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特許7519653シールド機のテールクリアランス測定システム及びシールド機のテールクリアランス測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】シールド機のテールクリアランス測定システム及びシールド機のテールクリアランス測定方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20240712BHJP
   E21D 11/00 20060101ALI20240712BHJP
   G01B 11/14 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
E21D9/06 301Z
E21D11/00 Z
G01B11/14 H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020202726
(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公開番号】P2022090363
(43)【公開日】2022-06-17
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514018238
【氏名又は名称】株式会社きんそく
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】市川 政美
(72)【発明者】
【氏名】安田 幸生
(72)【発明者】
【氏名】中山 卓人
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】山崎 友誉
(72)【発明者】
【氏名】▲土▼本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 憲二
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-082112(JP,A)
【文献】特開2022-035173(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110726373(CN,A)
【文献】特開平08-086618(JP,A)
【文献】特開昭63-315797(JP,A)
【文献】特開平08-159718(JP,A)
【文献】特開2006-126072(JP,A)
【文献】特開平09-005042(JP,A)
【文献】特開平07-055436(JP,A)
【文献】特開平03-119298(JP,A)
【文献】特開2019-085782(JP,A)
【文献】特開2001-059397(JP,A)
【文献】米国特許第05529437(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00-9/14
E21D 11/00-19/06
E21D 23/00-23/26
G01B 11/00-11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を測定するシールド機のテールクリアランス測定システムであって、
前記セグメントの前端面と、前記スキンプレートの内周面とに向けてレーザーライン光を照射するレーザー照射手段と、
前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光を、前記セグメントの前端面に照射された前記レーザーライン光と前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光とが、一直線にならないように撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像において、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射されたレーザーライン光をそれぞれ径方向ライン及び軸方向ラインとして検出するライン検出手段と、
前記径方向ラインと前記軸方向ラインとの交点を求める交点検出手段と、
前記径方向ラインの所定位置から前記交点検出手段が求めた交点までの延長部分の距離に基づいて、前記スキンプレートの内周面と前記セグメントの外周面との距離を求める距離測定手段と
前記撮像手段が前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに撮像可能な位置に配置され基準寸法が設定されたスケールマーカーと、を備え
前記スケールマーカーは、シールド機のシールドジャッキのスプレッダに設けられており、
前記距離測定手段は、前記撮像手段が撮影した画像において、前記スケールマーカーの基準寸法に対応する画素数と前記延長部分の距離に対応する画素数との比率に基づいて、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を求める
ことを特徴とするシールド機のテールクリアランス測定システム。
【請求項2】
前記スケールマーカーは、さらに前記セグメントの前端面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド機のテールクリアランス測定システム。
【請求項3】
前記セグメントの前端面に設けられている前記スケールマーカーの前記基準寸法は、前記セグメントの厚みに基づいて設定されていることを特徴とする請求項2に記載のシールド機のテールクリアランス測定システム。
【請求項4】
前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面のエッジ部分との交点であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定システム。
【請求項5】
前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられたシール溝の段部との交点であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定システム。
【請求項6】
