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  • 特許-機器、装置、装着器具、及び盤システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】機器、装置、装着器具、及び盤システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/04 20060101AFI20240712BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H02B1/04 A
H05K7/12 S
H05K7/12 Z
H02B1/04 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020012988
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021118668
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 大地
(72)【発明者】
【氏名】一村 省互
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 高士
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-153683(JP,U)
【文献】登録実用新案第3187083(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/04
H05K 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
規格化された第1取付対象に取付可能である機器本体と、
前記機器本体に対して取り外し可能に装着され、前記第1取付対象とは別の第2取付対象に取付可能である装着具と、を備え、
前記装着具は、永久磁石を含む、
機器。
【請求項2】
規格化された第1取付対象に取付可能である機器本体と、
前記機器本体に対して取り外し可能に装着され、前記第1取付対象とは別の第2取付対象に取付可能である装着具と、を備え、
前記装着具は、継鉄を含み、
前記継鉄が有する上突出部が前記機器本体に設けられた合部に引っ掛かることで、前記装着具は前記機器本体に取り付けられる、
機器。
【請求項3】
規格化された第1取付対象に取付可能である機器本体と、
前記機器本体に対して取り外し可能に装着され、前記第1取付対象とは別の第2取付対象に取付可能である装着具と、を備え、
前記機器本体は、前記第1取付対象に取り付けるための取付構造を有し、
前記装着具は、前記取付構造を利用して前記機器本体に取り付けられる、
機器。
【請求項4】
前記第1取付対象は、レールであって、
前記機器本体は、前記レールを前記レールの幅方向の両側から挟むようにして前記レールに取り付けられる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の機器。
【請求項5】
前記取付構造から前記装着具が取り外されている状態において、前記機器本体は前記第1取付対象に取り付けられる、
請求項3に記載の機器。
【請求項6】
前記取付構造は、凹部を含み、
前記装着具は、永久磁石を含み、
前記永久磁石は、前記永久磁石の表面が前記機器本体の表面と面一となるように、前記凹部の底面から突出する、
請求項3又は5に記載の機器。
【請求項7】
前記装着具は、前記機器本体に対して着脱可能である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の機器。
【請求項8】
前記機器本体は、環境監視機器又は開閉器を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の機器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の機器が備える前記機器本体として用いられる、
装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の機器が備える前記装着具として用いられる、
装着器具。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の機器と、
前記第1取付対象と、を備える、
