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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
B65B57/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021574138
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2021003154
(87)【国際公開番号】W WO2021153715
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2020014395
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(73)【特許権者】
【識別番号】000180298
【氏名又は名称】四国化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 国男
(72)【発明者】
【氏名】山田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】籔内 孝憲
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-270527(JP,A)
【文献】特開平10-236584(JP,A)
【文献】特開平02-140601(JP,A)
【文献】特開平05-180621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B57/00-57/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部がキャップでシールされた製品の製造ライン上において、
容器が移動する経路に沿って近接センサが設けられており、
当該近接センサにより検知される領域は、正常な状態ではキャップが存在し得ず、一つの容器に二つのキャップが連続して取り付けられ且つ後続するキャップが容器表面に密着し得る領域であり、
当該近接センサにより、二つのキャップが連続して取り付けられた容器の検出を行う2連キャップ検出装置。
【請求項2】
前記近接センサは、容器が搬送される経路における容器が回転する領域に設けられている請求項1に記載の2連キャップ検出装置。
【請求項3】
前記近接センサは、容器が搬送される経路に沿って、容器の外周寸法と概略同一の範囲内に複数設けられている請求項1または2に記載の2連キャップ検出装置。
【請求項4】
容器の開口部がキャップでシールされた製品の製造ライン上において、
容器が移動する経路に発信機と受信機を備えたセンサが設けられており、
当該センサにより検知される領域は、正常な状態ではキャップが存在し得ず、一つの容器に二つのキャップが連続して取り付けられ且つ後続するキャップが容器表面から離隔してめくれ上がる領域であり、
当該センサにより、二つのキャップが連続して取り付けられた容器の検出を行う2連キャップ検出装置。
【請求項5】
前記センサは、容器が搬送される経路における容器が回転する領域か回転動作後の領域に設けられている請求項4に記載の2連キャップ検出装置。
【請求項6】
前記センサは、透過型センサである請求項4または5に記載の2連キャップ検出装置。
【請求項7】
容器の開口部がキャップでシールされた製品の製造ライン上において、
容器が移動する経路に沿って近接センサと、同じ経路内に発信機と受信機を備えたセンサの2種類のセンサを設け、
前記近接センサにより検知される領域は、正常な状態ではキャップが存在し得ず、一つの容器に二つのキャップが連続して取り付けられ且つ後続するキャップが容器表面に密着し得る領域であり、
前記発信機と受信機を備えたセンサにより検知される領域は、正常な状態ではキャップが存在し得ず、一つの容器に二つのキャップが連続して取り付けられ且つ後続するキャップが容器表面から離隔してめくれ上がる領域であり、
前記近接センサ及び/又は前記発信機と受信機を備えたセンサにより、二つのキャップが連続して取り付けられた容器の検出を行う2連キャップ検出装置。
【請求項8】
前記近接センサは、容器が搬送される経路における容器が回転する領域に設けられている請求項7に記載の2連キャップ検出装置。
【請求項9】
前記近接センサは、容器が搬送される経路に沿って、容器の外周寸法と概略同一の範囲内に複数設けられている請求項7または8に記載の2連キャップ検出装置。
【請求項10】
前記発信機と受信機を備えたセンサは、容器が搬送される経路における容器が回転する領域か回転動作後の領域に設けられている請求項7~9いずれか1項に記載の2連キャップ検出装置。
【請求項11】
前記発信機と受信機を備えたセンサは、透過型センサであることを特徴とする請求項7~10いずれか1項に記載の2連キャップ検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部をキャップでシールする際に発生する不都合を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種飲料を収容する容器の開口部(口部)は、製造工程において、容器の材質とは異なる材質のキャップ(例えば、アルミニウム製のキャップ)によりシールされており、内容物である飲料が漏洩することや異物が容器や飲料内に侵入することを防止している。
また、飲料用容器では、一つの容器の口部は一つのキャップでシールされるが、容器口部にキャップを配置(冠帽)する工程で、容器口部に配置されたキャップに後続するキャップが連行されてしまい、一つの容器に二つのキャップが配置されてしまう場合がある(いわゆる「2連キャップ」の状態:図7図8参照)。
【0003】