前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられた前記セグメントの外周面からの距離が既知であるマーキングとの交点であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定システム。
【請求項7】
スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を測定するシールド機のテールクリアランス測定方法であって、
前記セグメントの前端面と、前記スキンプレートの内周面とに向けてレーザーライン光を照射する照射工程と、
前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光を、前記セグメントの前端面に照射された前記レーザーライン光と前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光とが、一直線にならないように撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像した画像において、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射されたレーザーライン光をそれぞれ径方向ライン及び軸方向ラインとするライン検出工程と、
前記径方向ラインと前記軸方向ラインとの交点を求める交点検出工程と、
前記径方向ラインの所定位置から前記交点検出工程で求めた交点までの延長部分の距離に基づいて、前記スキンプレートの内周面と前記セグメントの外周面との距離を求める距離測定工程と、を備え
前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに撮像可能な位置に基準寸法が設定されたスケールマーカーを配置しておき、
前記スケールマーカーは、シールド機のシールドジャッキのスプレッダに設けられており、
前記撮像工程は、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに前記スケールマーカーを撮像する工程であって、
前記距離測定工程は、前記スケールマーカーの基準寸法に対応する画素数と前記延長部分の距離に対応する画素数との比率で、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を求める工程である
ことを特徴とするシールド機のテールクリアランス測定方法。
【請求項8】
前記スケールマーカーは、さらに前記セグメントの前端面に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法。
【請求項9】
前記セグメントの前端面に設けられている前記スケールマーカーの前記基準寸法は、前記セグメントの厚みに基づいて設定されていることを特徴とする請求項8に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法。
【請求項10】
前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面のエッジ部分との交点であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法。
【請求項11】
前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられたシール溝の段部との交点であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法。
【請求項12】
前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられた前記セグメントの外周面からの距離が既知であるマーキングとの交点であることを特徴とする請求項7乃至請求項11のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転カッタを有し、スキンプレート内でセグメントを組み立てながら掘進するシールド機において、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との隙間の距離であるテールクリアランスを測定するシールド機のテールクリアランス測定システム及びシールド機のテールクリアランス測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド機が備えるスキンプレートと、その内側で組み立てられるセグメントとの間には環状の隙間が形成される。この隙間の距離であるテールクリアランスは、適切に保たれていないと、シールド機が掘進する際に、セグメントに当たって破損させたり、次のセグメントを組み立てられない等の不具合が発生する。
従って、シールド機を掘進させる際には、テールクリアランスを管理することが非常に重要であるが、その管理には、通常、シールド機の例えば上下左右の4か所などにおいて、人がテールクリアランスをスケールで測定しているので、非常に手間がかかった。
【0003】
この手間を省き、自動的にリアルタイムでテールクリアランスを測定する装置が、特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載のシールド機のテールクリアランス測定装置は、シールド機のテール部の延伸方向と平行にレーザー光を照射する照射部を、テール部の内壁に対して垂直方向に移動自在に設け、照射部の内壁に対する距離を検出演算して距離出力信号を出力する距離検出演算部と、セグメントの端面のレーザースポットを撮影して画像信号を出力するカメラと、画像信号からセグメントの端面の側端部を認識して側端部認識信号を出力する側端部認識部と、側端部認識信号及び距離出力信号に基づいて、セグメントの側端部とテール部の内壁との距離を演算出力するクリアランス演算部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-121087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなシールド機のテールクリアランス測定装置は、セグメントの側端部にレーザー光を照射している状態の照射部と、テール部の内壁との距離を実際に測定してテールクリアランスを検出しているので、照射部を案内するガイドレールが短いと、測定結果も不正確になる。一方、ガイドレールが長いと装置全体が大型となり、設置個所が限られてしまうため、セグメントの組み立ての邪魔になる恐れがあるだけでなく、洗い水をかぶったり、セグメントが衝突して測定不能となりかねない。
