導体化合物は、抗酸化剤と併用投与される、黄斑変性の予防用または治療用の薬学的組成物を提供する:
【0030】
ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【0031】
さらに他の態様は、下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を、それを要する個体に投与するステップを含む、黄斑変性予防方法または治療方法を提供する:
【0032】
ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【0033】
前記併用投与は、イミダゾリン誘導体化合物および抗酸化剤を同時に、順次または個別に、かつ任意の順序で投与することを意味することができる。
【0034】
詳しくは、前記併用投与は、イミダゾリン誘導体化合物および抗酸化剤を同時に投与するか、またはイミダゾリン誘導体化合物および抗酸化剤のうちいずれか1つを投与した後に他の1つを投与するものであってもよい。 本発明による併用治療法は、例えば、反応程度、反応速度、疾病進行までの期間、または生存期間を通じて測定された効能が、併用治療法の成分のうち1つまたは残りを通常の容量で投薬して得られる効能より治療学的に優れていれば、相乗効果を提供することができるものと定義することができる。 例えば、前記それぞれを単独で使用して得られる効能より、治療学的にその効能が優れていれば、併用治療法の効能は相乗的である。 特に、反応程度、反応速度、疾病進行までの期間および生存データのうち1つ以上に悪影響を与えることなく、特に、反応持続期間に悪影響を与えることなく、各成分を通常の容量で使用したときより、問題になる副作用が減少/減少または少なく、かつイミダゾリン誘導体化合物の通常の容量を減少させることができれば、相乗効果があるものと見なす。 前記イミダゾリン誘導体化合物および抗酸化剤が併用投与される場合、前記イミダゾリン誘導体化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、約1mg/kg~約100mg/kg、例えば、10mg/kg~80mg/kg、10mg/kg~60mg/kg、20mg/kg~80mg/kg、20mg/kg~60mg/kg、30mg/kg~80mg/kg、30mg/kg~60mg/kg、40mg/kg~80mg/kg、または40mg/kg~60mg/kgで投与可能である。 また、前記抗酸化剤は、約50mg/kg~150mg/kg、例えば、60mg/kg~150mg/kg、60mg/kg~130mg/kg、60mg/kg~110mg/kg、70mg/kg~150mg/kg、70mg/kg~130mg/kg、70mg/kg~110mg/kg、80mg/kg~150mg/kg、80mg/kg~130mg/kg、80mg/kg~110mg/kg、90mg/kg~150mg/kg、90mg/kg~130mg/kg、または90mg/kg~110mg/kgで投与可能である。
【0035】
前記化合物は、薬学的に許容される塩の形態に存在することができる。 前記薬学的に許容可能な塩は、酸または塩基の付加塩およびその立体化学的異性体形態をいずれも含み、例えば、有機酸または無機酸の付加塩であってもよい。 前記塩には、投与対象において親化合物(parent compound)の活性を維持し、好ましくない効果を誘発しない塩であれば、いずれも含まれ、特に制限されるものではない。
【0036】
当該塩には、無機塩と有機塩とが含まれ、例えば、酢酸、硝酸、アスパラギン酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、グルタミン酸、ギ酸、コハク酸、リン酸、フタル酸、タンニン酸、酒石酸、臭化水素酸、プロピオン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ステアリン酸、乳酸、重炭酸、重硫酸、二酒石酸、シュウ酸、酪酸、エデト酸カルシウム、炭酸、クロロ安息香酸、クエン酸、エデト酸、トルエンスルホン酸、フマル酸、グルセプト酸、エシル酸、パモ酸、グルコン酸、メチル硝酸、マロン酸、塩酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、マンデル酸、粘液酸、ナフチル酸、ムコン酸、p-ニトロメタンスルホン酸、ヘキサミン酸、パントテン酸、リン酸一水素酸、リン酸二水素酸、サリチル酸、スルファミン酸、スルファニル酸、またはメタンスルホン酸であってもよい。
【0037】
また、前記塩の形態としては、アンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩のようなアルカリおよびアルカリ土類金属の塩、例えば、ベンザチン、N-メチル-D-グルカミンおよびヒドラバミン塩のような有機塩基を有する塩、並びにアルギニンおよびリジンのようなアミノ酸を有する塩を含む。 さらに、前記塩の形態は、適当な塩基または酸で処理することによって遊離形態に切り替えられてもよい。
【0038】
用語「治療剤」または「薬学的組成物」は、対象への投与時にいくつかの有利な効果を付与する分子または化合物を指す。 有利な効果は、診断的決定を可能にすること;疾病、症状、障害または病態の改善;疾病、症状、障害または疾患の発病の減少または予防;および一般的に疾病、症状、障害または病態の対応を含む。
【0039】
本発明の薬学的組成物は、意図した投与方法に適切な任意の形態であってもよい。 本発明の薬学的組成物において、「投与」は、任意の適切な方法により、患者に所定の物質を導入することを意味し、前記薬学的組成物の投与経路は、薬物が目的組織に達することができる限り、任意の一般的な経路を通じて投与可能である。 例えば、眼球局所投与(例えば、眼球の周囲(例えば、テノン嚢下(subTenon’s))、結膜下、眼球内、硝子体内、前房内、網膜下、脈絡膜上および後眼房投与)、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与、局所投与、鼻腔内投与、肺内投与、直腸内投与などが挙げられるが、これに制限されない。 さらに、本発明の薬学的組成物は、有効成分が標的細胞に移動することができる任意の装置により投与することも可能である。 本発明の薬学的組成物は、適用される疾患の種類によって、投与経路が決定されることが好ましい。
【0040】
本明細書で提供される薬学的組成物は、通常の方法によって剤形化された、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルション、シロップ、エアロゾルなどの経口用剤形、または懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、外用剤、坐剤、滅菌注射溶液、移植用製剤などの非経口用剤形などに剤形化して使用可能である。
【0041】