キャップは異物混入を防止するシール材としての役割を果たすため、2連キャップが生じて市場流通してしまうと、当該飲料の製造工程の異常が連想され、衛生面の悪い風評を招く要因となる。そのため、2連キャップが発生した場合には直ちにそれを検出して、2連キャップの状態となった容器が市場流通することを防止する必要がある。
しかし、図7図8で示す2連キャップを有効に検出する技術は、未だに提案されていない。
【0004】
ここで、カメラを製造ラインに配置し、製造工程で搬送される容器(飲料が充填され、冠帽された容器)を当該カメラにより撮影した映像により2連キャップを検出することも考えられるが、製造ラインにおいてはカメラを配置するスペースは存在しない。
また、2連キャップを撮影出来るようなカメラは高価であり、飲料品の製造コストを高騰化させる要因ともなってしまう。
その他の従来技術として、例えば箱の糊付け不良を検出する技術が提案されているが(特許文献1参照)、係る従来技術では上述した容器の「2連キャップ」を検出することは出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5387171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、一つの容器に二つのキャップが配置されてしまう事象(いわゆる「2連キャップ」)が発生した場合に直ちにそれを確実に検出する検出装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の検出装置(10)は、
容器(1)の開口部(1A:口部)がキャップ(2)でシールされた製品の製造ライン(100:製造装置)上において、
容器(1)が移動する経路に沿って近接センサ(3)が設けられており、
当該近接センサ(3)により検知される領域は、正常な状態(2連キャップが生じていない状態)ではキャップ(2)が存在し得ず、一つの容器(1)に二つのキャップ(2)が連続して取り付けられ且つ後続するキャップ(2-1)が容器表面に密着し得る(図7で示すいわゆる「密着型2連キャップ」が生じ得る)領域であり、
当該近接センサ(3)により、二つのキャップ(2)が連続して取り付けられた容器(1)の検出を行うことを特徴としている。
ここで前記近接センサ(3)は、容器(1)が搬送される経路における容器(1)が回転する領域(例えば、カーリング装置20)に設けられているのが好ましい。
そして前記近接センサ(3)は、容器(1)が搬送される経路に沿って、容器(1)の外周寸法と概略同一の範囲内に複数(好ましくは6個)設けられているのが好ましい。
本明細書において、「2連キャップ」なる文言は、一つの容器(1)に二つのキャップ(2)が取り付けられてしまう状態を意味する文言である。
そして「2連キャップ」には、後続のキャップ(2-1)が容器外周に密着してしまう場合(図7で示す状態、密着型2連キャップ)と、後続のキャップ(2-1)が容器外周から離隔して上方にめくれあがってしまう場合(図8で示す状態、めくれ型2連キャップ)との2種類が存在する。
【0008】
また本発明の検出装置(10A)は、
容器(1)の開口部(1A:口部)がキャップ(2)でシールされた製品の製造ライン(100:製造装置)上において、
容器(1)が移動する経路に発信機(4A:例えば投光器)と受信機(4B:例えば受光器)を備えたセンサ(4:例えば透過型センサ)が設けられており、
当該センサ(4)により検知される領域は、正常な状態(2連キャップが生じていない状態)ではキャップ(2)が存在し得ず、一つの容器(1)に二つのキャップ(2)が連続して取り付けられ且つ後続するキャップ(2-1)が容器表面から剥離してめくれ上がる(図8のめくれ型2連キャップが生じた状態)領域であり、
当該センサにより、二つのキャップが連続して取り付けられた容器の検出を行う(いわゆる「めくれ型2連キャップ」を検出する)ことを特徴としている。
また前記センサ(4)は、容器(1)が搬送される経路における容器が回転する領域(例えば、カーリング装置20)か或いは回転動作後の領域(例えば、カーリング装置20よりも下流側の領域)に設けられているのが好ましい。
そして前記センサ(4)は、透過型センサ(例えば透過型ファイバーセンサ)であるのが好ましい。
【0009】
さらに本発明の検出装置(10、10A)は、
容器(1)の開口部(1A:口部)がキャップ(2)でシールされた製品の製造ライン(100:製造装置)上において、
容器(1)が移動する経路に沿って近接センサ(3)と、同じ経路内に発信機(4A:例えば投光器)と受信機(4B:例えば受光器)を備えたセンサ(4:例えば透過型センサ)の2種類のセンサを設け、
当該センサ(2種類のセンサ3、4)により検知される領域は、正常な状態(2連キャップが生じていない状態)ではキャップ(2)が存在し得ず、一つの容器(1)に二つのキャップ(2)が連続して取りつけられた場合において、後続するキャップ(2-1)が存在し得る領域であり、
当該センサ(2種類のセンサ3、4)より、二つのキャップが連続して取り付けられた容器(2連キャップになった容器)の検出を行うことを特徴としている。
この場合、前記近接センサ(3)は、容器(1)が搬送される経路における容器(1)が回転する領域(例えば、カーリング装置20)に設けられているのが好ましい。
そして前記近接センサ(3)は、容器(1)が搬送される経路に沿って、容器(1)の外周寸法と概略同一の範囲内に複数(好ましくは6個)設けられているのが好ましい。
また前記センサ(発信機4Aと受信機4Bを備えたセンサ4)は、容器(1)が搬送される経路における容器が回転する領域(例えば、カーリング装置20)か或いは回転動作後の領域(例えば、カーリング装置20よりも下流側の領域)に設けられているのが好ましい。
そして前記センサ(4)は、透過型センサ(例えば透過型ファイバーセンサ)であるのが好ましい。
【0010】
