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特許7519651流路形成部材及び流路形成部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】流路形成部材及び流路形成部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20240712BHJP
   B29C 65/70 20060101ALI20240712BHJP
   B29D 23/00 20060101ALI20240712BHJP
   F16L 9/133 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C65/70
B29D23/00
F16L9/133
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020066511
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021160311
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(73)【特許権者】
【識別番号】593212426
【氏名又は名称】株式会社日豊製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮野 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】服部 英二
(72)【発明者】
【氏名】武山 佳夫
【審査官】小山 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-103489(JP,A)
【文献】特開平06-339946(JP,A)
【文献】特開平11-166457(JP,A)
【文献】特開2013-111969(JP,A)
【文献】特開平11-022889(JP,A)
【文献】特開平07-323477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 33/00-33/76
B29C 65/00-65/82
B29D 22/00-23/24
F16L 9/00-11/26
F16L 13/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み合わされて流路を形成した樹脂製の複数の分割体、及び前記複数の分割体が組み合わされた接合部分に介在するシール部材を有した流路形成体と、
少なくとも前記接合部分を挟み込むように前記流路形成体の外面に設けられた樹脂製の二次成形体と、
を備え、
前記複数の分割体は、前記流路の流入口及び流出口を形成するとともに、前記流入口と前記流出口との間で前記流路を構成する空間に開口する開口部を形成した第1分割体と、前記開口部を覆って前記第1分割体に組み合わされた第2分割体と、を含み、
前記二次成形体は、前記流路形成体の外面を周方向の全周に亘って環状に覆う環状部分を有しており、
前記環状部分は、前記第1分割体と前記第2分割体との接合方向に沿った周方向において環状をなしている、流路形成部材。
【請求項2】
前記開口部は、前記流路の延びる方向に沿った開口形状をなしている請求項1に記載の流路形成部材。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の流路形成部材の製造方法であって、
樹脂成形によって前記複数の分割体を個別に形成し、
前記接合部分に前記シール部材を介在させて前記複数の分割体を組み合わせることによって前記流路形成体を形成し、
樹脂成形によって前記二次成形体を前記流路形成体の外面に形成する
流路形成部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は流路形成部材及び流路形成部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の流路形成部材としての樹脂製中空体を開示している。樹脂製中空体は、コア体及び被覆層を備えている。コア体は、エンジニアリングプラスチックを個別に成形した非筒状の素体を接合して構成されている。被覆層は、熱可塑性樹脂によってコア体の周りを取り囲んで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-211486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、素体同士は接着や超音波溶着、ねじ留め等によって接合され、耐圧性を確保している。このような接合方法の場合には、接着剤を塗布したり、溶着装置を必要としたり等、煩雑な工程を必要としてしまう。