盤システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に機器、装置、装着器具、及び盤システムに関し、より詳細には、筐体に取り付け可能な機器、装置、装着器具、及び盤システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡単な構造で、筐体をDINレールに容易に取り付けられる構造が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、筐体の一つの面に設けられた凹所をDINレールに嵌め合わせて取り付ける取付構造である。この取付構造は、操作部と、第1移動片と、第2移動片と、コマとを備える。第1移動片は、操作部に連設され、凹所方向に向かう第1方向とその逆の第2方向とに移動可能である。この第1移動片に設けられた第1爪は、第1方向への移動に伴い、凹所の二つの縁部の一方において、DINレール側へと移動し、DINレールの一方の張出部に係合する。他方、第2移動片は、DINレールの他方の張出部に係合する第2爪を備え、第1移動片の第1方向への移動に伴い、凹所の二つの縁部の他方において、DINレール側へと移動する。第1、第2方向への第1移動片の移動は、コマにより、第2移動片の第2、第1方向への移動に変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-84953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、操作部を筐体から遠ざける方向に移動する操作によって、第1移動片の第1爪と第2移動片の第2爪とにより、DINレールの張出部への係合を行なうことができ、筐体を容易にDINレールに取り付けることができる。
【0006】
一方で、DIN等の規格化されたレールに取り付けられる機器を、DINレール等がない場合に仮設置して運用したいというニーズがある。
【0007】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、規格化されたレール等がない場所でも、規格化されたレールに取付可能な機器を容易に取り付けられる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る機器は、機器本体と、装着具と、を備える。前記機器本体は、規格化された第1取付対象に取付可能である。前記装着具は、前記機器本体に対して取り外し可能に装着され、前記第1取付対象とは別の第2取付対象に取付可能である。前記装着具は、永久磁石を含む。
本開示の一態様に係る機器は、機器本体と、装着具と、を備える。前記機器本体は、規格化された第1取付対象に取付可能である。前記装着具は、前記機器本体に対して取り外し可能に装着され、前記第1取付対象とは別の第2取付対象に取付可能である。前記装着具は、継鉄を含む。前記継鉄が有する上突出部が前記機器本体に設けられた合部に引っ掛かることで、前記装着具は前記機器本体に取り付けられる。
本開示の一態様に係る機器は、機器本体と、装着具と、を備える。前記機器本体は、規格化された第1取付対象に取付可能である。前記装着具は、前記機器本体に対して取り外し可能に装着され、前記第1取付対象とは別の第2取付対象に取付可能である。前記機器本体は、前記第1取付対象に取り付けるための取付構造を有する。前記装着具は、前記取付構造を利用して前記機器本体に取り付けられる。
【0009】
本開示の一態様に係る装置は、前記機器が備える前記機器本体として用いられる。
【0010】
本開示の一態様に係る装着器具は、前記機器が備える前記装着具として用いられる。
【0011】
本開示の一態様に係る盤システムは、前記機器と、前記第1取付対象と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によると、規格化されたレール等がない場所でも、規格化されたレールに取付可能な機器を容易に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1Aは、一実施形態に係る機器の規格レールへの取り付け側を説明する図である。図1Bは、一実施形態に係るDINレールの上面図である。
図2図2Aは、装着具が取り付けられていない場合の同上の機器に対する図1AのA1-A1断面図である。図2Bは、装着具が取り付けられた場合の同上の機器に対する図1AのB1-B1断面図である。
図3図3A及び図3Bは、機器から装着具の取り外しを説明する図である。
図4図4は、同上の機器が備える装着具の分解斜視図である。