また本発明において、透過型センサ(4)の受信機(4B:例えば受光器)は容器(1)が搬送されるラインに対して発信機(4A:例えば投光器)の反対側に配置されており、正常な状態(2連キャップが生じていない状態)では(光や超音波が)照射側機器(4A)から照射されて受信側センサ(4B)で受信されるが、一つの容器(1)に二つのキャップ(2)が取り付けられ且つ後続のキャップ(2-1)が容器表面から離隔してめくれ上がった場合(図8のめくれ型2連キャップが生じた場合)には(光や超音波が)受信側センサ(4B)で受信されない様に配置されているのが好ましい。
ただし、照射側機器(4A)と受信側センサ(4B)は容器(1)が搬送されるラインに対して同じ側に配置されており、2連キャップが生じていない正常な状態では照射側機器(4A)から照射されて(光や超音波が)受信側センサ(4B)で受信されないが、一つの容器(1)に二つのキャップ(2)が取り付けられ且つ後続のキャップ(2-1)が容器表面から離隔してめくれ上がった場合(図8のめくれ型2連キャップが生じた場合)には(光や超音波が)当該めくれ上がった後続キャップ(2-1)で反射して受信側センサ(4B)で受信される様に配置することも可能である。
【発明の効果】
【0011】
上述の構成を具備する本発明の検出装置(10)によれば、容器(1)が移動する経路に沿って近接センサ(3)が設けられており、当該近接センサ(3)は、図6で示す2連キャップが生じていない正常な状態では、キャップが存在しない容器表面を検査領域とする。そして、密着型2連キャップの後続するキャップ(2-1:連行されたキャップ)が容器表面に密着していれば(図7で示す場合)、当該領域には連行された後続するキャップ(2-1)が位置している。
そのため、図7で示す密着型2連キャップが発生している場合には、近接センサ(3)はキャップ(2)が近接したことを検知し、図7で示す密着型2連キャップが発生していることを検知する。
【0012】
一方、図8で示すタイプの様に後続するキャップ(2-1)がめくれ上がった状態の2連キャップ(いわゆる「めくれ型2連キャップ」)の場合には、連行された後続のキャップ(2-1)は容器表面から離隔しているため、上述した近接センサ(3)では検知することが出来ない。
しかし本発明の検出装置(10A)では、容器(1)の経路に沿って、例えば透過型センサ(透光型のファイバセンサ等)の様な発信機(4A:例えば投光器)と受信機(4B:例えば受光器)を備えたセンサ(4)を設けているので、図8の様に後続するキャップ(2-1)がめくれ上がった2連キャップ(いわゆる「めくれ型2連キャップ」)が生じた場合には、容器外周から離隔して上方にめくれ上がった後続キャップ(2-1)がセンサ(4)の発信機(4A)から照射される光等(超音波等も含む)を遮るため、受信機(4B)のセンサが光、超音波等を受信することが出来なくなる。従って、センサ(4)を設けた箇所を容器(1)が通過した際に、照射された光等が受信側センサ(4B)に感知されなければ、図8で示すキャップの容器外周から離隔して上方にめくれ上がった後続キャップ(2-1)が照射された光等を遮ったことを意味しており、図8に示すめくれ上がった状態の2連キャップが生じたことが検出される。
或いは、容器外周から離隔して上方にめくれ上がった後続キャップ(2-1)がセンサ(4)の発信機(4A)から照射される光、超音波等を反射して、受信機(4B)のセンサが反射された光、超音波等を受信する様に構成した場合には、センサ(4)を設けた箇所を容器(1)が通過した際に、照射された光等が受信側センサ(4B)に感知され、図8で示すキャップの容器外周から離隔して上方にめくれ上がった後続キャップ(2-1)が照射された光等を反射したことが検出され、図8に示すめくれ上がった状態の2連キャップが生じたことが検出される。
【0013】
この様に、本発明の検出装置(10、10A)によれば、図7で示す後続キャップ(2-1)が容器表面に密着したタイプの密着型2連キャップも、図8で示す後続キャップ(2-1)が容器外周から離隔して上方にめくれ上がったタイプのめくれ型2連キャップも確実に検知することが出来る。
ここで本発明で用いられるのは近接センサ(3)及び/又は発信機(4A)と受信機(4B)を備えたセンサ(4)であり、カメラを設けて搬送される冠帽後の容器を撮影する必要が無い。そのため、製造ラインにカメラを設置するための機構を別途設ける必要が無い。
また、近接センサ(3)及び/又は発信機(4A)と受信機(4B)を備えたセンサ(4)は、カメラに比較すると遥かに廉価であるため、高額のカメラを用いることに起因するコスト増加を防止出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態が適用される製造ラインを示す説明図である。
図2】実施形態におけるカーリング装置の平面図である。
図3図2のA-A断面を示す断面図である。
図4図2のカーリング装置におけるカーリングプレートのB-B断面、C-C断面、D-D断面を示す図である。
図5】2連キャップが発生する機序の説明図である。
図6】適正に冠帽した直後のキャップ及びそのプルタブを示す説明図である。
図7】容器表面に密着した2連キャップを示す説明図である。
図8】容器表面から離隔してめくれ上がった2連キャップを示す説明図である。
図9】透過型センサの説明図であって、図2のE矢視図である。
図10】透過型センサを図2とは異なる配置にしたカーリング装置の平面図である。
図11】実施形態において2連キャップを検出する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る検出装置10、10A(図1では図示せず)が適用される製造ライン100(製造装置)は、整立機30、充填シール機60、カーリング装置20を有しており、充填シール機60には、カッティングヘッド61が併設されている。また、製造ライン100には、必要に応じて、検査機器や製造機器を設置する。
