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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】USBコンセント
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240712BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240712BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
H02J7/00 301B
H02J13/00 B
H02J13/00 301J
H02J7/00 Y
H01R13/66
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019203580
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021078245
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 修次
(72)【発明者】
【氏名】新倉 栄一郎
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3176054(JP,U)
【文献】特開2008-283828(JP,A)
【文献】特開2010-068185(JP,A)
【文献】特開2019-012479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0012423(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0245362(US,A1)
【文献】特開2009-142012(JP,A)
【文献】特開2013-229259(JP,A)
【文献】特許第6553346(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0026471(US,A1)
【文献】特開昭56-006630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 7/00
H01R 13/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のUSBコネクタを電気的に接続可能な接続部と、
前記接続部から前記機器に電力を供給する電源回路と、
前記電源回路を収容する筐体と、
前記機器に供給される電流の大きさ、前記機器に供給される電流の積算値、前記機器に供給される電力の大きさ、前記機器に供給される電力量、及び前記機器に電力供給している時間の長さの少なくとも1つからなる監視値が閾値を超えると、報知指示を通信により通信端末に送信することで報知する報知部と、を備える、
USBコンセント。
【請求項2】
前記通信端末との間の通信は、無線通信又は電力線搬送通信である、
請求項1に記載のUSBコンセント。
【請求項3】
前記監視値と前記閾値とを比較しており、前記監視値が前記閾値を超えることを検知する検知部を更に備え、
前記報知部は、前記検知部の検知結果を報知する、
請求項1又は2に記載のUSBコンセント。
【請求項4】
前記監視値が、前記閾値、又は前記閾値である第1閾値とは別の第2閾値を超えると、前記機器に供給される電力を制限する制限回路を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のUSBコンセント。
【請求項5】
前記報知部は、
前記筐体の前面に設けられた表示部を有し、
前記表示部の表示態様によって報知する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のUSBコンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にUSBコンセントに関し、より詳細には、機器のUSBコネクタを接続可能なUSBコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、USBプラグが挿入接続されるUSBソケットを有するUSBコンセントが記載されている。このUSBコンセントは、USBソケットが実装されたプリント配線板と、USBプラグが挿通されるプラグ挿通穴を有してプリント配線板を収納するハウジングと、を備えている。ハウジングは、壁面等の施工面に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-154802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、信頼性の向上を図りやすいUSBコンセントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るUSBコンセントは、接続部と、電源回路と、筐体と、報知部と、を備える。前記接続部は、機器のUSBコネクタを電気的に接続可能である。前記電源回路は、前記接続部から前記機器に電力を供給する。前記筐体は、前記電源回路を収容する。前記報知部は、監視値が閾値を超えると、報知指示を通信により通信端末に送信することで報知する。前記監視値は、前記機器に供給される電流の大きさ、前記機器に供給される電流の積算値、前記機器に供給される電力の大きさ、前記機器に供給される電力量、及び前記機器に電力供給している時間の長さの少なくとも1つからなる
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、信頼性の向上を図りやすいUSBコンセントを提供することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1に係るUSBコンセントの使用例を示す概略図である。
図2図2Aは、同上のUSBコンセントの正面図である。図2Bは、同上のUSBコンセントの接続口付近を拡大した正面図である。
図3図3Aは、同上のUSBコンセントの取付対象物への取付構造を示す斜視図である。図3Bは、同上のUSBコンセントの取付対象物への取付状態を示す斜視図である。
図4図4は、同上のUSBコンセントを概念的に示すブロック図である。
図5図5は、同上のUSBコンセントの動作例を示すフローチャートである。
図6図6Aは、実施形態1の変形例に係るUSBコンセントの正面図である。図6Bは、実施形態1の他の変形例に係るUSBコンセントの正面図である。図6Cは、実施形態1の更に他の変形例に係るUSBコンセントの正面図である。
図7図7は、実施形態2に係るUSBコンセントを概念的に示すブロック図である。
図8図8は、実施形態3に係るUSBコンセントを概念的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態1)
(1)概要
まず、本実施形態に係るUSB(Universal Serial Bus)コンセント(Outlet)10の概要について、図1及び図4を参照して説明する。
【0009】
本実施形態に係るUSBコンセント10は、機器9のUSBコネクタ91を接続可能な装置である。USBコンセント10は、USBコネクタ91が接続された状態で、USBコネクタ91を通して機器9(一例として、スマートフォン等)に電力を供給する装置である。機器9は、USBコンセント10から供給される電力にて、例えば、機器9に含まれている蓄電池92(図4参照)の充電を行う。
【0010】
本実施形態に係るUSBコンセント10は、例えば、建物の壁等の取付対象物81に設置される配線器具である。このようなUSBコンセント10は、100V又は200V等の交流電圧を出力する一般的なコンセント装置(Outlet)と同様に、電源(系統電源等)に対して常時、電気的に接続されており、基本的には、常時、通電状態にある。したがって、ユーザにおいては、USBコンセント10に機器9を接続するだけで、USBコンセント10からUSBコネクタ91経由で機器9に電力を供給することが可能となる。
【0011】
ここで、100V又は200V等の交流電圧を出力する一般的なコンセント装置であれば、例えば、スマートフォン等の機器9を充電する場合、機器9に電力を供給するために交流電圧を直流電圧に変換する電源アダプタを用いる必要がある。これに対して、本実施形態に係るUSBコンセント10であれば、電源アダプタを用いることなく、USBコンセント10に対して機器9のUSBコネクタ91を直接的に接続することで、機器9に電力を供給することが可能である。よって、USBコンセント10によれば、電源アダプタの持ち合わせがなくても、例えば、スマートフォン等の機器9の充電が可能となり、しかも、電源アダプタが不要であるために、USBコンセント10の周辺がすっきりする。