本発明が解決しようとする課題は、シールド機に搭載される部分がコンパクトで、邪魔にならない位置に取り付け可能であり、テールクリアランスを自動的に正確に測定できるシールド機のテールクリアランス測定システム及びシールド機のテールクリアランス測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を測定するシールド機のテールクリアランス測定システムであって、前記セグメントの前端面と、前記スキンプレートの内周面とに向けてレーザーライン光を照射するレーザー照射手段と、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光を、前記セグメントの前端面に照射された前記レーザーライン光と前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光とが、一直線にならないように撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像において、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射されたレーザーライン光をそれぞれ径方向ライン及び軸方向ラインとして検出するライン検出手段と、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとの交点を求める交点検出手段と、前記径方向ラインの所定位置から前記交点検出手段が求めた交点までの延長部分の距離に基づいて、前記スキンプレートの内周面と前記セグメントの外周面との距離を求める距離測定手段と、前記撮像手段が前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに撮像可能な位置に配置され基準寸法が設定されたスケールマーカーと、を備え、前記スケールマーカーは、シールド機のシールドジャッキのスプレッダに設けられており、前記距離測定手段は、前記撮像手段が撮影した画像において、前記スケールマーカーの基準寸法に対応する画素数と前記延長部分の距離に対応する画素数との比率に基づいて、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を求めることを特徴とするシールド機のテールクリアランス測定システムである。
請求項2に係る発明は、前記スケールマーカーは、さらに前記セグメントの前端面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
請求項3に係る発明は、前記セグメントの前端面に設けられている前記スケールマーカーの前記基準寸法は、前記セグメントの厚みに基づいて設定されていることを特徴とする請求項2に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
請求項4に係る発明は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面のエッジ部分との交点であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
請求項5に係る発明は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられたシール溝の段部との交点であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
請求項6に係る発明は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられた前記セグメントの外周面からの距離が既知であるマーキングとの交点であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
請求項7に係る発明は、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を測定するシールド機のテールクリアランス測定方法であって、前記セグメントの前端面と、前記スキンプレートの内周面とに向けてレーザーライン光を照射する照射工程と、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光を、前記セグメントの前端面に照射された前記レーザーライン光と前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光とが、一直線にならないように撮像する撮像工程と、前記撮像工程で撮像した画像において、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射されたレーザーライン光をそれぞれ径方向ライン及び軸方向ラインとするライン検出工程と、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとの交点を求める交点検出工程と、前記径方向ラインの所定位置から前記交点検出工程で求めた交点までの延長部分の距離に基づいて、前記スキンプレートの内周面と前記セグメントの外周面との距離を求める距離測定工程と、を備え、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに撮像可能な位置に基準寸法が設定されたスケールマーカーを配置しておき、前記スケールマーカーは、シールド機のシールドジャッキのスプレッダに設けられており、前記撮像工程は、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに前記スケールマーカーを撮像する工程であって、前記距離測定工程は、前記スケールマーカーの基準寸法に対応する画素数と前記延長部分の距離に対応する画素数との比率で、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を求める工程であることを特徴とするシールド機のテールクリアランス測定方法である。
請求項8に係る発明は、前記スケールマーカーは、さらに前記セグメントの前端面に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