なお、明確には図示されていないが、整立機30では、容器は開口部(口部)を上方に向けて整列された上、順次、次工程に送り出す機能を有している。
【0016】
充填シール機60では、容器1(図2図10参照)に飲料(図示せず)を充填した後、カッティングヘッド61から供給されたキャップを冠帽して、シールする。なお、カッティングヘッド61では、シート状のキャップ材を一定形状に打抜いた後、所定のキャップ形状に成形する機構を有しており、搬送路(図示せず)を経由して充填シール機にキャップの供給を連続的に行うことが出来る。
【0017】
シールされた直後の容器1では、キャップ2の裾部2Aやプルタブ部2Bは容器1に対して離隔して拡がった状態である(例えば図6参照)。カーリング装置20は、容器1に対して離隔して拡がった状態のキャップ2の裾部2Aやプルタブ部2Bを容器1の開口部1Aの外表面に密着させるための装置である。
なお、図示の実施形態に係る検出装置10(2連キャップの検出装置)はカーリング装置20に設けられており、検出装置10を含むカーリング装置20については図2以降で詳細に説明する。また、図1において、カーリング装置20を通過した容器1(飲料製品)は、経路70を介して製造装置100からラインオフされる。
【0018】
図2において、カーリング装置20は、ベルト21、カーリングプレート22を有しており、ベルト21とカーリングプレート22は矢印Xの方向に移動する容器1(シールされた容器)の経路(通路)の両側にそれぞれ配置されている。ここで、ベルト21に代えて、ロープ等を用いることも可能である。
ベルト21は、カーリング装置本体側(図示しない)に取り付けられた複数の駆動輪21Aにより駆動され、矢印Y方向に循環している。一方、カーリングプレート22は、ブラケット22Aによりカーリング装置本体に固定されている。
【0019】
ベルト21は容器1を矢印Y(図2)の方向に移動せしめると共に、図3で示す様に、容器1におけるキャップ2が冠帽された部分より下方の領域をカーリングプレート22側に押圧する。そしてカーリングプレート22は、容器1に冠帽されたキャップ2の側部(キャップ2の裾部2A、プルタブ部2Bを含む)を押圧する。
ベルト21が矢印Y(図2)の方向に循環することにより、ベルト21とカーリングプレート22に挟まれた容器1は図2の矢印Zで示す様に回転し、容器1が回転することにより、カーリングプレート22に当接されたキャップ2の裾部2Aとプルタブ2Bは、全周にわたって、均等に容器1の表面に密着する。
【0020】
キャップ2の裾部2Aとプルタブ2Bが重複して折り曲げられる(折り重なる)ことなく容器1の表面に正常に密着せしめる為に、カーリングプレート22の断面形状(容器1を押圧する部分の断面形状)は上流から下流(図2の左側から右側)に掛けて徐々に変化する様に構成されている。
カーリングプレート22における断面B-B(図2参照)が図4(A)で示されており、断面C-Cが図4(B)で示されており、断面D-Dが図4(C)で示されている。図4(A)~(C)においては、カーリングプレート22の断面形状に加えて、容器1のキャップ2を冠帽した部分も表示されている。
図4(A)で示す上流側の断面B-B(図4(A)参照)では、カーリングプレート22はキャップ2の上方端部のみを押圧している。それに対して、図4(B)で示す断面B-Bよりも下流側の断面C-Cでは、カーリングプレート22はプルタブ部2Bを除くキャップ2の裾部2Aを押圧している。図4(C)で示す断面C-Cよりもさらに下流側の断面D-Dでは、カーリングプレート22はプルタブ部2Bをも含めてキャップ2の側部全体を押圧している。
【0021】
次に、図5図6図7図8を参照して、一つの容器に二つのキャップが配置されて、いわゆる「2連キャップ」が発生してしまう理由について説明する。
カッティングヘッド61(図1)から供給されたキャップ2を容器1に冠帽する際、アルミ箔から打ち抜かれた状態のキャップ2が容器1の口部1Aに被せられる(冠帽される)。図5(A)で示す様に、通常は、容器1に冠帽される前のキャップ2は、容器1側の最前列のキャップ2のみがバキュームにより(バキューム吸引手段は図示せず)吸引され、落下しない様に保持される。最前列のキャップ2に連続するキャップ2-1、2-2(破線で表示する)は、最前列のキャップ2により容器1側に進行するのを停止される(せき止められる)が、連続するキャップ2-1、2-2は重力により最前列のキャップ2側に付勢されている。なお、図5(A)の段階では、容器1には内容物である飲料が充填されている。
図5(A)で示す様に、容器1に冠帽される以前の段階ではキャップ2は水平方向に対して傾斜した状態で保持されており、容器1が移動する方向(矢印U方向)について、容器1(飲料充填済み)の口部1Aの前縁(図5(A)では左縁)が、水平方向に対して斜めになった状態のキャップ2の最下端の箇所2Cに引っ掛かって、バキュームの保持力に抗してキャップ2を連行する。移動する容器1の口部1Aの前縁がキャップ2の最下端箇所2Cを引っ掛けて連行する結果、キャップ2は図示しないバキューム吸引手段から離隔し、キャップ2の重量により容器1の口部1Aに被される。
最前列のキャップ2が連行されると、後続のキャップ2-1は重力により最前列のキャップの位置まで移動し、図示しないバキューム吸引手段のバキュームで保持される。
【0022】
図5(B)で示す様に、キャップ2には、キャップ2を容器1から外す時に指で摘まんで引っ張るためのプルタブ2Bが設けられているが、キャップ2がカッティングヘッド61で打ち抜き成形された時点においては、図6で示すキャップ2の様にプルタブ2Bは概略水平方向に延在している。
【0023】