【0012】
本実施形態に係るUSBコンセント10は、接続部2と、電源回路11と、筐体3と、報知部102と、を備える。接続部2は、機器9のUSBコネクタ91を電気的に接続可能である。電源回路11は、接続部2から機器9に電力を供給する。筐体3は、電源回路11を収容する。報知部102は、監視値が閾値を超えると報知する。監視値は、機器9に供給される電流の大きさ、機器9に供給される電流の積算値、機器9に供給される電力の大きさ、機器9に供給される電力量、及び機器9に電力供給している時間の長さの少なくとも1つからなる。
【0013】
この構成によれば、電源回路11から機器9に供給される電流の大きさ等の監視値が閾値を超えると、報知部102にて報知が行われる。そのため、例えば、電源回路11の定格出力(電流又は電力)を超えるような過大な電流又は電力が、USBコンセント10から機器9へ供給された場合に、そのことをユーザに知らせることができる。したがって、機器9に供給される電流の大きさ等の監視値の異常を早期に知らせることが可能となり、USBコンセント10の信頼性の向上を図ることができる。結果的に、信頼性の向上を図りやすいUSBコンセント10を提供することができる。
【0014】
(2)詳細な構成
以下、本実施形態に係るUSBコンセント10の詳細な構成について、図1図4を参照して説明する。
【0015】
(2.1)前提
本開示でいう「USB」は、シリアルバス規格の1つであるUSB(Universal Serial Bus)の規格を意味する。本開示において、「USB」は、例えば、USB 1.0、USB 1.1、USB 2.0、USB 3.0、USB 3.1、USB 3.2、及びUSB4といった様々な世代(転送速度の規格)のUSBを含む。また、本開示において、USBの端子形状(接続口4の形状、及びUSBコネクタ91の形状)は、様々な形状を含む。USBの端子形状は、例えば、A端子(Type-A)、B端子(Type-B)及びC端子(Type-C)、並びに、ミニUSB(mini USB)及びマイクロUSB(micro USB)等、更にはこれらの組み合わせを含む。つまり、USBの端子形状は、一例として、ミニUSBのA端子(mini USB Type-A)、及びマイクロUSBのB端子(micro USB Type-B)等を含む。本実施形態では特に断りが無い限り、USBの端子形状がA端子(USB Type-A)である場合を例に説明する。本開示では、USBの端子形状の仕様を「USBコネクタ規格」ということもある。
【0016】
本開示でいう「機器のUSBコネクタ」は、機器9に一体に設けられているコネクタであってもよいし、機器9に接続可能なUSBケーブルの先端に設けられているコネクタであってもよい。つまり、機器9のUSBコネクタ91は、機器9とは別体であって、機器9に対してケーブルを介して接続されるコネクタのように、機器9に付帯するコネクタ等を含む。また、本開示でいう「コネクタ」は、レセプタクルに挿入される「プラグ」であってもよいし、プラグが挿入される「レセプタクル」であってもよい。本実施形態では特に断りが無い限り、機器9のUSBコネクタ91が、機器9に接続可能なUSBケーブルの先端に設けられているUSBプラグである場合を例に説明する。
【0017】
同様に、本開示でいう「接続部」は、機器9のUSBコネクタ91を電気的に接続可能な構造であればよく、プラグが挿入される「レセプタクル」であってもよいし、レセプタクルに挿入される「プラグ」であってもよい。本実施形態では特に断りが無い限り、USBコンセント10の接続部2が、接続口4を含むレセプタクルである場合を例に説明する。つまり、本実施形態では、機器9のUSBコネクタ91がUSBプラグであるので、USBコンセント10の接続部2は、USBプラグを接続可能なレセプタクルである。そのため、USBコンセント10の筐体3が有する接続口4は、接続部2に含まれることになる。
【0018】
本開示でいう「機器」は、USBコンセント10に電気的に接続可能であって、USBコンセント10から電力供給を受ける電気機器(装置、設備及びシステム)である。機器9は、例えば、スマートフォン、タブレット端末若しくはウェアラブル端末等の情報端末、モバイルバッテリ、携帯電話機、カメラ、扇風機、懐中電灯又はテレビジョン受像機等を含む。USBコンセント10は機器9に対して直流の電圧を印加することで直流電力を供給するので、機器9は直流入力に対応した機器である。この種の機器9のうち、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はウェアラブル端末等の機器9は、蓄電池92を備え、USBコンセント10から供給される電力を用いて蓄電池92を充電する機能を有する。以下では、蓄電池92を充電する機能を有する機器9を「充電式の機器」と呼ぶこともある。本実施形態では特に断りが無い限り、USBコンセント10に接続される機器9が、充電式の機器9である場合を例に説明する。
【0019】
本実施形態では、USBコンセント10は、取付対象物81に固定される。本開示でいう「取付対象物」は、USBコンセント10が固定される部材であって、例えば、建物の壁、天井若しくは床等の造営物、又は机、棚、若しくはカウンタ台等の什器(建具を含む)等を含む。USBコンセント10は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校、工場、病院若しくは介護施設等の非住宅施設に設置される。本実施形態では一例として、USBコンセント10は、住宅施設の壁からなる取付対象物81に取り付けられる、埋込型の配線器具であると仮定する。特に、USBコンセント10は、建物の内部で使用される屋内用の配線器具であると仮定する。
【0020】
以下、取付対象物81である住宅施設の壁にUSBコンセント10が固定された状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向をUSBコンセント10の「上下方向」として説明する場合がある。また、USBコンセント10を正面から見て下方をUSBコンセント10の「下方」として説明する場合がある。上下方向と直交し、かつ取付対象物81の表面(壁面)に平行な方向をUSBコンセント10の「左右方向」とし、USBコンセント10を正面から見て右方をUSBコンセント10の「右方」、左方をUSBコンセント10の「左方」として説明する場合がある。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり取付対象物81の表面(壁面)に直交する方向をUSBコンセント10の「前後方向」とし、取付対象物81の裏面側(壁裏側)をUSBコンセント10の「後方」として説明する場合がある。ただし、これらの方向はUSBコンセント10の使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0021】
また、USBコンセント10における筐体3の前面31は、取付対象物81である住宅施設の壁にUSBコンセント10が固定された状態において、基本的には、前方を向くことになる。ただし、筐体3の前面31が前方に向けられることを限定する趣旨ではない。例えば、USBコンセント10が天井に設置される場合には、筐体3の前面31は下方に向けられることになる。
【0022】
また、本開示において、2値の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。ただし、これに限らず、ここでいう「以上」は、2値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」と同義であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」においても「以下」と同義であってもよい。
【0023】
(2.2)基本構成
次に、本実施形態に係るUSBコンセント10の基本構成について、図1図3Bを参照して説明する。
【0024】
上述したように、本実施形態では一例として、USBコンセント10は、住宅施設の壁からなる取付対象物81に取り付けられる、埋込型の配線器具である。つまり、USBコンセント10は、取付対象物81に固定され、取付対象物81の裏側を通した配線L1(図4参照)を接続可能に構成された配線器具である。特に、このUSBコンセント10は、取付対象物81に形成されている施工孔82(図3A参照)に、筐体3の少なくとも一部が埋め込まれた状態で、筐体3が取付対象物81に固定される、埋込型の配線器具である。
【0025】