【0005】
本開示は、十分な耐圧性と、製造の容易性の両立を図ることができる流路形成部材及び流路形成部材の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る流路形成部材は、互いに組み合わされて流路を形成した樹脂製の複数の分割体、及び前記複数の分割体が組み合わされた接合部分に介在するシール部材を有した流路形成体と、少なくとも前記接合部分を挟み込むように前記流路形成体の外面に設けられた樹脂製の二次成形体と、を備え、前記複数の分割体は、前記流路の流入口及び流出口を形成するとともに、前記流入口と前記流出口との間で前記流路を構成する空間に開口する開口部を形成した第1分割体と、前記開口部を覆って前記第1分割体に組み合わされた第2分割体と、を含む。
【0007】
上述した課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る流路形成部材の製造方法は、上記流路形成部材の製造方法であって、樹脂成形によって前記複数の分割体を個別に形成し、前記接合部分に前記シール部材を介在させて前記複数の分割体を組み合わせることによって前記流路形成体を形成し、樹脂成形によって前記二次成形体を前記流路形成体の外面に形成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る流路形成部材を示す平面図である。
図2】実施形態1に係る流路形成部材を示す正面図である。
図3】実施形態1に係る流路形成部材を示す側面図である。
図4図1のIV-IV線相当断面が表れた流路形成体の分解斜視断面図である。
図5図1のV-V線断面図である。
図6図1のVI-VI線断面図である。
図7】実施形態2に係る流路形成部材を示す部分拡大断面図である。
図8】実施形態2に係る流路形成体の分解斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
本開示の流路形成部材及び流路形成部材の製造方法を具体化した実施形態1について、図1から図6を参照しつつ説明する。以下の説明では、便宜上、後述する本体部60の開口方向を上方、その反対方向を下方と定義する。すなわち、上下の方向については、図2図3に表れる向きをそのまま上方、下方と定義する。但し、ここで定義した方向は、本開示に係る流路形成部材の設置方向を限定するものではない。
【0010】
図1から図3に示すように、流路形成部材1は内部に流路Pを形成している。流路Pは、上流側から第1流路P1、第2流路P2、第3流路P3の順に連なる3つの流路を有して構成されている。流路Pは、平面視において、オフセットして形成されて略平行に延びる第1流路P1及び第3流路P3を第2流路P2が連通した形態の平面視クランク状をなしている。流路Pは、側面視において、第1流路P1及び第3流路P3が略同等の高さで形成され、これらに対して第2流路P2が上方にオフセットした形態である。
【0011】
第1流路P1は断面略円形状であり、直線状に延びて形成されている。第1流路P1は、下流側に向かうにつれて段差状且つ同心状に縮径して形成されている。第1流路P1は、上流端に流入口2Aが開口し、下流端は第2流路P2に連通している。第2流路P2は、図1に示す平面視において、第1流路P1の中心軸に対して略直交する方向を長手方向とする略直方体形状の空間形状をなしている。図2及び図3に示すように、第2流路P2の下端は、第1流路P1の中心軸よりも上方に位置している。換言すると、第1流路P1は、下流側上端部において第2流路P2の下端部に連通している。第3流路P3は、第1流路P1と略平行に延びている。第3流路P3は、上流側から下流側に向かって略同径の断面円形状をなしている。第3流路P3は、上流側端部において第2流路P2に連通している。第3流路P3の下流端には流出口3Aが形成されている。流出口3Aは、流入口2Aよりも小さな開口で形成されている。
【0012】