図5において、容器1にキャップ2を被せる(冠帽する)に際して、後続のキャップ2-1(図5(A)参照)のプルタブ2-1B(図5(A)参照)がキャップ2-1の周方向の何れに位置しているかは検知されず、把握されていない。
最前列のキャップ2が容器1に被せられる際に、例えば後続のキャップ2-1のプルタブ2-1Bが最前列のキャップ2に向かって延在し、キャップ2の下にプルタブ2-1Bが入り込んだ場合には、キャップ2が容器1に冠帽する際に、キャップ2-1がキャップ2に連行されることがある。これにより、いわゆる「2連キャップ」が生じる。また、裾部2Aと容器1の外表面の間には空間があり、同部に後続のキャップ2-1のプルタブ2-1Bが入り込んでしまうため(図5(C)参照)、連続的に生産される中で、後続のキャップ2-1のみを狙って排除することは困難である。
【0024】
この様な2連キャップの事象は、容器1が移動する力が、キャップをその場に留めるバキュームによる保持力よりも強いことにも起因するが、容器1が移動する力がバキュームによる保持力が容器1を移動する力よりも強くないと、図5(A)において容器口部1Aに被さったキャップ2が容器1と共に移動することが出来ない。
ここで、充填シール機60通過後およびカーリング装置20での容器1の挙動によって、いわゆる「2連キャップ」には2種類のパターンが存在することとなる。「2連キャップ」における2種類のパターンの一方では、図7で示す様に、後続のキャップ2-1が容器1の表面に密着している。2連キャップの他方のパターンでは、図8で示す様に、後続のキャップ2-1が容器1の表面から離隔してめくれ上がっている。
【0025】
図7で示すタイプの2連キャップでは、冠帽された際に後続キャップ2-1(図5(C)参照)が容器1に連行された状態でカーリング装置20(図2)においてベルト21とカーリングプレート22に挟まれて押圧された結果、キャップ2の裾部2Aと容器1の外表面の間に後続キャップ2-1のプルタブ2-1Bが入り込んだ状態で、後続キャップ2-1が容器1の表面に密着している。
図7で示す状態(2連キャップの後続キャップ2-1が容器1の表面に密着している状態)では、2連キャップが発生していない正常な状態ではキャップ2(裾部2A、プルタブ2B)が存在しない容器1の口部より下方の領域に、後続のキャップ2-1が存在することになる。
一方、図8で示す2連キャップでは、キャップ2の裾部2Aと容器1の外表面の間に後続キャップの2-1のプルタブ2-1Bが入り込んだまま容器の表面に密着している点では図7の2連キャップと同様であるが、後続のキャップ2-1の一部が容器1の上方にめくれ上がり、2連キャップが発生していない正常な状態ではキャップ2が存在しない領域、すなわち容器1の上方の領域まで後続キャップ2-1が延在している。
【0026】
図示の実施形態に係る検出装置では、容器1の外表面に密着した図7で示すタイプの2連キャップ(本明細書では「密着型2連キャップ」と記載する場合がある)は近接センサ3で検知している。一方、図8で示すタイプの2連キャップ、すなわち後続キャップ2-1が容器1の表面からめくれ上がっている2連キャップ(本明細書では、「めくれ型2連キャップ」と記載する場合がある)は透過型センサ4で検知する。ここで、透過型センサ4は発信機4A(例えば投光器)と受信機4B(例えば受光器)を備えたセンサの一例である。
最初に、図7で示すタイプの2連キャップの検出、いわゆる「密着型2連キャップ」の検出について説明する。
図2において、密着型2連キャップを検出する検出装置10は、カーリング装置20に設けられている。カーリング装置20では、ベルト21とカーリングプレート22により、容器1は矢印Z方向に回転しながら矢印Xの方向に移動する。容器1は矢印Z方向に回転しながら矢印Xの方向に移動する経路において、その両側(図2では上下方向の両側)にベルト21とカーリングプレート22が配置されており、近接センサ3が当該経路に沿った位置に設けられている。
図示の実施形態では近接センサ3は6個設けられており、前記経路の容器移動方向の下流側の領域に配置されている。図2図3で示す様に、近接センサ3は、ベルト21直近の位置に、ブラケット3Aを介してカーリング装置本体に取り付けられている。図示の実施形態で6個の近接センサ3を配置した理由は後述する。
【0027】
図2におけるA-A断面を示す図3において、近接センサ3の検知領域RI1は、通過する容器1におけるキャップ2(裾部2A、プルタブ2Bを含む)よりも僅かに下方の領域である。そのため、容器1の外表面にキャップ2が存在していない(後続キャップ2-1が容器2に密着していない)正常な状態(2連キャップが存在しない状態)では、検知領域RI1において、キャップ2(2-1)は存在しない。換言すれば、検知領域RI1は、正常な状態ではキャップ2を検知しない領域である。
これに対して密着型2連キャップが存在する場合(図7参照)には、検知領域RI1において、容器1の外表面に後続キャップ2-1の一部が密着している。そのため、密着型2連キャップ(図7)が存在すれば、検知領域RI1において後続するキャップ2-1が容器1表面に密着しており、近接センサ3により検出される。
【0028】
図2図3において、密着型2連キャップ(図7)は、カーリングプレート22によりキャップ2及び後続キャップ2-1が容器1側に押圧されて容器1の表面に密着することにより発生する。
上述した様に、密着型2連キャップが生じると、正常な状態(密着型2連キャップが存在しない状態)ではキャップ2が存在しない容器1の表面の領域(図3における検出領域RI1)に後続キャップ2-1の一部が密着する(図7参照)。
正常な状態ではキャップ2、2-1が存在しない検査領域RI1に金属であるアルミニウム(キャップ2、2-1はアルミニウム製)が近接した場合に、アルミニウム製の後続キャップ2-1を近接センサ3により検出する。近接センサ3によりアルミニウムの存在が検出されるということは、正常な状態ではキャップ2が存在しない容器1の表面(近接センサ3の検査領域RI1)にキャップ2(後続キャップ2-1)が存在するということであるため、後続キャップ2-1の一部が検査領域RI1に存在することが確認出来るので、密着型2連キャップが生じたと判断される。