前記薬学的組成物は、有効成分(すなわち、前記化合物またはその薬学的に許容可能な塩)の他に、剤形化に使用可能な、薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含んでもよい。
【0042】
本発明の薬学的組成物の剤形化に使用可能な賦形剤は、担体、ビヒクル、希釈剤、溶媒、例えば、1価アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、および多価アルコール、例えば、グリセロールおよび食用油、例えば、大豆油、ココナッツ油、オリーブ油、サフラワー油、綿実油、油性エステル、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル;結合剤、アジュバント、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、崩壊剤、滑沢剤、潤滑剤、緩衝剤、乳化剤、湿潤制、懸濁剤、甘味剤、着色剤、風味剤、コーティング剤、防腐剤、抗酸化剤、加工剤、薬物送達改質剤およびエンハンサー(enhancer)、例えば、リン酸カルシウム、マグネシウムステート、タルク、単糖類、二糖類、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストロース、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス、イオン交換樹脂などからなる群から選択された1種以上を含むが、これらに制限されるものではない。
【0043】
本発明の薬学的組成物に含まれる、薬学的に許容される担体は、製剤の際に通常用いられるものであり、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。 本発明の薬学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含んでもよい。 適切な薬学的に許容される担体および製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載されている。
【0044】
前記薬学的組成物は、様々な経口投与剤形の形態に剤形化可能である。 例えば、錠剤、丸剤、硬・軟質カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳化剤、シロップ剤、顆粒剤、エリキシル剤などの任意の経口投与用の剤形とすることができる。 当該経口投与用の剤形は、各剤形の通常の構成によって、前記有効成分の他に、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシンなどの希釈剤や、シリカ、タルク、ステアリン酸およびそのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコールなどの滑沢剤などの製薬上許容可能な担体を含んでもよい。
【0045】
また、前記経口投与用の剤形が錠剤である場合、マグネシウムアルミニウムシリケート、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカンス、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリジンなどの結合剤を含み、場合によっては、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩のような崩壊剤や、沸騰混合物および/または吸収剤、着色剤、香味剤または甘味剤などを含むこともできる。
【0046】
そして、前記薬学的組成物は、非経口投与剤形の形態に剤形化されることも可能であるが、この場合、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射または胸部内注射などの非経口投与方法により投与される。 このとき、前記非経口投与剤形に製剤化するために、前記薬学的組成物は、有効成分が安定剤または緩衝剤と共に水中で混合され、溶液または懸濁液として製造され、当該溶液または懸濁液がアンプルまたはバイアルの単位投与型として製造することができる。
【0047】
また、前記薬学的組成物は、滅菌されるか、あるいは防腐剤、安定化剤、水和剤または乳化促進剤、浸透圧調節のための塩および/または緩衝剤などの補助剤をさらに含んでもよく、その他の治療的に有用な物質をさらに含んでもよく、混合、顆粒化またはコーティングの通常の方法によって製剤化することができる。
【0048】
前記薬学的組成物中の前記化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の含量は、薬学的組成物の使用目的、剤形の形態などによって適宜調節可能であり、例えば、薬学的組成物の全体重量を基準として、0.001~99重量%、0.001~90重量%、0.001~50重量%、0.01~50重量%、0.1~50重量%、または1~50重量%であるが、これらに制限されるものではない。
【0049】
さらに、本発明の薬学的組成物に含まれる前記化合物、またはその薬学的に許容可能な塩の治療上の有効量は、疾患治療効果を期待するために投与に要求される量を意味する。 したがって、患者の疾患種類、疾患の軽重、投与される有効成分の種類、剤形の種類、患者の年齢、性別、体重、健康状態、食餌、薬物の投与時間および投与方法によって調節可能である。 例えば、ヒトを含む哺乳類に対して、一日に0.01~500mg/kg(体重)の薬学的有効量で投与してもよい。 前記薬学的有効量は、所望の効果、例えば、老化関連疾患の治療効果および/または予防効果が得られる量に変わり得る。 前記薬学的有効量は、1日につき1回または2回以上分割され、経口または非経口的経路(例えば、眼球注射、静脈注射、筋肉注射など)を通じて投与可能である。
【0050】
前記薬学的組成物を、黄斑変性を予防または治療するのに有効な量で個体に投与するステップを含むので、個体の黄斑変性を治療することができる。
【0051】
前記個体は、哺乳動物であってもよい。 前記哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、またはブタであってもよい。
【0052】
本願に使用されるように、「治療」または「治療する」または「緩和する」または「改善する」は、相互交換可能に使用される。 これらの用語は、治療利益および/または予防的利益を含むが、これらに限定されず、有利なまたは所望の結果を得る方法を指す。 治療利益は、治療中の1つ以上の疾病、疾患または症状の任意の治療的に有意な改善、またはそれについての効果を意味する。 予防的利益において、組成物は、特定の疾病、疾患または症状が発生する危険がある対象に、あるいは疾病、疾患または症状がまだ現れていなくても、疾病の1つ以上の生理学的症状を報告する対象に投与可能である。
【0053】