請求項9に係る発明は、前記セグメントの前端面に設けられている前記スケールマーカーの前記基準寸法は、前記セグメントの厚みに基づいて設定されていることを特徴とする請求項8に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
請求項10に係る発明は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面のエッジ部分との交点であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
請求項11に係る発明は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられたシール溝の段部との交点であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
請求項12に係る発明は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられた前記セグメントの外周面からの距離が既知であるマーキングとの交点であることを特徴とする請求項7乃至請求項11のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
また、別発明として以下のものでも良い。
手段1は、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を測定するシールド機のテールクリアランス測定システムであって、前記セグメントの前端面と、前記スキンプレートの内周面とに向けてレーザーライン光を照射するレーザー照射手段と、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光を、前記セグメントの前端面に照射された前記レーザーライン光と前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光とが、一直線にならないように撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像において、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射されたレーザーライン光をそれぞれ径方向ライン及び軸方向ラインとして検出するライン検出手段と、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとの交点を求める交点検出手段と、前記径方向ラインの所定位置から前記交点検出手段が求めた交点までの延長部分の距離に基づいて、前記スキンプレートの内周面と前記セグメントの外周面との距離を求める距離測定手段とを備えたことを特徴とするシールド機のテールクリアランス測定システムである。
【0007】
手段2は、前記撮像手段が前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに撮像可能な位置に配置され基準寸法が設定されたスケールマーカーと、を備え、前記距離測定手段は、前記撮像手段が撮影した画像において、前記スケールマーカーの基準寸法に対応する画素数と前記延長部分の距離に対応する画素数との比率に基づいて、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を求めることを特徴とする手段1に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
【0008】
手段3は、前記スケールマーカーは、シールド機のシールドジャッキのスプレッダに設けられていることを特徴とする手段2に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
【0009】
手段4は、前記スケールマーカーは、前記セグメントの前端面に設けられていることを特徴とする手段2又は手段3に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
【0010】
手段5は、前記セグメントの前端面に設けられている前記スケールマーカーの前記基準寸法は、前記セグメントの厚みに基づいて設定されていることを特徴とする手段4に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
【0011】
手段6は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面のエッジ部分との交点であることを特徴とする手段1乃至手段5のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
【0012】
手段7は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられたシール溝の段部との交点であることを特徴とする手段1乃至手段6のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
【0013】
手段8は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられた前記セグメントの外周面からの距離が既知であるマーキングとの交点であることを特徴とする手段1乃至手段7のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定システムである。
【0014】
手段9は、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を測定するシールド機のテールクリアランス測定方法であって、前記セグメントの前端面と、前記スキンプレートの内周面とに向けてレーザーライン光を照射する照射工程と、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光を、前記セグメントの前端面に照射された前記レーザーライン光と前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光とが、一直線にならないように撮像する撮像工程と、前記撮像工程で撮像した画像において、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射されたレーザーライン光をそれぞれ径方向ライン及び軸方向ラインとするライン検出工程と、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとの交点を求める交点検出工程と、前記径方向ラインの所定位置から前記交点検出工程で求めた交点までの延長部分の距離に基づいて、前記スキンプレートの内周面と前記セグメントの外周面との距離を求める距離測定工程と、を備えることを特徴とするシールド機のテールクリアランス測定方法である。