また、USBコンセント10は、配線L1を接続するための端子部16(図4参照)を備えており、例えば、壁(取付対象物81)内に引き回された配線L1が端子部16に接続されることで、配線L1を介して系統電源等の電源に電気的に接続される。配線L1は、電源(系統電源等)に対して、直接的に接続されてもよいし、分電盤等を介して間接的に接続されてもよい。
【0026】
本実施形態では一例として、USBコンセント10は、端子部16に配線L1が接続されることにより、配線L1を介して、単相100V、60Hzの商用の交流電源(系統電源)に電気的に接続される。ここで、USBコンセント10は、分電盤を介して交流電源(系統電源)に接続されており、分電盤のブレーカ(主幹ブレーカ及び分岐ブレーカ)が導通状態にあれば、常時、通電状態にある。そのため、USBコンセント10は、基本的には、常時、機器9に対して電力を供給可能な状態にある。
【0027】
また、本実施形態では一例として、2個のUSBコネクタ91を接続可能な2個口(2ポート)タイプのUSBコンセント10を例示する。すなわち、本実施形態に係るUSBコンセント10は、USBコネクタ91を接続するための接続部2(接続口4を含む)を複数(ここでは2つ)備え、これら複数の接続部2から機器9への電力供給が可能である。そのため、USBコンセント10は、複数の機器9のUSBコネクタ91が接続された状態で、これら複数の機器9に対して同時に電力供給することが可能である。本実施形態において、複数(ここでは2つ)の接続部2を区別する場合には、個々の接続部2を、第1の接続部21、第2の接続部22ということもある。同様に、複数(ここでは2つ)の接続口4を区別する場合には、個々の接続口4を、第1の接続口41、第2の接続口42ということもある。
【0028】
USBコンセント10は、図2A及び図2Bに示すように、電源回路11と、筐体3と、を備えている。図2Bは、図2Aにおける第1の接続口41付近の拡大図である。
【0029】
電源回路11は、回路基板(プリント配線板)と、回路基板に実装された種々の電子部品と、を有している。電源回路11は、交流電源(系統電源)から端子部16に印加される交流電圧を、直流電圧に変換し、直流電圧を接続部2に出力する。これにより、電源回路11は、接続部2から機器9に電力を供給する。詳しくは後述するが、電源回路11の回路基板には、制御部101(図4参照)等も実装されている。電源回路11は、回路基板を1枚だけ含んでいてもよいし、複数枚の回路基板を含んでいてもよい。
【0030】
筐体3は、上述したように、取付対象物81に固定される。筐体3は、電源回路11を収容する。厳密には、筐体3は、電源回路11の回路基板を収容することで、電源回路11だけでなく制御部101等も収容する。さらに、筐体3には、電源回路11及び制御部101の他、接続部2及び端子部16等の内部部品が適宜収容される。筐体3は、電気絶縁性を有する合成樹脂製である。
【0031】
本実施形態では、筐体3は、直方体状であって、3個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法に形成されている。筐体3は、筐体3が取付対象物81に取り付けられた状態で前方に露出する前面31を有する。ここでは、筐体3の前面31は、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きい長方形状である。筐体3の前面31には、少なくとも1つの接続口4が配置される。
【0032】
本実施形態では、2個口(2ポート)タイプのUSBコンセント10であるため、筐体3の前面31には、2つの接続口4が配置される。これら2つの接続口4は、上下方向において、一定の間隔を空けて並べて配置されている。2つの接続口4の各々は、図2A及び図2Bに示すように、正面視において、左右方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きい長方形状である。つまり、各接続口4は、横向き(横長)の長孔である。
【0033】
接続口4内には、金属製のシェル及びコンタクト等が配置されている。これにより、接続口4は、シェル及びコンタクト等と共に、機器9のUSBコネクタ91を電気的かつ機械的に接続するための接続部2(レセプタクル)を構成する。このように構成される接続部2にUSBコネクタ91が正面からまっすぐ差し込まれることにより、接続部2にUSBコネクタ91が接続される。つまり、差込式のUSBコネクタ91が差込方向である前後方向に沿って接続口4に差し込まれることにより、接続部2に対してUSBコネクタ91が電気的に接続され、かつ機械的に結合されることになる。
【0034】
接続部2とUSBコネクタ91とが接続された状態において、USBコネクタ91が接続部2からまっすぐ引き抜かれることにより、接続部2とUSBコネクタ91との接続が解除される。つまり、USBコネクタ91が差込方向(前後方向)に沿って接続口4から抜去されることにより、接続部2に対するUSBコネクタ91の電気的な接続が解除され、かつ機械的な結合が解除される。要するに、ユーザは、筐体3の前面31に形成された接続口4に対して、USBコネクタ91を挿抜することによって、機器9(USBコネクタ91)の接続部2に対する接続/非接続を切り替えることができる。
【0035】
ここにおいて、本実施形態では、筐体3は、図3Aに示すように、筐体3を取付対象物81に固定するための取付枠84に対して、取外し可能に取り付けられている。さらに、取付枠84には、図3Aに示すように、コンセントプレート8が取り付けられる。ここで、本実施形態では、取付枠84及びコンセントプレート8を、USBコンセント10の構成要素に含まないこととする。ただし、取付枠84及びコンセントプレート8が、USBコンセント10の構成要素に含まれないことは必須でなく、取付枠84及びコンセントプレート8の少なくとも一方は、USBコンセント10の構成要素に含まれてもよい。
【0036】
本実施形態では、USBコンセント10は、上述したように埋込型の配線器具であるので、例えば、埋込型のスイッチボックス等の取付部材83を用いて取付対象物81(ここでは壁)に取り付けられる。すなわち、取付対象物81には施工孔82が形成されており、取付対象物81の裏側(壁裏)に配置されたスイッチボックス等の取付部材83に対して、USBコンセント10が施工孔82を通して取り付けられる。
【0037】
取付枠84は、例えば、日本工業規格によって規格化された大角形連用配線器具の取付枠である。具体的には、取付枠84は、正面視において矩形枠状に形成されている。この取付枠84の内側に筐体3が位置するように、筐体3が取付枠84に装着されている。
【0038】
取付枠84は、一例として、合成樹脂製である。取付枠84には、一対の取付孔841と、一対のプレート固定孔842と、が形成されている。一対の取付孔841を通して、一対の取付ねじ843がスイッチボックス等の取付部材83に締め付けられることで、取付枠84は、取付対象物81に取り付けられる。
【0039】
コンセントプレート8は、化粧プレート85と、固定プレート86と、を有している。つまり、本実施形態では、コンセントプレート8は、化粧プレート85及び固定プレート86の2部材で構成されている。コンセントプレート8(化粧プレート85及び固定プレート86)は、一例として、合成樹脂製である。
【0040】
固定プレート86は、取付枠84に固定される。化粧プレート85は、固定プレート86の前面を覆うように、固定プレート86に取り付けられる。このように、化粧プレート85は、筐体3が取り付けられている取付枠84に対し、固定プレート86を介して間接的に固定される。化粧プレート85には窓孔801が形成されており、コンセントプレート8が取付枠84に取り付けられた状態では、窓孔801から筐体3の前面31が露出することになる。
【0041】
つまり、コンセントプレート8は、窓孔801を有する枠状の部材であって、その窓孔801から筐体3の前面31を露出させるように、取付枠84と組み合わされる。言い換えれば、取付枠84とコンセントプレート8とが組み合われた状態では、正面視において、コンセントプレート8(化粧プレート85)の内側(窓孔801内)に筐体3の前面31が位置する。これにより、図3Bに示すように、コンセントプレート8が筐体3と共に取付対象物81に取り付けられた状態で、筐体3の周囲をコンセントプレート8が覆うことになり、取付枠84及び施工孔82等が露出せずに見映えがよくなる。
【0042】