流路形成部材1は、流路形成体10及び二次成形体50を備えて構成されている。図4に示すように、流路形成体10は、第1分割体20、第2分割体30、及びシール部材40を有している。第1分割体20及び第2分割体30は、複数の分割体の例示である。第1分割体20及び第2分割体30は、例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)等の樹脂の射出成形によって形成される。第1分割体20及び第2分割体30は、互いに組み合わされて流路を形成している。第1分割体20及び第2分割体30を組み合わせたことによって形成される流路は、上述の第2流路P2である。第1分割体20及び第2分割体30は上下方向を接合方向として組み合わされている。
【0013】
図4に示すように、第1分割体20は、本体部60、第1筒部70、及び第2筒部80を有して構成されている。第1分割体20は、非筒状をなす本体部60と、筒状をなす2つの筒部70,80とを組み合わせた形態である。具体的には、本体部60は、上下方向に対して略直交する方向を長手方向とする略直方体形状の空間60Aを形成している。この空間60Aは第2流路P2の一部を構成する。第1筒部70は第1流路P1を形成している。第1筒部70の先端部には流路Pの流入口2Aが形成されている。第2筒部80は第3流路P3を形成している。第2筒部80の先端部には流路Pの流出口3Aが形成されている。
【0014】
本体部60は開口部60Bを形成している。開口部60Bは、流入口2Aと流出口3Aとの間で第2流路P2を構成する空間60Aに開口している。開口部60Bは、空間60Aの上端に開口している。開口部60Bは、第2流路P2の延びる方向に沿った開口形状である。開口部60Bは、空間60Aが第2流路P2を形成した際に、流入口2Aから流入した流体が流出口3Aに至る過程で開口部60Bを貫通して流通することのない位置において、空間60Aに開口している。
【0015】
開口部60Bの周縁には、第2分割体30との接合部分となる第1接合部61が形成されている。第1接合部61は、溝部62、周壁部63、及びフランジ部64を有して構成されている。溝部62は開口部60Bの周縁に形成されている。溝部62は、下方に向けて断面凹状に窪んで形成されている。溝部62は、開口部60Bを取り囲む環状をなしている。この溝部62には後述するシール部材40が配置され、その底面62A(深さ方向の底面)はシール部材40が接触するシール面とされる。
【0016】
周壁部63は溝部62の周縁に形成されている。周壁部63は、溝部62を周方向に取り囲む形態で、上方に向けて断面凸状に立ち上がって形成されている。フランジ部64は、周壁部63の外側に形成されている。フランジ部64は、周壁部63の基端部から周壁部63の延伸方向に対して略直交する方向にフランジ状に延びている。フランジ部64の上面64Aは、上方に臨む面であり、接合方向である上下方向に対して交差する方向に拡がっている。フランジ部64の外周面64Bは、外周方向に臨む面であり、上面64Aの外縁から下方に拡がっている。
【0017】
第1筒部70は円筒形状をなしている。第1筒部70は、本体部60の長手方向の一方の端部(図1では左側端部)から側方に向けて延びている。第1筒部70の内側空間は第1流路P1を構成する。第2筒部80は、第1筒部70と同様、円筒形状をなしている。第2筒部80は、本体部60の長手方向の他方の端部(図1では右側端部)から第1筒部70とは反対の方向に向けて延びている。第2筒部80の内側空間は第3流路P3を構成する。
【0018】
第2分割体30は、開口部60Bを覆って第1分割体20に組み合わされている。第2分割体30は、第1分割体20の本体部60と組み合わされる非筒状をなしている。具体的には、図4に示すように、第2分割体30は、上下方向を板厚方向とする平面視略矩形状の板状をなしている。第2分割体30の下面側には、上方に向かって断面凹状に窪んだ空間30Aが形成されている。この空間30Aは第2流路P2の一部を構成する。第2分割体30は、下面側の周縁部において第1分割体20と組み合わされる。第2分割体30の周縁部は、第1分割体20との接合部分となる第2接合部31が形成されている。
【0019】
第2接合部31は、凸部32、及び外壁部33を有して構成されている。凸部32は、下方に向けて断面凸状に突出して形成されている。凸部32は、空間30Aの周囲を取り囲む環状をなしている。凸部32の突出端面32Aは接合方向である上下方向に対して略直交する面を形成している。凸部32は、第2分割体30が第1分割体20に組み合わされた際には第1接合部61の溝部62に嵌め込まれる。凸部32の先端面である突出端面32Aは、溝部62に配置されるシール部材40に接触するシール面とされる。