図5図5は、同上の機器を備える盤システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、各実施形態及び変形例に限定されない。これらの実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0015】
(実施形態1)
以下、本実施形態に係る機器1、装置80、装着器具90、及び盤システム100について、図1A図6Bを用いて説明する。下記の実施形態において、説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、図1Aに示す「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の矢印で示す通りに各方向を規定する。ただし、これらの方向は機器1の方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0016】
(1)概要
本実施形態の機器1は、機器本体20と、装着具2と、を備える(図1A参照)。機器本体20は、規格化された第1取付対象3に取付可能である。装着具2は、機器本体20に対して取り外し可能に装着され、第1取付対象3とは別の第2取付対象11に取付可能である。
【0017】
第1取付対象3とは、レール30であって、機器本体20はレール30を、レール30の幅方向の両側から挟むようにしてレール30に取り付けられる。本実施形態では、第1取付対象3であるレール30とは、例えば、DINレールである。DINとは、ドイツ規格協会が制定したドイツ工業規格の通称である。以下では、第1取付対象3は、規格化されたレールであり、DINレール3として説明する。
【0018】
DINレール3は、DIN規格に沿った、例えば、アルミニウム製の35mm幅の機器取付金具である。DINレール3は、幅方向の両端部に合わせて4.5mm程度の張出部31,32を備えている(図1B参照)。張出部31,32は、機器本体20が有するDINレール3への取付用爪部13(図2A参照)と係合する。機器本体20は、DINレール3に取り付けるための取付構造4を有する。装着具2は、取付構造4を利用して機器本体20に取り付けられる。取付構造4については後述する。
【0019】
機器本体20は、本実施形態では環境監視機器85を含む。すなわち、機器本体20は、温度計、湿度計、温湿度計、タイムスイッチ、電流計、電圧計、電力計などを含む。機器本体20は、筐体15を有する。筐体15は、DINレール3に取付可能な取付用爪部13を有する。取付用爪部13は、DINレール3の張出部31が引っ掛かるように筐体15の取付部12の上端においてかぎ状に形成されている。取付部12は、機器本体20が有するDINレール3が取り付けられる領域である。
【0020】
装着具2は、永久磁石9を含んでいる。また、装着具2は継鉄8を含み、継鉄8が機器本体20に引っ掛かることで、装着具2は機器本体20に取り付けられる。
【0021】
第2取付対象11は、例えば、鉄製の箱体(鉄箱87)、鉄板等の磁石に反応する素材が用いられる。機器本体20に取り付けられた装着具2により、第2取付対象11に取り付けることができる。本実施形態では、第2取付対象11を鉄箱87とし、鉄箱87に永久磁石9の磁力によって取り付ける場合について説明する。
【0022】
装着具2が機器本体20に取り付けられている場合には、機器本体20はDINレール3に取り付けることができない。また、機器本体20がDINレールに取り付けられている場合には、装着具2は機器本体20に取り付けることができない。言い換えると、機器本体20の取付構造4から装着具2が取り外されている状態において、機器本体20はDINレール3に取り付けられる。
【0023】
このため、機器1は、DINレール3のない鉄箱87、鉄板等に取り付ける仮設置のみならず、本格的に運用する盤設置についても取付可能である。基本的にはDINレール3にも取付可能な機器1は、簡単に、同じ機構を用いながら、永久磁石9も固定可能にして、通常設置とは異なるような設置をしたり、仮設置することができる。機器1は、永久磁石9にもDINレール3にも容易に着脱可能で、自由に切替えられる構造を有する。
【0024】
装置80(図5参照)は機器1が備える機器本体20として用いられる。装着器具90は機器1が備える装着具2として用いられる。また、盤システム100は、機器1と、DINレール3と、を備える。盤システム100の有するDINレール3に機器1を取り付ける場合には、作業者は機器1の装着具2を取り外してDINレール3に取り付ける。例えば、開閉器86とDINレール3とが設けられた鉄箱87(図5参照)に、機器本体20として環境監視機器85を含む機器1を取り付ける場合には、機器1の装着具2を取り外してDINレール3に取り付ける。