より詳細には、化粧プレート85は、正面視において矩形枠状に形成されている。化粧プレート85の中央部には、化粧プレート85を前後方向に貫通する窓孔801が形成されている。化粧プレート85は、スナップフィット構造により、取外し可能な状態で、固定プレート86と機械的に結合される。すなわち、化粧プレート85及び固定プレート86は、化粧プレート85と固定プレート86との少なくとも一方の弾性を利用して、化粧プレート85及び固定プレート86一方の爪を、他方の孔に引っ掛けることにより、機械的に結合される。
【0043】
また、固定プレート86は、正面視において矩形枠状に形成されている。さらに、固定プレート86には、一対の透孔861が形成されている。一対の透孔861を通して、一対の固定ねじ844が取付枠84の一対のプレート固定孔842に締め付けられることで、固定プレート86は、取付枠84に取り付けられる。
【0044】
(2.3)USBコンセントの具体的構成
次に、本実施形態に係るUSBコンセント10の具体的な構成について、図2A図2B及び図4を参照して説明する。
【0045】
本実施形態に係るUSBコンセント10は、図4に示すように、電源回路11、少なくとも1つ(ここでは2つ)の接続部2、及び筐体3に加えて、端子部16、制御部101及び報知部102を更に備えている。制御部101は、検知部12及び設定部13を含んでいる。報知部102は、表示部14及び音出力部15を含んでいる。これら端子部16、制御部101及び報知部102の少なくとも一部は、電源回路11と共に筐体3に収容されている。
【0046】
電源回路11は、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DC変換回路を含んでいる。電源回路11は、端子部16と接続部2との間に挿入されており、端子部16から入力される交流電圧を直流電圧に変換して接続部2に出力する。ここでは一例として、電源回路11は、交流電源(系統電源)から端子部16に印加される100Vの交流電圧を5Vの直流電圧に変換する。これにより、端子部16に入力される100Vの交流電圧は電源回路11にて5Vの直流電圧に変換されて、接続部2に5Vの直流電圧が供給される。
【0047】
本実施形態では、1つの電源回路11に対して、複数(ここでは2つ)の接続部2が接続されている。つまり、電源回路11から出力される直流電圧は、第1の接続部21及び第2の接続部22の両方に印加される。これにより、電源回路11の出力を、複数(ここでは2つ)の接続部2から、機器9のUSBコネクタ91に対して出力することが可能である。
【0048】
このような構成においては、複数の接続部2から機器9に出力される電流(及び電力)の合計が、1つの電源回路11の出力電流となる。そのため、例えば、複数の接続部2の定格出力(電流又は電力)は、複数の接続部2の出力電流(又は出力電力)の合計値で規定される。本開示でいう「定格出力」は、電流及び/又は電力の定格値であって、定格電流及び定格電力の少なくとも一方である。すなわち、電源回路11の定格出力(電流又は電力)によって、複数の接続部2の合計出力(電流又は電力)の定格値が決定されることになる。一例として、電源回路11の定格出力が4Aであるとすれば、複数(ここでは2つ)の接続部2の出力電流の合計が4Aで定格となる。
【0049】
本実施形態では、上述したような定格出力をユーザが認識しやすいように、筐体3の前面31には、図2Aに示すように、割当表示部32が設けられている。本実施形態では一例として、割当表示部32は、筐体3の前面31に形成された刻印にて実現される。割当表示部32は、出力情報を表示する。本開示でいう「出力情報」は、接続部2の各々について出力可能な電力の大きさに関する情報である。例えば、接続部2の定格出力(電流又は電力)、つまり接続部2の定格電流及び定格電力は、いずれも接続部2の出力可能な電力の大きさに関連するので、「出力情報」に含まれる。図1では、割当表示部32の図示を省略している。
【0050】
ここで、図2Aに示すように、割当表示部32は、筐体3の前面31における接続口4の周囲に配置されている。特に、本実施形態では、割当表示部32は、筐体3の前面31において、接続口4の上方及び下方に配置されている。具体的には、割当表示部32が表示する出力情報は、「2.5A」又は「1.5A」のように、接続部2ごとの定格出力(定格電流)を表す。ここでは一例として、第1の接続部21(第1の接続口41)に対応する割当表示部32は、定格出力としての「2.5A」という出力情報を文字列(テキスト)にて表記する。第2の接続部22(第2の接続口42)に対応する割当表示部32は、定格出力としての「1.5A」という出力情報を文字列(テキスト)にて表記する。
【0051】
さらに、割当表示部32が表示する出力情報は、「1」又は「2」のように、接続部2ごとの優先順位を表す優先情報を含む。ここでいう「優先情報」は、複数の接続部2について、優先的に使用することを推奨する順位を表す情報であればよく、「1」又は「2」のような数字に限らず、例えば、主又は副の関係を表す情報であってもよい。ここでは一例として、第1の接続部21(第1の接続口41)に対応する割当表示部32は、優先情報として「1」という優先順位を文字列(テキスト)にて表記する。第2の接続部22(第2の接続口42)に対応する割当表示部32は、優先情報として「2」という優先順位を文字列(テキスト)にて表記する。この例では、第2の接続部2に対して第1の接続部2を優先的に使用することが推奨されている。
【0052】
割当表示部32にて、このような出力情報が表示されることで、ユーザにおいては、まずは優先順位の高い第1の接続部2を使用することが推奨される。したがって、複数(ここでは2つ)の接続部2のうちの一方のみを使用する場合、ユーザは、基本的に第1の接続部2を使用することになる。そして、電源回路11の定格出力が4Aであるとすれば、第1の接続部2のみが使用されている状態では、第1の接続部2が定格(2.5A)内で使用されていれば、2つの接続部2の出力電流の合計は、当然ながら4A以内となる。また、第1の接続部2及び第2の接続部2の両方が使用されている状態では、第1の接続部2が定格(2.5A)内で使用され、かつ第2の接続部2が定格(1.5A)内で使用されていれば、2つの接続部2の出力電流の合計は、4A以内となる。
【0053】
すなわち、本実施形態では、接続部2は複数設けられている。筐体3の前面31には、複数の接続部2の各々について出力可能な電力の大きさに関連する出力情報を表示する割当表示部32が設けられている。さらに、出力情報は、複数の接続部2の優先順位を表す優先情報を含む。複数の接続部2がある場合に、このような出力情報(優先情報を含む)が割当表示部32にて表示されていることで、ユーザにおいては、複数の接続部2のうちのいずれの接続部2を使用すべきか迷いにくくなる。
【0054】
端子部16は、筐体3内に収容されている。ここで、筐体3の背面には、配線L1を接続するための端子孔が形成されている。端子部16は、筐体3内において端子孔に対応する位置に配置されている。端子部16は、端子板等を含み、端子孔に配線L1の先端部(心線)が差し込まれると、配線L1の先端部(心線)を機械的に保持し、かつ配線L1と電気的に接続される。本実施形態では一例として、端子部16は、端子孔から配線L1を差し込むだけで配線L1が接続される、差込式のいわゆる速結端子である。
【0055】
制御部101は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成として備えている。マイクロコントローラは、1以上のメモリに記録されているプログラムを1以上のプロセッサで実行することにより、制御部101としての機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、1以上のプロセッサを、制御部101として機能させるためのプログラムである。
【0056】
制御部101は、少なくとも電源回路11を制御する。また、本実施形態では上述したように、制御部101は、電源回路11の回路基板に実装されており、電源回路11と共に、筐体3に収容されている。さらに、制御部101は、図4に示すように、検知部12及び設定部13としての機能を有している。検知部12は、監視値と閾値とを比較しており、監視値が閾値を超えることを検知する。上述したように、監視値は、機器9に供給される電流の大きさ、機器9に供給される電流の積算値、機器9に供給される電力の大きさ、機器9に供給される電力量、及び機器9に電力供給している時間の長さの少なくとも1つからなる。設定部13は、例えば、検知部12の動作に関する種々の設定を行う。検知部12及び設定部13の機能について詳しくは「(2.4)報知機能」の欄で説明する。
【0057】