【0020】
外壁部33は、下方に向けて断面凸状に突出して形成されている。外壁部33は、環状をなす凸部32の延伸方向に沿って、第2分割体30の外周縁部の全周に亘って形成されている。外壁部33の突出端面33Aは、下方に臨む面であり、接合方向である上下方向に対して交差する方向に拡がっている。外壁部33の突出端面33Aは、第2分割体30が第1分割体20と組み合わされた状態において、第1接合部61のフランジ部64の上面64Aに対向する。外壁部33の外周面33Bは、第2分割体30の外周面を構成する。外壁部33の外周面33Bは、第2分割体30が第1分割体20と組み合わされた状態において、第1接合部61のフランジ部64の外周面64Bと略面一になる。
【0021】
外壁部33と凸部32との間には隙間が形成されている。この隙間は嵌合凹部34である。嵌合凹部34は、第2分割体30が第1分割体20と組み合わされた状態において第1接合部61の周壁部63と嵌合し、その深さ方向の底面34Aには周壁部63の突出端面63Aが突き当たる。換言すると、周壁部63は、第1分割体20と第2分割体30とが組み合わされた際には、凸部32の外周面と外壁部33の内周面との間に挟み込まれるとともに、突出端面63Aが嵌合凹部34の底面34Aに突き当たる。
【0022】
シール部材40は、第1分割体20及び第2分割体30が組み合わされた時に接合部分となる第1接合部61及び第2接合部31の間に介在している。具体的には、シール部材40は、第1接合部61の溝部62と、第2接合部31の凸部32との間に介在している。シール部材40は、例えば、ニトリルゴム(NBR)等の弾性を有するエラストマー製Oリングである。シール部材40は環状である。シール部材40は、溝部62の底面62Aと凸部32の突出端面32Aとの間に挟持されている。シール部材40は、第1分割体20と第2分割体30の接合方向である上下方向に押圧されている。
【0023】
図5及び図6に示すように、二次成形体50は、流路形成体10の外面に設けられている。二次成形体50は樹脂製であり、流路形成体10をインサート部品として射出成形される。二次成形体50は、例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)等の樹脂からなることができる。二次成形体50は、第1分割体20と第2分割体30の接合部分である第1接合部61及び第2接合部31を挟み込むように、流路形成体10の外面に形成されている。二次成形体50は、第1分割体20及び第2分割体30の接合部位の外面を覆っている。具体的には、二次成形体50は、第1接合部61のフランジ部64の外周面64Bと、これに連なる第2接合部31の外壁部33の外周面33Bに跨って形成されている。二次成形体50は、フランジ部64の外周面64B及び外壁部33の外周面33Bを周方向の全周に亘って覆っている。
【0024】
二次成形体50は、第1接合部61及び第2接合部31を接合方向である上下方向に挟み込むように、流路形成体10の外面を覆っている。具体的には、二次成形体50は、第1分割体20の下面から第2分割体30の上面まで連なって形成されている。このように設けられた二次成形体50によって、第1分割体20及び第2分割体30は、接合方向である上下方向に挟み込まれている。
【0025】
二次成形体50は、第1筒部70の先端部(流入口2A側端部)及び第2筒部80の先端部(流出口3A側端部)を除く流路形成体10の略全体を覆っている。このように設けられた二次成形体50は、図5及び図6に示すように、流路形成体10の外面を周方向の全周に亘って環状に覆う環状部分を有していると言える。
【0026】
上記構成の流路形成部材1の製造方法について説明する。流路形成部材1の製造では、最初に、流路形成体10を構成する第1分割体20及び第2分割体30を樹脂成形によって個別に形成する。詳細には、第1分割体20及び第2分割体30を、それぞれ樹脂の射出成形によって形成する。
【0027】
次に、第1分割体20及び第2分割体30を組み合わせる。これによって、第1分割体20と第2分割体30との間に流路P(第2流路P2)が形成された流路形成体10が出来上がる。この時、第1分割体20と第2分割体30の接合部位である第1接合部61及び第2接合部31において、第1接合部61の溝部62の底面62Aと、第2接合部31の凸部32の突出端面32Aとの間に、シール部材40を介在させて組み合わせる。シール部材40は、環状をなすOリングであることから、流路P(第2流路P2)と外部空間との間の水密性が確保される。この第1分割体20と第2分割体30との接合においては、接着や溶着、ねじ留め等は必須でない。