用語「有効量」または「治療的有効量」は、有利なまたは所望の結果をもたらすのに十分な作用剤の量を指す。 治療的有効量は、治療される対象および病態、対象の体重および年齢、病態の重症度、投与方式などのうち1つ以上によって変わり、これは、当業者により容易に決定可能である。 さらに、前記用語は、本願に述べられた映像化方法のうち任意のものによる検出のためのイメージを提供する容量に適用される。 特定の容量は、選択された特定の作用剤、それによる投与療法、それが他の化合物と併用して投与されるか否か、投与時期、映像化される組織、およびそれを運搬する身体伝達システムのうち1つ以上によって変わり得る。
【0054】
さらに他の態様は、下記化学式1で表示されるイミダゾリン誘導体化合物、またはその塩を有効成分として含む、黄斑変性予防用または改善用の健康機能食品を提供する:
【0055】
ここで、R1~R3は、それぞれ独立して、H、C1~C10のアルキル、C2~C10のアルケニル、C2~C10のアルキニル、またはC1~C10のアルコキシであり、X1およびX2は、それぞれ独立してハロゲンである。
【0056】
一具体例において、前記健康機能食品は、抗酸化剤をさらに含んでもよい。
【0057】
本発明で使用される用語「健康機能食品」とは、健康機能食品に関する法律第6727号による、人体に有用な機能性を持った原料や成分を用いて製造および加工した食品をいい、人体の構造および機能に対して栄養素を調節したり、生理学的作用などの保健用途に有用な効果を得る目的で摂取することを意味する。
【0058】
本発明の組成物を食品添加物として使用する場合、前記組成物をそのまま添加してもよく、他の食品または成分と共に使用してもよく、通常の方法によって適宜使用することができる。 有効成分の混合量は、使用目的によって適宜決定することができる。 前記食品添加物は、外観、香味、組織または保存性を向上させるための目的として、通常少量が食品に意図的に添加されるものを指し、食品の品質を改良し、保存性または嗜好性を向上させるだけでなく、栄養価および食品の実質的な価値を増進させる目的として使用することを意味する。 これは、食品衛生法第2条第2号で定義されているように、食品の製造加工または保存において、食品に添加、混合、浸潤、その他の方法で使用される物質であってもよい。
【0059】
本発明の食品の種類には、特に制限されない。 本発明の組成物を添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ類、パン類、チョコレート類、キャンディ類、スナック類、菓子類、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含んだ酪農製品、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料および複合ビタミン剤などがあり、通常の意味における食品をいずれも含み、動物のための飼料として利用される食品を含む。
【0060】
本発明の健康機能食品は、通常の食品添加物を含み、食品添加物として適しているか否かは、他の規定がない限り、食品医薬品安全庁に承認された食品添加物公典の総則および一般の試験法などにより、当該品目に関する規格および基準により判定する。
【0061】
また、本発明の食品組成物は、種々の栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸およびその塩、アルギン酸およびその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができる。 その他、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料および野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。
【0062】
また、前記食品は、公知の製造方法によって、錠剤、顆粒、粉末、カプセル、液状の溶液および丸剤などの剤形でも製造可能である。 本発明の化合物を有効成分として含むことを除いては、他の成分は、特に制限されず、通常の種々の香味剤または天然炭水化物などを追加成分として含むこともできる。
【0063】
例えば、錠剤形態の健康機能食品は、本発明の有効成分である前記化学式1の化合物を賦形剤、結合剤、崩壊剤および他の添加剤と混合した混合物を、通常の方法により顆粒化した後、滑沢剤などを入れて圧縮成形するか、または前記混合物を直接圧縮成形することができる。 また、前記錠剤形態の健康機能食品は、必要に応じて、矯味剤などを含有してもよい。
【0064】
カプセル形態の健康機能食品のうち、硬質カプセル剤は、通常の硬質カプセルに、本発明の有効成分である前記化学式1の化合物を賦形剤などの添加剤と混合した混合物を充填して製造することができ、軟質カプセル剤は、前記化学式1の化合物を賦形剤などの添加剤と混合した混合物を、ゼラチンのようなカプセル基剤に充填して製造することができる。 前記軟質カプセル剤は、必要に応じて、グリセリンまたはソルビトールなどの可塑剤、着色剤、保存剤などを含有してもよい。
【0065】
丸剤形態の健康機能食品は、本発明の有効成分である前記化学式1の化合物を賦形剤、結合剤、崩壊剤などと混合した混合物を、公知の方法により成形して調製することができ、必要に応じて、白糖や他のコーティング剤でコーティングしてもよく、デンプンおよびタルクのような物質で表面をコーティングしてもよい。
【0066】
顆粒形態の健康機能食品は、本発明の有効成分である前記化学式1の化合物を賦形剤、結合剤、崩壊剤などと混合した混合物を、公知の方法により粒状に製造することができ、必要に応じて、着香剤、矯味剤などを含有してもよい。
【0067】
前記発明について述べた用語および方法などは、各発明の間に同様に適用される。
【発明の効果】
【0068】
一態様によるイミダゾリン誘導体化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む組成物によれば、老化細胞を選択的に死滅させ、ドルーゼンと黄斑萎縮が減少するので、黄斑変性の予防および/または治療に有用である効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】ARPE-19細胞にドキソルビシンを処理した場合、SA-β-gal染色を行い、細胞が老化細胞に誘導されたことを確認した写真である。
図2】ARPE-19細胞にドキソルビシンを処理した場合、SA-β-gal染色が行われた細胞数を示し、細胞が老化細胞に誘導されたことを確認したグラフである。
図3】ARPE-19細胞にドキソルビシンを処理して誘導された老化細胞において、p53が高く発現することを確認した写真およびグラフである。
図4】ARPE-19細胞にドキソルビシンを処理して誘導された老化細胞において、p21が高く発現することを確認した写真およびグラフである。
図5】ARPE-19細胞にドキソルビシンを処理して誘導された老化細胞において、炎症因子が高く発現することを確認したグラフである。