図11を参照して後述する様に、密着型2連キャップが検出された場合には、警報その他の必要な処理、手順が実行される。
【0029】
容器1が正常な状態(密着型2連キャップが生じていない状態)であれば、近接センサ3はアルミニウム(キャップ2、後続キャップ2-1)を検知しないので、その容器1は正常である(密着型2連キャップが生じていない)と判断出来る。
【0030】
ここで、図2の符号「P」で示す箇所すなわち容器1の進行経路の入口近傍の位置において、密着型2連キャップの後続キャップ2-1が、容器1の円周方向のどの位置に密着するのかを事前に把握することは不可能である。また近接センサ3の検査領域RI1は近接センサ3から極めて近い距離に設定しないと正確な検出が出来ないので、近接センサ3と容器1の距離が極めて近くないと、検査領域RI1に後続キャップ2-1が存在することを検出出来ない。
そのため、近接センサ3を1個のみ設けたのでは、2連キャップの後続キャップ2-1が密着している容器1の円周方向位置によっては、密着型2連キャップ(図7)が発生していても、検査領域RI1に後続キャップ2-1が存在せず、近接センサ3が密着型2連キャップの発生を検出することが出来ない場合が存在する。
【0031】
図示の実施形態において、容器1はZ方向に回転しつつX方向に移動するので(図2参照)、近接センサ3を6個設け、各近接センサ3を容器1の円周方向を等間隔で検出出来る様に、容器1の中心角60°ずつ離隔した位置に6個の近接センサ3を配置すれば、容器1の円周方向全域について等分に近接センサ3で検出することが出来る。
発明者の実験によれば、6個の近接センサ3を設け、各近接センサ3が隣接する近接センサ3に対して容器1の中心角60°だけ離隔した円周方向位置を検出する様に配置すれば、図7の密着型2連キャップにおける後続のキャップ2-1が容器1の円周上のどの様な位置に存在しても、確実に検出することが可能であることが判明している。
また、図2において、6個の近接センサ3を設けた領域の上下流方向(図2で左右方向)の寸法Lは、容器1の外周よりも僅かに長い程度に設定されているため、検出漏れのリスクが減少している。
【0032】
図示の実施形態では、容器1の進行経路について、カーリングプレート22の反対側(ベルト21側)に近接センサ3が設けられている。
上述した様に、近接センサ3はキャップ2、2-1(アルミニウム製)との距離が短くなければ感知せず、係る距離的な条件が厳しい。そのため、カーリングプレート22側において、密着型2連キャップを検知可能な位置に近接センサ3を配置した場合には、近接センサ3はカーリングプレート22と干渉してしまう。図3を参照すれば明らかな様に、カーリングプレート22側に近接センサ3を配置することは困難である。
そのため図示の実施形態では、近接センサ3は、容器1の進行経路についてカーリングプレート22側には配置せず、カーリングプレート22の反対側のベルト21側に設けられている。
【0033】
図示の実施形態ではキャップ2はアルミニウム製であるため、近接センサ3は金属を感知するタイプを採用している。しかし、非金属製のキャップが密着型2連キャップ(2連キャップ)となった場合でも、金属以外に反応するタイプの近接センサを用いれば、検知することも可能である。
換言すれば、近接センサによる「密着型2連キャップ」の検知は、適切な種類の近接センサを選定することで、図示の実施形態のキャップ2とは異なる素材のキャップについても適用可能である。ただし、検知するべきキャップを構成する素材と容器の材質とが異なっている必要がある。
【0034】
ここで、近接センサ3は容器表面に密着した密着型2連キャップ(図7)は検知することが出来るが、図8で示す「めくれ型2連キャップ」は近接センサ3では検知できない。めくれ上がった2連キャップの位置は、めくれ具合にもよるが、容器1上方の領域にあるため、近接センサ3からの距離が長く、「めくれ型2連キャップ」を検出可能な位置に検査領域RI1を設定することは近接センサ3では困難である。
そのため、図示の実施形態では、図8で示す「めくれ型2連キャップ」は透過型センサ4(発信機4Aと受信機4Bを備えたセンサの一例)により検出される。
【0035】
図2において、めくれ型2連キャップを検出する検出装置10Aは、カーリング装置20の容器1が移動する経路に配置した透過型センサ4(透過型ファイバセンサ)により構成される。透過型センサ4は、前記経路の下流側(図2で右側)の領域において、ブラケット4Cを介してカーリング装置本体に取り付けられている。
上述した通り、2連キャップには密着型2連キャップ及びめくれ型2連キャップの2種類があるが、図示の実施形態において、密着型2連キャップの検出装置を符号「10」で表現し、めくれ型2連キャップの検出装置を符号「10A」で表現している。図示の実施形態では、密着型2連キャップの検出装置10及びめくれ型2連キャップの検出装置10Aの双方を備えている。
【0036】
また上述した通り、透過型センサ4は発信機4Aと受信機4Bを備えたセンサの一例である。
図2図9に示す様に、透過型センサ4は照射側機器4A(例えば投光器)と受信側センサ4B(例えば受光器)を備えており、投光器4Aと受光器4Bは容器1が搬送される経路を挟んで両側に配置されている。
図示の実施形態では、投光器4Aから受光器4Bに光LTを照射する。めくれ型2連キャップが生じた場合には、投光器4Aから受光器4Bに照射された照射光LTをめくれ上がった後続キャップ2-1が遮るため、受光器4Bは照射光LTを受光しない。それにより、透過型センサ4はめくれ型2連キャップの発生を検出する。