【0028】
最後に、流路形成体10の外面に二次成形体50を樹脂成形によって形成する。具体的には、二次成形体50を、流路形成体10をインサート部品とした射出成形によって形成する。二次成形体50は、流路形成体10の第1筒部70の先端部(突出方向の端部)及び第2筒部80の先端部(突出方向の端部)を除く外面の全周を覆うように設けられる。これによって、二次成形体50は、第1分割体20及び第2分割体30の接合部分である第1接合部61及び第2接合部31を挟み込むように、流路形成体10の外面に設けられる。二次成形体50は、流路形成体10の外面のうちの第1分割体20と第2分割体30との接合部位であるフランジ部64の外周面64B及び外壁部33の外周面33Bの全体を覆い、流路Pからの流体の漏洩を防止する。二次成形体50は、流路形成体10の外面を、第1分割体20と第2分割体30を組み合わせ方向に挟み込むようにして覆い、第1分割体20及び第2分割体30の分解を防止する。したがって、上述の第1分割体20と第2分割体30との接合においては、接着や溶着、ねじ留め等は不要である。
【0029】
上記構成の流路形成部材1の効果について説明する。
【0030】
流路形成部材1は、流路形成体10及び二次成形体50を備えている。流路形成体10は、第1分割体20、第2分割体30、及びシール部材40を有している。第1分割体20及び第2分割体30はそれぞれ樹脂製であり、互いに組み合わされて間に流路Pを形成している。第1分割体20は、流路Pの流入口2A及び流出口3Aが形成されているとともに、流入口2Aと流出口3Aとの間で流路Pを構成する空間60Aに開口する開口部60Bを形成している。第2分割体30は、開口部60Bを覆う蓋状に形成されている。シール部材40は、第1分割体20及び第2分割体30が組み合わされた接合部分である第1接合部61及び第2接合部31の間に介在している。二次成形体50は樹脂製であり、流路形成体10の外面に設けられている。二次成形体50は、第1分割体20及び第2分割体30の接合部分である第1接合部61及び第2接合部31を挟み込むように設けられている。
【0031】
流路形成部材1は、樹脂製の第1分割体20及び第2分割体30を組み合わせ、これらの間にシール部材40を介在させて流路Pを形成している。このように、流路形成部材1は、第1分割体20及び第2分割体30の間にシール部材40を介在させたことによって、接着や溶着、ねじ留め等を用いることなく流路Pを水密に保持し、耐圧性を確保できる。流路形成部材1は、樹脂製の二次成形体50によって、第1分割体20及び第2分割体30の接合部分である第1接合部61及び第2接合部31を挟み込んでいる。このため、接着や溶着、ねじ留め等を用いることなく容易に組み立てることができ、且つ組み立て状態を容易に保持することができる。したがって、流路形成部材1は、十分な耐圧性と、製造の容易性の両立を図ることができる。
【0032】
開口部60Bは、第2流路P2の延びる方向に沿った開口形状である。このため、流路形成部材1は、流路の延びる方向に交差する方向に沿った開口形状である場合と比較して、複雑な形状の流路をより簡易な構成で形成することができる。
【0033】
二次成形体50は、流路形成体10のうちの第1筒部70の先端部及び第2筒部80の先端部を除く全体を覆っている。すなわち、二次成形体50は、流路形成体10の外面を周方向の全周に亘って環状に覆う環状部分を有していると言える。このように、二次成形体50によって流路形成体10を略全周に亘って環状に覆うことで、流路形成体10の接合強度が高められ、耐圧性を一層向上させることができる。
【0034】
シール部材40は、溝部62の底面62Aと凸部32の突出端面32Aとの間に挟持されている。底面62A及び突出端面32Aは、それぞれ接合方向である上下方向に交差する方向に拡がる面である。このため、シール部材40は、二次成形体50による挟み込みによって底面62A及び突出端面32Aから上下方向の力を受けて圧接されるので、耐圧性を一層向上させることができる。
【0035】
流路形成部材1の製造方法は、樹脂成形によって第1分割体20及び第2分割体30を個別に形成し、第1接合部61と第2接合部31の間にシール部材40を介在させて第1分割体20及び第2分割体30を組み合わせることによって流路形成体10を形成し、樹脂成形によって二次成形体50を流路形成体10の外面に形成する。このため、耐圧性に優れた流路形成部材を容易に製造することができる。