図6】Nutlin-3を処理した場合、老化細胞の死滅が起こることを確認したグラフである。
図7】Nutlin-3を処理した場合、老化細胞においてp53がさらに過剰発現することを確認したグラフである。
図8】Nutlin-3を処理した場合、老化細胞においてp53がさらに過剰発現することを確認した写真である。
図9】マウスの網膜組織にドキソルビシンを処理した場合、SA-β-gal染色を行い、細胞が老化細胞に誘導されたことを確認した写真である。
図10】マウスの網膜組織にドキソルビシンを処理して誘導された老化細胞において、p53およびp21が高く発現することを確認した写真である。
図11】マウスの網膜組織にドキソルビシンを処理して誘導された老化細胞において、ドルーゼンマーカーAPOEの発現が高くなることを確認した写真である。
図12】マウスの網膜組織にドキソルビシンを処理し、ドルーゼンの量が多くなり、ブルッフ膜の厚みが厚くなることを確認した写真である。
図13】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3を処理した場合、老化細胞の死滅が起こったことを確認した写真である。
図14】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3を処理した場合、老化細胞の死滅が起こったことを確認したグラフである。
図15】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3を処理した場合、老廃物が減少し、細胞組織整列状態が好転したことを確認した写真である。
図16】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3を処理した場合、ドルーゼンの量が少なくなり、ブルッフ膜の厚みが薄くなることを確認した写真である。
図17】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3を処理した場合、ブルッフ膜の厚みが薄くなることを確認したグラフである。
図18】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3およびニコチンアミドを複合して処理した場合、老化細胞の死滅が起こったことを確認したグラフである。
図19】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3およびニコチンアミドを複合して処理した場合、老化細胞の死滅が起こったことを確認した写真である。
図20】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3およびニコチンアミドを複合して処理した場合、老廃物が減少することを確認したグラフである。
図21】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3およびニコチンアミドを複合して処理した場合、老廃物が減少することを確認した写真である。
図22】マウスの網膜組織の老化細胞にNutlin-3およびニコチンアミドを複合して処理した場合、ドルーゼンマーカーAPOEの発現が低くなり、細胞組織整列状態が好転することを確認した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。 これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものと解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明である。
【0071】
実施例1. ドキソルビシンを処理し、老化細胞の誘導確認
過酸化物アニオンを形成し、DNA損傷を誘導し、細胞老化誘導物質として使用されるドキソルビシン(Dox)を使用して、ヒト網膜色素上皮(retinal pigment epithelium, RPE)細胞株であるARPE-19を老化細胞に誘導した。
【0072】
ARPE-19細胞は、American Type Culture Collection(ATCC、CRL-2302、バージニア、米国)から入手し、これを、10%ウシ胎児血清(Invitrogen 16000、ウォルサム、米国)およびペニシリン・ストレプトマイシン(pen/strep、WellGene、LS 202-02)が補充されたDulbecco’s modified Eagle’s培地/栄養混合物F-12(WellGene、LM 002-04、韓国)で37℃、5% CO2の加湿培養器で培養した。 細胞を15~25継代し、約70~80%密集した後に細胞を使用した。
【0073】
前記培養したARPE-19細胞を、ドキソルビシン(Dox、Tocris Bioscience #2252、Bristol、イギリス)で細胞老化を誘導する前に、ウェル当たり25,000または100,000細胞の密度で24ウェルプレートまたは6ウェルプレートに接種した。 24時間後、250nMドキソルビシンを添加し、細胞をさらに3日間培養した。 3日後、細胞をドキソルビシンがない培地に入れ、毎日培地を交換した。 10日目に、ドキソルビシンが処理された老化細胞(SnCs)、およびドキソルビシンが処理されず、培地のみを交換した非老化細胞(non-SnCs)を、追加実験のために24ウェルプレートまたは6ウェルプレートに接種した。
【0074】
24ウェルプレートで増殖し、老化が誘導されたARPE-19細胞を、老化関連のβ-ガラクトシダーゼ(Senescence-associated beta-galactosidase, SA-β-gal)染色のために、細胞を常温で15分間固定液で固定し、PBSで洗浄した後、染色液で6時間染色した。 イメージは、倒立顕微鏡(Carl Zeiss Axio Scope A1, Gottingen, Germany)を使用してキャプチャした。
【0075】
その結果、図1および図2に示すように、ドキソルビシンが処理されたARPE-19細胞が老化細胞に誘導されたことを確認した。
【0076】
実施例2. 老化細胞におけるp53およびp21の過剰発現確認
前記実施例1で誘導された老化細胞がp53およびp21を過剰発現するか否かを確認するために、以下のように実験を行った。
【0077】