【0025】
機器本体20のDINレール3への取り付けについて説明する。機器1は、DINレール3へ取り付けるための取付用爪部13を有している。取付用爪部13は、上述したように、取付部12の上端においてかぎ状に形成されている。機器本体20は、取付用爪部13と、取付部12の下端においてかぎ状に形成された取付フック5とが上下方向においてDINレール3の張出部31,32を挟むようにしてDINレール3に取り付けられる。取付フック5は、上下方向に可動する構造を有している。作業者が機器本体20をDINレール3へ取り付けるときには、上部の取付用爪部13をDINレール3の張出部31に引っ掛けた状態で、機器本体20を押し込み、機器本体20をDINレール3に取り付ける。取付フック5は、上下方向に可動である。作業者が機器本体20をDINレール3の方向に押し込まれると、取付フック5は、一旦下がり、また元の状態に戻る。このため、DINレール3の張出部32は、取付フック5と係合し、機器本体20は、左右方向には可動であるが、前後方向には取り外しできなくなる。または、DINレール3の端部から、取付用爪部13及び取付フック5と、DINレール3の張出部31,32とが係合するように挿し込まれ、横にスライドさせる形で位置決めされてもよい。
【0026】
機器本体20をDINレール3から取り外す場合について説明する。作業者は、取付フック5を下に引っ張る。引っ張る程度は、少なくともDINレール3の張出部32が通過できる程度である。取付フック5を下に引っ張った状態で、作業者は機器本体20を前方に引っ張る。取付フック5がDINレール3の張出部32を通過すると、作業者は、取付フック5を元の状態に戻すことは可能である。こうして作業者は、機器本体20をDINレール3から取り外すことができる。
【0027】
(2)構成
次に、本実施形態に係る機器1、装置80、装着器具90、及び盤システム100の構成について説明する。機器1は、機器本体20と、装着具2と、を備える。
【0028】
機器本体20は、DINレール3に取付可能である。機器本体20は、DINレール3に取付可能な取付用爪部13を有する。図2Bに示すように、機器本体20の筐体15は、表面14から凹んだ部位である取付構造4を有する。取付構造4は、凹部40を含んでいる。装着具2は凹部40の底面41から突出する。凹部40の上下方向の大きさは、DINレール3の幅と同等である。凹部40の深さは、永久磁石9と継鉄8により規定される。永久磁石9と、継鉄8と、凹部40とは、永久磁石9と筐体15の表面14とが面一になる関係がある。取付構造4は、凹部40を含み、凹部40に形成されている。機器本体20にDINレール3が取り付けられる場合には、後述する装着具2が取り外されているため、凹部40とDINレール3が干渉しない。このため、取付構造4とDINレール3との取り付けは両立することができる。
【0029】
装着具2は、機器本体20に対して、着脱可能である。装着具2の分解斜視図を図4に示す。装着具2は、継鉄8と、永久磁石9と、ハトメリング10と、を備える。継鉄8は、磁性体材料であり、例えば、軟鉄である。継鉄8は永久磁石9と磁気回路を形成する。継鉄8は、永久磁石9の磁力を強める働きにより、装着具2と鉄箱87等が容易に外れない構造である。また、継鉄8は、機器本体20に装着具2を固定後に振動や衝撃が発生しても、装着具2が機器本体20から容易に外れない構造である。継鉄8は、図3Aに示すように、上突出部6と、一対の下突出部7と、左突出部81と、右突出部82と、基部83と、ハトメ孔84と、を有する。上突出部6は、前後方向において、基部83と同じ厚みを有している。基部83と、左突出部81と、右突出部82は、上端部において面一となっている。上突出部6は、基部83の上端から上方向に突出している。上突出部6の左右方向の幅は、基部83の幅W1よりも小さい。上突出部6は、機器本体20に設けられた嵌合部61に嵌合し、装着具2を機器本体20に固定することができる。
【0030】