【0037】
透過型センサ4によるめくれ型2連キャップの検出について、図9を参照してさらに述べる。
図9において、透過型センサ4の照射光LTによる検知領域RI2は、通過する容器1におけるキャップ2の口部より上方の領域である。
そのため、めくれ型2連キャップが生じていない正常な状態では、検知領域RI2には後続キャップ2-1が存在せず、投光器4Aから照射された照射光LTは遮断させることなく受光器4Bにより受信される。これにより、めくれ型2連キャップが生じていないことが判断できる。
【0038】
一方、めくれ型2連キャップが生じた場合には、検知領域RI2において、後続キャップ2-1の一部が通過する。ここで、図8で示す様に後続キャップ2-1は容器1の表面から離隔してめくれ上がっているので(図8参照)、当該後続キャップ2-1が容器1の移動により検知領域RI2を通過すると、投光器4Aから照射された照射光LTを遮断してしまう。そのため、受光器4Bは照射光LTを受光せず、これにより透過型センサ4はめくれ型2連キャップを検出する。
換言すれば、図示の実施形態において、検知領域RI2は、めくれ型2連キャップが生じていない正常な状態では照射光LTが遮られることなく進行するが、めくれ型2連キャップが生じた状態では後続するキャップ2-1により照射光LTが遮られてしまう領域である。
図11を参照して後述する様に、めくれ型2連キャップが検出された場合には、警報その他の必要な処理、手順が実行される。
【0039】
図示の実施形態においては、投光器4Aと受光器4Bは、容器1の経路を挟んで両側に配置されている。
ただし、投光器4Aと受光器4Bを、容器1の経路に対して同一の側に配置させることも可能である。例えば、受光器4Bを後続キャップ2-1により反射された照射光LTを受光可能な位置に配置すれば、めくれ型2連キャップが生じていない正常な状態では、投光器4Aから照射された照射光LTは受光器4Bで受信されないが、めくれ上がっためくれ型2連キャップが存在する場合には、投光器4Aからの照射光LTがめくれ上がった後続キャップ2-1で反射されて受光器4Bで検知される。それにより、めくれ型2連キャップの発生を検出することが出来る。
ただし、めくれ型2連キャップにおいてはめくれ上がった後続キャップ2-1の大きさ、位置、角度、形状等が千変万化なので、めくれ型2連キャップの検出精度を向上するためには、めくれ上がった後続キャップ2-1によって反射された光が確実に受光器4Bにより受光される様に、受光器4Bを配置する必要がある。
【0040】
なお、めくれ型2連キャップの検出に用いられるセンサは、照射器から光を照射する透過型センサ4には限定されない。明確には図示しないが、例えば超音波を照射し、それを超音波センサで受信することにより、めくれ型2連キャップを検出することも可能である。但し、容器1が高速(例えば、分速40m程度)で移動する場合には、超音波によるめくれ型2連キャップの検出は困難である。
【0041】
図示の実施形態では図2で示す様に、容器1の移動する経路において、近接センサ3が上流側、透過型センサ4が下流側に配置されている。
ただし、透過型センサ4を近接センサ3の上流側に配置することも出来る。
図10において、透過型センサ4は容器1の移動する経路において上流側(図10で左側)に配置されており、近接センサ3は透過型センサ4の下流側に配置されている。図10で示す様に透過型センサ4を近接センサ3の上流側に配置しても、図2の場合と同様の作用効果を奏する。
【0042】
図示の実施形態では、密着型2連キャップを検出する近接センサ3及びめくれ型2連キャップを検出する透過型センサ4は、カーリング装置20に設けられているが、2連キャップの検出装置10、10Aはカーリング装置20以外の箇所で設けることが出来る。
ただし、近接センサ3は、容器1に密着したタイプの2連キャップである「密着型2連キャップ」を検出するためには、ベルト21とカーリングプレート22の組合せの様に容器を回転させる機構と組み合わせることが好ましい。また、カーリング装置20以外の箇所に近接センサ3を設ける場合は、近接センサ3の設置数は、上述した様に、6個の近接センサ3を設けるのに限らない。
一方、透過型センサ4は、めくれ上がったタイプの2連キャップである「めくれ型2連キャップ」を検出するためには、別途組み合わせるべき機構は存在しないが、検査時点ではめくれ上がりが完了している必要があるため、カーリング装置20等の回転機構を通過中または通過後に設置することが好ましい。
【0043】
パターンの異なる2連キャップを確実に検出するためには、2連キャップ検出装置は、近接センサ3と透過型センサ4を組み合わせることが望ましいが、2連キャップの発生パターンを制御することが出来れば、どちらかのセンサのみでも検出可能である。
【0044】
次に、主として図11を参照して、2連キャップ検出の手順について説明する。
図11において、ステップS1では、近接センサ3(図2図3)により、移動する容器1(図2)の外表面に密着した2連キャップ(図7の密着型2連キャップ)が検出されたか否かを判断する。
近接センサ3の検査領域RI1(図3、正常な状態ではキャップ2が存在しない領域である)においてキャップ2(後続キャップ2-1)が検出されれば、容器1に密着型2連キャップが生じている(検出された)と判断され(ステップS1がYes)、検査領域RI1にキャップ2が検出されなければ、容器1に密着型2連キャップは生じておらず(検出されず)、密着型2連キャップは生じていないと判断される(ステップS1がNo)。
密着型2連キャップが検出された場合(ステップS1が「Yes」)はステップS3に進み、密着型2連キャップが検出されない場合(ステップS1が「No」)はステップS2に進む。
【0045】