【0036】
<実施形態2>
実施形態2に係る流路形成部材について、図7図8等を参照しつつ説明する。実施形態2において、上記実施形態1と略同じ構成部位には同符号をつけて、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0037】
実施形態2の流路形成部材201は、図7及び図8に示す流路形成体210を備えている。実施形態2の流路形成部材201は、この流路形成体210における複数の分割体の接合部位の構成の点において、実施形態1と相違している。
【0038】
図7及び図8に示すように、流路形成体210は第1分割体220及び第2分割体230を備えている。第1分割体220は本体部260を有している。本体部260は、上下方向に対して略直交する方向を長手方向とする略直方体形状の空間260Aを形成している。この空間260Aは第2流路P2の一部を構成する。本体部260は、空間260Aの上端が開口した開口部260Bを形成している。開口部260Bの周縁には、第2分割体230との接合部分となる第1接合部261が形成されている。空間260Aを形成する本体部260の内壁面260Cは、開口部260Bから下方に延びて形成されている。内壁面260Cは、シール部材40が接触するシール面である。すなわち、第1分割体220の第1接合部261と、第2分割体230の第2接合部231との間に介在するシール部材40は、第1分割体220と第2分割体230との接合方向である上下方向に沿った面をシール面として、第1接合部261と第2接合部231との間に介在している。
【0039】
第1接合部261は、周壁部263、及びフランジ部264を有して構成されている。周壁部263は開口部260Bの周縁に形成されている。周壁部263は、開口部260Bを周方向に取り囲む形態で、上方に向けて断面凸状に立ち上がって形成されている。周壁部263の内側壁面263Bは、空間260Aの内壁面260Cに面一に連なって、開口部260Bから上方に延びている。
【0040】
フランジ部264は、周壁部263の外側に形成されている。フランジ部264は、周壁部263の基端部から周壁部263の延伸方向に対して略直交する方向にフランジ状に延びている。フランジ部264の上面264Aは、上方に臨む面であり、接合方向である上下方向に対して交差する方向に拡がっている。フランジ部264の外周面264Bは、外周方向に臨む面であり、上面264Aの外縁から下方に拡がっている。
【0041】
図7及び図8に示すように、第2分割体230は、上下方向に対して略直交する方向を長手方向とする断面山高帽状の長尺形状をなしている。第2分割体230の下面側には、第1分割体220との接合部位となる第2接合部231が形成されている。
【0042】
第2接合部231は、凸部232、及び外壁部233を有して構成されている。凸部232は、第2分割体230の下面中心部から下方に向けて断面凸状に突出して形成されている。この凸部232は、第2分割体230が第1分割体220に組み合わされた際には、第1分割体220の本体部260が形成する空間260A内に嵌め込まれる。凸部232の下面は、第2流路P2の上端の一部を形成する。
【0043】
外壁部233は、第2分割体230の外周縁部の全周に亘って形成されている。外壁部233の下端面233Aは、下方に臨む面であり、接合方向である上下方向に対して交差する方向に拡がっている。外壁部233の下端面233Aは、第2分割体230が第1分割体220と組み合わされた状態において、第1接合部261のフランジ部264の上面264Aに対向する。外壁部233の外周面233Bは、第2分割体230の外周面を構成する。外壁部233の下端面233Aの幅は、フランジ部264の上面264Aの幅に比べて小さい。このため、第2分割体230が第1分割体220と組み合わされた状態において、外壁部233の外周面233Bとフランジ部264の外周面264Bとは段差状をなす。
【0044】