前記実施例1の6ウェルプレートで増殖した、ドキソルビシンが処理された老化細胞(SnCs)、および非老化細胞(non-SnCs)を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche, 11697498001, Basel, Switzerland)が補充されたRIPA緩衝液(Thermo Fisher Scientific, 89901)に溶解した。 細胞のタンパク質濃度は、BCAアッセイ(Pierce, 23227, Waltham, USA)を使用して定量化した。 同量のタンパク質を10~12%ポリアクリルアミドゲルでSDS-PAGEにより分離し、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜にトランスファーした。 次いで、PVDF膜を緩衝液中の5%脱脂粉乳で1時間遮断し、抗p53(1:500, Santa Cruz Biotechnology, SC-126)、抗p21(1:500, Santa Cruz Biotechnology, SC-6246)および抗β-actin(1:2000, Abcam, ab8226)抗体を入れ、4℃で一晩インキュベーションした後、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG(1:5000, Cell Signaling, 7076S)抗体と共にインキュベーションした。 次いで、化学発光基質(Amersham, RDN2232, Little Chalfont, UK)を使用して、免疫反応性タンパク質を視覚化し、ImageJソフトウェア(NIH, USA)を使用して、密度計で定量化した。 全ての実験は、少なくとも3回繰り返した。
【0078】
その結果、図3および図4に示すように、非老化細胞に比べ、老化細胞においてp53およびp21が高く発現することを確認した。
【0079】
実施例3. 老化細胞における炎症因子の過剰発現確認
前記実施例1で誘導された老化細胞が炎症因子を過剰発現するか否かを確認するために、以下のように実験を行った。
【0080】
前記実施例1の6ウェルプレートで増殖した、ドキソルビシンが処理された老化細胞(SnCs)、および非老化細胞(non-SnCs)から、TRIzol試薬(Invitrogen, 15596026)を使用して、総RNAを分離した。 RNA分離後、mRNAを、逆転写酵素(Thermo Fisher Scientific, 4368813)を使用して、cDNAに転写した。 mRNAは、CFX Connect Real-Timeシステム(BIO-RAD, CA, USA)を使用して、40周期で特定のプライマーで定量化した。
【0081】
PCR産物は、溶解曲線分析(melting curve analysis)により識別された。 相対mRNA発現は、2-ΔΔCt方法を使用して計算された。 GAPDHは、内部参照遺伝子として使用した。 平均Ct値は、GAPDHに正規化した。 リアルタイムPCRは、各群に対し、少なくとも3回繰り返した。
【0082】
その結果、図5に示すように、非老化細胞では、炎症因子が発現せず、老化細胞において、炎症因子であるIL-1β、IL-6、MMP3およびCXCL10が高く発現することを確認した。
【0083】
実施例4. Nutlin-3の老化細胞の選択的死滅効果確認
Nutlin-3が老化細胞を選択的に死滅させるか否かを確認するために、以下のようにNutlin-3を細胞に処理してヨウ化プロピジウムで染色した。
【0084】
前記実施例1の24ウェルプレートで増殖した、ドキソルビシンが処理された老化細胞(SnCs)、および非老化細胞(non-SnCs)に、Nutlin-3を濃度別に処理した。 24時間後、培地を取り除き、ヨウ化プロピジウム(PI, BD Biosciences, 51-66211E, 1.5ug/ml)およびHoechst 33342(Invitrogen, H1399, 1ug/ml)を含む培地を各ウェルに添加した。 30分後、超高解像度共焦点レーザー走査型顕微鏡(Carl Zeiss, LSM800)を使用してイメージを得た。
【0085】
その結果、図6に示すように、老化細胞は、非老化細胞に比べ、50uM濃度で7倍、75uM濃度で3倍さらに死滅することが示された。 このような結果は、Nutlin-3が老化細胞を選択的に死滅させる効果があることを示している。
【0086】
実施例5. Nutlin-3のp53過剰発現誘導効果確認
前記実施例4で示したように、Nutlin-3が老化細胞を選択的に死滅させることができる原因を確認するために、以下のように実験を行った。
【0087】
前記実施例1の6ウェルプレートで増殖した、ドキソルビシンが処理された老化細胞(SnCs)、および非老化細胞(non-SnCs)に、Nutlin-3を濃度別に処理した後、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche, 11697498001, Basel, Switzerland)が補充されたRIPA緩衝液(Thermo Fisher Scientific, 89901)に溶解した。 細胞のタンパク質濃度は、BCAアッセイ(Pierce, 23227, Waltham, USA)を使用して定量化した。 同量のタンパク質を10~12%ポリアクリルアミドゲルでSDS-PAGEにより分離し、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜にトランスファーした。 次いで、PVDF膜を緩衝液中の5%脱脂粉乳で1時間遮断し、抗p53(1:500, Santa Cruz Biotechnology, SC-126)および抗β-actin(1:2000, Abcam, ab8226)抗体を入れ、4℃で一晩インキュベーションした後、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG(1:5000, Cell Signaling, 7076S)抗体と共にインキュベーションした。 次いで、化学発光基質(Amersham, RDN2232, Little Chalfont, UK)を使用して、免疫反応性タンパク質を視覚化し、ImageJソフトウェア(NIH, USA)を使用して、密度計で定量化した。 全ての実験は、少なくとも3回繰り返した。
【0088】
その結果、図7および図8に示すように、老化細胞が、非老化細胞に比べ、p53が過剰発現しているが、Nutlin-3を処理すれば、p53の発現がさらに高くなることが示された。 このような結果は、Nutlin-3を処理すれば、p53がさらに過剰発現し、老化細胞の死滅を誘導することを示している。
【0089】
実施例6. インビボで老化細胞の誘導確認
老化細胞誘導物質を使用して、以下のようにマウスの網膜組織を老化細胞に誘導した。
光学顕微鏡(Olympus SZ51, Tokyo, Japan)下で、30ゲージ滅菌針(BD Science, San Jose, USA)を使用して、リムバス(limbus)に小さな穴を開けた。 次いで、鈍い35ゲージハミルトンマイクロシリンジ(Hamilton Company, NV, USA)を、穴を通してゆっくり挿入した。 100ng/μl Doxまたは1.4μg/μl Alu RNA 1uLを、それぞれC57BL/6NマウスまたはC57BL/6Jマウスの網膜下空間に7日間注入した。
【0090】