報知部102は、検知部12の検知結果を報知する。本実施形態では、報知部102は、表示部14及び音出力部15を有している。表示部14は、筐体3の前面に設けられており、その表示態様によって検知部12の検知結果を報知する。本実施形態では、表示部14は、図2Bに示すように、発光素子141と、光学部材142と、を有している。この種の表示部14の表示態様には、例えば、点灯/消灯、発光色若しくは点灯パターン(点滅周期等)、又はこれらの組み合わせが含まれる。要するに、本実施形態では、報知部102は、筐体3の前面31に設けられた表示部14を有する。報知部102は、表示部14の表示態様によって(検知部12の検知結果を)報知する。
【0058】
ここで、図2A及び図2Bに示すように、表示部14は、筐体3の前面31における接続口4の周囲に配置されている。特に、本実施形態では、表示部14は、筐体3の前面31において、接続口4の全周を囲むように配置されている。そのため、表示部14は、接続口4の全周にわたって発光する。言い換えれば、接続口4は、筐体3の前面31において、環状の表示部14に囲まれた領域に位置する。
【0059】
具体的には、発光素子141は、例えば、制御部101からの電力供給を受けて発光する。発光素子141は、例えば、LED(Light Emitting Diode)からなる。光学部材142は、例えば、アクリル樹脂等の透明樹脂の成形品であって、発光素子141の出力光を取り込んで、光学部材142の内部を通して光学部材142の表面(前面)まで導く、つまり導光する部材である。光学部材142は、正面視において矩形枠状に形成されており、その内側が接続口4となる。このような構成の表示部14では、発光素子141が発光することで、光学部材142の表面(前面)が発光する。つまり、接続口4を囲む光学部材142の表面(前面)が発光面となる。
【0060】
さらに、本実施形態では、表示部14は、接続部2(接続口4)に機器9のUSBコネクタ91が接続された状態であっても、前方から視認可能に構成されている。具体的には、正面視において、表示部14の少なくとも一部がUSBコネクタ91の周囲にはみ出すように、表示部14が構成されている。つまり、表示部14は、接続口4の周囲に設けられながらも、接続口4に差し込まれたUSBコネクタ91にて完全に隠れることはない。これにより、USBコンセント10に機器9のUSBコネクタ91が接続された状態であっても、表示部14の表示態様は視認可能である。
【0061】
音出力部15は、例えば、スピーカ又はブザー等で実現される。音出力部15は、例えば、ビープ音を出力し、出力音であるビープ音の態様によって検知部12の検知結果を報知する。ビープ音の態様には、一例として、「ピッ」、「ピピッ」又は「ピーピー」といった態様が含まれる。ただし、音出力部15は、ビープ音に限らず、ビープ音と共に又はビープ音に代えて、音声又はメロディを出力してもよい。
【0062】
また、本実施形態では、上述したように、接続部2は複数設けられている。そこで、報知部102は、複数の接続部2の各々について個別に検知結果を報知するように構成されている。具体的には、少なくとも表示部14は、図2A及び図2Bに示すように、接続口4ごとに設けられている。言い換えれば、表示部14は、複数の接続口4に対応して複数設けられている。これら複数の表示部14は、第1の接続口41及び第2の接続口42のそれぞれの周囲に配置されている。図4では、表示部14は1つのように表記しているが、実際には、表示部14は複数(ここでは2つ)設けられている。報知部102の機能について詳しくは「(2.4)報知機能」の欄で説明する。
【0063】
(2.4)報知機能
次に、本実施形態に係るUSBコンセント10における報知機能について説明する。報知機能は、主として制御部101に含まれる検知部12及び設定部13、並びに報知部102にて実現される。
【0064】
検知部12は、上述したように、監視値と閾値を比較しており、監視値が閾値を超えること(「監視値の異常」ともいう)を検知する。本開示でいう「監視値」は、機器9に供給される電流の大きさ、機器9に供給される電流の積算値、機器9に供給される電力の大きさ、機器9に供給される電力量、及び機器9に電力供給している時間の長さの少なくとも1つからなる。ここで、機器9に電力供給している時間の長さは、USBコンセント10(電源回路11)から機器9への電力供給が継続している場合における、電力供給の開始時点からの経過時間の長さを意味する。つまり、検知部12は、USBコンセント10(電源回路11)から機器9に供給される電流の大きさ等を監視値として、監視値と閾値とを比較する。閾値は、監視値の種類ごとに設定されており、例えば、電流の大きさ用の閾値、及び電流の積算値用の閾値等がある。
【0065】
機器9に供給される電流又は電力の大きさは、例えば、電源回路11から出力されている電流又は電力の大きさによって検知可能である。そこで、検知部12は、例えば、電源回路11から出力されている電流又は電力を監視(計測)し、この電流又は電力の大きさに基づいて、監視値が閾値を超えること、つまり監視値の異常を検知する。電源回路11から出力される電流は、カレントトランス又はシャント抵抗等の適宜の電流センサを用いて計測可能である。機器9に供給される電流の積算値、機器9に供給される電力量、及び機器9に電力供給している時間の長さは、いずれも電源回路11から出力されている電流又は電力の大きさから求めることができる。
【0066】
そして、閾値と比較される監視値は、機器9に供給される電流の大きさ、機器9に供給される電流の積算値、機器9に供給される電力の大きさ、機器9に供給される電力量、及び機器9に電力供給している時間の長さの少なくとも1つからなる。つまり、監視値は、例えば、機器9に供給される電流の大きさでもよいし、機器9に電力供給している時間の長さでもよいし、これらの組み合わせであってもよい。本実施形態では一例として、監視値はUSBコンセント10(電源回路11)から機器9に供給される電流の大きさであると仮定する。つまり、検知部12は、USBコンセント10(電源回路11)から機器9に供給される電流の大きさを監視値として、監視値と閾値とを比較する。
【0067】
設定部13は、検知部12の動作に関する種々の設定を行う。設定部13は、例えば、上述した機器9に供給される電流の大きさ、機器9に供給される電流の積算値及び機器9に供給される電力の大きさ等のうちのいずれを監視値とするか等を設定する。また、監視値と比較される閾値等の設定についても、設定部13が行う。さらに、報知部102の動作に関する種々の設定についても、設定部13で行うことが好ましい。本実施形態では一例として、設定部13の設定内容は、筐体3内に設けられているディップスイッチ又は半固定抵抗器等の操作部に対する人の操作に応じて決定される。
【0068】
そして、検知部12の検知結果は、報知部102にて報知される。本実施形態では、上述したように、報知部102は、表示部14及び音出力部15を有するので、表示部14の表示態様、又は音出力部15からの出力音の態様にて、検知部12の検知結果を報知する。例えば、監視値がUSBコンセント10(電源回路11)から機器9に供給される電流の大きさである場合に、報知部102は、電流の大きさ(監視値)が閾値以下であるか、閾値より大きいかで異なる報知を行う。
【0069】
一例として、監視値(ここでは電流の大きさ)が閾値以下であれば、報知部102は、表示部14を緑色に点灯させる。一方、監視値(ここでは電流の大きさ)が閾値より大きければ、つまり閾値を超えていれば、報知部102は、表示部14を赤色に点灯させる。これにより、監視値の異常がなければ表示部14が緑色に点灯し、監視値の異常があれば表示部14が赤色に点灯することになる。さらに、接続部2に機器9のUSBコネクタ91が接続されていない状態では、報知部102は、表示部14を消灯させてもよい。また、監視値(ここでは電流の大きさ)が閾値より大きければ、報知部102は、例えば、音出力部15から「ピーピー」というビープ音を出力する。ビープ音は、監視値が閾値を超えている間は継続的に出力されることが好ましい。
【0070】
ところで、本実施形態では、上述したように接続部2は複数設けられている。そこで、検知部12は、複数の接続部2の各々について個別に監視値の異常(監視値が閾値を超えること)を検知する。例えば、監視値がUSBコンセント10(電源回路11)から機器9に供給される電流の大きさである場合に、検知部12は、第1の接続部21及び第2の接続部22の各々について、電流の大きさ(監視値)が閾値を超えることを監視値の異常として検知する。そのため、検知部12では、第1の接続部21及び第2の接続部22の両方の監視値が異常である状態、両方の監視値が異常でない状態、第1の接続部21のみ監視値が異常である状態又は第2の接続部22のみ監視値が異常である状態のいずれかを検知する。このように、複数の接続部2の各々について個別に監視値の異常を検知するために、検知部12は、例えば、電源回路11から第1の接続部21に出力される電流と、電源回路11から第2の接続部22に出力される電流と、を区別して監視(計測)する。