【0015】
手段10は、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに撮像可能な位置に基準寸法が設定されたスケールマーカーを配置しておき、前記撮像工程は、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに前記スケールマーカーを撮像する工程であって、前記距離測定工程は、前記スケールマーカーの基準寸法に対応する画素数と前記延長部分の距離に対応する画素数との比率で、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を求める工程であることを特徴とする手段9に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
【0016】
手段11は、前記スケールマーカーは、シールド機のシールドジャッキのスプレッダに設けられていることを特徴とする手段10に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
【0017】
手段12は、前記スケールマーカーは、前記セグメントの前端面に設けられていることを特徴とする手段10又は手段11に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
【0018】
手段13は、前記セグメントの前端面に設けられている前記スケールマーカーの前記基準寸法は、前記セグメントの厚みに基づいて設定されていることを特徴とする手段12に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
【0019】
手段14は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面のエッジ部分との交点であることを特徴とする手段9乃至手段13のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
【0020】
手段15は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられたシール溝の段部との交点であることを特徴とする手段9乃至手段14のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
【0021】
手段16は、前記径方向ラインの前記所定位置は、前記セグメントの前端面に設けられた前記セグメントの外周面からの距離が既知であるマーキングとの交点であることを特徴とする手段9乃至手段15のうちいずれか1項に記載のシールド機のテールクリアランス測定方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、セグメントの前端面と、スキンプレートの内周面とに向けてレーザーライン光を照射するレーザー照射手段と、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光を、前記セグメントの前端面に照射された前記レーザーライン光と前記スキンプレートの内周面に照射された前記レーザーライン光とが、一直線にならないように撮像する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像において、前記セグメントの前端面及び前記スキンプレートの内周面に照射されたレーザーライン光をそれぞれ径方向ライン及び軸方向ラインとして検出するライン検出手段と、前記径方向ラインと前記軸方向ラインとの交点を求める交点検出手段と、前記径方向ラインの所定位置から前記交点検出手段が求めた交点までの延長距離に基づいて、前記スキンプレートの内周面と前記セグメントの外周面との距離を求める距離測定手段とを備えたので、実際にスキンプレートとセグメントとの距離を測定するものに比べて、装置全体が小型で済み、レーザー照射手段及び撮像手段を設置する場所も限定されないため、作業の邪魔にならず、水が当たりにくい位置に取り付けることができる。
また、スキンプレートの内周面からレーザー光を照射する照射部までの距離を実際に測定するものに比べて、測定可能な範囲が広く、テールクリアランスを自動的に正確に測定できる。
【0023】
加えて、前記撮像手段が前記径方向ラインと前記軸方向ラインとともに撮像可能な位置に配置され基準寸法が設定されたスケールマーカーと、を備え、前記距離測定手段は、前記撮像手段が撮影した画像において、前記スケールマーカーの基準寸法に対応する画素数と前記延長距離に対応する画素数との比率に基づいて、スキンプレートの内周面とセグメントの外周面との距離を求めるので、撮像手段が撮影する方向の違いによる考慮することなく、簡単に延長部分の長さからテールクリアランスを算出できる。
【0024】
加えて、前記スケールマーカーは、シールド機のシールドジャッキのスプレッダにスケールマーカーを設けるようにすれば、セグメント個々にスケールマーカーを設ける必要がなくなり、測定システムの効率化できる。
【0025】