次いで、マウスをCO2ガスで麻酔した後、目を直ちに摘出した。 前方眼球は、冷PBSで解剖した。 網膜を注意深く取り除いた後、RPE/脈絡膜/強膜複合組織または切片化された網膜を、直ちにSA-β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)染色キット(BioVision, #K320, California, USA)と共に提供された固定液で室温で20分間固定し、製造業者のプロトコルに従って、SA-β-gal染色キットと共に提供される染色溶液ミックスで染色させた。 37℃で一晩SA-β-gal染色後、RPE/脈絡膜の暗いメラニン色素を漂白し、これらの組織においてメラニン色素により覆い隠されたSA-β-gal染色を示した。 RPE/脈絡膜の脱色のために、RPE/脈絡膜/強膜複合組織を30% H22に浸漬し、55℃の熱ブロックで45分間インキュベーションした後、PBSで濯ぎ、光学顕微鏡(Olympus SZ51)下で、マイクロポイントピンサーと手術用ブレード(World Precision Instruments, Florida, USA)で平らに固定した。 染色された、RPE/脈絡膜フラットマウントまたは切片化された網膜のイメージは、倒立顕微鏡(Leica Microsystems #DMi1, Wetzlar, Germany)を使用してキャプチャした。
【0091】
その結果、図9に示すように、マウスの網膜組織の細胞が老化細胞に誘導されたことを確認した。
【0092】
実施例7. インビボで老化細胞のp53およびp21過剰発現確認
前記実施例6で誘導された老化細胞がp53およびp21を過剰発現するか否かを確認するために、以下のように実験を行った。
前記網膜組織をPBS中の1% BSAで1時間遮断した後、固定された組織または細胞を、p53(1:50, Santa Cruz Biotechnology, Texas, USA)およびp21(1:50, Santa Cruz Biotechnology)に対する一次抗体と共に4℃で一晩インキュベーションした。 染色された組織または細胞をPBSで5分間2回洗浄し、Alexa Fluor結合された二次抗体と共に室温で2時間インキュベーションした。 前記二次抗体は、Alexa Fluor 555結合ヤギ抗マウスIgG(Thermo Fisher Scientific, A-11029, Waltham, USA)、Alexa Fluor 488結合ヤギ抗マウスIgG(Thermo Fisher Scientific, A-21424)、Alexa Fluor 555結合ヤギ抗ウサギIgG(Thermo Fisher Scientific, A-21424)またはAlexa Fluor 488結合ヤギ抗ウサギIgG(Thermo Fisher Scientific, A-11034)を使用した。 全ての二次抗体は、1:1000に希釈した後に使用した。 二次抗体と共にインキュベーションした後、組織または細胞を、PBS中の核染料DAPI(1:4000, Thermo Fisher Scientific, 62248)またはHoechst 33342(1:3000, Thermo Fisher Scientific, H3570)で室温で15分間染色した。 その後、組織を固定培地(Ployscience, 18606-20, PA, USA)に固定した。 染色された細胞を倒立顕微鏡(Carl Zeiss, LSM 900, Oberkochen, Germany)で観察した。
【0093】
その結果、図10に示すように、老化細胞に誘導されない正常細胞に比べ、老化細胞に誘導されたマウスの網膜組織の細胞がp53およびp21を過剰発現することを確認した。
【0094】
実施例8. インビボで老化細胞によるドルーゼン発現確認
前記実施例6で誘導された老化細胞によってドルーゼンが発現するか否かを確認するために、以下のように実験を行った。
前記網膜組織をPBS中の1% BSAで1時間遮断した後、固定された組織または細胞を、ドルーゼンマーカーであるAPOEに対する一次抗体(1:50, Santa Cruz Biotechnology)と共に4℃で一晩インキュベーションした。 染色された組織または細胞をPBSで5分間2回洗浄し、Alexa Fluor結合された二次抗体と共に室温で2時間インキュベーションした。 前記二次抗体は、Alexa Fluor 555結合ヤギ抗マウスIgG(Thermo Fisher Scientific, A-11029, Waltham, USA)、Alexa Fluor 488結合ヤギ抗マウスIgG(Thermo Fisher Scientific, A-21424)、Alexa Fluor 555結合ヤギ抗ウサギIgG(Thermo Fisher Scientific, A-21424)またはAlexa Fluor 488結合ヤギ抗ウサギIgG(Thermo Fisher Scientific, A-11034)を使用した。 全ての二次抗体は、1:1000に希釈した後に使用した。 二次抗体と共にインキュベーションした後、組織または細胞を、PBS中の核染料DAPI(1:4000, Thermo Fisher Scientific, 62248)またはHoechst 33342(1:3000, Thermo Fisher Scientific, H3570)で室温で15分間染色した。 その後、組織を固定培地(Ployscience, 18606-20, PA, USA)に固定した。 染色された細胞を倒立顕微鏡(Carl Zeiss, LSM 900, Oberkochen, Germany)で観察した。
【0095】
その結果、図11に示すように、老化細胞に誘導されない正常細胞に比べ、老化細胞に誘導されたマウスの網膜組織の細胞がドルーゼンを発現することを確認した。
【0096】
さらに、マウスの眼球を、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)中の2%グルタルアルデヒドおよび3.75%スクロースを含む溶液で30分間固定させ、30分間3.75%スクロースを含む0.1M PBSで3回洗浄し、TEM用サンプルを準備した。 眼球を、0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)中の0.1%オスミウム四酸化物および5%スクロースを含む溶液で1時間固定し、蒸留水で3回濯いだ。 次いで、サンプルを、等級の付けられた一連のアセトン溶液(20%段階)で脱水し、エポキシ樹脂に埋め込んだ。 樹脂を70℃で12時間重合させた。 RMC CR-Xウルトラミクロトームで超薄型切片(100nm)を得た後、JEOL JEM-1400電子顕微鏡でイメージ化した。 ブルッフ膜の厚みは、TEMを使用して測定した。 ブルッフ膜の平均厚みは、各グループの9個のイメージで厚みを測定して決定され、その結果を図12に示した。 図12に示すように、ドキソルビシンにより老化細胞が誘導された場合、ドルーゼンの量が多くなり、ブルッフ膜の厚みが厚くなることを確認した。