下突出部7は、左突出部81及び右突出部82にそれぞれ設けられている。図4に示すように、各下突出部7は、左右方向の一側面から見ると、三角形状を有する。各下突出部7は、後述する取付フック5と係合することで、機器本体20と装着具2が外れないようにストッパの役割を果たす。このため、下突出部7は、図4の前後方向において、前方向には左突出部81(又は右突出部82)から下方向に垂直に突出し、後方向に行くに従って、突出量は減少する三角形状となっている。また、下突出部7の厚みは、左突出部81及び右突出部82の厚みと同等である。ここで、垂直とは、90度だけでなく、数度程度の誤差が許容される範囲内である場合も含める。
【0031】
継鉄8の左突出部81及び右突出部82は、基部83からの前後方向の長さは同じであり、基部83から垂直に前方向へ突出している。この形状を有することから、継鉄8及び装着具2の機械的強度が向上し、永久磁石9を保護すると共に磁力が向上する、という特徴を有する。また、継鉄8の形状は、製作及び加工が容易であるという特徴も有している。
【0032】
永久磁石9は、図4に示すように、厚み方向(前後方向)において、均一な厚みを有している。永久磁石9は、略長方形であり、2本の対角線の交点が重心となる。永久磁石9は、重心を中心として円形状のハトメ孔91が形成されている。上述した継鉄8のハトメ孔84と重ねたところにハトメリング10が貫通する。ハトメリング10がかしめられることで、継鉄8と永久磁石9とはかしめられ、結合する。
【0033】
永久磁石9は、継鉄8に取り付けられ、取付構造4に収容される。永久磁石9は取付構造4に装着具2として取り付けられた際には、継鉄8が取付構造4の底面41と接するか、近接して対向する。永久磁石9は、凹部40の底面41から突出している。永久磁石9の表面21が機器本体20の表面14よりも内側(後方向)になっていると、機器本体20と第2取付対象11とを取り付ける磁力が弱くなってしまう。そのため、永久磁石9の表面21は、機器本体20の表面14と面一の構造となるように、永久磁石9の厚さは設定される。つまり、永久磁石9が取付構造4の凹部40の底面41から突出している程度は面一である。
【0034】
機器1は、機器本体20及び装着具2に加えて、取付構造4と、取付フック5と、を更に有する。また、機器1はDINレール3に取付可能な機器である。鉄箱87等に取り付けるときには、取付構造4に装着具2を取り付けることにより、装着具2が鉄箱87に磁力により取り付けられるので、その結果、機器1が鉄箱87等に取り付けられる。
【0035】
取付構造4は、取付構造4の上部42に装着具2の上突出部6に対応した嵌合部61を有している。取付構造4の嵌合部61と、取付フック5と、により、装着具2は機器本体20に固定される。嵌合部61は、取付構造4の上部に穿たれた孔であり、装着具2の上突出部6よりも大きく、上突出部6と嵌合する。このことにより、取付構造4は、後述する取付フック5と共に、上下方向において装着具2を固定することができる。また、取付構造4は、機器1の取付部12よりも断面方向(前後方向の後方向)において深く形成されている。そのため、装着具2を左右方向において固定することができる。取付構造4は、断面方向において、取付部12よりも深く形成されていることから、永久磁石9を深さ方向に大きくすることができるので、磁力が向上する利点もある。
【0036】
本実施形態では、図1Aに示すように、機器1に対して取付構造4は2箇所設置されている。取付構造4が2箇所設置されることにより、機器1が回転してしまうことを抑制できる。さらに、永久磁石9の強度が増すため、機器1の取り付けが安定する利点もある。
【0037】
次に取付フック5について説明する。取付フック5は、取付構造4の下部に配置されている。取付フック5は、上下の変動が可能となっている。取付フック5は、上端部が広がったT字形状をしており、下端部は機器本体20の下端部よりも下に長くなっている。これは、装着具2を取り外す際に下に引っ張れるようにするためである。上下の変動幅は、少なくとも下突出部7が取付フック5の上を通過できる程度以上である。
【0038】
取付構造4に装着具2を取り付ける場合には、一旦、取付フック5を下に引き下げた後(図3B参照)、元に戻すことにより、下突出部7が外れないように設置することができる(図3A参照)。
【0039】
(3)動作
鉄箱87に機器1を取り付ける場合、及び取り外す場合について説明する。本実施形態では、鉄箱87に永久磁石9の磁力を用いて、機器1を取り付ける。このため、機器1の機器本体20に、装着具2は着脱される。装着具2の装着及び取り外しは、自由に、何度でも実施することができる。
【0040】
(3-1)装着