加えて、前記スケールマーカーは、前記セグメントの前端面に設けられており、前記スケールマーカーの前記基準寸法は、前記セグメントの厚みに基づいて設定されているので、スケールマーカーを別途設ける必要がなく、テールクリアランスの検出に要するシステムを簡易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態に係るシールド機の断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態を示すシールド機のテールクリアランス測定システムのブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るテールクリアランス測定過程を説明する斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るテールクリアランス測定手順のフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態に係るテールクリアランス測定方法を示すためのセグメント及びスキンプレートの部分断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るテールクリアランス測定方法を示すためのテーパー面を備えたセグメント及びスキンプレートの部分断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係るテールクリアランス測定方法を示すためのシール溝を備えたセグメント及びスキンプレートの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
図1は、シールド機の断面図であり、図2は、シールド機のテールクリアランス測定システムのブロック図、図3は、テールクリアランス測定過程を説明する斜視図、図4は、テールクリアランス測定手順のフローチャート、図5は、セグメント及びスキンプレートの部分断面図である。
【0028】
図1に示すように、シールド機1は、地盤中を掘進しながら、セグメント20を組立て、地中に覆工体2を配置するものであって、例えば隔壁10を有した前端部に回転カッタ11と、スキンプレート12とを備えている。本実施例では円形断面のトンネルを構築するシールド機として説明している。
【0029】
覆工体2は、舟形のセグメント20をリング状に組み立て、それらを前後方向に連結して構成される。覆工体2の前部はスキンプレート12内に存在することになり、スキンプレート12の内側において、覆工体2の前端に新たにセグメント20をリング状に組み立て連結し、隔壁10の後方に設けられたシールドジャッキ13を伸ばしてセグメント20の前端面20aを押し、その反力でシールド機1を前進させる。
スキンプレート12の内周面12aとセグメント20の外周面20bとの間には環状の隙間が形成される。
【0030】
シールド機のテールクリアランス測定システムは、スキンプレート12の内周面12aとセグメント20の外周面20bとの距離であるテールクリアランスΔLを測定するシステムであり、シールド機1の周方向にほぼ等間隔で3乃至4か所に設けられる。
【0031】
図2に示すように、シールド機のテールクリアランス測定システムは、レーザー照射手段3と、撮像手段4と、ライン検出手段5と、交点検出手段6と、距離測定手段7と、主制御部8と、測定管理部9と、ディスプレイ15とを備える。
【0032】
レーザー照射手段3は、セグメントの前端面20aと、スキンプレート12の内周面12aとに向けてレーザーライン光を照射する。
レーザー照射手段3は、レーザー発振管30及びレーザー発振管30の作動を制御するレーザー制御部31を有する。
【0033】
レーザー発振管30は、レーザーライン光を照射するもので、例えばシールド機1のスキンプレート12の内側であって、スキンプレート12の内周面12a及び設置されるセグメント20の前端面20aに向けて設置される(図1)。具体的には、照射されたレーザーライン光がスキンプレート12のトンネル方向軸線、かつ、スキンプレート12の直径方向線に沿った平面となるようにレーザー発振管30が配置される。
【0034】
そして、レーザー発振管30は、レーザー制御部31からの発振信号に基づいて、スキンプレート12のトンネル方向軸線、かつ、スキンプレート12の直径方向線に沿った平面のレーザーライン光を照射する。そして、レーザーライン光はスキンプレート12の内周面12aと、設置されたセグメント20の前端面20aとに向けて照射される(図3)。その結果、テールクリアランスが存在する場合には、設置されたセグメント20の前端面20aに照射されたレーザーライン光は、テールクリアランス側(図3のL3で示された部分)には表示されない。
【0035】
撮像手段4は、設置されたセグメント20の前端面20a及びスキンプレート12の内周面12aに照射されたレーザーライン光を、セグメント20の前端面20aに照射されたレーザーライン光とスキンプレート12の内周面12aに照射されたレーザーライン光とが、一直線にならないように撮像するものである。
【0036】
撮像手段4は、CCDカメラ40と、CCDカメラ40の作動を制御するカメラ制御部41とを備え、CCDカメラ40は、例えば、シールド機1のスキンプレート12の内側において、レーザー発振管30と近い位置に設置される。
CCDカメラ40は、セグメント20の前端面20aに照射されたレーザーライン光とスキンプレート12の内周面12aに照射されたレーザーライン光とが、一直線にならないように撮像する位置、例えば、レーザーライン光が形成する平面3aに対して斜め方向から撮像する位置に配置されている。
なお、本実施形態では、CCDカメラを採用しているが、CMOSセンサーカメラなどのデジタルカメラを採用しても良い。
【0037】
CCDカメラ40は、カメラ制御部41が作動信号を送ると、セグメント20の前端面20a及びスキンプレート12の内周面12aにおいて、レーザー照射手段3からのレーザーライン光が投影された部分を撮像する。撮像された画像において、セグメント20の前端面20aに照射されたレーザーライン光とスキンプレート12の内周面12aに照射されたレーザーライン光とは、一直線になっていない。
【0038】
テールクリアランスΔLを測定する箇所において、セグメント20の前端面20aには、予めスケールマーカー20cを設けておく(図3)。具体的には、スケールマーカー20cは、CCDカメラ40がセグメント20の前端面20aに照射されたレーザーライン光とスキンプレート12の内周面12aに照射されたレーザーライン光とともに、撮像可能な位置に配置される。
スケールマーカー20cのセグメント20の径方向における寸法(例えば、スケールマーカー20cのセグメント20の径方向における両端部間の寸法)は既知であり、この寸法が基準寸法となる。スケールマーカー20cはセグメント20の前端面20aに貼りつけるものでも直接マーキングされたものでも良い。
【0039】
CCDカメラ40は、セグメント20の前端面20aに照射されたレーザーライン光とスキンプレート12の内周面12aに照射されたレーザーライン光とともに、セグメント20の前端面20aに設けたスケールマーカー20cを撮影する。