【0097】
実施例9. インビボでNutlin-3による老化細胞死滅効果確認
光学顕微鏡(Olympus SZ51, Tokyo, Japan)下で、30ゲージ滅菌針(BD Science, San Jose, USA)を使用して、リムバス(limbus)に小さな穴を開けた。 次いで、鈍い35ゲージハミルトンマイクロシリンジ(Hamilton Company, NV, USA)を、穴を通してゆっくり挿入した。 100ng/μl Doxまたは1.4μg/μl Alu RNA 1uLを、それぞれC57BL/6NマウスまたはC57BL/6Jマウスの網膜下空間に7日間注入した後、20ng/μl Nutlin-3(#SML0580, St. Louis, USA)またはビヒクル(正常食塩水中の0.4% DMSO)を3日に1回ずつ、7日間注入し、合計2回ずつ鈍い35ゲージハミルトンマイクロシリンジで硝子体内注射した。
【0098】
次いで、マウスをCO2ガスで麻酔した後、目を直ちに摘出した。 前方眼球は、冷PBSで解剖した。 網膜を注意深く取り除いた後、RPE/脈絡膜/強膜複合組織または切片化された網膜を、直ちにSA-β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)染色キット(BioVision, #K320, California, USA)と共に提供された固定液で室温で20分間固定し、製造業者のプロトコルに従って、SA-β-gal染色キットと共に提供される染色溶液ミックスで染色させた。 37℃で一晩SA-β-gal染色後、RPE/脈絡膜の暗いメラニン色素を漂白し、これらの組織においてメラニン色素により覆い隠されたSA-β-gal染色を示した。 RPE/脈絡膜の脱色のために、RPE/脈絡膜/強膜複合組織を30% H22に浸漬し、55℃の熱ブロックで45分間インキュベーションした後、PBSで濯ぎ、光学顕微鏡(Olympus SZ51)下で、マイクロポイントピンサーと手術用ブレード(World Precision Instruments, Florida, USA)で平らに固定した。 染色された、RPE/脈絡膜フラットマウントまたは切片化された網膜のイメージは、倒立顕微鏡(Leica Microsystems #DMi1, Wetzlar, Germany)を使用してキャプチャした。
【0099】
その結果、図13および図14に示すように、ビヒクルが注入された群に比べ、Nutlin-3が注入された群において、β-ガラクトシダーゼ発現が低く、老化細胞死滅が起こったことを確認した。 このような結果は、Nutlin-3が老化細胞を死滅させる効果があることを示している。
【0100】
実施例10. インビボでNutlin-3による病変緩和効果確認
前記実施例9で老化細胞の誘導後、Nutlin-3またはビヒクルが注入された眼球の病変状態を以下のように確認した。
デジタルイメージングシステム(Nikon, Japan)およびHRA2(Heidelberg Engineering, Heidelberg, Germany)に連結されたTRC-50 IXカメラ(Topcon, Tokyo, Japan)で眼球を拡張した後、マウスの目のカラー眼底写真(Color fundus photography)および眼底自家蛍光イメージ(fundus autofluorescence images)をそれぞれキャプチャした。 その結果、図15に示すように、老廃物のあるビヒクルが注入された群に比べ、Nutlin-3が注入された群において、老廃物が有意に減少したことを確認した。
【0101】
また、細胞組織整列状態を確認するために、ZO-1の発現を確認した。 具体的には、前記網膜組織をPBS中の1% BSAで1時間遮断した後、固定された組織または細胞を、ZO-1(1:250, Invitrogen)に対する一次抗体と共に4℃で一晩インキュベーションした。 染色された組織または細胞をPBSで5分間2回洗浄し、Alexa Fluor結合された二次抗体と共に室温で2時間インキュベーションした。 前記二次抗体は、Alexa Fluor 555結合ヤギ抗マウスIgG(Thermo Fisher Scientific, A-11029, Waltham, USA)、Alexa Fluor 488結合ヤギ抗マウスIgG(Thermo Fisher Scientific, A-21424)、Alexa Fluor 555結合ヤギ抗ウサギIgG(Thermo Fisher Scientific, A-21424)またはAlexa Fluor 488結合ヤギ抗ウサギIgG(Thermo Fisher Scientific, A-11034)を使用した。 全ての二次抗体は、1:1000に希釈した後に使用した。 二次抗体と共にインキュベーションした後、組織または細胞を、PBS中の核染料DAPI(1:4000, Thermo Fisher Scientific, 62248)またはHoechst 33342(1:3000, Thermo Fisher Scientific, H3570)で室温で15分間染色した。 その後、組織を固定培地(Ployscience, 18606-20, PA, USA)に固定した。 染色された細胞を倒立顕微鏡(Carl Zeiss, LSM 900, Oberkochen, Germany)で観察した。 その結果、図15に示すように、ビヒクルが注入された群に比べ、Nutlin-3が注入された群において、細胞組織整列状態が好転したことを確認した。
【0102】
前記のような結果は、Nutlin-3による老化細胞死滅により、網膜組織の老廃物が減少し、細胞組織整列状態が好転され、病変が緩和されることを示している。
【0103】
実施例11. インビボでNutlin-3によるドルーゼン発現抑制効果確認
前記実施例9で老化細胞の誘導後、Nutlin-3またはビヒクルが注入された眼球の病変状態を以下のように確認した。
前記実施例9のようにビヒクルのみが注入された群、ドキソルビシンおよびビヒクルが注入された群、ドキソルビシンおよびNutlin-3が注入された群のマウスの眼球を、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)中の2%グルタルアルデヒドおよび3.75%スクロースを含む溶液で30分間固定させ、30分間3.75%スクロースを含む0.1M PBSで3回洗浄し、TEM用サンプルを準備した。 眼球を、0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)中の0.1%オスミウム四酸化物および5%スクロースを含む溶液で1時間固定し、蒸留水で3回濯いだ。 次いで、サンプルを、等級の付けられた一連のアセトン溶液(20%段階)で脱水し、エポキシ樹脂に埋め込んだ。 樹脂を70℃で12時間重合させた。 RMC CR-Xウルトラミクロトームで超薄型切片(100nm)を得た後、JEOL JEM-1400電子顕微鏡でイメージ化した。 ブルッフ膜の厚みは、TEMを使用して測定した。 ブルッフ膜の平均厚みは、各グループの9個のイメージで厚みを測定して決定され、その結果を図16および図17に示した。