外壁部233と凸部232との間には隙間が形成されている。この隙間は嵌合凹部234である。嵌合凹部234は、第2分割体230が第1分割体220と組み合わされた状態において、第1接合部261の周壁部263と嵌合する。凸部232には溝部235が形成されている。溝部235は、凸部232の外周面に環状に形成されている。溝部235は、凸部232の外周面に開口し、内側方向に向けて断面凹状に窪んで形成されている。溝部235にはシール部材40が配置され、その底面235A(深さ方向の底面)はシール部材40が接触するシール面とされる。底面235Aは、上述した第1接合部261側のシール面である内壁面260Cと同様に、上下方向に延びる面である。すなわち、第1分割体220の第1接合部261と、第2分割体230の第2接合部231との間に介在するシール部材40は、第1分割体220と第2分割体230との接合方向である上下方向に沿った面をシール面として、第1接合部261と第2接合部231との間に介在している。
【0045】
凸部232には空間232Aが形成されている。空間232Aは、凸部232の中央部において下方に開口し、長手方向に沿って延びるスリット状をなして形成されている。空間232Aは、第2分割体230が第1分割体220と組み合わされた状態において、流路Pに連通する。
【0046】
上記構成の流路形成部材201の製造方法について説明する。流路形成部材201の製造において、流路形成体210を構成する第1分割体220及び第2分割体230を樹脂の射出成形によって個別に形成する点は実施形態1と同様である。そして、第1分割体220及び第2分割体230を、間にシール部材40を介在させて組み合わせる。このシール部材40によって、流路P(第2流路P2)と外部空間との間の水密性が確保される。この第1分割体220と第2分割体230との接合もまた、接着や溶着、ねじ留め等は必須でない。
【0047】
最後に、流路形成体210をインサート部品とした射出成形によって、流路形成体210の外面に二次成形体50を樹脂成形によって形成する。二次成形体50は、第1分割体220及び第2分割体230の接合部分である第1接合部261及び第2接合部231を挟み込むように、流路形成体210の外面に設けられる。
【0048】
実施形態2の流路形成体210において、第1分割体220と第2分割体230とを接合すると、凸部232が空間260A内に挿入される。凸部232にはスリット状の空間232Aが形成されており、この空間232Aは、流路Pに連通している。このため、空間232A内の圧力は流路P内の圧力上昇に応じた圧力となる。この圧力は、凸部232を外周方向に押し広げるように作用する。上述のように、凸部232の外周面には溝部235が形成されており、溝部235の深さ方向の底面235Aはシール部材40に接触するシール面である。このため、シール部材40が底面235Aから押圧力を受け、底面235Aと空間260Aの内壁面260Cとの間で挟み込まれる。その結果、シール性能を一層向上でき、耐圧性の更なる向上を図ることができる。
【0049】
本開示は、上記記述及び図面によって説明した各実施形態の開示に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も含まれる。
【0050】
(1)複数の分割体の材質、形状、分割数等は、上記各実施形態の例示に限定されない。複数の分割体は、例えば、それぞれ異なる材質で形成されていてもよい。複数の分割体の形状は、形成する流路の形状に応じた形状を適宜採用できる。複数の分割体の分割数は、例えば、3以上であってもよい。
【0051】
(2)シール部材の材質、形状等は上記各実施形態の例示に限定されない。
【0052】
(3)流路形成体の構成は、上記各実施形態に例示した構成に限定されない。流路形成体は、例えば、3以上の分割体と、2以上のシール部材とを有して構成されていてもよい。
【0053】
(4)二次成形体の材質、形状等は上記各実施形態の例示に限定されない。二次成形体は、例えば、複数の分割体とは異なる材質であってもよい。
【0054】
(5)二次成形体が環状部分を有することは必須ではない。二次成形体は、例えば、複数の分割体の接合部分を挟み込む断面略U字形状、J字状等の環状をなさない形態であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1,201…流路形成部材、2A…流入口、3A…流出口、10,210…流路形成体、20,220…第1分割体(複数の分割体)、30,230…第2分割体(複数の分割体)、31,231…第2接合部(接合部分)、40…シール部材、50…二次成形体、60B…開口部、61,261…第1接合部(接合部分)、P…流路(P1…第1流路、P2…第2流路、P3…第3流路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8