【0071】
そして、本実施形態では、報知部102についても、複数の接続部2の各々について個別に監視値の異常(検知部12の検知結果)を報知する。例えば、監視値がUSBコンセント10(電源回路11)から機器9に供給される電流の大きさである場合に、報知部102は、第1の接続部21及び第2の接続部22の各々について、電流の大きさ(監視値)が閾値を超えることを監視値の異常として報知する。一例として、第1の接続部21のみ監視値が異常であれば、報知部102は、第1の接続部21に対応する表示部14を赤色に点灯させ、第2の接続部22に対応する表示部14を緑色に点灯させる。報知部102では、第1の接続部21及び第2の接続部22の両方の監視値が異常である状態と、両方の監視値が異常でない状態と、第1の接続部21のみ監視値が異常である状態と、第2の接続部22のみ監視値が異常である状態と、を区別して報知する。
【0072】
(3)動作
次に、本実施形態に係るUSBコンセント10の動作について、図5を参照して説明する。図5は、監視値はUSBコンセント10(電源回路11)から機器9に供給される電流の大きさである場合の、USBコンセント10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0073】
USBコンセント10は、起動後、まずは監視値が正常である(監視値の異常なし)との報知を行う(S1)。このとき、報知部102は、例えば、表示部14を緑色に点灯させる。その後、USBコンセント10は、監視値(ここでは電流の大きさ)が閾値を超えるか否かを検知部12にて検知する(S2)。監視値の異常、つまり監視値が閾値を超えることを検知部12が検知しなければ(S2:No)、USBコンセント10は、監視値が正常であるとの報知を継続する(S1)。
【0074】
監視値の異常、つまり監視値が閾値を超えることを検知部12が検知すると(S2:Yes)、USBコンセント10は、報知部102にて監視値が異常であるとの報知を行う(S3)。このとき、報知部102は、例えば、表示部14を赤色に点灯させる。その後、USBコンセント10は、監視値(ここでは電流の大きさ)が閾値以下であるか否かを検知部12にて検知する(S4)。監視値が正常、つまり監視値が閾値以下であることを検知部12が検知しなければ(S4:No)、USBコンセント10は、監視値が異常であるとの報知を継続する(S3)。
【0075】
監視値が正常、つまり監視値が閾値以下であることを検知部12が検知すると(S4:Yes)、USBコンセント10は、報知部102にて監視値が正常である(監視値の異常なし)との報知を行う(S1)。
【0076】
USBコンセント10は、上記S1~S4の処理を繰り返し実行する。図5のフローチャートは、USBコンセント10の動作の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。
【0077】
このように、本実施形態に係るUSBコンセント10は、電源回路11から機器9に供給される電流の大きさ等の監視値が閾値を超えると、報知部102にて報知が行われる。したがって、例えば、電源回路11の定格出力(電流又は電力)を超えるような過大な電流又は電力が、USBコンセント10から機器9へ供給された場合に、そのことをユーザに知らせることができる。特に、USBコンセント10は、100V又は200V等の交流電圧を出力する一般的なコンセント装置と異なり、機器9に対して過電流が流れても分電盤のブレーカが直ちに遮断されないこともあるため、このような報知が行われることは有用である。したがって、機器9に供給される電流の大きさ等の監視値の異常を早期に知らせることが可能となり、USBコンセント10の信頼性の向上を図ることができる。結果的に、信頼性の向上を図りやすいUSBコンセント10を提供することができる。
【0078】
さらに、充電される側である機器9ではなく、充電する側、つまり充電用の電力を供給する側であるUSBコンセント10にて過電流等の報知を行うので、過電流等の報知のために充電される側である機器9の電力を使用しなくてよい。要するに、充電される側の機器9においては、蓄電池92に蓄積された、又は蓄電池92に蓄積されるべき電力を、過電流等の報知のために使用するのではなく、本来の目的である充電に利用することができる。したがって、本実施形態に係るUSBコンセント10によれば、機器9の充電を効率的に行うことができる、という利点がある。
【0079】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態1に係るUSBコンセント10と同等の機能は、方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0080】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0081】
USBコンセント10の基本構成についても、実施形態1で説明した構成に限らず、例えば、図6A図6Cに示すような種々の態様のUSBコンセント10A~10Cを実現可能である。
【0082】
図6Aに示す態様では、USBコンセント10Aは、表示部14の態様が実施形態1とは異なり、対応する接続口4を囲む形状ではなく、接続口4の周囲の1カ所に配置されている。具体的には、図6Aの例では、表示部14は、対応する接続口4の上方に配置された点光源である。
【0083】
図6Bに示す態様では、USBコンセント10Bは、筐体3が2個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法に形成されている。このUSBコンセント10Bは、例えば、100Vの交流電圧を出力するコンセント装置51と共に、取付枠84(図3A参照)にて取付対象物81(図3A参照)に取り付けられる。
【0084】
図6Cに示す態様では、USBコンセント10Cは、筐体3が2個モジュール寸法の配線器具と同程度の寸法であって、かつ1個のUSBコネクタ91を接続可能な1個口(1ポート)タイプのUSBコンセントである。図6Cの例では、接続口4は、正面視において、上下方向の寸法が左右方向の寸法よりも大きい長方形状である。つまり、接続口4は、縦向き(縦長)に配置されている。さらに、このUSBコンセント10Cは、例えば、人感センサ等のセンサ装置52と共に、取付枠84(図3A参照)にて取付対象物81(図3A参照)に取り付けられる。センサ装置52は、人感センサに限らず、例えば、明るさセンサ、振動センサ、近接センサ若しくは音センサ、又はこれらの組み合わせであってもよい。USBコンセント10Cは、センサ装置52の出力に基づいて動作してもよい。例えば、センサ装置52が人感センサである場合には、USBコンセント10Cは、周辺に人が存在しなければ、接続部2への通電をオフとする。
【0085】
また、USBコンセントにおいて、接続部2(接続口4)は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0086】
また、複数の接続部2は、世代(転送速度の規格)及び/又はUSBの端子形状が異なる2つ以上の接続部2を含んでいてもよい。例えば、USBコンセント10は、A端子(USB Type-A)の接続部2と、C端子(USB Type-C)の接続部2と、を備えていてもよい。
【0087】
本開示におけるUSBコンセント10は、制御部101等にコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるUSBコンセント10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0088】
また、USBコンセント10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体3内に集約されていることはUSBコンセント10に必須の構成ではなく、USBコンセント10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、制御部101の一部の機能が、接続部2(接続口4)とは別の筐体に設けられていてもよい。また、制御部101等の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0089】
また、USBコンセント10は、屋内用に限らず屋外用であってもよい。屋外用のUSBコンセント10においては、防雨(防滴)構造等が適宜採用される。