【0104】
図16および図17に示すように、Nutlin-3を投与した場合、ビヒクルのみが投与された老化細胞に比べ、ドルーゼンの量が少なくなり、ブルッフ膜の厚みが薄くなることを確認した。 前記のような結果は、Nutlin-3による老化細胞死滅により、網膜組織のドルーゼンが減少し、病変が緩和されることを示している。
【0105】
実施例12. インビボでNutlin-3およびニコチンアミドを複合して投与する際の老化細胞死滅効果確認
光学顕微鏡(Olympus SZ51, Tokyo, Japan)下で、30ゲージ滅菌針(BD Science, San Jose, USA)を使用して、リムバス(limbus)に小さな穴を開けた。 次いで、鈍い35ゲージハミルトンマイクロシリンジ(Hamilton Company, NV, USA)を、穴を通してゆっくり挿入した。 100ng/μl Doxまたは1.4μg/μl Alu RNA 1uLを、それぞれC57BL/6NマウスまたはC57BL/6Jマウスの網膜下空間に7日間注入した後、20ng/μl Nutlin-3(#SML0580, St.Louis, USA)またはビヒクル(正常食塩水中の0.4% DMSO)を0日目および3日目に網膜投与し、Nutlin-3およびニコチンアミドを1:2の割合で、Nutlin-3は50mg/kg、ニコチンアミドは100mg/kgを混ぜ、3日間毎日、経口投与ゾンデを利用して経口投与した。
【0106】
次いで、マウスをCO2ガスで麻酔した後、目を直ちに摘出した。 前方眼球は、冷PBSで解剖した。 網膜を注意深く取り除いた後、RPE/脈絡膜/強膜複合組織または切片化された網膜を、直ちにSA-β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)染色キット(BioVision, #K320, California, USA)と共に提供された固定液で室温で20分間固定し、製造業者のプロトコルに従って、SA-β-gal染色キットと共に提供される染色溶液ミックスで染色させた。 37℃で一晩SA-β-gal染色後、RPE/脈絡膜の暗いメラニン色素を漂白し、これらの組織においてメラニン色素により覆い隠されたSA-β-gal染色を示した。 RPE/脈絡膜の脱色のために、RPE/脈絡膜/強膜複合組織を30% H22に浸漬し、55℃の熱ブロックで45分間インキュベーションした後、PBSで濯ぎ、光学顕微鏡(Olympus SZ51)下で、マイクロポイントピンサーと手術用ブレード(World Precision Instruments, Florida, USA)で平らに固定した。 染色された、RPE/脈絡膜フラットマウントまたは切片化された網膜のイメージは、倒立顕微鏡(Leica Microsystems #DMi1, Wetzlar, Germany)を使用してキャプチャした。
【0107】
その結果、図18および図19に示すように、Nutlin-3とニコチンアミドとが複合されて投与された群において、網膜組織の老化細胞がさらに死滅されたことを確認した。
【0108】
実施例13. インビボでNutlin-3およびニコチンアミドを複合して投与する際の病変緩和効果確認
前記実施例12で老化細胞の誘導後、Nutlin-3単独、またはNutlin-3およびニコチンアミドが複合されて注入された眼球の病変状態を以下のように確認した。
デジタルイメージングシステム(Nikon, Japan)およびHRA2(Heidelberg Engineering, Heidelberg, Germany)に連結されたTRC-50 IXカメラ(Topcon, Tokyo, Japan)で眼球を拡張した後、マウスの目の眼底自家蛍光イメージ(fundus autofluorescence images)をそれぞれキャプチャした。 その結果、図20および図21に示すように、老廃物のあるビヒクルが注入された群に比べ、Nutlin-3、またはNutlin-3およびニコチンアミドが複合されて注入された群において、老廃物が有意に減少したことを確認し、Nutlin-3およびニコチンアミドが複合されて注入された群が、Nutlin-3単独投与群に比べ、誤差範囲が小さいことを確認した。
【0109】
さらに、細胞組織整列状態を確認するために、ZO-1の発現およびドルーゼンマーカーであるAPOEの発現を確認した。 具体的には、前記網膜組織をPBS中の1% BSAで1時間遮断した後、固定された組織または細胞を、ZO-1(1:250, Invitrogen)またはAPOEに対する一次抗体(1:50, Santa Cruz Biotechnology)と共に4℃で一晩インキュベーションした。 染色された組織または細胞をPBSで5分間2回洗浄し、Alexa Fluor結合された二次抗体と共に室温で2時間インキュベーションした。 前記二次抗体は、Alexa Fluor 555結合ヤギ抗マウスIgG(Thermo Fisher Scientific, A-11029, Waltham, USA)、Alexa Fluor 488結合ヤギ抗マウスIgG(Thermo Fisher Scientific, A-21424)、Alexa Fluor 555結合ヤギ抗ウサギIgG(Thermo Fisher Scientific, A-21424)またはAlexa Fluor 488結合ヤギ抗ウサギIgG(Thermo Fisher Scientific, A-11034)を使用した。 全ての二次抗体は、1:1000に希釈した後に使用した。 二次抗体と共にインキュベーションした後、組織または細胞を、PBS中の核染料DAPI(1:4000, Thermo Fisher Scientific, 62248)またはHoechst 33342(1:3000, Thermo Fisher Scientific, H3570)で室温で15分間染色した。 その後、組織を固定培地(Ployscience, 18606-20, PA, USA)に固定した。 染色された細胞を倒立顕微鏡(Carl Zeiss, LSM 900, Oberkochen, Germany)で観察した。 その結果、図22に示すように、ビヒクルが注入された群に比べ、Nutlin-3、またはNutlin-3およびニコチンアミドが複合されて注入された群において、細胞組織整列状態が好転され、ドルーゼンが減少したことを確認した。
【0110】
さらに、Nutlin-3およびニコチンアミドが複合されて注入された群が、Nutlin-3単独投与群に比べ、ドルーゼンがさらに減少し、細胞組織整列状態がさらに好転したことを確認した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図22