【0040】
ライン検出手段5は、撮像手段4が撮像した画像において、セグメント20の前端面20a及びスキンプレート12の内周面12aに照射されたレーザーライン光をそれぞれ径方向ラインL1及び軸方向ラインL2として検出する。
【0041】
ライン検出手段5は、撮像手段4からの画像を受信して処理し、図3に示すように、セグメント20の前端面20a及びスキンプレート12の内周面12aに投影されたレーザーライン光をそれぞれ径方向ラインL1及び軸方向ラインL2として検出する。具体的には、撮像された画像において、HSV(色相・彩度・輝度)を用いてレーザーライン光を検出し、検出したレーザーライン光を2値化し、2値化したデータを細線化して直線として認識する。
また、ライン検出手段5は、画像からHSV(色相・彩度・輝度)を用いてスケールマーカー20cを検出して基準寸法に係る直線を認識する。
【0042】
交点検出手段6は、撮像された画像において、径方向ラインL1と軸方向ラインとの交点K1を求めて認識する。
交点K1の検出は、径方向ラインL1と軸方向ラインL2の関数式に表して交点K1を検出しても良い。また、撮像された画像において、径方向ラインL1を画像処理によって延長して、軸方向ラインL2との交点K1を検出するようにしても良い。
【0043】
距離測定手段7は、スケールマーカー20cの基準寸法に対応する画素数、及び、径方向ラインL1とセグメント20の前端面20aの外周側のエッジ部分との交点(径方向ラインL1の末端)を所定位置P1として、所定位置P1から交点K1までの延長部分の距離L3に対応する画素数を取得する。径方向ラインL1の所定位置P1から交点K1までの延長部分の距離L3は、スキンプレート12の内周面12aとセグメント20の外周面20bとの距離に相当することになる。
そして、距離測定手段7は、スケールマーカー20cの基準寸法に対応する画素数と、延長部分の距離L3に対応する画素数との比率によって、スキンプレート12の内周面12aとセグメント20の外周面20bとの距離、すなわちテールクリアランスΔLを算出する。
【0044】
このように、レーザーライン光が照射されないテールクリアランスの部分に画像において延長部分を求めて、テールクリアランスを測定することにより、実際に人手による測定方法と同様の測定を行うことができる。
【0045】
また、シールド機1に設置する際に、キャリブレーションとして、人手によって測定した実際のテールクリアランスと、シールド機のテールクリアランス測定システムによって測定したテールクリアランスとの差により補正パラメーターを取得しておき、距離測定手段7は、画素数の比率で計算したテールクリアランスΔLをこの補正パラメーターに基づいて調整するようにしても良い。これによりレンズの歪み等による実機による誤差を軽減し、精度を高めることができる。
【0046】
主制御部8は、メインコンピュータのCPUであり、シールド機のテールクリアランス測定システム全体を制御する。
【0047】
シールド機のテールクリアランス測定システムによる測定は、新たなセグメント20の連結が終了した時点等に手動によって行う手動モードか、適宜時間が経過する毎に自動的に行う自動モードかをモード切替することができ、自動モードであるとき、測定管理部9が測定の開始タイミングを管理する。
【0048】
ディスプレイ15は、距離測定手段7が算出したテールクリアランス等を表示する。
【0049】
レーザー制御部31、CCDカメラ40、カメラ制御部41、ライン検出手段5、交点検出手段6、距離測定手段7、測定管理部9及びディスプレイ15は主制御部8に接続され、主制御部8を介して相互に信号を送受信する。
【0050】
本実施形態のシールド機のテールクリアランス測定システムは、図4に示す手順でテールクリアランスの測定を行う。
【0051】
シールド機1が作動を開始して、シールド機のテールクリアランス測定システムが起動すると、システムチェックが行なわれる(ステップS1)。
次いで、自動モードであるか、手動モードであるかのモードチェックを行う(ステップS2)。
【0052】
手動モードであれば、操作員が手動で測定スイッチを操作し、レーザー照射手段3のレーザー制御部31に測定信号が送られる(ステップS3)。
そうすると、レーザー制御部31からレーザー発振管30へ発信信号が送られてレーザーライン光が照射される(ステップS4)。
【0053】
自動モードであれば、測定管理部9が、測定タイミングに達した時、自動的にレーザー照射手段3のレーザー制御部31に測定信号を送り(ステップS5)、ステップS4に進む。
【0054】
次に、撮像手段4のカメラ制御部41が作動信号を送り、CCDカメラ40がセグメント20の前端面20a、スケールマーカー20c及びスキンプレート12の内周面12aを撮影し(ステップS6)、その後、レーザー照射手段3によるレーザーライン光の照射を停止する(ステップS7)。
【0055】
次に、CCDカメラ40が撮影した画像をライン検出手段5に転送する(ステップS8)。
【0056】
画像信号を受信したライン検出手段5は、スケールマーカー20cを検出し(ステップS9)、さらに、径方向ラインL1及び軸方向ラインL2を検出して認識する(ステップS10)。
【0057】
次いで、交点検出手段6が、径方向ラインL1と軸方向ラインL2とから交点K1を求める(ステップS11)。
【0058】
次に、距離測定手段7が、径方向ラインL1とセグメント20の前端面20aの外周側のエッジ部分との交点(径方向ラインL1の末端)を所定位置P1として、所定位置P1から交点K1までの延長部分の距離L3を、スケールマーカー20cに基づいた基準長さとの比率から計算する(ステップS12)。
さらに、距離測定手段7は、ステップS13で計算した延長部分の距離L3を、あらかじめ取得してある補正パラメーターに基づいて調整し、テールクリアランスを算出する(ステップS13)。
【0059】
次いで、算出したテールクリアランスをデータ保存し、ディスプレイに表示する等のアウトプット処理を行う(ステップS14)。
【0060】
その後、テールクリアランスの測定を継続するか否かを判断し(ステップS15)、YESであればステップS2に戻り、NOであれば終了する。
【0061】
〔第2の実施形態〕