【0090】
また、実施形態1では、USBコンセント10に接続される機器9が、充電式の機器9である場合を例に説明したが、この例に限らず、USBコンセント10には、充電式でない機器9(充電式の機器9以外の機器9)を接続することも可能である。
【0091】
また、USBコンセント10は、例えば、USBコンセント10に接続されている機器9が充電式か否かを判別する機能を有していてもよい。このような判別機能は、一例として、USBコンセント10が、USBコネクタ91を通した有線通信、又は無線通信により、機器9と通信することによって実現される。このような判別機能があれば、USBコンセント10は、例えば、充電式の機器9が接続されている場合にのみ、監視値が閾値を超えること(監視値の異常)を検知部12で検知することも可能となる。
【0092】
また、USBコンセント10は、埋込型の配線器具に限らない。すなわち、USBコンセント10は、その全体が壁等の取付対象物81の表面から露出するように配置される「露出型」の配線器具であってもよい。この場合、USBコンセント10は、埋込型ではなく露出型のスイッチボックスを用いて取付対象物81に取り付けられる。また、USBコンセント10は、例えば、挟み金具等の、スイッチボックス以外の取付部材を用いて取付対象物81に取り付けられてもよい。
【0093】
また、筐体3が取付枠84に取り付けられることは、USBコンセント10に必須の構成ではなく、例えば、筐体3は取付枠84と一体化されていてもよい。さらに、取付枠84に、コンセントプレート8が取り付けられることも、USBコンセント10に必須の構成ではなく、コンセントプレート8は適宜省略されてもよい。
【0094】
USBコンセント10は、例えば、パーソナルコンピュータ等の機器に備わっていてもよい。
【0095】
また、実施形態1では、1つの電源回路11に対して、複数の接続部2が接続されているが、この構成はUSBコンセント10に必須の構成ではなく、複数の接続部2の各々に対して個別の電源回路11が設けられていてもよい。つまり、USBコンセント10は、複数の接続部2と、複数の接続部2に一対一に対応する複数の電源回路11と、を備えていてもよい。この場合、複数の接続部2には、それぞれ個別の電源回路11から電力が供給されるので、定格出力(電流又は電力)に関しても、各接続部2について個別に規定される。
【0096】
また、割当表示部32は、筐体3の前面31に形成された刻印に限らず、例えば、印字、シール、表示灯(発光素子)又はディスプレイ等で実現されてもよい。割当表示部32が表示灯又はディスプレイ等で実現される場合には、割当表示部32の表示内容は適宜変更可能である。
【0097】
また、割当表示部32は、USBコンセント10に必須の構成ではなく、割当表示部32は適宜省略されてもよい。
【0098】
また、検知部12が、監視値が閾値を超えること(監視値の異常)を検知するための手段は、電源回路11から出力されている電流を監視(計測)することに限らず、例えば、電源回路11から出力されている電力を監視(計測)してもよい。さらに、検知部12は、電源回路11の出力(電流又は電力)を監視(計測)する以外の手段で、監視値が閾値を超えること(監視値の異常)を検知してもよい。例えば、検知部12は、USBコネクタ91を介した有線通信、又は無線通信により、接続部2に接続された機器9と通信してもよい。この場合、検知部12は、機器9との通信により監視値が閾値を超えること(監視値の異常)を検知することが可能である。
【0099】
また、検知部12が、複数の接続部2の各々について個別に監視値が閾値を超えること(監視値の異常)を検知することは、USBコンセント10に必須の構成ではない。つまり、検知部12は、複数の接続部2について一括して監視値が閾値を超えること(監視値の異常)を検知してもよい。同様に、報知部102が、複数の接続部2の各々について個別に監視値が閾値を超えること(監視値の異常)を報知することは、USBコンセント10に必須の構成ではない。つまり、報知部102は、複数の接続部2について一括して監視値が閾値を超えること(監視値の異常)を報知してもよい。
【0100】
また、監視値が閾値を超えたときに報知部102が報知を行えばよく、検知部12を備えることはUSBコンセント10に必須の構成ではない。つまり、検知部12に代えて報知部102が、監視値と閾値との比較を行い、監視値が閾値を超えることを検知することにより、検知部12は適宜省略可能である。
【0101】
さらに、報知部102は、監視値そのもの(例えば、電流の大きさ)を報知(通知)してもよい。例えば、監視値が閾値を超えたときに、報知部102が監視値そのものを表示、又は音声出力によって報知してもよい。また、監視値が閾値を超えていなくても、任意のタイミングで(例えば定期的に)報知部102が監視値そのものを表示、又は音声出力によって報知してもよい。
【0102】
また、報知部102が表示部14と音出力部15とを有することは、USBコンセント10に必須の構成ではなく、報知部102は、表示部14と音出力部15とのいずれか一方を有さなくてもよい。
【0103】
また、表示部14が発光素子141と光学部材142とを有することは、USBコンセント10に必須の構成ではない。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置により実現されてもよい。
【0104】
(実施形態2)
本実施形態に係るUSBコンセント10Dは、図7に示すように、通信端末62との通信機能を有する点で、実施形態1に係るUSBコンセント10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0105】
すなわち、本実施形態に係るUSBコンセント10Dは、通信部61を有している。通信部61は、通信端末62との間で通信可能に構成されている。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。本実施形態では、通信部61は、通信端末62との間で、例えば、ネットワークを介して双方向の通信が可能である。本実施形態では一例として、通信部61は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、電波を通信媒体として用いる無線通信を採用する。
【0106】
通信端末62は、少なくとも通信部61との通信機能を有する端末であって、例えば、スマートフォン、タブレット端末若しくはウェアラブル端末等の携帯端末、又はパーソナルコンピュータ等である。この種の通信端末62は、表示機能、音出力機能等のユーザインタフェースを有している。図7の例では、通信端末62は、USBコンセント10Dに接続される機器9とは別のタブレット端末である。ただし、通信端末62は、USBコンセント10Dに接続される機器9であってもよい。
【0107】
ここにおいて、報知部102は、通信部61を用いて、検知部12の検知結果を通信端末62に送信させる機能を有している。つまり、検知部12の検知結果は、通信部61から通信端末62に転送される。具体的には、監視値が閾値を超えると、報知部102は、監視値が閾値を超えたことを示す検知部12の検知結果を報知指示として、通信部61から通信端末62に送信する。検知部12の検知結果を受信した通信端末62は、直ちに検知部12の検知結果を表示してもよいし、又はプッシュ通知のみを行ってユーザによる特定の操作(特定のオブジェクトの操作)があって初めて検知部12の検知結果を表示してもよい。
【0108】
このように、本実施形態では、報知部102は、監視値が閾値を超えると、報知指示を通信により通信端末62に送信することで報知する。これにより、例えば、USBコンセント10Dがユーザの死角にある場合、又はユーザから離れた位置にある場合等においても、通信端末62経由で、検知部12の検知結果をユーザが確認しやすくなる。
【0109】
また、本実施形態のように、通信部61と通信端末62との間で双方向の通信が可能である場合、報知部102は、通信端末62からの呼出信号への応答として、検知部12の検知結果を通信端末62に送信してもよい。つまり、通信部61が通信端末62からの呼出信号を受信した場合に、報知部102は、検知部12の検知結果を通信により通信端末62に送信する。これにより、ユーザが、監視値の状態(監視値が閾値を超えているか否か)を確認したいときに、通信端末62にて監視値の状態を確認することが可能である。
【0110】