ステップS2(密着型2連キャップが検出されない場合)では、透過型センサ4(図2図9)により、経路を移動する容器1の外表面に2連キャップ(図8のめくれ型2連キャップ、図8)が検出されたか否かを判断する。
透過型センサ4の検査領域RI2(図9、正常な状態ではキャップ2が存在しない領域である)においてキャップ2(容器表面から離隔してめくれ上がった後続キャップ2-1)が検出されれば、容器1にめくれ型2連キャップが生じている(検出された)と判断され(ステップS2がYes)、検査領域RI2にキャップ2が検出されなければ、容器1にめくれ型2連キャップは生じておらず(検出されず)、めくれ型2連キャップは生じていないと判断される(ステップS2が「No」)。
ステップS2の判断の結果、めくれ型2連キャップが検出された場合(ステップS2が「Yes」)はステップS3に進み、めくれ型2連キャップが検出されない場合(ステップS2が「No」)はステップS4に進む。
【0046】
ステップS3(密着型2連キャップ或いはめくれ型2連キャップが検出された場合)では、2連キャップが生じており(検出されており)、それに対する処理、対策が必要であると判定する。
そして、2連キャップ(密着型2連キャップ或いはめくれ型2連キャップ)が検出された場合に必要な処理、例えば、警報装置の作動、製造装置100(図1)の稼働の一時停止、2連キャップが生じた容器の排除等を行うと共に、2連キャップの原因の究明及び対策を実行する。
【0047】
ステップS4(密着型2連キャップ及びめくれ型2連キャップが検出されない場合)では、2連キャップが生じておらず、正常な状態であると判定する。
ステップS3、ステップS4が終了したら、ステップS1に戻り、後続の容器1に対して同様の処理を実行する。
ここで、図11で示す手順において、ステップS1とステップS2を逆に実行することが出来ると共に、ステップS1とステップS2を同時に実行することも出来る。
【0048】
図示の実施形態によれば、検出装置10では、容器1が移動する経路に沿って近接センサ3が設けられており、近接センサ3は、容器1の外表面に密着した2連キャップ(密着型2連キャップ:図7)が生じていない正常な状態ではキャップ2(2-1)が存在しない容器表面の検査領域RI1を検知している。一方、後続するキャップ2-1が容器表面に密着していれば(図7の密着型2連キャップが生じた場合)、検査領域RI1には連行された後続キャップ2-1の一部が存在している。これにより、密着型2連キャップが発生している場合には、近接センサ3は後続キャップ2-1の存在を検知して、密着型2連キャップが発生していることを検出することが出来る。
また、近接センサ3の配置に際し、容器1の移動経路の長手方向の領域に、近接センサ3を容器1の外周寸法と概略同一の範囲内に6個(複数)設け、隣接する近接センサ3との距離を、容器1の円周方向における中心角60°の範囲と同等になる様に配置して、回転する容器1の円周方向を等間隔に検査している。そのため、密着型2連キャップにおいて後続のキャップ2-1が容器1の円周上のどの位置に存在しても、確実に検出することが出来る。
【0049】
また図示の実施形態によれば、検出装置10Aでは、容器1が移動する経路に沿って透過型センサ4が設けられており、容器1にめくれ型2連キャップ(図8)が生じた場合には、正常な状態ではキャップ2が存在しない検知領域RI2を検査している。そのため、容器外周から離隔して上方にめくれ上がった後続キャップ2-1が存在する場合(めくれ型2連キャップが生じた場合)、上方にめくれ上がった後続キャップ2-1が透過型センサ4の照射側4A(例えば投光器)から照射される光等(超音波等を照射する場合もある)を遮るため、受信側4B(例えば受光器)が照射光等を受信することが出来ない。
そのため、透過型センサ4を設けた箇所を容器1が通過した際に、照射された光等が受信側4Bに感知されない場合には、容器外周から離隔して上方にめくれ上がった後続キャップ2-1が検査領域RI2を通過して照射された光等を遮っているので、めくれ型2連キャップが生じたことが検出される。
【0050】
さらに検出装置10、10Aを備えた図示の実施形態では、容器1が移動する経路に沿って近接センサ3と透過型センサ4を設けており、図7で示す後続キャップ2-1が容器表面に密着したタイプの密着型2連キャップであっても、図8で示す後続キャップ2-1が容器外周から離隔して上方にめくれ上がったタイプのめくれ型2連キャップであっても、確実に検知することが出来る。
ここで、検出装置10、10Aにはそれぞれ近接センサ3と透過型センサ4は設けられているが、カメラは設けられておらず、搬送される冠帽後の容器を撮影することは必要ではない。そのため、製造ラインにカメラを設置するための機構を別途設ける必要が無い。
また、近接センサ3と透過型センサ4はカメラに比較すると遥かに廉価であるため、高額なカメラを設けることに比較して、製造ライン全体のコストを低減することが出来る。
【0051】
それに加えて図示の実施形態では、近接センサ3及び/又は透過型センサ4はカーリング装置20に設けられているので、ベルト21とカーリングプレート22により容器1を回転して、キャップ2の裾部2Aとプルタブ2Bを容器1に密着させる間に、図7のタイプの密着型2連キャップを検出することが出来る。それと共に、図8のタイプのめくれ型2連キャップを、密着型2連キャップの検出と概略同時期に検出することが出来る。
【0052】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0053】
1・・・容器
1A・・・開口部
2・・・キャップ
3・・・近接センサ
4・・・透過型センサ
4A・・・投光器(照射側機器)
4B・・・受光器(受信側センサ)
20・・・カーリング装置
10、10A・・・検出装置
100・・・製造装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11