以下、本発明に係る第2の実施形態について図6と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0062】
第1の実施形態では、図3及び図5に示すように、セグメント20の前端面20aの外周側のエッジ部分と径方向ラインL1との交点(径方向ラインL1の末端)を所定位置P1として、所定位置P1から交点K1までの延長部分の距離L3をテールクリアランスΔLとして測定した。第2の実施形態では、図6に示すような、セグメント20の外周面20bと前端面20aとの角にテーパー面20dが設けられたようなセグメント20の場合では、セグメント20の前端面20aの外周側のエッジ部分と径方向ラインL1との交点(径方向ラインL1の末端)を所定位置P1として、所定位置P1から交点K1までの延長部分の距離L3からテーパー面20dの径方向に相当する長さ20d1を控除してテールクリアランスΔLとして測定する。
【0063】
このようにすることで、コンクリートセグメントなどのテーパー面を有するセグメントであってもテールクリアランスを測定することができる。
【0064】
〔第3の実施形態〕
以下、本発明に係る第3の実施形態について図7と共に説明する。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0065】
第1の実施形態では、図3及び図5に示すように、セグメント20の前端面20aの外周側のエッジ部分と径方向ラインL1との交点(径方向ラインL1の末端)を所定位置P1として、所定位置P1から交点K1までの延長部分の距離L3をテールクリアランスΔLとして測定した。第3の実施形態では、図7に示すように、セグメント20の前端面20aにシール20fを設置されるシール溝20eがあるセグメント20の場合では、シール溝20eの外周面側の段部と径方向ラインL1との交点を所定位置P1として、所定位置P1から交点K1までの延長部分の距離L3からシール溝20eの外周面側の段部から外周面20bまでの距離20e1を控除してテールクリアランスΔLとして測定する。
【0066】
このように所定位置P1を前端面の外周側のエッジ部から内周側に逃がして設定することで、コンクリートセグメントなどで前端面の外周側のエッジ部に欠けが生じた場合であってもテールクリアランスを測定することができる。
【0067】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0068】
本実施形態では、径方向ラインL1の所定位置P1を、セグメント20の前端面20aの外周側エッジ部分(第1の実施形態、第2の実施形態)、セグメント20の前端面20aのシール溝20eの外周側の段部(第3の実施形態)に設定したが、これに限られない。セグメント20の前端面20aの内周側エッジ部分やセグメント20の前端面20aのシール溝20eの内周側の段部であっても良い。また、セグメント20の外周面20bまでの距離が既知の位置であれば良く、例えば、セグメント20の前端面20aにセグメント20の厚みに対する中心線を径方向ラインL1に交わる位置にマーキングしておき、当該中心線と径方向ラインL1との交点を所定位置P1として、セグメント20の厚さの半分の厚さを控除してテールクリアランスとして測定するようにする。さらに、先に説明したスケールマーカーの上に径方向ラインL1が重なるように配置して、この中心線のマーキングを、スケールマーカーのセグメント20の径方向における両端部のいずれかに兼用させるようにしても良い。
【0069】
本実施形態では、セグメントの端面に別途スケールマーカーを設け、スケールマーカーの基準寸法に基づいてテールクリアランスを算出しているが、セグメントの厚さは既知であるところ、セグメントの前端面のエッジ部分を検出して内外周のエッジ間の最小距離をセグメントの厚さとして、基準寸法とし、すなわち、セグメントの前端面をスケールマーカーとして用いて、測定するようにしても良い。
また、既知のセグメント厚さでなく、既知のシール溝の内外周側の段部間の距離やシールの内外周側のコーナー部間の距離を検出して、基準寸法として測定するようにしても良い。
【0070】
本実施形態では、セグメントの前端面にスケールマーカーを設けたが、撮像手段によって撮像可能な位置に配置されたシールド機のシールドジャッキのスプレッダにスケールマーカーを設けるようにして、スプレッダがセグメントの前端面に当接されたときに測定するようにしても良い。このようにすれば、セグメント個々にスケールマーカーを設ける必要がなくなり、測定システムの効率化できる。
また、セグメントの前端面とシールドジャッキのスプレッダの双方にスケールマーカーを配置して精度を高めるようにしても良い。
さらに、スプレッダが撮像されない位置のテールクリアランスを測定する場合には、セグメントの前端面にスケールマーカーを設けて、スプレッダが撮像される位置のテールクリアランスを測定する場合には、スプレッダにスケールマーカーを設けるというように、設置場所に応じて適宜対応するようにしても良い。
【0071】
本実施形態では、延長部分の長さを、これに対応する画素数と、スケールマーカーの基準寸法に対応する画素数との比率から算出しているが、撮像手段を設置して撮像して得られた画像における任意の箇所の寸法をあらかじめ把握して求めることができるように初期化しておけば、スケールマーカーを必要としない。
【0072】
本実施形態とは異なり、一又は複数の工程を人で行うようにして構成しても良い。
【0073】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 シールド機
10 隔壁
11 回転カッタ
12 スキンプレート
12a 内周面
13 シールドジャッキ
2 覆工体
20 セグメント
20a 前端面
20b 外周面
20c スケールマーカー
3 レーザー照射手段
3a 平面
30 レーザー発振管
31 レーザー制御部
4 撮像手段
40 CCDカメラ
41 カメラ制御部
5 ライン検出手段
6 交点検出手段
7 距離測定手段
8 主制御部
9 測定管理部
15 ディスプレイ
L1 径方向ライン
L2 軸方向ライン
L3 延長部分の距離
ΔL テールクリアランス
K1 交点
P1 径方向ラインの所定位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7