さらに、本実施形態に係るUSBコンセント10Dにおいて、通信端末62との間の通信は、無線通信又は電力線搬送通信である。すなわち、通信部61は、電波を媒体とする無線通信、又は電力線を媒体とする電力線搬送通信により、通信端末62と通信する。この場合、USBコンセント10Dに対して専用の通信線を接続する必要がない。つまり、無線通信の場合はもちろんのこと、電力線搬送通信の場合でも、USBコンセント10Dに対して専用の通信線を接続する必要はない。すなわち、端子部16に接続されている配線L1は電力線であるので、通信部61は、この配線L1を伝送路として用いることで、通信端末62との間で電力線搬送通信を行うことができる。また、通信部61は、無線通信と電力線搬送通信との両方を用いて、通信端末62と通信してもよい。
【0111】
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0112】
(実施形態3)
本実施形態に係るUSBコンセント10Eは、図8に示すように、制限回路17を備える点で、実施形態1に係るUSBコンセント10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0113】
制限回路17は、監視値が、第1閾値又は第2閾値を超えると、USBコンセント10E(電源回路11)から機器9に供給される電力を制限する。ここでいう「第1閾値」は、報知部102での報知の判断に用いられる閾値である。また、ここでいう「第2閾値」は、第1閾値とは別の閾値である。第2閾値は、第1閾値よりも大きな値であってもよいし、第1閾値よりも小さな値であってもよい。本実施形態では一例として、第2閾値は第1閾値よりも大きな値であって、制限回路17は、監視値が第2閾値を超えると、電源回路11から機器9に供給される電力を制限することとする。
【0114】
つまり、本実施形態に係るUSBコンセント10Eでは、監視値が第1閾値を超えると、報知部102が報知を行う。また、USBコンセント10Eでは、監視値が第2閾値(>第1閾値)を超えると、制限回路17にて電源回路11から機器9に供給される電力を制限する。本開示でいう「電力を制限する」には、電力を低減すること、及び電力を遮断(電力供給を停止)することを含む。本実施形態では、制限回路17は、電源回路11から機器9に供給される電力を低減することによって、電力を制限することとする。
【0115】
制限回路17は、一例として、電源回路11に含まれるスイッチング素子を制御することによって、電源回路11の出力電流を低減させ、電源回路11から機器9に出力される電力を低減させる。また、制限回路17は、一例として、電源回路11から出力される電流の一部を引き抜くことによって、電源回路11から接続部2への出力電流を低減させ、電源回路11から機器9に出力される電力を低減させてもよい。制限回路17は、例えば、監視値(ここでは電流の大きさ)が第2閾値を超えると、電源回路11から機器9に供給される電流を第1閾値以下まで低減させる。
【0116】
このように、本実施形態に係るUSBコンセント10Eは、監視値が、閾値、又は閾値である第1閾値とは別の第2閾値を超えると、機器9に供給される電力を制限する制限回路17を備える。これにより、例えば、電源回路11から機器9に過電流が供給されることによる電源回路11及び機器9のストレスを軽減できる。制限回路17は、上述したように監視値が第2閾値を超えた場合に電力を制限する構成に限らず、監視値が第1閾値(閾値)を超えた場合に電力を制限してもよい。
【0117】
実施形態2の変形例として、第2閾値は第1閾値よりも小さな値であってもよい。
【0118】
実施形態3で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0119】
(まとめ)
第1の態様に係るUSBコンセント(10,10A~10E)は、接続部(2)と、電源回路(11)と、筐体(3)と、報知部(102)と、を備える。接続部(2)は、機器(9)のUSBコネクタ(91)を電気的に接続可能である。電源回路(11)は、接続部(2)から機器(9)に電力を供給する。筐体(3)は、電源回路(11)を収容する。報知部(102)は、監視値が閾値を超えると報知する。監視値は、機器(9)に供給される電流の大きさ、機器(9)に供給される電流の積算値、機器(9)に供給される電力の大きさ、機器(9)に供給される電力量、及び機器(9)に電力供給している時間の長さの少なくとも1つからなる。
【0120】
この態様によれば、電源回路(11)から機器(9)に供給される電流の大きさ等の監視値が閾値を超えると、報知部(102)にて報知が行われる。したがって、例えば、電源回路(11)の定格出力(電流又は電力)を超えるような過大な電流又は電力が、USBコンセント(10,10A~10E)から機器(9)へ供給された場合に、そのことをユーザに知らせることができる。したがって、機器(9)に供給される電流の大きさ等の監視値の異常を早期に知らせることが可能となり、USBコンセント(10,10A~10E)の信頼性の向上を図ることができる。結果的に、信頼性の向上を図りやすいUSBコンセント(10,10A~10E)を提供することができる。
【0121】
第2の態様に係るUSBコンセント(10,10A~10E)は、第1の態様において、検知部(12)を更に備える。検知部(12)は、監視値と閾値とを比較しており、監視値が閾値を超えることを検知する。報知部(102)は、検知部(12)の検知結果を報知する。
【0122】
この態様によれば、報知部(102)は、検知部(12)の検知結果を報知するだけであるので、報知部(102)の構成を簡略化できる。
【0123】
第3の態様に係るUSBコンセント(10,10A~10E)は、第1又は2の態様において、制限回路(17)を更に備える。制限回路(17)は、監視値が、閾値、又は閾値である第1閾値とは別の第2閾値を超えると、機器(9)に供給される電力を制限する。
【0124】
この態様によれば、例えば、電源回路(11)から機器(9)に過電流が供給されることによる電源回路(11)及び機器(9)のストレスを軽減できる。
【0125】
第4の態様に係るUSBコンセント(10,10A~10E)では、第1~3のいずれかの態様において、報知部(102)は、筐体(3)の前面に設けられた表示部(14)を有する。報知部(102)は、表示部(14)の表示態様によって報知する。
【0126】
この態様によれば、監視値の異常が、表示部(14)の表示態様によって報知され、ユーザが監視値の異常を把握しやすくなる。
【0127】
第5の態様に係るUSBコンセント(10,10A~10E)では、第1~4のいずれかの態様において、報知部(102)は、監視値が閾値を超えると、報知指示を通信により通信端末(62)に送信することで報知する。
【0128】
この態様によれば、監視値の異常が、通信端末(62)にて報知され、ユーザが監視値の異常を把握しやすくなる。
【0129】
第6の態様に係るUSBコンセント(10,10A~10E)では、第5の態様において、通信端末(62)との間の通信は、無線通信又は電力線搬送通信である。
【0130】
この態様によれば、USBコンセント(10,10A~10E)と通信端末(62)との間の通信を実現しやすくなる。
【0131】
第7の態様に係るUSBコンセント(10,10A~10E)では、第1~6のいずれかの態様において、接続部(2)は複数設けられている。筐体(3)の前面には、複数の接続部(2)の各々について出力可能な電力の大きさに関連する出力情報を表示する割当表示部(32)が設けられている。
【0132】
この態様によれば、複数の接続部(2)がある場合に、このような出力情報が割当表示部(32)にて表示されていることで、ユーザにおいては、複数の接続部(2)のうちのいずれの接続部(2)を使用すべきか迷いにくくなる。
【0133】
第8の態様に係るUSBコンセント(10,10A~10E)では、第7の態様において、出力情報は、複数の接続部(2)の優先順位を表す優先情報を含む。
【0134】
この態様によれば、複数の接続部(2)がある場合に、このような出力情報が割当表示部(32)にて表示されていることで、ユーザにおいては、複数の接続部(2)のうちのいずれの接続部(2)を使用すべきか、より迷いにくくなる。
【0135】
第2~8の態様に係る構成については、USBコンセント(10,10A~10E)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0136】
2 接続部
3 筐体
9 機器
10,10A~10E USBコンセント
11 電源回路
12 検知部
14 表示部
32 割当表示部
62 通信端末
91 USBコネクタ
102 報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8