機器1の機器本体20は装着具2を取り付けられる。装着具2は、取付構造4の嵌合部61に上突出部6を挿し込まれ、嵌合する。次に、取付フック5は下方に下げられ(図3B参照)、下突出部7が取付フック5上を通過後、取付フック5は、元の状態に戻される(図3A参照)。これにより、機器本体20は装着具2を取り付けられる。装着具2を取り付けられた機器本体20は、装着具2の磁力により、鉄箱87に取り付けられる。
【0041】
(3-2)取り外し
鉄箱87から取り外された機器1は、装着具2を取り外される。具体的には、取付フック5は、下突出部7が取付フック5上を通過できるように下方に下げられる(図3B参照)。装着具2は前方向に引っ張り出され、下突出部7が取付フック5上を通過する。下突出部7が取付フック5上を通過すると、取付フック5は、元の状態に戻される。次に、嵌合部61から上突出部6が下方向に引き抜かれる。こうして装着具2は機器本体20から取り外される。
【0042】
(4)利点
以上、説明したように、本件の機器1、装置、装着器具、及び盤システムでは、DINレールに取付可能な機器に対して、外形及び外観を大きく変えることなく、鉄箱87への取付が可能である。
【0043】
また、DINレールへの取付又は鉄箱87への取付の変更が容易に可能であり、制御盤表面へ仮設置して動作確認や設定操作を行い、その後盤内のDINレールに設置するといった運用が可能である。
【0044】
(5)変形例
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記各実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0045】
規格化レールは、DINレールに限定されない。他の規格、例えば、IEC規格であっても好適に用いることができる。
【0046】
第2取付対象11への機器1の取り付けについて、磁力について説明したが、磁力のみに限定されない。DINレールに取付可能な機器1を第2取付対象11に取り付ける方法として、吸着、吸盤、粘着、貼付、引っ掛け、面ファスナ等を利用することができる。吸着及び吸盤は、機器1に吸盤等をつけて第2取付対象11に吸い付かせて、機器1を第2取付対象11に取り付ける方法である。粘着及び貼付は、粘着テープ等を機器1に貼り付けて、機器1を第2取付対象11に取り付ける方法である。引っ掛け、面ファスナは、機器1と第2取付対象11とに引っ掛ける器具を設置し、機器1を第2取付対象11に引っ掛ける方法である。
【0047】
機器1の取付構造4は2個配置されている構成としたが、この構成に限定されない。取付構造4は、機器1に1個配置されていてもよい。また、取付構造4は、機器1に3個以上配置されていてもよい。
【0048】
機器本体20(装置80)は、環境監視機器85である構成としたが、この構成に限定されない。機器本体20は、開閉器86であってもよい。この場合、機器本体20は、電磁開閉器、配線用遮断器を含む。
【0049】
(まとめ)
以上、説明したように、第1の態様に係る機器(1)は、機器本体(20)と、装着具(2)とを備える。機器本体(20)は、規格化された第1取付対象(3)に取付可能である。装着具(2)は、機器本体(20)に対して取り外し可能に装着され、第1取付対象(3)とは別の第2取付対象(11)に取付可能である。
【0050】
この構成によると、規格化されたレール(30)等がない場所でも、規格化されたレール(30)に取付可能な機器(1)を容易に取り付けることができる。
【0051】
第2の態様に係る機器(1)では、第1の態様において、装着具(2)は、永久磁石(9)を含む。
【0052】
この構成によると、規格化されたレール(30)等がない場所でも、規格化されたレール(30)に取付可能な機器(1)を容易に取り付けることができる。また、DINレール(3)に取付可能な機器(1)に対して、外形及び外観を大きく変えることなく、鉄箱(87)への取付が可能である。DINレール(3)への取付又は鉄箱(87)への取付の変更が容易に可能であり、制御盤表面へ仮設置して動作確認や設定操作を行い、その後盤内のDINレール(3)に設置する運用が可能である。
【0053】
第3の態様に係る機器(1)では、第1又は第2の態様において、装着具(2)は、継鉄(8)を含み、継鉄(8)が機器本体(20)に引っ掛かることで、装着具(2)は機器本体(20)に取り付けられる。
【0054】
この構成によると、装着具(2)が継鉄(8)を含むことで、永久磁石(9)を保護する役割を果たす。また、継鉄(8)により強度を増しつつ、磁性体材料でもあるので磁力を強める利点もある。さらに、継鉄(8)は永久磁石(9)に比べて、加工しやすい、という利点もある。
【0055】
第4の態様に係る機器(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、第1取付対象(3)は、レール(30)であって、機器本体(20)はレール(30)をレール(30)の幅方向の両側から挟むようにしてレール(30)に取り付けられる。
【0056】
この構成によると、第1取付対象(3)はレール(30)であって、機器(1)はレール(30)に取り付けられる。機器(1)は、レール(30)への取り付けと、レール(30)以外の第2取付対象(11)に取り付けられる。
【0057】
第5の態様に係る機器(1)では、第1~第4のいずれかの態様において、機器本体(20)は、第1取付対象(3)に取り付けるための取付構造(4)を有し、装着具(2)は、取付構造(4)を利用して機器本体(20)に取り付けられる。
【0058】
この構成によると、第1取付対象(3)及び第2取付対象(11)に機器本体(20)が取り付けられるときには、取付構造(4)を利用する。永久磁石(9)も固定可能にして、通常設置とは異なるような設置をしたり、仮設置したり、というような場合にも容易に装着、着脱可能であり、永久磁石(9)でもレール(30)でも自由に切替えることができる。
【0059】
第6の態様に係る機器(1)では、第5の態様において、取付構造(4)から装着具(2)が取り外されている状態において、機器本体(20)は第1取付対象(3)に取り付けられる。
【0060】
この構成によると、装着具(2)が取り外された状態の取付構造(4)と、第1取付対象(3)とは、互いに干渉することはない。そのため、レール(30)を用いて通常設置する場合と、永久磁石(9)を用いて仮設置したりする場合とを自由に切替えることができる。
【0061】
第7の態様に係る機器(1)では、第5又は第6の態様において、取付構造(4)は、凹部(40)を含み、装着具(2)は、凹部(40)の底面(41)から突出する。
【0062】
この構成によると、取付構造(4)は、凹部(40)を含んでいるため、永久磁石(9)を大きくすることができ、磁力が向上する。また、取付構造(4)は凹部(40)を含んでいることで、装着具(2)を取り付けるときに、左右方向は機器本体(20)の筐体で固定することができる。
【0063】
第8の態様に係る機器(1)では、第1~第7のいずれかの態様において、装着具(2)は、機器本体(20)に対して着脱可能である。
【0064】
この構成によると、装着具(2)は自由に着脱が可能となっている。一旦取り外しても、自由に取り付け、自由に取り外すことができるため、利便性が高くなる。
【0065】
第9の態様に係る機器(1)では、第1~第8のいずれかの態様において、機器本体(20)は、環境監視機器又は開閉器を含む。
【0066】
この構成によると、機器本体(20)は、環境監視機器や開閉器を含むことで、本格運用のみではなく、試験的に運用することや仮設置するニーズを満たすことができ、利便性が高くなる。
【0067】
第10の態様に係る装置(80)は、第1~第9のいずれかの態様の機器(1)が備える機器本体(20)として用いられる。
【0068】
この構成によると、装置(80)は、機器本体(20)であることで、レール(30)に取付可能な装置(80)に対して、外形や外観を大きく変えることなく、装置(80)を取り付けることができる。
【0069】
第11の態様に係る装着器具(90)は、第1~第9のいずれかの態様の機器(1)が備える装着具(2)として用いられる。
【0070】
この構成によると、装着器具(90)は、レール(30)への取り付けか、又は第2取付対象(11)への取り付けか、を容易に変更可能である。
【0071】
第12の態様に係る盤システム(100)は、第1~第9のいずれかの態様の機器(1)と、第1取付対象(3)と、を備える。
【0072】
この構成によると、盤システム(100)は、制御盤表面へ仮設置して動作確認や設定操作を行い、その後、レール(30)に設置する運用が可能であり、利便性が高くなる。
【符号の説明】
【0073】
1 機器
2 装着具
3 第1取付対象(DINレール)
4 取付構造
8 継鉄
9 永久磁石
11 第2取付対象
20 機器本体
30 レール
40 凹部
41 底面
80 装置
85 環境監視機器
86 開閉器
90 装着器具
100 盤システム
図1
図2
図3
図4
図5